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  • 特開-振動センサ 図1
  • 特開-振動センサ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006570
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】振動センサ
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109243
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】前田 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】仁保 嘉規
(72)【発明者】
【氏名】池原 雅幸
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064BD18
(57)【要約】
【課題】簡易な組立工程で振動板の周波数特性を向上できる振動センサを提供する。
【解決手段】振動センサは、上面に開口部を含み、その底面の中央に凹部を含む下ケースと、下ケースの底面の周辺部と接着され、凹部との間に空隙を成すように配置される振動板と、その中央部に孔を含むフレーム形状であって、その裏面に振動板の接着位置を押圧する突起を含み、下ケースに格納され、振動板上に載置される中間ケースと、下ケースに格納され、中間ケース上に載置される基板と、基板に実装され、圧力変化を検出するセンサ素子と、開口部を蓋する上ケースを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を含み、その底面の中央に凹部を含む下ケースと、
前記下ケースの底面の周辺部と接着され、前記凹部との間に空隙を成すように配置される振動板と、
その中央部に孔を含むフレーム形状であって、その裏面に前記振動板の接着位置を押圧する突起を含み、前記下ケースに格納され、前記振動板上に載置される中間ケースと、
前記下ケースに格納され、前記中間ケース上に載置される基板と、
前記基板に実装され、圧力変化を検出するセンサ素子と、
前記開口部を蓋する上ケースを含む
振動センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の振動センサであって、
前記基板は前記下ケースにネジ止めされる
振動センサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振動センサであって、
前記下ケースと前記中間ケースと前記上ケースは、
樹脂材料で形成される
振動センサ。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の振動センサであって、
前記突起は
下方向に頂点を有する錐体形状、または下方向に進むにつれ窄まっていく錘台形状、または下方向に突出する曲面形状である
振動センサ。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の振動センサであって、
前記基板と電気的に接続されるリード線を含み、
前記下ケースは、
前記リード線を圧入する溝を含む
振動センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動センサに関する。
【背景技術】
【0002】
衝撃センサの従来例として、例えば特許文献1がある。特許文献1の衝撃センサの、円形の圧電セラミック板が接着された円形の金属板の外周部は、その一方面がケースの凹溝に嵌め込まれた環状のオーリングゴムにより支持され、他方面がオーリングゴムに対して当該外周部を押圧するためにケースに設けられた環状の凸部により支持されることで、オーリングゴムと凸部とにより弾性的に挟持されることを特徴とする。
【0003】
特許文献1の衝撃センサによれば、簡易な構造として加工性を向上し、組立作業における待ち時間を無くして生産性を向上し、修正加工を可能とすることにより歩留りを向上し、安価なパーツの使用により安価な商品を実現し、特性のバラツキを無くして品質を一定にし、周波数特性を向上した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-078272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設備機器類の異常検出に振動モニタリングが使用されるが、計測用の加速度ピックアップは高価な製品が多く、複数個所の計測を行うとコストが莫大となる。一方、安価な振動センサも市場に存在するが、安価な振動センサでは計測帯域が数kHzと制限されているため、機器類の異常振動を検出するには不十分な性能である。
【0006】
これに対し、製品組み立て中の振動板の周波数特性を向上するために、ケースと振動板を接着剤で接着して剛性を高くする方法が検討されているが、接着剤の量の管理が難しく、硬化工程の際に、狙った特性にならない場合があった。このほかに、ケーブル振動を抑制するために基板を二枚使用する場合があるが、基板を二枚使用すると組立工程が増え、部品コストが増大するという課題があった。
【0007】
そこで本発明では、簡易な組立工程で振動板の周波数特性を向上できる振動センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動センサは、下ケースと、振動板と、中間ケースと、基板と、センサ素子と、上ケースを含む。
【0009】
下ケースは、上面に開口部を含み、その底面の中央に凹部を含む。振動板は、下ケースの底面の周辺部と接着され、凹部との間に空隙を成すように配置される。中間ケースは、その中央部に孔を含むフレーム形状であって、その裏面に振動板の接着位置を押圧する突起を含み、下ケースに格納され、振動板上に載置される。基板は、下ケースに格納され、中間ケース上に載置される。センサ素子は、基板に実装され、圧力変化を検出する。上ケースは、開口部を蓋する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の振動センサによれば、簡易な組立工程で振動板の周波数特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の振動センサの斜視断面図。
図2】実施例1の振動センサの断面図。
図3】実施例1の振動センサの斜視図。
図4】実施例1の振動センサの下ケースの斜視図。
図5】実施例1の振動センサの下ケース、基板、リード線を含む平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0013】
以下、図1図2を参照して実施例1の振動センサの構成を説明する。同図に示すように本実施例の振動センサは、下ケース1と、振動板2と、中間ケース3と、基板4と、センサ素子5と、上ケース6を含む。
【0014】
下ケース1は、上面に開口部11を含むケースであって、その底面の中央に凹部12、底面の周辺部に凹部12よりも上方向にせりあがった周辺部13を含む。振動板2の周辺部は、下ケース1の底面の周辺部13と接着され、凹部12との間に空隙を成す。中間ケース3は、その中央部に孔31を含むフレーム形状(本実施例ではリング・フレーム形状)であって、その裏面に振動板2の接着位置を押圧する突起32を含み、下ケース1に格納され、振動板2上に載置される。突起32は、中間ケース3の裏面の全周に亘り、複数、均等間隔で配置されていれば好適である。基板4は、略平板形状であって、下ケース1に格納され、中間ケース13上に載置される。センサ素子5は、基板4の裏面(または表面)に実装され、センサ素子5の検出部は孔31に収容され、圧力変化を検出する。上ケース6は、略平板形状であって、開口部11を蓋する。
【0015】
本実施例の振動センサは、上述の構造を備えることにより、振動板2の接着位置に中間ケース3(特に突起32)によって荷重を加えた状態で硬化を進めることができるため、接着力が向上することで、振動板2の共振周波数がより高くなる。これにより、共振周波数以下の検出周波数範囲を広域にすることができる。さらに上述の構造によって組立工程が合理化されているため、振動板2の接着中に中間ケース3の組付けを進めることができ、組立工程を短縮することができる。
【0016】
基板4は、下ケース1にネジ止めされれば好適である。ネジ止めにより、振動板2、中間ケース3、基板4、センサ素子5を一度に組み付けることができるため組立工程が短縮される。また、ネジ止めにより振動板2の接着位置に強い荷重をかけることができる。
【0017】
下ケース1と中間ケース3と上ケース6は、樹脂材料で形成されれば好適である。樹脂材料として、例えばガラスファイバー入りのPBT樹脂を用いることができる。樹脂材料を使用することにより、振動センサが軽量になるため、重量の小さい被測定物を測定することもできる。また樹脂材料を使用することにより、金属材料を使用した場合よりも部品コストを低減できる。
【0018】
突起32は下方向に頂点を有する錐体形状(断面V字形状)、または下方向に進むにつれ窄まっていく錘台形状(先端にフラットな面を含む断面略V字形状)、または下方向に突出する曲面形状(断面U字形状)であれば、好適である。突起32を断面V字形状、または断面U字形状とすることにより、突起32の先端が振動板2の表面の粗さや傾きに合わせてわずかに変形するため、振動板2の接着位置に対して、全周に亘り均等に荷重をかけることができ、下ケース1と振動板2の接圧や接着剤硬化後の剛性のバラツキを抑えることができ、周波数特性が安定する。また、突起32を先端にフラットな面を含む断面略V字形状とし、荷重がかかった状態でも突起32が変形しない構造とすることにより、ネジ止めなどによって中間ケース3に加わった荷重が減衰することなく振動板2に伝わるため、剛性を高くすることができる。
【0019】
図3に示すように、基板4と接続されるケーブル7は、下ケース1に設けられた挿通穴14に挿通され、その先端は下ケース1内に収容される。ケーブル7と挿通穴14の隙間にはパッキン8が隙間なく充填され、ケーブル7と挿通穴14の隙間からの水などの進入を防止する。ケーブル7は複数のリード線9を含む。図5に示すように、リード線9は、基板4と電気的に接続される。図4図5に示すように、下ケース1は、リード線9を圧入する溝15を含む。下ケース1にリード線9を圧入する溝15を形成したことにより、リード線9を下ケース1に固定することができ、ケーブル7から伝わる振動を遮断することができる。またリード線9の位置が固定されるため基板4とリード線9の接続作業が容易となる。従来はリード線9の固定と振動の遮断に基板二枚を必要としていたところ、本実施例の振動センサは、上記の特徴により、基板一枚で構成できるようになった。
【0020】
<変形例>
突起32の代用として、中間ケース3と振動板2の間にオーリングなどのゴム製品を挿入することによって、振動板2と下ケース1の間の接圧を調整することが可能である。また、基板4に信号処理回路を実装することで、機構設計だけでは対応しきれなかった周波数特性や感度の改善が可能になる。下ケース1と上ケース6の固定方法として、接着の代わりに、溶着や留め具構造により係止する構造を採用してもよい。下ケース1と中間ケース3と上ケース6の材料として、ガラスファイバー入りのPBT樹脂を挙げたが、他の材料でもよい。
図1
図2
図3
図4
図5