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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065571
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】洗浄および汚染除去用組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/44 20060101AFI20230502BHJP
   C11D 3/382 20060101ALI20230502BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230502BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20230502BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20230502BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230502BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20230502BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20230502BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
C11D7/44
C11D3/382
C11D3/37
C11D7/22
C11D7/26
C11D3/20
C11D3/48
C11D17/04
C11D17/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023030974
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2019538561の分割
【原出願日】2017-09-28
(31)【優先権主張番号】62/402,394
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/563,975
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】519114867
【氏名又は名称】ノヴァフラックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・エマム・ラビブ
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラフ・エス・ダクヒン
(72)【発明者】
【氏名】ヤコーブ・タバニ
(72)【発明者】
【氏名】チン-ユー・ライ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エル・マンガナロ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・マテルナ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・シー・ロバートソン
(57)【要約】
【課題】タンパク質洗浄に有効である、洗浄組成物を提供すること。
【解決手段】洗浄組成物であって、キャリア流体と、キャリア流体中に懸濁された微小フィブリルと、を含み、前記組成物がタンパク質洗浄に有効である、洗浄組成物。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄組成物であって、
キャリア流体と、
前記キャリア流体中に懸濁された微小フィブリルと、を含み、前記組成物がタンパク質洗浄に有効である、洗浄組成物。
【請求項2】
前記微小フィブリルがタンパク質洗浄有効量であるか、もしくはBBF洗浄有効量であるか、または前記組成物がBBF洗浄に有効である、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
前記組成物が、以下の特徴:(1)前記微小フィブリルが、第1の平均流体力学的サイズを有する微小フィブリルの組成物の主要な部分(乾燥重量で50%以上)、および前記第1の平均流体力学的サイズの50%以下の平均流体力学的サイズを有する微小フィブリルの組成物の別の部分から構成されること、(2)前記組成物の貯蔵弾性率もしくは降伏剪断応力を増大させるのに有効な固体粒子もしくは補剛ポリマー、または(3)前記キャリア流体が、タンパク質、炭水化物、脂肪、もしくはバイオフィルムの洗浄を高めるのに有効な量のプロピレングリコールもしくはグリコールエーテルを含むこと、あるいは(4)前記組成物の前記降伏剪断応力を増大させるのに有効な量で、ゲル形成ポリマーが添加されること、あるいは(5)前記組成物の前記貯蔵弾性率もしくは前記降伏剪断応力を増大させるために混合されたイオン性ポリマー、のうちの1つ以上を有する、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
前記キャリア流体が、界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項5】
界面活性剤(複数可)の重量パーセント(%(w/w))が、微小フィブリルの重量パーセント(%(w/w))よりも少ない、請求項4に記載の洗浄組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約5Pa~約100Paの降伏剪断応力を有するか、または前記組成物が、約2倍以上の粘度低下によって3.33/秒および20/秒の剪断速度で測定されたときに剪断減粘を示す、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項7】
1つが、約1~約2mmの内径を有するチャネル内で使用するように構成され、もう1つが、2mm超~約4mmの内径を有するチャネル内で使用するように構成された、請求項1に記載の洗浄組成物を2つ以上含む、キット。
【請求項8】
ボディウォッシュを定義する請求項1に記載の洗浄組成物であって、前記ボディウォッシュが、1つ以上の精油から本質的になる抗微生物剤を含む、洗浄組成物。
【請求項9】
表面から汚染物質を除去する方法であって、
キャリア流体であって、前記キャリア流体中に懸濁された、微小フィブリル、もしくはゲル形成ポリマー、またはそれらの混合物を含む、キャリア流体を含む洗浄組成物を提供することと、
前記洗浄組成物を約1Pa~約100Paのバルク剪断応力で表面上を通過させることと、を含み、
前記組成物がタンパク質洗浄に有効である、方法。
【請求項10】
前記キャリア流体が、界面活性剤をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、バイオフィルムを除去する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記微小フィブリルがタンパク質洗浄有効量であるか、もしくはBBF洗浄有効量であるか、または前記組成物がBBF洗浄に有効である、請求項9に記載の洗浄方法。
【請求項13】
洗浄される前記表面が、医療デバイス内の狭いチャネル、医療デバイスの表面、歯、精密シリンダの表面、ピストンのシリンダ係合表面、食品調理表面、皮膚、宝石の表面、ガラス表面、切断ブレード表面、プロテーゼ、創傷、濾過膜、半導体材料、熱交換器チューブ、パイプ、切削工具、または建物のカビ部分である、請求項9に記載の洗浄方法。
【請求項14】
洗浄デバイスであって、
キャリア流体であって、(a)前記キャリア流体中に懸濁された、微小フィブリル、もしくはゲル形成ポリマー、またはそれらの混合物を含む、キャリア流体を含む洗浄組成物を含有するリザーバであって、前記洗浄組成物がタンパク質洗浄に有効である、リザーバと、
前記リザーバから、(a)直径10mm以下で長さ10cm以上の洗浄されるチャネル内に、または(b)洗浄される開放表面上の閉鎖空間へと、洗浄組成物を引き込み、1Pa以上のバルク剪断応力を提供するように構成されたポンプと、を備える、洗浄デバイス。
【請求項15】
内径が6mm以下の1つ以上のチャネルを有する医療デバイスを貯蔵する方法であって、
キャリア流体であって、前記キャリア流体中に懸濁された微小フィブリル、もしくはゲル形成ポリマー、またはそれらの混合物を含む、キャリア流体を含む滅菌組成物で前記チャネルを満たすことと、
貯蔵期間の後、前記医療デバイスを操作しながら使用するのに好適な滅菌流体で前記チャネルが満たされるように、前記滅菌組成物をすすぎ落とすことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、内視鏡などの細長い管腔、チャネル、およびチューブ、他の管腔医療デバイス、ならびに他の表面を、構造の形状または材料に関係なく、汚染除去、洗浄、消毒、殺菌、滅菌、殺菌状態または滅菌状態での貯蔵、および処理するための組成物、方法、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は多くの分野に適用可能であるが、本発明を主に生み出した分野は、内視鏡の洗浄および滅菌の分野、ならびにこれらのデバイスに見られる細長いチャネルである。内視鏡に起因する感染症は大きな問題であったが、デバイスの機械的な複雑さは、使い捨てデバイスを利用することが実用的ではなく、かつ現時点では構成部品さえ使い捨て構成部品で取り換えることができないことを意味する。可撓性内視鏡の構造および感熱性材料は、一般に、滅菌のための高温蒸気の使用を不可能にし、様々な内部チューブチャネルの長い長さおよび小さい断面サイズは、これらのチャネルの洗浄、殺菌、および滅菌において根本的な困難を引き起こす。深刻な感染の報告例は数多くあるが、特に深刻な報告は、汚染された十二指腸鏡、すなわち、内視鏡的逆行性膵胆管(ERCP)造影によって伝染したカルバペネム耐性腸内細菌科(CRE)感染による2015年のUCLAメディカルセンターでの2人の患者の死亡であった。CRE汚染は、ERCP内視鏡におけるバイオフィルムの成長に関連しており、このバイオフィルムは、内視鏡の内部チャネルまたは内視鏡のエレベータ切片の他の部分を洗浄することができないことに関連し得る。
【0003】
バイオフィルムは、標準的な洗浄、特に医療デバイスからの感染症の一般的な原因に対して非常に耐性がある。バイオフィルムは、微生物が埋め込まれている細胞外多糖物質(EPS)の層を利用して、表面に付着する。EPSは、バイオフィルムの構造安定性を提供し、抗微生物物質などの環境要因からの保護も行う。微生物はバイオフィルム内で休止状態であり得るが、バイオフィルムは、より感染性のプランクトン様の形態で細菌を放出するだろう。
【0004】
吸引生検チャネル(「SBチャネル」)は、感染の危険性およびバイオフィルムの成長を生み出す材料と常に接触している。それはまた、内径(例えば、3.2mmまたは3.7mmなど、2.8mm超)を有し、これは、典型的には、ブラシによるこすり洗いを含む、より激しい洗浄を可能にする。それにもかかわらず、出願人は、標準的なプロトコルがバイオフィルムを除去せず、特に蓄積バイオフィルム(BBF、以下にさらに説明される)を除去しないことを見出した。図1Aおよび1Bは、標準的なプロトコルに従って、5回手動でブラッシングした後のSBチャネル管腔の走査型電子顕微鏡画像(SEM)を示す。SEMは、手動でのブラッシングによって除去されない蓄積バイオフィルム片を示す。長時間のブラッシングにもかかわらず、チャネル管腔からのバイオフィルムの除去は不完全である。図1Bは、より高い倍率であり、その結果、細菌の輪郭を見ることができる。
【0005】
さらに、典型的な内視鏡は、空気、水、灌注、噴射ジェット、およびエレベータチャネルなどの追加のより狭いチャネルを有する。これらのチャネルは、例えば、1.5mm以下の内径を有することができる。これらのチャネルは、内視鏡の他の部分から移動する汚染を含む、生物学的汚染を獲得するおそれがないわけではない。これらのチャネルは、従来通りにブラシをかけることができない。これらのチャネルを洗浄するためのツールには強い制限があることを考えると、それらは、感染拡大の主な懸念材料となっている。
【0006】
SBおよびより狭いチャネルの狭い幅以外には、別の課題は、使用される材料、最も頻繁にはテフロン(登録商標)が、水性流体では濡れにくいため、材料のパッチが洗浄流体(すすぎ剤、洗浄剤、殺菌剤、滅菌剤、酵素溶液など)と有効に接触しない可能性をより高めることである。この濡れの欠如は、グルタルアルデヒド、過酸化水素、オルトフタルアルデヒド、過酢酸などの高レベル殺菌剤にも影響を与え得る。これらのチャネルの狭い幅、およびそれらの操作に対する圧力制限は、従来の流動によって発生させることができる流体力学的剥離力(HDF)が制限されることを意味する。
【0007】
伝統的な洗浄および殺菌の後、内視鏡は、典型的には、アルコールで洗い流され、内部チャネルを乾燥させるために空気でパージされる。しかしながら、Cori L.Ofsteadおよび共同著者による出版物は、バイオフィルム形成を促進する、湿気のポケットが残っていることを示している。
【0008】
本発明の一態様は、内視鏡の操作パラメータ内に該当する圧力(例えば、28psi)でこれらのチャネルを通してポンプ注入されるゲルまたは他の高粘度流体が、汚染物質をより有効に除去するための従来の水系洗浄剤の剪断応力よりも高いチャネルの表面上の剪断応力を提供することができるという認識であった。出願人は、この基本発明が、チャネルからの細菌および有機質土壌(タンパク質、脂質、炭水化物、ヘモグロビン、または類似の物質)の除去を改善するのに有効であることを示した。これ以上ないと、BBFを除去するのに有効でなくなる。
出願人が、バイオフィルムおよびBBFさえも除去するのに非常に有効であると発見したものは、フィブリル化ポリマーを含有する組成物(必ずしもゲルではない)であった。これらは、より厚い(多くの場合、結晶質または半結晶質の)ポリマー束セグメントを有するポリマーであり、そこからより薄いポリマー束セグメントが分岐する。セルロースフィブリル化ポリマーでは、ポリマー単鎖と同様に3段のポリマー束が存在し得る。理論に縛られることなく、この型のポリマーが網状構造内で洗浄される表面を横切って移動するにつれて、より剛性の成分が周期的にシフトして表面と衝突し、相互作用するか、または分岐ポリマー束のセグメントをそのように衝突させて、局所的な剪断応力を提供し、それが汚染物質除去力を提供すると考えられている。周期的に加えられる局所的な剪断応力は、バルク剪断応力よりもはるかに高いと考えられる。フィブリル化材料の網状構造は、任意の狭い領域へのそのような何千もの接触を提供し、また汚染物質を閉じ込めてチャネル外に運搬するための網状構造も提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,454,871号
【特許文献2】米国特許第6,857,436号
【特許文献3】米国特許第8,226,774号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、タンパク質洗浄に有効である、洗浄組成物を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲にさらに完全に記載されているように、実質的に図のうちの少なくとも1つに示され、かつ/またはそれに関連して説明されるような、洗浄および貯蔵組成物、使用方法、利用するデバイスなどを含む。本開示の実施形態による様々な利点、態様、および新規の特徴、ならびにそれらの例示された実施形態(複数可)の詳細は、以下の説明および図面からより完全に理解されるであろう。
本発明の上記に列挙された特徴を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約された本発明のより詳細な説明は、実施形態を参照することによって得られる場合があり、そのうちのいくつかは、添付の図面で例示される。しかしながら、本発明は、他の等しく有効な実施形態を認め得るため、添付の図面は、この発明の例示的な実施形態を例示するにすぎず、したがって、その範囲を限定するものと見なすべきではないことが留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1A(500ミクロンバーを参照)は、従来の洗浄後に残ったバイオフィルムを描写する。
図1B図1B(10ミクロンバーを参照)は、従来の洗浄後に残ったバイオフィルムを描写する。
図2】セルロースフィブリル束の構造の概略図を示す。
図3】動的粘度測定中の剪断減粘挙動を示す。
図4】狭いチャネルについての圧力対流量を示す。
図5A】(100ミクロンバーを参照)SEMによるチャネル内のバイオフィルムを示す。
図5B】(500ミクロンバーを参照)微小フィブリルを含むチャネル内のバイオフィルム除去を示す。
図5C】(500ミクロンバーを参照)従来の洗浄による不完全なバイオフィルム除去を示す。
図6A図6A(10ミクロンバーを参照)は、SEMによって視覚化された微小フィブリル組成物、具体的には、修飾CS19中の1.4%w/wのExilva Forteの例示的な構造を示す。
図6B図6B(500ミクロンバーを参照)は、SEMによって視覚化された微小フィブリル組成物、具体的には、修飾CS19中の1.4%w/wのExilva Forteの例示的な構造を示す。
図7】(2ミクロンバーを参照)バイオフィルムをチャネルから洗浄するのに使用した後に、SEMによって撮像されるような、バイオフィルム材料が閉じ込められた微小フィブリル材料の一部分を示す。
図8】開放表面を洗浄するための装置および方法を示す。
図9】開放表面を洗浄するための別の装置および方法を示す。
図10】開放表面を洗浄するための別の装置および方法の斜視図を示す。
図11】開放表面を洗浄するための別の装置および方法の側面図を示す。
図12】開放表面を洗浄するための別の装置および方法の上面図、切り欠き図を示す。
図13】開放表面を洗浄するためのさらなる装置および方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通の同等の要素を指定するために、同一の参照番号が使用されている。図は、一定の縮尺で描かれておらず、明確にするために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素および特徴は、さらなる列挙なしに、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0014】
微小フィブリル-一般
「微小フィブリル」(MF)は、ミクロフィブリル化セルロースおよびナノフィブリル化セルロース(これらは基本的に同じものである)としての業界用語、および限定されないが、リヨセル溶融紡糸プロセスまたは類似のプロセスによって作製されるものを含む、合成ポリマーから作製される実質的に同等の構造を包含するための造語である。セルロースの構造を図2に例示する(nutrition.jbpub.com/resources/chemistryreview9.cfmから適合される)。ミクロフィブリル化セルロースの構造は、この図を参照して考察することができる。天然セルロース構造には、天然セルロース繊維(直径=約20,000nm~約60,000nm)、より小さなマクロフィブリル束、およびさらにより小さなミクロフィブリル束がある。単一のポリマー鎖(顕微鏡ではそれほど容易には視覚化されない)もあると考えられる。ミクロフィブリル化セルロースは、典型的には、機械的、化学的、酵素的、またはマクロフィブリル束とミクロフィブリル束とを分離するための組み合わせ処理で処理されたセルロースである。これらは、より大きなフィブリル束を輪にするか、またはより大きなフィブリル束から伸長することができる。未接続のミクロフィブリル束が存在する可能性があるが、その量は少ないと考えられ、フィブリル束は、接続されたフィブリル束と会合すると考えられる。直径サイズは2段以上にすることができる。重要なことは、ミクロフィブリル束(またはそれらの類似体)が、より剛性の、より大きな束に接続されることである。
【0015】
微小フィブリルの有用な測定パラメータは、流体力学的サイズ(HDS)、特に平均HDS(MHDS)である。これは、Mastersizer3000(Malvern Instruments)[Joseら、On the morphology of cellulose nanofibrils obtained by TEMPO-mediated oxidation and mechanical treatment、Micron、72、28-33(2015)]を使用して、非常に希薄な懸濁液のレーザー回折によって測定される。エネルギーは(超音波処理によって)別々の構造に加えられるが、測定された実体が単一の構造であるか、または2つ以上のフロックであるかは明らかでない。そのように測定された物質は、「フィブリル化実体」である。
【0016】
MHDSが約20ミクロン(マイクロメートル)と同じくらい低い程度まで加工されたミクロフィブリル化セルロースは、単独で提供される場合、例えば30~70ミクロンのMHDSを有するミクロフィブリル化セルロースよりも有効性が低いことが分かっている。驚くべきことに、より大きなミクロフィブリル化セルロースは、いくつかの実施形態では、より小さなミクロフィブリル化セルロースと適切に混合された場合、さらにより有効である。セルロースから導かれたこれらおよび他のすべての教訓は、合成微小フィブリルにも同様に適用可能であると予想される。したがって、実施形態では、1つのMHDSを有する微小フィブリル組成物を50%以下のMHDSを有するものと混合することは有用である。実施形態では、約2:1以上、または約3:1のような、約1.5:1以上の比率など、より大きな微小フィブリル成分をより多く有する(乾燥重量で)比率が使用される。実施形態では、原料組成物の分布は、混合物が二峰性(またはさらなる混合物については、マルチモーダル)分布によって製品中に示されるように十分に密である。
【0017】
実施形態では、微小フィブリルは、剛性を提供すると予想される比較的大きな直径のフィブリルを含み、これは、「B型」フィブリルと呼ぶことができ、例えば、約100nm~約20,000nm(20ミクロン)の直径を有する。微小フィブリルは、小さな直径範囲、例えば10~90nmの「A型」フィブリルをさらに含み得る。SEM画像は、B型フィブリルに接続されたA型フィブリルを示す。これは、すべてのA型フィブリルがB型フィブリルから伸長しているという意味ではない。
【0018】
A型フィブリルは、本明細書では「ナノフィブリル」とも呼ばれる。これらは、フィブリル化実体を絡み合わせることに、より関与していると考えられる。
【0019】
狭いチャネル(例えば、SBチャネルまたはそれよりも狭いもの)の洗浄には、出発繊維束の長さが重要になり得る。繊維束を微小フィブリルに加工した後の長さは、測定が困難であり得る。好ましくは、数平均長さは、約1000ミクロン以下、または約800ミクロン以下、または約500ミクロン以下である。「狭いチャネル」は、内径が約[6mm]以下であり、SBチャネルについて本明細書に概説されるように、ブラシでの洗浄が実用的ではないか、またはBBFに対して無効である傾向であるのに十分な長さを有するチャネルもしくはチューブである。
【0020】
洗浄のために、典型的には、「フィブリル化網状構造」が使用される。フィブリル化網状構造は、フィブリル化材料が水または溶媒と適切に混合されたときのフィブリルの絡み合いの結果として、ならびに水素結合(または静電を含む他の非共有結合機構)に起因するフィブリル化実体の相互作用から作製される三次元網状構造である。
【0021】
理論に縛られることなく、微小フィブリルの懸濁液、分散液、網状構造、もしくは混合物がチャネルなどの中を流動するとき、本明細書に説明されるような繊維、フィブリル、もしくはそれらのフロック(1単位として動いて転がる凝集体)またはそれらのナノ粒子構造体は、流動中にチャネルもしくはチューブの表面と接触するか、またはほぼ接触し、非常に小さいサイズのスケールでこすり落とし、研磨、除去、剥離、脱着、または局所的なブラッシング様作用への影響をもたらす。これらの洗浄プロセスは、微小フィブリルのようなゲル構造体が壁と接触するか、または壁とほぼ接触する間に、微小フィブリルのようなゲル状の網状構造が壁を超えて移動するときに生じる。この作用は、局所的な高い流体力学的剥離力を繰り返し生成するか、または汚染物質を剥離、脱着、および除去するのに十分な力もしくは応力で、洗浄される表面と直接接触さえすると考えられる。
【0022】
微小フィブリルの非常に大きな比表面積は、流動中のチャネル、チューブ、または閉鎖空間の壁からの材料の移動および汚染物質の除去を有意に容易にすることができる。例えば、いくつかのナノフィブリル化もしくはミクロフィブリル化セルロース材料の比表面積は、約10m/g超~最大300m/g超であり得、場合によっては、10~20億m/g超であり得、これが、有効で効率的な処理を可能にし、流動中に壁が壁に接触するか、またはほぼ接触するときに壁を洗浄することができる。大きな表面積は、汚染物質の吸着を促進し得、洗浄中に汚染物質の断片を捕捉し得る。表面積は、SEM顕微鏡写真、窒素もしくは他の気体の吸着、界面活性剤もしくは既知の表面積を有する他の分子プローブ、またはコロイドおよび表面科学もしくは材料科学の文献で知られているような方法の組み合わせから推定することができる。
【0023】
特許請求の範囲の目的のために、測定は、材料の表面上への窒素の吸着によるものである。この技術は、固体表面への気体分子の吸着に関するBrunauer-Emmett-Teller(BET)理論に基づいている。この技術では、最初に材料の表面に吸着されたものを何でも脱着することによって材料を調製し、次に材料を、窒素を吸着することができる環境に配置する。所与の圧力で吸着された気体の量は、材料の比表面積を示す。吸着気体量の量のこの測定は、存在する気体量の変化を測定することによって、または材料の重量の変化を測定することによって行われ得る。
【0024】
特定の実施形態では、微小フィブリルの主要な部分(50%以上)を提供する微小フィブリル組成物の比表面積は、約30m/g~約300m/g、または場合によってはそれ以上である。
【0025】
組成物は、その量が、CS-19(以下に説明される)においてpH7もしくは9のうちの1つ以上で配合された場合、付着タンパク質を50倍以上、約6.4μg/cm2以下のレベルまで減少させるように、6フィートの長さの内径3.2mmのPTFEチューブの内面から(以下に説明されるように適用される)オーストリア土壌由来のタンパク質を洗浄するであろう、タンパク質洗浄有効量のフィブリル+任意のゲル形成ポリマーもしくは任意の補剛成分を有する。
【0026】
BBF洗浄有効量のフィブリル+任意のゲル形成ポリマーもしくは任意の補剛成分は、その量がCS-19においてpH7もしくは9のうちの1つ以上で配合された場合、SEM分析によって測定されるような6フィートの長さの内径3.2mmのPTFEチューブの内面からBBF(以下に説明されるように形成される)を除去するであろう量である。
【0027】
組成物(任意のゲル、繊維、または他の洗浄実施形態用の)は、付着タンパク質を50倍以上、約6.4μg/cm2以下のレベルまで減少させるように、6フィートの長さの内径3.2mmのPTFEチューブの内面からオーストリア土壌由来のタンパク質(以下に説明されるように適用される)を洗浄する場合に、タンパク質洗浄に有効である。
【0028】
組成物(任意のゲル、繊維、または他の洗浄実施形態用の)は、SEM分析によって測定されるような、6フィートの長さの内径3.2mmのPTFEチューブの内面から90%以上のBBFを除去する場合に、BBF洗浄に有効である。
【0029】
開放表面用に構成され、チューブ内のタンパク質もしくはBBF除去を測定するためには過剰に大きい粘度を有する配合物について、成分内に含まれる配合物が、タンパク質洗浄またはBFF洗浄である場合、その配合物は非常に有効である。
【0030】
微小フィブリルの有用な濃度は、例えば、約0.2%w/w~約4%w/wを含み得る。その量は、微小フィブリルおよびキャリア流体の特性によって異なり得る。例えば、1つのExilva(以下に説明される)の微小フィブリル組成物では、1.2重量%は、20分でBBFを侵食および除去するのに十分ではなかったが、1.4%または1.7%または1.9%を含有する組成物は、約5~10分でBBFを侵食および除去することができるだろう。
【0031】
特定の実施形態では、微小フィブリルのフロックは、約50~約100ミクロンの平均直径を有する
【0032】
セルロース系微小フィブリル-生産
微小フィブリルの生産方法には、機械加工、TEMPO触媒加工、および酵素プロセス、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。Exilvaグレードのマイクロフィブリル化セルロース(Borregaard製)は、微細流動装置の形態を含む、Borregaardのプロセッサ機を通過する多くの経路を有する純粋な機械的プロセスによって作製される。セルロースと共に使用することができるリヨセルプロセスは、ナイロンを作製するのに使用されるものと同様であり、それはまた、アクリルまたは他のポリマーと共に使用することもできる。TEMPO(化学名が(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシルまたは(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル)である触媒の一般名)をいくつかのプロセスで使用して、セルロースの部分的な開裂を誘発する。次亜塩素酸ナトリウムまたは臭化ナトリウムもまた、機械的力と組み合わせて、開裂のための酸化剤として(例えばTEMPOと共に)使用することができる。高圧均質化、ミクロ流動化、粉砕、精製所ベースのプロセス、低温粉砕、および高強度超音波処理などの様々な機械的プロセスを使用することができる。それは、繊維含有液体の噴流を互いに衝突するように方向付けることを含み得る。プロセスは、例えば、粉砕機または精製機を2回通過すること、およびホモジナイザーを複数回通過することを使用することができる。
【0033】
Borregaardによって作製された材料には、次のような下位分類がある。
【表1】
【0034】
いくつかの倍率で多数のSEMによって分析されるように、いくつかの例示的なセルロース系微小フィブリルは、以下の特徴を有する。
【表2】
【0035】
表2の結果は、本発明の実施形態に説明されるようなフィブリル化材料のうちのいくつかのSEM分析の要約を含む。表に列挙される上位3つの材料は、異なる程度のフィブリル化を表し、他の添加剤なしで販売されている。4番目の材料(Sensefi)は。特別なプロセスで作製されており、販売されているようなカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。希釈懸濁液として作製されたフィブリル化材料を、SEMスタブに堆積させ、許容されているSEM撮像方法に従って被覆した。データは、繊維およびフィブリルが別々に列挙されている手動の画像分析に基づいて分割される。顕微鏡写真に見られるような繊維およびフィブリルの直径および長さが含まれる。繊維およびフィブリルの直径および長さの範囲は、最も一般的なサイズを含む4つの材料の各々について、少なくとも1000本の繊維および1000本のフィブリルを検査した。直径は、顕微鏡写真から得ることができるので、高度に正確であり得る。他方、長さは、SEM画像の高倍率のために確認することが困難であるため、それほど正確ではない可能性がある。各材料のSEMを、100倍、1,000倍、2,000倍、10,000倍、50,000倍、および10,000倍で得た。本発明の一実施形態では、繊維およびフィブリルの直径および長さは、本明細書に説明される網状構造を調製するために使用される範囲を表す。直径および長さは、網状構造の機械的特性、特に本発明に従った洗浄のために重要な強度、剛性、および堅さに寄与すると考えられるので、これは重要であり得る。SEMは、フィブリル化材料の形態に関する特定のデータを提供するが、フィブリル化材料の他の定義は、本明細書の他の箇所で説明されるような等価の流体力学的体積のレーザー散乱結果から得ることができる。フィブリル化材料のさらなる説明は、本明細書の他の箇所に記載されるような液体に懸濁されたときの粘度データおよびレオロジーデータを含む。
【0036】
ミクロフィブリル化繊維材料は、現在、以下のような供給業者から市販されている:Borregaard(Sarpsborg、Norway)(製品はExilva、Sensefiを含む)、Wiedmann Fiber Technology(Rapperswil SG、Switzerland)(WMFC_QAdvanced)、Engineered Fibers Technology LLC(Shelton、CT)(EFTec(商標)ナノフィブリル化繊維)、American Process,Inc.(Atlanta、GA)(BioPlus(登録商標)Fibrils)、Celluforce(Montreal、Canada)、Forest Products Laboratory(米国農務省)、Lenzig AG(Austria)(製品はリヨセルを含む)、Weyerhaeuser(Seattle、WA)(製品はリヨセルを含む)、ならびにスカンジナビアおよび日本の他の供給業者。
【0037】
合成微小フィブリル-生産
合成ポリマーは、例えば可溶化配合物を紡糸(押し出し)することによって、マクロフィブリル構造に形成することができる。例えば、セルロース系ポリマーは、例えば可溶化溶媒としてN-メチル-モルホリン-N-オキシド(NMMO)を使用して、そのように押し出すことができる。アクリルおよび他などの他の溶媒を、問題のポリマーを可溶化するために適切に選択することができる。次に、紡糸繊維を切断し、上記に概説されるように、機械的に微小フィブリル形態に変換することができる。例えば、Engineered Fibers Technology(Shelton、CT)は、アクリル(CFF(登録商標)、アクリルコポリマー)、リヨセル(木材パルプ用テンセル(登録商標))、LCP(ベクトラン(登録商標)、芳香族ポリエステル)、PBO(ザイロン(登録商標)、結晶性ポリオキサゾール)、パラアラミド、およびセルロース(木材および非木材)のフィブリル化ポリマーを販売している。
【0038】
洗浄用ゲル
ゲルは、変形可能な材料または流体様組成物である。細長いチャネルを洗浄するのに使用するためには、ゲルはそれを超えると流動し始める降伏剪断応力を有するべきである。ゲルは、典型的には、絡み合った高分子、繊維もしくはフィブリル、または密集した膨潤ミクロゲル粒子の網状構造を含む。降伏剪断応力よりも小さい剪断力を加えるためには、ゲルは、全く流動しないか、またはゲルは、網状構造が運動の作用の間に破壊されない限り、単一の物体もしくは無傷の網状構造として動くことができる。降伏剪断応力を超える剪断応力を加えるためには、網状構造が破壊されるか、または部分的に破壊されるにつれて、ゲルが流動する。降伏剪断応力挙動は、降伏が生じると、ある程度崩壊するゲル内の網状構造の結果であり得る。ゲルは、ゲルが流動し始める降伏点を越えて生じる流動についてのその流動学的流動特性の説明として、剪断減粘などの非ニュートン性でもあり得る。微小フィブリルの組成物は、これらの特性を有することができる。
【0039】
ゲルは、カーボポール(高分子量、ポリアクリル酸ポリマー)などのヒドロポリマーポリマーから作製することができる。カーボポールまたはカルボマーは、Lubrizol Corporation、Wickliffe、OHによってカーボポール(登録商標)の名称で市販されている。これらのポリマーは、架橋されていてもよく、水に不溶性であってもよいが、架橋されている必要はない。これらのゲルの網状構造は、走査型電子顕微鏡によって視覚化された低温切片において見ることができる。これはさらに、Jong-Yun Kimらによる、Rheological properties and microstructures of Carbopol gel network system、Colloid and Polymer Science、2003年7月、第281巻、第7号、614~623頁に説明されている。水中の約0.1または0.2重量%濃度でさえも、繊維状三次元ゲル網状構造システムが形成される。視覚化されたように、網状構造は、フラクタル凝集体を示し得る。実施形態では、利用されるゲルは、そのようなフラクタル凝集体を示す。ポリマーの量が増加するにつれて、繊維状網状構造のストリングもしくは構造または膨潤粒子は、より厚くなり、降伏剪断応力を保有することができるハニカム様構造を形成する。
【0040】
カーボポール(登録商標)ポリマーについてのデータシートに説明されているように、ポリマーは、水に可溶性または不溶性のいずれかであり得る。ポリマーが架橋ではなく線状である場合、一次粒子は、絡み合っているが共有結合を介して化学的に結合していない線状ポリマー鎖の集合体であろう。カーボポール(登録商標)の線状ポリマー形態は、カーボポール907として市販されており、それは水に可溶性である。対照的に、架橋ポリマーは、一般に、水に溶解せず、「水不溶性」と呼ぶことができる。カーボポール907以外のすべてのカーボポール(登録商標)ポリマーは、架橋されており、水不溶性である。Pemulen(登録商標)およびNoveon(登録商標)というブランドのポリアクリル酸ポリマーも、不溶性である。これらのポリマーは、それらが4~6を超えるpH環境に曝されると、それらの元の体積の最大1000倍(それらの元の直径の10倍を表す)まで水中で膨潤する。本明細書に例示されるカーボポール(登録商標)ポリマーの形態は、3~6×10ダルトンの分子量を有し、一次粒子は、直径20~70nmの寸法を有する。次に、一次粒子は、0.2μm程度の典型的なサイズを有する二次凝集体を形成すると考えられる。次に、二次凝集体は、0.2~2μm程度の典型的なサイズ範囲を有する三次凝集体を形成すると考えられる。本明細書で使用されるカーボポールの組成物を形成するためのプロセスは、カーボポールを水に濡れさせて分散液を形成することから開始することができる。これは、水で行うことができ、得られた懸濁液は、例えば約3~4の範囲のpHを有することができ、この状況では、分散液は、比較的低い粘度を有し、これは水の粘度に近くなり得る。この分散液を、トリエタノールアミンまたは水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどのアルカリで中和して、pHを約8に上昇させると、粒子は、それらの元の体積の約1000倍に膨潤し、これが高粘度および高収率剪断を有する流体を生産する。結果として生じる粘度は、本明細書で典型的に使用される剪断速度について、0.2%~0.3%のカーボポール(登録商標)濃度で、2,000~10,000cP(センチポアズ)であり得る。したがって、水中のカーボポールの構造および特性は、キャリア流体のpHなどのキャリア流体の化学的特性に有意に反応する。
【0041】
そのようなカーボポールゲルは、内視鏡のチャネルを通してそれらをポンプ注入することを実行可能にする降伏剪断応力を有することが示されている。それらの剪断減粘特性は、そのようなチャネルを介したポンプ注入を助ける。
【0042】
カーボポールは、水中でゲル構造を形成する唯一の物質ではない。そのような挙動を示す他の物質の例には、ポリアクリルアミド、他の合成ポリマー、セルロース系物質、ならびに雑草および藻類を含む植物、動物、または海起源の多くの天然ポリマーが含まれる。有用なゲルのうちのいくつかは、降伏剪断応力を示すことができ、他のものは、降伏剪断応力を有さない場合があるが、それでもなお、BBFよりも弱い広範囲の汚染物質を洗浄するのに有効であり得る。
【0043】
ゲル形成ポリマーの有用な濃度は、例えば、約0.05%w/w~約2%または3%w/wまでであり得る。
【0044】
この型のゲルは、微小フィブリルと組み合わせて使用することができる。
【0045】
ゲルと微小フィブリルとの組み合わせ
非MFゲル形成物質の濃度がそれ自体ではゲルを生産せず、微小フィブリルの濃度がそれ自体ではゲルを生産しない組み合わせを考えると、一緒の濃度の組み合わせが、ゲルまたは網状構造を生産し得ることが見出された。他のそのような組み合わせもまた、有用であり得る。そのような組み合わせの配合物は、例えばチューブまたは通路を通って流動するときに洗浄効果を生じることが見出された。この説明に限定されることを望むものではないが、非MFゲル形成物質および微小フィブリルを含む配合物は、非MFゲル形成物質の追加の存在なしに微小フィブリルの存在によって形成される類似の特性もしくは類似の洗浄有効性のゲルと比較した場合、通路を詰まらせる傾向または微小フィブリルを通路内に残す傾向が少ない可能性があると考えられる。これは、目詰まり、特に繊維単独から生じる目詰まりは、目詰まりを取り除くために追加の工程を必要とする可能性があるか、または目詰まりを取り除くことが不可能でさえあり得るので有利である。目詰まりは、内視鏡の高価な修理を必要とする可能性があるか、または修理さえ不可能である可能性がある。洗浄成分を含む水または液体ビヒクルを使用して、本発明の実施形態による複合ゲルを形成することができる。
【0046】
一実施形態では、微小フィブリル網状構造の降伏剪断応力は、それ自体が高い降伏剪断応力を保有するカーボポールのようなゲル形成物質を組み込むことによって増加させることができる。いくつかの架橋カーボポールゲルは、約7.0~9.0のpHで作製されたときに、100Paを超える高い降伏剪断応力を有する可能性があることが知られている。他方、いくつかの微小フィブリル網状構造は、低い降伏剪断応力値、例えば1~60または100Paを有することがある。したがって、微小フィブリルとカーボポール(または他の降伏剪断応力形成物質)との比率を含む組成物は、高い複合降伏剪断応力を有するより強い網状構造を生産することができる。この複合網状構造は、微小フィブリル単独で作製された網状構造よりも高い強度を保有することができる。本明細書の他の箇所で説明されているように、より高い強度を有する網状構造組成物は、堆積バイオフィルムなどの粘り強い汚染物質の洗浄に関して有利であり得る。微小フィブリルの割合および降伏剪断応力寄与物質は、有効な洗浄が得られ得るように調節することができる。
【0047】
一実施形態では、微小フィブリル組成物中にカルボキシメチルセルロースなどの低濃度のイオン性ポリマー(約100~200重量ppmで250,000を超える分子量および80%の置換を有するものによって例示されるような)を含めることが、BBFの洗浄に役立ち得る。理論に縛られることなく、このような低濃度の電荷付与材料は、静電反発力のためにフィブリルを分散させ、それらがより絡み合いを生じさせるのに関与することができるようにそれらを伸張させ、これがより強力な網状構造の作製をもたらすと考えられる。正の静電荷が望まれる場合、この発見は、カチオン性ポリマーを使用することに及ぼすことができる。ポリマーの量は、より弱い網状構造の生成または網状構造-表面境界の潤滑を回避するために慎重に加えられる。
【0048】
分析BBF
本発明の組成物を試験するためのBBFを生産するために標準的なプロトコルが使用されてきた。実施例2に詳細に説明されたこのプロトコルは、Alfaらによって文書化されているように、その週の間の定義された時間におけるグルタルアルデヒドの適用を含む、1週間の成長を伴う[参考:A novel PTFE-channel model,which simulates low levels of culturable bacteria in build-up biofilm after repeated endoscope reprocessing.Alfaら、Gastrointestinal Endoscopy 85(5),Supplement,pp.AB67-AB68,2017]。
【0049】
補剛または研磨剤成分
追加の成分を添加して、剛性の網状構造を提供することができ、これは微小フィブリルの剛性成分の効果を補うのに、または微小フィブリルもしくはゲルに研磨剤を提供するのに有用であり得る。非ポリマー研磨剤も、添加することができる。これらの成分を添加する方法は、顕著な効果をもたらし得る。理論に縛られることなく、高エネルギーで導入された場合、それらは均一に分布すると予測される。より少ないエネルギー、例えば、泡立てにより添加された場合、それらは、微小フィブリルのフロックの外側部分をより強く占有すると予測される。例えば光学レンズの洗浄などの特定の実施形態では、損傷を回避するために、これらの成分の選択に特別な注意を払うことができる。ブレードの洗浄または研ぎなどの特定の実施形態では、微細な摩耗を強調するために、これらの成分の選択を行い得る。
【0050】
補剛ポリマー
補剛ポリマーは、微結晶セルロース(MCC)によって例示されているが、この機能を提供することができる他のポリマーを代用することができる。MCCは、いくつかの供給源および供給元から様々なグレードで入手可能であり、Avicel(登録商標)の名称でFMC Corporation(Newark、DE)から入手することができる。微結晶セルロースは、セルロース繊維から無定形画分を除去し、同時に重合度を制御する、加水分解プロセスによって作製される。実施形態では、MCC繊維は、本明細書で説明される微小フィブリルの一部ほど細長くはない(長さ/直径の比で説明されるように)。微結晶セルロースは安全であり、錠剤ならびに他の医薬品および食品の作製に広く使用されている。
【0051】
微結晶セルロースは、特に微結晶セルロースをカルボキシメチルセルロース(CMC)ポリマーと共加工した場合、放置すると粘度が増加するゲルを形成することがある。その細長い形状および剛性結晶性質のために、微結晶セルロースは、網状構造を絡み合わせたゲルを容易に形成しない。しかしながら、1週間以上かけて弱いゲルを形成する、ある種の3D網状構造を作製することができる。したがって、MCC-CMCに基づくゲルは、微小フィブリルから作製されたゲルと比較して、(降伏剪断応力に関して)より弱い可能性がある。
【0052】
その結晶性質のために、MCCは、本明細書で説明される微小フィブリル組成物に堅さ、剛性、および硬度を付与することができる。さらに、MCCが微小フィブリル網状構造の成分として十分な濃度で、微小フィブリル組成物の約0.1~10重量%、好ましくは約1~3重量%で含まれる場合、例えば、蓄積バイオフィルムのような強力な汚染物質を除去するために、壁または表面に、より強い網状構造(または降伏剪断応力および貯蔵弾性率を増大させる)および研磨作用を提供することができる。
【0053】
高エネルギーで添加された場合、BBF洗浄の向上に対するMCCの効果は、低エネルギーの微小フィブリル網状構造に添加された場合よりも小さくなる。
【0054】
固体粒子
本発明のさらに別の実施形態では、組成物は、微小フィブリル(またはゲル)、さらには固体粒子を含み得る。実施形態では、微小フィブリル網状構造組成物の硬度は、微小フィブリル組成物の0.1~5重量%、好ましくは0.2~3重量%の好適な濃度で固体粒子を含むことによって増加させることができる。したがって、固体粒子または繊維を含む微小フィブリル組成物は、通路および表面からバイオフィルムおよび汚染物質を除去するのに有効である。
【0055】
硬度は、元々鉱物学の分野で開発されたモース硬度計、または別の尺度を使用して、少なくとも定性的に説明することができる。セルロースの硬度は、モース硬度計で約3であると考えられる。一例として、粒子は単純な無機物質であり得、それは、水に不溶性または難溶性であり得る。例えば、炭酸カルシウム(CaCO3)は、そのような物質の1つである。炭酸カルシウムは、約4のモース硬度を有すると考えられる。コロイダルシリカ(シリカゲル)もまた別の可能性のある物質である。コロイダルシリカは、通常のシリカまたは石英ほど硬くはない。シリカゲルのモース硬度は、CaCO3のそれと同様に約4である。シリカゲルは無定形であり、引っ掻き傷はあまりない。コロイダルシリカとは対照的に、通常のシリカまたは石英は、バイオフィルムを除去するのに十分に硬いが、通路の壁に使用される典型的なポリマー材料を引っ掻くのにも十分に硬い。砂のような通常のシリカである石英は、モース硬度7を有する。シリカゲルは、歯磨剤としての使用がFDAにより承認されており、また剥離に対しても承認されており、珪肺症を引き起こさない。
【0056】
本発明の組成物の別の好適な粒子材料は、粉砕オリーブピットおよび粉砕カシューナッツを含むことができ、それらは両方とも、50ミクロン~500ミクロン超の粒径の範囲で市販されている。そのような材料は、微小フィブリル組成物の他の成分と混合することができる。使用される粒子または繊維は、Goonvean製のウール、Goonvean製のナイロン、Goonvean製のオリーブストーン、W.R.Grace製のSyloid EXF150(SiO2)、FMC Lattice NTC-80微結晶セルロース、FMC Lattice NTC-61微結晶セルロース、FMC NT-100、FMC NT-200、沈降CaCO3などを含み得る。
【0057】
不溶性または難溶性材料はまた、適切な水溶液成分の混合時に起こり得る沈殿反応によって組成物中に形成され得る。例としては、限定されないが、沈降炭酸カルシウム、シリカ、ヒドロキシアパタイトを含むリン酸カルシウム、フルオロリン酸塩、アルミナ、および他の材料が挙げられる。網状構造内に形成された粒子は、結晶質、非晶質、または所望により混合相を含むことができる。網状構造内に形成される粒子の粒径および粒径分布は、例えば、50ナノメートル~数ミクロンの範囲、場合によっては0.5~100ミクロンの範囲、またはさらには最大500ミクロン以上であり得る。例えば、網状構造内に不溶性炭酸カルシウム粒子を生産する反応は、調製中に微小フィブリル網状構造内でインサイチュで形成され得る、塩化カルシウムおよび炭酸ナトリウムを混合することを含む。他の反応には、以下:様々な炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)と水酸化カルシウムとの間の反応、可溶性カルシウム塩と炭酸ガスとの反応、炭酸アンモニウムと水酸化カルシウムとの間の反応、または無機化学において知られているように炭酸カルシウムを形成することが知られている他の反応が含まれる。そのように生産された沈降粒子のサイズは、反応が起こる速度および他の条件に依存し得る。走査型電子顕微鏡検査は、沈降炭酸カルシウムが、微小フィブリル網状構造内の繊維および繊維上ならびにそれらの間の空間上に分布されることを示している。フィブリル表面に付着する沈降粒子は、それらが網状構造の剛性および硬度を修飾することができ、したがって網状構造の摩耗特性を改善することができるので特に有用である。インサイチュで沈降粒子を含む組成物は、強力な蓄積バイオフィルムを除去するのに有効であることが見出された。
【0058】
固体粒子のさらなる例を、表3に提供する。
【表3】
【0059】
キャリア流体成分
ゲルまたは微小フィブリル(またはそれらの両方)は、限定されないが、水性流体などのキャリア流体中に懸濁される。典型的には、表面への汚染物質の付着の緩和を助けるように構成された界面活性剤成分があるだろう。
【0060】
界面活性剤または分散剤
本発明の実施形態では、流体組成物は、界面活性剤もしくは界面活性剤パッケージまたは1つ以上の界面活性剤を含有する混合物を含み得る。例えば医療デバイスの予備洗浄(ベッドサイド準備段階)中に、界面活性剤は、内視鏡またはデバイスの表面に最近接触した糞便、血液、粘液、タンパク質、および微生物などの患者の生物学的材料の強力な付着を防止および減少させることができ、またそのような材料の表面上への乾燥の防止を助けることもできる。界面活性剤はまた、組成物の排水が起こる場合に表面上の薄膜の形成を促進することによって、疎水性表面の濡れを促進し、かつ表面のディウェッティングを防止することができる。界面活性剤はまた、そのような材料(有機質土壌、バイオフィルム、微生物、および糞便物などの患者材料)を表面から除去するのを助けることができ、かつ汚染物質と表面との付着力を低下させる可能性がある。界面活性剤パッケージ(1つ超の界面活性剤の組み合わせであり得る)は、非イオン性界面活性剤を使用し得るか、あるいはアニオン性もしくはカチオン性界面活性剤もしくは両性界面活性剤または様々な異なる界面活性剤を含む混合物を使用し得る。使用され得る界面活性剤の例には、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルエトキシレート、アミンオキシド、両性ベタイン、スルホン酸アルキル、アルキルフェノスルホ酸塩、フルオロ界面活性剤などが含まれる。アニオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、浸透して、バイオフィルムの除去を助けることが知られている。他の界面活性剤を使用して、例えば、限定されないが、Milton J.Rosen Monographの「Surfactants and interfacial phenomena」、第3版、Wiley Interscience(2004)、および「Surfactants-A Practical Handbook」、K.Robert Lange著、Hanser Publisher、Munich(1999)の中で提供されるように、本発明の組成物を作製することができる。
【0061】
好適なアニオン性界面活性剤としては、例えば、最大約18個の炭素原子の範囲のアルキル鎖長をカバーする脂肪酸石鹸が挙げられ、これらは、直鎖または分岐鎖アルキル基であり得る。これらの界面活性剤は、通常、それらの対応するカルボン酸の解離定数よりも高いpHで使用される。本発明の方法で有効であることが見出された別の種類のアニオン性界面活性剤は、SDSなどのアルキル硫酸塩およびスルホン酸塩である。別の有用なアニオン性界面活性剤は、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩をベースとし得る。使用され得る別のアニオン性界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩である。1つ以上のスルホン酸基を有する直鎖および分岐鎖アルキルベンゼン硫酸塩が有用であることが見出された。好適なアニオン性界面活性剤はまた、アニオン性表面基を有し、かつ表面活性を保有する、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩、アシルイセチオン酸塩、アシルグルタミン酸塩、N-アシルサルコシン酸塩、およびアルケニルコハク酸塩なども含む。
【0062】
好適な両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アミド-アミノ酸型両性化合物、ならびに両性および表面活性を示し得る他のものが挙げられる。両性物質は、酸基とアルカリ基の両方の特性を有する。
【0063】
有用な非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸の糖エステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸モノグリセリド、アルキルモノグリセロールエーテル、脂肪酸ポリプロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0064】
有用なカチオン性界面活性剤としては、例えば、カチオン性官能基を有し、かつある程度の界面活性を有する、アルキルトリメチルアンモニウム塩およびそれらのホスホニウム類似体、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリニジウム塩などが挙げられる。
【0065】
ポリマー分散剤も使用することができる。それらは典型的な界面活性剤の分子構造を有していないが、同様の効果を有する。これらには、ナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、アクリル酸ナトリウムまたは他のアクリル酸のコポリマー、オレフィンとマレイン酸ナトリウムとのコポリマー、リグニンスルホン酸塩、ポリリン酸塩、ケイ酸塩およびポリケイ酸塩、カルボキシメチルセルロース、カチオン性セルロース、カチオン性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(例えば、ジ-およびトリ-ブロック)などが含まれる。これらの組成物は、実質的に界面活性剤として機能するためにも、本明細書において有用である。厳密には界面活性剤ではない洗剤物質もある。例としては、リン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびポリマーが挙げられる。そのような物質も、本発明と共に使用することができる。
【0066】
溶媒、共溶媒
水性キャリア流体などの、ゲルもしくは微小フィブリルのためのキャリア流体もしくはビヒクルは、有機溶媒を含むことができ、任意選択的に、共溶媒をさらに含むことができる。共溶媒は、一次有機溶媒の溶解能力を高めるために、一次溶媒よりも少ない分量で添加される第2の溶媒である。溶媒および任意選択的に共溶媒は、タンパク質または有機質土壌のような物質の除去を助け得る。有機質土壌は、タンパク質、脂質、炭水化物、ヘモグロビン、または類似の物質であり得る。溶媒および任意選択的な共溶媒は、例えば、プロピレングリコールまたはグリコールエーテルであり得る。プロピレングリコールおよびグリコールエーテル(例えば、DOW Chemical Company製の)などの溶媒は、内視鏡チャネルから、かつ医療デバイスまたは産業用デバイスの外面からの脂質およびいくつかのタンパク質の高レベルの除去を達成するのに寄与するので、本発明の組成物において有用であり得る。
【0067】
プロピレングリコールという用語は、プロピレングリコールの任意のエナンチオマーもしくは異性体を単独で、または組み合わせて指すことを意図している。これには、α-プロピレングリコール(プロパン-1,2-ジオール)およびβ-プロピレングリコール(プロパン-1,3-ジオール)が含まれる。プロピレングリコールは、水と高度に混和性であり、また、様々な有機物質を溶解することができる。
【0068】
グリコールエーテルは、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのアルキルエーテルをベースとする溶媒の群(しばしば「洗浄剤」と呼ばれる)である。ほとんどのグリコールエーテルは、水溶性である。それらはまた、様々な有機物質を溶解することができる。非限定的な例として、グリコールエーテルは、少なくとも以下の物質:エチレングリコールモノメチルエーテル(2-メトキシエタノール、CH3OCH2CH2OH)、エチレングリコールモノエチルエーテル(2-エトキシエタノール、CH3CH2OCH2CH2OH)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(2-プロポキシエタノール、CH3CH2CH2OCH2CH2OH)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(2-イソプロポキシエタノール、(CH3)2CHOCH2CH2OH)、エチレングリコールモノブチルエーテル(2-ブトキシエタノール、CH3CH2CH2CH2OCH2CH2OH)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(2-フェノキシエタノール、C6H5OCH2CH2OH)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(2-ベンジルオキシエタノール、C6H5CH2OCH2CH2OH)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、メチルカルビトール、CH3OCH2CH2OCH2CH2OH)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、カルビトールセロソルブ、CH3CH2OCH2CH2OCH2CH2OH)、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、ブチルカルビトール、CH3CH2CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OH)を含む。市販の製品Carbitol(商標)(The DOW Chemical Company)は、グリコールエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、これは共溶媒として使用することができる。
【0069】
エステルまたはケトン(水溶性のそのような化合物など)、およびアルコールなどの、挙げられたもの以外の他の溶媒および共溶媒も使用することができる。
【0070】
実施形態では、溶媒は、主に水性ではない。
【0071】
pH調節
本発明の実施形態では、組成物は、組成物のpHを所望の方向に調節する添加剤を含み得る。溶液のpHをアルカリ方向に調節することができる物質の例には、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびメタケイ酸ナトリウムが含まれる。溶液のpHを酸性方向に調節するために、HClまたは他の有機酸もしくは無機酸を使用することができ、それによって、より低いpHの組成物を提供する。約3~11.5のpH範囲が、本発明の配合物に有用であり得る。予測される汚染物質に鑑みて、塩基性または酸性の範囲を選択することができる。1つのpHを有する洗浄サイクルに続いて、別のpHに合わせて構成された洗浄サイクルを行うことができる。7~11のpH範囲が、内視鏡および類似のデバイスの洗浄に好ましい場合がある。表面および洗浄される汚染物質に応じて、任意の所望のpHの組成物を配合および使用することができる。
【0072】
緩衝液
本発明の実施形態では、組成物は、組成物の所望のpHの維持を助けるための添加剤を含み得る。適切な緩衝添加剤としては、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、トリス緩衝液、ならびに化学および生物学の緩衝システムにおいて知られているような他の既知の緩衝液が挙げられ得る。他の緩衝システム、特に重炭酸塩およびリン酸塩も、本発明の組成物に好適である。リン酸塩を使用して、組成物のpHを7~11に保つことができ、これは、内視鏡および類似のデバイスの洗浄に好ましい場合がある。水酸化ナトリウムおよびリン酸三ナトリウムをベースとする緩衝液もまた、キャリア流体を作製するために使用され得る。
【0073】
ビルダーおよびキレート剤
本発明の実施形態では、組成物は、カルシウム、および蓄積固体物を安定化させることができる他の多価カチオンを封鎖することができるキレート剤(複数可)を含むことができる。これは、細菌を死滅させ、特に使用される水がいくらかの硬度を持っているか、あるいはカルシウムのような多価カチオンを含有しているならば浄化を容易にするのを助けることができる。カルシウムを除去すると、細胞壁が破壊され得、これが次に、汚染物質を除去しやすくすることができる。カルシウムの除去はまた、後で特定の処理工程のために水道水が使用される場合に、スケールの形成を防止することができる。このようなキレート物質の例としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、四ナトリウムエチレンジアミン四酢酸(DOW Chemical CompanyからVersene(商標)として市販されている)、メタケイ酸ナトリウム、ポリリン酸塩を含むリン酸塩、および同様の物質が挙げられる。組成物は、カルシウムまたはマグネシウムイオンなどのイオンを封鎖するキレート剤と同様のビルダーを含むことができる。例示的なビルダーは、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)である。
【0074】
抗微生物剤および抗生物質
本発明の実施形態では、液体組成物は、抗微生物添加剤を含み得る。抗微生物剤という用語は、抗微生物剤、防腐剤、殺菌剤、殺生物剤、抗生物質、殺ウイルス剤、プリオン不活性化剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤などの様々なカテゴリーの物質のうちの任意の1つ以上を含むことを意図している。抗微生物物質には、薬物、化学物質、または微生物を死滅させるか、または増殖を遅らせる物質が含まれる。このカテゴリーには、微生物を破壊するため、または微生物の増殖もしくは発達を防止するために使用される、様々な化学化合物および物理的な薬剤のうちのいずれも含まれる。
【0075】
アルコール、および他の化合物と組み合わせたアルコールは、証明済みの表面消毒剤および殺菌剤の一種である。水で希釈された70%エタノールまたはイソプロパノールの混合物は、広範囲の細菌に対して有効である。29.4%エタノールとドデカン酸との相乗効果は、広範囲の細菌、真菌、およびウイルスに対して有効である。時には、アルコールを、本明細書で説明されているような第四級アンモニウム抗微生物剤と組み合わせることができる。
【0076】
他のカテゴリーは、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、またはオルトフタルアルデヒドなどのアルデヒドである。これらの化合物は、広い殺菌活性を有し、殺胞子性および殺菌性である。
【0077】
強力な酸化剤である塩素および酸素などの薬剤は、抗菌目的のために広く使用されている。そのような酸化剤の例としては、以下;次亜塩素酸ナトリウム(一般に漂白剤として知られる)であって、その前駆体のうちの1つがジクロロイソシアヌル酸塩である、次亜塩素酸ナトリウム;次亜塩素酸カルシウムなどの他の次亜塩素酸塩(次亜塩素酸塩は真の殺菌剤である次亜塩素酸の水溶液を生じ、次亜臭素酸塩溶液も時々使用されることが留意され得る);塩化ナトリウムを次亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸(主なオキシ塩素種は次亜塩素酸である)に電気分解することによって作製される酸化性酸性次亜塩素酸塩溶液である、電解水もしくは「陽極液」;飲料水処理によく使われる、クロラミン;クロラミン-T(親化合物がスルホンアミド系抗生物質であるため、塩素が消費された後も抗菌性である);二酸化塩素(亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、および塩素酸カリウムが二酸化塩素を発生させるための前駆体として使用される);過酸化水素(病院で表面を殺菌するために使用され、それは単独でまたは他の化学物質と組み合わせて高レベルの殺菌剤として使用され、時にはコロイド銀と混合される);時にはヨウ素のチンキ剤の形態であるヨウ素、または代替的にポビドンヨードとして知られる市販の製品;過酸化水素を酢酸と反応させることによって生産される殺菌剤である過酢酸;最も単純で最も強力な有機酸である過蟻酸;他の有機酸;過マンガン酸カリウム(KMnO4);ならびにペルオキソ一硫酸カリウムが挙げられる。
【0078】
時に「第四級」とも呼ばれる第四級アンモニウム化合物は、関連化合物の大きな群である。これらの物質はまた、藻類も死滅させる殺生物剤である。例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セタルコニウム、塩化セチルピリジニウム、セトリモニウム、セトリミド、塩化ドファニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、および臭化ドミフェンが含まれる。クロルヘキシジン(CHX)およびポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を含むビグアニド化合物は、広範囲の微生物に対して有効な別の種類のカチオン性抗微生物化合物を表す。具体的には、ビグアナイド剤は、耐性菌株が50年超前のそれらの発見以来出現していないので、本発明において使用するための魅力的な抗微生物剤である。
【0079】
フェノール類は、いくつかの家庭用殺菌剤、いくつかのうがい薬、ならびに殺菌性の石鹸および手洗い剤に含まれる有効成分である。それらには、以下の物質:フェノール(以前は石炭酸と呼ばれた);ある程度腐食性でないため、フェノールの代わりによく使用される、o-フェニルフェノール;クロロキシレノール;ヘキサクロロフェン;チモール(タイムに含まれるフェノール性化学物質);アミルメタクレゾール;および2,4-ジクロロベンジルアルコールが含まれる。
【0080】
さらに他の既知の抗微生物物質としては、以下:その安定性を維持する銀のキレート形態である、クエン酸二水素銀(SDC);ビグアニドポリマー;ポリアミノプロピルビグアニド;抗真菌特性を有する重炭酸ナトリウム(NaHCO3);乳酸;銅合金表面が含まれる。1940年代~1950年代初頭にかけて、様々なグリコール、主にプロピレングリコールおよびトリエチレングリコールを使用した、多様な細菌、インフルエンザウイルス、およびPenicillium chrysogenum(以前は、P.notatum)カビ菌の不活化が、研究によって示された。
【0081】
すべての種類を含む抗生物質[例えば、Anthony RM Coates、Gerry Hall、およびYanmin Hu、「Novel classes of antibiotics or more of the same?」、Br J Pharmacol.2011 5月;163(1):184~194を参照]もまた、本発明の組成物中の抗微生物剤として使用され得る。
【0082】
粘度修飾剤およびゲル形成物質
本発明の実施形態では、組成物は、ゲル形成物質または粘度修飾剤を含み得る。例えば、微小フィブリル配合物は、ゲル形成物質(微小フィブリルを含まない)または粘度修飾剤でさらに修飾することができる。
【0083】
粘度修飾剤は、本発明で使用される水もしくは水溶液またはキャリア流体中に溶解したときに粘度を増加させる物質であり得る。そのような物質の例には、以下:カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。そのような添加剤は、水の粘度をその通常の値の約1センチポアズから500~10000センチポアズ(mPa・s)以上の範囲の値まで増大させることができる。そのような特性はまた、成分の可能性のある分離を防止し、安定性を提供し、より長い貯蔵寿命を有する組成物を提供するための懸濁剤として機能し得る。カーボポールなどの降伏剪断応力およびゲル網状構造の剛性を増加させることができる他のポリマーもまた、本明細書の他の箇所で説明されるように使用することができる
【0084】
本発明の実施形態では、ヒドロゲルであり得る均質なゲル(繊維または微小フィブリルを含まない)であり得るゲルを提供することができる。そのようなゲルは、100~10,000センチポアズ以上の範囲内のように、水の粘度よりも大きい粘度を提供する。このような説明のために、非ニュートン流体について粘度が剪断速度の関数であることを理解すると、考察された粘度は、洗浄用途にとって対象となる条件での平均または有効粘度であり得る。そのような粘度は、ハーゲン-ポアズイユの法則で使用されたときに、観察された体積流量と観察された圧力降下とを最もよく相関させる粘度の値であり得る。均質組成物は、グリセロールもしくは砂糖などの小分子量増粘化合物、またはセルロース系もしくは非セルロース系のいずれかの高分子、あるいはシリカまたはラポナイト、ヘクトライト、ベントナイトもしくは他のものを含む粘土などの無機ゲル形成物質から作製され得る。そのようなゲルは、それらが(本明細書の他の箇所で説明されるように)固体または繊維を含有しない場合であっても、汚染除去に有用性を有し得る。均質なゲルに基づく組成物は、本明細書の様々な箇所で考察されるように、医療デバイスまたは物品の貯蔵のためであり得る。また、そのようなゲルは、本明細書の他の箇所で説明されているように、洗浄にいくらかの有用性を有する可能性がある。
【0085】
ゲル形成剤または粘度修飾剤の選択に影響を及ぼし得る要因は、その物質がチャネル内に存在した後にそのチャネルからすすぎ洗いすることができる容易さである。いくつかのゲル形成物質は、水に非常に溶けやすく、これが、それらをすすぎ洗う能力に寄与する。例えば、中分子量または高分子量のポリエチレンオキシド(PEO)およびポリエチレングリコール(PEG)は、非常に水溶性であり、すすぎ洗いが容易である。そのような組成物が十分な量の様々な追加の物質を保持することができる限り、それらは、本発明の実施形態に従って有用であり得る。
【0086】
吸湿性添加剤
本発明の実施形態では、特に組成物が長期間(例えば、貯蔵のために)医療デバイスの通路の内側に、または表面と接触したままであることを意図する場合、流体組成物は、吸湿性であり得るか、または長期間の乾燥を阻止するために、保湿剤を含有し得る。乾燥は、汚染物質の付着を増加させる可能性がある。吸湿性または保湿性添加剤としては、以下:プロピレングリコール;ヘキシレングリコール;ブチレングリコール;グリセリルトリアセテート;ネオアガロビオース;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコール(糖ポリオール)などが挙げられる。粘度修飾剤またはゲル形成剤として機能するいくつかの物質もまた、この目的を果たすことができる。他の吸湿性添加剤には、以下:ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコール;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリアクリル酸(Carbomer(登録商標)として入手可能);ポリビニルピロリドンが含まれる。これらの物質は、吸湿性ならびに親水性である。親水性物質も、少なくともある程度吸湿性である傾向がある。
【0087】
保存剤
本発明の実施形態では、組成物は、特に組成物のうちのいくつかについて、保存剤を含み得る。例えば、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、または細菌の増殖を補助することができる他の物質などの成分を含有する組成物中に、保存剤を含めることが適切であり得る。そのような保存剤は、例えば、増殖を防止し、約1年以上の製品貯蔵寿命を提供する濃度の安息香酸ナトリウム、安息香酸、メチルパラベン、または他の保存剤化合物であり得る。
【0088】
アジュバント
実施形態の組成物は、いくつかのアジュバント(着色剤、保存剤、懸濁剤、香味剤、および当該技術分野において知られている他のもの)を含み得る。これらの目的のために適切な添加剤を使用することができる。
【0089】
今説明した型の添加剤および成分を考慮に入れて、以下は、本発明の実施形態で使用することができるキャリア流体、より具体的には、水性キャリア流体のいくつかの可能な配合物である。
【0090】
例示的なキャリア流体1
「CS-19」と呼ばれ得る、例示的なキャリア流体を、表4に列挙する。
【表4】
【0091】
ACUSOL 445Nは、液体布地洗剤、洗濯添加剤、産業用および施設用洗剤などの用途に使用するのに最適な分子量を有するアクリル酸のホモポリマーである(Rohm and Haas Company、Philadelphia、PA)。Dehypound Advancedは、Caprylyl GlucosideおよびDecyl Glucoside、ならびにDeceth-5およびPPG-6-Laureth-3(BASF Corporation、Florham Park、NJ)であると考えられる。Dehydolは、非イオン性乳化剤として使用されるラウレス-4ポリマーである(BASF Corporation、Florham Park、NJ)。
【0092】
例示的なキャリア流体2
「修飾CS-19」と呼ばれ得る、例示的なキャリア流体を、表5に列挙する。
【表5】
【0093】
DPMは、ジプロピレングリコールメチルエーテルCH3O[CH2CH(CH3)O]2H(いくつかの異性体のうちの1つ)(Dow Chemicalから入手される)である。
【0094】
すすぎ
すすぎは、温かい、好ましくは約30℃~約45℃の水で実行され得る。本発明の実施形態では、すすぎは、滅菌であるか、または細菌および微生物を含まない、水もしくは水性組成物を用いて実行することができる。そのような水もしくは水性組成物は、濾過によって生産することができ、または例えば低濃度の過酢酸のような低濃度の抗微生物殺菌剤もしくは滅菌剤を使用することが可能である。すすぎは、脱イオン化されたか、逆浸透によって生産されたか、または蒸留によって生産された水などで実行することができる。すすぎプロセス中に、分光法、伝導率、特殊試験片、表面張力、またはデバイスから出る液体の組成を試験する他の適切な方法を含む、実時間試験手順を使用して、適切なすすぎがいつ達成されたかを決定することができる。試験は、洗浄組成物のポリマー成分について行うことができる。
【0095】
この特許出願に列挙された者と同じ発明者のうちの何人かによる過去の研究(米国特許第6,454,871号および同第6,857,436号ならびに同第8,226,774号など)では、二相液体-気体流が狭いチャネルからそのようなポリマー材料を除去するのに有効であることが実証された。そのような手順では、使用することができる、体積基準での液体と気体との典型的な比は、約1:1000である。一般に、流路を横切る最大許容圧力降下のような一般的な一連の条件に対して、二相流は、単純な液体流よりもはるかに良好な洗浄が可能である。したがって、必要に応じて、二相流を利用することができる。
【0096】
すすぎのために、乱流を利用することができる。すすぎの後、アルコール、次に空気を、チャネルに通過させて乾燥させることができる。乱流様式は約2000を超えるレイノルズ数で存在すると仮定することができるが、その数の近くに遷移領域があることが知られている。
【0097】
レイノルズ数を決定する目的のために、レイノルズ数を計算する際に使用される速度は、バルク速度(断面積で割った体積流量)であり、使用される粘度は、ハーゲン-ポアズイユ方程式に代入されるときに、観測された体積流量を観測された圧力降下と相関させる、粘度であるだろう。洗浄組成物の粘度は、本明細書の他の箇所で説明されているように、すすぎ組成物の粘度よりもはるかに大きい可能性があるだろう。すすぎ組成物は、純水の粘度と同様の粘度を有し得る。その長さに沿って通路を有する内視鏡チャネルの場合、洗浄組成物およびすすぎ組成物の両方のための流動状態の選択は、通路の長さにわたる全体的な圧力降下、典型的には約2~3気圧以内にとどまる必要性によって影響を受ける可能性が高いであろう。洗浄組成物の典型的に大きな粘度のために、洗浄組成物の流動が層流になり得る可能性がある。すすぎ中の乱流の使用は、通路の幾何学的形状が膨張または分岐のような幾何学的不規則性を有する場合に役立ち得ると考えられる。例えば、そのような不規則性は、洗浄組成物を適切にすすぎ洗うことが特に困難な場所であり得る。乱流を用いると、すすぎ組成物の流動はより徹底的かつ迅速に不規則な形状に広がる可能性があり、それによってより良好なすすぎがもたらされると考えられる。現在、専門家は、すすぎ中の乱流および乱流混合の重要性を認識していない。
【0098】
潤滑性物質の任意選択的な最小化
特定の実施形態では、それらの純粋なまたはほぼ純粋な形態であるときに潤滑性であるという性質を有する物質について慎重であることが適切であり得る。油性物質を潤滑性であると考えることは一般的であるが、追加の物質は、潤滑性であるべき水溶性または水混和性物質を含めて、潤滑性であり得る。潤滑性物質は、フィブリルもしくは研磨粒子が洗浄されることが望まれる表面と接触する可能性を減少させる可能性があり、そのような接触の減少は、汚染物質に作用する剪断もしくは研磨作用を減少させ得る。その量を滑らかな量未満に制限することができる物質は、以下:グリセリン、グリセリンエステル、オレイン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プロピレングリコール、脂肪酸エステル、長鎖疎水性界面活性剤、ラウレス硫酸ナトリウム、塩化ベヘントリモニウム/アモジメチコン、シメチコン、および他のシリコン化合物が含まれる。
【0099】
剪断減粘および実質的なプラグ流
本発明において有用な剪断減粘が、図3に例示され、1.4%w/wのセルロース系微小フィブリル(図に示されるような、Exilva Forte(Ef)、Exilva piano(Ep)、およびExilva piano light(Epl))の様々な水性組成物の粘度が、試験デバイスにおいて使用されるパドルの毎分回転数の関数として示される。使用される試験デバイスは、Anton Parr Physicaモデル501のレオメーターである。
【0100】
実施形態では、洗浄組成物は、約2倍以上、もしくは約3倍以上、または約4倍以上の粘度低下率で、5rpm(剪断速度3.33/秒)~30rpm(剪断速度20/秒)までの剪断減粘を示す。
【0101】
図4では、約20mL/分の流量で見られる圧力について、勾配が急激に減少している。試験は、長さ12フィート、内径3.2mmのPTFEチューブを通してポンプ注入された1.4%組成のExilva forteについてであった。図は、原点から特定範囲(ここでは、約20mL/分まで)で始まり、圧力降下が流量と共に単調に増加することを示す。次に、特定の流量を超えると、ある種のプラトー、または少なくともその増加がそれほど急速ではない領域(ここでは、約22mL/分~約58mL/分)に到達することがある。次に、さらに大きな流量を超えると、圧力降下が流量と共に再び増加するか、またはプラトー領域におけるよりも急勾配で増加する。そのような特性の詳細は、組成によって異なり得る。この説明に限定されることを望まないが、第1の領域は、プラグ流と呼ばれ得るものに対応すると考えられ、ここで、断面の中心部の網状構造は、大部分が無傷のままであり、網状構造の剪断および破壊は、主に壁または境界付近で起こる。特性のプラトー領域は、網状構造の破壊がより広く起こる状況に対応すると考えられる。特性の第3の領域は、網状構造が完全に破壊された状況に対応すると考えられる。他の領域で有用な洗浄を得ることができるが、洗浄は、第1またはプラグ流領域でより効率的であるように思われる。
【0102】
降伏剪断応力-弾性
粘弾性材料のレオロジーは、複素弾性率によって説明することができる。この発明と共に使用するためのレオメトリー機器は、材料に振動刺激を与え、振幅および位相角の両方に関して応答を測定する。これは、複素弾性率を測定することができ、それは、2つの部分に分割することができる。複素弾性率は、弾性特性を説明する貯蔵弾性率G’と、粘性を説明する損失弾性率G’’と、を含む。両方の分量が、パスカルの単位または類似の単位を有する。貯蔵弾性率G’は、弾性変形の状況における弾性率のようなものである。損失弾性率は、流動状況における粘度に関連する。測定はさらに、降伏剪断応力を生じる。1mmまたは2mmの間隙距離で25mmおよび50mmの平行プレートにより操作する、Anton Paar Physica RM 501レオメーターを使用する。G’およびG’’測定を、ラジアン/秒でのひずみ速度の関数として実行した。さらに、振幅掃引を、剪断応力(Pa)の関数として実行した。測定はすべて室温で行われる。
【0103】
理論に縛られることなく、出願人は、高い貯蔵弾性率G’を有する組成物がより大きな洗浄効率を有するであろうと仮定する。したがって、少なくとも数十Pa、おそらく数百Pa、またはさらにはそれ以上の貯蔵弾性率G’が望ましい。組成物の貯蔵弾性率G’または降伏剪断応力が汚染物質の弾性率よりも大きい(伝統的なバイオフィルムについては一桁のPaまたは低い数十Paであり、BBFについては数十Paであると考えられる)場合、洗浄効率はより高くなるであろうと提案される。組成物の貯蔵弾性率G’が損失弾性率G’’よりも大きいことが望ましいことがさらに提案される。
【0104】
降伏剪断応力を有する材料の場合、材料の上部が開いた容器では、露出面の一部分に負荷を加えることができ、特定の負荷までは、材料の表面が、アプリケータが表面を突き破ることなく、単に弾性的に変形するであろうと想定することができる。十分に大きな負荷では、負荷は材料の露出面を貫通して移動し、負荷のアプリケータの周りに流動のパターンを生成する。挙動が弾性変形から流動に変化する負荷は、降伏剪断応力に対応している。降伏剪断応力を有し、かつ絡み合ったフィブリルの網状構造を含有する材料については、測定された降伏剪断応力は、絡み合ったフィブリルの網状構造の強度を説明するものと考えられる。貯蔵弾性率は、網状構造の降伏剪断力、弾性特性、または剛性を説明する。
【0105】
微小フィブリル組成物は、比較的低い濃度/粘稠度で有意な降伏剪断応力を有する網状構造を生産することができる。降伏剪断応力は、網状構造の強度の指標である。水中における降伏剪断応力対Exilva(Borregaard)の重量%を、表6に示す。本発明の組成物によって示される降伏剪断応力は、網状構造中で絡み合っているか、もしくは密集しているか、または共に接続される、繊維もしくはフィブリル化した実体から生じると考えられる。この網状構造は、より高い剪断速度で、または剪断応力が降伏剪断応力形成フロックおよび網状構造断片を超えると、分割または破壊され得る。網状構造の崩壊に関する実際の機構は明確に理解されておらず、我々は理論に縛られることを望まない。
【0106】
約0.1~100パスカル、好ましくは約5もしくは約20パスカル~約50もしくは約60パスカルの範囲の降伏剪断応力を有する網状構造を発達させる能力は、一定期間チャネル内に保持されやすくなる洗浄組成物を生産するのに有用であり得、同時にその後、剪断減粘性(強力であり得る)のために、容易に排出され、かつチャネルから完全に洗浄され得る。約10~60Paのより高い降伏剪断応力を有する網状構造は、流動中にそれらがチューブ壁で汚染物質と接触して、チャネルからの汚染物質の除去をもたらすことができるような妥当な強度を保有することができる。降伏剪断応力は、洗浄中に実体がチャネル表面と接触する程度を予測することができるパラメータと見なされる。表6では、基礎濃度の微小フィブリルが、保持および流動を伴うこのような実施形態に好ましい降伏剪断応力を有する網状構造を形成することができると見ることができる。特定の実施形態について、組成物の降伏剪断応力は、約0.1もしくは1.0Pa~約200Paが有用であり、他の実施形態では、約5.0もしくは約20Pa~約60もしくは約100Paが有用である。
【表6】
【0107】
降伏剪断応力は、好ましくは、網状構造を破壊することなくプラグ流が発生し得るように十分高い。しかしながら、レオメーターによって決定されるような降伏剪断応力単独では、(絡み合いを生成する目的で)網状構造を作製する能力、またはさらにより具体的には、好ましいプラグ様式で流動する能力を完全には予測できない場合がある。
【0108】
1重量%を超える濃度の微小フィブリルなどの実施形態では、G’値は、G’’よりも高く、これはこれらのゲルが弾性固体として挙動することを暗示する。より高い濃度(>1.2重量%の微小フィブリル)で形成された網状構造ゲルは、かなりの剛性を有し、かなりの繊維間接触および微小フィブリル化実体の絡み合いのために、剪断応力を生じる。
【0109】
暫定Bの弾性および剛性の付録(以下に特定される)においてさらに解明されるように、束ねが存在しない場合、個々の繊維の強度がゲルの全体的な剛性を決定すると考えられる。束ねまたは凝集が存在する場合、束のばね定数は、繊維間結合に強く依存することが観察されている。繊維が強力な繊維間結合を有する束を形成する場合、束中のすべての繊維は連続弾性材料として挙動し、束の曲げ弾性率は束の直径の4乗に比例する。そのような強力な結合が存在しない場合、繊維は、個々の要素として挙動し、束曲げ弾性率の縮尺は、単に束直径の二乗に(漸近的に)比例するようになる。機械的変形の下では、繊維および繊維の下位群が現れることがあり、その結果、結合したサブ束と未結合のサブ束との混合物を生じる。このような場合、束の直径による弾性の縮尺が濃度による縮尺と直接関係しない場合のように、束の曲げ弾性率は、束の直径に依存する。したがって、網状構造の弾性は、微小フィブリル材料の濃度および繊維もしくはフィブリルの寸法、繊維間接触および絡み合いによる相互作用もしくは結合を含む特性を選択することによって調整することができる。実施形態では、ゲル網状構造組成物の弾性は、微小フィブリル材料の混合物を使用することによって、かつ異なる寸法および弾性率(例えば、微結晶セルロースなど)の補剛要素を加えることによって、またはそれらの組み合わせによって調節することができる。したがって、当業者は、本発明の実施形態を用いて、所望に応じて異なる用途に用いるために異なる特性を有する一連の組成物を作製することができる。したがって、本発明は、本明細書で説明される例示された材料に限定されることを意味しない。
【0110】
個々の繊維およびフィブリルの機械的特性に加えて、繊維間接触および絡み合いを含む繊維間相互作用は、ゲル網状構造の剛性に寄与する。MacKintoshら、Phys.Rev.Lett.、1995、75、4425~4428は、網状構造を形成する繊維の濃度に対する剛性の依存性を予測した。繊維間接触、絡み合い、および追加された補剛要素などの濃度以外のパラメータに対する剛性の依存性は、本発明のゲル網状構造を説明するために考慮される必要がある。SEM顕微鏡写真および濃度による弾性の縮尺に基づいて、ロッド網状構造に基づくモデルが有効であり得る。そのようなモデルでは、剛性は、個々の繊維の曲げばね定数を含む多くの要因に依存する。
【0111】
境界フロック表面衝突
出願人は、微小フィブリルのフロックとチャネルの表面との間の衝突数の概算を行い、境界フロックが1メートル移動するにつれて、これは所与の境界フロックと表面との間の10,000回の衝突であり得ると計算した。この種の計算は、2016年9月30日に出願された米国仮特許出願第62/402394号(「暫定A」)および2017年9月27日に出願された同第第62/563975号(「暫定B」「併せて、「暫定」)に提示されている。さらに、このようなモデル化は、汚染粒子と壁に最も近い繊維部分との間の薄い間隙の形成が、この間隙内の局所剪断速度(剪断応力)が数桁で壁表面にわたって平均化された剪断速度を超え得るため、汚染物を除去するのに十分であると仮定する。そのようなモデル化に基づいて、間隙内の局所剪断応力は、例えば平均バルク剪断応力よりも約30倍大きくなり得る。このモデル化は、暫定に概説されている。網状構造の内部上のフロック(衝突フロック)は、境界フロックと衝突し、表面衝突を増加させ、チャネル壁を流体流の効果から保護する空乏層効果を克服するのに役立つと仮定する。
【0112】
表面に付着しているバイオフィルムは、バイオフィルムが表面から剥離する前に耐えることができる剪断応力によって説明することができる。伝統的なバイオフィルム(架橋されていない)の剪断強度は、5~20Paの範囲内であり、BBFの剪断強度は、10~50Paの範囲内であると考えられる。さらに、本発明の組成物は、バイオフィルムの剪断強度よりも大きいか、またはほぼ等しい、バルクおよび局所的な降伏剪断応力ならびに流動中に生成される力を達成し、バイオフィルムの断片化および剥離を促進することができると考えられる。局所剪断応力は、はるかに高い値まで上昇し得ると考えられているが、バルク剪断応力は、所与の材料を除去するための組成物の有効性に関して優れた経験則を提供すると考えられる。組成を調節することを通して、約1~100もしくは200Pa、または約5Pa~約50Paの範囲のような高い降伏剪断応力を有する組成物を配合することができる。
【0113】
暫定的にもモデル化されているように、処理数TNは、流動中のチューブ表面処理の数(任意の所与の領域が境界フロックと接触する回数)を予測する。処理数TNが<1である場合、洗浄が十分でない可能性がある。我々の洗浄中に繊維による何倍ものチューブの処置を、微小フィブリルを含むゲルの流動と共に達成することができる。これが、高レベルの洗浄が行われ得る理由を説明している。ここで説明されるものとよく似たパラメータを使用すると、体積変化数やフロックの寸法、およびチューブ壁とのそれらの接触面積に応じて、処理数は、100~10,000回の範囲になり得る。本発明の一実施形態では、1を超える計算処理数が望ましく、高レベルの洗浄を達成するためには、約25、50、または100を超える処理数が有用である。
【0114】
チャネル洗浄用の追加の操作パラメータ
実施形態では、組成物は、比較的無傷のフィブリル化網状構造として低速もしくは低剪断速度で流動させることができ、その結果、プラグ状の流動が実現され、網状構造はチャネルの壁付近で無傷もしくはほぼ無傷であり得る。このように、流動網状構造の境界におけるフロックもしくはフィブリルは、チャネルもしくは通路の表面に触れて、これと何らかの形態の接触を作製し、脱着、剥離、隔離、もしくは網状構造への組み込みを伴う直接的もしくは間接的な作用によって汚染物質を除去し、閉じ込められた汚染物質を網状構造と共にチャネルもしくは通路の出口に移動させると考えられる。理論に縛られることなく、この場合の洗浄もしくは除去の作用は、表面との直接接触、または汚染物質の剥離および除去を引き起こすチャネルの表面近くでの高剪断応力の間接的な発生を伴い得ると考えられる。実施形態では、プラグ網状構造の線速度は、洗浄有効性の診断に役立つ。好ましいと見出される例示的な線速度は、約1.0cm/秒~約10cm/秒のものを含む。網状構造が流動中に無傷またはほぼ無傷のままである様式におけるゲル網状構造のより高い線速度は、これがより短い洗浄時間を提供するため好ましい。理論に縛られることなく、壁との接触またはほぼ接触を生じさせることができるゲル網状構造の可能な最高の線速度が、一般的には好ましい。
【0115】
洗浄速度は、例えば、流量、圧力降下、および使用される組成物中のポリマー材料の濃度を調節することによって操作することができる。処理時間は、汚染物質の性質に応じて1分程度の短い時間、または約30分以上の長い時間であり得るが、実施形態では、約2分~約10分程度であり得る。洗浄パラメータは、上記で説明されるように、流動する網状構造が、表面で無傷またはほぼ無傷のままであり得るように調節することができる。理論に縛られることなく、フィブリル化網状構造がより高い流量で劣化するにつれて、より有効でない洗浄が一般的に得られるだろうと考えられる。ポリマー材料とチャネル表面との直接接触は、実質的に無傷の網状構造のプラグ状の流動と比較して少ない場合があるが、そのような凝集した流動による汚染物質の除去および洗浄は依然としてかなりある。例えば、緩い細菌および有機質土壌は、例えばBBFと比較して強度が低いため、凝集した流動によって洗浄され得る。
【0116】
約1.0mm~約4mmの内径を有するチャネルからバイオフィルムを除去するために使用される体積流量は、プラグ様流動洗浄モードの間、約5~約70ml/分の範囲内であり、流動様式が凝集または断片化した流動である場合、これよりも大きい場合がある。「凝集した流動」および「断片化した流動」という用語は、同義語と見なされ、網状構造が断片またはフロックに分割されたときの条件を表す。体積流量は、チャネルの直径および流動様式に応じて約100~約400ml/分の範囲でさえあり得る。
【0117】
実施形態では、狭いチャネルの内径は、典型的には、約0.6mm~約6.0mmの範囲内である。実施形態では、狭いチャネルの内径は、約20~約350cm以上範囲内の長さを有し得る。
【0118】
組成物は、例えば、約20℃~約80℃の範囲の温度で使用することができる。
【0119】
洗浄されるチャネルが約2~約4mmの内径を有する実施形態(例えば、SBチャネル)については、以下のパラメータ(約~約)が例示的に有用である。
【表7】
【0120】
洗浄されるチャネルが約1~約2mmの内径を有する実施形態(例えば、空気または水(A/W)チャネル)については、以下のパラメータ(約~約)が例示的に有用である。
【表8】
【0121】
フィブリルは、組成物中の様々な成分の選択によって影響を受けるか、または操作され得る表面電荷を有し得る。フィブリルの全部または大部分が同一に荷電された場合、それらは互いに反発し、そうでない場合よりも主なフィブリルから離れて伸長する傾向がある。これは、フィブリル化材料を非常に小さいスケールで有効に粗くするであろうし、実施形態では、より良好な洗浄を改善すると考えられる。カルボキシメチルセルロース(CMC)、または同様の荷電ポリマーもしくは粒子が、そのような表面電荷を提供することができる。CMCのような少なくとも特定のそのような実体については、潤滑性などの有害な機能を提供する濃度は回避される。また、過剰な濃度が空乏層を増大させる可能性があり、その結果、より大きな実体が流体力学的潤滑力のために固体境界との接触から遠ざけられることがある。濃度は、タンパク質またはBBF汚染物質に対する試験によって経験的に決定され得る。
【0122】
組成物は、微結晶セルロースまたは沈降炭酸カルシウム、シリカなどの粒状材料を含有し得ることが本明細書の他の箇所で考察されている。そのような添加剤の存在は、そのような添加剤を含まない同じ組成物と比較して、洗浄組成物の剛性を増大させると考えられる。
【0123】
洗浄組成物の降伏剪断応力τyは、以下:補剛固体添加剤の添加(微結晶セルロースもしくは沈降炭酸カルシウムまたはシリカなど);ポリマーとフィブリル化セルロースなどのフィブリル化材料との混合物の配合;イオン性ポリマーの場合のような、互いに反発することによるフィブリルの伸張のうちの任意の1つ以上によって調節され得る。
【0124】
カーボポールは、本明細書の他の箇所で考察されるように、セルロースのフィブリルまたは本明細書で考察される他のポリマーのフィブリルの構造とは異なる何らかの構造を有するゲルを形成する添加剤である(凍結破砕SEMによって見られるような)。カーボポールは、配合物の降伏剪断応力を増加させるために補剛成分として使用することができると見出されている。他のポリマーも同様に使用することができるだろう。同時に、本明細書で説明される任意の他の成分も使用することができるだろう。これは、降伏剪断応力の増加、フィブリル化網状構造の強度の増加の指標を提供するためのフィブリル化材料とポリマーとの混合物の例である。
【0125】
本明細書で説明される任意の組成物は、抗微生物物質または抗生物質を含有し得る。
【0126】
繊維は、他のプロセスによって生産された繊維と共に、リヨセルプロセスによって生産されたものを含み得る。例えば、洗浄組成物は、本明細書の他の箇所で考察されるように、Exilva forteおよびExilva piano liteのいずれかまたは両方を含み得、さらに、リヨセルプロセスによって生産された繊維を含み得る。リヨセルプロセスは、紡糸口金を通して材料を押し出して繊維を形成することを伴う。米国連邦取引委員会は、リヨセルを「ヒドロキシル基の置換が起こらず、化学中間体が形成されない有機溶液から沈降されたセルロースから構成される」繊維と定義している。リヨセルプロセスによって生産された繊維は、様々なグレードのExilvaの繊維よりも粗いと考えられている。したがって、リヨセルプロセスによって生産された繊維は、他のフィブリル化材料によって形成されたフィブリル化網状構造内に絡み合っている研磨要素として機能し得る。
【0127】
本発明の実施形態は、フィブリル化セルロースおよびフィブリル化アクリルまたは他の非セルロース材料の両方を含み得る。
【0128】
組成物調製のための混合パラメータ
組成物の不均一な混合は、平均よりも高い濃度の微小フィブリル(または他のポリマー)を有するいくつかの領域をもたらし得る。そのような局所領域は、小さな穴、または内視鏡もしくは医療デバイスの同様の幾何学的特徴の目詰まりの危険性を増大させる可能性がある。液体ビヒクル中での例えば微小フィブリルの不適切な膨張および混合は、流動中に小さな穴を詰まらせる可能性もある大きなサイズの凝集物をもたらす可能性がある。
【0129】
ゲルの活性化とは、微小フィブリルの絡み合いを引き起こす混合を指す。本明細書の他の箇所で考察されるように、微小フィブリルが互いにかなりの程度絡み合っていることが有利であり得、それが、チャネルの壁とのより良好な洗浄相互作用を生じさせ得る。この達成を助けるために、本発明の実施形態では、組成物の使用にほぼ間に合うように、組成物の初期製造後に攪拌もしくは混合または均質化工程を実行して、絡み合いを増大させ、微小フィブリルの分布の均一性を改善することができる。
【0130】
実施形態では、組成物の成分は、使用直前に混合するために、別々の成分として提供される。自動化され得る混合装置を提供することができる。
【0131】
チャネルバイアス
特定の状況では、組成物を2つ以上のチャネルへと流動させるために、1つのポンプを使用することが望ましい場合がある。他の状況では、チャネルは、個々のチャネルを通して洗浄組成物を別々にポンプ注入することを望ましくする、異なる直径または背圧における他の変動を有し得る。
【0132】
セグメント化流
さらなる観察は、説明された洗浄、汚染除去もしくは高レベルの殺菌、または本明細書で説明された他の機能を達成するために、特に狭いチャネルの長さを通した流動を伴う状況において、組成物の完全に連続的なプラグがチャネルもしくはチューブ中に存在することは必須ではない。例えば、チャネルを通る流動は、空気または水のセグメントと交互になる組成物の交互の一連の短いセグメントであり得る。例えば、プラグのそれぞれの長さおよび空気の長さまたは水の長さが互いにほぼ等しい場合、圧力降下は、組成物の連続的なプラグの場合の約半分になり得る。可撓性内視鏡の場合のように、同時に洗浄されるデバイスの圧力降下限界を超えないようにしながら、有効な洗浄を達成するために、組成物セグメントおよび交互の空気または水セグメントの長さを変えることができる。
【0133】
負圧
多くの内視鏡チューブについて、チャネルの内部に加えられるべき許容可能な陽圧には限界がある。そのような圧力限界の典型的な値は、約25psigである。本発明の一実施形態では、処理が一般に大気圧の環境で実施されると仮定すると、使用者は、圧力限界またはそれに近い圧力限界で通路の入口端に供給源圧力を加えながら、通路の排出端に準大気圧を加えることができる。これにより、通路の公称圧力限界よりも大きい通路を横切る全体的な圧力降下を達成することができる。例えば、通路の排出端に加えられるそのような負圧は、約-10psigであり得、これは依然として、キャビテーションまたは水の沸騰を引き起こすほど低くはない。このようにして、通路の入口から排出までの圧力降下は、25psig-(-10psig)、または35psidの大きさになり得る。同時に、通路の壁が受ける外向きの圧力は、決して25psidを超えず、通路の壁のある部分は、わずかではあるが許容できる内向きの圧力差を受ける。
【0134】
医療デバイスのプレップ
他の医療デバイスの例示として、使用後の内視鏡は、より正式な洗浄の前に、汚染物質の負荷を減少させることを意図した、時にはベッドサイドプレップと呼ばれるプレップ段階に供される。本発明の組成物を、この目的のために使用することができる。これらの組成物はまた、より伝統的なプレップ手順への追跡段階として追加され得る。プレップ後にデバイスのチャネル内に貯蔵される場合、組成物は、細菌がチャネル壁に再堆積する機会を減少させることができ、より正式な洗浄の初期段階で、より多くの負荷の細菌または他の汚染物質を洗い流すことができる。プレップ組成物は、微生物もしくはバイオフィルムの成長をさらに抑制するために、抗微生物剤もしくは抗生物質、またはそれらの混合物を含み得る。
【0135】
降伏剪断応力を有するゲル状または網状構造ベースの組成物は、チャネル内で物体として保持され、その内面と密接に接触することができる。代替的に、組成物は、いくらかゲル状でない場合があり、そのため、チャネルからいくらかの排水があり得るが、チャネルの空いた部分は依然として組成物の要素で被覆され、したがって微生物もしくはバイオフィルムの再生から保護されるか、または代替的に、組成物は、依然としてゲル状でない可能性があり、組成物が完全に排水されるが、チャネル壁は依然として組成物の要素で被覆され、したがって保護されたままであるか、あるいは代替的に、組成物は、チャネルの端でキャップによってチャネル内に封止され得る。汚染除去(「プレップ」)段階のために、細菌または他の微生物を死滅させ、それらの再生を防止するのに好適な組成物を選択することができる。「プレップ」は、表面を濡れた状態に保ち、乾燥を防止し、放置もしくは待機期間中に表面もしくはチャネルへの汚染物質の付着を防止し、したがってその後のすすぎおよび洗浄工程中の洗浄および除去を容易にするための成分を含み得る。プレップ工程またはプレップ段階中に、組成物をデバイスの外部の限られた表面に適用して、成長およびバイオフィルム形成を防止し、かつデバイスの表面への汚染物質の付着を防止するか、または減少させることができる。チャネルからプレップ組成物を排出するための流動中に、洗浄もまた、同様に起こり得る。
【0136】
デバイス貯蔵
他の医療デバイスの例示として、正式な洗浄および高レベルの殺菌後の内視鏡は、患者準備完了状態で貯蔵される。本発明では、デバイスは、洗浄またはベッドサイドプレップに関して本明細書で説明された組成物と同一または類似であり得る貯蔵組成物で満たされた状態で貯蔵され得る。典型的には、それらは滅菌である。滅菌貯蔵流体組成物を使用して、内視鏡またはデバイスを高レベル殺菌された患者準備完了状態に維持することができる。貯蔵汚染除去用組成物は、数分から数時間~数日もしくは数週間の範囲の期間、内視鏡内にとどまる可能性があり、次に、滅菌水、滅菌食塩水などの滅菌液体で内視鏡もしくはデバイスからすすぎ洗うことができる。内視鏡表面と汚染除去用滅菌貯蔵組成物との密接な接触が、貯蔵中のバイオフィルム形成もしくは成長を制限または防止することができ、したがって滅菌溶液を使用して貯蔵組成物が内視鏡外に洗い流された後に患者を治療するために使用される場合に、内視鏡が微生物を含まないか、またはほとんど含まないことを確実にすることができる。
【0137】
貯蔵の実施形態に適用可能であるが、洗浄プロトコルにも適用可能である発見は、本発明のポリマー組成物を流動させて処理し、次に例えば8時間適所に放置しておくことで、バイオフィルムをさらに緩めることである。したがって、洗浄プロトコルは、流動が約1、2、4、8時間以上停止し、次に再開することを求めることができる。
【0138】
本発明の実施形態では、内視鏡またはデバイスは、ベッドサイドプレップから始まり、続いて微小フィブリル組成物を用いて正式に洗浄し、最後に高レベルの殺菌を完了した後に貯蔵組成物を用いて、一連の組成物の適用を使用して加工され得る。他の順序を使用することができ、例えば、内視鏡をベッドサイドプレップ組成物で処理し、続いて微小フィブリル組成物のみで洗浄した後、高レベルの殺菌または滅菌を行うことができる。微小フィブリル組成物による洗浄がベッドサイドプレップなしで適用され、次に高レベルの殺菌または滅菌が続く、他の順序が想定される。当業者は、検討中のデバイスに応じて所望の結果を得るために他の方式を考案することができる。
【0139】
経口使用
一実施形態では、微小フィブリル組成物は、歯または口腔から歯科用バイオフィルムおよび歯垢を除去するために使用される。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、または微結晶セルロースを含む粒子を、本明細書で概説されるように添加することができる。組成物は、歯科用バイオフィルム、歯垢の除去および歯肉炎の予防のために特別に調整することができる、新しい種類の歯磨剤(練り歯磨き)を作製するのに有効な基材を含む。本発明の網状構造組成物は、ブラッシング中に歯の表面と接触するのに十分な強度を有する網状構造を保有するという点で、現在の練り歯磨き配合物/基剤とは異なる。S.mutansのG’は、文献[Vinogradovら、Biofilms、2004、1、49~56]中に測定されるようなこの範囲内にあり得るので、網状構造の剛性は、実施形態では、貯蔵弾性率が約2000Pa超または4000Pa超になり得るように調節され得る。この範囲の剛性は、本明細書の他の箇所で説明されているような組成物中に微結晶セルロースなどの補剛添加剤を含めることによって達成され得る。実施形態の組成物は、新しい機構および方法に従って有効な歯科用バイオフィルムの除去を達成するのに十分な摩耗特性を含む。界面活性剤、および香味剤を含むフルオロリン酸塩などの他の成分を、組成物に含めることができる。
【0140】
歯科用バイオフィルムを除去するのに有効な微小フィブリル組成物は、補助剤またはブラシまたはアプリケータを用いて歯の表面に押し付けると、それが相互作用して歯科用バイオフィルムと接触し、有効な洗浄をもたらすように、十分な強度を有する必要がある。本発明の網状構造は、短時間で、例えば2分で歯科用バイオフィルムを除去するのに十分な量の微小フィブリルおよび研磨粒子を含み得る。研磨粒子は、粒子が歯の表面と接触してバイオフィルムの研磨および除去を助けることができるような濃度のシリカ、炭酸カルシウムを含み得る。本発明の微小フィブリルは、食品、特にミクロフィブリル化またはナノフィブリル化セルロースなどのセルロースをベースとする材料に使用するために米国食品医薬品局によって認可されている。本発明の組成物は、主に研磨粒子の作用に依存する現在の製品とは異なる新しい種類の歯磨剤を表す。
【0141】
汚染物質標的の洗浄
本発明の組成物を用いて洗浄することができるさらなる材料としては、限定されないが、バイオフィルム、鉱物堆積物、スラッジ堆積物(下水または産業)、医薬品および化粧品残留物、環境残留物、食品残留物、皮膚残渣および残留物、メーキャップ残留物、創傷残渣、宿主の内外物体の残留物、自動車のほこりおよび汚れ、医療現場で表面に配設される細菌などが含まれる。さらに、本発明の組成物を使用して、顔料またはポリマーの新たな被覆のために表面の受容性を増大させることができる。実施形態では、表面は、目に見える引っ掻き傷を付けるか、または自動車などのような感受性表面を洗浄することを伴わずに、新しい層に備えることができる。
【0142】
開放表面
開放表面の洗浄は、手動もしくは自動のこすり洗いを適用することによって、または自動ブラシなどを含む他の機械的手段によって達成することができる。大きな表面積のフィブリル化構造は、それらを、チャネルの内側のすでに説明された流動とは対照的に、そのような開放表面から汚染物質を除去するのに有効にする。本発明の組成物は、意図する用途に適切であるように、0~数百パスカルの降伏剪断応力を有し得る。実施形態では、開放表面用の組成物は、放置すると非ディウェッティングという条件を有用に満たすことができる。非ディウェッティング特性は、重力による表面からの排水もしくはディウェッティングを防止するために、かつ/または付着促進界面活性剤もしくはポリマーを組成物に添加することによるなど、ディウェッティングを回避することができるように組成物の配合を調節することによって、ある程度の降伏剪断応力を有する組成物を作製することによって獲得され得る。
【0143】
流体またはゲルに懸濁されたナノ繊維を用いた内視鏡チャネルの内面の有効な洗浄は、当該内面に隣接する当該ナノ繊維の運動から生じると考えられる。洗浄プロセスの効率は、洗浄配合物のナノ繊維含有量を増加させること、および/または洗浄される表面に隣接する洗浄配合物の流速を上げることによって高められると考えられる。最初は、流速を上げると洗浄効率が上がるが、流速をさらに上げると、流体内にナノ繊維が不均一に分散し、その後いくらかの洗浄効率が失われると考えられる点に到達する。
【0144】
内視鏡内のポリマーチューブの管腔のような密閉されたチャネルの場合、管腔を通る洗浄配合物の質量流量を増加させると、管腔の内面に隣接する洗浄配合物の流速が増加する。開放表面については、当該開放表面に隣接する洗浄配合物を当該表面と平行に十分な速度で流動させるための他の方法が必要である。
【0145】
開放表面を洗浄するための第1のデバイス(およびそのための方法)が、図8に描写されており、洗浄配合物10が送達チューブ12を通して放出され、開放表面16に衝突して、送達チューブ12を取り囲む、拡大し続けるパドルを形成する。送達チューブ12は、チューブ端14が開放表面16に近接しているが接触していない状態で位置付けられる。洗浄配合物10は、送達チューブ12を通して流動し、開放表面16、近位チューブ端14に衝突し、次に流動線「F」によって描写されるように、半径方向外向きに流動する。よどみ区域「S」は、衝突領域の中心に存在すると考えられ、半径方向にはほとんどまたは全く流体運動がない。この区域の洗浄有効性は、低い可能性がある。区域「S」以外には、環状区域「E」が存在し、そこでは洗浄配合物10の半径方向速度が、効率的な洗浄を生じさせるのに十分であると考えられる。
【0146】
チューブ端14から出る洗浄配合物10の半径方向速度は、送達チューブ12を通る洗浄配合物10の質量流量に比例し、チューブ端14と開放表面16上の所与の点との間の分離距離に反比例する。流動が半径方向に続くにつれて、流速は、半径に比例して、かつ外向きの流動の濃厚化に比例して減少し、洗浄は効率が悪くなる。大きな領域を洗浄するためには、開放表面16のすべての部分が十分に洗浄されるように、送達チューブ12を開放表面16上で横方向に動かす。
【0147】
図9では、図1の装置の第2の実施形態は、チューブ端14に半径方向に添付されたディスク18を備える。送達チューブ12は、チューブ端14が開放表面16に近接しているが接触していない状態で位置付けられる。ディスク18は、チューブ端14から半径方向に伸長する。洗浄配合物10は、送達チューブ12を通して流動し、開放表面16、近位チューブ端14に衝突し、次に流動線「F」によって描写される、ディスク18と開放表面16との間で半径方向外向きに流動して、ディスク18の周囲を取り囲む、拡大し続けるパドルを形成する。図4では、洗浄配合物10の半径方向速度が開放表面16の効率的な洗浄を生じさせるのに十分である環状区域「E」は、ディスク18の存在が、ディスク18によって覆われた領域内の外向きの流動の濃厚化を防止し、したがって開放表面16の効率的な洗浄に十分な流速が、送達チューブ12からのより大きい半径方向距離にわたって維持されるので、図2の環状区域「E」よりも大きい。
【0148】
開放表面を洗浄するための装置および追加の方法
図10は、ディスク18が矢印によって示されるように回転される図9のデバイスを示す。流体力学の科学は、粘性流体が2つの平行プレート間の空間内に存在する場合、第1のプレートが静止して保持され、一方第2のプレートが第1のプレートに対して平行に動かされ、静止プレートに対する流体層の運動が、流体と可動プレートとの間の粘性相互作用によって生成されると教示している。この運動は、可動プレートの速度に比例し、クエット流と呼ばれる。図11に示されるように、この回転の効果は、より効率的な洗浄の面積「E」を拡大することである。
【0149】
図12に示されるように(ディスク18の一部分が切り取られ、その下にある洗浄配合物10の一部分が露出している場合)、流体の運動は、添付されたディスク18による、送達チューブ12を通る洗浄配合物10の流動から生じる半径方向成分「Vr」と、送達チューブ12の回転運動によって誘発されたクエット流によって生成される接線成分「Vt」と、を有する。これら2つの成分は、ベクトル的に加わり、流速「V」を生み出す。
【0150】
半径方向成分「Vr」は、送達チューブ12を通る洗浄配合物10の質量流量に比例し、送達チューブ12の中心からの距離「R」に反比例する。接線成分「Vt」は、ディスク18の接線速度に比例し、これは、ディスク18の角回転速度と回転中心からの半径方向距離「R」との積として計算される。
【0151】
代替的に、大きな開放表面積は、洗浄される開放表面と洗浄される当該開放表面と接触して保持される底面を有する洗浄パッドとの間に形成されたチャネルを通して懸濁ナノ繊維を有するゲルまたは流体を流動させることによって洗浄することができ、当該底面は少なくとも1つの開放チャネルを有し、洗浄される当該開放表面は当該少なくとも1つの開放チャネルの閉鎖部を形成する。図13を参照すると、洗浄パッド30は底面32を有し、その中に開放チャネル34が形成される。洗浄パッド30は、洗浄パッド30を通して開放チャネル34に接続する第1のポート38と、第2のポート40と、を有する。
【0152】
開放表面42のような表面を洗浄するために、洗浄パッド30は、図10に例示されるように、洗浄パッド30の底面32が開放表面42と接触する状態で配置され、洗浄配合物44が洗浄パッド30の第1のポート38に注入され、かつ洗浄パッド30の第2のポート40から回復される。洗浄パッド30の底面32が開放表面42と接触した状態で配置されると、洗浄パッド30の底面32の開放チャネル34に広がる開放表面42の部分と共に、洗浄パッド30の底面32の開放チャネル34は、第1のポート38および第2のポート40を接続する閉じた導管を形成する。
【0153】
第1のポート38に注入された洗浄配合物44は、導出導管を通って流動し、第2のポート40から回復される。洗浄配合物44の流速は、洗浄パッド30の底面32内の開放チャネル34に広がる開放表面42のその部分の最大洗浄効率を生み出すように選択される。洗浄パッド30を開放表面42の全体にわたってゆっくりと動かして、開放表面42のあらゆる部分に対して洗浄配合物44を十分な時間流動させる。
【0154】
示されていないが、当業者であれば、流動が、本発明の組成物を流動させるのに好適な任意のデバイスであるポンプによって引き起こされ得ることを認識するだろう。図8~13のデバイスは、バルク剪断応力を定義することができるように、組成物を閉鎖空間に流入させる。
【0155】
滅菌性
当業者であれば、組成物の滅菌性がいつ重要であるかを認識するであろう。例えば、プレップ洗浄では、滅菌性はそれほど重要ではない可能性がある。当然ながら、抗微生物剤または保存剤を使用して、組成物がさらなる微生物増殖のための栄養素を提供しないことを確実にすることができる。本明細書の別の箇所で説明されたいかなる成分の滅菌も、蒸気、ガンマ線照射、エチレンオキシド、電子ビーム、または任意の他の既知の滅菌方法によって実行することができる。
【0156】
追加のキャリア流体
可能なキャリア流体は、水、またはそれに溶解した特定の成分を含有する水性組成物である。しかしながら、キャリア流体は、例えば油性または油系液体を含む他の材料であり得る。キャリア流体は、有機溶媒を含むことができ、場合によってはそれに溶解した溶質を含む。キャリア流体は、エマルジョンであり得る。そのようなエマルジョンは、水中油型エマルジョン、もしくは油中水型エマルジョン、またはマイクロエマルジョンであり得る。微小フィブリルの混入前のその状態のキャリア流体はゲルであり得ることが、さらにまた企図される。キャリア流体という用語は、これらすべての可能な流体を包含することを意図している。
【0157】
洗浄される他の表面
内視鏡チューブのチューブ状部分の外側は、例えば、内視鏡のチューブ状部分をより大きなチューブの内側に配置し、かつ本発明の実施形態の組成物をより大きなチューブと内視鏡チューブとの間の環状領域を通して流動させることによって洗浄することができる。
【0158】
本発明の実施形態が特に有用となり得る医療デバイスは、動物の体内から流体を送達するか、もしくは取り戻すように構成されたチャネル、診断デバイス、撮像デバイス、または外科手術デバイスを有するものである。診断デバイスは、例えば、内視鏡、超音波プローブ、あらゆる種類の光学デバイスなどであり得る。撮像デバイスは、例えば、光ファイバカメラ、電磁波または音波などを放射および受信するデバイスなどであり得る。外科用デバイスは、例えば、ステント、切削工具、締め付け器具、縫合器具などを送達するデバイスであり得る。
【0159】
器官を灌流するためのデバイスを、本発明を用いて洗浄することができる。CPAPデバイス(持続的気道陽圧、一種の呼吸療法)も、本発明を用いて洗浄することができる。
【0160】
有用に洗浄することができるデバイスの別の例は、吸入カニューレであり、これは、吸引/灌注チューブとも呼ばれる場合がある。そのようなデバイスは、様々な医療目的、歯科目的、および他の目的のために使用され得る。そのようなデバイスは、典型的な内視鏡よりもはるかに堅いことが多い。そのようなデバイスは、金属、または任意選択に、十分に堅いポリマー材料から作製され得る。また、そのようなデバイスでは、典型的な内視鏡におけるよりも流路が短いことが多く、場合によっては、はるかに短いことさえある。いくつかのそのようなデバイスは、1つの通路を有する。いくつかのそのような場合、特にそれが吸引のために使用されることを意図する場合、通路は通気孔を含有し得る。通気孔は、所望に応じて、使用者の指で覆うことも、または覆わないこともできる。使用中、連続的な吸引源を、デバイスの近位端に接続させることができる。通気孔は、通気孔が覆われていない場合、主に通気孔の方法によって大気と連通し、かつデバイスの遠位先端ではほとんど吸引が感じられないように寸法設定することができる。通気孔が覆われている場合、吸引通路は、デバイスの遠位先端と連通しており、かつ治療を受けている部位から流体を吸入することができる。場合によっては、通気孔が細長くなるか、または涙滴状になり、そのため、所望に応じて使用者の指によって部分的に覆われて、送達される吸引量を微調節することができる。いくつかのそのようなデバイスは、2つの通路を有し、この場合、一方の通路を、処理部位に液体などの流体を送達するために使用することができ、他方の通路を、吸引または吸入のために使用することができる。
【0161】
そのようなデバイスは、通路の経路長Lを有し、かつ通路の内径Dを有するであろう。そのようなデバイスの場合、L/D比は、典型的な内視鏡チャネルの場合よりも小さい可能性がある。また、そのようなデバイスが金属製であるか、または典型的な内視鏡よりも堅い場合、そのようなデバイスは、より強く、かつより大きな内圧に耐えることができる通路壁を有することができる。まとめると、そのようなデバイスの場合、これらの事実は、典型的な内視鏡チャネルについて許容されるよりも粘性の高い流体の流動を可能にすることができるか、または壁により大きな剪断応力を生成するように流動することを可能にすることができる。
【0162】
本発明のさらに他の実施形態では、内視鏡のチャネルを洗浄することに加えて、本発明の組成物を以下の目的:外科手術前に手術野を洗浄するために手術時手洗いなどの皮膚のこすり洗いとして;ニキビなどの皮脂性(油性)皮膚を洗浄するための物質として;バイオフィルム、歯垢などを除去するための練り歯磨き(歯磨剤)として;プロテーゼ、さらにはすでに埋め込まれたプロテーゼの表面を洗浄するため;感染創傷を含む創傷の創面切除剤として;膜上の微生物付着物を洗浄するためなど、膜を洗浄するため;および(例えば、建物の表面から)カビを除去するため、のうちのいずれかのために使用することができるだろう。
【0163】
可能な産業(非医療)用途の例は、熱交換器のチューブの内部を洗浄することである。このようなチューブは、典型的には、内径が典型的にミリメートルで測定される、すでに説明された内視鏡チャネルよりも、内径が大きい。熱交換器チューブは、典型的には、センチメートルで測定される内径を有し、一般的にそれらは金属製であるだろう。それらは、説明された組成物および方法によって洗浄することができるだろう。説明された組成物および方法を使用して、パイプから放射性堆積物を洗浄するなど、あらゆる表面またはパイプを洗浄することができる。それらは、「ブタ」の形態で、すなわち、より大きな、ならびにより小さなチャネルを洗浄するのに好適な、流体の連続的な流動ではなく、個別のプラグとして使用することができる。
【0164】
半導体ウェハもしくは回路または製品の製造中に、シリコンなどの半導体材料のウェハを洗浄するために、説明された組成物もしくは方法のうちのいずれかを使用することも可能であろう。
【0165】
化粧品業界における用途では、ミクロフィブリル化セルロースが使用される場合、それは典型的には配合物中の濃厚剤(増粘剤)として使用される。繊維の濃度は、界面活性剤の濃度と比較して低く、そのような繊維の濃度は、典型的には、あまり絡み合いが生成されないような範囲内にある。したがって、フィブリルから何らかの洗浄効果がある場合、それは小さい。化粧品業界は、木材パルプ由来のフィブリルよりも、非常に細かい細菌由来のフィブリルを好む。皮膚または粘膜使用のためには、好ましくは、微小フィブリル濃度は、約0.1%w/w~約3%w/wである。
【0166】
そのような化粧品用途は、任意の動物と共に使用するための、ボディウォッシュ、手洗い、またはシャンプーとしての使用を含み得る。化粧品用途のための実施形態では、抗微生物機能は、適切な精油(複数可)によって提供される。
【0167】
本発明の組成物を使用して、ブレードを洗浄するか、または微細に研ぐことができる。
【0168】
さらに、本発明の組成物を使用して、電子デバイスの視聴画面、精密シリンダの表面、ピストンのシリンダ係合表面、食品調理表面、宝石の表面、ガラス表面を洗浄することができる。
【0169】
例示的な微小フィブリル組成物
例示的な塩基洗浄組成物は、表9に定義された材料を含み得る。
【表9】
【0170】
この組成物は、堆積された有機質土壌、ならびに有機質土壌および若い脆弱なバイオフィルムと混合された遊離した微生物などの、弱く付着している汚染物質を除去するのに十分である(それは、そのような汚染物を、ビヒクル単独よりも良好に除去する)。成熟または蓄積した架橋バイオフィルムを除去するのは、有効ではない場合がある。
【0171】
水中で0.5%未満の1つの試験された微小フィブリル組成物では、フィブリル化網状構造は形成されず、この組成物は、最小降伏剪断応力を示した。濃度が約0.5重量%から>2重量%に増加すると、フィブリル化網状構造が形成され、これは、1重量%のフィブリル化材料濃度で約1.5Paの降伏剪断応力、およびレオメーターの助けを借りて貯蔵弾性率によって測定されるような、1.4重量%のフィブリル化材料濃度で約40Paの降伏剪断応力を有する組成物によって証明された。フィブリル化網状構造による洗浄が好ましく、約5Pa~約100Pa(もしくは約5Pa~約60Pa、または約5Pa~約41Pa)の降伏剪断応力を有する網状構造による洗浄もまた、有用であると考えられる。組成物の適切なpHを有することは、汚染物質を除去するのに役立つ。より高いpHは、タンパク質および微生物を除去するのにより好ましいと考えられ、低いpHは、無機スケールなどの無機堆積物を除去するのにより好ましいと考えられる。
【0172】
例示的なベース洗浄組成物は、表10の成分を含むと定義することができる。
【表10】
【0173】
例示的な塩基洗浄組成物は、表11の成分を含むと定義することができる。
【表11】
【0174】
例示的な塩基洗浄組成物は、表12に定義される材料を含むことができる。
【表12】
【0175】
すべてのそのような組成物は、抗微生物剤、抗生物質、界面活性剤などを含む、本明細書で説明される追加の成分を含むことができる。
【0176】
例示的な有効な洗浄条件
狭いチャネルからBBFを除去するのに成功したことを証明した条件が、以下の表13、14、および15にある。キャリア流体は、CS-19と実質的に同様であり、pHは、約10~約11であった。
【表13】
【表14】
【表15】
【0177】
油負荷試験のためのプロトコル
油負荷試験では、6フィート切片の内径3.2mmのテフロン(登録商標)チューブを使用する。チューブ全体が、JIFクリーミーピーナッツバターで満たされている。そのラベルによると、このピーナッツバターは、ローストピーナッツおよび砂糖から作製されて、2%以下の糖蜜、完全に水素化された植物油(菜種および大豆)、モノおよびジグリセリド、塩を含有する。また、そのラベルによると、32g一杯は、190カロリー、16gの脂肪(飽和脂肪2.5g、トランス脂肪0g、コレストロール0mg)、炭水化物8g(食物繊維2g、砂糖3g)、タンパク質7g。洗浄効率は、目視で見られる。肯定的な結果は、陰性対照(ピーナッツバターを全く含まないチューブ)と目視では区別がつかないチューブであると考えられる。実施形態では、本発明の組成物は、この試験によって油の負荷を除去する。
【0178】
チャネルでのBBF洗浄
本明細書で説明されるように製造されるようなBBFの除去を試験するために、チャネルの中央部(チューブ)が縦方向に切り開かれ、走査型電子顕微鏡および培養によって検査される。陽性対照が明確なバイオフィルムを示す場合、陽性バイオフィルム除去は、2つの試験試料がバイオフィルムを含まないこと(陰性対照と実質的に等しい)によって示される。実施形態では、本発明の組成物は、BBFの除去に成功している。
【0179】
外面からのBBF洗浄
開放表面での洗浄は、走査型電子顕微鏡によって検査される。陽性対照が明確なバイオフィルムを示す場合、陽性バイオフィルム除去は、2つの試験試料がバイオフィルムを含まないこと(陰性対照と実質的に等しい)によって示される。実施形態では、本発明の組成物は、BBFの除去に成功している。
【0180】
生物負荷試験
生物負荷試験には、6フィート切片の内径3.2mmのテフロン(登録商標)チューブを使用する。チューブ全体を、約10CFU/mLのEnterococcous faecalis、Pseudomonas aeruginosa、およびCandida albicansを各々含有する、オーストリア土壌(iso.org;ISO/TS 15883-5:2005(E))で満たす。土壌をチューブ内に2時間放置する。
【0181】
チャネルの採取方法は、フラッシュ-ブラシ-フラッシュ法[Alfaら、2016、BMC Res Notes 9:258;Alfaら、2016、J Hosp Infect 93:83-88]に従って実行される。回収された試料は、40mLの滅菌逆浸透(sRO)水であり、洗浄ブラシの先端を含む。
【0182】
回収された試料を、以下の順序で加工される:1分間のボルテックス、5秒間の超音波処理を3回、および1分間のボルテックス。タンパク質定量は、QuantiPro(商標)BCAアッセイキットを使用して実行される。ウシ血清アルブミンを、タンパク質標準として使用する(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)。ヘモグロビンは、80mg/dLのシアンメトヘモグロビン標準(Stanbio Laboratory、Boerne、TX)を用いた酵素結合免疫吸着検定法(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)のための3,3’,5,5’-テトラメチルベンザジン液体基質システムを使用して測定される。炭水化物は、グルコース標準法を用いてフェノール硫酸によって測定される。生物負荷定量は、1:10の連続希釈、続いてBBL CHROMagar(商標)Orientation Media(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)上の0.1mLの各希釈を使用するスプレッドプレート法を使用して実行される。
【0183】
肯定的な結果は、タンパク質の約99.5%以上の減少、炭水化物の約99.5%以上の減少、および6桁の大きさを意味する、約6.0以上の3つの細菌の各々の減少に対する減少率RFによって定義される。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、生物負荷除去に関して肯定的な結果をもたらすのに有効である。
【0184】
本発明の方法による具体的な実施形態を、これより以下の実施例において説明しよう。実施例は例示にすぎず、いかなる方法でも本開示の残りを限定することを意図するものではない。
【0185】
本明細書に列挙されたすべての範囲は、その間の範囲を含み、それらの端点を包含することも除外することもできる。任意選択的な包含範囲は、その間の整数値(または1つの元の端点を包含する)から、列挙された桁もしくは次に小さい桁である。例えば、より低い範囲の値が0.2である場合、任意選択的な包含端点は、0.3、0.4、・・・1.1、1.2など、ならびに1、2、3などとなり得、より高い範囲が8である場合、任意選択的な包含端点は、7、6など、ならびに7.9、7.8などになり得る。3以上などの片側境界は、同様に、列挙された桁またはそれより1つ低い整数値で始まる一貫した境界(または範囲)を含む。例えば、3以上は、4以上、または3.1以上を含む。約1~10および約2~5のように2つの範囲が述べられている場合、当業者であれば、1~5および2~10の暗示範囲が本発明の範囲内であることを認識するであろう。
【0186】
その主題が実施形態、または特定の実施形態などに見られるとある文が言明している場合、その主題を論理的に適用することができる任意の実施形態に適用可能である。
【0187】
実施例1
この実施例は、説明された実験において使用するためのバイオフィルムを調製するためのプロトコルを説明する。このプロトコルは、伝統的なバイオフィルム(「TBF」)と呼ぶことができるものを生産する。
【0188】
予備工程
1.血液寒天(BA)プレート上での継代培養Enterococcus faecalis ATCC 29212およびPseudomonas aeruginosa ATCC 15442。生物は、実験の日には24時間経過しているべきである。
【0189】
2.試験に必要な6フィートの長さの内径3.2mmのPTFEチューブを、Steris System IE(BIおよびCIを含む)で滅菌する。徹底的に乾かす。必要な長さが試験の7日以内に滅菌されることを確実にする。
【0190】
3.20%の脱繊維ヒツジ血液を用いてATS-2015を調製する(この土壌は冷蔵庫に最大2週間貯蔵することができる)。微生物は、Alfaらによって公開されているように、人工試験土壌(ATS)に懸濁される(「Alfaら、2010.EVOTECH(登録商標)endoscope cleaner and reprocessor(ECR)simulated-use and clinical-use evaluation of cleaning efficacy,BMC Infectious Diseases.BMC Infectious Diseases 2010、10:20 www.biomedcentral.com/1471-2334/10/200)」を参照)。ATS土壌は、タンパク質、炭水化物、およびヘモグロビンを含む、胃腸内視鏡手術後に可撓性内視鏡内に残る有機残留物を模倣するために開発された。
【0191】
実験
1.日曜日の夜に、適切な土壌/バグ懸濁液(20%のヒツジ血液を含有するATS-2015でEFおよびPAが各々~108cfu/mL)を作製し、接種カウントを実行する。ポンプに取り付けた状態で、この懸濁液を適切な長さのPTFEチューブ(Steris System 1Eで予め滅菌されている)に通して供給する。ポンプ設定5.8(~1.2ml/分)で一晩土壌を循環させる-しかし、いかなる場合でも、連続的な中断のない循環を維持するように流量を調節する。
【0192】
2.月曜日の朝に、適切な土壌/バグ懸濁液(20%のヒツジ血液を含有する1:10希釈ATS-2015にEFおよびPAが各々~105cfu/mL)を作製し、接種カウントを実行する。ポンプの電源を切り、蠕動ポンプチューブに取り付けたまま、PTFEの長さから土壌を排出し、土壌を元の容器に戻す。ポンプチューブに取り付けたまま、60ccのルアーロックシリンジを使用して、20mLのsRO水+30mLの空気を(ゆっくりと)押し込む。ポンプからPTFEを剥離し(ポンプチューブを洗浄し)、PTFEを容器の内側の生物学的安全キャビネット(「BSC」)の下に持ってくる。PTFEを通して30mLのsRO水+30mLの空気を廃棄容器に押し入れる。2回繰り返す。チューブを乾燥させるために空気を少し通す。再び汚し(20%のヒツジ血液を含有する1:10希釈ATS-2015にEFおよびPAが各々約105cfu/mL)、(新しいポンプチューブを使用して)ポンプに取り付け、翌朝までポンプ設定5.8で循環させる。
【0193】
3.火曜日から木曜日には、月曜日とまったく同じようにチューブのすすぎ/汚れを繰り返す。金曜日の朝まで、105cfu/mLの土壌/バグ懸濁液を使用して一晩汚す。
【0194】
4.金曜日(5日目)に、sRO水で前日とまったく同じようにすすぐ。乾燥させ、必要に応じて破壊的な試験および他の試験を実行する。
【0195】
実施例2
BBFを作製するために、上記に説明される細菌、ATS、およびチューブ材料を、以下のプロトコルで使用する。
【表16】
【0196】
実施例3-微小フィブリルのすすぎ
オリンパス大腸内視鏡(モデル番号CF-100L)の空気チャネルおよび水チャネルで、すすぎ実験を実行した。CS-19中に2(重量)%の濃度でExilva Forteを含有するゲルを、計量ポンプ(モデル番号PM60、Fluid Metering,Inc.、Syosset、NY)を使用して10時間この内視鏡の空気および水チャネルに再循環させた。ゲルを、この内視鏡の臍端の空気-水ポートおよび空気チャネルを通して注入し、それが内視鏡の遠位端までずっと流動した。結腸鏡内のこのゲルの流量は、8.5mL/分であり、結腸鏡の入口で測定された平均圧力は、約24psiであった。次に、同じ計量ポンプを使用して、結腸鏡を、逆浸透(RO)によって調製された水で200ml/分の流量で10分間すすいだ。すすぎ水もまた、空気-水ポートおよび臍端の空気パイプを通して同時に注入された。結腸鏡の入口の平均圧力は、約14psiであった。洗浄およびすすぎの両方が完了した後、0.075%のTween-20溶液および28psiの設定圧力のHEPA濾過空気を使用する二相流回復法を使用して、この結腸鏡について試料採取手順を実行した。二相流中のTween-20溶液の流量は、16ml/分であり、二相流中に、空気圧は、約20psiに低下した。この実験の間、二相流を使用して約200mlのTween-20溶液の全体積を使用して、すすぎの質を調べた。流出物は、4つの別々の試料として回収され、それらは、以下のように説明される。
【0197】
試料1:この試料(約40~50ml)を、3分間の二相流の後に透明なカップに回収した。この試料では、いくつかの長繊維および繊維の凝固が観察された。また、この試料を1滴(約0.2gm)顕微鏡スライドに載せ、1本の長繊維を顕微鏡下で観察した。試料2:この試料(約40~50ml)を、2相流の3分の時点から6分の時点まで透明カップに回収した。いくつかの長繊維が観察されたが、試料1よりは少なかった。試料3:この試料(約40~50ml)を、2相流の6分の時点から9分の時点まで透明なカップに回収した。試料2とほぼ同じ数の繊維が観察された。試料4:この試料(約40~50ml)を、二相流の9分の時点から12分の時点まで透明なカップに回収した。この試料中にいくつかの繊維が観察されたが、試料2および3よりも少なかった。したがって、微小フィブリルは、実用的条件下で除去することができる。
【0198】
関連する実験において、出願人は、微小フィブリルが、ハンドル領域の空気-水シリンダ(スプールバルブ領域)に閉じ込められ、そのため、この領域および同様の複雑な構造を注意深くすすぐべきであることに注目した。
【0199】
実施例4-1.6mmのチャネルを通る微小フィブリル流
Exilva Forte-1%
CS-19中に1%のExilva Forte(Borregaard)ゲルを含有するゲルを、以下のような計量ポンプ(モデル番号PM60、Fluid Metering,Inc.、Syosset、NY)を使用して合計22時間オリンパス結腸鏡(モデル番号CF-100L)の空気チャネルおよび水チャネルに再循環させた:この結腸鏡の臍端の空気-水ポートを通してゲルを注入し、合計10時間再循環させた。次に、この結腸鏡の臍端の空気-水ポートおよび空気パイプを通してゲルを注入し、6時間再循環させた。次に、この結腸鏡の臍端の空気パイプを通して、ゲルを(臍端の空気-水ポートを閉じた状態で)注入し、6時間再循環させた。
【0200】
結腸鏡内のゲルの流量は、8.5ml/分であり、結腸鏡の入口で測定された平均圧力は、約24psiであった。各工程の後、結腸鏡を、逆浸透水で200~250ml/分の流量で10~15分間すすいだ。すすぎ水もまた、ゲルと同じポート(複数可)を通して注入され、結腸鏡の入口の平均圧力は、約14psiであった。
【0201】
目詰まりは観察されなかった。この実施例は、1%濃度のExilva Forteを含有するゲルが、目詰まりすることなく内視鏡の小さな(空気および水)チャネルを通過することができることを示す。
【0202】
Exilva Forte-2%
CS-19中に2(重量)%の濃度でExilva Forteを含有するゲルを、以下のような計量ポンプ(モデル番号PM60、Fluid Metering,Inc.、Syosset、NY)を使用して合計10時間オリンパス結腸鏡(モデル番号CF-100L)の空気チャネルおよび水チャネルに再循環させた:この結腸鏡の臍端の空気-水ポートおよび空気パイプを通してゲルを注入し、合計10時間再循環させた。
【0203】
結腸鏡の内側のゲル流量は、8.5ml/分であり、結腸鏡の入口で測定された平均圧力は、約24psiであった。各工程の後、結腸鏡を、逆浸透水で200ml/分の流量で15分間すすいだ。すすぎ水もまた、内視鏡の臍端の空気-水ポートおよび空気パイプを通して注入し、すすぎ中の結腸鏡の入口の平均圧力は、約14psiであった。
【0204】
目詰まりは観察されなかった。この実施例は、前の実施例よりもいくらか高い濃度、すなわち、2%濃度で、Exilva Forteを含有するゲルもまた、目詰まりすることなく内視鏡の小さい(空気および水)チャネルを通過することができることを示す。
【0205】
ここに報告されているような濃度は、組成物の全重量と比較した、Exilva製品の乾燥重量として計算されることに留意することができる。Exilva製品は、通常湿った状態で出荷されるが、組成物中の微小フィブリルの濃度を特徴付ける目的のために、それらが乾燥しているときのフィブリルの重量を参照する。
【0206】
実施例5-生物負荷の洗浄
本明細書に説明される汚れ実験では、別段示されない限り、汚れは、オーストリア土壌を用いて行われた。チャネルを汚染するために使用される土壌の体積は以下の通りである:内径3.2mmのチューブに対して10mL、内径1.6mmのチューブに対して3mL。土壌を、チューブ内に2時間放置した後、洗浄し、すすぎ、続いて残存汚染物質を採取した。他の箇所で説明されているように、滅菌逆浸透水および他のプロトコルを使用して採取を行った。
【0207】
Alfaによって開発されたようなATS土壌(米国特許第6447990号)を、本明細書の他の箇所で説明されたプロトコルに従って洗浄した後に、チューブまたはチャネル中の残存タンパク質、炭水化物、およびヘモグロビンを測定することによって医療デバイス洗浄を示す代理として使用した。本発明の実施形態を実証するために、他の有機質土壌模擬剤も使用した。「オーストリア土壌」は、ISO規格ISO/TS 15883-5:2005に従って作製された。
【0208】
この実施例で使用される微小フィブリル組成物は、0.4%の濃度のEFT社製の0.4%のナノフィブリル化セルロースであった。濃度は、重量によるものであり、キャリア流体の重量と共に繊維の乾燥重量を指す。ゲルは、CS-19キャリア流体中で作製された。組成物は、5分間または均質なゲル網状構造が形成されるまで、CS-19キャリア流体中でフィブリル化材料を均質化することによって作製された。洗浄網状構造組成物は、分離することなく貯蔵中安定していた。別段示されない限り、すべての洗浄実験を、室温で実行した。すすぎは蒸留水で行った。実験の詳細を以下の表に示す。
【表17】
【表18】
【表19】
【0209】
PCは、陽性対照で、汚れは洗浄されてなく、NCは、陰性対照で、汚れのない真新しいチューブであり、洗浄試験1および洗浄試験2は、互いに重複している。
【0210】
6.4マイクログラムのタンパク質および1.8マイクログラムの炭水化物の値は、Alfaらによって最初に公開されたように、業界に従って許容可能な洗浄と見なされるものの基準点である。デバイスがきれいであると見なされるために、洗浄後の炭水化物についての測定値は、1.8マイクログラム/cmの基準点の値未満でなければならない。本発明の技術による洗浄は、この基準点の値を確実に下回る洗浄レベルを達成した。
【0211】
この実施例の結果は、汚れたチューブを洗浄した後に測定された残留タンパク質レベルが、陰性対照とほぼ同じであることを示す。これにより、ほとんどすべての有機質土壌が、チャネルから除去されたことが示された。実際、陰性対照よりもさらにきれいである結果が達成されており、これは、この技術が製造中に存在していた汚染物質を除去したことを意味する。
【0212】
オーストリア土壌を用いて汚れを落とす実験を繰り返し、チューブを、湿った状態で30分間静置した後、チューブに空気を1時間30分間流して、土壌を乾燥させ、その後洗浄した。土壌をチャネルで乾燥させても、結果はほぼ同じであった。
【0213】
実施例6-生物負荷の洗浄
この実施例は、ATS土壌(人工試験土壌-T)(米国特許第6447990号)の除去を示す。これは、実施例4の繰り返しであるが、唯一の違いは、有機質土壌が実施例4で使用された土壌とは異なる土壌であったことである。洗浄およびすすぎの条件は、実施例4で使用されたものと同一であった。
【表20】
【0214】
Enterococcus faecalis(EF)、Pseudomonas aeruginosa(PA)、およびCandida albicans(CA)を土壌に導入した場合も、同様の実験を行った。これらの実験では、狭い1.6mmのチャネルであっても、洗浄後にゼロコロニー形成単位が回復された。これらの結果は、伝統的な機械的ブラッシングがなくても、顕著な洗浄レベルを達成することができることを実証している。
【0215】
実施例7-微小フィブリルのみを用いた細菌含有生物負荷の洗浄
実質的にEnterococcus faecalis(EF)、Pseudomonas aeruginosa(PA)、およびCandida albicans(CA)が添加された生物負荷試験を繰り返した。しかしながら、洗浄組成物は、RO水中の0.4%NFC(EFTecTMナノフィブリル化リヨセル繊維型L040-6SEFT(セルロース繊維))であった。これは、界面活性剤を含まないことを含めて、他のいかなる添加剤も使用せずに純水中で微小フィブリル構造を使用する。結果は、生物負荷の洗浄規格を満たした。細菌では、最悪の結果は、3.2mmのチャネルのPseudomonas aeruginosaについてであり、結果は、3.00×10(対1.78×10の陽性対照)であった。この実施例は、微小フィブリルの機械的作用だけで、この生物負荷および有機質土壌をきれいに洗浄するのに十分であることを示す。他の実験では、網状構造組成物中に他の成分を含めることにより、洗浄性がさらに向上し、洗浄時間も同じく短縮される。
【0216】
実施例8-バイオフィルムの洗浄
TBFは、本明細書の他の箇所で説明されるように、多種生物(Enterococcus faecalis(「EF」、ATCC 29212)、Pseudomonas aeruginosa(「PA」、ATCC 27853)、Candida albicans(「CA」、ATCC 14053))を使用して流通反応器中で成長させた。バイオフィルムを担持する、6フィート切片の直径3.2mmおよび1.6mmのテフロン(登録商標)チューブを、20~70mL/分の流量で水または界面活性剤溶液中に2重量%で作製された微小フィブリル(セルロース)ゲルを用いて、洗浄効率について試験した。チューブを、洗浄前後に試料採取し、SEMおよび培養法によって調べた。陽性対照および陰性対照を使用し、結果を、以下の「方法」で説明されるように、従来の手動洗浄と比較した。洗浄前(図5A)および洗浄後(図5B)のスライスオープンチューブのSEM顕微鏡写真は、多種バイオフィルムについて知られている高い付着強度にもかかわらず、表面からの並外れた/完全なバイオフィルム除去を示した。これらの肯定的な結果は、以下の表に要約されているものと同じチューブ切片の培養結果によって支持されている。1.6mmのA/Wチャネルからのバイオフィルムの除去は、繰り返しの実験において完全であったが、手動の洗浄は、バイオフィルムを全く除去することができなかった(図5C)。また、SEMおよび培養結果によって支持されるように、3.2mmのS/Bチャネルからのバイオフィルムの優れた除去(6ログ超の減少)があった。全体として、これらの非常に肯定的な結果は、微小フィブリル洗浄技術が、現在の方法と比較して、内視鏡からバイオフィルム(マトリックスおよび微生物)を除去する可能性を有することを実証している。バイオフィルムを有効に除去すると、CREなどの感染症を予防するだろう。重要なことに、この技術は、現在の方法ではブラッシングできない狭いA/Wチャネルからバイオフィルムを有効に洗浄することができる。
【表21】
【0217】
実施例9-内視鏡からの生物負荷の洗浄
内視鏡の汚れは、Enterococcus faecalis(EF)(ATCC 29212)細菌入りのATS-Tを用いて行われた。EFを使用したのは、チャネル表面との付着の程度が高いからである。使用された内視鏡は、Olympus Colonoscope CF-Q160Lであった。汚れた混合物を、内視鏡内に2時間放置した。2時間後、プロトコルに従って、前の実施例で説明されているように、洗浄およびすすぎを行った。ほぼ完全な回復を確実にするために、チャネルからの微生物または有機質土壌の採取を、2回連続して行った。修飾CS-19中の0.7%のExilvaとしての洗浄組成物。空気/水チャネル(A/W、内径1.2mm)の場合、洗浄流は、8mL/分~合計250mLであり、1,000mLのすすぎを行った。SBチャネル(内径3.7mm)の場合、洗浄流は、12mL/分~合計400mLであり、1,000mLのすすぎを行った。
【0218】
結果は、生物負荷の洗浄規格を満たした。細菌については、1つの実験4ログ10の減少があり、別のものでは、4ログ10近くの減少があった。
【0219】
この実施例は、実際の内視鏡における本発明の実施形態による洗浄の有効性を確認する。この実施例はまた、内視鏡に適用された技術が前の実施例で説明されたチューブ実験と同じ結果を生産することを示す。空気/水および吸引/生検の両方のチャネルは、手動のブラッシングまたは他の操作なしで非常に高いレベルまで洗浄される。データはまた、前の実施例で詳述されるように、テフロンチューブでの試験の場合のように有機質土壌の除去が極めて成功したことを示す。
【0220】
実施例10-強化バイオフィルム洗浄
利用された条件(流動時間など)下では、微小フィブリル組成物は、BBFを完全には除去しなかったが、微結晶セルロースを添加した組成物(FMC Corp.製のNT-200)は、BBFを除去した
【0221】
BBFは、本明細書の他の箇所で説明されるようなプロトコルに従って、8日間にわたって直径3.7mmのテフロンチューブ中に形成された。同じチューブを2つの切片に分割し、以下の表に提供されたものと同様の流動状態下で、2つの組成物(241および242)を使用してBBF除去について評価した。懸濁用流体は、実質的に修飾CS-19と同様であった。
【表22】
【0222】
Anton Parrレオメーターモデル501を使用して、周波数掃引は、G’およびG’’が [(210と260Pa)]との間の低い組成物241と比較して、組成物241が有意に高い弾性特性[高いG’(2500Pa)および低いG’’(500Pa)]を有することを示した。2つの組成物の振幅掃引(G’およびG’’のプロット対剪断応力)は、組成物241のクロスオーバー剪断応力値が約45Paであるのに対して、組成物242のそれは約13Paにすぎなかったことを示す(図2)。クロスオーバー剪断応力値は、ゲル網状構造強度(降伏剪断応力)の指標であるので、組成物241は、組成物242と比較して、はるかに強いゲル網状構造である。この実施例の結果は、実証されたG’およびG’’およびそれらの相対値としての網状構造剛性、ならびに降伏剪断応力によって示されるような網状構造強度が、ここでBBFによって例示されるような汚染物質を除去する網状構造の能力を決定するのに重要であることを示す。
【0223】
理論に縛られることなく、ゲル網状構造の剛性(G’または弾性率)および強度(降伏剪断応力)は、そのより完全な除去を達成するために、バイオフィルムのそれよりも有用に大きい。文献データには、バイオフィルムのG’が、100Pa未満~2000Pa超の範囲に及ぶ可能性があると示されている(Stoodleyら、Structural deformation of bacterial biofilms caused by short-term fluctuations in fluid shear:an in situ investigation of biofilm rheology’’,Biotechnol Bioeng.1999 Oct 5;65(1):83-92)。実施形態では、網状構造は、BBFによって例示されるように、バイオフィルムの有効な除去を達成するために、流動中に十分な弾性特性を維持することができるように、十分に強く、高い降伏剪断応力を有する必要がある。ゲル網状構造組成物は、本発明の実施形態による、そのような要件を満たすように作製することができる。
【0224】
実施例11-BBF上のカーボポール対微小フィブリル
BBFは、本明細書の他の箇所で説明されるようなプロトコルに従って、8日間にわたって1.37mmのテフロンチューブ中に形成された。チューブからのバイオフィルム除去を、2つの組成物:a)Lubrizolによって推奨されるようなトリエタノールアミンTEA)によって調節された、0.17重量%のpHで作製されたカーボポール(Ultrez10-Lubrizol)ゲル、およびb)物実質的にCS-19と同様の液体ビヒクル中の1.9重量%のEplおよびEfの3:1混合物を使用して作製された微小フィブリル組成物を使用して評価した。両組成物は、>9,000mPa.sの粘度を有した。カーボポールゲルは、容器を逆さにして反転させたときでさえも、非流動状態によって判断できるように、より高い降伏剪断応力値を示した。洗浄中の操作パラメータは、圧力降下が約2.0psi/線形フィートであり、体積速度が、約2ml/分であった場合にも同様であった。洗浄有効性は、SEM、光学顕微鏡および目視検査によって測定された。
【0225】
カーボポールゲルを配合する際に、使用者は、それらが感受性塩濃度およびイオン強度であること、ならびにpHが8.0超であることを認識しなければならない。ポリマーゲル網状構造の構造はバラバラになり、より低粘度のポリマー溶液に変換することができる。対照的に、本発明の微小フィブリルゲルは、広範囲のpH(約3.0~約12.0)、イオン強度、および塩濃度で配合することができ、本発明の実施形態におけるように、界面活性剤および洗浄添加剤を収容することができる。
【0226】
結果は、カーボポールが有効な洗浄ツールであるが、BBFを除去するには不十分であることを示した。微小フィブリル組成物による約100%の除去と比較して、カーボポールゲルによる約10%のBBFの除去のみが可能であった。
【0227】
理論に縛られることなく、ポリマーゲルは、それらが高粘度を保有し、それらが降伏剪断応力を有するかまたは有さない場合でさえも、壁にBBFを除去するのに十分な機械的力を生産することができない。カーボポールゲルの非常に薄いナノフィブリルは、流動中にBBF摩耗および浸食を引き起こすために低い剛性を有するように思われる。対照的に、微小フィブリル組成物の繊維およびフィブリルは、十分な剛性を有するように見え、本発明の実施形態に従ってBBFを摩耗させ、破壊し、かつ除去することができる。
【0228】
番号付きの実施形態
以下の番号付きの実施形態を参照して、本発明をさらに説明することができる。
【0229】
実施形態A1:洗浄組成物であって、(A)キャリア流体と、(B)キャリア流体中に懸濁された微小フィブリルと、を含み、組成物がタンパク質洗浄に有効である、洗浄組成物。
【0230】
実施形態A2:微小フィブリルがタンパク質洗浄有効量である、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0231】
実施形態A3:微小フィブリルがBBF洗浄有効量である、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0232】
実施形態A4:組成物がBBF洗浄に有効である、Aの実施形態に記載の洗浄組成物。
【0233】
実施形態A5:組成物が、以下の特徴;(1)微小フィブリルが、第1の平均流体力学的サイズを有する微小フィブリルの組成物の主要な部分(乾燥重量で50%以上)、および第1の平均流体力学的サイズの50%以下の平均流体力学的サイズを有する微小フィブリルの組成物の別の部分から構成されること、(2)組成物の貯蔵弾性率もしくは降伏剪断応力を増大させるのに有効な固体粒子もしくは補剛ポリマー、または(3)キャリア流体が、タンパク質、炭水化物、脂肪、もしくはバイオフィルムの洗浄を高めるのに有効な量のプロピレングリコールもしくはグリコールエーテルを含むこと、あるいは(4)組成物の降伏剪断応力を増大させるのに有効な量で、ゲル形成ポリマーが添加されること、あるいは(5)組成物の前記貯蔵弾性率もしくは降伏剪断応力を増大させるために混合されたイオン性ポリマー、のうちの1つ以上を有する、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0234】
実施形態A6:固体粒子もしくは微結晶セルロースが、BBFもしくはタンパク質の洗浄を高めるのに有効である、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0235】
実施形態A7:固体粒子または微結晶セルロースが、標的汚染物質よりも硬いが、チャネル壁よりは硬くない、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0236】
実施形態A8:SEM分析が微小フィブリルのフロックの外側の優先を示すような方法で、固体粒子または微結晶セルロースの少なくとも一部分が微小フィブリルと混合される、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0237】
実施形態A9:キャリア流体が界面活性剤を含む、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0238】
実施形態A10:界面活性剤(複数可)の重量パーセント(%(w/w)が微小フィブリルの重量パーセント(%(w/w)よりも少ない、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0239】
実施形態A11:組成物が約1Pa~約100Paの降伏剪断応力を有する、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0240】
実施形態A12:組成物が約5Pa~約100Paの降伏剪断応力を有する、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0241】
実施形態A13_アルファ:微小フィブリルがセルロース系である、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0242】
実施形態A13_ベータ:微小フィブリルが合成物である、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0243】
実施形態A14:微小フィブリルがA型フィブリルおよびB型フィブリルを含み、A型フィブリルがB型フィブリルに接続されていることを示すSEM画像を含む、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0244】
実施形態A15:組成物が、約30psi以下の圧力で、6フィートの長さの内径3.2mmのチャネルを空にするのを促進するのに有効な剪断減粘を示す、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0245】
実施形態A16:組成物が、約2倍以上の粘度低下によって3.33/秒および20/秒の剪断速度で測定されたときに剪断減粘を示す、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0246】
実施形態A17:微小フィブリルが、第1の平均流体力学的サイズを有する微小フィブリルの組成物の主要な部分(乾燥重量で50%以上)、および第1の平均流体力学的サイズの50%以下の平均流体力学的サイズを有する微小フィブリルの組成物の別の部分から構成される、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0247】
実施形態A18:固体粒子が、組成物の貯蔵弾性率または降伏剪断応力を増大させるのに有効である、実施形態Aに記載の洗浄組成物
【0248】
実施形態A19:補剛ポリマーが組成物の貯蔵弾性率または降伏剪断応力を増大させるのに有効である、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0249】
実施形態A20:補剛ポリマーが微結晶セルロースである、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0250】
実施形態A21:キャリア流体がプロピレングリコールまたはグリコールエーテルを含む、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0251】
実施形態A22:ゲル形成ポリマーが組成物の降伏剪断応力を増大させるのに有効な量で添加される、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0252】
実施形態A23:イオン性ポリマーを混合して、組成物の貯蔵弾性率または降伏剪断応力を増大させる、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0253】
実施形態A24:アニオン性ポリマーを混合して、組成物の貯蔵弾性率または降伏剪断応力を増大させる、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0254】
実施形態A25:カチオン性ポリマーを混合して、組成物の貯蔵弾性率または降伏剪断応力を増大させる、実施形態Aに記載の洗浄組成物。
【0255】
実施形態B1:1つが、約1~約2mmの内径を有するチャネル内で使用するように構成され、もう1つが、2mm超~約4mmの内径を有するチャネル内で使用するように構成された、実施形態Aに記載の2つ以上の洗浄組成物を含む、キット。
【0256】
実施形態C1:ボディウォッシュを定義する実施形態Aに記載の洗浄組成物であって、ボディウォッシュが、1つ以上の精油から本質的になる抗微生物剤を含む、洗浄組成物。
【0257】
実施形態D1:表面から汚染物質を除去する方法であって、
【0258】
キャリア流体であって、キャリア流体中に懸濁された、微小フィブリル、もしくはゲル形成ポリマー、またはそれらの混合物を含む、キャリア流体を含む洗浄組成物を提供することと、
【0259】
洗浄組成物を約1Pa~約100Paのバルク剪断応力で表面上を通過させることと、を含み、
【0260】
組成物がタンパク質洗浄に有効である、方法。
【0261】
実施形態D2:キャリア流体が界面活性剤をさらに含む、実施形態Dに記載の方法。
【0262】
実施形態D3:洗浄組成物が任意の実施形態Aのものである、実施形態Dに記載の方法。
【0263】
実施形態D4:方法がバイオフィルムを除去する、実施形態Dに記載の方法。
【0264】
実施形態D5:表面が内径4mm以下のチャネル内にあり、当該バイオフィルムがチャネルの開口から10cm以上のところに見られる、実施形態Dに記載の方法。
【0265】
実施形態D6:表面が内径2mm以下のチャネル内にある、実施形態Dに記載の方法。
【0266】
実施形態D7:微小フィブリルがタンパク質洗浄有効量である、実施形態Dに記載の洗浄方法。
【0267】
実施形態D8:微小フィブリルがBBF洗浄有効量である、実施形態Dに記載の洗浄方法。
【0268】
実施形態D9:組成物がBBF洗浄に有効である、実施形態Dに記載の洗浄方法。
【0269】
実施形態D10:洗浄される表面が、医療デバイス内の狭いチャネル、医療デバイスの表面、歯、精密シリンダの表面、ピストンのシリンダ係合表面、食品調理表面、皮膚(手術時手洗いを含む)、宝石の表面、ガラス表面(光学ガラスを含む)、切断ブレード表面、プロテーゼ(インビボを含む)、創傷、濾過膜、半導体材料、熱交換器チューブ、パイプ、切削工具、または建物のカビ部分である、実施形態Dに記載の方法。
【0270】
実施形態E1:洗浄デバイスであって、(I)キャリア流体であって、(a)キャリア流体中に懸濁された、微小フィブリル、もしくはゲル形成ポリマー、またはそれらの混合物を含む、キャリア流体を含む洗浄組成物を含有するリザーバであって、組成物がタンパク質洗浄に有効である、リザーバと、(II)リザーバから、(a)直径10mm以下で長さ10cm以上の洗浄されるチャネル内に、または(b)洗浄される開放表面上の閉鎖空間へと、洗浄組成物を引き込み、1Pa以上のバルク剪断応力を提供するように構成されたポンプと、を備える、洗浄デバイス。
【0271】
実施形態E2:洗浄される表面がチャネル内にある、実施形態Dに記載の洗浄デバイス。
【0272】
実施形態E3:洗浄される表面が開放表面である、実施形態Dに記載の洗浄デバイス。
【0273】
実施形態E4:洗浄組成物が任意の実施形態Aのものである、実施形態Dに記載の洗浄デバイス。
【0274】
実施形態F1:内径6mm以下の1つ以上のチャネルを有する医療デバイスを貯蔵する方法であって、(A)キャリア流体であって、キャリア流体中に懸濁された微小フィブリル、もしくはゲル形成ポリマー、またはそれらの混合物を含む、キャリア流体を含む滅菌組成物でチャネルを満たすことと、(B)貯蔵期間の後、医療デバイスを操作している間の使用に好適な滅菌流体でチャネルが満たされるように滅菌組成物をすすぎ落とすことと、を含む、方法。
【0275】
実施形態F2:滅菌組成物が抗微生物剤または抗生物質を含む、実施形態Fに記載の方法。
【0276】
実施形態F3:洗浄組成物が任意の実施形態Aのものである、実施形態Fに記載の方法。
【0277】
組み込まれた付録
その全体が参照により本明細書に組み込まれる共通の番号付け(1~291頁)を共有する以下の付録を、暫定B(NOVA003P2)に添付する。
【表23】
【0278】
本明細書で説明されるこの発明は、洗浄組成物ならびにそれを形成および使用する方法に関する。いくつかの実施形態が上記に考察されているが、他の実装および用途も、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。本明細書の発明を特定の実施形態を参照して説明しているが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示であることが理解されるべきである。したがって、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に対して多数の修飾がなされ得、他の配置が考案され得ることが理解されるべきである。より具体的には、当業者であれば、当業者が認識するであろう本明細書で説明される任意の実施形態が、副次的特長を有するものと説明される、別の実施形態の副次的特徴を有利に有することができることを認識するであろう
【0279】
この明細書および優先出願(それらの付録を含む)に引用された特許および特許出願を含むがこれらに限定されない出版物および参考文献は、あたかも各個々の出版物または参考文献が具体的かつ個々に、完全に記載されているものとして本明細書中に参考により組み込まれることが示されるように、引用された全体的な部分においてそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。この出願が優先権を主張するいずれの特許出願もまた、出版物および参考文献について上記で説明された方法で本明細書に参考として組み込まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔洗浄組成物であって、
キャリア流体と、
前記組成物の少なくとも0.1%w/wの、前記キャリア流体中に含まれた微小フィブリルであって、絡み合った網状構造を形成し、より薄いフィブリルから分岐するより厚いフィブリルを有する分岐構造を有し、前記より厚いフィブリルが約250~約20000nmの直径を有する微小フィブリルと、
前記絡み合った網状構造中で前記微小フィブリルと混合された固体粒子と、
を含み、
前記組成物が粘弾性組成物であり、0ラジアン/秒で200Pa以上の貯蔵弾性率G’を有する、組成物。
【請求項2】
前記微小フィブリルが、ミクロフィブリル化セルロースまたは合成ポリマーのフィブリル化繊維を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記微小フィブリルが、10m /g超の比表面積を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記微小フィブリルの少なくとも大半が、20ナノメートル~20ミクロンの範囲の断面の寸法を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記固体粒子が、前記組成物の重量の少なくとも0.1重量%の濃度で存在し、かつ、前記固体粒子が、前記組成物の重量の5重量%未満の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記固体粒子が、50ナノメートル~500ミクロンの粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記固体粒子が、シリカ、炭酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、フルオロリン酸塩、アルミナ、または微結晶セルロースのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記微小フィブリルが微小フィブリルの硬度を有し、前記粒子が粒子の硬度を有し、前記固体粒子の硬度が前記微小フィブリルの硬度よりも大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記固体粒子が、結晶質もしくは非晶質、または混合相を含み、あるいは無機組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記固体粒子が、研磨に好適な研磨粒子であり、歯科用バイオフィルムを除去し、かつ、前記固体粒子が、約4のモース硬度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記固体粒子が、50ミクロン~500ミクロンの粒径範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
界面活性剤、分散剤、溶媒、共溶媒、ビルダー、キレート剤、緩衝液、pH調節剤、抗微生物剤、抗生物質、粘度修飾剤、ゲル形成物質、吸湿性添加剤、保存剤、およびアジュバントからなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
損失弾性率G’’を有し、前記貯蔵弾性率G’が損失弾性率G’’よりも大きく、約1.0Pa~約200Paの降伏剪断応力を有し、約5Pa~約100Paの降伏剪断応力を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
保湿剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
口腔において歯科用バイオフィルムまたは歯垢を除去する方法であって、
請求項1に記載の口腔洗浄組成物を提供する工程、および
前記洗浄組成物を口腔における表面を移動させて、歯科用バイオフィルムまたは歯垢を除去する工程
を含む、方法。
【外国語明細書】