(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065576
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】入隅作製用の面材
(51)【国際特許分類】
E04F 13/073 20060101AFI20230502BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230502BHJP
E04F 13/14 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
E04F13/073
E04F13/08 101Q
E04F13/08 U
E04F13/14 102D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031139
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2019105450の分割
【原出願日】2019-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000199245
【氏名又は名称】チヨダウーテ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 輝哉
(72)【発明者】
【氏名】岡田 篤
(57)【要約】
【課題】簡易に良好な仕上りの壁構造物を作製できる面材を提供する。
【解決手段】第1面材4は、第1芯材部41と第2芯材部42とを備える。第1芯材部41は平板状に形成され、厚み方向で互いに対向する第1主面41a及び第2主面41bと、第1主面41aと第2主面41bとの間に位置する側面41cとを有し、厚み方向に沿って見た際に、側面41cが直線状に延びる直進面部41cSを含む。直進面部41cSが直線状に延びる方向に沿って見た際、直進面部41cSは、第1主面41aと鋭角をなし且つ第2主面41bと鈍角をなすように厚み方向に対して傾斜する。第2芯材部42は、直進面部41cSに接着層46を介して結合する結合面42cと、第1芯材部41の第1主面41aと協働して凸状の角部分48を形成するように位置する第1主面隣接面42aと、を有し、角部分48に面取り又は切欠き49が設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状に形成され、厚み方向で互いに対向する第1主面及び第2主面と、前記第1主面と前記第2主面との間に位置する側面とを有し、前記厚み方向に沿って見た際に、前記側面が直線状に延びる直進面部を含む第1芯材部と、
前記直進面部に結合する第2芯材部と、を備え、
前記直進面部が直線状に延びる方向に沿って見た際、前記直進面部は、前記第1主面と鋭角をなし且つ前記第2主面と鈍角をなすように前記厚み方向に対して傾斜しており、
前記第2芯材部は、前記直進面部に接着層を介して結合する結合面と、前記第1芯材部の前記第1主面と協働して凸状の角部分を形成するように位置する第1主面隣接面と、を有し、
前記第1主面と前記第1主面隣接面とが形成する前記角部分に、面取り又は切欠きが設けられており、2つの壁の間、壁と天井との間、又は壁と床との間に入隅を形成するための入隅作製用の面材。
【請求項2】
前記第1芯材部と前記第2芯材部とがL字状をなすように結合し、
前記第1芯材部の前記第2主面と前記第2芯材部との境界から前記第1芯材部の端面までの長さが、385mm以上であり、前記境界から前記第2芯材部の端面までの長さが20mm以上30mm以下である、請求項1に記載の入隅作製用の面材。
【請求項3】
前記第1芯材部と前記第2芯材部とがL字状をなすように結合し、
前記第1主面、前記面取り又は前記切欠き、及び前記第1主面隣接面を覆う第1被覆シート材と、
前記第2主面、及び前記第2芯材部における前記第1主面隣接面の反対に位置する第2主面隣接面を覆う第2被覆シート材とをさらに備え、
前記第1被覆シート材は、前記第1主面及び前記第1主面隣接面に貼り付けられることで前記第1主面及び前記第1主面隣接面を結合させ、
前記第2被覆シート材は、前記前記第2主面及び第2主面隣接面に貼り付けられることで前記第2主面及び第2主面隣接面を結合させている、請求項1又は2に記載の面材。
【請求項4】
前記第1主面と前記第1主面隣接面とが形成する前記角部分に前記切欠きが設けられ、前記切欠きの内側には何も部材が設けられない、請求項1に記載の面材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入隅作製用の面材に関する。
【背景技術】
【0002】
建築業界においては、一般に、観察者から見て凹となる角部のことを入隅と呼び、凸となる角部のことを出隅と呼ぶ。入隅及び出隅は、例えば住宅における2つの壁の間に形成される。このような2つの壁の間に形成される入隅及び出隅は一般に、2つの面材を直交状態で突き合わせるとともに各面材を柱等に固定することで作製されている。
【0003】
図15Aには、壁をなす2つの面材を用いて入隅を形成する一般的な入隅構造の横断面図が概略的に示されている。この入隅構造では、上下方向に沿って延び且つ横断面が矩形状の柱部10が隣り合う第1側面11及び第2側面12を有し、これら第1側面11及び第2側面12が柱部10の角10Aを形成している。そして、第1側面11に直方体状の第1受部13が取り付けられ、第2側面12に直方体状の第2受部14が取り付けられている。
【0004】
第1受部13は、一つの平面部が第1側面11に面接触するとともに他の平面部が第2側面12と面一の状態となるように第1側面11に固定されている。第2受部14は、一つの平面部が第2側面12に面接触するとともに他の平面部が第1側面11と面一の状態となるように第2側面12に固定されている。第1受部13は、第1受部13及び柱部10に跨がって打ち込まれる釘15によって第1側面11に固定され、第2受部14は、第2受部14及び柱部10に跨がって打ち込まれる釘15によって第2側面12に固定されている。
【0005】
一方で、第1受部13には面材101が固定され、第2受部14には面材102が固定される。面材101及び面材102はそれぞれ平板状に形成され、厚み方向で互いに対向する表面及び裏面が矩形状に形成されている。面材101,102は石膏ボードであるが、他の板材が用いられることもある。
【0006】
面材101はその裏面101bを第1受部13に面接触させるとともに、その四辺のうちの一辺を第2受部14に面接触させる。この状態において、ネジ16が面材101及び第1受部13に跨がるようにねじ込まれることで、面材101が第1受部13に固定されている。また、面材102はその裏面102bを第2受部14に面接触させるとともに、その四辺のうちの一辺を面材101の表面101aに面接触させる。この状態において、ネジ16が面材102及び第2受部14に跨がるようにねじ込まれることで、面材102が第2受部14に固定されている。
【0007】
以上のように面材101及び面材102が固定されることで、面材101の表面101aと面材102の表面102aとが直交して交わる状態となる。ここで、
図15Aの入隅構造では、面材101の表面101a及び面材102の表面102aに壁紙18が跨がった状態で貼り付けられることで、壁紙18上に形成される角部が入隅REを形成している。
【0008】
上述のようにして形成される入隅REでは、建物の揺れ等によって面材101と面材102との境界を起点に壁紙18が裂けやすくなり、外観が損なわれる場合がある。このような問題を考慮し、入隅の外観を良好に維持するための技術が従来から種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、
図15Aに示すような一般的な入隅構造では、理想的には、面材101の裏面101bに接触する第1受部13の平坦部と、柱部10の第2側面12とが面一の状態となるように、第1受部13が柱部10の第1側面11に固定される。また、面材102の裏面102bに接触する第2受部14の平坦部と、柱部10の第1側面11とが面一の状態となるように、第2受部14が柱部10の第2側面12に固定される。
【0011】
しかしながら、
図15Bに示すように、柱構造体の作製作業者の技能や経年的な部材の変形等により、柱部10の角10Aが、第1受部13と第2受部14との間から突き出てしまう場合がある。この場合、角10Aと面材101とが接触することで、入隅の仕上りが損なわれてしまうことがある。
【0012】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、簡易に良好な仕上りの壁構造物を作製できる面材、これを用いた入隅構造、入隅の作製方法、及び面取りの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる入隅作製用の面材は、平板状に形成され、厚み方向で互いに対向する第1主面及び第2主面と、前記第1主面と前記第2主面との間に位置する側面とを有し、前記厚み方向に沿って見た際に、前記側面が直線状に延びる直進面部を含む第1芯材部と、前記直進面部に結合する第2芯材部と、を備え、前記直進面部が直線状に延びる方向に沿って見た際、前記直進面部は、前記第1主面と鋭角をなし且つ前記第2主面と鈍角をなすように前記厚み方向に対して傾斜しており、前記第2芯材部は、前記直進面部に接着層を介して結合する結合面と、前記第1芯材部の前記第1主面と協働して凸状の角部分を形成するように位置する第1主面隣接面と、を有し、前記第1主面と前記第1主面隣接面とが形成する前記角部分に、面取り又は切欠きが設けられており、2つの壁の間、壁と天井との間、又は壁と床との間に入隅を形成するための入隅作製用の面材である。
【0014】
前記角部分には切欠きが形成されており、本発明にかかる面材は、前記切欠きの内側に配置される第3芯材部をさらに備えてもよい。そして、前記第3芯材部は、前記切欠きを形成する凹面に整合する内表面と、前記切欠きを挟んで互いに隣り合う前記第1主面の端点と前記第1主面隣接面の端点とを結んだ直線に沿って延びる外表面と、を有してもよい。
【0015】
本発明にかかる面材は、前記第1主面、前記面取り又は前記切欠き、及び前記第1主面隣接面を覆う第1被覆シート材をさらに備え、前記第1被覆シート材は、前記第1主面及び前記第1主面隣接面に貼り付けられることで前記第1主面及び前記第1主面隣接面を結合させもよい。
【0016】
前記第2芯材部は、前記結合面の前記第2主面側の端点から前記第1主面隣接面と平行に延びる第2主面隣接面をさらに有してもよい。
【0017】
前記結合面の前記第2面側の端点から前記第1主面隣接面までの距離で定められる前記第2芯材部の厚みは、前記第1芯材部の厚みと同じであってもよい。
【0018】
また、本発明にかかる面材は、前記第2主面及び前記第2主面隣接面を覆う第2被覆シート材をさらに備え、前記第2被覆シート材は、前記第2主面及び前記第2主面隣接面にわたって折れ曲がる状態で前記第2主面及び前記第2主面隣接面に貼り付けられることで前記第2主面及び前記第2主面隣接面を結合させてもよい。
【0019】
前記第2被覆シート材は、前記第2主面及び前記第2主面隣接面の境界を挟んで前記第2主面側に位置する第1シート部と、前記境界を挟んで前記第2主面隣接面側に位置する第2シート部とを有し、前記第1シート部と前記第2シート部が、前記境界上でシート接着部を介して結合してもよい。
【0020】
前記第1シート部及び前記第2シート部は紙であり、前記シート接着部は、酢酸ビニル樹脂系接着剤からなるものでもよい。
【0021】
前記第1芯材部及び前記第2芯材部は石膏を主成分として含み、前記第1芯材部の前記直進面部と前記第2芯材部の前記結合面とを接着する接着層が、シリコーン変性ポリマー系弾性接着剤からなるものでもよい。
【0022】
前記側面は、前記直進面部に隣接して前記直進面部とは異なる方向に直線状に延びる隣接直進面部を含み、前記隣接直進面部が直線状に延びる方向に直交する方向で前記第1芯材部を切断した断面視で、前記第一芯材部は中実状で、前記第1主面と前記第1主面隣接面とが形成する前記角部分と前記厚み方向で同じ側に、切欠きを有してもよい。
【0023】
また、本発明にかかる入隅構造は、隣り合う第1側面及び第2側面によって角を形成する柱部と、前記第1側面に設けられる第1受部と、前記第2側面に設けられる第2受部とを有する柱構造体と、前記の面材と、で構成され、前記面材における前記第1主面と前記第1主面隣接面とが形成する前記角部分に設けられた前記面取り又は前記切欠きと、前記柱部の前記角とを互いに向き合わせた際に、前記第1受部が前記第1芯材部の前記第1主面と面接触し、前記第2受部が前記第2芯材部の前記第1主面隣接面と面接触するようになっており、前記第1芯材部が前記第1受部に面接触し且つ前記第2芯材部が前記第2受部に面接触した状態で、前記第1芯材部と前記第1受部とに跨がる締結部材を設けることで、前記面材が前記柱構造体に支持され、前記面材の前記第2主面により入隅の一部を形成する入隅構造である。
【0024】
また、本発明にかかる入隅の作製方法は、隣り合う第1側面及び第2側面によって角を形成する柱部と、前記第1側面に設けられる第1受部と、前記第2側面に設けられる第2受部とを有する柱構造体を設ける工程と、前記の面材を準備する工程と、前記面材における前記第1主面と前記第1主面隣接面とが形成する前記角部分に設けられた前記面取り又は前記切欠きと、前記柱部の前記角とを互いに向き合わせた際に、前記第1受部が前記第1芯材部の前記第1主面と面接触し、前記第2受部が前記第2芯材部の前記第1主面隣接面と面接触するようになっており、前記第1芯材部が前記第1受部に面接触し且つ前記第2芯材部が前記第2受部に面接触した状態で、前記第1芯材部と前記第1受部とに跨がる締結部材を設けることで、前記面材を前記柱構造体に支持する工程と、を備え、前記面材の前記第2主面により入隅の一部を形成する方法である。
【0025】
また、本発明にかかる切欠きの形成方法は、支持層と、前記支持層上に設けられた芯材層とを有する平板状の面材中間体を準備する工程と、断面形状で、前記芯材層の前記支持層側とは反対側の面から前記支持層側に向けて前記芯材層の途中まで至る台形状の部分であり、上底と下底との間に位置して互いに対向する一対の第1側辺部の間の幅が前記支持層側に向けて漸減する第1部分と、前記一対の第1側辺部に対して方向を変えて前記支持層まで至るように前記一対の第1側辺部のそれぞれに接続される一対の第2側辺部の間に画定される部分であり、前記一対の第2側辺部の間の幅が前記支持層側に向けて漸増する、漸減する又は一定となる第2部分と、を有する溝を、前記芯材層に形成する工程と、前記面材中間体における前記溝を挟んで一方側の部分と他方側の部分とを前記溝を閉じる方向に折り曲げて、前記溝の前記第1部分における前記一対の第1側辺部同士を結合させるとともに、前記溝の前記第2部分における前記一対の第2側辺部を連続させた状態にすることで、前記一対の第1側辺部同士の結合時に前記芯材層の前記支持層側の面における前記溝を挟んで一方側の部分と他方側の部分とが形成する凸状の角部分に、前記一対の第2側辺部からなる面取り又は切欠きを形成する工程と、を備える方法である。
【0026】
ここで、前記溝を形成する際に、前記支持層上に位置し、前記第2部分の範囲内で前記第1部分側に向けて凸状となる突起片が残されてもよい。そして、前記一対の第1側辺部同士を結合させた際に、前記一対の第2側辺部により切欠きが形成され、前記切欠きの内側に前記突起片が配置され、前記切欠きの内側に配置される前記突起片が、前記切欠きを形成する凹面に整合する内表面と、前記角部分を形成した前記芯材層の前記支持層側の面における前記一方側の部分と前記他方側の部分の前記切欠きを挟んで互いに隣り合う各端点を結んだ直線に沿って延びる外表面とを有するようにしてもよい。
【0027】
また、前記一対の第1側辺部同士を結合させた際に、前記支持層が前記面取り又は前記切欠きを覆うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、簡易に良好な仕上りの壁構造物を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施の形態にかかる入隅構造の横断面図である。
【
図2】
図1に示す入隅構造の入隅周辺の拡大図である。
【
図4】
図3に示す面材の構造を説明するための図である。
【
図5】
図1に示す面材の製造方法の一例を示す図である。
【
図10】
図1に示す面材の一変形例を示す図である。
【
図11】
図1に示す面材の一変形例を示す図である。
【
図12】
図1に示す面材の一変形例を示す図である。
【
図13】
図1に示す面材の一変形例を示す図である。
【
図15A】2つの面材を用いて入隅を形成する一般的な入隅構造の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの
図15A及び
図15Bで示した一般的な入隅構造の構成部分と同様のものには同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0031】
図1は本発明の一実施の形態にかかる面材(後述の第1面材4)を用いて作製される入隅構造1の横断面図である。入隅構造1は互いに向きの異なる2つの壁の間に入隅REを形成するものであり、
図1は、水平方向に沿って切断された入隅構造1の横断面図を示している。なお、本発明にかかる入隅構造及びこれに用いられる面材は2つの壁の間に入隅を形成するものに限られるものではなく、例えば壁と天井との間又は壁と床との間に入隅を形成する場合にも適用可能である。また、面材は出隅の形成の際に用いられてもよい。
【0032】
図1に示す入隅構造1は、上下方向に沿って延びるように配置された柱構造体2と、柱構造体2から離れた位置で上下方向に沿って延びるように配置された間柱3と、第1面材4と、第2面材5と、壁紙18と、を備えている。
【0033】
柱構造体2は、上下方向に沿って延び且つ横断面が矩形状の柱部10を有し、柱部10は隣り合う第1側面11及び第2側面12によって角10Aを形成している。第1側面11及び第2側面12のうちの第1側面11には直方体状の第1受部13が取り付けられ、第2側面12には直方体状の第2受部14が取り付けられている。
【0034】
第1受部13は、一つの平面部が第1側面11に面接触するとともに他の平面部が第2側面12と面一の状態となるように第1側面11に固定されている。第2受部14は、一つの平面部が第2側面12に面接触するとともに他の平面部が第1側面11と面一の状態となるように第2側面12に固定されている。第1受部13は、第1受部13及び柱部10に跨がって打ち込まれる釘15によって第1側面11に固定されており、第2受部14は、第2受部14及び柱部10に跨がって打ち込まれる釘15によって第2側面12に固定されている。
【0035】
第1受部13は第1面材4を支持するために設けられており、第2受部14は第2面材5を支持するために設けられている。柱部10、第1受部13及び第2受部14は木材で形成されるが、その材質は特に限られるものではなく、鉄や樹脂で形成されてもよい。
【0036】
また第1受部13及び第2受部14は直方体状であるが、その形状は特に限られるものではなく、例えば上面視の形状が台形状となる六面体状であってもよいし、上面視の形状が三角形状となる立体形状であってもよい。また、柱部10の断面形状も特に限られるものではない。また、本実施の形態における柱構造体2では、柱部10、第1受部13及び第2受部14がそれぞれ別の部材から形成され互い取り付けられて一体化されるが、柱構造体2は単一の部材上に柱部10、第1受部13及び第2受部14に相当する部分を一体に有するものであってもよい。
【0037】
図2は、
図1における入隅RE周辺の拡大図であり、
図3は、第1面材4の拡大図である。本実施の形態における第1面材4は、第1芯材部41と、第2芯材部42と、第3芯材部43と、第1被覆シート材44と、第2被覆シート材45と、を備えている。
【0038】
第1芯材部41は平板状に形成され、厚み方向で互いに対向する第1主面41a及び第2主面41bと、第1主面41aと第2主面41bとの間に位置する側面41cと、を有している。本実施の形態では、厚み方向に沿って見た際に、第1主面41a及び第2主面41bが矩形状であり、側面41cは、矩形状における四辺を構成する4つの直進面部41cSを有し、直進面部41cSはそれぞれ直線状に延びている。
図1乃至
図3に示す断面においては、4つの直進面部41cSのうちの一つの直進面部41cSが示されている。
【0039】
図1乃至
図3に示す直進面部41cSは、当該直進面部41cSが直線状に延びる方向に沿って見た際に、つまり
図1乃至
図3に示す状態で、第1主面41aと鋭角をなし且つ第2主面41bと鈍角をなすように厚み方向に対して傾斜している。ここで、第2芯材部42は、直進面部41cSに結合する結合面42cを有し、直進面部41cSと結合面42cは接着層46を介して結合している。第1芯材部41に結合した第2芯材部42は、第1芯材部41の厚み方向で見た際に、第1芯材部41の直進面部41cSに沿って直線状に延びている。
【0040】
第2芯材部42は、上述の結合面42c加えて、第1芯材部41の第1主面aと協働して凸状の角部分48を形成するように位置する第1主面隣接面42aと、結合面42cの第2主面41b側の端点から第1主面隣接面42aと平行に延びる第2主面隣接面42bと、第1主面隣接面42aと第2主面隣接面42bとの間に位置し、結合面42cと対向するように位置する端面42dと、を有する。
【0041】
ここで、第1芯材部41の第1主面41aと第2芯材部42の第1主面隣接面42aとが形成する角部分48に切欠き49が設けられる。切欠き49は、結合面42c及びこれが結合した直進面部41cSに向けて凸状に形成されている。本実施の形態では切欠き49の先端が直角となるが、切欠き49の形状は特に限られるものではなく、曲面状等であってもよい。
【0042】
本実施の形態では、第1芯材部41と第2芯材部42とがL字状をなすように結合するが、第1芯材部41と第2芯材部42とは平板状をなすように結合してもよい。また、第2芯材部42の第1主面隣接面42aと第2主面隣接面42bは矩形状に形成されており、第2芯材部42は概略六面体状に形成されるが、第2芯材部42の全体的な形状は特に限られるものではない。
【0043】
また本実施の形態では、第1芯材部41の第1主面41aの切欠き49からの延長線と第2芯材部42の第1主面隣接面42aの切欠き49からの延長線とが直交し、第1芯材部41の第2主面41bと第2芯材部42の第2主面隣接面42bとが直交している。また、第1芯材部41の直進面部41cSが、第1芯材部41の厚み方向に対して45度の角度をなし、第2芯材部42の結合面42cが、第2芯材部42の厚み方向に対して45度の角度をなす。このような形状や角度も特に限られるものではなく、例えば第1芯材部41の第1主面41aの切欠き49からの延長線と第2芯材部42の第1主面隣接面42aの切欠き49からの延長線とが鈍角をなしてもよいし、90度未満の鋭角をなしてもよい。
【0044】
また、第2芯材部42の厚みT2は第1主面隣接面42aと第2主面隣接面42bとの間の距離で定められ、本実施の形態では、第1主面隣接面42aと第2主面隣接面42bとが平行であり、且つ、第2芯材部42の厚みT2が第1芯材部の厚みT1と同じになっている。このような第2芯材部42の厚みは第1芯材部の厚みと異なってもよい。
【0045】
第3芯材部43は、第1芯材部41及び第2芯材部42に跨がって形成される上述の切欠き49の内側に配置されており、切欠き49を形成する凹面に整合する内表面43aと、切欠き49を挟んで互いに隣り合う第1主面41aの端点と第1主面隣接面42aの端点とを結んだ直線に沿って延びる外表面43bと、を有している。本実施の形態では切欠き49の先端が直角であることで、第3芯材部43が直角二等辺三角形状であり、内表面43aが直角をなす折り曲がり形状になっている。
【0046】
本実施の形態では、
図2及び
図3から明らかなように、第3芯材部43の外表面43bが、第1芯材部41の第1主面aと第2芯材部42の第1主面隣接面42aとが形成する角部分48に対する面取り部分をなしている。また第3芯材部43は切欠き49に接着層を介して結合しており、これにより、第1芯材部41、第2芯材部42及び第3芯材部43は一体化されている。
【0047】
第1芯材部41、第2芯材部42及び第3芯材部43は、石膏を主成分として形成された板材又はブロックであり、第1芯材部41の直進面部41cSと第2芯材部42の結合面42cとを接着する接着層46、及び、第3芯材部43と切欠き49との間の接着層(図示せず)は、シリコーン変性ポリマー系弾性系接着剤からなる。より詳しくは、これら接着層46等はシリコーン変性ポリマー系弾性接着剤が乾燥して固化したものであり、シリコーン変性ポリマーを含む。このように接着層46等が結合強度の観点で石膏との相性の良いシリコーン変性ポリマー系弾性接着剤からなることで、第1芯材部41、第2芯材部42及び第3芯材部43の結合強度が向上する。
【0048】
図4は第1面材4の構造を詳しく説明するための図であり、
図4には、第1芯材部41の直進面部41cSと第2芯材部42の結合面42cとを引き離すことで第1面材4が展開された状態が示されている。
図4に示すように、第1面材4では、第1芯材部41と第2芯材部42とを平板状に展開することができ、この際、第1芯材部41と第2芯材部42との間に溝6が生じる。すなわち、第1面材4は、平板状の部材に溝6を形成して、溝6を埋めるように第1芯材部41と第2芯材部42とを結合させることで、面取り又は切欠きを有する面材として形成され得る。このような第1面材4の作製方法の詳細については、後述するものとする。
【0049】
一方で、第1被覆シート材44は、第1芯材部41の第1主面41a、切欠き49、その内側の第3芯材部43の外表面43b、及び第2芯材部42の第1主面隣接面42aを覆っている。第1被覆シート材44は、第1芯材部41の第1主面41a、第3芯材部43の外表面43b及び第2芯材部42の第1主面隣接面42aに貼り付けられることで、第1芯材部41の第1主面41a、第3芯材部43の外表面43b及び第2芯材部42の第1主面隣接面42aを結合させている。第1被覆シート材44は紙であり、より詳細には石膏ボード用原紙である。
【0050】
また、第2被覆シート材45は、第1芯材部41の第2主面41b及び第2芯材部42の第2主面隣接面42bを覆っている。第2被覆シート材45は、第2主面41b及び第2主面隣接面42bにわたって折れ曲がる状態で第2主面41b及び第2主面隣接面42bに貼り付けられることで、第2主面41b及び第2主面隣接面42bを結合させている。第2被覆シート材45は、第2主面41b及び第2主面隣接面42bが形成する凹状の角部分上に形成する角部によって入隅REの下地を形成しており、本実施の形態では第2被覆シート材45に壁紙18が貼り付けられることで壁紙18が入隅REを形成している。
【0051】
壁紙18が形成する入隅REは90度の角度をなしており、第1面材4は、壁紙18が形成する入隅REが90度をなすように、第2主面41b及び第2主面隣接面42bが形成する凹状の角部分の角度を90度に設定する。しかしながら、当該凹状の角部分の角度が88度~92度の範囲になっていれば、第1面材4は多少変形することにより、概ね90度の入隅REを適正に形成し得る下地を形成することができる。
【0052】
また、本実施の形態における第2被覆シート材45は、第2主面41b及び第2主面隣接面42bの境界を挟んで第2主面41b側に位置する第1シート部45Aと、第2主面41b及び第2主面隣接面42bの境界を挟んで第2主面隣接面42b側に位置する第2シート部45Bとを有し、第1シート部45Aと第2シート部45Bが、前記境界上でシート接着部45Cを介して結合している。
【0053】
第1シート部45A及び第2シート部45Bは紙であり、より詳細には石膏ボード用原紙である。一方で、シート接着部45Cは酢酸ビニル樹脂系接着剤、より詳細には酢酸ビニル樹脂系溶剤型接着剤からなるものである。シート接着部45Cは酢酸ビニル樹脂系接着剤が乾燥して固化したものであり、酢酸ビニル樹脂を含む。このようにシート接着部45Cが結合強度の観点で石膏ボード用原紙との相性の良い酢酸ビニル樹脂からなることで、各シート部45A,45Bの結合強度を向上させることが可能となる。
【0054】
第1芯材部41と第2芯材部42との寸法関係ついて説明すると、
図1に示すように第1面材4を上方から見た場合(直進面部41cSが直線状に延びる方向に沿って見た際)に、第2主面41bと第2主面隣接面42bとの境界から第1芯材部41の直進面部41cSに対向する端面までの長さL1は、上記境界から第2芯材部42の端面42dまでの長さL2よりも長くなっている。
【0055】
長さL1及び長さL2の値は特に限られるものではないが、本実施の形態では長さL1が390mmとなっている。長さL1が385mm以上であれば、例えば一般的な軸組工法の仕様に従って所定距離だけ離された間柱と柱との間に第1芯材部41を架設することが可能となり、第1面材4の汎用性を向上させることができる。
【0056】
また、長さL2は本実施の形態では23mmである。長さL2は、20mm以上30mm以下の範囲であることが望ましい。これにより、搬送時及び保管時における第1面材4の嵩張りを効果的に抑制することができる。
【0057】
一方で、第2面材5は平板状に形成され、厚み方向で互いに対向する一対の主面が矩形状に形成されている。本実施の形態において、第2面材5は石膏ボードである。
【0058】
本実施の形態では第1面材4及び第2面材5が石膏ボードから構成される。詳しくは、第1面材4は、2枚の石膏ボード用原紙の間に石膏を主成分として構成された石膏ボード芯材部を挟み込む平板状の石膏ボードに溝6(
図4参照)を形成し、溝6を埋めるように石膏ボートを折り曲げることで形成されている。一方で、第2面材5は平板状の石膏ボードを特に加工することなく形成されている。ただし、第1面材4及び第2面材5の材質等は特に限られるものではなく、これら面材4,5は石膏ボードから構成されなくてもよい。面材4、5は、例えばケイ酸カルシウム板や炭酸マグネシウム板からなものであっても構わない。
【0059】
以上のように構成された第1面材4は、柱構造体2への取り付けの際に、まず、第1芯材部41が第1受部13に面接触し且つ第2芯材部42が第2受部14に面接触するように配置される。次いで、第1面材4は、第1芯材部41と第1受部13とに跨がる締結部材であるネジ16のみによって、第1受部13に支持された状態となる。本実施の形態では、第1面材4を第1受部13に支持する際、第1芯材部41と第1受部13とに跨がるネジ16のみを使用するが、第2芯材部42と第2受部14とに跨がるネジによって第1面材4を第2受部14にさらに固定してもよい。
【0060】
上述したように第1受部13は、一つの平面部が柱部10の第1側面11に面接触するとともに他の平面部が第2側面12と面一の状態となるように柱部10の第1側面11に固定されている。第2受部14は、一つの平面部が柱部10の第2側面12に面接触するとともに他の平面部が第1側面11と面一の状態となるように第2側面12に固定されている。ここで、上述の第1受部13の他の平面部と第2受部14の他の平面部とが直角をなすことで、本実施の形態では、直角の折れ曲がり形状を有する第1面材4の凸状の角部分48が柱部10の角10Aに向き合わされた際に、第1受部13が第1芯材部41の第1主面41aと面接触し、第2受部14が第2芯材部42の第1主面隣接面42aと面接触するようになっている。
【0061】
ここで本実施の形態にかかる第1面材4では、その凸状の角部分48に切欠き49が形成され、切欠き49の内側に第3芯材部43が配置される。そして、第3芯材部43は、切欠き49を形成する凹面に整合する内表面43aと、切欠き49を挟んで互いに隣り合う第1主面41aの端点と第1主面隣接面42aの端点とを結んだ直線に沿って延びる外表面43bと、を有し、外表面43bが角部分48に対する面取り部分をなす。これにより、第1面材4の凸状の角部分48と柱部10の角10Aとの干渉が回避されることになる。
【0062】
その後、第2面材5が第2受部14に面接触するように配置された状態で、第2面材5と第2受部14とに跨がるネジ16を設けられることで第2受部14に支持される。本実施の形態では、その後、壁紙18が第1面材4及び第2面材5に跨がる状態で貼り付けられることにより入隅REが形成されている。
【0063】
以下では、折れ曲がり形状を有する上述の第1面材4の製造方法の一例について
図5を参照しつつ説明する。
【0064】
この例では、
図5(A)に示すように、まず、石膏ボード用原紙である第1被覆シート材44と第2被覆シート材45との間に石膏200が流し込まれる。ここで、第1被覆シート材44は当該シート材を順次繰り出す第1原紙供給部71から供給され、第2被覆シート材45は当該シート材を順次繰り出す第2原紙供給部72から供給される。また、石膏200は石膏供給部75から供給される。
【0065】
このように流し込んだ石膏200は、時間の経過に応じて乾燥及び硬化する。このように石膏200が乾燥及び硬化する際、石膏200が硬化してなる石膏ボード芯材部201の外面には針状の結晶が発生し、この針状の結晶が第1被覆シート材44及び第2被覆シート材45を突き刺す。これにより、石膏ボード芯材部に第1被覆シート材44及び第2被覆シート材45が固着する。
【0066】
次に、
図5(B)に示すように、石膏ボード芯材部201に第1被覆シート材44及び第2被覆シート材45が固着してなる板体から所定の大きさの面材中間体300が切り出される。面材中間体300は、所定の大きさに切り出された石膏ボード芯材部201、第1被覆シート材44及び第2被覆シート材45を含む平板状の石膏ボードである。
【0067】
次に、
図5(C)に示すように、第1被覆シート材44を残しつつ第2被覆シート材45及び石膏ボード芯材部201を切削することで、面材中間体300に溝6が形成される。溝6は、面材中間体300の平面方向における一方向一端部から他端部にわたって直線状に形成される。溝6の形成には切削工具が使用される。ここで、面材中間体300においては、溝6を挟んで一方側に第1芯材部41が形成され、他方側に第2芯材部42が形成される。なお、本実施の形態では、第1被覆シート材44が本発明でいう支持層に対応し、石膏ボード芯材部201が、本発明でいう芯材層に対応する。
【0068】
図5(C)の拡大視領域に示すように、溝6は、断面形状で、石膏ボード芯材部201の第1被覆シート材44側とは反対側の面から第1被覆シート材44側に向けて石膏ボード芯材部201の途中まで至る台形状の部分であり、上底と下底との間に位置して互いに対向する一対の第1側辺部61Aの間の幅が第1被覆シート材44側に向けて漸減する第1部分61と、一対の第1側辺部61Aに対して方向を変えて第1被覆シート材44まで至るように一対の第1側辺部61Aのそれぞれに接続される一対の第2側辺部62Aの間に画定される部分であり、一対の第2側辺部62Aの間の幅が第1被覆シート材44側に向けて一定となる第2部分62と、を有する。
【0069】
一対の第1側辺部61Aのうちの一方は、第1芯材部41の直進面部41cSを形成し、他方は、第2芯材部42の結合面42cを形成する。また、一対の第2側辺部62Aは、切欠き49の凹面を形成する部分となる。また本例では、溝6を形成する際に、第1被覆シート材44上に位置し、第2部分62の範囲内で第1部分61側に向けて凸状となる第3芯材部43を構成する突起片が残される。
【0070】
次に、
図5(D)に示すように、溝6における第1部分61の第1側辺部61A及び第2部分62の第2側辺部62Aにシリコーン変性ポリマー系弾性接着剤Bが塗布される。
【0071】
次に、
図5(E)に示すように、第1芯材部41及び第2芯材部42が溝6を閉じる方向に折り曲げられる。ここで、第1部分61の一対の第1側辺部61A同士を結合させるとともに、第2部分62の一対の第2側辺部62Aを連続させた状態にすることで、第1芯材部41の第1主面41a及び第2芯材部42の第1主面隣接面42aが形成する凸状の角部分48に、一対の第2側辺部62Aからなる切欠き49が形成される。そして、切欠き49の内側には第3芯材部43が配置され、第3芯材部43の外表面43bが角部分48に対する面取り部分をなす。
【0072】
第1側辺部61A及び第2側辺部62Aに塗布された上述のシリコーン変性ポリマー系弾性接着剤Bは乾燥後に、第1芯材部41の直進面部41cSと第2芯材部42の結合面42cとの間の接着層46を形成するとともに、第3芯材部43と切欠き49との間の接着層を形成する。
【0073】
また、第1芯材部41及び第2芯材部42が折り曲げられた際には、溝6によって分断された第1芯材部41側の第2被覆シート材45(第1シート部45A)及び第2芯材部42側の第2被覆シート材45(第2シート部45B)が近接又は接触する。ここで、第1シート部45Aと第2シート部45Bとの間に酢酸ビニル樹脂系接着剤が塗布されることで、第1シート部45Aと第2シート部45Bとが接着される。酢酸ビニル樹脂系接着剤が乾燥後にシート接着部45Cを形成する。
【0074】
以上に説明した第1面材4では、第1主面41aと第1主面隣接面42aとが形成する角部分48に切欠き49が形成され、切欠き49の内側には第3芯材部43が配置される。そして、第3芯材部43の外表面43bが角部分48に対する面取り部分をなしている。この場合、第1面材4の凸状の角部分48と柱部10の角10Aとを向き合わせた際に、これら角部分48と角10Aとの干渉が回避される。これにより、簡易に良好な仕上りの壁構造物である入隅構造1を作製できる。
【0075】
このような第1面材4は、第1芯材部41の直進面部41cSと第2芯材部42の結合面42cとを引き離して展開させた際に、第1芯材部41と第2芯材部42が平板状に展開され、第1芯材部41と第2芯材部42との間に、溝6が生じる。すなわち、第1面材4は、
図5に示したように、平板状の部材である面材中間体300に溝6を形成して、溝6を埋めるように第1芯材部41と第2芯材部とを結合させることで、面取り又は切欠きを有する面材として形成され得る。このような手順で形成される第1面材4は、単に角部分を削って面取り又は切欠きを形成した面材よりも、壁構造物の仕上げを良好にできる場合がある。例えば、石膏ボードの角部分に面取り又は切欠きを形成する場合、石膏ボード用原紙を剥がした上で角部分に加工することを考えられるが、このような加工は、場合によっては非常に手間がかかり、面取り又は切欠きを良好に仕上げることが困難となる場合があり得る。このような場合、本発明にかかる第1面材4は有効に利用され得る。なお、第1面材4は出隅を形成する際に用いられてもよく、この場合、面取りを有する出隅を簡易に良好な仕上りで作製することが可能である。
【0076】
また、第1面材4では、切欠き49の内側に第3芯材部43が配置され、第3芯材部43は、切欠き49を形成する凹面に整合する内表面43aと、切欠き49を挟んで互いに隣り合う第1主面41aの端点と第1主面隣接面42aの端点とを結んだ直線に沿って延びる外表面43bと、を有する。この場合、第1面材4の断面積を大きく確保できるため、強度を向上できる。
【0077】
また、第1面材4は、第1主面41a、切欠き49、その内側の第3芯材部43の外表面43b及び第1主面隣接面42aを覆う第1被覆シート材44をさらに備え、第1被覆シート材44は、第1主面41a、第3芯材部43の外表面43b及び第1主面隣接面42aに貼り付けられることで第1主面41a、第3芯材部43の外表面43b及び第1主面隣接面42aを結合させている。これにより、第1芯材部41と第2芯材部42と第3芯材部43との結合状態が強固になる。
【0078】
また、第2芯材部42は、結合面42cの第2主面41b側の端点から第1主面隣接面42aと平行に延びる第2主面隣接面42bをさらに有する。この場合、第1面材4は折れ曲がり形状となり、第1面材4で入隅を作製した場合において壁紙18の破損を効果的に抑制できる。すなわち、入隅の下地となる凹状の角部分を形成する第2主面41bと第2主面隣接面42bは、第1芯材部41と第2芯材部42とが傾斜状の直進面部41cS及び結合面42cが接着層46を介して結合することで、強固に結合されている。そのため、第2主面41bと第2主面隣接面42bとの位置ズレが抑制され、壁紙18が屈曲点を起点に破損することを効果的に抑制できる。
【0079】
また、第2芯材部42の厚みは、第1芯材部41の厚みと同じである。この場合、第1芯材部41の直進面部41cSと第2芯材部42の結合面42cとを引き離して展開させた際に、第1芯材部41と第2芯材部42が一定の厚みの平板状になる。この場合、厚み一定の面材中間体から第1面材4が形成され得るため、第1面材4の生産性を向上できる。
【0080】
また、第1面材4は、第2主面41b及び第2主面隣接面42bを覆う第2被覆シート材45をさらに備え、第2被覆シート材45は、第2主面41b及び第2主面隣接面42bにわたって折れ曲がる状態で第2主面41b及び第2主面隣接面42bに貼り付けられることで第2主面41b及び第2主面隣接面42bを結合させている、これにより、第1芯材部41と第2芯材部42と第3芯材部43との結合状態が強固になる。
【0081】
とりわけ、第2被覆シート材45は、第2主面41b及び第2主面隣接面42bの境界を挟んで第2主面41b側に位置する第1シート部45Aと、前記境界を挟んで第2主面隣接面42b側に位置する第2シート部45Bとを有し、第1シート部45Aと第2シート部45Bが、前記境界上でシート接着部45Cを介して結合している。この場合、シート接着部45Cが第1シート部45Aと第2シート部45Bとを結合するとともに、第1芯材部41の直進面部41cSと第2芯材部42の結合面42cとの間に浸透して、これらを結合し得るため、第1芯材部41と第2芯材部42との結合強度を向上させることができる。
【0082】
また第1シート部45A及び第2シート部45Bは紙であり、シート接着部45Cは、酢酸ビニル樹脂系接着剤からなる。この場合、シート接着部45Cが結合強度の観点で紙との相性の良い酢酸ビニル樹脂系接着剤からなることで、第1シート部45A及び第2シート部45Bの結合強度を向上させることができる。
【0083】
一方で、第1芯材部41及び第2芯材部42は石膏を主成分として含み、第1芯材部41の直進面部41cSと第2芯材部42の結合面42cとを接着する接着層は、シリコーン変性ポリマー系弾性接着剤からなる。この場合、接着層46が結合強度の観点で石膏ボード(石膏ボード芯材部)との相性の良いシリコーン変性ポリマー系弾性接着剤からなることで、第1芯材部41及び第2芯材部42の結合強度を向上させることができる。また、接着層46が弾性部材として機能し得ることで、第1面材4に適度な柔軟性が付与される。これにより、第1面材4の耐久性を向上させることができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、上述の実施の形態においては、各種の変更が行われてもよい。
【0085】
図6乃至
図13には、第1面材4の変形例が示されている。
図6乃至
図13における(A)には、変形例にかかる第1面材4の断面が示され、(B)には、(A)に示された第1面材4の第1芯材部41と第2芯材部42とが結合される前の展開状態が示されている。
【0086】
図6の変形例においては、第1面材4の角部分48の切欠き49の内側に第3芯材部43が配置されていない。この場合、第1芯材部41と第2芯材部42とが結合される前の状態において、第1芯材部41と第2芯材部42との間に形成される溝6の内側に、
図5(C)に示したような第3芯材部43を形成する突起片が形成されてない。
【0087】
図7の変形例においては、第1芯材部41と第2芯材部42とがL字形状をなすように結合しておらず、第1面材4が平板状をなしている。
【0088】
図8の変形例おいては、第3芯材部43が直角二等辺三角形状ではなく、直角不等辺三角形状になっている。
【0089】
図9の変形例においては、第1面材4の角部分48の切欠き49が形成されず、溝6の第2部分62の一対の第2側辺部62Aが直線状に互いに連続することで、角部分48に対する面取りを形成している。この例では、
図9(B)に示す展開状態で、溝6の第2部分62における一対の第2側辺部62A間の幅が、第1被覆シート材44に向けて漸増している。なお、一対の第2側辺部62A間の幅は、第1面材4の形状に応じて、第1被覆シート材44に向けて漸減する場合もあり得る。
【0090】
図10の変形例においては、第1面材4の角部分48の切欠き49が円弧状になっている。
図11の変形例においては、第1面材4の角部分48が丸面取りされた状態になっている。
【0091】
図12の変形例においては、第1芯材部41と第2芯材部42とが鈍角をなすように結合している。
図13の変形例においては、第1芯材部41と第2芯材部42とが鋭角をなすように結合している。
【0092】
以上のように第1面材4は種々の形態で形成され得る。第1面材4は、
図6(B)乃至
図13(B)に示すように溝6の形状を種々に変化させることで、種々の形態で効率的に形成することができる。なお、図示しないが、第1面材4の角部分48の切欠き49はドーム状や台形状等で形成されてもよい。
【0093】
また、
図14A~Dに示す変形例に係る面材400は、矩形の平板状に形成されている。面材400の表裏面の間に位置する四辺は、互いに対向して位置する一対の第1辺部401と、一対の第1辺部401が対向する方向に交差する方向で互いに対向して位置する一対の第2辺部402と、を有している。一対の第1辺部401の同じ側に位置する端部間は、第2辺部402で接続されている。
【0094】
図14Bは、
図14AのB-B線に沿う断面図であって、第1辺部401が直線状に延びる方向に直交する方向で面材400を切断した際の断面図である。
図14Bに示すように、第1辺部401と面材400の表面との接続部分に形成される角部分は、上述の実施の形態と同様の第1芯材部41と第2芯材部42とにより形成された角部分48上に配置された第1被覆シート材44により形成されている。そして、第1芯材部41と第2芯材部42とが形成する角部分48には切欠き49が形成され、切欠き49には第3芯材部43が配置されている。これにより、第1辺部401と面材400の表面との接続部分に形成される角部分は、第1面取り形状部401Cを有している。
図14Bでは、一対の第1辺部401のうちの一方側のみが示されるが、他方側にも、第1面取り形状部401Cが形成される。
【0095】
一方、
図14Cは、
図14AのC-C線に沿う断面図であって、第2辺部402が直線状に延びる方向に直交する方向で面材400を切断した際の断面図である。
図14Cに示すように、第2辺部402と面材400の表面との接続部分に形成される角部分には、第2面取り形状部402Cが形成されている。
図14Cでは、一対の第2辺部402のうちの一方側のみが示されるが、他方側には第2面取り形状部402Cが形成されている。
【0096】
第2面取り形状部402Cは、第1芯材部41の側面41cにおいて直進面部41cSに隣接し第2辺部402の下地を形成する隣接直進面部402Sと、第1芯材部41の第1主面41aとが形成する角部分を削る等して形成された面取り402B上の第1被覆シート材44により形成されたものである。つまり、隣接直進面部402Sが直線状に延びる方向に直交する方向で第1芯材部41を切断した断面視で、第1芯材部41は中実状をなし、隣接直進面部402Sと第1主面41aとが形成する角部分に、面取り402Bを有している。中実状とは、断面が分断等されていない状態のことを意味する。
【0097】
図14Dは、
図14Aに示す面材400の使用例が示されている。
図14Dにおいては、複数の面材400が平面状にタイリングされている。そして、隣り合う面材400の面取り部分が互いに向き合わされている。このように面材400を使用した場合には、隣り合う面材400の間に、向き合わされた面取り部分によって凹状の溝が形成される。そして、このような凹状の溝は、パテ処理に用いることができる。したがって、面材400によれば、壁構造物を施工する際の作業効率を向上できる。また、面材メーカー側で面取りを適正な形状で形成しておくことで、壁構造物の仕上がりも良好になる。
【符号の説明】
【0098】
1…入隅構造、2…柱構造体、3…間柱、4…第1面材、41…第1芯材部、41a…第1主面、41b…第2主面、41c…側面、41cS…直進面部、42…第2芯材部、42a…第1主面隣接面、42b…第2主面隣接面、42c…結合面、42d…端面、43…第3芯材部、43a…内表面、43b…外表面、44…第1被覆シート材、45…第2被覆シート材、45A…第1シート部、45B…第2シート部、45C…シート接着部、46…接着層、48…角部分、49…切欠き、5…第2面材、6…溝、61…第1部分、61A…第1側辺部、62…第2部分、62A…第2側辺部、10…柱部、10A…角、11…第1側面
12…第2側面、13…第1受部、14…第2受部、15…釘、16…ネジ、18…壁紙、71…第1原紙供給部、72…第2原紙供給部、75…石膏供給部、101…面材、101a…表面、101b…裏面、102…面材、102a…表面、102b…裏面、200…石膏、201…石膏ボード芯材部、300…面材中間体、400…面材、401…第1辺部、401C…第1面取り形状部、402…第2辺部、402B…面取り、402C…第2面取り形状部、402S…隣接直進面部