(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065421
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】結晶塑性の構成式による応力-ひずみ曲線プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 3/00 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
G01N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023018011
(22)【出願日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】720006559
【氏名又は名称】濱田 和明
(72)【発明者】
【氏名】濱田 和明
(57)【要約】 (修正有)
【課題】結晶塑性の構成式を用い、結晶すべりを考慮して、引張圧縮試験におけるバウシンガー効果も考慮した構成式の材料定数を決めることに役立つ方法。
【解決手段】
構成式のすべり系のせん断ひずみ速度増分(式4)を用いて、仮想仕事の原理から、
節点力の境界条件を設けて、引張圧縮シミュレーションをとり、変位uを出す。これにより、背応力材料パラメータCまたは、Cとaを実際の引張圧縮応力ひずみ曲線と合わせて決める。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成式(式1)と(式4)と(式6)を用いたコンピュータプログラミングでの背応力材料定数Cを決めること。
また、背応力増分
の背応力材料定数Cとaを背応力の増分として用いてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属結晶のすべり系上の臨海せん断応力以上にすべり系せん断応力が働くと、塑性変形(すべり変形)が起きることに着目した応力とひずみの関係式(以下 構成式という)。に、背応力(結晶粒界状で、すべり変形に逆のせん断応力がかかること)を考慮する材料定数を決定する。また、塑性変形での加工硬化について、どのように進展するかを考慮した構成式の応力―ひずみ曲線プログラムを提案する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘塑性構成式にて、マクロ的な挙動で、応力―ひずみの構成式を決めて、引張圧縮試験を行っていた。ここで、結晶塑性の構成式を用い、結晶すべりを考慮して、引張圧縮試験におけるバウシンガー効果も考慮した構成式の材料定数を決めることに役立つ方法をプログラムで決めることにした。先行文献では、非特許文献 中国四国支部総会・講演会 講演論文集結晶塑性による繰り返し塑性解析では、構成式と加工硬化則が記されているが、あまり、詳細は記されていない。ここで、結晶塑性構成式を一つの結晶ごとに立てることにした。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】中国四国支部総会・講演会 講演論文集結晶塑性による繰り返し塑性解析
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単純な引張圧縮試験の構成式で、多結晶体を考慮した数値シミュレーションを作る。ここで、応力ひずみ曲線を描けることにより、バウシンガー効果(引張降伏力より、圧縮降伏力が小さく出る)という引張圧縮試験の結果があり、数値シミュレーションで、応力ひずみ曲線の背応力の材料パラメータCを決めることができる方法を挙げる。こうすることにより、バウシンガー効果を数値シミュレーションと引張圧縮試験の結果で合わすことができる。つまり、有限要素法にこの材料定数Cまたは材料定数Cかつaを入れて、プレス加工シミュレーションを行うことができる。この数値シミュレーションは、スプリングバックの数値シミュレーションも解析できる。つまり、結晶ごとの結晶方位で異方性、単結晶の引張試験で、加工硬化則を導き出して、複雑なプレス加工数値シミュレーション(スプリングバックがある)を行い、加工条件を決めることができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
結晶塑性の構成式(式1)
において、テイラー展開をして、
(式2)をさらに、詳細にすると(式3)を得る。
ここで、線形補間すると
θ:線形補間定数、Δt:時間増分
ここで、
または、
の材料定数Cとaを使用した背応力増分を用いてもいい。材料定数Cと材料定数aを有限要素法に入れてもいい。
ここで、ジャニュマン応力を確認する。
は応力増分とする。
(式6)
Bマトリックスは、形状関数を局所座標変数で微分したものである。形状関数と内挿関数は同じものを使うアイソメトリックス要素を使う。(式6)が、結晶塑性有限要素法での要素一つの剛性マトリックスでの増分である。これを全体結晶塑性マトリックスに直して、修正コレスキーなどで、境界条件に節点力を与えて、変位増分uを求めることができる。
ここで、
こうすることで、実際の圧縮引張試験からの応力ひずみ曲線と数値シミュレーションの応力ひずみ曲線を合わせて、背応力の材料定数Cを決める。そして、引張圧縮状態の複雑なプレス加工でのスプリングバック予測を行える。
【発明の効果】
【0006】
背応力材料定数Cを有限要素法の結晶塑性構成式を用いたスプリングバック予想を行う数値シミュレーションで、プレス加工の条件を決めて、実際のスプリングバックに対処したプレス加工を行うことができる。
背応力材料定数Cまたはaでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0007】
構成式(式1)と(式4)と(式6)を用いたコンピュータ言語でプログラムをした数値シミュレーション。背応力については、
のどちらかを用いる。
【産業上の利用可能性】
【0008】
プレス加工金型ができていない設計開発段階で、数値シミュレーションを行い、設計開発の金型機構を決めるうえで、ノウハウが集約できる。スプリングバックに対しても応用できる。