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特開2023-65415分散型トランスデューササスペンションコーン(DTSC)
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  • 特開-分散型トランスデューササスペンションコーン(DTSC) 図1A
  • 特開-分散型トランスデューササスペンションコーン(DTSC) 図1B
  • 特開-分散型トランスデューササスペンションコーン(DTSC) 図2
  • 特開-分散型トランスデューササスペンションコーン(DTSC) 図3
  • 特開-分散型トランスデューササスペンションコーン(DTSC) 図4
  • 特開-分散型トランスデューササスペンションコーン(DTSC) 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065415
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】分散型トランスデューササスペンションコーン(DTSC)
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/06 20060101AFI20230502BHJP
   H04R 9/02 20060101ALI20230502BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20230502BHJP
   H04R 31/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H04R9/06 A
H04R9/02 101B
H04R9/02 102A
H04R7/04
H04R31/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023017572
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2020530624の分割
【原出願日】2018-04-24
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2017/050830
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】519100170
【氏名又は名称】メイト ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】シーク, ティモシー ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】シーク, マティアス ジェフリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可能な限り小さい外形寸法を有し、しかも高性能および直線性を有するスピーカ装置を提供する。
【解決手段】フレーム2と、2つの逆向きの振動板と、動作に際してこれらの振動板を駆動するための磁気ドライバ10、10’を各々有する2つのスピーカドライバとを備えるスピーカ装置1であって、スピーカダンパ5、5’が、振動板3の各々と関連付けられており、少なくとも1つの磁気ドライバ10、10’によって駆動されるように配置されたコイルブラケット4、4’と、振動板をスピーカダンパ5、5’に固定して取り付けるように配置された振動板連結部材6と、スピーカダンパ5、5’をフレーム2に固定するように配置されたダンパフレーム連結部材8、8’と、を有する。スピーカダンパ5、5’は、振動板連結部材とダンパフレーム連結部材との間に配置されたダンパ脚部材7、7’をさらに備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(2)と、2つの逆向きの振動板(3、3’)と、動作に際して前記2つの逆向きの振動板(3、3’)を駆動するための少なくとも1つの磁気ドライバ(10、10’)を各々有する2つのスピーカドライバと、を備えるスピーカ装置(1)であって、
前記2つの逆向きの振動板(3、3’)の各々と関連付けられたスピーカダンパ(5、5’)をさらに備え、
前記スピーカダンパ(5、5’)が、前記関連付けられた少なくとも1つの磁気ドライバ(10、10’)によって駆動されるように配置されたコイルブラケット(4、4’)と、前記振動板(3、3’)を前記スピーカダンパ(5、5’)に固定して取り付けるように配置された振動板連結部材(6、6’)と、前記スピーカダンパ(5、5’)を前記フレーム(2)に固定するように配置されたダンパフレーム連結部材(8、8’)とを備え、
前記スピーカダンパ(5、5’)が、前記振動板連結部材(6、6’)と前記ダンパフレーム連結部材(8、8’)との間に配置されたダンパ脚部材(7、7’)をさらに備える、スピーカ装置(1)。
【請求項2】
前記ダンパ脚部材(7、7’)が弾性材料を含む、請求項1に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項3】
前記ダンパ脚部材(7、7’)が平坦な細片である、請求項1または2に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項4】
前記ダンパ脚部材(7、7’)が、前記コイルブラケット(4、4’)と前記ダンパフレーム連結部材(8、8’)との間の最短距離より長い長さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項5】
前記ダンパ脚部材(7、7’)が曲折細片である、請求項1~4のいずれか一項に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項6】
前記ダンパ脚部材(7、7’)が前記フレーム(2)の角領域に位置決めされている、請求項1~5のいずれか一項に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項7】
前記スピーカダンパ(5、5’)が鏡面対称である、請求項1~6のいずれか一項に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項8】
各スピーカダンパ(5、5’)の前記コイルブラケット(4、4’)の数が少なくとも2つである、請求項1~7のいずれか一項に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項9】
前記2つの逆向きの振動板(3、3’)が、前記少なくとも1つのモータドライバ(10、10’)の動作偏位距離の2倍に等しい静止中の相互距離にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項10】
前記スピーカダンパ(5、5’)が、前記2つの逆向きの振動板(3、3’)の各々の2つの対向する側に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項11】
前記振動板(3、3’)と前記スピーカダンパ(5、5’)との組み合わせが単一の加工品である、請求項10に記載のスピーカ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカの分野に関する。より具体的には、本発明は、フレームと、2つの逆向きの振動板と、2つのスピーカドライバとを備えるスピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカは、例えば、米国特許第6853734号明細書、米国特許第7366318号明細書および米国特許第8311263号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、可能な限り小さい外形寸法を有し、しかも高性能および直線性を有するスピーカ装置を提供することを追及する。
【0004】
本発明によれば、上記のようなスピーカ装置が提供され、本スピーカ装置において各スピーカドライバは、動作に際して2つの逆向きの振動板を駆動するための少なくとも1つの磁気ドライバを有する。本スピーカ装置は、2つの逆向きの振動板の各々と関連付けられたスピーカダンパをさらに備え、スピーカダンパは、関連付けられた少なくとも1つの磁気ドライバによって駆動されるように配置されたコイルブラケットと、振動板をスピーカダンパに固定して取り付けるように配置された振動板連結部材と、スピーカダンパをフレームに固定するように配置されたダンパフレーム連結部材とを備える。スピーカダンパは、振動板連結部材とダンパフレーム連結部材との間に配置されたダンパ脚部材をさらに備える。
【0005】
添付の図面を参照して以下で本発明をさらに詳細に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】デュアルコーンスピーカ装置を示す斜視図である。
図1B】デュアルコーンスピーカ装置を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態によるスピーカ装置の一実施形態を示す斜視図である。
図3】本発明のさらなる実施形態に適したスピーカ装置の部品を示す斜視図である。
図4】本発明のさらなる実施形態に適したスピーカ装置の部品を示す断面図である。
図5】本発明のさらなる実施形態に適したスピーカ装置の部品を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
範囲を限定するためではなく本発明の実施形態を示すためのものにすぎないいくつかの図面を参照して、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲においてと、その技術的均等物によって規定される。すなわち、特に明記しない限り、本発明を説明するために明示的に使用される特徴、構成要素、要素などを技術的均等物で代用できることを当業者は理解するであろう。さらに、たとえ図面に明示されず、本明細書で説明されなくても、異なる実施形態の別々の特徴を、それらの組み合わせが物理的に不可能でない限り、組み合わせることもできる。
【0008】
いくつかの図面を参照して以下で本発明をさらに詳細に論じる。
【0009】
本明細書に記載される例および実施形態は、本発明を限定するのではなく例示する役割を果たす。当業者であれば、特許請求の範囲から逸脱することなく代替の実施形態を設計することができるであろう。特許請求の範囲において括弧内に配置された参照符号は、特許請求の範囲を限定すると解釈されるものではない。特許請求の範囲または本明細書において別々のエンティティとして記載される品目は、記載の品目の特徴が組み合わさった単一のハードウェア品目または複数のハードウェア品目として実施され得る。
【0010】
本発明は添付の特許請求の範囲およびその技術的均等物のみによって限定されることを理解されたい。本明細書および特許請求の範囲において、「comprise(含む、備える)」という動詞およびその活用形は、具体的に言及されない品目を除外せずに、この語の後に続く品目が含まれることを意味する、その非限定的な意味において使用される。加えて、不定冠詞の「a」または「an」である要素に言及する場合、ただ1つだけのその要素が存在することが文脈上明白でない限り、複数のその要素が存在する可能性を排除しない。よって、不定冠詞の「a」または「an」は通常、「少なくとも1つの」を意味する。
【0011】
従来の意味での二重の対向するドライバの原理を使用するスピーカにおいて、ドライバは背中合わせの位置に配置される。
【0012】
このアーキテクチャの利点は、対向するドライバが筐体の機械的振動を打ち消すことである。この打ち消しのために、たとえ筐体がドライバとの関連で比較的軽量、低剛性、および/または小型であっても、筐体がドライバの運動によって受ける影響は著しく小さい。欠点は、設置面積が同一のドライバの奥行きの少なくとも2倍に縛られることである。
【0013】
例えば、参照により本明細書に組み込まれる、本出願人の未公開のオランダ国特許出願第1042617号明細書に記載されているように、ドライバを集約することが、スピーカ設計において必要とされる最小体積を減らすための一方法である。対向するドライバが集約され、磁石モータが同じ平面に配置された状況において、ダイナミックスピーカの第2のサスペンションまたはダンパ(‘スパイダ’)は、対向するドライバの静止位置が原因で2つのトランスデューサの間に収まらず、内側偏位での物理的狭窄が原因で、対向するドライバのスパイダが交差することになる。スパイダは、線形偏位に必要な部品であり、線形偏位は高品質の音響再生に必要である。対向する振動板が最大音圧レベルでスピーカの中心において接触するので、サスペンションは、振動板が衝突することになるため2つの対向するドライバの振動板と一直線に並ぶことができない。
【0014】
図1Aおよび図1B(上記の未公開の特許出願の図4Aおよび図4Bの複写であるには、スピーカ装置300の斜視図および断面図が示されている。スピーカ装置300のブラケット360、360’は、振動板312、314にそれぞれ取り付けられた環362、362’と一体形成されている。図示の実施形態では、ブラケット360、360’は振動板312、314と一体として形成されている。
【0015】
スピーカ装置300のモータ330、330’は対で配置されており、各モータ対330、330’の前者336がブラケット360、360’のうちの1つに連結されている。モータ対330、330’は、フレーム316の周りに交互に配置されている。図示のように、振動板312、314ごとにそれぞれ2対のモータ330、330’がある。共通のブラケット360、360’を共用する対としてモータ330、330’を配置することにより、各振動板の4つのモータが振動板の周りに等間隔で配置され、よって4つのブラケットを必要とする配置と比較して、振動板312、314を動かす効率が増し、またブラケット360、360’の質量も低減され得る。
【0016】
スピーカ装置300は、図示のように、複数の磁石332、332’を備えたモータ330、330’を使用する。各モータ330、330’は、ボイスコイル334、334’の、よって振動板312、314の偏位を増すように配置された2つの磁石332、332’を備える。
【0017】
本発明は、分散型トランスデューササスペンションコーン、DTSCを備えたタイプのスピーカ装置に関し、その例示的実施形態が図2の斜視図に示されている。スピーカ装置1は、フレーム2と、2つの対向する振動板3(図2では1つのみが見えている)を備える。スピーカダンパ5は、複数のコイルブラケット4を備え、コイルブラケット4は、動作に際して(上記のモータ330、330’と同様の)スピーカドライバ10の動くコイル部品に連結される。図示の例示的実施形態では、振動板3ごとに、2つのスピーカダンパ5が存在し、各スピーカダンパ5が3つのコイルブラケット4を有する。1振動板あたり異なる数のスピーカダンパ5およびコイルブラケット4が実装されてもよいことに留意されたく、後述する代替の例示的実施形態も参照されたい。一般的に言えば、ある実施形態群では、各スピーカダンパ5、5のコイルブラケット4の数は、少なくとも2つである。別の実施形態群では、スピーカダンパ5が2つの逆向きの振動板3の各々の2つの対向する側に存在する。
【0018】
振動板3は、振動板連結部材6を介してスピーカダンパ5に連結されている(図2では1つしか見えていないが、振動板3の2つの対向する側に設けられている)。さらに、スピーカダンパ5は、スピーカダンパ5をフレーム連結要素9に連結するための、スピーカダンパ5の両端のダンパフレーム連結部材8を備え、フレーム連結要素9はフレーム2の一部であり、例えば、図2の実施形態に示されるようにピンとして実装される。さらに、スピーカダンパ5は、コイルブラケット4とダンパフレーム連結部材8との間に位置決めされたダンパ脚部材7を備える。
【0019】
一般的に言うと、本発明によれば、スピーカ装置が様々な実施形態において提供され、スピーカ装置1は、フレーム2と、2つの逆向きの振動板3、3’と、動作に際して2つの逆向きの振動板3、3’を駆動するための少なくとも1つの磁気ドライバ10、10’を各々有する2つのスピーカドライバとを備える。スピーカ装置1は、2つの逆向きの振動板3、3’の各々と関連付けられたスピーカダンパ5、5’をさらに備え、スピーカダンパ5、5’は、関連付けられた少なくとも1つの磁気ドライバ10、10’によって駆動されるように配置されたコイルブラケット4、4’と、振動板3、3’をスピーカダンパ5、5’に固定して取り付けるように配置された振動板連結部材6、6’と、スピーカダンパ5、5’をフレーム2に固定するように配置されたダンパフレーム連結部材8、8’とを備える。スピーカダンパ5、5’は、振動板連結部材6、6’とダンパフレーム連結部材8、8’との間に配置されたダンパ脚部材7、7’をさらに備える。
【0020】
スピーカ装置の本発明の実施形態の構造は、スピーカ装置1に、フレーム2とそれぞれの関連付けられた振動板3のコイルブラケット4との間に連結された、直線的に適合する、柔軟で、弾性があり、平坦なスピーカダンパ5を提供し、衝突せずに、両方のドライバ/モータ10の‘スパイダ’をスピーカ装置1の中央面と交差させることを可能にする。各図を参照して本明細書に記載される実施形態における同様の要素は、その参照番号によって表される同様または同一の要素を指すことに留意されたい。
【0021】
特定の実施形態群では、この構造は、振動板3とスピーカダンパ5との組み合わせを、例えば射出成形された単一の加工品として製作することによって利用される。図3図5に、本発明によるスピーカ装置1のDTSCタイプのさらなる例示的実施形態を示す。これらの図面において、スピーカ装置1のフレーム2およびモータ/ドライバ要素10は、スピーカダンパ5と直接関連付けられる構成要素との構造関係および寸法をより明確に示すために、省かれている。
【0022】
図3に示されるように、本実施形態は、(対向する)振動板3、3’の存在を明確に示している。下部振動板3’の関連付けられた要素はダッシュ付き参照番号で示されている。スピーカダンパ5は振動板3の各側に設けられており、本例では、各スピーカダンパ5が2つのコイルブラケット4を備えることが明確に示されている。図3の斜視図と、図4の断面図とから、スピーカダンパ5とスピーカダンパ5の振動板3およびフレーム2への連結とを形成するすべての要素が、振動板3の各側で同じであることが明確である。さらに、対向する振動板3’についてもやはりそれら様々な要素は同じである。言い換えれば、スピーカダンパ5’および振動板3’の下部セットはスピーカダンパ5および振動板3の上部セットと同じであるが、その場合は上下逆さまであり、90度回転されている。
【0023】
本明細書に記載されるすべての実施形態において、本発明の実施形態のさらなる任意選択の特徴、すなわち、スピーカダンパ5、5’が(関連付けられた振動板3、3’の中心線に対して)鏡面対称である特徴が示されている。これは、スピーカ装置1の適正な線形応答を提供する際に有効であり、スピーカダンパ5、5’の製造を円滑化する。
【0024】
やはりこれらの実施形態に示されるように、2セットのスピーカダンパ5、5’をフレーム2に取り付けることができ、ダンパフレーム連結部材8、8’が振動板の動きの方向に9例えば3~4mmの距離だけ)ずれるので、これにより、スピーカダンパ5、5’の全側面をフレーム2の4箇所だけで取り付け、しかもすべてのスピーカダンパ5、5’構成要素を、背の低いスピーカ装置1内に位置決めさせることが可能になる。また、これにより、動作中に動いているスピーカダンパ5のすべての要素を対向する振動板3、3’間の空間の外部に位置決めすることも可能になる。
【0025】
図5に、スピーカダンパ5が、ダンパフレーム連結部材8(例えばリング)と、ダンパ脚部材7と、振動板連結部材6とを備えることを示す、図3のスピーカ装置1の一部の詳細な斜視図を示す。ダンパ脚部材7の振動板連結部材6への連結は、脚取付け体7aを使用して実施され、脚取付け体7aは力および運動の適切な伝達を可能にする。ダンパ脚部材7の形および材料は、振動板3の上下方向の弾性線形挙動が達成されるようなものである。一実施形態では、このために、ダンパ脚部材(7、7’)は弾性材料を含む。
【0026】
例えば、ダンパ脚部材7は、その幅がその厚さより大きい帯状要素として、または平坦な細片としてさえも実施され得る。さらに、ダンパ脚部材7を曲折細片[請求項5]として、すなわち、ダンパフレーム連結部材8と脚取付け体7(またはコイルブラケット4)との間に直線からそれるパターンを用いて実施することにより弾性が改善され得る。特定の例示的実施形態では、ダンパ脚部材(7、7’)は、コイルブラケット(4、4’)とダンパフレーム連結部材(8、8’)との間の最短距離より長い長さを有する。
【0027】
さらなる例として、ダンパ脚体7は、図2の実施形態に示されるように、最初は外側を指し、次に90度左に曲がり、続いてダンパフレーム連結部材8の方へ135度左に曲がるコイルブラケット4への接線連結を有していてもよく、あるいは、図3図5の実施形態に示されるように、ダンパ脚体7は、最初は内側を指し、次にダンパフレーム連結部材8の方へ180度曲がるコイルブラケット4への接線連結を有していてもよい。略矩形形状としてのスピーカ装置1のフレーム2の内部空間を有することにより、コイルブラケット4の外側の角領域を使用して(曲折した)ダンパ脚部材7を位置決めすることができる。言い換えれば、別の実施形態において、ダンパ脚部材(7、7’)はフレーム(2)の角領域に位置決めされる。
【0028】
図2図5に示される実施形態を参照して上述したように、先行技術のスピーカ装置における単一物体であるスパイダの代わりに、DTSCタイプのスピーカ装置は、複数の別々のサスペンションユニット(すなわち、スピーカダンパ5)を有する。各別々のサスペンションユニット(スピーカダンパ5)は、スピーカ装置1の磁石構造と同じフレーム2内の外周領域部に、または(磁石)モータの外周の外に配置される。いずれにしても、スピーカダンパ5は、少なくとも、2つの対向するドライバの振動板3、3’の真後ろにはない。スピーカダンパ5(またはスパイダサスペンションユニット)は、多くの異なる形状および材料を有し得るが、最も重要な特性は、
スピーカダンパ5(スパイダサスペンションユニット)は、非線形運動を回避するために、振動板3(コーン)を複数の位置で(すなわち、フレーム連結要素9を介して)フレーム2に連結する、
スピーカダンパ5の構成要素(‘スパイダ物体’)は、ドライバ(すなわち、上述のコイルブラケット4)が静止位置から互いの方へ偏位するときに同じ面を移動する、および
スピーカダンパ5の構成要素(‘スパイダ物体’)は、振動板3、3の真後ろではなく、振動板の周りにある、
であることに留意されたい。
【0029】
さらなる例示的実施形態の関連する特徴は次のとおりである。
【0030】
1ドライバ/モータ/コイルあたり最小で2つのサスペンションユニット(すなわち、スピーカダンパ5)があり、最大はない。
【0031】
スピーカダンパ5の材料および形状のために、スピーカダンパ5は、ドライバ/モータ偏位の方向に最も柔軟性を有し、非線形のドライバ/モータ偏位を妨げる。
【0032】
スピーカダンパ5を、関連付けられた要素の上部と下部との間の位置で振動板3、コイルまたはコイルブラケット4に(すなわち、振動板3に、またはコイルもしくはコイルブラケット4に直接)固定することができる。
【0033】
分散型(より具体的にはDCST)構成のために、スピーカ装置1内に存在するスピーカダンパ5がすべて同じコイル、コイルブラケット4または振動板3の同じ位置に連結されることは絶対にない。
【0034】
静止位置にある振動板3、3’は、その間に、モータドライバ10の一方向のドライバ偏位の少なくとも2倍の長さの距離を有する。言い換えれば、2つの逆向きの振動板3、3’は、少なくとも1つのモータドライバ10、10’の動作偏位距離の2倍に等しい静止中の相互距離にある。これにより、振動板3、3’または近くの構成要素が互いに干渉するリスクなしで振動板3、3’の可能な限り高い振幅が保証される。
【0035】
2つの振動板3、3’は互いに対向して配置されており、どちらも別々のスピーカダンパ5の端部で固定されている。
【0036】
別々のスピーカダンパ5はコイルブラケット4に隣接し、コイルブラケット4によって形成された境界ボックス内に留まる。スピーカダンパ5は、例えば、フレーム2の長辺でコイルブラケット4に隣接する、すなわち、(図2図5を参照して説明された例示的実施形態に示されるように)フレーム2の角領域内にないことも可能である。スピーカダンパ5を位置決めすることができない唯一の箇所は、振動板3、3’の中間である。
【0037】
振動板3、3’(またはコーン)の形状は、振動板3、3’間に、少なくとも、両方の振動板3、3’の最大内側偏位を組み合わせたものと等しい距離があるように作られる。例えば、上部振動板3と下部振動板3’の両方が別々に、距離xの片振幅偏位を有する場合、振動板3、3’間の距離は距離2xである。
【0038】
以上で本発明を図面に示されるいくつかの例示的実施形態を参照して説明した。いくつかの部品または要素の改変形態および代替の実施態様が可能であり、添付の特許請求の範囲で規定される保護範囲内に含まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカ装置(1)に用いられるダンパ(5、5’)であって、
関連付けられた磁気ドライバ(10、10’)によって駆動されるように配置されたコイルブラケット(4、4’)と、
前記スピーカダンパ(5、5’)を振動板(3、3’)に取り付ける振動板連結部材(6、6’)と、
前記スピーカダンパ(5、5’)をスピーカ装置(1)のフレーム(2)に固定するダンパフレーム連結部材(8、8’)と、
前記振動板連結部材(6、6’)と前記ダンパフレーム連結部材(8、8’)との間に配置された弾性部材(7、7’)と
を備え、
前記振動板連結部材(6、6’)により前記スピーカダンパ(5、5’)が関連付けられた前記振動板(3、3’)に接続され、かつ、前記ダンパフレーム連結部材(8、8’)により前記スピーカダンパ(5、5’)がスピーカ装置(1)のフレーム(2)に固定されたら、前記スピーカダンパ(5、5’)が前記振動板(3、3’)の周りに配置される様に、前記スピーカダンパ(5、5’)を構成した、ダンパ(5、5’)。
【請求項2】
前記弾性部材(7、7’)が弾性材料を含む、請求項1に記載のダンパ(5、5’)。
【請求項3】
前記弾性部材(7、7’)が平坦な細片である、請求項1または2に記載のダンパ(5、5’)。
【請求項4】
前記弾性部材(7、7’)が、前記コイルブラケット(4、4’)と前記ダンパフレーム連結部材(8、8’)との間の最短距離より長い長さを有する、請求項1~3のいずれかに記載のダンパ(5、5’)。
【請求項5】
前記弾性部材(7、7’)が曲折細片である、請求項1~4のいずれかに記載のダンパ(5、5’)。
【請求項6】
前記弾性部材(7、7’)が前記フレーム(2)の角領域に位置決めされている、請求項1~5のいずれかに記載のダンパ(5、5’)。
【請求項7】
各スピーカダンパ(5、5’)の前記コイルブラケット(4、4’)の数が少なくとも2つである、請求項1~6のいずれかに記載のダンパ(5、5’)。
【請求項8】
前記ダンパ(5、5’)と前記振動板(3、3’)が一体構成品である請求項1~7のいずれかに記載のダンパ(5、5’)。
【請求項9】
前記一体構成品は、射出成型品である、請求項8に記載のダンパ(5、5’)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の少なくとも一つのダンパ(5、5’)と、
フレーム(2)と、
少なくとも一つのダンパ(5、5’)に関連付けられた少なくとも一つの振動板(3、3’)と、
前記少なくとも一つの振動板(3、3’)を駆動するための少なくとも1つの磁気ドライバ(10、10’)を有する少なくとも一つのスピーカドライバと、
を備えるスピーカ装置(1)。
【請求項11】
更に、複数のスピーカドライバの内の一つと関連付けられた複数のダンパ(5、5’)を備える、請求項10に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項12】
更に、2つの振動板(3、3’)を備え、前記振動板(3、3’)は、相対向する方向に偏位し、2つの逆向きの振動板(3、3’)が、前記少なくとも1つの磁気ドライバ(10、10’)の動作偏位距離の2倍に等しい静止中の相互距離にある、請求項10又は11に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項13】
前記スピーカダンパ(5、5’)が、前記2つの逆向きの振動板(3、3’)の各々の2つの対向する側に存在する、請求項12に記載のスピーカ装置(1)。
【請求項14】
複数の前記ダンパ(5、5’)が、前記振動板(3、3’)に設けられた、請求項10に記載のスピーカ装置(1)。
【外国語明細書】