(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065614
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20230502BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20230502BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B18/12
A61B17/00 700
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023032623
(22)【出願日】2023-03-03
(62)【分割の表示】P 2020536128の分割
【原出願日】2018-11-14
(31)【優先権主張番号】62/640,417
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,340
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/640,415
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/692,768
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,877
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,339
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,882
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/182,238
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/692,747
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,341
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/729,195
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,887
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/659,900
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,898
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/692,748
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メサーリー・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・フレデリック・イー・ザ・フォース
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン・ジェームズ・エム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】超音波外科用器具を提供する。
【解決手段】組織に接して超音波振動するように構成された超音波ブレード203226、及び超音波ブレードに対して枢動するように構成されたクランプアーム203224、を備える、エンドエフェクタ203220と、超音波ブレードに音響的に連結され、発生器からの駆動信号に反応して前記超音波ブレードを超音波振動させるように構成された、超音波変換器と、エンドエフェクタに連結された制御回路と、を備え、超音波ブレードおよびクランプアームの内の少なくとも一方は、圧縮、変形、偏向、又は、屈曲するように構成されている。
【選択図】
図30A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
組織に接して超音波振動するように構成された超音波ブレード、及び前記超音波ブレードに対して枢動するように構成されたクランプアーム、を備える、エンドエフェクタと、
超音波変換器であって、前記超音波ブレードに音響的に連結され、発生器からの駆動信号に反応して前記超音波ブレードを超音波振動させるように構成された、超音波変換器と、
前記エンドエフェクタに連結された制御回路と、を備え、
前記超音波ブレードおよび前記クランプアームの内の少なくとも一方は、圧縮、変形、偏向、又は、屈曲するように構成されており、
前記超音波ブレードは、組織を介して前記クランプアームと当接可能である第1の当接部を有し、前記クランプアームは、組織を介して前記超音波ブレードと当接可能である第2の当接部を有し、
前記制御回路が、前記クランプアームを枢動させることにより、初めに、前記超音波ブレードの前記第1の当接部の遠位端および前記クランプアームの前記第2の当接部の遠位端のみが互いに当接し、それから徐々に、前記超音波ブレードの前記第1の当接部の近位側および前記クランプアームの前記第2の当接部の近位側に、前記超音波ブレードおよび前記クランプアームの当接領域が拡大していき、前記超音波ブレードの前記第1の当接部全体および前記クランプアームの前記第2の当接部全体が当接した前記エンドエフェクタの完全閉鎖位置となり、
前記超音波ブレードにおける前記第1の当接部よりも近位側の部分、及び、前記クランプアームの前記第2の当接部よりも近位側の部分の少なくとも一方が凹んでいて、前記エンドエフェクタが前記完全閉鎖位置にある際にも、前記超音波ブレードおよび前記クランプアームが互いに当接しない近位間隙が画定されている、外科用器具。
【請求項2】
高周波(RF)エネルギーを組織に送達するように構成された高周波(RF)電極を更に備えた、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記制御回路が、前記高周波(RF)エネルギーの電力レベルを、組織のインピーダンスに基づいて調節するように構成されている、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記クランプアームは、クランプアーム組織パッドを備え、前記クランプアーム組織パッドは、圧縮可能である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記制御回路は、前記エンドエフェクタが前記完全閉鎖位置にないときに、前記エンドエフェクタが前記完全閉鎖位置にあるときと比較して、前記超音波ブレードの前記超音波振動を低減するように構成されている、請求項1に記載の外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年11月6日出願の米国特許非仮出願第16/182,238号、発明の名称「ULTRASONIC ENERGY DEVICE WHICH VARIES PRESSURE APPLIED BY CLAMP ARM TO PROVIDE THRESHOLD CONTROL PRESSURE AT A CUT PROGRESSION LOCATION」の利益を主張するものであり、その開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「ULTRASONIC ENERGY DEVICE WHICH VARIES PRESSURE APPLIED BY CLAMP ARM TO PROVIDE THRESHOLD CONTROL PRESSURE AT A CUT PROGRESSION LOCATION」と題する2018年9月10日出願の米国特許仮出願第62/729,195号に対する優先権を主張する。
【0003】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「SMART ACTIVATION OF AN ENERGY DEVICE BY ANOTHER DEVICE」と題する2018年6月30日出願の米国特許仮出願第62/692,747号、「SMART ENERGY ARCHITECTURE」と題する2018年6月30日出願の米国特許仮出願第62/692,748号、及び「SMART ENERGY DEVICES」と題する2018年6月30日出願の米国特許仮出願第62/692,768号に対する優先権を主張する。
【0004】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する2018年4月19日出願の米国特許仮出願第62/659,900号に対する優先権を主張する。
【0005】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,898号、「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,887号、「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,882号、及び「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,877号の優先権を主張する。
【0006】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、その各々の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日出願の米国特許仮出願第62/640,417号、及び「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日出願の米国特許仮出願第62/640,415号に対する優先権を主張する。
【0007】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,340号、及び「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,339号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0008】
本開示は様々な外科システムに関する。外科処置は、典型的には、例えば、病院などの医療施設内の手術室又は手術部屋で実行される。典型的には、患者の周囲に滅菌野が形成される。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。様々な外科用装置及びシステムが、外科処置の実行に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
機構、及び動作の方法の両方について本明細書に記載される様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以降の添付図面と併せて、以下の説明を参照することにより最もよく理解することができる。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を実行するために使用される外科システムである。
【
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
【
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ筐体、及び外科用ハブ筐体のドロアー内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールの部分斜視図である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、双極接点、超音波接点、及び単極接点、並びに排煙構成要素を備える組み合わせ発生器モジュールの斜視図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジングの複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。
【
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された垂直モジュール式ハウジングを示す。
【
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ以上の手術室、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワークを示す。
【
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムを示す。
【
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える外科用ハブを示す。
【
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)ネットワークハブ装置の一態様を示す。
【
図12】本開示の少なくとも1つの態様に係る、クラウドコンピューティングシステムのクラウドコンポーネントに接続することができる、外科用ハブに連結された複数のスマート外科用器具を備えるクラウドコンピューティングシステムのブロック図である。
【
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、クラウドコンピューティングシステムの機能モジュールアーキテクチャである。
【
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科システムの図である。
【
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの状況認識を示す時間線である。
【
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書に記載される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具の概略図である。
【
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
【
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の概略図である。
【
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器の一例を示す。
【
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器のアーキテクチャの構造図である。
【
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、第1段階回路が第2段階回路と共通している、複数の段階に分割された発生器回路を示す。
【
図22】本開示の一態様による、外科用器具と共に使用するためのフィードバックシステムを備える外科用器具の一態様の図を示す。
【
図23A】本開示の少なくとも1つの態様による、時間の関数としてのクランプ力のグラフ、及びそれに関連する凝固/切断焦点のグラフを含むグラフである。
【
図23B】本開示の少なくとも1つの態様による、時間の関数としてのクランプ力のグラフ、及びそれに関連する凝固/切断焦点のグラフを含むグラフである。
【
図24A】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としてのクランプ力のグラフ、及び遠位先端部からの距離の関数としてのブレード変位のグラフを含むグラフである。
【
図24B】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としてのクランプ力のグラフ、及び遠位先端部からの距離の関数としてのブレード変位のグラフを含むグラフである。
【
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの長さに沿った様々なセクションの関数としてのクランプ力分布のグラフである。
【
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としてのブレード変位プロファイルのグラフである。
【
図27A】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの閉鎖ストロークを示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図27B】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの閉鎖ストロークを示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図27C】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの閉鎖ストロークを示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図28A】本開示の少なくとも1つの態様による、
図27A~
図27Cの断面図に対応する、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としての、ブレードとクランプアームとの間に印加されるクランプ力のグラフである。
【
図28B】本開示の少なくとも1つの態様による、
図27A~
図27Cの断面図に対応する、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としての、ブレードとクランプアームとの間に印加されるクランプ力のグラフである。
【
図28C】本開示の少なくとも1つの態様による、
図27A~
図27Cの断面図に対応する、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としての、ブレードとクランプアームとの間に印加されるクランプ力のグラフである。
【
図29A】本開示の少なくとも1つの態様による、近位側開始閉鎖ストローク構成を示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図29B】本開示の少なくとも1つの態様による、近位側開始閉鎖ストローク構成を示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図29C】本開示の少なくとも1つの態様による、近位側開始閉鎖ストローク構成を示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図30A】本開示の少なくとも1つの態様による、遠位側開始閉鎖ストローク構成を示し、関連する部分応力を示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図30B】本開示の少なくとも1つの態様による、遠位側開始閉鎖ストローク構成を示し、関連する部分応力を示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図30C】本開示の少なくとも1つの態様による、遠位側開始閉鎖ストローク構成を示し、関連する部分応力を示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図30D】本開示の少なくとも1つの態様による、遠位側開始閉鎖ストローク構成を示し、関連する部分応力を示すエンドエフェクタの断面図である。
【
図31A】本開示の少なくとも1つの態様による、
図30A~
図30Dの断面図に対応する、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としての、超音波ブレードとクランプアームとの間に印加されるクランプ力のグラフである。
【
図31B】本開示の少なくとも1つの態様による、
図30A~
図30Dの断面図に対応する、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としての、超音波ブレードとクランプアームとの間に印加されるクランプ力のグラフである。
【
図31C】本開示の少なくとも1つの態様による、
図30A~
図30Dの断面図に対応する、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としての、超音波ブレードとクランプアームとの間に印加されるクランプ力のグラフである。
【
図31D】本開示の少なくとも1つの態様による、
図30A~
図30Dの断面図に対応する、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としての、超音波ブレードとクランプアームとの間に印加されるクランプ力のグラフである。
【
図32】A~Eは、本開示の少なくとも1つの態様による、遠位側開始閉鎖ストローク構成を示し、関連する部分応力を示すエンドエフェクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年11月6日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「SURGICAL NETWORK,INSTRUMENT,AND CLOUD RESPONSES BASED ON VALIDATION OF RECEIVED DATASET AND AUTHENTICATION OF ITS SOURCE AND INTEGRITY」と題する米国特許出願第16/182,224号、
・「SURGICAL SYSTEM FOR PRESENTING INFORMATION INTERPRETED FROM EXTERNAL DATA」と題する米国特許出願第16/182,230号、
・「MODIFICATION OF SURGICAL SYSTEMS CONTROL PROGRAMS BASED ON MACHINE LEARNING」と題する米国特許出願第16/182,233号、
・「ADJUSTMENT OF DEVICE CONTROL PROGRAMS BASED ON STRATIFIED CONTEXTUAL DATA IN ADDITION TO THE DATA」と題する米国特許出願第16/182,239号、
・「SURGICAL HUB AND MODULAR DEVICE RESPONSE ADJUSTMENT BASED ON SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第16/182,243号、
・「DETECTION AND ESCALATION OF SECURITY RESPONSES OF SURGICAL INSTRUMENTS TO INCREASING SEVERITY THREATS」と題する米国特許出願第16/182,248号、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEM」と題する米国特許出願第16/182,251号、
・「AUTOMATED DATA SCALING,ALIGNMENT,AND ORGANIZING BASED ON PREDEFINED PARAMETERS WITHIN SURGICAL NETWORKS」と題する米国特許出願第16/182,260号、
・「SENSING THE PATIENT POSITION AND CONTACT UTILIZING THE MONO-POLAR RETURN PAD ELECTRODE TO PROVIDE SITUATIONAL AWARENESS TO A SURGICAL NETWORK」と題する米国特許出願第16/182,267号、
・「POWERED SURGICAL TOOL WITH PREDEFINED ADJUSTABLE CONTROL ALGORITHM FOR CONTROLLING END EFFECTOR PARAMETER」と題する米国特許出願第16/182,249号、
・「ADJUSTMENTS BASED ON AIRBORNE PARTICLE PROPERTIES」と題する米国特許出願第16/182,246号、
・「ADJUSTMENT OF A SURGICAL DEVICE FUNCTION BASED ON SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第16/182,256号、
・「REAL-TIME ANALYSIS OF COMPREHENSIVE COST OF ALL INSTRUMENTATION USED IN SURGERY UTILIZING DATA FLUIDITY TO TRACK INSTRUMENTS THROUGH STOCKING AND IN-HOUSE PROCESSES」と題する米国特許出願第16/182,242号、
・「USAGE AND TECHNIQUE ANALYSIS OF SURGEON / STAFF PERFORMANCE AGAINST A BASELINE TO OPTIMIZE DEVICE UTILIZATION AND PERFORMANCE FOR BOTH CURRENT AND FUTURE PROCEDURES」と題する米国特許出願第16/182,255号、
・「IMAGE CAPTURING OF THE AREAS OUTSIDE THE ABDOMEN TO IMPROVE PLACEMENT AND CONTROL OF A SURGICAL DEVICE IN USE」と題する米国特許出願第16/182,269号、
・「COMMUNICATION OF DATA WHERE A SURGICAL NETWORK IS USING CONTEXT OF THE DATA AND REQUIREMENTS OF A RECEIVING SYSTEM / USER TO INFLUENCE INCLUSION OR LINKAGE OF DATA AND METADATA TO ESTABLISH CONTINUITY」と題する米国特許出願第16/182,278号、
・「SURGICAL NETWORK RECOMMENDATIONS FROM REAL TIME ANALYSIS OF PROCEDURE VARIABLES AGAINST A BASELINE HIGHLIGHTING DIFFERENCES FROM THE OPTIMAL SOLUTION」と題する米国特許出願第16/182,290号、
・「CONTROL OF A SURGICAL SYSTEM THROUGH A SURGICAL BARRIER」と題する米国特許出願第16/182,232号、
・「SURGICAL NETWORK DETERMINATION OF PRIORITIZATION OF COMMUNICATION,INTERACTION,OR PROCESSING BASED ON SYSTEM OR DEVICE NEEDS」と題する米国特許出願第16/182,227号、
・「WIRELESS PAIRING OF A SURGICAL DEVICE WITH ANOTHER DEVICE WITHIN A STERILE SURGICAL FIELD BASED ON THE USAGE AND SITUATIONAL AWARENESS OF DEVICES」と題する米国特許出願第16/182,231号、
・「ADJUSTMENT OF STAPLE HEIGHT OF AT LEAST ONE ROW OF STAPLES BASED ON THE SENSED TISSUE THICKNESS OR FORCE IN CLOSING」と題する米国特許出願第16/182,229号、
・「STAPLING DEVICE WITH BOTH COMPULSORY AND DISCRETIONARY LOCKOUTS BASED ON SENSED PARAMETERS」と題する米国特許出願第16/182,234号、
・「POWERED STAPLING DEVICE CONFIGURED TO ADJUST FORCE,ADVANCEMENT SPEED,AND OVERALL STROKE OF CUTTING MEMBER BASED ON SENSED PARAMETER OF FIRING OR CLAMPING」と題する米国特許出願第16/182,240号、及び
・「VARIATION OF RADIO FREQUENCY AND ULTRASONIC POWER LEVEL IN COOPERATION WITH VARYING CLAMP ARM PRESSURE TO ACHIEVE PREDEFINED HEAT FLUX OR POWER APPLIED TO TISSUE」と題する米国特許出願第16/182,235号。
【0011】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年9月10日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「A CONTROL FOR A SURGICAL NETWORK OR SURGICAL NETWORK CONNECTED DEVICE THAT ADJUSTS ITS FUNCTION BASED ON A SENSED SITUATION OR USAGE」と題する米国特許仮出願第62/729,183号、
・「AUTOMATED DATA SCALING,ALIGNMENT,AND ORGANIZING BASED ON PREDEFINED PARAMETERS WITHIN A SURGICAL NETWORK BEFORE TRANSMISSION」と題する米国特許仮出願第62/729,177号、
・「INDIRECT COMMAND AND CONTROL OF A FIRST OPERATING ROOM SYSTEM THROUGH THE USE OF A SECOND OPERATING ROOM SYSTEM WITHIN A STERILE FIELD WHERE THE SECOND OPERATING ROOM SYSTEM HAS PRIMARY AND SECONDARY OPERATING MODES」と題する米国特許仮出願第62/729,176号、
・「POWERED STAPLING DEVICE THAT IS CAPABLE OF ADJUSTING FORCE,ADVANCEMENT SPEED,AND OVERALL STROKE OF CUTTING MEMBER OF THE DEVICE BASED ON SENSED PARAMETER OF FIRING OR CLAMPING」と題する米国特許仮出願第62/729,185号、
・「POWERED SURGICAL TOOL WITH A PREDEFINED ADJUSTABLE CONTROL ALGORITHM FOR CONTROLLING AT LEAST ONE END EFFECTOR PARAMETER AND A MEANS FOR LIMITING THE ADJUSTMENT」と題する米国特許仮出願第62/729,184号、
・「SENSING THE PATIENT POSITION AND CONTACT UTILIZING THE MONO POLAR RETURN PAD ELECTRODE TO PROVIDE SITUATIONAL AWARENESS TO THE HUB」と題する米国特許仮出願第62/729,182号、
・「SURGICAL NETWORK RECOMMENDATIONS FROM REAL TIME ANALYSIS OF PROCEDURE VARIABLES AGAINST A BASELINE HIGHLIGHTING DIFFERENCES FROM THE OPTIMAL SOLUTION」と題する米国特許仮出願第62/729,191号、
・「ULTRASONIC ENERGY DEVICE WHICH VARIES PRESSURE APPLIED BY CLAMP ARM TO PROVIDE THRESHOLD CONTROL PRESSURE AT A CUT PROGRESSION LOCATION」と題する米国特許仮出願第62/729,195号、及び
・「WIRELESS PAIRING OF A SURGICAL DEVICE WITH ANOTHER DEVICE WITHIN A STERILE SURGICAL FIELD BASED ON THE USAGE AND SITUATIONAL AWARENESS OF DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/729,186号。
【0012】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月28日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許出願第16/115,214号、
・「TEMPERATURE CONTROL OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許出願第16/115,205号、
・「RADIO FREQUENCY ENERGY DEVICE FOR DELIVERING COMBINED ELECTRICAL SIGNALS」と題する米国特許出願第16/115,233号、
・「CONTROLLING AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO TISSUE LOCATION」と題する米国特許出願第16/115,208号、
・「CONTROLLING ACTIVATION OF AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO THE PRESENCE OF TISSUE」と題する米国特許出願第16/115,220号、
・「DETERMINING TISSUE COMPOSITION VIA AN ULTRASONIC SYSTEM」と題する米国特許出願第16/115,232号、
・「DETERMINING THE STATE OF AN ULTRASONIC ELECTROMECHANICAL SYSTEM ACCORDING TO FREQUENCY SHIFT」と題する米国特許出願第16/115,239号、
・「DETERMINING THE STATE OF AN ULTRASONIC END EFFECTOR」と題する米国特許出願第16/115,247号、
・「SITUATIONAL AWARENESS OF ELECTROSURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第16/115,211号、
・「MECHANISMS FOR CONTROLLING DIFFERENT ELECTROMECHANICAL SYSTEMS OF AN ELECTROSURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第16/115,226号、
・「DETECTION OF END EFFECTOR IMMERSION IN LIQUID」と題する米国特許出願第16/115,240号、
・「INTERRUPTION OF ENERGY DUE TO INADVERTENT CAPACITIVE COUPLING」と題する米国特許出願第16/115,249号、
・「INCREASING RADIO FREQUENCY TO CREATE PAD-LESS MONOPOLAR LOOP」と題する米国特許出願第16/115,256号、
・「BIPOLAR COMBINATION DEVICE THAT AUTOMATICALLY ADJUSTS PRESSURE BASED ON ENERGY MODALITY」と題する米国特許出願第16/115,223号、及び
・「ACTIVATION OF ENERGY DEVICES」と題する米国特許出願第16/115,238号。
【0013】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月23日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「CONTROLLING AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO TISSUE LOCATION」と題する米国特許仮出願第62/721,995号、
・「SITUATIONAL AWARENESS OF ELECTROSURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許仮出願第62/721,998号、
・「INTERRUPTION OF ENERGY DUE TO INADVERTENT CAPACITIVE COUPLING」と題する米国特許仮出願第62/721,999号、
・「BIPOLAR COMBINATION DEVICE THAT AUTOMATICALLY ADJUSTS PRESSURE BASED ON ENERGY MODALITY」と題する米国特許仮出願第62/721,994号、及び
・「RADIO FREQUENCY ENERGY DEVICE FOR DELIVERING COMBINED ELECTRICAL SIGNALS」と題する米国特許仮出願第62/721,996号。
【0014】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月30日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「SMART ACTIVATION OF AN ENERGY DEVICE BY ANOTHER DEVICE」と題する米国特許仮出願第62/692,747号、
・「SMART ENERGY ARCHITECTURE」と題する米国特許仮出願第62/692,748号、及び
・「SMART ENERGY DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/692,768号。
【0015】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する米国特許出願第16/024,090号、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する米国特許出願第16/024,057号、
・「SYSTEMS FOR ADJUSTING END EFFECTOR PARAMETERS BASED ON PERIOPERATIVE INFORMATION」と題する米国特許出願第16/024,067号、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する米国特許出願第16/024,075号、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する米国特許出願第16/024,083号、
・「SURGICAL SYSTEMS FOR DETECTING END EFFECTOR TISSUE DISTRIBUTION IRREGULARITIES」と題する米国特許出願第16/024,094号、
・「SYSTEMS FOR DETECTING PROXIMITY OF SURGICAL END EFFECTOR TO CANCEROUS TISSUE」と題する米国特許出願第16/024,138号、
・「SURGICAL INSTRUMENT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLIES」と題する米国特許出願第16/024,150号、
・「VARIABLE OUTPUT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLY」と題する米国特許出願第16/024,160号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する米国特許出願第16/024,124号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE CIRCUIT」と題する米国特許出願第16/024,132号、
・「SURGICAL INSTRUMENT WITH A TISSUE MARKING ASSEMBLY」と題する米国特許出願第16/024,141号、
・「SURGICAL SYSTEMS WITH PRIORITIZED DATA TRANSMISSION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第16/024,162号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する米国特許出願第16/024,066号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSOR ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第16/024,096号、
・「SURGICAL EVACUATION FLOW PATHS」と題する米国特許出願第16/024,116号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND GENERATOR CONTROL」と題する米国特許出願第16/024,149号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND DISPLAY」と題する米国特許出願第16/024,180号、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許出願第16/024,245号、
・「SMOKE EVACUATION SYSTEM INCLUDING A SEGMENTED CONTROL CIRCUIT FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許出願第16/024,258号、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する米国特許出願第16/024,265号、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する米国特許出願第16/024,273号。
【0016】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「A METHOD OF USING REINFORCED FLEX CIRCUITS WITH MULTIPLE SENSORS WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/691,228号、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する米国特許仮出願第62/691,227号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する米国特許仮出願第62/691,230号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する米国特許仮出願第62/691,219号、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/691,257号、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する米国特許仮出願第62/691,262号、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する米国特許仮出願第62/691,251号。
【0017】
本願の出願人は、開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年4月19日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する米国特許仮出願第62/659,900号。
【0018】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月30日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,898号、
・「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する米国特許仮出願第62/650,887号、
・「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/650,882号、及び
・「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS 「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する米国特許仮出願第62/650,877号。
【0019】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,641号、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,648号、
・「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,656号、
・「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題する米国特許出願第15/940,666号、
・「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,670号、
・「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第15/940,677号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第15/940,632号、
・「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,640号、
・「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/940,645号、
・「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第15/940,649号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第15/940,654号、
・「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第15/940,663号、
・「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第15/940,668号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第15/940,671号、
・「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第15/940,686号、
・「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第15/940,700号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,629号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第15/940,704号、
・「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第15/940,722号、
・「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第15/940,742号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,636号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,653号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第15/940,660号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR LINKING OF LOCAL USAGE TRENDS WITH THE RESOURCE ACQUISITION BEHAVIORS OF LARGER DATA SET」と題する米国特許出願第15/940,679号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第15/940,694号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第15/940,634号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許出願第15/940,706号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,675号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,627号、
・「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,637号、
・「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,642号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,676号、
・「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,680号、
・「COOPERATIVE SURGICAL ACTIONS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,683号、
・「DISPLAY ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,690号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,711号。
【0020】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許仮出願第62/649,302号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許仮出願第62/649,294号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許仮出願第62/649,300号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許仮出願第62/649,309号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許仮出願第62/649,310号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許仮出願第62/649,291号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,296号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許仮出願第62/649,333号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許仮出願第62/649,327号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許仮出願第62/649,315号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,313号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,320号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,307号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,323号。
【0021】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月8日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許仮出願第62/640,417号、及び
・「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許仮出願第62/640,415号。
【0022】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国特許仮出願第62/611,340号、及び
・「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,339号。
【0023】
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例示される例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに注意を喚起しておく。例示的な例は、他の態様、変形形態、及び修正で実施されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は例のうち1つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の具現、及び/又は例のうち任意の1つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0024】
外科用ハブ
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100は、1つ以上の外科システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置105に連結されたリモートサーバ113を含むことができるクラウド104)と、を含む。各外科システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する、少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一例では、
図1に示すように、外科システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、ここでM、N、O及びPは1以上の整数である。
【0025】
【0026】
図2は、外科手術室116内の手術台114上に横たわる患者に対して外科処置を実行するために使用される外科システム102の一例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において外科システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開部を介して、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は、患者側カート120によって操作され、撮像装置124を向けさせ得る。ロボットハブ122は、手術部位の画像を処理し、その後処理した画像を外科医のコンソール118を介して外科医に対して表示させるために使用することができる。
【0027】
他のタイプのロボットシステムを、外科システム102と共に使用するために容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,339号に記載されている。
【0028】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析法の様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国特許仮出願第62/611,340号に記載されている。
【0029】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと、1つ以上の光学構成要素と、を含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ以上の照明光源及び/又は1つ以上のレンズを含んでもよい。1つ以上の照明光源は、手術野の一部を照明するように方向付けられてもよい。1つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0031】
1つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成され得る。光学スペクトル又は発光スペクトルと呼ばれることもある可視スペクトルは、人間の目に可視の(すなわち、人間の目で検出可能な)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と呼ばれることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
【0032】
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長の)電磁スペクトルの一部分である。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線及びガンマ線電磁放射線になる。
【0033】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示と共に使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
一態様では、撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトル全体から特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長の光を感知できる器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色及び青色の受容体で捕捉することのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、処置された組織上で上述の試験の1つ以上を実行するため、1つの手術作業が完了した後に手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
【0035】
いかなる外科手術においても手術室及び外科用器具の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「外科施術の行われる現場」、すなわち手術室又は処置室に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の最大級の滅菌性を必要とする。上記の滅菌プロセスの一部としては、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるもの(撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む)を滅菌する必要が挙げられる。滅菌野は、トレイ内若しくは滅菌タオル上などの微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0036】
様々な態様では、可視化システム108は、
図2に示されるように、滅菌野に対して戦略的に配置される1つ以上の撮像センサと、1つ以上の画像処理ユニットと、1つ以上のストレージアレイと、1つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
【0037】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114に位置する操作者に可視であるように滅菌野内に配置される。加えて、可視化タワー111が、滅菌野の外に配置される。可視化タワー111は、互いに離れる方に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109及び119を使用して、滅菌野の内側及び外側の操作者に対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌操作者により、外科処置に関連する診断工程を実施可能とすることができる。
【0038】
一態様では、ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111にある非滅菌操作者によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌領域内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台に位置する滅菌操作者が見ることができるようにも構成されている。一例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であってもよい。
【0039】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成されている。例えば、情報フローの調整については、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号で更に説明されている。可視化タワー111にある非滅菌操作者によって入力される診断入力又はフィードバックは、ハブ106によって滅菌野内の外科用器具ディスプレイ115に送られ得、ここで診断入力又はフィードバックは、外科用器具112の操作者が見ることができる。外科システム102と共に用いるのに好適な例示的外科用器具については、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号の、「Surgical Instrument Hardware」の項目で説明されている。
【0040】
ここで
図3を参照すると、ハブ106が、可視化システム108、ロボットシステム110及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信している状態で示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135と、撮像モジュール138と、発生器モジュール140(単極発生器142、双極発生器144及び/又は超音波発生器143を含むことができる)と、通信モジュール130と、プロセッサモジュール132と、ストレージアレイ134と、を含む。特定の態様では、
図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、及び/又はORマッピングモジュール133を更に含む。
【0041】
外科処置中、封止及び/又は切断のために、組織へエネルギーを印加することには、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注が伴う。異なる供給源からの流体ライン、電力ライン及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式筐体136は、電力ライン、データライン、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0042】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブ筐体と、ハブ筐体のドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ接点及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールは、更に、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延びる流体ラインと、を含む。
【0043】
一態様では、上記の流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブ筐体内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延びている。一態様では、ハブ筐体は、流体インターフェースを備える。
【0044】
特定の外科処置は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式筐体136が様々な発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成されているという解決法を提示する。ハブのモジュール式筐体136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0045】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用筐体を提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを生成させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0046】
上記に加えて、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を更に含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0047】
更に、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを更に含む。
【0048】
図3~
図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128との、モジュール式統合を可能にするハブのモジュール式筐体136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128間の双方向通信を更に促進する。
図5に示すように、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、一体化された単極、双極及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。
図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147及び超音波装置148に接続するように構成することができる。あるいは、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136を介して相互作用する一連の単極、双極及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式筐体136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式筐体136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0049】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取付及びそれらの間の双方向通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を備える。
【0050】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受容するように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。
図4は、外科用ハブ筐体136と、外科用ハブ筐体136のドッキングステーション151に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュール145との部分斜視図を示す。組み合わせ発生器モジュール145の後側には、電力及びデータ接点を有するドッキングポート152があり、そのドッキングポート152は、組み合わせ発生器モジュール145がハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151内の所定の位置へと摺動されると、ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の、電力及びデータ接点を有する対応するドッキングポート150と係合するように構成されている。一態様では、組み合わせ発生器モジュール145は、
図5に示すように、単一のハウジングユニット139内に一緒に組み込まれた、双極、超音波及び単極モジュールと、排煙モジュールと、を含む。
【0051】
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけ、例えば、排煙モジュール126へと搬送する、流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに連結されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であってもよい。ユーティリティ導管及び流体ラインは、ハブ筐体136内に受容される排煙モジュール126に向かって延びる流体経路を画定する。
【0052】
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み(aspiration)流体ライン及び吸引(suction)流体ラインを含む外科用ツールに連結されている。一例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延びる可撓管の形態である。1つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位に対する流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成され得る。
【0053】
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有しかつエンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部を有するシャフトと、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延びる。同様に、灌注管はシャフトを通って延びることができ、かつエネルギー送達器具に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達器具は、超音波及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成されており、最初にシャフトを通って延びるケーブルによって発生器モジュール140に連結されている。
【0054】
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別に、ハブ筐体136内に収容され得る。このような例では、流体インターフェースが、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
【0055】
一態様では、モジュール140、126、128、及び/又はハブのモジュール式筐体136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、ハブのモジュール式筐体136のドッキングステーション内のこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機構を含み得る。例えば、
図4に示すように、組み合わせ発生器モジュール145は、側部ブラケット155を含み、その側部ブラケット155は、ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成されている。上記の複数のブラケットは協働して、組み合わせ発生器モジュール145のドッキングポート接点をハブのモジュール式筐体136のドッキングポート接点と電気的に係合させるように誘導する。
【0056】
いくつかの態様では、ハブのモジュール式筐体136のドロアー151どうしはサイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールはドロアー151内に受容されるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151どうしは互いにサイズが異なり、それぞれ特定のモジュールを収容するように設計される。
【0057】
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるため、特定のモジュールの接点を特定のドロアーの接点と係合するように、キー構造を設けてもよい。
【0058】
図4に示すように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に連結されて、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の双方向通信を容易にすることができる。あるいは又は更に、ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート150は、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュールどうしの間の無線双方向通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
【0059】
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受容するように構成された、横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受容して相互接続するように構成されている。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入されている。
図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置されている。あるいは、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
【0060】
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受容するように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入されている。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用し得る。
図7の例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178を含み、マスタモジュール178は、マスタモジュール178内に摺動可能に受容される複数のサブモジュールを収容する。
【0061】
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を備え、様々な撮像装置と共に使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールと共に組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成されている。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に連結されている。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置の種類に応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはビーム走査式撮像用に構成されている。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
【0062】
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的であり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましからぬ結果をもたらし得る。本開示のモジュール撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成されている。
【0063】
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを備える。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受容するように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受容するように構成されている。別の例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにねじ係合が採用されてもよい。
【0064】
様々な例では、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に配置される。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置どうしの間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
【0065】
本開示と共に使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
図8は、医療施設の1つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203は更に、ローカルコンピュータシステム210に連結することができ、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント又は切替式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェント外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェント外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0067】
手術室に配置されるモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0068】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0069】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)及びネットワークルータ(複数可)との組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、コンピューティングリソースを共有することに依存することは理解されるであろう。用語「クラウド」は「インターネット」の隠喩として用いられ得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、用語「クラウドコンピューティング」は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために用いることができ、この場合、サーバ、ストレージ及びアプリケーションなどの様々なサービスは、インターネットを介して、手術室(例えば、固定式、移動式、一時的又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて多数の計算を実行することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0070】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的成果の改善、コスト低減及び患者満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織の試料の画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病状を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。そのようなデータには、組織の位置特定及びマージン確認並びに表現型が含まれる。撮像装置と一体化された様々なセンサを使用し、かつ複数の撮像装置によってキャプチャされた画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析されてもよい。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に採用してもよく、標準化されたアプローチを使用することは、外科処置及び外科医の挙動を確認するか、又は外科処置及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0071】
一実装形態では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて有線チャネル又は無線チャネルを介して、モジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、いかなる装置データを転送するための媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)も記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関する経路選択テーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体及びクラウド204上のリモートサーバ213(
図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0072】
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0073】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結されている。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0074】
一例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線又は無線能を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために使用されてもよい。
【0075】
他の例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができ、そのような規格又はプロトコルとしては、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT及びこれらのイーサネット派生物のみならず3G、4G、5G及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどのより短距離の無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどのより長距離の無線通信専用であってもよい。
【0076】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載されるように、数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによって、このデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0077】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよく、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0078】
図9は、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で外科システム102と類似する1つ以上の外科システム202を含む。各外科システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。
図10に示されるように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。
図9の例に例示するように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結された撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結された発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意でディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235及び非接触センサモジュール242に連結されている。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結されている。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。中でもとりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載されるように、有線又は無線通信規格又はプロトコルを介して、モジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、モジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを、画像及びオーバーレイ画像と共に表示してもよい。
【0079】
図10は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えばローカルでの処理、可視化及び撮像を提供するためのコンピュータシステム210と、を備える。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチのそれぞれは、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続されている。クラウド204への通信は、有線又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0080】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波又はレーザー型非接触測定装置のいずれかを使用して手術室のマップを生成する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号では、センサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成されているが、同文献中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室をスキャンする。レーザーベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザー光パルスを送信することによって手術室を走査し、手術室の外壁に反射するレーザー光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して手術室のサイズを判定し、Bluetoothペアリング距離限界を調整する。
【0081】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244と、ネットワークインターフェース245と、を備える。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250及び入力/出力インターフェース251に連結されている。システムバスは、任意の様々なバスアーキテクチャを用いる、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造(複数可)のうちのいずれかであってもよく、それらのアーキテクチャの例としては、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システムインターフェース(SCSI)又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及び/又は、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0083】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら高度な集積型安全機構を提供するため、とりわけIEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0084】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0085】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージなどを含む。ディスクストレージとしては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード又はメモリスティックのようなデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスクストレージは、上記のストレージ媒体を、独立して、又は他のストレージ媒体との組み合わせで含むことができる。他のストレージ媒体としては、コンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない。ディスクストレージ装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0086】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスクストレージ上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスクストレージ上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムどうしの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0087】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置(複数可)を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポート(複数可)を介し、システムバスを通じてプロセッサに接続する。インターフェースポート(複数可)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート及びUSBが挙げられる。出力装置(複数可)は、入力装置(複数可)と同じ種類のポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、コンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられるが、これはあくまで例示としてのものであり、限定するものではない。遠隔コンピュータ(複数可)などの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
【0088】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータ(複数可)などの1つ以上の遠隔コンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータ(複数可)は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置又は他の一般的なネットワークノードなどであり得るが、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、遠隔コンピュータ(複数可)と共に、メモリストレージ装置1台のみが示される。遠隔コンピュータ(複数可)は、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続部を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク並びにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
様々な態様では、
図10のコンピュータシステム210、
図9~
図10の撮像モジュール238及び/又は可視化システム208及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを使用して速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実行することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0090】
通信接続部(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのため通信接続部はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続部はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられる。
【0091】
【0092】
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。図示した態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製TUSB2036集積回路ハブを採用する。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信ポート302と、最大3つの下流USB送受信ポート304、306、308と、を提供するCMOS装置である。上流USB送受信ポート302は、差動データプラス(DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
【0093】
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信ポート302及び全ての下流USB送受信ポート304、306、308の回路に統合されている。下流USB送受信ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じて立ち上がり速度を自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方をサポートする。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するためのハブパワー論理312を含む。
【0094】
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン310(SIE)を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(PID)の生成及びチェック/復号、並びに/又はシリアル・パラレル/パラレル・シリアル変換が挙げられ得る。310はクロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して上流USB送受信ポート302と下流USB送受信ポート304、306、308との間の通信を制御するため、サスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマー316回路及びハブリピータ回路318に連結されている。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからのコマンドを制御するためのインターフェース論理328を介して、コマンドデコーダ326に連結されている。
【0095】
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードをサポートするように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信ポート302はUSBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信ポート304、306、308はUSBに互換性のある装置を接続するために露出される、といった具合である。
【0096】
外科用ハブ及び/又は外科用ハブネットワークの構造及び機能に関する更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する2018年4月19日出願の米国特許仮出願第62/659,900号に見出すことができる。
【0097】
クラウドシステムハードウェア及び機能モジュール
図12は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。一態様では、このコンピュータ実装インタラクティブ外科システムは、外科用ハブ、外科用器具、ロボットデバイス及び手術室又は医療施設を含む、様々な外科システムの動作に関するデータを監視及び分析するように構成されている。コンピュータ実装インタラクティブ外科システムは、クラウドベースの分析システムを含む。クラウドベースの分析システムは、外科システムとして記載されているが、必ずしもそのように限定されるものではなく、一般的にクラウドベースの医療システムであってもよい。
図12に示すように、クラウドベースの分析システムは、(器具112と同じ又は同様であってもよい)複数の外科用器具7012と、(ハブ106と同じ又は類似であってもよい)複数の外科用ハブ7006と、(ネットワーク201と同じ又は同様のものであってもよい)外科用データネットワーク7001と、を備え、外科用データネットワーク7001は、(クラウド204と同じ又は同様であってもよい)クラウド7004に、外科用ハブ7006を連結する。複数の外科用ハブ7006のそれぞれは、1つ以上の外科用器具7012に通信可能に連結されている。ハブ7006はまた、ネットワーク7001を介して、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのクラウド7004に通信可能に連結されている。クラウド7004は、様々な外科システムの動作に基づいて生成されたデータを記憶、操作及び通信するためのハードウェア及びソフトウェアのリモートの集中型源である。
図12に示すように、クラウド7004へのアクセスは、ネットワーク7001を介して達成されるが、そのネットワーク7001は、インターネット又は何らかの他の好適なコンピュータネットワークであってよい。クラウド7004に結合される外科用ハブ7006は、クラウドコンピューティングシステム(すなわち、クラウドベースの分析システム)のクライアント側と見なすことができる。外科用器具7012は、本明細書に記載される様々な外科処置又は動作の制御及び実施のために、外科用ハブ7006とペアリングされている。
【0098】
加えて、外科用器具7012は、対応する外科用ハブ7006(送受信機もまた含んでもよい)へのデータ伝送、及び外科用ハブ7006からのデータ伝送のための送受信機を備えてもよい。外科用器具7012と対応するハブ7006との組み合わせは、医療手術を提供するための医療施設(例えば、病院)内の手術室などの、特定の位置を示してもよい。例えば、外科用ハブ7006のメモリは、位置データを記憶してもよい。
図12に示すように、クラウド7004は、中央サーバ7013(
図1のリモートサーバ113及び/又は
図9のリモートサーバ213と同じ又は同様であってもよい)と、ハブアプリケーションサーバ7002と、データ分析モジュール7034と、入力/出力(「I/O」)インターフェース7007と、を含む。クラウド7004の中央サーバ7013は、クラウドコンピューティングシステムを集合的に管理し、これは、クライアントの外科用ハブ7006による要求を監視することと、その要求を実行するための、クラウド7004の処理能力を管理することとを含む。中央サーバ7013のそれぞれは、好適なメモリ装置7010に連結された1つ以上のプロセッサ7008を備え、そのメモリ装置7010は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ及び磁気記憶装置などの不揮発性メモリを含むことができる。メモリ装置7010は、実行されると、プロセッサ7008が、データ分析モジュール7034に、以下で説明するクラウドベースのデータ分析、動作、提案及び他の動作を実行させる、機械実行可能命令を含んでもよい。更に、プロセッサ7008は、ハブ7006によって独立して実行されるハブアプリケーションと独立して、又はそのハブアプリケーションと併せて、データ分析モジュール7034を実行することができる。中央サーバ7013はまた、メモリ2210内に常駐することができる集約された医療データデータベース2212を含む。
【0099】
ネットワーク7001を介した様々な外科用ハブ7006への接続に基づいて、クラウド7004は、様々な外科用器具7012及びそれらの対応するハブ7006によって生成された特定のデータからデータを集約することができる。そのような集約されたデータは、クラウド7004の集約された医療データベース7011内に記憶されてもよい。具体的には、クラウド7004は、有利なことには、集約されたデータに対してデータ分析及び演算を実行して見識を得てよく、かつ/又は個別のハブ7006がそれ自体では達成できない機能を実施可能である。この目的のために、
図12に示すように、クラウド7004及び外科用ハブ7006は、情報を送受信するように通信可能に連結されている。I/Oインターフェース7007は、ネットワーク7001を介して複数の外科用ハブ7006に接続される。このようにして、I/Oインターフェース7007は、外科用ハブ7006と集約された医療データのデータベース7011との間で情報を転送するように構成することができる。したがって、I/Oインターフェース7007は、クラウドベース分析システムの読み出し/書き込み動作を容易にし得る。このような読み出し/書き込み動作は、ハブ7006からの要求に応じて実行されてもよい。これらの要求は、ハブアプリケーションを介してハブ7006に送信される場合がある。I/Oインターフェース7007は、1つ以上の高速データポートを含んでもよく、その高速データポートは、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IEEE1394ポート並びにクラウド7004をハブ7006に接続するためのWi-Fi及びBluetoothのI/Oインターフェースを含んでもよい。クラウド7004のハブアプリケーションサーバ7002は、共有機能をホストし、かつ外科ハブ7006によって実行されるソフトウェアアプリケーション(例えば、ハブアプリケーション)にこれを供給するように構成されている。例えば、ハブアプリケーションサーバ7002は、ハブアプリケーションがハブ7006を通じて発した要求を管理して、集約された医療データのデータベース7011へのアクセスを制御し、負荷のバランス調整を実行してもよい。データ分析モジュール7034は、
図13を参照してより詳細に説明される。
【0100】
本開示に記載される特定のクラウドコンピューティングシステムの構成は、具体的には、外科用器具7012、112などの医療用装置を使用して実行される医療手術及び処置の文脈において生じる様々な問題に対処するように設計されている。特に、外科用器具7012は、外科手術の成績を改善するための技術を実施するために、クラウド7004と相互作用するように構成されたデジタル外科用装置であってもよい。様々な外科用器具7012及び/又は外科用ハブ7006は、臨床医が外科用器具7012とクラウド7004との間の相互作用の態様を制御してもよいように、タッチ制御されたユーザインターフェースを含んでもよい。聴覚的に制御されたユーザインターフェースなどの制御のための他の好適なユーザインターフェースもまた使用することもできる。
【0101】
図13は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムの機能アーキテクチャを示すブロック図である。クラウドベース分析システムは、医療分野において具体的に生じる問題にデータ分析ソリューションを提供するための、クラウド7004のプロセッサ7008によって実行され得る複数のデータ分析モジュール7034を含む。
図13に示すように、クラウドベースのデータ分析モジュール7034の機能は、ハブアプリケーションサーバ7002によってホストされ、外科ハブ7006上でアクセスされ得るハブアプリケーション7014を介して支援されてもよい。クラウドプロセッサ7008及びハブアプリケーション7014は、データ分析モジュール7034を実行するために連携して動作してもよい。アプリケーションプログラムインターフェース(API)7016は、ハブアプリケーション7014に対応する一連のプロトコル及びルーチンを定義する。加えて、API7016は、アプリケーション7014の動作のために、集計された医療データのデータベース7011内へのデータの格納及びここからの読み出しを管理する。キャッシュ7018はまた、データを(例えば、一時的に)記憶し、アプリケーション7014によって使用されるデータのより効率的な検索のためにAPI7016に連結されている。
図13のデータ分析モジュール7034は、資源最適化のためのモジュール7020と、データ収集及び集約のためのモジュール7022と、認可及びセキュリティのためのモジュール7024と、制御プログラムの更新のためのモジュール7026と、患者転帰分析のためのモジュール7028と、提案のためのモジュール7030と、データ分類及び優先順位付けのためのモジュール7032と、を含む。他の好適なデータ分析モジュールはまた、いくつかの態様により、クラウド7004によって実装される場合がある。一態様では、データ分析モジュールは、傾向、転帰及び他のデータの分析に基づいた具体的な提案に使用される。
【0102】
例えば、データ収集及び集約モジュール7022は、自己記述型データ(例えば、メタデータ)を生成するために使用される場合があり、そのようなデータは、顕著な特徴又は構成(例えば、傾向)の識別、冗長データセットの管理及び手術ごとにグループ化することができるが、必ずしも実際の外科手術日付及び外科医へ紐づけされていないペアリングされたデータセットへのデータの保存を含む。特に、外科用器具7012の動作から生成されるペアリングされたデータセットは、例えば、ある事象が、出血事象であるか又は非出血事象であるかなどの、二元的分類を適用することを含み得る。より一般的には、二元的分類は、望ましい事象(例えば、成功した外科処置)又は望ましくない事象(例えば、誤発射又は誤使用された外科用器具7012)のいずれかとして特徴付けられてもよい。集約された自己記述型データは、外科用ハブ7006の様々なグループ又はサブグループから受信された個々のデータに相当してもよい。したがって、データ収集及び集約モジュール7022は、外科用ハブ7006から受信した生データに基づいて、集約メタデータ又は他の編成されたデータを生成することができる。この目的のために、プロセッサ7008は、ハブアプリケーション7014及び集約された医療データデータベース7011に動作的に連結されて、データ分析モジュール7034を実行することができる。データ収集及び集約モジュール7022は、集約された編成済みデータを集約された医療データのデータベース2212に記憶してもよい。
【0103】
資源最適化モジュール7020は、この集約されたデータを分析して、特定の医療施設又は医療施設のグループに関する資源の最適な使用を決定するように構成することができる。例えば、資源最適化モジュール7020は、医療施設のグループに関する外科用ステープラ7012の最適な順序点を決定する際に、そのような器具7012による、対応している予測される要求に基づいてもよい。資源最適化モジュール7020はまた、資源使用を改善することができるかどうかを判定するために、様々な医療施設の資源使用又は他の動作構成を評価する場合がある。同様に、提案モジュール7030は、データ収集及び集約モジュール7022からの集約された編成済みデータを分析して、提案を提供するように構成することができる。例えば、提案モジュール7030は、特定の外科用器具7012が、例えば期待される誤り率よりも高いことに基づいて改善されたバージョンにアップグレードされるべきであることを、医療施設(例えば、病院などの医療サービス提供者)に提案することができる場合もある。加えて、提案モジュール7030及び/又は資源最適化モジュール7020は、製品再注文ポイントなどのより良好な供給チェーンパラメータを提案し、手術結果を改善するための異なる外科用器具7012、その使用法又は手順工程などの提案を供することができる場合もある。医療施設は、対応する外科用ハブ7006を介してそのような提案を受信することができる。様々な外科用器具7012のパラメータ又は構成に関するより具体的な提案もまた提供することができる。ハブ7006及び/又は外科用器具7012はそれぞれ、クラウド7004によって提供されるデータ又は提案を表示するディスプレイスクリーンを有することができる場合もある。
【0104】
患者転帰分析モジュール7028は、外科用器具7012の現在使用されている動作パラメータに関連付けられた手術結果を分析することができる。患者転帰分析モジュール7028はまた、他の潜在的な動作パラメータを分析及び評価してもよい。この接続では、提案モジュール7030は、より良好な封止又はより少ない出血などの、より良好な手術結果をもたらすことに基づいて、これらの他の潜在的な動作パラメータを使用して提案することができる場合もある。例えば、推奨モジュール7030は、特定のカートリッジを対応するステープル留め外科用器具7012にいつ使用すべきかに関する推奨を、外科用ハブ7006に送信することができる。したがって、クラウドベースの分析システムは、共通変数を制御している間に、生データの大規模な収集を分析し、複数の医療施設にわたって(有利には、集約されたデータに基づいて決定される)集中的提案を提供するように構成されていてもよい。例えば、クラウドベースの分析システムは、医療行為の種類、患者の種類、患者の数、どの1つの医療施設も単独で独立に分析することができないような、同様の種類の器具などを使用する医療提供者/施設どうしの間の地理的類似性に基づいて、データの分析、評価及び/又は集約を行うことができる場合もある。
【0105】
制御プログラム更新モジュール7026は、対応する制御プログラムが更新されたときに、様々な外科用器具7012の提案を実施するように構成することができる場合もある。例えば、患者転帰分析モジュール7028は、特定の制御パラメータを成功した(又は失敗した)結果とリンクする相関関係を識別することができる場合もある。このような相関関係は、更新された制御プログラムが制御プログラム更新モジュール7026を介して外科用器具7012に送信されるときに処理されてもよい。対応するハブ7006を介して送信される器具7012への更新は、クラウド7004のデータ収集及び集約モジュール7022によって収集されかつ分析された、集約された成績データを組み込んでもよい。加えて、患者転帰分析モジュール7028及び提案モジュール7030は、集約された成績データに基づいて、器具7012を使用する改善された方法を識別することができる場合もある。
【0106】
クラウドベースの分析システムは、クラウド7004によって実装されるセキュリティ機能を含んでもよい。これらのセキュリティ機能は、認可及びセキュリティモジュール7024によって管理されてもよい。それぞれの外科用ハブ7006は、ユーザ名、パスワード及び他の好適なセキュリティ資格情報などの関連する固有の資格情報を有することができる。これらの資格情報は、メモリ7010に記憶され、許可されたクラウドアクセスレベルに関連付けることができる場合もある。例えば、正確な資格情報を提供することに基づいて、外科用ハブ7006は、所定の範囲までクラウドと通信するアクセスを付与されてもよい(例えば、特定の定義された種類の情報の送信又は受信のみを行ってもよい)。この目的のために、クラウド7004の集約された医療データデータベース7011は、提供された資格情報の精度を検証するための資格情報のデータベースを含んでもよい。異なる資格情報は、クラウド7004によって生成されたデータ分析を受信するための所定のアクセスレベルなど、クラウド7004との相互作用のための様々なレベルの許可に関連付けられてもよい。
【0107】
更に、セキュリティ目的のために、クラウドは、ハブ7006、器具7012及び禁止された装置の「ブラックリスト」を含み得る他の装置のデータベースを維持することができる場合もある。具体的には、ブラックリスト上に列挙された外科用ハブ7006は、クラウドと相互作用することを許可不可能である一方で、ブラックリスト上に列挙された外科用器具7012は、対応するハブ7006への機能的アクセスを有さなくてもよく、かつ/又は対応するハブ7006とペアリングされたときに完全な機能が防止され得る。追加的に又は代替的に、クラウド7004は、不適合性又は他の指定された基準に基づいて、器具7012にフラグを立ててもよい。このようにして、偽造医療用装置及びそのような装置の、クラウドベースの分析システム全体での不適切な再使用を識別し、対処することができる。
【0108】
外科用器具7012は、無線送受信機を使用して、例えば、対応するハブ7006及びクラウド7004へのアクセスのための認可資格情報を表してもよい無線信号を送信してもよい。有線送受信機はまた、信号を送信するために使用してもよい。そのような認可資格情報は、外科用器具7012のそれぞれのメモリ装置に記憶することができる。認可及びセキュリティモジュール7024は、認可資格情報が正確であるか又は偽造であるかを判定することができる。認可及びセキュリティモジュール7024はまた、強化されたセキュリティのために、認可資格情報を動的に生成してもよい。資格情報はまた、ハッシュベースの暗号化を使用することなどによって、暗号化することができる場合もある。適切な認可を送信すると、外科用器具7012は、対応するハブ7006及び最終的にはクラウド7004に信号を送信して、器具7012が医療データを取得して送信する準備ができていることを示してもよい。これに応答して、クラウド7004は、集約された医療データデータベース7011に記憶するための医療データを受信することが可能な状態に遷移してもよい。このデータ伝送準備ができている状態であることは、例えば、器具7012上の光インジケータによって示すことができる場合もある。クラウド7004はまた、外科用器具7012に信号を送信して、それらの関連する制御プログラムを更新させることができる。クラウド7004は、制御プログラムに対するソフトウェアアップデートが適切な外科用器具7012にのみ送信されるように、特定のクラスの外科用器具7012(例えば、電気外科用器具)に向けられている信号を送信することができる。更に、クラウド7004は、システムワイドソリューションを実装するために使用することができ、選択的データ伝送及び認可資格情報に基づいて、ローカル又はグローバルの問題に対処する場合もある。例えば、外科用器具7012のグループが共通の製造不良を有するものとして識別される場合、クラウド7004は、このグループに対応する認可資格情報を変更してこのグループの動作ロックアウトを実施してもよい。
【0109】
クラウドベースの分析システムは、複数の医療施設(例えば、病院のような医療施設)を監視して、それに従って、(例えば、提案モジュール2030を介して)改善された実務及び提案の変更を決定するのを可能にしてもよい。したがって、クラウド7004のプロセッサ7008は、個々の医療施設に関連付けられたデータを分析して、施設を識別し、そのデータを、グループ内の他の医療施設に関連付けられた他のデータと集約することができる。グループは、例えば、同様の操作行為又は地理的位置に基づいて定義することができる場合がある。このようにして、クラウド7004は、医療施設グループにわたる分析及び提案を提供してもよい。クラウドベースの分析システムはまた、強化された状況認識のために使用することができる場合がある。例えば、プロセッサ7008は、(全体的な動作及び/又は様々な医療処置に対する)特定の施設に対し、コスト及び有効性に関する提案の効果を予測的にモデル化してもよい。その特定の施設に関連するコスト及び有効性はまた、他の施設又は任意の他の同等施設の対応するローカル領域と比較することもできる。
【0110】
データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、重大性(例えば、データに関連付けられた医療イベントの重篤度、意外さ、不審さ)に基づいてデータを優先順位付けし、かつ分類してもよい。この分類及び優先順位付けは、本明細書に記載されるクラウドベースの分析及び動作を改善するために、上述の他のデータ分析モジュール7034の機能と併せて使用してもよい。例えば、データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、データ収集及び集約モジュール7022並びに患者転帰分析モジュール7028によって実行されるデータ分析に対する優先度を割り当てることができる。異なる優先順位レベルは、クラウド7004からの(緊急性のレベルに対応する)特定の応答、又は他の好適な応答をもたらし得るが、そのような特定の応答には、迅速応答のためのエスカレーション、特別な処理、集約された医療データデータベース7011からの除外などが挙げられる。更に、必要に応じて、クラウド7004は、対応する外科用器具7012からの追加データを求めて、ハブアプリケーションサーバを介して要求(例えば、プッシュメッセージ)を送信することができる。プッシュメッセージは、その結果、対応するハブ7006上に通知を表示させることができ、その通知は、支持するデータ又は追加のデータを要求するためのものであり得る。このプッシュメッセージは、クラウドが有意な不規則性又は外れ値を検出し、クラウドが不規則性の原因を判定することができない状況で必要とされてもよい。中央サーバ7013は、例えば、データが所定の閾値を超えて予測値と異なると判定される場合、又はセキュリティが含まれていたと見られる場合など、特定の重大な状況においてこのプッシュメッセージをトリガするようにプログラムされてもよい。
【0111】
【0112】
クラウド分析システムに関する更なる詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する2018年4月19日出願の米国特許仮出願第62/659,900号に見出すことができる。
【0113】
状況認識
感知されたデータに応答する制御アルゴリズムを含む「インテリジェント」装置は、感知されたデータを考慮することなく動作する「データ処理能力のない(dumb)」装置に改善を加えたものであり得るが、いくつかの感知されたデータは、単独で考慮される場合、すなわち、実行される外科処置のタイプ又は手術されている組織のタイプのコンテキストなしでは、不完全又は決定的ではない可能性がある。処置コンテキストを知る(例えば、手術される組織のタイプ又は行われている処置のタイプを知る)ことがなければ、制御アルゴリズムは、特定のコンテキストを含まない感知データが与えられると、モジュール式装置を不正確に又は最適とはいえない状態で制御することがある。例えば、特定の感知されたパラメータに応答して外科用器具を制御するための制御アルゴリズムの最適な方法は、手術されている特定の組織のタイプに従って変化する可能性がある。これは、異なる組織のタイプが異なる特性(例えば、引き裂きに対する抵抗性)を有し、これにより外科用器具によってとられた動作に対して異なって応答するという事実に起因する。したがって、特定のパラメータについて同じ測定値が感知された場合であっても、外科用器具が異なる動作をとることが望ましいことがある。1つの具体的な例として、器具がそのエンドエフェクタを閉鎖するために予想外に高い力を感知することに応答して外科用ステープル及び切断器具を制御する最適な方法は、組織のタイプが引き裂きに対して弱いか、又はこれに対して耐性があるかによって異なる。肺組織などの引き裂きに対して弱い組織の場合、器具の制御アルゴリズムは、組織の引き裂きを回避するために、閉鎖するための予想外に高い力に応答してモータを最適にランプダウンさせる。胃組織などの引き裂きに対して耐性がある組織の場合、器具の制御アルゴリズムは、エンドエフェクタが組織にて適切にクランプされることを確実にするために、予想外に高い閉鎖するための力に応答してモータを最適にランプアップさせる。肺組織がクランプされているのか、胃組織がクランプされているのかを知らなければ、制御アルゴリズムは、最適とはいえない決定を行うことがある。
【0114】
1つの解決策は、様々なデータソースから受信したデータに基づいて、現在行われている外科処置に関する情報を導出し、次いで、ペアリングされたモジュール式装置を適宜制御するように構成されたシステムを含む、外科用ハブを利用する。換言すれば、外科用ハブは、受信したデータから外科処置に関する情報を推定し、次いで、外科処置の推定されたコンテキストに基づいて、外科用ハブとペアリングされるモジュール式装置を制御するように構成されている。
図14は、本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科システム5100の図を示す。いくつかの例示では、データソース5126は、例えば、モジュール式装置5102(患者及び/又はモジュール式装置自体に関連付けられたパラメータを検出するように構成されたセンサを含むことができる)、データベース5122(例えば、患者記録を含むEMRデータベース)及び患者監視装置5124(例えば、血圧(BP)モニタ及び心電図(EKG)モニタ)を含む。
【0115】
外科用ハブ5104は、多くの点でハブ106に類似したものであり得るが、そのような外科用ハブ5104は、例えば、受信したデータの特定の組み合わせ又はデータソース5126からデータが受信される特定の順序に基づいて、データから外科処置に関するコンテキスト情報を導出するように構成され得る。受信したデータから推定されるコンテキスト情報は、例えば、行われる外科処置のタイプ、外科医が行っている外科処置の特定の工程、手術されている組織のタイプ又は処置の対象である体腔を含むことができる。受信したデータから外科処置に関連する情報を導出又は推定するための外科用ハブ5104のいくつかの態様によるこの能力は、「状況認識」と称され得る。一例示では、外科用ハブ5104は、受信したデータから外科処置に関連するコンテキスト情報を導出する、外科用ハブ5104に関連付けられたハードウェア及び/又はプログラミングである、状況認識システムを組み込むことができる。
【0116】
外科用ハブ5104の状況認識システムは、データソース5126から受信したデータから、様々な異なる方法でコンテキスト情報を導出するように構成され得る。一例示では、状況認識システムは、様々な入力(例えば、データベース5122、患者監視装置5124及び/又はモジュール式装置5102からのデータ)を、外科処置に関する対応するコンテキスト情報と相関させるために、訓練データで訓練されたパターン認識システム、又は機械学習システム(例えば、人工ニューラルネットワーク)を含む。換言すれば、機械学習システムは、提供された入力から外科処置に関するコンテキスト情報を正確に導出するように訓練され得る。別の例示では、状況認識システムは、外科処置に関する事前に特徴付けされたコンテキスト情報を、コンテキスト情報に対応する1つ以上の入力(又は入力の範囲)と対応させて記憶するルックアップテーブルを含むことができる。1つ以上の入力による問い合わせに応答して、ルックアップテーブルは、モジュール式装置5102を制御するために状況認識システムの対応するコンテキスト情報を返すことができる。一例示では、外科用ハブ5104の状況認識システムによって受信されたコンテキスト情報は、1つ以上のモジュール式装置5102の特定の制御調整又は制御調整のセットに関連付けられる。別の例示では、状況認識システムは、コンテキスト情報を入力として提供されたときに1つ以上のモジュール式装置5102の1つ以上の制御調整を生成又は取得する、更なる機械学習システム、ルックアップテーブル、又は他のそのようなシステムを含む。
【0117】
状況認識システムを組み込む外科用ハブ5104は、外科システム5100に多くの利益を提供する。1つの利益は、感知及び収集されたデータの解釈を改善することを含み、これは、外科処置の過程中の処理精度及び/又はデータの使用を改善する。以前の例に戻ると、状況認識外科用ハブ5104は、どのタイプの組織が手術されているかを判定することができ、したがって、外科用器具のエンドエフェクタを閉じるために予想外に高い力が検出されると、状況認識外科用ハブ5104は、組織のタイプに合わせて外科用器具のモータを正しくランプアップ又はランプダウンすることができる。
【0118】
別の例として、手術されている組織のタイプは、特定の組織間隙測定のための外科用ステープル留め及び切断器具の圧縮速度及び負荷閾値になされる調整に影響を及ぼすことができる。状況認識外科用ハブ5104は、行われている外科処置が胸部処置であるのか又は腹部処置であるのかを推定することができ、これにより状況認識外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具のエンドエフェクタによってクランプされている組織が肺であるのか(胸部手術の場合)又は胃であるのか(腹部手術の場合)を判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具の圧縮速度及び負荷閾値を、組織のタイプに合わせて適切に調整することができる。
【0119】
更に別の例として、送気処置中に手術されている体腔の種類は、排煙器の機能に影響を及ぼし得る。状況認識手術ハブ5104は、手術部位が(外科処置が送気を利用していると判定することによって)圧力下にあるかどうかを判定し、処置タイプを判定することができる。ある処置タイプが概ね特定の体腔内で実行されるにつれて、外科用ハブ5104は、手術されている体腔に合わせて適切に排煙器のモータ速度を制御することができる。したがって、状況認識手術ハブ5104は、胸部手術及び腹部手術の両方のために一定量の排煙を提供することができる。
【0120】
更に別の例として、行われている処置のタイプは、超音波外科用器具又は高周波(RF)電気外科用器具が作動するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。関節鏡処置は、例えば、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエンドエフェクタが流体中に浸漬されるため、より高いエネルギーレベルを必要とする。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置が関節鏡処置であるかどうかを判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、流体充填環境を補償するために、発生器のRF電力レベル又は超音波振幅(すなわち、「エネルギーレベル」)を調整することができる。関連して、手術されている組織のタイプは、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具が作動するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、どのタイプの外科処置が行われているかを判定し、次いで、外科処置の予想される組織プロファイルに従って、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルをそれぞれカスタマイズすることができる。更に、状況認識外科用ハブ5104は、処置ごとの調整のみではなく、外科処置の過程にわたって超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルを調整するように構成され得る。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置のどの工程が行われているか、又はその後に行われるかを判定し、次いで発生器及び/又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具の制御アルゴリズムを更新して、外科処置の工程に従って予想される組織タイプに適切な値にエネルギーレベルを設定することができる。
【0121】
更に別の例として、外科用ハブ5104が1つのデータソース5126から引き出す結論を改善するために、追加のデータソース5126からデータを引き出すことができる。状況認識外科用ハブ5104は、モジュール式装置5102から受信したデータを、他のデータソース5126からの、外科処置に関して構築したコンテキスト情報で増強することができる。例えば、状況認識外科用手術ハブ5104は、医療用撮像装置から受信したビデオ又は画像データに従って、止血が発生したかどうか(すなわち、手術部位での出血が止まっているかどうか)を判定するように構成され得る。しかしながら、場合によっては、ビデオ又は画像データは、決定的でない可能性がある。したがって、一例示では、外科用ハブ5104は、生理学的測定値(例えば、外科用ハブ5104に通信可能に接続されたBPモニタによって感知された血圧)を、(例えば、外科用ハブ5104に通信可能に連結された医療用撮像装置124(
図2)からの)止血の視覚データ又は画像データと比較して、ステープルライン又は組織溶接の完全性についての判定を行うように更に構成され得る。換言すれば、外科用ハブ5104の状況認識システムは、生理学的測定データを考慮して、可視化データを分析する際に追加のコンテキストを提供することができる。追加のコンテキストは、可視化データがそれ自体では決定的ではないか、又は不完全であり得る場合に有用であり得る。
【0122】
別の利益としては、外科処置の過程中に、医療従事者が外科用システム5100との相互作用又は外科用システム5100の制御を求められる回数を減少させるため、実施されている外科処置の特定の工程に従ってペアリングされたモジュール式装置5102を前もってかつ自動で制御することが挙げられる。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、処置の後続の工程が器具の使用を必要とすると判定した場合に、前もってRF電気外科用器具が接続されている発生器を起動させることができる。エネルギー源を前もって起動することにより、処置の先行する工程が完了するとすぐに器具を使用準備完了にすることができる。
【0123】
別の例として、状況認識外科用ハブ5104は、外科処置の現在又は後続の工程が、ディスプレイ上の異なる視界又は拡大の度合いを必要とするかどうかを外科医が見る必要があると予想される、手術部位における特徴(複数可)に従って判定することができる。次いで、それに応じて、外科用ハブ5104は、(例えば、可視化システム108のために医療用撮像装置によって供給される)表示された視界を、先を見越して変化させることができ、外科処置中にわたってディスプレイを自動的に調整するようにする。
【0124】
更に別の例として、状況認識手術ハブ5104は、外科処置のどの工程が行われているか、又は続けて実行されるか、及び特定のデータ又はデータ間の比較が外科処置のその工程に必要とされるかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、外科医が特定の情報を要求するのを待つことなく、行われている外科処置の工程に基づいて、自動的にデータスクリーンを呼び出すように構成され得る。
【0125】
別の利益は、外科処置のセットアップ中又は外科処置の過程中にエラーをチェックすることを含む。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、手術室が、これから行われる外科処置のために適切に又は最適にセットアップされているかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、現在行われている外科処置のタイプを判定し、(例えば、メモリから)対応するチェックリスト、製品の所在又はセットアップニーズを取得し、次いで、現在の手術室のレイアウトを、外科用ハブ5104が行われていると判定した外科処置のタイプの標準レイアウトと比較するように構成され得る。一例示では、外科用ハブ5104は、好適なスキャナによってスキャンされる処置のためのアイテムのリスト及び/又は、外科用ハブ5104とペアリングされる装置のリストを、所与の外科処置のためのアイテム及び/又は装置の推奨又は予想される目録と比較するように構成され得る。外科用ハブ5104は、リスト間に何らかの不連続性が存在する場合には、特定のモジュール式装置5102、患者監視装置5124及び/又は他の外科用アイテムが欠落していることを示す警告を提供するように構成され得る。一例示では、外科用ハブ5104は、例えば、近接センサによってモジュール式装置5102及び患者監視装置5124の相対距離又は相対位置を判定するように構成され得る。外科用ハブ5104は、装置の相対位置を、特定の外科処置のための推奨又は予想されるレイアウトと比較することができる。レイアウト間に何らかの不連続性が存在する場合、外科用ハブ5104は、外科処置の現在のレイアウトが推奨されるレイアウトから逸脱していることを示す警告を提供するように構成され得る。
【0126】
別の例として、状況認識外科用ハブ5104は、外科医(又は他の医療従事者)が誤りを犯しているか、又はそうでないとしても、外科処置の過程中に期待される一連の行動から逸脱しているかどうかを判定することができる。例えば、外科用ハブ5104は、実施される外科処置のタイプを判定し、(例えば、メモリから)機器使用の工程又は順序の対応するリストを取り出し、次いで、外科処置の過程中に行われている工程又は使用されている機器を、外科用ハブ5104が行われていると判定した外科処置のタイプの予想された工程又は機器と比較するように構成され得る。一例示では、外科用ハブ5104は、外科処理における特定の工程で、予期せぬアクションが行われている又は予期せぬ装置が利用されていることを示す警告を提供するように構成され得る。
【0127】
外科用ハブ5104のための状況認識システムは、各外科処置の特定のコンテキストのために外科用器具(及び他のモジュール式装置5102)を調整し(例えば異なる組織タイプに適応させるなど)、手術処置中のアクションを検証することによって、全体的に外科処置の結果を改善する。状況認識システムはまた、処置の特定のコンテキストに従って、次の工程を自動的に示唆すること、データを提供すること及び手術現場内のディスプレイ及び他のモジュール式装置5102を調整することによって、外科処置を実行する際の外科医の効率を改善する。
【0128】
ここで
図15を参照すると、例えば、外科用ハブ106又は206(
図1~
図11)などのハブの状況認識を示す時間線5200が示されている。時間線5200は例示的な外科処置と、外科用ハブ106、206が、外科処置の各工程でデータソースから受信したデータから導き出すことができるコンテキスト情報と、を示す。時間線5200は、手術室を設置することから開始し、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除手術の過程で、看護師、外科医及び他の医療関係者がとるであろう典型的な工程を示す。
【0129】
状況認識外科用ハブ106、206は、外科処置の過程全体にわたって、医療関係者が外科用ハブ106、206とペアリングされたモジュール式装置を使用する度に生成されるデータを含むデータをデータソースから受信する。外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置及び他のデータソースからこのデータを受信する。そして任意の所与の時間に処置のどの工程が実行されているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出することができる。外科用ハブ106、206の状況認識システムは、例えば、レポートを生成するために処置に関するデータを記録すること、医療関係者によってとられている工程を検証すること、特定の処置工程に関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、ディスプレイスクリーンを介して)提供すること、コンテキストに基づいてモジュール式装置を調節すること(例えば、モニタを起動する、医療用撮像装置の視界(FOV)を調節する、又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更することなど)及び上述の任意の他のこうした動作を行うことが可能である。
【0130】
この例示的な処置における第1の工程5202として、病院職員は、病院のEMRデータベースから、患者のEMRを読み出す。EMRにおける選択された患者データに基づいて、外科用ハブ106、206は、実行される処置が胸郭処置であると判定する。
【0131】
第2の工程5204では、職員は、処置のために入来する医療用品をスキャンする。外科用ハブ106、206は、スキャンされた用品を様々な種類の処置で利用される用品のリストと相互参照し、用品の組み合わせが、胸郭処置に対応するものであることを確認する。更に、外科用ハブ106、206はまた、処置が楔状処置ではないと判定することができる(入来する用品が、胸郭楔状処置に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸郭楔状処置に対応していないかのいずれかであるため)。
【0132】
第3の工程5206では、医療関係者は、外科用ハブ106、206に通信可能に接続されたスキャナを介して患者のバンドをスキャンする。続いて、外科用ハブ106、206は、スキャンされたデータに基づいて患者の識別情報を確認することができる。
【0133】
第4の工程5208では、医療スタッフが補助装置をオンにする。利用される補助装置は、外科処置の種類及び外科医によって使用される技術に従って変わり得るが、この例示的な場合では、これらとしては、排煙器、吸入器及び医療用撮像装置が挙げられる。補助装置が起動されると、モジュール式装置である補助装置は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式装置の特定の近傍内に位置する外科用ハブ106、206と自動的にペアリングすることができる。続いて、外科用ハブ106、206は、この術前又は初期化段階中にそれとペアリングされるモジュール式装置の種類を検出することによって、外科処置に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の例では、外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置のこの特定の組み合わせに基づいて、外科処置がVATS手術であると判定する。患者のEMRからのデータ、手術に用いられる医療用品のリスト及びハブに接続するモジュール式装置の種類の組み合わせに基づいて、外科用ハブ106、206は、外科チームが実行する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ106、206が、何の特定の処置が実行されているかを認識すると、続いて外科用ハブ106、206は、メモリから、又はクラウドからその処置の工程を読み出して、次に接続されたデータソース(例えば、モジュール式装置及び患者監視装置)からその後受信したデータを相互参照して、外科処置のどの工程を外科チームが実行しているかを推定することができる。
【0134】
第5の工程5210では、職員は、EKG電極及び他の患者監視装置を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者監視装置は、外科用ハブ106、206とペアリングすることができる。外科用ハブ106、206が患者監視装置からデータの受信を開始すると、外科用ハブ106、206は患者が手術室にいることを確認する。
【0135】
第6の工程5212では、医療関係者は患者に麻酔をかける。外科用ハブ106、206は、例えば、EKGデータ、血圧データ、ベンチレータデータ又はこれらの組み合わせを含む、モジュール式装置及び/又は患者監視装置からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推定することができる。第6の工程5212が完了すると、肺区域切除手術の術前部分が完了し、手術部分が開始する。
【0136】
第7の工程5214では、手術をされている患者の肺が虚脱される(他方、換気が対側肺に切り替えられる)。外科用ハブ106、206は、例えば、患者の肺が虚脱されたことをベンチレータデータから推定することができる。外科用ハブ106、206は、患者の肺が虚脱したのを検出したことを、処置の予期される工程(事前にアクセス又は読み出すことができる)と比較することができるため、処置の手術部分が既に開始されたと推定して、それによって肺を虚脱させることがこの特定の処置における第1の手術工程であると判定することができる。
【0137】
第8の工程5216では、医療用撮像装置(例えば、スコープ)が挿入され、医療用撮像装置からのビデオ映像が開始される。外科用ハブ106、206は、医療用撮像装置への接続を通じて医療用撮像装置データ(すなわち、ビデオ又は画像データ)を受信する。医療用撮像装置データを受信すると、外科用ハブ106、206は、外科処置の腹腔鏡部分が開始したことを判定することができる。更に、外科用ハブ106、206は、実行されている特定の処置が、肺葉切除とは異なり区域切除術であると判定することができる(処置の第2の工程5204で受信したデータに基づいて、楔状処置は外科用ハブ106、206によって既にその可能性がないと判断されていることに留意されたい)。医療用撮像装置124(
図2)からのデータは、実行されている処置の種類に関するコンテキスト情報を判定するために多くの異なる方法で用いられてもよい。例えば、患者の解剖学的構造を可視化したものに対して、医療用撮像装置が向いている角度を判定したり、用いられている(すなわち、起動されており、外科用ハブ106、206とペアリングされている)医療用撮像装置の数を監視したり、用いられている可視化装置の種類を監視したりするために用いられてよい。例えば、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置するが、他方、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前方の肋間位置に配置する。例えば、パターン認識又は機械学習技術を使用して、状況認識システムは、患者の解剖学的構造を可視化したものに基づいて、医療用撮像装置の位置を認識するように訓練され得る。別の例として、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は、単一の医療用撮像装置を利用するが、VATS区域切除術を実施するための別の技術は複数のカメラを利用する。更に別の例として、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブに通信可能に連結され得る)を使用するが、これはVATS肺葉切除術では使用されない。医療用撮像装置からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ106、206は、実行中の特定の種類の外科処置及び/又は特定の種類の外科処置に使用されている技術を判定することができる。
【0138】
第9の工程5218で、外科チームは、処置の切開工程を開始する。外科用ハブ106、206は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して動員するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ106、206は、受信されたデータを外科処置の読み出しされた工程と相互参照して、過程のこの時点(すなわち、上述された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が、切開工程に対応していると判定することができる。特定の例では、エネルギー器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられたエネルギーツールであり得る。
【0139】
第10の工程5220で、外科チームは、処置の結紮工程に進む。外科用ハブ106、206は、外科用ステープル留め及び切断器具から、その器具が発射されていることを示すデータを受信するので、外科医が現在、動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前工程と同様に、外科用ハブ106、206は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内の工程と相互参照することによって、この推定を導出することができる。特定の例では、外科用器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられた外科用ツールであり得る。
【0140】
第11の工程5222では、処置の区域切除部分が実行される。外科用ハブ106、206は、そのカートリッジからのデータを含む、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータに基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定することができる。カートリッジのデータは、例えば、器具によって発射されるステープルのサイズ又は種類に対応することができる。異なる種類のステープルが異なる種類の組織に利用されるため、カートリッジのデータは、ステープル留め及び/又は横切開されている組織の種類を示すことができる。この場合、発射されるステープルの種類は実質組織(又は他の同様の組織種)に用いられ、これにより、外科用ハブ106、206は、処置の区域切除部分が実行されていると推定することができる。
【0141】
続いて第12の工程5224で、ノード切開工程が実行される。外科用ハブ106、206は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す発生器から受信したデータに基づいて、外科チームがノードを切開し、漏れ試験を実施していると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に用いられるRF又は超音波器具は、ノード切開工程に対応しており、それにより、外科用ハブ106、206が上記の推定を行うことが可能となる。異なる器具が特定の作業に対してより良好に適合するため、外科医は、処置中の特定の工程に応じて、定期的に外科用ステープル留め/切断器具と外科用エネルギー(すなわち、RF又は超音波)器具とを、交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め/切断器具及び外科用エネルギー器具が使用される特定のシーケンスは、外科医が処置のどの工程を実行中であるかを示すことができる。更に、特定の例では、外科処置中の1つ以上の工程にロボットツールを使用することができ、かつ/又は外科処置中の1つ以上の工程にハンドヘルド外科用器具を使用することができる。外科医(複数可)は、例えば、ロボットツールとハンドヘルド外科用器具とを交互に使用することができ、かつ/又は装置を同時に使用することができる。第12の工程5224が完了すると、切開部が閉鎖され、処置の術後部分が開始する。
【0142】
第13の工程5226では、患者を麻酔から醒ます作業が行われる。外科用ハブ106、206は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。
【0143】
最後に、第14の工程5228は、医療関係者が患者から様々な患者監視装置を除去することである。したがって、外科用ハブ106、206は、ハブがEKG、BP及び患者監視装置からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。この例示的な処置の説明から分かるように、外科用ハブ106、206と通信可能に連結された各種データソースから受信されたデータに基づいて、外科用ハブ106、206は、所与の外科処置の各工程がいつ行われているかを判定又は推定することができる。
【0144】
状況認識については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する2018年4月19日出願の米国特許仮出願第62/659,900号で更に説明されている。特定の例では、例えば本明細書で開示される様々なロボット外科システムを含むロボット外科システムの動作は、その状況認識及び/若しくはその構成要素からのフィードバックに基づいて、並びに/又はクラウド104からの情報に基づいて、ハブ106、206によって制御されてもよい。
【0145】
【0146】
【0147】
発生器ハードウェア
図16は、本開示の一態様による、本明細書に記載される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具700の概略図である。ロボット外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材若しくは1つ以上の関節運動部材、又はこれらの組み合わせを個別に制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材若しくは1つ以上の関節運動部材、又はこれらの組み合わせを制御するように構成された制御回路710を備える。
【0148】
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のクランプアーム716及び閉鎖部材714部分と、超音波発生器721によって励起される超音波変換器719に連結された超音波ブレード718と、シャフト740と、1つ以上の関節運動部材742a、742bと、を制御するように構成された制御回路710を備える。位置センサ734は、閉鎖部材714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に操作することができる。
【0149】
一態様では、制御回路710は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は1つ若しくは複数のプロセッサに、1つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して位置センサ734によって判定された閉鎖部材714の位置をタイマー/カウンタ731の出力と相関させる。その結果、制御回路710は、閉鎖部材714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)における閉鎖部材714の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0150】
一態様では、制御回路710は、1つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、クランプアーム716によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。その他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0151】
一態様では、制御回路710は、モータ設定点信号を生成することができる。モータ設定点信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電動モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
【0152】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eのそれぞれを、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間のロボット外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0153】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ることができる。エネルギー源712は、主交流電源、電池、スーパーキャパシタ又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達機構706a~706eを介して、閉鎖部材714、クランプアーム716、シャフト740、関節742a及び関節742bなどの個々の可動機械的要素に機械的に連結されてもよい。伝達機構706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、閉鎖部材714の位置を感知し得る。位置センサ734は、閉鎖部材714の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ734は、閉鎖部材714が遠位方向及び近位方向に並進すると、一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡して閉鎖部材714の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、閉鎖部材714の動きを示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ734は省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステップモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、閉鎖部材714の位置を追跡することができる。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内又は器具の任意の他の部分にて位置することができる。モータ704a~704eのそれぞれの出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0154】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702の閉鎖部材714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定点を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結されている。トルクセンサ744aは、閉鎖部材714に連結された伝達機構706aに連結されている。伝達機構706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向への閉鎖部材714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに連結されていてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、閉鎖部材714を発射又は変位させるのに必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿った閉鎖部材714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されていてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位側にあるストローク終了位置まで、遠位方向に駆動することができる。閉鎖部材714が遠位方向に並進すると、クランプアーム716は超音波ブレード718に向かって閉鎖する。
【0155】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のクランプアーム716部分などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ制御部708bにモータ設定点を提供し、モータ制御部708bは、モータ704bに駆動信号を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結されている。トルクセンサ744bは、クランプアーム716に連結された伝達機構706bに連結されている。伝達機構706bは、開放位置及び閉鎖位置からのクランプアーム716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに連結されている。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、クランプアーム716に加えられる閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されていてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なクランプアーム716は、超音波ブレード718の反対側に位置決めされている。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ704bは閉鎖部材を前進させて、クランプアーム716と超音波ブレード718との間に組織を把持する。
【0156】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるために、シャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ制御部708cにモータ設定点を提供し、モータ制御部708cは、モータ704cに駆動信号を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結されている。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結された伝達機構706cに連結されている。伝達機構706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を、360度まで及びそれを超えて制御するための回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達機構アセンブリに連結されている。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0157】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ制御部708dにモータ設定点を提供し、モータ制御部708dは、モータ704dに駆動信号を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結されている。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結された伝達機構706dに連結されている。伝達機構706dは、エンドエフェクタ702の±65°の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギアアセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に加えられる関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0158】
別の態様では、ロボット外科システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の個別のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bのそれぞれは、他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに規定の半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転するとプッシュプル連結部の機械的利益は変化する。この機械的利点の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0159】
一態様では、1つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックスと、発射部材、閉鎖部材又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータと、を備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ704a~704eの1つに反して作用する障害(drag)と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作をその物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0160】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備えてもよい。位置センサ734は、制御回路710と連携して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられ、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0161】
一態様では、制御回路710は、1つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に配置され、ロボット外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ及び/又はエンドエフェクタ702の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ738は、1つ以上のセンサを含むことができる。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を判定するために、クランプアーム716上に配置されてもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)超音波ブレード718のどの部分がその上に組織を有しているか、及び(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0162】
一態様では、1つ以上のセンサ738は、クランプ状態の間のクランプアーム716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、クランプアーム716と超音波ブレード718との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ738は、クランプアーム716と超音波ブレード718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0163】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計及び慣性センサを含んでもよい。
【0164】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってクランプアーム716に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってクランプアーム716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とクランプアーム716との間の相互作用点に位置してもよい。クランプアーム716に対して及ぼされる力は、クランプアーム716と超音波ブレード718との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ738は、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に配置されて、閉鎖駆動システムによってクランプアーム716に加えられる閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ738は、クランプ動作中にリアルタイムで、制御回路710のプロセッサによってサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、クランプアーム716に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0165】
一態様では、電流センサ736を用いて、モータ704a~704eのそれぞれによって引き込まれる電流を測定することができる。閉鎖部材714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内の閉鎖部材714を目標速度又はその付近で移動させることができる。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(LQR)及び/又は適応型コントローラが挙げられるがこれらに限定されない、任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0166】
図17は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するように構成された外科用器具750の概略図を示す。一態様では、外科用器具750は、閉鎖部材764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、クランプアーム766と、閉鎖部材764と、超音波発生器771によって駆動される超音波変換器769に連結された超音波ブレード768と、を備え得るエンドエフェクタ752を備える。
【0167】
閉鎖部材764などの直線変位部材の位置、移動、変位及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ機構及び位置センサ784によって測定することができる。閉鎖部材764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、閉鎖部材764の位置は、位置センサ784を使用して、長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、閉鎖部材764の位置、変位及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、閉鎖部材764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの例では、制御回路760は、1つ又は複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えば閉鎖部材764を制御させる命令を実行するため、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定された閉鎖部材764の位置を、タイマー/カウンタ781の出力と相関させる。その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)における閉鎖部材764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0168】
制御回路760は、モータ設定点信号772を生成してもよい。モータ設定点信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0169】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受け取ることができる。エネルギー源762は、電池、スーパーキャパシタ又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達機構756を介して閉鎖部材764に機械的に連結され得る。伝達機構756は、モータ754を閉鎖部材764に連結するための1つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、閉鎖部材764の位置を感知し得る。位置センサ784は、閉鎖部材764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、閉鎖部材764が遠位方向及び近位方向に並進すると、一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡して閉鎖部材764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、閉鎖部材764の動きを示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、閉鎖部材764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内又は器具の任意の他の部分にて位置することができる。
【0170】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ752上に配置され、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ及び/又はエンドエフェクタ752の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ788は、1つ以上のセンサを含むことができる。
【0171】
1つ以上のセンサ788は、クランプ状態の間のクランプアーム766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ788は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0172】
センサ788は、閉鎖駆動システムによってクランプアーム766に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってクランプアーム766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とクランプアーム766との間の相互作用点に位置してもよい。クランプアーム766に対して及ぼされる力は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ788は、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に配置されて、閉鎖駆動システムによってクランプアーム766に加えられる閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ788は、クランプ動作中にリアルタイムで、制御回路760のプロセッサによってサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、クランプアーム766に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0173】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。閉鎖部材764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0174】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内の閉鎖部材764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0175】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材又は閉鎖部材764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば変位部材及び関節運動ドライバを動作させる電動モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ754に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0176】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用封止及び切断器具を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750に関する。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なクランプアーム766と、使用のために構成されるときはクランプアーム766の反対側に位置付けられる、超音波ブレード768と、を備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整うと、臨床医は、例えば器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供することができる。発射信号に応じて、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位側にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備える閉鎖部材764は、超音波ブレード768とクランプアーム766との間の組織を切断することができる。
【0177】
様々な例で、外科用器具750は、1つ以上の組織状態に基づいて、例えば閉鎖部材764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0178】
いくつかの例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などを挙げることができる。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0179】
図18は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するように構成された外科用器具750の概略図を示す。一態様では、外科用器具750は、閉鎖部材764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、クランプアーム766と、閉鎖部材764と、超音波発生器771によって駆動される超音波変換器769に連結された超音波ブレード768と、を備え得るエンドエフェクタ752を備える。
【0180】
閉鎖部材764などの直線変位部材の位置、移動、変位及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ機構及び位置センサ784によって測定することができる。閉鎖部材764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、閉鎖部材764の位置は、位置センサ784を使用して、長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、閉鎖部材764の位置、変位及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、閉鎖部材764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの例では、制御回路760は、プロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えば閉鎖部材764を制御させる命令を実行するため、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定された閉鎖部材764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させる。その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)における閉鎖部材764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0181】
制御回路760は、モータ設定点信号772を生成してもよい。モータ設定点信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0182】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受け取ることができる。エネルギー源762は、電池、スーパーキャパシタ又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達機構756を介して閉鎖部材764に機械的に連結され得る。伝達機構756は、モータ754を閉鎖部材764に連結するための1つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、閉鎖部材764の位置を感知し得る。位置センサ784は、閉鎖部材764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、閉鎖部材764が遠位方向及び近位方向に並進すると、一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡して閉鎖部材764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、閉鎖部材764の動きを示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、閉鎖部材764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0183】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ752上に配置され、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ及び/又はエンドエフェクタ752の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ788は、1つ以上のセンサを含むことができる。
【0184】
1つ以上のセンサ788は、クランプ状態の間のクランプアーム766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ788は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0185】
センサ788は、閉鎖駆動システムによってクランプアーム766に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってクランプアーム766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とクランプアーム766との間の相互作用点に位置してもよい。クランプアーム766に対して及ぼされる力は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ788は、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に配置されて、閉鎖駆動システムによってクランプアーム766に加えられる閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ788は、クランプ動作中にリアルタイムで、制御回路760のプロセッサによってサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、クランプアーム766に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0186】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。閉鎖部材764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0187】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内の閉鎖部材764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない、任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0188】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材又は閉鎖部材764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば変位部材及び関節運動ドライバを動作させる電動モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ754に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0189】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用封止及び切断器具を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750に関する。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なクランプアーム766と、使用のために構成されるときは、クランプアーム766の反対側に位置付けられた超音波ブレード768と、を備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整うと、臨床医は、例えば器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供することができる。発射信号に応じて、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備える閉鎖部材764は、超音波ブレード768とクランプアーム766との間の組織を切断することができる。
【0190】
様々な例で、外科用器具750は、1つ以上の組織状態に基づいて、例えば閉鎖部材764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0191】
いくつかの例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などを挙げることができる。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0192】
図18は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の概略図である。一態様では、外科用器具790は、閉鎖部材764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、クランプアーム766と、閉鎖部材764と、1つ以上のRF電極796(破線で示される)と交換されるか、又はそれと連動して動作し得る超音波ブレード768とを備え得るエンドエフェクタ792を備える。超音波ブレード768は、超音波発生器771によって駆動される超音波変換器769に連結されている。
【0193】
一態様では、センサ788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ638は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計及び慣性センサを含んでもよい。
【0194】
一態様では、位置センサ784は、Austria Microsystems(AG)から入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備える絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。位置センサ784は、制御回路760とインターフェース接続されて、絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられ、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0195】
一部の例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータが実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、閉鎖部材764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ792内又は器具の任意の他の部分にて位置することができる。
【0196】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ792上に配置され、外科用器具790と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ及び/又はエンドエフェクタ792の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ788は、1つ以上のセンサを含むことができる。
【0197】
RFエネルギー源794は、エンドエフェクタ792に連結され、RF電極796が超音波ブレード768の代わりにエンドエフェクタ792内に提供されるとき、又は超音波ブレード768と連動して動作するように提供されるとき、RF電極796に印加される。例えば、超音波ブレードは、導電性金属で作製され、電気外科用RF電流のリターンパスとして使用されてもよい。制御回路760は、RF電極796へのRFエネルギーの送達を制御する。
【0198】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
【0199】
図19は、超音波器具と連結するように構成され、かつ、モジュール式通信ハブを備える外科用データネットワーク内で適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを実行するように更に構成された発生器の一形態である、発生器900の一例を示す。発生器900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を単独で又は同時にのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時にエンドエフェクタに送達することができる。発生器900は、波形発生器904に連結されたプロセッサ902を備える。プロセッサ902及び波形発生器904は、プロセッサ902に連結されたメモリに記憶された情報(開示を明瞭にするために示されず)に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するために1つ以上のDAC回路を含む波形発生器904に提供される。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器1106に供給される。増幅器906の、調節され増幅された出力は、電力変圧器908に連結されている。信号は、電力変圧器908を横断して患者絶縁側にある二次側に連結されている。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、外科用器具のENERGY
1及びRETURNとラベルされた端子間に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ910を横断して連結され、外科用器具のENERGY
2及びRETURNとラベルされた端子間に提供される。2つを超えるエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGY
n端子が提供され得ることを示すために使用することができ、ここでnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURN
n)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
【0200】
第1の電圧感知回路912は、ENERGY1及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路924は、ENERGY2及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示される電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路は各リターン区間で提供されねばならない。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力が対応の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器918に提供される。電力変圧器908の一次側(非患者絶縁側)における絶縁変圧器916、928、922の出力は、1つ以上のADC回路926に提供される。ADC回路926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ902に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調整するために、またいくつかあるパラメータの中で出力インピーダンスを計算するために使用することができる。プロセッサ902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路920を介して提供される。センサもまた、インターフェース回路920を介してプロセッサ902と電気通信してもよい。
【0201】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY
1/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第1の電圧感知回路912又はENERGY
2/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第2の電圧感知回路924のいずれかの出力を、電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路914の出力で割ることによって、プロセッサ902により判定され得る。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力は、個別の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器916に提供される。ADC回路926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY
1は超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY
2はRFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、数ある中でも不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、
図19に例示された例は、単一のリターンパス(RETURN)が2つ以上のエネルギーモダリティに提供され得ることを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURN
nが、各エネルギーモダリティENERGY
nに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波変換器のインピーダンスは、第1の電圧感知回路912の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路924の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよい。
【0202】
図19に示すように、少なくとも1つの出力ポートを含む発生器900は、実行される組織の処置の種類に応じて、電力を、例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供するために、単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器908を含むことができる。例えば、発生器900は、単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを用いて、超音波変換器を駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためのRF電極を駆動するために低電圧かつ高電流で、又はスポット凝固のための凝固波形でエネルギーを送達することができる。発生器900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え又はフィルタリングされ得る。超音波変換器の、発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、
図18に示すようにENERGY
1とラベルされた出力部とRETURNとの間に位置するであろう。一例では、RF双極電極の、発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY
2とラベルされた出力部とRETURNとの間に位置するであろう。単極出力部の場合、好ましい接続部は、ENERGY
2出力部への活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)及びRETURN出力部に接続された好適なリターンパッドであろう。
【0203】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
【0204】
本説明全体で使用される用語「無線」及びその派生語は、非固体媒体を介して変調電磁放射線の使用を通じてデータを通信し得る回路、装置、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用されてもよい。この用語は、関連する装置がいかなる有線も含まないことを意味するものではないが、一部の態様では、それらは存在しない可能性がある。通信モジュールは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、これらのイーサネット派生物のみならず、3G、4G、5G及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない、多数の無線又は有線通信規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0205】
本明細書で使用するとき、プロセッサ又は処理ユニットは、いくつかの外部データソース(通常はメモリ)又は何らかの他のデータストリーム上で動作を実行する電子回路である。この用語は、本明細書では、多くの専用「プロセッサ」を組み合わせたシステム又はコンピュータシステム(特にシステムオンチップ(SoC))内の中央プロセッサ(中央処理ユニット)を指すために使用される。
【0206】
本明細書で使用するとき、チップ上のシステム又はシステムオンチップ(SoC又はSOC)は、コンピュータ又は他の電子システムの全ての構成要素を統合する集積回路(「IC」又は「チップ」としても知られる)である。これは、デジタル、アナログ、混合信号及び多くの場合は高周波数機能を、全て単一の基材上に含むことができる。SoCは、マイクロコントローラ(又はマイクロプロセッサ)を、グラフィックス処理ユニット(GPU)、Wi-Fiモジュール又はコプロセッサなどの最新の周辺装置と統合する。SoCは、内蔵メモリを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0207】
本明細書で使用するとき、マイクロコントローラ又はコントローラは、マイクロプロセッサを周辺回路及びメモリと統合するシステムである。マイクロコントローラ(又はマイクロコントローラユニットのMCU)は、単一の集積回路上の小型コンピュータとして実装されてもよい。これはSoCと同様であってもよく、SoCは、その構成要素の1つとしてマイクロコントローラを含み得る。マイクロコントローラは、1つ以上のコア処理ユニット(CPU)と共にメモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器を収容することができる。強誘電性のRAM、NORフラッシュ又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ及び少量のRAMもまた、チップ上にしばしば含まれる。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途用に採用され得る。
【0208】
本明細書で使用するとき、コントローラ又はマイクロコントローラという用語は、周辺装置とインターフェース接続するスタンドアロンIC又はチップ装置であってもよい。これは、その装置の動作(及び当該装置との接続)を管理する外部装置上のコンピュータ又はコントローラの2つの部分間の連結部であってもよい。
【0209】
本明細書で説明されるプロセッサ又はマイクロコントローラはいずれも、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0210】
一態様では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0211】
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受容可能な(例えば
図3及び
図9に関連して説明される)モジュールと、対応する外科用ハブと接続又はペアリングするために様々なモジュールに接続することができる外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、吸入器及びディスプレイが挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置は、制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者に関連するもの(例えば、組織特性又は送気圧)であってもよく、又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連するものであってもよい。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフにより生じた抵抗に基づき、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
【0212】
図20は、利点の中でもとりわけ、上述のインダクタレス調整を提供するための発生器1100の一態様の簡略化ブロック図である。
図20を参照すると、発生器1100は、電力変圧器1560を介して非絶縁段階1540と通信する患者絶縁段階1520を含んでもよい。電力変圧器1560の二次巻線1580は、絶縁段階1520に含まれ、かつタップ構成(例えば、センタタップ又は非センタタップ構成)を含んでもよく、例えば、超音波外科用装置1104及び電気外科用装置1106などの様々な外科用装置に駆動信号を出力するための、駆動信号出力部1600a、1600b、1600cを画定する。特に、駆動信号出力部1600a、1600b、1600cは、超音波外科用装置1104に駆動信号(例えば、420VのRMS駆動信号)を出力してもよく、駆動信号出力部1600a、1600b、1600cは、電気外科用装置1106に駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)を出力してもよく、ここで出力部1600bは電力変圧器1560のセンタタップに対応する。非絶縁段階1540は、電力変圧器1560の一次巻線1640に接続された出力部を有する電力増幅器1620を含むことができる。特定の態様では、電力増幅器1620は、例えば、プッシュプル増幅器を含み得る。非絶縁段階1540は、デジタル出力をデジタル/アナログ変換器(DAC)1680に供給するための、プログラム可能な論理デバイス1660を更に含んでもよく、続いてデジタル/アナログ変換器(DAC)1680は、対応するアナログ信号を電力増幅器1620の入力部に供給する。特定の態様では、プログラム可能な論理デバイス1660は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むことができる。プログラム可能な論理デバイス1660は、DAC1680を介して電力増幅器1620の入力を制御することにより、その結果、駆動信号出力部1600a、1600b、1600cに現れる駆動信号の多数のパラメータ(例えば、周波数、波形形状、波形振幅)のいずれかを制御することができる。特定の態様では、また以下で説明するように、プログラム可能な論理デバイス1660、プロセッサ(例えば、以下で説明するプロセッサ1740)と共に、多くのデジタル信号処理(DSP)ベースの制御アルゴリズム及び/又はその他の制御アルゴリズムを実行して、発生器1100によって出力される駆動信号のパラメータを制御することができる。
【0213】
電力は、スイッチモードレギュレータ1700によって電力増幅器1620の母線に供給することができる。特定の態様では、スイッチモードレギュレータ1700は、例えば調節可能なバックレギュレータを含むことができる。上述したように、非絶縁段階1540はプロセッサ1740を更に含むことができ、これは、一態様では、例えば、Analog Devices(Norwood,Mass.)から入手可能なADSP-21469 SHARC DSPなどのDSPプロセッサを含むことができる。特定の態様では、プロセッサ1740は、アナログデジタル変換器(ADC)1760を介してプロセッサ1740が電力増幅器1620から受信した電圧フィードバックデータに応答して、スイッチモード電力変換器1700の動作を制御することができる。例えば、一態様では、プロセッサ1740は、電力増幅器1620によって増幅されている信号(例えば、RF信号)の波形エンベロープを、ADC1760を介して入力として受信することができる。プロセッサ1740は、続いて、電力増幅器1620に供給されるレール電圧が増幅信号の波形エンベロープを追跡するように、スイッチモードレギュレータ1700を(例えば、パルス幅変調(PWM)出力を介して)制御することができる。波形エンベロープに基づいて、電力増幅器1620のレール電圧を動的に変調することにより、電力増幅器1620の効率は、固定レール電圧増幅器スキームと比較して顕著に改善され得る。プロセッサ1740は、有線又は無線通信用に構成されてもよい。
【0214】
特定の態様では、プログラム可能な論理デバイス1660は、プロセッサ1740と共に、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)制御スキームを実行して、発生器1100によって出力される駆動信号の波形、周波数及び/又は振幅を制御し得る。一態様では、例えば、プログラム可能な論理デバイス1660は、FPGAに内蔵され得る、RAM LUTなどの、動的に更新されるルックアップ表(LUT)内に記憶された波形サンプルを呼び出すことによって、DDS制御アルゴリズムを実行することができる。この制御アルゴリズムは、超音波変換器1120などの超音波変換器がその共振周波数における明瞭な正弦波電流によって駆動され得る、超音波用途で特に有用である。他の周波数が寄生共振を励起し得るため、動作分岐電流の全歪みが最小化又は低減されることに対応して、望ましくない共振効果が最小化又は低減されることができる。発生器1100によって出力される駆動信号の波形形状は、出力駆動回路内に存在する様々な歪み源(例えば、電力変圧器1560、電力増幅器1620)によって影響され得るため、駆動信号に基づく電圧及び電流フィードバックデータを、プロセッサ1740によって実行される誤差制御アルゴリズムなどのアルゴリズムに入力することができ、これにより、動的な進行中のベースで(例えば、リアルタイムで)、LUTに記憶された波形サンプルを適切に予歪み又は修正して歪みを補償する。一態様では、LUTサンプルに加えられる予歪みの量又は程度は、計算された動作ブランチ電流と所望の電流波形形状との間の誤差に基づいてもよく、誤差は、サンプル毎に判定される。このようにして、予め歪ませたLUTサンプルは、駆動回路を通じて処理される場合、超音波変換器を最適に駆動するために、所望の波形形状(例えば、正弦波)を有する動作ブランチ駆動信号を生じ得る。したがって、そのような態様では、LUT波形サンプルは、駆動信号の所望の波形形状ではなく、むしろ歪み効果を考慮した際の、所望の波形の動作ブランチ駆動信号を最終的に生成するのに必要な波形形状を表す。
【0215】
非絶縁段階1540は、発生器1100によって出力された駆動信号の電圧及び電流をそれぞれサンプリングするために、それぞれの絶縁変圧器1820、1840を介して電力変圧器1560の出力部に連結されたADC1780及びADC1800を更に含むことができる。特定の態様では、ADC1780、1800は、駆動信号のオーバーサンプリングを可能にするために高速(例えば、80Msps)でサンプリングするように構成することができる。一態様では、例えば、ADC1780、1800のサンプリング速度は、駆動信号の約200倍(駆動周波数に応じて)のオーバーサンプリングを可能にすることができる。特定の態様では、ADC1780、1800のサンプリング動作は、双方向マルチプレクサを介し、入力電圧及び電流信号を受信する単一のADCによって行われ得る。発生器1100の態様における高速サンプリングの使用は、とりわけ、動作ブランチを流れる複素電流の計算(これは、特定の態様で上述したDDSベースの波形形状制御を実施するために使用され得る)、サンプリングされた信号の正確なデジタルフィルタリング及び高精度な実消費電力の計算を可能にすることができる。ADC1780、1800によって出力される電圧及び電流フィードバックデータは、プログラム可能な論理デバイス1660によって受信され、かつ処理(例えば、FIFOバッファリング、マルチプレクシング)されてもよく、例えばプロセッサ1740による以後の読み出しのために、データメモリに記憶されてもよい。上記のように、電圧及び電流のフィードバックデータは、動的及び進行に応じたベースで、LUT波形サンプルを予め歪ませるか又は修正するため、アルゴリズムへの入力として使用され得る。特定の態様では、これは、電圧及び電流フィードバックデータのペアが取得されたときに、各記憶された電圧及び電流フィードバックデータのペアが、プログラム可能な論理デバイス1660によって出力された対応するLUTサンプルに基づいてインデックス付けされる、又は他の方法でこれと関連付けされることを必要とする場合がある。この方法によるLUTサンプルと電圧及び電流のフィードバックデータとの同期は、予歪みアルゴリズムの正確なタイミング及び安定性に寄与する。
【0216】
特定の態様では、電圧及び電流フィードバックデータは、駆動信号の周波数及び/又は振幅(例えば、電流振幅)を制御するために使用することができる。一態様では、例えば、電圧及び電流フィードバックデータを使用して、インピーダンス位相、例えば、電圧駆動信号と電流駆動信号との間の位相差を判定することができる。続いて、駆動信号の周波数を制御して、判定されたインピーダンス位相とインピーダンス位相設定点(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減し、それによって高調波歪みの影響を最小化又は低減し、それに対応してインピーダンス位相の測定精度を向上させることができる。位相インピーダンス及び周波数制御信号の判定は、例えばプロセッサ1740で実行されてもよく、周波数制御信号は、プログラム可能な論理デバイス1660によって実行されるDDS制御アルゴリズムへの入力として供給される。
【0217】
インピーダンス位相は、フーリエ解析によって判定され得る。一態様では、発生器電圧Vg(t)駆動信号と発生器電流Ig(t)駆動信号との間の位相差は、以下のように高速フーリエ変換(FFT)又は離散フーリエ変換(DFT)を使用して決定され得る。
【0218】
【0219】
正弦波の周波数でのフーリエ変換を評価することで、以下が得られる。
【0220】
【0221】
他のアプローチとしては、加重最小二乗推定法、カルマンフィルタ処理法及び空間ベクトルベース技術が挙げられる。FFT又はDFT技術における処理の実質的に全てが、例えば、2チャネル高速ADC1780、1800を用いてデジタル領域内で実行されてもよい。1つの技術では、電圧信号及び電流信号のデジタル信号サンプルは、FFT又はDFTでフーリエ変換される。任意の時点における位相角φは、以下の式によって計算することができ:
φ=2πft+φ0
【0222】
式中、φは位相角であり、fは周波数であり、tは時間であり、φ0は、t=0における位相である。
【0223】
電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相差を判定するための別の技術はゼロ交差法であり、これは高精度な結果を生成する。同じ周波数を有する電圧Vg(t)信号及び電流Ig(t)信号の場合、電圧信号Vg(t)の各負から正のゼロ交差はパルスの開始をトリガし、一方で、電流信号Ig(t)の各負から正のゼロ交差はパルスの終了をトリガする。結果は、電圧信号と電流信号との間の位相角に比例するパルス幅を有するパルス列である。一態様では、パルス列を平均化フィルタに通して、位相差の測定値を得ることができる。更に、正から負のゼロ交差も、同様の方法で使用され、結果が平均化されると、DC及び高調波成分のいかなる効果も低減され得る。一実装形態では、アナログ電圧Vg(t)信号及び電流Ig(t)信号は、アナログ信号が正である場合には高いデジタル信号に、アナログ信号が負である場合には低いデジタル信号に変換される。高精度な位相評価は、高低間の急激な移行を必要とする。一態様では、RC安定化ネットワークと共にシュミットトリガを用いて、アナログ信号をデジタル信号に変換することができる。他の態様では、エッジトリガ型RSフリップフロップ及び補助回路が用いられてもよい。更に別の態様では、ゼロ交差技術は、eXclusive OR(XOR)ゲートを用いてもよい。
【0224】
電圧信号と電流信号との間の位相差を決定するための他の技術としては、リサージュ図及び画像の監視、3電圧計法、交差コイル法、ベクトル電圧計及びベクトルインピーダンス法などの方法、並びに位相標準機器、位相ロックループ及びPhase Measurement,Peter O’Shea,2000 CRC Press LLC,<http://www.engnetbase.com>に説明されるような他の技術の使用が挙げられ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
別の態様では、例えば、電流のフィードバックデータは、駆動信号の電流振幅を電流振幅設定値に維持するために監視することができる。電流振幅設定値は、直接指定されてもよく、又は指定された電圧振幅及び電力設定値に基づいて間接的に判定されてもよい。特定の態様では、電流振幅の制御は、例えば、プロセッサ1740内の比例積分微分(PID)制御アルゴリズムなどの制御アルゴリズムによって実行され得る。駆動信号の電流振幅を適切に制御するために制御アルゴリズムによって制御される変数としては、例えば、プログラム可能な論理デバイス1660に記憶されるLUT波形サンプルのスケーリング、及び/又はDAC1860を介したDAC1680(これは電力増幅器1620に入力を供給する)のフルスケール出力電圧を挙げることができる。
【0226】
非絶縁段階1540は、とりわけ、ユーザインターフェース(UI)機能を提供するために、プロセッサ1900を更に含むことができる。一態様では、プロセッサ1900は、例えば、Atmel Corporation(San Jose,Calif.)から入手可能なARM926EJ-Sコアを有するAtmel AT91 SAM9263プロセッサを含むことができる。プロセッサ1900によってサポートされるUI機能の例としては、聴覚的及び視覚的なユーザフィードバック、周辺装置との通信(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを介して)、フットスイッチ1430との通信、入力装置2150(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)との通信並びに出力装置2140(例えば、スピーカ)との通信を挙げることができる。プロセッサ1900は、プロセッサ1740及びプログラム可能な論理デバイスと通信することができる(例えば、シリアル周辺インターフェース(SPI)バスを介する)。プロセッサ1900は、主にUI機能をサポートすることができるが、これはまた、特定の態様ではプロセッサ1740と協働して危険の緩和を実現することができる。例えば、プロセッサ1900は、ユーザ入力及び/又は他の入力(例えば、タッチスクリーン入力2150、フットスイッチ1430入力、温度センサ入力2160)の様々な態様を監視するようにプログラムされてもよく、誤った状態が検出された場合は発生器1100の駆動出力を無効化することができる。
【0227】
図21は、本開示の少なくとも1つの態様による、第1段階回路3504が第2段階回路3506と共通している、複数の段階に分割された発生器回路3500を示す。一態様では、本明細書に記載される外科システム1000の外科用器具は、複数の段階に分割された発生器回路3500を含み得る。例えば、外科システム1000の外科用器具は、少なくとも2つの回路、つまり高周波(RF)エネルギーのみ、超音波エネルギーのみ及び/又はRFエネルギーと超音波エネルギーとの組み合わせの動作を可能にする増幅の第1段階回路3504及び第2段階回路3506に分割された発生器回路3500を備えてもよい。コンビネーションモジュール式シャフトアセンブリ3514は、ハンドルアセンブリ3512内に位置する共通の第1段階回路3504及びモジュール式シャフトアセンブリ3514と一体のモジュール式第2段階回路3506によって給電され得る。外科システム1000の外科用器具に関連してこの説明全体を通して上述したように、電池アセンブリ3510及びシャフトアセンブリ3514は、ハンドルアセンブリ3512と機械的及び電気的に接続するように構成されている。エンドエフェクタアセンブリは、シャフトアセンブリ3514と機械的及び電気的に接続するように構成されている。
【0228】
図21の例に示すように、外科用器具の電池アセンブリ3510部分は、前述の制御回路3200を含む第1の制御回路3502を備える。電池アセンブリ3510に接続するハンドルアセンブリ3512は、共通の第1段階駆動回路3420を備える。前述したように、第1段階駆動回路3420は、超音波、高周波(RF)電流及びセンサ負荷を駆動するように構成されている。共通の第1段階駆動回路3420の出力は、第2段階超音波駆動回路3430、第2段階高周波(RF)電流駆動回路3432及び/又は第2段階センサ駆動回路3434などの、第2段階回路3506のうちの任意の1つを駆動することができる。共通の第1段階駆動回路3420は、シャフトアセンブリ3514がハンドルアセンブリ3512に接続されているときに、どの第2段階回路3506がシャフトアセンブリ3514内に位置しているかを検出する。シャフトアセンブリ3514がハンドルアセンブリ3512に接続されると、共通の第1段階駆動回路3420が、第2段階回路3506(例えば、第2段階超音波駆動回路3430、第2段階RF駆動回路3432及び/又は第2段階センサ駆動回路3434)のうちのどの1つがシャフトアセンブリ3514内に位置しているかを判定する。この情報は、適切なデジタル波形を第2段階回路3506に供給して、適切な負荷(例えば超音波、RF又はセンサ)を駆動するために、ハンドルアセンブリ3512内に位置する制御回路3200に提供される。超音波変換器1120、電極3074a、3074b又はセンサ3440などの第3段階回路3508内の様々なアセンブリ3516に識別回路が含まれ得ることは理解されるであろう。したがって、第3段階回路3508が第2段階回路3506に接続されると、第2段階回路3506は、識別情報に基づいて、要求される負荷の種類を知る。
【0229】
図22は、本明細書で説明される特徴の多くを含むか又は実装することができる、外科システム1000の外科用器具のうちの任意の1つと共に使用するためのフィードバックシステムを含む外科システム1000の一態様を表す、外科システム4000の図である。外科システム4000は、エンドエフェクタ4006を含む外科用器具に連結された発生器4002を含んでもよく、そのエンドエフェクタ4006は、臨床医がトリガ4010を操作すると起動され得る。様々な態様では、エンドエフェクタ4006は、超音波振動を送達して、生体組織に対して外科的凝固/切断処置を行うための超音波ブレードを含むことができる。他の態様では、エンドエフェクタ4006は、生体組織に対して外科的凝固又は焼灼処置を行うため、電気外科用高周波電流エネルギー源に連結された導電性素子と、生体組織に対して切断処置を行うための鋭利な刃部を有する機械的ナイフ又は超音波ブレードのいずれかと、を含み得る。トリガ4010が作動されると、力センサ4012は、トリガ4010に加えられている力の量を示す信号を生成することができる。力センサ4012に加えて又はその代わりに、外科用器具は、位置センサ4013を含むことができ、その位置センサ4013は、トリガ4010の位置(例えば、どれだけ深くトリガが押下されたか又は他の方法で作動されたか)を示す信号を生成し得る。一態様では、位置センサ4013は、外側管状シースと共に位置決めされたセンサ又は外科用器具の外側管状シース内に位置する、往復運動管状作動部材であってもよい。一態様では、センサは、磁界に応答してその出力電圧を変化させるホール効果センサ又は任意の適切な変換器であってもよい。ホール効果センサは、近接スイッチング、位置決め、速度検出及び電流感知用途に使用することができる。一態様では、ホール効果センサは、アナログ変換器として動作し、電圧を直接戻す。既知の磁界により、ホールプレートからの距離を判定することができる。
【0230】
制御回路4008は、センサ4012及び/又は4013から信号を受信することができる。制御回路4008は、任意の適切なアナログ又はデジタル回路構成要素を含むことができる。制御回路4008は、発生器4002及び/又は変換器4004と通信し、エンドエフェクタ4006に送達される電力及び/又はトリガ4010に印加される力に基づいた、発生器レベル若しくはエンドエフェクタ4006の超音波ブレード振幅及び/又はトリガ4010の位置及び/又は外側管状シース内に位置付けられた往復運動管状作動部材に対する、上述の外側管状シースの位置(例えば、ホール効果センサと磁石との組み合わせによって測定される)を変調することができる。例えば、より大きな力がトリガ4010に加えられると、より多くの電力及び/又はより高い超音波ブレード振幅がエンドエフェクタ4006に送達され得る。様々な態様によれば、力センサ4012は、マルチポジションスイッチによって置換されてもよい。
【0231】
様々な態様によれば、エンドエフェクタ4006は、クランプ又はクランプ機構を含んでもよい。トリガ4010が最初に作動されると、クランプ機構は閉じて、クランプアームとエンドエフェクタ4006との間に組織をクランプすることができる。トリガに加えられる力が増加すると(例えば、力センサ4012によって感知されるように)、制御回路4008は、変換器4004によってエンドエフェクタ4006に送達される電力及び/又はエンドエフェクタ4006にもたらされる発生器レベル若しくは超音波ブレード振幅を増加させることができる。一態様では、位置センサ4013によって感知されるトリガ位置又は位置センサ4013によって(例えば、ホール効果センサを用いて)感知されるクランプ若しくはクランプアーム位置は、エンドエフェクタ4006の電力及び/又は振幅を設定するために制御回路4008によって使用され得る。例えば、トリガが完全作動位置に向かって更に移動されるか、又はクランプ若しくはクランプアームが超音波ブレード(又はエンドエフェクタ4006)に向かって更に移動すると、エンドエフェクタ4006の電力及び/又は振幅は増加され得る。
【0232】
様々な態様によれば、外科システム4000の外科用器具はまた、エンドエフェクタ4006に送達された電力の量を示すために、1つ以上のフィードバック装置を含むことができる。例えば、スピーカ4014は、エンドエフェクタの電力を示す信号を発することができる。様々な態様によれば、スピーカ4014は一連のパルス音を発することができ、その音の周波数は電力を示す。スピーカ4014に加えて又はその代わりに、外科用器具は、視覚ディスプレイ4016を含むことができる。視覚ディスプレイ4016は、任意の好適な方法に従ってエンドエフェクタの電力を示すことができる。例えば、視覚ディスプレイ4016は一連のLEDを含んでもよく、ここでエンドエフェクタの電力は発光したLEDの数によって示される。スピーカ4014及び/又は視覚ディスプレイ4016は、制御回路4008によって駆動され得る。様々な態様によれば、外科用器具は、トリガ4010に接続されたラチェット装置を含むことができる。より強い力がトリガ4010に加えられると、ラチェット装置は可聴音を生成して、エンドエフェクタの電力を示す間接的指標を提供することができる。外科用器具は、安全性を高めることができる他の機構を含むことができる。例えば、制御回路4008は、所定の閾値を超えてエンドエフェクタ4006に電力が送達されることを防止するように構成されてもよい。また、制御回路4008は、エンドエフェクタの電力の変化が示される(例えば、スピーカ4014又は視覚ディスプレイ4016によって)時刻と、エンドエフェクタの電力の変化が送達される時刻との間に遅延を設けることができる。このようにして、臨床医は、エンドエフェクタ4006に送達される超音波出力のレベルが変化しようとしているという警告を、十分なゆとりを持って得ることができる。
【0233】
一態様では、外科システム1000の超音波又は高周波電流発生器は、ルックアップテーブル内に記憶される所定の数の位相点を望ましく用いて波形をデジタル化するように、電気信号波形をデジタル的に生成させるように構成され得る。メモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は任意の好適な不揮発性メモリで定義されたテーブル内に、位相点を記憶させてよい。
【0234】
エネルギーデバイス高度制御アルゴリズム
超音波外科用器具及びエネルギー外科用器具(例えば、超音波/単極外科用器具、単極/双極外科用器具、超音波/双極外科用器具及び他のそのようなコンビネーションエネルギー装置)の様々な制御アルゴリズムが、本明細書に記載されている。ここで明確にしておくと、外科用器具は、本開示のこのセクションにおいて外科用器具7012と呼ばれることになるが、このセクションの開示はまた、外科用器具112、700などと上で呼ばれた他の外科用器具にも適用され得る。
【0235】
様々な態様では、超音波外科用器具7012の制御アルゴリズムは、近位側から遠位側まで一定の圧力プロファイルを生成するために、サイクル時間又は外科手術の組織凝固/切断プロセスの間中、変動し得るクランプアーム圧力を印加するように構成され得る。一定の圧力プロファイルとは、外科用器具7012のエンドエフェクタ内に保持された組織の、エンドエフェクタの近位端から遠位端に沿った各部分が、エンドエフェクタクランプアームによって加えられる力から生じる、同じ又は実質的に同じ圧力を経験することを意味する。これは、有利なことに、外科的に切断された組織のより良好な凝固をもたらし得る。制御アルゴリズムは、制御回路及び/又は外科用ハブによって適用され得る。近位側から遠位側まで一定の圧力プロファイルは、制御アルゴリズムを適用して、クランプアームによって印加される圧力を変化させて、切断進行位置において閾値制御圧力を提供することを伴い得る。切断進行位置は、制御回路及び/又は外科用ハブによって決定される、対応する溶接/凝固焦点の進行によって表すことができる。したがって、圧力は焦点に基づいて変化してもよい。閾値制御圧力は、エンドエフェクタの活性量にかかわらず、組織に印加される一定の圧力であってもよい。すなわち、印加される圧力は、エンドエフェクタの組織負荷の広がりの変化にもかかわらず、変化しない(又は少なくとも著しくは変化しない)。
【0236】
組織片又は組織の一部分は、エンドエフェクタの遠位端に組織を最初に装填することなどによって、外科処置のためにエンドエフェクタ内に装填されてもよい。このようにして、エンドエフェクタの遠位点で、最初に接触が起こってもよい。超音波ブレード及びクランプアームのうちの1つ以上の遠位部分は、この遠位点で組織を把持することができる。クランプアームによって印加される初期圧力は、最初に把持されている組織片のサイズに基づいて、制御回路及び/又は外科用ハブによって(例えば、デフォルトの圧力レベルから)決定又は調節されてもよく、上記のサイズは開始時に利用されるブレードの量(エンドエフェクタの初期組織負荷)に対応する。組織を外科的に切断した後、外科的凝固/封止が、超音波ブレードの超音波振動及び/又は発生器から出力されたRF電気信号波形のRF電極への送達などによって、外科用器具7012によって実行され得る。凝固プロセスでは、溶接の進行を使用して、印加されたクランプ圧力を調節することができる。具体的には、クランプアームの圧力は、溶接の進行の間中、切断/溶接焦点がブレードに沿ってシフトするのにつれて調節することができる。
【0237】
遠位点で組織をより良好に把持するために、ブレード及びクランプアームのうちの1つ以上を付勢又はオフセットして、遠位端に優先的な初期接触点を作り出すことができる。続いて、クランプアームの残りの部分には、次に、遠位側から近位側に向けて広く装填され得る。換言すれば、この遠位開始閉鎖ストローク構成では、オフセットされた超音波ブレードが偏向し、エンドエフェクタ遠位端において組織及びクランプアームに対して完全に閉鎖し、続いて近位方向に更に偏向し得る。ブレード及びクランプアームの偏向は、互いに対してほぼ等しいか、又は釣り合っていてよい。遠位開始閉鎖ストローク構成については、以下でより詳細に説明される。クランプアーム圧力はまた、エンドエフェクタに組織が装填される程度と溶接の進行に基づき、制御回路及び/又は外科用ハブによって初期圧力から変化させることができる。また、クランプアーム圧力は、測定された組織インピーダンスに基づいて(例えば、エンドエフェクタ内の圧力、抵抗又は他の好適なセンサ788を介して)、変化させることができる。更に、外科用器具7012のどのエネルギーモダリティ又は複数のモダリティが選択されるかに応じて、エンドエフェクタに送達されるRFエネルギー及び超音波エネルギーのうちの1つ以上の電力レベルもまた、測定された組織インピーダンスに基づいて変化させることができる。RFエネルギー及び超音波エネルギーに加えて、他の種類の電気外科エネルギーを使用することもできる。
【0238】
上述したように、組織装填は、エンドエフェクタの先端又は遠位端で始まって、超音波ブレードとクランプアームとの間の最初の接触が先端部にあるようにしてもよい。外科用ハブ及び/又は制御回路は、ブレード利用の程度に基づいて、クランプアームによって印加される圧力を変化させるように構成することができ、ブレード利用の程度は、位置センサ784(本開示のこの部分では、位置センサ784と呼ぶが、上述したように、位置センサ784は、位置センサ734、4013などとも呼ぶ場合がある)を介して決定され得る。具体的には、クランプ圧力の印加は、クランプアーム及び超音波ブレードが組織を含まないエンドエフェクタの部分においては、圧力を印加しないように制御することができる。換言すれば、クランプ圧力の印加は、組織が超音波ブレードとクランプアームとの間に位置するエンドエフェクタの部分に合わせることが可能となる。これは、外科用器具7012の発生器の起動後に、超音波ブレード内に存在する温度及び熱を、有利なことに低減することができる。更に、発生器がエンドエフェクタにエネルギーを送達すると、組織が配置されていないエンドエフェクタの部分は比較的低い力を受けるため、これらの部分に送達されるエネルギーが低減される。したがって、発生器を作動させた後、超音波ブレードのピーク温度及び熱が低減される。
【0239】
クランプアームによってこのように、標的を定めて力を印加することは、電動式又は手動閉鎖制御、エンドエフェクタの先端からの第1の閉鎖並びに制御回路及び/又は外科用ハブに提供されるフィードバックに基づいて実現することができる。フィードバックは、共振周波数及び電気的連続性(又は不連続性)の熱誘導性変化を含むことができる。フィードバックは、超音波ブレードとクランプアーム/超音波ブレードのインターフェース(例えば、クランプ組織パッド)を含む回路を介して、制御回路によって受信され得る。変換器の共振周波数の変化又はシフトは、組織装填の広がりを決定するためのフィードバックとして使用されてもよい。このようにして、フィードバックを使用して、印加されるクランプ圧力を調整することができる。更に、制御回路は、エンドエフェクタが把持された組織の最近位点に対して遠位側の箇所で閉鎖するように、外科用器具のモータを制御して閉鎖ストロークを実施してもよい。このようにして、間隙が、クランプアームと超音波ブレードとの間で、把持された組織の最近位点よりも近位側の箇所で維持され得る。
【0240】
外科用器具7012のセンサ788(本開示のこの部分においてはセンサ788として参照されるが、センサ738又は上述の他のセンサを指すこともできる)は、制御回路への入力として、エンドエフェクタ閉鎖信号を提供してもよい。この入力を使用して、制御回路は、エンドエフェクタの現在の閉鎖位置を決定することができる。制御回路が、エンドエフェクタが先端部分(例えば、遠位先端部又は近位先端)又はエンドエフェクタの長さのどこかの他のサブ部分(例えば、エンドエフェクタの遠位側半分)で閉鎖されていると判定すると、制御回路は、超音波ブレードの変位を低減することができる。この目的のため、超音波変換器に提供される電力を低減することができる。この変位の低減は、遠位先端部におけるクランプアーム組織パッドの過剰な摩耗を、有益に防止又は低減することができる。この過剰な摩耗は、一般に、遠位側での大きな力又は遠位先端部における高い圧力(遠位開始閉鎖ストローク構成に対応する)、及び超音波ブレードに関連する変位プロファイルに対応する固有の、遠位側でのより大きな変位量によって引き起こされる。
【0241】
一般に、組織がエンドエフェクタのジョー間の空間を完全に占有しないとき、ブレードに押し付けられて圧縮されるクランプアームの表面積を低減することによって、クランプアーム及び/又は組織パッドへの電気外科エネルギー(例えば、超音波及びRFエネルギーを含む)の無駄な伝達を低減する。換言すれば、クランプアーム圧力の調節により、比較的より多くの電気外科エネルギーが組織に向けられて、エンドエフェクタの他の部分に不必要に伝達されないようにすることを可能にする。クランプアームによって印加される圧力は、組織充填の広がりに基づいて制御されるため、エンドエフェクタのどれだけがアクティブ状態にあるかにかかわらず、一定の圧力が組織に加えられ得る。圧力は、外科用器具7012による外科的凝固/切断処置の進行に基づいて、更に調節されてもよい。
【0242】
更に、超音波ブレード及びクランプパッドを含むフィードバック回路はまた、クランプアームと超音波ブレードとの間に位置する組織のインピーダンスを感知するためのセンサ788を備えることができる。この場合、超音波ブレードと、それに関連するブレードで終端する導波管とは、フィードバック回路のリターン経路の一部として機能することができる。感知されたインピーダンスは、凝固/切断サイクルの状態を示すことができる。すなわち、例えば、組織インピーダンスを閾値と比較することで、溶接/凝固焦点の進行など、組織の溶接の進行状況を示し得る。焦点は、例えば、凝固のためのフィブリン塊がどのくらい良好に形成されているかを示すことができる。このようにして、検出された組織インピーダンスにより、制御回路及び/又は外科用ハブは超音波変換器に提供される電力及びクランプアームによって印加される力を調節することができる。
【0243】
本明細書に開示される制御アルゴリズム(複数可)の少なくとも一部は、外科用ハブ(単独で、又は外科用器具の関連する制御回路と併せて)によって実行されることができるが、制御アルゴリズムの機能は制御回路によって実行されるものとして説明される。ただしこれはあくまでも、説明を明確にするためである。また、説明を明確にするために、本開示のこの部分における外科用器具7012の制御回路は、制御回路710とラベル付けされるが、制御回路710は、制御回路760、3200、3502、4008と同じ又は同様であり得る。制御回路710は、発生器4002自体の一部であってもよい(説明を明確にするために発生器4002と称されるが、発生器4002は、発生器140、145、240、721、771、900、1100と同じ又は同様であり得る)、又は発生器4002から離れた外科用器具7012の別の一部であってもよい。様々な態様において、
図23A~
図23B、
図24A~
図24B、
図25~
図26、
図27A~
図27C、
図28A~
図28C、
図29A~
図29C、
図30A~
図30D、
図31A~
図31D、
図32A~
図32Eに記載されている外科用器具7012(例えば、超音波外科用器具)は、時間線5200で説明されているように、外科用ハブ106又は206(
図1~
図11)などのハブ環境内の状況認識を伴って動作するように構成されている。
【0244】
図23A~
図23Bは、本開示の少なくとも1つの態様による、時間の関数としてのクランプ力のグラフ及び関連する凝固/切断焦点のグラフを含むグラフ203000、203020である。
図23Aでは、y軸203010は力を示し、x軸203008は時間を示す。破線203002は、クランプアームによって加えられた力を経時的に表し、時間t
0における最小力から時間t
10における最大力まで、クランプアームによる力の印加を追跡する。クランプ力は、ポンド(lbs)などの好適な単位で測定することができる。初期時間t
0~時間t
10にわたる時間は、外科用器具7012の外科サイクルを定めることができる。一点鎖線203004は、外科用サイクルにわたって測定された組織インピーダンスを表す。グラフ203000に見られるように、測定された組織インピーダンスは、時間t
0における初期レベルから、時間t
3における最低点まで減少し、外科処置の開始から起きるインピーダンスの低下(インピーダンス曲線のいわゆる「浴槽」部分)を裏付けている。時間t
3の後、組織インピーダンス線203004は、処置されている組織が乾燥し始めるにつれて上昇する。この乾燥は、組織インピーダンスの増加をもたらす。
図23Aは、組織インピーダンス線203004におけるこうした増加が、印加された力の線203002の増加にどのように対応するかを示す。印加される力の増加は、組織の切断を支援すると共に、外科的サイクルが完了するにつれて変性した組織を溶着するのを支援し得る。
【0245】
具体的には、制御回路710は、近位側から遠位側まで一定の圧力プロファイルを提供するための制御アルゴリズムを実行してもよい。このような閾値制御圧力を提供することにより、凝固段階中に形成される組織シールは、有利なことに、より均一かつ確実なものとなり得る。したがって、エンドエフェクタ内の組織に印加される圧力の測定値を示す実線203006は、手術サイクル全体を通じて同じ又はほぼ一定のままとなる。組織圧力線203006は、外科的凝固及び切断が行われるエンドエフェクタの前縁部に印加される圧力に対応してもよい。クランプ力は、組織凝固プロセスの進行の関数であり得る。この関係は、一定の組織圧力を提供するために使用されてもよい。したがって、組織は、エンドエフェクタの近位部分で凝固及び切断され得るが、遠位区域でのクランプ力の増加は、組織の超音波ブレードの遠位区域へのより良好な結合をもたらす。このようにして、組織の各セクション(エンドエフェクタの近位から遠位区域に及ぶ)は、同じ又はほぼ同様の圧力を経験し得る。組織溶接が進行するにつれて、制御回路は、クランプアームを閉鎖の進行に合わせて制御してもよく、これはグラフ203000によって示される。また、クランプアームは、超音波ブレード内に終端する超音波導波管に向けて上反りになってもよい。
【0246】
図23Bは、組織に対する外科的凝固及び切断動作の焦点が、外科的サイクルの過程を通じて、超音波ブレード203026の長さ(超音波ブレード718、768、又は上述の他の超音波ブレードと同様又は同じ)に沿ってシフトすることを示す。
図23Bに示すように、焦点は、時間と共に近位側から遠位方向にシフトするが、焦点は、遠位側から近位方向にシフトすることもできる。前者の可能性は、近位開始閉鎖ストローク構成に対応し、後者は遠位開始閉鎖ストローク構成に対応する。上述のように、制御回路710は、共振周波数及び電気的連続性のフィードバック測定値のうちの1つ以上に基づいて、切断/溶接焦点を決定するように構成されてもよい。グラフ203020はまた、クランプアーム203022(上述したクランプアーム716、766又は他のクランプアームと同じ又は同様)を図示している。クランプアーム203022は、クランプ組織パッド203024を含み得るが、クランプ組織パッド203024は、TEFLON(登録商標)又は何らかの他の好適な低摩擦材料から形成され得る。パッド203024は、ブレード203026と協働するように装着されて、クランプアーム203022の枢動動作が、クランプパッド203024を、超音波ブレード203026と実質的に平行な関係で、かつこれと接触するように位置決めすることができる。この構成により、クランプされる組織片は、組織パッド203024と超音波ブレード203026との間に把持され得る。組織パッド203024は、超音波ブレード203026と協働した組織の把持を改善するために、軸方向に離間して近位方向に延在する複数の把持歯含む鋸歯様構成を備えてもよい。制御回路710は、クランプアーム203022を、開放位置と閉鎖位置との間で(それらの間の様々な中間位置を含んで)、制御することができる。制御回路710は、超音波ブレード203026に沿った溶接焦点のシフト又はエンドエフェクタ内に装填される組織の広がりに基づいて、クランプアーム203022によって印加される圧力を変化させることができる。グラフ203020のx軸203028は、x軸203008と同じ外科サイクルを表す。
【0247】
図24A~
図24Bは、本開示の少なくとも1つの態様による、グラフ203040、203060であり、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としてのクランプ力のグラフ203040と、遠位先端部からの距離の関数としてのブレード変位のグラフ203060とが含まれる。
図24Aは、超音波ブレード203026とクランプアーム203022との間のクランプ圧力が、組織に対する遠位先端部からの距離の関数としてどのように変化するかを示す。具体的には、グラフ203040は、印加されたクランプ圧力を、組織の位置に応じて制御回路710がどのように調節できるかを示す、複数のクランプ圧力曲線203042A~203042Dを含む。この目的のために、制御回路710は、超音波ブレード203026及びクランプアーム203022のうちの1つ以上の閉鎖位置を決定してもよい。x軸203044、203064は、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離を示し、y軸203046、203066は、印加されたクランプ力を示す。
図24Aの近位開始閉鎖ストローク構成では、印加されるクランプ圧力が、閉鎖動作中に遠位方向に向かってロールして、閉鎖ストロークが、遠位先端部で完全にクランプされた状態にあるようになっている。換言すれば、クランプ圧力は、遠位先端部からの距離が最小であるときに最大であり得る。クランプ圧力の振幅が大きいことは、所望に応じて血管の構造を操作するなど、組織を外科的に操作するために必要となる場合がある。
【0248】
図24Bは、エンドエフェクタの先端からの距離の関数としての超音波ブレード203026の対応する変位プロファイルを示す。グラフ203060では、x軸203064は、ここでも遠位先端部からの距離を示し、y軸203066は、超音波ブレード203026の変位の大きさを示す。関連して、x軸のゼロ点は、アンチノード203062に対応し、最大点は、超音波ブレード203026のノード203068に対応する。アンチノード203062は、超音波ブレード203026の変位又は振動が極大である局所的絶対最大値として定義することができる。ノード203068は、超音波ブレード203026の変位又は振動が極小である局所的絶対最小値として定義することができる。一般に、隣接するノードとアンチノードとの間の距離は、超音波ブレード203026の駆動又は共振周波数の1/4波長であり得る。グラフ203060によって示されるように、アンチノード203062において、超音波ブレード203026の超音波振動の正の最大範囲の発生は、遠位先端部からの極大距離と重なり合う。このことはまた、超音波振動の負の最大範囲に対応する次のアンチノードでも発生するが、これは
図24Bには示されていない。遠位先端部から最小距離の箇所(ノード203068)において、超音波振動は極小となり、超音波ブレード203026とクランプアーム203022との間で、組織を完全にクランプ又は把持する。先端部からの距離の関数としての超音波変位のこの変化は、変位ライン203070によって表される。
【0249】
近位開始閉鎖ストローク構成とは対照的に、本開示は、エンドエフェクタの遠位先端部を最初に閉じることにより、最終的に有利なことに熱の緩和を実現するのを支援する、遠位開始閉鎖ストローク構成を企図し得る。熱の緩和は、エンドエフェクタ内へ装填される組織の広がりに従ってクランプ圧力を制御するよう、制御回路710を構成することによって生じ得る。具体的には、超音波ブレード203026及びクランプアーム203022が、それらの間に組織を把持する交点でのみ、圧力が提供されてもよい。組織が存在しないエンドエフェクタの部分での圧力を防止又は低減することにより、発生器4002からのエネルギー送達後のピーク温度及び残留熱が低減される。このようにして、比較的より多くのエネルギーが、導電性クランプアーム組織パッド203024ではなく組織に伝達される。クランプパッド203024は、成形されたカーボン充填ポリテトラフルオロエチレン又は何らかの他の好適な材料で形成されてもよく、更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月15日発行の、「METHOD OF TREATING TISSUE USING END EFFECTOR WITH ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL FEATURES」と題する米国特許第2017/0164997号に記載されるように、クランプアーム203022の下側に固定されてもよい。
【0250】
また、クランプ組織パッド203024は、導電性充填剤(例えば、カーボン、カーボンナノチューブ、金属粒子など)の使用に基づいて、電気的に導電性であってもよい。電流は、隔離された電気回路を介して、超音波ブレード203026から組織パッド203024へと外科用器具7012を流れることができ、これにより、治療レベル又は治療レベル以下のRFエネルギーを、エンドエフェクタによって(例えば、RF電極796を介して)組織に印加することが可能になる。外科用器具7012がRF電極796を含むとき、制御回路710は、決定された組織インピーダンスに基づいて、RFエネルギーの電力レベル及び電気外科エネルギーの電力レベルのうちの1つ以上を調節するように構成され得る。導電パッドに関する更なる詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年9月19日発行の「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」と題する米国特許第9,764,164号に見出すことができる。外科用器具7012の、双極RFアーキテクチャ及び超音波アーキテクチャの組み合わせの他の態様は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年4月28日に発行された、「IMPEDANCE MONITORING APPARATUS,SYSTEM,AND METHOD FOR ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」と題する米国特許第9,017,326号、2018年7月17日発行の、「DEVICES AND TECHNIQUES FOR CUTTING AND COAGULATING TISSUE」と題する米国特許第10,022,568号、及び2017年6月15日公開の、「METHOD OF TREATING TISSUE USING END EFFECTOR WITH ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL FEATURES」と題する、米国特許出願公開第2017/0164997号に記載されている。
【0251】
熱緩和及びエネルギー効率のため、制御回路710は、外科用器具7012のモータを制御して、クランプアーム203022の閉鎖及び/又は超音波ブレード203026の動きを調節してもよい。この目的のために、エンドエフェクタの全長の一部のみを使用して、組織を把持及び治療することができる。例えば、エンドエフェクタの遠位端のみが、最初に組織片に近接し、続いて近位方向に徐々により多くの組織装填を行うことができる。この遠位開始閉鎖ストローク構成では、クランプアーム203022及び/又は超音波ブレード203026が徐々に変形して、組織に接触して完全に圧縮される一方で、組織を含まないエンドエフェクタの部分において、クランプアーム203022と超音波ブレード203026との間のわずかな間隙を維持する間、クランプアームによって加えられる力が、完全閉鎖ストロークの閾値に到達するまで増加する。エンドエフェクタの完全閉鎖ストロークが達成されると、クランプ組織パッド203024は、超音波ブレード203026の組織処置部分の全長に接触し得る。このようにして、制御回路は、エンドエフェクタの非遠位端部分を閉鎖する前に、エンドエフェクタを、エンドエフェクタの遠位端で閉鎖するように構成され得る。超音波ブレード203026の組織処置又は端部効果部分の圧力プロファイルは、以下により詳細に記載される。
【0252】
オフセット、傾斜、ないしは別の方法で湾曲した超音波ブレード203026は、クランプアーム203022の遠位先端部を最初に閉鎖するのを容易にする支援を行うことができる。エンドエフェクタの遠位先端部を最初に閉鎖すること(遠位開始閉鎖ストローク構成)及びオフセット超音波ブレード203026についてより詳細な説明は、2013年5月21日に発行された、「ULTRASONIC SURGICAL SHEARS AND TISSUE PAD FOR THE SAME」と題する米国特許第8,444,663号と、2018年6月26日に発行された、「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT WITH STAGED CLAMPING」と題する米国特許第10,004,527号と、2018年6月7日に公開された、「HEADPIECE AND BLADE CONFIGURATIONS FOR ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT」と題された米国特許出願公開第2018/0153574号と、2018年6月7日に公開された、「HEADPIECE AND BLADE CONFIGURATIONS FOR ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願公開第2018/0153574号と、2018年1月18日発行の、「ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS HAVING OFFSET BLADES」と題する米国特許出願公開第2018/0014848号に記載されている。なお、上記の文献の全てが、参照により本明細書に組み込まれる。上述したように、超音波ブレード203026及び/又はクランプアーム203022は、制御回路710が超音波ブレード203026及び/又はクランプアーム203022を、印加されたクランプ力が増加するにつれて変形させるように柔軟なものであり得る。
図32A~
図32Eは、組織治療が進行する際に、上記の変形がどのように生じ得るかを示す。一般に、エンドエフェクタは、電気外科エネルギーを印加する前に完全閉鎖状態にあるべきである。また、オフセット超音波ブレードの第1の偏向は、オフセットクランプアームの第2の偏向に対応することができる。上記の第1の偏向及び第2の偏向は、エンドエフェクタの近位部分に比較的大きな圧力を提供するために、制御回路710によって実装される閉鎖圧力プロファイルに従って成形され得る。
【0253】
制御回路710は、上述したように、エンドエフェクタを制御するためのフィードバックを熱緩和のために使用してもよい。例えば、制御回路710は、超音波ブレード203026の共振周波数を監視することができる。発生器4002は、発生器電流出力の実質的に全てが動作ブランチ内に流れるように、ある共振周波数に静電容量を調整するための調整インダクタを含み得る。動作ブランチ電流は、駆動電圧に従って、インピーダンス及び位相規模を規定する。したがって、発生器4002の電流出力は動作ブランチ電流を表し、その結果、発生器4002が、その駆動出力を超音波変換器の共振周波数に維持することを可能にする。制御回路710は、共振周波数に相関する発生器4002の駆動信号を監視することができる。発生器4002は、駆動信号を生成することに基づいて、エンドエフェクタに電気外科エネルギーを送達して組織を溶接することができる。外科処置サイクルが進行すると、組織の材料剛性の変化に起因して共振周波数が変化する。次に、電気外科エネルギーが送達されるにつれて、超音波ブレード203026内での熱エネルギーの急速な蓄積により、材料の剛性の変化が生じる。
【0254】
制御回路710は、周波数の変化又は周波数勾配(例えば、時間に対する周波数又は周波数変化の第1の導関数)を介して、例えば、周波数閾値パラメータ値との比較に基づいて、この動的熱応答を評価するように構成されている。追加的に又は代替的に、制御回路710は、電気外科エネルギーの起動開始時に決定された初期周波数値に対する共振周波数の変化を比較することができ、これは外科用器具7012のメモリに記録され得る。発生器4002によって生成された電気信号に基づいて、制御回路710は、対応する閾値に対して周波数勾配又は周波数変化を決定及び比較することができる。具体的には、制御回路710は、(i)周波数勾配が関連する閾値パラメータ値を上回るとき、及び(ii)周波数変化が周波数に関する底値よりも大きいときを判定してもよい。周波数底値よりも大きいということは、例えば、周波数の低下が、決定された初期周波数値に対して所定の閾値降下を超えないことを意味する。これらの判定のうちの1つ以上に基づいて、周波数監視条件(i)、(ii)が満たされる場合に、制御回路710は(例えば、モータを介して)超音波ブレード203026及び/又はクランプアーム203022を制御して、閉鎖力/ストロークを低減することができる。したがって、制御回路710は、組織溶接/封止焦点を計算するために、共振周波数の熱誘導された変化を示す共振周波数測定値を決定してもよい。
【0255】
このようにして、制御回路710は、把持された組織の近位側の広がりよりも近位側の位置で、クランプパッド203024への熱エネルギーの送達を、有益に最小限に抑えるため、印加されるクランプ力又は圧力を「減少」させる。共振周波数モニタリングに関する更なる詳細は、2013年8月20日発行の、「SURGICAL INSTRUMENTS」と題する米国特許第8,512,365号、及び2017年10月17日発行の、「SURGICAL INSTRUMENT WITH TISSUE DENSITY SENSING」と題する米国特許第9,788,851号に見出すことができる。これらの文献の両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。更に、制御回路710は、制御回路710が閉鎖力又はストロークを減少させられる許容範囲を規定する設定限界に従うようにプログラムされ得る。組織がエンドエフェクタによる把持から滑り出るか、ないしは別の方法で逃れ出ることを防止するために、設定限界を決定することができる。加えて、外科用器具7012は、視覚的、可聴的、触覚的、力覚的、振動的又は現在の閉鎖状態を示すユーザへの何らかの他のフィードバックなどのユーザフィードバックを提供するように設計され得る。例えば、ユーザフィードバック(例えば、発光ダイオード、グラフィカルユーザインターフェース、ブザー、コンピュータ生成音、ハンドル振動など)は、エンドエフェクタが、把持された組織の近位側の広がりよりも近位側の箇所で閉じるときを示してもよい。ユーザが外科用器具7012の自動閉鎖制御機構をオーバーライドするためのオーバーライド設定を選択する状況では、このユーザフィードバックは、ユーザに閉鎖状況を知らせるのに特に有用であり得る。
【0256】
フィードバックの別の例として、制御回路710は、外科用器具7012の電気インピーダンスを監視することができる。様々な態様では、外科用器具7012は、電気外科エネルギーを送達するために、超音波ブレード203026とクランプアーム組織パッド203024との間で電流を伝導してもよい。この電流(又はその欠如)、組織インピーダンス又は変換器インピーダンスを、エンドエフェクタセンサ788及び/又は発生器4002の駆動信号に基づいて監視することによって、制御回路710は、エンドエフェクタ内に装填された組織量を決定してもよい。具体的には、制御回路710は、ブレード203026及びクランプアーム組織パッド203024を含む回路のインピーダンスを、所定の閾値を超えて検出及び維持するようにプログラムされてもよい。この維持されたインピーダンスは、電気的短絡に対応するか、又はほぼ対応することができる。したがって、電気的短絡とは、超音波ブレード203026とクランプアーム組織パッド203024との間に電気的不連続性が存在することを意味する。したがって、最小限の熱エネルギーが、クランプアーム組織パッド203024の、把持された組織の近位側の広がりよりも近位側に位置する部分に送達される。電気的連続性のこの所望の欠如を達成するために、制御回路710は、上述したように、閉鎖力又はストロークの低減を実行することができる。このように、制御回路710は、組織溶接/封止焦点を計算するための電気的連続性測定値を決定することができる。
【0257】
一方、エンドエフェクタが完全には閉じられていないときには、制御回路710によって受信されたフィードバックは、発生器4002の出力を低減するために使用され得る。発生器4002の出力は、外科用器具7012のエネルギーモダリティ構成に応じて、超音波及び/又は双極RF電気外科エネルギーであり得る。超音波ブレード203026の超音波変位及び/又はRF電極796を介して伝導されるRF電力を低減することによって、制御回路710は、エンドエフェクタの遠位先端部において比較的高い電力密度が発生する事例を防止又は低減することができる。これは、超音波ブレード203026の超音波振動が遠位先端部において概ね比較的高いことを考慮すればとりわけ当てはまる。いずれの場合でも、これらの高い出力密度を回避することで、有利なことに、クランプアーム組織パッド203024の過剰なすり減り又は劣化を、停止させるか又は低減させることができる。超音波ブレード203026の音響駆動インピーダンスはまた、ジョー閉鎖状態を評価するために使用され得る。追加的に又は代替的に、ハンドルの閉鎖スイッチなどの外科用器具7012の閉鎖スイッチは、例えば、2017年8月8日発行の、「TECHNIQUES FOR CUTTING AND COAGULATING TISSUE FOR ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENTS」と題する米国特許第9,724,118号で説明されるように、クランプアーム203022及び/又は超音波ブレード203026が閉鎖されたときを示すことができる。なお、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。位置センサ734又はモータ電流もまた、ジョー閉鎖状態を判定するために使用され得る。
【0258】
図25は、本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの長さに沿った様々なセクションの関数としてのクランプ力分布のグラフ203080である。x軸203082は、セクション番号1~5を含む、エンドエフェクタの長さに沿ったセクションを示す。y軸203084は、1~4の範囲の好適な単位で測定された圧力勾配を示す。単位は、例えばポンド(lbs)であってもよい。セクション1はエンドエフェクタの最遠位部分を表し、一方、セクション4は最近位部分を表す。測定された力は、圧力センサなどのセンサ788に基づいて、制御回路710によって決定することができる。グラフ203080を生成するために使用される圧力センサ788の圧力出力信号は、クランプ圧力線203086を平滑化するために平均化又は合計されている。換言すれば、パッド203024内の凹凸(例えば、クランプパッド203024内の歯)の結果生じ得る、又はセンサ788内の凹凸の結果生じ得る圧力線203086内のピーク及び谷部は、グラフ203080ではソフト化又は平滑化される。グラフ203080によって示されるように、エンドエフェクタの近位側半分における力分布は、エンドエフェクタの遠位側半分における力分布よりも比較的高い。換言すれば、エンドエフェクタの圧力プロファイル比は、値が1よりも低い。
【0259】
圧力プロファイル比は、遠位部分に加えられる合計圧力を、エンドエフェクタの近位部分に加えられた合計圧力で除したものとして定義することができる。したがって、圧力プロファイル比が1より大きいことは、エンドエフェクタが遠位先端部で装填されている状態であり、圧力プロファイル比が1より小さいことは、近位側が装填されている状態であると示す。遠位先端部が装填されているエンドエフェクタは、遠位側半分上により多くの累積圧力を有し得るが、一方、近位側が装填されているエンドエフェクタは、近位側半分上により多くの累積圧力を有する。グラフ203080によって示されるように、圧力センサ788によって測定されたエンドエフェクタは、近位側が装填されている。近位側が装填された状態は、エンドエフェクタ内に組織が含まれていない位置がある場合に、そのように評価され得る。そのような一例を
図32Aに見ることができる。エンドエフェクタの近位部分に加えられる比較的高い力は、超音波ブレード203026とクランプアーム203022との間に、遠位部分において近位部分においてよりもより大きな程度の曲率又はオフセットが存在する結果生じるものであり得る。エンドエフェクタの近位側を装填することは、超音波ブレード203026は一般に、遠位部分に向かってより大きな程度で超音波振動してもよいため、望ましい場合がある。すなわち、超音波ブレード203026の変位は、エンドエフェクタの近位部分よりも遠位部分で大きくなり得る。近位部分に印加される比較的高いクランプ圧力は、有利なことには、組織への電気外科エネルギーのより均一な印加を確実にすることができ、それによって、より確実な切断/凝固外科処置を実現することができる。
【0260】
図26は、本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離の関数としてのブレード変位プロファイルのグラフ203100である。x軸203102は、グラフ203100上ではミリメートル(mm)単位で示される、エンドエフェクタの遠位先端部からの距離を示す。y軸203104は、超音波ブレード203026の正規化された速度を(0~1の範囲のスケールで)示す。正規化されたとき、グラフ203100に示される速度プロファイルは、超音波ブレード203026の変位プロファイルと隣接又は重複する。加えて、超音波ブレード203026の駆動共振周波数203108は、変位又は速度プロファイルの有効波長を画定する。
図26に示すように、駆動共振周波数203108は55.5キロヘルツ(kHz)であるが、他の好適な共振周波数値も可能である。駆動共振周波数203108は、外科用器具7012の材料、形状及び熱的条件の一要因である。また、
図26には、エンドエフェクタの組織治療境界203110が示されている。組織治療境界203110は、エンドエフェクタの組織処置(例えば、切断及び凝固)部分の長さを示し、グラフ203100の遠位先端部から約15mmである。速度距離線203106は、遠位先端部からの距離の関数としての正規化された速度の変化を表す。
【0261】
別の言い方をすれば、組織処置部分は、近位方向に測定したとおり、エンドエフェクタの遠位先端部から15mmにわたる。グラフ203100に描かれているような速度及び/又は変位プロファイルは、超音波ブレード203026の速度及び/又は変位が、遠位先端部で極大であり、遠位先端部からの距離が最大値まで増加するにつれて、極小値まで減少することを示す。したがって、
図25に示すように、エンドエフェクタの近位部分に向かってクランプ力を優先的に分布させることにより、エンドエフェクタの長さに沿ってより均一な電力の付与を可能にすることができる。電力付与は、摩擦係数、速度及び印加される力又は圧力の関数である。したがって、上述のように、比較的高い遠位側速度を比較的低い遠位側圧力とマッチさせ、比較的低い近位側速度を比較的高い近位側圧力にマッチさせることにより、時間に関して決定されるように、組織のより均一な切断をもたらすことができる。エンドエフェクタが完全閉鎖ストロークに到達したように完全に閉鎖されているとき、結果として生じる圧力又は力プロファイルは、エンドエフェクタの近位側の半分又は4分の1高いので、グラフ203080は、圧力又は力プロファイルの比率がどのように1より小さくなるかを示す。また、超音波ブレード203026の偏向量及びクランプアーム203022の偏向量は、エンドエフェクタの閉鎖ストロークの過程で同等又は一致し得る。
【0262】
図27A~
図27Cは、本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタ203120の断面図であり、エンドエフェクタの閉鎖ストロークを示す。
図27A~
図27Cに示される閉鎖ストロークの進行は、近位開始構成閉鎖ストロークを示す。
図27Aでは、エンドエフェクタ203120(エンドエフェクタ702、752、792、4006を含む、上述のエンドエフェクタと同じ又は同様であってもよい)は、
図27B~
図27Cのエンドエフェクタよりも開放位置にある。クランプアーム203122は、パッド203024と同じ又は同様であり得るクランプアーム組織パッド203124を含む。
図27Aでは、クランプアーム203122は、クランプアーム組織パッド203124が、最初にクランプアーム組織パッド203124の最も近位側の部分でブレードに接し始める又は触れ始めるように、超音波ブレード203126から離間している。クランプアーム203122は、エンドエフェクタ203120によって画定される水平軸に対して上向きに傾斜して又は角度がついている。したがって、クランプアーム203122と超音波ブレード203126との間の開口部は、枢動点203128から離れて遠位方向に増加する。クランプアーム203122及び超音波ブレード203126は、枢動点203128を中心として枢動し得る。
【0263】
図27Aは、エンドエフェクタ203120によって把持された組織を図示していないが、動作中、組織は、エンドエフェクタ203120内に配置され、
図27Aの組織治療中には、エンドエフェクタ203120は、エンドエフェクタ203120がパッド203124の広がりの最近位側にある組織を圧縮し得る。
図27Bでは、クランプアーム203122は、エンドエフェクタ203120の閉鎖ストロークに更に沿っている。したがって、エンドエフェクタの近位部分の大部分又は全ては、閉鎖位置にある。したがって、
図27Bは、パッド203124の広がりの最近位側が超音波ブレード203126と接触することを示し、一方、パッド203124の広がりの最近位側のすぐ遠位側にある部分もまた、ほぼ閉鎖状態にあるか又は超音波ブレード203126と接触していることを示す。ここでも、クランプアーム203122と超音波ブレード203126との間の間隙は、枢動点203128から離れて遠位方向に増加する。
図27Cは、エンドエフェクタ203120の完全な閉鎖位置を示している。
図27Cでは、クランプアーム203122及びパッド203124の全体の広がりが、超音波ブレード203126と接触して、完全な閉鎖ストロークが実現されている。したがって、クランプ圧力は、
図28Cに反映されるようにエンドエフェクタ203120の全ての部分に印加される。
図27A~
図27Cに示されるような近位開始構成の閉鎖の進行は、クランプ圧力又は力が遠位方向に向かってどのようにロールするかを示す。
【0264】
図28A~
図28Cは、本開示の少なくとも1つの態様による、それぞれ
図27A~
図27Cの断面図に対応する、エンドエフェクタ203120の遠位先端部からの距離の関数として、ブレードとクランプアームとの間に印加されるクランプ力のグラフ203140、203160、203180である。グラフ203140、203160、203180にプロットされた印加されたクランプ圧力又は力は、圧力センサ788によって測定することができる。グラフ203140、203160、203180において、x軸203144、203164、203184は、エンドエフェクタ203120の遠位先端部からの距離を示す。y軸203146、203166、203186は、クランプアーム203122と超音波ブレード203126との間に印加されるクランプアーム圧力又は力を示す。印加されたクランプ力の線203142、203162、203184は、エンドエフェクタ203120の遠位先端部からの距離の関数としてのクランプ圧力を示す。上述したように、印加されたクランプ圧力は、最初に、クランプアーム組織パッド203124の広がりのうち、枢動点203128に隣接する最近位側で始まる。これは、
図28Aによって裏付けられている。
図28Bでは、クランプ圧力は、遠位方向に広がり始めている。したがって、印加されたクランプ力の線203162は、印加されたクランプ力の線203142より左側の点で開始している。更に、クランプアーム組織パッド20312の広がりのうち、最近位側におけるクランプ圧力は、
図28Bでは
図28Aよりも大きい。すなわち、印加されたクランプ力の線203162の最も右側の部分における振幅は、印加されたクランプ力の線203142の対応する振幅よりも大きい。
【0265】
図28Cでは、印加されたクランプ力の線203182は、印加されたクランプ力の線203162よりも、更により左側の点で開始している。実際に、クランプ圧力は、x軸203184上の全ての点で印加されている。クランプアーム組織パッド20312の広がりのうち最近位側におけるクランプ圧力は、
図28B及び
図28Aのいずれよりも
図28Cにおいてより大きい。
図28Cのグラフ203180は、エンドエフェクタ203120の完全閉鎖ストローク又は位置における印加圧力を示す。エンドエフェクタ203120の完全閉鎖状態では、制御回路710は、発生器4002によるエネルギーの印加前にエンドエフェクタ203120が完全閉鎖ストロークに到達することを確実にする、コンピュータ実行可能論理又はルールを実装することが望ましい場合がある。上述したように、完全閉鎖ストロークは、エンドエフェクタ203120がその利用可能な長さ全体に沿って閉鎖するときに達成される。完全閉鎖位置を達成した後にのみ、組織に電気外科エネルギーを送達することによって、より良好な組織封止が実行され得る。具体的には、ホメオスタシスは、完全閉鎖ストロークにより内部層が横方向に変位させられ、かつ組織の外側層が接近させられて、電気外科エネルギーの送達中にこれらの層が接合され得るようにすることに基づいて、最大化又は改善され得る。すなわち、最適な血管封止は、電気外科エネルギーを印加する前に、血管の内側筋肉層が外膜層から分離され離れる方向に移動する場合に生じ得る。外側組織層は、より信頼性の高い組織溶接又は封止(例えば、血管外膜、漿膜被覆など)を形成することができる。
【0266】
制御回路710によって実行されるこのようなルールの一例としては、ユーザが外科用器具7012の大血管又は高度な止血モードを起動する場合、制御回路710は、エンドエフェクタ203120が完全閉鎖ストロークに到達したことを検証するというルールが挙げられる。この検証は、例えば、外科用器具7012のハンドル閉鎖スイッチ又は完全スイッチを介して生じ得る。閉鎖スイッチが閉鎖位置にない場合、これはエンドエフェクタ203120が完全に閉鎖されていないことを示す。その結果、外科用器具7012は、可聴ビープ音又は視覚的警告、可聴的警告、触覚的警告、力覚的警告、振動的警告又は何らかの他の好適な警告などの警告を生成し得る。一部の態様では、外科用器具7012は、血管構造を変位させる(例えば、外膜を接近させる)ための比較的高いクランプ力の印加と、エネルギー送達のための比較的低いクランプ力の印加とを制御するための、機械的構成要素を有してもよい。組織を切断及び封止するためのそのようなルール及び血管構造の操作に関する更なる詳細は、2014年7月15日発行の、「ULTRASONIC DEVICE FOR CUTTING AND COAGULATING WITH STEPPED OUTPUT」と題する米国特許第8,779,648号、2016年1月26日発行の、「SURGICAL INSTRUMENT WITH MULTIPLE CLAMPING MECHANISMS」と題する米国特許第9,241,728号、及び2017年8月29日発行の、「END EFFECTOR WITH A CLAMP ARM ASSEMBLY AND BLADE」と題する米国特許第9,743,947号に見出すことができる。なお、これらの文献の全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0267】
図29A~
図29Cは、本開示の少なくとも1つの態様による、近位側開始閉鎖ストローク構成を示す、エンドエフェクタ203200の断面図である。
図29Aに示すように、エンドエフェクタ203200は、クランプアーム203202と超音波ブレード203206とが互いの間に、比較的大きな間隙を画定する開放位置で開始する。クランプアーム203202は、パッド203024、203124と同じ又は類似し得るクランプアーム組織パッド203204を含む。
図29Bでは、クランプアーム203202は、クランプアーム組織パッド203204の近位側部分が、パッド203204上に位置する組織(図示せず)に接触するように、枢動点203208に対して内側に枢動している。換言すれば、エンドエフェクタ203200は、把持された組織の近位部分のみに完全なクランプ圧力を加えるようにまず近位側が閉じて、クランプ力が遠位方向に漸進的にロール又は拡張する。エンドエフェクタ203000が、
図29Cに示される完全閉鎖ストロークに達すると、より大きなクランプ圧力が徐々に遠位側に印加される。
図29Cでは、完全閉鎖圧力プロファイル又は力分布が、エンドエフェクタ203000の完全閉鎖位置で達成されている。上述したように、例えば、超音波ブレード203026の比較的小さい近位側速度を考慮して、超音波ブレード203026の端部効果部分の近位側部分に、比較的より大きなクランプ圧力を印加することができる。
【0268】
図30A~
図30Dは、本開示の少なくとも1つの態様による、遠位側開始閉鎖ストローク構成を示し、関連する部分応力を示す、エンドエフェクタ203220の断面図である。遠位側開始閉鎖ストローク構成では、エンドエフェクタ203220は、
図30Aに例示されかつ上述したように、遠位先端部で最初に閉じる。したがって、制御回路は、クランプアーム203224を枢動させて、エンドエフェクタ203220の遠位端において、超音波ブレード203226とクランプアーム203224とが最初に接触する箇所を生成することによって、クランプアーム203224の閉鎖を制御するように構成されている。
図30Aでは、クランプアーム203224の遠位先端部が、超音波ブレード203226と接触している。このようにして、クランプアーム203224のクランプアーム組織パッド203224は、遠位部分で把持された組織に接して圧縮される。
図29A~
図29Cとは異なり、
図30A~
図30Dにおける、印加されたクランプ圧力は、近位方向に向かってロールしている。また、超音波ブレード203226は、まず遠位先端部で閉じることを可能にするように、湾曲しているか、傾斜しているか、ないしは別の方法でオフセットされてもよい。
図30Bは、近位方向に移動しながら、クランプアーム組織パッド203224により大きなクランプ圧力を加えることを開始するエンドエフェクタ203220を示す。したがって、輪郭203228は、クランプアーム203224のこの屈曲の増加に応じた、関連する部分応力を示す。
図30Cは、クランプ圧力の印加が引き続き進行して、エンドエフェクタ203220の組織処置部分の大部分が完全圧縮位置にあるのを示す。組織処置部分は、エンドエフェクタのうちの、クランプアーム組織パッド203224を含む部分を指し得る。
図30A~
図30Dに見られるように、エンドエフェクタ203220の近位部分においては、パッド203224は、クランプアーム203224と超音波ブレード203226との交点までは延在しない。この構成に基づいて、エンドエフェクタは、わずかな近位間隙203230を有し、この近位間隙203230は、上述したように熱の緩和に有益であり得る。
【0269】
図30Dでは、エンドエフェクタ203220は、有利なことに近位間隙203230を維持しながら、完全閉鎖ストロークを達成している。エンドエフェクタ203220が完全閉鎖位置に漸進的に近づくと、クランプアーム203224及び超音波ブレード203226のうちの1つ以上が、加えられる曲げ力の増加から生じるより大きな部分応力を、漸進的に実現する。したがって、部分応力は、
図30A、30C、30Cから、
図30Dへの移行に対応して徐々に増加する。その結果、
図30Dでは、輪郭203228での、部分応力の最大発生が生じる。
図30A~
図30Dに示されるように、かつ近位方向に移動するにつれて、エンドエフェクタ203220のより大きな部分が閉じ、それにつれてクランプアーム組織パッド203224のより大きな部分がアクティブになる。上に説明された閉鎖のシーケンスが
図30Dの状態に到達すると、パッド203224の利用可能な表面領域全体が、把持された組織及び超音波ブレード203226に接して圧縮されるように使用され、その一方で、エンドエフェクタ203220のうち、パッド203224の近位側の広がり及び把持された組織よりも近位側にある部分が、近位側間隙203230を画定している。パッド203224は、近位間隙203230の広がりの最遠位側で終端し得るが、パッド203224近位間隙203230内に延在してもよい。パッド203224がこのように延在する場合であっても、クランプアーム203222は、近位間隙203230を画定するのを支援するように凹んでいる。近位間隙203230では、より小さな電気外科エネルギーが送達され、そのことにより、有利なことには、発生器4002によるエネルギー送達を起動した後に、超音波ブレード203226内に存在する温度及び熱を低減することができる。制御回路710は、クランプアーム203224と超音波ブレード203226との適合又は対応する偏向を実行して、クランプアーム203224及び超音波ブレード203226のそれぞれが、
図30Aの構成から
図30Dの構成へと移行する際に、変形、偏向又は屈曲するように構成されてもよい。
【0270】
更に、印加されるクランプ圧力と超音波ブレード203226の変位及び速度とは、閉鎖ストロークの進行に応じて制御され得る。例えば、エンドエフェクタ203220が遠位先端部でのみ閉鎖されるか、又はほぼ遠位部分でのみ閉鎖される(例えば、
図30A~
図30B)場合には、超音波ブレード203226の変位及び/又は速度は低減され、パッド203224の過度の摩耗又は劣化を防止し得る。したがって、エンドエフェクタ203220が完全に閉じられていないときには、超音波振動を低減することができる。上述したように、変位は遠位先端部分において比較的大きくてもよく、そのため、エンドエフェクタ203220の遠位側開始閉鎖構成には、ブレード変位量の低減が望ましい場合がある。加えて、制御回路710は、クランプアーム203222及び超音波ブレード203226のうちの1つ以上の閉鎖を制御して、切断進行位置(例えば、対応する溶接焦点)に基づいて、閾値制御圧力を提供するために印加される圧力を変化させるように構成されてもよい。例えば、エンドエフェクタ203220が
図30Aの状態から
図30Dの状態に進む場合、外科的切断又は凝固焦点は、印加されるクランプ圧力を調節するために使用され得る超音波ブレード203226の長さに沿ってシフトし得る。シフトは、例えば、選択された閉鎖ストローク構成によっては、近位方向又は遠位方向であってもよい。例えば、焦点がエンドエフェクタ203220の遠位側半分の中心部分にある場合には、比較的より大きな圧力がその中心部分に印加され、一方で、相対的により小さい圧力が中心部分よりも遠位側の位置に印加され得る。
【0271】
切断/凝固焦点に基づいてアーム力をクランプするための調節に加えて又は代替的に、制御回路710は、超音波ブレード203226の変位又は速度プロファイルに対処するために、比較的小さい遠位側圧力及びより大きい近位側力を一般に印加してもよい。上述したように、超音波ブレード203226の変位又は速度は、遠位部分において比較的大きいため、印加される力は、それらの部分において近位部分と比較して小さくてもよい。超音波ブレード203226は、チタン金属又は合金などの好適な材料で作製されてもよい。より具体的には、チタン合金は、Ti-6Al-4Vなどのグレード5のα/βチタン合金であってもよく、又は何らかの他の好適な金属であってもよい。クランプアーム203224はまた、ステンレス鋼などの好適な材料、より具体的には、沈殿硬化された17-4ステンレス鋼で作製することもできる。また、クランプアーム組織パッド203224は、導電性充填剤(例えば、炭素、カーボンナノチューブ、金属粒子)に基づいて導電性であってもよく、それにより、外科用器具7012は、エンドエフェクタ203220が完全に閉鎖された後に、隔離された電気導管を介して超音波ブレード203226からパッド203224に電流を伝導することができる。このようにして、治療レベルの又は治療レベル未満のRFなどの電気外科エネルギーを、把持された組織に送達することができる。
【0272】
図31A~
図31Dは、本開示の少なくとも1つの態様による、それぞれ
図30A~
図30Dの断面図に対応する、エンドエフェクタ203220の遠位先端部からの距離の関数としての、超音波ブレード203226とクランプアーム203224との間に印加されるクランプ力のグラフ203240、203260、203280、203300である。グラフ203240、203260、203280、203300は、凡例203250、203270、203290、203310をそれぞれ含み、これらは、例えば超音波ブレード203226とクランプアーム203224との間の圧縮による関連する力の程度を表す、異なるドットパターンを有する。圧力輪郭203308は、超音波ブレード203226の長さの一般的な描写である、対応するブレードモデル203252、203272、203292、203312に沿ってプロットされている。圧力輪郭203308は、エンドエフェクタ203220の遠位先端部から離れた距離に対して印加される構成要素応力の量及び位置を示し得る。破線203254、203274、203294、203314は、エンドエフェクタ203220の組織効果部分の近位端(例えば、パッド203224の近位端)を示す。
図31A~
図31Dに見られるように、圧力輪郭203308は、エンドエフェクタ203220の遠位先端部で始まり、破線203254、203274、203294、203314に向かって近位方向に移行する。グラフ203240、203260、203280、203300において、x軸203244、203264、203284、203304は、エンドエフェクタ203220の遠位先端部からの距離を示す。
【0273】
y軸203246、203266、203286、203306は、超音波ブレード203226とクランプアーム203224との間の接触から生じる、印加されたクランプ力を示す。印加された力は、印加された力の線203242、203262、203282、203302によって表される。
図14Aでは、印加されたクランプ力は遠位先端部でのみ発生し、これは遠位側開始閉鎖ストローク構成の遠位先端部が最初に閉鎖されることに対応する。クランプ力の印加は、
図31Aの状態から
図31Dの状態に、印加された力の線203242、203262、203282、203302における変化によって示されるように、近位方向に徐々にシフトする。更に、印加されるクランプ力の振幅もまた、
図31Aの状態から
図31Dの状態に徐々に増加する。グラフ203240、203260、203280、203300は、2本の一連のグラフが反対方向に進行することを除いて、
図28A~
図28Cに示されるものと同様のクランプ力の進行を表示し得る。それにもかかわらず、グラフ203300に示される分散される力又は圧力のプロファイルは、グラフ203180のものと酷似し得る。すなわち、
図31A~
図31Dは、印加される圧力が近位方向に移行するのを示すが、他方、
図28A~
図28Cは、圧力が遠位方向に移行するのを示す。しかしながら、完全閉鎖ストロークが達成されるときの力プロファイルは、選択された閉鎖ストローク構成にかかわらず同じか又は類似したものである。
図31A~
図31Dにおいては、閉鎖ストロークの構成要素応力が、インジケータ203248、203268、203288、203308によって表される。加えて、位置センサ784又は他のセンサ788を使用して、把持された組織のため、超音波ブレード203226の長さに沿った血管の位置を検出することができる。この検出は、血管の上部に最大の力を加えるために血管を標的とするように、リアルタイムで閉鎖ストロークを調節するために使用され得る。この検出はまた、エンドエフェクタ203220のうち、組織に接触しない部分に電力を印加することを避けるためにも使用され得る。これは、熱緩和にとって有用であり得る。
【0274】
図32A~
図32Eは、本開示の少なくとも1つの態様による、遠位側開始閉鎖ストローク構成を示し、関連する部分応力を示す、エンドエフェクタ203340の断面図である。
図32A~
図32Eに見られるように、超音波ブレード203346は湾曲しており、
図32D~
図32Eに示されるように、完全な閉鎖ストロークでは、超音波ブレード203346の曲率が平坦化又は底値に達するように変形可能である。したがって、超音波ブレード203346の軸はオフセットされている。超音波ブレード203346及びクランプアーム203342は、枢動点203348を中心として枢動する。クランプアーム203342は、クランプアーム組織パッド203344を含む。
図32A~
図32Eは、パッド203344を通じて電気外科エネルギーを印加するため、組織203350に対する遠位先端部から最初に行われる閉鎖の進行状況を示す。
図32Bでは、湾曲した超音波ブレード203346の遠位先端部が、超音波ブレード203346及びクランプアーム203342のうちの1つ以上を互いに向かって枢動させることに基づいて、クランプアーム203342の遠位先端部と接触する。超音波ブレード203346及びクランプアーム203342は、閉鎖ストロークの継続時間中、互いに向かって、ほぼ等しい距離だけ移動し得る。エンドエフェクタ203340は、この時点で、組織203350の広がりのうちの最近位側に接して圧縮されてもよい。制御回路710は、エンドエフェクタ203340内に最初に装填された組織203350のサイズに基づいて、印加される初期クランプ圧力を決定するように構成されてもよい。
【0275】
図32B~
図32Cに見られるように、湾曲した超音波ブレード203346の偏向は継続し、近位方向にロールする。同時に、組織203350のうちのより多くの部分が把持される。偏向は、湾曲した超音波ブレード203346の瞬間的な湾曲を漸増的に低減することによって、超音波ブレード203346の湾曲を底値まで下げることを含んでもよい。
図32Dにおいて、超音波ブレード203346の湾曲は、エンドエフェクタ203340が完全に閉鎖される(すなわち、完全閉鎖ストロークに達する)ように、完全に底値に達する。把持された組織203350の一部分は、完全閉鎖位置にある超音波ブレード203346及びクランプアーム203342に接して完全に圧縮され、電気外科エネルギーが、切断及び凝固のためにパッド203344を通じて送達され得る。エンドエフェクタ203340内に把持された組織の遠位側から近位側に至る広がりが、組織接触領域を画定する。この組織接触領域は、かなりの量の熱を発生させ得る。完全に底値に達するのではなく、熱を緩和又は低減する場合には、エンドエフェクタ203340は、組織接触領域のうちの最近位部分よりも近位側の、超音波ブレード203346の偏向を維持する。これを
図32A~
図32Eに示す。したがって、制御回路7012は、組織の近位端よりも近位側の箇所で、超音波ブレード203346とクランプアーム203342との間の間隙を維持してもよい。
図32Dに図示される完全閉鎖位置と比較して、パッド203344のうちの組織を処置していない部分(パッド203344のうちの、組織接触領域の最近位より近位側の部分)は、熱エネルギーをそれほど受けない。結果として、電気外科エネルギーの印加後の、ピーク温度及び超音波ブレード203346内に存在する熱が低減される。
【0276】
超音波ブレード203346には、エンドエフェクタ203340の長さに沿ったクランプ力の進行を示すブレードモデル203352、203372、203392、203412も示されている。第1の破線203356は、遠位先端部を表し、第2の破線203358はエンドエフェクタ203340の近位端を表す。第2の破線203358はまた、組織203350の広がりの最近位部を表してもよく、又は組織203350が止まる場所を表してもよい。ブレードモデル203352では、超音波ブレード203346には力が印加されない。ブレードモデル203372では、超音波ブレード203346の遠位先端部はクランプアーム203342の対応する部分に接触し、超音波ブレード203346の遠位部分にいくらかの力が加えられる。より大きな力の印加される領域は、圧力輪郭203376、203396、203416のより暗い陰影部によって示され得る。したがって、圧力輪郭203376によって表される比較的大きい力が、ブレードモデル203372内の遠位先端部に印加される。ブレードモデル203392では、エンドエフェクタ203340は、部分的に、近位方向に向かってより閉じられているため、圧力輪郭203396は、エンドエフェクタ203340のより長い長さに及んで広がっている。圧力輪郭203396は、組織203350に一定の閾値圧力を提供するように、切断/溶接焦点の位置に応じて変化し得る。ブレードモデル203392では、エンドエフェクタ203340は完全に閉鎖され、印加されたクランプ力は、閉鎖運動中に近位方向に移動するのを既に完了している。したがって、圧力輪郭203396は、更に長い長さに及んで広がっており、第2の破線203358で終端している。
【実施例0277】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
実施例1:外科用器具は、エンドエフェクタと、超音波変換器と、制御回路と、を備え、制御回路はエンドエフェクタに連結されている。エンドエフェクタは、組織に接して超音波振動するように構成された超音波ブレード、及び超音波ブレードに対して枢動するように構成されたクランプアーム、を備える。超音波変換器は、超音波ブレードに音響的に連結されている。超音波変換器は、発生器からの駆動信号に応答して超音波ブレードを超音波振動させるように構成されている。エンドエフェクタは、駆動信号に基づいて、発生器から組織を処置するための電気外科エネルギーを受け取るように構成されている。制御回路は、共振周波数における熱誘導性変化を示す共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上を決定し、共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上に基づいて溶接焦点を計算し、エンドエフェクタ内に装填された組織に閾値制御圧力を提供するために、クランプアームの閉鎖を制御して、クランプアームによって印加される圧力を、対応する溶接焦点に基づいて変化させる。また、制御回路は、超音波ブレードとクランプアームとの間の間隙を、組織の近位端の近位側の箇所に維持するように構成されている。
【0278】
実施例2:制御回路が、エンドエフェクタ内に最初に装填された組織のサイズに基づいて、クランプアームによって印加される初期圧力を決定するように更に構成されている、実施例1の外科用器具。
【0279】
実施例3:制御回路が、超音波ブレードに沿った溶接焦点のシフトに基づいて、クランプアームによって印加される圧力を変化させるように更に構成されている、実施例1又は2に記載の外科用器具。
【0280】
実施例4:制御回路が、エンドエフェクタ内に装填された組織の広がりに基づいて、クランプアームによって印加される圧力を変化させるように更に構成されている、実施例3に記載の外科用器具。
【0281】
実施例5:制御回路が、クランプアームを枢動させることで、クランプアームの閉鎖を制御して、エンドエフェクタの遠位端において、超音波ブレード及びクランプアームの初期接触点を生成するように更に構成されている、実施例1、2、3、又は4に記載の外科用器具。
【0282】
実施例6:駆動信号を生成することに基づいて、組織を処置するための電気外科エネルギーをエンドエフェクタに送達するように構成された発生器を更に備える、実施例1、2、3、4、又は5に記載の外科用器具。
【0283】
実施例7:高周波(RF)エネルギーを組織に送達するように構成された高周波(RF)電極を更に備え、制御回路が、高周波(RF)エネルギーの電力レベル及び電気外科エネルギーの電力レベルのうちの1つ以上を、組織のインピーダンスに基づいて調節するように更に構成されている、実施例1、2、3、4、5、又は6に記載の外科用器具。
【0284】
実施例8:閾値制御圧力を提供するために外科用器具を使用する方法であって、外科用器具が、組織に接して超音波振動するように構成された超音波ブレード、及び超音波ブレードに対して枢動するように構成されたクランプアーム、を備えるエンドエフェクタと、超音波ブレードに音響的に連結され、駆動信号に反応して超音波ブレードを超音波振動させるように構成された超音波変換器と、エンドエフェクタに連結された制御回路と、を備え、エンドエフェクタが、発生器から電気外科エネルギーを受け取って、生成された駆動信号に基づいて組織を溶接するように構成され、方法が、制御回路によって、共振周波数の熱誘導性変化を示す共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上を決定することと、制御回路によって、共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上に基づいて、溶接焦点を計算することと、制御回路によって、クランプアームの閉鎖を制御して、クランプアームによって印加される圧力を変化させることであって、圧力は、対応する溶接焦点に基づいて変化させられることと、制御回路によって、超音波ブレードとクランプアームとの間の間隙を、組織の近位端の近位側の点に維持することと、を含む、方法。
【0285】
実施例9:制御回路によって、エンドエフェクタ内に最初に装填された組織のサイズに基づいて、クランプアームによって印加される初期圧力を決定することを更に含む、実施例8に記載の方法。
【0286】
実施例10:制御回路によって、超音波ブレードに沿った溶接焦点のシフトに基づいて、クランプアームによって印加される圧力を変化させることを更に含む、実施例8又は9に記載の方法。
【0287】
実施例11:制御回路によって、エンドエフェクタ内に装填された組織の広がりに基づいて、クランプアームによって印加される圧力を変化させることを更に含む、実施例10に記載の方法。
【0288】
実施例12:制御回路によって、クランプアームを枢動させて、エンドエフェクタの遠位端において、超音波ブレード及びクランプアームの初期接触点を生成することによって、クランプアームの閉鎖を制御することを更に含む、実施例8、9、10、又は11に記載の方法。
【0289】
実施例13:組織を、エンドエフェクタ内に、エンドエフェクタの遠位端からエンドエフェクタの近位端まで装填することを更に含む、実施例8、9、10、11、又は12に記載の方法。
【0290】
実施例14:制御回路によって、高周波(RF)エネルギーの電力レベル及び電気外科エネルギーの電力レベルのうちの1つ以上を、組織インピーダンスに基づいて調節することを更に含み、外科用器具が、高周波(RF)エネルギーを組織に送達するように構成された高周波(RF)電極を更に備える、実施例8、9、10、11、12、又は13に記載の方法。
【0291】
実施例15:クラウドコンピューティングシステムから送信されるクランプ圧力アルゴリズムを受信するように構成され、クラウドコンピューティングシステムに通信可能に連結された外科用ハブと、外科用ハブに通信可能に連結された外科用器具であって、エンドエフェクタであって、組織に接して超音波振動するように構成されたオフセット超音波ブレード、及び超音波ブレードに対して枢動するように構成されたオフセットクランプアーム、を備えるエンドエフェクタ、並びに超音波ブレードに音響的に連結され、発生器からの駆動信号に反応して超音波ブレードを超音波振動させるように構成された超音波変換器を備え、エンドエフェクタが、駆動信号に基づいて組織を溶接するために、発生器から電気外科エネルギーを受け取るように構成されている、外科用器具と、制御回路であって、クランプ圧力アルゴリズムを実行することで、共振周波数の熱誘導性変化を示す共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上を決定し、共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上に基づいて、エンドエフェクタ内に装填された組織の広がりを計算し、かつエンドエフェクタの遠位側半分における第2の圧力よりも大きいエンドエフェクタの近位側半分内の第1の圧力を含む閉鎖圧力プロファイルに従って、クランプアームによって印加される圧力を変化させるように構成され、かつエンドエフェクタが完全に閉鎖されたときに、超音波ブレードとクランプアームとの間の間隙を、エンドエフェクタに装填された組織の近位端の近位側の箇所で維持するように構成された制御回路と、を備える外科用システム。
【0292】
実施例16:制御回路が、エンドエフェクタの非遠位端部分を閉鎖する前に、エンドエフェクタをエンドエフェクタの遠位端で閉鎖するように更に構成されている、実施例15に記載の外科システム。
【0293】
実施例17:発生器によって、第3の休止時間に対する第3の電力レベルの印加を終了することと、制御回路によって、第4の組織インピーダンス点を決定することと、発生器によって、第4の組織インピーダンス点に到達する第4の電力レベルを印加することと、を更に含む、実施例15又は16に記載の外科システム。
【0294】
実施例18:第1の偏向及び第2の偏向が、閉鎖圧力プロファイルに従って成形されて、第1の圧力を提供する、実施例17に記載の外科システム。
【0295】
実施例19:制御回路が、クランプアームの閉鎖位置を決定するように更に構成されている、実施例15、16、17、又は18に記載の外科システム。
【0296】
実施例20:制御回路は、エンドエフェクタが完全に閉じていないときに超音波ブレードの超音波振動を低減するように更に構成されている、実施例19に記載の方法。
【0297】
いくつかの形態が例示され説明されてきたが、添付の「特許請求の範囲」をそのような詳述に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多数の修正、変形、変化、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変化、置換、修正及び等価物を網羅することを意図する。
【0298】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート及び/又は例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート及び/又は例が1つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート及び/又は例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実現することができ、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。
【0299】
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意の種類の有形機械可読媒体が挙げられる。
【0300】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、用語「制御回路」は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用するとき、「制御回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
【0301】
本明細書の任意の態様で使用される場合、用語「論理」は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0302】
本明細書の任意の態様で使用するとき、用語「構成要素」、「システム」、「モジュール」などは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのどちらかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0303】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利なラベルである。
【0304】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0305】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「判定する」、「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0306】
1つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0307】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0308】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0309】
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0310】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0311】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0312】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0313】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0314】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
組織に接して超音波振動するように構成された超音波ブレード、及び前記超音波ブレードに対して枢動するように構成されたクランプアーム、を備える、エンドエフェクタと、
超音波変換器であって、前記超音波ブレードに音響的に連結され、発生器からの駆動信号に反応して前記超音波ブレードを超音波振動させるように構成され、前記エンドエフェクタが、前記発生器からの電気外科エネルギーを受け取って、前記駆動信号に基づいて組織を処置するように構成されている、超音波変換器と、
前記エンドエフェクタに連結された制御回路と、を備え、
前記制御回路が、
共振周波数における熱誘導性変化を示す共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上を決定し、
前記共振周波数測定値及び前記電気的連続性測定値のうちの1つ以上に基づいて溶接焦点を計算し、
前記エンドエフェクタ内に装填された前記組織に閾値制御圧力を提供するために、前記クランプアームの閉鎖を制御して、前記クランプアームによって印加される圧力を、対応する溶接焦点に基づいて変化させ、
前記超音波ブレードと前記クランプアームとの間の間隙を、前記組織の近位端の近位側の箇所に維持するように構成されている、外科用器具。
(2) 前記制御回路が、前記エンドエフェクタ内に最初に装填された前記組織のサイズに基づいて、前記クランプアームによって印加される初期圧力を決定するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記制御回路が、前記超音波ブレードに沿った前記溶接焦点のシフトに基づいて、前記クランプアームによって印加される前記圧力を変化させるように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記制御回路が、前記エンドエフェクタ内に装填された前記組織の広がりに基づいて、前記クランプアームによって印加される前記圧力を変化させるように更に構成されている、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記制御回路が、前記クランプアームを枢動させることで前記クランプアームの閉鎖を制御して、前記エンドエフェクタの遠位端において、前記超音波ブレード及び前記クランプアームの初期接触点を生成するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
【0315】
(6) 前記駆動信号を生成することに基づいて、組織を処置するための電気外科エネルギーを前記エンドエフェクタに送達するように構成された前記発生器を更に備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 高周波(RF)エネルギーを前記組織に送達するように構成された高周波(RF)電極を更に備え、
前記制御回路が、前記高周波(RF)エネルギーの電力レベル及び前記電気外科エネルギーの電力レベルのうちの1つ以上を、組織のインピーダンスに基づいて調節するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 閾値制御圧力を提供するために外科用器具を使用する方法であって、
前記外科用器具が、組織に接して超音波振動するように構成された超音波ブレード、及び前記超音波ブレードに対して枢動するように構成されたクランプアーム、を備える、エンドエフェクタと、前記超音波ブレードに音響的に連結され、前記駆動信号に反応して前記超音波ブレードを超音波振動させるように構成された、超音波変換器と、前記エンドエフェクタに連結された、制御回路と、を備え、
前記エンドエフェクタが、発生器から電気外科エネルギーを受け取って、生成された駆動信号に基づいて組織を溶接するように構成され、
前記方法が、
前記制御回路によって、共振周波数の熱誘導性変化を示す共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上を決定することと、
前記制御回路によって、前記共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上に基づいて、溶接焦点を計算することと、
前記制御回路によって、前記エンドエフェクタ内に装填された前記組織に前記閾値制御圧力を提供するために、前記クランプアームの閉鎖を制御して、前記クランプアームによって印加される圧力を変化させることであって、前記圧力は、対応する溶接焦点に基づいて変化させられる、ことと、
前記制御回路によって、前記超音波ブレードと前記クランプアームとの間の間隙を、前記組織の近位端の近位側の箇所に維持することと、を含む、方法。
(9) 前記制御回路によって、前記エンドエフェクタ内に最初に装填された前記組織のサイズに基づいて、前記クランプアームによって印加される初期圧力を決定することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記制御回路によって、前記超音波ブレードに沿った前記溶接焦点のシフトに基づいて、前記クランプアームによって印加される前記圧力を変化させることを更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0316】
(11) 前記制御回路によって、前記エンドエフェクタ内に装填された前記組織の広がりに基づいて、前記クランプアームによって印加される前記圧力を変化させることを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記制御回路によって、前記クランプアームを枢動させることで前記クランプアームの閉鎖を制御して、前記エンドエフェクタの遠位端において、前記超音波ブレード及びクランプアームの初期接触点を生成することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記組織を、前記エンドエフェクタ内に、前記エンドエフェクタの前記遠位端から前記エンドエフェクタの近位端まで装填することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記制御回路によって、RFエネルギーの電力レベル及び前記電気外科エネルギーの電力レベルのうちの1つ以上を、組織のインピーダンスに基づいて調節することを更に含み、
前記外科用器具は、高周波(RF)エネルギーを前記組織に送達するように構成された高周波(RF)電極を更に備える、実施態様8に記載の方法。
(15) 外科用システムであって、
クラウドコンピューティングシステムから送信されるクランプ圧力アルゴリズムを受信するように構成され、前記クラウドコンピューティングシステムに通信可能に連結された外科用ハブと、
前記外科用ハブに通信可能に連結された外科用器具であって、
エンドエフェクタであって、
組織に接して超音波振動するように構成されたオフセット超音波ブレード、及び
前記超音波ブレードに対して枢動するように構成された、オフセットクランプアーム、を備える、エンドエフェクタ、並びに
前記超音波ブレードに音響的に連結され、発生器からの駆動信号に反応して前記超音波ブレードを超音波振動させるように構成された、超音波変換器、を備え、前記エンドエフェクタが、前記駆動信号に基づいて組織を溶接するために、前記発生器から電気外科エネルギーを受け取るように構成されている、外科用器具と、
制御回路であって、前記クランプ圧力アルゴリズムを実行することで、
共振周波数の熱誘導性変化を示す共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上を決定し、
前記共振周波数測定値及び電気的連続性測定値のうちの1つ以上に基づいて、前記エンドエフェクタ内に装填された組織の広がりを計算し、
前記エンドエフェクタの遠位側半分における第2の圧力よりも大きい前記エンドエフェクタの近位側半分内の第1の圧力を含む閉鎖圧力プロファイルに従って、前記クランプアームによって印加される圧力を変化させるように構成され、かつ
前記エンドエフェクタが完全に閉鎖されたときに、前記超音波ブレードと前記クランプアームとの間の間隙を、前記エンドエフェクタに装填された前記組織の近位端の近位側の箇所で維持するように構成された制御回路と、を備える、外科用システム。
【0317】
(16) 前記制御回路が、前記エンドエフェクタの非遠位端部分を閉鎖する前に、前記エンドエフェクタを前記エンドエフェクタの遠位端で閉鎖するように更に構成されている、実施態様15に記載の外科用システム。
(17) 前記オフセット超音波ブレードの第1の偏向が、前記オフセットクランプアームの第2の偏向に対応する、実施態様15に記載の外科用システム。
(18) 前記第1の偏向及び前記第2の偏向が、前記閉鎖圧力プロファイルに従って成形されて、前記第1の圧力を提供する、実施態様17に記載の外科用システム。
(19) 前記制御回路が、前記クランプアームの閉鎖位置を決定するように更に構成されている、実施態様15に記載の外科用システム。
(20) 前記制御回路は、前記エンドエフェクタが完全に閉鎖されていないときに、前記超音波ブレードの前記超音波振動を低減するように更に構成されている、実施態様19に記載の外科用システム。