(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065302
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】配管用キャップ
(51)【国際特許分類】
F16L 55/115 20060101AFI20230502BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
F16L55/115
F16L55/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145554
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2021175449
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クアドラ ラファエル
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025DA01
3H025DB12
3H025DB22
3H025DD03
(57)【要約】
【課題】配管用キャップのシール性を向上させる。
【解決手段】配管1の端部22の開口部24を封止する配管用キャップ100,200は、配管1の端部22の外周面25に装着される筒部50,150と、配管1の開口部24に対向する底部60と、底部60から突出して設けられ外周面71が配管1の内周面28に嵌合する環状部70と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の端部の開口部を封止する配管用キャップであって、
前記配管の前記端部の外周面に装着される筒部と、
前記配管の前記開口部に対向する底部と、
前記底部から突出して設けられ外周面が前記配管の内周面に嵌合する環状部と、を備えることを特徴とする配管用キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の配管用キャップであって、
前記筒部の端面は、前記配管の前記外周面に設けられる環状のフランジ部と接触し、前記筒部の前記端面と前記フランジ部とが接触した状態では、前記底部と前記配管の端面との間に隙間が形成されることを特徴とする配管用キャップ。
【請求項3】
請求項1に記載の配管用キャップであって、
前記底部は、前記配管の端面と接触し、前記底部と前記配管の前記端面とが接触した状態では、前記筒部の端面と前記配管の前記外周面に設けられる環状のフランジ部との間に隙間が形成されることを特徴とする配管用キャップ。
【請求項4】
請求項3に記載の配管用キャップであって、
前記筒部の前記端面は、前記筒部の外周面に向かうにつれて前記フランジ部から離れるように傾斜する傾斜面を有することを特徴とする配管用キャップ。
【請求項5】
請求項1に記載の配管用キャップであって、
前記環状部は、内径が軸方向で一様であることを特徴とする配管用キャップ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の配管用キャップであって、
前記開口部は、前記配管の一部を構成し他の配管に接続されるジョイントに形成されることを特徴とする配管用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配管においてパイプの末端をシールする際に用いられる配管用キャップが開示されている。配管用キャップは、円板状の盲板と、盲板の周縁から軸方向に突出する弾性輪覆体と、を有する。弾性輪覆体は、盲板方向に径が拡大するテーパ状に形成される。配管用キャップは、弾性輪覆体がパイプの外周壁に密着し、これにより、異物がパイプ内に侵入することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のような配管用キャップが取り付けられたパイプにおいて、温度上昇等によりパイプ内の圧力が上昇することが考えられる。この場合、特許文献1に記載のような配管用キャップでは、配管キャップの弾性輪覆体がパイプの外周壁から離れるような力が生じる。これにより、配管用キャップの弾性輪覆体がパイプの外周壁から離れ、パイプ内の流体が外に漏れ出す可能性がある。このように、特許文献1に記載のような配管用キャップは、シール性が十分ではないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、配管用キャップのシール性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、配管の端部の開口部を封止する配管用キャップであって、配管の端部の外周面に装着される筒部と、配管の開口部に対向する底部と、底部から突出して設けられ外周面が配管の内周面に嵌合する環状部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明では、配管用キャップの環状部の外周面と配管の内周面とが嵌合して両者の間がシールされる。環状部の内側は空間であるため、配管内の温度が上昇し配管内の圧力が上昇すると、環状部は、内側の空間の圧力により変形し、配管の内周面に押し付けられる。したがって、配管用キャップの環状部の外周面と配管の内周面との間のシール性が向上する。よって、配管用キャップのシール性を向上させることができる。
【0008】
本発明は、筒部の端面は、配管の外周面に設けられる環状のフランジ部と接触し、筒部の端面とフランジ部とが接触した状態では、底部と配管の端面との間に隙間が形成されることを特徴とする。
【0009】
この発明では、配管用キャップの底部と配管の端面との間に隙間が形成されることで、配管用キャップの筒部の端面と配管のフランジ部とを接触させ、接触面をシールすることができる。よって、配管用キャップのシール性をさらに向上させることができる。
【0010】
本発明は、底部は、配管の端面と接触し、底部と配管の端面とが接触した状態では、筒部の端面と配管の外周面に設けられる環状のフランジ部との間に隙間が形成されることを特徴とする。
【0011】
この発明では、配管用キャップの筒部の端面と配管のフランジ部との間に隙間が形成されることで、配管用キャップの底部と配管の端面とを接触させ、接触面をシールすることができる。さらに、配管用キャップの環状部の外周面と配管の内周面との接触面積が増加するため、両者の間のシール性が向上する。よって、配管用キャップのシール性をさらに向上させることができる。
【0012】
本発明は、筒部の端面は、筒部の外周面に向かうにつれてフランジ部から離れるように傾斜する傾斜面を有することを特徴とする。
【0013】
この発明では、傾斜面により筒部の端面と配管のフランジ部との間の隙間が大きくなる。よって、配管に配管用キャップを取り付けた状態で、配管のフランジ部を容易に塗装することができる。
【0014】
本発明は、環状部は、内径が軸方向で一様であることを特徴とする。
【0015】
この発明では、環状部が内側の空間からの圧力により、根元から拡がるように変形する。これにより、配管用キャップの環状部の外周面と配管の内周面との間のシール性がより向上する。
【0016】
本発明は、開口部は、配管の一部を構成し他の配管に接続されるジョイントに形成されることを特徴とする。
【0017】
この発明では、配管用キャップをジョイント付きの配管にも利用できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、配管用キャップのシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】配管が流体圧シリンダに固定された状態を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る配管用キャップの断面図であって、配管用キャップが配管に取り付けられていない状態を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る配管用キャップの断面図であって、配管用キャップが配管に取り付けられた状態を示す。
【
図4】配管用キャップの環状部の変形例を示す断面図である。
【
図5】本発明の変形例に係る配管用キャップの断面図であって、配管用キャップが配管に取り付けられていない状態を示す。
【
図6】本発明の変形例に係る配管用キャップの断面図であって、配管用キャップが配管に取り付けられた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る配管用キャップ100について説明する。
【0021】
配管用キャップ100は、配管の端部の開口部を封止するために、配管1に取り付けられるものである。
図1に示すように、本実施形態では、配管1は、流体圧シリンダ90の外周面にホルダ91を介して固定されるものであり、流体圧シリンダ90の両ポート(図示せず)に接続される。なお、配管1の用途は、上記のように流体圧シリンダ90に固定されるものに限らない。
【0022】
配管1は、配管本体部10と、配管本体部10の端部11に取り付けられるジョイント20と、を有するジョイント付き配管である。ジョイント20は、配管本体部10と図示しない他の配管とを接続するためのものである。ジョイント20の一方の端部21は、配管本体部10の端部11に例えば溶接等で取り付けられる。ジョイント20の他方の端部22は、他の配管に取り付けられる。
【0023】
配管用キャップ100は、配管1の塗装時や保管時、出荷時にジョイント20に取り付けられ、配管1のジョイント20の端部22の開口部24を封止する。これにより、配管1内への塗料やゴミなどの異物の侵入が防止される。また、配管1は、塗装前の検査工程において内部に油等の流体が導かれるため、塗装時や保管時、出荷時に内部に流体が残留している可能性がある。よって、配管用キャップ100がジョイント20に取り付けられることにより、塗装時や保管時、出荷時に配管1内の流体が外に漏れることが防止される。
【0024】
まず、ジョイント20について詳しく説明する。
図2に示すように、ジョイント20は、端部21及び端部22を有する円筒部23と、円筒部23の外周面に設けられる環状のフランジ部30と、を備える。端部22の外周面25には雄ねじ部26が設けられる。フランジ部30の外周面は、六角形状に形成される。雄ねじ部26及びフランジ部30は、ジョイント20を他の配管に取り付けるために設けられるものである。具体的には、フランジ部30の外周面を工具で把持し、雄ねじ部26と他の配管に設けられる雌ねじ部を螺合させることで、ジョイント20が他の配管に取り付けられる。
【0025】
次に、配管用キャップ100について説明する。配管用キャップ100は、外周面が六角形状の有底筒状である。これに限らず、配管用キャップ100は、外周面が多角形状の有底筒状であっても、外周面が円状の有底筒状であってもよい。配管用キャップ100は、例えばポリエチレンで形成される。配管用キャップ100は、これに限らず、ポリエチレン以外の樹脂や金属等で形成されてもよい。
図2,3に示すように、配管用キャップ100は、ジョイント20の端部22の外周面25に装着される筒部50と、ジョイント20の開口部24に対向する底部60と、底部60の内面61(配管用キャップ100の内側の面)から突出して設けられ外周面71がジョイント20の内周面28に嵌合する環状部70と、を備える。
【0026】
筒部50は、内周面51が底部60の内面61と連続して設けられる。本実施形態では、筒部50及び底部60の外周面は連続して設けられ、六角形状に形成される。筒部50の内周面51には、ジョイント20の雄ねじ部26と螺合する雌ねじ部52が設けられる。配管用キャップ100は、工具等により外周面が把持されて回転され、雌ねじ部52が雄ねじ部26と螺合することで、ジョイント20に取り付けられる。本実施形態では、雌ねじ部52は、筒部50における内周面51の全体に設けられる。
【0027】
筒部50の端面54は、ジョイント20のフランジ部30と対向する。端面54には、環状の突部55が設けられる。
図3に示すように、配管用キャップ100がジョイント20に取り付けられた状態では、突部55とジョイント20のフランジ部30とが接触する。突部55とフランジ部30が接触した状態では、底部60の内面61とジョイント20の端面27との間に隙間が形成される。具体的には、筒部50は、軸方向の長さがジョイント20における端面27とフランジ部30の間の部分である挿入部40の軸方向の長さよりも長く形成される。これにより、配管用キャップ100の突部55とジョイント20のフランジ部30とが密着するため、筒部50の端面54とフランジ部30の接触面をシールすることができる。
【0028】
環状部70は、底部60の内面61から筒部50の軸方向に突出する。環状部70は、内側が空間である。環状部70の外径は、ジョイント20の内周面28の径と略同じ、または、ジョイント20内に入り込める程度に内周面28の径よりも大径に形成される。これにより、配管用キャップ100がジョイント20に取り付けられると、環状部70の外周面71がジョイント20の内周面28に嵌合し、外周面71と内周面28の間がシールされる。本実施形態では、環状部70は、内径が軸方向で一様である。また、底部60の内面61と環状部70の内側の空間の底面72とは同一平面上に形成される。
【0029】
次に、配管用キャップ100をジョイント20に取り付ける方法について説明する。
【0030】
図3に示すように、配管用キャップ100をジョイント20に取り付ける際には、筒部50の端面54の突部55とジョイント20のフランジ部30とが密着するまで、筒部50の雌ねじ部52とジョイント20の雄ねじ部26とを螺合させる。雌ねじ部52と雄ねじ部26が螺合すると、筒部50の端面54とフランジ部30とが接近する。また、環状部70がジョイント20内に入り込み、環状部70の外周面71がジョイント20の内周面28に嵌合する。ここで、筒部50は、軸方向の長さが、ジョイント20の挿入部40の軸方向の長さよりも長く形成される。そのため、雌ねじ部52と雄ねじ部26が螺合すると、底部60の内面61とジョイント20の端面27とが接触する前に、筒部50の端面54とフランジ部30とが接触する。そして、筒部50の端面54の突部55とフランジ部30とが密着し、ジョイント20への配管用キャップ100の取り付けが完了する。
【0031】
このように配管用キャップ100はジョイント20に取り付けられて、環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との間がシールされる。さらに、筒部50の端面54とジョイント20のフランジ部30との間もシールされる。また、ジョイント20の雄ねじ部26が配管用キャップ100により覆われて保護される。
【0032】
ここで、配管用キャップが取り付けられたジョイントにおいては、配管塗装後の塗料乾燥時の温度上昇や、保管時及び出荷時の外気温の上昇により、ジョイント内の温度が上昇し、ジョイント内の圧力が上昇することが考えられる。前述のように、配管の内部には、塗装前の検査工程において導かれた油等の流体が残留している可能性がある。そのため、配管用キャップのシール性が不十分であると、配管内の圧力が上昇した場合には流体が外に漏れるおそれがある。
【0033】
本実施形態における配管用キャップ100では、環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28とが嵌合して両者の間がシールされる。ジョイント20内の温度が上昇しジョイント20内の圧力が上昇すると、環状部70に圧力が作用する。すると、環状部70の内側は空間であるため、環状部70は、内側の空間の圧力により変形し、ジョイント20の内周面28に押し付けられる。したがって、配管用キャップ100の環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との間のシール性が向上する。特に、本実施形態では、環状部70は、内径が軸方向で一様であるため、環状部70は、内側の空間からの圧力により根元から拡がるように変形し、内周面28に強く押し付けられる。よって、配管用キャップ100は、配管1内の圧力が上昇した場合であっても、配管1内の流体が外に漏れることが防止される。したがって、配管用キャップ100のシール性を向上させることができる。
【0034】
また、配管用キャップ100は、ジョイント20への取り付け時に、環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28とが嵌合するように形成される。そのため、配管1の長期保管において、ジョイント20内の温度及び圧力が上昇し環状部70が拡がるように変形した後に、環状部70の形状が元に戻った場合であっても、配管用キャップ100の環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との間のシール性を保つことができる。
【0035】
また、配管用キャップ100の環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との間だけでなく、配管用キャップ100の筒部50の端面54とジョイント20のフランジ部30との間もシールされるため、配管用キャップ100のシール性をさらに向上させることができる。したがって、塗料やゴミ等の異物が配管1内に侵入することが防止されるとともに、雌ねじ部52と雄ねじ部26の螺合部が外部に暴露されなくなるため、雌ねじ部52と雄ねじ部26が錆びることが抑制される。また、筒部50の端面54とフランジ部30の間は、配管1内の流体が外に漏れることを防止する二つ目のシールとしても機能する。
【0036】
以上の本実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0037】
配管用キャップ100は、環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28とが嵌合して両者の間がシールされる。環状部70の内側は空間であるため、ジョイント20内の温度が上昇しジョイント20内の圧力が上昇すると、環状部70は、内側の空間の圧力により変形し、ジョイント20の内周面28に押し付けられる。したがって、環状部70の外周面とジョイント20の内周面28との間のシール性が向上する。また、ジョイント20内の温度が下がり、環状部70の形状が元に戻った場合であっても、環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との間のシール性が保たれる。
【0038】
環状部70は、内径が軸方向で一様であるため、環状部70が内側の空間からの圧力により、根元から拡がるように変形し、配管用キャップ100の環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との間のシール性がより向上する。
【0039】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、以下の変形例と上記実施形態の各構成とを組み合わせたり、以下の変形例同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0040】
<変形例1>
上記実施形態では、配管用キャップ100は配管1の一部を構成するジョイント20に取り付けられる。しかし、配管用キャップ100は、ジョイントを有しない配管に直接取り付けられ、配管の端部の開口部を封止するものであってもよい。この場合は、配管の端部の外周面に雄ねじ部が設けられ、配管の外周面に環状のフランジ部が設けられる。
【0041】
<変形例2>
上記実施形態では、環状部70は、内径が軸方向で一様である。具体的には、環状部70の内側の空間は、円柱状である。しかし、環状部70の形状は、内径が軸方向で一様でなくても、環状部70が内側の空間の圧力により変形し環状部70の外周面がジョイント20の内周面28に押し付けられるように、環状であればよい。例えば、
図4(a)に示すように環状部70の内側の空間が半球状であってもよく、
図4(b)に示すように環状部70の内側の空間が円錐状であってもよい。また、
図4(c)に示すように、環状部70の内側の空間が、側面の勾配が異なる円錐状であってもよい。
【0042】
<変形例3>
上記実施形態では、底部60の内面61と環状部70の内側の空間の底面72とは同一平面上に形成される。しかし、内面61と底面72の高さは異なってもよい。この場合、底面72は、環状部70が変形した際に外周面71がジョイント20の内周面28に押し付けられる面積が大きくなるように形成されることが好ましい。具体的には、底面72は、配管用キャップ100が取り付けられた状態でジョイント20の端面27よりも低い位置に形成されることが好ましい。
【0043】
<変形例4>
本実施形態では、雌ねじ部52は、筒部50における内周面51の全体に設けられる。しかし、雌ねじ部52は、筒部50の開口部から軸方向の一定範囲にわたって設けられ、内面61の近傍には設けられない構成であってもよい。内周面51において内面61の近傍には雌ねじ加工がしづらいため、雌ねじ部52が内面61の近傍には設けられない構成とすることで、雌ねじ部52を容易に加工することができる。
【0044】
また、配管用キャップ100は、環状部70がジョイント20内に入り込みながら雌ねじ部52と雄ねじ部26が螺合して取り付けられる。よって、環状部70が軸方向に長いと、環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との接触面積が増えるため、両者の間のシール性が向上する反面、配管用キャップ100の取付性が低下する。雌ねじ部52が内面61の近傍に設けられない構成では、雌ねじ部52が設けられない内面61近傍の円筒面は、配管用キャップ100の取り付けには関係しないデッドスペースとなる。デッドスペースである当該円筒面を軸方向に短くすることで、配管用キャップ100の軸方向の長さを短くできるとともに、環状部70の軸方向の長さを変えずに、環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との接触面積を増加させることができる。よって、配管用キャップ100の取付性を低下させずに、配管用キャップ100のシール性を向上させることができる。また、雌ねじ部52を軸方向に短くしないため、雌ねじ部52と雄ねじ部26が螺合する長さを変えずに、上記の効果を奏することができる。
【0045】
<変形例5>
上記実施形態は、筒部50の端面54とフランジ部30とが接触した状態では、底部60とジョイント20の端面27との間に隙間が形成される形態であった。これに代えて、本変形例5では、
図5,
図6に示すように、配管用キャップ200の底部60が、ジョイント20の端面27と接触する構成である。
【0046】
具体的には、配管用キャップ200の筒部150は、ジョイント20の雄ねじ部26を覆い保護するために、軸方向の長さが雄ねじ部26の軸方向の長さと略同じもしくは雄ねじ部26の軸方向の長さよりも長く形成される。さらに、筒部150は、軸方向の長さがジョイント20の挿入部40の軸方向の長さよりも短く形成される。これにより、配管用キャップ200がジョイント20に取り付けられた際には、筒部150の端面154とジョイント20のフランジ部30とは接触せず、底部60の内面61とジョイント20の端面27とが接触する。
【0047】
配管用キャップ200は、底部60の内面61とジョイント20の端面27とが密着するまで、筒部150の雌ねじ部52とジョイント20の雄ねじ部26とを螺合させることで、ジョイント20に取り付けられる。配管用キャップ200がジョイント20に取り付けられ、底部60の内面61とジョイント20の端面27とが接触した状態では、筒部150の端面154とジョイント20のフランジ部30との間に隙間が形成される。また、上記実施形態と同様に、環状部70がジョイント20内に入り込み、環状部70の外周面71がジョイント20の内周面28に嵌合する。
【0048】
このように、配管用キャップ200では、筒部150の端面154とジョイント20のフランジ部30との間に隙間が形成されることで、配管用キャップ200の底部60の内面61とジョイント20の端面27とを接触させ、接触面をシールすることができる。さらに、配管用キャップ200では、配管用キャップ100のように筒部50の端面54がジョイント20のフランジ部30と接触する場合よりも、環状部70の外周面71とジョイント20の内周面28との接触面積が増加するため、両者の間のシール性が向上する。よって、配管用キャップ200のシール性をさらに向上させることができる。なお、底部60が、内面61に突部55(
図2参照)と同様の環状の突部(図示省略)を有し、当該突部がジョイント20の端面27と接触する構成であってもよい。
【0049】
さらに、配管用キャップ200では、筒部50の端面54がジョイント20のフランジ部30と接触する配管用キャップ100よりも、筒部150の軸方向の長さが短くて済む。そのため、配管用キャップ200の軸方向の寸法を短くすることができる。
【0050】
また、筒部150の端面154は、筒部150の外周面に向かうにつれてフランジ部30から離れるように傾斜する傾斜面154aを有する。本変形例では、端面154は傾斜面154aのみで形成され、傾斜面154aは平面状に形成される。つまり、筒部150は、外周面の軸方向の長さが内周面51の軸方向の長さよりも短い。傾斜面154aにより、筒部150の端面154とジョイント20のフランジ部30との間の隙間が大きくなる。よって、ジョイント20に配管用キャップ200を取り付けた状態で、例えばハケやスプレー等を使用し、ジョイント20のフランジ部30を容易に塗装することができる。なお、傾斜面154aは、曲面状に形成されてもよい。また、筒部150の端面154は、傾斜面154aの他にフランジ部30と平行に形成される平面(図示省略)を有してもよい。当該平面は、筒部150の端面154における内周面51側に形成される。さらに、ジョイント20のフランジ部30を塗装しない場合等では、端面154が傾斜面154aを有さなくてもよい。つまり、傾斜面154aは、本変形例に必須の構成ではない。
【0051】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0052】
配管1(ジョイント20)の端部22の開口部24を封止する配管用キャップ100,200は、配管1の端部22の外周面25に装着される筒部50,150と、配管1の開口部24に対向する底部60と、底部60から突出して設けられ外周面71が配管1の内周面28に嵌合する環状部70と、を備える。
【0053】
この構成では、配管用キャップ100の環状部70の外周面71と配管1の内周面28とが嵌合して両者の間がシールされる。環状部70の内側は空間であるため、温度上昇等により配管1内の圧力が上昇すると、環状部70は、内側の空間の圧力により変形し、配管1の内周面28に押し付けられる。したがって、配管用キャップ100の環状部70の外周面71と配管1の内周面28との間のシール性が向上する。よって、配管用キャップ100のシール性を向上させることができる。
【0054】
また、配管用キャップ100では、筒部50の端面54は、配管1(ジョイント20)の外周面に設けられる環状のフランジ部30と接触し、筒部50の端面54とフランジ部30とが接触した状態では、底部60と配管1の端面27との間に隙間が形成される。
【0055】
この構成では、配管用キャップ100の底部60と配管1の端面27との間に隙間が形成されることで、配管用キャップ100の筒部50の端面54と配管1のフランジ部30とを接触させ、接触面をシールすることができる。よって、配管用キャップ100のシール性をさらに向上させることができる。
【0056】
また、配管用キャップ200では、底部60は、配管1(ジョイント20)の端面27と接触し、底部60と配管1の端面27とが接触した状態では、筒部150の端面154と配管1の外周面に設けられる環状のフランジ部30との間に隙間が形成される。
【0057】
この構成では、配管用キャップ200の筒部150の端面154と配管1のフランジ部30との間に隙間が形成されることで、配管用キャップ200の底部60と配管1の端面27とを接触させ、接触面をシールすることができる。さらに、配管用キャップ200の環状部70の外周面71と配管1の内周面28との接触面積が増加するため、両者の間のシール性が向上する。よって、配管用キャップ200のシール性をさらに向上させることができる。
【0058】
また、配管用キャップ200では、筒部150の端面154は、筒部150の外周面に向かうにつれてフランジ部30から離れるように傾斜する傾斜面154aを有する。
【0059】
この構成では、傾斜面154aにより筒部150の端面154と配管1のフランジ部30との間の隙間が大きくなる。よって、配管1に配管用キャップ200を取り付けた状態で、配管1のフランジ部30を容易に塗装することができる。
【0060】
また、配管用キャップ100,200では、環状部70は、内径が軸方向で一様である。
【0061】
この構成では、環状部70が内側の空間からの圧力により、根元から拡がるように変形する。これにより、配管用キャップ100,200の環状部70の外周面71と配管1の内周面28との間のシール性がより向上する。
【0062】
また、配管1の開口部24は、配管1の一部を構成し他の配管に接続されるジョイント20に形成される。
【0063】
この構成では、配管用キャップ100,200をジョイント20付きの配管1にも利用できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0065】
1・・・配管、20・・・ジョイント、22・・・端部、24・・・開口部、25・・・外周面、27・・・端面、28・・・内周面、30・・・フランジ部、50,150・・・筒部、54,154・・・端面、60・・・底部、70・・・環状部、71・・・外周面、100,200・・・配管用キャップ、154a・・・傾斜面