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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006550
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20230111BHJP
【FI】
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109207
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄平
(72)【発明者】
【氏名】服部 隆志
【テーマコード(参考)】
5H611
【Fターム(参考)】
5H611BB01
5H611BB06
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータ部の軸方向一側に制御部を一体化したモータユニットにおいて、端子同士の接続方法の自由度を高めるモータユニットを提供する。
【解決手段】モータユニットは、モータ部と、モータ部を収容するハウジング11と、軸方向の一方側に位置する制御部と、を備える。制御部は、モータ端子に対して基板端子51を介して接続される基板66を備える。ハウジング周壁部は、周壁本体部と、周壁本体部から径方向外側に突出するとともに基板収容空間の外周側に位置する突出部57と、を備える。突出部は、周壁本体部よりも径方向外側に突出空間K1を設ける。基板端子およびモータ端子53は、基板収容空間から突出空間内に延び、突出空間内で互いに接続される。突出部は、突出空間を軸方向他方側に開口する他方側開口58を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、モータ端子を含むステータと、を有するモータ部と、
前記モータ部を収容するハウジングと、
前記モータ部の回転軸に沿う軸方向の一方側に位置する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記モータ端子に対して基板端子を介して接続される基板を備え、
前記基板は、前記ハウジングの軸方向一方側に設けられる基板収容空間に収容され、
前記ハウジングは、前記モータ部および前記制御部の外周側を囲う周壁部を備え、
前記周壁部は、周壁本体部と、前記周壁本体部から径方向外側に突出するとともに前記基板収容空間の外周側に位置する突出部と、を備え、
前記突出部は、前記周壁本体部よりも径方向外側に突出空間を設け、
前記基板端子および前記モータ端子は、前記基板収容空間から前記突出空間内に延び、前記突出空間内で互いに接続され、
前記突出部は、前記突出空間を軸方向他方側に開口する他方側開口を備える、
モータユニット。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記モータ部に対して軸方向一方側に、前記基板の熱を吸熱するヒートシンクを備え、
前記ヒートシンクは、前記基板収容空間の外周側を囲うとともに、前記突出部が設けられる、
請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記基板端子は、前記基板側から軸方向一方側に延びる第一軸方向直線部と、前記第一軸方向直線部の軸方向一方側の端部から径方向外側に屈曲して延びて前記突出空間に至る第一径方向直線部と、を有し、
前記モータ端子は、前記ステータ側から軸方向一方側に延びて前記基板収容空間に至る第二軸方向直線部と、前記第二軸方向直線部の軸方向一方側の端部から径方向外側に屈曲して延びて前記突出空間に至る第二径方向直線部と、を有し、
前記第一径方向直線部および前記第二径方向直線部は、互いに重なった状態で前記突出空間内に配置される、
請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記軸方向から見て、前記突出部には、複数の前記基板端子および前記モータ端子が、前記回転軸中心の周方向に並んで配置される、
請求項1~3の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記軸方向から見て、前記突出部は、前記回転軸中心の周方向に沿って円弧状に延びる、
請求項4に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記突出部には、前記他方側開口を塞ぐキャップが配置される、
請求項1~5の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記制御部は、前記ハウジングとともに前記基板収容空間を囲むカバーを備え、
前記カバーは、前記基板収容空間および前記突出空間の軸方向一方側を覆う平板部を備え、
前記平板部は、前記基板収容空間の軸方向一方側を覆う平板本体部と、前記平板本体部よりも径方向外側に突出して前記突出空間の軸方向一方側を覆うカバー突出部と、を備え、
前記カバー突出部は、前記平板本体部よりも軸方向他方側に位置する、
請求項1~6の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記突出部は、前記突出空間を軸方向一方側に開口する一方側開口を備え、
前記基板端子および前記モータ端子の接続部は、軸方向両側から加圧を受けた加圧結合部とされる、
請求項1~7の何れか一項に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、組み立て工程を簡素化するなどの目的で、モータ本体(モータ部)の軸方向一側に制御部を一体化したモータユニットの採用が進んでいる。この場合、モータ本体のステータと制御部の基板とを接続する必要がある。
特許文献1では、モータハウジングの軸方向一側に有するヒートシンクの側面に穴を設ける。この穴の内部に、モータ本体から延びるモータ端子と制御基板から延びる基板端子とを配置し、こられの端子同士を溶接して接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5063722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、モータ端子と基板端子とを接続する方法は種々考えられるが、追加部品の発生を抑えて簡単な接続方法を採用可能な構成が望まれる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、モータ部の軸方向一側に制御部を一体化したモータユニットにおいて、端子同士の接続方法の自由度を高めることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータユニットの一つの態様は、ロータと、モータ端子を含むステータと、を有するモータ部と、前記モータ部を収容するハウジングと、前記モータ部の回転軸に沿う軸方向の一方側に位置する制御部と、を備える。前記制御部は、前記モータ端子に対して基板端子を介して接続される基板を備える。前記基板は、前記ハウジングの軸方向一方側に設けられる基板収容空間に収容される。前記ハウジングは、前記モータ部および前記制御部の外周側を囲う周壁部を備える。前記周壁部は、周壁本体部と、前記周壁本体部から径方向外側に突出するとともに前記基板収容空間の外周側に位置する突出部と、を備える。前記突出部は、前記周壁本体部よりも径方向外側に突出空間を設ける。前記基板端子および前記モータ端子は、前記基板収容空間から前記突出空間内に延び、前記突出空間内で互いに接続される。前記突出部は、前記突出空間を軸方向他方側に開口する他方側開口を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、モータ部の軸方向一側に制御部を一体化したモータユニットにおいて、端子同士の接続方法の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のモータユニットの軸方向に沿う断面図である。
図2図2は、図1の要部拡大図である。
図3図3は、ヒートシンクを軸方向から見た平面図である。
図4図4は、本実施形態の第一の変形例を示す図3同様の平面図である。
図5図5は、本実施形態の第二の変形例を示す図2同様の断面図である。
図6図6は、本実施形態のモータユニットの斜視図である。
図7図7は、ヒートシンクの斜視図である。
図8図8は、本実施形態のモータユニットを搭載する電動パワーステアリング装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸(回転軸)Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側,一方側)を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側,他方側)を「下側」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、「平面視」とは、軸方向から見た状態を意味する。
【0012】
図1は、本実施形態のモータユニット1の軸方向に沿う断面図である。図2は、図1の要部拡大図である。図3は、後述するヒートシンク40を軸方向から見た平面図である。図4は、本実施形態の第一の変形例を示す図3同様の平面図である。図5は、本実施形態の第二の変形例を示す図2同様の断面図である。図6は、本実施形態のモータユニット1の斜視図である。図7は、ヒートシンク40の斜視図である。図8は、本実施形態のモータユニット1を搭載する電動パワーステアリング装置101の模式図である。
【0013】
<モータユニット>
図1図6に示すように、モータユニット1は、モータ部(モータ本体)3と、制御部5と、カバー70と、を備える。
モータ部3は、上下方向に延びる中心軸Jを中心として回転するロータ20を有する。制御部5は、モータ部3の上側に位置する。制御部5は、ロータ20の回転を制御する。カバー70は、制御部5を径方向外側および上側から囲む。
【0014】
<モータ部>
モータ部3は、モータハウジング11と、ロータ20と、ステータ30と、上側ベアリング24と、下側ベアリング25と、を備える。
【0015】
<モータハウジング>
モータハウジング11は、上側(+Z側)に開口する筒状である。モータハウジング11は、モータ部3の各部材を収納する。本実施形態のモータハウジング11は、ハウジング本体11aと、ベアリングホルダ(ヒートシンク)40と、を備える。
【0016】
<ハウジング本体>
ハウジング本体11aは、筒状部14と、底部13と、下側ベアリング保持部18と、を有する。ハウジング本体11aは、例えばアルミニウム合金製である。ハウジング本体11aは、例えば単一の部材である。
筒状部14は、ステータ30の径方向外側を囲む筒状である。本実施形態において筒状部14は、例えば、円筒状である。筒状部14は、上端部14aにおいてベアリングホルダ40の周壁部43の下端部に連結される。筒状部14の内側面には、ステータ30が固定される。
【0017】
底部13は、筒状部14の下側(-Z側)の端部に設けられる。底部13には、底部13を軸方向(Z軸方向)に貫通する軸貫通孔13aが設けられる。下側ベアリング保持部18は、底部13の上側(+Z側)の面に設けられる。下側ベアリング保持部18は、下側ベアリング25を保持する。上側ベアリング24を保持する上側ベアリング保持部47は、ベアリングホルダ40に設けられる。
【0018】
<ロータ>
ロータ20は、シャフト21と、ロータコア22と、ロータマグネット23と、を有する。
シャフト21は、上下方向(Z軸方向)に延びる中心軸Jを軸心とする。シャフト21は、下側ベアリング25と上側ベアリング24とによって、中心軸Jの軸周りに回転可能に支持される。シャフト21の下側(-Z側)の端部は、軸貫通孔13aを介してモータハウジング11の外部(下方)に突出する。シャフト21の下側の端部には、例えば、出力対象に接続するためのカプラー(図示略)が圧入される。
【0019】
シャフト21の上端には、取付部材62を介してセンサマグネット63が取り付けられている。例えば、センサマグネット63は、接着剤などによりシャフト21の先端に直接取り付けられてもよい。
【0020】
ロータコア22は、シャフト21に固定される。ロータコア22は、シャフト21を周方向に囲む。ロータマグネット23は、ロータコア22に固定される。より詳細には、ロータマグネット23は、ロータコア22の周方向に沿った外側面に固定される。ロータコア22およびロータマグネット23は、シャフト21とともに回転する。
【0021】
<ステータ>
ステータ30は、ロータ20の径方向外側を囲む。ステータ30は、ステータコア31と、ボビン32と、コイル(巻線)33と、を有する。
ボビン32は、絶縁性を有する材料から構成される。ボビン32は、ステータコア31の少なくとも一部を覆う。モータユニット1の駆動時において、コイル33は、ステータコア31を励磁する。コイル33は、コイル線33aが巻き回されて構成される。コイル線33aは、ボビン32を介して巻き回される。コイル線33aの端部は、上側に引き出される。引き出されたコイル線33aは、後述するモータ端子53に接続される。モータ端子53は、基板66から延びる基板端子51に接続される。ステータ30のコイル33は、基端端子51およびモータ端子53を介して基板66に接続される。
【0022】
<上側ベアリングおよび下側ベアリング>
上側ベアリング24は、シャフト21の上端部を回転可能に支持する。上側ベアリング24は、ステータ30の上側(+Z側)に位置する。上側ベアリング24は、ベアリングホルダ40の上側ベアリング保持部47に保持される。
下側ベアリング25は、シャフト21の下端部を回転可能に支持する。下側ベアリング25は、ステータ30の下側(-Z側)に位置する。下側ベアリング25は、モータハウジング11の下側ベアリング保持部18に保持される。
【0023】
本実施形態において、上側ベアリング24および下側ベアリング25は、ボールベアリングである。しかしながら、上側ベアリング24および下側ベアリング25の種類は、特に限定されず、他の種類のベアリングであってもよい。
【0024】
<ベアリングホルダ(ヒートシンク)>
ベアリングホルダ40は、ステータ30の上側(+Z側)に位置する。ベアリングホルダ40は、上側ベアリング24を保持する。ベアリングホルダ40の平面視の形状は、例えば、中心軸Jと同心の円形状である。ベアリングホルダ40は、例えばハウジング本体11aと同様のアルミニウム合金製である。ベアリングホルダ40は、例えば単一の部材である。ベアリングホルダ40は、ハウジング本体11aとカバー70との間に挟み込まれる。ベアリングホルダ40は、モータ部3と制御部5との間に配置される。
【0025】
ベアリングホルダ40は、上壁部41と、カラー部42と、周壁部43と、を有する。
上壁部41は、軸方向と直交する平板状である。上壁部41は、平面視円形状である。上壁部41は、ハウジング本体11aの筒状部14の上端部14aに配置される。上壁部41には、軸方向(Z軸方向)に貫通する上方貫通孔45が設けられる。上方貫通孔45は、平面視においてベアリングホルダ40の略中央に位置する。
【0026】
図7を参照し、ベアリングホルダ40の上壁部41は、外周部における周方向の一部が、後述する下方側開口58によって切り欠かれる。この切り欠き部は、下方側開口58の径方向内側の領域58aである。下方側開口58の径方向内側の領域58aを通じて、モータ内部が基板収容空間K2側に開放し、モータ内部と基板収容空間K2とが互いに連通する。下方側開口58の径方向内側の領域58aは、ステータ30から延びるモータ端子53を軸方向に沿って通過させる。
【0027】
図1を参照し、カラー部42は、上壁部41の下面側(-Z側)に設けられる。カラー部42は、上壁部41における上方貫通孔45の周縁部から下方に突出する。カラー部42は、上方貫通孔45と同軸の円筒状である。
【0028】
カラー部42の上部には、上方貫通孔45と同径の上部内周面42aが設けられる。カラー部42の下部には、上部内周面42aよりも径を広げた下部内周面42bが設けられる。上部内周面42aと下部内周面42bとの間には、段差面42cが設けられる。段差面42cは、軸方向と直交する平面である。
【0029】
カラー部42の下部は、上側ベアリング24を保持する上側ベアリング保持部47を構成する。上側ベアリング保持部47は、下部内周面42bの内周側かつ段差面42cの下方に上側ベアリング24を保持する。上部内周面42aの内周側で上側ベアリング24よりも上方の空間には、センサマグネット63が配置される。センサマグネット63の上方には、基板66の下面66aが配置される。基板66の下面66aにおけるセンサマグネット63に対向する部位には、回転センサ61が実装される。
【0030】
周壁部43は、上壁部41の外周縁部から上方に突出する。周壁部43は、基板66の径方向外側を囲む。
図2図7を参照し、本実施形態において周壁部43は、例えば、ハウジング本体11aの筒状部14の上方に連なる円筒状の周壁本体部44と、周壁本体部44に対して径方向外側に突出する突出部57と、を備える。周壁部43は、上端部においてカバー周壁部71の下端部に連結される。周壁部43は、軸方向から見て、周壁本体部44および突出部57を含んで無端状に連続している。
【0031】
周壁本体部44の下方には、軸方向に沿って下方に突出する挿入壁43aが設けられる。挿入壁43aは、軸方向から見て、周壁本体部44の下端に沿う円弧状に設けられる。挿入壁43aは、周壁本体部44の下端の内周側に偏って設けられる。挿入壁43aは、ハウジング本体11aの筒状部14の上端部14aの内周側に嵌り込み、外周面を上端部14aの内周面に接触させる。
【0032】
周壁部43の下端で挿入壁43aよりも外周側には、段差面43bが設けられる。段差面43bは、軸方向と直交する平面である。段差面43bは、筒状部14の上端部14aの上面14bに接触する。
挿入壁43aの外周面と筒状部14の内周面、および段差面43bと上面14bは、それぞれ接着剤によって互いに接着される。これにより、ベアリングホルダ40とハウジング本体11aとが互いに結合される。
【0033】
図1を参照し、ベアリングホルダ40の上壁部41の上面40aと基板66の下面66aとの間には、放熱グリス等の放熱材(図示略)が設けられる。放熱材は、基板66および基板66に実装された実装部品において生じた熱を、ベアリングホルダ40に伝える。ベアリングホルダ40は、放熱材を介して伝わる熱を外部に放熱する。すなわち、本実施形態のベアリングホルダ40は、基板66ひいては制御部5のヒートシンクとして機能する。以下、ベアリングホルダ40をヒートシンク40ということがある。
【0034】
基板66は、ヒートシンク40に面接触する構成に限らず、ヒートシンク40に対してスペーサを介して浮かせてもよい。基板66は、上面66bに電子部品67を実装する構成に限らず、下面66aに電子部品67を実装してもよい。
また、上方貫通孔45は、蓋体で閉塞してもよい。蓋体は、ヒートシンク40の上壁部41とともに平坦な上面40aを構成するとよい。蓋体は、放熱材を介して基板66の下面66aを接触させるとよい。
さらに、ヒートシンク40が設けられない構成でもよい。すなわち、基板66がヒートシンク40やハウジング本体11aとは別の部材(樹脂製等)に配置される構成でもよい。
【0035】
<突出部>
図3図4を参照し、ベアリングホルダ40の突出部57は、周壁本体部44よりも径方向外側に突出する。
図3の突出部57は、軸方向から見て、周方向に沿って延びる円弧状をなしている。図3の突出部57は、周方向に沿って延びる円弧状の突出外側部57aと、突出外側部57aの周方向の両端からそれぞれ周壁本体部44側(径方向内側)に延びる一対の突出段差壁57bと、を有する。各突出段差壁57bは、径方向に沿って直線状に延びる。各突出段差壁57bの径方向内側の末端は、周壁本体部44に接続される。
【0036】
各突出段差壁57bは、図中二点鎖線で示すように、突出外周壁の二等分線と平行に延びてもよい。周壁本体部44は、突出部57を設ける範囲において切り欠かれる。周壁本体部44の切り欠き部を周壁切り欠き部43cという。
【0037】
図4の突出部57’は、軸方向から見て矩形状をなしている。図4の突出部57’は、接線方向に延びる直線状の突出外側壁と、突出外側壁の長さ方向の両端から周壁本体部44側に延びる一対の突出段差壁57bと、を有する。接線方向は、軸方向から見て、上壁部41の外周縁に連なる仮想外周縁41aの接線に沿う方向である。各突出段差壁57bは、突出外側壁と直交する方向に沿って直線状に延びる。各突出段差壁57bの径方向内側の末端は、周壁本体部44に接続される。図4の突出部57’は、図6図7にも反映される。
【0038】
突出部57,57’は、軸方向から見て、円形の基板収容空間K2よりも外周側(径方向外側)に、突出空間K1を設ける。突出空間K1は、突出部57,57’の内側に設けられる空間であり、突出外側部57aおよび一対の突出段差壁57bに三方を囲まれる。突出空間K1は、周壁切り欠き部43cを介して基板収容空間K2と連通する。突出部57,57’は、モータユニット1におけるパワーライン接続用の部位である。
【0039】
突出部57,57’は、突出空間K1の全体を軸方向他方側(下方側)に開口する下方側開口58を備える。下方側開口58は、ヒートシンク40を軸方向で貫通する孔である。下方側開口58は、軸方向から見て、突出部57,57’内の突出空間K1の外形状と実質的に同一形状である。すなわち、図3に示す円弧状の突出部57および突出空間K1の場合、下方側開口58も円弧状となる。図4に示す矩形状の突出部57’および突出空間K1の場合、下方側開口58も矩形状となる。以下、突出部57,57’を含んで単に突出部57という。
【0040】
下方側開口58は、突出空間K1よりも径方向内側まで広がる。下方側開口58は、上壁部41の外周縁に連なる仮想外周縁41aよりも径方向内側まで広がる。下方側開口58は、軸方向から見て、基板66の一側縁と重なる位置まで広がる。基板66の一側縁には、基板端子51の基端51aが配置される。下方側開口58は、例えば仮想外周縁41aを境に径方向内側の領域58aと径方向外側の領域58bとに区画される。下方側開口58の径方向内側の領域58aには、モータ部3側から基板収容空間K2側に向けてモータ端子53が通される。
【0041】
<制御部>
図1に示すように、制御部5は、基板66を有する。基板66は、例えば平面視矩形状である(図3図4参照)。基板66は、基板本体に実装される複数の電子部品67を有する。電子部品67は、回転センサ61、電解コンデンサ、チョークコイル等である。モータユニット1において用いられる基板66の枚数は、1枚に限らず複数枚であってもよい。
【0042】
基板66は、モータユニット1を制御する。基板66には、基板端子51の基端51aが接続される。基端51aは、基板66に形成されたスルーホールに挿入され、はんだ等によって基板と接合されている。なお、基端51aと接合される端子が上面66bに表面実装され、この端子と基端51aとがはんだ等によって接合されていてもよい。基板端子51には、モータ端子53が接続される。
モータ端子53は、基端53a(下端)から径方向内側(中心軸J側)に延びる基端延長部が、ステータ30のコイル33に接続される。モータ端子53は、基端53aから上方へ軸方向に沿って延びる。モータ端子53は、基端53aから上方へ直線状に延びる。モータ端子53は、下方側開口58の径方向内側の領域58aを通過して基板収容空間K2に進入する。
【0043】
基板端子51およびモータ端子53は、基板収容空間K2内で径方向外側に屈曲し、突出空間K1内へ延びる。基板端子51およびモータ端子53は、突出空間K1内で互いに接続される。基板66は、モータ部3に対して、基板端子51およびモータ端子53を介して接続される。
【0044】
電子部品67のうち発熱素子は、ベアリングホルダ40に接した基板66に実装することが好ましい。これにより、発熱素子から生じた熱が、ベアリングホルダ40を介して効率的に放熱される。本明細書において発熱素子は、基板66に実装される電子部品67のうち、熱を発して高温となる素子を意味する。発熱素子としては、電界効果トランジスタ、コンデンサ、電界効果トランジスタ駆動用ドライバ集積回路、電源用集積回路、スイッチング素子、半導体スイッチ素子などが例示される。発熱素子は、高温となる素子であればその種類は限定されない。
【0045】
基板66は、ベアリングホルダ40の上側(+Z側)に配置される。基板66の板面方向(上下面66a,66bに沿う方向)は、軸方向に対して垂直である。すなわち、基板66は、中心軸Jに直交する方向に沿って配置される。基板66の厚さ方向は、軸方向に対して平行である。
基板66の下面66aとベアリングホルダ40の上面40aとは、互いに接触する。すなわち、基板66は、モータ部3の上面40aに接触する。基板66の下面66aとベアリングホルダ40の上面40aとの間には、放熱グリス等が充填される。
【0046】
なお、本明細書において、2つの部材が「接触する」とは、2つの部材同士の位置が、接触する方向において一意的に決まるものであれば、別途用意した他の部材を「介して接触する」場合も含む概念である。したがって、基板66は、モータ部3の上面40aに接触する。「他の部材」は、放熱グリス等の流動性のあるものを含む。
【0047】
基板66の下面66aには、回転センサ61が実装される。回転センサ61は、軸方向から見て、上方貫通孔45と重なる。回転センサ61は、軸方向から見て、センサマグネット63と重なる。回転センサ61は、センサマグネット63の回転を検出する。本実施形態において回転センサ61は、磁気抵抗素子である。回転センサ61は、例えば、ホール素子であってもよい。
【0048】
<カバー>
図1図2図6に示すように、カバー70は、モータ部3の上側(+Z側)に位置する。カバー70は、下側(-Z側)に開口する有底筒状である。カバー70は、モータ部3の上端部に配置された制御部5を覆う。カバー70は、モータ部3の上端部に基板収容空間K2を設ける。
【0049】
カバー70は、カバー周壁部71と、平板部72と、を有する。
カバー周壁部71は、制御部5の径方向外側を囲む。本実施形態においてカバー周壁部71は、例えば、ベアリングホルダ40の周壁部43の周壁本体部44の上方に連なる円筒状の周壁本体部71cと、周壁本体部71cに対して径方向外側に突出するカバー突出部73と、を備える。カバー周壁部71は、下端部において周壁部43の上端部に連結される。
カバー突出部73とベアリングホルダ40の突出部57とは、軸方向から見て互いに重なる。カバー突出部73とベアリングホルダ40の突出部57とは、軸方向から見て互いに同一の外形状を有する。
【0050】
カバー突出部73は、突出部57の突出外側部57aおよび一対の突出段差壁57bに囲まれる領域を上方から覆い、突出部57の上端を閉塞する。カバー突出部73は、突出部57の上方側を覆う突出上壁部を構成する。カバー突出部73は、平板部72よりも軸方向他方側(下側)に配置される。図2図6のカバー突出部73は、例えば軸方向と直交する平板状であるが、これに限らない。カバー突出部73は、突出部57の突出外側壁および一対の突出段差壁57bの上方に連なる壁部を有してもよい。
【0051】
図2を参照し、カバー周壁部71の下方には、軸方向に沿って下方に突出する挿入壁71aが設けられる。挿入壁71aは、軸方向から見て、周壁本体部71cの下端とカバー突出部73の下端とに渡って無端状に連続する。挿入壁71aは、周壁本体部71cおよびカバー突出部73の各下端の内周側に偏って設けられる。挿入壁71aは、ベアリングホルダ40の周壁部43の内周側に嵌り込み、外周面を周壁部43の内周面に接触させる。
【0052】
カバー周壁部71の下端で挿入壁71aよりも外周側には、段差面71bが設けられる。段差面71bは、軸方向と直交する平面である。段差面71bは、ベアリングホルダ40の周壁部43の上面14bに接触する。
挿入壁71aの外周面と周壁部43の内周面、および段差面71bと上面14bは、それぞれ接着剤によって互いに接着される。これにより、カバー70とベアリングホルダ40とが互いに結合される。つまり、カバー70とモータハウジング11の上部とが互いに結合され、カバー70がモータ部3に固定される。本実施形態のカバー70は、ヒートシンク40に対して軸方向に沿って組み付けられる。
【0053】
カバー70およびベアリングホルダ40に囲まれる内部空間は、基板収容空間K2および突出空間K1とされる。基板収容空間K2には、基板66が収容される。突出空間K1には、端子51,53同士の接続部55が配置される。突出空間K1は、カバー突出部73とベアリングホルダ40の突出部57とに囲まれる空間である。基板収容空間K2と突出空間K1とは、ベアリングホルダ40の周壁切り欠き部43cを介して互いに連通する。なお、カバー70は、制御部5の構成として捉えてもよい。
【0054】
基板端子51とモータ端子53とは、基板収容空間K2から突出空間K1内に進入する。基板端子51およびモータ端子53は、突出空間K1内で厚さ方向を軸方向に向けて配置される。基板端子51およびモータ端子53は、突出空間K1内で互いに重なった状態で配置される。基板端子51およびモータ端子53は、突出空間K1内で互いに接続される。詳細には、基板端子51およびモータ端子53は、互いに重なった状態で軸方向に挟み込まれ、加圧状態の溶接又は加締めによって結合される。
【0055】
図2を参照し、平板部72は、カバー周壁部71の上側(+Z側)の端部に設けられる。平板部72は、カバー周壁部71の上側の開口を覆う。平板部72は、基板収容空間K2の軸方向一方側(上側)を覆う。平板部72は、基板66と軸方向で対向する。平板部72の軸方向高さは、基板66に実装される電装部品の軸方向高さに応じて決定される。例えば、実施形態の基板66では、平面視の中央近傍に配置された電解コンデンサが最も高さがあり、この電解コンデンサの高さによって平板部72ひいてはカバー70の高さが決定される。
【0056】
平板部72は、カバー突出部73を含む構成としてもよい。すなわち、平板部72は、軸方向から見てモータハウジング11と重なる円形の平板本体部72aと、平板本体部72aよりも軸方向他方側(下側)に位置する平板突出部(実施形態ではカバー突出部73)と、を備える構成でもよい。平板突出部は、平板本体部72aの軸方向一方側(上側)のカバー外面(上面72b)よりも軸方向他方側(下側)に位置する。
【0057】
突出空間K1内には、基端端子51およびモータ端子53が配置される。以下、互いに接続される基端端子51およびモータ端子53の対を「端子対」ということがある。
突出空間K1内には、モータ部3のU相、V相、W相の各々の端子対が配置される。図3の例では、各相の端子対の接続部55は、突出空間K1内で周方向に沿って並んで配置される。突出部57および突出空間K1は、軸方向から見て円弧状に設けられる。突出空間K1内に配置された基端端子51およびモータ端子53は、相毎の端子51,53同士で接続される。
【0058】
図3の例における端子接続作業は、例えばロボットアームに保持したワーク(組立途中のモータユニット1)を周方向に回転させながら順次行うことができる。突出部57および突出空間K1の径方向幅は、端子接続作業を行う溶接ガン等の器具が入る最小限の幅に設定される。軸方向視円弧状の突出部57は、外周側への張り出し量も一定であり、モータユニット1の嵩張りを抑えやすい。
【0059】
図4の例では、各相の端子対の接続部55は、突出空間K1内で基板66の一辺(一側縁)に沿って並んで配置される。突出部57’および突出空間K1は、軸方向から見て矩形状に設けられる。突出空間K1内に配置された基端端子51およびモータ端子53は、相毎の端子51,53同士で接続される。突出部57’は、基板66の一辺に沿って一定幅で延びる。この突出部57’および突出空間K1には、基板66の側縁から立ち上がる複数の基板端子51を配置しやすい。また、複数の基板端子51を共通化しやすい。
【0060】
<基板端子およびモータ端子>
図1に示すように、基板端子51は、基板66に接続される基端51aから先端51bに向けて延びる。基板端子51は、基端51aから上方へ軸方向に沿って延びた後、径方向外側に屈曲して延びる。基板端子51は、基端51aから屈曲部51eまで軸方向に沿って直線状に延びる第一軸方向直線部51cと、屈曲部51eから先端51bまで径方向に沿って直線状に延びる第一径方向直線部51dと、を有する。
【0061】
モータ端子53は、ステータ30に接続される基端53aから先端53bに向けて延びる。モータ端子53は、基端53aから上方へ軸方向に沿って延びた後、径方向外側に屈曲して延びる。モータ端子53は、基端53aから屈曲部53eまで軸方向に沿って直線状に延びる第二軸方向直線部53cと、屈曲部53eから先端53bまで径方向に沿って直線状に延びる第二径方向直線部53dと、を有する。
【0062】
基端端子51およびモータ端子53は、それぞれ一定幅で延びる帯状部材である。基端端子51およびモータ端子53の各幅は、例えば実質的に同一である。基端端子51およびモータ端子53の各々は、例えば銅合金製である。基端端子51およびモータ端子53の各々は、例えば単一の部材である。
【0063】
基板端子51の第一軸方向直線部51cおよびモータ端子53の第二軸方向直線部53cは、例えば厚さ方向を径方向に向けた平板状である。各軸方向直線部51c,53cは、互いに径方向で重なった配置で基板収容空間K2に配置される。
基板端子51の第一径方向直線部51dおよびモータ端子53の第二径方向直線部53dは、例えば厚さ方向を軸方向に向けた平板状である。各径方向直線部51d,53dは、互いに軸方向で重なった配置で基板収容空間K2および突出空間K1に配置される。
【0064】
突出部57の下方側開口58は、突出空間K1よりも径方向内側まで広がる。下方側開口58の径方向内側の領域58aには、モータ端子53の第二軸方向直線部53cが通される。下方側開口58の径方向外側の領域58bは、軸方向から見て、モータ端子53の第二軸方向直線部53cと重なる領域まで広がる。したがって、屈曲したモータ端子53をモータ部3に組み付けた状態でも、モータ端子53全体を下方側開口58に軸方向で通すことが可能である。すなわち、モータ端子53をモータ部3に組み付けた状態でも、ハウジング本体11aにヒートシンク40を組み付けることが可能である。
【0065】
基端端子51およびモータ端子53の各径方向直線部51d,53dは、周壁切り欠き部43cを通って基板収容空間K2から突出空間K1内に進入する。各径方向直線部51d,53dひいては各端子51,53は、突出空間K1内で例えば溶接によって互いに接続される。突出部57の下方側開口58は、ベアリングホルダ40とハウジング本体11aとを互いに結合した状態でも、下方側に向けて開口する。このときの開口の大きさは、溶接ガン等の器具が進入可能な大きさである。したがって、ベアリングホルダ40とハウジング本体11aとを互いに結合した状態でも、下方側開口58から突出空間K1内の端子51,53同士の溶接を行うことが可能である。
【0066】
ベアリングホルダ40の上方側は、カバー70組み付け前であれば、突出部57を含む全体が上方側に開口する。すなわち、突出部57は、突出空間K1の全体を軸方向一方側(上方側)に開口する上方側開口59を備える。したがって、カバー70組み付け前であれば、突出部57の軸方向両側から突出空間K1内に溶接ガン等の器具を進入させることが可能である。したがって、突出空間K1内の端子51,53同士を接続する工法の選択肢が広がる。
【0067】
例えば、端子51,53同士の接続は、スポット溶接によりなされる。各径方向直線部51d,53dは、互いに重なった状態で、重なり方向で器具に挟み込まれる。各径方向直線部51d,53dは、器具に挟み込まれて加圧された状態で、溶接により接続される。端子51,53同士の接続は、スポット溶接以外にもガス溶接やレーザー溶接等によりなされてもよく、あるいは半田付けやTOX(登録商標)加締めによりなされてもよい。
【0068】
TOX加締めはプレス結合(加圧結合)の一例である。TOX加締めでは、互いに重ねた状態の51,53同士を、円柱状の凸部を有する上金型と、凹部が設けられた下金型と、の間に挟み込んでプレス加工を行う。これにより、各端子51,53を塑性変形させて一体に結合する。TOX加締めは加締めの一例であるが、リベットを用いない点で小部品に適用しやすく、かつコストメリットもある。
【0069】
モータ端子53をスルーホールで直接基板66に接続すると、モータ端子53とモータハウジング11との熱膨張係数差により、熱衝撃試験後に半田にクラックが発生するリスクがある。これに対し、各端子51,53の延長部分(各直線部51c,51d,53c,53d)を介して端子51,53同士を接続することで、熱膨張係数差が吸収される。この点では、各端子51,53の延長部分に屈曲部51e,53eがあるとよりよい。
【0070】
実施形態では、モータハウジング11の基板収容空間K2の外周側に突出部57を設け、突出部57の内側(突出空間K1)に基端端子51およびモータ端子53を入り込ませて、各端子51,53を互いに接続する。突出部57は、突出空間K1を軸方向他方側に開放して端子接続作業を可能とする他方側開口を備えている。突出部57を含むヒートシンク40全体の上側は、基板66の着脱を行うために開放している。したがって、前述のように、軸方向両側から溶接ガン等の器具を突出空間K1に進入させて、各端子51,53の接続を行うことができる。
【0071】
<キャップ>
図2に示すように、下方側開口58には、端子51,53同士を接続後、ユニット外側において下方側開口58を塞ぐキャップ82が取り付けられる。キャップ82は、例えばカバー70と同様の樹脂製である。キャップ82は、飛び石等の外乱から端子接続部55を保護するために設けられる。キャップ82は、下方側開口58内に差し込まれる差し込み部82aと、突出部57の下端に突き当たるフランジ部82bと、を有する。
【0072】
図5は、キャップ82の差し込み部82aの外周にOリング83を設けた例を示す。キャップ82にOリングが設けられていることで、凹空間K1および基板収容空間K2へ水や油が入るのを抑制することができる。すなわち、モータユニット1の防水性能および防油性能を確保し易い。また、キャップ82を凹部74に対してレーザー溶着してもよい。これによれば、Oリングを設けることなく、凹部74の防水性能および防油性能を確保し易い。また、突出部57に対してキャップ82をレーザー溶着で固定してもよい。これによれば、Oリングを設けることなく、凹空間K1および基板収容空間K2へ水や油が入るのを抑制することができる。
【0073】
<電動パワーステアリング装置>
次に、本実施形態のモータユニット1を搭載する装置の実施形態について説明する。本実施形態においては、モータユニット1を電動パワーステアリング装置101に搭載した例について説明する。図8は、本実施形態の電動パワーステアリング装置101を示す模式図である。
【0074】
電動パワーステアリング装置101は、自動車の車輪102の操舵機構に搭載される。本実施形態の電動パワーステアリング装置101は、モータユニット1の動力により操舵力を直接的に軽減するラック式のパワーステアリング装置である。電動パワーステアリング装置101は、モータユニット1と、操舵軸104と、車軸(タイロッド)103と、を備える。
【0075】
操舵軸104は、ステアリング105からの入力を、車輪102を有する車軸103に伝える。モータユニット1は、車軸103に取り付けられる。モータユニット1の動力は、図示略のボールねじを介して、車軸103に伝えられる。ラック式のパワーステアリング装置101に採用されるモータユニット1は、車軸103に取り付けられ外部に露出するため、防水構造を必要とする。
【0076】
本実施形態の電動パワーステアリング装置101は、本実施形態のモータユニット1を備える。このため、本実施形態と同様の効果を奏する電動パワーステアリング装置101が得られる。
なお、ここでは、本実施形態のモータユニット1の使用方法の一例としてパワーステアリング装置101を挙げたが、モータユニット1の使用方法は限定されない。
【0077】
本実施形態において、基板端子51およびモータ端子53が突出空間K1内で互いに接続され、突出部57が突出空間K1を軸方向他方側に開口する下方側開口58を備える。
この構成によれば、端子51,53同士の接続方法の自由度を高めることができる。すなわち、モータハウジング11の基板収容空間K2の軸方向一方側(上側)は、基板66の着脱を行うために開放することから、突出空間K1の軸方向一方側(上側)も開放することとなる。したがって、突出部57が下方側開口58を備えると、突出空間K1の軸方向両側が開放することとなる。このため、突出空間K1の軸方向の何れの側からも端子接続作業が可能となり、軸方向両側から各端子51,53を挟み込む接続作業、すなわちスポット溶接や加締めを行うことができる。
【0078】
本実施形態のモータユニット1において、モータハウジング11は、モータ部3に対して軸方向一方側に、基板66の熱を吸熱するヒートシンク40を備える。
ヒートシンク40は、基板収容空間K2の外周側を囲うとともに、突出部57が設けられる。
この構成によれば、端子51,53同士を溶接する場合にも、各端子51,53の接続部55を囲う突出部57が金属製のヒートシンク40に設けられるため、溶接時の火花やスパッタ等による突出部57への影響を抑えることができる。
【0079】
本実施形態のモータユニット1において、第一径方向直線部51dおよび第二径方向直線部53dは、互いに重なった状態で突出空間K1内に配置される。
この構成によれば、基板端子51の第一径方向直線部51dとモータ端子53の第二径方向直線部53dとが、互いに重なった状態で突出空間K1内に入り込むので、突出空間K1内での端子接続作業を容易にすることができる。
基端端子51およびモータ端子53は、それぞれ折り曲げられて径方向外側に延びた後、互いに重なって接続されるので、各端子51,53の屈曲部51e,53eの撓みを利用して各端子51,53の相対的な位置ずれを吸収することができる。そして、各端子51,53と周辺部品との間の上下方向の熱膨張係数差を吸収することができる。
【0080】
本実施形態のモータユニット1において、軸方向から見て、突出部57には、複数の基板端子51およびモータ端子53が、回転軸中心の周方向に並んで配置される。
この構成によれば、モータハウジング11の径方向外側に突出する突出部57において、複数の基端端子51およびモータ端子53が周方向に並んで配置されるので、端子51,53同士の接続を複数行う際、ワークを回転させながら複数の接続作業を順次行うことができ、端子接続工程を簡単にすることができる。例えば三相モータに対応する場合、U,V,Wの各相の端子を周方向に並べて配置し、これらの接続作業を簡単に行うことができる。
【0081】
本実施形態のモータユニット1において、軸方向から見て、突出部57は、回転軸中心の周方向に沿って円弧状に延びる。
この構成によれば、突出部57の径方向外側への突出長さが均等になり、例えば突出部57を長方形状に設ける場合に比べて、突出部57の突出長さを短くし易くなる。これにより、ユニットの大型化を抑制することができる。
【0082】
本実施形態のモータユニット1において、突出部57には、他方側開口を塞ぐキャップ82が配置される。
この構成によれば、突出部57の他方側開口が閉塞されるので、端子51,53同士の接続部55が突出部57内に隠され、端子51,53同士の接続部55が周辺部品や作業者の身体に接触することを抑制するとともに、端子51,53同士の接続部55を保護することができる。
【0083】
本実施形態のモータユニット1において、カバー突出部73は、平板本体部72aよりも軸方向他方側に位置する。
この構成によれば、突出空間K1の軸方向一方側を覆うカバー突出部73が突出部57の一部をなし、このカバー突出部73が平板本体部72aよりも軸方向他方側に位置するので、突出部57の軸方向一方側への高さが抑えられる。このため、突出部57の軸方向高さを、基端端子51およびモータ端子53を配置可能な程度に抑えることができる。したがって、突出部57の軸方向一方側にデッドスペースが生じることを無くし、ユニットの大型化を抑制することができる。
【0084】
本実施形態のモータユニット1において、基板端子51およびモータ端子53の接続部55は、軸方向両側から加圧を受けた加圧結合部とされる。
この構成によれば、突出空間K1の軸方向両側から各端子51,53を加圧してこれらを接続するので、各端子51,53をより強固に接続することができる。
【0085】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0086】
1…モータユニット、3…モータ部、5…制御部、11…モータハウジング(ハウジング)、20…ロータ、30…ステータ、33…コイル(巻線)、40…ヒートシンク、43…周壁部、44…周壁本体部、51…基板端子、51c…第一軸方向直線部、51d…第一径方向直線部、51e…屈曲部、53…モータ端子、53c…第二軸方向直線部、53d…第二径方向直線部、53e…屈曲部、55…接続部、57,57’…突出部、58…下方側開口(他方側開口)、59…上方側開口(一方側開口)、66…基板、70…カバー、71c…周壁本体部、72…平板部、72a…平板本体部、73…カバー突出部、82…キャップ、K1…突出空間、K2…基板収容空間、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8