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  • 特開-化合物及びその複合体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065346
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】化合物及びその複合体
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/065 20060101AFI20230502BHJP
   C07K 5/062 20060101ALI20230502BHJP
   C07K 5/093 20060101ALI20230502BHJP
   C07K 5/103 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20230502BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20230502BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20230502BHJP
【FI】
C07K5/065 ZNA
C07K5/062
C07K5/093
C07K5/103
A61K47/64
A61P35/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023002495
(22)【出願日】2023-01-11
(62)【分割の表示】P 2021557758の分割
【原出願日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】62/826,393
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/964,177
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ハワード,フィリップ ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】ディッキンソン,ニオール
(72)【発明者】
【氏名】カイヨー,タイス
(72)【発明者】
【氏名】マスターソン,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ガウンドリー,ウィリアム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特異的トポイソメラーゼ阻害剤を含む標的化複合体、及びそれらの合成において有用な化合物を提供する。
【解決手段】式5:

[式中、RL*protは、Q-Prot(式中、Protは、アミン保護基である)であり、及びQは:Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択されるアミノ酸残基であるか;又は特定のジペプチド残基であるか;又は特定のトリペプチド残基であるか;又は特定のテトラペプチド残基である]を有する化合物。具体的には、例えばアリル((S)-1-(((S)-1-((4-アミノ-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメートである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、Rは、リガンド単位に接続されるリンカーであって、これは:
(ia):
【化2】
(式中、
Qは:
【化3】
(式中、Qは、Qがアミノ酸残基、ジペプチド残基、トリペプチド残基、又はテトラペプチド残基であるようなものである)であり;
Xは:
【化4】
(式中、a=0~5、b1=0~16、b2=0~16、c1=0又は1、c2=0又は1、d=0~5であり、ここで少なくともb1又はb2=0、少なくともc1又はc2=0である)であり;
は、リガンド単位;
(ib):
【化5】
(式中、RL1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択されるか、又はこれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン又はシクロブチレン基を形成し;
eは0又は1である)に接続されるリンカーである)から選択される]
を有する化合物、並びにその塩及び溶媒和物。
【請求項2】
が、式Iaのものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが:
(a)Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択されるアミノ酸残基であるか;又は
(b)
NH-Phe-Lys-C=O
NH-Val-Ala-C=O
NH-Val-Lys-C=O
NH Ala-Lys-C=O
NH-Val-Cit-C=O
NH-Phe-Cit-C=O
NH-Leu-Cit-C=O
NH-Ile-Cit-C=O
NH-Phe-Arg-C=O
NH-Trp-Cit-C=O、及び
NH-Gly-Val-C=Oから選択されるジペプチド残基であるか;又は
(c)
NH-Glu-Val-Ala-C=O
NH-Glu-Val-Cit-C=O
NH-αGlu-Val-Ala-C=O、及び
NH-αGlu-Val-Cit-C=Oから選択されるトリペプチド残基であるか;又は
(d)
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=O;及び
NH-Gly-Phe-Gly-GlyC=Oから選択されるテトラペプチド残基である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
aが:
(a)0~3であるか;又は
(b)0若しくは1であるか;又は
(c)0である、
請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
b1が:
(a)0~8であるか;又は
(b)0であるか;又は
(c)2であるか;又は
(d)3であるか;又は
(e)4であるか;又は
(f)5であるか;又は
(g)8である、
請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
b2が:
(a)0~8であるか;又は
(b)0であるか;又は
(c)2であるか;又は
(d)3であるか;又は
(e)4であるか;又は
(f)5であるか;又は
(g)8である、
請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
(i)c1が:
(a)0であるか;又は
(b)1であり;
(ii)c2が:
(a)0であるか;又は
(b)1であり;
ここで、c1及びc2のうちの少なくとも1つが0である、請求項2~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
dが:
(a)0~3であるか;又は
(b)1若しくは2であるか;又は
(c)2であるか;又は
(d)5である、
請求項2~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
(a)aが0であり、b1が0であり、c1が1であり、c2が0であり、dが2であり、b2が0、2、3、4、5、若しくは8であるか;又は
(b)aが1であり、b2が0であり、c1が0であり、c2が0であり、dが0であり、b1が0、2、3、4、5、若しくは8であるか;又は
(c)aが0であり、b1が0であり、c1が0であり、c2が0であり、dが1であり、b2が0、2、3、4、5、若しくは8であるか;又は
(d)b1が0であり、b2が0であり、c1が0であり、c2が0であり、a及びdのうちの一方が0であり、a及びdのうちの他方が1若しくは5であるか;又は
(e)aが1であり、b2が0であり、c1が0であり、c2が1であり、dが2であり、b1が0、2、3、4、5、若しくは8である、
請求項2~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】

【表1】
【表2】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基を表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択される、請求項2~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、GL1-1及びGL1-2から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、式Ibのものであり、且つ;
(a)RL1及びRL2はどちらもHであるか;又は
(b)RL1はHであり、RL2はメチルであるか;又は
(c)RL1及びRL2はどちらもメチルであるか;又は
(d)RL1及びRL2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン基を形成するか;又は
(e)RL1及びRL2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロブチレン基を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式IV:
L-(D (IV)
[式中、Lは、リガンド単位であり、Dは、式III:
【化6】
(式中、RLLは、
(ia’):
【化7】
(式中、Q及びXは、請求項1~9のいずれか一項において定義されるとおりであり、GLLは、リガンド単位に接続されるリンカーである);及び
(ib’):
【化8】
(式中、RL1及びRL2は、請求項1又は請求項12のいずれかにおいて定義されるとおりである)から選択される、前記リガンド単位に接続されるリンカーである)のものである薬物リンカー単位であり;
pは、1~20の整数である]
の複合体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【請求項14】
LLが、
【表3】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基を表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択される、請求項13に記載の複合体。
【請求項15】
LLが、GLL1-1及びGLL1-2から選択される、請求項14に記載の複合体。
【請求項16】
前記リガンド単位が、抗体又はその活性断片である、請求項13~15のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項17】
抗体(Ab)に対する薬物(D)の薬物積載量(p)が、1~約10の整数である、請求項16記載の複合体。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の複合体の混合物であって、抗体薬物複合体の前記混合物における1抗体当たりの平均薬物積載量が、約1~約10である、複合体の混合物。
【請求項19】
請求項13~18のいずれか一項に記載の複合体又は混合物と、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項20】
対象の増殖性疾患の治療に用いるための、請求項13~18のいずれか一項に記載の複合体若しくは混合物、又は請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記疾患が癌である、請求項20に記載の複合体、混合物、又は医薬組成物。
【請求項22】
医療的治療方法における、請求項13~18のいずれか一項に記載の複合体若しくは混合物、又は請求項19に記載の医薬組成物の使用。
【請求項23】
患者に、請求項19に記載の医薬組成物を投与することを含む、医療的治療方法。
【請求項24】
前記医療的治療方法が、癌の治療のためのものである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
単一のエナンチオマーとしての、又はエナンチオマーに富む形態の化合物A:
【化9】
【請求項26】
式VI:
【化10】
[Qは、請求項1又は3のいずれかにおいて定義されるとおりである]を有する化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特異的トポイソメラーゼ阻害剤を含む標的化複合体、及びそれらの合成において有用な化合物、並びに放出された弾頭に関する。
【背景技術】
【0002】
トポイソメラーゼ阻害剤
トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ(トポイソメラーゼI及びII)の作用をブロックする化合物であり、これは、正常な細胞周期中のDNA鎖のリン酸ジエステル骨格の切断及び再結合を触媒することによって、DNA構造の変更を制御する酵素の一種である。
【0003】
以下の化合物:
【化1】
(ラセミ体)は、欧州特許第0296597号明細書(実施例63)で開示されている。また、非特許文献1で(ラセミ体の化合物34として)開示されており、そこでは、その生物学的活性は、多くの関連化合物のものと一緒に議論されている。
【0004】
イリノテカン及びエキサテカン誘導体、並びにドキソルビシンなどの様々なトポイソメラーゼ阻害剤が、抗体薬物複合体に含まれている。例えば、第一三共には、臨床試験中のDS-8201a:
【化2】
[式中、抗体は、Her2(非特許文献2)である]がある。このADCは、エキサテカン誘導体:
【化3】
を放出する。
【0005】
非特許文献3は:
【化4】
の複合体を開示しており、これは、以下の構造:
【化5】
[式は、PABC(para-アミノベンジルオキシカルボニル)基を含む]
を有するアミノ基を介して連結されている。
【0006】
Immunomedicsには、臨床試験中のサシツズマブ・ゴビテカン(IMMU-132)がある(非特許文献4)。
【化6】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Sugimori,M.,et al.,J Med Chem,1998,41,2308-2318(DOI: 10.1021/jm970765q)
【非特許文献2】Takegawa,N.,et al.,Int J Cancer,2017,141,1682-1689(DOI:10.1002/ijc.30870)
【非特許文献3】Burke,P.J.,et al.,Bioconjugate Chem.,2009,20,1242-1250
【非特許文献4】Cardillo,T.M.,et al.,Bioconjugate Chem,2015,26(5),919-931,DOI:10.1021:acs.bioconjchem.5b00223
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一般的な態様では、本発明は、リガンド単位に接続されるリンカーを有する、以下のトポイソメラーゼ阻害剤誘導体(A、薬物単位):
【化7】
を含む複合体であって、リンカーが、開裂可能な方法でアミノ残基に結合している、複合体を提供する。リガンド単位は、好ましくは、抗体である。本発明はまた、連結単位が結合したA、及びそれらの合成のための中間体、並びに放出された弾頭を提供する。
【0009】
本発明の第1の態様は、式I:
【化8】
[式中、Rは、リガンド単位に接続されるリンカーであって、これは:
(ia):
【化9】
(式中、
Qは:
【化10】
(式中、Qは、Qがアミノ酸残基、ジペプチド残基、トリペプチド残基、又はテトラペプチド残基であるようなものである)であり;
Xは:
【化11】
(式中、a=0~5、b1=0~16、b2=0~16、c1=0又は1、c2=0又は1、d=0~5であり、ここで少なくともb1又はb2=0(すなわち、b1及びb2の一方だけが、0でない場合がある)であり、少なくともc1又はc2=0(すなわち、c1及びc2の一方だけが、0でない場合がある)である)であり;
は、リガンド単位;
(ib):
【化12】
(式中、RL1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択されるか、又はこれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン又はシクロブチレン基を形成し;
eは0又は1である)に接続されるリンカーである)から選択される]
を有する化合物、並びにその塩及び溶媒和物を含む。
【0010】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の化合物の製造方法であって、以下に示す方法ステップの少なくとも1つを含む、方法を提供する。
【0011】
第3の態様では、本発明は、式IV:
L-(D (IV)
[式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、Dは、式III:
【化13】
(式中、RLLは、
(ia’):
【化14】
(式中、Q及びXは、第1の態様において定義されるとおりであり、GLLは、リガンド単位に接続されるリンカーである);及び
(ib’):
【化15】
(式中、RL1及びRL2は、第1の態様において定義されるとおりである)から選択される、リガンド単位に接続されるリンカーである)のものである薬物リンカー単位であり;
pは、1~20の整数である]
の複合体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を提供する。
【0012】
したがって、複合体は、リンカー単位(すなわち、1つ以上の薬物-リンカー単位が結合したリガンド単位)によって少なくとも1つの薬物単位(A)に共有結合しているリガンド単位を含む。リガンド単位は、以下により完全に記載されており、標的部分に結合する標的薬剤である。リガンド単位は、例えば、細胞成分(細胞結合剤)に、又は目的の他の標的分子に特異的に結合し得る。したがって、本発明は、また、例えば、様々な癌及び自己免疫疾患の治療のための方法を提供する。これらの方法は、複合体の使用を包含し、ここで、リガンド単位は標的分子に特異的に結合する標的剤である。リガンド単位は、例えば、タンパク質、ポリペプチド若しくはペプチド、例えば、抗体、抗体の抗原結合断片、又は他の結合剤、例えば、Fc融合タンパク質であり得る。
【0013】
薬物積載量は、1リガンド単位(例えば、抗体)当たりの薬物単位の数pで表される。薬物積載量は、1リガンド単位(例えば、Ab又はmAb)当たり1~20の薬物単位(D)の範囲であり得る。組成物の場合、pは、組成物中の複合体の薬物積載量の平均を表し、pは、1~20の範囲である。
【0014】
本発明の第4の態様は、増殖性疾患を治療する医薬の製造における、本発明の第3の態様の複合体の使用を提供する。第4の態様はまた、増殖性疾患の治療に用いる、本発明の第3の態様の複合体も提供する。
【0015】
当業者であれば、候補の化合物がいかなる特定細胞型について増殖性病態を治療するか否かを、容易に決定し得る。例えば、特定化合物により提供される活性の評価に便利に使用し得るアッセイを、以下の実施例で記載する。
【0016】
Nakada,et al.,Bioorg Med Chem Lett,26(2016),1542-1545(DOI:10.1016/j.bmcl.2016.02.020)では、一連のADC:
【化16】
について議論しており、ADC(1)及び(2)の細胞毒性の低下は、腫瘍細胞内の分解酵素が作用する部位で放出された薬物部分の立体障害が原因である可能性があると結論付けている。この文書は、嵩高い放出された薬物部分からペプチド基が一定の間隔を置くことの重要性について教示している。対照的に、本発明では、ペプチド基は、嵩高い放出された薬物部分に直接連結している。
【0017】
本発明の第5の態様は、単一のエナンチオマーとしての、又はエナンチオマーに富む形態の化合物A:
【化17】
である。
【0018】
本発明の第6の態様は、式VI:
【化18】
[Qは、第1の態様において定義されるとおりである]を有する化合物である。
【0019】
定義
5~6アリーレン:用語「C5~6アリーレン」は、本明細書で使用する場合、芳香族化合物の芳香族環原子から2個の水素原子を除去することによって得られる二価部分に関する。
【0020】
本文脈において、接頭語(例えば、C5~6)は、炭素原子又はヘテロ原子にかかわらず、環原子数又は環原子数の範囲を示す。
【0021】
「カルボアリーレン基」のように、環原子は全て炭素原子であり得、その場合、基はフェニレン(C)である。
【0022】
或いは、環原子は、「ヘテロアリーレン基」のように、1個以上のヘテロ原子を含んでもよい。ヘテロアリーレン基の例としては、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
:ピロール(アゾール)(C)、ピリジン(アジン)(C);
:フラン(オキソール)(C);
:チオフェン(チオール)(C);
:オキサゾール(C)、イソオキサゾール(C)、イソキサジン(C);
:オキサジアゾール(フラザン)(C);
:オキサトリアゾール(C);
:チアゾール(C)、イソチアゾール(C);
:イミダゾール(1,3-ジアゾール)(C)、ピラゾール(1,2-ジアゾール)(C)、ピリダジン(1,2-ジアジン)(C)、ピリミジン(1,3-ジアジン)(C)(例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4-ジアジン)(C);及び
:トリアゾール(C)、トリアジン(C)。
【0023】
1~4アルキル:本明細書中で用いられる用語「C1~4アルキル」は、脂肪族でも脂環式でもよく、また、飽和でも不飽和(例えば、部分不飽和、完全不飽和)でもよい、1~4個の炭素原子を有する炭化水素化合物の1つの炭素原子から1つの水素原子を除去して得られる一価部分に関する。本明細書中で用いられる用語「C1~nアルキル」は、脂肪族でも脂環式でもよく、また、飽和でも不飽和(例えば、部分不飽和、完全不飽和)でもよい、1~n個の炭素原子を有する炭化水素化合物の1つの炭素原子から1つの水素原子を除去して得られる一価部分に関する。したがって、「アルキル」という用語は、以下に考察される、サブクラスのアルケニル、アルキニル、シクロアルキルなどを含む。
【0024】
飽和アルキル基の例としては、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)、及びブチル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
飽和直鎖アルキル基の例としては、メチル(C)、エチル(C)、n-プロピル(C)、及びn-ブチル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
飽和分枝鎖アルキル基の例としては、イソ-プロピル(C)、イソ-ブチル(C)、sec-ブチル(C)、及びtert-ブチル(C)が挙げられる。
【0027】
2~4アルケニル:本明細書中で用いられる用語「C2~4アルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有するアルキル基に関する。
【0028】
不飽和アルケニル基の例としては、エテニル(ビニル、-CH=CH)、1-プロペニル(-CH=CH-CH)、2-プロペニル(アリル、-CH-CH=CH)、イソプロペニル(1-メチルビニル、-C(CH)=CH)、及びブテニル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
2~4アルキニル:本明細書中で用いられる用語「C2~4アルキニル」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有するアルキル基に関する。
【0030】
不飽和アルキニル基の例としては、エチニル(-C≡CH)及び2-プロピニル(プロパルギル、-CH-C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
3~4シクロアルキル:本明細書中で用いられる用語「C3~4シクロアルキル」は、環式炭化水素(炭素環式)化合物の1個の脂環式環原子から1個の水素原子を除去して得られる一価部分であって、3~7個の環原子を含めた3~7個の炭素原子を有する、上記部分であり、シクリル基でもあるアルキル基に関する。
【0032】
シクロアルキル基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロパン(C)及びシクロブタン(C);並びに
不飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロペン(C)及びシクロブテン(C)。
【0033】
接続標識:式
【化19】
において、上付きの標識C(=O)及びNHは、原子が結合している基を示す。例えば、NH基は、カルボニル(図示された部分の一部ではない)に結合しているように示され、カルボニルは、NH基(図示された部分の一部ではない)に結合しているように示される。
【0034】

活性化合物の相当する塩、例えば、薬学的に許容可能な塩を調製、精製、及び/又は取り扱うことが、好都合である又は望ましい場合がある。薬学的に許容可能な塩の例は、Berge,et al.,J.Pharm.Sci.,66,1-19(1977)で議論されている。
【0035】
例えば、化合物がアニオン性であるか、又はアニオン性であり得る官能基を有する(例えば、-COOHは、-COOであり得る)場合、そうであれば、塩は、好適なカチオンで生成され得る。好適な無機カチオンの例としては、Na及びKなどのアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類カチオン並びにAl+3などの他のカチオンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機カチオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわちNH )及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH 、NHR 、NR )が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例としては:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、並びにリシン及びアルギニンなどのアミノ酸由来のものである。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例は、N(CH である。
【0036】
化合物がカチオン性であるか、又はカチオン性であり得る官能基を有する(例えば、-NHは、-NH であり得る)場合、そうであれば、塩は、好適なアニオンで生成され得る。好適な無機アニオンの例としては、以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸由来のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
好適な有機アニオンの例としては、以下の有機酸:2-アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタン二スルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及び吉草酸由来のものが挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリマー有機アニオンの例としては、以下のポリマー酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース由来のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
溶媒和物
活性化合物の相当する溶媒和物を調製、精製、及び/又は取り扱うことが、好都合である又は望ましい場合がある。「溶媒和物」という用語は、本明細書中、従来の意味で使用され、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の複合物を示す。溶媒が水である場合、溶媒和物は、都合よく、水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと称することができる。
【0039】
異性体
本発明の特定の化合物は、1つ以上の特定の幾何異性体、光学異性体、エナンチオ異性体、ジアステレオ異性体、エピ異性体、アトロプ異性体、立体異性体、互変異性体、配座異性体、又はアノマー異性体形態で存在することが可能であり、そのような異性体形態としては、シス及びトランス形態;E及びZ形態;c、t、及びr形態;エンド及びエキソ形態;R、S、及びメソ形態;D及びL形態;d及びl形態;(+)及び(-)形態;ケト、エノール、及びエノレート形態;シン及びアンチ形態;シンクリナル及びアンチクリナル形態;α及びβ形態;アキシャル及びエカトリアル形態;舟、いす、ねじれ、封筒、及び半いす形;並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されず、本明細書中以下、まとめて「異性体」(又は異性体形態)と称する。
【0040】
「キラル」という用語は、自らの鏡像パートナーと重ね合わせることができない性質を持つ分子を示し、一方「アキラル」という用語は、自らの鏡像パートナーと重ね合わせることができる分子を指す。
【0041】
「立体異性体」という用語は、同一の化学組成を有するが、原子又は基の空間配置に関して異なる化合物を指す。
【0042】
「ジアステレオマー」は、2つ以上の不斉中心を持ち、その分子が互いに相手の鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、物性、例えば、融点、沸点、分光特性、及び反応性などが異なる。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィーなどの高分解能分析手法で分離可能である。
【0043】
「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0044】
本明細書中使用される立体化学の定義及び慣習は、概して、S.P.Parker,Ed.,McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw-Hill Book Company,New York;及びEliel,E.and Wilen,S.,“Stereochemistry of Organic Compounds”,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1994に従う。本発明の化合物は、不斉中心又はキラル中心を含有する場合があり、したがって、異なる立体異性体形態で存在する場合がある。本発明の化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びアトロプ異性体が挙げられるが、これらに限定されない全ての立体異性体形態、並びにラセミ混合物などのそれらの混合物が、本発明の一部をなすことを意図する。多くの有機化合物は、光学活性形で存在する、すなわち、それらは、平面偏光の面を回転させる能力を有する。光学活性化合物の記載では、接頭語D及びL、又はR及びSを用いて、分子のキラル中心についてその絶対配置を表す。接頭語d及びl又は(+)及び(-)は、その化合物による平面偏光の回転の方向を指定するために用いられ、(-)又はlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdが先頭に付いた化合物は、右旋性である。所定の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが互いに相手の鏡像であることを除いて、同一である。特定の1種類の立体異性体をエナンチオマーと称する場合もあり、そのような異性体の混合物は、エナンチオマー混合物と呼ばれる場合が多い。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称し、これは、化学反応又はプロセスにおいて立体選択性又は立体特異性がなかった場合に生じる可能性がある。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、2種のエナンチオマー種の等モル混合物を指し、これは光学活性がない。
【0045】
「エナンチオマーに富む形態」は、エナンチオマー比が50:50より大きく、100:0未満のキラル物質の試料を指す。
【0046】
なお、以下の互変異性体形態に関する記述を除き、「異性体」という用語が、本明細書中使用される場合、構造(structural)(又は構造(constitutional))異性体(すなわち、原子の空間配置だけというのでなく、原子間の接続が異なる異性体)は、具体的に除外される。例えば、メトキシ基である-OCHについての記述は、その構造異性体であるヒドロキシメチル基である-CHOHについての記述であると見なされることはない。同様に、ortho-クロロフェニルについての記述は、その構造異性体であるmeta-クロロフェニルについての記述であると見なされることはない。しかしながら、あるクラスの構造についての記述は、そのクラスの範疇に入る構造異性体形態を含むことが十分可能である(例えば、C1~7アルキルは、n-プロピル及びiso-プロピルを含み;ブチルは、n-、iso-、sec-、及びtert-ブチルを含み;メトキシフェニルは、ortho-、meta-、及びpara-メトキシフェニルを含む)。
【0047】
上記の除外は、互変異性体形、例えば、ケト、エノール、及びエノレート形、例えば、以下の互変異性体対のような場合には関係しない:ケト/エノール(以下に図示する)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N-ニトロソ/ヒドロキシアゾ、及びニトロ/aci-ニトロ。
【化20】
【0048】
「互変異性体」又は「互変異性体形態」という用語は、低いエネルギー障壁を越えて相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られる)としては、プロトンの移動を介した相互変換、例えば、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化が挙げられる。原子価互変異性体としては、結合電子のいくつかの再組織化による相互変換が挙げられる。
【0049】
なお、「異性体」という用語には、1つ以上の同位体置換を有する化合物も、具体的に含まれる。例えば、Hは、任意の同位体形態の可能性があり、そのような同位体形としては、H、H(D)、及びH(T)が挙げられる;Cは、任意の同位体形態の可能性があり、そのような同位体形としては、12C、13C、及び14Cが挙げられる;Oは、任意の同位体形の可能性があり、そのような同位体形としては、16O及び18Oが挙げられる;などである。
【0050】
本発明の化合物に組み込むことが可能な同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体が挙げられ、例えば、H(重水素、D)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、及び125Iなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物を様々な同位体で標識したもの、例えば、3H、13C、及び14Cなどの放射性同位元素が組み込まれているもの。そのような同位体標識した化合物は、代謝研究、反応速度研究、検出又は画像化技法、例えば、薬物若しくは基質の組織分布アッセイを含むポジトロン断層撮影法(PET)、若しくは単光子放射断層撮影法(SPECT)において、又は患者の放射線治療において、有用であり得る。重水素で標識又は置換した本発明の治療化合物は、分布、代謝、及び排泄(ADME)に関連して、DMPK(薬物代謝及び薬物動態学)特性が改善されている可能性がある。重水素などのより重い同位体への置換は、代謝安定性がより高まることに起因する特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長又は投薬必要量の減少など、をもたらし得る。18F標識した化合物は、PET又はSPECT検査で有用である可能性がある。同位体標識した本発明の化合物及びそのプロドラッグは、一般に、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬に置き換えて、以下に記載されるスキーム又は実施例及び調製で開示される手順を行うことにより、調製できる。更に、より重い同位体、特に重水素(すなわち、2H又はD)に置き換えることは、代謝安定性がより高まることに起因する特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長又は投薬必要量の減少又は治療指標の改善など、をもたらし得る。本文脈における重水素は、置換基と見なされると理解されている。そのような重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義され得る。本発明の化合物において、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定同位体を表すことを意味する。
【0051】
特に記載がない限り、特定化合物についての記述は、こうした異性体形を全て、それらの(完全又は部分)ラセミ混合物及び他の混合物も含めて、包含する。こうした異性体形の調製方法(例えば、不斉合成)及び分離方法(例えば、分別結晶化及びクロマトグラフィー手段)は、当該分野で既知であるか、本明細書中教示される方法又は既知の方法を、既知の様式で適用することにより容易に得られる。
【0052】
リガンド単位
リガンド単位は、任意の種類であってもよく、標的分子に特異的に結合するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び非ペプチド性剤を挙げることができる。いくつかの実施形態では、リガンド単位は、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドであってもよい。いくつかの実施形態では、リガンド単位は、環式ポリペプチドであってもよい。これらのリガンド単位は、抗体、若しくは少なくとも1つの標的分子-結合部位を含有する抗体の断片、リンホカイン、ホルモン、増殖因子、又は標的に特異的に結合し得る任意の他の細胞結合分子、若しくは物質を含むことができる。
【0053】
「特異的に結合する」及び「特異的結合」という用語は、所定の分子(例えば、抗原)への抗体又は他のタンパク質、ポリペプチド若しくはペプチドの結合を指す。典型的には、抗体又は他の分子が、少なくとも約1×10-1の親和性で結合し、所定の分子又は密接に関連する分子以外の非特異的分子(例えば、BSA、カゼイン)への結合の親和性の少なくとも2倍超である親和性で所定の分子に結合する。
【0054】
リガンド単位の例としては、本明細書に組み込まれる、国際公開第2007/085930号パンフレットにおいて使用について記載されている剤が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、リガンド単位は、細胞における細胞外標的に結合する細胞結合剤である。このような細胞結合剤は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド又は非ペプチド性剤であり得る。いくつかの実施形態では、細胞結合剤は、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドであってもよい。いくつかの実施形態では、細胞結合剤は、環式ポリペプチドであってもい。細胞結合剤はまた、抗体又は抗体の抗原結合断片であってもよい。したがって、一実施形態では、本発明は、抗体薬物複合体(ADC)を提供する。
【0056】
細胞結合剤
細胞結合剤は、任意の種類のものが可能であり、ペプチド及び非ペプチドを挙げることができる。細胞結合剤として、少なくとも1つの結合部位を含有する抗体又は抗体断片、リンホカイン、ホルモン、ホルモン模倣物、ビタミン、増殖因子、栄養輸送分子、又は任意の他の細胞結合分子若しくは物質を挙げることができる。
【0057】
ペプチド
一実施形態では、細胞結合剤は、4~30、好ましくは6~20の、連続アミノ酸残基を含む直鎖又は環状ペプチドである。
【0058】
一実施形態では、細胞結合剤は、インテグリンανβと結合するペプチドを含む。このペプチドは、XYSよりもανβに対して選択性であり得る。
【0059】
一実施形態では、細胞結合剤は、A20FMDV-Cysポリペプチドを含む。A20FMDV-Cysは、配列:NAVPNLRGDLQVLAQKVARTCを有する。或いは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置換されているA20FMDV-Cys配列のバリアントを使用してもよい。更に、ポリペプチドは、配列NAVXXXXXXXXXXXXXXXRTCを有してもよい。
【0060】
抗体
本明細書において、「抗体」という用語は、それらが所望の生物活性を示す限り、最も広義の意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、多価抗体、及び抗体断片を包含する(Miller et al(2003)Jour.of Immunology 170:4854-4861)。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、又は他の種由来の抗体であってもよい。抗体とは、免疫系により産生される、特定の抗原を認識してそれに結合することができるタンパク質である。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体のCDRで認識される多数の結合部位(エピトープとも呼ばれる)を有する。異なるエピトープに特異的に結合する抗体は、各々、異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、2つ以上の対応する抗体を有し得る。抗体として、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、目的の標的抗原に免疫学的に結合する抗原結合部位又はその一部分を含有する分子が挙げられ、そのような標的として、癌細胞又は自己免疫疾患に関連した自己免疫抗体を産生する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスの免疫グロブリン分子のものであり得る。免疫グロブリンは、任意の種由来のものが可能であり、ヒト、マウス、又はウサギ起原が挙げられる。
【0061】
「抗体断片」は、全長抗体の、一般にその抗原結合又は可変領域である一部を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)、及びscFv断片;二重特異性抗体;線状抗体;Fab発現ライブラリーにより産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び上記のもののいずれかの、癌細胞抗原、ウイルス抗原、又は微生物抗原に免疫学的に結合するエピトープ結合断片、単鎖抗体分子;並びに、抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0062】
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質の抗体の集団から得られる抗体を指す、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る可能性のある天然に存在する突然変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位を標的とする。更に、異なる決定基(エピトープ)を標的とする異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物と対照的に、各モノクローナル抗体が抗原上の単独の決定基を標的とする。モノクローナル抗体は、それらの特異性に加え、それらを他の抗体により汚染されることなく合成することができる点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、抗体が、実質的に同種の抗体集団から得られたものであるという特徴を示すものであって、抗体の産生が何か特定の方法による必要があると解釈されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al(1975)Nature 256:495に初めて記載されたハイブリドーマ方法により作製されてもよく、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号明細書を参照)により作製することも可能である。モノクローナル抗体は、また、Clackson et al(1991)Nature,352:624-628;Marks et al(1991)J.Mol.Biol.,222:581-597に記載された技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよく、又は完全ヒト免疫グロブリン系を保有する遺伝子導入マウスから単離することも可能である(Lonberg(2008)Curr.Opinion 20(4):450-459)。
【0063】
本明細書において、モノクローナル抗体としては、具体的にはキメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体が挙げられる。
【0064】
細胞結合剤の例としては、本明細書に組み込まれる、国際公開第2007/085930号パンフレットにおいて使用について記載されている剤が挙げられる。
【0065】
本発明の実施形態で使用される腫瘍関連抗原及び同族の抗体を以下に列挙する。これらについては、国際公開第2017/186894号パンフレット(本明細書に組み込まれている)の14頁~86頁に更に詳細に記載されている。
【0066】
(1)BMPR1B(骨形態形成タンパク質受容体IB型)
(2)E16(LAT1、SLC7A5)
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原)
(4)0772P(CA125、MUC16)
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン)
(6)Napi3b(NAPI-3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b)
(7)Sema5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、semaドメイン、7回トロンボスポンジン反復配列(seven thrombospondin repeats)(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)、及び短細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B)
(8)PSCAhlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子)
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体)
(10)MSG783(RNF124、仮定タンパク質FLJ20315)
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通型上皮抗原2、6回膜貫通型前立腺タンパク質)
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体電位カチオン5チャンネル、サブファミリーM、メンバー4)
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌腫由来増殖因子)
(14)CD21(CR2(補体受容体2)又はC3DR(C3d/Epstein Barrウイルス受容体)又はHs.73792)
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連β)、B29)
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C)
(17)HER2(ErbB2)
(18)NCA(CEACAM6)
(19)MDP(DPEP1)
(20)IL20R-α(IL20Ra、ZCYTOR7)
(21)Brevican(BCAN、BEHAB)
(22)EphB2R(DRT、ERK、Hek5、EPHT3、Tyro5)
(23)ASLG659(B7h)
(24)PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体)
(25)GEDA
(26)BAFF-R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3)
(27)CD22(B細胞受容体CD22-Bアイソフォーム、BL-CAM、Lyb-8、Lyb8、SIGLEC-2、FLJ22814)
(27a)CD22(CD22分子)
(28)CD79a(CD79A、CD79α)、免疫グロブリン関連α、Igβ(CD79B)と共有結合的に相互作用してIgM分子と表面上で複合物を形成し、B細胞分化に関与するシグナルを伝達するB細胞特異的タンパク質)、pI:4.84、MW:25028 TM:2[P]遺伝子染色体:19q13.2)。
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、CXCL13ケモカインにより活性化されるGタンパク質共役受容体、このGタンパク質共役受容体は、リンパ球遊走及び体液性防御において機能し、HIV-2感染、並びに恐らくはAIDS、リンパ腫、骨髄腫、及び白血病の発症において役割を果たす);372aa、pI:8.54 MW:41959 TM:7[P]遺伝子染色体:11q23.3。
(30)HLA-DOB(ペプチドに結合して、そのペプチドをCD4+Tリンパ球に提供するMHCクラスII分子のβサブユニット(Ia抗原));273aa pI:6.56、MW:30820.TM:[P] 遺伝子染色体:6p21.3)
(31)P2X5(プリン作動性受容体P2Xリガンド開口型イオンチャンネル5、細胞外ATPにより開口するイオンチャンネルであり、このチャンネルは、シナプス伝達及び神経新生に関与している可能性があり、この不全が突発性排尿筋不安定という病態生理の一因である可能性がある);422aa)、pI:7.63、MW:47206 TM:1[P]遺伝子染色体:17p13.3)。
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb-2);359aa、pI:8.66、MW:40225、TM:15[P]遺伝子染色体:9p13.3)。
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンに富む反復配列(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質であり、B細胞活性化及びアポトーシスを制御し、この機能喪失は、全身性エリトマトーデスの患者で疾患活性の上昇を伴う);661aa、pI:6.20、MW:74147 TM:1[P]遺伝子染色体:5q12)。
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1、免疫グロブリンFcドメインの推定受容体であり、C2型Ig様ドメイン及びITAMドメインを含有し、Bリンパ球分化において役割を果たす可能性がある);429aa、pI:5.28、MW:46925 TM:1[P]遺伝子染色体:1q21-1q22)
(35)IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2、B細胞発達及びリンパ腫形成で役割を担っている可能性がある推定免疫受容体である;転位置による遺伝子の調節解除が、いくつかのB細胞悪性腫瘍で生じる);977aa、pI:6.88、MW:106468、TM:1[P]遺伝子染色体:1q21)
(36)TENB2(TMEFF2、トモレギュリン(tomoregulin)、TPEF、HPP1、TR、推定膜貫通プロテオグリカン、増殖因子及びフォリスタチンのEGF/ヘレグリンファミリーと関連);374aa)
(37)PSMA-FOLH1(葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1)
(38)SST(ソマトスタチン受容体;5つのサブタイプが存在することに留意されたい)
(38.1)SSTR2(ソマトスタチン受容体2)
(38.2)SSTR5(ソマトスタチン受容体5)
(38.3)SSTR1
(38.4)SSTR3
(38.5)SSTR4
AvB6-両方のサブユニット(39+40)
(39)ITGAV(インテグリン、αV)
(40)ITGB6(インテグリン、β6)
(41)CEACAM5(癌胎児性抗原関連細胞接着分子5)
(42)MET(met癌原遺伝子;肝細胞増殖因子受容体)
(43)MUC1(ムチン1、細胞表面関連)
(44)CA9(炭酸脱水酵素IX)
(45)EGFRvIII(上皮増殖因子受容体(EGFR)、転写産物バリアント3
(46)CD33(CD33分子)
(47)CD19(CD19分子)
(48)IL2RA(インターロイキン2受容体、α);NCBI参照配列:NM_000417.2);
(49)AXL(AXL受容体チロシンキナーゼ)
(50)CD30-TNFRSF8(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー8)
(51)BCMA(B細胞成熟抗原)-TNFRSF17(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー17)
(52)CT Ags-CTA(癌精巣抗原)
(53)CD174(ルイス式Y)-FUT3(フコシルトランスフェラーゼ3(ガラクトシド3(4)-L-フコシルトランスフェラーゼ、ルイス式血液型群)
(54)CLEC14A(C型レクチンドメインファミリー14、メンバーA;Genbank受入番号NM175060)
(55)GRP78-HSPA5(熱ショック70kDaタンパク質5(ブドウ糖調節タンパク質、78kDa)
(56)CD70(CD70分子)L08096
(57)幹細胞特異的抗原。例えば:
・ 5T4(以下のエントリー(63)を参照)
・ CD25(上記エントリー(48)を参照)
・ CD32
・ LGR5/GPR49
・ プロミニン(Prominin)/CD133
(58)ASG-5
(59)ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ3)
(60)PRR4(プロリンリッチ4(涙腺))
(61)GCC-GUCY2C(グアニル酸シクラーゼ2C(熱安定性エンテロトキシン受容体)
(62)Liv-1-SLC39A6(溶質担体ファミリー39(亜鉛輸送体)、メンバー6)
(63)5T4、トロホブラスト糖タンパク質、TPBG-TPBG(トロホブラスト糖タンパク質)
(64)CD56-NCMA1(神経細胞接着分子1)
(65)CanAg(腫瘍関連抗原CA242)
(66)FOLR1(葉酸受容体1)
(67)GPNMB(糖タンパク質(膜貫通型)nmb)
(68)TIM-1-HAVCR1(A型肝炎ウイルス細胞受容体1)
(69)RG-1/前立腺腫瘍標的ミンディン-ミンディン/RG-1
(70)B7-H4-VTCN1(V-setドメイン含有T細胞活性化阻害剤1
(71)PTK7(PTK7タンパク質チロシンキナーゼ7)
(72)CD37(CD37分子)
(73)CD138-SDC1(シンデカン1)
(74)CD74(CD74分子、主要組織適合性複合体、クラスIIインバリアント鎖)
(75)クローディン-CL(クローディン)
(76)EGFR(上皮増殖因子受容体)
(77)Her3(ErbB3)-ERBB3(v-erb-b2赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ3(トリ))
(78)RON-MST1R(マクロファージ刺激1受容体(c-met関連チロシンキナーゼ))
(79)EPHA2(EPH受容体A2)
(80)CD20-MS4A1(膜貫通の4つのドメイン(membrane-spanning 4-domains)、サブファミリーA、メンバー1)
(81)テネイシンC-TNC(テネイシンC)
(82)FAP(線維芽細胞活性化タンパク質、α)
(83)DKK-1(Dickkopf 1ホモログ(アフリカツメガエル(Xenopus laevis))
(84)CD52(CD52分子)
(85)CS1-SLAMF7(SLAMファミリーメンバー7)
(86)エンドグリン-ENG(エンドグリン)
(87)アネキシンA1-ANXA1(アネキシンA1)
(88)V-CAM(CD106)-VCAM1(血管細胞接着分子1)
【0067】
更なる目的の腫瘍関連抗原及び同属の抗体は:
(89)ASCT2(ASCトランスポーター2、SLC1A5としても知られている)
である。
【0068】
ASCT2抗体は、国際公開第2018/089393号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0069】
細胞結合剤は、例えば、細胞結合剤の検出又は精製を助けるために、複合体として組み込まれる前に、又は複合体の一部分としてのいずれかで標識化することができる。標識としては、ビオチン標識が可能である。別の実施形態では、細胞結合剤は、放射性同位体で標識することができる。
【0070】
治療方法
本発明の複合体は、治療方法で使用することができる。治療を必要としている対象に、治療有効量の式IVの複合体を投与することを含む、治療方法もまた提供される。用語「治療有効量」という用語は、患者に有益性を示すのに十分な量である。そのような有益性とは、少なくとも1つの症状の少なくとも改善であってもよい。実際の投与量、並びに投与速度及びタイムコースは、治療されるものの性質及び重症度に依存する。治療についての処方せん、例えば投薬量に関する決定は、開業医及び他の医師の責任の範囲内にある。
【0071】
複合体は、治療すべき病態に応じて単独で、又は他の治療との組み合わせで同時又は連続的のいずれかで投与することができる。治療及び療法の例として、化学療法(例えば薬物を含む、活性作用剤の投与)、手術、及び放射線療法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本発明による、及び本発明により使用される医薬組成物は、活性成分、すなわち式IVの複合体に加え、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、又は当業者に周知の他の材料を含み得る。そのような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨げるべきでない。担体又は他の材料の正確な性質は、経口、又は注射、例えば、皮膚注射、皮下注射、又は静脈内注射であり得る投与経路に依存する。
【0073】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、粉剤、又は液体形態であり得る。錠剤は、固形担体又はアジュバントを含むことができる。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動物又は植物油、鉱物油又は合成油などの液体担体を含む。生理学的食塩溶液、デキストロース、又はその他の糖類溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール、若しくはポリエチレングリコールなどのグリコールが包含され得る。カプセル剤は、固形担体、例えばゼラチンを含み得る。
【0074】
静脈内注射、皮膚注射、若しくは皮下注射、又は苦痛部位への注射のためには、活性成分は、発熱物質を含まず、適切なpH、等張性、及び安定性を有する、非経口的に許容可能な水溶液の形態である。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、乳酸加リンゲル注射などの等張ビヒクルを使用して、好適な溶液を十分に調製できる。保存剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤及び/又は他の添加剤を必要により含めることができる。
【0075】
複合体は、増殖性疾患及び自己免疫疾患を治療するのに使用され得る。「増殖性疾患」という用語は、過剰細胞又は異常細胞の望ましくない又は制御不能の細胞増殖に関係し、そのような増殖は、in vitro又はin vivoにおける、望ましくない、例えば腫瘍形成又は過形成性の増殖である。
【0076】
増殖性病態の例としては、良性、前悪性、及び悪性の細胞増殖が挙げられるが、これらに限定されず、そのような細胞増殖として、新生物及び腫瘍(例えば、組織球腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫)、癌(例えば、肺癌、小細胞肺癌、胃腸癌、腸癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫)、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(例えば、結合組織のもの)、及び粥状動脈硬化が挙げられるが、これらに限定されない。対象となる他の癌として、白血病などの血液学的;悪性腫瘍、及び非ホジキンリンパ腫などのリンパ腫、並びにサブタイプ、例えばDLBCL、辺縁帯、外套帯、及び濾胞、ホジキンリンパ腫、AML、及びB又はT細胞由来の他の癌が挙げられるが、これらに限定されない。肺、胃腸(例えば、腸、大腸を含む)、乳(乳房)、卵巣、前立腺、肝(肝臓)、腎(腎臓)、膀胱、膵臓、脳、及び皮膚が挙げられるがこれらに限定されないあらゆるタイプの細胞を治療することができる。
【0077】
自己免疫疾患の例として以下が挙げられる:関節リウマチ、自己免疫脱髄疾患(例えば、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎)、乾癬性関節炎、内分泌性眼障害、ぶどう膜網膜炎、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、グレーブス病、糸球体腎炎、自己免疫肝臓障害、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、アナフィラキシー、アレルギー反応、シェーグレン症候群、I型糖尿病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、線維筋痛、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性内分泌腺不全、シュミット症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、副腎炎、甲状腺炎、橋本甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、悪性貧血、胃の萎縮症、慢性肝炎、ルポイド肝炎、粥状動脈硬化、亜急性皮膚エリテマトーデス、副甲状腺機能低下症、ドレスラー症候群、自己免疫性血小板減少症、突発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、尋常性天疱瘡、天疱瘡、疱疹状皮膚炎、円形脱毛症、類天疱瘡、強皮症、進行性全身性硬化症、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動障害、手指硬化症、及び毛細血管拡張症)、男性及び女性の自己免疫性不妊症、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、全身性壊死性血管炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、グッドパスチャー症候群、シャーガス病、サルコイドーシス、リウマチ熱、喘息、再発性流産、抗リン脂質症候群、農夫肺、多形性紅斑、心術後症候群、クッシング症候群、自己免疫性慢性活動性肝炎、愛鳥家肺、中毒性表皮壊死症、アルポート症候群、肺胞炎、アレルギー性肺胞炎、線維化性肺胞炎、間質性肺疾患、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、輸血反応、高安動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、側頭動脈炎、住血吸虫症、巨細胞性動脈炎、回虫症、アスペルギルス症、サムター症候群、湿疹、リンパ腫様肉芽腫症、ベーチェット病、キャプラン症候群、川崎病、デング熱、脳脊髄炎、心内膜炎、心内膜心筋線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、乾癬、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、シュルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、慢性毛様体炎、異慢性毛様体炎、フックス毛様体炎、IgA腎症、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心筋症、イートン-ランバート症候群、再発性多発性軟骨炎、クリオグロブリン血症、ワルデンストレームマクログロブリン血症、エバンス症候群、及び自己免疫性腺機能不全。
【0078】
いくつかの実施形態では、自己免疫疾患は、Bリンパ球の障害(例えば、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、関節リウマチ、及びI型糖尿病)、Th1リンパ球の障害(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、結核、又は移植片対宿主病)、又はTh2リンパ球の障害(例えば、アトピー性皮膚炎、全身性紅斑性狼瘡、アトピー性喘息、鼻結膜炎、アレルギー性鼻炎、オーメン症候群、全身性硬化症、又は慢性移植片対宿主病)である。一般に、樹状細胞が関与する障害は、Th1リンパ球又はTh2リンパ球の障害を含む。いくつかの実施形態では、自己免疫性疾患は、T細胞媒介免疫障害である。
【0079】
「化学療法剤」は、作用機序にかかわらず、癌の治療に有用な化学的な化合物である。化学療法剤の種類としては:アルキル化剤、代謝拮抗剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞障害性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、抗体、光増感剤及びキナーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限らない。化学療法剤には、「標的療法」で用いられる化合物、及び従来の化学療法剤が含まれる。
【0080】
化学療法剤の例としては:エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Sanofi-Aventis)、5-FU(フルオロウラシル、5-フルオロウラシル、CAS番号51-21-8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標)、Lilly)、PD-0325901(CAS番号391210-10-9、Pfizer)、シスプラチン(シス-ジアミン、ジクロロプラチナム(II)、CAS番号15663-27-1)、カルボプラチン(CAS番号41575-94-4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、テモゾロミド(4-メチル-5-オキソ-2,3,4,6,8-ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ-2,7,9-トリエン-9-カルボキサミド、CAS番号85622-93-1、TEMODAR(登録商標)、TEMODAL(登録商標)、Schering Plough)、タモキシフェン((Z)-2-[4-(1,2-ジフェニルブタ-1-エニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミン、NOLVADEX(登録商標)、ISTUBAL(登録商標)、VALODEX(登録商標))、及びドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、Akti-1/2、HPPD、並びにラパマイシンが挙げられる。
【0081】
化学療法剤の更なる例としては:オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、スーテント(SUNITINIB(登録商標)、SU11248、Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、XL-518(Mek阻害剤、Exelixis、国際公開第2007/044515号パンフレット)、ARRY-886(Mek阻害剤、AZD6244、Array BioPharma、Astra Zeneca)、SF-1126(PI3K阻害剤、Semafore Pharmaceuticals)、BEZ-235(PI3K阻害剤、Novartis)、XL-147(PI3K阻害剤、Exelixis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、ロイコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファルニブ(SARASAR(商標)、SCH66336、Schering Plough)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、BAY43-9006、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、CPT-11、Pfizer)、チピファルニブ(ZARNESTRA(商標)、Johnson & Johnson)、パクリタキセルのアルブミン改変ナノ粒子性剤であるABRAXANE(商標)(クレモフォア無添加)(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Il)、バンデタニブ(rINN、ZD6474、ZACTIMA(登録商標)、AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標)、Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンホスファミド(TELCYTA(登録商標)、Telik)、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標));ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(その合成アナログのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシンを含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログのKW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン;クロラムブシル、クロロナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのニトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン及びラニムスチンなどのニトロソウレア;抗生物質のエンジインのような抗生物質(例えば、カリケアマイシン、カリケアマイシンγ1I、カリケアマイシンωI1(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)33:183-186);ダイネミシン、ダイネミシンA;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;並びにネオカルチノスタチンクロモフォア及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシン及びアンサマイトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラミン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標)、Roche);イバンドロン酸塩;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;並びに上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体が挙げられる。
【0082】
「化学療法剤」の定義には:(i)例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフェン)を含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)などの、ホルモンが腫瘍に及ぼす作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤;(ii)例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン、Pfizer)、フォルムスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール、Novartis)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール、AstraZeneca)などの、副腎におけるエストロゲンの産生を調節する酵素であるアロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤;(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン、並びにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体)などの抗アンドロゲン;(iv)MEK阻害剤(国際公開第2007/044515号パンフレット)などのタンパク質キナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標)、Genta Inc.)などの、異常な細胞増殖に関与しているシグナル伝達経路の遺伝子、例えば、PKC-α、Raf及びH-Rasの発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド;(vii)VEGF発現阻害剤(例えばANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤などのリボザイム;(viii)遺伝子療法ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標)のようなワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)などのトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)などの血管新生阻害剤;並びに上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体も含まれる。
【0083】
「化学療法剤」の定義には、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)などの治療用抗体;セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、及び抗体薬物複合体である、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も含まれる。
【0084】
本発明の複合体と組み合わされる化学療法剤としての潜在的な治療能力を有するヒト化モノクローナル抗体としては:アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルロチニブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、ペルツズマブ、パキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、及びビシリズマブが挙げられる。
【0085】
製剤
複合体は、単独で使用する(例えば、投与する)ことが可能であるものの、それを組成物又は製剤として存在させることが望ましい場合が多い。
【0086】
一実施形態では、組成物は、本明細書中記載されるとおりの複合体、及び薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物(例えば、製剤、調製物、薬剤)である。
【0087】
一実施形態では、組成物は、本明細書中記載されるとおりの少なくとも1つの複合体を、当業者に周知の1つ以上の他の薬学的に許容可能な成分とともに含む医薬組成物であり、薬学的に許容可能な成分としては、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、保存剤、酸化防止剤、潤滑剤、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、マスキング剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
一実施形態では、組成物は、他の活性作用剤、例えば、他の治療薬又は予防薬を更に含む。
【0089】
好適な担体、希釈剤、賦形剤などは、標準的な医薬書で見つけることができる。例えば、Handbook of Pharmaceutical Additives,2nd Edition(eds.M.Ash and I.Ash),2001(Synapse Information Resources,Inc.,Endicott,New York,USA),Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th edition,pub.Lippincott, Williams & Wilkins,2000;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients,2nd edition,1994を参照されたい。
【0090】
本発明の別の態様は、医薬組成物の作成方法に関し、本方法は、少なくとも1つの[11C]-放射標識した本明細書中に定義されるとおりの複合体又は複合体様化合物を、当業者に周知の1つ以上の薬学的に許容可能な成分、例えば、担体、希釈剤、賦形剤などと一緒に混合することを含む。別個の単位(例えば、錠剤など)として配合される場合、各単位は、予め定められた量(投薬量)の活性化合物を含有する。
【0091】
「薬学的に許容可能」という用語は、本明細書で使用する場合、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答、又はその他の問題又は合併症なしで、妥当な利点/リスク比に見合う、当該対象(例えば、ヒト)の組織と接触する使用に好適な、化合物、成分、材料、組成物、剤形などに関する。各担体、希釈剤、賦形剤などもまた、製剤のその他の成分と適合性であるという意味で、「許容可能」でなければならない。
【0092】
製剤は、薬学分野で周知の任意の方法により調製してもよい。そのような方法は、活性化合物を、1つ以上の補助成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、製剤は、活性化合物と担体(例えば、液状担体、微粉砕固形担体など)を均一且つ密接に会合させ、その後、必要であれば製品へと成形することにより、調製される。
【0093】
製剤は、迅速若しくは緩徐な放出;即時、遅延、持続、若しくは徐放性;又はそれらの組み合わせを提供するように調製してもよい。
【0094】
非経口投与(例えば、注射による)に好適な製剤としては、水性又は非水性の、等張性で、発熱物質を含まない、滅菌液体(例えば、液剤、懸濁剤)が挙げられ、この液体に、活性成分は、溶解している、懸濁している、又はそれ以外で提供されている(例えば、リポソーム又は他の微粒子に入れられて)。そのような液体は、追加で、他の薬学的に許容可能な成分、例えば、酸化防止剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、静菌剤、懸濁化剤、増粘剤、及び配合物を予定されるレシピエントの血液(又は他の関連体液)と等張性にする溶質などを含有してもよい。賦形剤の例としては、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などが挙げられる。そのような製剤にて使用するのに好適な等張性担体の例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、又は乳酸リンゲル注射液が挙げられる。典型的には、液体中の活性成分の濃度は、約1ng/ml~約10μg/ml、例えば約10ng/ml~約1μg/mlである。製剤は、単位用量又は複数用量で密閉された容器、例えば、アンプル及びバイアル中に入れられている場合があり、また、凍結乾燥(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態で貯蔵されていて、使用直前に滅菌液体担体、例えば水を加えるだけでよい場合がある。即時注射液剤及び懸濁剤は、滅菌散剤、顆粒、及び錠剤から調製してもよい。
【0095】
投与量
当業者には当然のことながら、複合体、及び複合体を含む組成物の適切な投与量は、患者ごとに変えることができると理解される。最適投与量の決定は、一般に、任意の危険性又は有害副作用に対する治療効果レベルの兼ね合いが関与することになる。選択される投与量レベルは、様々な要因に依存することになり、そのような要因としては、特定化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、症状の重篤度、並びに患者の種族、性別、年齢、体重、状態、全身の健康状態、及び以前の治療歴が挙げられるが、これらに限定されない。化合物の量及び投与経路は、最終的に、医師、獣医師、又は臨床医の判断に任されることになるが、一般に、投薬量は、実質的に有害な又は危険な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する局所濃度を作用部位で達成するように選択されることになる。
【0096】
投与は、1つの用量で実現可能であり、その用量は治療課程を通じて連続的又は断続的(例えば、適切な間隔を開けた分割用量)である。投与の最も効果的な手段及び投薬量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に使用される配合物、治療目的、治療される標的細胞、及び治療される対象に合わせて変化することになる。1回又は複数回投与は、担当医師、獣医師、又は臨床医により選択された用量レベル及びパターンに合わせて行うことができる。
【0097】
一般に、活性化合物の好適な用量は、1日当たり、対象の体重1キログラムあたり、約100ng~約25mg(より典型的には、約1μg~約10mg)の範囲にある。活性化合物が、塩、エステル、アミド、プロドラッグなどである場合、投与される量は、親化合物に基づいて計算され、そのため使用される実際の重量は、比例して増加する。
【0098】
上記の投薬量は、複合体又はリンカーの開裂後に放出可能な有効量の化合物に適用され得る。
【0099】
疾患の予防又は処置の場合、本発明のADCの適切な投与量は、上記で定義されるとおりの治療予定の疾患の種類、疾患の重篤度及び過程、分子が予防目的で投与されるのか、又は治療目的で投与されるのか、以前の治療、患者の病歴及び抗体に対する反応、並びに担当医師の判断に依存することになる。分子は、患者に、1回で、又は一連の治療にわたって、適切に投与される。疾患の種類及び重篤度に応じて、約1μg/kg~100mg/kg以上の分子が、例えば、1回で若しくは複数回分割した投与によるのか、又は持続点滴によるのかにかかわらず、患者に投与する最初の投与量候補である。病態に応じた数日以上の反復投与の場合、疾患症状の所望の抑制が起こるまで処置を持続する。他の投薬レジメンが有用な場合もある。この治療の進行は、従来の技法及びアッセイにより容易にモニタリングされる。
【0100】
薬物積載量
薬物積載量(p)は、細胞結合剤(例えば抗体)であり得る、リガンド単位当たりの薬物の平均数である。
【0101】
複合化反応からADCを調製する場合の抗体当たりの薬物の平均数は、UV、逆相HPLC、HIC、質量分析法、ELISAアッセイ、及び電気泳動などの従来法で特性決定することができる。pに関するADCの定量的分布も測定することができる。ELISAにより、ADCの特定の調製物におけるpの平均値を測定することができる(Hamblett et al(2004)Clin.Cancer Res.10:7063-7070;Sanderson et al(2005)Clin.Cancer Res.11:843-852)。しかしながら、p(薬物)値の分布を、抗体抗原結合及びELISAの検出限界により識別することはできない。また、抗体薬物複合体を検出するためのELISAアッセイは、薬物部分が抗体のどこに結合しているのか、例えば重鎖若しくは軽鎖断片なのか、又は特定のアミノ酸残基なのかを明らかにはしない。場合によっては、pがある特定の値である均一なADCを、薬物積載量が異なるADCから分離、精製、及び特性決定することは、逆相HPLC又は電気泳動などの手段により達成できる。そのような技法は、他の型の複合体にも応用可能である。
【0102】
いくつかの抗体薬物複合体については、pは、抗体にある結合部位の個数により制限される可能性がある。例えば、抗体は、システインチオール基を1つだけ有しても、複数有してもよく、又は、リンカーが結合できる十分に反応性のあるチオール基を1つだけ有しても、複数有してもよい。薬物積載量が大きくなるほど、特定の抗体薬物複合体に、凝集、不溶性、毒性を引き起こす、又は細胞透過性の喪失を引き起こし得る。
【0103】
典型的には、複合化反応の間に、最大理論値より少ない個数の薬物部分を抗体と複合させる。抗体は、例えば、薬物リンカーと反応しないリシン残基を多数含有し得る。最も反応性の高いリシン基のみが、アミン反応性リンカー試薬と反応することができる。また、最も反応性の高いシステインチオール基のみが、チオール反応性リンカー試薬と反応することができる。一般に、抗体は、薬物部分と連結することができる遊離反応性システインチオール基を、含んでいたとしても、多くは含まない。化合物の抗体にあるほとんどのシステインチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在し、部分又は全還元条件下で、還元剤(ジチオトレイトール(DTT)又はTCEPなど)を用いて還元しなければならない。ADCの積載量(薬物/抗体比)は、複数の異なる様式で制御することができ、そのような様式として以下が挙げられる:(i)抗体に対して薬物リンカーのモル過剰量を制限する、(ii)複合化反応時間又は温度を制限する、及び(iii)システインチオール修飾の部分的又は制限的還元条件。
【0104】
特定の抗体は、還元できる鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、DTT(ジチオトレイトール)などの還元剤で処理することにより、リンカー試薬との複合化に反応するようになることができる。こうして、各システイン架橋は、理論的には、2つの反応性チオール求核剤になる。リシンと2-イミノチオラン(トラウト試薬)の反応によりアミンをチオールに変換することで、抗体に更なる求核基を導入することができる。1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のシステイン残基を操作する(例えば、1つ以上の非天然システインアミノ酸残基を含む変異抗体を調製する)ことにより、抗体(又はその断片)に反応性チオール基を導入することができる。米国特許第7521541号明細書は、反応性システインアミノ酸の導入による抗体操作を教示する。
【0105】
抗体の反応性部位にあり、鎖間又は分子間ジスルフィド架橋を形成しないシステインアミノ酸は、操作することができる(Junutula,et al.,2008b Nature Biotech.,26(8):925-932;Dornan et al(2009)Blood 114(13):2721-2729;米国特許第7521541号明細書;米国特許第7723485号明細書;国際公開第2009/052249号パンフレット)。操作されたシステインチオールは、チオール反応性求電子基(マレイミド又はα-ハロアミドなど)を有する本発明の薬物リンカーと反応して、システイン操作された抗体を有するADCを形成することができる。したがって、薬物単位の配置は、設計し、制御し、知ることができる。薬物積載量は、制御することができる。なぜなら、操作されたシステインチオール基は、典型的には、高収率で、薬物リンカー試薬と反応するからである。IgG抗体を操作して、重鎖又は軽鎖の1カ所で置換によりシステインアミノ酸を導入することにより、対称抗体に2つの新たなシステインを与える。2に近い薬物積載量が、複合化生成物ADCの近均一性とともに達成できる。
【0106】
抗体の2つ以上の求核若しくは求電子基が薬物リンカーと反応すると、得られる生成物は、抗体に結合した薬物単位の分布がある(例えば1、2、3など)ADC化合物の混合物になり得る。重合体逆相(PLRP)及び疎水的相互作用(HIC)などの液体クロマトグラフィー法は、薬物積載量の値で混合物から化合物を分離することができる。単一の薬物積載量値(p)を有するADCの調製物を単離することができるものの、そうした単一の薬物積載量値のADCであっても、依然として不均一混合物である可能性がある。なぜなら、複数の薬物単位は、リンカーを介して、抗体の異なる部位に結合する可能性があるからである。
【0107】
したがって、本発明の抗体薬物複合体組成物は、抗体薬物複合体の混合物を含み得、この混合物において、抗体は1つ以上の薬物部分を有し、薬物部分は、抗体に、様々なアミノ酸残基で結合している可能性がある。
【0108】
一実施形態では、細胞結合剤当たりの薬物の平均数は、1~20の範囲である。いくつかの実施形態では、範囲は、1~10、2~10、2~8、2~6、及び4~10から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、細胞結合剤当たり1つの薬物が存在する。
【0110】
一般的な合成経路
式I[Rは、式Iaのものである]の化合物は、式2:
【化21】
[式中、RL*は-QHである]の化合物から、式3:
【化22】
の化合物、又はその活性化型を連結することによって合成され得る。
【0111】
このような反応は、アミドカップリング条件下で実施され得る。
【0112】
式2の化合物は、式4:
【化23】
[式中、RL*protは、Q-Prot(式中、Protは、アミン保護基である)である]の化合物の脱保護により合成され得る。
【0113】
式4の化合物は、フリードランダー(Friedlander)反応を使用して、式5:
【化24】
の化合物と、化合物A3とのカップリングにより合成され得る。
【0114】
式5の化合物は、式6:
【化25】
の化合物から、トリフルオロアセトアミド保護基を除去することにより合成され得る。
【0115】
式6の化合物は、化合物I7とのカップリング:RL*prot-OHにより合成され得る。
【0116】
式Iの化合物[式中、Rは、式Ia又はIbのものである]は、化合物I11から、化合物R-OH又はその活性化形態をカップリングすることにより合成され得る。
【0117】
アミン保護基
アミン保護基は、当業者には周知である。Greene’s Protecting Groups in Organic Synthesis,Fourth Edition,John Wiley & Sons,2007(ISBN 978-0-471-69754-1),pages 696-871で好適な保護基の開示に特に言及している。
【0118】
更なる優先事項
以下の優先事項は、上述の本発明の全ての態様に適用されてもよく、又は、単一の態様に関していてもよい。優先事項は、任意の組み合わせで一緒に組み合わされてもよい。
【0119】

一実施形態では、Qはアミノ酸残基である。アミノ酸は、天然アミノ酸又は非天然アミノ酸であってもよい。
【0120】
一実施形態では、Qは:Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択され、ここで、Citはシトルリンである。
【0121】
一実施形態では、Qはジペプチド残基を含む。ジペプチド中のアミノ酸は、天然アミノ酸と非天然アミノ酸の任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、ジペプチドは天然アミノ酸を含む。リンカーが、カテプシンの不安定なリンカーである場合、ジペプチドは、カテプシン媒介開裂の作用部位である。その場合、ジペプチドはカテプシンの認識部位である。
【0122】
一実施形態では、Qは:
NH-Phe-Lys-C=O
NH-Val-Ala-C=O
NH-Val-Lys-C=O
NH-Ala-Lys-C=O
NH-Val-Cit-C=O
NH-Phe-Cit-C=O
NH-Leu-Cit-C=O
NH-Ile-Cit-C=O
NH-Phe-Arg-C=O
NH-Trp-Cit-C=O、及び
NH-Gly-Val-C=Oから選択され;
式中、Citは、シトルリンである。
【0123】
好ましくは、Qは:
NH-Phe-Lys-C=O
NH-Val-Ala-C=O
NH-Val-Lys-C=O
NH-Ala-Lys-C=O、及び
NH-Val-Cit-C=Oから選択される。
【0124】
最も好ましくは、Qは、NH-Phe-Lys-C=ONH-Val-Cit-C=O、又はNH-Val-Ala-C=Oから選択される。
【0125】
目的の他のジペプチドの組み合わせとしては:
NH-Gly-Gly-C=O
NH-Gly-Val-C=O
NH-Pro-Pro-C=O、及び
NH-Val-Glu-C=Oが挙げられる。
【0126】
参照により本明細書に組み込まれる、Dubowchik et al.,Bioconjugate Chemistry,2002,13,855-869に記載されるものを含めた他のジペプチドの組み合わせを使用してもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、Qはトリペプチド残基である。トリペプチド中のアミノ酸は、天然アミノ酸と非天然アミノ酸の任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、トリペプチドは天然アミノ酸を含む。リンカーが、カテプシンの不安定なリンカーである場合、トリペプチドは、カテプシン媒介開裂の作用部位である。その場合、トリペプチドはカテプシンの認識部位である。特に興味深いトリペプチドリンカーは:
NH-Glu-Val-Ala-C=O
NH-Glu-Val-Cit-C=O
NH-αGlu-Val-Ala-C=O
NH-αGlu-Val-Cit-C=Oである。
【0128】
いくつかの実施形態では、Qはテトラペプチド残基である。テトラペプチド中のアミノ酸は、天然アミノ酸と非天然アミノ酸の任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、テトラペプチドは天然アミノ酸を含む。リンカーが、カテプシンの不安定なリンカーである場合、テトラペプチドは、カテプシン媒介開裂の作用部位である。その場合、テトラペプチドはカテプシンの認識部位である。特に興味深いテトラペプチドリンカーは:
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=O;及び
NH-Gly-Phe-Gly-GlyC=Oである。
いくつかの実施形態において、テトラペプチドは:
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=Oである。
【0129】
ペプチド残基の上記表現において、NH-は、残基のN-末端を表し、-C=Oは、残基のC-末端を表す。C-末端は、AのNHに結合する。
【0130】
Gluは、グルタミン酸残基、すなわち:
【化26】
を表す。
【0131】
αGluは、α鎖を介して結合した場合のグルタミン酸残基、すなわち:
【化27】
を表す。
【0132】
一実施形態では、適切な場合、アミノ酸側鎖が化学的に保護されている。側鎖保護基は、上述のとおりの基であってもよい。保護されたアミノ酸配列は、酵素によって開裂可能である。例えば、Boc側鎖保護Lys残基を含むジペプチド配列は、カテプシンによって開裂可能である。
【0133】
アミノ酸の側鎖のための保護基は、当該技術分野において周知であり、Novabiochem Catalogに記載されており、上記のとおりである。
【0134】

は、
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基、例えばフェニレンを表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択され得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、Gは、GL1-1及びGL1-2から選択される。これらの実施形態のいくつかでは、Gは、GL1-1である。
【0138】
LL
LLは:
【0139】
【表3】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基、例えばフェニレンを表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、GLLは、GLL1-1及びGLL1-2から選択される。これらの実施形態のいくつかでは、GLLは、GLL1-1である。
【0141】

Xは:
【化28】
[式中、a=0~5、b1=0~16、b2=0~16、c=0又は1、d=0~5であり、ここで少なくともb1又はb2=0、少なくともc1又はc2=0である]である。
【0142】
aは、0、1、2、3、4、又は5であってもよい。いくつかの実施形態では、aは0~3である。これらの実施形態のいくつかでは、aは0又は1である。更なる実施形態では、aは0である。
【0143】
b1は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16であってもよい。いくつかの実施形態では、b1は0~12である。これらの実施形態のいくつかでは、b1は0~8であり、0、2、3、4、5、又は8であってもよい。
【0144】
b2は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16であってもよい。いくつかの実施形態では、b2は0~12である。これらの実施形態のいくつかでは、b2は0~8であり、0、2、3、4、5、又は8であってもよい。b1とb2の一方だけが0でない場合がある。
【0145】
c1は0又は1であってもよい。
c2は0又は1であってもよい。
c1とc2の一方だけが0でない場合がある。
【0146】
dは、0、1、2、3、4、又は5であってもよい。いくつかの実施形態では、dは0~3である。これらの実施形態のいくつかでは、dは1又は2である。更なる実施形態では、dは2である。更なる実施形態では、dは5である。
【0147】
Xのいくつかの実施形態では、aは0であり、b1は0であり、c1は1であり、c2は0であり、dは2であり、b2は0~8であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、b2は、0、2、3、4、5、又は8である。
【0148】
Xのいくつかの実施形態では、aは1であり、b2は0であり、c1は0であり、c2は0であり、dは0であり、b1は0~8であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、b1は、0、2、3、4、5、又は8である。
【0149】
Xのいくつかの実施形態では、aは0であり、b1は0であり、c1は0であり、c2は0であり、dは1であり、b2は0~8であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、b2は、0、2、3、4、5、又は8である。
【0150】
Xのいくつかの実施形態では、b1は0であり、b2は0であり、c1は0であり、c2は0であり、a及びdのうちの一方は0である。a及びdのうちの他方は1~5である。これらの実施形態のいくつかでは、a及びdのうちの他方は1である。これらの実施形態のその他では、a及びdのうちの他方は5である。
【0151】
Xのいくつかの実施形態では、aは1であり、b2は0であり、c1は0であり、c2は1であり、dは2であり、b1は0~8であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、b2は、0、2、3、4、5、又は8である。
【0152】
いくつかの実施形態では、Rは式Ibのものである。
いくつかの実施形態では、RLLは式Ib’である。
【0153】
L1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択されるか、又はこれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン又はシクロブチレン基を形成する。
【0154】
いくつかの実施形態では、RL1及びRL2はどちらもHである。
【0155】
いくつかの実施形態では、RL1はHであり、RL2はメチルである。
【0156】
いくつかの実施形態では、RL1及びRL2はどちらもメチルである。
【0157】
いくつかの実施形態では、RL1及びRL2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン基を形成する。
【0158】
いくつかの実施形態では、RL1及びRL2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロブチレン基を形成する。
【0159】
基Ibにおいて、いくつかの実施形態では、eは、0である。他の実施形態では、eは、1であり、ニトロ基は、環の任意の利用可能な位置にあってもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、オルト位にある。これらの実施形態の他のものにおいて、パラ位にある。
【0160】
本発明の第5の態様のいくつかの実施形態では、エナンチオマーに富む形態は、60:40、70:30、80:20、又は90:10より高いエナンチオマー比を有する。更なる実施形態では、エナンチオマー比は、95:5、97:3、又は99:1より高い。
【0161】
いくつかの実施形態では、Rは、
【0162】
【表4】
【0163】
【表5】
から選択される。いくつかの実施形態では、RLLは、上記のR基から誘導される基である。
【0164】
本発明の第1の態様の一実施形態では、式Iの化合物は:
【化29】
である。
【0165】
更なる優先事項
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式I
【化30】
[式中、RLPは、細胞結合剤に接続されるリンカーであって、これは:
(ia):
【化31】
(式中、
は:
【化32】
(式中、QXPは、Qがアミノ酸残基、ジペプチド残基、又はトリペプチド残基であるようなものである)であり;
は:
【化33】
(式中、aP=0~5、bP=0~16、cP=0又は1、dP=0~5である)であり;
は、リガンド単位;
(ib):
【化34】
(式中、RL1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択されるか、又はこれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン又はシクロブチレン基を形成し;
eは0又は1である)に接続されるリンカーである)から選択される]
の化合物、並びにその塩及び溶媒和物である。
【0166】
aPは、0、1、2、3、4、又は5であってもよい。いくつかの実施形態では、aPは0~3である。これらの実施形態のいくつかでは、aPは0又は1である。更なる実施形態では、aPは0である。
【0167】
bPは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16であってもよい。いくつかの実施形態では、bは0~12である。これらの実施形態のいくつかでは、bPは0~8であり、0、2、4、又は8であってもよい。
【0168】
cPは0又は1であってもよい。
【0169】
dPは、0、1、2、3、4、又は5であってもよい。いくつかの実施形態では、dPは0~3である。これらの実施形態のいくつかでは、dPは1又は2である。更なる実施形態では、dPは2である。
【0170】
のいくつかの実施形態では、aPは0であり、cPは1であり、dPは2であり、bPは0~8であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、bPは0、4、又は8である。
【0171】
式Iの化合物について上記Qで好ましいものは、適切な場合、QXPに適用してもよい。
【0172】
式Iの化合物について上記G、RL1、RL2、及びeで好ましいものは、式Iの化合物に適用してもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、式IVの複合体は、式IV
L-(DLP (IV
[式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、DLPは、式III
【化35】
(式中、RLLPは、
(ia’):
【化36】
(式中、Q及びXは、上記に定義されるとおりであり、GLLは、リガンド単位に接続されるリンカーである);及び
(ib’):
【化37】
(式中、RL1及びRL2は、上記に定義されるとおりである)から選択される、リガンド単位に接続されるリンカーである)のものである薬物リンカー単位であり;
pは、1~20の整数である]
の複合体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物である。
【0174】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、式IP2
【化38】
[式中、RLP2は、細胞結合剤に接続されるリンカーであって、これは:
(ia):
【化39】
(式中、
Qは:
【化40】
(式中、Qは、Qがアミノ酸残基、ジペプチド残基、トリペプチド残基、又はテトラペプチド残基であるようなものである)であり;
P2は:
【化41】
(式中、aP2=0~5、b1P2=0~16、b2P2=0~16、cP2=0又は1、dP2=0~5であり、ここで少なくともb1P2又はb2P2=0(すなわち、b1及びb2の一方だけが、0でない場合がある)である)であり;
は、リガンド単位;
(ib):
【化42】
(式中、RL1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択されるか、又はこれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン又はシクロブチレン基を形成し;
eは0又は1である)に接続されるリンカーである)から選択される]
の化合物、並びにその塩及び溶媒和物である。
【0175】
aP2は、0、1、2、3、4、又は5であってもよい。いくつかの実施形態では、aP2は0~3である。これらの実施形態のいくつかでは、aP2は0又は1である。更なる実施形態では、aP2は0である。
【0176】
b1P2は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16であってもよい。いくつかの実施形態では、b1P2は0~12である。これらの実施形態のいくつかでは、b1P2は0~8であり、0、2、3、4、5、又は8であってもよい。
【0177】
b2P2は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16であってもよい。いくつかの実施形態では、b2P2は0~12である。これらの実施形態のいくつかでは、b2P2は0~8であり、0、2、3、4、5、又は8であってもよい。
【0178】
b1P2とb2P2の一方だけが0でない場合がある。
【0179】
cP2は0又は1であってもよい。
【0180】
dP2は、0、1、2、3、4、又は5であってもよい。いくつかの実施形態では、dP2は0~3である。これらの実施形態のいくつかでは、dP2は1又は2である。更なる実施形態では、dP2は2である。更なる実施形態では、dP2は5である。
【0181】
P2のいくつかの実施形態では、aP2は0であり、b1P2は0であり、cP2は1であり、dP2は2であり、b2P2は0~8であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、b2P2は、0、2、3、4、5、又は8である。
【0182】
P2のいくつかの実施形態では、aP2は1であり、b2P2は0であり、cP2は0であり、dP2は0であり、b1P2は0~8であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、b1P2は、0、2、3、4、5、又は8である。
【0183】
P2のいくつかの実施形態では、aP2は0であり、b1P2は0であり、cP2は0であり、dP2は1であり、b2P2は0~8であってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、b2P2は、0、2、3、4、5、又は8である。
【0184】
P2のいくつかの実施形態では、b1P2は0であり、b2P2は0であり、cP2は0であり、aP2及びdP2のうちの一方は0である。aP2及びdのうちの他方は1~5である。これらの実施形態のいくつかでは、aP2及びdのうちの他方は1である。これらの実施形態のその他では、aP2及びdP2のうちの他方は5である。
【0185】
式Iの化合物について上記Qで好ましいものは、適切な場合、式IaP2のQに適用してもよい。
【0186】
式Iの化合物について上記G、RL1、RL2、及びeで好ましいものは、式IP2の化合物に適用してもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、式IVの複合体は、式IVP2
L-(DLP2 (IVP2
[式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、DLP2は、式IIIP2
【化43】
(式中、RLLP2は、
(ia’):
【化44】
(式中、Q及びXP2は、上記に定義されるとおりであり、GLLは、リガンド単位に接続されるリンカーである);及び
(ib’):
【化45】
(式中、RL1及びRL2は、上記に定義されるとおりである)から選択される、リガンド単位に接続されるリンカーである)のものである薬物リンカー単位であり;
pは、1~20の整数である]
の複合体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物である。
【図面の簡単な説明】
【0188】
図1図1は、実施例15における平均腫瘍成長のプロットを示す。
【実施例0189】
一般的情報
フラッシュクロマトグラフィーを、Biotage(登録商標)Isolera(商標)を使用して実施した。画分は、純度について、薄層クロマトグラフィー(TLC)を使用して確認した。TLCは、Merck Kieselgel 60 F254シリカゲル(アルミニウムプレート上に蛍光指示薬が付いている)を使用して実施した。TLCの視覚化は、UV光で行った。
【0190】
抽出及びクロマトグラフィーの溶媒は、VWR,U.K.から購入し、更に精製することなく使用した。
【0191】
他に特に記載がない限り、全ての純度の高い化合物は、Sigma-Aldrichから購入した。
【0192】
PEG化試薬は、Stratech UKを通してQuanta biodesign USから入手した。
【0193】
LC/MS条件
方法A
ポジティブモードエレクトロスプレー質量分析は、Waters Aquity H-class SQD2を使用して実施した。
【0194】
使用した移動相は、溶媒A(0.1%ギ酸を含む水)及び溶媒B(0.1%ギ酸を含むアセトニトリル)であった。初期組成の5%Bを25秒間かけて保持し、次いで5%Bから100%Bに1分35秒’の期間をかけて増加させた。組成を100%Bで50秒間保持し、次いで5%Bへと5秒で戻し、そこで5秒間保持した。勾配実行の合計継続時間は3.0分であった。流速は0.8mL/分であった。検出は、254nmであった。カラム:Waters Acquity UPLC(登録商標)BEH Shield RP18 VanGuardプレカラム、130A、1.7μm、2.1mm×5mmを装備した50℃のWaters Acquity UPLC(登録商標)BEH Shield RP18 1.7μm 2.1×50mm。
【0195】
方法B
HPLC(Waters Alliance 2695)を、水(A)(ギ酸0.1%)及びアセトニトリル(B)(ギ酸0.1%)の移動相を使用して行った。
【0196】
初期組成の5%Bを25秒間かけて保持し、次いで5%Bから100%Bに1分35秒’の期間をかけて増加させた。組成を100%Bで50秒間保持し、次いで5%Bへと5秒で戻し、そこで5秒間保持した。勾配実行の合計継続時間は3.0分であった。流速は0.8mL/分であった。波長検出範囲:190~800nm。カラム:Waters Acquity UPLC(登録商標)BEH Shield RP18 VanGuardプレカラム、130A、1.7μm、2.1mm×5mmを装備した50℃のWaters Acquity UPLC(登録商標)BEH Shield RP18 1.7μm 2.1×50mm。
【0197】
方法C
HPLC(Waters Alliance 2695)を、水(A)(ギ酸0.1%)及びアセトニトリル(B)(ギ酸0.1%)の移動相を使用して行った。
【0198】
初期組成の5%Bを1分間かけて保持し、次いで5%Bから100%Bに9分の期間をかけて増加させた。組成を100%Bで2分間保持し、次いで5%Bへと0.10分で戻し、そこで3分間保持した。勾配実行の合計継続時間は15分であった。流速0.6mL/分。波長検出範囲:190~800nm。オーブン温度:50℃。カラム:ACE Excel 2 C18-AR、2μ、3.0×100mm。
【0199】
HPLC条件
逆相超高速液体クロマトグラフィー(UFLC)を、Phenomenex(商標)Gemini NX 5μC18カラム(50℃)寸法:150×21.2mmを使用したShimazdzu Prominence(商標)機において行った。使用した溶出液は、溶媒A(0.1%ギ酸を含むHO)及び溶媒B(0.1%ギ酸を含むCHCN)であった。全てのUFLC実験を次の勾配条件で実施した:初期組成の13%Bを3分の期間をかけて30%Bに増加させ、次いで8分間かけて45%Bに増加させ、再度100%にして6分間保持し、その後2分で13%に戻し、1分間保持した。勾配実行の合計継続時間は20.0分であった。流速は20.0mL/分であり、検出は254及び223nmであった。
【0200】
NMR法
プロトンNMR化学シフト値は、BrukerAV400を使用して400MHzでデルタスケールで測定された。以下の略語を用いた:s、シングレット;d、ダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;quin、クインテット;m、マルチプレット;br、幅広い。結合定数はHzで報告される。
【0201】
主要な中間体の合成
【化46】
a)N-(5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミド(I2)
5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-アミンであるI1(8.54g、58.0mmol)を、ジクロロメタン(80mL)中に溶解させた。トリエチルアミン(18mL、129mmol)を添加し、混合物を0℃まで冷却した。無水酢酸(11.5mL、122mmol)を滴下して添加し、添加が完了したら、反応混合物を室温まで温め、45分間撹拌すると、LCMSが反応の完了を示した。混合物をCHClで希釈し、HO、飽和NaHCO、10%クエン酸で洗浄し、有機相をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。オフホワイト色の固体を、1:3のEtO/イソヘキサンでトリチュレートし、I2(10.8g、57.1mmol、98%収率)を白色固体として得て、これを更に精製することなく使用した。LC/MS(方法A):保持時間1.44分(ES+)m/z190[M+H]
【0202】
b)N-(4-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミド(I3)
N-(5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドであるI2(1.00g、5.2840mmol)を、-5℃で硫酸(15mL、281mmol)に少量ずつ添加した。硝酸ナトリウム(450mg、5.2945mmol)を反応混合物に少量ずつ添加し、-5℃で30分間撹拌すると、LCMSが更なる反応の進行がないことを示した。反応混合物を外部冷却しながら氷上に注ぎ、水性混合物をCHClで抽出し、有機相をMgSO上で乾燥させ、アイソレラ(イソヘキサン中10~80%のEtOAc)により精製して、N-(4-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドであるI3とN-(2-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドとの混合物(956mg、4.0811mmol、77%収率)を白色/黄色固体として得た。LC/MS(方法A):保持時間1.53分(ES+)m/z235[M+H]
【0203】
c)N-(4-ニトロ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミド(I4)
N-(4-ニトロ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドであるI3(1.01g、4.31mmol)を、アセトン(30mL)中に溶解させた。水中硫酸マグネシウム(3.9mL、5.9mmol、1.5 mol/L)を添加し、混合物を0℃まで冷却した。過マンガン酸カリウム(2.07g、13.0mmol)を反応混合物に少量ずつ添加し、混合物を室温まで温め、50分間撹拌すると、TLCが反応の完了を示した。反応混合物をセライトに通して濾過し、固体をCHClで洗浄し、得られた有機混合物をHO、ブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、アイソレラ(イソヘキサン中20~50%のEtOAc)により精製して、N-(4-ニトロ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドであるI4とN-(2-ニトロ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドとの混合物(709mg、2.86mmol、66%)を白色/黄色固体として得た。LC/MS(方法A):保持時間1.44分(ES+)m/z190[M+H]
【0204】
d)8-アミノ-5-ニトロ-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(I5)
N-(4-ニトロ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドであるI4とN-(2-ニトロ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドとの混合物(709mg、2.8561mmol)及び6Nの塩酸(7mL)を、80℃で2.5時間撹拌すると、LCMSが反応の完了を示した。反応混合物を氷浴中で冷却して、pHが塩基性になるまで6NのNaOH溶液を添加した。水性混合物をCHClで抽出し、有機相をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。アイソレラ(イソヘキサン中0~50%のEtOAc)により、8-アミノ-5-ニトロ-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オンであるI5(320mg、1.552mmol、54%収率)を、黄色/オレンジ色固体して得た。LC/MS(方法A):保持時間1.54分(ES+)m/z207[M+H]
【0205】
e)2,2,2-トリフルオロ-N-(4-ニトロ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミド(I6)
8-アミノ-5-ニトロ-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オンであるI5(430mg、2.0854mmol)をジクロロメタン(20mL)中に溶解させた。ピリジン(340μL、4.20mmol)を添加し、混合物を0℃まで冷却した。トリフルオロ無水酢酸(590μL、4.197mmol)を添加し、30分間撹拌すると、LCMSが反応の完了を示した。混合物をCHClで希釈し、HOで洗浄し、有機相をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、2,2,2-トリフルオロ-N-(4-ニトロ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドであるI6(630mg、2.0846mmol、>99%収率)を黄色固体として得て、これを更に精製することなく使用した。LC/MS(方法A):保持時間1.86分(ES+)m/z301X[M-H]
【0206】
f)N-(4-アミノ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(I7)
亜鉛(2.73g、41.7mmol)を、メタノール(80mL)、ギ酸(4mL)、及び水(4mL)中に懸濁させ、混合物を0℃まで冷却した。2,2,2-トリフルオロ-N-(4-ニトロ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミドであるI6(568mg、2.0865mmol)を少量ずつ添加し、混合物を0℃で30分間撹拌すると、LCMSが反応の完了を示した。反応混合物を濾過し、濾液をEtOAcで希釈して、飽和NaHCOで洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、N-(4-アミノ-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミドであるI7(568mg、2.0865mmol、>99%収率)を黄色固体として得て、これを更に精製することなく使用した。LC/MS(方法A):保持時間1.65分(ES+)m/z273[M+H]
【0207】
g)N-(4-アセトアミド-8-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(I8)
N-(8-アミノ-4-オキソ-テトラリン-5-イル)-2,2,2-トリフルオロ-アセトアミドであるI7(568mg、2.0865mmol)を、ジクロロメタン(20mL)中に溶解させた。トリエチルアミン(580μL、4.16mmol)、次いでアセチルクロリド(297μL、4.173mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌すると、LCMSが反応の完了を示した。反応混合物をCHClで希釈し、HOで洗浄し、有機相をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、N-(8-アセトアミド-4-オキソ-テトラリン-5-イル)-2,2,2-トリフルオロ-アセトアミドであるI8(655mg、2.084mmol、>99%収率)を黄色固体として得て、これを更に精製することなく使用した。LC/MS(方法A):保持時間1.55分(ES+)m/z315[M+H]
【0208】
h)N-(4-アミノ-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アセトアミド(I9)
N-(8-アセトアミド-4-オキソ-テトラリン-5-イル)-2,2,2-トリフルオロ-アセトアミドであるI8(2.77g、8.81mmol)を、メタノール(240mL)及び水(17mL)中に溶解させた。炭酸カリウム(4.88g、35.3mmol)を添加し、混合物を50℃で1.5時間撹拌すると、LCMSが反応の完了を示した。反応混合物を冷却し、真空中で濃縮して、CHCl中10%のMeOHに溶解させて、HOで洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥させ、アイソレラクロマトグラフィー(CHCl中2~15%のMeOH)により精製して、N-(8-アミノ-1-オキソ-テトラリン-5-イル)アセトアミドであるI9(1.20g、5.50mmol、62.3%収率)を黄色固体として得た。LC/MS(方法A):保持時間0.98分(ES+)m/z219[M+H]
【0209】
【化47】
i)(S)-N-(9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アセトアミド(I10)
N-(8-アミノ-1-オキソ-テトラリン-5-イル)アセトアミドであるI9(641mg、2.94mmol、1.0当量)、(S)-4-エチル-4-ヒドロキシ-7,8-ジヒドロ-1H-ピラノ[3,4-f]インドリジン-3,6,10(4H)-トリオンであるA3(840mg、3.19mmol、1.1当量)、及びPPTS(740mg、2.95mmol、1.0当量)をトルエン(60mL)中に溶解させ、還流状態にて3時間撹拌すると、LCMSが、I9は消費されたことを示した。反応混合物を冷却し、真空中で濃縮した。得られた固体をアセトニトリル、次いでアセトンでトリチュレートし、微量のTsOHコンタミを含むI10を茶色固体として得た(1.26g、96%)。LC/MS(方法A):保持時間1.32分(ES+)m/z447[M+H]
【0210】
j)(S)-4-アミノ-9-エチル-9-ヒドロキシ-1,2,3,9,12,15-ヘキサヒドロ-10H,13H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13-ジオン(I11)
(S)-N-(9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アセトアミド(I10)(1.26g、2.83mmol、1.0当量)を、HO(12mL)中塩酸(6mol/L)に溶解させて、混合物を80℃で5時間撹拌すると、LCMSが、I10は消費されたことを示した。反応混合物をHOで希釈し、真空中で濃縮して、(S)-4-アミノ-9-エチル-9-ヒドロキシ-1,2,3,9,12,15-ヘキサヒドロ-10H,13H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13-ジオンであるI11(1.51g、2.85mmol、90質量%、101%収率)を、赤色結晶固体として得た。LC/MS(方法A):保持時間1.36分(ES+)m/z405[M+H]+。
【0211】
I11の代替的合成
【化48】
【0212】
この合成のためのIPC、純度、及びアッセイ法
【0213】
【表6】
【0214】
a)5-ブロモ-8-ニトロ-テトラリン-1-オン(I13)
硫酸(濃縮、5.0相対体積、160mL)中に溶解された硝酸カリウム(1.15当量、13.83g)の溶液を、窒素下で、5-ブロモテトラリン-1-オン(I12)(1.0当量、26.77g)の硫酸(濃縮、5.0相対体積、160mL)中溶液に添加した(添加時間4~12時間、10℃未満の温度を維持)。反応が完了したら、温度を10℃未満に保つように移す速度を調整しながら、反応混合物を、水(36相対体積、1.15L)が入ったフラスコに移した。得られた固体を入れた濾過し、水(4.0相対体積、128mL)で3回洗浄して、次いで、約40℃で24時間乾燥させた。ドライケーキをアセトン(2.5相対体積、80mL)と水(0.38相対体積、12.2mL)の混合物中に溶解させ、約75℃まで加熱し、次いで、約20℃まで冷却した。得られた固体を濾過によって除去した。溶媒を蒸留によりエタノールに交換して、溶液の量が2.0相対体積(64mL)まで減少させた。溶液を約25℃まで冷却し、得られた固体を濾過によって回収した。固体をエタノール(1.0相対堆積、32mL)で洗浄し、次いで真空下40℃で乾燥させ、5-ブロモ-8-ニトロ-テトラリン-1-オンであるI13(15.36g、40%)を茶色固体として得た;室温14.0分
【0215】
方法1 ブロモ-8-ニトロ-テトラリン-1-オンのためのIPC、純度、及びアッセイ法
【0216】
【表7】
【0217】
b)N-(8-ニトロ-1-オキソ-テトラリン-5-イル)アセトアミド(I14)
窒素下の、ブロモ-8-ニトロ-テトラリン-1-オン(I13)(1.0当量、18.0g、90.6%ww)、アセトアミド(1.2当量、4.72g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.01当量、0.61g)、及びリン酸カリウム(1.4当量、19.8g)の、ジオキサン(15相対体積、270mL)中溶液を、約70℃まで加熱した。反応が完了したら、溶液を約20℃まで冷却し、ジオキサン(5相対体積、90.0mL)で希釈し、濾過した。溶媒をエタノールに交換して、体積が3相対体積(54.0mL)の総反応体積に減少させた。溶液を約20℃まで冷却し、得られた固体を濾過によって回収し、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)(1.0相対体積、18.0mL)で洗浄した。固体を真空下40℃で乾燥させ、N-(8-ニトロ-1-オキソ-テトラリン-5-イル)アセトアミドであるI14(10.0g、60.6%)を暗黄色固体として得た;室温8.86分。
【0218】
c)N-(8-アミノ-1-オキソ-テトラリン-5-イル)アセトアミド(I15)
炭素上水酸化パラジウム(20%w/w、0.15当量、5.25g)を、N-(8-ニトロ-1-オキソ-テトラリン-5-イル)アセトアミド(I14)(1.0当量、32.6g)のメタノール(40相対体積、1250mL)中溶液に添加した。反応混合物を、水素雰囲気下、約40psi、約40℃で、8時間置いた。水素を除去し、窒素で置換して、セルロースで濾過し、セルロースをメタノール(4.0相対体積、130mL)で洗浄することにより、触媒を除去した。溶液体積を、蒸留により4.0相対体積まで減少させ、次いで、MTBE(4相対体積、130mL)で希釈した。得られた固体を濾過によって回収し、MTBE(2相対体積、65mL)で洗浄し、真空下40℃で乾燥させ、N-(8-アミノ-1-オキソ-テトラリン-5-イル)アセトアミドであるI15(21.1g、77.8%)を灰緑色の固体として得た;室温5.44分。
【0219】
d)5,8-ジアミノテトラリン-1-オン(I16)
N-(8-アミノ-1-オキソ-テトラリン-5-イル)アセトアミド(I15)(1.0当量、10.0g)の塩酸(5M、6.0相対体積、60mL)中溶液を、約90℃で3時間保持した。温度を25℃まで低下させ、25℃の温度を維持しながら、pH10.0が達成されるまで水酸化ナトリウム(2M、4.0相対体積、40mL)を添加した。得られた固体を濾過によって回収し、水(2.0相対体積、20mL)で洗浄した。ウェットケーキをテトラヒドロフラン(60相対体積、600mL)中に溶解させ、濾過した。溶液を5.0相対体積まで濃縮して、ヘプタン(20相対体積、200mL)を添加した。溶液を10.0相対体積まで濃縮して、更なるヘプタン(20相対体積、200mL)を添加し、次いで再び10.0相対体積まで体積を減少させた。得られた固体を濾過により回収し、ヘプタン(5.0相対体積、50mL)で洗浄した。固体を真空下40℃で17時間乾燥させて、5,8-ジアミノテトラリン-1-オン(I16)(6.90g、82.7%)を黄色固体として得た;1H NMR(400MHz DMSO-d6)δppm 1.82(m,2H),2.38(t,J=2.0Hz,2H),2.47(t,J=2.0Hz,2H),6.34(d,J=2.0Hz,1H),6.68(d,J=2.0Hz,1H);RT3.90
【0220】
e)(S)-4-アミノ-9-エチル-9-ヒドロキシ-1,2,3,9,12,15-ヘキサヒドロ-10H,13H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13-ジオン(I11)
5,8-ジアミノテトラリン-1-オン(I16)(1.0当量、5.0g)、(4S)-4-エチル-4-ヒドロキシ-7,8-ジヒドロ-1H-ピラノ[3,4-f]インドリジン-3,6,10-トリオン(A3)(1.06当量、7.9g)、及びピリジニウムpara-トルエンスルホネート(1.0当量、7.2g)のトルエン(50.0相対体積、250mL)中溶液を、120℃で15時間保持した。溶液の体積を2.0相対体積まで減少させ、次いで、アセトニトリル(20相対体積、100mL)及び水(20相対体積、100mL)で希釈した。得られたスラリーを濾過し、固体を水性アセトニトリル(1:1、20相対体積、100mL)で洗浄した。固体を水性メタノール(水:MeOH 3:1、40相対体積、200mL)でスラリー化し、濾過して、水性メタノール(1:1、20相対体積、100mL)で洗浄した。固体を50℃の水(60相対体積、300mL)でスラリー化し、濾過して、水(10相対体積、50mL)で洗浄した。固体を30℃の水性アセトニトリル(水:アセトニトリル、1:3、40相対体積、200mL)でスラリー化し、濾過して、水性アセトニトリル(水:アセトニトリル、1:3、5相対体積、50mL)で洗浄し、次いで、真空下40℃で乾燥させ、(S)-4-アミノ-9-エチル-9-ヒドロキシ-1,2,3,9,12,15-ヘキサヒドロ-10H,13H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13-ジオン(I11)を白色固体(5.0g、43.7%)として得た;室温5.13。
【0221】
I18の合成
【化49】
a)tert-ブチル(S)-(2-((2-((1-((2-((4-アミノ-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)カルバメート(I17)
Boc-GGFG-OH(227mg、0.52mmol)及びEEDQ(157mg、0.634mmol)を、CHCl(25mL)中に可溶化し、ペプチドが溶解するまで、混合物を15分間撹拌した。その後、化合物I16(100mg、0.56747mmol)を添加し、混合物が完全になるまで撹拌したままにした。1時間後、反応はLVMCによって90%完了したように見えた。生成物がクラッシュアウトするにつれて、混合物は濃くなった。混合物を更に1時間放置した後、真空にして乾燥させた。粗製をEtO(50mL)中に溶解させた。固体を濾過し、その後、CHCl(50mL)中に溶解させて、更に精製した。固体を濾過し、乾燥させて、生成物I17(273mg、0.459mmol、80.9%収率)を灰色固体として得た。分析データ:LCMS3分:ES=1.46分、m/z595.7[M+H]
【0222】
b)(S)-2-(2-(2-アミノアセトアミド)アセトアミド)-N-(2-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-2-オキソエチル)-3-フェニルプロパンアミド(I18)
アニリンI17(450mg、1.045mmol)、ラクトンA5(280mg、1.064mmol)、及びピリジニウムp-トルエンスルホネート(273mg、1.086mmolを、トルエン(20mL)中に可溶化し、混合物を150℃まで加熱した(高還流)。混合物の可溶化を助けるために、MeOH(4mL)を添加した。7時間後、粗反応物を、乾燥するまで真空濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/MeOH、100%~65:35)により精製して、生成物I18(259mg、0.359mmol、78.1収率)を得た。分析データ:LCMS3分:ES=1.17分、m/z722.8[M+H]
【0223】
I16の代替的合成
【化50】
a)5-フルオロ-8-ニトロ-テトラリン-1-オン(I20)
5-フルオロテトラリン-1-オンであるI19(4.7g、29mmol)を、三つ口丸底フラスコで硫酸(120mL)の1/2の量に可溶化した。全ての固体が溶解するまで混合物を撹拌し、次いで、0~5℃まで冷却した。滴下漏斗で、硝酸カリウム(3g、29.6730mmol)を硫酸(120mL)の残りの半分に0~5℃で溶解した。確実に溶液を冷たく保つようにしながら(45分)、SM混合物にゆっくりと添加した。完了まで0~5℃で撹拌する。その後に、反応混合物を水(250mL)でクエンチし、0~5℃で撹拌したままにした。固体を濾過し、水(50mL)で洗浄した。固体を真空オーブンで50℃にて2時間乾燥させた。粗固体をEtO中で一晩スラリー化し、その後、0℃まで冷却して濾過した。ウェットケーキを更に冷たいEtO(50mL)で洗浄し、真空オーブン中で50℃にて乾燥したままにして、純生成物I20(5.5g、26mmol、92%収率)をライトピンク色の微粉末として得た。LCMS(方法B):ES=1.55分、m/z210.1[M+H]
【0224】
b)5-アミノ-8-ニトロ-テトラリン-1-オン(I21)
化合物I20(2.7g、13mmol)を、CHCN(2.5mL)に可溶化し、HO(8mL、40mmol)中のNHOH(21質量%)を、密閉した耐圧チューブに添加して185℃まで加熱した。完了したら、混合物を丸底フラスコに移し、真空濃縮した。粗製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH;100~99:1)により精製して、純生成物I21(1.1g、5.3mmol、41%収率)を黒色固体として得た。LCMS(方法B):ES=1.34分、m/z207.1[M+H]
【0225】
c)5,8-ジアミノテトラリン-1-オン(I16)
化合物I21(1.35g、6.55mmol)を、0℃で、メタノール(20mL)、HO(1mL)、及びギ酸(1mL)の混合物中に溶解させた。確実に40℃未満の温度に維持しながら、亜鉛(8.5g、130mmol)をゆっくりと添加した。もう少しギ酸/HO(0.5mL)を添加して、反応を完了させた。反応混合物を濾過し、濾液をEtOAc及びCHClで希釈し、その後、真空濃縮した。粗製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc;100~7:3、次いでCHCl/MeOH;99:1~98:2)上にドライロードして、純生成物I16(1.015g、5.760mmol、88.0%収率)を得た。LCMS(方法B):ES=0.2分、m/z観察されず。
【0226】
実施例1
【化51】
【0227】
a)アリル((S)-3-メチル-1-オキソ-1-(((S)-1-オキソ-1-((5-オキソ-4-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン-2-イル)カルバメート(A1)
DCC(6.54g、31.7mmol)及びHOPO(3.36g、30.2mmol)を、25℃で、alloc-Val-Ala-OH(9.09g、31.7mmol)及びI7(7.85g、28.8mmol)のCHCl(300mL)中溶液に添加した。得られた混合物を一晩、撹拌したままにした。反応中に形成された白色固体を濾別し、冷CHClで洗浄した。濾液を水(150mL)及びブライン(150mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させて、濾過して、蒸発させた。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(Hex/EtOAc、60:40)によって精製した。単離された生成物A1は、共溶出DCUで汚染されていた(21.1g、140%収率)。LC/MS(方法B):ES=1.81分、m/z527.6[M+H]
【0228】
b)アリル((S)-1-(((S)-1-((4-アミノ-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(A2)
保護アニリンA1(18g、34.19mmol)を、MeOHとHOの10:1の混合物(165mL)中に可溶化し、KCOを添加した(10g、72.36mmol)。完了するまで、混合物を50℃で撹拌した。混合物をほぼ乾固するまで真空濃縮し、残留物をCHClで溶解し、HO及びブラインで洗浄した後、MgSO上で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/MeOH、100%~7:3)によって精製した。単離された生成物A2は、共溶出不純物で汚染されていた(10.71g、73%収率)。LC/MS(方法B):ES=1.46分、m/z431.7[M+H]
【0229】
c)アリル((S)-1-(((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチルブタン-2-イル)カルバメート(A4)
アニリンA2(450mg、1.045mmol)、ラクトンA3(280mg、1.064mmol)、及びピリジニウムp-トルエンスルホネート(273mg、1.086mmolを、トルエン(20mL)中に可溶化し、混合物を130℃まで加熱した(高還流)。時々、混合物を可溶化するのを助けるために数滴のMeOHが添加される。7時間後、粗反応物を、乾燥するまで真空濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/MeOH、100%~95:5)により精製して、生成物A4(360mg、52.3%収率)を得た。LC/MS(方法B):ES=1.51分、m/z658.8[M+H]
【0230】
d)アリル(S)-2-アミノ-N-((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチルブタンアミド(A5)
A4(543mg、0.82mmol)及びPdP(Ph(89mg、0.08mmol)のCHCl(15mL)中溶液に、過剰なピペリジンを添加した(642μL)。混合物を室温で20分間撹拌し、その時点で、反応は完了した(LC/MSでモニタリング)。反応混合物をCHCl(25mL)で希釈し、有機相をHO(25mL)及びブライン(25mL)で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で回転蒸発によって過剰な溶媒を除去し、粗生成物A5を得て、これを次工程にてそのまま使用した。LC/MS(方法B):ES=1.15分、m/z574.6[M+H]
【0231】
e)1-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)-N-((S)-1-(((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-アミド(1)
ピリジン(83μL、1.03mmol)及びMal-dPEG-OTFP(767mg、1.03mmol)を、アルゴン雰囲気下で、粗A5(推定1.03mmol)の乾燥CHCl(50mL)中溶液に添加した。反応物を一晩撹拌し、反応が完了しなかったため、0.5当量のMal-dPEG-OTFPを添加して、反応の促進を試みた。反応物をCHCl(25mL)で希釈し、有機相をHO(2×50mL)、ブラインで洗浄しその後、MgSO上で乾燥させ、濾過して、溶媒を減圧下で回転蒸発によって除去した。粗製を逆相HPLC(HO/CHCN+0.05%FAの勾配)により精製して、乾燥凍結させて1を得た(1.189g、31%収率 2工程で)。LC/MS(方法B):ES=1.43分、m/z1149.3[M+H].LC/MS(方法C):ES=5.37分、m/z1149.4[M+H]
【0232】
実施例2
【化52】
6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-N-((S)-1-(((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)ヘキサンアミド(2)
Mal-カプロン酸(56mg、0.26mmol)及びEDCI.HCl(51mg、0.26mmol)を、アルゴン雰囲気下で、粗A5(想定0.26mmol)の乾燥CHCl(20mL)中溶液に添加した。反応物を一晩撹拌し、反応が完了しなかったため、更に0.5当量のMal-カプロン酸及びEDCI.HClを添加した。反応物をCHCl(25mL)で希釈し、有機相をHO(2×50mL)、ブラインで洗浄し、その後、MgSO上で乾燥させ、濾過して、過剰な溶媒を減圧下で回転蒸発によって除去した。粗製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 95:5)によって精製して、2(31.6mg、20%収率 2工程で)を得た。LC/MS(方法B):ES=1.56分、m/z767.8[M+H].LC/MS(方法C)15分:ES=6.05分、m/z767.8[M+H]
【0233】
実施例3
【化53】
(S)-2-(2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-N-((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチルブタンアミド(3)
アジド-dPEG-酸(77.5mg、0.31mmol)及びEDCI.HCl(60mg、0.31mmol)を、アルゴン雰囲気下で、粗A5(想定0.31mmol)の乾燥CHCl(20mL)中溶液に添加した。反応物を一晩撹拌し、反応が完了しなかったため、更に0.5当量のアジド-dPEG-OH及びEDCI.HClを添加した。反応物をCHCl(25mL)で希釈し、有機相をHO(2×50mL)、ブラインで洗浄し、その後、MgSO上で乾燥させ、濾過して、過剰な溶媒を減圧下で回転蒸発によって除去した。粗製を分取HPLCにより精製して、画分を凍結乾燥させて、純粋な3を得た(92.2mg、24.7%収率 2工程で)。LC/MS(方法B):ES=1.69分、m/z789.9[M+H].LC/MS(方法C):ES=6.68分、m/z790.0[M+H]
【0234】
実施例4
【化54】
N-((S)-1-(((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)-4,7,10,13,16-ペンタオキサノナデカ-18-イナミド(4)
プロパルギル-dPEG-酸(56mg、0.19mmol)及びEDCI.HCl(37mg、0.19mmol)を、アルゴン雰囲気下で、粗A5(想定0.19mmol)の乾燥CHCl(10mL)中溶液に添加した。反応物を一晩撹拌し、反応が完了しなかったため、更に0.5当量のプロパルギル-dPEG-OH及びEDCI.HClを添加した。反応物をCHCl(25mL)で希釈し、有機相をHO(2×50mL)、ブラインで洗浄し、その後、MgSO上で乾燥させ、濾過して、過剰な溶媒を減圧下で回転蒸発によって除去した。粗製を分取HPLCにより精製して、画分を凍結乾燥させて、純粋な4を得た(22mg、16.7%収率 2工程で)。LC/MS(方法B):ES=1.54分、m/z860.9[M+H].LCMS(方法C):ES=5.57分、m/z860.9[M+H]
【0235】
実施例5
【化55】
(S)-2-(2-(4-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)フェニル)アセトアミド)-N-((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)-3-メチルブタンアミド(5)
PM-酢酸-OSu(64mg、0.19mmol)を、アルゴン雰囲気下で、粗A5(想定0.19mmol)の乾燥CHCl(10mL)中溶液に添加した。反応が進行していなかったため、DIPEA(51μL、0.28mmol)を添加した。完了するまで、反応物を撹拌した。混合物をCHCl(25mL)で希釈し、有機相をHO(2×50mL)、ブラインで洗浄しその後、MgSO上で乾燥させ、濾過して、過剰な溶媒を減圧下で回転蒸発によって除去した。粗製を分取HPLCにより精製して、画分を凍結乾燥させて、純粋な5を得た(2.5mg、1.6%収率 2工程で)。LC/MS(方法B):ES=1.54分、m/z787.7[M+H].LC/MS(方法C):ES=5.61分、m/z787.8[M+H]
【0236】
実施例6
【化56】
(R)-2-((3-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファネイル)プロピル((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)カルバメート(6)
(i)(2R)-2-[(3-ニトロ-2-ピリジル)ジスルファニル]プロパン-1-オールであるA6(25mg、0.1015mmol、1.0当量)を、ジクロロメタン(1mL)中に溶解させた。ピリジン(8.5μL、0.11mmol、1.0当量)、次いでトリホスゲン(11mg、0.0370685mmol、0.33当量)を添加し、混合物をAr下で45分間撹拌すると、LCMS(EtNHクエンチ)は、対応するカルバメートの形成を示した。
【0237】
(ii)(S)-4-アミノ-9-エチル-9-ヒドロキシ-1,2,3,9,12,15-ヘキサヒドロ-10H,13H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13-ジオン(I11)(43mg、0.09026mmol、1.0当量)を、ジクロロメタン(2mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(42μL、0.241mmol、2.7当量)、及びピリジン(25μL、0.309mmol、3.4当量)中に溶解させた。工程(i)からの反応混合物を添加し、混合物を30分間撹拌すると、LCMSが反応の完了を示した。反応混合物を真空中で濃縮し、アイソレラクロマトグラフィー(CHCl中0~4%のMeOH)により精製して、6(22mg、0.03256mmol、36%収率、QC=96.8%)を黄色固体として得た。LC/MS(方法B):室温=1.86分、676.6[M+H]
【0238】
実施例7
【化57】
6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-N-(2-((2-(((S)-1-((2-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)ヘキサンアミド(7)
化合物I18(259mg、0.3588mmol)を、CHCl(25mL)中に可溶化した。出発物質は全く溶解しなかったため、DMA(1mL)を添加した。改善が観察されなかったため、DIPEA(68μL、0.390mmol)を添加し、全ての固体を溶解させた。マレイミドカプロン酸(69mg、0.358mmol)を添加し、混合物を室温で一晩、撹拌したままにすると、その時点でLCMS分析により反応が完了したことが明らかになった。反応混合物をMeOH(2mL)でクエンチし、乾燥するまで真空濃縮した。粗生成物を分取HPLCにより精製して、続いて凍結乾燥させて、化合物7を黄土色の固体として得た(38.2mg、11%収率)。分析データ:LCMS3分:ES=1.47分、m/z916.2[M+H]LCMS15分:ES=5.46分、m/z916.1[M+H]
【0239】
実施例8
【化58】
1-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)-N-(2-((2-(((S)-1-((2-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)-3,6,9,12,15,18,21,24-オクタオキサヘプタコサン-27-アミド(8)
化合物I18(70mg、0.096mmol)を、CHCl(5mL)中に可溶化した。出発物質は全く溶解しなかったため、DMA(0.5mL)を添加した。改善が観察されなかったため、DIPEA(19μL、0.106mmol)を添加し、全ての固体を溶解させた。Mal-dPEG-OH(63mg、0.106mmol)及びEDCI.HCl(19mg、0.099mmol)を添加し、混合物を室温で一晩、撹拌したままにすると、その時点でLCMS分析により反応が完了したことが明らかになった。反応混合物をMeOH(2mL)でクエンチし、乾燥するまで真空濃縮した。粗生成物を分取HPLCにより精製して、続いて凍結乾燥させて、8を黄土色の固体として得た(30mg、24%収率)。LCMS3分:ES=1.44分、m/z1297.6[M+H]
【0240】
実施例9-1の代替的合成
【化59】
(S)-4-アミノ-9-エチル-9-ヒドロキシ-1,2,3,9,12,15-ヘキサヒドロ-10H,13H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13-ジオンであるI11(371mg、0.779mmol、1.0当量)を、ジクロロメタン(30mL)中に溶解させた。N,N-ジメチルアセトアミド(10mL)中のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(69μL、0.396mmol、0.51当量)、及び(2S)-2-[[(2S)-2-[3-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[3-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)プロパノイルアミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]プロパノイルアミノ]-3-メチル-ブタノイル]アミノ]プロパン酸(664mg、0.871mmol、1.1当量)、続いてEDCI.HCl(226mg、1.18mmol、1.5当量)を添加し、混合物を2時間撹拌すると、LCMSは良好な変換を示したが、反応は停止した。反応混合物を30℃まで温め、30分間撹拌し、LCMSが変化がないことを示したので、CHClを真空中で除去し、得られたDMA溶液にEtOを添加した。沈殿した油を回収し、EtOを真空中で除去し、沈殿プロセスを繰り返した。合わせた沈殿物を、HPLC(A中10~60%B 13分で)により精製して、凍結乾燥後、1(200mg、0.174mmol、98%純度、22%収率)を、黄色残留物として得た。LC/MS(方法A):保持時間1.44分(ES)m/z1149[M+H]
H NMR(600MHz,クロロホルム-d) δ 8.81(s,1H),7.83(s,2H),7.48(s,1H),7.18(dd,J=18.7,7.5Hz,2H),6.69(s,2H),6.43(s,1H),5.68(d,J=16.1Hz,1H),5.27(d,J=16.1Hz,1H),5.03(d,J=18.4Hz,1H),4.90(d,J=18.4Hz,1H),4.75(p,J=7.2Hz,1H),4.32(dd,J=7.4,5.8Hz,1H),4.05(s,1H),3.83(t,J=7.2Hz,3H),3.78-3.68(m,3H),3.68-3.57(m,31H),3.53(t,J=5.1Hz,3H),3.40(q,J=5.3Hz,2H),3.06-2.91(m,3H),2.84(dt,J=16.3,6.2Hz,1H),2.63(ddd,J=14.8,8.5,4.2Hz,1H),2.57-2.44(m,4H),2.30(dq,J=13.4,6.7Hz,1H),2.10(p,J=6.4Hz,3H),1.91(ddt,J=16.8,14.3,7.2Hz,3H),1.54(d,J=7.1Hz,3H),1.02(dd,J=15.5,6.9Hz,10H)。
【0241】
実施例10-A2の代替的合成
【化60】
アリル((S)-1-(((S)-1-((4-アミノ-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート(A2)
EDCI.HCl(7.71g、31.2mmol)を、alloc-Val-Ala-OH(8.49g、31.2mmol)のCHCl(200mL)中溶液に添加し、15分間又は可溶化するまで撹拌した。その後、I16(5g、28.3mmol)を添加し、得られた混合物を、反応が完了するまで撹拌したままにした。揮発物を減圧下で除去した。粗生成物をEtO(50mL)中に溶解させ、混合物を3分間超音波処理した。固体を濾過し、再度、CH2Cl2(50mL)中に溶解させ、3分間超音波処理し、再度濾過して、純生成物A2を灰色固体として得た(12.21g、79%収率)。LC/MS(方法B):ES=1.47分、m/z431.5[M+H]
【0242】
実施例11
【化61】
a)(9H-フルオレン-9-イル)メチルN2-(1-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-3-オキソ-7,10,13,16,19,22,25,28-オクタオキサ-4-アザヘントリアコンタン-31-オイル)-N5-((S)-1-(((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)-L-グルタミネート(A7)
EDCI.HCl(0.10mmol、1.2当量)を、A5(0.087mmol、1.0当量)及びMal-PEG8-Glu-OH(0.10mmol、1.2当量)のDCM(5mL)中溶液に添加し、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させて、カラム(8~12% MeOH/DCM)により精製し、生成物を白色固体として残した。収量=80mg(63%)。LC/MS(方法B)室温1.66分 m/z(1456.2)M+H。
【0243】
b)N2-(1-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-3-オキソ-7,10,13,16,19,22,25,28-オクタオキサ-4-アザヘントリアコンタン-31-オイル)-N5-((S)-1-(((S)-1-(((S)-9-エチル-9-ヒドロキシ-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)-L-グルタミン(9)
1-メチルピロリジン(200μL)を、A7(0.06mmol)のDMF(0.8mL)中溶液に添加し、室温で10分間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残留物を分取HPLC(30%MeCN/水+0.05%ギ酸 8.5分で)により精製した。生成物を含有する画分を凍結乾燥させて、生成物をオフホワイト色の固体として得た。収量=23mg(30%)。LC/MS(方法B)室温1.43分 m/z(1278.4)M+H。
【0244】
実施例12-複合化
ハーセプチン-C239i抗体
ハーセプチン抗体は、システインが239位と240位の間に挿入されるように操作され、Dimasi,N.,et al.,Molecular Pharmaceutics,2017,14,1501-1516(DOI:5 10.1021/acs.molpharmaceut.6b00995)で記載されている方法に従って生成した。
【0245】
ConjA
DL-ジチオトレイトール(DTT)をリン酸緩衝食塩水(pH7.4)(PBS)に溶解させた50mM溶液を(150モル当量/抗体、40マイクロモル、800μL)、ハーセプチン-C239i抗体(40mg、267ナノモル)を、PBS及び1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有する還元緩衝液に溶解させた、最終抗体濃度が4.0mg/mLの10mL溶液に添加した。還元混合物を、穏やかに振盪(60rpm)しながら、オービタルシェーカーで、室温で4時間45分(又はUHPLCで完全な還元が観察されるまで)反応させた。還元された抗体を、スピンフィルター遠心分離を介して、PBS及び1mMのEDTAを含有する再酸化緩衝液中に緩衝液交換し、全ての過剰の還元剤を除去した。デヒドロアスコルビン酸(DHAA、20モル当量/抗体、5.33マイクロモル、106.7μL)をDMSOに溶解させた50mM溶液を添加し、4mg/mLの抗体濃度で、再酸化混合物を穏やかに(60rpm)振盪しながら室温で16時間反応させた(又は更にDHAAを添加し、鎖間システインジスルフィドを再形成するためのシステインチオールの完全な再酸化がUHPLCによって観察されるまで、反応をより長く放置した)。次いで、再酸化混合物を滅菌濾過し、PBS及び1mM EDTAを含有する複合化緩衝液で希釈し、3.6mg/mLの最終抗体濃度とした。化合物1をDMSO溶液(10モル当量/抗体、0.55mL DMSO中1.33マイクロモル)として、5.0mLのこの再酸化された抗体溶液(20mg、133ナノモル)に添加して、10%(v/v)の最終DMSO濃度とした。溶液を室温で2時間混合し、次いで、複合化をN-アセチルシステイン(6.67マイクロモル、100mMで67μL)の添加によりクエンチし、次いで、15mL Amicon Ultracell 30kDa MWCOスピンフィルターを使用してPBS中でスピン濾過によって精製し、滅菌濾過し、分析した。
【0246】
Shimadzu ProminenceシステムにThermo Scientific MAbPac 50mm×2.1mmカラムを用い、水及びアセトニトリルで勾配を付けて溶出させ、214nm及び330nm(化合物1に特異的)で、ConjA還元試料をUHPLC分析すると、化合物1の単一分子に結合している非複合化軽鎖並びに非複合化重鎖及び重鎖の混合物を示し、この結果は抗体1つ当たりの化合物1の分子数が1.89個という抗体当たり薬物比(DAR)に相当する。
【0247】
Shimadzu ProminenceシステムにTosoh Bioscience TSKgel SuperSW mAb HTP4μm 4.6×150mmカラム(4μm 3.0×20mmガードカラムを有する)を用い、200mMリン酸カリウム(pH6.95)、250mM塩化カリウム及び10%イソプロパノール(v/v)を含有する0.3mL/分の滅菌濾過SEC緩衝液で溶出させ、280nmでConjA試料をUHPLC分析すると、98%のモノマー純度を示す。UHPLC SEC分析により、6.5mL中2.14mg/mLの最終濃度のConjAを得て、得られたConjAの質量は13.9mgである(70%収率)。
【0248】
ConjA
トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)をリン酸緩衝食塩水(pH7.4)(PBS)に溶解させた10mM溶液を(10モル当量/抗体、400ナノモル、40μL)、トラツズマブ(Tratuzumab)抗体(6mg、40ナノモル)を、PBS及び1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有する還元緩衝液に溶解させた、最終抗体濃度が2.5mg/mLの2.4mL溶液に添加した。還元混合物を、穏やかに振盪(60rpm)しながら、オービタルシェーカーで、室温で16時間(又はUHPLCで完全な還元が観察されるまで)反応させた。還元された抗体を、(全ての過剰の還元剤を除去するために)スピンフィルター遠心分離を介して、PBS及び1mMのEDTAを含有する複合化緩衝液中に緩衝液交換し、2.0mg/mLの最終抗体濃度とした。化合物1をDMSO溶液(20モル当量/抗体、0.15mL DMSO中400ナノモル)として、1.35mLのこの還元された抗体溶液(3mg、20ナノモル)に添加して、10%(v/v)の最終DMSO濃度とした。溶液を室温で2時間混合し、次いで、複合化をN-アセチルシステイン(2マイクロモル、100mMで20μL)の添加によりクエンチし、次いで、15mL Amicon Ultracell 30kDa MWCOスピンフィルターを使用してスピンフィルター遠心分離によって精製し、滅菌濾過し、分析した。
【0249】
Shimadzu ProminenceシステムにThermo Scientific MAbPac 50mm×2.1mmカラムを用い、水及びアセトニトリルで勾配を付けて溶出させ、214nm及び330nm(化合物1に特異的)で、ConjA還元試料をUHPLC分析すると、化合物1の単一分子に結合している非複合化軽鎖、軽鎖、化合物1の最大3つの分子に結合している非複合化重鎖及び重鎖の混合物を示し、この結果は抗体1つ当たりの化合物1の分子数が7.89個という抗体当たり薬物比(DAR)に相当する。
【0250】
Shimadzu ProminenceシステムにTosoh Bioscience TSKgel SuperSW mAb HTP4μm 4.6×150mmカラム(4μm 3.0×20mmガードカラムを有する)を用い、200mMリン酸カリウム(pH6.95)、250mM塩化カリウム及び10%イソプロパノール(v/v)を含有する0.3mL/分の滅菌濾過SEC緩衝液で溶出させ、280nmでConjA試料をUHPLC分析すると、98.5%のモノマー純度を示す。UHPLC SEC分析により、1.25mL中2.02mg/mLの最終濃度のConjAを得て、得られたConjAの質量は2.5mgである(84%収率)。
【0251】
ConjB
トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)をリン酸緩衝食塩水(pH7.4)(PBS)に溶解させた10mM溶液を(10モル当量/抗体、3.56マイクロモル、356μL)、トラツズマブ(Tratuzumab)抗体(53.4mg、356ナノモル)を、PBS(pH7.4)及び1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有する還元緩衝液に溶解させた、最終抗体濃度が4.84mg/mLの11.1mL溶液に添加した。還元混合物を、穏やかに振盪(60rpm)しながら、オービタルシェーカーで、37℃で1時間30分間(又はUHPLCで完全な還元が観察されるまで)反応させた。化合物2をDMSO溶液(15モル当量/抗体、1.2mL DMSO中5.1マイクロモル)として、10.5mLのこの還元された抗体溶液(50.8mg、339ナノモル)に添加して、10%(v/v)の最終DMSO濃度とした。溶液を室温で1時間30分間混合し、次いで、複合化をN-アセチルシステイン(25.4マイクロモル、100mMで254μL)の添加によりクエンチし、次いで、Superdex 200PGを詰め込んだGE Healthcare HiLoad(商標)26/600カラムを使用して、2.6mL/分PBSで溶出して、AKTA(商標)Start FPLCで精製した。ConjBモノマーのピークに対応する画分をプールし、濃縮し、15mL Amicon Ultracell 50KDa MWCOスピンフィルターを使用して25mMヒスチジン205mMスクロースpH6.0緩衝液中に緩衝液交換し、滅菌濾過して分析した。
【0252】
Shimadzu ProminenceシステムにThermo Scientific MAbPac 50mm×2.1mmカラムを用い、水及びアセトニトリルで勾配を付けて溶出させ、214nm及び330nm(化合物2に特異的)で、ConjB還元試料をUHPLC分析すると、化合物2の単一分子に結合している非複合化軽鎖、軽鎖、化合物2の最大3つの分子に結合している非複合化重鎖及び重鎖の混合物を示し、この結果は抗体1つ当たりの化合物2の分子数が7.93個という抗体当たり薬物比(DAR)に相当する。
【0253】
Shimadzu ProminenceシステムにTosoh Bioscience TSKgel SuperSW mAb HTP4μm 4.6×150mmカラム(4μm 3.0×20mmガードカラムを有する)を用い、200mMリン酸カリウム(pH6.95)、250mM塩化カリウム及び10%イソプロパノール(v/v)を含有する0.3mL/分の滅菌濾過SEC緩衝液で溶出させ、280nmでConjB試料をUHPLC分析すると、98.9%のモノマー純度を示す。UHPLC SEC分析により、16mL中2.4mg/mLの最終濃度のConjBを得て、得られたConjBの質量は38.4mgである(84%収率)。
【0254】
ConjC
トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)をリン酸緩衝食塩水(pH7.4)(PBS)に溶解させた10mM溶液を(40モル当量/抗体、11.2マイクロモル、1.12mL)、ハーセプチン-C239i抗体(42mg、280ナノモル)を、PBS及び1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有する還元緩衝液に溶解させた、最終抗体濃度が2.1mg/mLの20mL溶液に添加した。還元混合物を、穏やかに振盪(60rpm)しながら、オービタルシェーカーで、室温で16時間(又はUHPLCで完全な還元が観察されるまで)反応させた。還元された抗体を、スピンフィルター遠心分離を介して、PBS及び1mMのEDTAを含有する再酸化緩衝液中に緩衝液交換し、全ての過剰の還元剤を除去した。デヒドロアスコルビン酸(DHAA、30モル当量/抗体、7.0マイクロモル、141μL)をDMSOに溶解させた50mM溶液を、22mLのこの還元された緩衝液交換した抗体(35.2mg、235ナノモル)に添加し、1.6mg/mLの抗体濃度で、再酸化混合物を穏やかに(60rpm)振盪しながら室温で2時間30分間反応させた(又は更にDHAAを添加し、鎖間システインジスルフィドを再形成するためのシステインチオールの完全な再酸化がUHPLCによって観察されるまで、反応をより長く放置した)。次いで、再酸化混合物を滅菌濾過した。化合物6をDMSO溶液(20モル当量/抗体、1.36mL DMSO中2.3マイクロモル)として、11.0mLのこの再酸化された抗体溶液(17.6mg、117ナノモル)(1.22mLの1M重炭酸ナトリウムでpHを調整されている)に添加して、10%(v/v)の最終DMSO濃度及び10%(v/v)1M重炭酸ナトリウムとした。溶液を、室温で穏やかに振盪しながら2時間反応させた。次いで、N-アセチルシステイン(12マイクロモル、100mMで117μL)を添加することにより複合化をクエンチし、次いで精製し、15mL Amicon Ultracell 50KDa MWCOスピンフィルターを使用して25mMヒスチジン205mMスクロースpH6.0緩衝液中に緩衝液交換し、滅菌濾過して分析した。
【0255】
Shimadzu ProminenceシステムにSepax Proteomix HIC Butyl-NP5 4.6×35mm 5μmカラムを用い、25mMリン酸ナトリウム、1.5M硫酸アンモニウム(pH7.4緩衝液)、及び25mMリン酸ナトリウムpH7.4緩衝液中20%アセトニトリル(v/v)で勾配を付けて溶出させ、214nm及び330nm(化合物6に特異的)でConjBのインタクトな試料をUHPLC分析すると、化合物6の1つ又は2つの分子に結合している非複合化及び複合化抗体を示し、この結果は抗体1つ当たりの化合物6の分子数が1.42個という抗体当たり薬物比(DAR)に相当する。
【0256】
Shimadzu ProminenceシステムにTosoh Bioscience TSKgel SuperSW mAb HTP4μm 4.6×150mmカラム(4μm 3.0×20mmガードカラムを有する)を用い、200mMリン酸カリウム(pH6.95)、250mM塩化カリウム及び10%イソプロパノール(v/v)を含有する0.3mL/分の滅菌濾過SEC緩衝液で溶出させ、280nmでConjC試料をUHPLC分析すると、98%のモノマー純度を示す。UHPLC SEC分析により、10.1mL中1.06mg/mLの最終濃度のConjCを得て、得られたConjCの質量は10.7mgである(61%収率)。
【0257】
実施例13-in vitroアッセイ
固体試験物質をDMSO中に溶解させて2mMの原液にし、そこからDMSOで1:10の比率で8つの段階希釈を行い、使用するまで-20℃で保存した。
【0258】
接着NCI-N87細胞をD-PBSで洗浄し、トリプシン-EDTAで剥離し、次いで細胞密度及び生存度を、自動細胞カウンター(LUNA-II(商標))を使用して、トリパンブルー排除アッセイにより重複して測定した。細胞懸濁液を、増殖培地(Glutamax+10%(v/v)HyClone(商標)ウシ胎仔血清を含むRPMI1640)中1×10細胞/mlとなるまで希釈し、ボルテックスした後、滅菌3mLポリプロピレンプレートにウェル当たり2mLで分注した。次いで、弾頭希釈液を10μL/ウェルで適切なウェルに分注し、ピペッティングを繰り返すことで混合した。対照ウェルでは、10μLのDMSOを2mLの細胞懸濁液に分注し、完全に混合した。次いで、各試料を100μL取り出して、滅菌平底96ウェルマイクロプレートの2つの複製ウェルに入れ、37℃のCOガス(5%)インキュベーターでインキュベートした。インキュベーション期間(7日)の最後に、20μL/ウェルで分注され、37℃、5%COで4時間インキュベートした、CellTiter 96(商標)aqueous One(MTS)アッセイで細胞生存度を測定した。次いで、490nmにおける吸光度を用いて、EnVision(商標)Multi-labelプレートリーダー(Perkin Elmer)で、プレートを読み取った。
【0259】
生存細胞のパーセンテージを、DMSOのみで処理された2つの対照ウェルにおける平均吸光度(100%)と比較して、2つの各試料についての複製ウェルの平均吸光度から計算した。IC50は、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego,CA)で、非線形曲線適合アルゴリズムを使用して、各データセットを可変スロープを有するS字状の用量-反応曲線に適合させることによって決定した。
【0260】
このレポートの全ての実験は、3つの独立した実験で実施及び試験された。データは、3つの独立した複製の平均として報告する。
【0261】
【表8】
【0262】
実施例14-ADC in vitroアッセイ
サブコンフルエント(80~90%のコンフルエンシー)T75フラスコからの細胞の濃度及び生存度をトリパンブルー染色によって測定し、LUNA-II(商標)自動細胞カウンターを使用して計数した。細胞を2×10/mlに希釈し、96ウェル平底プレートに分注した(50μL/ウェル)。
【0263】
抗体薬物複合体(ADC)(20μg/ml)の原液(1ml)を、フィルター滅菌ADCを細胞培養液中に希釈することによって作製した。ADC原液の10倍希釈液の8個のセットを、900μLの細胞培養培地に100μLをシリアル転送することによって24ウェルプレートにおいて作製した。ADC希釈液を、先に播種した50μLの細胞懸濁液を入れた、96ウェルプレートの4つの複製ウェル内に分注した(1ウェル当たり50μL)。対照ウェルに50μLの細胞培養液を与えた。細胞及びADCを入れた96ウェルプレートを、COガスが供給されたインキュベーターにおいて37℃で暴露時間インキュベートした。
【0264】
インキュベーション期間の最後に、MTSアッセイで細胞生存度を測定した。MTS(Promega)を各ウェルに分注し(1ウェル当たり20μL)、COガスが供給されたインキュベーターにおいて37℃で4時間インキュベートした。ウェル吸光度を490nmで測定した。生存細胞のパーセンテージを、4つの対照の未処理のウェルにおける平均吸光度(100%)と比較して、4つのADC処理したウェルにおける平均吸光度から計算した。IC50は、非線形曲線適合アルゴリズム:可変スロープを有するS字状の用量-反応曲線;を使用したGraphPad Prismを使用して用量-反応データから決定した。
【0265】
ADCインキュベーション時間は、MDA-MB-468では4日間、NCI-N87では7日間であった。MDA-MB-468及びNCI-N87を、Glutamax+10%(v/v)HyClone(商標)ウシ胎仔血清を含むRPMI1640において培養した。NCI-N87は、Her2-発現細胞株であり、MDA-MB-468は、Her2陰性細胞株である。
【0266】
【表9】
【0267】
実施例15-ADC in vivoアッセイ
方法及び材料
マウス
雌性重症複合免疫不全マウス(Fox Chase SCID(商標)、CB17/Icr-Prkdcscid/IcoIcrCrl、Charles River)は、研究の1日目で、体重(BW)範囲が14.5~20.0グラムで8週齢であった。動物に自由飲水(逆浸透、1ppm Cl)させ、18.0%の粗タンパク質、5.0%の粗脂肪、及び5.0%の粗繊維からなるNIH 31Modified and Irradiated Lab Diet(商標)を自由摂食させた。マウスを、静圧マイクロアイソレーターにおける照射Enricho’cobs(商標)Laboratory Animal Beddingにおいて、12時間の明サイクルにて20~22℃及び40~60%の湿度で飼育した。CR Discovery Servicesは、具体的には、拘束、畜産、外科手術、試料、及び流体規制、並びに獣医医療に関するGuide for Care and Use of Laboratory Animalsの勧告を遵守している。CR Discovery Servicesの動物管理及び使用プログラムは、実験動物の管理及び使用に対する承認規格の遵守を保証する、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International(AAALAC)によって公認されている。
【0268】
腫瘍細胞培養
ヒトNCI-N87胃癌リンパ腫細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100単位/mLペニシリン、100μg/mL硫酸ストレプトマイシン、及び25μg/mLゲンタマイシンを補充したRPMI-1640培地において培養した。細胞を、5%CO及び95%空気の雰囲気において37℃で加湿インキュベーターにおいて組織培養フラスコ中で増殖させた。
【0269】
In Vivo移植及び腫瘍成長
移植に使用したNCI-N87細胞を対数期増殖の間に摘出し、50%Matrigel(商標)(BD Biosciences)を含有するリン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁した。腫瘍移植の日に、各試験マウスに、1×10細胞(0.1mL細胞懸濁液)を右脇腹に皮下注射し、腫瘍成長を、100~150mmの標的範囲に近づいた平均サイズとしてモニタリングした。研究の1日目に指定した12日後に、マウスを計算した腫瘍サイズに従って14群に分類し、7群を有効性評価用に設定し(n=10)、7群を試料回収用に設定し(n=3)、各々、108~172mmの範囲の個々の腫瘍体積、及び120~124mmの群平均腫瘍体積を有する動物からなった。腫瘍を、キャリパを使用して2次元で測定し、体積を以下の式を使用して計算した:
腫瘍体積(mm)=(w×l)/2
式中、腫瘍のmmでのw=幅、及びl=長さである。腫瘍重量を、1mgが腫瘍体積の1mmと同等であると仮定して、推定してよい。
【0270】
治療剤
ConjAは4℃で光から保護して保存した。ビヒクル対照群に投与するために滅菌PBSを使用した。
【0271】
処置
研究の1日目に、確立されたNCI-N87異種移植片を有する雌のSCIDマウスを、群に分類した。原液のアリコートをPBSで適切な濃度に希釈した。1日目に、薬剤を、尾静脈注射を介して、1回静脈投与した。投与量は体重20グラム当たり0.2mL(10mL/kg)であり、各個々の動物の体重に合わせて調整した。
【0272】
群1のマウスは、PBSビヒクルが投与され、対照群として機能した。群2は、4mg/kgのConjAが投与された。
【0273】
腫瘍を、キャリパを使用して週に2回測定し、各動物を、腫瘍が最終体積の800mmに達したとき、又は研究の最後(68日目)のいずれか早く到達したときに安楽死させた。腫瘍最終体積の研究を終了した動物は、腫瘍進行(TP)について安楽死させたものとして安楽死の日付とともに記録した。
【0274】
縮小反応の基準
処置効果は、研究中に観察された縮小反応の発生率と大きさから決定することができる。処置は、動物の腫瘍の部分縮小(PR)又は完全縮小(CR)を引き起こし得る。PR反応では、腫瘍体積は、研究期間中の3回の連続測定で1日目の体積の50%以下であり、これら3回の測定の1回以上で13.5mm以上であった。CR反応では、研究期間中の3回の連続測定で腫瘍体積は13.5mm未満であった。動物は、PR又はCR事象の研究中に一度だけスコアリングし、PRとCRの両方の基準が満たされた場合にのみCRとしてスコアリングした。研究終了時にCR反応を有する動物は、更に、無腫瘍生存体(TFS)として分類した。縮小反応について、動物をモニタリングした。
【0275】
毒性
動物は、1~5日目に毎日体重を測定し、その後、研究が完了するまで週に2回体重を測定した。マウスは、任意の有害な、処置関連(TR)副作用の明白な兆候を頻繁に観察し、観察された場合は臨床徴候を記録した。プロトコルに従って個々の体重をモニタリングし、1回の測定で30%を超える、又は3回の連続測定で25%を超える体重減少を示した動物は、TR死として安楽死させた。群平均体重減少はまた、CR DiscoveryServicesプロトコルに従ってモニタリングした。許容可能な毒性は、研究中の20%未満の群平均体重(BW)損失、及び10%以下のTR死として定義した。
【0276】
結果
図1は、その中での平均腫瘍成長のプロットを示す:
【0277】
【表10】
【0278】
群1のマウスは、PBSビヒクルがqd×1静脈投与され、対照群として機能した。群1のTTEの中央値は24.8日であった。全ての対照腫瘍は800mmのエンドポイントに達した。
【0279】
群2は、4mg/kgのConjAがqd×1静脈投与された。CRは、研究の終了時にTFSとして更に分類された10匹のマウス全てで観察された。
【0280】
処置群では、研究の50日目の体重の最下点は-9.5%であった。TRによる死亡は観察されなかった。
【0281】
発明の記述
1.式I:
【化62】
[式中、Rは、リガンド単位に接続されるリンカーであって、これは:
(ia):
【化63】
(式中、
Qは:
【化64】
(式中、Qは、Qがアミノ酸残基、ジペプチド残基、トリペプチド残基、又はテトラペプチド残基であるようなものである)であり;
Xは:
【化65】
(式中、a=0~5、b1=0~16、b2=0~16、c1=0又は1、c2=0又は1、d=0~5であり、ここで少なくともb1又はb2=0、少なくともc1又はc2=0である)であり;
は、リガンド単位;
(ib):
【化66】
(式中、RL1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択されるか、又はこれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン又はシクロブチレン基を形成し;
eは0又は1である)に接続されるリンカーである)から選択される]
を有する化合物、並びにその塩及び溶媒和物。
【0282】
2.Rが、式Iaのものである、記述1に記載の化合物。
【0283】
3.Qがアミノ酸残基である、記述2に記載の化合物。
【0284】
4.Qが:Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択される、記述3に記載の化合物。
【0285】
5.Qがジペプチド残基である、記述2に記載の化合物。
【0286】
6.Qが:
NH-Phe-Lys-C=O
NH-Val-Ala-C=O
NH-Val-Lys-C=O
NH-Ala-Lys-C=O
NH-Val-Cit-C=O
NH-Phe-Cit-C=O
NH-Leu-Cit-C=O
NH-Ile-Cit-C=O
NH-Phe-Arg-C=O
NH-Trp-Cit-C=O、及び
NH-Gly-Val-C=Oから選択される、記述5に記載の化合物。
【0287】
7.Qが、NH-Phe-Lys-C=ONH-Val-Cit-C=O、及びNH-Val-Ala-C=Oから選択される、記述6に記載の化合物。
【0288】
8.Qがトリペプチド残基である、記述2に記載の化合物。
【0289】
9.Qが:
NH-Glu-Val-Ala-C=O
NH-Glu-Val-Cit-C=O
NH-αGlu-Val-Ala-C=O、及び
NH-αGlu-Val-Cit-C=Oから選択される、記述8に記載の化合物。
【0290】
10.Qがテトラペプチド残基である、記述2に記載の化合物。
【0291】
11.Qが:
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=O;及び
NH-Gly-Phe-Gly-GlyC=Oから選択される、記述10に記載の化合物。
【0292】
12.Qが:
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=Oである、記述11に記載の化合物。
【0293】
13.aが0~3である、記述2~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0294】
14.aが0又は1である、記述13に記載の化合物。
【0295】
15.aが0である、記述13に記載の化合物。
【0296】
16.b1が0~8である、記述2~15のいずれか1つに記載の化合物。
【0297】
17.b1が0である、記述16に記載の化合物。
【0298】
18.b1が2である、記述16に記載の化合物。
【0299】
19.b1が3である、記述16に記載の化合物。
【0300】
20.b1が4である、記述16に記載の化合物。
【0301】
21.b1が5である、記述16に記載の化合物。
【0302】
22.b1が8である、記述16に記載の化合物。
【0303】
23.b2が0~8である、記述2~15及び17のいずれか1つに記載の化合物。
【0304】
24.b2が0である、記述23に記載の化合物。
【0305】
25.b2が2である、記述23に記載の化合物。
【0306】
26.b2が3である、記述23に記載の化合物。
【0307】
27.b2が4である、記述23に記載の化合物。
【0308】
28.b2が5である、記述23に記載の化合物。
【0309】
29.b2が8である、記述23に記載の化合物。
【0310】
30.c1が0である、記述2~29のいずれか1つに記載の化合物。
【0311】
31.c1が1である、記述2~29のいずれか1つに記載の化合物。
【0312】
32.c2が0である、記述2~31のいずれか1つに記載の化合物。
【0313】
33.c2が1である、記述2~30のいずれか1つに記載の化合物。
【0314】
34.dが0~3である、記述2~33のいずれか1つに記載の化合物。
【0315】
35.dが1又は2である、記述34に記載の化合物。
【0316】
36.dが2である、記述34に記載の化合物。
【0317】
37.dが5である、記述2~33のいずれか1つに記載の化合物。
【0318】
38.aが0であり、b1が0であり、c1が1であり、c2が0であり、dが2であり、b2が0~8である、記述2~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0319】
39. b2が0、2、3、4、5、又は8である、記述38に記載の化合物。
【0320】
40.aが1であり、b2が0であり、c1が0であり、c2が0であり、dが0であり、b1が0~8である、記述2~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0321】
41. b1が0、2、3、4、5、又は8である、記述40に記載の化合物。
【0322】
42.aが0であり、b1が0であり、c1が0であり、c2が0であり、dが1であり、b2が0~8である、記述2~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0323】
43.b2が0、2、3、4、5、又は8である、記述42に記載の化合物。
【0324】
44.b1が0であり、b2が0であり、c1が0であり、c2が0であり、a及びdのうちの一方が0であり、a及びdのうちの他方が1~5である、記述2~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0325】
45.a及びdのうちの他方が1又は5である、記述44に記載の化合物。
【0326】
46.aが1であり、b2が0であり、c1が0であり、c2が1であり、dが2であり、b1が0~8である、記述2~12のいずれか1つに記載の化合物。
【0327】
47.b1が0、2、3、4、5、又は8である、記述46に記載の化合物。
【0328】
48.G
【0329】
【表11】
【0330】
【表12】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基を表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択される、記述2~47のいずれか1つに記載の化合物。
【0331】
49.Gが、GL1-1及びGL1-2から選択される、記述48に記載の化合物。
【0332】
50.GがGL1-1である、記述48に記載の化合物。
【0333】
51.Rが、式Ibのものである、記述1に記載の化合物。
【0334】
52.RL1及びRL2がどちらもHである、記述51に記載の化合物。
【0335】
53.RL1がHであり、RL2がメチルである、記述51に記載の化合物。
【0336】
54.RL1及びRL2がどちらもメチルである、記述51に記載の化合物。
【0337】
55.RL1及びRL2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン基を形成する、記述51に記載の化合物。
【0338】
56.RL1及びRL2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロブチレン基を形成する、記述51に記載の化合物。
【0339】
57.eが0である、記述51~56のいずれか1つに記載の化合物。
【0340】
58.eが1である、記述51~56のいずれか1つに記載の化合物。
【0341】
59.式IV:
L-(D(IV)
[式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、Dは、式III:
【化67】
(式中、RLLは、
(ia’):
【化68】
(式中、Q及びXは、記述1~47のいずれか1つにおいて定義されるとおりであり、GLLは、リガンド単位に接続されるリンカーである);及び
(ib’):
【化69】
(式中、RL1及びRL2は、記述1及び52~56のいずれか1つにおいて定義されるとおりである)から選択される、リガンド単位に接続されるリンカーである)のものである薬物リンカー単位であり;
pは、1~20の整数である]
の複合体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【0342】
60.GLLが、
【0343】
【表13】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基を表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択される、記述59に記載の複合体。
【0344】
61.GLLが、GLL1-1及びGLL1-2から選択される、記述60に記載の複合体。
【0345】
62.GLLがGLL1-1である、記述61に記載の複合体。
【0346】
63.リガンド単位が、細胞結合剤である、記述59~62のいずれか1つに記載の複合体。
【0347】
64.リガンド単位が、抗体又はその活性断片である、記述59~62のいずれか1つに記載の複合体。
【0348】
65.抗体又は抗体断片が、腫瘍関連抗原の抗体又は抗体断片である、記述64に記載の複合体。
【0349】
66.抗体又は抗体断片が、以下の(1)~(89)から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原又は細胞表面受容体に結合する抗体である、記述65に記載の複合体:
(1)BMPR1B;
(2)E16;
(3)STEAP1;
(4)0772P;
(5)MPF;
(6)Napi3b;
(7)Sema 5b;
(8)PSCA hlg;
(9)ETBR;
(10)MSG783;
(11)STEAP2;
(12)TrpM4;
(13)CRIPTO;
(14)CD21;
(15)CD79b;
(16)FcRH2;
(17)HER2;
(18)NCA;
(19)MDP;
(20)IL20R-α;
(21)Brevican;
(22)EphB2R;
(23)ASLG659;
(24)PSCA;
(25)GEDA;
(26)BAFF-R;
(27)CD22;
(28)CD79a;
(29)CXCR5;
(30)HLA-DOB;
(31)P2X5;
(32)CD72;
(33)LY64;
(34)FcRH1;
(35)IRTA2;
(36)TENB2;
(37)PSMA-FOLH1;
(38)SST;
(38.1)SSTR2;
(38.2)SSTR5;
(38.3)SSTR1;
(38.4)SSTR3;
(38.5)SSTR4;
(39)ITGAV;
(40)ITGB6;
(41)CEACAM5;
(42)MET;
(43)MUC1;
(44)CA9;
(45)EGFRvIII;
(46)CD33;
(47)CD19;
(48)IL2RA;
(49)AXL;
(50)CD30-TNFRSF8;
(51)BCMA-TNFRSF17;
(52)CT Ags-CTA;
(53)CD174(ルイス式Y)-FUT3;
(54)CLEC14A;
(55)GRP78-HSPA5;
(56)CD70;
(57)幹細胞特異的抗原;
(58)ASG-5;
(59)ENPP3;
(60)PRR4;
(61)GCC-GUCY2C;
(62)Liv-1-SLC39A6;
(63)5T4;
(64)CD56-NCMA1;
(65)CanAg;
(66)FOLR1;
(67)GPNMB;
(68)TIM-1-HAVCR1;
(69)RG-1/前立腺腫瘍標的ミンディン-ミンディン/RG-1;
(70)B7-H4-VTCN1;
(71)PTK7;
(72)CD37;
(73)CD138-SDC1;
(74)CD74;
(75)クローディン-CL;
(76)EGFR;
(77)Her3;
(78)RON-MST1R;
(79)EPHA2;
(80)CD20-MS4A1;
(81)テネイシンC-TNC;
(82)FAP;
(83)DKK-1;
(84)CD52;
(85)CS1-SLAMF7;
(86)エンドグリン-ENG;
(87)アネキシンA1-ANXA1;
(88)V-CAM(CD106)-VCAM1;
(89)ASCT2(SLC1A5)。
【0350】
67.抗体又は抗体断片が、システイン操作した抗体である、記述64~66のいずれか1つに記載の複合体。
【0351】
684.抗体(Ab)に対する薬物(D)の薬物積載量(p)が、1~約10の整数である、記述64~67のいずれか1つに記載の複合体。
【0352】
69.pが1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、記述68に記載の複合体。
【0353】
70.記述64~69のいずれか1つに記載の複合体の混合物であって、抗体薬物複合体の混合物における1抗体当たりの平均薬物積載量が、約1~約10である、複合体の混合物。
【0354】
71.療法に用いるための、記述59~70のいずれか1つに記載の複合体又は混合物。
【0355】
72.記述59~70のいずれか1つに記載の複合体又は混合物と、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0356】
73.対象の増殖性疾患の治療に用いるための、記述59~70のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述72に記載の医薬組成物。
【0357】
74.疾患が癌である、記述73に記載の複合体、混合物、又は医薬組成物。
【0358】
75.医療的治療方法における、記述59~70のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述72に記載の医薬組成物の使用。
【0359】
76.患者に、記述72に記載の医薬組成物を投与することを含む、医療的治療方法。
【0360】
77.医療的治療方法が、癌の治療のためのものである、記述76に記載の方法。
【0361】
78.患者に、複合体と組み合わされて、化学療法剤が投与される、記述77に記載の方法。
【0362】
79.増殖性疾患の治療のための医薬の製造方法における、記述59~70のいずれか1つに記載の複合体又は混合物の使用。
【0363】
80.増殖性疾患を有する哺乳類の治療方法であって、有効量の記述59~70のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述72に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0364】
81.単一のエナンチオマーとしての、又はエナンチオマーに富む形態の化合物A:
【化70】
【0365】
82.式VI:
【化71】
[式中、Qは、記述1及び3及び12のいずれか1つに記載のとおりである]を有する化合物。
【0366】
第一優先用途(P1)からの発明の記述
P1-1.式I:
【化72】
[式中、Rは、細胞結合剤に接続されるリンカーであって、これは:
(ia):
【化73】
(式中、
Qは:
【化74】
(式中、Qは、Qがアミノ酸残基、ジペプチド残基、又はトリペプチド残基であるようなものである)であり;
Xは:
【化75】
(式中、a=0~5、b=0~16、c=0又は1、d=0~5である)であり;
は、リガンド単位;
(ib):
【化76】
(式中、RL1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択されるか、又はこれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン又はシクロブチレン基を形成し;
eは0又は1である)に接続されるリンカーである)から選択される]
を有する化合物、並びにその塩及び溶媒和物。
【0367】
P1-2.Rが、式Iaのものである、記述P1-1に記載の化合物。
【0368】
P1-3.Qがアミノ酸残基である、記述P1-2に記載の化合物。
【0369】
P1-4.Qが:Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択される、記述P1-3に記載の化合物。
【0370】
P1-5.Qがジペプチド残基である、記述P1-2に記載の化合物。
【0371】
P1-6.Qが:
NH-Phe-Lys-C=O
NH-Val-Ala-C=O
NH-Val-Lys-C=O
NH Ala-Lys-C=O
NH-Val-Cit-C=O
NH-Phe-Cit-C=O
NH-Leu-Cit-C=O
NH-Ile-Cit-C=O
NH-Phe-Arg-C=O
NH-Trp-Cit-C=O、及び
NH-Gly-Val-C=Oから選択される、記述P1-5に記載の化合物。
【0372】
P1-7.Qが、NH-Phe-Lys-C=ONH-Val-Cit-C=O、及びNH-Val-Ala-C=Oから選択される、記述P1-6に記載の複合体。
【0373】
P1-8.Qがトリペプチド残基である、記述P1-2に記載の化合物。
【0374】
P1-9.aが0~3である、記述P1-2~P1-8のいずれか1つに記載の化合物。
【0375】
P1-10.aが0又は1である、記述P1-9に記載の化合物。
【0376】
P1-11.aが0である、記述P1-9に記載の化合物。
【0377】
P1-12.bが0~8である、記述P1-2~P1-11のいずれか1つに記載の化合物。
【0378】
P1-13.bが0である、記述P1-12に記載の化合物。
【0379】
P1-14.bが4である、記述P1-12に記載の化合物。
【0380】
P1-15.bが8である、記述P1-12に記載の化合物。
【0381】
P1-16.cが0である、記述P1-2~P1-15のいずれか1つに記載の化合物。
【0382】
P1-17.cが1である、記述P1-2~P1-15のいずれか1つに記載の化合物。
【0383】
P1-18.dが0~3である、記述P1-2~P1-17のいずれか1つに記載の化合物。
【0384】
P1-19.dが1又は2である、記述P1-18に記載の化合物。
【0385】
P1-20.dが2である、記述P1-19に記載の化合物。
【0386】
P1-21.aが0であり、cが1であり、dが2であり、bが0、4又は8である、記述P1-2~P1-8のいずれか1つに記載の化合物。
【0387】
P1-22.G
【0388】
【表14】
【0389】
【表15】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基を表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択される、記述P1-2~P1-21のいずれか1つに記載の化合物。
【0390】
P1-23.Gが、GL1-1及びGL1-2から選択される、記述P1-22に記載の化合物。
【0391】
P1-24.GがGL1-1である、記述P1-22に記載の化合物。
【0392】
P1-25.Rが、式Ibのものである、記述P1-1に記載の化合物。
【0393】
P1-26.RL1及びRL2がどちらもHである、記述P1-25に記載の化合物。
【0394】
P1-27.RL1がHであり、RL2がメチルである、記述P1-25に記載の化合物。
【0395】
P1-28.RL1及びRL2がどちらもメチルである、記述P1-25に記載の化合物。
【0396】
P1-29.RL1及びRL2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン基を形成する、記述P1-25に記載の化合物。
【0397】
P1-30.RL1及びRL2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロブチレン基を形成する、記述P1-25に記載の化合物。
【0398】
P1-31.eが0である、記述P1-25~P1-30のいずれか1つに記載の化合物。
【0399】
P1-32.eが1である、記述P1-25~P1-30のいずれか1つに記載の化合物。
【0400】
P1-33.式IV:
L-(D (IV)
[式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、Dは、式III:
【化77】
(式中、RLLは、
(ia’):
【化78】
(式中、Q及びXは、記述P1-1~P1-21のいずれか1つにおいて定義されるとおりであり、GLLは、リガンド単位に接続されるリンカーである);及び
(ib’):
【化79】
(式中、RL-1及びRL2は、記述P1-1及びP1-25~P1-30のいずれか1つにおいて定義されるとおりである)から選択される、リガンド単位に接続されるリンカーである)のものである薬物リンカー単位であり;
pは、1~20の整数である]
の複合体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【0401】
P1-34.GLLが、
【0402】
【表16】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基を表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択される、記述P1-33に記載の複合体。
【0403】
P1-35.GLLが、GLL1-1及びGLL1-2から選択される、記述P1-34に記載の複合体。
【0404】
P1-36.GLLがGLL1-1である、記述P1-35に記載の複合体。
【0405】
P1-37.細胞結合剤が、抗体又はその活性断片である、記述P1-33~P1-36のいずれか1つに記載の複合体。
【0406】
P1-38.抗体又は抗体断片が、腫瘍関連抗原の抗体又は抗体断片である、記述P1-37に記載の複合体。
【0407】
P1-39.抗体又は抗体断片が、以下の(1)~(88)から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原又は細胞表面受容体に結合する抗体である、記述P1-38に記載の複合体:
(1)BMPR1B;
(2)E16;
(3)STEAP1;
(4)0772P;
(5)MPF;
(6)Napi3b;
(7)Sema 5b;
(8)PSCA hlg;
(9)ETBR;
(10)MSG783;
(11)STEAP2;
(12)TrpM4;
(13)CRIPTO;
(14)CD21;
(15)CD79b;
(16)FcRH2;
(17)HER2;
(18)NCA;
(19)MDP;
(20)IL20R-α;
(21)Brevican;
(22)EphB2R;
(23)ASLG659;
(24)PSCA;
(25)GEDA;
(26)BAFF-R;
(27)CD22;
(28)CD79a;
(29)CXCR5;
(30)HLA-DOB;
(31)P2X5;
(32)CD72;
(33)LY64;
(34)FcRH1;
(35)IRTA2;
(36)TENB2;
(37)PSMA-FOLH1;
(38)SST;
(38.1)SSTR2;
(38.2)SSTR5;
(38.3)SSTR1;
(38.4)SSTR3;
(38.5)SSTR4;
(39)ITGAV;
(40)ITGB6;
(41)CEACAM5;
(42)MET;
(43)MUC1;
(44)CA9;
(45)EGFRvIII;
(46)CD33;
(47)CD19;
(48)IL2RA;
(49)AXL;
(50)CD30-TNFRSF8;
(51)BCMA-TNFRSF17;
(52)CTAgs-CTA;
(53)CD174(ルイス式Y)-FUT3;
(54)CLEC14A;
(55)GRP78-HSPA5;
(56)CD70;
(57)幹細胞特異的抗原;
(58)ASG-5;
(59)ENPP3;
(60)PRR4;
(61)GCC-GUCY2C;
(62)Liv-1-SLC39A6;
(63)5T4;
(64)CD56-NCMA1;
(65)CanAg;
(66)FOLR1;
(67)GPNMB;
(68)TIM-1-HAVCR1;
(69)RG-1/前立腺腫瘍標的ミンディン-ミンディン/RG-1;
(70)B7-H4-VTCN1;
(71)PTK7;
(72)CD37;
(73)CD138-SDC1;
(74)CD74;
(75)クローディン-CL;
(76)EGFR;
(77)Her3;
(78)RON-MST1R;
(79)EPHA2;
(80)CD20-MS4A1;
(81)テネイシンC-TNC;
(82)FAP;
(83)DKK-1;
(84)CD52;
(85)CS1-SLAMF7;
(86)エンドグリン-ENG;
(87)アネキシンA1-ANXA1;
(88)V-CAM(CD106)-VCAM1;
(89)ASCT2(SLC1A5)。
【0408】
P1-40.抗体又は抗体断片が、システイン操作した抗体である、記述P1-37~P1-39のいずれか1つに記載の複合体。
【0409】
P1-41.抗体(Ab)に対する薬物(D)の薬物積載量(p)が、1~約10の整数である、記述P1-37~P1-40のいずれか1つに記載の複合体。
【0410】
P1-42.pが1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、記述P1-41に記載の複合体。
【0411】
P1-43.記述P1-33~P1-42のいずれか1つに記載の複合体の混合物であって、抗体薬物複合体化合物の混合物における1抗体当たりの平均薬物積載量が、約1~約10である、複合体の混合物。
【0412】
P1-44.療法に用いるための、記述P1-33~P1-43のいずれか1つに記載の複合体又は混合物。
【0413】
P1-45.記述P1-33~P1-43のいずれか1つに記載の複合体又は混合物と、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0414】
P1-46.対象の増殖性疾患の治療に用いるための、記述P1-33~P1-43のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述P1-45に記載の医薬組成物。
【0415】
P1-47.疾患が癌である、記述P1-46に記載の複合体、又は混合物。
【0416】
P1-48.医療的治療方法における、記述P1-33~P1-43のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述P1-45に記載の医薬組成物の使用。
【0417】
P1-49.患者に、記述P1-45に記載の医薬組成物を投与することを含む、医療的治療方法。
【0418】
P1-50.医療的治療方法が、癌の治療のためのものである、記述P1-49に記載の方法。
【0419】
P1-51.患者に、複合体と組み合わされて、化学療法剤が投与される、記述P1-50に記載の方法。
【0420】
P1-52.増殖性疾患の治療のための医薬の製造方法における、記述P1-33~P1-43のいずれか1つに記載の複合体又は混合物の使用。
【0421】
P1-53.増殖性疾患を有する哺乳類の治療方法であって、有効量の記述P1-33~P1-43のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述P1-45に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0422】
P1-54.単一のエナンチオマーとしての、又はエナンチオマーに富む形態の化合物A:
【化80】
【0423】
第二優先用途(P2)からの発明の記述
P2-1.式I:
【化81】
[式中、Rは、細胞結合剤に接続されるリンカーであって、これは:
(ia):
【化82】
(式中、
Qは:
【化83】
(式中、Qは、Qがアミノ酸残基、ジペプチド残基、トリペプチド残基、又はテトラペプチド残基であるようなものである)であり;
Xは:
【化84】
(式中、a=0~5、b1=0~16、b2=0~16、c=0又は1、d=0~5であり、ここで少なくともb1又はb2=0である)であり;
は、リガンド単位;
(ib):
【化85】
(式中、RL1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択されるか、又はこれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン又はシクロブチレン基を形成し;
eは0又は1である)に接続されるリンカーである)から選択される]
を有する化合物、並びにその塩及び溶媒和物。
【0424】
P2-2.Rが、式Iaのものである、記述P2-1に記載の化合物。
【0425】
P2-3.Qがアミノ酸残基である、記述P2-2に記載の化合物。
【0426】
P2-4.Qが:Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択される、記述P2-3に記載の化合物。
【0427】
P2-5.Qがジペプチド残基である、記述P2-2に記載の化合物。
【0428】
P2-6.Qが:
NH-Phe-Lys-C=O
NH-Val-Ala-C=O
NH-Val-Lys-C=O
NH-Ala-Lys-C=O
NH-Val-Cit-C=O
NH-Phe-Cit-C=O
NH-Leu-Cit-C=O
NH-Ile-Cit-C=O
NH-Phe-Arg-C=O
NH-Trp-Cit-C=O、及び
NH-Gly-Val-C=Oから選択される、記述P2-5に記載の化合物。
【0429】
P2-7.Qが、NH-Phe-Lys-C=ONH-Val-Cit-C=O、及びNH-Val-Ala-C=Oから選択される、記述P2-6に記載の化合物。
【0430】
P2-8.Qがトリペプチド残基である、記述P2-2に記載の化合物。
【0431】
P2-9.Qが:
NH-Glu-Val-Ala-C=O
NH-Glu-Val-Cit-C=O
NH-αGlu-Val-Ala-C=O、及び
NH-αGlu-Val-Cit-C=Oから選択される、記述P2-8に記載の化合物。
【0432】
P2-10.Qがテトラペプチド残基である、記述P2-2に記載の化合物。
【0433】
P2-11.Qが:
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=O;及び
NH-Gly-Phe-Gly-GlyC=Oから選択される、記述P2-10に記載の化合物。
【0434】
P2-12.Qが:
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=Oである、記述P2-11に記載の化合物。
【0435】
P2-13.aが0~3である、記述P2-2~P2-12のいずれか1つに記載の化合物。
【0436】
P2-14.aが0又は1である、記述P2-13に記載の化合物。
【0437】
P2-15.aが0である、記述P2-13に記載の化合物。
【0438】
P2-16.b1が0~8である、記述P2-2~P2-15のいずれか1つに記載の化合物。
【0439】
P2-17.b1が0である、記述P2-16に記載の化合物。
【0440】
P2-18.b1が2である、記述P2-16に記載の化合物。
【0441】
P2-19.b1が3である、記述P2-16に記載の化合物。
【0442】
P2-20.b1が4である、記述P2-16に記載の化合物。
【0443】
P2-21.b1が5である、記述P2-16に記載の化合物。
【0444】
P2-22.b1が8である、記述P2-16に記載の化合物。
【0445】
P2-23.b2が0~8である、記述P2-2~P2-15及びP2-17のいずれか1つに記載の化合物。
【0446】
P2-24.b2が0である、記述P2-23に記載の化合物。
【0447】
P2-25.b2が2である、記述P2-23に記載の化合物。
【0448】
P2-26.b2が3である、記述P2-23に記載の化合物。
【0449】
P2-27.b2が4である、記述P2-23に記載の化合物。
【0450】
P2-28.b2が5である、記述P2-23に記載の化合物。
【0451】
P2-29.b2が8である、記述P2-23に記載の化合物。
【0452】
P2-30.cが0である、記述P2-2~P2-29のいずれか1つに記載の化合物。
【0453】
P2-31.cが1である、記述P2-2~P2-29のいずれか1つに記載の化合物。
【0454】
P2-32.dが0~3である、記述P2-2~P2-31のいずれか1つに記載の化合物。
【0455】
P2-33.dが1又は2である、記述P2-32に記載の化合物。
【0456】
P2-34.dが2である、記述P2-32に記載の化合物。
【0457】
P2-35.aが0であり、b1が0であり、cが1であり、dが2であり、b2が0~8である、記述P2-2~P2-12のいずれか1つに記載の化合物。
【0458】
P2-36. b2が0、2、3、4、5、又は8である、記述P2-35に記載の化合物。
【0459】
P2-37.aが1であり、b2が0であり、cが0であり、dが0であり、b1が0~8である、記述P2-2~P2-12のいずれか1つに記載の化合物。
【0460】
P2-38. b1が0、2、3、4、5、又は8である、記述P2-37に記載の化合物。
【0461】
P2-39.aが0であり、b1が0であり、cが0であり、dが1であり、b2が0~8である、記述P2-2~P2-12のいずれか1つに記載の化合物。
【0462】
P2-40.b2が0、2、3、4、5、又は8である、記述P2-39に記載の化合物。
【0463】
P2-41.b1が0であり、b2が0であり、cが0であり、a及びdのうちの一方が0であり、a及びdのうちの他方が1~5である、記述P2-2~P2-12のいずれか1つに記載の化合物。
【0464】
P2-42.a及びdのうちの他方が1又は5である、記述P2-41に記載の化合物。
【0465】
P2-43.G
【0466】
【表17】
【0467】
【表18】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基を表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択される、記述P2-2~P2-42のいずれか1つに記載の化合物。
【0468】
P2-44.Gが、GL1-1及びGL1-2から選択される、記述P2-43に記載の化合物。
【0469】
P2-45.GがGL1-1である、記述P2-43に記載の化合物。
【0470】
P2-46.Rが、式Ibのものである、記述P2-1に記載の化合物。
【0471】
P2-47.RL1及びRL2がどちらもHである、記述P2-46に記載の化合物。
【0472】
P2-48.RL1がHであり、RL2がメチルである、記述P2-46に記載の化合物。
【0473】
P2-49.RL1及びRL2がどちらもメチルである、記述P2-46に記載の化合物。
【0474】
P2-50.RL1及びRL2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン基を形成する、記述P2-46に記載の化合物。
【0475】
P2-51.RL1及びRL2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロブチレン基を形成する、記述P2-46に記載の化合物。
【0476】
P2-52.eが0である、記述P2-46~P2-51のいずれか1つに記載の化合物。
【0477】
P2-53.eが1である、記述P2-46~P2-51のいずれか1つに記載の化合物。
【0478】
P2-54.式IV:
L-(D (IV)
[式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、Dは、式III:
【化86】
(式中、RLLは、
(ia’):
【化87】
(式中、Q及びXは、記述P2-1~P2-42のいずれか1つにおいて定義されるとおりであり、GLLは、リガンド単位に接続されるリンカーである);及び
(ib’):
【化88】
(式中、RL-1及びRL2は、記述P2-1及びP2-47~P2-51のいずれか1つにおいて定義されるとおりである)から選択される、リガンド単位に接続されるリンカーである)のものである薬物リンカー単位であり;
pは、1~20の整数である]
の複合体、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【0479】
P2-55.GLLが、
【0480】
【表19】
[式中、Arは、C5~6アリーレン基を表し、Xは、C1~4アルキルを表す]から選択される、記述P2-54に記載の複合体。
【0481】
P2-56.GLLが、GLL1-1及びGLL1-2から選択される、記述P2-55に記載の複合体。
【0482】
P2-57.GLLがGLL1-1である、記述P2-56に記載の複合体。
【0483】
P2-58.リガンド単位が、抗体又はその活性断片である、記述P2-54~P2-57のいずれか1つに記載の複合体。
【0484】
P2-59.抗体又は抗体断片が、腫瘍関連抗原の抗体又は抗体断片である、記述P2-58に記載の複合体。
【0485】
P2-60.抗体又は抗体断片が、以下の(1)~(89)から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原又は細胞表面受容体に結合する抗体である、記述P2-59に記載の複合体:
(1)BMPR1B;
(2)E16;
(3)STEAP1;
(4)0772P;
(5)MPF;
(6)Napi3b;
(7)Sema 5b;
(8)PSCA hlg;
(9)ETBR;
(10)MSG783;
(11)STEAP2;
(12)TrpM4;
(13)CRIPTO;
(14)CD21;
(15)CD79b;
(16)FcRH2;
(17)HER2;
(18)NCA;
(19)MDP;
(20)IL20R-α;
(21)Brevican;
(22)EphB2R;
(23)ASLG659;
(24)PSCA;
(25)GEDA;
(26)BAFF-R;
(27)CD22;
(28)CD79a;
(29)CXCR5;
(30)HLA-DOB;
(31)P2X5;
(32)CD72;
(33)LY64;
(34)FcRH1;
(35)IRTA2;
(36)TENB2;
(37)PSMA-FOLH1;
(38)SST;
(38.1)SSTR2;
(38.2)SSTR5;
(38.3)SSTR1;
(38.4)SSTR3;
(38.5)SSTR4;
(39)ITGAV;
(40)ITGB6;
(41)CEACAM5;
(42)MET;
(43)MUC1;
(44)CA9;
(45)EGFRvIII;
(46)CD33;
(47)CD19;
(48)IL2RA;
(49)AXL;
(50)CD30-TNFRSF8;
(51)BCMA-TNFRSF17;
(52)CTAgs-CTA;
(53)CD174(ルイス式Y)-FUT3;
(54)CLEC14A;
(55)GRP78-HSPA5;
(56)CD70;
(57)幹細胞特異的抗原;
(58)ASG-5;
(59)ENPP3;
(60)PRR4;
(61)GCC-GUCY2C;
(62)Liv-1-SLC39A6;
(63)5T4;
(64)CD56-NCMA1;
(65)CanAg;
(66)FOLR1;
(67)GPNMB;
(68)TIM-1-HAVCR1;
(69)RG-1/前立腺腫瘍標的ミンディン-ミンディン/RG-1;
(70)B7-H4-VTCN1;
(71)PTK7;
(72)CD37;
(73)CD138-SDC1;
(74)CD74;
(75)クローディン-CL;
(76)EGFR;
(77)Her3;
(78)RON-MST1R;
(79)EPHA2;
(80)CD20-MS4A1;
(81)テネイシンC-TNC;
(82)FAP;
(83)DKK-1;
(84)CD52;
(85)CS1-SLAMF7;
(86)エンドグリン-ENG;
(87)アネキシンA1-ANXA1;
(88)V-CAM(CD106)-VCAM1;
(89)ASCT2(SLC1A5)。
【0486】
P2-61.抗体又は抗体断片が、システイン操作した抗体である、記述P2-58~P2-60のいずれか1つに記載の複合体。
【0487】
P2-62.抗体(Ab)に対する薬物(D)の薬物積載量(p)が、1~約10の整数である、記述P2-58~P2-61のいずれか1つに記載の複合体。
【0488】
P2-63.pが1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、記述P2-62に記載の複合体。
【0489】
P2-64.記述P2-58~P2-63のいずれか1つに記載の複合体の混合物であって、抗体薬物複合体の混合物における1抗体当たりの平均薬物積載量が、約1~約10である、複合体の混合物。
【0490】
P2-65.療法に用いるための、記述P2-54~P2-64のいずれか1つに記載の複合体又は混合物。
【0491】
P2-66.記述P2-54~P2-64のいずれか1つに記載の複合体又は混合物と、薬学的に許容可能な希釈剤、担体、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0492】
P2-67.対象の増殖性疾患の治療に用いるための、記述P2-54~P2-64のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述P2-66に記載の医薬組成物。
【0493】
P2-68.疾患が癌である、記述P2-67に記載の複合体、混合物、又は医薬組成物。
【0494】
P2-69.医療的治療方法における、記述P2-54~P2-64のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述P2-66に記載の医薬組成物の使用。
【0495】
P2-70.患者に、記述P2-66に記載の医薬組成物を投与することを含む、医療的治療方法。
【0496】
P2-71.医療的治療方法が、癌の治療のためのものである、記述P2-70に記載の方法。
【0497】
P2-72.患者に、複合体と組み合わされて、化学療法剤が投与される、記述P2-71に記載の方法。
【0498】
P2-73.増殖性疾患の治療のための医薬の製造方法における、記述P2-54~P2-64のいずれか1つに記載の複合体又は混合物の使用。
【0499】
P2-74.増殖性疾患を有する哺乳類の治療方法であって、有効量の記述P2-54~P2-64のいずれか1つに記載の複合体若しくは混合物、又は記述P2-66に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0500】
P2-75.単一のエナンチオマーとしての、又はエナンチオマーに富む形態の化合物A:
【化89】

[配列表]
【化90】
【化91】
図1
【配列表】
2023065346000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式5:
【化1】
[式中、RL*protは、Q-Prot(式中、Protは、アミン保護基である)であり、及び
Qは:
(a)Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択されるアミノ酸残基であるか;又は
(b)
NH-Phe-Lys-C=O
NH-Val-Ala-C=O
NH-Val-Lys-C=O
NH Ala-Lys-C=O
NH-Val-Cit-C=O
NH-Phe-Cit-C=O
NH-Leu-Cit-C=O
NH-Ile-Cit-C=O
NH-Phe-Arg-C=O
NH-Trp-Cit-C=O、及び
NH-Gly-Val-C=Oから選択されるジペプチド残基であるか;又は
(c)
NH-Glu-Val-Ala-C=O
NH-Glu-Val-Cit-C=O
NH-αGlu-Val-Ala-C=O、及び
NH-αGlu-Val-Cit-C=Oから選択されるトリペプチド残基であるか;又は
(d)
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=O;及び
NH-Gly-Phe-Gly-GlyC=Oから選択されるテトラペプチド残基であり、
ここで、NH-は、残基のN-末端を表し、-C=Oは、残基のC-末端を表す]
を有する化合物。
【請求項2】
Qが、NH-Phe-Lys-C=ONH-Val-Cit-C=O、又はNH-Val-Ala-C=Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが、NH-Val-Ala-C=Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
アリル((S)-1-(((S)-1-((4-アミノ-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-メチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバメート:
【化2】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式6:
【化3】
[式中、RL*protは、請求項1~3のいずれかにおいて定義されるとおりである]
を有する化合物。
【請求項6】
アリル((S)-3-メチル-1-オキソ-1-(((S)-1-オキソ-1-((5-オキソ-4-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル)アミノ)プロパン-2-イル)アミノ)ブタン-2-イル)カルバメート:
【化4】
である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式4:
【化5】
[式中、RL*protは、請求項1~3のいずれかにおいて定義されるとおりである]
を有する化合物。
【請求項8】
【化6】
である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式VI:
【化7】
[Qは、
(a)Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択されるアミノ酸残基であるか;又は
(b)
NH-Phe-Lys-C=O
NH-Val-Ala-C=O
NH-Val-Lys-C=O
NH Ala-Lys-C=O
NH-Val-Cit-C=O
NH-Phe-Cit-C=O
NH-Leu-Cit-C=O
NH-Ile-Cit-C=O
NH-Phe-Arg-C=O
NH-Trp-Cit-C=O、及び
NH-Gly-Val-C=Oから選択されるジペプチド残基であるか;又は
(c)
NH-Glu-Val-Ala-C=O
NH-Glu-Val-Cit-C=O
NH-αGlu-Val-Ala-C=O、及び
NH-αGlu-Val-Cit-C=Oから選択されるトリペプチド残基であるか;又は
(d)
NH-Gly-Gly-Phe-GlyC=O;及び
NH-Gly-Phe-Gly-GlyC=Oから選択されるテトラペプチド残基であり、
ここで、NH-は、残基のN-末端を表し、-C=Oは、残基のC-末端を表す]を有する化合物。
【請求項10】
Qが、NH-Phe-Lys-C=ONH-Val-Cit-C=O、又はNH-Val-Ala-C=Oである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Qが、NH-Val-Ala-C=Oである、請求項9に記載の化合物。
【外国語明細書】