(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065403
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】大環式化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 498/18 20060101AFI20230502BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230502BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230502BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230502BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230502BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230502BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230502BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230502BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230502BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230502BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20230502BHJP
A61K 31/529 20060101ALI20230502BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
C07D498/18 CSP
A61P1/04
A61P1/16
A61P11/00
A61P13/12
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 T
A61K31/506
A61K31/517
A61K31/529
A61K31/5377
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023016586
(22)【出願日】2023-02-07
(62)【分割の表示】P 2020504026の分割
【原出願日】2018-07-26
(31)【優先権主張番号】62/538,193
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/700,990
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】516221454
【氏名又は名称】ターニング・ポイント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Turning Point Therapeutics,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ジンロン・ジーン・ツイ
(72)【発明者】
【氏名】エバン・ダブリュー・ロジャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ホイッテン
(72)【発明者】
【氏名】ダヨン・ジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・デン
(72)【発明者】
【氏名】シン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンドン・ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ジャン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害するある特定の大環式化合物と、そのような化合物を含有する薬学的組成物と、そのような化合物を使用して癌を治療する方法を提供する。
【解決手段】例えば、下記式で表される化合物1による。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
X
1およびX
2が、独立して、-CR
6R
7-、S、S(O)、S(O)
2、O、またはN(R
8)であり、
R
1が、H、重水素、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
10アリール、-C(O)OR
8、または-C(O)NR
8R
9であり、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、およびC
6~C
10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)C
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)C
1~C
6アルキル、-NHC(O)NH
2、-NHC(O)NHC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NHC
1~C
6アルキル、-NHC(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)OC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)OC
1~C
6アルキル、-NHS(O)(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)NH
2、-NHS(O)
2NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH
2、-NHS(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHS(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-SC
1~C
6アルキル、-S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されており、
各R
2およびR
3が、独立して、H、重水素、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
6~C
10アリール、-C(O)OR
8、または-C(O)NR
8R
9であり、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、およびC
6~C
10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)C
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)C
1~C
6アルキル、-NHC(O)NH
2、-NHC(O)NHC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NHC
1~C
6アルキル、-NHC(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)OC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)OC
1~C
6アルキル、-NHS(O)(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)NH
2、-NHS(O)
2NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH
2、-NHS(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHS(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-SC
1~C
6アルキル、-S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、もしくは3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されているか、またはR
2およびR
3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
5~C
7シクロアルキルもしくは5~7員ヘテロシクロアルキルを任意に形成するか、またはR
2およびR
4が、それらが結合している原子と一緒になって、5~7員ヘテロシクロアルキルを任意に形成し、
R
4が、H、C
1~C
6アルキルまたは3~7員ヘテロシクロアルキルであり、C
1~C
6アルキルまたは3~7員ヘテロシクロアルキル中の各水素原子が、独立して、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、または単環式5~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されており、
R
5が、Hまたは-NR
6R
7であり、
各R
6、R
7およびR
8が、それぞれ独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、およびC
3~C
6シクロアルキルからなる群から選択され、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、およびC
3~C
6シクロアルキル中の各水素原子が、独立して、重水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C
6~C
10アリール、5~7員ヘテロアリール、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、または-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2によって任意に置換されており、
R
9が、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CN、-CF
3、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、および-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2であり、
R
10が、H、フルオロ、クロロ、またはブロモであり、
nが、1または2であるが、
但し、R
5がHであるとき、R
9が、-CN、-CF
3、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、および-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2からなる群から選択される、化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R5が、Hである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R9が、-CNである、請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R10が、Fである、請求項3に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R5が、-NR6R7である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R6およびR7が、Hである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R9が、-CNである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R9が、-CNである、請求項6に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R10が、フルオロである、請求項5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
X1が、N(R8)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R8が、C1~C6アルキルであり、各水素原子が、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、C3~C7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C6~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、または-C(O)N(C1~C6アルキル)2によって任意に置換されている、請求項10に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
R8が、エチル、プロピル、イソ-プロピル、またはメチルシクロプロピルである、請求項10に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
X2が、Oである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
R2が、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C6~C10アリール、-C(O)OR7、または-C(O)NR7R8であり、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、およびC6~C10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)C1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)C1~C6アルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NHC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)C(O)NHC1~C6アルキル、-NHC(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)C(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)OC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)OC1~C6アルキル、-NHS(O)(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2(C1~C6アルキル)、-NHS(O)NH2、-NHS(O)2NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH2、-NHS(O)NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHS(O)2N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、-SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、C3~C6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されており、R3が、Hである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
R2が、C1~C6アルキルである、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
R2が、メチルである、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
R2が、Hであり、R3が、H、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C6~C10アリール、-C(O)OR7、または-C(O)NR7R8であり、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、およびC6~C10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)C1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)C1~C6アルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NHC1~C6アルキル、N(C1~C6アルキル)C(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)C(O)NHC1~C6アルキル、-NHC(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)C(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)OC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)OC1~C6アルキル、-NHS(O)(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2(C1~C6アルキル)、-NHS(O)NH2、-NHS(O)2NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH2、-NHS(O)NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHS(O)2N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、-SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、C3~C6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されている、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
R2およびR3が、Hである、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
【化2-1】
【化2-2】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤のうちの少なくとも1種以上とを含む、薬学的組成物。
【請求項21】
患者における癌を治療する方法であって、
a.治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物を投与することを含む、方法。
【請求項22】
SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する前記化合物が、請求項1~19のいずれか一項に記載の式のものである、請求項22に記載の方法。
【請求項23】
前記癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
b.治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤を投与することを更に含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1種の追加の抗癌剤が、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記追加の抗癌剤が、EGFRの抗体である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記追加の抗癌剤が、EGFRの小分子阻害剤である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記追加の抗癌剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記追加の抗癌剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記追加の抗癌剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
患者における癌の治療における使用のための、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する前記化合物が、請求項1~19のいずれか一項に記載の式のものである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
前記癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせた、請求項33~35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
前記少なくとも1種の追加の抗癌剤が、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
前記追加の抗癌剤が、EGFRの抗体である、請求項36に記載の化合物。
【請求項39】
前記EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
前記追加の抗癌剤が、EGFRの小分子阻害剤である、請求項36に記載の化合物。
【請求項41】
前記EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
前記追加の抗癌剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項43】
前記追加の抗癌剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項44】
前記追加の抗癌剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項45】
癌の治療における使用のための薬物の調製における、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項46】
SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する前記化合物が、請求項1~19のいずれか一項に記載の式のものである、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、請求項45に記載の使用。
【請求項48】
治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせた、請求項45~47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記少なくとも1種の追加の抗癌剤が、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
前記追加の抗癌剤が、EGFRの抗体である、請求項48に記載の使用。
【請求項51】
前記EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
前記追加の抗癌剤が、EGFRの小分子阻害剤である、請求項48に記載の使用。
【請求項53】
前記EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項52に記載の使用。
【請求項54】
前記追加の抗癌剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項48に記載の使用。
【請求項55】
前記追加の抗癌剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項48に記載の使用。
【請求項56】
前記追加の抗癌剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項48に記載の使用。
【請求項57】
患者における癌の治療における使用のための、治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、組成物。
【請求項58】
SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する前記化合物が、請求項1~20のいずれか一項に記載の式のものである、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、請求項56に記載の組成物。
【請求項60】
治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせた、請求項57~59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
前記少なくとも1種の追加の抗癌剤が、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記追加の抗癌剤が、EGFRの抗体である、請求項60に記載の組成物。
【請求項63】
前記EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
前記追加の抗癌剤が、EGFRの小分子阻害剤である、請求項60に記載の組成物。
【請求項65】
前記EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
前記追加の抗癌剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項60に記載の組成物。
【請求項67】
前記追加の抗癌剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項60に記載の組成物。
【請求項68】
前記追加の抗癌剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項60に記載の組成物。
【請求項69】
SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物と、EGFR阻害剤との相乗的組成物であって、前記2つの構成成分が、ある位置で互いに接触する、相乗的組成物。
【請求項70】
SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する前記化合物が、請求項1~19のいずれか一項に記載の式のものである、請求項69に記載の相乗的組成物。
【請求項71】
前記位置が、患者である、請求項70に記載の相乗的組成物。
【請求項72】
前記位置が、癌である、請求項70に記載の相乗的組成物。
【請求項73】
前記癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、請求項72に記載の相乗的組成物。
【請求項74】
前記EGFR阻害剤が、EGFRの抗体である、請求項69~73のいずれか一項に記載の相乗的組成物。
【請求項75】
前記EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、請求項74に記載の相乗的組成物。
【請求項76】
前記EGFR阻害剤が、EGFRの小分子阻害剤である、請求項69~73のいずれか一項に記載の相乗的組成物。
【請求項77】
前記EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項76に記載の相乗的組成物。
【請求項78】
前記EGFR阻害剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項76に記載の相乗的組成物。
【請求項79】
前記EGFR阻害剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項76に記載の相乗的組成物。
【請求項80】
前記EGFR阻害剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項76に記載の相乗的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2017年7月28日出願の米国仮特許出願第62/538,193号および2018年7月20日出願の米国仮特許出願第62/700,990号に対する優先権を主張し、これらの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害するある特定の大環式化合物と、そのような化合物を含有する薬学的組成物と、そのような化合物を使用して癌を治療する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質キナーゼは、細胞増殖、増幅、および生存のための主要調節因子である。遺伝的および後成的改変は、癌細胞中に蓄積し、悪性プロセスを駆動するシグナル伝達経路の異常な活性化につながる(Manning,G.et al,The protein kinase complement of the human genome.Science 2002,298,1912-1934)。これらのシグナル伝達経路の薬学的阻害は、標的癌療法のための有望な介入機会を提示する(Sawyers,C.Targeted cancer therapy.Nature 2004,432,294-297)。
【0004】
肝細胞増殖因子受容体(HGFR)とも呼ばれるMETは、1984年に発見された(Cooper,C.S.,et al Molecular cloning of a new transforming gene from a chemically transformed human cell line.Nature 1984,311,29-33)。散乱係数(SF)としても知られる肝細胞増殖因子(HGF)は、METの高親和性天然リガンドである(Bottaro DP et al.Identification of the hepatocyte growth factor receptor as the c-met proto-oncogene product.Science.1991,251(4995),802-804)。HGF/METシグナル伝達経路は、胚発生、出生後臓器再生、創傷治癒、および組織再生プロセス中の浸潤性増殖に関係があるとされる。しかしながら、HGF/MET軸は、腫瘍形成、浸潤性増殖、および転位のために癌細胞によって頻繁に乗っ取られる(Boccaccio,C.;Comoglio,P.M.Invasive growth:a MET-driven generic programme for cancer and stem cells.Nat.Rev.Cancer 2006,6,637-645)。突然変異、遺伝子増幅、過剰発現、およびオートクリンまたはパラクリン両方のループ調節の活性化を介したMETおよび/またはHGFの脱調節は、細胞増殖、増幅、血管新生、浸潤、および転位に影響を及ぼし、腫瘍形成および腫瘍進行につながる(Ma,PC et al.Expression and mutational analysis of MET in human solid cancers.Genes Chromosomes Cancer 2008,47,1025-1037)。METおよび/またはHGFの過剰発現は、肝臓、乳房、膵臓、肺、腎臓、膀胱、卵巣、脳、前立腺、およびその他多くの様々な固形腫瘍において検出されており、多くの場合、転移性表現型および不良な予後に関連している(Maulik,G.,et al.Role of the hepatocyte growth factor receptor,MET,in oncogenesis and potential for therapeutic inhibition.Cytokine Growth Factor Rev.2002,13,41-59)。MET増幅は、胃食道癌、結腸直腸癌、NSCLC、髄芽腫、および膠芽腫を含む、異なるヒト癌において報告されている(Smolen,G.A.,et al.Amplification of MET may identify a subset of cancers with extreme sensitivity to the selective tyrosine kinase inhibitor PHA-665752.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2006,103,2316-2321)。生殖系および体細胞両方の突然変異のチロシンキナーゼドメイン、膜近傍および細胞外ドメインにおける多様なMET突然変異の組は、遺伝性および散発性ヒト乳頭状腎臓癌、肺癌、卵巣癌、小児期肝細胞癌、頭頸部の扁平細胞癌、および胃癌を含む、多くの固形腫瘍において説明されている(Ghiso,E.;Giordano,S.Targeting MET:why,where and how? Curr.Opin.Pharmacol.2013,13,511-518)。METエクソン14欠失は、異なる癌種に罹患した患者における、潜在的な臨床影響および治療適用を伴う新規クラスの作動可能な発癌事象を表す(Pilotto S,MET exon 14 juxtamembrane splicing mutations:clinical and therapeutical perspectives for cancer therapy.Ann Transl Med.2017 5(1):2)。オートクリンまたはパラクリン刺激は、異常なMET活性化の1つの機序である。METオートクリン活性化は、悪性黒色腫の発達および転移性表現型の取得において因果的役割を果たす(Otsuka,T.,et al.MET autocrine activation induces development of malignant melanoma and acquisition of the metastatic phenotype.Cancer Res.1998,58,5157-5167)。膠芽腫(GBM)の場合、HGFオートクリン発現は、HGFオートクリン細胞株中のMETリン酸化レベルと相関し、インビボでMET阻害に対する高い感受性を示す一方、HGFパラクリン環境は、インビボで膠芽腫増殖を強化することができたが、MET阻害に対する感受性を証明しなかった(Xie,Q.,et al.Hepatocyte growth factor(HGF)autocrine activation predicts sensitivity to MET inhibition in glioblastoma.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2012,109,570-575)。HGFの異常発現は、AML細胞株および臨床試料のほぼ半数においてMETのオートクリン活性化につながる、AML病因において重要な要素である(Kentsis,A.,et al.Autocrine activation of the MET receptor tyrosine kinase in acute myeloid leukemia.Nat.Med.2012,18,1118-1122)。
【0005】
HGF/METシグナル伝達の上方調節は、キナーゼ標的療法に対する耐性を付与する補償的シグナル伝達として頻繁に報告されている。MET増幅は、ゲフィチニブまたはエルロチニブ治療に対する耐性を獲得したEGFR突然変異を有するNSCLC患者の4%~20%において検出された(Sequist,L.V.,et al.Analysis of tumor specimens at the time of acquired resistance to EGFR-TKI therapy in 155 patients with EGFR-mutant lung cancers.Clin.Cancer Res.2013,19,2240-2247)。リガンドHGFの上方調節は、EGFR-TKI耐性の別の機序を表す。高HGF発現は、T790M突然変異またはMET増幅を有していなかった獲得耐性を有する臨床標本の中で、ならびにEGFR-TKI感受性活性化EGFR遺伝子突然変異を有するにもかかわらず一次耐性を呈した症例の中で発見された(Yano,S.,et al.Hepatocyte growth factor induces gefitinib resistance of lung adenocarcinoma with epidermal growth factor receptor-activating mutations.Cancer Res.2008,68,9479-9487)。METの増幅は、抗EGFR療法中にKRAS突然変異を発達させない転移性結腸直腸癌患者におけるセツキシマブまたはパニツムマブに対する獲得耐性と関連している(Bardelli,A.,et al.Amplification of the MET Receptor Drives Resistance to Anti-EGFR Therapies in Colorectal Cancer.Cancer Discov.2013,3,658-673)。腫瘍微小環境からの増殖因子により駆動される耐性は、抗癌キナーゼ阻害剤の潜在的な共通機序を表す。間質性HGFの上方調節は、BRAF突然変異黒色腫細胞におけるBRAF阻害剤ラムラフェニブに対する耐性を付与する(Straussman,R.,et al.Tumour micro-environment elicits innate resistance to RAF inhibitors through HGF secretion.Nature 2012,487,500-504)。代替受容体チロシンキナーゼのリガンド媒介性活性化が、HERおよびEGFRファミリーのMET、FGFR2またはFGFR3、およびRTKのいずれかに本来依存する癌細胞、ならびに互いの喪失を補償したMET中で観察されたことが報告された(Harbinski,F.,et al.Rescue screens with secreted proteins reveal compensatory potential of receptor tyrosine kinases in driving cancer growth.Cancer Discov.2012,2,948-959)。したがって、補償的リガンド発現を駆動する適応性細胞反応を遮断することは、最適かつ持続的な抗腫瘍効果を達成するために必要である。
【0006】
発癌性K-Ras突然変異は、膵臓癌、胃癌、および肺癌を含む癌において頻繁に発生する。K-Ras突然変異癌は、単層培養条件よりも足場非依存性培養条件においてK-Rasにより依存性である。強化されたMet発現およびシグナル伝達は、K-Ras突然変異癌細胞の足場非依存性増殖に必須であり、METの薬理学的阻害剤が、K-Ras突然変異腫瘍患者に有効であり得ることを示唆する(Fujita-Sato,S.,et al.Enhanced MET Translation and Signaling Sustains K-Ras-Driven Proliferation under Anchorage-Independent Growth Conditions.Cancer Res.2015,75,2851-2862)。
【0007】
SRCファミリーの細胞質チロシンキナーゼ(SFK)は、増殖因子およびインテグリンを含む多数の細胞外刺激によって誘導されたシグナル伝達において重要な役割を果たす(Parsons,S.J.,et al.Src family kinases,key regulators of signal transduction.Oncogene,2004,23,7906-7909)。非受容体チロシンキナーゼSRCの発現上昇および/またはSRCキナーゼ活性の亢進は、乳癌、結腸癌、肺癌、および頭頸部癌を含む多種多様なヒト癌において報告されている。SRCおよびSTAT3の活性亢進は、多くの上皮癌と関連し、血管内皮増殖因子およびHGF等のいくつかの増殖因子の発現につながることが報告された。SRCおよびSTAT3は、HGF発現の上流調節因子として協同的に作用し、HGFオートクリンループ、シグナル増幅、および浸潤性表現型の確立をもたらし得る(Wojcik,E.J.,et al.A novel activating function of SRC and STAT3 on HGF transcription in mammary carcinoma cells.Oncogene.2006,25,2773-84)。したがって、SRC/STAT3-シグナル伝達経路を標的とすることは、癌におけるオートクリンHGFループの崩壊に有効であり得る。EGFR阻害剤は、EGFR-突然変異体NSCLC患者においてのみ良好な反応を有する。浸潤性表現型の野生型EGFR活性化は、HGF依存性経路を通るEGFR-SRC-METシグナル伝達に大きく依存する(Dulak AM,et al.HGF-independent potentiation of EGFR action by MET.Oncogene.2011,30,3625-3635)。EGFRリガンドは、8時間目に始まり、48時間にわたって継続する活性化METの蓄積を誘導し、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)またはAKTの活性化を伴わずに、MET発現の増加および重要なMETチロシン残基のリン酸化につながる。この遺伝子転写関連側方シグナル伝達は、長期のSRCリン酸化と関連し、SRC経路は、EGFRとMETとの通信に関与する。EGFRは、頭頸部扁平細胞癌(HNSCC)の約90%で過剰発現されるが、現在までに開発されたEGFR阻害剤は、限られた臨床有効性を提供した。例えば、METのリガンド非依存性活性化は、活性化SRCを有するHNSCCにおけるエルロチニブ耐性に特異的に寄与し、MET活性化は、EGFRよりもSRCに依存し、代替生存経路を提供する(Stabile,L.P.,et al.c-SRC activation mediates erlotinib resistance in head and neck cancer by stimulating MET.Clin Cancer Res.2012,19,1-13)。SRCの異常な活性化は、HNSCCを含む多くの上皮腫瘍において証明された。SRC阻害は、HNSCC細胞株の浸潤および移行の一般的かつ重大な低減をもたらしたが、HNSCC細胞株のうちのいくつかにおいて細胞毒性を生じた。持続的MET活性化は、SRC阻害に対する耐性を媒介する。SRCおよびMET阻害の相乗的細胞毒性効果は、HNCC細胞株において観察された(Sen,B.,et al.Distinct interactions between SRC and MET in mediating resistance to SRC inhibition in head and neck cancer.Clin Cancer Res.2010,17,1-11)。
【0008】
セツキシマブにより誘導されるMET活性化は、Caco-2結腸癌細胞においてセツキシマブ耐性につながり、SRC活性化は、MET/SRC/EGFR複合体形成を介してMETと相互作用することによってセツキシマブ耐性を促進したことが報告された(Song N,et al.Cetuximab-induced MET activation acts as a novel resistance mechanism in colon cancer cells.Int J Mol Sci.2014,15,5838-5851)。SRCは、METにより駆動される腫瘍増殖の重要な下流トランスデューサである。Met常習による胃癌細胞におけるSRCの阻害は、METの阻害に対する細胞感受性を強化し、これはMETおよびSRC阻害剤による組み合わせ治療の治療可能性を支持する(Bertotti,A.,et al.Inhibition of SRC impairs the growth of MET-addicted gastric tumors.Clin Cancer Res.2010,16,3933-3943)。HGF/METシグナル伝達は、結腸直腸癌(CRC)の発達に関係があるとされ、METの阻害は、単独で限られた有効性を有することが証明された。SRC活性化は、METのリガンド依存性および非依存性活性化に必須であった。METおよびSRCの複合阻害は、突然変異体および野生型RAS結腸癌細胞における細胞増幅およびアポトーシスの阻害を強化した(Song,N.,et al.Dual inhibition of MET and SRC kinase activity as a combined targeting strategy for colon cancer.Exp Ther Med etm.2017.4692)。
【0009】
FMSとしても知られるCSF1Rは、コロニー刺激因子1の受容体であり、マクロファージの産生、分化、および機能を制御するサイトカインである。腫瘍微小環境における非終息性炎症は、癌の顕著な特徴であり、M2分極化マクロファージと関連する。腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、M2分極化マクロファージにより酷似し、癌の増幅、浸潤、および転位を促進することにおいて重要な役割を果たす(Yang L,et al.Tumor-associated macrophages:from basic research to clinical application.J Hematol Oncol.2017,10,58)。TAMの腫瘍促進機能は、それらが血管新生促進および増殖因子を分泌する能力、ならびに免疫抑制サイトカインを放出し、それらの代謝に影響を及ぼすことによってT細胞エフェクター機能を強力に抑制する能力に基づく(Ries CH,et al.Targeting tumor-associated macrophages with anti-CSF1R antibody reveals a strategy for cancer therapy.Cancer Cell.2014,25,846-859)。免疫チェックポイントを標的とする抗PD-1モノクローナル抗体(mAb)は、ある特定の癌の治療に対する利点を証明したが、これらの薬物は、常に有効であるとは限らない。最近の研究は、抗PD-1 mAbの有効性が、PD-1-腫瘍関連マクロファージによる抗PD-1 mAb結合PD-1+腫瘍浸潤CD8+T細胞の取り込みによって影響されたことを示した。腫瘍マクロファージおよび抗PD-1を標的とするように設計された複合療法は、CD8+T細胞への免疫チェックポイント遮断薬物送達を増加させることによって、追加の利点を提供し、それによって免疫療法の活性を強化することができる(Arlauckas SP,et al.In vivo imaging reveals a tumor-associated macrophage-mediated resistance pathway in anti-PD-1 therapy.Sci Transl Med.2017,9(389).pii:eaal3604)。TAMの生存は、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)を通るシグナル伝達によって媒介され、CSF1Rシグナル伝達の阻害は、進行した固形腫瘍を有する患者においてTAMを低減し、CD8/CD4 T-細胞比を増加させる。したがって、TAMの変調につながるCSF1Rシグナル伝達を標的とすることは、単剤として、または標準治療の化学療法剤および免疫療法と組み合わせて、様々な固形腫瘍における有望な治療戦略である。CSF1RおよびCSF1の共発現は、浸潤性腫瘍において最も頻繁に検出される。オートクリンCSF-1R活性化は、SRC依存性機序を通して3次元培養物中のヒト乳房上皮細胞によって形成された腺房構造における過剰増殖および接合部完全性の崩壊を誘導した(Wrobel CN,et al.Autocrine CSF1R activation promotes SRC-dependent disruption of mammary epithelial architecture.J Cell Biol.2004,165,263-273)。CSF-1RおよびSRCの阻害は、浸潤性腫瘍の治療における有益な戦略となり得る。腱鞘巨細胞腫(TGCT)または色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)は、CSF1Rを担持する多クローン性マクロファージを動員し、腫瘍の大半を占めるCSF1を過剰発現する細胞から生じるクローン性新生物増幅である。小分子阻害剤を使用するCSF1Rの阻害は、罹患した接合部の改善につながり得る(Ravi V,et al.Treatment of tenosynovial giant cell tumor and pigmented villonodular synovitis.Curr Opin Oncol.2011,23,361-366)。
【0010】
要約すると、HGF/MET経路の異常な活性化は、タンパク質過剰発現、突然変異、遺伝子増幅、およびパラクリンまたはオートクリン上方調節を介して、ヒト癌において頻繁に認められた。更に、HGF/METシグナル伝達の活性化は、癌療法に対する耐性を付与する。SRC活性化は、METのリガンド依存性および非依存性活性化と関係があるとされる。CSF1Rは、腫瘍関連マクロファージの調節において重要な役割を果たす。したがって、MET/SRC/CSF1Rの多重薬理的阻害は、癌における治療介入に対する大きな可能性を有する。現在まで、MET/SRCを阻害する化合物、および/またはCSF1Rはわかりにくかった。そのようなものとして、未だ対処されていない重要な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
一態様では、本開示は、式Iの化合物、
【化1】
またはその薬学的に許容される塩に関し、式中、
X
1およびX
2が、独立して、-CR
6R
7-、S、S(O)、S(O)
2、O、またはN(R
8)であり、
R
1が、H、重水素、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
10アリール、-C(O)OR
8、または-C(O)NR
8R
9であり、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、およびC
6~C
10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)C
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)C
1~C
6アルキル、-NHC(O)NH
2、-NHC(O)NHC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NHC
1~C
6アルキル、-NHC(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)OC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)OC
1~C
6アルキル、-NHS(O)(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)NH
2、-NHS(O)
2NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH
2、-NHS(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHS(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-SC
1~C
6アルキル、-S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されており、
各R
2およびR
3が、独立して、H、重水素、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
6~C
10アリール、-C(O)OR
8、または-C(O)NR
8R
9であり、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、およびC
6~C
10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)C
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)C
1~C
6アルキル、-NHC(O)NH
2、-NHC(O)NHC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NHC
1~C
6アルキル、-NHC(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)OC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)OC
1~C
6アルキル、-NHS(O)(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)NH
2、-NHS(O)
2NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH
2、-NHS(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHS(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-SC
1~C
6アルキル、-S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、もしくは3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されているか、またはR
2およびR
3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
5~C
7シクロアルキルもしくは5~7員ヘテロシクロアルキルを任意に形成するか、またはR
2およびR
4が、それらが結合している原子と一緒になって、5~7員ヘテロシクロアルキルを任意に形成し、
R
4が、H、C
1~C
6アルキルまたは3~7員ヘテロシクロアルキルであり、C
1~C
6アルキルまたは3~7員ヘテロシクロアルキル中の各水素原子が、独立して、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、または単環式5~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されており、
R
5が、Hまたは-NR
6R
7であり、
各R
6、R
7およびR
8が、それぞれ独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、およびC
3~C
6シクロアルキルからなる群から選択され、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、およびC
3~C
6シクロアルキル中の各水素原子が、独立して、重水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C
6~C
10アリール、5~7員ヘテロアリール、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、または-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2によって任意に置換されており、
R
9が、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CN、-CF
3、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、および-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2であり、
R
10が、H、フルオロ、クロロ、またはブロモであり、
nが、1または2であるが、
但し、R
5がHであるとき、R
9が、-CN、-CF
3、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、および-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2からなる群から選択される。
【0012】
別の態様では、本開示は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、および任意に少なくとも1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤を含む、薬学的組成物に関する。
【0013】
別の態様では、本開示は、患者における癌を治療する方法を対象とし、
a.治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物を投与することを含む。この態様のいくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。この態様のいくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0014】
別の態様では、本開示は、患者における癌を治療する方法を対象とし、
a.治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物を投与することと、
b.治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤を投与することと、を含む。この態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。この態様のいくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。この態様のいくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。この態様のいくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0015】
別の態様では、患者における癌の治療における使用のための、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を対象とする。この態様のいくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。この態様のいくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0016】
別の態様では、本開示は、患者における癌の治療における使用のための、治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせた、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を対象とする。この態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。この態様のいくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。この態様のいくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。この態様のいくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0017】
別の態様では、本開示は、患者における癌の治療における使用のための、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を対象とする。この態様のいくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。この態様のいくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。この態様のいくつかの実施形態では、化合物は、治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせて投与される。この態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。この態様のいくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。
【0018】
別の態様では、本開示は、患者における癌の治療における使用のための、治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を対象とする。この態様のいくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。この態様のいくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。この態様のいくつかの実施形態では、化合物は、治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせて投与される。この態様のいくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。この態様のいくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。
【0019】
更に別の態様では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物と、EGFR阻害剤との相乗的組成物に関し、これら2つの構成成分が、ある位置で互いに接触する。この態様のいくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rは、式Iのものである。
【0020】
本開示の追加の実施形態、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から、および本開示の実践を通じて明らかとなるであろう。本開示の化合物は、以下に列挙した節のうちのいずれかにおいて実施形態として説明され得る。本明細書に記載される実施形態のうちのいずれかは、本明細書に記載される任意の他の実施形態に関して、それらの実施形態が互いに矛盾しない限り使用することができる。
【0021】
1.式Iの化合物、
【化2】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
X
1およびX
2が、独立して、-CR
6R
7-、S、S(O)、S(O)
2、O、またはN(R
8)であり、
R
1が、H、重水素、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
10アリール、-C(O)OR
8、または-C(O)NR
8R
9であり、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、およびC
6~C
10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)C
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)C
1~C
6アルキル、-NHC(O)NH
2、-NHC(O)NHC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NHC
1~C
6アルキル、-NHC(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)OC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)OC
1~C
6アルキル、-NHS(O)(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)NH
2、-NHS(O)
2NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH
2、-NHS(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHS(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-SC
1~C
6アルキル、-S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されており、
各R
2およびR
3が、独立して、H、重水素、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
6~C
10アリール、-C(O)OR
8、または-C(O)NR
8R
9であり、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、およびC
6~C
10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)C
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)C
1~C
6アルキル、-NHC(O)NH
2、-NHC(O)NHC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)NHC
1~C
6アルキル、-NHC(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHC(O)OC
1~C
6アルキル、-N(C
1~C
6アルキル)C(O)OC
1~C
6アルキル、-NHS(O)(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)NH
2、-NHS(O)
2NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH
2、-NHS(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-NHS(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-NHS(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-N(C
1~C
6アルキル)S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-SC
1~C
6アルキル、-S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、もしくは3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されているか、またはR
2およびR
3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C
5~C
7シクロアルキルもしくは5~7員ヘテロシクロアルキルを任意に形成するか、またはR
2およびR
4が、それらが結合している原子と一緒になって、5~7員ヘテロシクロアルキルを任意に形成し、
R
4が、H、C
1~C
6アルキルまたは3~7員ヘテロシクロアルキルであり、C
1~C
6アルキルまたは3~7員ヘテロシクロアルキル中の各水素原子が、独立して、ハロゲン、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
6シクロアルキル、または単環式5~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されており、
R
5が、Hまたは-NR
6R
7であり、
各R
6、R
7およびR
8が、それぞれ独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、およびC
3~C
6シクロアルキルからなる群から選択され、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、およびC
3~C
6シクロアルキル中の各水素原子が、独立して、重水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C
6~C
10アリール、5~7員ヘテロアリール、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、または-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2によって任意に置換されており、
R
9が、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CN、-CF
3、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、および-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2であり、
R
10が、H、フルオロ、クロロ、またはブロモであり、
nが、1または2であるが、
但し、R
5がHであるとき、R
9が、-CN、-CF
3、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、および-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2からなる群から選択される、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0022】
2.R5が、Hである、節1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0023】
3.R9が、-CNである、節2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0024】
4.R10が、Fである、節1~3のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0025】
5.R5が、-NR6R7である、節1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0026】
6.R6およびR7が、Hである、節5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0027】
7.R9が、-CNである、節5に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0028】
8.R9が、-CNである、節6に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0029】
9.X10が、フルオロである、節5~8のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0030】
10.X1が、N(R8)である、節1~9のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0031】
11.R8が、C1~C6アルキルであり、各水素原子が、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、
-N(C1~C6アルキル)2、C3~C7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C6~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、または-C(O)N(C1~C6アルキル)2によって任意に置換されている、節1~10のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0032】
12.R8が、エチル、プロピル、イソ-プロピル、またはメチルシクロプロピルである、節1~11のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0033】
13.X2が、Oである、節1~12のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0034】
14.R2が、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C6~C10アリール、-C(O)OR7、または-C(O)NR7R8であり、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、およびC6~C10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)C1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)C1~C6アルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NHC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)C(O)NHC1~C6アルキル、-NHC(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)C(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)OC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)OC1~C6アルキル、-NHS(O)(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2(C1~C6アルキル)、-NHS(O)NH2、-NHS(O)2NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH2、-NHS(O)NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHS(O)2N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、-SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、C3~C6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されており、R3が、Hである、節1~13のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0035】
15.R2が、C1~C6アルキルである、節1~14のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0036】
16.R2が、メチルである、節1~15のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0037】
17.R2が、Hであり、R3が、H、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C6~C10アリール、-C(O)OR7、または-C(O)NR7R8であり、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、およびC6~C10アリール中の各水素原子が、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)C1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)C1~C6アルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NHC1~C6アルキル、N(C1~C6アルキル)C(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)C(O)NHC1~C6アルキル、-NHC(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)C(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)OC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)OC1~C6アルキル、-NHS(O)(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2(C1~C6アルキル)、-NHS(O)NH2、-NHS(O)2NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH2、-NHS(O)NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHS(O)2N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、-SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、C3~C6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されている、節1~14のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0038】
18.R2およびR3が、Hである、節1~14のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0039】
19.
【化3-1】
【化3-2】
からなる群から選択される、節1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0040】
20.節1~19のいずれか一節に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤のうちの少なくとも1種以上を含む、薬学的組成物。
【0041】
21.患者における癌を治療する方法であって、
a.治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物を投与することを含む、方法。
【0042】
22.SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物が、節1~19のいずれか一節に記載の式のものである、節22に記載の方法。
【0043】
23.癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、節21または22に記載の方法。
【0044】
24.
b.治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤を投与することを更に含む、節21~23のいずれか一節に記載の方法。
【0045】
25.少なくとも1種の追加の抗癌剤が、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、節24に記載の方法。
【0046】
26.追加の抗癌剤が、EGFRの抗体である、請求項24に記載の方法。
【0047】
27.EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、節26に記載の方法。
【0048】
28.追加の抗癌剤が、EGFRの小分子阻害剤である、節24に記載の方法。
【0049】
29.EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節28に記載の方法。
【0050】
30.追加の抗癌剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節24、28、または29のいずれか一節に記載の方法。
【0051】
31.追加の抗癌剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節24、28、または29のいずれか一節に記載の方法。
【0052】
32.追加の抗癌剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項24、28、または29のいずれか一節に記載の方法。
【0053】
33.患者における癌の治療における使用のための、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0054】
34.SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物が、節1~19のいずれか一節に記載の式のものである、節33に記載の方法。
【0055】
35.癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、節33または34に記載の化合物。
【0056】
36.治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせた、節33~35のいずれか一節に記載の化合物。
【0057】
37.少なくとも1種の追加の抗癌剤が、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、節36に記載の化合物。
【0058】
38.追加の抗癌剤が、EGFRの抗体である、節36に記載の化合物。
【0059】
39.EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、節38に記載の化合物。
【0060】
40.追加の抗癌剤が、EGFRの小分子阻害剤である、節36に記載の化合物。
【0061】
41.EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節40に記載の化合物。
【0062】
42.追加の抗癌剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節36、40、または41のいずれか一節に記載の化合物。
【0063】
43.追加の抗癌剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節36、40、または41のいずれか一節に記載の化合物。
【0064】
44.追加の抗癌剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項36、40、または41のいずれか一節に記載の化合物。
【0065】
45.癌の治療における使用のための薬物の調製における、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0066】
46.SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物が、節1~19のいずれか一節に記載の式のものである、節45に記載の使用。
【0067】
47.癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、節45または46に記載の使用。
【0068】
48.治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせた、節45~47のいずれか一節に記載の使用。
【0069】
49.少なくとも1種の追加の抗癌剤が、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、節48に記載の使用。
【0070】
50.追加の抗癌剤が、EGFRの抗体である、節48に記載の使用。
【0071】
51.EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、節50に記載の使用。
【0072】
52.追加の抗癌剤が、EGFRの小分子阻害剤である、節48に記載の使用。
【0073】
53.EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節52に記載の使用。
【0074】
54.追加の抗癌剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節48、52、または53のいずれか一節に記載の使用。
【0075】
55.追加の抗癌剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節48、52、または53のいずれか一節に記載の使用。
【0076】
56.追加の抗癌剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節48、52、または53のいずれか一節に記載の使用。
【0077】
57.患者における癌の治療における使用のための、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、組成物。
【0078】
58.SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物が、節1~20のいずれか一節に記載の式のものである、節57に記載の組成物。
【0079】
59.癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、節56または57に記載の組成物。
【0080】
60.治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせた、節57~59のいずれか一節に記載の組成物。
【0081】
61.少なくとも1種の追加の抗癌剤が、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である、節60に記載の組成物。
【0082】
62.追加の抗癌剤が、EGFRの抗体である、節60に記載の組成物。
【0083】
63.EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、節62に記載の組成物。
【0084】
64.追加の抗癌剤が、EGFRの小分子阻害剤である、節60に記載の組成物。
【0085】
65.EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節64に記載の組成物。
【0086】
66.追加の抗癌剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節60、64、または65のいずれか一節に記載の組成物。
【0087】
67.追加の抗癌剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節60、64、または65のいずれか一節に記載の組成物。
【0088】
68.追加の抗癌剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節60、64、または65のいずれか一節に記載の組成物。
【0089】
69.SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物と、EGFR阻害剤との相乗的組成物であって、2つの構成成分が、ある位置で互いに接触する、相乗的組成物。
【0090】
70.SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物が、節1~19のいずれか一節に記載の式のものである、節69に記載の相乗的組成物。
【0091】
71.位置が、患者である、節69または70に記載の相乗的組成物。
【0092】
72.位置が、癌である、節69または70に記載の相乗的組成物。
【0093】
73.癌が、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である、節72に記載の相乗的組成物。
【0094】
74.EGFR阻害剤が、EGFRの抗体である、節69~73のいずれか一節に記載の相乗的組成物。
【0095】
75.EGFRの抗体が、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブである、請求項74に記載の相乗的組成物。
【0096】
76.EGFR阻害剤が、EGFRの小分子阻害剤である、節69~73のいずれか一節に記載の相乗的組成物。
【0097】
77.EGFRの小分子阻害剤が、アファチニブ、ブリガチニブ、カネルチニブ、ダコミチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、HKI 357、ラパチニブ、オシメルチニブ、ナコチニブ、ナザルチニブ、ネラチニブ、オルムチニブ、ペリチニブ、PF-06747775、ロシレチニブ、バンデタニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節76に記載の相乗的組成物。
【0098】
78.EGFR阻害剤が、ゲフィチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節69~73、76、または77のいずれか一節に記載の相乗的組成物。
【0099】
79.EGFR阻害剤が、オシメルチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節69~73、76、または77のいずれか一節に記載の相乗的組成物。
【0100】
80.EGFR阻害剤が、エルロチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、節69~73、76、または77のいずれか一節に記載の相乗的組成物。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】化合物5での4時間インキュベーション後のSNU-5細胞におけるMETリン酸化研究のゲル画像を示す。ゲルは、化合物5がSNU-5細胞におけるMETリン酸化を阻害したことを示す。
【
図2】化合物5での16時間インキュベーション後のMKN-45細胞におけるMETのリン酸化および下流エフェクターの研究のゲル画像を示す。ゲルは、化合物5がMKN-45細胞におけるMETリン酸化および下流エフェクターを阻害したことを示す。
【
図3】化合物5、カプマチニブ、およびAZD9291のHCC827細胞増幅に対する効果を示すグラフである。AZD9291と化合物5との組み合わせにおいて、強い相乗的活性が観察され、HCC827細胞増幅アッセイにおいて、IC
50は2nMおよびEmaxは71%であった。(▼)カプマチニブ(IC
50:>10000nM、Emax%:-)、(▲)化合物5(IC
50:3000nM、Emax%:-)、(■)AZD9291(IC
50:5nM(部分)、Emax%:47)、(◆)カプマチニブ(1μM)+AZD9291(IC
50:5nM(部分)、Emax%:47)、(●)化合物5(1μM)+AZD9291(IC
50:2nM、Emax%:71)
【
図4】化合物5、カプマチニブ、AZD9291、および組み合わせの、48時間インキュベーション後のHCC827細胞のアポトーシスに対する効果を示す。化合物5は、HCC827細胞株におけるアポトーシスのためにAZD9291と相乗した。
【
図5】化合物5およびカプマチニブが、MKN-45細胞の細胞移行を阻害した創傷治癒アッセイを示す。
【
図6】化合物5が、HCC827の細胞移行を阻害し、カプマチニブが最小効果を示した創傷治癒アッセイを示す。
【
図7】化合物5の、MKN-45異種移植モデルにおける腫瘍増殖に対する効果を示すグラフである。(●)ビヒクル、(■)3mg/kg BIDでの化合物5、(▲)10mg/kg BIDでの化合物5、(▼)30mg/kg BIDでの化合物5
【
図8】化合物5の、MKN-45異種移植腫瘍を担持するマウスの体重に対する効果を示す。(●)ビヒクル、(■)3mg/kg BIDでの化合物5、(▲)10mg/kg BIDでの化合物5、(▼)30mg/kg BIDでの化合物5
【
図9】MKN-45異種移植モデルにおける化合物5によるMETリン酸化の阻害研究のゲル画像を示す。
【
図10】化合物5の、MKN-45腫瘍におけるMet Y1234/1235のリン酸化に対する効果を示すチャートである。(●)ビヒクル、(■)10mg/kg 4時間での化合物5、(▲)10mg/kg 12時間での化合物5、(▼)3mg/kg 4時間での化合物5、(◆)3mg/kg 12時間での化合物5
【
図11】LU2503 PDX腫瘍における化合物5の抗腫瘍活性を示すチャートである。(●)ビヒクル、(■)15mg/kg BIDでの化合物5
【
図12】化合物5で治療されたLU2503 PDX腫瘍を担持するマウスの体重を示すチャートである。(●)ビヒクル、(■)15mg/kg BIDでの化合物5
【
図13】Baf3 ETV6-CSF1R腫瘍における化合物5の抗腫瘍活性を示すチャートである。(●)ビヒクル、(■)5mg/kg BIDでの化合物5、(▲)15mg/kg BIDでの化合物5
【
図14】化合物5で治療されたLU25BaF3 ETV6-CSF1R腫瘍を担持するマウスの体重を示すチャートである。(●)ビヒクル、(■)5mg/kg BIDでの化合物5、(▲)15mg/kg BIDでの化合物5
【
図15】MC38相乗的マウス腫瘍モデルにおける化合物5の抗腫瘍活性を示すチャートである。(●)ビヒクル、(■)15mg/kg BIDでの化合物5
【
図16】化合物5で治療されたMC38相乗的マウス腫瘍モデルを担持するマウスの体重を示すチャートである。(●)ビヒクル、(■)15mg/kg BIDでの化合物5
【
図17A-17G】化合物5での治療7日後の各群からの腫瘍試料のFACS分析を示すグラフである。
図17Aは、CD45+細胞、CD8 T細胞中の%を示す。
図17Bは、CD45+細胞、CD4 T細胞中の%を示す。
図17Cは、CD45+細胞、T-Reg中の%を示す。
図17Dは、CD45+細胞、MDSC中の%を示す。
図17Eは、CD45+細胞、TAM中の%を示す。
図17Fは、CD45+細胞、M1マクロファージ中の%を示す。17Gは、CD45+細胞、M2マクロファージ中の%を示す。
【
図18A-18G】化合物5での治療11日後の各群からの腫瘍試料のFACS分析を示すグラフである。
図18Aは、CD45+細胞、CD4 T細胞中の%を示す。
図18Bは、CD45+細胞、CD8 T細胞中の%を示す。
図18Cは、CD45+細胞、T-Reg中の%を示す。
図18Dは、CD45+細胞、MDSC中の%を示す。
図18Eは、CD45+細胞、TAM中の%を示す。
図18Fは、CD45+細胞、M1マクロファージ中の%を示す。18Gは、CD45+細胞、M2マクロファージ中の%を示す。
【
図19】MC38相乗的マウス腫瘍モデルにおける化合物5のインビボ有効性を示すチャートである。(●)G1-ビヒクル+ISO IiG、(■)化合物5、(▲)抗PD-1、(▼)化合物5+抗PD-1
【
図20】皮下MC38相乗的マウス腫瘍モデルを担持するマウスの体重を示すチャートである。(●)G1-ビヒクル+ISO IiG、(■)化合物5、(▲)抗PD-1、(▼)化合物5+抗PD-1
【発明を実施するための形態】
【0102】
本開示を更に説明する前に、本開示が、記載される特定の実施形態に限定されず、そのようなものとして、当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語が、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0103】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野において通常の技術を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、出願、公開出願、および他の刊行物は、参照によりそれら全体が組み込まれる。本セクションに記載される定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、または他の刊行物に記載される定義と矛盾する、またはそうでなければ一致しない場合、本セクションに記載される定義は、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0104】
本明細書で使用される場合および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上、別段の明確な指示がない限り、複数の指示物を含む。特許請求の範囲は、いかなる任意の要素も除外するように記載され得ることに更に留意されたい。そのようなものとして、本陳述は、特許請求の範囲の要素の列挙または「否定的」制限の使用に関して、「単に(solely)」、「のみ(only)」等のような排他的用語法の使用のための先行基礎となることが意図される。
【0105】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、および「含む(comprising)」という用語は、それらのオープンな非限定的意味で使用される。
【0106】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書で示される定量的表現は、「約」という用語で制限されない。「約」という用語が明示的に使用されるか否かにかかわらず、本明細書で示されるあらゆる量は、実際の所与の値を指すことを意味し、そのような所与の値に対する実験条件および/または測定条件に起因する等価および近似値を含む、当該技術分野における通常の技術に基づいて合理的に推論される、そのような所与の値の近似値を指すことも意味することが理解される。収率がパーセンテージとして示されるときはいつでも、そのような収率は、特定の化学量論的条件下で得ることができる同じ実体の最大量に関して収率が示される実体の質量を指す。パーセンテージとして示される濃度は、別様に示されない限り、質量比を指す。
【0107】
別途記載されるものを除いて、本実施形態の方法および手技は、一般に、当該技術分野において周知の従来方法に従って、また本明細書全体で引用および考察される様々な一般的およびより特定の参照文献に記載されるように行われる。例えば、Loudon,Organic Chemistry,Fourth Edition,New York:Oxford University Press,2002,pp.360-361,1084-1085、Smith and March,March′s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,Fifth Edition,Wiley-Interscience,2001を参照されたい。
【0108】
本明細書に記載される化合物の化学命名法は、一般に、市販のACD/Name 2014(ACD/Labs)またはChemBioDraw Ultra 13.0(Perkin Elmer)を使用して導出された。
【0109】
明確性のために、別個の実施形態の文脈で記載される本開示のある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせで提供されてもよい。逆に、簡潔性のために、単一の実施形態の文脈で記載される本開示の様々な特徴はまた、別個にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。変数によって表される化学基に関する実施形態の全ての組み合わせは、本開示によって具体的に包含され、そのような組み合わせが、安定な化合物である化合物(すなわち、単離され、特性化され、生物活性について試験され得る化合物)を包含する限り、それぞれおよびあらゆる組み合わせが、個々におよび明白に開示されるかのように本明細書に開示される。加えて、そのような変数を説明する実施形態に列挙される化学基の全ての部分的組み合わせもまた、本開示によって具体的に包含され、それぞれおよびあらゆるそのような化学基の部分的組み合わせが、個々におよび明白に本明細書に開示されるかのように本明細書に開示される。
【0110】
定義
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、任意に分岐状であり、1~20個の炭素原子を含有する、炭素原子の鎖を含む。ある特定の実施形態では、アルキルが、有利に、C1~C12、C1~C10、C1~C9、C1~C8、C1~C7、C1~C6、およびC1~C4を含む、制限された長さであり得ることを更に理解されたい。例示的に、C1~C8、C1~C7、C1~C6、およびC1~C4等を含む、そのような特に制限された長さのアルキル基は、「低級アルキル」と称され得る。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が挙げられるが、これらに限定されない。アルキルは、置換または非置換であり得る。典型的な置換基としては、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、オキソ、(=O)、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、ニトロ、およびアミノが挙げられるか、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されるとおりである。「アルキル」は、上に提供されるもの等の他の基と組み合わせて、官能化アルキルを形成できることが理解されるであろう。例として、本明細書に記載される「アルキル」基と、「カルボキシ」基との組み合わせは、「カルボキシアルキル」基と称され得る。他の非限定例としては、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル等が挙げられる。
【0111】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、任意に分岐状であり、2~20個の炭素原子を含有する炭素原子の鎖を含み、また少なくとも1つの炭素-炭素二重結合(すなわち、C=C)を含む。ある特定の実施形態では、アルケニルは、有利に、C2~C12、C2~C9、C2~C8、C2~C7、C2~C6、およびC2~C4を含む、制限された長さであり得ることが理解されるであろう。例示的に、C2~C8、C2~C7、C2~C6、およびC2~C4を含む、そのような特に制限された長さのアルケニル基は、低級アルケニルと称され得る。アルケニルは、アルキルについて記載されるように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されるように、非置換または置換であり得る。例示的なアルケニル基としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-、2-、または3-ブテニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、任意に分岐状であり、2~20個の炭素原子を含有する炭素原子の鎖を含み、また少なくとも1つの炭素-炭素二重結合(すなわち、C=C)を含む。ある特定の実施形態では、アルキニルはそれぞれ、有利に、C2~C12、C2~C9、C2~C8、C2~C7、C2~C6、およびC2~C4を含む、制限された長さであり得ることが理解されるであろう。例示的に、C2~C8、C2~C7、C2~C6、およびC2~C4を含む、そのような特に制限された長さのアルキニル基は、低級アルキニルと称され得る。アルケニルは、アルキルについて記載されるように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されるように、非置換または置換であり得る。例示的なアルケニル基としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-、2-、または3-ブチニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、完全に共役されたパイ電子系を有する6~12個の炭素原子の全炭素単環式または融合環多環式基を指す。ある特定の実施形態では、アリールは、有利に、C6~C10アリール等の制限されたサイズであり得ることが理解されるであろう。例示的なアリール基としては、フェニル、ナフチルエニル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、アルキルについて記載されるように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されるように、非置換または置換であり得る。
【0114】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、3~15員の全炭素単環式環を指し、全炭素5員/6員もしくは6員/6員融合二環式環、または多環式融合環(「融合」環系は、この系における各環が、隣接した炭素原子対を、この系における他の環それぞれと共有することを意味する)基が挙げられ、これらの環のうちの1つ以上は、1つ以上の二重結合を含有し得るが、シクロアルキルは、完全に共役したパイ電子系を含有しない。ある特定の実施形態では、シクロアルキルは、有利に、C
3~C
13、C
3~C
9、C
3~C
6、およびC
4~C
6等の制限されたサイズであり得ることが理解されるであろう。シクロアルキルは、アルキルについて記載されるように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されるように、非置換または置換であり得る。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、ノルボルネニル、9H-フルオレン-9-イル等が挙げられるが、これらに限定されない。グラフィック表示で示されるシクロアルキル基の例示的な例としては、適切に結合された部分の形態の、以下の実体が挙げられる。
【化4】
【0115】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、3~12環原子の環(複数可)を有する単環式または融合環基を指し、少なくとも1個の環原子は、窒素、酸素、または硫黄等のヘテロ原子であり、残りの環原子は、炭素原子である。ヘテロシクロアルキルは、任意に、1、2、3、または4個のヘテロ原子を含有し得る。ヘテロシクロアルキルはまた、窒素への二重結合(例えば、C=NまたはN=N)を含む、1つ以上の二重結合を有し得るが、完全に共役したパイ電子系を含有しない。ある特定の実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、有利に、例えば3~7員ヘテロシクロアルキル、5~7員ヘテロシクロアルキル等の制限されたサイズであり得ることが理解されるであろう。ヘテロシクロアルキルは、アルキルについて記載されるように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されるように、非置換または置換であり得る。例示的なヘテロシクロアルキル基としては、オキシラニル、チアナリル、アゼチジニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、ピペラジニル、オキセパニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、5,6-ジヒドロ-2H-ピラニル、2H-ピラニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジニル等が挙げられるが、これらに限定されない。グラフィック表示で示されるヘテロシクロアルキル基の例示的な例としては、適切に結合された部分の形態の、以下の実体が挙げられる。
【化5】
【0116】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1、2、3、または4個の環ヘテロ原子を含有する5~12個の環原子の単環式または融合環基を指し、残りの環原子は、炭素原子であり、また完全に共役したパイ電子系を有する。ある特定の実施形態では、ヘテロアリールは、有利に、例えば3~7員ヘテロアリール、5~7員ヘテロアリール等の制限されたサイズであり得ることが理解されるであろう。ヘテロアリールは、アルキルについて記載されるように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されるように、非置換または置換であり得る。例示的なヘテロアリール基としては、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、プリニル、テトラゾリル、トリアジニル、ピラジニル、テトラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、およびカルバゾロイル等が挙げられるが、これらに限定されない。グラフィック表示で示されるヘテロアリール基の例示的な例としては、適切に結合された部分の形態の、以下の実体が挙げられる。
【化6】
【0117】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0118】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、-O-(アルキル)または-O-(非置換シクロアルキル)基の両方を指す。代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書で使用される場合、「アリールオキシ」は、-O-アリールまたは-O-ヘテロアリール基を指す。代表的な例としては、フェノキシ、ピリジニルオキシ、フラニルオキシ、チエニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピラジニルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
本明細書で使用される場合、「メルカプト」は、-SH基を指す。
【0121】
本明細書で使用される場合、「アルキルチオ」は、-S-(アルキル)または-S-(非置換シクロアルキル)基を指す。代表的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
本明細書で使用される場合、「アリールチオ」は、-S-アリールまたは-S-ヘテロアリール基を指す。代表的な例としては、フェニルチオ、ピリジニルチオ、フラニルチオ、チエニルチオ、ピリミジニルチオ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0124】
本明細書で使用される場合、「シアノ」は、-CN基を指す。
【0125】
「オキソ」という用語は、カルボニル酸素を表す。例えば、オキソで置換されたシクロペンチルは、シクロペンタノンである。
【0126】
本明細書で使用される場合、「結合」は、共有結合を指す。
【0127】
「置換」という用語は、特定された基または部分が、1つ以上の置換基を担持することを意味する。「非置換」という用語は、特定された基が置換基を担持しないことを意味する。「置換」という用語が構造系を説明するために使用される場合、置換が、その系上の任意の原子価により許可される位置で起こることを意味する。いくつかの実施形態では、「置換」とは、特定された基または部分が、1、2、または3つの置換基を担持することを意味する。他の実施形態では、「置換」とは、特定された基または部分が、1つまたは2つの置換基を担持することを意味する。更に他の実施形態では、「置換」とは、特定された基または部分が、1つの置換基を担持することを意味する。
【0128】
本明細書で使用される場合、「任意の」または「任意に」とは、後述される事象または状況が起こる必要がない場合があること、およびその説明が、事象または状況が起こる場合と、起こらない場合とを含むことを意味する。例えば、「C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C6~C10アリール、または単環式もしくは二環式ヘテロアリール中の各水素原子が、独立して、C1~C6アルキルによって任意に置換されている」とは、アルキルが、各アルキル基の水素原子の置換によって、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C6~C10アリール、または単環式もしくは二環式ヘテロアリールのうちのいずれか上に存在する必要がない場合があることを意味し、その説明は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C6~C10アリール、または単環式もしくは二環式ヘテロアリールが、アルキル基で置換されている状況と、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C6~C10アリール、または単環式もしくは二環式ヘテロアリールが、アルキル基で置換されていない状況とを含む。
【0129】
本明細書で使用される場合、「独立して」とは、後述される事象または状況が、他の同様の事象または状況に対して、独自に読み取られることを意味する。例えば、いくつかの等価水素基が、その状況において記載される別の基によって任意に置換されている状況では、「独立して任意に」の使用は、その基上の水素原子の各例が、別の基によって置換され得ることを意味し、水素原子のそれぞれを置換する基は、同じであっても異なってもよい。または例えば、全てが可能性のセットから選択され得る複数の基が存在する場合、「独立して」の使用は、それらの基のそれぞれが、任意の他の基とは別の可能性のセットから選択され得ることを意味し、その状況で選択された基は、同じであっても異なってもよい。
【0130】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、医薬品に使用され得るイオンに対抗する塩を指す。一般に、S.M.Berge,et al.,″Pharmaceutical Salts,″J.Pharm.Sci.,1977,66,1-19を参照されたい。好ましい薬学的に許容される塩は、過度の毒性、刺激、またはアレルギー反応を伴わずに、対象の組織との接触に薬理学的に有効かつ好適なものである。本明細書に記載される化合物は、十分に酸性の基、十分に塩基性の基、両方のタイプの官能基、または複数の各タイプを有してもよく、したがって、いくつかの無機または有機塩基、ならびに無機および有機酸と反応して、薬学的に許容される塩を形成する。そのような塩としては、以下が挙げられる。
【0131】
(1)親化合物の遊離塩基と無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸等)との反応、または有機酸(例えば、酢酸、オキサル酸、(D)もしくは(L)リンゴ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、クエン酸、スクシン酸、またはマロン酸等)との反応によって得ることができる酸付加塩、あるいは
【0132】
(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオン)によって置換されるか、または有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメタミン、N-メチルグルカミン等)と整合するときに形成された塩。
【0133】
薬学的に許容される塩は、当業者に周知であり、任意のそのような薬学的に許容される塩は、本明細書に記載される実施形態に関して企図され得る。薬学的に許容される塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素-リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩素、臭素、ヨウ素、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソブチル酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、オキサル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、プロピルスルホン酸塩、ベシル酸塩、キシレンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられる。他の好適な薬学的に許容される塩の一覧は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th Edition,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985に見出される。
【0134】
塩基性窒素を含有する式Iの化合物の場合、薬学的に許容される塩は、当該技術分野において使用可能な任意の好適な方法、例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、リン酸等)による、または有機酸(例えば、酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン酸、コハク酸、吉草酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、オキサル酸、グリコール酸、サリチル酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリル酸、ピラノシジル酸(グルクロン酸もしくはガラクツロン酸等)、α-ヒドロキシ酸(マンデル酸、クエン酸、もしくは酒石酸等)、アミノ酸(アスパラギン酸もしくはグルタミン酸等)、芳香族酸(安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、ナフトエ酸、もしくはケイ皮酸等)、スルホン酸(ラウリルスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、もしくはエタンスルホン酸等))、または酸の任意の相溶性混合物(本明細書において例として示されるもの等)、ならびに本技術における従来の技術レベルに照らして同等物または許容される置換基としてみなされる、任意の他の酸およびその混合物による遊離塩基の処理によって調製することができる。
【0135】
本開示はまた、式Iの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ、およびそのような薬学的に許容されるプロドラッグを用いる治療方法に関する。「プロドラッグ」という用語は、対象への投与に続いて、加溶媒分解もしくは酵素切断等の化学的または生理学的プロセスを介して、または生理学的条件下(例えば、生理学的pHにされたプロドラッグが式Iの化合物に変換される)、インビボで化合物を生じる、指定された化合物の前駆体を意味する。「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、非毒性、生物学的に耐性であり、そうでなければ対象への投与に生物学的に好適なプロドラッグである。好適なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための例示的な手順は、例えば、″Design of Prodrugs″,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0136】
本開示はまた、式Iの化合物の薬学的に活性な代謝産物、および本開示の方法におけるそのような代謝産物の使用に関する。「薬学的に活性な代謝産物」とは、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の、体内での代謝の薬理学的に活性な産生物を意味する。化合物のプロドラッグおよび活性な代謝産物は、当該技術分野において既知のまたは使用可能なルーチン手技を使用して判定されてもよい。例えば、Bertolini et al.,J.Med.Chem.1997,40,2011-2016、Shan et al.,J.Pharm.Sci.1997,86(7),765-767、Bagshawe,Drug Dev.Res.1995,34,220-230、Bodor,Adv.Drug Res.1984,13,255-331、Bundgaard,Design of Prodrugs(Elsevier Press,1985)、およびLarsen,Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development(Krogsgaard-Larsen et al.,eds.,Harwood Academic Publishers,1991)を参照されたい。
【0137】
本明細書に表される任意の式は、その構造式の化合物、ならびにある特定の変形または形態を表すことが意図される。例えば、本明細書に示される式は、ラセミ形態、または1つ以上のエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体、またはそれらの混合物を含むことが意図される。追加として、本明細書に示される任意の式はまた、そのような化合物の水和物、溶媒和物、もしくは多形、またはそれらの混合物を指すことが意図される。例えば、記号
【化7】
を含有する構造式によって表される化合物は、記号
【化8】
が付けられた炭素原子の両方の立体異性体を含み、具体的に、結合
【化9】
および
【化10】
の両方は、
【化11】
の意味によって包含されることが理解されるであろう。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、本明細書で提供されるある特定の化合物は、式
【化12】
によって記載され得、この式は、関連炭素原子において両方の立体化学構成を有する化合物を包含することが理解されるであろう。具体的に、この例では、これらの構成は、式
【化13】
によって記載され得る。
【0138】
本明細書に示される任意の式はまた、化合物の非標識形態ならびに同位体的に標識された形態を表すことが意図される。同位体的に標識された化合物は、1つ以上の原子が、選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、本明細書に示される式によって表される構造を有する。本開示の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体、例えばそれぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl、および125Iが挙げられる。そのような同位体的に標識された化合物は、代謝研究(好ましくは14Cを用いる)、反応動態研究(例えば、2Hまたは3Hを用いる)、薬物または基質組織分布アッセイを含む検出または撮像技術[例えば、陽電子放射断層撮影法(PET)もしくは単光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)]において、あるいは患者の放射性治療において有用である。更に、重水素(すなわち、2H)等のより重い同位体での置換は、ある特定の治療利益を与えることができ、より優れた代謝安定性を、例えば、インビボ半減期の増加または投与要件の低減をもたらす。本開示の同位体的に標識された化合物、およびそれらのプロドラッグは、一般に、容易に入手可能な同位体的に標識された試薬を、非同位体的に標識された試薬の代わりに用いることによって、後述されるスキームにおいて、または実施例および調製において開示される手順を実行することによって調製され得る。
【0139】
本明細書で言及される任意の二置換基は、様々な結合可能性のうちの複数が許可される場合、そのような可能性を包含することを意味する。例えば、二置換基-A-B-(A≠B)への言及は、本明細書では、Aが第1の置換メンバーに結合され、Bが第2の置換メンバーに結合されたそのような二置換基を指し、またAが第2の置換メンバーに結合され、Bが第1の置換メンバーに結合されたそのような二置換基を指す。様々な実施形態を説明するために本明細書で提供される様々な化学式に関する「---」の使用は、基から分子の残り「---」までの共有結合を指す(結合点とも称される)。
【0140】
代表的な実施形態
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、以下の式の部分を含み、
【化14】
式中、R
5は、-NR
6R
7であり、R
6およびR
7は、それぞれ独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、およびC
3~C
6シクロアルキルからなる群から選択され、C
1~C
6アルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6アルキニル、およびC
3~C
6シクロアルキル中の各水素原子は、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、-OH、-CN、-OC
1~C
6アルキル、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、C
3~C
7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C
6~C
10アリール、5~7員ヘテロアリール、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、または-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2によって任意に置換されている。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、以下の式の部分を含む。
【化15】
【0142】
更に他の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、以下の式の部分を含み、
【化16】
【0143】
式中、R9は、H、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CN、-CF3、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、および-C(O)N(C1~C6アルキル)2であり、R10は、H、フルオロ、クロロ、またはブロモである。
【0144】
更に他の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、以下の式の部分を含み、
【化17】
式中、R
9は、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CN、-CF
3、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、および-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2であり、R
10は、フルオロ、クロロ、またはブロモである。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物が、以下の式の部分を含む場合、
【化18】
R
9は、以下の式の部分であり、
【化19】
R
9は、-CN、-CF
3、-CO
2H、-C(O)OC
1~C
6アルキル、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、および-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2からなる群から選択される。
【0146】
更に他の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、式
【化20】
の部分を含む。
【0147】
更に他の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、式
【化21】
の部分および式
【化22】
の部分を含む。更に他の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、式
【化23】
の部分および式
【化24】
の部分を含む。更に他の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、式
【化25】
の部分および式
【化26】
の部分を含む。更に他の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、式
【化27】
の部分および式
【化28】
の部分を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、X1は、-N(R8)-である。いくつかの実施形態では、X2は、-O-である。いくつかの実施形態では、X1は、-N(R8)-であり、X2は、-O-である。
【0149】
いくつかの実施形態では、R1は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C10アリール、-C(O)OR8、または-C(O)NR8R9であり、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、およびC6~C10アリール中の各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)C1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)C1~C6アルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NHC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)C(O)NHC1~C6アルキル、-NHC(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)C(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)OC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)OC1~C6アルキル、-NHS(O)(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2(C1~C6アルキル)、-NHS(O)NH2、-NHS(O)2NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH2、-NHS(O)NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHS(O)2N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、-SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、C3~C6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されている。いくつかの実施形態では、R1は、Hである。
【0150】
いくつかの実施形態では、R1は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C10アリール、-C(O)OR8、または-C(O)NR8R9であり、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、およびC6~C10アリール中の各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)C1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)C1~C6アルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NHC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)C(O)NHC1~C6アルキル、-NHC(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)C(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)OC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)OC1~C6アルキル、-NHS(O)(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2(C1~C6アルキル)、-NHS(O)NH2、-NHS(O)2NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH2、-NHS(O)NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHS(O)2N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、-SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、C3~C6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されている。
【0151】
いくつかの実施形態では、R2は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C6~C10アリール、-C(O)OR8、または-C(O)NR8R9であり、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、およびC6~C10アリール中の各水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)C1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)C1~C6アルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NHC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)C(O)NHC1~C6アルキル、-NHC(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)C(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHC(O)OC1~C6アルキル、-N(C1~C6アルキル)C(O)OC1~C6アルキル、-NHS(O)(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2(C1~C6アルキル)、-NHS(O)NH2、-NHS(O)2NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH2、-NHS(O)NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)2NH(C1~C6アルキル)、-NHS(O)N(C1~C6アルキル)2、-NHS(O)2N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)S(O)N(C1~C6アルキル)2、-N(C1~C6アルキル)S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、-SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、C3~C6シクロアルキル、または3~7員ヘテロシクロアルキルによって置換されており、R3は、Hである。
【0152】
いくつかの実施形態では、R2は、C1~C6アルキルであり、C1~C6アルキル中の各水素原子は、独立して、-F、-OH、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、および-N(C1~C6アルキル)2からなる群から選択される1つ以上の部分で任意に置換されている。いくつかの実施形態では、R2は、C1~C6アルキルであり、C1~C6アルキル中の各水素原子は、独立して、-F、-OH、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、および-N(C1~C6アルキル)2からなる群から選択される1つ以上の部分で任意に置換されており、R3はHである。いくつかの実施形態では、R2は、メチルである。いくつかの実施形態では、R2は、メチルであり、R3は、Hである。
【0153】
いくつかの実施形態では、R4は、Hである。いくつかの実施形態では、R4は、C1~C6アルキルまたは3~7員ヘテロシクロアルキルであり、C1~C6アルキルまたは3~7員ヘテロシクロアルキル中の各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、C3~C6シクロアルキル、または単環式5~7員ヘテロシクロアルキルによって任意に置換されている。
【0154】
いくつかの実施形態では、R8は、C1~C6アルキルであり、各水素原子は、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、-OH、-CN、-OC1~C6アルキル、-NH2、-NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、C3~C7シクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C6~C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、または-C(O)N(C1~C6アルキル)2によって任意に置換されている。いくつかの実施形態では、R8は、エチル、プロピル、イソ-プロピル、またはメチルシクロプロピルである。
【0155】
他の実施形態では、式Iの化合物は、(7S)-3-アミノ-12-クロロ-14-エチル-11-フルオロ-7-メチル-6,7,13,14-テトラヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-4(5H)-オン、(7S)-14-エチル-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロ-トリデシン-12-カルボニトリル、14-エチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル、(7S)-14-エチル-11-フルオロ-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル、(7S)-3-アミノ-14-エチル-11-フルオロ-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル、(7S)-3-アミノ-14-エチル-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]-ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル、(7S)-3-アミノ-14-(シクロプロピルメチル)-11-フルオロ-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]-ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル、(7S)-3-アミノ-11-フルオロ-7-メチル-4-オキソ-14-(プロパン-2-イル)-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザ-シクロトリデシン-12-カルボニトリル、またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0156】
以下は、式Iの化合物の例示的な実施形態を表す。
【表1-1】
【表1-2】
【0157】
当業者であれば、本明細書に列挙または例示される種が、網羅的ではなく、これらの定義される用語の範囲内の追加の種もまた選択され得ることを認識するであろう。
【0158】
薬学的組成物
治療目的のために、本明細書に記載される化合物を含む薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を更に含んでもよい。薬学的に許容される賦形剤は、非毒性であり、そうでなければ対象への投与に生物学的に好適である。そのような賦形剤は、本明細書に記載される化合物の投与を促進し、活性成分と相溶性である。薬学的に許容される賦形剤の例としては、安定剤、滑剤、界面活性剤、希釈剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤、バルク剤、乳化剤、または呈味改質剤が挙げられる。好ましい実施形態では、本説明による薬学的組成物は、滅菌組成物である。薬学的組成物は、既知の配合技術または当業者が利用できるようになるものを使用して調製することができる。
【0159】
そのような組成物を管理する国および地方の規制に従う組成物を含む滅菌組成物もまた、本説明によって企図される。
【0160】
薬学的組成物および本明細書に記載される化合物は、好適な薬学的溶媒もしくは担体中の溶液、エマルジョン、懸濁液、もしくは分散液として、またはピル剤、錠剤、舐剤、坐薬、サシェ剤、ドラジェ剤、顆粒、粉末、再構成用粉末、もしくは固形担体を伴うカプセル剤として、様々な剤形の調製のために当該技術分野において知られている従来の方法に従って製剤化することができる。本説明の薬学的組成物は、経口、非経口、直腸、鼻腔、局所、もしくは眼経路によって、または吸入によって、好適な送達経路によって投与されてもよい。好ましくは、組成物は、静脈内または経口投与のために製剤化される。
【0161】
経口投与の場合、本説明の化合物は、錠剤もしくはカプセル剤等の固体形態で、または溶液、エマルジョン、もしくは懸濁液として提供されてもよい。経口組成物を調製するために、本説明の化合物は、例えば、1日約0.1mg~1g、または1日約1mg~50mg、または1日約50~250mg、または1日約250mg~1gの投与量をもたらすように製剤化され得る。経口錠剤は、相溶性の薬学的に許容される賦形剤、例えば希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤と混合された活性成分(複数可)を含み得る。好適な不活性充填剤としては、炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウム、ラクトース、デンプン、糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。例示的な液体経口賦形剤としては、エタノール、グリセロール、水等が挙げられる。デンプン、ポリビニル-ピロリドン(PVP)、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶セルロース、およびアルギン酸は、例示的な崩壊剤である。結合剤としては、デンプンおよびゼラチンを挙げることができる。滑剤は、存在する場合、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであってもよい。所望される場合、錠剤は、胃腸管内の吸収を遅らせるように、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル等の材料でコーティングされ得るか、または腸溶性コーティングでコーティングされてもよい。
【0162】
経口投与のためのカプセル剤としては、硬質および軟質ゼラチンカプセルが挙げられる。硬質ゼラチンカプセルを調製するために、活性成分(複数可)は、固形、半固形、または液体希釈剤と混合されてもよい。軟質ゼラチンカプセルは、活性成分を水、油(ピーナッツ油もしくはオリーブ油等)、液体パラフィン、短鎖脂肪酸のモノおよびジグリセリドの混合物、ポリエチレングリコール400、またはプロピレングリコールと混合することによって調製されてもよい。
【0163】
経口投与のための液体は、懸濁液、溶液、エマルジョン、またはシロップの形態であり得るか、あるいは凍結乾燥され得るか、または使用前に水もしくは他の好適なビヒクルと再構成するための乾燥産生物として提示され得る。そのような液体組成物は、任意に、懸濁剤等の薬学的に許容される賦形剤(例えば、ソルビトール、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル等);非水性ビヒクル、例えば、油(例えば、アーモンド油または分留ココナッツ油)、プロピレングリコール、エチルアルコール、または水;保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、またはソルビン酸);レシチン等の湿潤剤;および所望される場合、香味剤または着色剤を含有し得る。
【0164】
静脈内、筋内、腹腔内、鼻腔内、または皮下経路を含む非経口用途の場合、本説明の薬剤は、適切なpHおよび等張性に緩衝された滅菌水溶液もしくは懸濁液中で、または非経口的に許容される油中で提供され得る。好適な水性ビヒクルとしては、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウムが挙げられる。そのような形態は、アンプルまたは使い捨て注射装置等の単位用量形態で、適切な用量が引き出され得るバイアル等の多用量形態で、または注射可能な製剤を調製するために使用され得る固体形態もしくは前濃縮物で提示され得る。例示的な注入用量は、数分から数日の範囲の期間にわたって、薬学的担体と混和された約1~1000μg/kg/分の薬剤の範囲である。
【0165】
経鼻、吸入、または経口投与の場合、本発明の薬学的組成物は、例えば、同様に好適な担体を含有するスプレー製剤を使用して投与されてもよい。本発明の組成物は、坐薬としての直腸投与のために製剤化されてもよい。
【0166】
局所適用の場合、本説明の化合物は、好ましくはクリームもしくは軟膏、または局所投与に好適な同様のビヒクルとして製剤化される。局所投与の場合、本発明の化合物は、約0.1%~約10%の薬物対ビヒクルの濃度で薬学的組成物と混合されてもよい。本説明の薬剤を投与する別の様式は、パッチ製剤を利用して経皮送達に影響を及ぼすことができる。
【0167】
治療の方法
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、「予防的」および「治癒的」治療の両方を包含する。「予防的」治療は、疾患、疾患の症状、もしくは健康状態の発達の延期、出現し得る症状の抑制、または疾患もしくは症状の発達もしくは再発の危険性の低減を示すことを意味する。「治癒的」治療は、既存の疾患、症状、または病態の重症度を低減すること、またはその悪化を抑制することを含む。したがって、治療は、既存の疾患症状の悪化を軽減もしくは予防すること、追加の症状が発生するのを予防すること、症状の根底にある全身性原因を軽減もしくは予防すること、障害もしくは疾患を阻害すること、例えば、障害もしくは疾患の発達を停止させること、障害もしくは疾患を緩和すること、障害もしくは疾患の抗体を引き起こすこと、疾患もしくは障害によって引き起こされる病態を緩和すること、または疾患もしくは障害の症状を停止させることを含む。
【0168】
「対象」という用語は、そのような治療を必要とする哺乳類患者、例えばヒトを指す。本明細書で使用される場合、「癌」としては、当該技術分野において既知の任意の癌、特にSRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rが疾患に関係があるとされる癌が挙げられる。癌種の例としては、癌腫、肉腫、リンパ腫、ホジキン病、黒色腫、中皮腫、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、白血病、および骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。特定の癌の例としては、経口癌、甲状腺癌、内分泌癌、皮膚癌、胃癌、食道癌、咽頭癌、膵臓癌、結腸癌、膀胱癌、骨癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮癌、乳癌、精巣癌、前立腺癌、腎臓癌、直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、膠芽腫、または頭頸部癌、および肺癌、例えば非小細胞肺癌、小細胞肺癌等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0169】
一態様では、本説明の化合物および薬学的組成物は、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを特異的に標的とする。したがって、これらの化合物および薬学的組成物を使用して、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rのうちの1つ以上の活性を予防、反転、遅延、または阻害することができる。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rのうちの1つ以上を阻害する治療有効量の化合物を投与することを含む、癌の治療の方法が、本明細書に記載される。他の実施形態では、a.SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rのうちの1つ以上を阻害する治療有効量の本明細書に記載される化合物を投与することを含む、癌を治療するための方法が記載される。他の実施形態では、a.治療有効量の本明細書に記載される化合物を投与することを含む、癌を治療するための方法が記載される。他の実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0170】
いくつかの実施形態では、患者における癌の治療における使用のための、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を対象とする。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0171】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者における癌の治療における使用のための、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を対象とする。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0172】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者における癌の治療のための医薬品の調製における、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を対象とする。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0173】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者における癌の治療における使用のための、治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を対象とする。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、膠芽腫、または頭頸部癌である。
【0174】
本説明の阻害方法では、「有効量」とは、標的を阻害するのに十分な量を意味する。そのような標的変調を測定することは、後述されるもの等のルーチン分析方法によって行われてもよい。そのような変調は、インビトロアッセイを含む様々な設定において有用である。そのような方法では、細胞は、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rの上方調節、突然変異、異常活性、および/またはそれらの変化に起因する異常なシグナル伝達を有する癌細胞であり得る。
【0175】
本説明に従う治療方法では、「有効量」とは、一般に、そのような治療を必要とする対象における所望の治療利益をもたらすのに十分な量または用量を意味する。本説明の化合物の有効な量または用量は、ルーチン要素、例えば、投与または薬物送達の様式または経路、薬剤の薬物動態、感染の重度および過程、対象の健康状態、病態、および体重、ならびに治療医師の判断を考慮して、モデリング、用量漸増、または臨床治験等のルーチン方法によって確認することができる。例示的な用量は、1日約0.1mg~1g、または1日約1mg~50mg、または1日約50~250mg、または1日約250mg~1gの範囲である。総投与量は、単一または分割投与単位(例えば、BID、TID、QID)で与えられ得る。
【0176】
一旦、患者の疾患の改善が起こると、用量を予防的または維持治療用に調整することができる。例えば、投与量もしくは投与頻度、または両方は、症状の関数として、所望の治療的または予防的効果が維持されるレベルまで低減され得る。当然のことながら、症状が適切なレベルまで緩和された場合、治療を停止することができる。しかしながら、患者は、いかなる症状の再発時にも、長期間にわたって間欠的治療を必要とし得る。患者はまた、長期間にわたって慢性治療を必要とし得る。
【0177】
薬物の組み合わせ
本発明の本明細書に記載される化合物は、本明細書に記載される疾患および障害の治療において、1つ以上の追加の活性成分と組み合わせて、薬学的組成物または方法において使用され得る。更なる追加の活性成分は、意図した疾患標的に対する治療の有害作用を軽減する他の治療薬または薬剤を含む。そのような組み合わせは、有効性を高める、他の疾患症状を改善する、1つ以上の副作用を減少させる、または本発明の化合物の必要用量を減少させるのに役立ち得る。追加の活性成分は、本説明の化合物とは別個の薬学的組成物中で投与され得るか、または本説明の化合物と共に単一の薬学的組成物中に含まれ得る。追加の活性成分は、本説明の投与と同時、投与前、または投与後に投与されてもよい。
【0178】
組み合わせ剤は、既知であるか、または本明細書に記載される疾患および障害の治療において有効であると発見されたものである、追加の活性成分を含み、疾患と関連した別の標的に対して活性であるものを含む。例えば、本説明の組成物および製剤、ならびに治療方法は、他の薬物または医薬品、例えば、標的疾患または関連症状もしくは病態を治療または緩和するために有用な他の活性剤を更に含み得る。そのような追加の薬剤としては、キナーゼ阻害剤、例えばEGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ)、Raf阻害剤(例えば、ベムラフェニブ)、VEGFR阻害剤(例えば、スニチニブ)、ALK阻害剤(例えば、クリゾチニブ)標準化学療法剤、例えばアルキル化剤、抗代謝剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、白金薬、有糸分裂阻害剤、抗体、ホルモン療法、またはコルチコステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。疼痛兆候の場合、好適な組み合わせ剤は、NSAID等の抗炎症剤を含む。本説明の薬学的組成物は、追加として、そのような活性剤のうちの1種以上を含んでもよく、また治療方法は、追加として、有効量のそのような活性剤のうちの1種以上を投与することを含んでもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、本開示は、a.治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物を投与することと、b.治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤を投与することを含む、患者における癌を治療する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌、肝臓癌、肺癌、または頭頸部癌である。
【0180】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者における癌の治療における使用のための、治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤、またはその薬学的に許容される塩と組み合わせた、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を対象とする。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌、肝臓癌、肺癌、または頭頸部癌である。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者における癌の治療のための、治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせた、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を対象とする。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。この態様のいくつかの実施形態では、癌は、胃癌、肝臓癌、肺癌、または頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせた、患者における癌の治療のための医薬品の調製における、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を対象とする。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。この態様のいくつかの実施形態では、癌は、胃癌、肝臓癌、肺癌、または頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示は、患者における癌の治療における使用のための、治療有効量の、SRCおよびMET、ならびに/もしくはCSF1Rを阻害する化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を対象とする。この態様のいくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。いくつかの実施形態では、癌は、胃癌、肝臓癌、肺癌、または頭頸部癌である。いくつかの実施形態では、化合物は、治療有効量の少なくとも1種の追加の抗癌剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。
【0184】
いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物と、EGFR阻害剤との相乗的組成物に関し、これら2つの構成成分が、ある位置で互いに接触する。いくつかの実施形態では、SRCおよびMET、ならびに/またはCSF1Rを阻害する化合物は、式Iのものである。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の抗癌剤は、EGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、EGFRの抗体である。
【実施例0185】
化学合成
本説明の方法において有用な例示的化学実体は、下記のそれらの一般的な調製のための例示的な合成スキームおよび以下の特定の実施例を参照することによってここに説明される。熟練者であれば、本明細書における様々な化合物を得るために、出発物質は、必要に応じて保護の有無にかかわらず、最終的に所望される置換基が反応スキームを完遂して、所望の産生物をもたらすように、好適に選択され得ることを認識するであろう。代替として、最終的に所望される置換基の代わりに、反応スキームを完遂し、必要に応じて所望の置換基と置き換えることができる好適な基を用いることが必要であるか、または望ましい場合がある。更に、当業者であれば、下記のスキームに示される変換が、特定のペンダント基の官能性に対応した任意の順序で行われ得ることを認識するであろう。
【表2-1】
【表2-2】
【0186】
一般方法A
2-クロロ-3-フルオロ-6-ヒドロキシベンズアルデヒド(A-1-4)の調製
【化29】
【0187】
ステップ1.DMF(200.00mL)中のA-1-1(20.00g、136.47mmol、1.00等量)および水素化ナトリウム(6.55g、60%純度、272.94mmol、2.00等量)の溶液に、MOMCl(21.97g、272.94mmol、20.73mL、2.00等量)をN2下0℃で添加した。混合物を25℃で10時間撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)は、出発物質が完全に消費され、1つの新たなスポットが見出されたことを示した。反応混合物を水(150mL)によってクエンチし、次いで水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。複合有機層をブライン(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、A-1-2(20.00g、76.89%収率)を無色の油として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:7.11(dd,J=2.8,6.0Hz,1H)、7.04(t,J=8.8Hz,1H)、6.90(td,J=3.2,9.2Hz,1H)、5.12(s,2H)、3.47(s,3H)。
【0188】
ステップ2.THF(250.00mL)中のA-1-2(20.00g、104.93mmol、1.00等量)の溶液に、n-BuLi(2.5M、125.92mL、3.00等量)をN2下-65℃で添加した。混合物を-65℃で2時間撹拌した。混合物をDMF(76.69g、1.05mol、80.73mL、10.00等量)によってクエンチし、混合物をN2下-65℃で15分間撹拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)は、出発物質が完全に消費され、1つの新たなスポットが見出されたことを示した。反応混合物を水(300mL)で希釈し、酢酸エチル(150mL*3)で抽出した。次いで、複合有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~1/1)によって精製して、A-1-3(4.80g、20.93%収率)を無色の油として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:10.48(s,1H)、7.28(t,J=8.8Hz,1H)、7.15(dd,J=4.0,9.2Hz,1H)、5.25(s,2H)、3.51(s,3H)。
【0189】
ステップ3.HCl/ジオキサン(40.0mL)中のA-1-3(4.00g、18.3mmol、1.00等量)の溶液を、25℃で2時間撹拌した。反応混合物を水(30.0mL)で希釈し、酢酸エチル(25.0mL×3)で抽出した。複合有機層を水(30.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、A-1-4(2.50g、14.3mmol、収率=78.3%)を白色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ=11.68(s,1H)、10.43(s,1H)、7.37-7.32(m,1H)、6.91(dd,J=4.0,9.2Hz,1H)。
【0190】
一般方法B
2-ブロモ-3-フルオロ-6-ヒドロキシベンズアルデヒド(A-2-4)の調製
【化30】
【0191】
ステップ1.THF(300mL)中のA-2-1(30.0g、155mmol、1等量)の溶液に、LDA(2M、116mL、1.5等量)を-78℃で添加し、1時間撹拌した後、DMF(34.1g、466mmol、3等量)を-78℃で添加し、2時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム(200mL)の添加によって0℃でクエンチし、次いで水(300mL)で希釈し、酢酸エチル(1.00L)で抽出した。有機層をブライン(200mL)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗産生物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、A-2-2(20.0g、90.5mmol、収率=58.2%)を黄色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ=10.34(s,1H)、7.37-7.34(m,1H)、7.17-7.34(m,1H)。
【0192】
ステップ2.THF(100mL)およびメタノール(240mL)中のA-2-2(20.0g、90.5mmol、1.00等量)の溶液を60℃に加熱し、次いでメタノール中のナトリウムメチラート(4.3M、25.3mL、1.2等量)を添加し、60℃で12時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)の添加によってクエンチし、酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機層をブライン(100mL)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、A-2-3(13.5g、57.9mmol、収率=64.0%)を黄色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ=10.30(s,1H)、7.20(dd,J=7.6,9.2Hz,1H)、6.86(dd,J=4.0,9.2Hz,1H)、3.84(s,3H)。
【0193】
ステップ3.DCM(150mL)中のA-2-3(13.0g、55.8mmol、1.00等量)の溶液に、BBr3(28.0g、112mmol、2.00等量)を-40℃で滴下添加し、次いで混合物を0℃で3時間撹拌した。反応混合物をメタノール(20.0mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(50.0mL)の添加によって0℃でクエンチし、次いで酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層をブライン(100mL)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、A-2-4(10.5g、43.2mmol、収率=77.4%)を黄色の固体として得た。1HNMR(400MHz,CDCl3) δ=11.78(s,1H)、10.35(s,1H)、7.32(dd,J=7.6,9.2Hz,1H)、6.96(dd,J=4.0,9.2Hz,1H)。
【0194】
一般方法C
エチル2-アミノ-5-クロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-6-7)の調製
【化31】
【0195】
ステップ1.エタノール(1.50L)中のA-3-1(100g、884mmol、1.00等量)およびA-3-1A(230g、1.59mol、1.80等量)の溶液に、TEA(4.47g、44.2mmol、0.05等量)を0℃で添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。溶媒を除去して、粗産生物を得て、これをカラムクロマトグラフィーによって精製して、A-3-2(200g、738mmol、収率=83.5%)をオフホワイトの油として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ=10.21(br s,1H)、6.95(br s,1H)、4.29-4.34(m,2H)、1.37(t,J=7.2Hz,3H)。
【0196】
ステップ2.DMF(500mL)中のエチルA-3-2(100g、388mmol、1.00等量)の溶液に、ヒドラジン水和物(311g、3.11mol、50.0%純度、8.00等量)を添加した。混合物を100℃で2時間撹拌した。溶媒を除去し、DCM(500mL)を添加し、得られた混合物を12時間撹拌した。固体を濾過し、DCM(200mL)で洗浄して、A-3-3(60.0g、317mmol、収率=81.7%)を茶色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ=7.91(s,1H)、7.50(s,2H)、4.57(s,2H)、4.03(q,J=7.2Hz,2H)、1.16(t,J=7.2Hz,3H)。
【0197】
ステップ3.エタノール(200mL)中の新たに調製したナトリウムエトキシド(0.50M、2.35L、4.00等量)の溶液に、A-3-3(50.0g、294mmol、1.00等量)、次いでA-3-3A(41.2g、294mmol、1.00等量)を添加した。混合物を90℃で9時間撹拌した。濾過し、濾過ケークをエタノール(100mL)で洗浄して、A-3-4(25.0g、113mmol、収率=38.3%)を茶色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ=7.71(d,J=7.2Hz,1H)、5.57-5.46(m,3H)、4.15(q,J=7.2Hz,2H)、1.25(t,J=7.2Hz,3H)。
【0198】
ステップ4.DCM(300mL)中のA-3-4(18.0g、81.0mmol、1.00等量)の溶液に、トリエチルアミン(20.5g、202mmol、2.50等量)を0℃で添加し、次いでトリフルオロ酢酸無水物(20.4g、97.2mmol、1.20等量)を添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、DCM(100mL)で洗浄して、A-3-5(18.0g、47.4mmol、収率=58.5%)を黄色の固体として得た。LCMS:EW6129-170-P1D(M+1:319.1)。
【0199】
ステップ5.新たな蒸留POCl3(180mL)中のA-3-5(18.0g、56.6mmol、1.00等量)の溶液を、100℃で5時間撹拌した。混合物を氷水(500mL)に0℃で注ぎ、濾過し、濾過ケークを水(200mL)で洗浄した後、収集してA-3-6(15.0g、43.6mmol、収率=77.1%)を黒茶色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ=11.93(s,1H)、9.31(d,J=7.2Hz,1H)、7.47(d,J=7.2Hz,1H)、4.28(q,J=7.2Hz,2H)、1.28(br t,J=7.2Hz,3H)。
【0200】
ステップ6.n-ブタノール(150mL)およびアセトニトリル(150mL)中のA-3-6(13.0g、38.6mmol、1.00等量)の溶液に、炭酸カリウム(10.7g、77.2mmol、2.00等量)を添加した。混合物を60℃で8時間撹拌した。反応混合物を水(200mL)の添加によってクエンチし、ジクロロメタン/メタノール=10/1(500mL×3)で抽出した。複合有機層をブライン(300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得た。残渣を分取HPLC(塩基性状態)によって精製して、A-3-7(4.8g、19.2mmol、収率=49.6%)を白色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ=8.23(d,J=7.2Hz,1H)、6.74(d,J=7.2Hz,1H)、5.44(s,2H)、4.37(q,J=7.2Hz,2H)、1.37(t,J=7.2Hz,3H)。
【0201】
一般方法D
エチル2-アミノ-5-((2-クロロ-3-フルオロ-6-ヒドロキシベンジル)(エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-1)の調製
【化32】
【0202】
ステップ1.メタノール(4.8mL)中のA-1-4(166mg、951μmol、1等量)およびエチルアミン(129mg、2.85mmol、3.0等量)の溶液を、65℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、NaBH4(53mg、1.4mmol、1.5等量)を添加した。反応混合物を25℃で30分間撹拌した。混合物を水(15mL)でクエンチし、5分間撹拌した。混合物をDCM(3×15mL)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ヘキサン中0~100%の酢酸エチル)は、C9H11OFClN(175.3mg、860.8μmol、90.5%収率)をもたらした。
【0203】
ステップ2.n-ブタノール(2.00mL)中のA-4-1(97.3mg、0.477mmol、1.15等量)およびA-3-7(100mg、0.415mmol、1.0等量)の混合物に、DIEA(269mg、2.1mmol、5.00等量)を添加した。混合物を85℃まで加熱し、20時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物A-1(146mg、357μmol、収率=86%)を得た。
【0204】
一般方法E
エチル5-((2-シアノ-6-ヒドロキシベンジル)(エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-2)の調製
【化33】
【0205】
ステップ1.DMF(20.00mL)中のA-5-1(2.00g、9.95mmol、1.00等量)の溶液に、水素化ナトリウム(796mg、19.9mmol、60%純度、2.00等量)をN2雰囲気下0℃で添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでクロロ(メトキシ)メタン(1.20g、14.92mmol、1.13mL、1.50等量)を0℃で添加した。混合物を20℃で3時間撹拌した。次いで、混合物を水(100mL)によってクエンチし、酢酸エチル(50.0mL×3)で抽出した。有機層をブライン(100mL)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮してA-5-2(2.70g、粗産生物)を黄色の固体として得た。LCMS:EW6129-85-P1A(M+23:268.9)。
【0206】
ステップ2.メタノール(20.0mL)中のA-5-2(2.70g、11.0mmol、1.00等量)およびエタンアミン(745mg、16.5mmol、1.08mL、1.50等量)の溶液に、酢酸ナトリウム(1.08g、13.2mmol、1.20等量)を一分量で、N2雰囲気下20℃で添加した。混合物を20℃で30分間撹拌し、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.04g、16.5mmol、1.50等量)を添加し、20℃で15時間撹拌した。混合物を濃縮し、水(30.0mL)で希釈し、酢酸エチル(15.0mL×3)で抽出した。複合有機層をブライン(30.0mL)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、A-5-3(2.95g、10.7mmol、収率=97.6%)を黄色の固体として得た。LCMS:EW6129-100-P1B(M+1:274)。
【0207】
ステップ3.n-BuOH(20.0mL)中のA-5-3(2.95g、10.7mmol、1.00等量)およびA-5-3A(2.43g、10.7mmol、1.00等量)の溶液に、DIEA(5.56g、43.0mmol、7.51mL、4.00等量)を一分量で、N2雰囲気下20℃で添加した。混合物を95℃まで加熱し、2時間撹拌した。次いで、混合物を水(50.0mL)で希釈し、酢酸エチル(30.0mL×3)で抽出した。有機層をブライン(50.0mL)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=5/1~1:1)によって精製して、A-5-4(1.66g、3.58μmol、収率=33.3%)を黄色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ=8.32-8.28(m,2H)、7.30-7.28(m,1H)、7.17(t,J=8.4Hz,1H)、7.14-7.08(m,1H)、6.55(br s,1H)、5.32-5.15(m,2H)、5.11(s,2H)、4.34(q,J=7.2Hz,2H)、3.51(s,2H)、3.34(s,3H)、1.38(t,J=7.2Hz,3H)、1.14(t,J=7.2Hz,3H)。
【0208】
ステップ4.DMF(20.0mL)中のA-5-4(1.50g、3.24mmol、1.00等量)の溶液に、Pd(dppf)Cl2(237mg、324μmol、0.10等量)、Zn(CN)2(570mg、4.86mmol、308μL、1.50等量)、およびZn(10.6mg、162μmol、0.05等量)をN2雰囲気下20℃で添加した。混合物を120℃まで加熱し、15時間撹拌した。混合物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(50.0mL×3)で抽出した。有機層を組み合わせ、ブライン(100mL)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10/1~1:1)によって精製して、A-5-5(830mg、2.03mmol、収率=62.7%)を黄色の固体として得た。LCMS:EW6129-107-P1A(M+1:410.2)。
【0209】
ステップ5.HCl/ジオキサン(30.0mL)中のA-5-5(730mg、1.78mmol、1.00等量)の溶液を、20℃で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、A-2(630mg、1.72mmol、収率=96.6%)を白色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3) δ=10.84(br s,1H)、8.37(d,J=7.6Hz,1H)、8.34(s,1H)、7.36-7.31(m,1H)、7.24-7.20(m,2H)、6.44(br d,J=7.6Hz,1H)、5.14(s,2H)、4.43(q,J=7.2Hz,2H)、3.72-3.67(m,2H)、1.40(t,J=7.2Hz,3H)、1.34(t,J=7.2Hz,3H)。
【0210】
一般方法F
エチル5-((2-ブロモ-3-フルオロ-6-ヒドロキシベンジル)(エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-3)の調製
【化34】
【0211】
ステップ1.メタノール(30.0mL)中のA-2-4(3.00g、13.7mmol、1等量)およびエタンアミン(1.24g、27.4mmol、2.00等量)の溶液を、25℃で30分間撹拌し、次いでNaBH4(1.04g、27.4mmol、2.00等量)を添加し、反応混合物を25℃で12時間撹拌した。溶媒を除去し、得られた混合物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層をブライン(100mL)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮してA-6-1(2.40g、8.71mmol、収率=63.6%)を白色の固体として得た。1HNMR(400MHz,CDCl3) δ=6.93(t,J=8.4Hz,1H)、6.71(dd,J=4.4,8.4Hz,1H)、4.23(s,2H)、2.76(q,J=7.2Hz,2H)、1.19(t,J=7.2Hz,3H)。
【0212】
ステップ2.n-ブタノール(10.0mL)中のA-6-1(1.20g、4.84mmol、1.00等量)およびA-5-3A(1.31g、5.80mmol、1.20等量)の混合物に、DIEA(2.50g、19.4mmol、4.00等量)を一分量で、N2保護下25℃で添加した。混合物を95℃まで加熱し、2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物A-3(1.20g、2.37mmol、収率=49.0%)を白色の固体として得た。1HNMR(400MHz,CDCl3) δ=10.40(s,1H)、8.37-8.29(m,2H)、7.03(dd,J=8.0,8.8Hz,1H)、6.88(dd,J=4.8,8.8Hz,1H)、6.40(d,J=8.0Hz,1H)、5.18(br s,2H)、4.40(q,J=7.2Hz,2H)、3.65(q,J=7.2Hz,2H)、1.38(t,J=7.2Hz,3H)、1.31(t,J=7.2Hz,3H)。
【0213】
一般方法G
エチル2-アミノ-5-((2-ブロモ-3-フルオロ-6-ヒドロキシベンジル)(エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-4)の調製
【化35】
【0214】
ステップ1.n-ブタノール(5.00mL)中のA-6-1(0.30g、1.21mmol、1.00等量)およびA-3-7(349mg、1.45mmol、1.2等量)の混合物に、DIEA(625mg、4.84mmol、4.00等量)を一分量で、N2保護下25℃で添加した。混合物を95℃まで加熱し、2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物A-4(250mg、514μmol、収率=42.5%)を黄色の固体として得た。1HNMR(400MHz,CDCl3) δ=(br s,1H)、8.05(d,J=7.6Hz,1H)、7.04(dd,J=8.0,8.8Hz,1H)、6.85(dd,J=4.8,8.8Hz,1H)、6.18(d,J=7.8Hz,1H)、5.29(s,2H)、5.16(br s,2H)、4.40(q,J=7.2Hz,2H)、3.58(q,J=7.2Hz,2H)、1.39(t,J=7.2Hz,3H)、1.29(t,J=7.2Hz,3H)。
【0215】
エチル2-アミノ-5-((2-ブロモ-6-ヒドロキシベンジル)(エチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-5)の調製一般方法FおよびGを使用して、一般方法EにおけるA-5-1で始まるA-5を作製した。
【0216】
エチル2-アミノ-5-((2-ブロモ-3-フルオロ-6-ヒドロキシベンジル)(シクロプロピルメチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-6)の調製一般方法Dを使用して、A-6を作製した。
【0217】
エチル2-アミノ-5-((2-ブロモ-3-フルオロ-6-ヒドロキシベンジル)(イソプロピルメチル)アミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-7)の調製一般方法Dを使用して、A-7を作製した。
【0218】
一般方法H
エチル2-アミノ-5-{[(2-ブロモ-3-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-8)の調製
【化36】
【0219】
ステップ1.THF(5.7mL)中のA-2-4(250mg、1.14mmol)およびクロロ(メトキシ)メタン(119mg、1.48mmol、113μL)の溶液に、DIEA(368mg、2.85mmol)をAr雰囲気下-78℃で添加した。混合物を25℃まで徐々に加温し、14時間撹拌した。次いで、混合物を水(10mL)によってクエンチし、DCM(3×15mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ヘキサン中5~15%の酢酸エチル)は、A-8-1(96.6mg、32%収率)をもたらした。
【0220】
ステップ2.THF(1.0mL)、Me-THF(1.0mL)、およびジグリム(52μL)中のA-8-1(96.6mg、0.367mmol)およびA-8-1A(111mg、0.918mmol)の溶液に、Ti(OEt)4(586mg、2.57mmol、538μL)をAr雰囲気下で添加した。混合物を75℃まで加熱し、2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、5:1のMeOH:水溶液(60mL)に注いだ。この懸濁液に、セライトを添加し、混合物をセライト床に通して濾過した。セライトパッドをMeOH(50mL)および酢酸エチル(50mL)で洗浄した。複合濾過物を水(100mL)に添加し、混合物を酢酸エチル(3×75mL)で抽出した。複合有機抽出物をブライン(50.0mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ヘキサン中0~30%の酢酸エチル)は、A-8-2(101.6mg、75%収率)をもたらした。
【0221】
ステップ3.THF(1.4mL)中のA-8-2(101.6mg、0.28mmol)および水(15.0mg、0.83mmol)の溶液に、-78℃でNaBH4(31.5mg、0.83mmol)を一分量で添加した。混合物を25℃まで徐々に加温し、14時間撹拌した。次いで、混合物を-20℃まで冷却し、水(10.0mL)でクエンチし、DCM(3×15mL)で抽出した。複合抽出物をNa2SO4で乾燥させ、次いで減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ヘキサン中30~60%の酢酸エチル)は、A-8-3(定量的)をもたらした。
【0222】
ステップ4.DCM(4.0mL)中のA-8-3(102mg、0.28mmol、1.00等量)の溶液に、ジオキサン(3.0mL)中の4M HClを添加した。反応混合物を25℃で1.5時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。固体をDCM(5mL)中で懸濁し、飽和重炭酸塩溶液(5mL)を添加し、混合物を5分間撹拌した。混合物をDCM(3×15mL)で抽出した。複合抽出物をNa2SO4で乾燥させ、次いで減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(4g)、ヘキサン中80~100%の酢酸エチル)は、A-8-4(53.5mg、88%収率)をもたらした。
【0223】
ステップ5.一般方法Gを使用して、A-8-4で始まるA-8を作製した。
【表3-1】
【表3-2】
【0224】
一般方法H
(7S)-3-アミノ-12-クロロ-14-エチル-11-フルオロ-7-メチル-6,7,13,14-テトラヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-4(5H)-オン(1)の調製
【化37】
【0225】
ステップ1.ジクロロメタン(300μL)中のアゼオトロープ乾燥フェノールA-1(50mg、0.12mmol)および(R)-tert-ブチル(2-ヒドロキシプロピル)カルバメート(25.8mg、0.147mmol)の溶液に、PPh3(40.2g、0.153mmol)を添加した。混合物を完全に溶解するまで撹拌し、次いで0℃まで冷却し、DIAD(32.2mg、0.159mmol、31.3μL)を混合しながら滴下添加した。混合物を35℃まで徐々に加温し、1時間撹拌した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ヘキサン中0~100%の酢酸エチル)は、純粋でない1-1をもたらした。
【0226】
ステップ2.MeOH(4mL)およびTHF(2mL)中の1-7(69.2mg、122μmol)の溶液に、周囲温度で、水性LiOH溶液(2.0M、2mL)を添加した。混合物を70℃で25時間加熱し、-20℃まで冷却した後、HCl水溶液(2.0M)で酸性にクエンチした。混合物をDCM(3×5mL)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、高真空下で乾燥させた。粗材料をDCM(4mL)に溶解し、続いて1,4-ジオキサン(4M、3mL)中のHClを添加した。混合物を周囲温度で1時間撹拌し、減圧下で濃縮し、高真空下で乾燥させた。粗材料をDMF(2.0mL)およびDCM(8.0mL)に溶解し、ヒューニッヒ塩基(158mg、1.22mmol、213μL)、次いでFDPP(61.2mg、159μmol)を一分量で添加した。反応物を3時間撹拌した後、2M Na2CO3溶液(5mL)でクエンチした。混合物を5分間撹拌し、次いでDCM(4×10mL)で抽出した。複合抽出物をNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ジクロロメタン中0~7.5%のメタノール)は、1(11.1mg、26.5μmol、21%収率)をもたらした。
【0227】
一般方法I
(7S)-14-エチル-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル(2)の調製
【化38】
【0228】
ステップ1.ジクロロメタン(182μL)中のアゼオトロープ乾燥フェノールA-2(100mg、0.274mmol)および(R)-tert-ブチル(2-ヒドロキシプロピル)カルバメート(95.9mg、0.547mmol)の溶液に、PPh3(144mg、0.547mmol)を添加した。混合物を完全に溶解するまで撹拌し、次いで0℃まで冷却し、DIAD(116mg、0.574mmol、113μL)を混合しながら滴下添加した。混合物を35℃まで加温し、18時間撹拌した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ヘキサン中0~80%の酢酸エチル)は、2-1をもたらした(81.1mg、155μmol、56%収率)。
【0229】
ステップ2.DCM(1.5mL)中の2-1(81.1mg、155μmol)の溶液に、1,4-ジオキサン(4M、1.5mL)中のHClを添加した。混合物を周囲温度で1時間撹拌し、減圧下で濃縮し、高真空下で乾燥させて、2-2を得た。
【0230】
ステップ3.トルエン(3.1mL)中の2-2(65.6mg、155μmol)の溶液に、THF(2M、465μL)中のトリエメチルアルミニウムを添加した。混合物を100℃まで加熱し、1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、2.0Nの水性HCl(4mL)でクエンチし、水(10mL)で希釈して、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。複合有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ジクロロメタン中0~10%のメタノール)は、2をもたらした(29.0mg、77μmol、49%収率)。
【0231】
化合物3は、一般方法Iに従って調製した。
【0232】
一般方法J
(7S)-14-エチル-11-フルオロ-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル(4)の調製
【化39】
【0233】
ステップ1.A-3を、一般方法Hのステップ1に従って4-1に変換した。
【0234】
ステップ2.4-1を、一般方法Hのステップ2に従って4-2に変換した。
【0235】
ステップ3.DMA(1.12mL)中4-2(8.0mg、17.9μmol)、Zn(CN)2(10.5mg、819.2μmol)、Zn(0.12mg、1.8μmol)、およびdppf(3.96mg、7.14μmol)の脱気混合物に、Pd2(dba)3(3.3mg、3.6μmol)を添加した。混合物を130℃まで3時間加熱した。反応物を冷却し、水(3mL)を添加した後、ジクロロメタン(3×3mL)で抽出した。複合抽出物をNa2SO4で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(12g)、ジクロロメタン中0~5%のメタノール)、続いて逆相精製ISCOシステム、C18(50g、ゴールド)、0.035% TFAを含む水中0~100%のアセトニトリル)は、4(6.7g、16.7μmol、95%収率)をもたらした。
【0236】
化合物5~9を、それぞれA-4~A-8で始まる一般方法IおよびJに従って調製した。
【0237】
一般方法K
tert-ブチル2-アミノ-5-[(4-メチルベンゼン-1-スルホニル)オキシ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(A-10-5)の調製
【化40】
【0238】
ステップ1.エタノール(4.1L)中のA-10-1(1.58kg、15.0mol、1.60L、1.0等量)およびトリエチルアミン(82.2g、812mmol、113mL、0.054等量)の溶液に、A-3-1A(3.80kg、26.30mol、2.64L、1.75等量)を徐々に添加した。混合物を0~25℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮して粗産生物を得た。残渣を混合溶媒(2.0L×3、PE:EA=5:1、V/V)で粉砕した。次いで、混合物を濾過し、濾過ケークを濃縮して、A-10-2(2.78kg、9.74mol、65%収率)を白色の固体として得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ=10.20(br s,1H)、6.80(br s,1H)、1.55(s,9H)。
【0239】
ステップ2.ジメチルホルムアミド(4.1L)中のA-10-2(2.26kg、7.91mol、1.0等量)の溶液に、NH2NH2・H2O(1.91kg、19.0mol、1.85L、水中50%、2.40等量)を添加した。混合物を100℃で6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、濃縮して化合物A-10-3(2.7kg、粗産生物)を黒茶色の油として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ=5.29(br s,2H)、3.39(br s,2H)、1.47(s,9H)。
【0240】
ステップ3.t-BuOH(6.0L)中のA-10-3(1020g、3.70mol、1.0等量)およびA-3-3A(480g、3.43mol、0.926等量)の溶液に、ナトリウムエトキシド(1.02kg、15mol、4.05等量、新たに調製)を添加した。混合物を90℃で6時間撹拌した。混合物を氷水(6.0L)に溶解し、酢酸(2M、2.5L)によってクエンチして、pH=6に中和し、ジクロロメタン(3.5L×5)で抽出した。有機層をブライン(5.0L×3)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を濃縮して、粗産生物を得て、この粗産生物を溶媒(3L、PE:EA=1:1)によって粉砕した。懸濁液を濾過し、濾過ケークを濃縮して、A-10-4(704g、2.68mol、72.31%収率、96%純度)を黄色の固体として得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ=7.83(d,J=8.0Hz,1H)、5.95(d,J=8.0Hz,1H)、4.94(br s,2H)、1.62(s,9H)。
【0241】
ステップ4.ジクロロメタン(6.0L)中のA-10-4(987g、3.79mol、1.0等量)の溶液に、トリエチルアミン(1.51kg、14.9mol、2.08L、3.93等量)およびパラトルエンスルホニルクロリド(750g、3.93mol、1.04等量)を添加した。混合物を0℃~25℃で5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、濃縮して粗産生物を得た。粗産生物をジクロロメタン(5.0L)に溶解し、水(4.0L×3)によって洗浄した。有機層を濃縮して、産生物化合物A-10-5(1.14kg、2.80mol、73.79%収率、95.9%純度)をピンク色の固体として得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ=8.32(d,J=7.2Hz,1H)、8.17(d,J=8.4Hz,2H)、7.35(d,J=8.0Hz,2H)、6.50(d,J=7.2Hz,1H)、5.38(s,2H)、2.45(s,3H)、1.65(s,9H)。
【0242】
一般方法L
(7S)-3-アミノ-14-(
2H
5)エチル-11-フルオロ-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル(10)の調製
【化41】
【0243】
ステップ1.DMF(15mL)中のA-2-4(1.0g、4.57mmol)、10-1A(1.14g、4.79mmol)、およびK2CO3(1.89g、13.7mmol)の溶液を、25℃で3時間撹拌した。反応混合物をDCM(100mL)および水(75mL)で希釈し、20%のクエン酸溶液で酸性になるまで調整し、10分間激しく撹拌した。有機層を除去し、水層をDCM(2×25mL)で抽出した。複合抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(80g)、ヘキサン中10~400%の酢酸エチル)は、10-1(1.70g、99%収率)をもたらした。
【0244】
ステップ2.乾燥メタノール(54mL)中の10-1(4.09g、10.9mmol)および10-2A(1.8g、35.9mmol)の溶液を、50℃で1時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、NaBH4(822mg、21.7mmol)を添加した。反応混合物を14時間撹拌し、次いで水(75mL)でクエンチした。混合物をDCM(3×75mL)で抽出した。複合抽出物をブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(40g)、ヘキサン中10~80%の酢酸エチル)は、10-2(4.05g、90%収率)をもたらした。
【0245】
ステップ3.n-ブタノール(10.0mL)中のA-10-5(2.8g、6.92mmol)、10-2(2.98g、7.27mmol)および分子篩(3g)の混合物に、DIEA(4.47g、34.6mmol)を添加した。混合物を90℃まで加熱し、26時間撹拌した。反応物を冷却し、DCM(100mL)で希釈した後、セライトで濾過した。濾過物を1M Na2CO3溶液(50mL)、次いでブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(120g)、ジクロロメタン中0~60%の酢酸エチル)は、10-3(4.07g、91%収率)をもたらした。
【0246】
ステップ4.DMF(12.6mL)中の10-3(4.07g、6.33mmol)の脱気溶液に、CuCN(850mg、9.5mmol)を添加した。混合物を110℃まで加熱し、39時間撹拌した。反応物を冷却し、DCM(15mL)で希釈した後、6M NH4OH溶液(50mL)を添加した。混合物を15分間激しく撹拌した後、DCM(4×35mL)で抽出し、複合抽出物を再度、6M NH4OH溶液(50mL)と30分間激しく混合し、DCM(3×50mL)で抽出し、NH4OH溶液での処理をあと2回繰り返した。複合抽出物をブライン(50mL)、次いでNa2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(120g)、ジクロロメタン中20~60%の酢酸エチル)、続いて逆相精製(ISCOシステム、C18(50g、ゴールド)、0.035% TFAを含む水中0~100%のアセトニトリル、6注射)は、10-4(2.82g、75%収率)をもたらした。
【0247】
ステップ5.DCM(25mL)中の10-4(2.82mg、4.80mmol)の溶液に、1,4-ジオキサン(4M、20mL、80mmol)中のHClを添加した。混合物を周囲温度で16時間撹拌し、減圧下で濃縮し、高真空下で乾燥させた。粗材料をDMF(10mL)およびDCM(60mL)に溶解し、ヒューニッヒ塩基(1.56g、120mmol、21mL)、次いでFDPP(2.02g、5.27mmol)を一分量で添加した。反応物を87時間撹拌した後、2M Na2CO3溶液(100mL)でクエンチした。混合物を5分間撹拌し、次いでDCM(3×150mL)で抽出した。複合抽出物を2M Na2CO3溶液(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ISCOシステム、シリカ(120g)、ジクロロメタン中1.25~6.25%のメタノール)は、10(1.59g、79%収率)をもたらした。
【0248】
一般方法M
(7R)-3-アミノ-14-エチル-11-フルオロ-7-メチル-4-オキソ-4,5,6,7,13,14-ヘキサヒドロ-1,15-エテノピラゾロ[4,3-f][1,4,8,10]ベンゾキサトリアザシクロトリデシン-12-カルボニトリル(11)の調製
【化42】
【0249】
ステップ1.n-BuOH(6.0L)中のA-6-1(438.42g、1.70mol、1.0等量)およびA-10-5(690g、1.70mol、1.0等量)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(742g、5.74mol、1.0L、3.38等量)および4A MS(200g)を添加した。混合物を90℃で8時間撹拌した。TLC(PE:EA=1:1)は、化合物7が消費され、2つの新たなスポットが見出されたことを示した。混合物を50℃で濾過し、濾過物を水(8.0L)によってクエンチし、酢酸エチル(4.0L×3)で抽出した。有機層をブライン(4.0L×3)によって洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して粗産生物を得た。濾過ケークをn-BuOH(2.0L)中、90℃で1時間撹拌した後、50℃で濾過し、所望の産生物が残留しなくなるまでこの作業を3回繰り返し、これをTLCによって監視した後、濾過物を濃縮して粗産生物を得た。全ての残渣を混合溶媒[500mL×3、酢酸エチル:石油エーテル=1:2(v/v)]で粉砕し、母液をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=10/1~0:1)によって精製して、11-1(570g、1.10mol、65.1%収率、93.4%純度)を黄色の固体として得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d) δ=10.31(s,1H)、8.02(d,J=7.6Hz,1H)、7.02(dd,J=8.0,8.8Hz,1H)、6.82(dd,J=4.8,8.8Hz,1H)、6.14(d,J=7.6Hz,1H)、5.29(s,2H)、5.17(br s,2H)、3.54(q,J=7.2Hz,2H)、1.60(s,9H)、1.26(t,J=7.2Hz,3H)。
【0250】
ステップ2.ジメチルホルムアミド(25.0mL)中の11-1(8.00g、16.7mmol、1.00等量)の溶液に、青下銅(2.24g、24.9mmol、5.46mL、1.50等量)を添加した。混合物を130℃で10時間撹拌した。反応混合物に水酸化アンモニウム(10.0mL)を添加し、水(300mL)で希釈した。次いで、混合物を酢酸エチル(300mL×3)で抽出した。複合有機層を飽和塩化アンモニウム(100mL×5)で洗浄し、飽和硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得た。この残渣を分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18 250*50mm*10um、移動相:[水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)-ACN]、B%:40%-60%、45分、70%分)によって精製して、11-2(2.00g、4.54mmol、27.2%収率、96.7%純度)を茶色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ=10.66(br s,1H)、8.38(d,J=7.6Hz,1H)、7.31(t,J=9.2Hz,1H)、7.16(dd,J=4.8,8.8Hz,1H)、6.52(d,J=7.6Hz,1H)、5.96(s,2H)、4.94(br s,2H)、3.50(br d,J=6.8Hz,2H)、1.46(s,9H)、1.10(t,J=6.8Hz,3H)。
【0251】
ステップ3.ジメチルホルムアミド(20.0mL)中の11-2(2.05g、4.81mmol、1.00等量)の溶液に、炭酸カリウム(1.66g、12.0mmol、2.50等量)および11-2A(1.71g、7.21mmol、1.50等量)を添加した。混合物を30℃で6時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。複合有機層をブライン(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得た。この残渣を分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18 250*50mm*10um、移動相:[水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)-ACN]、B%:50%~80%、25分、80%分)によって精製して、11-3(1.80g、3.05mmol、63.4%収率、98.9%純度)を薄黄色の固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ=8.36(d,J=8.0Hz,1H)、7.52-7.40(m,2H)、6.96(br s,1H)、6.52(br d,J=7.6Hz,1H)、5.93(s,2H)、5.12-4.91(m,2H)、4.58-4.44(m,1H)、3.44(br s,2H)、3.21-3.09(m,1H)、3.08-2.95(m,1H)、1.44(s,9H)、1.34(s,9H)、1.11(d,J=6.4Hz,3H)、1.07(t,J=6.8Hz,3H)。
【0252】
ステップ4.11-3を、一般方法Lのステップ5に従って11に変換した。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0253】
【0254】
反応器にA-10-5(1.0等量)、A-6-1(1.1等量)、DIPEA(3.0等量)、およびn-ブタノール(10体積)を装填した。得られた混合物を、90~95℃で10時間加熱した。反応の進行をHPLCによって監視し、A-10-5の2%が、反応が完了したことを明らかにした。IPC試験に合格した後、反応混合物を0~5℃まで冷却した。反応混合物を2時間撹拌した。固体を濾過し、冷たいMTBE(2×0.5体積)で洗浄した。固体を真空オーブン下40~50℃で、収率2950g(75%)および99.9% HPLC純度の一定重量まで乾燥させた。
【0255】
反応器に11-1(1.0等量)、DMA(5体積)、およびCuCN(2.5等量)を装填した。得られた混合物を90~100℃で92時間加熱した。反応の進行をHPLCによって監視し、11-1のNMT 2%が、反応が完了したことを明らかにした。IPC試験に合格した後、反応混合物を、DCM(46L、15体積)、セライト(3073g)を含有する第2の反応器に35~40℃で移した。反応混合物を20~30℃で30分間撹拌した。反応混合物を1インチセライト床で濾過し、DCM(2×5体積)で洗浄した。濾過物にセライト(3073g)、炭(1000g)、および緩衝液(H2O/NH4Cl/NH4OH、9.4/4.0/3.8、31L、10v)を装填して濾過した。反応混合物を20~30℃で2時間撹拌した。反応混合物を1インチセライト床に通して濾過し、DCM(2×5体積)で洗浄した。層を分離し、有機層を緩衝液(2×31L、2×10v)および水(2×10体積)で洗浄した。この有機層を最小体積まで濃縮し、MTBE(2×5体積)で共蒸発させた。反応混合物を15~30℃まで冷却し、4時間撹拌した。固体を濾過し、冷たいメタノール(2×1体積)で洗浄した。固体を真空オーブン下40~50℃で、収率2310g(82%)および99%HPLC純度の一定重量まで乾燥させた。
【0256】
反応器に11-2(1.0等量)、10-1A(1.15等量)、アセトニトリル(5体積)、およびDBU(2.5等量)を装填した。得られた混合物を20~30℃で2時間撹拌した。反応の進行をHPLCによって監視し、11-2の1%が、反応が完了したことを明らかにした。IPC試験に合格した後、反応器に酢酸エチル(10体積)および25重量%クエン酸溶液(10体積)を装填した。反応混合物を一晩撹拌し、層を分離し、水層を酢酸エチル(10体積)で再度抽出した。複合有機層を最小体積まで濃縮し、DCM(2×5体積)で共蒸発させた。濃縮乾燥して、1630g(92%)および99%のHPLC純度を得た。
【0257】
反応器に5-A(1.0等量)、DCM(10体積)、およびジオキサン中の4M HCl(10等量)を装填した。得られた混合物を20~30℃で2時間撹拌した。反応の進行をHPLCによって監視し、5-Aの1%が、反応が完了したことを明らかにした。IPC試験に合格した後、固体を濾過し、MTBE(2×5体積)で洗浄し、固体をフィルター内で窒素下、真空で乾燥させて、1450g(100% 1300gと推定)の収率および97%の純度を得た。
【0258】
反応器に5-B(1.0等量)、DIPEA(5.0等量)、ならびにDCM(20体積)およびDMF(1体積)を装填した。得られた混合物を室温(15~30℃)で15~30分間撹拌した。反応器にFDPP(1.3等量)を一分量で装填した。得られた混合物を室温(15~30℃)で一晩撹拌した。反応の進行をHPLCによって監視し、5-Bの1%が、反応が完了したことを明らかにした。IPC試験に合格した後、反応器に1M Na2CO3溶液(10体積)を装填した。反応混合物を30分間撹拌し、層を分離した。有機層を1M Na2CO3溶液(10体積)および水(2×10体積)およびブライン(50体積)で洗浄した。有機層を最小体積まで濃縮し、メタノール(2×5体積)で共蒸発させた。有機層をMgSO4および炭で乾燥させ、有機層をGFペーパーで濾過し、有機層を最小体積まで濃縮し、エタノール(2×5体積)で共蒸発させた。濃縮乾燥し、EtOH(2L)を添加し、室温で1時間撹拌した。固体を濾過し、冷たいメタノール(2×1体積)で洗浄した。固体を真空オーブン下40~50℃で、収率850g(86%)の一定重量まで乾燥させた。
【0259】
反応器に粗産生物5(1.0等量)および水(12体積)を装填した。得られた混合物を室温で3日間撹拌した。固体を濾過し、水(2×1体積)で洗浄した。固体を真空オーブン下40~50℃で、収率723g(86%)および98.7%HPLC純度の一定重量まで乾燥させた。
【0260】
生物学的アッセイ
インビトロアッセイ
材料および方法
生化学キナーゼアッセイ法
生化学キナーゼアッセイは、Reaction Biology Corporation(www.reactionbiology.com、Malvern,PA)において、参照文献(Anastassiadis T,et al Nat Biotechnol.2011,29,1039)に記載される手順に従って行った。特定のキナーゼ/基質対は、必要な補助因子と共に、反応緩衝液中で調製される(20mM Hepes pH7.5、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.02% Brij35、0.02mg/mL BSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTT、1% DMSO)(個々のキナーゼ反応構成成分に関する特定の詳細については、補足の表2を参照)。化合物を反応に送達し、約20分後にATP(Sigma,St.Louis MO)および33P ATP(Perkin Elmer,Waltham Ma)を10μMの最終濃度まで添加した。反応を室温で120分間実行し、続いてそれらの反応をP81イオン交換フィルターペーパー(Whatman Inc.,Piscataway,NJ)上にスポットした。非結合リン酸塩を、0.75%リン酸中でフィルター全体を洗浄することによって除去した。不活性酵素を含有する対照反応から導出された背景を控除した後、キナーゼ活性データを、ビヒクル(ジメチルスルホキシド)反応と比較して、試験試料中の残留ウキナーゼ活性のパーセントとして表した。Prism(GraphPad Software)を使用してIC50値および曲線適合を得た。
【0261】
細胞株および細胞培養:
ヒト胃癌細胞株SNU-5、肺癌細胞株HCC827、H1975、マウス骨髄性白血病細胞株M-NFS-60をATCCから得た。細胞株Ba/F3、MKN-45をDSMZから購入した。SNU-216細胞株をKCLBから購入した。
【0262】
クローニングおよびBa/F3安定細胞株の作成
TEL-CSF-1R cDNAは、GenScriptにおいて合成し、pCDH-CMV-MCS-EF1-Puroプラスミド(System Biosciences,Inc.)にクローン化した。Ba/F3 TEL-CSF1Rは、Ba/F3細胞をTEL-CSF1R cDNAクローンを含有するレンチウイルスで形質導入することによって生成した。安定細胞株は、ピューロマイシン処理、続いてIL-3除去によって選択した。簡単に言えば、1×106 Ba/F3細胞を、8μg/mLの硫酸プロタミンの存在下、レンチウイルス上澄みで形質導入した。その後、形質導入した細胞を、IL3含有媒質RPMI1640+10% FBSの存在下、1μg/mLのピューロマイシンで選択した。選択の10~12日後、IL3非依存性増殖のために、生存している細胞を更に選択した。
【0263】
細胞増幅アッセイ:
1ウェル当たり2千個の細胞を、384ウェル白色プレートに24時間播種し、次いで化合物で72時間(37℃、5% CO2)処理した。CellTiter-Gloルシフェラーゼ系ATP検出アッセイ(Promega)を使用し、製造元のプロトコルに従って細胞増幅を測定した。IC50判定は、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,Inc.,San Diego,CA)を使用して行った。
【0264】
細胞キナーゼリン酸化アッセイの免疫ブロッティング
胃癌細胞株MKN-45、SNU-5(両方がMET過剰発現を有する)、HCC827細胞(内因性EGFR突然変異delE1746_A750を内包する)、NCI-H1975細胞(内因性EGFR二重突然変異L858R/T790Mを内包する)、またはSNU216細胞を、10%ウシ胎仔血清および100U/mLのペニシリン/ストレプトマイシンを補足したRPMI 1640培地中で培養した。1ウェル当たり50万個の細胞を、24ウェルプレートに24時間播種し、次いで化合物で4時間処理した。処理後に細胞を収集し、10mM EDTA、1X Haltプロテアーゼ、およびホスファターゼ阻害剤(Thermo Scientific)を補足したRIPA緩衝液(50mM Tris、pH7.4、150mM NaCl、1% NP-40、0.5% デオキシコレート、0.1% SDS)に溶解した。タンパク質溶解物(およそ20μg)を、MES走行緩衝液(LiFe Technologies)を含む4~12% Bolt Bis-Trisプレキャストゲル上で溶解し、Trans-Blot Turbo Transfer System(Bio-Rad)を使用してニトロセルロース膜に移し、リン酸化MET(Y1234/Y1235)(Cell Signaling Technology)、MET(Y1349)、MET(Y1003)、全MET(Cell Signaling Technology)、リン酸化EGFR(Y1068)、および全EGFR(Cell Signaling Technology)、リン酸化STAT3およびSTAT5、全STAT3およびSTAT5(Cell Signaling Technology)、リン酸化AKT(Cell Signaling Technology)、全AKT(Cell Signaling Technology)、リン酸化ERK(Cell Signaling Technology)、全ERK(Cell Signaling Technology)、リン酸化PLCγ2および全PLCγ2(Cell Signaling Technology)、リン酸化SRC Y416(Cell Signaling Technology)、全SRC(Cell Signaling Technology)、リン酸化パキシリンY118(Cell Signaling Technology)、全パキシリン(Cell Signaling Technology)、PARP、アクチン(Cell Signaling Technology)を標的とする抗体で検出した。抗体は、典型的に、優しく揺らしながら4℃で一晩インキュベートし、続いて洗浄し、適切なHRP共役二次抗体でインキュベートした。膜を、室温で5分間、化学発光基質でインキュベートした(SuperSignal West Femto,Thermo Scientific)。C-DiGit撮像システム(LI-COR Biosciences)を用いて、化学発光画像を取得した。化学発光帯域の相対密度を、LICORからのImage Studio Digitsを介して定量化した。半量阻害濃度(IC50)値は、非線形回帰分析を使用し、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad,Inc.,San Diego,CA)によって計算する。
【0265】
擦過傷治癒アッセイ
MKN-45またはHCC827細胞を、24ウェルプレートに播種した。12~24時間後、コンフルエントな細胞単層を、滅菌ピペット先端で優しく引っ掻いて、擦過傷を形成した。プレートを新鮮な培地で洗浄し、細胞を培地単独で、または様々な濃度の化合物を含有する培地でインキュベートした。36~48時間後、プレートを調べ、EVOS FL顕微鏡(Life Technology)によって記録して、細胞単層の再封入を監視した。
【0266】
インビボ方法
細胞株
MKN-45およびBa/F3 ETV6-CSF1R細胞を、5% CO2で加湿した雰囲気下37℃で、10%ウシ胎仔血清(Thermo Fisher Scientific,Inc)を含むRPMI-1640培地(Corning,Inc)中、標準技術を使用して培養した。移植の場合、細胞を採取し、250gで2分間の遠心分離によってペレット化した。細胞を一度洗浄し、50%マトリゲル(v/v)を補足した無血清培地中で再懸濁した。
【0267】
免疫無防備状態のマウスにおける皮下異種移植モデル
雌の無胸腺ヌードマウス(5~8週齢)は、Charles River Laboratoryから入手し、齧歯類用食餌および水に自由にアクセスできる、HEPA濾過した換気ラック上のInnovive IVC使い捨てケージに収容した。50%マトリゲル(Corning,Inc)を補足した100μLの無血清培地中の500万個の細胞を、マウスの右横腹領域に皮下的に埋め込んだ。腫瘍サイズおよび体重を指定した日に測定した。電子ノギスで腫瘍サイズを測定し、腫瘍体積を長さ*幅2*0.5の結果として計算した。腫瘍体積が約200mm3に到達したとき、マウスを腫瘍サイズによって治療群にランダム化し、化合物5を判定した用量で経口的に(BID)投与した。
【0268】
インビボ薬力学研究のための腫瘍処理および免疫ブロット
異種移植腫瘍を担持するマウスを、人道的に安楽死させ、腫瘍を切除し、液体窒素中で急速冷凍して、-80℃で保管した。冷凍腫瘍試料を1×細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technologies)中4℃で処理して、タンパク質を抽出した。1体積の4×LDS試料緩衝液(Life Technologies,Inc)を3体積のタンパク質溶解物に添加することによって、SDS負荷試料を調製した。腫瘍SDSタンパク質試料を、SDS-PAGEによって処理し、ウサギ抗リン酸化MET、マウス抗MET、およびマウス抗アクチン抗体(Cell Signaling Technologies)で免疫ブロットした。免疫ブロットからのシグナルを、LI-CORからのC-DiGit Blot Scannerによって検出し、Image Studio Digitソフトウェア(LI-COR)を使用してシグナル強度を定量化した。
【0269】
免疫無防備状態のマウスにおける皮下患者由来の異種移植モデル
雌のBALB/cヌードマウス(6~7週齢)は、Beijing Anikeeper Biotech Co.Ltd(Beijing,China)から入手した。原発性ヒト腫瘍異種移植モデルLU2503腫瘍を、ストックマウスにおいて増殖させた。腫瘍断片(直径2~3mm)をストックマウスから採取し、腫瘍発達のために各マウスの右前後に接種した。16匹のマウスを研究に登録した。全ての動物を、2つの異なる研究群にランダムに割り当てた。腫瘍サイズおよび体重を指定した日に測定した。ノギスを使用して腫瘍サイズを測定し、腫瘍体積を長さ*幅2*0.5の結果として計算した。腫瘍体積が約200mm3に到達したとき、マウスを腫瘍サイズによって治療群にランダム化し、化合物5を15mg/kgで経口的に(BID)投与した。
【0270】
C57BL/6Jマウスにおける皮下MC38合成モデル
C57BL/6J雌マウス(6週齢)は、Jackson Laboratoryから購入し、実験動物の管理と使用に関するガイドラインに従って維持した。100μLの無血清培地中の50万個のMC38癌細胞を、マウスの右横腹領域に皮下的に埋め込んだ。腫瘍サイズおよび体重を指定した日に測定した。電子ノギスで腫瘍サイズを測定し、腫瘍体積を長さ*幅2*0.5の結果として計算した。腫瘍体積が約70~90mm3に到達したときに、マウスを腫瘍サイズによって治療群にランダム化した。ビヒクル対照、化合物5、PD-1抗体または化合物5+PD-1抗体を、判定した用量で経口的に(BID)投与した。
【0271】
MC38合成モデルPDバイオマーカー研究
7日目および11日目にMC38腫瘍を収集した。収集した腫瘍を、MiltenyiGentleMaxを使用して分離した。腫瘍関連マクロファージ(TAM)、およびTAMサブタイプ(M1およびM2)、骨髄由来の抑制細胞(MDSC)、細胞毒性Tリンパ球(CTL、すなわちCD8+T細胞)、CD4+T細胞、および調節性T細胞(Treg)を含む、腫瘍関連免疫細胞について、腫瘍のFACS分析を行った。
【0272】
データおよび結果:
酵素キナーゼ活性
10μM ATP濃度での酵素キナーゼ阻害活性を、Reaction Biologyにおいて判定した。IC
50の結果を表1に要約した。
【表5】
【0273】
抗癌増幅活性
METおよびCSF1R駆動細胞株に対する抗細胞増幅活性を、それぞれMKN-45、SNU-5、Ba/F3 TEL-CSF1R細胞、およびM-NFS-60で行った。IC
50の結果を表2および表3に要約した。
【表6】
【表7】
【0274】
化合物5は、METのリン酸化および下流シグナル伝達を阻害した。
MET上の化合物5の薬力学的阻害活性およびMET駆動細胞における対応する下流シグナル伝達を評価し、結果を
図1および2に示した。化合物5は、SNU-5およびMKN-45細胞株中およそ1~3nMのIC
50で、MET自己リン酸化ならびに下流STAT3、ERK、およびAKTリン酸化の抑制を引き起こした(
図1および2)。
【0275】
化合物5は、HCC827細胞においてAZD9291と相乗した。
肺癌細胞株HCC827は、MET過剰発現を伴う内因性EGFRエクソン19欠失を有する。EGFR阻害剤AZD9291は、5nMのIC
50を示したが、細胞増幅アッセイにおいて最大阻害はEmax 47%であった。選択的MET阻害剤カプマチニブは、HCC827細胞増幅アッセイにおいて活性でない。AZD9291とカプマチニブとの組み合わせは、AZD9291単独と同様の効果を示し、IC
50は5nM、Emaxは48%であった。MET/SRC二重阻害剤化合物5は、HCC827細胞増幅アッセイにおいて、3000nMのIC
50を示した。AZD9291と化合物5との組み合わせにおいて、強い相乗的活性が観察され、HCC827細胞増幅アッセイにおいて、IC
50は2nMおよびEmaxは71%であった。結果を
図3に要約した。化合物5は、
図4に示されるように、HCC827細胞株におけるアポトーシスのためにAZD9291と相乗した。
【0276】
化合物5の移行阻害の評価
化合物5は、創傷治癒アッセイにおける36~48時間の治療後に、MKN-45またはHCC827細胞の移行を阻害したが、選択的MET阻害剤カプマチニブのみが、MKN-45細胞の移行を阻害し、HCC827細胞に対して最小の効果を有する。結果を
図5および6に提示した。
【0277】
インビボ研究
異種移植腫瘍モデルにおける化合物5の抗腫瘍有効性
METの調節不全が関係するとされる癌集団を表すいくつかの腫瘍異種移植モデルにおいて、化合物5の抗腫瘍有効性を評価した。
【0278】
MKN-45胃腺癌モデル
MKN-45細胞におけるMet遺伝子増幅は、腫瘍増殖の分子機序の根底にある。MKN-45腫瘍を担持する無胸腺ヌードマウス(平均腫瘍サイズ210mm
3)に、化合物5を経口的にBIDで12日間投与した(
図7)。対照マウス群には、ビヒクルのみを与えた。指示された日にノギスで腫瘍体積(TMV)を測定し、
図7において平均±semで示す。平均TMVは、繰り返しのある二元配置分散分析に続いて事後分析によって判定されるように、対照群と比較して、治療群において著しく低い(p<0.05)。腫瘍増殖阻害(TGI)は、TMV
治療の最終日の治療群≧TMV
治療の初日の治療群であるとき、100%*{1-[(TMV
治療の最終日の治療群-TMV
治療の初日の治療群)/(TMV
治療の最終日の対照-TMV
治療の初日の対照)]}として計算した。TMV
治療の最終日の治療群<TMV
治療の初日の治療群である場合、腫瘍退縮(REG)は、100%*(1-TMV
治療の最終日の治療群/TMV
治療の初日の治療群)として計算した。この研究では、化合物5は、3mg/kgの用量、BIDで腫瘍増殖を47%阻害する能力を示した。10mg/kg、BIDおよび30mg/kg、BIDでと投与したとき、化合物5の治療は、それぞれ6%および44%の腫瘍退縮をもたらした。腫瘍サイズは、10mg/kg、BIDで化合物5により治療された10匹のマウスのうち5匹において、30mg/kg、BIDで化合物5により治療された10匹のマウスのうち9匹において低減した。
図8に示されるように、マウスの指定日にマウスの体重を測定した。
【0279】
化合物5の経口投与に続くMKN-45腫瘍におけるMET活性の阻害
METリン酸化の阻害に対する化合物5の効果を評価するために、MKN-45腫瘍を、10mg/kgでの化合物5の経口投与後0.5時間で採取した。METリン酸化のレベルは、Image Studio Digitソフトウェアによるシグナル定量化と組み合わせた免疫ブロットによって判定した。化合物5は、Tyr-1234およびTyr-1349のそれぞれにおいて、METリン酸化を対照レベルの16%および13%まで阻害した(
図9)。別の実験では、化合物5の最終投与後4時間および12時間における繰り返し用量投与後に腫瘍を採取した。Tyr-1234でのMETリン酸化のレベルは、ELISAによって判定した。化合物5は、最終用量10mg/kgの化合物5治療後4時間および12時間において、METリン酸化を対照レベルの0.2%および4.0%まで阻害し、化合物5は、最終用量10mg/kgの化合物5治療後4時間および12時間において、METリン酸化を対照レベルの12.7%および33.1%まで阻害した(
図10)。
【0280】
LU2503患者由来の異種移植(PDX)NSCLCモデル
LU2503は、NSCLC患者に由来し、Met遺伝子の遺伝子増幅およびエクソン14をスキップする突然変異を内包するPDXモデルである。LU2503腫瘍を担持するマウスを15mg/kg、BIDで化合物5により13日間治療することは、85%の腫瘍退縮をもたらしたが、ビヒクル治療群において腫瘍は189mm
3から2032mm
3まで成長した(
図11)。15mg/kgでの化合物5によるBID治療の21日後に、体重減少は観察されなかった(
図12)。
【0281】
Ba/F3 ETV6-CSF1R腫瘍の増殖の阻害
Ba/F3 ETV6-CSF1R異種移植腫瘍モデルにおいて、腫瘍の増殖は、異所性CSF1R活性に依存すると推定される。Ba/F3 ETV6-CSF1R腫瘍を担持するSCID/ベージュマウス(約180mm
3の平均腫瘍サイズを有する)に、化合物5を経口的にBIDで10日間投与した(
図13)。対照マウス群には、ビヒクルのみを与えた。指示された日にノギスで腫瘍体積(TMV)を測定し、
図12において平均±semで示す。平均TMVは、繰り返しのある二元配置分散分析に続いて事後分析によって判定されるように、対照群と比較して、治療群において著しく低い(p<0.05)。化合物5は、それぞれ5mg/kg、BIDおよび15mg/kg、BIDの用量で、腫瘍増殖を44%および67%阻害する能力を示した。
図14に示されるように、マウスの指定日にマウスの体重を測定した。
【0282】
皮下MC38相乗的マウス腫瘍モデルにおける化合物5のPDマーカー評価
MC38相乗的腫瘍に対する化合物5の抗腫瘍効果を、腫瘍体積別に分析した。7日目のビヒクル対照群(G1)の平均腫瘍体積は、696.3±299.7であったのに対し、化合物5治療群(G2)は、473.5±170.4mm
3であった。11日目に、G1およびG2の平均腫瘍体積は、それぞれ1142.6±290.0および610.4±151.8mm
3であった。11日目に、腫瘍体積は、p<0.006で治療群間に統計的に有意な差異を示したが、7日目の差異は、統計的に有意でなかった。腫瘍体積変化のパーセントを
図15に示す。
図16に示されるように、7日または11日間にわたって15mg/kg BIDで化合物5により治療されたマウスにおいて、体重減少および明白な異常が観察された。
【0283】
腫瘍関連マクロファージ(TAM)、およびTAMサブタイプ(M1およびM2)、骨髄由来の抑制細胞(MDSC)、細胞毒性Tリンパ球(CTL、すなわちCD8+T細胞)、CD4+T細胞、および調節性T細胞(Treg)を含む、腫瘍関連免疫細胞について、7日目および11日目に腫瘍のFACS分析を行った。データを
図17および18に示す。7日目に、対照群と化合物5治療群との間に、腫瘍関連白血球(CD45+集団)中のTAM、M1、M2、MDSC、CTL、CD4+T細胞、またはTregの集団において統計的に有意な変化はなかったが、化合物5治療マウスにおけるTAM細胞の低減の傾向がある。しかしながら、11日目に、全腫瘍白血球集団中のTAMの統計的に有意な疾患は、対照群と比較して化合物5治療群において観察され、MDSC集団の同時増加を伴っていた。TAMの下位集団の更なる分析は、対照群と比較して、化合物5治療群の腫瘍における全腫瘍白血球集団中のM1 TAMの増加およびM2 TAMの減少を明らかにした。同時に、対照群と比較して化合物5治療群において、全腫瘍白血球集団中のCTL細胞の増加の傾向およびCD3+白血球集団中のCTLの統計的に有意な増加が観察され、CD4+T細胞またはTreg細胞において統計的に有意な変化は認められなかった。
【0284】
MC38相乗的モデルにおける化合物5とPD-1抗体とのインビボ複合有効性研究
MC38相乗的腫瘍に対するPD-1抗体と組み合わせた化合物5の抗腫瘍効果を、腫瘍体積別に分析した。20日目のビヒクル対照群(G1)の平均腫瘍体積は、1938.58±729.41であり、化合物5治療群(G2)は、1220.03±521.39mm
3であり、PD-1抗体治療群は、821.24±767.16であり、化合物5+PD-1抗体治療は、515.63±350.47であった。20日目に、複合群を化合物5またはPD-1抗体単独で治療された群と比較して、抗腫瘍相乗性が観察された。化合物5および/またはPD-1抗体で治療されたマウスにおいて、体重減少および明白な異常は観察されなかった。データを
図19および20に示す。