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特開2023-65338二重の目的を有するアンテナ構成要素を有する追跡タグ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065338
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】二重の目的を有するアンテナ構成要素を有する追跡タグ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20230502BHJP
   H01Q 5/364 20150101ALI20230502BHJP
   H01Q 5/314 20150101ALI20230502BHJP
   H01Q 25/00 20060101ALI20230502BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q5/364
H01Q5/314
H01Q25/00
H04B1/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022172129
(22)【出願日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】17/511,877
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】518329826
【氏名又は名称】プリューム デザイン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PLUME DESIGN, INC.
【住所又は居所原語表記】325 Lytton Ave, Palo Alto, CA 94301 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120684
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 三次
(72)【発明者】
【氏名】サマルドジジャ ミロスラフ
(72)【発明者】
【氏名】チェン シャン イン
(72)【発明者】
【氏名】スー ミン-ツン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォ リエム ヒエウ ディン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5J021DB05
5J021EA04
5J021GA02
5J021HA05
5J021JA03
5J021JA07
5J021JA08
5J047AA07
5J047AA12
5J047BG06
5J047EF05
5J047FD01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小さい容積の内部にアンテナを設計際のアンテナの効率/性能の低下を克服する携帯式の追跡タグを提供する。
【解決手段】携帯式の追跡タグ40は、前面カバー42及び背面カバー44を有するハウジング、Bluetooth(登録商標)の周波数範囲及び超広範囲(UWB)の周波数範囲のうちの少なくとも1つにおいて動作する無線周波数(RF)回路48、第1の導電性プレート90と第2の導電性プレート92とを有する圧電デバイス88を含む。RF回路は、前面カバー、背面カバー、第1の導電性プレート及び第2の導電性プレートのうちの少なくとも1つを1つ以上のアンテナとして利用する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯式の追跡タグ(40)であって、
前面カバー(42)および背面カバー(44)を有するハウジングと、
Bluetooth(登録商標)(BT)周波数範囲および超広範囲(UWB)周波数範囲の少なくとも1つにおいて動作するように構成された無線周波数(RF)回路(48)と、
第1の導電性プレート(90)および第2の導電性プレート(92)を有する圧電デバイス(88)とを含み、
前記RF回路(48)が前記前面カバー(42)、前記背面カバー(44)、前記第1の導電性プレート(90)、および前記第2の導電性プレート(92)の少なくとも1つを1つ以上のアンテナとして利用することを特徴とする、携帯式の追跡タグ。
【請求項2】
前記圧電デバイス(88)は、前記第1の導電性プレート(90)と前記第2の導電性プレート(92)との間に配向された誘電体プレート(94)をさらに含み、前記圧電デバイス(88)は、可聴信号を生成して前記携帯式の追跡タグ(40)の位置を明らかにするためのブザーまたはスピーカとして構成される、請求項1に記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項3】
前記背面カバー(44)は、導電性の材料を含み、前記1つ以上のアンテナの第1のアンテナとして構成され、前記RF回路(48)は、前記第1のアンテナをBT通信のために用いるように構成される、請求項1から2のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項4】
前記第2の導電性プレート(92)は、前記前面カバー(42)に隣接して配置され、前記1つ以上のアンテナのうちの第2のアンテナとして構成され、前記RF回路(48)は、前記第2のアンテナをUWB通信のために用いるようにさらに構成される、請求項3に記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項5】
前記前面カバー(42)は、導電性の材料を含み、前記第2の導電性プレート(92)に直接接続されている、請求項4に記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項6】
UWBスイッチ(86)およびダイプレクサ(84)をさらに含み、前記UWBスイッチ(86)は、前記RF回路からUWBフィードを受信し、第1および第2のUWBフィードを生成するように構成され、前記第1のUWBフィードは、前記ダイプレクサ(84)に供給され、前記第2のUWBフィードは、前記第2の導電性プレート(92)に供給され、前記ダイプレクサ(84)は、前記RF回路(48)からBTフィードを受信し、前記UWBスイッチ(86)から前記第1のUWBフィードを受信するように構成され、それにより、前記背面カバー(44)に供給される混合フィードを生成する、請求項4に記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項7】
前記第1の導電性プレート(90)および前記第2の導電性プレート(92)に電気的に通信する圧電ドライバ(66)を含み、前記圧電ドライバ(66)は前記圧電デバイス(88)を駆動するための信号パルスを供給するように構成される、請求項1から6のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項8】
第1および第2のインダクタ(68、70)をさらに含み、前記第1のインダクタ(68)は、前記第1の導電性プレート(90)のRF信号を前記圧電ドライバ(66)のオーディオ信号から実質的に絶縁するように構成され、前記第2のインダクタ(70)は、前記第2の導電性プレート(92)のRF信号を前記圧電ドライバ(66)のオーディオ信号から実質的に絶縁するように構成される、請求項7に記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項9】
前記前面カバー(42)、前記背面カバー(44)、前記第1の導電性プレート(90)および前記第2の導電性プレート(92)の少なくとも1つが前記1つ以上のアンテナとして用いられ、専用のアンテナ構造を有さない、請求項1から8のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項10】
供給マッチング回路(76、80)およびショートマッチング回路(78)をさらに含み、前記供給マッチング回路(76、80)は、BTおよびUWBの周波数を前記1つ以上のアンテナとマッチングするために構成され、前記ショートマッチング回路(78)は、前記1つ以上のアンテナを接地にマッチングさせるために構成される、請求項1から9のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項11】
前記背面カバー(44)は、導電性の材料を含み、前記圧電デバイス(88)の前記第2の導電性プレート(92)と平行に配向され、八木型アンテナを形成する、
請求項1から10のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項12】
バッテリ(58)およびバッテリホルダ(122)をさらに含み、前記バッテリ(58)は、前記RF回路(48)に電力を供給するように構成され、前記バッテリホルダ(122)は、前記バッテリ(58)および前記バッテリを前記背面カバー(44)から分離する1つ以上の導電性および非導電性のプレートの層を支持するように構成される、請求項1から11のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項13】
1つ以上の前記前面カバー(42)および前記背面カバー(44)は、非導電性の材料、および1つ以上のレーザダイレクトストラクチャ(LDS)導電性パターン、導電性テープ、および前記非導電性の材料の上に形成された導電性トレースを含む、請求項1から12のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項14】
前記RF回路(48)と前記1つ以上のアンテナとの間の電気通信を可能にするように構成された1つ以上のポゴピン(190、192)またはばねクリップをさらに含む、請求項1から13のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【請求項15】
前記前面カバー(42)および前記背面カバー(44)の一方は、BTアンテナとして動作し、他方は、UWBアンテナとして動作する、請求項1から14のいずれかに記載の携帯式の追跡タグ(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置トラッキングシステム(location tracking system)に関する。より詳細には、本開示は追跡タグ(tracker tag)の構成に関し、前記追跡タグのいくつかの構成要素は、超広範囲(Ultra-Wideband、UWB)およびBluetooth(登録商標)アンテナを兼ねる。
【背景技術】
【0002】
最近、追跡タグ(ロケータタグ(locator tag)、スマートタグ(smart tag)などとしても知られている)は、人気のある消費者向け電気デバイスになってきている。例えば、多くの企業(例えば、とりわけ、Apple、Samsung、Tile)が、異なる機能を有する異なる形式の追跡タグを作成している。追跡タグの目的は、追跡タグが取り付けられた物品をユーザが見つけるのを助けることである。
【0003】
外見では、追跡タグはクラシックなキーチェーンフォブ(key chain fob)のように見える。それらは小さく(例えば、ほぼトークン(token)またはコインのサイズ)、キーチェーン、バックパック、かばん(purse)、ペットカラー、などに、例えばキーリングを用いて取り付けることができ、また、TVリモート、ガレージドアのオープナー、などに、テープや他の接着材料を用いて取り付けることも可能である。追跡タグは他の無線消費財(例えば、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、ポッドデバイスなど)とペアリングすることが可能な、無線の能力を有する。この追跡タグとスマートフォンの間の無線のリンクにより、追跡タグが追跡され、位置を特定され、これによって、ユーザが、その紛失したあるいは置き忘れた手荷物を発見することを可能にする。追跡タグの特徴のある設計に依存して、ユーザは追跡システムを用いることができ、追跡タグを、それがある範囲内に(例えば、Bluetoothの範囲内、住宅又は部屋の中、スマートフォンの近く、など)ある場合に、発見することができる。
【0004】
どのような無線デバイスであっても、デバイスの無線の能力には、1つ以上のアンテナを必要とする。小型の追跡タグ(または他の小型の無線デバイス)の1つの特徴的な問題は、高周波での通信(例えば、Bluetoothの範囲、超広範囲の範囲、など)のためのアンテナのサイズ(例えば、長さ)が追跡タグのサイズにより制限されることである。典型的な追跡タグは、より良好なアンテナ性能を可能にし、チップアンテナまたはPCBアンテナを使用するために、プラスチックケーシング(plastic casing)を用いて設計される。また、典型的な追跡タグの設計は、通常、比較的多くの容量(空間)をこれらのアンテナのために割かねばならない。1つ以上のアンテナを設計して、これらの追跡タグ内に組み込むことは、特に消費者はこれらのデバイスが小型であることをより好むので、困難でありうる。加えて、これらのアンテナは、通常、典型的には、小さいPCBを流れる接地電流(ground current)に依存するため、低い能力を有する。つまり、アンテナ体積が小さくなると、アンテナの効率/性能が低下する。
【0005】
したがって、追跡タグおよび他の小型の無線消費者向けデバイスの分野では、小さい容積の内部にアンテナを設計することにより生ずる問題を克服する必要がある。本開示の実施形態は、以下に記載されるように、これらの、従来の消費者向け製品で既知であるアンテナの問題の多くを克服する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ユーザが紛失対象物(missing objects)を発見できるようにする、追跡または位置特定システム(tracking or locating systems)を対象とする。追跡タグ(tracker tag)が、ユーザが位置を特定したいと望む物品に取り付けられている場合、ユーザは、追跡タグと通信するための無線「探索」デバイス(wireless “searching” device)(例えば、携帯電話)の適切なアプリケーションを利用してもよい。ユーザを追跡タグの場所に向かわせる(directing)ために、無線探索デバイスにより、様々な機能が実行されてもよい。より具体的には、本開示は、これらの追跡タグのアンテナアセンブリ(antenna assemblies)を対象とする。前記アンテナアセンブリは、追跡タグの、他の目的を有する構成要素(component)を含んでいてもよい。この方法により、これらの二重の目的(dual-purpose)を有する構成要素は、アンテナの構成要素を兼ねる(double)ように構成される。
【0007】
1つの実装形態(implementation)による携帯式のトラッカーデバイス(portable tracker device)(例えば、追跡タグ)は、前面カバーおよび背面カバー(a front cover and a back cover)を有するハウジング(housing)を含む。携帯式のトラッカーデバイスは、また、Bluetooth(BT)周波数範囲(Bluetooth (BT) frequency range)および超広範囲(UWB)周波数範囲(Ultra-Wideband (UWB) frequency range)の少なくとも1つにおいて動作(operate)するように構成された無線周波数(Radio Frequency、RF)回路(circuitry)を含む。また、携帯式のトラッカーデバイスは、第1の導電性プレート(conductive plate)および第2の導電性プレートを有する圧電デバイス(piezoelectric device)を含む。動作中、RF回路(Radio Frequency (RF) circuitry)は、前面カバー、背面カバー、第1の導電性プレート、および第2の導電性プレートの少なくとも1つを1つ以上のアンテナとして利用する。
【0008】
いくつかの実施形態では、上記の携帯式の追跡タグの圧電デバイスは、第1の導電性プレートと第2の導電性プレートとの間に配向された(oriented)誘電体プレート(dielectric plate)をさらに含んでいてもよい。したがって、圧電デバイスは、可聴信号(audible signal)を生成して携帯式のトラッカーデバイスの位置を明らかにするためのブザーまたはスピーカとして構成されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態によると、ハウジングの背面カバーは、導電性の材料(conductive material)を含んでもよく、1つ以上のアンテナの第1のアンテナとして構成されてもよく、それによって、RF回路は第1のアンテナをBT通信(BT communication)のために用いるように構成されてもよい。圧電デバイスの第2の導電性プレートは、ハウジングの前面カバーに隣接して(adjacent)配置されてもよく、1つ以上のアンテナのうちの第2のアンテナとして構成されてもよく、それによって、RF回路はさらに、UWB通信のために第2のアンテナを使用するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングの前面カバーは、導電性の材料を含んでもよく、圧電デバイスの第2の導電性プレートに直接接続されてもよい。
【0010】
また、携帯式のトラッカーデバイスは、UWBスイッチ(UWB switch)およびダイプレクサ(diplexer)を含んでいてもよい。UWBスイッチは、RF回路からUWBフィード(feed、給電)を受信し、第1および第2のUWBフィードを生成するように構成されてもよい。第1のUWBフィードはダイプレクサに供給(provide)されてもよく、第2のUWBフィードは圧電デバイスの第2の導電性プレートに供給されてもよい。また、ダイプレクサは、RF回路からBTフィード(BT feed)を受信し、UWBスイッチから第1のUWBフィードを受信し、それによって、ハウジングの背面カバーに供給される混合フィードを生成するように構成されてもよい。
【0011】
携帯式のトラッカーデバイスは、いくつかの実装形態では、圧電デバイスの第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートと電気的に通信する圧電ドライバ(piezoelectric driver)をさらに含んでいてもよい。圧電ドライバは、圧電デバイスを駆動(drive)するための信号パルス(signal pulse)を供給するように構成されてもよい。また、携帯式のトラッカーデバイスは、RF回路および圧電ドライバに電力を供給するように構成されたバッテリ(battery)を含んでいてもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、また、第1および第2のインダクタ(inductor)を含んでいてもよく、第1のインダクタは、第1の導電性プレートのRF信号(RF signal)を圧電ドライバのオーディオ信号(audio signal)から実質的に絶縁(isolate)するように構成され、第2のインダクタは、第2の導電性プレートのRF信号を圧電ドライバのオーディオ信号から実質的に絶縁するように構成される。
【0012】
前面カバー、背面カバー、第1の導電性プレート、および第2の導電性プレートの少なくとも1つは、1つ以上のアンテナとして用いられるように構成され、専用の(dedicated)アンテナ構造を有さないように構成されてもよい。言い換えれば、アンテナ構成要素(antenna components)は専用の構成要素ではなく、携帯式のトラッカーデバイスに既に存在する構成要素から由来し、これらの構成要素は二重の目的(dual purpose)を果たす。
【0013】
いくつかの実装形態によれば、携帯式のトラッカーデバイスは、供給マッチング回路(feed matching circuitry、供給整合回路)およびショートマッチング回路(short matching circuitry、短絡整合回路)をさらに含んでいてもよい。供給マッチング回路は、BTおよびUWBの周波数を1つ以上のアンテナとマッチング(整合、matching)させるために構成されてもよい。ショートマッチング回路は、1つ以上のアンテナを接地(ground)にマッチングさせるために構成されてもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、また、第1および第2のキャパシタ(capacitor)を含んでいてもよく、第1のキャパシタは、第1の導電性プレートのオーディオ周波数信号(audio frequency signal)をショートマッチング回路から実質的に絶縁(isolate)するように構成されてもよく、第2のキャパシタは、第2の導電性プレートのオーディオ周波数信号を供給マッチング回路から実質的に絶縁するように構成されてもよい。
【0014】
ハウジングの背面カバーは、いくつかの事例では、導電性の材料を含んでいてもよく、圧電デバイスの第2の導電性プレートと平行に配向され、八木型アンテナ(Yagi-type antenna)を形成してもよい。加えて、携帯式のトラッカーデバイスは、バッテリおよびバッテリホルダ(battery holder)を含むことができ、バッテリは、RF回路に電力を供給するように構成することができる。バッテリホルダは、例えば、バッテリを支持し、導電性(conductive)および非導電性(non-conductive)のプレートの1つ以上の層が前記バッテリを背面カバーから分離(separate)するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の前面カバーおよび背面カバーが、非導電性の材料と、a)レーザダイレクトストラクチャ(LDS)導電性パターン(Laser Direct Structuring conductive pattern)、b)導電性テープ、および/または、c)非導電性の材料上に形成された導電性トレース(conductive trace)とを含んでもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、RF回路と1つ以上のアンテナとの間の電気通信を可能にするように構成された1つ以上のポゴピン(pogo pins)をさらに含んでいてもよい。
【0015】
いくつかの実装形態によるアンテナアセンブリは、携帯式の電気的デバイスのハウジングの前面カバーおよび背面カバーの少なくとも1つを含んでいてもよく、圧電デバイス(例えば、携帯式のトラッカーデバイスに組み込まれてもよい)の第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートの少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。RF回路(例えば、携帯式の電気デバイスに組み込まれてもよい)は、少なくとも1つのBluetooth(BT)周波数範囲および超広範囲(UWB)周波数範囲において動作するように構成されてもよく、また前面カバー、背面カバー、第1の導電性プレート、および第2の導電性プレートの少なくとも1つを1つ以上のアンテナとして用いるように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実装形態による位置特定システム(locating system)は、1つ以上の追跡タグと1つ以上の探索デバイス(searching device)とを含んでいてもよい。1つ以上の追跡タグのそれぞれは、前面カバーおよび後部カバーを有するハウジングと、Bluetooth(BT)周波数範囲およびUWB周波数範囲のうちの少なくとも1つにおいて動作するように構成されたRF回路とを含んでいてもよい。各追跡タグはまた、第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートを有する圧電デバイスを含んでいてもよい。RF回路は前面カバー、後部カバー、第1の導電性プレート、および第2の導電性プレートのうちの少なくとも1つを1つまたは複数のアンテナとして利用するように構成されてもよい。1つ以上の探索デバイスのそれぞれは、1つ以上の追跡タグと1つ以上のBT通信およびUWB通信とを利用して、1つ以上の追跡タグの位置を特定(locate)するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の追跡タグのそれぞれは、追跡される物品(item to be tracked)への取り付け手段(means for attachment)を含んでいてもよい。また、1つ以上の探索デバイスのそれぞれは、スマートフォン、ポッドデバイス、またはラップトップコンピュータであってもよい。
【0017】
本開示は、様々な図面を参照して開示され、説明される。同様の参照番号は、必要に応じて、同様の構成要素/ステップを示すために使用される。特に示されない限り、図面に描かれる構成要素は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の様々な実施形態による追跡タグの対の透視図(perspective view)を示す概略図(diagram)である。
図2】本開示の様々な実施形態による位置トラッキングシステム(location tracking system)を示す概略図である。
図3】本開示の様々な実施形態による追跡タグ(tracking tag)の構造の分解側面図(exploded side view)を示す概略図である。
図4A】本開示の様々な実施形態による、圧電回路(piezoelectric circuit)および関連するアンテナを含む図3の追跡タグの一部分を示す概略図である。
図4B】本開示の様々な実施形態による、ハウジングカバー(housing cover)および関連するアンテナを含む図3の追跡タグの一部分を示す概略図である。
図5A】本開示の様々な実施形態による、図3に示されるバッテリホルダの断面側面図(cross-sectional side view)を図示する略図である。
図5B】本開示の様々な実施形態による、図3に示されるバッテリホルダの断面側面図を図示する略図である。
図5C】本開示の様々な実施形態による、図3に示されるバッテリホルダの断面側面図を図示する略図である。
図6A】本開示の様々な実施形態による、図3に示されるカバーの断面側面図を図示する略図である。
図6B】本開示の様々な実施形態による、図3に示されるカバーの断面側面図を図示する略図である。
図7A】本開示の様々な実施形態による、図3に示される圧電デバイスの断面側面図を示す図である。
図7B】本開示の様々な実施形態による、図3に示される圧電デバイスの断面側面図を示す図である。
図8A】本開示の様々な実施形態による、図4Aに示される追跡タグの部分と、圧電デバイスに関連付けられたアンテナの相対電流(relative electrical currents)とを示す概略図である。
図8B】本開示の様々な実施形態による、図4Bに示される追跡タグの部分と、ハウジングカバーに関連付けられたアンテナの相対電流とを示す概略図である。
図9】本開示の様々な実施形態による、図3の追跡タグの分解透視図(exploded perspective view)を示す図である。
図10】本開示の様々な実施形態による、図3の追跡タグのアンテナに接触するためのポゴピンの部分図(partial view)を示す図である。
図11】本開示の様々な実施形態による、図3の追跡タグの様々な部分の正面図(front view)である。
図12】本開示の様々な実施形態による、図3の追跡タグの様々な部分の正面図を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、追跡/位置特定システム(tracking/locating system)に関する。具体的には、本開示に説明される追跡システムは、Bluetooth(BT)周波数通信および/または超広範囲(UWB)周波数通信などの無線周波数(RF)通信とともに使用するために構成される。また、追跡タグ(例えば、ロケータタグ(locator tag)、スマートタグなどとしても知られる)は、BTおよび/またはUWB機能を含んでいてもよく、無線デバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、ポッド、タブレット、ラップトップコンピュータなど)と通信するように構成されてもよい。この点において、ユーザは、追跡タグを追跡(track)またはその位置を特定(locate)するために、具体的には、追跡タグが取り付けられた物品(例えば、キーチェーン、バックパック、かばん(purse)、財布、ペットカラー、など)が置き忘れられ、または紛失されている場合に、無線デバイスを利用してもよい。したがって、追跡システムは、ユーザが、紛失された物品を発見することを支援することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、追跡タグは、BTおよびUWBの周波数範囲で通信するための適切な回路およびアンテナ構造を有する装置(equipment)であってもよい。したがって、追跡タグおよび「探索」デバイス(例えば、スマートフォン)は、追跡または位置を特定する過程を可能にするために、BTおよびUWBの両方を使用してもよい。例えば、BTはユーザが物品を紛失した部屋(例えば、家屋の)を発見するのを助けるために使用されてもよい。この後、システムはより大きな分解能で正確な位置を特定する(pinpoint)ためにUWBを使用してもよい。使用事例の一例は、ユーザがキーチェーン上に追跡タグを取り付けた状況であってもよい。そこで、ユーザが自分のキーを紛失したとき(例えば、ソファーシートの中、かばんの中、自動車の中、ドレッサの後ろ、浴室シンクの中、汚れたジーンズのポケットの中など)、探索デバイスは(これも失われてはいない場合)、ユーザが自分のキーと再会するのを助けるために使用されてもよい。
【0021】
本開示の実施形態によれば、追跡タグは、非常に小さいフォームファクタ(form factor)で製造することができる。いくつかの実施形態では、追跡タグは、交換可能なバッテリ(例えば、CR2032等のコインサイズの3Vバッテリ、または同様のもの)を保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、追跡タグは、従来の追跡タグよりも少ない電力を使用してもよい。例えば、サイズの小ささを実現するために、本開示の実施形態は、追跡タグのアンテナのための構成要素を再利用してもよい。
【0022】
UWBの使用は、非常に正確な位置の特定を可能にし、BTはより長い範囲での利用を可能にする。両方を使用することによって、追跡タグは、長距離から位置を特定されることができ、次いで、ユーザが追跡タグに近づくにつれて、より正確に位置を特定されることができる。追跡タグを可能な限り小さくすることは、通常、多くの顧客にとって望ましい特徴である。通常必要とされる広い範囲の帯域幅(wide bandwidth)および多重バンド動作(multi-band operation)は、UWBアンテナを小さくすることをさらに困難にする。
【0023】
従来の(conventional)追跡タグは、UWBおよびBT通信のための個別のアンテナ(separate antennas)を用い、それぞれのアンテナのためにデバイス内の専用の空間を使用することがあるが、一方で、本開示の実施形態は、追跡タグの中の既存の構成要素(existing component)を用い、これらの既存の構成要素は、アンテナまたは無線通信(wireless communication)に関連するもの以外の目的のための機能を有する。例えば、本開示に説明される実施形態は、ハウジング自体の部品および/またはハウジング内に含まれる圧電デバイス(例えば、ブザー、スピーカ等)を使用してもよい。
【0024】
いくつかの場合には、アンテナは、プリント回路基板(PCB)上に形成されたアンテナを含んでいてもよい。例えば、アンテナトレース(antenna trace)は、ガラス強化エポキシラミネート材料(glass-reinforced epoxy laminate material)(例えば、FR-4などの難燃剤(FR)材料)上に形成されてもよい。アンテナは、他の電気的構成要素、無線構成要素、集積回路(IC)、他の導電性のトレース、などの空間をPCB上で共有しなければならない場合がありうる。いくつかの場合には、PCBは基板上にトレースを形成するためのレーザダイレクトストラクチャリング(Laser Direct Structuring、LDS)を含んでいてもよい。例えば、LDSは、製造中に、電気的に導電性の経路またはトレース(paths or traces)を非導電性の部品または材料の上に直接適用(apply)するプロセスを要してもよい(may refer)。LDSは、追跡タグのような小型のパッケージの内部での導電性のパターンを可能にし、その幾何学的な空間は小型携帯デバイスの個別の形状またはフォームファクタに依存する。
【0025】
詳細な説明がよりよく理解されうるように、また当該技術分野への寄与をよりよく理解することができるように、本開示の特徴をどちらかと言えば広く概説してきた。本開示に説明される様々な実施形態には追加の特徴が存在する。本開示は、以下の説明に記載された、または図面に例示された構造の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。むしろ、本開示の実施形態は、他の実装形態および構成であってもよく、様々な方法で実践または実行されてもよい。また、使用される表現および用語は、説明の目的のためであり、限定と見なされるべきではないことを理解されたい。
【0026】
このように、当業者は、本開示の基礎となる本発明の概念が、本開示で説明されるいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムの設計のための基礎として容易に利用されうることを理解するであろう。当業者は、彼らが本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、実施形態が様々な等価の構成を含んでいてもよいことを理解するであろう。本開示のさらなる態様および利点は、添付の図面に示される代表的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0027】
図1は追跡タグ10、12のペアの実施形態を示し、第1の追跡タグ10の前面カバー14(front cover)が図1に見られ、第2の追跡タグ12の背面カバー(back cover)16が見られる。追跡タグ10、12は同一のデザイン構成を含んでいてもよいことに留意されたい。前面カバー14は開口部(opening)18を含み、また背面カバー16は開口部20を含む。前面カバー14および背面カバー16が一緒に接続している場合(例えば、連動要素を一緒にスナップすることにより(by snapping interlocking elements together))、開口部18、20は追跡タグ10、12の1つまたは両方をキーリング、リングバインダ、カラビナ、スナップ要素、クリップ要素、ループ要素、または他の同様なデバイスに接続させることを可能にする。互いに接続して単一のユニットを構成する場合、追跡タグ10、12は防水性または耐水性(waterproof or water resistant)であってもよい。この方法で、追跡タグ10、12はユーザが追跡を望んでもよい、様々なタイプの物品に取り付けられることができる。
【0028】
追跡タグ10、12または他の同様の大きさの追跡/位置特定デバイスにおいて効率のよい(efficient)アンテナを設計するために、アンテナのサイズは用いる波長(frequency of operation)の全体、用いる波長の半分、または用いる波長の4分の1でもよい。例えば、Bluetooth(BT)通信の構成は、約120mmの波長に対応する、約2.40GHzから約2.48GHzの間の周波数範囲の多くのチャンネルのWi-Fi作動(Wi-Fi operation)を含んでいてもよい。UWBのためには、チャンネル5の波長は約6.25GHzから約6.75GHzの間の周波数範囲内にあり、約6.50GHz付近を中心とする(例えば、約46mmの波長)。チャンネル9のUWBのためには、周波数範囲は約7.75GHzから約8.25GHzであり、約8.00GHz付近を中心とする。いくつかの追跡タグ(例えば、追跡タグ10、12)は、約32mmから43mmの範囲の直径を有してもよく、また6mmから12mmの間の直径を有してもよい。これらは、より広く、および/またはより厚くてもよく、しかしより小さいものの方が、消費者にはより人気がある。BTの全帯域幅(entire BT bandwidth)は、約80MHzのみである一方、UWBの帯域幅は各チャンネルに対して約500MHzであり、もし2つのUWBセット信号が用いられる場合には(すなわち、チャンネル5および9)、合計で1.0GHzである。
【0029】
BTの波長の4分の1(すなわち、120mm/4=30mm)のサイズを考えた場合においてさえも、より大きな追跡タグのサイズは、アンテナを収容するのに最小限必要とされる容積を通常は供給できない。製品の中へのアンテナの収容に加えて、隣接する構成要素や接地(ground)の容積を解決(clear)するのと同様に、アンテナのキャリア(例えば、PCBアンテナ、FR-4アンテナ、など)または可塑性のアンテナ(例えば、LDS-形式のアンテナ)の容積を分配(allot)することも必要である。大部分の追跡タグにおいて容積が不足するため、アンテナは、蛇行した(meandering)アンテナパターンを可塑性のキャリアに搭載したもの(例えば、チップアンテナなど)や、または他の技術によって小型化されてもよい。しかしながら、この小型化は、アンテナの能力を著しく低下させることがある。
【0030】
いくつかの実施形態では、アンテナは、理論的には3倍大きい製品に適合するはずである、約12mmの、UWB(チャンネル5)の1/4波長での動作(すなわち、46mm/4は、約12mmである)のために設計されてもよい。しかしながら、UWBの高い帯域幅要件(500MHz)に起因して、これらのアンテナは、広範囲である必要があり、これは、はるかに大きいアンテナに変換される(すなわち、より大きいアンテナサイズは、より大きい帯域幅をもたらす)。したがって、UWBを追跡タグ(例えば、追跡タグ10、12)にパッキングすることは、課題でありうる。しかしながら、本開示の実施形態は、これらの障害を克服するための解決策を供給する。
【0031】
図2は、位置トラッキングシステム(location tracking system)30(または位置特定システム(locating system))の1つの実施形態を示す模式図である。位置トラッキングシステム30は、様々な実施形態によれば、1つ以上の追跡タグ10、12および1つ以上の「探索デバイス(searching device)」を含んでいてもよい。例えば、探索デバイス(searching device)32の第1のタイプは、携帯デバイス(例えば、スマートフォン、携帯タブレットデバイス、ラップトップコンピュータ、など)であってもよく、また探索デバイス34の第2のタイプは分離して電気コンセント(electrical outlet)36に挿入されるデバイスであってもよく、および/または家、オフィス、ビルディングなどの一部分である別の種類の電源に取り付けされる(attached)デバイスであってもよい。
【0032】
1つ以上の追跡タグ10、12のそれぞれは、前面カバー14および背面カバー16を含んでいてもよい。それぞれの追跡タグ10、12は、また、Bluetooth(BT)周波数範囲および超広範囲(UWB)周波数範囲の少なくとも1つを操作するように構成された無線周波数(Radio Frequency)(RF)回路(circuitry)のような内部構成要素(internal component)を含んでいてもよい。前記内部構成要素は、また、第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートを有する圧電デバイス(例えば、ブザー、スピーカ)を含んでいてもよい。RF回路は、本開示の様々な実施形態によれば、前面カバー14、背面カバー16、第1の導電性プレート(図2には示されていない)、および第2の導電性プレート(図2には示されていない)の少なくとも1つを1つ以上のアンテナとして用いるように構成されてもよい。1つ以上の探索デバイス32、34のそれぞれは、1つ以上の追跡タグ10、12との、1つ以上のBT通信およびUWB通信を用いて、1つ以上の追跡タグ10、12の位置を特定(locate)するように構成されてもよい。
【0033】
加えて、位置トラッキングシステム30は、ある実施形態では、通信のために携帯電話タワー、衛星などを利用してもよい。1つ以上の追跡タグ10、12のそれぞれは、開口部(opening)18、20、粘着(adhesive)、テープ、面ファスナー要素(例えば、ベルクロ(Velcro)(登録商標))のような、または他の適切な、追跡される物品(item to be tracked)への取り付け手段(means for attachment)を含んでいてもよい。ここでも、1つ以上の探索デバイス32、34は、それぞれスマートフォン32、ポッドデバイス34、ラップトップコンピュータ、または他の適切なワイヤレス通信デバイスであってもよく、それぞれの探索デバイスは独立して1つ又はそれ以上の追跡タグ(例えば、追跡タグ10、12)を発見し/位置を特定するように動作する。
【0034】
本開示の位置トラッキングシステム30により、鍵、バックパック、財布、TVリモートコントローラ、などの、容易に紛失あるいは置き忘れたりされうる物品を追跡し、位置を特定することが可能である。それぞれの追跡タグ10、12は独立して、探索デバイス32、34の使用により物品を検索する助けとなるそれらのどのような物品にも取り付けられることが可能である。いくつかの実施形態では、追跡タグ10、12はブザー、スピーカ、または他のオーディオ出力機構を含んでいてもよく、これによって、探索デバイス32、34がトリガーされると(例えば、デバイス上のまたはアプリのボタンを押すことによって)、BTおよび/またはUWB通信は追跡タグ10、12とリンクして、ユーザを正しい場所に舵取り(steer)することができる音(例えば、ブザー音、ビープ音、口頭音など)を生成してもよい。いくつかの場合には、前記オーディオシステムは、(追跡タグ10、12または探索デバイス32、34のいずれのものでも)ユーザが紛失物品に近づくにつれてオーディオ出力のトーン、音量、などを変えてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、位置トラッキングシステム30は、探索デバイス32、34と追跡タグ10、12との間の距離の検出を可能にする機能を含んでいてもよい。この距離情報はユーザに通信されることができる(例えば、スマートフォン32の画面に表示されるなど)。また、いくつかの実施形態は、UWG通信技術を用いうる、ユーザに物品を発見するための正しい方向を示すための方角の検出を可能にしてもよい。いくつかの実装形態によれば、位置トラッキングシステム30は、様々なデバイス(例えば、追跡タグ10、12、探索デバイス32、34)がオフラインである場合にも追跡することを可能にしてもよい。
【0036】
図3は、追跡タグ40(例えば、追跡タグ10、12または他の追跡タグ)の一実施形態を示す。図3は、その構造を示す分解側面図である。この実施形態では、追跡タグ40は、少なくとも前面カバー(front cover)42(図3の下部に示す)と背面カバー(back cover)44(図3の上部に示す)を含む。図1の前面カバー14および背面カバー16と同様に、図3の追跡タグ40の前面および背面カバー42、44は互いに嵌合(snap)するように構成されてもよく、これにより水または他の要素がハウジングの内部に入るのを防ぐような構成を含んでもよい。例えば、前面および背面カバー42、44は、これらの部品を互いに連結する共嵌合機構(snap-together features)(例えば、タブ、ポケット、など)を含んでいてもよい。これらの共嵌合機構は、また、ユーザが必要なときにバッテリを交換できるように、ハウジングの開口を可能にしてもよい。
【0037】
加えて、追跡タグ40は、図示されているように、バッテリセクション(battery section)46と、回路セクション(circuitry section)48と、圧電セクション(piezo section)50とを含む。具体的には、バッテリセクション46は、図示のように、第1の非導電性(非金属)スペーサ52、導電性シールド54、第2の非導電性スペーサ56、およびバッテリ58を含む。いくつかの実施形態では、第1および第2の非導電性スペーサ52、56は、第1のギャップ(gap)が背面カバー44と導電性シールド54の間に形成され、第2のギャップが導電性シールド54とバッテリ58の間に形成されるように、省略されてもよい。バッテリ58は交換可能な3Vのコイン型のバッテリ(例えば、CR2032)であってもよい。
【0038】
追跡タグ40の回路セクション48は、プリント回路基板(PCB)60(例えば、RF基板(RF board)、カード、基板(board)など)を含む。いくつかの代替的な実施形態では、PCB60はハウジング内部の利用可能な空間に適合するように、レーザ直接構造(Laser Direct Structuring)(LDS)デバイスと交換されてもよい。BT無線機(BT radio)62、UWB無線機(UWB radio)64、および圧電ドライバ(piezoelectric driver)66は、PCB60の両方の側面に配置されてもよい。図では単純化のために、BT無線機62はPCB60の背面に示されていて(すなわち、図3に示すようにPCBの上部)、またUWB無線機64および圧電ドライバ66はPCB60の前面側に示されており、しかしながら構成要素(components)62、64、66はいずれの側面にどのような組み合わせであってもよいことを理解されたい。
【0039】
回路セクション48は、さらに、高周波をチョーク(choking)する(例えば、絶縁する、抑制する、遮断する(isolating、suppressing、blocking))ためのインダクタ(inductor)68、70と、低周波(またはDC)を遮断するためのキャパシタ(capacitor)72、74とを含む。回路セクション48は、また、第1のアンテナを介してのBT通信を可能にするためのBT供給マッチング回路76およびショートマッチング回路78を含む。回路セクション48は、また、第2のアンテナを介してのUWB通信を可能にするためのUWB供給マッチング回路80とUWBショートマッチング回路82を含む。いくつかの実施形態では、回路セクション48は、また、両方のアンテナ上でのダイバーシティ(in diversity)および/または到来角(Angle of Arrival)(AOA)モードでのUWB通信を可能にするダイプレクサ(diplexer)84およびUWBスイッチ86を含んでいてもよい。構成要素(component)68、70、72、74、76、78、80、82、84、86は、PCB60に接続されるか、またはその上に形成されていてもよい。
【0040】
追跡タグ40の圧電セクション50は、第1の導電性(例えば、金属製)プレート90と、第2の導電性(例えば、金属製)プレート92、および、2つの導電性プレート90および92の間に挟まれる(sandwiched)非導電性(例えば、誘電体(dielectric))プレート94を含んでいてもよい、圧電デバイス(piezoelectric device)88を含む。
【0041】
BT供給マッチング回路76およびショートマッチング回路78は、BT無線機62と背面カバー44との間に、BT信号のインピーダンス特性を背面カバー44と整合(matching)させるために構成され、BT無線機62から背面カバー44への効率のよい電力伝達を可能にする。この点で、背面カバー44は導電性の材料(部分的にまたは全体に)を含んでいてもよく、BTアンテナとして作用してもよい。いくつかの実施形態では、背面カバー44はそこでアンテナとして作用するように形成された導電性の材料と共に非導電性の材料を含んでいてもよい。
【0042】
また、UWB供給マッチング回路80は、UWB無線機64と圧電デバイス88の第2の導電性プレート92の間に構成される。UWBショートマッチング回路82は、UWB無線機64またはPCB60と圧電デバイス88の第1の導電性プレート90の間に構成される。2つのUWB信号が2つの異なるアンテナに供給される実施形態においては、ダイバーシティおよび/またはAOAモードを可能にするために、UWB供給マッチング回路80は、順番にUWB無線機64に接続するUWBスイッチ86に接続してもよい。この構成では、UWBスイッチ86はまた、ダイプレクサ84に接続される。ダイプレクサ84は、BT信号とUWB信号を背面カバー44に通信可能にするように構成される。例えば、ダイプレクサ84は、周波数ドメイン多重化(frequency-domain multiplexing)を実装するように構成されてもよい。第1の(低周波数)ポートは、BT無線機62からBTフィードを受信し、第2の(高周波数)ポートは、UWB無線機64からUWBフィードを受信する。これらのダイプレクサ84の2つのポートは、第1のアンテナ(背面カバー44)を励起するために、第3のポートに組み合わされるか、または多重化される。BTおよびUWBは、異なる周波数帯を占める(occupy)ため、BTおよびUWB信号は、互いを妨害(interfering)することなく出力ポートに存在することができる。
【0043】
したがって、追跡タグ40が第1の動作モードを含んでいてもよい実施形態では、単一の周波数範囲が利用され(例えば、BTまたはUWBのいずれか)、第2の動作モードは、2種の周波数範囲(例えば、BTおよびUWB)が2種の異なるアンテナにおいて使用され、第3の動作モードではBTおよび第1のUWB信号が第1のアンテナで利用され、第2のUWB信号が第2のアンテナで使用され、第4の動作モードではUWBと第1のBT信号が第1のアンテナで使用され、第2のBT信号が第2のアンテナまたは他の多様なBTおよびUWBの利用の組み合わせで1つ以上のアンテナにおいて使用される。BT無線機62は、BT信号を1つまたは両方のアンテナに供給しうる(例えば、背面カバー44および圧電デバイス88の第2の導電性プレート92)こと、およびUWB無線機64はUWB信号を1つのまたは両方のアンテナに供給するように構成されうることに注意されたい。したがって、BT無線機62およびUWB無線機64は、図3に描かれている配置に対して交替(switch)されることが可能である。
【0044】
したがって、BTおよびUWBアンテナは、追跡タグ40の既に存在する部分に完全に組み込まれるまたは埋め込まれるように設計されうる。よって、背面カバー44は、通常、追跡タグ40の内部の部品を保護するハウジングの一部として機能するが、すでに導電性の要素で構成されてもよく、したがって第1のアンテナとして使用されてもよい。また、圧電デバイス88の第2の導電性プレート92は、通常は音(またはノイズ)を発生するように使用されてもよく、さらに第2のアンテナとしても使用されうる。マッチング回路76、78、80、82では、これらの要素はアンテナを兼ねることができる。言い換えれば、これらは通常の役割(regular duties)を実行し、加えて、BTおよび/またはUWBアンテナとしても使用されうる二重用途デバイスである。いくつかの実施形態では、圧電デバイス88はUWBのために使用可能であり、また背面カバー44はBTのために使用することができる。しかしながら、上述のように、これらの役割は、組み合わされ、逆転されたりなどしてもよい。
【0045】
背面カバー44は、金属であってもよく、また審美的または美粧的な特徴を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、バッテリセクション(battery section)46は、層状の非導電性および導電性のスペーサ52、54、56またはギャップを含んでいてもよい。これらの要素52、54、56は、アンテナを作成するための追加の部品が不要であるような構成において用いられてもよい。追跡タグ40は、BTアンテナと2つのUWBアンテナ(例えば、ダイバーシティおよび/または到来角のための)をサポートするための新規なアンテナの設計を含む。
【0046】
図4Aは、図3の追跡タグ40の一部分を含む電気回路100の一実施形態を示す模式図である。この実施形態では、電気回路100は、圧電セクション50とUWB通信に関する回路セクション48を含む。図示されるように、圧電ドライバ66は、圧電デバイス88の第1と第2の導電性プレート90、92にパルス信号を供給するためのパルス波発生器として実装される。また、UWB無線機64は、この実施形態ではUWB供給マッチング回路80とDC遮断キャパシタ74を介して、前面カバー42に隣接して配置されうる第2の導電性プレート92にUWB無線信号を供給する正弦波発生器(sinusoidal wave generator)として、実装される。いくつかの実施形態では、UWB無線信号は、UWBスイッチ86(図4Aには示されていない)を通過してもよい。UWB無線信号は、誘電体プレート94(キャパシタンス(capacitance)を有する)を通過し、第1の導電性プレート90を通過し、DC遮断キャパシタ72を通過し、ショートマッチング回路82を通過し最終的にRF基板60の接地端子(ground terminal)に戻る回帰経路(return path)を含む。高周波遮断インダクタ(またはチョーク)70は、実質的に、圧電ドライバ66に向かうこの回帰信号の経路を遮断することに注意されたい。
【0047】
図4Bは、図3の追跡タグ40の一部を含む電気回路110の一実施形態を示す模式図である。この実施形態では、電気回路110は、背面カバー44およびBT通信に関する回路セクション48の部分を含む。図示のように、BT無線機62は、BT無線信号を、BT供給マッチング回路76を介して、無線伝送のための導電性アンテナ構造を含む背面カバー44に供給する正弦波発生器として、実装される。回帰信号は、ショートマッチング回路78を介して供給され、RF基板60の接地端子に戻る。
【0048】
図4Aおよび図4Bの実施形態では、2つのアンテナが、RF基板60の共通の接地端子の反対側に配置される。この実施形態のUWBアンテナは、誘電体を間に有する平行なプレートを含む。RFチョークおよびDCブロック(RF choke and DC blocks)は、UWB伝送とオーディオ(例えば、ブザー)圧電動作を同時に行うために利用される。
【0049】
本開示の様々な実施形態によれば、追跡タグ40は、金属製(プラスチックとは対照的に)の上面および底面のカバーを有してもよい。いくつかの実施形態では、前記カバーは、全部が金属製で、さらになおハウジング外部で放射をするアンテナを有していてもよい。この実施形態では、1つ以上のアンテナの一部として、圧電システムを使用してもよい。追跡タグ40は、UWBのみ、BTのみ、またはBTとUWBの組み合わせを使用してもよい。アンテナ電流の経路は、圧電要素(piezoelectric element)88の誘電体プレート94の片面に入り、それから誘電体プレート94を通過して、圧電要素88のもう一方の面の第2の金属プレート(例えば、第1の導電性プレート90)に容量的に結合(capacitively couple)する。チョーク68、70は、RFアンテナ信号をオーディオ周波数圧電ドライバ(audio frequency piezoelectric driver)66から絶縁するのに使用される。
【0050】
UWB供給マッチング回路80内のチューニング要素は、圧電ベースアンテナを正しい周波数で共振させるために使用される。ショート結合(shorting connection)(例えば、UWBショートマッチング回路82を含む)は、圧電ベースアンテナのチューニングを助けるために使用される。前記ショート結合は、RF信号の通過を可能にするために遮断キャパシタ72を含んでもよく、しかし、オーディオ周波数(より低い周波数)圧電信号を遮断する。前記ショート結合は、チューニング要素(例えば、UWBショートマッチング回路82)を有してもよい。ショートの位置取りは、アンテナをチューニングするために調整されることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、ハウジング(例えば、前面カバー42および背面カバー44)は、金属製の外装ケースであってもよい。いくつかの実施形態では、前面カバー42は、圧電要素88の第2の導電性プレート92に直接接続することができる。他の実施形態では、前記金属のケースは、導電性プレート92から、非導電性の材料によって絶縁(isolated)されていてもよい。この場合は、金属製ハウジングは、八木型アンテナの動作といくらか同じように、寄生要素(parasitic element)として動作することができる。
【0052】
様々な実施形態によれば、前面カバー42および/または背面カバー44は、図3に示す前面カバー42および背面カバー44の位置を逆にすることなどによって、BTアンテナとして動作してもよい。背面カバー44のチューニングは、RFフィード(例えば、BT無線機62およびBT供給マッチング回路76)から背面カバー44までの正しい距離に配置された短絡(short)によって行われる。したがって、短絡およびフィードは、それぞれチューニング要素(tuning elements)を有することができる。背面カバー44は、金属スペーサ54によって電池から絶縁されていてもよい。金属スペーサ54は、背面カバー44から伝送されるRF信号の結果としてバッテリ58にかかる電流を低減する反射器(reflector)として動作する。
【0053】
いくつかの実施形態では、フィード経路(feed path)は、ばね荷重ポゴピン(spring loaded pogo pins)、ばねクリップ(spring clips)、はんだ接続(solder connections)、および他の好適な要素の使用によって達成されてもよい。放射パターン(Radiation pattern)は、プレートの縁部(edge)に集中してもよく、これは、ユーザがタグを自身の指で保持する際の影響を最小限に抑えることができる。追跡タグ40は、フィード(feeds)を縁部の近くに含んでもよく、これは放射電流(radiating currents)が縁部の周辺に流れるのを助ける事ができる。ある実施形態では、さらなる実装形態のデザインにより、バッテリ58のケーシングは放射要素(radiating element)として用いることができる。
【0054】
また、図3、4A、および4Bの実施形態は、ある特徴および代替(features and alternatives)を含んでもよい。例えば、BTアンテナおよび/またはUWBアンテナは、すでに存在する追跡タグ40の部品の中に完全に埋め込まれていてもよい。特に、圧電要素88はUWBおよび/またはBTとして用いられてもよい。前面カバー42および背面カバー44は、ハウジングの部品の前部または一部の上部または内部に導電性(例えば、金属製)の材料を含んでいてもよい。いくつかの場合には、前面カバー42および背面カバー44は審美的または美粧的な特徴、ロゴ、等を含んでいてもよい。カバー42、44は、導電性または非導電性のプレートおよび/または導電性または非導電性のギャップ/スペーサを含んでいてもよい。いくつかの部品は、アンテナを作成するための追加の部品を含む必要がない構成に用いられることができる。
【0055】
したがって、本開示は、すでに存在する追跡タグの部品を用いてUWBおよび/またはBT通信を可能にすることができる、様々な実施形態を供給する。携帯式のトラッカーデバイスでは、いくつかの実装形態では、前面カバーおよび背面カバーを有するハウジングを含んでいてもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、また、Bluetooth(BT)周波数範囲および超広範囲(UWB)周波数範囲の少なくとも1つで動作するように構成された無線周波数(Radio Frequency、RF)回路を含んでいてもよい。また、携帯式のトラッカーデバイスは、第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートを有する圧電デバイスを含んでいてもよい。RF回路は、前面カバー、後部カバー、第1の導電性プレート、および第2の導電性プレートのうちの少なくとも1つを1つ以上のアンテナとして利用するように構成される。いくつかの実装形態では、圧電デバイスは、さらに第1の導電性プレートと第2の導電性プレートとの間に配向された(oriented)誘電体プレートを含んでいてもよい。さらに、圧電デバイスは、可聴信号(audible signal)を生成して携帯式のトラッカーデバイスの位置を明らかにするためのブザーまたはスピーカとして構成されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、携帯式のトラッカーデバイスのハウジングの背面カバーは、導電性の材料を含んでいてもよく、それにより、背面カバーは、1つ以上のアンテナの第1のアンテナとして構成される。RF回路は、第1のアンテナをBT通信に使用するように構成されてもよい。圧電デバイスの第2の導電性プレートは、ハウジングの前面カバーに隣接して位置してもよく、また1つ以上のアンテナの第2のアンテナとして構成されてもよい。RF回路は、さらに第2のアンテナをUWB通信に用いるように構成される。いくつかの実施形態では、ハウジングの前面カバーは、導電性の材料を含んでいてもよく、また圧電デバイスの第2の導電性プレートに直接結合していてもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、UWBスイッチおよびダイプレクサを含んでいてもよい。UWBスイッチは、UWBフィードをRF回路から受け取り、第1および第2のUWBフィードを生成するように構成されてもよい。第1のUWBフィードは、ダイプレクサに供給されてもよく、そして第2のUWBフィードは、圧電デバイスの第2の導電性プレートに供給されてもよい。ダイプレクサは、BTフィードをRF回路から受け取り、また第1のUWBフィードをUWBスイッチから受け取り、それによってハウジングの背面カバーに供給される混合フィードを生成するように構成されてもよい。
【0057】
いくつかの実装形態によれば、携帯式のトラッカーデバイスは、圧電デバイスの第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートと電気的に通信する圧電ドライバをさらに含んでいてもよい。例えば、圧電ドライバは、圧電デバイスを駆動する(drive)ための信号パルスを供給するように構成されてもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、さらにRF回路および圧電ドライバに電力を供給するように構成されたバッテリを含んでいてもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、また、第1と第2のインダクタを含んでいてもよく、ここで第1のインダクタは実質的に第1の導電性プレートのRF信号を圧電ドライバのオーディオ信号から絶縁するように構成されてもよい。
【0058】
また、前面カバー、背面カバー、第1の導電性プレート、および第2の導電性プレートの少なくとも1つは、上述のように、1つ以上のアンテナとして用いられてもよく、また専用のアンテナ構造体を有しないように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、携帯式のトラッカーデバイスは、さらにフィードマッチング回路とショートマッチング回路を含んでいてもよい。フィードマッチング回路は、BTおよびUWB周波数を1つ以上のアンテナで適合(matching)するように構成されてもよく、ショートマッチング回路は、1つ以上のアンテナをグランド(ground)に適合するように構成されてもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、さらに第1および第2のキャパシタを含んでいてもよい。例えば、第1のキャパシタは、実質的に第1の導電性プレートのオーディオ周波数信号をショートマッチング回路から絶縁するように構成されてもよく、第2のキャパシタは、実質的に第2の導電性プレートのオーディオ周波数信号をフィードマッチング回路から絶縁するように構成されてもよい。
【0059】
ハウジングの背面カバーは、導電性の材料を含んでいてもよく、圧電デバイスの第2の導電性プレートと平行に配向されて、八木型アンテナを形成してもよい。携帯式のトラッカーデバイスは、また、バッテリおよびバッテリホルダを含んでいてもよい。バッテリは、RF回路に電力を供給するように構成されてもよく、またバッテリホルダは、バッテリと、バッテリを背面カバーから分離する1つ以上の導電性および非導電性のプレートの層とを支持するように構成されてもよい。1つ以上の前面カバーおよび背面カバーは、1)非導電性の材料および2)非導電性の材料上に形成されたレーザ直接構造化(Laser Direct Structuring)(LDS)導電性パターン、導電性テープ、および/または導電性トレースを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、携帯式のトラッカーデバイスは、また、RF回路と1つ以上のアンテナとの間の電気的通信を可能にするように構成された1つ以上のポゴピン(pogo pins)を含んでいてもよい。
【0060】
上述の携帯式のトラッカーデバイスに加えて、本開示は、さらにアンテナアセンブリの実施形態を供給する。1つの実施形態では、1つのアンテナアセンブリは、携帯式の電気的デバイスのハウジングの1つ以上の前面カバーと背面カバーを含んでいてもよい。アンテナアセンブリは、また、圧電デバイスの1つ以上の第1の導電性プレートおよび第2の導電性プレートを含んでいてもよい。この実施形態では、RF回路は、Bluetooth(BT)周波数範囲および超広範囲(UWB)周波数範囲の少なくとも1つの内で動作するように構成されてもよい。また、RF回路は、前面カバー、背面カバー、第1の導電性プレート、および第2の導電性プレートの少なくとも1つを1つ以上のアンテナとして用いるように構成されてもよい。アンテナアセンブリの追加の実施形態においては、ハウジングの背面カバーは、導電性の材料を含んでいてもよく、1つ以上のアンテナの第1のアンテナとして構成されてもよい。圧電デバイスの第2の導電性プレートは、ハウジングの前面カバーに隣接して位置してもよく、1つ以上のアンテナの第2のアンテナとして構成されてもよい。また、RF回路は、BT通信用に第1のアンテナを使用し、UWB通信に第2のアンテナを使用するように構成されてもよい。
【0061】
図5A-5Cは、図3に示されるバッテリ58を支持するバッテリホルダと、対応する導電性プレートおよび非導電性プレートの様々な実施形態の断面側面図を図示する略図である。いくつかの実施形態では、非導電性プレートは、空隙またはギャップで置き換えられてもよい。また、図は、部分的な分解図を表してもよく、ある場合には、隣接する層は、製造の途中に、お互いに接続するように配置されてもよい。
【0062】
図5Aに示されるように、バッテリセクション120(図3に示すバッテリセクション46と比較する)は、非導電性でもよい(例えば、プラスチック)バッテリホルダ122を含む。バッテリ58は、図示のようにバッテリホルダ122の底部に配置されてもよい。この実施形態では、バッテリホルダ122は、導電性プレート54をバッテリ58から任意の距離をもって保持するように構成された支持体124を含んでいてもよい。非導電性プレート52は、導電性プレート54の上方に、背面カバー44と隣接して配置される。この実施形態では、非導電性プレート56は、省略され、導電性プレート54とバッテリ58との間に設けられるギャップで置き換えられる。
【0063】
図5Bに示されるように、バッテリセクション130(図3に示すバッテリセクション46と比較する)は、非導電性でもよい(例えば、プラスチック)バッテリホルダ132を含む。バッテリ58は、図示のように、バッテリホルダ132の底部に配置されてもよい。この実施形態では、バッテリホルダ132は、第1の支持体134および第2の支持体136を含んでいてもよい。第1の支持体134は、導電性プレート54をバッテリ58から任意の距離をもって保持するように構成されてもよい。第2の支持体136は、導電性プレート54と背面カバー44とが距離を有するように構成される。この実施形態では、非導電性プレート52、56は、省略されてもよく、そして背面カバー44と導電性プレート54とバッテリ58との間に設けられるギャップで置き換えられてもよい。
【0064】
図5Cに示されるように、バッテリセクション140(図3に示すバッテリセクション46と比較する)は、非導電性でもよい(例えば、プラスチック)バッテリホルダ142を含む。バッテリ58は、図示のように、バッテリホルダ142の底部に配置されてもよい。この実施形態では、バッテリホルダ142は、支持体143を含んでいてもよい。また、バッテリホルダ142は、非導電性の層146と導電性の層148を含んでいてもよい蓋(lid)144を含む。例えば、非導電性の層146はバッテリホルダ142の中に構成されてもよく、導電性の層148は導電性パターン(例えば、LDS)、導電性テープ(例えば、銅、アルミニウムなど)などでもよい。導電性の層148とバッテリの間には、ギャップが設けられてもよい。また、もし必要であれば、支持体143は、蓋144と背面カバー44との間に距離を設けるように構成されてもよい。この実施形態では、非導電性プレート52、56は、省略されてもよく、そして背面カバー44と蓋144とバッテリ58との間に設けられるギャップで置き換えられてもよい。
【0065】
図6Aおよび図6Bは、背面カバー44(図3に示す背面カバー44と比較する)の実施形態の側断面図を示す図である。図6Aにおいて、背面カバー150は、非導電性の層152(例えば、非金属性の層、プラスチックの層など)が非導電性の層152の底部の面に形成された導電性の層154を有する第1の実施形態である。導電性の層154は、LDS導電パターン、導電テープ、銅、アルミニウムなどであってもよい。この場合、非導電性の層152は外部環境に露出する。
【0066】
図6Bにおいて、背面カバー160は、非導電性の層162が非導電性の層162の上面に形成された導電性の層164を有する第2の実施形態である。導電性の層164は、LDS導電パターン、導電テープ、銅、アルミニウムなどであってもよく、外部環境に露出してもよい。この実施形態では、アクセスエリア(access area)166は、電気構成要素(electrical components)(例えば、BT無線機62、BT供給マッチング回路76、ショートマッチング回路78など)への電気的なアクセスを供給するために非導電性の層162の内部に設けられてもよい。好適な電気接続(例えば、ポゴピン)が、電気的回路と導電性の層164との間に、導電性の層164がアンテナとして作用することを可能にするように、配置されてもよい。
【0067】
図7Aおよび図7Bは、図3に示す前面カバー42および圧電セクション50の実施形態の側断面を示す図である。図は、いくつかの要素を部分分解図で示しており、いくつかの実施形態における隣接する層は、互いに接触して配置されてもよい。
【0068】
図7Aでは、前面カバー170は、(図3に示す前面カバー42と比較して)金属などの導電性の材料を含んでもよく、または、LDS、導電性テープ、または非導電性物質の上に配置された他の好適な導電性パターンまたは要素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、前面カバー170の導電性部分またはその一部は、アンテナとして作用してもよい第2の導電性プレート92と接触するように配置されてもよい。この点で、前面カバー170の導電性部分が第2の導電性プレート92の導電性部分と接触しているとき、前面カバー170は、アンテナまたはこのアンテナの一部としても作用してもよい。
【0069】
図7Bでは、前面カバー180は、(図3に示す前面カバー42と比較して)非導電性の層(例えば、非金属材料、プラスチック、など)を含んでいてもよく、また非導電性の層182の上面に設けられた導電性の層184を含んでいてもよい。この点で、非導電性の層182は、外部環境に露出してもよい。導電性の層184は、例えば金属のような導電性の材料を含んでいてもよく、または、LDSのパターン、導電性テープのパターン、または導電性の層、または、非導電性の層182の非導電性の材料の上に配置された好適な導電性のパターンまたは要素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、導電性の層184の部分は、アンテナとして作用してもよい第2の導電性プレート92と接触するように配置されてもよい。この点で、前面カバー180の導電性の層184が第2の導電性プレート92の導電性部分と接触しているとき、前面カバー180は、アンテナまたはこのアンテナの一部として作用してもよい。
【0070】
図8Aは、図3に示される追跡タグ40および図4AのUWBアンテナが動作している時の対応する電流を示す。例えば、追跡タグ40は、チャンネル5(すなわち、約6.25GHzから約6.75GHzの間の周波数範囲であり、6.50GHz付近を中心とする)およびチャンネル9(すなわち、約7.75GHzから約8.25GHzの間の周波数範囲であり、8.00GHz付近を中心とする)のような2つのUWB動作を供給するように構成されてもよい。図8Aのより大きい矢印は、より大きい電流を表し、より小さい矢印は、より小さい電流を表す。破線矢印は、電界(例えば、圧電プレートの間)を表す。
【0071】
図8Bは、図3に示される追跡タグ40および図4BのBTアンテナが動作している時の対応する電流を示す。例えば、追跡タグ40は、BTおよびUWBの両方の動作を供給するように構成されてもよく、これにより、UWB無線機64が2つのUWB信号を供給するとき、UWBスイッチ86は、UWB信号の第1のセットをダイプレクサ84に送信し、UWB信号の第2のセットをUWB供給マッチング回路80に送信する(図8Aに関して述べられたUWB操作のために)ように構成される。この実施形態におけるUWB信号の第1のセットは、BT無線機62からのBT信号と組み合わされて、背面カバー44を使用するアンテナ配置に関して、BT通信とUWB通信の両方を供給してもよい。したがって、二重の範囲の動作は、約2.40GHzの周波数におけるBT信号と、それぞれ約6.5GHzまたは8.0GHzを中心とするチャンネル5またはチャンネル9の周波数におけるUWB信号とを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、1つ以上の金属スペーサ(例えば、導電性プレート54)は、背面カバー44を、損失性(lossy)が高いかもしれないバッテリ58から、遮蔽(shield)する反射器として作用してもよい。その結果として、より少ない電流がバッテリ58に誘起される。再び、より大きい矢印は、より大きい電流を表し、より小さい矢印は、より小さい電流を表す。UWB信号の第2のセットは、また、BTショートマッチングを供給することができるショートマッチング回路78とともに動作するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、しかしながら、ショートマッチング回路78は、1つ以上のBT、Wi-Fi、Zigbee、または他のプロトコールに関わる動作を可能とするスイッチと置き換えられてもよい。UWBスイッチ86は、いくつかの実施形態では、UWBダイバーシティスイッチ(UWB diversity switch)または到来角(Angle of Arrival)スイッチであってもよい。代わりに、UWB無線機64は、2つのアンテナポートを有することができ、この場合には、いくつかの実施形態では、UWBスイッチ86は省略されてもよい。
【0073】
図9は、追跡タグ40の分解透視図である。図10は、追跡タグ40の一部分を示す図であり、追跡タグ40のアンテナに接触するためのポゴピン190、192を示す。これらの実施形態では、追跡タグ40は、ポゴピン190、192が非導電性バッテリホルダ(例えば、バッテリホルダ120、130、140)に挿入されていてもよいスタックアップ実装(stack-up implementation)を含んでいてもよい。ポゴピン190、192は、両方向(例えば、前後)に延在して、ポート194、196のそれぞれでRF基板60に1つの末端で接触し、そして背面カバー44にポート198、200のそれぞれで他方の末端で接触するように構成される。いくつかの実施形態では、ばねフィンガ(spring finger)(図示せず)は、第2のUWB信号のセットを第2の導電性プレート92へのフィーディング(feeding)(励起)(exciting)のために用いて、前面に位置するUWBアンテナ(例えば、第2の導電性プレート92を用いる圧電アンテナ)に接触するように設計されてもよい。例えば、UWB(およびBT)周波数では、大きな寄生容量(parasitic capacitance)により、二枚のプレートは、電気的にショートしていてもよい。
【0074】
追跡タグ40の動作は、任意の(certain)パターンで、それぞれのアンテナからの放射(radiation)を含んでいてもよいことに注意されたい。大部分の放射は、背面カバー44の縁部の上の電流によるものであってもよい。背面カバー44の外部表面の電流は、背面カバー44の縁部の電流と比較して、有意ではないものであってもよい。圧電ベースのアンテナに関して、第2の導電性プレート92の電流は、UWB放射に貢献してもよい。大部分の放射は、金属プレートの底部の電流によるものである。
【0075】
2.4GHzにおけるBTのための放射パターンは、ダイポールアンテナ(dipole antenna)に類似していてもよく、および/または、2つのヌル(null)を対側に有する、無指向性アンテナ(omni-directional antenna)に近いものであってもよい。6.5GHzにおける第1のUWBアンテナ(例えば、背面カバー44を利用する)のための放射パターンは、パッチアンテナ(例えば、前面から背面への放射では低く、大部分は背面カバー44の下方から離れる方向)に似ていてもよい。6.5GHzにおける第2のUWBアンテナ(例えば、圧電要素88を利用する)のための放射パターンは、パッチアンテナ(例えば、前面から背面への放射では低く、大部分は第2の導電性プレート92の下方から離れる方向)に似ていてもよい。
【0076】
図11および図12は、追跡タグ40の様々な部分の前面図である。バッテリホルダ120、130、140は、プラスチックから作製されてもよく、その特徴は、バッテリ58と背面カバー44との間のスペーサ/ギャップ(例えば、層52、56)を置換するのに用いられることができる。金属製のスペーサを、LDS、金属テープなどを使用してバッテリホルダ120、130、140に実装することができる。いくつかの実施形態では、これらの金属スペーサは、バッテリホルダ120、130、140の縁に組み込まれてもよい。
【0077】
LDS工程は、射出成型(injection molding)の工程において金属無機物質にドープされた(doped)熱可塑性の材料を用いてもよい。しかしながら、LDS工程のかわりに、追跡タグ40は、集積電気回路トレース(integrated electronic circuit trace)を有する成形回路部品(Molded Interconnect Device)(MID)でもよい。
【0078】
本開示は、様々な実施形態および例を参照して本開示で図示および説明されたが、他の実施形態および例が、同様の機能を実行し、同様の結果を達成し、および/または他の利点を提供してもよいことが当業者には容易に明らかであろう。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示で説明されるシステム、装置(apparatuses)、および方法に、修正、追加、または省略(omission)が行われてもよい。本開示の精神および範囲内に入る全ての同等又は代替の実施形態が、それによって企図され、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】