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特開2023-653303ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065330
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20230502BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20230502BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20230502BHJP
   H03F 3/195 20060101ALI20230502BHJP
   H03H 7/48 20060101ALI20230502BHJP
   H03H 7/38 20060101ALI20230502BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H03F1/02 188
H03F3/68 220
H03F3/24
H03F3/195
H03H7/48 C
H03H7/38 Z
H04B1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022170714
(22)【出願日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】17/511,913
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フセイン・ハサナリ・ラダニ
(72)【発明者】
【氏名】ラマヌジャム・スリニディ・エンバー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ギヨネ
(72)【発明者】
【氏名】トゥシャル・シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】シシル・ラマサレ・シュクラ
【テーマコード(参考)】
5J500
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA41
5J500AA63
5J500AA64
5J500AA65
5J500AC36
5J500AF12
5J500AF15
5J500AH09
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK13
5J500AK16
5J500AK29
5J500AK45
5J500AK66
5J500AK68
5J500AM08
5J500AQ04
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT07
5J500CK05
5J500CK06
5J500CK07
5K060BB07
5K060CC04
5K060HH06
5K060JJ16
5K060KK03
(57)【要約】
【課題】信号を増幅するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】
回路は、入力周波数(RF)信号を、キャリア増幅段において第1のサイズを有する第1のトランジスタの電力容量に一致する電力レベルを有する第1のRF信号に変換してもよく、ピーク増幅段において第1のサイズを有する第2のトランジスタの電力容量に一致する電力レベルを有する第2のRF信号に変換してもよく、別のピーク増幅段において第2のサイズを有する第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有する第3のRF信号に変換してもよい。回路は、第1、第2、および第3のRF信号を増幅して、第1、第2、および第3の増幅RF信号をそれぞれ生成してもよい。回路は、第1、第2、および第3の増幅RF信号を、入力RF信号を増幅したものである出力RF信号に結合してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力周波数(RF)信号を第1のRF信号、第2のRF信号、および第3のRF信号に変換するように構成された回路と、
第1のサイズを有する第1のトランジスタを含むキャリア増幅段であって、前記第1のRF信号は、前記第1のトランジスタの電力容量に一致する第1の電力レベルを有し、前記第1のRF信号を増幅して第1の増幅RF信号を生成するように構成されたキャリア増幅段と、
前記第1のサイズを有する第2のトランジスタを含む第1のピーク増幅段であって、前記第2のRF信号は、前記第2のトランジスタの電力容量に一致する第2の電力レベルを有し、前記第2のRF信号を増幅して第2の増幅RF信号を生成するように構成された第1のピーク増幅段と、
前記第1のサイズとは異なる第2のサイズを有する第3のトランジスタを含む第2のピーク増幅段であって、前記第3のRF信号は、前記第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有し、前記第3のRF信号を増幅して第3の増幅RF信号を生成するように構成された第2のピーク増幅段と、
を備え、
前記第1の増幅RF信号、前記第2の増幅RF信号、および前記第3の増幅RF信号は、前記入力RF信号を増幅したものである出力RF信号に結合される、
装置。
【請求項2】
前記回路は、第1の分割器と、第2の分割器と、第1の整合ネットワークと、第2の整合ネットワークと、第3の整合ネットワークと、を備え、
前記第1の分割器は、前記入力RF信号を第1の分割RF信号と中間RF信号に分割するように構成され、
前記第2の分割器は、前記中間RF信号を第2の分割RF信号と第3の分割RF信号に分割するように構成され、
前記第1の整合ネットワークは、前記第1の分割RF信号の電力レベルを前記第1の電力レベルに調整して前記第1のRF信号を生成するように構成され、
前記第2の整合ネットワークは、前記第2の分割RF信号の電力レベルを前記第2の電力レベルに調整して前記第2のRF信号を生成するように構成され、
前記第3の整合ネットワークは、前記第3の分割RF信号の電力レベルを前記第3の電力レベルに調整して前記第3のRF信号を生成するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の整合ネットワーク、前記第2の整合ネットワーク、および前記第3の整合ネットワークの各々は、前記第1の分割RF信号、前記第2の分割RF信号、および前記第3の分割RF信号の高調波をそれぞれ低減させる高調波トラップを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の増幅RF信号、前記第2の増幅RF信号、および前記第3の増幅RF信号を結合して前記出力RF信号を生成するように構成された出力ネットワークをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、および前記第3のトランジスタは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のサイズは、前記第2のサイズよりも小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のサイズと前記第2のサイズの比率は、1対2である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
信号を増幅するための方法であって、
入力周波数(RF)信号を、キャリア増幅段において第1のサイズを有する第1のトランジスタの電力容量に一致する第1の電力レベルを有する第1のRF信号に変換するステップと、
前記入力RF信号を、第1のピーク増幅段において前記第1のサイズを有する第2のトランジスタの電力容量に一致する第2の電力レベルを有する第2のRF信号に変換するステップと、
前記入力RF信号を、第2のピーク増幅段において第2のサイズを有する第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有する第3のRF信号に変換するステップと、
前記第1のRF信号を増幅して第1の増幅RF信号を生成するステップと、
前記第2のRF信号を増幅して第2の増幅RF信号を生成するステップと、
前記第3のRF信号を増幅して第3の増幅RF信号を生成するステップと、
前記第1の増幅RF信号、前記第2の増幅RF信号、および前記第3の増幅RF信号を、前記入力RF信号を増幅したものである出力RF信号に結合するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記入力RF信号を前記第1のRF信号、前記第2のRF信号、および前記第3のRF信号に変換する前記ステップは、
前記入力RF信号を第1の分割RF信号と中間RF信号に分割するステップと、
前記中間RF信号を第2の分割RF信号と第3の分割RF信号に分割するステップと、
前記第1の分割RF信号の電力レベルを前記第1の電力レベルに調整して前記第1のRF信号を生成するステップと、
前記第2の分割RF信号の電力レベルを前記第2の電力レベルに調整して前記第2のRF信号を生成するステップと、
前記第3の分割RF信号の電力レベルを前記第3の電力レベルに調整して前記第3のRF信号を生成するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
高調波トラップを使用して、前記第1の分割RF信号、前記第2の分割RF信号、および前記第3の分割RF信号の高調波を低減させるステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、および前記第3のトランジスタは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のサイズは、前記第2のサイズよりも小さい、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のサイズと前記第2のサイズの比率は、1対2である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
入力RF信号を受信するように構成されたトランスミッタと、
前記トランスミッタに接続された増幅器と、
を備え、
前記増幅器は、
入力周波数(RF)信号を第1のRF信号、第2のRF信号、および第3のRF信号に変換するように構成された回路と、
第1のサイズを有する第1のトランジスタを含むキャリア増幅段であって、前記第1のRF信号は、前記第1のトランジスタの電力容量に一致する第1の電力レベルを有し、前記第1のRF信号を増幅して第1の増幅RF信号を生成するように構成されたキャリア増幅段と、
前記第1のサイズを有する第2のトランジスタを含む第1のピーク増幅段であって、前記第2のRF信号は、前記第2のトランジスタの電力容量に一致する第2の電力レベルを有し、前記第2のRF信号を増幅して第2の増幅RF信号を生成するように構成された第1のピーク増幅段と、
前記第1のサイズとは異なる第2のサイズを有する第3のトランジスタを含む第2のピーク増幅段であって、前記第3のRF信号は、前記第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有し、前記第3のRF信号を増幅して第3の増幅RF信号を生成するように構成された第2のピーク増幅段と、
を備え、
前記第1の増幅RF信号、前記第2の増幅RF信号、および前記第3の増幅RF信号は、前記入力RF信号を増幅したものである出力RF信号に結合される、
装置。
【請求項15】
前記回路は、第1の分割器と、第2の分割器と、第1の整合ネットワークと、第2の整合ネットワークと、第3の整合ネットワークと、を備え、
前記第1の分割器は、前記入力RF信号を第1の分割RF信号と中間RF信号に分割するように構成され、
前記第2の分割器は、前記中間RF信号を第2の分割RF信号と第3の分割RF信号に分割するように構成され、
前記第1の整合ネットワークは、前記第1の分割RF信号を調整して前記第1のRF信号を生成するように構成され、
前記第2の整合ネットワークは、前記第2の分割RF信号を調整して前記第2のRF信号を生成するように構成され、
前記第3の整合ネットワークは、前記第3の分割RF信号を調整して前記第3のRF信号を生成するように構成される、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の整合ネットワーク、前記第2の整合ネットワーク、および前記第3の整合ネットワークの各々は、前記第1の分割RF信号、前記第2の分割RF信号、および前記第3の分割RF信号の高調波をそれぞれ低減させる高調波トラップを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の増幅RF信号、前記第2の増幅RF信号、および前記第3の増幅RF信号を結合して前記出力RF信号を生成するように構成された出力ネットワークをさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、および前記第3のトランジスタは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタである、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のサイズは、前記第2のサイズよりも小さい、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記第1のサイズと前記第2のサイズの比率は、1対2である、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線電力伝送のための装置およびシステムに関する。より詳細には、本発明は、周波数(RF)電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、周波数(RF)信号の電力を増大させるために電力増幅器を採用する場合がある。無線通信システムにおいて、伝送路の最終増幅段における電力増幅器は、空中で放射するためのアンテナへの信号の増幅を促進することができる。高利得、高直線性、安定性、および高水準の電力付加効率は、このような無線通信システムにおいて望ましい増幅器の特性である。一般に、飽和電力に近い電力を電力増幅器が伝送する場合、電力増幅器は、最大電力効率で動作する場合がある。しかしながら、出力電力が減少するにつれて電力効率が低下する場合がある。したがって、現在および次世代の無線システムにとって、高効率の電力増幅器アーキテクチャが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、様々なアーキテクチャは、半導体パッケージ設計の観点から課題を抱えている。例えば、一部の増幅器の半導体パッケージ設計では、各増幅経路を実現するように、デバイス、導体、および集積回路などのディスクリートコンポーネントの別個のセットが必要となる場合がある。これらのディスクリートコンポーネントの別個のセットは、異なる増幅経路間の信号結合に起因して発生し得る性能劣化を抑制するように、互いに特定の距離で離間するように維持される場合がある。したがって、異なる増幅経路間の距離を維持しながら比較的小さいサイズを有する電力増幅器を設計することは、課題となる場合がある。
【0004】
より小さいサイズを有する電力増幅器を設計するために、窒化ガリウム(GaN)デバイスが検討されている。GaNデバイスは、他の材料のデバイスと比較して、より小型で、高電力密度、高効率、低スイッチング損失、およびより良好な熱管理を含む様々な利点を提供することができる。GaNデバイスは、ワイドバンドギャップ半導体と呼ばれる半導体ファミリに属している。ワイドバンドギャップ半導体は、例えば、シリコン(Si)またはガリウムヒ素(GaAs)などの一般的に使用される材料よりもバンドギャップが著しく大きい材料を指す場合がある。通常、ワイドバンドギャップとは、バンドギャップが例えば1または2電子ボルト(eV)よりも大きい材料を指す。GaNのバンドギャップは、3.2電子ボルト(eV)(シリコンの約3倍)である。バンドギャップが広いことで、GaNデバイスでは、半導体の伝導帯に価電子を励起するのに必要なエネルギーが増加して、より高い降伏電圧および高温でのより高い熱安定性という利点を提供することができる。さらに、GaNの降伏電圧が高いことで、GaNデバイスは、高電圧および高出力での用途でも破損することなく対応することができ、フットプリントを比較的小さく維持しながらGaNデバイスを電力用途に使用することができる。したがって、GaNデバイスに基づく電力増幅器は、近接する増幅経路を有する場合がある。これにより、より小型の電力増幅器を得ることができる。GaNは、周波数用途に対して、例えばシリコンよりも著しく高い場合がある電子移動度を有する。その結果、GaN結晶中の電子は、シリコンの場合よりも30%超速く移動することができる。そのため、GaNの電子移動度によって、GaNは、RF用途などの特定の用途において、より高いスイッチング周波数に対応することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、一部の実施例において、信号を増幅するための装置を全体として説明する。該装置は、入力周波数(RF)信号を第1のRF信号、第2のRF信号、および第3のRF信号に変換するように構成された回路を含むことができる。さらに、該装置は、第1のサイズを有する第1のトランジスタを含むキャリア増幅段を含むことができる。第1のRF信号は、第1のトランジスタの電力容量に一致する第1の電力レベルを有することができ、キャリア増幅段は、第1のRF信号を増幅して第1の増幅RF信号を生成するように構成され得る。さらに、該装置は、第1のサイズを有する第2のトランジスタを含む第1のピーク増幅段を含むことができる。第2のRF信号は、第2のトランジスタの電力容量に一致する第2の電力レベルを有することができ、第1のピーク増幅段は、第2のRF信号を増幅して第2の増幅RF信号を生成するように構成される。さらに、該装置は、第1のサイズとは異なる第2のサイズを有する第3のトランジスタを含む第2のピーク増幅段を含むことができる。第3のRF信号は、第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有することができ、第2のピーク増幅段は、第3のRF信号を増幅して第3の増幅RF信号を生成するように構成され得る。第1の増幅RF信号、第2の増幅RF信号、および第3の増幅RF信号は、入力RF信号を増幅したものであり得る出力RF信号に結合され得る。
【0006】
また、一部の実施例において、信号を増幅するための方法を全体として説明する。該方法は、入力周波数(RF)信号を、キャリア増幅段において第1のサイズを有する第1のトランジスタの電力容量に一致する第1の電力レベルを有する第1のRF信号に変換するステップを含むことができる。さらに、該方法は、入力周波数(RF)信号を、第1のピーク増幅段において第1のサイズを有する第2のトランジスタの電力容量に一致する第2の電力レベルを有する第2のRF信号に変換するステップを含むことができる。さらに、該方法は、入力周波数(RF)信号を、第2のピーク増幅段において第2のサイズを有する第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有する第3のRF信号に変換するステップを含むことができる。さらに、該方法は、第1のRF信号を増幅して第1の増幅RF信号を生成するステップを含むことができる。さらに、該方法は、第2のRF信号を増幅して第2の増幅RF信号を生成するステップを含むことができる。さらに、該方法は、第3のRF信号を増幅して第3の増幅RF信号を生成するステップを含むことができる。さらに、該方法は、第1の増幅RF信号、第2の増幅RF信号、および第3の増幅RF信号を、入力RF信号を増幅したものである出力RF信号に結合するステップを含むことができる。
【0007】
また、一部の実施例において、信号を増幅するための装置を全体として説明する。該装置は、入力RF信号を受信するように構成されたトランスミッタを含むことができる。さらに、該装置は、トランスミッタに接続された増幅器を含むことができる。増幅器は、入力周波数(RF)信号を第1のRF信号、第2のRF信号、および第3のRF信号に変換するように構成された回路を含むことができる。さらに、増幅器は、第1のサイズを有する第1のトランジスタを含むキャリア増幅段を含むことができる。第1のRF信号は、第1のトランジスタの電力容量に一致する第1の電力レベルを有することができる。キャリア増幅段は、第1のRF信号を増幅して第1の増幅RF信号を生成するように構成され得る。さらに、増幅器は、第1のサイズを有する第2のトランジスタを含む第1のピーク増幅段を含むことができる。第2のRF信号は、第2のトランジスタの電力容量に一致する第2の電力レベルを有することができる。第1のピーク増幅段は、第2のRF信号を増幅して第2の増幅RF信号を生成するように構成され得る。さらに、増幅器は、第1のサイズとは異なる第2のサイズを有する第3のトランジスタを含む第2のピーク増幅段を含むことができる。第3のRF信号は、第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有することができる。第2のピーク増幅段は、第3のRF信号を増幅して第3の増幅RF信号を生成するように構成され得る。第1の増幅RF信号、第2の増幅RF信号、および第3の増幅RF信号は、入力RF信号を増幅したものであり得る出力RF信号に結合され得る。
【0008】
上述した概要は、例示的なものであり、いかなる場合でも限定的であることを意図していない。上述した例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、添付の図面および以下の詳細な説明を参照することで明らかになるであろう。図において、同様の参照符号は、同一または機能的に類似する要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現することができる例示的な装置を示す図である。
図2】一実施形態における図1の例示的な装置の追加の詳細を示す図である。
図3】一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現することができる増幅器モジュールの最上層を示す図である。
図4】一実施形態における図3の増幅器モジュールの追加の詳細を示す図である。
図5】一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現することができる例示的なシステムを示す図である。
図6】一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現することができる例示的な通信システムを示す図である。
図7】一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現する工程を示すフロー図である。
図8】一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現する別の工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、本願の様々な実施形態の理解を促すために、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理ステップ、および技術などを含む多数の特定の詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本願の様々な実施形態が、これらの具体的な詳細なしに実現され得ることを理解するであろう。場合によっては、本願を不明瞭にしないために、既知の構造または処理ステップの詳細に関する説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現することができる例示的な装置100を示す図である。装置100は、少なくとも3つの増幅段を有する電力増幅器であってもよい。図1に示す実施例において、装置100は、キャリア(または主要)増幅段101と、ピーク(または補助)増幅段102と、ピーク(または補助)増幅段103と、を含んでもよい。さらに、装置100は、回路110と、回路130と、を含んでもよい。回路110は、分割器、整合ネットワーク、および/または本明細書に記載のシステムおよび方法を実現することができる他の回路およびコンポーネントを含む回路であってもよい。図1に示す実施例において、回路110は、分割器112と、分割器114と、入力整合ネットワーク121と、入力整合ネットワーク122と、入力整合ネットワーク123と、を含んでもよい。
【0012】
一実施例において、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103の各々は、1つのパワートランジスタを含んでもよい。別の実施例において、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103のうちの1つまたは複数は、直列に結合された2つのパワートランジスタ(例えば、GaNトランジスタ)を含む2段デバイスであってもよい。これらの2段デバイスにおいて、一方のトランジスタがドライバとして機能してよく、他方のトランジスタが出力増幅トランジスタとして機能してもよい。一実施形態において、増幅段101は、AB級増幅器としてバイアスされており、増幅器102および103は、B級またはC級増幅器であり得る。
【0013】
一実施例において、キャリア増幅段101は、第1のサイズを有する1つまたは複数のパワートランジスタを含んでもよい。ピーク増幅段102は、第1のサイズ(例えば、キャリア増幅段101のパワートランジスタと同じサイズ)を有する1つまたは複数のパワートランジスタを含んでもよい。ピーク増幅段103は、第2のサイズを有する1つまたは複数のパワートランジスタを含んでもよい。ここで、第2のサイズは、第1のサイズよりも大きくてもよい。そのため、ピーク増幅段103は、キャリア増幅段およびピーク増幅段102のパワートランジスタよりもサイズまたはゲート周辺が大きいパワートランジスタを含んでもよい。例示的な実施形態において、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103におけるトランジスタのサイズの比率は、1対1対2(1:1:2)であってもよい。例えば、キャリア増幅段101およびピーク増幅段102を実現するパワートランジスタのサイズ(例えば、ゲート周辺のサイズ)は、約4mmであってもよく、ピーク増幅段103を実現するパワートランジスタのサイズは、約8mmであってもよい。キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103のうちのパワートランジスタは、窒化ガリウム系金属-半導体電界効果トランジスタ(GaN系MESFET)、GaN系高電子移動度トランジスタ(HEMT)、GaN系ヘテロ構造電界効果トランジスタ(HFET)などの窒化ガリウム(GaN)トランジスタ、シリコン系横方向拡散型金属酸化膜半導体(LDMOS)、シリコン系相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、またはガリウムヒ素(GaAs)系デバイスなどであってもよい。
【0014】
回路110、すなわち装置100は、入力周波数(RF)信号RF_inを受信してもよい。分割器112は、入力RF信号RF_inを第1の分割RF信号RF_1と中間RF信号RF_intに分割するように構成されてもよい。分割器114は、中間RF信号RF_intを第2の分割RF信号RF_2と第3の分割RF信号RF_3に分割するように構成されてもよい。分割RF信号RF_1は、キャリア増幅段101に入力されてもよく、分割RF信号RF_2は、ピーク増幅段102に入力されてもよく、分割RF信号RF_3は、ピーク増幅段103に入力されてもよい。例えば、分割器112の電力分割比は1:3であり得、分割器114の電力分割比は1:2であり得る。一実施例において、分割器112および114の各々は、電力分割器、位相調整器、減衰器、表面実装受動部品(例えば、抵抗器、インダクタ、キャパシタ)および/または他のタイプのコンポーネントなど、RF信号の分割を容易する様々なコンポーネントを含んでもよい。例えば、分割器114の位相調整器は、分割RF信号RF_3に位相シフトを実行して分割RF信号RF_3に遅延116を適用してもよい。ここで、遅延116は、90度の位相シフトを提供する4分の1波長伝送線によって実現され得る。
【0015】
入力RF信号RF_inによって供給される電力は、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103のうちのどれがスイッチオンされ得るかを決定してもよい。一実施例において、キャリア増幅段101は、入力RF信号RF_inの電力レベルに関係なく、常にスイッチオンされてもよい。入力RF信号RF_inの電力レベルが増加するにつれて、スイッチオンされる増幅段の数も増加してもよいスイッチオン。例えば、入力信号RF_inの最小電力レベルは、RF_1の電力レベルがキャリア増幅段101のパワートランジスタをスイッチオンするのに十分であるが(この段は電力入力に関係なくオンであってよい)、RF_2およびRF_3の電力レベルがピーク増幅段102および103のパワートランジスタをスイッチオンするには不十分である電力分割を引き起こす場合がある。別の実施例において、最小電力レベルよりも大きい、入力信号RF_inの特定の電力レベルは、RF_1およびRF_2の電力レベルがキャリア増幅段101およびピーク増幅段102のパワートランジスタをそれぞれスイッチオンするのに十分であるが、RF_3の電力レベルがピーク増幅段103のパワートランジスタをスイッチオンするのに不十分である電力分割を引き起こす場合がある。別の実施例において、最小電力レベルよりも大きい、入力信号RF_inの別の特定の電力レベルは、RF_1、RF_2、およびRF_3の電力レベルがキャリア増幅段101、ならびにピーク増幅段102および103のパワートランジスタをそれぞれスイッチオンするのに十分である電力分割を引き起こす場合がある。例えば、RF_inが30デシベルミリワット(dBm)すなわち1ワット(W)である場合、RF_1は24dBm(または0.25W)、RF_intは28.8dBm(または0.75W)、RF_2は24dBm(または0.25W)、およびRF_3は27dBm(または0.5W)となる。
【0016】
入力整合ネットワーク121、122、および123は、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103に対してそれぞれ入力インピーダンス整合を行うように構成されてもよい。一実施例において、入力整合ネットワーク121、122、および123は、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103に流入する高調波電流を低減させるように構成された高調波トラップをそれぞれ含んでもよい。入力整合ネットワーク121、122、および123によって行われるインピーダンス整合は、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103にそれぞれ入力されるRF信号を制御してもよい。例えば、入力整合ネットワーク121、122、および123は、分割RF信号RF_1、RF_2、およびRF_3がキャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103にそれぞれ入力される前に、それらの電力レベルを制御してもよい。整合ネットワークは、インピーダンス整合に加えて、入力信号の周波数特性を画定するために使用される。
【0017】
入力整合ネットワーク121、122、および123、ならびに電力分割器112および114は、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103のパワートランジスタの電力容量に一致するように共に協働して、バックオフ状態において高い効率性能を維持する。入力整合ネットワーク121、122、および123、ならびに回路130は、キャリア増幅段101を負荷変調する必要がない場合があるように、電力増幅器を高いバックオフ効率で動作させ続ける。なお、GaNトランジスタは、他の材料(例えばSi)から構成されたトランジスタよりも高い電力容量を有する傾向があることに留意されたい。したがって、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103にGaNトランジスタを使用することで、より高い電力を有するRF信号を出力することができる場合がある。例えば、総出力電力は52dBm(または158.4W)となり、装置100によって実現されるトポロジーは、約8~10デシベル(dB)という大きいバックオフで高効率(例えば、完全高調波終端では78.5%に近い)を実現することができる。入力整合ネットワーク121、122、および123は、整合されたRF信号RF_1m、RF_2m、およびRF_3mを、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103にそれぞれ出力してもよい。
【0018】
キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103は、入力整合ネットワーク121、122、および123から整合されたRF信号RF_1m、RF_2m、およびRF_3mをそれぞれ受信してもよい。キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103は、整合されたRF信号RF_1m、RF_2m、およびRF_3mを増幅して増幅RF信号RF_1a、RF_2a、およびRF_3aをそれぞれ生成してもよい。増幅RF信号RF_1a、RF_2a、およびRF_3aは、(回路130内の)ノード127で結合されて、結合されたRF信号RF_Cを形成してもよい。一実施例において、回路130は、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103の出力に接続された共振回路を含んでもよい。例えば、共振回路124、125、および126は、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103の出力端子にそれぞれ接続されてもよい。例示的な実施形態において、共振回路124、125、および126は、4分の1波長伝送線の集中等価物の実現、増幅段101、102、および103の出力容量の一部の共振、ならびに増幅段101、102、および103のドレインへのDCバイアスの供給に使用することができる。
【0019】
一実施例において、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103の各々は、スイッチオンされることに応答して、整合されたRF信号(例えば、RF_1m、RF_2m、およびRF_3m)を増幅してもよい。例えば、キャリア増幅段101およびピーク増幅段102がスイッチオンされ、ピーク増幅段103がスイッチオフされている場合、キャリア増幅段101およびピーク増幅段102によってRF_1mおよびRF_2mのみが増幅され、ピーク増幅段103は、いかなるRF信号も出力しないようになっている。
【0020】
結合されたRF信号RF_Cは、変圧器105を介して負荷104に提供されてもよい。一実施例において、負荷104は、フェーズドアレイアンテナであってもよく、アンテナに接続されたサーキュレータの入力であってもよい。変圧器105は、最大電力転送を達成するために、負荷104(例えば、アンテナ)のインピーダンスと結合ノード127における出力インピーダンスとを整合させるために使用され得る。回路130は、負荷変調を実行するために追加のコンポーネントおよび/またはフットプリントを必要とする場合がある従来の出力ネットワークと比較して、比較的小型(例えば、より少ない数のコンポーネントおよびフットプリントを有する)であってもよい。さらに、回路130は、出力RF信号RF_outで比較的広い帯域幅が達成されるように、負荷変調を実行しない結合ネットワークを提供する。例えば、従来の負荷変調電力増幅器は、キャリア電力増幅器の負荷を高効率状態から高出力状態へ変更することに依存している。一般的に、高効率状態は、高出力状態と比較して、周波数分散性が高い。より大きいバックオフ効率の要件に対しては、この変調の範囲は、3:1の負荷変調、または4:1の負荷変調のように、非常に高くなる可能性がある。そのため、周波数は制限され得る。装置100によって、キャリア増幅段101およびピーク増幅段102は、負荷変調なしで2:1のインピーダンスに整合することができ、より低いインピーダンス変換で同様の高いバックオフ効率を達成し、帯域幅を効果的に増大させることができる。
【0021】
図2は、一実施形態における図1の例示的な装置の追加の詳細を示す図である。図2に示す実施例において、回路110は、プレドライバ202と、ドライバ204と、をさらに含んでもよい。一実施例において、プレドライバ202およびドライバ204は、入力RF信号RF_inによって供給されている信号を増幅するように構成されてもよく、入力RF信号RF_inを分割器112に入力する前に、入力RF信号RF_inの様々な属性(周波数特性など)を調整して入力RF信号RF_inを最適化してもよい。入力整合ネットワーク121、122、および123は、分割RF信号RF_1、RF_2、およびRF_3の電力レベル、およびそれらの周波数特性を調整することができる、抵抗器、インダクタ、またはキャパシタなどの様々なディスクリートコンポーネントを含んでもよい。入力整合ネットワーク121、122、および123は、キャリア増幅段101、ピーク増幅段102、およびピーク増幅段103に流入する高調波電流を制御または最適化するように構成された高調波トラップ211、212、および213をそれぞれ含んでもよい。一実施形態において、分割器112および114は、図1に示すようにブロック112および114として個別に実装される。成分値は、増幅器の帯域幅にわたって正しい電力分割が達成されるように選択される。整合ネットワーク121、122、および123は、増幅段101、102、および103の入力にバンドパス応答をそれぞれ提供することができる。
【0022】
図3は、一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現することができる増幅器モジュールの最上層を示す図である。図3に示す増幅器モジュール300の最上層は、別のデバイスに埋め込まれるまたは統合される半導体パッケージデバイスであってもよい。増幅器モジュール300は、基板302を含んでもよく、基板302は、様々な回路要素を実装するための実装面304を含んでもよい。プレドライバ要素を有する利得段310は、図2に示すプレドライバ202を表すことができ、実装面304上に実装される。ドライバ要素を有する利得段312は、図2に示すドライバ204を表すことができ、実装面304上に実装される。図1および図2に示す分割器112を表す分割器要素316が実装面304上に実装される。図1および図2に示す分割器114を表す分割器要素318が実装面304上に実装される。図1に示す変圧器105を表す変圧器要素330が実装面304上に実装される。
【0023】
図1および図2に示すキャリア増幅段101を表すキャリア増幅器ダイ320が実装面304上に実装される。図1および図2に示すピーク増幅段102を表すピーク増幅器ダイ322が実装面304上に実装される。図1および図2に示すピーク増幅段103を表すピーク増幅器ダイ324が実装面304上に実装される。なお、ピーク増幅器ダイ324は、キャリア増幅器ダイ320およびピーク増幅器ダイ322よりも比較的大きいサイズを有する。また、キャリア増幅器ダイ320およびピーク増幅器ダイ322は、略同じサイズを有する。
【0024】
分割器要素316および318、キャリア増幅器ダイ320、ピーク増幅器ダイ322、およびピーク増幅器ダイ324は、増幅器モジュール300の増幅段306を形成してもよい。一実施例において、キャリア増幅器ダイ320、ピーク増幅器ダイ322、およびピーク増幅器ダイ324は、キャリア増幅器ダイ320、ピーク増幅器ダイ322、およびピーク増幅器ダイ324を通る信号経路の一部の方向が非平行であるように、非平行に配向されてもよい。キャリア増幅器ダイ320、ピーク増幅器ダイ322、およびピーク増幅器ダイ324を非平行に配向することで、信号経路の非平行部間の結合が低減され得る。
【0025】
一実施例において、キャリア増幅器ダイ320、ピーク増幅器ダイ322、およびピーク増幅器ダイ324の各々は、動作中に熱を生成することができるモノリシックパワートランジスタ集積回路(IC)であってもよい。さらに、基板302は、ヒートシンクおよび接地基準へのアクセスを提供するように、キャリア増幅器ダイ320、ピーク増幅器ダイ322、およびピーク増幅器ダイ324に接続された電気的および熱的に伝導性のトレンチ、コイン、またはスラグを含んでもよい。
【0026】
図4は、一実施形態における図3の増幅器モジュール300の追加の詳細を示す図である。図4に示す実施例において、図3に示す実施例と比較して、追加の要素が実装面304上に実装されている。例えば、導電性のランディングパッド402は、増幅器モジュール300が入力RF信号RF_inを受信するための入力ノードとして機能してもよい。別の導電性のランディングパッド404は、増幅器モジュール300が出力RF信号RF_outを出力するための出力ノードとして機能してもよい。
【0027】
別の実施例において、実装面304上の様々なノードは、異なる電源に接続されてもよく、実装面304上に実装された要素に電力が容易に供給されるようになっていてもよい。例えば、ノード410およびノード412は、プレドライバ要素310およびドライバ312をそれぞれ動作させるための電力を供給する導電性接点を含んでもよい。別の実施例において、ノード420、ノード422、およびノード424は、キャリア増幅器ダイ320、ピーク増幅器ダイ322、およびピーク増幅器ダイ324をそれぞれ動作させるための電力を供給する導電性接点を含んでもよい。別のノード408は、増幅器モジュール300全体に電力を供給する導電性接点を含んでもよい。
【0028】
図5は、一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現することができる例示的なシステム500を示す図である。システム500は、図1に示すシステム100として個別に実現されてもよい。システム500は、回路110と、回路130と、半導体パッケージであり得るパッケージデバイス502および504と、を含んでもよい。パッケージデバイス502および504は、1つまたは複数の半導体装置または集積回路を含む半導体パッケージであってもよい。例えば、パッケージデバイス502は、キャリア増幅段101と、ピーク増幅段102と、入力整合ネットワーク121と、入力整合ネットワーク122と、を含んでもよい。パッケージデバイス504は、ピーク増幅段103と、入力整合ネットワーク123と、を含んでもよい。パッケージデバイス502は、同一のトランジスタと入力プレマッチ(例えば、入力整合ネットワーク121および122による整合)を含むデュアルパスのディスクリートパッケージトランジスタデバイスとして実現されてもよい。パッケージデバイス504は、入力プレマッチ(例えば、入力整合ネットワーク123による整合)を含むシングルパスのディスクリートパッケージトランジスタデバイスとして実現されてもよい。一実施例において、システム500は、回路110、回路130、ならびにパッケージデバイス502および504をプリント回路基板(PCB)上に実装することで形成されてもよい。
【0029】
図6は、一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現することができる例示的な通信システム600を示す図である。通信システム600は、トランスミッタ601およびレシーバ620を含むトランシーバで実現されてもよい。ここで、トランスミッタ601は、回路602と、増幅器モジュール610と、を含むことができる。トランスミッタ601は、入力RF信号TX_inを受信するように構成されてもよい。トランスミッタ601は、増幅される前に入力RF信号TX_inの利得および位相を調整することができる利得制御回路および位相制御回路などの制御要素を含むフロントエンド回路を含んでもよい。通信システム600の増幅段は、増幅器モジュール610を含んでもよい。増幅器モジュール610は、N個の増幅段を含んでもよく、入力RF信号TX_inを増幅して増幅RF信号TX_outを生成するように構成されてもよい。一実施例において、N=3の場合、増幅器610は、電力分割、特定のサイズを有するパワートランジスタ(例えば、GaNトランジスタであってもよい)に対する入力インピーダンス整合、および負荷変調を使用しないことを含む場合があるアプローチを使用して増幅を実現するように、図1および図2に示す装置100、または図3および図4に示す増幅器モジュール300を実現してもよい。さらに、システム600は、トランスミッタ602と増幅器モジュール610との間に接続された回路624を含んでもよい。回路624は、増幅器モジュール610に対する電力増幅バイアスの制御および/またはスイッチング補償および温度補償を提供するように構成されてもよい。
【0030】
増幅RF信号TX_outは、アンテナ608に送信されてもよい。一実施例において、増幅RF信号TX_outは、フィードバック信号604として、例えば、トランスミッタ602または他のコントローラにフィードバックされてもよい。一実施形態において、装置600は、通常、デジタルプリディストーションシステムとして知られているシステムとループ状に接続される。フィードバック信号604は、装置600の出力を監視するようにデジタルプリディストーションシステムに提供され得る。デジタルプリディストーションシステムは、アンテナの性能を維持して安定させるために、フィードバック信号604を処理してそのレベル、振幅、位相、および帯域幅などを調整する。サーキュレータ606は、トランスミッタ601の出力とアンテナ608との間に接続され得る。サーキュレータ606は、装置600に対して起動される伝送モードまたは受信モードに応答してアンテナ608へ流れる電流、またはアンテナ608から流れる電流を方向転換するなどして、アンテナの破損を防止するために使用され得る。一実施例において、サーキュレータ606は、通信システム600が伝送モードで動作しているときに、増幅器モジュール610の出力とアンテナ608とを接続するように切り替えられてもよい。また、サーキュレータ606は、通信システムが受信モードで動作しているときに、アンテナ608とレシーバ620とを接続するように切り替えられてもよい。受信モードにおいて、アンテナ608は、RF信号RX_inを受信してもよく、レシーバ620は、RF信号RX_inの位相、受信角度、および振幅などを決定して受信RF信号RX_outを生成するなど、RF信号RX_inを処理するように構成されてもよい。
【0031】
図7は、一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現する工程700を示すフロー図である。図7に示す工程700は、例えば、上述した装置100を使用して実行されてもよい。例示的な工程は、1つまたは複数のブロック702、704、706、708、710、712、および/または714で示すような1つまたは複数の動作、操作、または機能を含んでもよい。図においてこれらのブロックは個別に示されているが、所望の実装に応じて、ブロックが増えるように分割されてもよく、ブロックが減るように結合または省略されてもよく、ブロックを異なる順序で、または並行して実行してもよい。
【0032】
工程700は、ブロック702で開始することができる。ブロック702において、装置は、入力周波数(RF)信号を第1のRF信号に変換することができる。第1のRF信号は、キャリア増幅段において第1のサイズを有する第1のトランジスタの電力容量に一致する第1の電力レベルを有することができる。次いで、工程700は、ブロック702からブロック704へ進むことができる。ブロック704において、装置は、入力周波数(RF)信号を第2のRF信号にさらに変換することができる。第2のRF信号は、第1のピーク増幅段において第1のサイズを有する第2のトランジスタの電力容量に一致する第2の電力レベルを有することができる。次いで、工程700は、ブロック704からブロック706へ進むことができる。ブロック706において、装置は、入力周波数(RF)信号を第3のRF信号にさらに変換することができる。第3のRF信号は、第2のピーク増幅段において第2のサイズを有する第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有することができる。一実施形態において、第1のサイズを第2のサイズよりも小さくすることができる。別の実施形態において、第1のサイズと第2のサイズの比率は、1対2であり得る。別の実施形態において、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、および第3のトランジスタは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタであり得る。
【0033】
一実施形態において、入力RF信号を第1のRF信号、第2のRF信号、および第3のRF信号に変換するステップは、入力RF信号を第1の分割RF信号と中間RF信号に分割するステップと、中間RF信号を第2の分割RF信号と第3の分割RF信号に分割するステップと、を含むことができる。さらに、一実施形態において、装置は、高調波トラップを使用して、第1の分割RF信号、第2の分割RF信号、および第3の分割RF信号の高調波を低減させることができる。さらに、装置は、第1の分割RF信号の電力レベルを第1の電力レベルに調整して第1のRF信号を生成し、第2の分割RF信号の電力レベルを第2の電力レベルに調整して第2のRF信号を生成し、第3の分割RF信号の電力レベルを第3の電力レベルに調整して第3のRF信号を生成することができる。
【0034】
次いで、工程700は、ブロック706からブロック708へ進むことができる。ブロック708において、装置は、第1のRF信号をさらに増幅して第1の増幅RF信号を生成することができる。次いで、工程700は、ブロック708からブロック710へ進むことができる。ブロック710において、装置は、第2のRF信号をさらに増幅して第2の増幅RF信号を生成することができる。次いで、工程700は、ブロック710からブロック712へ進むことができる。ブロック712において、装置は、第3のRF信号をさらに増幅して第3の増幅RF信号を生成することができる。次いで、工程700は、ブロック712からブロック714へ進むことができる。ブロック714において、装置は、第1の増幅RF信号、第2の増幅RF信号、および第3の増幅RF信号を、入力RF信号を増幅したものである出力RF信号にさらに結合することができる。
【0035】
図8は、一実施形態における3ウェイ結合RF電力増幅器アーキテクチャを実現する別の工程800を示すフロー図である。図8に示す工程800は、例えば、上述した装置100を使用して実行されてもよい。例示的な工程は、1つまたは複数のブロック802、804、806、808、810、812、および/または814で示すような1つまたは複数の動作、操作、または機能を含んでもよい。図においてこれらのブロックは個別に示されているが、所望の実装に応じて、ブロックが増えるように分割されてもよく、ブロックが減るように結合または省略されてもよく、ブロックを異なる順序で、または並行して実行してもよい。
【0036】
工程800は、図1に示す項目を参照してもよい。工程800は、ブロック802で開始することができる。ブロック802において、装置は、入力周波数(RF)信号(RF_in)を、第1のRF信号(RF_1)および中間RF信号(RF_int)を含む2つのRF信号に変換することができる。第1のRF信号は、キャリア増幅段において第1のサイズを有する第1のトランジスタの電力容量に一致する第1の電力レベルを有することができる。一実施形態において、入力RF信号をRF_1およびRF_intに変換するステップは、入力RF信号をRF_1とRF_intに分割するステップを含むことができる。
【0037】
次いで、工程800は、ブロック802からブロック804へ進むことができる。ブロック804において、装置は、RF_inを、第2のRF信号(RF_2)および第3のRF信号(RF_3)を含む2つのRF信号に変換することができる。第2のRF信号は、第1のピーク増幅段において第1のサイズを有する第2のトランジスタの電力容量に一致する第2の電力レベルを有することができる。第3のRF信号は、第2のピーク増幅段において第2のサイズを有する第3のトランジスタの電力容量に一致する第3の電力レベルを有することができる。一実施形態において、RF_intをRF_2およびRF_3に変換するステップは、信号RF_intをRF_2とRF_3に分割するステップを含むことができる。一実施形態において、第1のサイズを第2のサイズよりも小さくすることができる。別の実施形態において、第1のサイズと第2のサイズの比率は、1対2であり得る。別の実施形態において、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、および第3のトランジスタは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタであり得る。
【0038】
次いで、工程800は、ブロック804からブロック806へ進むことができる。ブロック806において、装置は、RF_1を増幅して第1の増幅RF信号(RF_1a)を生成することができる。次いで、工程800は、ブロック806からブロック808へ進むことができる。ブロック808において、装置は、RF_2を増幅して第2の増幅RF信号(RF_2a)を生成することができる。次いで、工程800は、ブロック808からブロック810へ進むことができる。ブロック810において、装置は、RF_3を増幅して第3の増幅RF信号(RF_3a)を生成することができる。次いで、工程800は、ブロック810からブロック812へ進むことができる。ブロック812において、装置は、RF_1a、RF_2a、およびRF_3aを、RF_inを増幅したものであるRF信号(RF_C)に結合することができる。次いで、工程800は、ブロック812からブロック814へ進むことができる。ブロック814において、装置は、変圧器(例えば、図1に示す変圧器105)を介して、RF_Cを出力RF信号(RF_out)に変換することができる。
【0039】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ使用されており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される単数を表す用語は、特に明示されない限り、その複数を含むことも意図している。また、本明細書で使用される「備える」という用語は、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を画定するが、1つまたは複数の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことに留意されたい。
【0040】
添付の特許請求の範囲に記載のすべての手段またはステップと機能要素の対応する構造、材料、操作、およびそれらの等価物は、具体的に記載されている他の要素と組み合わせて機能を実現するための任意の構造、材料、または操作を包含することを意図している。本発明の説明は例示および説明のために提供されているが、網羅的であること、または開示された形態の本発明に限定されることを意図していない。当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形を適用することができることが明らかであろう。上述した実施形態は、本発明の原理および実用化を最適に説明するために、また、検討される特定の用途に適するように種々の修正を伴う様々な実施形態について本発明を当業者が理解できるように、選択および説明されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】