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特開2023-65335産業用ネットワーク・システム内のスレーブ・デバイスの構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065335
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】産業用ネットワーク・システム内のスレーブ・デバイスの構成
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/14 20060101AFI20230502BHJP
   G06F 13/12 20060101ALI20230502BHJP
   G06F 13/22 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G06F13/14 320A
G06F13/12 340F
G06F13/14 320D
G06F13/14 330E
G06F13/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022171602
(22)【出願日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】21306503.0
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ツァイチン
(72)【発明者】
【氏名】アシュワニ、シング
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マスタ・デバイス(MD)と、スレーブ・デバイス(SD)とを備えた通信システム内のSDを構成する方法を提供する。
【解決手段】MDおよびSDは、コミッション・ライン(CL)を通じてチェーン状に、およびフィールド・バス・ライン(FBL)を通じて並列に接続される。各SDは、インデックス付けされ、インデックス1のSDは、インデックスk(kは1以上)のSDを登録するために、MDに接続される。MDは、FBLを通じたブロードキャストにおいて、インデックスkのSDに対するインデックスkの定義されたアドレス(Add_k)を有するアドレス構成のための命令を含んだアドレス構成フレームを送信し、デバイス情報と、Add_kとを含んだ応答を受信した後、FBLを通じたブロードキャストにおいて、インデックスk+1のSDに、CLを通じて、コミッショニング信号を送信するコマンドを送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ・デバイス(MD)と、スレーブ・デバイス(SD)とを備えた通信システム内のスレーブ・デバイスを構成する方法であって、前記マスタ・デバイスおよび前記スレーブ・デバイスは、コミッション・ライン(CL)を通じてチェーン状に、およびフィールド・バス・ライン(FBL)を通じて並列に接続され、各スレーブ・デバイスは、1以上のインデックスによってインデックス付けされ、インデックス1の前記スレーブ・デバイスは、インデックスkの前記スレーブ・デバイスを登録するために、前記マスタ・デバイスに接続され、kは1以上であり、前記方法は、前記マスタ・デバイス(MD)によって行われる動作を含み、前記動作は、
前記フィールド・バス・ライン(FBL)を通じたブロードキャストにおいて、インデックスkの前記スレーブ・デバイスに対するインデックスkの定義されたアドレス(Add_k)を有するアドレス構成のための命令を含んだアドレス構成フレームを送信すること(S2)と、
前記フィールド・バス・ライン(FBL)を通じたブロードキャストにおいて、デバイス情報に対する要求を送信すること(S3)であって、前記要求は、前記定義されたアドレス(Add_k)を含む、要求を送信することと、
デバイス情報と、前記定義されたアドレス(Add_k)とを含んだ応答を受信した後、前記フィールド・バス・ライン(FBL)を通じたブロードキャストにおいて、インデックスk+1の前記スレーブ・デバイスに、前記コミッション・ライン(CL)を通じて、コミッショニング信号を送信するコマンドを送信すること(S4)であって、前記コマンドは、定義されたアドレス(Add_k)を含む、コマンドを送信することと、
受信された前記デバイス情報を、情報テーブルに記憶すること(S5)であって、前記デバイス情報は、インデックスkの前記スレーブ・デバイスの識別子と、インデックスkの前記スレーブ・デバイスのタイプとを含む、記憶することと
を含み、前記スレーブ・デバイスは、登録される前に共通デフォルト・アドレスを有し、前記共通デフォルト・アドレスを有すると共に前記コミッション・ライン(CL)上でコミッショニング信号を検出するインデックスkのスレーブ・デバイスのみが、インデックスkの前記スレーブ・デバイスの前記共通デフォルト・アドレスを、前記定義されたアドレス(Add_k)に変更するための、前記アドレス構成フレームを受け取る、方法。
【請求項2】
前記マスタ・デバイス(MD)は、インデックス1の前記スレーブ・デバイスを登録するために、前記フィールド・バス・ライン(FBL)を通じたブロードキャストにおいて、アドレス構成フレームを送信する(S2)前に、前記コミッション・ライン(CL)上に、インデックス1の前記スレーブ・デバイスにコミッショニング信号を送信する(S1)、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マスタ・デバイス(MD)は、デバイス情報に対する要求を送信する(S3)前に、肯定応答フレームを受信し、前記肯定応答フレームは、前記定義されたアドレス(Add_k)を含み、前記要求は、前記定義されたアドレス(Add_k)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
スレーブ・デバイスの前記登録は、前記マスタ・デバイスが、スレーブ・デバイスから、定義されたアドレス(Add_k)を含んだ肯定応答フレームを受信しなかったときに終了される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
インデックスkの前記スレーブ・デバイスをアドレス指定するための前記通信システムのスタートアップにおいて、前記マスタ・デバイス(MD)は、前記フィールド・バス・ライン(FBL)を通じたブロードキャストにおいて、インデックスkの前記定義されたアドレス(Add_k)を有するアドレス構成のための命令と、インデックスkの前記スレーブ・デバイスの前記識別子とを含んだアドレス構成フレームを送信する(S6)、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記通信システムのスタートアップにおいて、前記スレーブ・デバイスは、共通デフォルト・アドレスを有し、前記アドレス構成フレームを受信するインデックスkの前記スレーブ・デバイスは、インデックスkの前記スレーブ・デバイスの前記共通デフォルト・アドレスを、前記定義されたアドレス(Add_k)に変更するために、前記アドレス構成フレームを受け取る、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マスタ・デバイス(MD)は、前記マスタ・デバイスが、インデックスkの前記定義されたアドレス(Add_k)と、インデックスkのスレーブ・デバイスの前記識別子とを有するアドレス構成のための命令を含んだ前記アドレス構成フレームを送信した後に、前記定義されたアドレス(Add_k)を含んだ肯定応答フレームを受信しなかった場合、インデックスkの前記スレーブ・デバイスを故障したデバイスとして特定する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マスタ・デバイス(MD)は、各スレーブ・デバイスに対して、前記スレーブ・デバイスに記憶された構成データのシグネチャと、前記マスタ・デバイスに記憶された構成データのシグネチャと比較(S7)して、前記シグネチャが異なる場合に、前記スレーブ・デバイスに記憶された前記構成データを、前記マスタ・デバイスに記憶された前記構成データに同期させる、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ラン・タイムの間に、前記通信システム内にインデックスn+1の新たなスレーブ・デバイスが配置されたとき、前記新たなスレーブ・デバイスは、kはnに等しいものとして、前記通信システムのインデックスkの最後のスレーブ・デバイスに接続され、前記マスタ・デバイス(MD)は、前に登録されたインデックスkの各スレーブ・デバイスが、次のインデックスk+1のスレーブ・デバイスに、前記コミッション・ライン(CL)上にコミッショニング信号を送信するように、前記フィールド・バス・ライン(FBL)上のブロードキャストにおいて前記コミッション・ライン(CL)を有効にするコマンドを送信することによって、登録プロセスを開始し、前記マスタ・デバイスは、インデックスn+1の定義されたアドレス(Add_n+1)を有するアドレス構成フレームを送信するステップ(S2)と、インデックスn+1の定義されたアドレス(Add_n+1)を有するデバイス情報に対する要求を送信するステップ(S3)と、インデックスn+1の定義されたアドレス(Add_n+1)を有するコマンドを送信するステップ(S4)と、受信された前記デバイス情報を記憶するステップ(S5)とを行う、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
新たなスレーブ・デバイスが故障したスレーブ・デバイスに取って代わるとき、前記マスタ・デバイスにおいて交換登録が起動され、前記マスタ・デバイスは、アドレス構成フレームを送信するステップ(S2)と、デバイス情報に対する要求を送信するステップ(S3)と、コマンドを送信するステップ(S4)と、受信された前記デバイス情報を記憶するステップ(S5)とを行い、前記マスタ・デバイスは、前記情報テーブルと、前記新たなスレーブ・デバイスの前記識別子と、前記故障したスレーブ・デバイスの前記識別子とを用いて、新たなスレーブ・デバイスが、前記故障したスレーブ・デバイスに取って代わったことを検出する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
故障したスレーブ・デバイスであって、前記スレーブ・デバイスのための構成データが、前記故障したスレーブ・デバイスの識別子と、前記故障したスレーブ・デバイスのタイプとに対応して前記マスタ・デバイスに記憶されている、前記故障したスレーブ・デバイスに、新たなスレーブ・デバイスが取って代わるとき、前記新たなスレーブ・デバイスと、前記故障したスレーブ・デバイスとが同じタイプである場合、前記マスタ・デバイスは、前記故障したデバイスの前記構成データを用いて、前記新たなスレーブ・デバイスのための前記構成データを復元する、請求項8および10に記載の方法。
【請求項12】
通信システム内のスレーブ・デバイスを構成するためのマスタ・デバイス(MD)であって、前記通信システムが、前記マスタ・デバイス(MD)と、スレーブ・デバイス(SD)とを備え、前記マスタ・デバイスおよび前記スレーブ・デバイスは、コミッション・ライン(CL)を通じてチェーン状に、およびフィールド・バス・ライン(FBL)を通じて並列に接続され、各スレーブ・デバイスは、1以上のインデックスによってインデックス付けされ、インデックス1の前記スレーブ・デバイスは、インデックスkの前記スレーブ・デバイスを登録するために、前記マスタ・デバイスに接続され、kは1以上であり、前記マスタ・デバイスは、
前記スレーブ・デバイス(SD)と通信するための、1つまたは複数のネットワーク・インターフェースと、
前記ネットワーク・インターフェースに結合され、1つまたは複数のプロセスを実行するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能なプロセスを記憶するように構成されたメモリと
を備え、前記プロセスは、実行されたとき、
前記フィールド・バス・ライン(FBL)を通じたブロードキャストにおいて、インデックスkの前記スレーブ・デバイスに対するインデックスkの定義されたアドレス(Add_k)を有するアドレス構成のための命令を含んだアドレス構成フレームを送信することと、
前記フィールド・バス・ライン(FBL)を通じたブロードキャストにおいて、デバイス情報に対する要求を送信することであって、前記要求は、前記定義されたアドレス(Add_k)を含む、要求を送信することと、
デバイス情報と、前記定義されたアドレス(Add_k)とを含んだ応答を受信した後、前記フィールド・バス・ライン(FBL)を通じたブロードキャストにおいて、インデックスk+1の前記スレーブ・デバイスに、前記コミッション・ライン(CL)を通じて、コミッショニング信号を送信するコマンドを送信することであって、前記コマンドは、前記定義されたアドレス(Add_k)を含む、コマンドを送信することと、
受信された前記デバイス情報を、情報テーブルに記憶することであって、前記デバイス情報は、インデックスkの前記スレーブ・デバイスの識別子と、インデックスkの前記スレーブ・デバイスのタイプとを含む、記憶することと
を行うように動作可能であり、前記スレーブ・デバイスは、登録される前に共通デフォルト・アドレスを有し、前記共通デフォルト・アドレスを有すると共に前記コミッション・ライン(CL)上でコミッショニング信号を検出するインデックスkのスレーブ・デバイスのみが、インデックスkの前記スレーブ・デバイスの前記共通デフォルト・アドレスを、前記定義されたアドレス(Add_k)に変更するための、前記アドレス構成フレームを受け取る、マスタ・デバイス(MD)。
【請求項13】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ・プログラムが記憶され、前記コンピュータ・プログラムは、プロセッサによって実行されたとき、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法のステップを遂行する命令を備える、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
システムであって、請求項12に記載のマスタ・デバイス(MD)と、前記マスタ・デバイス(MD)にチェーン状に接続された複数のスレーブ・デバイス(SD)とを備えた、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタ・デバイスによって制御されるシリアル・バス・スレーブ・デバイスを備えたネットワーク・システムに関する。具体的には、本発明は、例えばネットワーク・システムのスタートアップの間など、構成フェーズの間のスレーブ・デバイスの構成に関わる。
【背景技術】
【0002】
有線通信ネットワークでは、ネットワーク内に存在する/追加された、スレーブ・デバイス(またはノード)に、アドレスを割り当てる必要がある。これは手動で行われ得るが、この方策は長い時間がかかり、入力エラーを起こしやすく、手動でスレーブ・デバイスにアドレス指定する操作者による専門技能を必要とする。
【0003】
このような通信ネットワークは、同じゲートウェイ・デバイス内でモジュラ式に統合された様々なワイヤレス無線プロトコルを用いて、混合した決定的に重要なアプリケーションを実施するスレーブ・デバイスとして、異なるワイヤレス・モジュールを管理するワイヤレス・ゲートウェイ・デバイスを形成し得る。これらのワイヤレス・モジュールは、Zigbee、ブルートゥース、およびIOリンク・ワイヤレスベースの産業用IoT(モノのインターネット)、産業用制御アプリケーションを用いることができるが、他のアプリケーションのためにも用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、柔軟性のある、プラグ・アンド・プレイのやり方で、インダストリ4.0アプリケーションのための通信システムにおけるスレーブ・デバイスの展開を、スケール・アップまたはスケール・ダウンする必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、発明性のある本主題に関する概念を導入するためにもたらされる。この概要は、特許請求される本主題の必須の特徴を特定するものではなく、特許請求される本主題の範囲を決定するまたは限定するものでもない。
【0006】
一実装形態において、マスタ・デバイスと、スレーブ・デバイスとを備えた通信システム内のスレーブ・デバイスを構成する方法がもたらされ、マスタ・デバイスおよびスレーブ・デバイスは、コミッション・ラインを通じてチェーン状に、およびフィールド・バス・ラインを通じて並列に接続され、各スレーブ・デバイスは、1以上のインデックスによってインデックス付けされ、インデックス1のスレーブ・デバイスは、インデックスkのスレーブ・デバイスを登録するために、マスタ・デバイスに接続され、kは1以上であり、方法は、マスタ・デバイスによって行われる動作を含み、動作は、
フィールド・バス・ラインを通じたブロードキャストにおいて、インデックスkのスレーブ・デバイスに対するインデックスkの定義されたアドレスを有するアドレス構成のための命令を含んだアドレス構成フレームを送信することと、
フィールド・バス・ラインを通じたブロードキャストにおいて、デバイス情報に対する要求を送信することであって、要求は、定義されたアドレスを含む、要求を送信することと、
デバイス情報と、定義されたアドレスとを含んだ応答を受信した後、フィールド・バス・ラインを通じたブロードキャストにおいて、インデックスk+1のスレーブ・デバイスに、コミッション・ラインを通じて、コミッショニング信号を送信するコマンドを送信することであって、コマンドは、定義されたアドレスを含む、コマンドを送信することと、
受信されたデバイス情報を、情報テーブルに記憶することであって、デバイス情報は、インデックスkのスレーブ・デバイスの識別子と、インデックスkのスレーブ・デバイスのタイプとを含む、記憶することと
を含み、スレーブ・デバイスは、登録される前に共通デフォルト・アドレスを有し、共通デフォルト・アドレスを有すると共にコミッション・ライン上でコミッショニング信号を検出するインデックスkのスレーブ・デバイスのみが、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通デフォルト・アドレスを、定義されたアドレスに変更するための、アドレス構成フレームを受け取る。
【0007】
スレーブ・デバイスは、コミッション・ラインを通じてチェーン状に接続されるので、スレーブ・デバイスは1つずつ登録され、各スレーブ・デバイスの登録は、登録されていたチェーン内の前のスレーブ・デバイスからのコミッション・ライン上のコミッショニング信号の受信によって起動されるので有利である。すべてのスレーブ・デバイスは、何らの手動の構成のないプラグ・アンド・プレイである。
【0008】
方法は、柔軟性のある、プラグ・アンド・プレイのやり方で、インダストリ4.0アプリケーション(例えば、デジタル・プラント)のためのスレーブ・デバイスなど、ワイヤレス・センサまたは制御デバイスの展開をスケール・アップまたはスケール・ダウンすることを可能にするので有利である。
【0009】
実施形態において、マスタ・デバイスは、インデックス1のスレーブ・デバイスを登録するために、フィールド・バス・ラインを通じたブロードキャストにおいて、アドレス構成フレームを送信する前に、コミッション・ライン上に、インデックス1のスレーブ・デバイスにコミッショニング信号を送信する。
【0010】
実施形態において、マスタ・デバイスは、デバイス情報に対する要求を送信する前に、肯定応答フレームを受信し、肯定応答フレームは、定義されたアドレスを含み、要求は、定義されたアドレスを含む。
【0011】
実施形態において、スレーブ・デバイスの登録は、マスタ・デバイスが、スレーブ・デバイスから、定義されたアドレスを含んだ肯定応答フレームを受信しなかったときに終了される。
【0012】
実施形態において、インデックスkのスレーブ・デバイスをアドレス指定するための通信システムのスタートアップにおいて、マスタ・デバイスは、フィールド・バス・ラインを通じたブロードキャストにおいて、インデックスkの定義されたアドレスを有するアドレス構成のための命令と、インデックスkのスレーブ・デバイスの識別子とを含んだアドレス構成フレームを送信する。
【0013】
実施形態において、通信システムのスタートアップにおいて、スレーブ・デバイスは、共通デフォルト・アドレスを有し、アドレス構成フレームを受信するインデックスkのスレーブ・デバイスは、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通デフォルト・アドレスを、定義されたアドレスに変更するために、アドレス構成フレームを受け取る。
【0014】
実施形態において、マスタ・デバイスは、マスタ・デバイスが、インデックスkの定義されたアドレスと、インデックスkのスレーブ・デバイスの識別子とを有するアドレス構成のための命令を含んだアドレス構成フレームを送信した後に、定義されたアドレスを含んだ肯定応答フレームを受信しなかった場合、インデックスkのスレーブ・デバイスを故障したデバイスとして特定する。
【0015】
実施形態において、マスタ・デバイスは、各スレーブ・デバイスに対して、スレーブ・デバイスに記憶された構成データのシグネチャと、マスタ・デバイスに記憶された構成データのシグネチャと比較して、シグネチャが異なる場合に、スレーブ・デバイスに記憶された構成データを、マスタ・デバイスに記憶された構成データに同期させる。
【0016】
実施形態において、ラン・タイムの間に、通信システム内にインデックスn+1の新たなスレーブ・デバイスが配置されたとき、新たなスレーブ・デバイスは、kはnに等しいものとして、通信システムのインデックスkの最後のスレーブ・デバイスに接続され、マスタ・デバイスは、前に登録されたインデックスkの各スレーブ・デバイスが、次のインデックスk+1のスレーブ・デバイスに、コミッション・ライン上にコミッショニング信号を送信するように、フィールド・バス・ライン上のブロードキャストにおいてコミッション・ラインを有効にするコマンドを送信することによって、登録プロセスを開始し、マスタ・デバイスは、インデックスn+1の定義されたアドレスを有するアドレス構成フレームを送信するステップと、インデックスn+1の定義されたアドレスを有するデバイス情報に対する要求を送信するステップと、インデックスn+1の定義されたアドレスを有するコマンドを送信するステップと、受信されたデバイス情報を記憶するステップとを行う。
【0017】
実施形態において、新たなスレーブ・デバイスが故障したスレーブ・デバイスに取って代わるとき、マスタ・デバイスにおいて交換登録が起動され、マスタ・デバイスは、アドレス構成フレームを送信するステップ(S2)と、デバイス情報に対する要求を送信するステップ(S3)と、コマンドを送信するステップ(S4)と、受信されたデバイス情報を記憶するステップ(S5)とを行い、マスタ・デバイスは、情報テーブルと、新たなスレーブ・デバイスの識別子と、故障したスレーブ・デバイスの識別子とを用いて、新たなスレーブ・デバイスが、故障したスレーブ・デバイスに取って代わったことを検出する。
【0018】
実施形態において、故障したスレーブ・デバイスであって、前記スレーブ・デバイスのための構成データが、故障したスレーブ・デバイスの識別子と、故障したスレーブ・デバイスのタイプとに対応してマスタ・デバイスに記憶されている、故障したスレーブ・デバイスに、新たなスレーブ・デバイスが取って代わるとき、新たなスレーブ・デバイスと、故障したスレーブ・デバイスとが同じタイプである場合、マスタ・デバイスは、故障したデバイスの構成データを用いて、新たなスレーブ・デバイスのための構成データを復元する。
【0019】
ワイヤレス・モジュールなど、1つのスレーブ・デバイスが故障した場合も動作の連続性が保証され、自動的な同期および構成復元を通して、故障したスレーブ・デバイスの交換は、顧客にとっての努力を要しないので、有利である。
【0020】
他の実装形態において、マスタ・デバイスと、スレーブ・デバイスとを備えた通信システム内のスレーブ・デバイスを構成するためのマスタ・デバイスがもたらされ、マスタ・デバイスおよびスレーブ・デバイスは、コミッション・ラインを通じてチェーン状に、およびフィールド・バス・ラインを通じて並列に接続され、各スレーブ・デバイスは、1以上のインデックスによってインデックス付けされ、インデックス1のスレーブ・デバイスは、インデックスkのスレーブ・デバイスを登録するために、マスタ・デバイスに接続され、kは1以上であり、マスタ・デバイスは、
スレーブ・デバイスと通信するための、1つまたは複数のネットワーク・インターフェースと、
ネットワーク・インターフェースに結合され、1つまたは複数のプロセスを実行するように構成されたプロセッサと、
プロセッサによって実行可能なプロセスを記憶するように構成されたメモリと
を備え、プロセスは、実行されたとき、
フィールド・バス・ラインを通じたブロードキャストにおいて、インデックスkのスレーブ・デバイスに対するインデックスkの定義されたアドレスを有するアドレス構成のための命令を含んだアドレス構成フレームを送信することと、
フィールド・バス・ラインを通じたブロードキャストにおいて、デバイス情報に対する要求を送信することであって、要求は、定義されたアドレスを含む、要求を送信することと、
デバイス情報と、定義されたアドレスとを含んだ応答を受信した後、フィールド・バス・ラインを通じたブロードキャストにおいて、インデックスk+1のスレーブ・デバイスに、コミッション・ラインを通じて、コミッショニング信号を送信するコマンドを送信することであって、コマンドは、定義されたアドレスを含む、コマンドを送信することと、
受信されたデバイス情報を、情報テーブルに記憶することであって、デバイス情報は、インデックスkのスレーブ・デバイスの識別子と、インデックスkのスレーブ・デバイスのタイプとを含む、記憶することと
を行うように動作可能であり、スレーブ・デバイスは、登録される前に共通デフォルト・アドレスを有し、共通デフォルト・アドレスを有すると共にコミッション・ライン上でコミッショニング信号を検出するインデックスkのスレーブ・デバイスのみが、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通デフォルト・アドレスを、定義されたアドレスに変更するための、アドレス構成フレームを受け取る。
【0021】
他の実装形態において、マスタ・デバイスとスレーブ・デバイスとを備えた通信システム内のスレーブ・デバイスを構成する方法を実行するためのコンピュータ・プログラムを有するコンピュータ可読媒体がもたらされる。前記コンピュータ・プログラムは、本発明の方法によるステップを遂行する命令を備える。
【0022】
他の実装形態において、マスタ・デバイスと、マスタ・デバイスにチェーン状に接続された複数のスレーブ・デバイスとを備えたシステムがもたらされる。
【0023】
詳細な説明は、添付の図を参照して述べられる。図において、参照番号の最も左の数字は、その参照番号が最初に現れる図を特定する。同様な特徴および構成要素を参照するために、図の全体にわたって同じ番号が用いられる。次に、本主題の実施形態によるシステムおよび/または方法のいくつかの実施形態が、例のみとして、添付の図面を参照して述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】産業用ネットワーク・システム内のスレーブ・デバイスを構成するための、本発明の一実施形態による、通信システムの概略ブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による、産業用ネットワーク・システム内のスレーブ・デバイスを構成する方法を示すフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
同じ参照番号は、すべての図面上の同じ要素または同じタイプの要素を表す。
【0026】
当業者により、本明細書のいずれのブロック図も、本主題の原理を具体化する例示のシステムの概念的な図を表すことが理解されるべきである。同様にいずれのフロー・チャート、フロー図、状態遷移図、擬似コードなどは、コンピュータ可読媒体内に実質的に表され得る様々なプロセスを表し、それに従ってコンピュータまたはプロセッサにより、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかに関わらず、実行され得ることが理解されるであろう。
【0027】
図および以下の説明は、本発明の特定の例示的実施形態を示す。従って当事者には、本明細書では明示的に述べられないまたは示されないが、本発明の原理を具体化し、かつ本発明の範囲に含まれる、様々な構成を考案することが可能になるであろう。さらに、本明細書で述べられるいずれの例も、本発明の原理の理解を助けるためのものであり、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないと解釈されるべきである。結果として、本発明は、以下で述べられる特定の実施形態または例ではなく、「特許請求の範囲」およびそれらの等価物によって限定される。
【0028】
図1を参照すると、通信システムは、マスタ・デバイスMDとスレーブ・デバイスSDとを備える。スレーブ・デバイスSDは、複数のN個のスレーブ・デバイスSD(SD.1、SD.k-1、SD.k、・・・、SD.N)を形成し、Nは2以上の整数であり、kは1とNの間で変化するインデックスである。各スレーブ・デバイスは、1以上のインデックスによってインデックス付けされ、インデックス1のスレーブ・デバイスは、マスタ・デバイスに接続される。
【0029】
マスタ・デバイスMDは、コミッション・ラインCLと、フィールド・バス・ラインFBLとを通じて、スレーブ・デバイスSDのチェーンに接続される。スレーブ・デバイスSDは、コミッション・ラインCLを通じて、「デイジー」チェーンを形成する。
【0030】
コミッション・ラインCLは、コミッショニング信号を運ぶ信号伝達単方向ラインである。スレーブ・デバイスSDが、コミッション・ラインCLからコミッショニング信号を検出し、マスタ・デバイスからコミッショニング要求を受信した場合、スレーブ・デバイスSDは、コミッショニング状態に入る。
【0031】
例えば、コミッショニング信号は、クロック信号、コード信号、または特定のパターンを含んだ任意の信号とすることができる。コミッショニング信号が、特定周波数のクロック信号である場合、スレーブ・デバイスは、コミッション・ラインCLから、このような特定周波数のクロックを含んだ信号を受信した場合にのみ、コミッショニング状態に入るようになる。
【0032】
フィールド・バス・ラインFBLは、マスタ・デバイスMDとスレーブ・デバイスSDとの間の通信のための、RS485またはI2Cなどの半二重フィールド・バスとすることができる。
【0033】
スレーブ・デバイスSDは、アプリケーションと、専用センサと、通信プロトコルとを用いる通信モジュールである。一実施形態において、スレーブ・デバイスSDは、Zigbee、ブルートゥース、WiFi、およびIOリンク・ワイヤレスベースの産業用IoT(モノのインターネット)を用いる無線モジュールである。マスタ・デバイスMDおよびスレーブ・デバイスSDは、同じゲートウェイ・デバイス内でモジュラ式に統合された様々なワイヤレス・プロトコル無線を用いた、混合された決定的に重要なアプリケーションを管理するワイヤレス・ゲートウェイ・デバイスを形成する。産業用アプリケーションの一実施形態において、スレーブ・デバイスSDは、コラムの形でのワイヤレス・ゲートウェイ・システムを形成する、マスタ・デバイスの上に積み重ねられた形に配置される。
【0034】
デフォルトにより、すべてのスレーブ・デバイスは、最初に、例えば0XFEなどの共通デフォルト・アドレスを有し得る。
【0035】
マスタ・デバイスMDは、設置されたスレーブ・デバイスのコミッショニングの間、すなわちワイヤレス・ゲートウェイ・コミッショニングの間に実行される、登録プロセスを起動することができる。登録プロセスは、スレーブ・デバイスを順番に登録し、システム内の最後のスレーブ・デバイスの登録を完了したときに自動的に終了することができる。次いでマスタ・デバイスは、スレーブ・デバイス情報を含んだ情報テーブルを作成し、それをNVM(不揮発性メモリ)などのローカル・メモリに保存することができる。
【0036】
マスタ・デバイスMDは、登録プロセスの開始において、コミッション・ラインCL上にコミッショニング信号を送信することができる。コミッショニング信号は、マスタ・デバイスに接続された最初のスレーブ・デバイスに送信される。
【0037】
マスタ・デバイスMDは、フィールド・バス・ラインFBL上のブロードキャストにおいて、アドレス構成フレームを送信することができる。アドレス構成フレームは、インデックスkのスレーブ・デバイスに対する定義されたアドレスを有するアドレス構成のための命令を含む。
【0038】
マスタ・デバイスMDが、インデックスkのスレーブ・デバイスから、フィールド・バス・ラインFBL上において、定義されたアドレスに対する肯定応答を受信した後、マスタ・デバイスMDは、フィールド・バス・ラインFBL上のブロードキャストにおいて、デバイス情報に対する要求を送信することができ、要求は、定義されたアドレスを含む。前のアドレス構成フレームを肯定応答した、インデックスkのスレーブ・デバイスのみが、要求を処理することになる。
【0039】
マスタ・デバイスMDが、フィールド・バス・ラインFBL上でデバイス情報を受信した後、マスタ・デバイスMDは、インデックスkのスレーブ・デバイスからインデックスk+1のスレーブ・デバイスへのコミッション・ラインCLを有効にするコマンドを、送信することができる。次いでインデックスkのスレーブ・デバイスは、コミッション・ラインCL上に、コミッショニング信号を、次のインデックスk+1のスレーブ・デバイスに送信する準備が整う。
【0040】
次いでマスタ・デバイスMDは、インデックスkのスレーブ・デバイスのデバイス情報を、情報テーブルに記憶することができる。デバイス情報は、例えばインデックスkのスレーブ・デバイスの名前、インデックスkのスレーブ・デバイスの識別子、およびインデックスkのスレーブ・デバイスのタイプを含む。スレーブ・デバイスの識別子は、製造の間にスレーブ・デバイスのメモリに保存される、一意のシリアル番号とすることができる。スレーブ・デバイスのタイプは、製造の間にスレーブ・デバイスのメモリに保存されるサポート機能コードとすることができる。同じ1つまたは複数の機能を有するスレーブ・デバイスは、同じタイプのスレーブ・デバイスを用いるように設計される。
【0041】
登録プロセスを継続するために、マスタ・デバイスMDは、フィールド・バス・ラインFBL上のブロードキャストにおいて、インデックスk+1のスレーブ・デバイスに対する定義されたアドレスを有するアドレス構成フレーム、デバイス情報に対する要求、次いでインデックスk+1のスレーブ・デバイスからインデックスk+2のスレーブ・デバイスへのコミッション・ラインCLを有効にするコマンドを送信することができる。次いでマスタ・デバイスMDは、インデックスk+1のスレーブ・デバイスのデバイス情報を、情報テーブルに記憶することができる。
【0042】
マスタ・デバイスMDは、各スレーブ・デバイスに対する登録プロセスを継続し、スレーブ・デバイスから、定義されたアドレスに対する肯定応答を受信しなくなった後に、登録プロセスを終了する。
【0043】
スレーブ・デバイスは、16進値「FF」のようなプリセット値を定義するように、ローカル・フィールド・バス・アドレスを設定し、スタートアップにおいてコミッション・ラインCLに信号ローを設定する。デフォルトのフィールド・バス・アドレスを有し、コミッション・ラインCL上にコミッショニング信号を検出するスレーブ・デバイスのみが、アドレス・コミッショニング・フレームを受け取ることができる。
【0044】
登録プロセスが終わった後、マスタ・デバイスMDは、デバイス情報をテーブルに保持する。次のスタートアップにおいて、アドレスは失われ、マスタ・デバイスMDは、アドレス構成のための命令をスレーブ・デバイスに再び送信することが必要になる。
【0045】
一実施形態において、マスタ・デバイスMDからのアドレス構成フレームは、一意のアドレスと、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通デフォルト・アドレスを変更するためのインデックスkのスレーブ・デバイスの識別子とを含む。これらの命令は、インデックスkのスレーブ・デバイスのためのものである(他のスレーブ・デバイスは、識別子が一致しないのでフレームを無視する)。一意のアドレスは、共通デフォルト・アドレスと同じフォーマットを有することができ(例えば、数字と2つの文字)、スレーブ・デバイスインデックスkを、101.kとコード化することができる。例えば、インデックス1の最初のスレーブ・デバイスのアドレスは、例えば、0XAAまたは0X01とすることができる。インデックスkの一意のアドレスは、コマンドのペイロードに含まれ得る。
【0046】
次のスタートアップにおいて、故障したスレーブ・デバイスがある場合、マスタは、その故障したスレーブ・デバイスから、アドレス構成フレームの肯定応答を受信しないようになる。次いでマスタ・デバイスは、容易で迅速なトラブルシューティングをサポートするためだけでなく、適切に動作を継続する残された正常なスレーブ・デバイスを用いて通信システムを稼働させ続けるために、故障したスレーブ・デバイスの位置および識別子を検出することができる。
【0047】
マスタ・デバイスMDはまた、通信システムに接続された、例えばスレーブ・デバイスによって形成されるスタックに追加された、新たなスレーブ・モジュールを検出することができる。新たなスレーブ・デバイスが、通信システムにホット・プラグされた後、マスタ・デバイスMDは、コミッション・ラインCLを有効にするコマンドを、フィールド・バス・ラインFBL上にブロードキャストすることによって、登録プロセスを再び開始し得る。前に登録されたインデックスkの各スレーブ・デバイスは次いで、次のインデックスk+1のスレーブ・デバイスに、コミッション・ラインCL上にコミッショニング信号を送信する準備が整う。
【0048】
新たなスレーブ・デバイスは、それがどこに配置される場合でも、ブロードキャスト・コマンドを受信したおよびコミッション・ラインCLを通じて新たなスレーブ・デバイスに接続された、スレーブ・デバイスから、コミッション・ラインCL上にコミッショニング信号を受信するようになる。
【0049】
次いで新たなスレーブ・モジュールは、前に述べられたように、マスタ・デバイスからフィールド・バス・ラインを通じて、スレーブ・デバイスの新たなデフォルト・アドレスを有するアドレス構成のための命令と、マスタ・デバイスからのデバイス情報に対する要求と、次のスレーブ・デバイスとのコミッション・ラインを有効にするコマンドとを受信することによって登録される。次いでマスタ・デバイスMDは、新たなスレーブ・デバイスのデバイス情報を情報テーブルに記憶することができる。
【0050】
各スレーブ・モジュールは、スレーブ・デバイスの動作に関するそれ自体の構成データを有する。例えば、スレーブ・デバイスは、特定のセンサに関連付けられ、構成データは、特定のセンサと通信するようにスレーブ・デバイスの構成を定義する。
【0051】
スレーブ・デバイスに対して、構成データは、マスタ・デバイスMDの情報テーブル内のデバイス情報に対応して、スレーブ・デバイスのタイプと、スレーブ・デバイスのアドレスとに関連付けられた構成データとして、保存され得る。新たな構成データ、または構成データの変更は、マスタ・デバイスまたはスレーブ・デバイスによって供給され得る。
【0052】
スタートアップにおいて、マスタ・デバイスは、スレーブ・デバイスの構成データを同期させるために、すべてのモジュールにアドレス指定する。マスタ・デバイスは、スレーブ・デバイスに記憶された構成データのシグネチャを(例えばチェックサムを通じて)、ローカル構成データのシグネチャと比較する。シグネチャが異なる場合、マスタ・デバイスは、スレーブ・モジュールとの構成データの同期を発する。
【0053】
新たなスレーブ・デバイスが故障したスレーブ・デバイスに取って代わる場合、マスタ・デバイスは、情報テーブル内のデバイス情報の助けにより、新たなスレーブ・デバイスを自動的に検出することができ、再び登録プロセスを開始することができる。加えて、マスタ・デバイスは、バックアップ構成データの助けにより、新たなスレーブ・デバイスのための構成データを復元することができる。
【0054】
実施形態は、1つまたは複数のプロセッサと、I/Oインターフェースと、ネットワーク・インターフェースと、プロセッサに結合されたメモリとを備えた、装置の形の下でのマスタ・デバイスMDを備える。プロセッサは、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、状態機械、ロジック回路、および/または動作命令に基づいて信号を操作する任意のデバイスとして実装され得る。プロセッサは単一の処理ユニットまたはいくつかのユニットとすることができ、そのすべても複数のコンピューティング・ユニットを含み得る。他の能力の中でも、プロセッサは、メモリに記憶されたコンピュータ可読命令をフェッチし、実行するように構成される。
【0055】
プロセッサによって実現される機能は、専用ハードウェア、ならびに適切なソフトウェアと共同してソフトウェアを実行する能力を有するハードウェアの使用を通してもたらされ得る。プロセッサによってもたらされるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、またはそのいくつかは共有され得る複数の個別のプロセッサによってもたらされ得る。さらに、用語「プロセッサ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行する能力を有するハードウェアを排他的に指すものと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワーク・プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、および不揮発性ストレージを暗黙的に含み得るが、それらに限定されない。他のハードウェア、従来型および/またはカスタムのものも含まれ得る。
【0056】
メモリは、例えば、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)およびダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)などの揮発性メモリ、および/または読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM、フラッシュ・メモリ、ハード・ディスク、光ディスク、および磁気テープなどの不揮発性メモリを含む、当技術分野において知られている任意のコンピュータ可読媒体を含み得る。メモリは、モジュールおよびデータを含む。モジュールは、特定のタスクを行うまたは特定の抽象データタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造体などを含む。データは、他のものの中でも、モジュールの1つまたは複数によって処理され、受信され、および生成されるデータを記憶するためのリポジトリとして機能する。
【0057】
当業者は、上記で提示された方法のステップは、プログラムされたコンピュータによって行われ得ることを容易に認識するであろう。本明細書において、いくつかの実施形態はまた、プログラム記憶デバイス、例えば、機械またはコンピュータ可読であると共に、命令の機械実行可能またはコンピュータ実行可能プログラムをエンコードする、デジタル・データ記憶媒体を対象として含むものであり、前記命令は述べられた方法のステップのいくつかまたはすべてを行う。プログラム記憶デバイスは、例えば、デジタル・メモリ、磁気ディスクおよび磁気テープ、ハード・ドライブなどの磁気記憶媒体、または光学的読み出し可能デジタル・データ記憶媒体とすることができる。
【0058】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による、通信システム内のスレーブ・デバイスを構成する方法は、ステップS1~S8を含む。
【0059】
最初のステップS1で、マスタ・デバイスMDは、すべてのスレーブ・デバイスに対する登録プロセスを開始し、コミッション・ラインCL上にコミッショニング信号を送信する。コミッショニング信号は、マスタ・デバイスに接続された最初のスレーブ・デバイス、すなわち、インデックス1のスレーブ・デバイスSDに送信される。
【0060】
ステップS2で、マスタ・デバイスMDは、インデックスkのスレーブ・デバイスに対する登録プロセスを開始し、フィールド・バス・ラインFBL上のブロードキャストにおいて、アドレス構成フレームを送信する。アドレス構成フレームは、インデックスkのスレーブ・デバイスに対する定義されたアドレスAdd_kを有するアドレス構成のための命令を含む。命令は、インデックスkのスレーブ・デバイスの共通デフォルト・アドレスを、インデックスkの一意のアドレスAdd_kに変更するように、インデックスkのスレーブ・デバイスに指令する。
【0061】
すべてのスレーブ・デバイスはアドレス構成フレームを受信するが、それに接続された前のスレーブ・デバイス(またはスレーブ・デバイスがインデックス1を有する場合は、マスタ・デバイス)からコミッション・ラインCL上でコミッショニング信号を受信したスレーブ・デバイスのみが、アドレス構成フレームを受け取ることができ、他のスレーブ・デバイスは、アドレス構成フレームを無視または拒絶することになる。
【0062】
スレーブ・デバイスがコミッション・ラインCLを通じてチェーン状に接続されるのに従って、マスタ・デバイスMDは、定義されたアドレスAdd_kを含んだアドレス構成フレームに対するインデックスkをインクリメントすることによって、チェーン内の各スレーブ・デバイスに対する登録プロセスを行う。
【0063】
インデックスkのスレーブ・デバイスは、インデックスk-1のスレーブ・デバイスから、またはk=1の場合はマスタ・デバイスから、コミッション・ラインCL上でコミッショニング信号を受信した場合は、定義されたアドレスAdd_kを含んだアドレス構成フレームを受け取り、フィールド・バス・ラインFBLに対するローカル・アドレスをAdd_kに設定する。
【0064】
ローカル・アドレスが設定された後、インデックスkのスレーブ・デバイスは、フィールド・バス・ラインFBLを通じて、マスタ・デバイスに肯定応答フレームを送信し、肯定応答フレームは、定義されたアドレスAdd_kを含む。
【0065】
ステップS3で、マスタ・デバイスMDは、フィールド・バス・ラインFBL上のブロードキャストにおいて、デバイス情報に対する要求を送信し、要求は、定義されたアドレスAdd_kを含む。
【0066】
前のアドレス構成フレームに対して肯定応答したインデックスkのスレーブ・デバイスは、メモリ内のデバイス情報を取り出し、デバイス情報は、インデックスkのスレーブ・デバイスの名前と、インデックスkのスレーブ・デバイスの識別子と、インデックスkのスレーブ・デバイスのタイプとを含む。
【0067】
インデックスkのスレーブ・デバイスは、フィールド・バス・ラインFBL上にマスタ・デバイスへの応答を送信し、応答は、デバイス情報と、定義されたアドレスAdd_kとを含む。
【0068】
ステップS4で、マスタ・デバイスMDは、フィールド・バス・ラインFBL上のブロードキャストにおいて、コマンドを送信し、コマンドは、定義されたアドレスAdd_kと、インデックスkのスレーブ・デバイスからインデックスk+1のスレーブ・デバイスへのコミッション・ラインCLを有効にする命令とを含む。
【0069】
インデックスkのスレーブ・デバイスは、次のインデックスk+1のスレーブ・デバイスへのコミッション・ラインCL上にコミッショニング信号を送信する。コミッショニング信号が送信された後、インデックスkのスレーブ・デバイスは、肯定応答フレームをマスタ・デバイスに送信し、肯定応答フレームは定義されたアドレスAdd_kを含む。
【0070】
ステップS5で、マスタ・デバイスMDは、インデックスkの定義されたアドレスAdd_kに対応して、インデックスkのスレーブ・デバイスのデバイス情報を、情報テーブルに記憶する。
【0071】
ステップS2~S5は、数Nまで増加するインデックスkに対して反復され、Nは、通信システム内のスレーブ・デバイスの数を表す。Nは、マスタ・デバイスによって予め既知ではなく、登録プロセスが終了された後にのみ決定される。
【0072】
登録プロセスは、(ステップS2でのように)マスタ・デバイスが、スレーブ・デバイスから、定義されたアドレスAdd_kを含んだ肯定応答フレームを受信しなかったときに終了される。
【0073】
ステップS6で、通信システムのスタートアップが生じ、マスタ・デバイスMDは、反復的にステップS2でのように、アドレス構成のための命令をスレーブ・デバイスに繰り返し送信する。このとき、アドレス構成フレームは、インデックスkの定義されたアドレスAdd_kに対応して保存された、インデックスkのスレーブ・デバイスの識別子をさらに含む。
【0074】
インデックスkのスレーブ・デバイスは、受信された識別子を、ローカル・メモリに記憶された識別子と比較することによって、インデックスkのスレーブ・デバイスの識別子を含んだアドレス構成フレームを受け取る。
【0075】
マスタ・デバイスが、規定された時間の後、定義されたアドレスAdd_kを含んだ肯定応答フレームを受信しなかった場合、マスタ・デバイスは、インデックスkのスレーブ・デバイスを故障したデバイスとして特定する。例えば、マスタ・デバイスのHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)に、警告が示される。
【0076】
各スレーブ・デバイスに対して反復的に、またはステップS6が終わった、すなわちすべてのスレーブ・デバイスがアドレス指定された後に実行され得る、ステップS7で、マスタ・デバイスは、各スレーブ・デバイスに対して、スレーブ・デバイスに記憶された構成データのシグネチャを、マスタ・デバイスに記憶された構成データのシグネチャと比較する。シグネチャが異なる場合、マスタ・デバイスは、スレーブ・デバイスとの構成データの同期を発する。
【0077】
ステップS8で、ラン・タイムの間に、新たなスレーブ・デバイスが通信システム内に配置され、コミッション・ラインを通じて、チェーン内のインデックスkの最後のスレーブ・デバイスに接続され、kはNに等しい。マスタ・デバイスMDは、コミッション・ラインCLを有効にするコマンドを、フィールド・バス・ラインFBL上にブロードキャストすることによって、登録プロセスを開始する。前に登録されたインデックスkの各スレーブ・デバイスは次いで、次のインデックスk+1のスレーブ・デバイスへ、コミッション・ラインCL上にコミッショニング信号を送信する準備が整う。従って、チェーン内の新たなスレーブ・デバイスに前に接続されたスレーブ・デバイスは、新たなスレーブ・デバイスへ、コミッション・ラインCL上にコミッショニング信号を送信することができる。
【0078】
次いでマスタ・デバイスによってステップS2~S5が、新たな定義されたアドレスを有するアドレス構成のための命令と、新たなスレーブ・デバイスのための、インデックスN+1の定義されたアドレスAdd_N+1と、デバイス情報に対する要求と、次のスレーブ・デバイスとのコミッション・ラインを有効にするコマンドとを、送信するように行われる。マスタ・デバイスMDは次いで、新たなスレーブ・デバイスのデバイス情報を情報テーブルに記憶することができる。
【0079】
通信システムにおいて、新たなスレーブ・デバイスが、故障したスレーブ・デバイスに取って代わる場合、操作者は、再びステップS2~S5を行うマスタ・デバイスMDにおける交換登録を起動する。
【0080】
マスタ・デバイスは、ステップS3で、取り出されたデバイス情報を用いて、新たなスレーブ・デバイスが、故障したスレーブ・デバイスに取って代わったことを検出する。特に、マスタ・デバイスは、故障したスレーブ・デバイスに対応するアドレスに対して、スレーブ・デバイスの識別子が変化したことを検出する。
【0081】
新たなスレーブ・デバイスと、故障したスレーブ・デバイスとが同じタイプであると仮定すると、マスタ・デバイスは、故障したデバイスに対応するバックアップ構成データの助けにより、新たなスレーブ・デバイスのための構成データを復元することができる。
【0082】
任意選択で、マスタ・デバイスは、操作者に対して構成復元許可を求めることができ、許可が与えられた後に構成復元を行う。
【0083】
本発明は、特定の実施形態を参照して上記で述べられたが、これは本明細書に記載された特定の形に限定するものでない。むしろ、本発明は添付の「特許請求の範囲」のみによって限定され、特定の上記の詳細以外の他の実施形態が、等しく添付の「特許請求の範囲」の範囲内となることが可能である。
【0084】
さらに、例示的実施形態が、構成要素および/または機能のいくつかの例示的組み合わせにおいて上記で述べられたが、本開示の範囲から逸脱せずに、部材および/または機能の異なる組み合わせによって、代替的実施形態がもたらされ得ることが理解されるべきである。加えて、個別にまたは実施形態の一部として述べられた特定の特徴は、他の個別に述べられた特徴、または他の実施形態の部分と、組み合わされ得ることが明確に企図される。
【符号の説明】
【0085】
MD マスタ・デバイス
SD スレーブ・デバイス
CL コミッション・ライン
FBL フィールド・バス・ライン
図1
図2
【外国語明細書】