(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065685
(43)【公開日】2023-05-12
(54)【発明の名称】自動車及び自動車用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20230502BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036209
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2019214819の分割
【原出願日】2018-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真由美
(57)【要約】
【課題】安全性を確保して走行支援用プログラムの更新を実行できる自動車を提供する。
【解決手段】走行支援用プログラムの更新プログラムの情報を取得するための更新プログラム取得手段で取得される更新プログラムの情報に基づいて走行支援用プログラムの更新の実行を制御するプログラム更新制御手段と、自車が走行中であるか、停止中であるかを判別する自車状態判別手段と、走行以外用途の機能を提供する走行以外用途機能部と、自車状態判別手段で自車が停止中であると判別され、かつ、走行以外用途機能部で走行以外用途を提供している場合に、提供中の走行以外用途に基づいて停止継続時間を予測する停止継続時間予測手段を備える。プログラム更新制御手段は、停止継続時間予測手段で予測された停止継続時間に基づいて走行支援用プログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であると判別した場合に、走行支援用プログラムの更新を実行するように制御する。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行を支援する走行支援用プログラムを備える自動車であって、
前記走行支援用プログラムの更新プログラムの情報を取得するための更新プログラム取得手段と、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に基づいて前記走行支援用プログラムの更新の実行を制御するプログラム更新制御手段と、
自車が走行中であるか、停止中であるかを判別する自車状態判別手段と、
走行以外用途の機能を提供する走行以外用途機能部と、
前記自車状態判別手段で自車が停止中であると判別され、かつ、前記走行以外用途機能部で前記走行以外用途を提供している場合に、提供中の前記走行以外用途に基づいて停止継続時間を予測する停止継続時間予測手段と、
を備え、
前記プログラム更新制御手段は、
前記停止継続時間予測手段で予測された前記停止継続時間に基づいて前記走行支援用プログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であると判別した場合に、前記走行支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする自動車。
【請求項2】
前記走行支援用プログラムは更新時間の情報を含み、
前記プログラム更新制御手段は、前記停止継続時間予測手段で予測された前記停止継続時間と、前記更新プログラム取得手段で取得した前記更新プログラムに含まれる前記更新時間の情報とに基づいて前記走行支援用プログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であると判別した場合に、前記走行支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記プログラム更新制御手段は、前記予測された前記停止継続時間と前記更新時間に加えて、前記更新プログラムの取得時点の時刻に基づいて、前記走行支援用プログラムの更新が可能であるか否かを判別する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車。
【請求項4】
前記走行以外用途機能部は、複数の走行以外用途を提供可能であり、
前記停止継続時間予測手段は、提供中の前記走行以外用途が前記複数の走行以外用途のいずれであるかを判別し、判別した前記走行以外用途に基づいて前記停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の自動車。
【請求項5】
前記走行以外用途機能部で提供される前記走行以外用途の過去の利用時間を記憶する履歴メモリを備え、
前記停止継続時間予測手段は、前記履歴メモリの履歴情報から求めた前記提供中の前記走行以外用途の過去の利用時間に基づいて前記停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の自動車。
【請求項6】
前記履歴メモリには、登録された利用者ごとの利用時間が記憶されており、
前記停止継続時間予測手段は、前記提供中の前記走行以外用途の利用者が前記登録された利用者である場合には、前記登録された利用者による前記提供中の前記走行以外用途の過去の利用時間に基づいて前記停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項5に記載の自動車。
【請求項7】
前記履歴メモリには、登録された利用者ごとの利用時間が記憶されており、
前記停止継続時間予測手段は、前記提供中の前記走行以外用途の利用者が前記登録された利用者でない場合には、前記提供中の前記走行以外用途の過去の利用時間の平均値に基づいて前記停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の自動車。
【請求項8】
前記提供中の前記走行以外用途の利用が終了した場合に、前記更新プログラムの更新が完了していない場合には、前記更新プログラムの更新中であることを前記提供中の前記走行以外用途の利用者に通知する
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の自動車。
【請求項9】
外部のプログラム更新サーバと通信するための通信手段を備えると共に、
前記プログラム更新制御手段は、前記通信手段を通じて前記プログラム更新サーバからのプログラム更新要求を受け取ったか否かを監視する監視手段を備え、
前記更新プログラム取得手段は、前記監視手段で、前記プログラム更新サーバからのプログラム更新要求を受け取ったことに基づいて、前記プログラム更新サーバからの前記更新プログラムの情報を前記通信手段を通じて取得する
ことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の自動車。
【請求項10】
外部のプログラム更新サーバと通信するための通信手段を備えると共に、
前記プログラム更新制御手段は、前記自車状態判別手段で自車が停止中であると判別した場合に、前記停止継続時間予測手段で前記予測された停止継続時間が所定の時間よりも長い場合に、前記通信手段を通じて前記プログラム更新サーバに前記プログラムの更新問い合わせ要求をする更新問い合わせ要求手段を備え、
前記更新プログラム取得手段は、前記プログラムの更新問い合わせ要求に対応して送られてくる前記プログラム更新サーバからの前記更新プログラムの情報を取得し、
前記プログラム更新制御手段は、前記予測した停止継続時間と、前記更新問い合わせ要求に対応して送られてくる前記更新プログラムに含まれる前記更新時間とを比較参照して、前記更新プログラムへの更新が可能であると判別した場合に、前記走行支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載に自動車。
【請求項11】
停止中において、乗車してきた利用者による自車のこれからの利用用途を、停止中の自車の振る舞いの設定として受け付ける振る舞い受付手段を備え、
前記振る舞い受付手段で、前記走行以外用途を、停止中の自車の振る舞いの設定として受け付けた場合に、前記停止継続時間予測手段は、前記停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載の自動車。
【請求項12】
前記振る舞い受付手段では、前記走行以外用途の利用時間に関する情報も受け付け、
前記停止継続時間予測手段は、前記振る舞い受付手段で受け付けられた前記走行以外用途の利用時間に関する情報に基づいて、前記停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項11に記載の自動車。
【請求項13】
前記振る舞い受付手段は、前記利用用途のメニューから利用者により選択された前記利用用途の項目を受け付ける機能を備え、
前記停止継続時間予測手段は、前記利用用途のメニューから利用者により選択された前記走行以外用途に対応して停止継続時間の予測をする
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の自動車。
【請求項14】
前記走行以外用途機能部は、前記走行以外用途の機能を、走行以外用途用プログラムにより実行するものであり、
前記走行以外用途用プログラムの更新は、自車の停止時間中にかぎらず、走行中においても実行するようにした
ことを特徴とする請求項1~請求項13のいずれかに記載の自動車。
【請求項15】
前記プログラム更新制御手段は、前記走行支援用プログラムの更新を実行中に、自車の走行開始指示を受けた場合には、走行支援用プログラムの更新中であるため走行開始不可であることを通知する
ことを特徴とする請求項1~請求項14のいずれかに記載の自動車。
【請求項16】
利用者により、前記走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示を受けた場合には、前記走行支援用プログラムの更新を中断し、後の停止継続時間において、中断した前記走行支援用プログラムの更新を実行する
ことを特徴とする請求項15に記載の自動車。
【請求項17】
無線通信手段と、
車外に居る利用者からの前記無線通信手段を通じた呼出要求を受けるための呼出要求受付手段を備え、
前記プログラム更新制御手段は、前記走行支援用プログラムの更新を実行中に、前記呼出要求受付手段で前記利用者からの呼出要求を受けた場合には、前記走行支援用プログラムの更新中であるため呼出不可であることを、前記無線通信手段を通じて前記利用者に通知する
ことを特徴とする請求項1~請求項16のいずれかに記載の自動車。
【請求項18】
前記走行支援用プログラムの更新中であるため呼出不可であることの通知を受けた利用者により、前記走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示を受けた場合には、前記走行支援用プログラムの更新を中断し、後の自車の停止継続時間において、中断した前記走行支援用プログラムの更新を実行する
ことを特徴とする請求項17に記載の自動車。
【請求項19】
自律走行を支援する自律走行支援用プログラムにより自律走行を実行するように制御する自動運転モード実行制御手段を備え、
前記走行支援用プログラムは、前記自律走行支援用プログラムである
ことを特徴とする請求項1~請求項18のいずれかに記載の自動車。
【請求項20】
手動運転モードを備え、
前記走行支援用プログラムは、自動衝突防止システム用プログラム、クルーズコントロールシステム用プログラム、又はレーンキープアシストシステム用プログラムを含む
ことを特徴とする請求項1~請求項19のいずれかに記載の自動車。
【請求項21】
前記自車状態判別手段で自車が走行中であると判別された場合には、前記走行支援用プログラムの更新は行わない
ことを特徴とする請求項1~請求項20のいずれかに記載の自動車。
【請求項22】
バッテリー残量検出部を備え、
前記プログラム更新制御手段は、前記バッテリー残量検出部で検出されたバッテリー残量をも考慮して、前記走行支援用プログラムの更新を実行するかどうかを制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項21のいずれかに記載の自動車。
【請求項23】
走行を支援する走行支援用プログラムを備える自動車が備えるコンピュータを、
前記走行支援用プログラムの更新プログラムの情報を取得するための更新プログラム取得手段、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に基づいて前記走行支援用プログラムの更新の実行を制御するプログラム更新制御手段、
自車が走行中であるか、停止中であるかを判別する自車状態判別手段、
走行以外用途の機能を提供する走行以外用途機能部、
前記自車状態判別手段で自車が停止中であると判別され、かつ、前記走行以外用途機能部で前記走行以外用途を提供している場合に、提供中の前記走行以外用途に基づいて停止継続時間を予測する停止継続時間予測手段、
として機能させるための自動車用プログラムであって、
前記プログラム更新制御手段は、
前記停止継続時間予測手段で予測された前記停止継続時間に基づいて前記走行支援用プログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であると判別した場合に、前記走行支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする自動車用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車及び自動車用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車には、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステムなどの走行支援機能が搭載され、より安全で、且つ、運転者の負担を軽減させることができるようになってきている。さらには、運転者が手動運転操作を全くしなくても自律走行することができる完全自動運転が可能な自動運転車の開発も進んでいる。(非特許文献1参照)。このような自動車の走行支援機能は、ソフトウェアプログラム(以下単にプログラムという)が用いられて実行される。
【0003】
ところで、プログラムは、その不具合を修正したり、新規機能を追加したりするために、適宜、更新されるのが通常である。この場合に、プログラムの更新のために、都度、自動車をディーラーに持ち込むようにすることは不便であるため、一般的には、プログラム更新サーバからインターネットを通じて自動車に更新プログラムを提供する方法が用いられる。
【0004】
ただし、自動車の走行支援用プログラムの更新は、いつでもできる訳ではなく、走行支援用プログラムを更新しながらの走行は危険であるので、走行中は避けるようにしなければならない。このことに鑑み、例えば特許文献1(特開2007-230317号公報)には、走行支援用プログラムの書き替え要求があった場合、車両を停止状態に制御した後、当該走行支援用プログラムの書き換えを実行するようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】雑誌「Newsweek ニューズウィーク日本版」2016年10月18日発行、p21-p30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術を用いる場合には、自動車が、走行しているときに、プログラム更新要求を受信したときには、自動車は、都度、停止制御されることになり、運転者や乗車者にとっては非常に不便である。
【0008】
この発明は、この問題点に鑑み、安全かつ適切なタイミングで、走行支援用のプログラムの更新を実行することができるようにした自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、
走行を支援する走行支援用プログラムを備える自動車であって、
前記走行支援用プログラムの更新プログラムの情報を取得するための更新プログラム取得手段と、
前記更新プログラム取得手段で取得される前記更新プログラムの情報に基づいて前記走行支援用プログラムの更新の実行を制御するプログラム更新制御手段と、
自車が走行中であるか、停止中であるかを判別する自車状態判別手段と、
走行以外用途の機能を提供する走行以外用途機能部と、
前記自車状態判別手段で自車が停止中であると判別され、かつ、前記走行以外用途機能部で前記走行以外用途を提供している場合に、提供中の前記走行以外用途に基づいて停止継続時間を予測する停止継続時間予測手段と、
を備え、
前記プログラム更新制御手段は、
前記停止継続時間予測手段で予測された前記停止継続時間に基づいて前記走行支援用プログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であると判別した場合に、前記走行支援用プログラムの更新を実行するように制御する
ことを特徴とする自動車を提供する。
【0010】
上述の構成の自動車においては、自車状態判別手段で自車が停止中であると判別され、かつ、走行以外用途機能部で走行以外用途を提供している場合に、提供中の走行以外用途に基づいて停止継続時間を予測する停止継続時間予測手段を備える。
【0011】
そして、プログラム更新制御手段は、停止継続時間予測手段で予測された停止継続時間に基づいて走行支援用プログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であると判別した場合に、走行支援用プログラムの更新を実行するように制御する。
【発明の効果】
【0012】
この発明による自動車によれば、自車が停止中であって、走行以外用途を提供している場合には、予測された停止継続時間に基づいて走行支援用プログラムの更新が可能であるか否か判別されて、可能であると判別した場合に、走行支援用プログラムの更新が実行されるので、安全性を担保しつつ、走行支援用プログラムの更新が適時にできるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明による自動車の第1の実施形態の電子制御回路部の構成例を示すブロック図である。
【
図2】この発明による自動車の第1の実施形態における降車後振る舞いの例を説明するための図である。
【
図3】この発明による自動車の第1の実施形態における降車時処理動作の流れの一例を示すフローチャートを示す図である。
【
図4】この発明による自動車の第1の実施形態におけるプログラム更新方法を説明するための図である。
【
図5】この発明による自動車の第1の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図6】この発明による自動車の第1の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図7】この発明による自動車の第1の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図8】この発明による自動車の第1の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図9】この発明による自動車の第1の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図10】この発明による自動車の第1の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図11】この発明による自動車の第1の実施形態における降車後振る舞いの例を説明するための図である。
【
図12】この発明による自動車の第1の実施形態における降車後振る舞いの例を説明するための図である。
【
図13】この発明による自動車の第1の実施形態における降車後振る舞いの例を説明するための図である。
【
図14】この発明による自動車の第2の実施形態の電子制御回路部の構成例を示すブロック図である。
【
図15】この発明による自動車の第2の実施形態における利用履歴の例を説明するための図である。
【
図16】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図17】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図18】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図19】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図20】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図21】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図22】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図23】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図24】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図25】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図26】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図27】この発明による自動車の第2の実施形態におけるプログラム更新動作の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【
図28】この発明による自動車の第2の実施形態における利用用途の設定の例を説明するための図である。
【
図29】この発明による自動車の第2の実施形態における利用用途の設定の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明による自動車の実施形態を、図を参照しながら説明する。以下に説明する自動車の実施形態は、運転者による手動運転操作に応じて走行を行う手動運転モードと、運転者による運転操作によらずに、自律走行を行うようにする自動運転モードを備える自動運転車の場合である。
【0015】
なお、この発明は、自律走行を行う自動運転モードは備えないが、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステム等が利用可能である自動車の場合にも適用できることは言うまでもない。自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステムは、それぞれのシステム用の走行支援用プログラムが用いられて動作する。
【0016】
なお、自動衝突防止アシストシステムは、障害物に対して衝突するのを防止して、自車を当該障害物の直前で停止させる機能を備えるものであり、これは、自動ブレーキシステムと呼称される等、名称は自動車会社等によりさまざまであるが、この明細書では、自動衝突防止システムの名称を用いるものとする。
【0017】
また、クルーズコントロールシステムは、直前を走行する他車と自車との車間距離を一定に保った状態での走行を維持する機能を有するものであるが、これも、オートクルーズシステム、自動追尾システム等、名称は自動車会社等によりさまざまであるが、この明細書では、クルーズコントロールシステムの名称を用いるものとする。
【0018】
また、レーンキープアシストシステムは、走行車線(走行レーン)の両側の白線を検知して、当該両側の白線内の走行を維持する機能を有するものであり、これもレーントレーシングアシストシステムと呼称する等、名称は自動車会社等によりさまざまであるが、この明細書では、レーンキープアシストシステムの名称を用いるものとする。
【0019】
もちろん、運転者による手動運転操作ができず、自律走行を行うようにする自動運転モードのみを備える自動車(完全自動運転車)であっても、この発明は実施できる。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10のハードウエア構成例を示すブロック図である。なお、この実施形態の自動運転車1は、電気自動車の場合の例であり、駆動源としてのバッテリー11を搭載している。
【0021】
また、この実施形態の自動運転車1は、手動運転モードと、この実施形態では自律走行を行う自動運転モードとを備えている。手動運転モードは、自動運転車ではない通常の自動車と同様に、運転者のアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。
【0022】
また、自動運転モードは、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動運転車1自身が自動的(自律的)に障害物を回避しながら自律走行するモードであり、運転者による所定の所作により、手動運転モードに自動的に切り替えられる。ここで、運転者による所定の所作とは、運転者の運転操作などの所定の操作と、運転者の後述するタッチパネルを通じた操作入力と、運転者による音声入力の所作を含むものである。なお、この自動運転モードの機能には、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステム等の機能も含まれるものである。
【0023】
例えば、自動運転車1の運転者による後述するタッチパネル112を通じた所定の操作により、手動運転モードで走行中の自動運転車1を自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作などの操作をすると、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。
【0024】
図1に示すように、電子制御回路部10は、コンピュータを搭載して構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、ブレーキ駆動制御部105、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、表示部111、タッチパネル112、カーナビゲーション(以下、カーナビと略称する)機能部113、利用者認証部114、呼出者認証部115、降車後振る舞い設定受付部116、振る舞い制御管理部117、プログラム更新管理制御部118、走行以外用途機能部119、音声入出力部120、時計部121、バッテリー残量検出部122、無線通信部123、のそれぞれが接続されている。
【0025】
モータ駆動制御部102には、モータ駆動部131が接続されている。ステアリング駆動制御部103には、ステアリング駆動部132が接続されている。また、手動/自動運転モード切替制御部104には、手動操作検知部133が接続され、ブレーキ駆動制御部105には、ブレーキ駆動部134が接続されている。また、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース135が接続されている。また、音声入出力部120には、スピーカ136及びマイクロフォン137が接続されている。
【0026】
モータ駆動制御部102は、制御部101の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動運転車1のモータ駆動部131への駆動信号の供給を制御して、自動運転車1の走行開始、走行速度制御(ブレーキ制御及びアクセル制御を含む)、走行停止などを制御するようにする。
【0027】
ステアリング駆動制御部103は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のステアリング駆動部132への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の進路変更の制御をするようにする。
【0028】
手動/自動運転モード切替制御部104は、タッチパネル112を通じた運転モード選択操作入力に応じて、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う。
【0029】
なお、手動/自動運転モード切替制御部104が、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う契機となる入力としては、タッチパネル112を通じた選択操作入力に限らず、マイクロフォン137を通じた切り替え指示の音声入力であってもよい。音声入力の場合には、マイクロフォン137を通じた切り替え指示の音声入力が音声認識部115で認識され、その認識結果が手動/自動運転モード切替制御部104に供給される。手動/自動運転モード切替制御部104は、受け取った音声認識結果に基づいて運転モードの切替を行うようにする。
【0030】
そして、手動操作検知部133は、運転者によるアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作さらにはステアリング操作の操作情報を受けて、その手動運転操作情報を手動/自動運転モード切替制御部104に供給する。手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転モードにおいて、運転者による手動運転操作が手動操作検知部124で検知された場合には、手動運転モードに切り替える制御を行う。
【0031】
手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1が手動運転モードのときには、手動運転操作検知部105からの手動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、運転者のペダル操作やシフトレバー操作、ステアリング操作(ハンドル操作)に応じて制御する。
【0032】
また、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1が自動運転モードのときには、後述するようにして、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109の出力に基づいて制御部101で生成される自動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、自動運転操作情報により駆動制御し、自律走行を行うようにする。なお、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113において、運転者などにより設定された行先(目的地)に対する現在位置からの経路が探索され、その探索された経路に沿って走行するように制御される。
【0033】
そして、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転モードにおいては、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作(ハンドル操作)等の所定の操作をすると、手動運転操作検知部105での手動運転操作の検知情報に基づいて、自動運転車1の運転モードを自動的に手動運転モードに戻すようにモード切替制御を行う。
【0034】
なお、完全自動運転車の場合は、自動運転モードしかないため、手動運転モードと自動運転モードの切替制御は必要なく、手動/自動運転モード切替制御部104も手動操作検知部133も存在しない。
【0035】
ブレーキ駆動制御部105は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のブレーキ駆動部134への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の速度を低下させたり、停止させたりする制御をするようにする。
【0036】
レーダー群106は、自動運転車1の車両の周囲に存在する人や物との距離を測るためのもので、1~複数個のレーザー・レーダー(正式にはLIDAR(Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging;ライダー))やミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。また、マイクロ波レーダーなど、その他のレーダーを用いてもよい。さらに、レーダーと同様の目的でソナー(図示せず)を用いることができる。
【0037】
カメラ群107は、自動運転車1の車内を撮影する1~複数個のカメラと、自動運転車1の前方、側方、後方など、車外の周囲を撮影する1~複数個のカメラとを含む。車内を撮影するカメラは、例えば運転席と助手席の間に設置されたバックミラー(後写鏡、ルームミラー)やフロントウインドウの上部などに取り付けられ、運転席に座った人物(運転者)の所作を撮影するカメラの他、助手席や、後部座席に座った乗車者(同乗者)の所作を撮影するためのカメラを含む。また、自動運転車1の周囲を撮影するカメラは、例えばバックミラーの左側方及び右側方に取り付けられ、自動運転車1の左前方及び右前方を主として撮影する2台のカメラ(ステレオカメラ)や、自動運転車1の例えばドアミラー又はフェンダーミラーに取り付けられて左右の側方を撮影するカメラ、自動運転車1の後方を撮影するカメラなどを含む。
【0038】
センサ群108は、ドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサ(例えば重量センサ)、運転席のハンドルを人がタッチしたことを検知するタッチセンサ(例えば静電容量センサ)などの他、車外の近傍の人物を検知する人感センサ(例えば赤外線センサ)や自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサからなる。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。また、この実施形態では、センサ群108には、右ウインカーや左ウインカー(方向指示器)やハザードランプ(非常点滅灯)の点灯を検知するセンサも含まれている。
【0039】
周囲移動体把握部109は、レーダー群106やセンサ群108、また、カメラ群107の撮像画像を用いて、自車の周囲の移動体(人物を含む)を把握するようにする。周囲移動体把握部109は、例えばベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習に基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。
【0040】
現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出する。現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度は悪いので、GPS衛星からの電波の受信で検出された現在位置の情報のみではなく、センサ群108に含まれる1~複数個のセンサ及びレーダー群106、カメラ群107の撮像画像(ナビ機能を併用)などをも用いると共に、例えばベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
【0041】
自動運転車1は、自動運転モードにおいては、現在位置検出部110や周囲移動体把握部109において、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、GPS衛星からの電波の受信で取得した位置情報などの各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習により処理し、これに基づき、制御部101は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(人工知能)及び制御(人工知能)を行って、自動運転操作情報を生成する。
【0042】
表示部111は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる。タッチパネル112は、LCDからなる表示部111の表示画面の上に、指やタッチペン等によるタッチ入力が可能なタッチセンサが重畳されて配設されたものである。表示部111の表示画面には、制御部101の制御に基づき、ソフトウエアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル112は、表示画面に表示されているソフトウエアボタン上の指やタッチペン等によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部101に伝達する。これを受けた制御部101は、ソフトウエアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。
【0043】
カーナビ機能部113に接続されているカーナビ用データベース135には、国内の地図及び経路案内データが、予め格納されている。カーナビ機能部113は、カーナビ用データベース135に記憶されている地図や、経路案内データに基づいて、自動運転車1が指定された目的地まで移動するのを補助するように案内するための機能部である。この実施形態では、カーナビ機能部113は、手動運転モードと、自動運転モードとで、若干異なる処理をするように構成されている。
【0044】
すなわち、手動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、表示部111の表示画面上において、目的地までの経路(ルート)を明示的に表示する地図上に、現在位置検出部110で検出確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させ、かつ、ルート上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で音声案内をするようにする。これは、通常のカーナビ機能と同様である。
【0045】
一方、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を制御部101に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を制御部101に通知するようにする。制御部101は、このカーナビ機能部113からの通知された情報と、現在位置検出部110の現在位置確認結果及び周囲移動体把握部109の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部102を通じてモータ駆動部131を制御すると共に、ステアリング駆動制御部103を通じてステアリング駆動部132を制御するための自動運転操作情報を生成する。したがって、自動運転モードにおけるカーナビ機能部113及び制御部101による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動運転車1は、目的地まで移動することができる。
【0046】
利用者認証部114は、記憶部114Mに記憶された利用者の認証用情報と、その時の利用者から取得した認証用情報とを用いて、利用者認証を行う。ここで、利用者とは、運転者が主であるが、運転者以外の乗車者であってもよい。この実施形態の自動運転車1は、運転者が存在していなくても、自動運転モードにより自律走行が可能である。
【0047】
この実施形態では、例えば、直近の降車者の顔画像と、新たな利用者(乗車者)の顔画像との一致/不一致により利用者認証を行う。このため、この実施形態においては、この利用者認証部114は、画像認識手段を備える構成とされている。
【0048】
利用者認証部114の記憶部114Mには、この実施形態では、カメラ群107の内の所定のカメラで撮影された降車者の顔画像が記憶される。この実施形態では、この記憶部114Mには、カメラで撮影された直近の降車者の顔画像が、記憶されていた以前の降車者の顔画像に重ね書きされて更新記憶される。もちろん、重ね書きせずに、以前の降車者の顔画像を残しておいてもよい。なお、記憶部114Mには、予め、自動運転車1を利用する者として登録する利用者(例えば家族構成員やカーシェアにおける会員や知人・友人など)の顔画像の画像情報が登録されて記憶されていてもよい。
【0049】
なお、利用者の音声により利用者認証を行うこともでき、その場合には、自動運転車1は、降車者の音声をマイクロフォン137で収音して、記憶部114Mにその降車者の音声を記憶する。そして、利用者認証部114は、話者音声認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた音声と、マイクロフォン137により収音された利用者の音声との一致/不一致を判定することで、利用者認証を行う。
【0050】
また、利用者の指紋により利用者認証を行うこともでき、その場合には、自動運転車1には、指紋読み取り装置が設けられると共に、記憶部114Mには、降車者の指紋が記憶され、利用者認証部114は、指紋認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた指紋と、指紋読み取り装置により取得された新たな利用者の指紋との一致/不一致を判定することで、利用者認証が行われる。利用者認証には、静脈、虹彩、声紋、その他の生体情報を用いることでき、それらの場合も、同様の構成の変更により可能となる。もちろん、これらの顔画像、音声、指紋などの生体情報を組み合わせて記憶し、利用者認証に用いてもよい。
【0051】
さらには、利用者が自動運転車1の鍵を保持することにより利用者認証を行うこともできる。
【0052】
なお、記憶部114Mには、マイクロフォンで収音された直近の降車者の音声が、記憶されていた以前の降車者の音声に重ね書きされて更新記憶されてもよいし、重ね書きせずに、以前の降車者の音声を残しておいてもよい。これは降車者の音声に限らず、指紋、静脈、虹彩、声紋、その他の生体情報でも同様の記憶の仕方が可能である。
【0053】
呼出者認証部115は、記憶部115Mに記憶された呼出者の認証用情報と、無線通信部123で呼び出しを受けた時に取得した呼出者から取得した認証用情報とを用いて、呼出者認証を行う。この実施形態では、直近の降車者の携帯電話端末の電話番号と、呼出者の携帯電話端末の電話番号との一致/不一致により呼出者認証を行う。
【0054】
呼出者認証部115の記憶部115Mには、この実施形態では、タッチパネル112を通じて入力された直近の降車者の携帯電話端末の電話番号が記憶される。この記憶部115Mに記憶される電話番号は、以前に記憶されていた電話番号に重ね書きされることで、直近の降車者のみの電話番号とされる。もちろん、重ね書きせずに、以前に記憶されていた電話番号を残しておいてもよい。なお、携帯電話端末の電話番号の代わりにメールアドレスが記憶されてもよいし、通信アプリのIDが記憶されてもよい。もちろん、これらが電話番号と組み合わせて記憶されていてもよい。この場合、メールアドレスや通信アプリのIDの重ね書きの有無も、電話番号の場合と同様である。さらに、呼出者に音声発話させ、話者認識を行うこともできる。
【0055】
呼出者認証部115は、無線通信部123への呼出者からの着信があった時に、その着信の電話番号を取得して、記憶部115Mに記憶された電話番号との一致/不一致を判定して、呼出者認証を行う構成とされている。
【0056】
なお、呼出者認証部115の構成に関しても、利用者認証部114の構成と同様に、認証用情報として使用する情報の違いに応じて構成が変更されるものである。
【0057】
降車後振る舞い設定受付部116は、この実施形態では、運転者や運転者以外の乗車者などの利用者の降車時における、当該利用者による自動運転車1がすべき降車後振る舞いの設定を受け付けて、受け付けた設定情報を内蔵する記憶部116Mに記憶する。また、この実施形態では、記憶部116Mには、予め利用者により降車後振る舞いのリストが登録されて記憶されている。降車後振る舞い設定受付部116は、記憶部116Mに記憶されている降車後振る舞いのリストを利用者に呈示し、そのリストの中から、利用者により選択設定された降車後振る舞いの情報の設定を受け付ける。なお、降車後振る舞い設定受付部116は、自動運転車1に設けられる以外に、自動運転車1と通信可能な利用者のスマートフォンなどの携帯電話端末に設けられるようにしてもよい。
【0058】
この場合に、図示は省略するが、降車後振る舞いリスト(後述の
図3参照)の各降車後振る舞いの項目をアイコンボタンの構成として、利用者が、希望するそれぞれのアイコンボタンをタッチパネル112において操作指示することで、降車後振る舞いの情報の選択設定入力をすることができる。記憶部116Mに記憶されている降車後振る舞いの例及び降車後振る舞い設定受付部116の設定受付処理については後述する。
【0059】
なお、降車後振る舞い設定用の入力方法としては、音声による各降車後振る舞いの読み上げ入力とすることもできる。制御部101は、そのための音声認識機能を備えているものである。
【0060】
振る舞い制御管理部117は、利用者の降車後の自車についての振る舞いを、降車後振る舞い設定受付部116で受け付けた降車後振る舞いに基づいて実行すると共に、その実行を管理する。振る舞い制御管理部117は、利用者により、降車後振る舞い設定受付部116で受け付けられた降車後振る舞い、及び当該降車後振る舞いを実行するための認証用情報や、時間情報を記憶する記憶部117Mを備えている。
【0061】
そして、この実施形態では、振る舞い制御管理部117は、自車が走行中であるか、停止中であるかを判別する自車状態判別手段と、自車状態判別手段で自車が停止中であると判別されたときに、停止継続時間を予測する停止継続時間予測手段の機能をも備えている。ここで、自車の停止中には、停車と駐車のいずれの停止中をも含むものである。そして、停止継続時間は、停止中の状態が終了するまでの継続時間である。
【0062】
なお、停止継続時間については、降車者が降車時に、タッチパネル112からの入力、マイクロフォン137を通じての音声入力、あるいは、スマートフォンなどの携帯電話端末からの入力をすることができ、その場合は、その入力した時間が、停止継続時間予測手段に反映され、予測された停止継続時間となる。また、降車時でなくても、乗車時や乗車中に既に利用者が停止中の時間の長さが把握できているのであれば、乗車時や乗車中に、停止継続時間(停止継続時刻)を、タッチパネル112を通じて入力したり、マイクロフォン137を通じて音声により入力したり、スマートフォンなどの携帯電話端末からの入力をすることできるようにしてもよい。
【0063】
振る舞い制御管理部117の自車状態判別手段は、この実施形態では、運転モードが、手動運転モードであるか自動運転モードであるかに関わらず、自車が走行中であるか、停止中であるかを判別する。
【0064】
これは、この実施形態の自動運転車1では、手動運転モードでの走行中であっても、運転者や乗車者により任意の時点で、自動運転モードに切り替えることが可能であるので、走行中は、自動運転モードの走行支援用のプログラムの更新を禁止して、より安全を確保するようにするためである。
【0065】
振る舞い制御管理部117の自車状態判別手段は、例えば、図示は省略した自車の走行速度検出手段により、速度が零である状態が、例えば信号待ちの時間以上の所定時間、継続したときに、自車が停止中であると判別する。この場合には、自車状態判別手段は、速度検出手段の機能や信号機の画像認識機能(赤信号などの識別)も有する。また、自車状態判別手段は、自車から運転者や乗車者が降車したことを検出したとき、自車が停止中であると判別するようにしてもよい。そして、この実施形態では、振る舞い制御管理部117は、自車状態判別手段で自車が停止中であると判別したら、プログラム更新管理制御部119に、自車の停止状態を通知するようにする。振る舞い制御管理部117の自車状態判別手段は、プログラム更新管理制御部119からの問い合わせがあった時に、自車が停止中か、走行中かを通知するようにしてもよい。
【0066】
振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段は、後述するように、この実施形態では、利用者により設定された降車後振る舞いから、停止継続時間を予測するようにする。この停止継続時間予測手段で予測された停止継続時間の情報は、この実施形態では、プログラム更新管理制御部119からの問い合わせがあったときに送られる。この場合に、停止継続時間予測手段は、自車状態判別手段で停止状態が判別されたときに、停止状態の終了時刻を予測しておく。そして、停止継続時間予測手段は、プログラム更新管理制御部119からの問い合わせがあったときには、その問い合わせの受付時点から、予測している終了時刻までの時間を、停止継続時間として算出し、プログラム更新管理制御部119に回答する。
【0067】
なお、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段は、自車状態判別手段で自車が停止中になったことが判別された時点で、停止状態の終了時刻を予測して、その予測した停止継続時間の情報を、プログラム更新管理制御部119に自動的に通知するようにしてもよい。その場合には、プログラム更新管理制御部119は、振る舞い制御管理部117から受け取った停止状態の終了時点の情報から、自身で停止継続時間を予測するようにすることができる。
【0068】
なお、この場合に、運転者が乗車しているときには、当該運転者による制御指示に従って自車の移動制御がなされるのが一般的であるという観点から、振る舞い制御管理部117は、この実施形態では、利用者が降車した後、自車内に運転者が存在しない場合にのみ、受け付けた降車後振る舞いに基づいた制御処理を実行及び管理をするようにする。この振る舞い制御管理部117による振る舞い制御及び管理(自車状態判別手段と停止継続時間予測手段の機能を含む)の例については、後で詳述する。
【0069】
走行以外用途機能部118は、AVエンタテインメント機能やゲーム機能など、自動運転車1の走行以外用途の機能を実行するための機能部である。タッチパネル112を通じた利用者による走行以外用途機能の選択及び開始指示により、その機能が実行開始され、利用者による終了指示(自動運転車1の駆動電源オフを含む)により、その機能の実行が終了される。AVエンタテインメント機能やゲーム機能など走行以外用途は、自車が停止状態である場合に限らず、自車の走行中(手動運転モードでの走行中及び自動運転モードでの走行中の両方)であっても利用可能である。
【0070】
プログラム更新管理制御部119は、無線通信部123によりインターネット2を通じて、後述するプログラム更新サーバ3(
図4参照)と接続して、自動運転車1の各部のプログラムの更新処理を行う。この実施形態の自動運転車1では、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、ブレーキ駆動制御部105、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、降車後振る舞い設定受付部116、振る舞い制御管理部117、などが走行用途用の機能部とされて、それぞれプログラムにより動作するようにされている。また、利用者認証部114、呼出者認証部115及び走行以外用途機能部118は、走行以外用途についての機能部であるが、これらも、それぞれプログラムにより動作するようにされている。プログラム更新管理制御部119は、それらの全てのプログラムの更新を管理及び制御する。
【0071】
音声入出力部120は、マイクロフォン137で収音した音声を取り込んで、例えば音声認識処理のためにシステムバス100に送出するようにする。また、音声入出力部120は、図示は省略するが、外部に放音する音声メッセージデータを記憶するメモリを内蔵すると共に、そのメモリから読み出された音声メッセージデータを、アナログ音声信号に変換する音声合成器やD-A変換器を内蔵している。そして、音声入出力部120は、制御部101の制御により選択された音声メッセージを、スピーカ136に供給して、音声として外部に放音するようにする。
【0072】
記憶する音声メッセージとしては、後述するように、例えば「降車後振る舞い設定をしますか?」などの問い合わせメッセージや、「認証しました。」、「認証できませんでした。」などの通知メッセージ、降車後振る舞い設定入力を受け付ける際の対話型メッセージなどが用意されている。また、「プログラムの更新中のため、呼び出しに応じることはできません。」あるいは「プログラムの更新中のため、お待ち下さい。」などの通知メッセージも用意されている。
【0073】
時計部121は、カレンダー機能を備え、年、月、日、曜日及び現在日時を提供すると共に、制御部101の制御に基づいて、所定のタイミングからの時間計測やプログラムの更新を実行中における更新時間の残時間の計測を行うためのタイマー機能も備える。
【0074】
バッテリー残量検出部122には、バッテリー11が接続されている。バッテリー残量検出部122は、駆動源残量検出部を構成するもので、この実施形態では、駆動源としてのバッテリー11の残量を検出する。そして、この実施形態では、バッテリー残量検出部122は、走行用途の場合には、残量分でどのくらいの距離が走行可能か、あるいは、どのくらいの時間、走行可能かを検出する機能を備えると共に、走行以外用途の場合にも、バッテリー11の残量分でどのくらいの時間継続して利用可能かを検出する機能を備えている。さらに、この実施形態では、バッテリー11の残量分でプログラムの更新が可能かどうかの判定も行う機能を備えている。
【0075】
無線通信部123は、インターネットを通じて、プログラム更新サーバやナビゲーション用の周辺検索サーバなどに接続する機能を備えると共に、利用者からの呼び出しに応じたりする機能を備えるもので、この例では、高機能携帯電話(スマートフォン)と同様の機能部を備える。したがって、自動運転車1の無線通信部123のそれぞれは、独自の携帯電話番号やメールアドレスを備える。
【0076】
以上のように、自動運転車1の電子制御回路部10は構成される。なお、上述の説明では、
図1に示した、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、利用者認証部114、呼出者認証部115、降車後振る舞い設定受付部116、振る舞い制御管理部117、走行以外用途機能部118は、各部がそれぞれプログラムの各処理機能は、それぞれの機能を実行するプログラムを制御部101がソフトウエア処理として実現することができる。なお、上記の各部の全てをプログラムによる処理機能とするのではなく、一部は、ハードウエアの構成部として構成してもよいことは言うまでもない。
【0077】
なお、この実施形態では、自動運転車1では、自車が停止状態であるときには、走行中にのみ動作させるべき各部への電源の供給が停止されるが、現在位置検出部110、利用者認証部114、呼出者認証部115、振る舞い制御管理部117、プログラム更新管理制御部119の各部は、スタンバイ状態とされ、制御部101により、必要なときに即座に起動することが可能とされている。制御部101が、全ての機能をプログラムにより実行する場合には、制御部101は、停止中においても、常にスタンバイ状態とされ、種々の起動トリガーに応じて起動可能であることは言うまでもない。
【0078】
[降車後振る舞い受付部116の記憶部116Mの記憶情報の例]
前述したように降車後振る舞い受付部116の記憶部116Mには、利用者が指定したい降車後振る舞いが予め記憶保持される。この降車後振る舞いとしては、自動運転車1に予め自動車会社などによりデフォルトとして登録されているものの中から選択することもできるし、利用者が設定して記憶させるようにすることもできる。また、インターネットのクラウド上に記憶したものを利用することもできる。
【0079】
図2は、この実施形態において、降車後振る舞い受付部116の記憶部116Mに記憶されている降車後振る舞いの例を示すものである。各降車後振る舞いの例について説明する。
【0080】
「既定の駐車場へ移動」は、利用者が降車した後、予め登録されている既定の駐車場へ自動運転車1が移動するようにするもので、駐車場への移動により降車後振る舞いは終了となる。ここで、既定の駐車場としては、複数の駐車場を登録することができ、「自宅の駐車場」、「会社の駐車場」、「契約駐車場」などを登録することができる。駐車場の登録は、その位置情報と、「自宅の駐車場」、「会社の駐車場」、「契約駐車場」などの駐車場の名称(種別)とを記憶することを意味している。利用者は、降車後振る舞いとしてこの「既定の駐車場へ移動」を選択設定するときには、既定の駐車場の名称も併せて選択設定するものである。
【0081】
この「既定の駐車場へ移動」が降車後振る舞いとして設定された場合には、利用者が降車した後、比較的長時間の間、例えば1時間以上、自動運転車1の利用は予定されていないと予測される。そこで、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、この利用がされないと予測される時間を停止継続時間として予測する。
【0082】
「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」は、自動運転車1が利用者の降車位置近傍の駐車場を検索して、その駐車場で待機し、その後、利用者が、携帯電話端末で、自動運転車1の無線通信部123を通じて呼出の電話通信をすると、その呼出に応じて、自動運転車1は、利用者が降車した場所に戻るようにするものである。また、この実施形態では、利用者は、降車時に、呼出時の認証用情報と再乗車のための認証用情報を登録するようにする。振る舞い制御管理部117は、登録された認証用情報を、降車後振る舞いの設定情報と共に記憶部117Mに記憶保持する。なお、呼出時の認証用情報と再乗車のための認証用情報は、再乗車が完了した時点で、削除(抹消)するようにすることもできる。
【0083】
この場合に、呼出までの待機時間の入力が利用者に対して促され、
図2に示すように、当該待機時間の入力欄に、利用者により待機時間が設定入力される。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、この設定入力された待機時間から停止継続時間を予測する。
【0084】
自動運転車1の振る舞い制御管理部117は、携帯電話端末を通じた利用者による呼出があった時に、登録されている呼出時の認証用情報を用いて呼出者の認証を行い、認証がOKであったときにのみ呼出に応じて、利用者が降車した場所に戻る移動制御を行う。この実施形態では、呼出時の認証用情報として、例えば呼出者の携帯電話端末の電話番号(加入者番号)が、降車時に登録され、呼出者からの着信を受けた時に、呼出者の電話番号が登録された電話番号であるか否かにより認証を行う。
【0085】
そして、自動運転車1の振る舞い制御管理部117は、利用者の再乗車を検知したときには、登録されている再乗車時の認証用情報を用いて再乗車者の認証を行い、認証がOKであったときにのみ再乗車者により自車の利用を許可するように制御する。この実施形態では、再乗車時の認証用情報として、例えば利用者の顔画像を降車時に登録しておき、利用者の再乗車時に、顔画像による顔認識により、利用者が登録された降車者であるか否かにより認証を行う。
【0086】
なお、呼出時の認証用情報としては、携帯電話端末の電話番号に限られるものではなく、メールアドレスでもよい。また、パスワードやIDなどを登録しておき、呼出者からの呼出の着信に基づく通信において、そのパスワードやIDなどを送ってもらって、両者の一致を確認することで認証を行うようにしてもよい。電話番号やメールアドレスと、それらパスワードやIDとの組み合わせを呼出時の認証用情報としてもよい。
【0087】
また、再乗車者の認証用情報としては、顔画像のみではなく、声(音声)や指紋、静脈、虹彩などの生体情報であってもよいし、さらには、パスワードやIDを用いるようにしてもよい。また、それらの組み合わせを認証用情報としてもよい。
【0088】
「ここで待機」は、自動運転車1は、利用者が降車した場所で、そのまま待機するものである。この場合に、待機時間の入力が利用者に対して促され、
図2に示すように、当該待機時間の入力欄に、利用者により待機時間が設定入力される。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、この設定入力された待機時間から停止継続時間を予測する。
【0089】
更に、この実施形態では、降車時に利用者は、再乗車のための認証用情報を登録するようにする。この再乗車のための認証用情報は、前述した「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」において説明したものと同様とすることができ、この実施形態では利用者(例えば運転者)の顔画像とする。振る舞い制御管理部117は、登録された認証用情報を、降車後振る舞いの設定情報と共に記憶部117Mに記憶保持する。
【0090】
「地点Aに向かう」は、自動運転車1は、自律走行により利用者が指定した場所に向かう動作をするものである。地点Aは、利用者により降車時に指定される。この地点Aは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)でしてもよい。さらに、地点Aが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよい。この場合には、継続して停止中となる時間を予測するのは困難であるので、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、停止継続時間は例えば零と予測する。
【0091】
この「地点Aに向かう」の場合の再乗車者は、降車した利用者に限られるものではない。そこで、再乗車者の認証用情報として、この実施形態では、パスワードやIDが設定される。振る舞い制御管理部117は、登録された認証用情報を、降車後振る舞いの設定情報と共に記憶部117Mに記憶保持する。
【0092】
「呼出に応じて迎えに行く」は、利用者が降車した後は、自動運転車1は呼出があるまでは自由な動作(自律走行による走行も可能)を行うことができる。利用者が、携帯電話端末で、自動運転車1の無線通信部123を通じて呼出の電話通信をすると、その呼出に応じて、自動運転車1は、利用者が指定した場所に迎えに行くようにする。この場合に、迎えに行く場所の情報は、利用者が自動運転車1に呼出の電話通信をしたときに、その電話通信において自動運転車1に送られる。例えば利用者の携帯電話端末が備えるGPSによって測位された現在位置の情報が、迎えに行く場所の情報として、利用者の携帯電話端末から自動運転車1に送られる。更に、この場合にも、利用者は、降車時に、呼出時の認証用情報と、再乗車のための認証用情報を登録するようにする。呼出時の認証用情報及び再乗車のための認証用情報に関しては、「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」と同様の処理を行う。
【0093】
なお、この場合にも、継続して停止中となる時間を予測するのは困難であるので、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、停止継続時間は例えば零と予測する。
【0094】
また、呼出は電話通信に限らず、メールでの呼出しでもよいし、通信アプリによる呼出でもよい。
【0095】
「地点Bで待機」は、自動運転車1は、利用者が指定した場所で待機して、利用者の再乗車を待つものである。地点Bは、利用者により降車時に指定される。この地点Bは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)でしてもよい。さらに、地点Bが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよい。
【0096】
この場合に、待機時間の入力が利用者に対して促され、
図2に示すように、当該待機時間の入力欄に、利用者により地点Bでの待機時間が設定入力される。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、この設定入力された待機時間から停止継続時間を予測する。
【0097】
そして、この場合の利用者の再乗車時の認証用情報としては、前述した「近隣の駐車場で呼ぶまで待機」において説明したものと同様とすることができ、この実施形態では利用者(例えば運転者)の顔画像とする。振る舞い制御管理部117は、登録された認証用情報を、降車後振る舞いの設定情報と共に記憶部117Mに記憶保持する。
【0098】
「所定時間後に降車位置に戻る」は、利用者が降車後に所定の用事を行っている所定時間後、降車位置(現在位置)に戻る(移動せず居ることを含む)ことを前提とした降車後の振る舞いである。利用者は、降車時に、
図2に示すように、「所定時間」の入力欄に所定時間を直接的に設定したり、「所定時間」を把握するための用事を、その入力欄に入力したりする。すなわち、この場合の「所定時間」の設定の仕方としては、
【0099】
(a)時計部121に対するタイマー時間の設定、
【0100】
(b)マイクロフォン137を通じての音声入力による設定、例えば「ちょっとだけ用事」、「トイレ」、「食事」、「コンサート」、「野球観戦」、「サッカー観戦」、「大相撲観戦」、「2,3分」、「1時間ほど」など、
【0101】
(c)表示部111に表示された所定の用事のリストの中からの選択
等が挙げられる。
【0102】
自動運転車1の制御部101が、(b)及び(c)の所定時間を把握するための情報の入力からの所定時間の把握の仕方の例を以下に示す。なお、(b)の場合には、「」で囲んだ文言が音声入力され、音声認識された用事が、入力欄に表示される。また、(c)の場合には、「」で囲んだ文言がリストの中から選択され、その選択された用事が、入力欄に表示される。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、「所定時間」が設定されている場合には、その時間情報から、また、「用事」が選択入力された場合には、当該選択された「用事」から「所定時間」を把握し、把握した「所定時間」から停止継続時間を予測する。
【0103】
「用事」と所定時間との例を以下に示す。
・「トイレ」 短めに時間を見積もって、所定時間は例えば10分として把握する。
・「大相撲観戦」 本場所の場合は、ほぼ18時に終了するので、その終了時刻を目安に、現在時刻からの所定時間を把握する。
・「野球観戦」 プロ野球の場合、試合開始から約3時間、高校野球の場合、試合開始から約2時間が目安である。延長戦になると時間が加算される。例えばインターネットを通じて所定のサイトから試合開始時間が入手できると共に、インターネットを通じて所定のサイトから放送中継等を入手すれば、試合終了時刻が把握できる。
・「サッカー観戦」 前半45分 ハーフタイム15分 後半45分 ロスタイム少々を目安に所定時間を把握する。延長戦になると時間が加算される。例えばインターネットを通じて所定のサイトから試合開始時間が入手できると共に、インターネットを通じて所定のサイトから放送中継等を入手すれば、試合終了時刻が把握できる。
・「コンサート」 主催者側発表の終演時間が目安である。降車時に、利用者により、その終演時間が入力され、その時刻を目安に所定時間を把握する。
・「映画鑑賞」 終演時間は確定している。降車時に、利用者により、その終演時間が入力され、その時刻を目安に所定時間を把握する。
・「ショッピングセンター」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば2時間として把握する。
・「デパート」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば2時間として把握する。
・「量販店(家電・コンピュータ)」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば1時間として把握する。
・「本屋」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば30分として把握する。
・「花屋」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「小さい商店」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「コンビニ」 経験値・統計値を基に所定時間を、例えば15分として把握する。
・「郵便局」 待ち時間によるが、郵便を投函するだけなら例えば3分、郵便窓口なら例えば10分、ATMなら例えば5分、貯金や保険の窓口なら例えば20分として所定時間を把握する。
・「銀行」 待ち時間によるが、ATMなら例えば5分、窓口なら例えば20分として所定時間を把握する。ATMは、利用待ちのため並んで待っている利用予定者の人数が外から把握できる場合は、当該人数をカメラで撮影した画像を認識することで、例えばATM待ち1人あたり3分として、3分に当該人数を乗じ、所定時間に加算するようにしてもよい。
・「塾」 終了時間は確定している。降車時に、利用者により、その終了時間が入力され、その時刻を目安に所定時間、例えば2時間を所定時間として把握する。
・「レストラン」 例えば昼食30分、夕食2時間として、所定時間を把握する。
・「喫茶店」 例えば1時間として、所定時間を把握する。
・「釣堀」 例えば2時間として、所定時間を把握する。
・「神社・仏閣」 初詣など。例えば1時間として、所定時間を把握する。
・「テーマパーク・アミューズメントパーク・レジャーランド・遊園地」 たっぷり遊ぶということで、例えば8時間として、所定時間を把握する。閉園までいるということであれば、現在から閉園時間までが所定時間として計算できる。
・「博物館・美術館」 大英博物館やルーブル美術館のように大きな施設であれば、例えば5時間、あるいは閉館時間までとして所定時間を把握し、小さな施設であれば、例えば1時間として所定時間を把握する。
・「動物園・水族館」 例えば3時間として、所定時間を把握する。
・「車両進入禁止エリア」 「ここから先、車はご遠慮ください」のような表示があるが、その先が見てみたい場合、車を降りて見てくる。例えば15分として、所定時間を把握する。
【0104】
なお、自動運転車1がTPO(状況、混雑度等)を判断し、所定時間を決定してもよい。また、利用者を降ろした場所での駐車スペースの有無も所定時間を判断する条件とするようにしても勿論よい。さらに、郵便局や銀行、レストランや喫茶店などで待ち時間が把握できるアプリケーションが提供されている場合、その待ち時間を所定時間の把握に用いることができる。この場合に、レストランや喫茶店などが備える待ち時間が把握できるアプリケーションが待ち時間の情報の提供機能を備えている場合には、自動運転車1は無線通信部123を通じて当該待ち時間の情報を受信して把握することができる。
【0105】
また、待ち時間がレストランや喫茶店などにおいて外部から見える場所に掲示されている場合には、カメラ群107で撮影した画像から画像認識することで、自動運転車1は、待ち時間の把握をすることができる。待ち時間を把握した利用者が、タッチパネル112を通じて、あるいは、マイクロフォン137を通じて音声により、その待ち時間を自動運転車1に対して入力するようにしてもよい。
【0106】
この例では、降車後振る舞いを「所定時間後に降車位置に戻る」としたが、「所定時刻に降車位置に戻る」とすることもできる。また、両方の降車後振る舞いを用意しておいてもよい。
【0107】
「所定時間後に地点Cに居る」も、利用者が降車後に所定の用事を行うことを前提とした降車後の振る舞いであり、かつ、所定時間後に再乗車する地点として、降車位置(現在位置)ではない別の地点Cに移動するものである。「所定時間後に降車位置に戻る」と同様に、利用者は、降車時に、「所定時間」を直接的に設定したり、「所定時間」を把握するための「用事」を入力したりすると共に、地点Cを設定する。振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能においては、「所定時間」が設定されている場合には、その時間情報から、また、「用事」が選択入力された場合には、当該選択された「用事」から「所定時間」を把握し、把握した「所定時間」から停止継続時間を予測する。
【0108】
地点Cは、予め登録してある地点の中から設定してもよいし、例えば地図上において指定したり、住所を入力して指定したり、特定可能な建物名などを指定したりするようにしてもよい。また、緯度と経度の二次元座標(または標高を加えて三次元座標)でしてもよい。さらに、地点Cが電話番号で特定できる場合は、電話番号を入力して指定してもよい。
【0109】
地点Cが降車位置(現在位置)に近接している場合、「所定時間」の設定の仕方及び自動運転車1の制御部101における所定時間の把握の仕方は、「所定時間後に降車位置に戻る」と同様である。地点Cが降車位置(現在位置)から離れている場合(例えば1km以上)、降車位置(現在位置)から地点Cへの移動時間が、所定時間に大きく影響する。そのため、所定時間は、所定の用事にかかる時間だけでは不足しており、移動にかかる時間を加算して把握する必要がある。移動時間の計算(推定)には、少なくとも移動手段とその手段での移動距離または移動区間の情報の入力が必要となる。したがって、地点Cが降車位置(現在位置)から離れている場合は、利用者が、降車時に、「所定時間」を直接的に設定するのが好ましい。
【0110】
この場合でも、降車後振る舞いは「所定時間後に降車位置に戻る」と同様、「所定時間後に地点Cに居る」ではなく、「所定時刻に地点Cに居る」とすることができる。また、両方の降車後振る舞いを用意しておいてもよい。
【0111】
[実施形態の自動運転車1での利用者が降車時の処理動作の例]
次に、自動運転車1に乗車していた利用者、この例では、特に運転者が降車をしようとする際における自動運転車1の制御部101の処理動作の概要について説明する。
【0112】
この実施形態では、自動運転車1に乗車していた利用者、この例では、特に運転者が降車をしようとすると、自動運転車1は、降車後振る舞いを設定するかどうかを降車しようとする運転者に問い合わせをする。この問い合わせに対して、運転者が降車後振る舞いの設定入力をすると、自動運転車1は、当該運転者による降車後振る舞い設定入力を受け付け、運転者の降車後に受け付けた降車後振る舞いに応じた処理を行う。
【0113】
図3は、運転者が降車するときの自動運転車1の電子制御回路部10の制御部101が実行する処理動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。なお、この
図3のフローチャートにおける各ステップの処理は、降車後振る舞い設定受付部118及び振る舞い制御処理部120の各処理機能を、制御部101がプログラムを実行することで行うソフトウエア処理として実現するようにした場合として説明する。
【0114】
制御部101は、運転者により、自車のモータ駆動部131の駆動が停止させられたか否か判別する(ステップS1)。このステップS1で、モータ駆動部131の駆動は停止させられてはいないと判別したときには、制御部101は、走行時に必要な制御を継続し(ステップS2)、その後、ステップS1に戻る。
【0115】
ステップS1で、モータ駆動部131の駆動は停止させられたと判別したときには、一般的には、運転者は降車すると予想されることから、制御部101は、降車後振る舞い設定をするかどうかの問い合わせのメッセージを表示部111に表示すると共に、スピーカ136を通じて音声として放音する(ステップS3)。
【0116】
制御部101は、ステップS3における降車後振る舞い設定をするかどうかの問い合わせに対する運転者からの回答を監視して判別し(ステップS4)、運転者が降車後振る舞い設定をしないと回答したと判別したときには、この
図3の処理ルーチンを終了する。この場合、自動運転車1は、運転者が降車した位置で、モータ駆動部131を停止したまま、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとする。また、運転者が降車後振る舞い設定をしない場合における所定の振る舞いを予め設定し、それを実行するようにしてもよい。予め設定される所定の振る舞いは、スケジュール情報になっていてもよい。
【0117】
ステップS4で、運転者が降車後振る舞い設定をすると回答したと判別したときには、制御部101は、記憶部116Mに記憶されている降車後振る舞いを、
図2に示すようなリストとして表示部111の表示画面に表示する(ステップS5)。
【0118】
そして、次に、制御部101は、タッチパネル112を通じた利用者の入力操作を監視して、表示画面に表示されているリストからの降車後振る舞いの選択操作の受け付けを待つ(ステップS6)。このステップS6で、リストからの降車後振る舞いの選択操作を受け付けたと判別したときには、制御部101は、その選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を行う(ステップS7)。ステップS7の選択された降車後振る舞いの受付処理については、後で詳述する。
【0119】
次に、制御部101は、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を完了したか否か判別し(ステップS8)、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理を完了したと判別したときには、利用者により選択された降車後振る舞いの選択情報及びそれに付随する情報を記憶する(ステップS9)。なお、選択された降車後振る舞いを受け付けるための処理が、所定時間(例えば10分)以内に完了しない場合は、利用者が降車後振る舞い設定をしないと判断し、
図3の処理ルーチンを終了してもよい。この場合、上述と同様に、自動運転車1は、運転者が降車した位置で、モータ駆動部131を停止したまま、停止中の処理として必要な部位への給電を維持しつつ電源もオフとする。また、運転者が降車後振る舞い設定をしない場合における所定の振る舞いを予め設定し、それを実行するようにしてもよい。予め設定される所定の振る舞いは、スケジュール情報になっていてもよい。
【0120】
次に、制御部101は、ドアセンサなどにより利用者の降車を確認すると共に、運転者の有無を判別する(ステップS10)。この運転者の有無は、運転席に設けられている重量センサや圧力センサなどからなる着座センサや、ハンドルやタッチパネル112に人がタッチしたか否かを判別するタッチセンサ、また、カメラ群107の内の運転席の運転者を撮影するためのカメラの撮像画像から判別する。あるいは、マイクロフォン135が収音した運転席の運転者の音声の有無から判別する。そして、運転者が存在しているときには、運転者が降車するのを待ち、ステップS10で運転者が降車して居なくなったことを判別すると、制御部101は、記憶した選択された降車後振る舞いを実行するようにする(ステップS11)。このステップS11において、自動運転車1が走行して移動する場合には、自動運転車1は、自動運転モードにより自律走行するものである。
【0121】
[プログラムの更新の概要]
この実施形態の自動運転車1は、
図4に示すように、無線通信部123を用いて、インターネット2を通じてプログラム更新サーバ3に接続して、自車が備えるプログラムの更新を実行する。
【0122】
この場合に、プログラム更新サーバ3は、各自動運転車1(クライアント)の識別情報と対応して、各自動運転車1が搭載している1~複数個のプログラムを記憶して管理するクライアント情報記憶管理部31と、各自動運転車1への更新プログラムの情報の提供を管理及び制御する更新プログラム管理制御部32とを備えている。クライアント情報記憶管理部31には、各自動運転車とインターネットを通じて接続するための接続用情報(携帯電話番号やURL(Uniform Resource Locatorなど)も記憶されている。
【0123】
クライアント情報記憶管理部31の記憶情報は、各自動運転車1からインターネット2を通じてプログラム更新サーバ3に接続して、クライアントとして予め登録することにより、記憶される。また、予め、自動運転車1の販売会社や製造会社が、プログラム更新サーバ3のクライアント情報記憶管理部31に、各自動運転車1の識別情報と対応して、搭載している1~複数個のプログラム(プログラム識別情報等)及び各自動運転車1の接続用情報を記憶しておくようにしてもよい。
【0124】
更新プログラム管理制御部32には、更新プログラムの情報が提供されて一時格納される。更新プログラム管理制御部32は、一時格納した更新プログラムの情報を、当該更新プログラムの情報によるプログラムの更新が必要なクライアントの自動運転車1に送信してプログラムの更新を実行させるようにする。自動運転車1からは、プログラムの更新が完了したときには、その更新完了通知がプログラム更新サーバ3に通知される。プログラム更新サーバ3は、この更新完了通知を受けて、更新プログラムの自動運転車毎の完了を把握し、必要な全ての自動運転車1への更新プログラムの提供が完了したら、当該更新プログラムを一時格納部から消去して、プログラムの更新が終了となる。
【0125】
この場合に、
図4に示すように、プログラム更新サーバ3から各クライアントの自動運転車1への更新プログラムの情報の提供の仕方としては2つの方法がある。第1の方法は、
図4の左側の自動運転車1とプログラム更新サーバ3との組み合わせとして示すように、プログラム更新サーバ3から各クライアントの自動運転車1に、更新プログラムが存在することを更新通知により報知し、応答のあった自動運転車1に対して更新プログラムの情報をダウンロードする方法である。
【0126】
第2の方法は、
図4の右側の自動運転車1とプログラム更新サーバ3との組み合わせとして示すように、自動運転車1側から、更新プログラムが存在しているか否かの問い合わせをし、プログラム更新サーバ3が、この問い合わせに対して、当該時点で、問い合わせをしてきた自動運転車1に提供する更新プログラムがあるかどうかを判断し、あると判断した場合には、問い合わせしてきた自動運転車1に更新プログラムの情報を提供する方法である。
【0127】
なお、この実施形態において、更新プログラムの情報には、その更新に必要な時間の情報(更新時間の情報)と、更新プログラムが走行用途のものか、走行以外用途のものかの更新プログラムの種別の情報と、いずれのプログラムの更新プログラムであるかを示すプログラム識別情報が含まれている。
【0128】
上記の第1の方法においては、この実施形態では、自動運転車1のプログラム更新管理制御部119は、プログラム更新サーバ3から更新通知を受け取ったときに、プログラム更新サーバ3からの更新プログラムの情報のダウンロードを受けて更新プログラムの情報を取得するが、プログラムの更新が可能かどうかを判断して、可能であると判断したときに、プログラムの更新を実行するようにする。
【0129】
この場合に、プログラム更新管理制御部119は、プログラムの更新が可能かどうかについては、先ず、更新プログラムの種別、すなわち、更新プログラムが自律走行の支援に係る走行支援用プログラムに関するものか、走行以外用途用プログラムに関するものであるかを判別し、走行以外用途用プログラムに関するものであると判別したときには、そのまま、取得した更新プログラムによる更新を実行する。走行以外用途用プログラムであれば、走行中であってもプログラムの更新をしても危険が生じないからである。
【0130】
そして、走行支援用プログラムに関するものであると判別したときには、プログラム更新管理制御部119は、振る舞い制御管理部117に問い合わせて、自車が停止中か走行中かを認定し、自車が走行中であれば、走行支援用プログラムの更新を実行すると危険となる恐れがあるために、取得した更新プログラムの情報を記憶保持しておき、後の停止状態において更新を実行するようにする。
【0131】
プログラム更新管理制御部119は、また、自車が停止中であるときには、取得した更新プログラムの情報に含まれる更新時間の情報により更新時間を認識すると共に、振る舞い制御管理部117に問い合わせて、予測される停止継続時間を取得し、停止継続時間の間にプログラムの更新が可能であるか否か判別し、可能であれば、取得した更新プログラムによる更新を実行する。また、停止継続時間の間ではプログラムの更新が不可であると判別したときには、取得した更新プログラムの情報を記憶保持しておき、後の停止状態において更新を実行するようにする。
【0132】
次に、第2の方法においては、自動運転車1のプログラム更新管理制御部119は、振る舞い制御管理部117からの自車が停止状態となった旨の通知を受けて、自車の停止状態を確認したら、更新プログラムが存在しているか否かの問い合わせを、無線通信部123を通じてプログラム更新サーバ3に送る。
【0133】
プログラム更新サーバ3は、この問い合わせを受け取ると、問い合わせをしてきたクライアントの自動運転車1を、その識別情報から認定し、クライアント情報記憶管理部31及び更新プログラム管理制御部32において、当該クライアントの自動運転車1に対して提供すべき更新プログラムがあるか否か判断する。そして、更新プログラムがあると判断したときには、更新プログラム管理制御部32は、その問い合わせをしてきた自動運転車1に対して、更新プログラムの情報を送信して提供する。
【0134】
この更新プログラムの受信した自動運転車1のプログラム更新管理制御部119は、更新プログラムが走行以外用途用プログラムに関するものであれば、そのまま、取得した更新プログラムによる更新を実行する。また、受信した更新プログラムの情報が、走行支援用プログラムに関するものであれば、プログラム更新管理制御部119は、振る舞い制御管理部117に、予測される停止継続時間を問い合わせて、取得した更新プログラムの情報に含まれる更新時間と比較し、停止継続時間の間にプログラムの更新が可能であれば、取得した更新プログラムによる更新を実行する。また、停止継続時間の間では走行支援用プログラムの更新が不可であると判別したときには、取得した更新プログラムの情報を記憶保持しておき、後の停止状態において更新を実行するようにする。
【0135】
以下、第1の方法及び第2の方法のそれぞれの場合におけるその動作の流れの例について、
図5以下のフローチャートを参照して説明する。以下のフローチャートの説明においては、制御部101が、電子制御回路部10の各機能部を、プログラムによるソフトウェアとして実行する場合として、各ステップにおける動作を説明する。
【0136】
<第1の方法の場合>
制御部101は、無線通信部123においてプログラム更新サーバ3(以下、サーバ3と略称する)からのプログラムの更新通知を受信したか否か監視する(ステップS21)。このステップS21で、プログラムの更新通知を受信してはいないと判別したときには、制御部101は、その他の処理をし(ステップS22)、その後、ステップS21に戻り、このステップS21以降の処理を繰り返す。
【0137】
ステップS21で、プログラムの更新通知を受信したと判別したときには、制御部101は、当該更新通知に対する応答をサーバ3に返す(ステップS23)。すると、サーバ3からは、更新プログラムの種類と、更新時間の情報を含む更新プログラムの情報がダウンロードされてくるので、制御部101は、当該更新プログラムの情報を無線通信部123を通じて受信して取得する(ステップS24)。
【0138】
そして、制御部101は、取得した更新プログラムの情報に含まれる更新プログラムの種別の情報から、当該更新プログラムは走行支援用か否か判別する(ステップS25)。このステップS25で走行支援用ではなく、走行以外用途用であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応するプログラムの更新を実行する(ステップS26)。
【0139】
そして、制御部101は、プログラムの更新の完了を待ち(ステップS27)、プログラムの更新の完了を判別したときには、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS28)。このプログラムの更新完了通知には、自動運転車1の識別情報と、更新が完了したプログラムの識別情報が含まれている。サーバ3は、この更新完了通知を受けて、いずれの自動運転車1の、いずれのプログラムの更新が完了したかを認定し、その認定結果をクライアント情報記憶管理部31の更新履歴の情報を反映する。サーバ3は、更新完了通知を受けるごとに、更新履歴の情報の書き込みの処理を行う。
【0140】
このステップS28の次には、制御部101は、処理をステップS21に戻し、このステップS21以降の処理を繰り返す。
【0141】
また、ステップS25で、取得した更新プログラムの情報は、走行支援用であると判別したときには、制御部101は、自車は停止状態であるか否か判別する(ステップS29)。このステップS29で、自車は停止状態であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報に含まれる更新時間の情報から、更新時間を把握する(ステップS30)。次に、制御部101は、振る舞い制御管理部117で予測された停止継続時間の情報を取得して、現時点からの停止継続時間を予測する(
図6のステップS31)。
【0142】
そして、制御部101は、更新時間の情報と、予測された現時点からの停止継続時間の情報とから、予測された現時点からの停止継続時間内に走行支援用プログラムの更新が可能か否か判別する(ステップS32)。このステップS32で、予測された現時点からの停止継続時間内に走行支援用プログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応する走行支援用プログラムの更新を実行する(ステップS33)。
【0143】
そして、制御部101は、走行支援用プログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS34)、プログラムの更新が完了してはいないと判別したときには、運転者による走行開始要求が発生したか否か判別し(ステップS36)、運転者による走行開始要求が発生したと判別したときには、「プログラム更新中のため走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS37)。そして、制御部101は、このステップS37の次には、ステップS34に処理を戻し、このステップS34以降の処理を繰り返す。
【0144】
ステップS36で、運転者による走行開始要求が発生してはいないと判別したときには、制御部101は、呼出要求を受信したか否かを判別し(ステップS38)、呼出要求を受信したと判別したときには、「プログラム更新中のため呼出に応じた走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS39)。そして、制御部101は、このステップS39の次には、ステップS34に処理を戻し、このステップS34以降の処理を繰り返す。また、呼出要求を受信していないと判別したときには、制御部101は、ステップS34に処理を戻し、このステップS34以降の処理を繰り返す。
【0145】
そして、ステップS34で、走行支援用プログラムの更新が完了したと判別したときには、制御部101は、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS35)。そして、制御部101は、処理をステップS21に戻し、このステップS21以降の処理を繰り返す。
【0146】
そして、
図5のステップS29で、自車は停止状態ではなく、走行中であると判別したとき、また、
図6のステップS32で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新はできないと判別したときには、制御部101は、ステップS24で取得した更新プログラムの情報を記憶保持する(
図7のステップS41)。そして、制御部101は、自車が停止状態になったか否かを判別し(ステップS42)、自車が停止状態になったと判別したときには、記憶している更新プログラムの情報に含まれる更新時間の情報から、更新時間を把握する(ステップS43)。次に、制御部101は、振る舞い制御管理部117で予測された停止継続時間の情報を取得して、現時点からの停止継続時間を予測する(ステップS44)。
【0147】
そして、制御部101は、更新時間の情報と、予測された現時点からの停止継続時間の情報とから、予測された現時点からの停止継続時間内に走行支援用プログラムの更新が可能か否か判別する(ステップS45)。このステップS45で、予測された現時点からの停止継続時間内に走行支援用プログラムの更新が可能ではないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS42に戻し、このステップS42以降の処理を繰り返す。ステップS42で、自車が停止状態になってはいないと判別したときにも、制御部101は、処理をステップS42に戻し、このステップS42以降の処理を繰り返す。
【0148】
また、ステップS45で、予測された現時点からの停止継続時間内に走行支援用プログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応する走行支援用プログラムの更新を実行する(ステップS46)。このステップS46の次には、制御部101は、処理を
図6のステップS34に移行して、このステップS34以降の処理を繰り返す。
【0149】
<第2の方法の場合>
制御部101は、振る舞い制御管理部117の自車状態判別手段の機能により、自車が停止状態となったか否か判別する(ステップS51)。このステップS51で、停止状態とはなってはいないと判別したときには、制御部101は、その他の処理を実行し(ステップS52)、その後、処理をステップS51に戻し、このステップS51以降の処理を繰り返す。
【0150】
ステップS51で、自車が停止状態となったと判別したときには、制御部101は、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段の機能により、停止継続時間を予測し(ステップS53)、予測された停止継続時間は、予め定めた所定時間以上であるか否かを判別する(ステップS54)。ステップS54での判別は、停止後すぐに再発車するような場合を除くためであり、所定時間は、例えば5分と定められる。
【0151】
ステップS54で、予測された停止継続時間は、所定時間未満であると判別したときには、制御部101は、処理をステップS51に戻し、このステップS51以降の処理を繰り返す。
【0152】
ステップS54で、予測された停止継続時間は、所定時間以上であると判別したときには、制御部101は、サーバ3に対して、無線通信部123を通じて、自車の識別情報を含むプログラム更新の問い合わせを送信する(ステップS55)。
【0153】
このプログラム更新の問い合わせに対しては、サーバ3では、問い合わせをしてきたクライアントの自動運転車1についての未完了の更新プログラムがあるか否か判別し、更新プログラムが無い場合には、更新プログラム無し通知を、問い合わせしてきた自動運転車1に送信し、更新プログラムがある場合には、更新プログラムが存在する旨の通知と共に、更新プログラムの情報を、問い合わせてきた自動運転車1に対してダウンロードする。
【0154】
そこで、プログラム更新の問い合わせを送信した制御部101は、サーバ3から更新プログラム無し通知を受信したか否か判別し(ステップS56)、更新プログラム無し通知を受信したと判別したときには、処理をステップS51に戻し、このステップS51以降の処理を繰り返す。
【0155】
ステップS56で、更新プログラム無し通知ではなく、更新プログラムが存在する旨の通知を受信したと判別したときには、制御部101は、サーバ3からの更新プログラムの情報のダウンロードを受けて、更新プログラムの情報を取得する(ステップS57)。そして、制御部101は、取得した更新プログラムの情報から更新時間を把握する(ステップS58)。
【0156】
次に、制御部101は、ステップS53で取得した振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段で予測された停止継続時間の情報と、ステップS58で取得した更新時間の情報とから、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能か否か判別する(ステップS59)。このステップS59で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応するプログラムの更新を実行する(
図9のステップS61)。
【0157】
そして、制御部101は、プログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS62)、プログラムの更新が完了してはいないと判別したときには、運転者による走行開始要求が発生したか否か判別し(ステップS63)、運転者による走行開始要求が発生したと判別したときには、「プログラム更新中のため走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS64)。そして、制御部101は、このステップS64の次には、ステップS62に処理を戻し、このステップS62以降の処理を繰り返す。
【0158】
ステップS63で、運転者による走行開始要求が発生してはいないと判別したときには、制御部101は、呼出要求を受信したか否かを判別し(ステップS65)、呼出要求を受信したと判別したときには、「プログラム更新中のため呼出に応じた走行開始不可であり、お待ち下さい。」とのメッセージを表示部111の表示画面に表示すると共に、スピーカ136から音声により放音して通知する(ステップS66)。そして、制御部101は、このステップS66の次には、ステップS62に処理を戻し、このステップS62以降の処理を繰り返す。また、呼出要求を受信していないと判別したときには、制御部101は、ステップS62に処理を戻し、このステップS62以降の処理を繰り返す。
【0159】
そして、ステップS62で、プログラムの更新が完了したと判別したときには、制御部101は、当該プログラムの更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS67)。そして、制御部101は、サーバ3に対して、更なる未完了の更新プログラムが存在するかどうかの問い合わせを行う(ステップS68)。
【0160】
制御部101は、このステップS68での問い合わせに対するサーバ3からの回答を取得して、更なる未完了の更新プログラムがあるか否か判別する(ステップS69)。そして、このステップS69で、更なる更新プログラムは存在しないとの回答を受けたと判別したときには、制御部101は、処理を
図8のステップS51に戻して、このステップS51以降の処理を繰り返す。また、ステップS69で、更なる更新プログラムが存在するとの回答を受けたと判別したときには、制御部101は、処理を
図8のステップS57に戻して、このステップS57以降の処理を繰り返す。
【0161】
また、ステップS59で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新は可能ではないと判別したときには、制御部101は、ステップS24で取得した更新プログラムの情報を記憶保持する(
図10のステップS71)。そして、制御部101は、自車が停止状態になったか否かを判別し(ステップS72)、自車が停止状態になったと判別したときには、記憶している更新プログラムの情報に含まれる更新時間の情報から、更新時間を把握する(ステップS73)。次に、制御部101は、振る舞い制御管理部117で予測された停止継続時間の情報を取得して、現時点からの停止継続時間を予測する(ステップS74)。
【0162】
そして、制御部101は、更新時間の情報と、予測された現時点からの停止継続時間の情報とから、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能か否か判別する(ステップS75)。このステップS75で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能ではないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS72に戻し、このステップS72以降の処理を繰り返す。ステップS72で、自車が停止状態になってはいないと判別したときにも、制御部101は、処理をステップS72に戻し、このステップS72以降の処理を繰り返す。
【0163】
また、ステップS75で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101は、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応するプログラムの更新を実行する(ステップS76)。このステップS76の次には、制御部101は、処理を
図9のステップS62に移行して、このステップS62以降の処理を繰り返す。
【0164】
なお、第2の例においては、更新対象のプログラムが走行支援用プログラムか、走行以外用途用プログラムかの区別をせずに、停止継続時間内において、プログラムの更新ができるものは更新し、更新時間が停止継続時間以上であるものについては、後の停止継続時間で実行するようにした。しかし、第2の例においても、第1の例と同様に、更新対象のプログラムが走行支援用プログラムか、走行以外用途用プログラムかを判別し、走行以外用途用プログラムの場合には、更新時間が停止継続時間以上であっても、更新完了まで更新を実行するようにしても勿論よい。
【0165】
[実施形態の自動運転車1での利用者が降車時の処理動作の例]
次に、自動運転車1に乗車していた利用者、この例では、特に運転者が降車をしようとする際における自動運転車1の制御部101の処理動作の概要について説明する。
【0166】
この実施形態では、自動運転車1に乗車していた利用者、この例では、特に運転者が降車をしようとすると、自動運転車1は、降車後振る舞いを設定するかどうかを降車しようとする運転者に問い合わせをする。この問い合わせに対して、運転者が降車後振る舞いの設定入力をすると、自動運転車1は、当該運転者による降車後振る舞い設定入力を受け付け、運転者の降車後に受け付けた降車後振る舞いに応じた処理を行う。そして、自動運転車1の制御部101は、上述したプログラムの更新に関する処理を行う。
【0167】
降車後振る舞いとして「既定の駐車場への移動」が設定される場合のシチュエーションの例を
図11に示す。
図11の例においては、自動運転車1に乗車していた運転者4(利用者4)が自宅のあるマンション5の玄関に到着したときに、当該マンション5の指定駐車場を既定駐車場とし、「既定の駐車場への移動」を降車後振る舞いとして指定し、自動運転車1から降車し、自宅に戻る。自動運転車1は、運転者4による降車後振る舞いの設定を受け付ける。そして、自動運転車1は、利用者4の降車の確認の後、設定された降車後振る舞いとして、指定されたマンションの指定駐車場6に、自動運転モードにより移動して駐車する動作を実行し、駐車が完了するとモータ駆動部131を停止し、制御部101や無線通信部123等の必要な部位への給電を維持しつつ、走行系の各部への給電を停止するために電源をオフとするようにする。
【0168】
そして、制御部101は、振る舞い制御管理部117に予測される停止継続時間を問い合わせる。すると、振る舞い制御管理部117は、設定された降車後振る舞いが、「既定の駐車場への移動」での移動であることから、前述したように停止継続時間を、例えば30分として予測し、その予測した停止継続時間の情報を制御部101に回答する。制御部101は、取得した予測される停止継続時間は、5分以上であるので、サーバ3に更新プログラムの問い合わせを送信し、更新プログラムがあれば、30分の停止継続時間内に、その更新プログラムによる更新が可能かどうかを、その更新時間の情報と、予測された停止継続時間の情報との比較から判断して、更新が可能であれば、プログラムの更新を実行する。
【0169】
更新プログラムがあっても、更新時間が、30分の停止継続時間よりも長いと判断したときには、制御部101は、サーバ3から取得した更新プログラムの情報を記憶しておき、後の停止継続時間において、当該記憶している更新プログラムの情報を用いたプログラムの更新を実行する。
【0170】
また、更新プログラムが無いときには、何もせずに、停止状態を維持する。そして、この停止状態において、サーバ3から更新通知が到来したときには、制御部101は、その更新プログラムの情報を取得し、それに含まれる更新時間の情報と、振る舞い制御管理部117から取得した予測された停止継続時間の情報とを比較して、停止継続時間内に更新が可能かどうか判別する。なお、この際に、制御部101は、停止直後に振る舞い制御管理部117から予測された停止継続時間の情報を取得しているので、更新時間の情報と比較する停止継続時間の情報は、自車が停止した時点からサーバ3からの更新通知を受けた時点までの時間を差し引いた時間となる。
【0171】
そして、制御部101は、更新プログラムの更新時間の情報と、予測された停止継続時間の情報との比較から判断して、更新が可能であれば、プログラムの更新を実行する。また、予測された停止継続時間よりも更新時間が長く、停止継続時間内には更新は完了しないと判断したときには、制御部101は、サーバ3から取得した更新プログラムの情報を記憶しておき、後の停止継続時間において、当該記憶している更新プログラムの情報を用いたプログラムの更新を実行する。
【0172】
なお、
図2の例としては挙げていないが、運転者4が自動運転車1に乗車して宿泊のためにホテルなどの宿泊施設に到着したときに、当該宿泊施設の専用駐車場を既定駐車場とし、「既定の駐車場への移動」を降車後振る舞いとして設定し、自動運転車1から降車して、宿泊施設に入ることが想定される。この場合には、自動運転車1は、運転者4による降車後振る舞いの設定を受け付けて、運転者4の降車の確認の後、指定された宿泊施設の専用駐車場に、自動運転モードにより移動して駐車する動作を実行し、駐車が完了するとモータ駆動部131を停止し、制御部101や無線通信部123等の必要な部位への給電を維持しつつ、走行系の各部への給電を停止するために電源をオフとするようにする。
【0173】
宿泊の場合、自動運転車1は、基本的に翌日まで利用されることはないと予測される。そこで、振る舞い制御管理部117の停止継続時間予測手段は、停止開始時点から利用者が再乗車する時間までの時間を停止継続時間として予測する。この場合に、振る舞い制御管理部117は、翌日の運転者の再乗車する時間は、降車後振る舞いの設定時に運転者に問い合わせて、取得するようにしてもよい。また、自動運転車1にスケジュール機能を設けておき、自車の利用スケジュールを、運転者によって、設定してもらっておくようにして、そのスケジュールの情報から利用者の再乗車の時間を把握するようにしてもよい。
【0174】
なお、制御部101は、停止したときに、カーナビ機能部113の周辺検索機能と、現在位置検出部110により検出される現在位置の情報から、停止している現在位置の場所がホテル等の宿泊施設であるか否かを判断するようにすることができる。
【0175】
宿泊施設ではなく、テーマパーク、アミューズメントパークや動物園などのレジャー施設、ショッピングセンターやデパートなどの商業施設などの場合でも、自動運転車1の利用者4が、当該施設の専用駐車場を既定の駐車場として指定したときに、制御部101は、同様の動作を行うことができる。
【0176】
次に、「所定時間後に降車位置に戻る」が降車後振る舞いとして設定される場合のシチュエーションの例を
図12に示す。
図12の例は、自動運転車1の運転者4が尿意または便意を催して、公園などのトイレに立ち寄るシチュエーションである。この場合には、運転者4は、降車時に、マイクロフォン137に対して、例えば「トイレ」と音声入力して降車後振る舞いを設定し、自動運転車1を降車する。すると、自動運転車1の制御部101は、運転者4の音声入力「トイレ」を音声認識して、所定時間、すなわち予測される停止継続時間をこの例では5分と予測推定し、当該場所で待機する。そして、自動運転車1の制御部101は、予測された停止継続時間において、上述した更新プログラムに関する処理動作を行うことができる。
【0177】
なお、尿意ではなく便意を催した場合は、「お腹が痛い」、「個室」などと音声入力して、所定時間を長めに、例えば10分と推定するようにしてもよい。また、運転者4が女性の場合は、男性の場合より所定時間を長めに推定するようにしてもよい。
【0178】
また、
図13の例は、自動運転車1の運転者4が、大相撲観戦のために、例えば両国の国技館に自動運転車1で出向いた場合である。運転者4は、降車時に、マイクロフォン137に対して「大相撲観戦」と音声入力して降車後振る舞いを設定し、自動運転車1を降車する。すると、自動運転車1の制御部101は、大相撲本場所は午後6時で終了となると判断して、現在時刻からの所定時間、すなわち、停止継続時間を予測推定し、例えば国技館の駐車場あるいは周辺の空きの駐車場に移動して停止し、その停止を継続して待機し、午後6時になると、運転者4を迎えに国技館の出入口まで移動するように制御する。この場合も、自動運転車1の制御部101は、予測された停止継続時間において、上述した更新プログラムに関する処理動作を行うことができる。
【0179】
以上説明したように、上述の第1の実施形態の自動運転車1では、自車の自律走行を支援するプログラムの更新は、自車が停止しているときにのみ行うようにして、走行中にプログラムが更新されることがないようにすることで安全性を確保することができるようにしている。ただし、自動運転車のプログラムの更新が、停止中になったら常に実行されるように構成されていると、その更新の完了まで、利用者の自動運転車の利用は制限されてしまうという問題がある。
【0180】
この第1の実施形態の自動運転車1では、利用者が自動運転車を停止させて降車するときに、降車後の自動運転車1の振る舞いを利用者に問い合わせて、設定してもらうように構成している。したがって、この第1の実施形態の自動運転車1では、設定された降車後振る舞いに基づいて、自車の停止継続時間を予測することが可能である。そして、この第1の実施形態の自動運転車1では、自車が停止中であっても、その予測された停止継続時間が、プログラムの更新時間よりも長いと判断されるときにのみ実行される。
【0181】
したがって、この第1の実施形態の自動運転車1によれば、停止中に無暗に自律走行を支援するプログラムの更新が実行されてしまうことはなく、適宜の停止継続時間に自律走行を支援するプログラムの更新がされるので、利用者の利用を最優先しながら、適切な時期に自律走行を支援するプログラムの更新がなされるという顕著な効果を奏する。
【0182】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態の自動運転車1では、停止継続時間は、自動運転車1の利用者によって設定された降車後振る舞いに基づいて予測するようにした。しかし、停止継続時間は、利用者により設定された降車後振る舞いに基づいてのみ、予測されるものではない。第2の実施形態の自動運転車1Aは、停止継続時間を、自動運転車1の過去の走行履歴や停止履歴に基づいて予測するようにする。
【0183】
図14は、この第2の実施形態の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aの構成例を示すブロック図である。この
図14において、
図1に示した第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10と同一部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0184】
図14に示すように、この第2の実施形態の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aにおいては、第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10における降車後振る舞い設定受付部116は設けられず、その代わりに、用途ナビ機能部141と、履歴メモリ142と、履歴解析部143とが設けられる。また、この第2の実施形態の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aは、第1の実施形態とは若干構成が異なる振る舞い制御管理部117Aと、プログラム更新管理制御部119Aを備えている。
【0185】
そして、この実施形態の自動運転車1Aの振る舞い制御管理部117Aは、第1の実施形態の振る舞い制御管理部117と同様に、自車状態判別手段と停止継続時間予測手段とを備えるが、停止継続時間予測手段は、履歴メモリ142の履歴情報を履歴解析部143で解析した結果に基づいて、停止継続時間を予測するようにする。
【0186】
この第2の実施形態においては、降車後振る舞い設定受付部116を備えないので、振る舞い制御管理部117Aは、設定された降車後振る舞いを記憶する記憶部117Mは備えないが、この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に降車後振る舞い設定受付部116を設けるようにしても勿論よい。その場合には、振る舞い制御管理部117Aは、第1の実施形態と同様に、設定された降車後振る舞いの記憶部を備えると共に、利用者により設定された降車後振る舞いを実行する機能も備える。
【0187】
この実施形態の自動運転車1Aのプログラム更新管理制御部119Aは、更新プログラムの情報を記憶する記憶部119MAを備え、第1の実施形態のプログラム更新管理制御部119と同様にして、更新プログラムの情報についての管理制御を行う。ただし、この第2の実施形態の場合には、プログラム更新管理制御部119Aでは、自車の利用中の用途を確認すると共に、過去の履歴に基づいて予測される停止継続時間が用いられる点が異なるものである。
【0188】
走行以外用途機能部118は、以下の説明においては、走行以外用途の利用用途として、この第2の実施形態では、AVエンタテインメント機能部、ゲーム機能部、マッサージ機構駆動部などが設けられている。
【0189】
AVエンタテインメント機能部、ゲーム機能部、マッサージ機構駆動部は、走行以外用途を提供する機能部の例であり、走行以外用途としては、睡眠など静かに休養する用途、飲食を楽しむ用途、カラオケをする用途、読書をする用途、仕事や勉強に集中する用途、化粧用途など、これに限られるものではないことは勿論である。
【0190】
睡眠など静かに休養する用途の場合、自動運転車1Aは、カーエアコンにより車内の温度を冬季は20~23度、夏季は25~28度の快適なものとすると共に、窓のカーテンを下ろしたり、窓を遮光モードにしたりして、太陽光など車外の光を遮断し、車内の照明を消すか暗くし、安眠などができる状態を確保するようにする機能を備えるようにする。さらに、座席シートを、安眠などに適するようにリクライニングやフラットになるようにする。
【0191】
また、飲食を楽しむ用途の場合、自動運転車1Aは、車内にテーブルをセッティングし、冷蔵庫を備えている場合には、当該冷蔵庫から飲み物や食品が指定でき、照明は乗車者の飲食に適した好みの照度とするような機能を備えるようにする。なお、飲み物の指定の場合、アルコール飲料の指定も可能で、アルコール飲料を指定することができるのは、「走行用途以外」又は「走行用途」も「自動運転」の場合に限定するようにする。
【0192】
読書をする用途の場合は、自動運転車1Aは、利用者により電子書籍(電子ブック)を選択可能(無線通信部123を通じて、インターネットの電子書籍の提供サーバにアクセスし、電子書籍を取得するようにしてもよい)とすると共に、選択された電子書籍の内容を、表示部111の表示画面に表示し、必要に応じて、スピーカ136を通じて音読するようにすることができるように構成される。
【0193】
仕事や勉強に集中する用途の場合には、自動運転車1は、窓のカーテンを下ろしたり、窓を遮光モードにしたりして、外の景色を遮断し、車内の照明を明るくし、仕事や勉強に集中できる状態を確保することができるように構成する。また、仕事や勉強に必要な資料等をパソコン(図示せず)で提示することができるように構成する。
【0194】
AVエンタテインメント機能部は、音声情報、音楽情報及び/又は画像情報の再生を行う機能部であり、例えばテレビ放送受信機能部、AM及びFMラジオ放送受信機能部、CDやDVD、BD(ブルーレイディスク)などのディスク再生機能部、を含むものである。AVエンタテインメント機能部は、図示は省略するが、テレビ放送受信用のアンテナ、AM及びFMラジオ放送受信用のアンテナ、ディスク再生機能部のためのマルチディスクドライブを備える。
【0195】
AVエンタテインメント機能部で再生された音声情報や音楽情報は、スピーカ136を通じて放音され、また、AVエンタテインメント機能部で再生された画像情報は、表示部111の表示画面に表示されて、乗車者の利用に供される。
【0196】
ゲーム機能部は、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、対戦ゲームなど、各種のゲームを行う機能部である。ゲーム機能部については、ゲーム用コントローラが1ないし複数個用意され(図示せず)、利用者は、このゲーム用コントローラを用いてゲームを操作する。ゲームの音声情報や音楽情報は、スピーカ136を通じて放音され、また、ゲームの画像情報は、表示部111の表示画面に表示されて、乗車者の利用に供される。なお、インターネットを通じて、オンラインゲームを楽しむこともできる。
【0197】
マッサージ機構駆動部は、例えば運転席や助手席のシートに組み込まれたマッサージ機構を駆動する。マッサージ機構は、例えば、それが組み込まれたシートに着座した乗車者に対してマッサージ作用を施す機構部である。もちろん、シートがマッサージに適するように、例えば、リクライニングやフラットになるよう機構部で可動できるようになっていてもよい。また、マッサージ機構駆動部には、シートを回転させるような機構部が組み込まれていてもよい。この場合、マッサージ機構駆動部は、マッサージの用途のみならず、飲食を楽しむ用途の場合に、シートを回転させ、複数の乗車者を対面にすることや、ゲーム用途の対戦ゲームにおいて、対戦者を対面にすることができる。また、読書をする用途、仕事や勉強に集中する用途などにおいて、利用者の好きなシートの向きでそれぞれの用途を行うことができる。
【0198】
なお、走行以外用途機能部118を構成するAVエンタテインメント機能部、ゲーム機能部、マッサージ機構駆動部は、自動運転車1のモータ駆動部131を含む走行駆動系を起動させていない停止時にのみ、利用できるのではなく、自動運転車1の走行時においても、乗車者の利用開始指示により利用可能となるものである。
【0199】
バッテリー11からの電源供給は、AVエンタテインメント機能部のテレビ放送受信機能部、AM及びFMラジオ放送受信機能部、CDやDVD、BDなどのディスク再生機能部などのそれぞれに独立に供給できるようにされていると共に、ゲーム機能部やマッサージ機構駆動部にも、独立に供給することができるように構成されている。勿論、走行駆動系への電源供給と、AVエンタテインメント機能部、ゲーム機能部やマッサージ機構駆動部への電源供給も、それぞれ独立にすることができるように構成されている。
【0200】
用途ナビ機能部141は、制御部101により、センサ群108のドアセンサでドアの開閉が検出されると共に、カメラ群107のカメラによって、乗車者の乗車が検知されたときに起動される。用途ナビ機能部141は、乗車者の乗車を検知したときに、自動運転車1を起動する前に、乗車者に、自動運転車1の利用用途を問い合わせ、乗車者からの利用用途の回答を受けて、利用用途を確定するようにする。
【0201】
この場合に、「乗車者の乗車が検知されたとき」とは、自動車が起動されていない状態で、乗車者の乗車が検知されたときであり、基本的には、自動車への乗車者が存在しない状態からの最初の乗車者を想定している。この場合の最初の乗車者は、一人でも、複数人でもよく、複数人の場合には、代表者が利用用途の回答をすることになる。
【0202】
また、自動車が起動されていない状態であれば、乗車者が既に存在している場合でもよい。その場合には、新たな乗車者に対して問い合わせが行われて、新たな利用用途の回答を受け付けた場合には、当該新たに設定された利用用途が実行されることになる。なお、既に乗車している乗車者によって、利用用途が設定されている場合において、その利用用途を変更しない場合には、「(新たな利用用途を設定することなく、)前回の利用用途を実行する」などという回答をすることで、前回の利用用途を継続して利用可能とすることができるようにしてもよい。
【0203】
この実施形態では、利用用途の用途種別の例として、走行用途と、走行以外用途の2種が定められている。
【0204】
そして、利用用途が走行用途の場合には、この実施形態では、「特定の目的地が定まっている(目的地既知用途)」と、「特定の目的地が未定である用途(目的地未定用途)」との2種が定められている。用途ナビ機能部141は、乗車者に対して、そのいずれを選択するかを問い合わせると共に、選択した走行用途を、自動運転モードで利用するか、手動運転モードで利用するかの問い合わせをするようにする。さらに、自動運転モードの中でも、運転者による所定の所作に基づいて手動運転モードに切り替えられる通常自動運転モードと、運転者による所定の所作があっても手動運転モードに切り替えられない強制自動運転モードがある場合は、通常自動運転モードで利用するか、強制自動運転モードで利用するかの問い合わせをするようにしてもよい。
【0205】
なお、運転者による手動運転操作を全く必要としない、すなわち手動運転モードがない完全自動運転車の場合には、選択した走行用途を自動運転モードで利用することになる。この自動運転モードでの利用は、手動運転モードに切り替えられないという意味で、強制自動運転モードで利用するのと同じである。
【0206】
そして、目的地既知用途が選択されたときには、用途ナビ機能部141は、乗車者からの目的地の設定を受け付けるようにする。
【0207】
また、目的地未定用途が選択されたときには、用途ナビ機能部141は、この実施形態では、「山」、「川」、「海」、「湖」、「遊園地」などの「目的地属性を選択する」か、「利用時間のみの指定をする」かの問い合わせをするようにする。そして、用途ナビ機能部141は、「目的地属性を選択する」が選択されたときには、目的地属性の一覧を、乗車者に提示して、その一覧からの選択を受け付けるようにする。目的地属性を、フリーキーワードとして、乗車者が直接入力指定するようにしてもよい。なお、目的地既知用途が選択された場合であっても、目的地への経由地として、「山」、「川」、「海」、「湖」、「遊園地」などの「経由地属性を選択する」ようにすることもできる。
【0208】
また、用途ナビ機能部141は、「利用する走行時間のみの指定をする」が選択されたときには、利用する走行時間を乗車者に指定してもらって、受け付けるようにする。なお、走行時間を指定する代わりに、現時点から走行を開始したときの走行終了時刻を設定するようにしてもよい。
【0209】
用途ナビ機能部141は、乗車者により走行以外用途が指定された場合には、この実施形態では、AVエンタテインメント機能部で提供可能な後述するような種々のAV関連機能やゲーム関連機能、マッサージ機能を、乗車者に提示して、その利用を問い合わせ、その回答としての選択を受け付けるようにする。
【0210】
そして、用途ナビ機能部141は、乗車者による利用用途の選択設定が確定した後、乗車者に起動指示の入力操作を促すようにする。制御部101は、乗車者による起動指示の入力操作を確認したら、用途ナビ機能部141において確定された利用用途を実行するように、バッテリー11からの電源供給を制御すると共に、自動運転車1の電子制御回路部10を制御するようにする。用途ナビ機能部141における処理の流れの詳細については、後で詳述する。
【0211】
履歴メモリ142には、利用者画像情報記憶部134に、識別用の画像(例えば顔画像)が記憶されて登録されている利用者(乗車者)による自動運転車1の過去の利用用途の情報が、利用者IDに対応付けられて蓄積されている。
【0212】
図15に、この履歴メモリ142の格納情報の例を示す。この
図15に示すように、予め登録されている利用者について、その利用者IDに対応付けられて、利用者名及び利用履歴の情報が格納されている。この実施形態では、利用履歴の情報としては、利用年月日及び曜日と、上述した、用途種別、用途内容、用途詳細、利用時間などの項目からなるものとされている。
【0213】
利用履歴の用途種別としては、前述した走行用途と、走行以外用途の2種のいずれかが履歴メモリ142に格納される。この場合に、用途種別が走行用途の場合には、自動運転モードでの走行か、手動運転モードでの走行かの情報に合わせて格納される。
図15の例は、「走行:自動」は、自動運転モードでの走行、「走行:手動」は手動運転モードでの走行を示している。なお、この例では、自動運転モードでの走行か、手動運転モードでの走行かは、走行開始時における運転モードとされる。途中で運転モードが切り替えられたときには、その切り替えについても履歴として残すようにしてもよいことは勿論である。
【0214】
そして、この実施形態では、用途種別が走行用途の場合には、用途内容としては、「特定の目的地が定まっている(目的地既知)用途」と、「特定の目的地が未定である(目的地未定)用途」とのいずれかが格納される。そして、用途内容が目的地既知の用途の場合には、その用途詳細には、
図15に示すように、例えば「自宅-○○駅」のように出発地(現在地)と目的地とが格納される。出発地(現在地)は、現在位置検出部110で検出された走行開始時の現在位置が記録される。用途内容が目的地未定の用途の場合には、その用途詳細には、
図15に示すように、例えば「30分で戻る」のような利用時間や「15時までに戻る」のような利用終了時刻、例えば「近くの海へ」のような目的地の属性などが格納される。
【0215】
また、用途種別が走行以外用途の場合には、用途内容としては、走行以外用途機能部118に含まれるAVエンタテインメント機能部又はゲーム機能部を用いる「AV/ゲーム関連」か、マッサージ機構駆動部を用いるマッサージ用途か、その他の用途かである「マッサージ他」のいずれかが格納される。そして、用途内容が「AV/ゲーム関連」である場合には、用途詳細には、
図15に示すように、例えば「音楽再生」や「ゲーム」のように、AVエンタテインメント機能部のいずれのAVエンタテインメント機能か、ゲーム機能部のゲーム機能が格納される。用途内容が「マッサージ他」の場合には、用途詳細には、
図15に示すように、例えば「マッサージ」や「その他」が格納される。
【0216】
なお、履歴メモリ142には、利用者IDが割り当てられていない乗車者についても、個々の乗車者を区別することなく、「その他の利用者」の履歴情報として、上記の各項目の情報を蓄積しておくようにしてもよい。
【0217】
履歴メモリ142に蓄積された情報は、利用者や乗車者が一部又は全部を消去できるようにしてもよい。ただし、利用者や乗車者自身以外の情報は消去できないよう、利用者や乗車者の生体情報やID、パスワード等を用いてセキュリティーを確保しておく。
【0218】
履歴解析部143は、履歴メモリ142に格納されている利用者毎(利用者ID毎)の履歴情報を解析し、習慣的に利用されている用途(以下、習慣性利用用途という)があれば、それを検出する。また、履歴解析部143は、一人の利用者毎だけではなく、類似の利用態様をする複数の利用者の利用用途や、全利用者が共通するような利用用途についても解析を行うようにする。さらには、利用頻度も検出してもよい。この場合、習慣性利用用途は、優先的に問い合わせすることで告知するようにしてもよい。また、利用頻度の高い用途ほど、提示順位を上位(高順位)にするなどにより、優先表示をするようにしてもよい。ここで、この実施形態では、習慣性利用用途は、履歴メモリ142の格納情報においては、「用途詳細」の項目が対象とされる。
【0219】
そして、この実施形態では、履歴解析部143は、一人の利用者毎、あるいは複数の利用者について、1週間の内の特定の曜日に習慣的に繰り返し利用している用途(用途詳細)や、1日の内の特定の時間に習慣的に繰り返し利用している用途(用途詳細)を、習慣性利用用途として検出する。習慣性利用用途の検出は、これに限られるものではなく、例えば、正月、旧正月(春節)、イースター、盆などのような1年の内の特定の期間、また、誕生日、バレンタインデー、ハロウィン、クリスマスイブ、クリスマス、創立記念日、命日などのような1年の内の特定の月の特定の日付に習慣的に繰り返し利用している用途(用途詳細)を、習慣的利用用途として検出するようにしてもよいし、1日~複数日置きに、周期性を持って、繰り返し利用する用途(用途詳細)を、習慣性利用用途として検出するようにしてもよい。もちろん、月給の場合の毎月の給与日に特定のお店で食事をするなどのように、毎月特定の日に習慣的に繰り返し利用している用途(用途詳細)を、習慣的利用用途として検出するようにしてもよい。
【0220】
そして、この実施形態では、履歴解析部143では、利用者毎の履歴において、走行用途の利用時間の終了時刻から、次の走行用途の開始時刻までを停止継続時間として把握することができる。したがって、利用者毎の履歴から、曜日や時間帯に対応して、習慣的に、停止を継続する時間を把握することもできる。このため、履歴メモリ142の履歴情報から、プログラムの更新の要求が発生したときに、その発生時点の曜日、時間帯を把握して、停止継続時間を予測することが可能となる。
【0221】
なお、利用者自らが利用した用途について、評価をフィードバックできるようにし、次回以降、評価の高い用途を優先的に提示するようにしてもよい。
【0222】
なお、
図14の構成においては、第1の実施形態における呼出者認証部115は省略したが、この第2の実施形態の自動運転車1Aにおいても、備えていてもよい。
【0223】
以上のように、自動運転車1Aの電子制御回路部10Aは構成されるが、
図14に示した各ブロックのうち、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、利用者認証部114、振る舞い制御管理部117A、走行以外用途機能部118(AVエンタテインメント機能部、ゲーム機能部、マッサージ機構駆動部)、プログラム更新管理制御部119A、バッテリー残量検出部123、用途ナビ機能部141、履歴解析部143の各処理機能は、制御部101Aが、それぞれのプログラムに従ってソフトウエア処理として実現することができる。
【0224】
[用途ナビ機能部141及びプログラム更新管理制御部119による処理の流れの例]
次に、自動運転車1に乗車者が乗車した場合における用途ナビ機能部141による処理の流れの例を、
図16~
図26のフローチャート及び
図28及び
図29の表示部111の表示画面での表示例を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、制御部101Aが、上述した各部の機能を、それぞれのプログラムに従ってソフトウエア処理として実現している場合として説明する。
【0225】
自動運転車1Aの電子制御回路部10Aにおいては、起動される前においても、制御部101Aと、センサ群108とには、バッテリー11から電源電圧が供給されているスタンバイ状態とされており、制御部101Aは、このスタンバイ状態において、乗車者の自車への乗車を監視する(
図16のステップS201)。
【0226】
そして、ステップS201で、乗車者の乗車を検知したと判別したときには、制御部101Aは、カメラ群の内の少なくとも車内のカメラに電源電圧を供給して、そのカメラで乗車者の顔画像を撮影し、利用者認証部114の画像認識機能により、乗車者は、記憶部114Mに顔画像が記憶されている登録された利用者であるか否か判別する(ステップS202)。
【0227】
ステップS202で、乗車者は、登録された利用者であると判別したときには、制御部101Aは、その乗車者の利用者IDを取得して、履歴メモリ142にその利用者IDに対応付けられて記憶されている履歴情報を参照する(ステップS203)。そして、制御部101Aは、時計部121から現在時点の年、月、日、曜日の情報を取得して、履歴解析部143の機能により、乗車者についての、当該現在時点に関連する習慣的利用用途が存在するかどうかを解析する(ステップS204)。
【0228】
そして、制御部101Aは、ステップS204での解析の結果から、乗車者について習慣的利用用途が存在するか否かを判別し(ステップS205)、習慣的利用用途が存在すると判別したときには、その習慣的利用用途を実行するかどうかの問い合わせを、表示部111の表示画面に問い合わせメッセージを表示すると共に、スピーカ136を通じて音声メッセージとして放音することにより、乗車者に対して行う(ステップS206)。
【0229】
例えば、当該現在時点は、平日の午前7時であって、乗車者は、いつも通勤のために、自宅から最寄り駅の駐車場まで自動運転車1を走行させている場合には、制御部101Aは、それを習慣的利用用途と判断して、
図28(A)に示すように、「この時間には、いつも自動運転で○○駅まで走行していますが、今日も実行しますか?」との問い合わせメッセージを、表示部111の表示画面111Dに表示すると共に、スピーカ136を通じて放音して、問い合わせを実行する。
【0230】
また、例えば、当該現在時点は、土曜日の午後15時であって、乗車者は、いつも走行以外用途のマッサージを受けている場合には、制御部101Aは、それを習慣的利用用途と判断して、
図28(B)に示すように、「この時間には、いつもマッサージを利用していますが、今日も利用しますか?」との問い合わせメッセージと、その利用時間の欄を、表示部111の表示画面111Dに表示すると共に、スピーカ136を通じて放音して、問い合わせを実行する。
【0231】
そして、このとき、制御部101Aは、
図28(A)及び
図28(B)に示すように、表示画面には、「実行する」と、「実行しない」との回答項目を合わせて表示するようにしており、乗車者は、表示画面において、いずれかを選択する回答操作をすることができると共に、音声入力によりいずれを選択するかの回答をすることができる。
図28(B)に示すように、マッサージなどの走行以外用途の利用時間は、「実行する」の横に関連付けて表示している。
【0232】
そして、乗車者が回答をすると、その回答情報が、タッチパネル112を通じて制御部101Aに伝達される。なお、乗車者の回答は音声により行い、それをマイクロフォン137で収音して、制御部101Aが音声認識するようにしてもよい。
【0233】
そこで、制御部101Aは、乗車者の回答情報が「実行する」であるか否か判別し(ステップS207)、「実行する」であると判別したときには、ステップS205で判別された乗車者の習慣的利用用途を実行するようにする(ステップS208)。
【0234】
すなわち、習慣的利用用途が、
図25(A)の例に示したような走行用途である場合には、制御部101Aは、自車の走行に必要な走行駆動系その他に、バッテリー11から電源電圧を供給して起動し、手動運転モード又は自動運転モードでの走行を実行するように制御する。また、習慣的利用用途が、
図25(B)の例に示したような走行以外用途である場合には、制御部101Aは、当該習慣的利用用途の走行以外用途を提供する、この例では、走行以外用途機能部118のAVエンタテインメント機能部、ゲーム機能部あるいはマッサージ機構駆動部に、バッテリー11から電源電圧を供給して起動し、その走行以外用途を実行するように制御する。なお、実行された利用用途の履歴は、乗車者の利用者IDと対応付けられて、前述の
図15に示したような内容が履歴メモリ142に格納される。
【0235】
なお、習慣的利用用途については、利用者の個人情報に属するものであり、同乗者がいる場合は、知られたくない可能性があり、同乗者の有無を判別し、同乗者がいると判別した場合は、問い合わせを実行してよいか、利用者に事前に確認するようにしてもよい。
【0236】
このステップS208の次には、制御部101Aは、利用用途は自動車走行用途であるか否か判別し、自動車走行用途である判別したときには、後述する
図17のステップS214に移行する。また、ステップS209で、利用用途は自車走行用途ではないと判別したときには、制御部101Aは、処理を後述する
図22のステップS271に移行し、このステップS271以降の処理を実行する。ステップS214以降の処理及びステップS271以降の処理については、後述する。
【0237】
また、ステップS202で、乗車者が登録された利用者ではないと判別したとき、また、ステップS205で、乗車者の習慣的利用用途は存在しないと判別したとき、さらに、ステップS207で、乗車者により、習慣的利用用途は実行しないとの回答を受けたときには、制御部101Aは、自車の利用用途の問い合わせを、表示部111の表示画面に問い合わせメッセージを表示すると共に、スピーカ136を通じて音声メッセージとして放音することにより、乗車者に対して行う(
図17のステップS211)。
【0238】
このステップS211においては、利用用途種別として、走行用途については「1.自動車走行」を、走行以外用途については「2.走行以外」を、それぞれ、例えば
図29(A)に示すように表示部111の表示画面111Dに表示すると共に、スピーカ136を通じて音声により提示して、乗車者に問い合わせる。
【0239】
そして、この問い合わせに対して、乗車者は、表示画面において、いずれかを選択する回答操作をすることができると共に、音声入力によりいずれを選択するかの回答をすることができる。そして、乗車者が回答をすると、その回答情報が、タッチパネル112を通じて制御部101Aに伝達され、あるいはマイクロフォン37で収音されて音声情報とされて制御部101Aに伝達される。音声情報は、制御部101Aの音声認識機能で音声認識される。
【0240】
ステップS211の次には、制御部101Aは、ステップS212で、乗車者の回答情報に基づいて、自動車走行用途であるか否か判別する。そして、このステップS212で、自動車走行用途であると判別したときには、ステップS213において、目的地の設定入力を受け付けて、その回答情報に基づく自動車走行用途を実行する。
【0241】
ステップS213の次には、制御部101Aは、サーバ3からプログラムの更新通知を受信したか否か監視する(ステップS214)。このステップS214で、プログラムの更新通知を受信したと判別したときには、制御部101Aは、当該更新通知に対する応答をサーバ3に返す(ステップS215)。すると、サーバ3からは、更新プログラムの種類と、更新時間の情報を含む更新プログラムの情報がダウンロードされてくるので、制御部101Aは、当該更新プログラムの情報を無線通信部123を通じて受信して取得する(ステップS216)。
【0242】
次に、制御部101Aは、更新プログラムは走行支援用プログラムであるか否か判別し(ステップS217)、走行支援用プログラムであると判別したときには、現在、走行中であるために、プログラムの更新は行わずに、サーバ3からダウンロードした更新プログラムの情報を記憶保持するようにする(ステップS218)。そして、制御部101Aは、処理をステップS214に戻し、このステップS214以降の処理を繰り返す。
【0243】
また、ステップS217で、更新プログラムは、走行以外用途用であると判別したときには、制御部101Aは、ステップS216で取得した更新プログラムの情報を用いたプログラムの更新を実行し(
図18のステップS221)、プログラムの更新の完了を監視し、(ステップS222)、プログラムの更新の完了を確認したら、当該更新したプログラムについての更新完了の通知を無線通信部123を通じてサーバ3に通知する(ステップS223)。
【0244】
次に、制御部101Aは、自動車走行用途で設定された目的地に到着したか否か判別し(ステップS224)、未だ、到着してはいないと判別したときには、処理を
図17のステップS214に戻し、このステップS214以降の処理を繰り返す。
【0245】
ステップS214で、サーバ3からのプログラムの更新通知を受信してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理を
図18のステップS224に移行して、目的地に到着したか否か判別する。そして、ステップS224で、目的地に到着したと判別したときには、制御部101Aは、設定されていた走行用途を終了し、自車を停止状態とする(ステップS225)。
【0246】
次に、制御部101Aは、記憶している更新プログラムの情報があるか否か判別する(
図19のステップS231)。このステップS231で、記憶している更新プログラムの情報はないと判別したときには、そのまま、この処理ルーチンを終了する。
【0247】
また、ステップS231で、記憶している更新プログラムの情報があると判別したときには、制御部101Aは、複数個の更新プログラムの情報があるときには、例えば記憶の古い順に、最初の更新プログラムの情報を読み出し、当該更新プログラムは走行支援用プログラムであるか否かを判別する(ステップS232)。
【0248】
ステップS232で、更新プログラムは走行用途であると判別したときには、記憶している更新プログラムの情報の更新時間の情報から更新時間を把握し(ステップS233)、また、振る舞い制御管理部117Aに問い合わせて予測された停止継続時間を取得する(ステップS234)。
【0249】
この場合に、振る舞い制御管理部117Aは、自動運転車1Aの運転者や乗車者による用途ナビ機能部141からの問い合わせに応じたタッチパネル112を通じた入力や、マイクロフォン137を通じた音声入力による利用用途の更なる入力を監視して、その入力の監視結果に応じて停止継続時間の予測をする。例えば、運転者や乗車者などの利用者が、利用用途を設定せずに降車した場合には、停止継続時間は、少なくとも30分以上として予測する。
【0250】
また、振る舞い制御管理部117Aは、履歴解析部143による履歴メモリ142の利用履歴の解析結果と現在の年月日、曜日、時間とから、利用用途を推測して、その推測に基づいて停止継続時間を予測する。
【0251】
そして、制御部101Aは、ステップS233で把握した更新時間を参照して、予測した停止継続時間内に、プログラムの更新が可能であるか否か判別し(ステップS235)、プログラムの更新が可能であると判別したときには、記憶していた更新プログラムの情報によるプログラムの更新を実行する(ステップS236)。そして、制御部101Aは、更新完了を監視して(ステップS237)、ステップS237で更新完了を確認したら、更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS238)。
【0252】
そして、制御部101Aは、記憶している更新プログラムが未だ残っているか否か判別し(ステップS239)、記憶している更新プログラムは残ってはいないと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。また、ステップS239で、記憶している更新プログラムが未だ残っていると判別したときには、制御部101Aは、処理をステップS232に戻して、このステップS232以降の処理を繰り返す。
【0253】
ステップS235で、プログラムの更新が可能ではないと判別したときには、制御部101Aは、このまま、この処理ルーチンを終了する。
【0254】
このステップS232で、更新プログラムは走行用途ではないと判別したときには、制御部101Aは、処理をステップS236に移行して、記憶していた更新プログラムの情報によるプログラムの更新を実行し、その後、ステップS237以降の処理を実行する。
【0255】
次に、
図17のステップS212で、走行以外用途であると判別したときには、制御部101Aは、バッテリー11の残量を検知し(
図20のステップS241)、次いで、制御部101Aは、ステップS102での判別結果を利用して、乗車者が登録された利用者であるか否か判別する(ステップS242)。
【0256】
このステップS242で、乗車者が登録された利用者であると判別したときには、制御部101Aは、ステップS241で検知したバッテリー11の残量で提供可能な走行以外用途を、乗車者の利用履歴を基にした優先順位で提示する(ステップS243)。例えば、乗車者の過去の利用用途で、利用機会の多い走行以外用途ほど提示順位が高順位となるように提示する。
【0257】
この場合の走行以外用途の表示例を、
図29(B)に示す。すなわち、乗車者が、走行以外用途を選択すると、表示部111の表示画面111Dは、
図29(A)の利用用途の問い合わせ画面から、
図29(B)に示す走行以外用途の一覧画面に変わる。なお、スピーカ136を通じて音声によっても、乗車者に、この走行以外用途の一覧の内容を提示するようにしてもよい。
【0258】
次に、制御部101Aは、走行以外用途の選択を受け付けたか否か判別し(ステップS244)、走行以外用途の選択を受け付けてはいないと判別したときには、タッチパネル112を通じて表示画面111Dのボタンアイコン210(
図29(B)参照)の操作に基づく利用中止指示、あるいはマイクロフォン137を通じて収音される音声による自動運転車1の利用中止指示を受け付けたか否か判別する(ステップS245)。
【0259】
そして、制御部101Aは、このステップS245で、利用中止指示を受け付けたと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。また、ステップS245で、利用中止指示を受け付けてはいないと判別したときには、制御部101Aは、タッチパネル112を通じて表示画面111Dのボタンアイコン211(
図29(B)参照)の操作に基づくやり直し指示、あるいはマイクロフォン137を通じて収音される音声によるやり直し指示を受け付けたか否か判別する(ステップS246)。
【0260】
そして、ステップS246でやり直し指示を受け付けてはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理をステップS244に戻し、このステップS244以降の処理を繰り返すようにする。また、ステップS246でやり直し指示を受け付けたと判別したときには、制御部101Aは、処理を
図17のステップS211に戻し、このステップS211以降の処理を行うようにする。
【0261】
次に、ステップS244で、走行以外用途の選択を受け付けたと判別したときには、制御部101Aは、選択された走行以外用途の利用項目の一覧を、乗車者の利用履歴を基にした順位で表示画面111Dに表示すると共に、スピーカ136を通じて音声により通知する(ステップS247)。すなわち、乗車者の過去の利用用途で、利用機会の多い走行以外用途の利用項目ほど優先順位が高順位となるように提示する。
【0262】
このときの表示画面111Dの表示例を、
図29(C)及び
図29(D)に示す。すなわち、
図29(C)は、走行以外用途としてAV/ゲーム関連の機能が選択された場合における、その利用項目の一覧であり、
図29(D)は、走行以外用途としてマッサージ他が選択された場合における、その利用項目の一覧である。この場合に、表示画面111Dには、
図29(C)及び
図29(D)に示すように、走行以外用途のそれぞれについて、ステップS241で検出されたバッテリー残量で利用可能な時間の情報も、併せて表示される。
【0263】
なお、
図29(D)に示すように、この例においては、マッサージの機能については、利用者は、それぞれ施術時間が定まっている複数のコース、例えば施術時間が10分のショートコース、施術時間が30分の通常コース、施術時間が60分の念入りコース、の中からコースを選択することができるようにされている。
【0264】
次に、制御部101Aは、利用項目が選択されるのを待ち(ステップS248)、利用項目が選択されたと判別したときには、タッチパネル112を通じて表示画面111Dのボタンアイコン212(
図29(C)参照)又はボタンアイコン213(
図29(D)参照)の操作に基づく起動指示(実行指示及び利用時間の指示)、あるいはマイクロフォン137を通じて収音される音声による起動指示(実行指示及び利用時間の指示)を受け付けたか否か判別する(ステップS249)。
【0265】
そして、ステップS249で、起動指示(実行指示及び利用時間の指示)を受け付けたと判別したときには、制御部101Aは、選択された走行以外用途の利用項目を実行するようにする(ステップS250)。なお、実行された利用用途の履歴は、乗車者の利用者IDと対応付けられて、前述の
図15に示したような内容が履歴メモリ142に格納される。
【0266】
また、ステップS242で、乗車者は、登録された利用者ではないと判別したときには、制御部101Aは、ステップS241で検知したバッテリー11の残量で提供可能な走行以外用途を提示する(
図21のステップS261)。この場合には、乗車者の過去の利用用途は存在しないので、走行以外用途は、任意の優先順位の提示順位で提示する(例えば
図29(B)参照)。
【0267】
次に、制御部101Aは、走行以外用途の選択を受け付けたか否か判別し(ステップS262)、走行以外用途の選択を受け付けてはいないと判別したときには、タッチパネル112を通じて表示画面111Dのボタンアイコン210(
図29(B)参照)の操作に基づく利用中止指示、あるいはマイクロフォン137を通じて収音される音声による自動運転車1の利用中止指示を受け付けたか否か判別する(ステップS263)。
【0268】
そして、制御部101Aは、このステップS263で、利用中止指示を受け付けたと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。また、ステップS263で、利用中止指示を受け付けてはいないと判別したときには、制御部101Aは、タッチパネル112を通じて表示画面111Dのボタンアイコン211(
図29(B)参照)の操作に基づくやり直し指示、あるいはマイクロフォン137を通じて収音される音声によるやり直し指示を受け付けたか否か判別する(ステップS264)。そして、ステップS264でやり直し指示を受け付けてはいないと判別したときには、処理をステップS262に戻し、このステップS262以降の処理を繰り返すようにする。また、ステップS264でやり直し指示を受け付けたと判別したときには、制御部101Aは、処理を
図17のステップS211に戻し、このステップS211以降の処理を行うようにする。
【0269】
次に、ステップS262で、走行以外用途の選択を受け付けたと判別したときには、制御部101Aは、選択された走行以外用途の利用項目の一覧を、任意の順序で、例えばデフォルトの順序で、表示画面111Dに表示すると共に、スピーカ136を通じて音声により通知する(ステップS265)。
【0270】
このときの表示画面111Dの表示例も、
図29(C)及び
図29(D)に示すようなものとなる。
【0271】
次に、制御部101Aは、利用項目が選択されるのを待ち(ステップS266)、利用項目が選択されたと判別したときには、タッチパネル112を通じて表示画面111Dのボタンアイコン212(
図15(C)参照)又はボタンアイコン213(
図15(D)参照)の操作に基づく起動指示(実行指示及び利用時間の指示)、あるいはマイクロフォン137を通じて収音される音声による起動指示(実行指示及び利用時間の指示)を受け付けたか否か判別する(ステップS267)。
【0272】
そして、ステップS267で、起動指示(実行指示)を受け付けたと判別したときには、制御部101は、選択された走行以外用途の利用項目を実行するようにする(ステップS268)。
【0273】
そして、
図20のステップS250の次、また、
図21のステップS268の次には、制御部101Aは、サーバ3からプログラムの更新通知を受信したか否か監視する(
図22のステップS271)。このステップS271で、プログラムの更新通知を受信したと判別したときには、制御部101Aは、当該更新通知に対する応答をサーバ3に返す(ステップS272)。すると、サーバ3からは、更新プログラムの種類と、更新時間の情報を含む更新プログラムの情報がダウンロードされてくるので、制御部101Aは、当該更新プログラムの情報を無線通信部123を通じて受信して取得する(ステップS273)。
【0274】
次に、制御部101Aは、更新プログラムは走行支援用プログラムであるか否か判別する(ステップS274)。このステップS274で、更新プログラムは走行支援用ではなく走行以外用途用であると判別したときには、制御部101Aは、当該更新プログラムは実行中のプログラム用であるか否か判別し(ステップS275)、実行中のプログラムであると判別したときには、現在、実行中であるためにプログラムの更新は行わずに、サーバ3からダウンロードした更新プログラムの情報を記憶保持するようにする(ステップS276)。
【0275】
次に、制御部101Aは、実行されている走行以外用途の利用が終了したか否か判別する(ステップS277)。このステップS277で、走行以外用途の利用が終了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理をステップS271に戻し、このステップS271以降の処理を繰り返す。
【0276】
また、ステップS277で、走行以外用途の利用が終了したと判別したときには、制御部101Aは、当該走行以外用途の利用終了処理をした後、ステップS276で実行中であったため更新をせずに記憶保持していた実行中のプログラムの更新プログラムの情報を用いて、当該実行中であったプログラムの更新を行う(ステップS278)。そして、制御部101Aは、その更新が完了したら、更新完了を無線通信部123を通じてサーバ3に通知する(ステップS279)。
【0277】
このステップS279の次には、制御部101Aは、処理を
図19のステップS231に進め、さらに、記憶している他の更新プログラムの情報があるか否か判別し、その判別結果に従ったステップS231以降の処理を行うようにする。
【0278】
そして、ステップS275で、サーバ3から受け取った更新プログラムの情報が実行中のプログラムではなく、他の走行以外用途用のプログラムの更新用であると判別したときには、制御部101Aは、ステップS273で取得した更新プログラムの情報を用いて、そのプログラムの更新を実行する(
図23のステップS281)。そして、制御部101Aは、そのプログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS282)、更新が完了してはいないと判別したときには、実行中の走行以外用途の利用が終了したか否か判別する(ステップS283)。
【0279】
このステップS283で、実行中の走行以外用途の利用は終了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理をステップS282に戻して、このステップS282以降の処理を繰り返す。
【0280】
また、ステップS283で、実行中の走行以外用途の利用が終了したと判別したときには、制御部101Aは、当該走行以外用途の利用終了処理をすると共に、未だ、プログラムの更新中である旨を利用者に通知する(ステップS284)。そして、制御部101Aは、更新完了を待ち(ステップS285)、更新完了を確認したら、無線通信部123を通じてサーバ3に、更新完了したプログラムの識別情報を含めて、当該プログラムの更新完了を通知する(ステップS286)。次に、制御部101Aは、処理を
図19のステップS231に進め、さらに、記憶している他の更新プログラムの情報があるか否か判別し、その判別結果に従ったステップS231以降の処理を行うようにする。
【0281】
また、ステップS282で、更新完了したことを判別したときには、制御部101Aは、無線通信部123を通じてサーバ3に、更新完了したプログラムの識別情報を含めて、当該プログラムの更新完了を通知する(ステップS287)。そして、制御部101Aは、実行中の走行以外用途の利用が終了したか否か判別する(ステップS288)。
【0282】
このステップS288で、実行中の走行以外用途の利用は終了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理を
図22のステップS271に戻して、このステップS271以降の処理を繰り返す。また、ステップS288で、実行中の走行以外用途の利用が終了したと判別したときには、制御部101Aは、当該走行以外用途の利用終了処理をする(ステップS289)。次に、制御部101Aは、処理を
図19のステップS231に進め、さらに、記憶している他の更新プログラムの情報があるか否か判別し、その判別結果に従ったステップS231以降の処理を行うようにする。
【0283】
また、
図22のステップS274で、更新プログラムの情報は、走行支援用であると判別したときには、制御部101Aは、実行中である走行以外用途を判別し、停止継続時間を予測する(
図24のステップS291)。
【0284】
このステップS291においては、例えば、実行中の走行以外用途が、AVエンタテインメント機能部、ゲーム機能部あるいはマッサージ機構駆動部のいずれであるかを判別する。そして、利用時間の入力を受け付けているときには、制御部101Aは、その受け付けた利用時間及びその開始時刻(受け付けた時刻)と、ステップS271で更新通知を受信した時刻とから、停止継続時間を予測する。この場合に、実行中の走行以外用途が、マッサージの場合であれば、
図29(D)に示したように、利用者はコースを選択しているので、利用者が選択したマッサージのコースに応じて定められている施術時間(例えば、10分、30分、60分)に基づいて停止継続時間が予測される。
【0285】
また、利用時間の入力を受け付けていない場合には、履歴メモリ142の履歴情報を履歴解析部143で解析して、利用中の走行以外用途の過去の利用時間に基づいて、制御部101Aは、停止継続時間を予測する。この場合に、利用中の走行以外用途の利用者が認識されている場合には、当該認識された利用者についての利用中の走行以外用途の過去の利用時間及びその開始時刻と、ステップS271で更新通知を受信した時刻とから、停止継続時間を予測する。また、利用者が認識されていない場合には、利用中の走行以外用途について、履歴メモリ142に記憶されている全ての利用者の過去の利用時間の平均値を算出し、その算出した平均の利用時間及びその開始時刻と、ステップS271で更新通知を受信した時刻とから、停止継続時間を予測する。
【0286】
そして、制御部101Aは、ステップS273で取得した更新プログラムの情報に含まれる更新時間を把握して、予測した停止継続時間内に、プログラムの更新が可能であるか否か判別し(ステップS292)、プログラムの更新が可能ではないと判別したときには、ステップS273で取得した更新プログラムの情報を記憶保持する(ステップS293)。そして、制御部101Aは、処理を
図22のステップS271に戻し、このステップS271以降の処理を繰り返す。
【0287】
また、ステップS292で、プログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101Aは、プログラムの更新を実行する(ステップS294)。そして、制御部101Aは、更新完了を監視して(ステップS295)、ステップS295で更新完了を確認したら、更新完了をサーバ3に無線通信部123を通じて通知する(ステップS296)。そして、制御部101Aは、実行中の走行以外用途の利用が終了したか否か判別する(ステップS297)。
【0288】
このステップS297で、実行中の走行以外用途の利用は終了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理を
図22のステップS271に戻して、このステップS271以降の処理を繰り返す。また、ステップS297で、実行中の走行以外用途の利用が終了したと判別したときには、制御部101Aは、該走行以外用途の利用終了処理をする(ステップS298)。次に、制御部101Aは、処理を
図19のステップS231に進め、さらに、記憶している他の更新プログラムの情報があるか否か判別し、その判別結果に従ったステップS231以降の処理を行うようにする。
【0289】
また、ステップS295で、更新が完了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、実行中の走行以外用途の利用が終了したか否か判別する(
図25のステップS301)。このステップS301で、実行中の走行以外用途の利用は終了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理を
図24のステップS295に戻して、このステップS295以降の処理を繰り返す。
【0290】
また、ステップS301で、実行中の走行以外用途の利用が終了したと判別したときには、制御部101Aは、当該走行以外用途の利用終了処理をすると共に、未だ、プログラムの更新中である旨を利用者に通知する(ステップS302)。そして、制御部101Aは、更新完了を待ち(ステップS303)、更新完了を確認したら、無線通信部123を通じてサーバ3に、更新完了したプログラムの識別情報を含めて、当該プログラムの更新完了を通知する(ステップS304)。次に、制御部101Aは、処理を
図19のステップS231に進め、さらに、記憶している他の更新プログラムの情報があるか否か判別し、その判別結果に従ったステップS231以降の処理を行うようにする。
【0291】
次に、
図22のステップS271において、サーバ3からプログラムの更新通知を受信してはいないと判別したときには、実行中の走行以外用途を判別し、停止継続時間を予測する(
図26のステップS311)。このステップS311では、前述したステップS291で説明したのと同様にして、停止継続時間を予測する。
【0292】
次に、制御部101Aは、予測された停止継続時間は、予め定めた所定時間以上であるか否かを判別する(ステップS312)。ステップS312での判別は、停止後すぐに再発車するような場合を除くためであり、所定時間は、例えば5分と定められる。
【0293】
ステップS312で、予測された停止継続時間は、所定時間未満であると判別したときには、制御部101Aは、実行中の走行以外用途の利用が終了したか否か判別する(ステップS319)。
【0294】
このステップS319で、実行中の走行以外用途の利用は終了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理を
図22のステップS271に戻して、このステップS271以降の処理を繰り返す。また、ステップS319で、実行中の走行以外用途の利用が終了したと判別したときには、制御部101Aは、該走行以外用途の利用終了処理をする(ステップS320)。次に、制御部101Aは、処理を
図19のステップS231に進め、さらに、記憶している他の更新プログラムの情報があるか否か判別し、その判別結果に従ったステップS231以降の処理を行うようにする。
【0295】
ステップS312で、予測された停止継続時間は、所定時間以上であると判別したときには、制御部101Aは、サーバ3に対して、無線通信部123を通じて、自車の識別情報を含むプログラム更新の問い合わせを送信する(ステップS313)。
【0296】
このプログラム更新の問い合わせに対しては、サーバ3では、問い合わせをしてきたクライアントの自動運転車1についての未完了の更新プログラムがあるか否か判別し、更新プログラムが無い場合には、更新プログラム無し通知を、問い合わせしてきた自動運転車1に送信し、更新プログラムがある場合には、更新プログラムが存在する旨の通知と共に、更新プログラムの情報を、問い合わせてきた自動運転車1に対してダウンロードする。
【0297】
そこで、プログラム更新の問い合わせを送信した制御部101Aは、サーバ3から更新プログラム無し通知を受信したか否か判別し(ステップS314)、更新プログラム無し通知を受信したと判別したときには、処理をステップS319に移行し、このステップS319以降の処理を繰り返す。
【0298】
ステップS314で、更新プログラム無し通知ではなく、更新プログラムが存在する旨の通知を受信したと判別したときには、制御部101Aは、サーバ3からの更新プログラムの情報のダウンロードを受けて、更新プログラムの情報を取得する(ステップS315)。そして、制御部101Aは、取得した更新プログラムの情報から更新時間を把握する(ステップS316)。
【0299】
次に、制御部101Aは、ステップS311で予測された停止継続時間の情報と、ステップS316で取得した更新時間の情報とから、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能か否か判別する(ステップS317)。このステップS317で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新は可能ではないと判別したときには、制御部101Aは、ステップS315で取得した更新プログラムの情報を記憶保持する(ステップS318)。そして、制御部101Aは、処理をステップS319に進め、このステップS319以降の処理を行う。
【0300】
また、ステップS317で、予測された現時点からの停止継続時間内にプログラムの更新が可能であると判別したときには、制御部101Aは、取得した更新プログラムの情報を用いて、対応するプログラムの更新を実行する(
図27のステップS331)。そして、制御部101Aは、そのプログラムの更新が完了したか否か判別し(ステップS332)、更新が完了してはいないと判別したときには、実行中の走行以外用途の利用が終了したか否か判別する(ステップS333)。
【0301】
このステップS333で、実行中の走行以外用途の利用は終了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理をステップS332に戻して、このステップS332以降の処理を繰り返す。
【0302】
また、ステップS333で、実行中の走行以外用途の利用が終了したと判別したときには、制御部101Aは、当該走行以外用途の利用終了処理をすると共に、未だ、プログラムの更新中である旨を利用者に通知する(ステップS334)。そして、制御部101Aは、更新完了を待ち(ステップS335)、更新完了を確認したら、無線通信部123を通じてサーバ3に、更新完了したプログラムの識別情報を含めて、当該プログラムの更新完了を通知する(ステップS336)。次に、制御部101Aは、処理を
図19のステップS231に進め、さらに、記憶している他の更新プログラムの情報があるか否か判別し、その判別結果に従ったステップS231以降の処理を行うようにする。
【0303】
また、ステップS332で、更新完了したことを判別したときには、制御部101Aは、無線通信部123を通じてサーバ3に、更新完了したプログラムの識別情報を含めて、当該プログラムの更新完了を通知する(ステップS337)。そして、制御部101Aは、サーバ3に更なる更新プログラムがあるかどうかの問い合わせを行い(ステップS338)、更なる更新プログラムがあるか否か判別する(ステップS339)。
【0304】
このステップS339で、更なる更新プログラムがあると判別したときには、制御部101Aは、処理を
図26のステップS315に戻し、このステップS315以降の処理を繰り返す。また、ステップS339で、更なる更新プログラムは無いと判別したときには、制御部101Aは、実行中の走行以外用途の利用が終了したか否か判別する(ステップS340)。
【0305】
このステップS340で、実行中の走行以外用途の利用は終了してはいないと判別したときには、制御部101Aは、処理を
図22のステップS271に戻して、このステップS271以降の処理を繰り返す。また、ステップS340で、実行中の走行以外用途の利用が終了したと判別したときには、制御部101Aは、該走行以外用途の利用終了処理をする(ステップS341)。次に、制御部101Aは、処理を
図19のステップS231に進め、さらに、記憶している他の更新プログラムの情報があるか否か判別し、その判別結果に従ったステップS231以降の処理を行うようにする。
【0306】
以上説明したように、第2の実施形態の自動運転車1Aでは、停止継続時間を、自動運転車1Aの過去の走行履歴や停止履歴に基づいて予測するようにする。そして、この第2の実施形態の自動運転車1Aでは、自車が停止中であっても、その予測された停止継続時間が、プログラムの更新時間よりも長いと判断されるときにのみ実行される。
【0307】
したがって、この第2の実施形態の自動運転車1Aにおいても、停止中に無暗に自律走行を支援するプログラムの更新が実行されてしまうことはなく、適宜の停止継続時間に自律走行を支援するプログラムの更新がされるので、利用者の利用を最優先しながら、適切な時期に自律走行を支援するプログラムの更新がなされるという顕著な効果を奏する。
【0308】
[その他の実施形態又は変形例]
なお、上述の実施形態では、取得した更新プログラムの情報を用いた走行支援用プログラムの更新ができないと判別したときには、サーバ3からの更新プログラムの情報を記憶しておき、後の停止継続時間において、記憶している更新プログラムの情報を用いて走行支援用プログラムの更新を実行するようにした。しかし、走行支援用プログラムの更新ができないと判別したときには、サーバ3にその旨を通知して更新を拒否し、後の時間において、サーバ3からの更新通知に基づき、又は、サーバ3への問い合わせにより、走行支援用プログラムの更新を行うように構成してもよい。
【0309】
その場合には、サーバ3は、未実行の走行支援用プログラムの更新プログラムを、自動運転車の識別情報に対応付けて記憶しておき、次の更新通知の際に、その未実行の更新プログラムの更新通知を送ったり、クライアントの自動運転車からの問い合わせに応じて、当該未実行の更新プログラムの情報を提供するようにする。
【0310】
なお、上述の実施形態の説明では、プログラム更新管理制御部119、119Aでは、更新プログラムの情報に含まれる更新時間の情報と、予測された停止継続時間とから、自律走行を支援するプログラムの更新が可能であるか否かを判別するようにしたが、更に、バッテリー残量をも考慮してプログラムの更新が可能であるか否かを判別するようにしてもよい。すなわち、バッテリー残量が更新時間に対応することができないと判別したときには、予測された停止継続時間が更新時間よりも長時間であっても、更新プログラムの情報を記憶し、後の時点において、その更新を実行するようにする。
【0311】
また、上述の実施形態では、走行支援用プログラムは、自律走行(完全自動運転)用の場合であって、自律走行の自動運転モードにおいては、種々の走行支援プログラムを適宜に選択的に用いて走行することになるので、最高レベルの安全性を確保するため、走行中は、その走行支援プログラムのすべての更新は回避するようにした。そして、上述の実施形態において、現時点では手動運転モードで走行していても、どのタイミングで自動運転モードに切り替えられるかは不明であるので、最高レベルの安全性を担保する点で、この実施形態では、走行中は、手動運転モードか、自動運転モードかに関係なく、走行支援用プログラムの更新は回避するようにした。
【0312】
しかし、自律走行の自動運転モードにおいて、更新プログラムの情報を取得した時点で使用されている走行支援用プログラムを認識することができるので、その使用されている走行支援用プログラムが、更新対象であるか否かを判別して、更新対象でないときには、走行中であっても、取得した更新プログラムの情報により、その更新対象の走行支援用プログラムの更新を実行してもよい。また、手動運転モードでの走行中においては、自動運転モードで用いられる走行支援用プログラムの更新を実行するようにしてもよい。
【0313】
また、上述の実施形態は、自律走行が可能な自動運転モードを備える自動運転車の場合であったが、自律走行が可能な自動運転モードを備えずに、手動運転モードにおいて、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステム等が利用可能となっている自動車においても、同様に適用である。すなわち、自動衝突防止アシストシステムやクルーズコントロールシステムやレーンキープアシストシステム等は、それぞれ用の走行支援用プログラムを用いるものであり、その走行支援用プログラムの更新について、この発明を適用することができる。
【0314】
上述の第1及び第2の実施形態では、自動運転車は、自動運転モードと手動運転モードとを備えるものとしたが、自動運転モードしか備えない自動運転車であっても、この発明は勿論適用可能である。
【0315】
また、上述の実施形態では、走行支援用プログラムの更新中であるときに、利用者により走行開始指示があった時には、走行開始不可を通知するようにしたが、その通知を受けた利用者により、走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示が可能に構成することもできる。すなわち、この場合には、走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示を受けたときには、当該走行支援用プログラムの更新を中断すると共に、更新プログラムの情報は、記憶保持しておく。そして、後の停止継続時間において、中断した走行支援用プログラムの更新を、最初から実行し直すようにする。
【0316】
同様に、走行支援用プログラムの更新中であるため呼出不可であることの通知を受けた利用者から、走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示を受けることができるように構成してもよい。この場合にも、走行支援用プログラムの更新の強制停止の指示を受けたときには、当該走行支援用プログラムの更新を中断すると共に、更新プログラムの情報は、記憶保持しておく。そして、後の停止継続時間において、中断した走行支援用プログラムの更新を、最初から実行し直すようにする。
【0317】
上述の第1の実施形態では、利用者により設定された降車後振る舞いから、降車時に、停止継続時間を予測し、走行支援用プログラムの更新が可能かどうかを判別する形態を中心に説明したが、この発明は、降車時でなくても、乗車時や乗車中に既に利用者が走行を停止している時間帯が把握できるのであれば、利用者の乗車時や乗車中に、利用者による走行を停止している時間帯の入力に基づいて、停止継続時間(停止している時間帯)を予測し、走行支援用プログラムの更新が可能かどうかを判別するようにしてもよい。
【0318】
また、上述の実施形態では、自動車の場合であったが、オートバイなどの自動2輪やオート3輪でもこの発明を適用することができる。もちろん、自動車、自動2輪、オート3輪は、陸上用途のみに限らず、水陸両用車や空陸両用車(空飛ぶ車両)であってもよい。
【符号の説明】
【0319】
1,1A…自動運転車、3…プログラム更新サーバ、10,10A…電子制御回路部、101,101A…制御部、116…降車後振る舞い設定受付部、117,117A…振る舞い制御管理部、119,119A…プログラム更新管理制御部