(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065596
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】車両用散布装置
(51)【国際特許分類】
A01M 7/00 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
A01M7/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032115
(22)【出願日】2023-03-02
(62)【分割の表示】P 2020543350の分割
【原出願日】2019-02-11
(31)【優先権主張番号】18156623.3
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】パスカル、ダイ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、アリアンズ
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト、フリースレーベン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】化学薬品の塗布は、列車用線路が散布用列車により占有される場合、また風が過度に強く吹いて特定の時間に化学薬品を散布できない場合に高価となりえて、悪影響を与えうる、これを改善された車両用散布装置を有する。
【解決手段】本発明は、散布システム(100)に関する。1つ以上のカメラ(110)と、車両(120)に搭載される散布装置(10)と、1つ以上の液状化学薬品が入れられるよう構成され、前記車両に搭載された1つ以上の貯蔵容器(130)と、を含む。1つ以上のカメラは、前記1つ以上の画像を取得するよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニットおよび前記1つ以上の貯蔵容器は、互いに流体連通するよう構成される。散布装置は、前記1つ以上の雑草防除化学薬品を散布するよう構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散布システム(100)であって、
1つ以上のカメラ(110)と、
車両(120)に搭載される散布装置(10)と、
1つ以上の液状化学薬品が入れられるよう構成され、前記車両に搭載された1つ以上の貯蔵容器(130)と、
を含み、
前記散布装置(10)は、車両用の散布装置(10)であって、
入力ユニット(20)と、
処理ユニット(30)と、
1つ以上の化学薬品散布ユニット(40)と、
1つ以上の送風機(50)と、
1つ以上の空気偏向板(60)と、
を含み、
前記入力ユニットは、前記処理ユニットに環境の1つ以上の画像を提供するよう構成され、
前記処理ユニットは、前記1つ以上の画像を分析して前記1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させるよう構成され、
前記1つ以上の化学薬品散布ユニットは、液状化学薬品を放出するよう構成され、
前記1つ以上の送風機は、地面に平行な車両の前後軸に対して下向きの第1気流となるように空気を吹き出すように構成され、
前記1つ以上の空気偏向板は、前記車両の移動の結果として移動する空気を前記車両の前記前後軸に対して下向きの第2気流となるように方向付けるよう構成され、
前記1つ以上の化学薬品散布ユニットのうちの化学薬品散布ユニットは、放出された前記液状化学薬品が少なくとも部分的に前記下向きの第1気流内に取りこまれ、かつ少なくとも部分的に前記下向きの第2気流内に取り込まれるように、前記1つ以上の送風機のうちの1つまたは複数の送風機に対して相対的に配置され、前記1つ以上の空気偏向板のうちの1つまたは複数の空気偏向板に対して相対的に配置され、
前記1つ以上のカメラは、前記1つ以上の画像を取得するよう構成され、
前記1つ以上の化学薬品散布ユニットおよび前記1つ以上の貯蔵容器は、互いに流体連通するよう構成され、
前記散布装置は、前記1つ以上の雑草防除化学薬品を散布するよう構成される、
散布システム。
【請求項2】
前記1つ以上のカメラは、前記車両に搭載される、請求項1に記載の散布システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用散布装置、散布システム、車両向けの散布方法、ならびにコンピュータプログラムエレメントおよびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一般的背景は、雑草防除用、ならびに/または、昆虫防除用および/もしくは害虫防除用の化学薬品の散布である。農作物は雑草、害虫または昆虫を防除するために化学薬品の散布を必要とし、特定の工業地域および鉄道線路周辺の領域は植生管理を行う必要がある。いずれの状況においても化学薬品は高価となりえて、化学薬品の塗布は、例えば列車用線路が散布用列車により占有される場合、また例えば風が過度に強く吹いて特定の時間に化学薬品を散布できない場合に高価となりえて、悪影響を与えうる。
【発明の概要】
【0003】
改善された車両用散布装置を有することは有益である。
【0004】
本発明の目的は独立請求項の主題により達成され、更なる実施形態が従属請求項に含まれる。以下で説明される本発明の態様および例は、車両用散布装置、散布システム、車両向けの散布方法、ならびにコンピュータプログラムエレメントおよびコンピュータ可読媒体にも当てはまることに留意されたい。
【0005】
第1態様によれば、
入力ユニットと、
処理ユニットと、
1つ以上の化学薬品散布ユニットと、
1つ以上の送風機と、
1つ以上の空気偏向板と、
を含む車両用散布装置が提供される。
【0006】
入力ユニットは処理ユニットに1つ以上の環境の画像を提供するよう構成される。処理ユニットは1つ以上の画像を分析して1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させるよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニットは液状化学薬品を放出するよう構成される。1つ以上の送風機は、地面に平行な車両の前後軸に対して下向きの第1気流となるように空気を吹き出すよう構成される。1つ以上の空気偏向板は、車両の移動の結果として移動する空気を車両の前後軸に対して下向きの第2気流となるように方向付けるよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニットのうちの化学薬品散布ユニットは、放出された液状化学薬品が少なくとも部分的に下向きの第1気流内に取りこまれ、かつ少なくとも部分的に下向きの第2気流内に取り込まれるように、1つ以上の送風機のうちの1つまたは複数の送風機に対して相対的に配置され、1つ以上の空気偏向板のうちの1つまたは複数の空気偏向板に対して相対的に配置される。
【0007】
つまり、送風機からの洗流(downwash)と列車を流れ過ぎるやはり下方へ向けられた(偏向された)空気が混合されるために噴霧された液体が地面へ向けて押し出されるように、散布銃は配置される。
【0008】
このようにして、風が特定の速度を超える場合に散布能力を制限する増大した偏流(drift)などの風によりもたらされる影響は軽減させることができて、風速がより大きい場合に車両は散布を行うことができる。また、乱気流の影響、および/または、車両が移動する結果、散布時に車両が移動できる速度を制限する、車両の下部および周辺を単純に流れる気流の影響は軽減させることができて、車両がより速い速度で移動する場合に車両は散布を行うことができる。
【0009】
別の言い方をすれば、車両の移動により生じる気流が生成された気流と結合して用いられ、そうでなければ散布銃を動作させる能力を損なう乱気流および横風、ならびに車両の移動により生じる気流に対処できる散布が提供される。
【0010】
したがって、農業従事者は、例えば除草剤(herbicide)、殺虫剤(insecticide)、農業用殺虫剤(pesticide)や肥料(fertilizer)を自分の作物に散布する機会を、以前は散布することができなかったような風が強い場合でも散布を行うことができるため、より多く得る。さらに、農業従事者は、トラクターなどの車両が田畑の上をより迅速に移動して散布を行うことができるため、より素早く散布を行うことができる。雑草防除化学薬品の散布を必要とする工業地域、および、鉄道線路および隣接領域に沿って雑草防除化学薬品の散布を必要とする散布用列車の運転でも同じことが言える。
【0011】
さらに、液状化学薬品は風が強くない条件または遅い車両速度でも気流内に取り込まれるので、液状化学薬品が気流内に取り込まれ、事実上植物へ押し出されて葉の表面を湿らせて植物に吸収されるため、液状化学薬品はよりうまく植物へ移行する。
【0012】
このようにして、除草剤や農業用殺虫剤などの化学薬品の散布は、風速が20km/hより大きい場合に持続可能である。また、比較的高い速度の50km/h、60km/h、70km/h、80km/hで移動する車両は化学薬品を散布することができる。したがって、例えば鉄道線路および関連する盛り土に除草剤を散布する散布用列車はより速い速度で稼働することができて、効率を改善し、コストを節減することができて、障害が少なくなる。これは、空気偏向板と共に動作する送風機が散布された液滴を取り込む気流を作り出し、散布された液滴を空気による遮蔽の中で地面へ押し出すことで、風の影響および車両自体の移動によりもたらされる空気の移動を軽減するために実現される。別の言い方をすれば、空気による遮蔽が移動する車両から散布を行う際の偏流を減少させる。
【0013】
したがって、車両が環境内を動き回る際に、その環境の画像は分析され、散布ユニットを作動させて雑草、害虫、もしくは昆虫を駆除する、または肥料を塗布するために使用される。大きな車両速度および強い風速で散布を実施できるだけでなく、地面上の特定の地点または特定の植物へ、よりうまく狙いをつけて散布することができて、噴霧されたものがその地点へ向けられて遠くへ流されることがないため、植物への移行の効率が改善される。これにより、必要な化学薬品の量が削減され、散布による環境的な影響が和らげられる。
【0014】
一例では、1つ以上の偏向板のうちの各偏向板は第1断面積の吸気口を有し、第2断面積の排気口を有する。偏向板の本体は吸気口から排気口まで延在し、第1断面積は第2断面積より大きい。
【0015】
このようにして、偏向板が気流を下方へ偏向して散布された液体が取り込まれるのを助けるだけでなく、偏向板から出る空気の速度は偏向板に入る空気の速度よりも大きくなる。空気が非圧縮であると仮定すると、連続方程式により、偏向板から出る空気の速度は偏向板に入る空気の速度に第1断面積を乗じて第2断面積で割ったものと比例する。したがって、下向きの空気はさらに大きな速度を持ち、風、および/または、車両の移動による空気の移動に打ち勝つことができる。このようにして、下向きに偏向された流れを増強する効果が向上する。
【0016】
一例では、第1断面積の第2断面積に対する比率は可変である。
【0017】
このようにして、偏向板から出る空気の速度を車両の一定速度に対して変えることができる。
【0018】
一例では、処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて第1断面積の第2断面積に対する比率を変化させるよう構成される。
【0019】
したがって、偏向板は風の条件を考慮して変えることができて、航空機のジェットエンジンの可変式排気ノズルと類似した構造を有することができる。また、偏向板は車両速度および散布されるものも考慮に入れることができる。例えば、小さな雑草領域、または個別の雑草など、小さな領域へ除草剤を散布する場合、処理ユニットは除草剤をより小さな空気噴流に取り込むのを助けるために偏向板の排出領域を狭めて、地面上に散布される排出量を小さくすることができる。さらに、風がより強くなった場合、または車両がより速く移動する場合は、偏向板の排出領域の大きさを小さくして散布される液滴を取り込む空気の速度を高めることができて、そうすることで風、および/または、さらに大きな車両速度の影響に打ち勝つことができる。
【0020】
一例では、偏向板は、気流を前後軸に対して45度から90度の角度で下向きの第2気流となるように方向付けるよう構成される。
【0021】
つまり、下向きとは鉛直下方、または垂直線に対して45度の角度に向けられた気流とすることができる。
【0022】
一例では、偏向板の本体の1つ以上の部分が偏向板の本体の固定部に対して可動であり、処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて本体の1つ以上の可動部を移動させるよう構成される。
【0023】
このようにして、気流を鉛直下方、もしくは垂直線に対して45度、またはこれら両極端の間の角度に向けることができる。したがって、正確な状況に応じて、必要に応じて空気を偏向させることができる。
【0024】
一例では、1つ以上の送風機のうちの各送風機は吹き出す空気の速度を変化させるよう構成される。
【0025】
一例では、処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて送風機を制御して、吹き出す空気の速度を変化させるよう構成される。
【0026】
一例では、各送風機は吹き出す空気の前後軸に対する方向を変化させるよう構成される。処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて送風機を制御して、吹き出す空気の方向を変化させるよう構成される。
【0027】
つまり、処理ユニットの制御下で、吹き出す空気の方向が風、車両速度、および散布を行う対象に対応できるように、送風機を車両に対して回転させることができる。
【0028】
一例では、処理ユニットは1つ以上の画像を分析して1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させる1つ以上の場所を決定するよう構成される。
【0029】
一例では、1つ以上の画像を分析して1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させる1つ以上の場所を決定することは、1つ以上の植生場所を判定することを含む。
【0030】
つまり、取得した画像の中の植生領域を判定するために画像処理を用いることができて、化学薬品散布ユニットをこれらの場所で作動させることができる。
【0031】
第2態様によれば、
1つ以上のカメラと、
車両に搭載された第1態様に係る散布装置と、
1つ以上の液状化学薬品が入れられるよう構成され、車両に搭載された1つ以上の貯蔵容器と、
を含む散布システムが提供される。
【0032】
1つ以上のカメラは、1つ以上の画像を取得するよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニットおよび1つ以上の貯蔵容器は、互いに流体接続するよう構成される。散布装置は、1つ以上の雑草防除化学薬品を散布するよう構成される。
【0033】
このようにして、車両が環境内を動き回り、その環境の画像に基づいて移行効率を高めながら、化学薬品散布を用いてその環境内の雑草を防除することができる。このようにして、画像は1つのプラットフォーム、例えば環境の上空を飛ぶ1つまたは複数のドローンにより取得することができる。その情報は車両に搭載された装置へ送られる。そして、装置は環境内の正しい場所で散布ユニットを作動させる。
【0034】
一例では、1つ以上のカメラは車両に搭載される。
【0035】
このように、システムは、画像を取得し、いつどこで化学薬品散布ユニットを起動するかを決定するためにその画像を分析することで、リアルタイムまたは準リアルタイムで動作することができる。
【0036】
第3態様によれば、
a)処理ユニットに環境の1つ以上の画像を提供することと、
b)処理ユニットにより1つ以上の画像を分析して車両に搭載された1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させることと、
c)1つ以上の化学薬品散布ユニットにより液状化学薬品を放出することと、
d)車両に搭載された1つ以上の送風機により、地面に平行な車両の前後軸に対して下向きの第1気流となるように空気を吹き出すことと、
e)車両の移動の結果として移動する空気を、車両に搭載された1つ以上の偏向板により、地面に平行な車両の前後軸に対して下向きの第2気流となるように方向付けることと、
を含み、
1つ以上の化学薬品散布ユニットのうちの化学薬品散布ユニットは、放出された液状化学薬品が少なくとも部分的に下向きの第1気流内に取りこまれ、かつ少なくとも部分的に下向きの第2気流内に取り込まれるように、1つ以上の送風機のうちの1つまたは複数の送風機に対して相対的に配置され、1つ以上の空気偏向板のうちの1つまたは複数の空気偏向板に対して相対的に配置される、
車両向けの散布方法が提供される。
【0037】
別の態様によれば、第1態様の装置に係る装置、および/または、第2態様に係るシステムを制御するためのコンピュータプログラムエレメントであって、プロセッサにより実行されると第3態様に係る方法を実行するよう構成されているコンピュータプログラムエレメントが提供される。
【0038】
有利なことに、上記態様のいずれかによって提供される利益は、他の態様のすべてに同様に当てはまり、逆もまた同様である。
【0039】
上記の態様および実施例はこの後に記述される実施形態から明らかになり、これらの実施形態を参照して説明される。
【0040】
以下では、例示の実施形態について以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図4】送風機、空気偏向板、および化学薬品散布ユニットの一例の概略構成を示す。
【
図5】送風機、空気偏向板、および化学薬品散布ユニットの一例の概略構成を示す。
【
図9】送風機、空気偏向板、および化学薬品散布ユニットの一例の概略構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、車両用散布装置10の一例を示す。散布装置10は、入力ユニット20、処理ユニット30、1つ以上の化学薬品散布ユニット40、1つ以上の送風機50、および1つ以上の空気偏向板60を含む。入力ユニット20は、処理ユニット30に環境の1つ以上の画像を提供するよう構成される。処理ユニット30は、1つ以上の画像を分析して1つ以上の化学薬品散布ユニット40を作動させるよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニット40は液状化学薬品を放出するよう構成される。1つ以上の送風機50は、地面に平行な車両の前後軸に対して下向きの第1気流となるように空気を吹き出すよう構成される。1つ以上の空気偏向板60は、車両の移動の結果として移動する空気を車両の前後軸に対して下向きの第2気流となるように方向付けるよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニット40のうちの化学薬品散布ユニットは、放出された液状化学薬品が少なくとも部分的に下向きの第1気流内に取りこまれ、かつ少なくとも部分的に下向きの第2気流内に取り込まれるように、1つ以上の送風機50のうちの1つまたは複数の送風機に対して相対的に配置され、1つ以上の空気偏向板60のうちの1つまたは複数の空気偏向板に対して相対的に配置される。
【0043】
一例では、化学薬品散布ユニットの各ユニットは、化学薬品散布銃またはノズルと、化学薬品貯蔵容器へ通じるよう構成されている導管とを含む。一例では、1つ以上の化学薬品散布ユニットは1つ以上の化学薬品貯蔵容器を含む。
【0044】
このように、「1つ以上の化学薬品散布ユニット」は、1つ以上の散布銃(またはノズル)を意味することがある。また、「1つ以上の化学薬品散布ユニット」は、関連する液体輸送導管を伴う1つ以上の散布銃(またはノズル)を意味することがある。また、「1つ以上の化学薬品散布ユニット」は、関連する液体移送導管および1つ以上の化学薬品貯蔵容器を伴う1つ以上の散布銃(またはノズル)を意味することがある。
【0045】
一例では、装置は処理ユニットと通信する出力ユニットを含み、出力ユニットは1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させるよう構成される。
【0046】
一例では、装置はリアルタイムで動作し、複数の画像が取得されて即座に処理され、1つまたは複数の化学薬品散布ユニットがすぐに使用されて、それら1つまたは複数の散布ユニットが作動して例えば雑草/昆虫/害虫/飼料植物が防除される。したがって、例えば、車両はその環境の画像を取得し、その画像を処理して、散布ユニットをリアルタイムで作動させることができる。
【0047】
一例では、装置はオフラインモードで動作していて、(装置または別の適切なシステムによって)環境の複数の画像が取得され、後で装置によって処理されて、化学薬品散布ユニットを作動させる。したがって、例えば、1つまたは複数のカメラを備える、乗用車、列車、大型トラック、無人航空機(UAV)、またはドローンなどの第1車両が環境内を移動して画像を取得することができる。その後、この画像は動き回る装置により後で処理されて、化学薬品散布ユニットを作動させることができる。
【0048】
一例では、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、液状雑草防除化学薬品を霧化するよう構成されている霧化器を含む。一例では、霧化器は圧縮空気を使って液状雑草防除化学薬品を霧化するよう構成される。一例では、霧化器は回転する金属円板を含む。したがって、回転式ベルシステムを使って液状雑草防除化学薬品を霧化することができる。
【0049】
「霧化された(atomized)」は個々の原子を意味するのではなく、この用語の散布システムに関する標準的な用法に関連し、様々な大きさの粒子からなる細かい霧を意味することに留意されたい。
【0050】
一例では、処理ユニットは1つ以上の画像を分析して1つ以上の化学薬品散布ユニットの使用されるべき1つ以上の動作モードを決定するよう構成される。
【0051】
つまり、環境の1つまたは複数の画像が取得されている。化学薬品散布ユニットは、例えば異なる化学薬品を散布する、散布ユニットと地面または雑草の間の距離を変化させる、など多くの異なる動作モードで動作できる。そして装置は、環境の1つまたは複数の特定の場所において最良の散布を行うために、1つまたは複数の画像を分析して1つ以上の化学薬品散布ユニットの利用可能な動作モードの中でどの1つまたは複数の動作モードが使用されるべきかを決定する。
【0052】
このように、環境内の相異なるエリアのために最適な散布ユニットの動作モードを用いてもよい。また、環境内の相異なるエリアで、それぞれの異なるエリアのためにそれぞれの動作モードが最適となるような、散布ユニットの相異なる動作モードを用いてもよい。
【0053】
一例によれば、1つ以上の偏向板のうちの各偏向板は第1断面積の吸気口を有し、第2断面積の排気口を有する。偏向板の本体は吸気口から排気口まで延在し、第1断面積は第2断面積より大きい。
【0054】
一例によれば、第1断面積の第2断面積に対する比率は可変である。
【0055】
一例によれば、処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて第1断面積の第2断面積に対する比率を変化させるよう構成される。
【0056】
一例では、比率は第2断面積を変化させることで変えられる。一例では、比率は第1断面積を変化させることで変えられる。つまり、偏向板の喉部、および/または、出口は、必要に応じて変えることができる。
【0057】
一例によれば、1つ以上の偏向板のうちの各偏向板は、気流を前後軸に対して45度から90度の角度で下向きの第2気流となるように方向付けるよう構成される。
【0058】
一例によれば、1つ以上の空気偏向板のうちの各空気偏向板の本体の1つ以上の部分は、空気偏向板の本体の固定部に対して可動である。処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて本体の1つ以上の可動部を移動させるよう構成される。
【0059】
一例によれば、1つ以上の送風機のうちの各送風機は吹き出す空気の速度を変化させるよう構成される。
【0060】
一例によれば、処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて吹き出す空気の速度を変化させるよう構成される。
【0061】
一例では、各送風機は回転式送風機である。一例では、各送風機は遠心式送風機である。一例では、各送風機はファンである。一例では、送風機により吹かれる空気の速度は、ファン内の羽根の角度を変化させることで変えられる。一例では、送風機により吹かれる空気の速度は、送風機の回転速度を変化させることで変えられる。
【0062】
一例によれば、各送風機は吹き出す空気の前後軸に対する方向を変化させるよう構成される。処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて吹き出す空気の方向を変化させるよう構成される。
【0063】
一例では、偏向板の1つ以上の可動部は、送風機が吹き出した空気の方向を変えられる手段である。
【0064】
一例によれば、処理ユニットは1つ以上の画像を分析して1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させる1つ以上の場所を決定するよう構成される。
【0065】
一例によれば、1つ以上の画像を分析して1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させる1つ以上の場所を決定することは、1つ以上の植生場所を判定することを含む。
【0066】
一例では、処理ユニットは、環境中の植生のその1つ以上の場所で用いられるべき、1つ以上の化学薬品散布ユニットの少なくとも1つの動作モードを決定するよう構成される。
【0067】
一例では、1つ以上の化学薬品散布ユニットの起動のための1つ以上の場所を決定するための1枚以上の画像の分析は、1種類以上の雑草の決定を含む。
【0068】
つまり、1つ以上の化学薬品散布ユニットは、防除対象の1つまたは複数の種類の雑草を駆除する方法において作動させることができる。したがって、例えば、1種類の雑草ではその雑草を駆除するのに液状雑草防除散布を短い時間行うだけでよいが、異なる種類の雑草を駆除するには液状雑草防除散布をより長い時間行う必要がある場合がある。また、化学薬品雑草防除ユニットは、雑草防除化学薬品の2つ以上の貯蔵容器と連結することができて、例えば、非常に強い雑草防除化学薬品を1つのタンクに入れて防除するのが難しい雑草を駆除するために使用し、第2タンクにはより弱い化学薬品を収容することができる。したがって、強い化学薬品は、防除するのが難しい雑草を検出したことに関連して必要な場合のみに、節約しながら使用できる。そして、弱い方の化学薬品は他の雑草を防除するため使用することができて、これにより、環境上および費用上の便益がもたらされる。農業用殺虫剤、殺虫剤、および肥料も、取得した画像の画像処理に基づいて同様に散布することができる。
【0069】
一例では、1つ以上の画像の分析は、機械学習アルゴリズムの活用を含む。
【0070】
一例では、機械学習アルゴリズムは決定木アルゴリズムを含む。
【0071】
一例では、機械学習アルゴリズムは人工ニューラルネットワークを含む。
【0072】
一例では、機械学習アルゴリズムは、複数の画像に基づいて教育されている。一例では、機械学習アルゴリズムは、1種類以上の雑草の画像を含む複数の画像に基づいて教育されている。一例では、機械学習アルゴリズムは、複数の雑草の画像を含む複数の画像に基づいて教育されている。同様に、害虫および昆虫の画像を使って機械学習アルゴリズムを訓練することができる。
【0073】
一例において、処理部は、環境中のその1つ以上の場所に存在すると決定された種類の雑草に基づいて、1つ以上の化学薬品散布ユニットの用いられるべき少なくとも1つの動作モードを決定するよう構成される。
【0074】
つまり、化学薬品散布ユニットの適切な動作モードは防除対象の1つまたは複数の種類の雑草を駆除するために選ぶことができる。したがって、例えば、1種類の雑草ではその雑草を駆除するのにある特定の種類の化学薬品を短い時間散布するだけでよいが、異なる種類の雑草を駆除するには同じ化学薬品をより長い時間散布する必要があることがある。あるいは、異なる化学薬品を異なる雑草に散布する、または単位時間あたり異なる容積で散布することができる。
【0075】
一例では、1つ以上の画像は1つ以上のカメラにより取得され、入力ユニットは、1つ以上の画像が取得された際に1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理ユニットに提供するよう構成される。
【0076】
この場所は、地面上の正確な場所に関する地理的位置でもよく、または、1つ以上の化学薬品散布ユニットの位置を基準とする地面上の場所であってもよい。つまり、絶対的な地理的位置が利用されてもよく、または、絶対的に知られている必要はないが1つ以上の化学薬品散布ユニットの場所を基準とする地面上の場所が利用されてもよい。このように、画像とその画像が取得された場所とを関連付けることで、1つ以上の化学薬品散布ユニットを正確にその場所へ作動させることができる。
【0077】
一例では、場所は、地理上の絶対位置である。
【0078】
一例では、場所は1つ以上の化学薬品散布ユニットの位置を基準にして決定される場所である。つまり、ある画像を、その正確な地理的位置を知ることなく、地面上の特定の場所と関連付けられていると判断することができるが、その画像が取得された時点のその場所に対する1つ以上の化学薬品散布ユニットの位置を知ることで、1つ以上の化学薬品散布ユニットをその場所へ移動させることによって1つ以上の化学薬品散布ユニットを後でその場所で作動させることができる。
【0079】
一例では、GPSユニットが、特定の画像が取得されたときの1つ以上のカメラの場所を決定するために、および/またはその決定において用いられる。
【0080】
一例では、特定の画像が取得されたときの1つ以上のカメラの場所を決定するために、慣性航法ユニットが単独でまたはGPSユニットと組み合わせて用いられる。したがって、例えば、例えば1つまたは複数のレーザージャイロスコープを含む慣性航法ユニットを、ある既知の位置で較正しまたはゼロに目盛り合わせし、このユニットが1つ以上のカメラとともに移動するにつれて、x、y、z座標で表される、その既知の位置からの移動量を決定し、これに基づいて、画像が取得されたときの1つ以上のカメラの場所を決定してもよい。
【0081】
一例では、特定の画像が取得されたときの1つ以上のカメラの場所を決定するために、取得された画像の画像処理が、単独で、またはGPSユニットと組み合わせて、またはGPSユニットおよび慣性航法ユニットと組み合わせて、用いられる。
【0082】
図2は散布システム100の一例を示す。散布システムは、1つ以上のカメラ110、および
図1に関して説明された散布装置10を含む。散布装置10は車両120に搭載される。また、散布システム100は、1つ以上の液状化学薬品が入るよう構成されている1つ以上の貯蔵容器130も含む。1つ以上の貯蔵容器130は車両120に搭載される。1つ以上のカメラ110は1つ以上の画像を取得するよう構成される。1つ以上の化学薬品散布ユニット40および1つ以上の貯蔵容器130は、互いに流体連通するよう構成される。散布装置10は、1つ以上の雑草防除化学薬品を散布するよう構成される。
【0083】
一例によれば、1つ以上のカメラは車両に搭載される。
【0084】
一例では、車両は列車である。
【0085】
一例では、車両は大型トラック(lorry)もしくはトラック、またはUnimog(多目的作業車)である。
【0086】
一例では、車両はトラクターである。
【0087】
一例では、入力ユニットは、1つ以上の画像が取得された際に1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の場所を処理ユニットに提供するよう構成される。一例では、場所は地理的位置である。
【0088】
一例では、装置は、1つ以上の画像が取得された際に1つ以上のカメラと関連付けられた1つ以上の地理的位置および1つ以上のカメラと1つ以上の化学薬品散布ユニットの間の空間的関係に基づいて、1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させるよう構成される。このように、車両に搭載されたカメラにより画像が取得された場所、およびカメラに対する化学薬品散布ユニットの車両上の搭載位置を知ることで、画像が取得されたのと同じ場所で、かつ実際に撮影された領域内で化学薬品散布ユニットを作動させるために、車両の前進速度を考慮することが簡単になる。
【0089】
図3は、車両向けの散布方法200を基本的ステップで示す。方法200は、
ステップa)とも呼ばれる提供するステップ210において、処理ユニットに環境の1つ以上の画像を提供することと、
ステップb)とも呼ばれる分析するステップ220において、処理ユニットにより1つ以上の画像を分析して車両に搭載された1つ以上の化学薬品散布ユニットを作動させることと、
ステップc)とも呼ばれる放出するステップ230において、1つ以上の化学薬品散布ユニットにより液状化学薬品を放出することと、
ステップd)とも呼ばれる空気を吹き出すステップ240において、車両に搭載された1つ以上の送風機により地面に平行な車両の前後軸に対して下向きの第1気流となるように空気を吹き出すことと、
ステップe)とも呼ばれる空気を向けるステップにおいて、車両の移動の結果として移動する空気を、車両に搭載された1つ以上の偏向板により、地面に平行な車両の前後軸に対して下向きの第2気流となるように方向付けることと、
を含む。
【0090】
1つ以上の化学薬品散布ユニットのうちの化学薬品散布ユニットは、放出された液状化学薬品が少なくとも部分的に下向きの第1気流内に取りこまれ、かつ少なくとも部分的に下向きの第2気流内に取り込まれるように、1つ以上の送風機のうちの1つまたは複数の送風機に対して相対的に配置され、1つ以上の空気偏向板のうちの1つまたは複数の空気偏向板に対して相対的に配置される。
【0091】
一例では、1つ以上の偏向板のうちの各偏向板は第1断面積の吸気口を有し、第2断面積の排気口を有する。略気密性の本体は吸気口から排気口まで延在し、第1断面積は第2断面積より大きい。
【0092】
一例では、第1断面積の第2断面積に対する比率は可変である。
【0093】
一例では、処理ユニットは、車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて第1断面積の第2断面積に対する比率を変化させるよう構成される。
【0094】
一例では、ステップe)は、気流を前後軸に対して45度から90度の角度で下向きの第2気流となるように方向付けることを含む。
【0095】
一例では、偏向板の本体角度は可変であり、ステップe)は、処理ユニットが車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて本体角度を変化させるために出力を提供することを含む。
【0096】
一例では、1つ以上の送風機のうちの各送風機は吹き出す空気の速度を変化させるよう構成される。
【0097】
一例では、ステップd)は、処理ユニットが車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて吹き出す空気の速度を変化させるために出力を提供することを含む。
【0098】
一例では、各送風機は吹き出す空気の前後軸に対する方向を変化させるよう構成され、ステップd)は、処理ユニットが車両速度、風速、分析された1つ以上の画像、のうちの1つまたは複数に基づいて吹き出す空気の方向を変化させるために出力を提供することを含む。
【0099】
これより、雑草防除のための装置、システム、および方法を
図4~9と共にさらに詳細に説明する。
【0100】
図4は、上述した装置10が取り付けられた車両120を示し、送風機50、空気偏向板60、および、地面上の場所に散布を行っている化学薬品散布ユニット40または散布銃を有する。カメラ(図示せず)が画像を取得し、この画像はその後分析されて、どの場所に散布する必要があるかが決定される。カメラは車両により運ぶこともできて、画像取得後すぐにある場所へ散布するためにリアルタイムで画像処理を行うこともできる。あるいは、画像は、例えばこの場所を前日に通過したカメラを有する異なる車両によってより早い時間に撮影することもできて、画像処理が散布されるべき場所を示していた。散布されるべき場所の地理的位置は記録され、散布装置10を有する車両は場所判定手段、例えばGPS、および/または、画像処理をベースとした場所判定手段なども有し、必要な場所へ散布を行う。例えば、画像処理により雑草がある場所を判定することができて、それらの雑草には除草剤が散布される。
【0101】
図4に示される車両では、化学薬品散布ユニットにファンの形態の送風機の下へ除草剤を放出させている。送風機からの空気は散布される液滴を取り込んで、地面へと押し出す。さらに、車両は前方へ移動し、その結果、空気は車両の周りおよび下を移動する。これは化学薬品散布へ悪影響を与えかねないが、化学薬品散布銃により散布される液滴が放出される位置の周囲の下方の位置へこの空気の一部を向けるように空気偏向板が置かれる。この偏向された気流はファンからの気流を増強し、散布される化学薬品の液滴を地面へ押し出し、例えば散布場所で生長している雑草へ押し付ける、さらに大きな取り込み気流を提供する。
【0102】
図5は代替の配置を示し、化学薬品散布ユニットは送風機の上の場所である。これは、化学薬品散布ユニットの本体は吹き出され、偏向された気流とは干渉せず、より多量の下向きの空気を散布される化学薬品の液滴を取り込むのに利用できるということを意味する。
【0103】
図6は空気偏向板の一例の詳細を示し、偏向されたものの末端部は結合部の周りで可動する。これにより、必要であれば偏向された気流を制御できる。
【0104】
図7は偏向板の一例の詳細を示す。
図7に示される偏向板は2つの形状を持ちうる。一つの形状では、
図7に示されるように、断面は車両の前方の異なる位置で同一である。したがって、偏向板は、事実上、互いから離間した2つの湾曲した翼からできている。車両の手前側と奥側にある2つの端部は、空気が横向きに移動しないように閉じることができて、その結果、偏向板は異なる位置において矩形状の断面を有する。しかし、偏向板はその排気口よりも広い開口を有し、このような条件下にある空気は非圧縮性であるため、偏向板から出る空気の速度は偏向板に入る空気の速度よりも大きい。これは連続方程式により規定され、以下が与えられる。
【0105】
【0106】
ここで、Vexitは偏向板から出る空気の速度、Ventryは偏向板に入る空気の速度であり、AreaEntryおよびAreaEntryはそれぞれ、偏向板の出口と入り口の断面積である。
【0107】
したがって、偏向板は車両を流れ過ぎる空気よりも大きな速度を持つ下向きの気流を作り出すことができて、これはさらに、散布されたものが流されないようにするのを助ける。
【0108】
図7に示される偏向板の他の形状はより円対称の偏向板であり、偏向板の先の方の断面は「円形」である。しかし、断面は楕円形とすることができて、究極的には上述した矩形状の断面へ向かう傾向がある。
【0109】
図8は
図7に示されるものと類似した偏向板を示すが、入り口の喉部はより多くの流入する空気を捕らえるために広げられており、偏向板の出口の一部は結合部の周りで調整可能となっている。この形状は、特に上述した矩形状断面の偏向板に当てはまる。
【0110】
図9は偏向板および送風機を示し、送風機は空気偏向板によりもたらされる偏向された気流へ空気を吹き出す。偏向板の出口はジェットエンジンの排気孔と同様の方法で可動する。化学薬品散布ユニットは送風機の気流へ散布し、散布された液滴はまず吹き出された空気に取り込まれる。そして散布された液滴は偏向された空気および吹き出された空気に取り込まれる。空気偏向板は正方形または矩形状断面を持つことができて、これにより偏向板の可動式の出口が簡略化され、頂部と底部で2つのヒンジで連結されたフラップを形成する。
【0111】
分析により雑草種類を判定できるようにする画像処理
これより、雑草の種類を判定できるようにするために画像がどのように処理され、どのようにして画像処理に適していると判定されるかについて、具体例を説明する。
1. 雑草のデジタル画像(特にカラー画像)が撮影される。
2. デジタル画像内で予め規定された色およびテクスチャを持つ領域に境界輪郭内で輪郭が付けられる。典型的には1つの雑草植物に対して1つの輪郭が付けられた範囲が期待される。しかし、2つの雑草植物などの異なる、つながっていない可能性のある葉に対して輪郭が付けられた領域が2つ以上ある可能性もある。そのような検出または判定プロセスによりデジタル画像の緑色の領域の境界が検出される。このプロセスの間に、境界輪郭内の雑草に関連する画素を含む、1つ以上の輪郭が付けられた領域、例えば1つまたは複数の葉および1つまたは複数の雑草植物、を作ることができる。しかし、デジタル画像が2つ以上の葉、および/または、茎を捉えている可能性もありうる。その結果、2つ以上の輪郭が付けられた領域が判定される可能性がある。
3. 境界輪郭が充分大きな領域を網羅しているかを判定し、境界輪郭内の画像データの鮮明さ(ピントの度合い)を判定する。これにより、まず雑草の種類を判定するのに充分な画像データがあることが保証され、次に、雑草の種類を作るためにデジタル画像の最低限の品質が満たされるであろうと判断される。
4. 3)の両方の基準が満たされる場合、デジタル画像、具体的には境界輪郭内のデジタル画像が人工ニューラルネットワークによる画像分析のために処理ユニットへ送られて、前述したように雑草の種類が判定される。
【0112】
別の例示の実施形態では、前述の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを適切なシステム上で実行するよう構成されていることを特徴とするコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラムエレメントが提供される。
【0113】
それゆえ、コンピュータプログラムエレメントはコンピュータユニットに記憶されることがあり、このコンピュータユニットも一実施形態の一部でありうる。このコンピュータユニットは、上述した方法のステップを実行する、または実行させるよう構成されてもよい。さらに、上述した装置、および/または、システムの構成要素を動作させるよう構成されてもよい。コンピュータユニットは、自動で動作するように、および/または、ユーザの命令を実行するよう構成することができる。コンピュータプログラムは、データ処理装置の作業メモリへロードされることがある。データ処理装置は、このように前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行する能力を備えていることがある。
【0114】
本発明のこの例示の実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラム、およびアップデートにより既存のプログラムを本発明を使用するプログラムへと変えるコンピュータプログラムの両方を対象とする。
【0115】
さらに、コンピュータプログラムエレメントが、上述した方法の例示の実施形態の手順を実現するのに必要なすべてのステップを提供することがある。
【0116】
本発明の更なる例示の実施形態によれば、CD-ROM、USBスティック、または同種のものなどの、前節で説明されたコンピュータプログラムエレメントが記憶されているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0117】
コンピュータプログラムは他のハードウェアと共に、または他のハードウェアの一部として、光記憶媒体や半導体媒体などの適切な媒体に記憶される、および/またはそのような媒体で配布されることがあるが、インターネットまたは他の有線もしくは無線の電気通信システムを介するなどの他の形態で配布されることもある。
【0118】
しかし、コンピュータプログラムはワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提供されることもあり、そのようなネットワークからデータ処理部の作業メモリへダウンロードすることができる。本発明の更なる例示の実施形態によれば、本発明の前述の実施形態のうちの1つに係る方法を実行するように構成されているコンピュータプログラムエレメントをダウンロード可能とするための媒体が提供される。
【0119】
本発明の実施形態は異なる複数の主題に関して記述されていることに留意されたい。特に、一部の実施形態は方法クレームに関して説明されているが、他の実施形態は装置クレームに関して説明されている。しかし、当業者であれば、上記および以下の記述から、特に通知がない限り、1種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる複数の主題に関連する特徴の任意の組み合わせも、本出願を以て開示されていると見做されると推測するであろう。しかし、すべての特徴を組み合わせて、それら特徴の単なる合計を超える相乗効果を与えることができる。
【0120】
本発明は図面および上述の説明で例証され、詳細に説明されたが、そのような図および説明は例証または例示であると考えられるべきであり、制限的であると考えられるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、特許請求される発明を実践する際に、図面、本開示、および従属請求項を検討することで、当業者は理解、達成することができる。
【0121】
請求項において、「含む(comprising)」という単語は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞の「a」または「an」は複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが請求項に記載されるいくつかの項目の機能を実行してもよい。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているとしても、単にその事実をもって、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことが示されるわけではない。請求項中のいずれの参照符号も、請求の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。