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特開2023-65716携帯中継機、及び車両遠隔操作システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065716
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】携帯中継機、及び車両遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230508BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20230508BHJP
   B60R 25/04 20130101ALI20230508BHJP
   H04B 1/3822 20150101ALI20230508BHJP
   H04B 7/15 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
B60R25/24
B60R25/04
H04B1/3822
H04B7/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176005
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】591273269
【氏名又は名称】株式会社サーキットデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆季
(72)【発明者】
【氏名】池田 博志
(72)【発明者】
【氏名】市川 益雄
(72)【発明者】
【氏名】北澤 紘一
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 邦廣
【テーマコード(参考)】
5K011
5K048
5K072
【Fターム(参考)】
5K011JA01
5K011JA08
5K011KA17
5K011LA08
5K048BA42
5K048BA52
5K048DA01
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB03
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
5K072AA24
5K072BB02
5K072DD11
5K072GG14
(57)【要約】
【課題】車両を確実に遠隔操作することが可能になる、携帯中継機、及び車両遠隔操作システムを提供すること。
【解決手段】車両制御システム100は、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、車両遠隔操作システム101は、車両制御装置1と通信可能な車載中継機3と、携帯機2と通信可能な携帯中継機4と、を備え、車載中継機3は、車両制御装置1から送信された応答要求信号を受信して携帯中継機4に無線送信すると共に、携帯中継機4から無線送信された応答信号を受信して車両制御装置1に送信し、携帯中継機4は、車載中継機3から無線送信された応答要求信号を受信して携帯機2に送信すると共に、携帯機2から応答要求信号に基づいて送信された応答信号を受信して車載中継機3に無線送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システム、を構成するための携帯中継機であって、
前記車両制御システムは、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、
前記車両遠隔操作システムは、
前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、
前記携帯機と通信可能な前記携帯中継機と、を備え、
前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信し、
前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する、
携帯中継機。
【請求項2】
前記応答要求信号の送信及び前記応答信号の受信を行うための共通のアンテナコイル、を備える、
請求項1に記載の携帯中継機。
【請求項3】
前記携帯中継機の構成要素を収容するための収容手段であって、当該携帯中継機の外形を形成する収容手段、を備えており、
前記アンテナコイルは、前記収容手段が延在する方向に沿って配置されている、
請求項2に記載の携帯中継機。
【請求項4】
所定周波数帯のノイズを除去するためのノイズ除去手段、を備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の携帯中継機。
【請求項5】
前記携帯機は、第1変調方式で変調して前記応答信号を無線送信し、
前記携帯中継機は、
前記携帯中継機の構成要素を制御するための制御手段、を備えており、
前記制御手段は、前記携帯機から送信された前記応答信号を復調し、
前記携帯中継機は、前記制御手段にて復調された前記応答信号を第2変調方式で変調して前記車載中継機に無線送信する、
請求項1から4の何れか一項に記載の携帯中継機。
【請求項6】
前記携帯機及び前記携帯中継機が相互に無線通信可能となるように、前記携帯機を前記携帯中継機に対して位置決めするための位置決め手段、を備える、
請求項1から5の何れか一項に記載の携帯中継機。
【請求項7】
車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムであって、
前記車両制御システムは、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、
前記車両遠隔操作システムは、
前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、
前記携帯機と通信可能な携帯中継機と、を備え、
前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信し、
前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する、
車両遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯中継機、及び車両遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジン等の各種の機器を運転者の操作に応じて始動等するための車両制御システムは、車内に装着された車両制御装置と、車両の運転者が携帯可能な携帯機(リモコンキー)とを備えて構成されている。このような車両制御システムを備えた車両を対象として、寒冷地における暖気運転等の様々な目的のために、エンジンやエアコン等の各種の機器を車外から操作するための車両遠隔操作システム(エンジンスタータ)が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-49770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯機に対して無線給電する事により照合、又は、認証を行うイモビ・トランスポンダーによる認証システムを有する車両制御システムを介して車両の所定機器を遠隔操作する事が要望されていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両を確実に遠隔操作することが可能になる、携帯中継機、及び車両遠隔操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の携帯中継機は、車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システム、を構成するための携帯中継機であって、前記車両制御システムは、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、前記車両遠隔操作システムは、前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、前記携帯機と通信可能な前記携帯中継機と、を備え、前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信し、前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する。
【0007】
また、請求項2に記載の携帯中継機は、請求項1に記載の携帯中継機において、前記応答要求信号の送信及び前記応答信号の受信を行うための共通のアンテナコイル、を備える。
【0008】
また、請求項3に記載の携帯中継機は、請求項2に記載の携帯中継機において、前記携帯中継機の構成要素を収容するための収容手段であって、当該携帯中継機の外形を形成する収容手段、を備えており、前記アンテナコイルは、前記収容手段が延在する方向に沿って配置されている。
【0009】
また、請求項4に記載の携帯中継機は、請求項1から3の何れか一項に記載の携帯中継機において、所定周波数帯のノイズを除去するためのノイズ除去手段、を備える。
【0010】
また、請求項5に記載の携帯中継機は、請求項1から4の何れか一項に記載の携帯中継機において、前記携帯機は、第1変調方式で変調して前記応答信号を無線送信し、前記携帯中継機は、前記携帯中継機の構成要素を制御するための制御手段、を備えており、前記制御手段は、前記携帯機から送信された前記応答信号を復調し、前記携帯中継機は、前記制御手段にて復調された前記応答信号を第2変調方式で変調して前記車載中継機に無線送信する。
【0011】
また、請求項6に記載の携帯中継機は、請求項1から5の何れか一項に記載の携帯中継機において、前記携帯機及び前記携帯中継機が相互に無線通信可能となるように、前記携帯機を前記携帯中継機に対して位置決めするための位置決め手段、を備える。
【0012】
また、請求項7に記載の車両遠隔操作システムは、車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムであって、前記車両制御システムは、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、前記車両遠隔操作システムは、前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、前記携帯機と通信可能な携帯中継機と、を備え、前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信し、前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の携帯中継機、又は請求項7に記載の車両遠隔操作システムによれば、車両制御システムは、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、携帯中継機は、車載中継機から無線送信された応答要求信号を受信して携帯機に送信すると共に、携帯機から応答要求信号に基づいて送信された応答信号を受信して車載中継機に無線送信することにより、例えば、イモビ・トランスポンダー機能を有する車両制御システムを介して、車両の所定機器を遠隔操作することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の携帯中継機によれば、応答要求信号の送信及び応答信号の受信を行うための共通のアンテナコイルを備えることにより、例えば、アンテナコイルの個数を削減し、携帯中継機のコンパクト化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0015】
請求項3に記載の携帯中継機によれば、アンテナコイルは収容手段が延在する方向に沿って配置されていることにより、例えば、携帯中継機の薄型化を図ることが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の携帯中継機によれば、所定周波数帯のノイズを除去することにより、例えば、携帯中継機及び携帯機の間で良好な無線通信を行わせることができるので、車両の所定機器を確実に遠隔操作することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の携帯中継機によれば、携帯中継機の構成要素を制御するための制御手段を備えており、当該制御手段は、携帯機から送信された応答信号を復調することにより、例えば、応答信号を復調するためのモデム機能を有する手段を制御手段とは別に設けることが不要となるので、部品点数を削減することができ、携帯中継機のコンパクト化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0018】
請求項6に記載の携帯中継機によれば、携帯機を携帯中継機に対して位置決めするための位置決め手段を備えることにより、例えば、携帯中継機及び携帯機の間で良好な無線通信を行わせることができるので、車両の所定機器を確実に遠隔操作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る車両遠隔操作システムを車両制御システムと共に示すブロック図である。
図2】携帯機を示す図である。
図3】携帯中継機を示す図である。
図4】携帯機及び携帯中継機が相互に連結されて接続された状態の図である。
図5】携帯機及び携帯中継機が相互に連結されて接続された状態の図である。
図6】本車両遠隔操作処理のフローチャートである。
図7】本車両遠隔操作処理のフローチャートである。
図8】車両遠隔操作処理を説明するための図である。
図9】車両遠隔操作処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(概要)
最初に、本実施の形態に係る車両遠隔操作システムの概要について説明する。図1は、本実施の形態に係る車両遠隔操作システムを車両制御システムと共に示すブロック図である。
【0022】
「車両遠隔操作システム」101は、車両の所定機器を制御する車両制御システム100を介して、当該所定機器を遠隔操作するためのシステムである。
【0023】
ここで、「車両制御システム」100は、車両制御装置1と携帯機2とを相互に無線通信可能として構成されたシステムである。「車両制御システム」100は、例えば、イモビ・トランスポンダー機能を有するシステム等を含む概念である。
【0024】
「イモビ・トランスポンダー機能」は、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含む概念であり、具体的には、携帯機に対して無線給電する事により照合、又は、認証を行う機能等を含む概念である。
【0025】
「車両制御装置」1は、車両の所定機器を制御するために車内に設置された装置であり、例えば、ECU(Engine Control Unit)に接続されている。
【0026】
「携帯機」2は、車両制御装置1を介して車両の所定機器を制御するために運転者が携帯することが可能なものである。この「携帯機」2としては、例えば、車両毎に予め対応付けられているいわゆる専用のキー、あるいは、汎用機器(例えば、スマートフォン、タブレット端末、あるいは、その他の機器等)に対して、携帯機2として動作するための機能を実装することにより実現された機器等を用いることができるが、以下では、専用のキーを用いる場合について詳細に説明する。
【0027】
「所定機器」の具体的な種類や、この所定機器に対する具体的な制御内容は、任意であり、例えば、エンジンの始動や停止、エアコンの始動や停止、ドアのロックやアンロック、セキュリテーシステムの起動や解除、車内の室温等の各種の車両情報の出力等が該当する。以下では、「エンジンの始動」を行う場合について例示する。
【0028】
このエンジンの始動を行うための公知の処理として、車両制御システム100は、以下の処理を行うものとする。すなわち、この処理では、車両制御装置1が車内における携帯機2の存在を確認するための「起動シーケンス」と、車両制御装置1が携帯機2を認証するための「認証シーケンス」が、順次実行される。
【0029】
「起動シーケンス」においては、運転者又は任意の事象に基づく所定の起動操作(例えば、運転者がキーの鍵本体部を車内のイグニッションキーシリンダーの鍵穴に挿入して回動させる操作、あるいは、キーを保持した運転者による車内のエンジン始動スイッチの操作等)(以下、「車両のエンジン始動操作」とも称する)が行われると、車両制御装置1は起動応答要求信号を応答要求周波数で無線送信する。ここで、「起動応答要求信号」は、車両制御装置1から携帯機2に対して応答を要求するための信号であり、そのフォーマットや情報内容は任意である。また、「応答要求周波数」は、例えば、送信範囲が車内のみとなるように調整可能な周波数(具体的にはLF(Low Frequency)帯の周波数であり、例えば、130kHz等)であり、この場合には、運転者が保有する携帯機2が車両制御装置1に対する所定範囲内(代表的には、車内)に存在する場合にのみ、この起動応答要求信号が携帯機2にて受信される。
【0030】
この起動応答要求信号を受信した携帯機2は、起動応答信号を応答周波数で無線送信する。ここで、「起動応答信号」は、車両制御装置1から送信された起動応答要求信号を正当な携帯機2が受信したことを、携帯機2から車両制御装置1に報知するための信号であり、そのフォーマットや情報内容は任意であって、例えば、各携帯機2に記憶された認証情報を起動応答信号に含めて送信することができる。この起動応答信号を受信した車両制御装置1は、当該起動応答信号を解析し、所定の認証シーケンス開始条件が満たされているか否かを判定し、所定の認証シーケンス開始条件が満たされている場合にのみ、認証シーケンスに移行する。
【0031】
「認証シーケンス」は、起動シーケンスと同様の通信を行うものであり、特記しない点については、起動シーケンスの説明における「起動」を「認証」に読み替えたものとして説明することができる。すなわち、車両制御装置1は認証応答要求信号を応答要求周波数で無線送信する。この認証応答要求信号を受信した携帯機2は、認証応答信号を応答周波数で無線送信する。認証応答信号を受信した車両制御装置1は、当該認証応答信号を解析し、所定の制御条件が満たされているか否かを判定し、所定の制御条件が満たされている場合にのみ、エンジンを始動するための所定制御を行う。
【0032】
「制御条件」の具体的内容は任意であるが、以下では、1)車両のエンジン始動操作とブレーキの操作とが行われており、2)認証応答信号に含まれる認証情報が車両制御装置1に予め記憶された認証情報と一致しており、かつ、3)起動応答要求信号を送信してから所定時間(例えば、1秒。以下、「条件充足時間」と称する)以内に、上記1)と2)の条件の充足を確認できたこと、を制御条件として説明する。なお、上記2)の条件に関しては、実際には、公知のローリングコード処理により認証情報が毎回変更される場合があり、本発明はこのような場合にも同様に適応可能なものであるが、以下では認証情報が固定されている場合について説明する。
【0033】
一方、図1において、「車両遠隔操作システム」101は、上述したように、車両の所定機器を制御する車両制御システム100を介して、当該所定機器を遠隔操作するためのシステムである。この車両遠隔操作システム101は、車載中継機3と携帯中継機4とを相互に無線通信可能として構成されたシステムである。これら各機の詳細については後述する。
【0034】
以下の説明において、複数の機器の相互間における信号や情報の通信、送信、又は受信に関して、無線にて行う場合には、「無線通信」、「無線送信」、又は「無線受信」と特記するが、この特記がない場合には、無線と有線のいずれで行うこともできるものとする。また、「起動応答要求信号」と「認証応答要求信号」を相互に特に区別する必要がない場合には、これらを「応答要求信号」と総称する。同様に、「起動応答信号」と「認証応答信号」を相互に特に区別する必要がない場合には、これらを「応答信号」と総称する。また、「応答要求信号」及び「応答信号」を総称して、単に「信号」とも称する。
【0035】
(構成-車両制御システム-車両制御装置)
次に、車両制御システム100と車両遠隔操作システム101の構成について説明する。最初に、車両制御システム100の構成について説明する。車両制御システム100の車両制御装置1は、アンテナコイル11、通信回路12、及びスイッチ回路13を備える。
【0036】
アンテナコイル11は、無線通信を行うためのアンテナであり、具体的には、トランスポンダーによる無線送受信を可能にするためのアンテナであり、例えば、導電線を所定径で所定回数巻回して構成することができる。
【0037】
通信回路12は、信号の送受信を行うための通信手段であり、例えば、トランスポンダーによる無線送受信を可能にするためのトランスポーダー基地局として機能するIC(集積回路)等を用いて構成することができる。
【0038】
スイッチ回路13は、通信回路12による通信を開始させるための回路であり、例えば、運転者又は任意の事象に基づく所定の起動操作が行われた場合等にONして、通信回路12による通信を開始させるものである。
【0039】
また、図示は省略するが、車両制御装置1は、当該車両制御装置1の各部を制御するMPU(Micro Processing Unit)(つまり、制御手段)と、認証情報を不揮発的に記憶する記憶部と、車両の各種の機器から有線出力を受け付ける接点端子等を備える。この接点端子としては、車両のエンジン始動スイッチが操作された場合の出力(以下、エンジン始動操作出力)を受け付けるエンジン操作接点端子と、車両のブレーキが操作された場合の出力(以下、ブレーキ操作出力)を受け付けるブレーキ操作接点端子が設けられている。ただし、車両制御装置1は従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0040】
(構成-車両制御システム-携帯機)
図2は、携帯機を示す図である。なお、図2(a)は、携帯機2の平面図であり、図2(b)は、携帯機2の側面図である。
【0041】
車両制御システム100の携帯機2は、例えば、図2の鍵本体部201、鍵頭部202、携帯機側接続部203、図1のアンテナコイル21、蓄電回路22、及び制御回路23を備える。なお、携帯機2は、例えば、アンテナコイル21を介して給電された電力にて無線信号送信等の動作を行うように構成されている。つまり、携帯機2は、トランスポンダーによる無線送受信を行うように構成されている。
【0042】
図2の鍵本体部201は、車内に設けられている鍵穴に挿入される部分である。
【0043】
図2の鍵頭部202は、携帯機2の持ち手となる部分であり、例えば、携帯機2の各要素を収容するケースとなっている樹脂製の部分である。
【0044】
図2の携帯機側接続部203は、携帯機2を携帯中継機4と物理的に接続して連結するための部分であり、例えば、リング形状の部分である。
【0045】
図1のアンテナコイル21は、無線通信を行うためのアンテナであり、また、受信した信号(電波)に基づいて給電される部分である。アンテナコイル21は、例えば、図2に示すように、巻回軸901を中心にして当該巻回軸901の周りに導電線を所定径で所定回数巻回して構成されている。ここでの巻回軸901の向きは任意であるが、例えば、鍵本体部201を車内の鍵穴に挿入した場合の、車両制御装置1のアンテナコイル11と携帯機2のアンテナコイル21との間の電磁的な結合状態を考慮して、鍵本体部201が延在する方向に平行になるように設定されている場合について説明する。また、アンテナコイル21の鍵頭部202内の設置位置も任意であるが、図2に示すように、鍵本体部201側寄りの位置に設けられている場合について説明する。
【0046】
図1の蓄電回路22は、アンテナコイル21を介して受信した無線信号(電波)に基づいて給電された電力を蓄電するための回路であり、例えば、コンデンサ等を用いて構成することができる。このように蓄電回路22が設けられているので、携帯機2に対して電池を設けることなく動作させることが可能となる。
【0047】
図1の制御回路23は、携帯機2の各部を制御する制御手段であり、例えば、蓄電回路22に蓄電されている電力に基づいて動作する回路である。
【0048】
また、図示は省略するが、携帯機2は、認証情報を不揮発的に記憶する記憶部等を備える。ただし、携帯機2は従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0049】
(構成-車両遠隔操作システム-車載中継機)
次に、車両遠隔操作システム101の構成について説明する。車両遠隔操作システム101の車載中継機3は、車両制御装置1及び携帯中継機4と通信するように構成されており、車内に設置されている。車載中継機3は、例えば、駆動回路31、エンベロープ抽出回路32、通信回路33、及び制御回路34を備える。
【0050】
駆動回路31は、車両制御装置1に対して信号を送信するための回路である。なお、この駆動回路31は、車両制御装置1に対して有線接続されており、車両制御装置1の通信回路12に対して信号を出力して送信することが可能となるように構成されている。
【0051】
エンベロープ抽出回路32は、車両制御装置1からの信号のエンベロープを抽出するための回路である。なお、「エンベロープを抽出する」とは、エンベロープを検出することを示す概念である。このエンベロープ抽出回路32は、車両制御装置1に対して有線接続されており、当該車両制御装置1の通信回路12が出力して送信する信号が入力されて当該信号を受信することが可能となるように構成されている。
【0052】
通信回路33は、信号の無線通信を行うための通信手段であり、具体的には、通信回路側アンテナ331を介して携帯中継機4との間で無線通信する手段である。通信回路33は、例えば、所定の変調方式(本実施の形態では、FSK(Frequency Shift Keying)方式)にて無線通信を行うIC等を用いて構成することができる。
【0053】
制御回路34は、車載中継機3の各部を制御する制御手段であり、例えば、マイクロコンピュータ(つまり、マイコン)を用いて構成することができる。また、この制御回路34は、車両の所定機器に対する制御条件を構成する条件出力を車両制御装置1に行う出力手段としても機能し、本実施の形態では、エンジン始動操作出力又はブレーキ操作出力を出力する。より具体的には、図示は省略するが、車載中継機3には、エンジン始動操作出力を行うためのエンジン操作接点端子と、ブレーキ操作出力を行うためのブレーキ操作接点端子が設けられており、このエンジン操作接点端子は車両制御装置1のエンジン操作接点端子に有線接続されると共に、ブレーキ操作接点端子は車両制御装置1のブレーキ操作接点端子に有線接続されている。そして、制御回路34は、エンジン操作接点端子を介してエンジン始動操作出力を出力し、ブレーキ操作接点端子を介してブレーキ始動操作出力を出力することが可能となっている。なお、車載中継機3に対する電源は、車両から公知の方法で取得される。
【0054】
(構成-車両遠隔操作システム-携帯中継機)
図3は、携帯中継機を示す図である。なお、図3(a)は、携帯中継機4の平面図であり、図3(b)は、携帯中継機の底面図であり、図3(c)は、携帯中継機4の側面図である。なお、図3(c)においては、携帯中継機4の底面側(つまり、図3(b)で図示されている側)が図面上方となるように図示されている。
【0055】
車両遠隔操作システム101の携帯中継機4は、携帯機2及び車載中継機3と無線通信するように構成されており、携帯機2と共に運転者によって携帯される。携帯中継機4は、例えば、図3の本体ケース401、操作スイッチ402、携帯中継機側接続部403、位置決め部404、図1のアンテナコイル41、増幅回路42、駆動回路43、ミキサー回路44、通信回路45、及び制御回路46を備える。
【0056】
図3の本体ケース401は、携帯中継機4の構成要素を収容するための収容手段であって、携帯中継機4の外形を形成する収容手段である。この本体ケース401は、例えば、略矩形の平板形状の樹脂製のものである。
【0057】
図3の操作スイッチ402は、携帯中継機4を操作するためのボタンスイッチであり、例えば図3(a)に示すように、本体ケース401の表面に設けられている。
【0058】
図3の携帯中継機側接続部403は、携帯中継機4を携帯機2と物理的に接続して連結するための部分であり、例えば、リング形状の部分である。
【0059】
図3(b)及び(c)の位置決め部404は、携帯機2及び携帯中継機4が相互に無線通信可能となるように、携帯機2を携帯中継機4に対して位置決めするための位置決め手段である。この位置決め部404の構成は任意であるが、例えば、図2の携帯機2の一部(一例としては、鍵頭部202)の形状に対応する形状の所定深さ分(例えば、1mm程度~5mm程度等)だけ凹んだ凹部として構成されている。また、この位置決め部404は、実験又はシミュレーション等を行った結果に基づいて、携帯機2及び携帯中継機4の相互間のトランスポンダーによる無線通信が良好に行われるように位置決め可能となる位置に設けてもよい。
【0060】
図1のアンテナコイル41は、携帯機2との間で無線通信を行うための共通のアンテナであり、具体的には、トランスポンダーによる無線送受信を可能にするためのアンテナである。アンテナコイル41は、例えば、図3(b)及び(c)に示すように、巻回軸902を中心にして当該巻回軸902の周りに導電線を所定径で所定回数巻回して構成されている。ここでの巻回軸902の向きは任意であるが、例えば、本体ケース401の厚み(本体ケース401における図3(c)の図面上下方向の長さ)を比較的薄くするために、当該本体ケース401が延在する方向(図3(c)の図面左右方向)に対して直交する方向に平行になるように設定されている場合について説明する。このように構成することにより、アンテナコイル41は、図3(c)に示すように、本体ケース401が延在する方向(図面左右方向)に沿って配置されるので、本体ケース401の厚みを薄くすることが可能となる。
【0061】
図1の増幅回路42は、アンテナコイル41で受信した信号を増幅する回路である。
【0062】
図1の駆動回路43は、アンテナコイル41を介して携帯機2に対して信号を無線送信するための回路である。
【0063】
図1のミキサー回路44は、信号を変調して生成するための回路である。
【0064】
図1の通信回路45は、信号の無線通信を行うための通信手段であり、具体的には、通信回路側アンテナ451を介して車載中継機3との間で無線通信する手段である。通信回路45は、例えば、所定の変調方式(車載中継機3の通信回路33の変調方式に対応する変調方式であり、本実施の形態では、FSK(Frequency Shift Keying)方式)にて無線通信を行うIC等を用いて構成することができる。
【0065】
図1の制御回路46は、車載中継機3の各部を制御する制御手段であり、例えば、マイクロコンピュータ(つまり、マイコン)を用いて構成することができる。
【0066】
また、図示は省略するが、携帯中継機4は、ノイズ除去手段も備える。ノイズ除去手段は、所定周波数帯のノイズを除去するための手段である。ノイズ除去手段は、例えば、アンテナコイル41を介して携帯機2側に送信する応答要求信号に加えられる可能性のある所定周波数帯のノイズ(本実施の形態では、車載中継機3及び携帯中継機4の相互間の無線通信に基づくUHF=920MHz程度のノイズ)を除去するための手段である。本実施の形態では、応答要求信号の周波数が当該UHF=920MHzよりも大幅に低いことに着目して、920MHz付近の周波数の信号を除去し、且つ、応答要求信号の周波数付近の信号を通過させることが可能なローパスフィルタをノイズ除去回路として用いることとする。なお、ノイズ除去回路としては、ローパスフィルタに限らず、バンドパスフィルタを用いてもよい。なお、車載中継機3及び携帯中継機4の相互間の無線通信、及び応答要求信号の具体的な内容は、後述する。
【0067】
また、図示は省略するが、携帯中継機4は、電源となる電池も備える。
【0068】
(携帯中継機の連結)
図4及び図5は、携帯機及び携帯中継機が相互に連結されて接続された状態の図である。各図の(a)は、底面図であり、各図の(b)は底面側が図面上方となるように図示された側面図である。なお、図5(a)においては、説明の便宜上、リング形状の各接続部の図示が省略されている。
【0069】
携帯中継機4は、携帯機2との間で無線通信が可能となるように、携帯機2に近い位置で保持される。このような保持を行うために、例えば、携帯中継機側接続部403及び携帯機側接続部203を用いてもよい。特に、車両遠隔操作システム101を用いて車両の所定機器を遠隔操作する場合は、携帯中継機4及び携帯機2の相互間でトランスポンダーによる良好な無線通信が行われるように、図5に示すように、位置決め部404に対して携帯機2の鍵頭部202を当てて位置決めした状態で操作することになる。
【0070】
(周波数)
次に、通信に使用する周波数について説明する。車両制御装置1と車載中継機3との相互間や携帯機2と携帯中継機4との相互間における通信で使用する応答要求周波数と応答周波数は、それぞれ、車両制御装置1と携帯機2の相互間の通信で使用する応答要求周波数と応答周波数と同一の周波数に設定されている。ここで、これら応答要求周波数や応答周波数が、車両のメーカーや車種によって異なる場合には、これらの各周波数を各車両について試験により予め特定しておき、車両遠隔操作システム101を設置する車両のメーカーや車種に応じた周波数を、車載中継機3や携帯中継機4に設定する。
【0071】
また、車載中継機3及び携帯中継機4の相互間の通信で用いられる中継周波数としては、携帯中継機4が車外にある場合であっても車内の車載中継機3と通信を行うことが可能となる周波数である限り、任意の周波数を設定することができる。特に、本実施の形態では、中継周波数として、応答要求周波数であるLFよりも高い周波数(具体的には、UHF(Ultra High Frequency)帯の周波数であり、例えば、920MHz付近の周波数)を使用しているため、LFで中継を行う場合に比べて、応答要求信号等を遠い場所まで送信することが可能になる。
【0072】
(処理)
次に、上記のように構成された車両遠隔操作システム101を用いて行われる車両遠隔操作処理について説明する。図6及び図7は、本車両遠隔操作処理のフローチャートであり(ステップを「S」と略記する)、また、図8及び図9は、車両遠隔操作処理を説明するための図である。以下の処理の説明において、制御主体を特記しない処理については、各装置のMPUまたは制御回路にて実行されるものとし、情報の取得元や取得経路を特記しない場合については、公知のタイミング及び公知の方法にて、各機の記憶部に予め格納されており、あるいは、各機に設けた図示しない操作手段を介して運転者等が入力されるものとする。また、ステップを「S」と略記する。
【0073】
(処理-起動シーケンス)
携帯機2及び携帯中継機4を保有する運手者は、図5に示すように携帯機2を携帯中継機4に位置決めした状態で、車外において携帯中継機4の操作スイッチ402(図3(a))を押圧することによりエンジンの始動を指示する。携帯中継機4は、操作スイッチ402に対する運転者の操作の有無を監視しており、操作スイッチ402に対する操作を受け付けた場合(SA1)、起動シーケンス(図示は省略)を実行する。具体的には、最初に、携帯中継機4は、キャリアセンスを行った上で、通信回路45を介して操作信号を中継周波数(例:UHF=920MHz)にて送信する(SA2)。「操作信号」とは、操作するための信号であって、車載中継機3を介して車両制御装置1を始動させることにより、起動シーケンスを開始させるための信号である。
【0074】
この操作信号が車載中継機3によって通信回路33を介して受信されると(SA3)、図8に示すように、制御回路34は条件出力を車両制御装置1に有線出力する(SA4)。この条件出力が車両制御装置1によって受け付けられると、車両制御装置1は、このように有線出力された条件出力が、運転者が所定の起動操作を行った場合に行われる出力と同一の出力(つまり、例えば、車両のエンジン始動操作とブレーキの操作とが行われていることを示す出力)であることから、スイッチ回路13をオンして(SA5)、所定の起動操作が行われた際の出力を受け付けた場合と同様の処理を行う。
【0075】
すなわち、車両制御装置1は、通信回路12にて応答要求周波数の起動応答要求信号を生成してアンテナコイル11に出力し、アンテナコイル11から携帯機2に無線送信する(SA6)。なお、ここでは、例えば、130kHzのOOK(on-off keying:オンオフキーイング)方式で変調された起動応答要求信号を出力して無線送信する。この携帯機2に対する起動応答要求信号は、車外にある携帯機2には到達しないことになる。一方で、図8に示すように、車載中継機3のエンベロープ抽出回路32が車両制御装置1に有線接続されているので、起動応答要求信号は車両制御装置1から車載中継機3にも有線にて送信されることになる。
【0076】
SA7において車載中継機3のエンベロープ抽出回路32は、車両制御装置1から送信された起動応答要求信号を受信して、当該起動応答要求信号のエンベロープを抽出する。車載中継機3の通信回路33は、当該抽出したエンベロープを2値のFSK(Frequency Shift Keying)方式にて変調して(SA8)920MHz付近の中継周波数で起動応答要求信号として携帯中継機4に通信回路側アンテナ331を介して無線送信する(SA9)。
【0077】
一方、携帯中継機4の通信回路45は、無線送信された起動応答要求信号を通信回路側アンテナ451を介して受信すると(SA10)、当該起動応答要求信号を復調することによりSA7で抽出したエンベロープを再現し、当該再現したエンベロープに基づいてSA6で車両制御装置1が送信した起動応答要求信号を再現し(SA11)、当該起動応答要求信号を携帯機2にアンテナコイル41を介して無線送信する(SA12)。
【0078】
具体的には、図8に示すように、SA10で受信した起動応答要求信号を復調することにより再現したエンベロープと、制御回路46で生成された130kHz(つまり、SA6で送信した起動応答要求信号の周波数と同じ周波数)のLF搬送波信号とをミキサー回路44に入力して、当該ミキサー回路44にてこれらの入力を混合することにより、SA6で車両制御装置1が無線送信した起動応答要求信号を再現し、この後、当該再現した起動応答要求信号を駆動回路43がアンテナコイル41を介して携帯機2に無線送信する。この場合、図5に示すように、携帯機2及び携帯中継機4がトランスポンダーによる良好な無線通信が可能となるように位置決めされているので、この起動応答要求信号は、携帯機2のアンテナコイル21に到達する。なお、ここでは、携帯中継機4に不図示のノイズ除去手段が設けられているので、車載中継機3及び携帯中継機4の相互間の無線通信に起因して発生する920MHz程度の周波数のノイズは、当該無線送信される起動応答要求信号には重畳しないので、良好な無線通信を行うことが可能となる。
【0079】
この起動応答要求信号がアンテナコイル21を介して携帯機2によって受信されると(SA13)、携帯機2は、このように携帯中継機4から無線送信された起動応答要求信号がSA6において車両制御装置1から無線送信された起動応答要求信号と内容や通信方式(周波数を含む。以下同じ)に関して同一の信号であることから、車両制御装置1から送信された起動応答要求信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。
【0080】
すなわち、アンテナコイル21で受信した起動応答要求信号(電波)に基づいて当該アンテナコイル21により給電され、給電された電力を蓄電回路22に蓄電する(SA14)。制御回路23は、当該蓄電した電力を利用して、応答周波数の起動応答信号を生成してアンテナコイル21から無線送信する(SA15)。ここでは、例えば、図9に示すように、130kHz及び120kHz(つまり、LF帯の周波数)の2値のFSK方式(第1変調方式)で変調された起動応答信号を生成して無線送信する。
【0081】
SA16において携帯中継機4は無線送信された起動応答信号を、アンテナコイル41を介して受信する。次に、図9に示すように、増幅回路42が当該受信した起動応答信号を増幅して制御回路46に入力し、制御回路46は、任意の手法(例えば、当該制御回路46の任意の機能(例えば、いわゆるインプットキャプチャ機能等)を用いて復調する手法等)を用いて、当該入力されて受信した起動応答信号を復調して通信回路45に入力する。復調については例えば、FSKの130kHz部分がL(ロー)となり、120kHz部分がH(ハイ)となるデジタル信号に変換されるように復調する。なお、このように、制御回路46であるマイクロコンピュータの機能を用いて復調を行うので、制御回路46以外に復調を行うためのモデム回路を設けることが不要となり、部品点数を減少させてコンパクト化及び低コスト化を図ることが可能となる。次に、通信回路45は、復調されて変換されたデジタル信号を2値のFSK方式(第2変調方式)にて変調して(SA17)920MHz付近の中継周波数で起動応答信号として車載中継機3に通信回路側アンテナ451を介して無線送信する(SA18)。
【0082】
一方、車載中継機3の通信回路33は、無線送信された起動応答信号を通信回路側アンテナ331を介して受信すると(SA19)、当該起動応答信号を復調することにより前述のデジタル信号を再現して制御回路34に入力する(SA20)。次に、制御回路34は、当該入力されたデジタル信号を、L(ロー)が130kHz部分となり、H(ハイ)が120kHz部分となるように、130kHz及び120kHz(つまり、SA15で送信した起動応答信号の周波数と同じ周波数)の2値のFSK方式で変調して、SA15で携帯機2が送信した起動応答信号を再現し、当該起動応答信号を駆動回路31を介して車両制御装置1に有線にて送信する(SA21)。
【0083】
この起動応答信号が通信回路12を介して車両制御装置1によって受信されると(SA22)、車両制御装置1は、このように車載中継機3から送信された起動応答信号がSA15において携帯機2から無線送信された起動応答信号と内容や通信方式(周波数を含む。以下同じ)に関して同一の信号であることから、携帯機2から送信された起動応答信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。
【0084】
すなわち、車両制御装置1は、起動応答信号に基づいて、所定の認証シーケンス開始条件が充足したか否かを判定し(図示省略)、認証シーケンス開始条件が一部でも充足していないと判定した場合には、認証シーケンスを実行することなく、車両遠隔操作処理を終了する。一方、所定の認証シーケンス開始条件が充足したと判定した場合には、図7に示す認証シーケンスを実行する。なお、認証シーケンスについては、起動シーケンスと同様な処理については、その概要のみ説明する。
【0085】
(処理-認証シーケンス)
図7に示す認証シーケンスにおいて、車両制御装置1は、通信回路12にて応答要求周波数の認証応答要求信号を生成してアンテナコイル11に出力し、アンテナコイル11から携帯機2に無線送信する(SB1)。なお、ここでは、例えば、130kHzのOOK(on-off keying:オンオフキーイング)方式で変調された認証応答要求信号を出力して無線送信する。この携帯機2に対する認証応答要求信号は、車外にある携帯機2には到達しないことになる。一方で、図8に示すように、車載中継機3のエンベロープ抽出回路32が車両制御装置1に有線接続されているので、認証応答要求信号は車両制御装置1から車載中継機3にも有線にて送信されることになる。
【0086】
SB2において車載中継機3のエンベロープ抽出回路32は、車両制御装置1から送信された認証応答要求信号を受信して、当該認証応答要求信号のエンベロープを抽出する。車載中継機3の通信回路33は、当該抽出したエンベロープを2値のFSK方式にて変調して(SB3)920MHz付近の中継周波数で認証応答要求信号として携帯中継機4に通信回路側アンテナ331を介して無線送信する(SB4)。
【0087】
一方、携帯中継機4の通信回路45は、無線送信された認証応答要求信号を通信回路側アンテナ451を介して受信すると(SB5)、当該認証応答要求信号を復調することによりSB2で抽出したエンベロープを再現し、当該再現したエンベロープに基づいてSB1で車両制御装置1が送信した認証応答要求信号を再現し(SB6)、当該認証応答要求信号を携帯機2にアンテナコイル41を介して無線送信する(SB7)。
【0088】
この認証応答要求信号がアンテナコイル21を介して携帯機2によって受信されると(SB8)、携帯機2は、このように携帯中継機4から無線送信された認証応答要求信号がSB1において車両制御装置1から無線送信された認証応答要求信号と内容や通信方式(周波数を含む。以下同じ)に関して同一の信号であることから、車両制御装置1から送信された認証応答要求信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。
【0089】
すなわち、アンテナコイル21で受信した認証応答要求信号(電波)に基づいて当該アンテナコイル21により給電され、給電された電力を蓄電回路22に蓄電する(SB9)。制御回路23は、当該蓄電した電力を利用して、応答周波数の認証応答信号(詳細には例えば、携帯機2の不図示の記憶部に記憶されている認証情報を含む認証応答信号)を生成してアンテナコイル21から無線送信する(SB10)。ここでは、例えば、図9に示すように、130kHz及び120kHz(つまり、LF帯の周波数)の2値のFSK方式(第1変調方式)で変調された認証応答信号を生成して無線送信する。
【0090】
SB11において携帯中継機4は無線送信された認証応答信号を、アンテナコイル41を介して受信する。次に、図9に示すように、増幅回路42が当該受信した認証応答信号を増幅して制御回路46に入力し、制御回路46は、任意の手法(例えば、当該制御回路46の任意の機能(例えば、いわゆるインプットキャプチャ機能等)を用いて復調する手法等)を用いて、当該入力されて受信した認証応答信号を復調して通信回路45に入力する。復調については例えば、FSKの130kHz部分がL(ロー)となり、120kHz部分がH(ハイ)となるデジタル信号に変換されるように復調する。次に、通信回路45は、復調されて変換されたデジタル信号を2値のFSK方式(第2変調方式)にて変調して(SB12)920MHz付近の中継周波数で認証応答信号として車載中継機3に通信回路側アンテナ451を介して無線送信する(SB13)。
【0091】
一方、車載中継機3の通信回路33は、無線送信された認証応答信号を通信回路側アンテナ331を介して受信すると(SB14)、当該認証応答信号を復調することにより前述のデジタル信号を再現して制御回路34に入力する(SB15)。次に、制御回路34は、当該入力されたデジタル信号を、L(ロー)が130kHz部分となり、H(ハイ)が120kHz部分となるように、130kHz及び120kHz(つまり、SB10で送信した認証応答信号の周波数と同じ周波数)の2値のFSK方式で変調して、SB10で携帯機2が送信した認証応答信号を再現し、当該認証応答信号を駆動回路31を介して車両制御装置1に有線にて送信する(SB16)。
【0092】
この認証応答信号が通信回路12を介して車両制御装置1によって受信されると(SB17)、車両制御装置1は、このように車載中継機3から送信された認証応答信号がSB10において携帯機2から無線送信された認証応答信号と内容や通信方式(周波数を含む。以下同じ)に関して同一の信号であることから、携帯機2から送信された認証応答信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。
【0093】
すなわち、車両制御装置1は、認証応答信号に基づいて、所定の制御条件が充足したか否かを判定する(SB18)。具体的には、車両制御装置1は、車両のエンジン始動操作とブレーキの操作とが行われているか否かを判定するが、図6のSA5においてスイッチ回路13をオンする場合に条件出力を既に受信しているため、これらの操作が行われているものと判定する。また、例えば、車両制御装置1は、認証応答信号に含まれる認証情報が自己の記憶部に予め記憶された認証情報と一致するか否かを判定する。さらに、車両制御装置1は、SA6で起動応答要求信号を送信してからその時点までの経過時間が条件充足時間以内であるか否かを判定する。そして、車両制御装置1は、これらの制御条件が全て充足していると判定した場合には、エンジンを始動するための所定の制御を行う(SB19)。例えば、車両制御装置1は、エンジンを始動するための制御条件が充足したことを示す信号をECUに暗号化送信し、この信号を受信して復号化したECUがエンジンのスタータモータを起動することにより、エンジンを始動する。これにて車両遠隔操作処理が終了する。なお、車両制御装置1は、制御条件が一部でも充足していないと判定した場合には、何ら制御を行うことなく、車両遠隔操作処理を終了する。
【0094】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、車両制御システム100は、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、携帯中継機4は、車載中継機3から無線送信された応答要求信号を受信して携帯機2に送信すると共に、携帯機2から応答要求信号に基づいて送信された応答信号を受信して車載中継機3に無線送信することにより、例えば、イモビ・トランスポンダー機能を有する車両制御システム100を介して、車両の所定機器を遠隔操作することが可能となる。
【0095】
また、応答要求信号の送信及び応答信号の受信を行うための共通のアンテナコイル41を備えることにより、例えば、アンテナコイルの個数を削減し、携帯中継機4のコンパクト化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0096】
また、アンテナコイル41は本体ケース401が延在する方向に沿って配置されていることにより、例えば、携帯中継機4の薄型化を図ることが可能となる。
【0097】
また、所定周波数帯のノイズを除去することにより、例えば、携帯中継機4及び携帯機2の間で良好な無線通信を行わせることができるので、車両の所定機器を確実に遠隔操作することが可能となる。
【0098】
また、携帯中継機4の構成要素を制御するための制御回路46を備えており、当該制御回路46は、携帯機2から送信された応答信号を受信して復調することにより、例えば、応答信号を復調するためのモデム機能を有する手段を制御回路46とは別に設けることが不要となるので、部品点数を削減することができ、携帯中継機4のコンパクト化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0099】
また、携帯機2を携帯中継機4に対して位置決めするための位置決め部404を備えることにより、例えば、携帯中継機4及び携帯機2の間で良好な無線通信を行わせることができるので、車両の所定機器を確実に遠隔操作することが可能となる。
【0100】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0101】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る車両遠隔操作システム101による遠隔操作性能が、従来の車両遠隔操作システムと同程度となる場合であっても、本発明に係る車両遠隔操作システム101によって、車両を遠隔操作することが可能になる場合には、本発明の課題が解決されている。
【0102】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散したり統合したりして構成できる。
【0103】
(車両制御装置及び車載中継機の相互間の通信について)
上記実施の形態では、図1の車両制御装置1及び車載中継機3が有線接続されており、これらの有線にて通信する場合について説明したが、これに限らない。例えば、車両制御装置1及び車載中継機3が相互に無線通信を行うように構成してもよい。例えば、車載中継機3に対して、車両制御装置との間で無線通信を行うための通信手段(アンテナ及び通信回路等)を設けてこの構成を実現してもよい。
【0104】
このように構成した場合、例えば、図6のSA7においては、車載中継機3が、SA6で車両制御装置1のアンテナコイル11から無線送信された起動応答要求信号を受信して、当該起動応答要求信号のエンベロープを抽出してもよい。なお、図7のSB2も同様とする。
【0105】
また、例えば、図6のSA21において、車載中継機3は、SA15で携帯機2が送信した起動応答信号を再現し、当該起動応答信号を車両制御装置1に無線送信し、SA22にて、車両制御装置1が当該起動応答信号をアンテナコイル11を介して受信してもよい。なお、図7のSB16及びSB17も同様とする。
【0106】
(位置決め手段)
また、上記実施の形態では、図3(b)及び(c)の凹部から成る位置決め部404を位置決め手段として用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、携帯中継機4の所定位置に凸部を位置決め手段として設けて、当該凸部に携帯機2の一部を当てて位置決めするように構成してもよい。又は、携帯機2及び携帯中継機4の所定位置に比較的小さいサイズの磁石(例えば、ネオジウム磁石等の永久磁石)を位置決め手段として設けて、図5に示すように相互に良好に通信可能に位置決めされた状態で各磁石が吸着するように構成して、当該磁石の吸着力を用いて相互に位置決めされるように構成してもよい。又は、磁石の代わり、あるいは、磁石と共に、相互に着脱可能となる他の要素(例えば、面ファスナ、スナップボタン等)を位置決め手段として用いてもよい。又は、携帯機2及び携帯中継機4を、図5に示す状態で保持して収容する収容容器(袋を含む)を位置決め手段として用いてもよい。あるいは、いわゆる折り畳み式携帯電話の如き構成の、折りたたみ可能な保持具を位置決め手段として用いてもよい。なお、これの位置決め手段のバリエーションの内の1個以上、及び実施の形態で説明した位置決め部404の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0107】
(携帯機について(その1))
また、上記実施の形態では、携帯機2として図2の鍵本体部201を有するタイプのキーを例示したが、これに限らない。鍵本体部201を有さないタイプのキーを携帯機2として用いてもよい。また、この場合、当該キーの形状は任意であり、例えば、所定の厚み(例えば、1cm~2cm程度)を有する形状としてもよいし、あるいは、極めて薄いカード形状としてもよい。
【0108】
(携帯機について(その2))
また、前述したように、携帯機2として、例えば、スマートフォンに対して携帯機として動作するための機能を実装することにより実現された機器を用いてもよい。この場合、車両制御装置1と携帯機2であるスマートフォンの相互間の通信で用いられる各信号(起動応答要求信号、起動応答信号、認証応答要求信号、及び認証応答信号)の特徴(つまり、変調方式、周波数等)を把握した上で、車両遠隔操作システム101がこの把握した各信号の特徴に対応する処理を行うように構成してもよい。
【0109】
例えば、携帯機2であるスマートフォンに、近距離無線通信(例えば、NFC:Near Field Communication等の任意の規格に基づいて行う通信)にて通信を行う通信用IC及びアンテナコイル21の如く受信した信号により給電されるアンテナを実装してよい。そして、応答要求信号がスマートフォンのアンテナによって受信された場合に、当該スマートフォンの通信用ICが当該アンテナから給電された電力を用いて、近距離無線通信を行うことにより、応答信号を無線送信するように構成してもよい。そして、車両遠隔操作システム101については、このようなスマートフォンである携帯機2を有する車両制御システム100を介して車両の所定機器を遠隔操作するように構成してもよい。
【0110】
なお、ここでは、携帯機2であるスマートフォンの通信用ICが近距離無線通信を行う場合について説明したが、これに限らず、他の任意の通信(例えば、実施の形態で説明した携帯機2と同様な通信、あるいは、他の通信等)を行うように構成してもよい。
【0111】
(シーケンスについて)
また、上記実施の形態では、エンジンの始動を行うために、起動シーケンス及び認証シーケンスの2回のシーケンスを実行する車両に対して、車両遠隔操作システム101を適用する場合について説明したが、これに限らない。車両によって、これらの各シーケンスの内の一方のみに対応する1回のシーケンスのみで認証が行われるものも存在し、このような車両に対して本願の車両遠隔操作システム101を適用してもよい。
【0112】
(アンテナコイルについて)
また、上記実施の形態では、図1に示すように、アンテナコイル41を、携帯機2との間で無線通信を行うための共通のアンテナコイルとして構成する場合について説明したが、これに限らず、独立したアンテナコイルとして構成してもよい。例えば、携帯中継機4に対して、携帯機2への送信用のアンテナコイル、及び携帯機2からの受信用のアンテナコイルの2種類のアンテナコイルを設けてもよい。
【0113】
(制御条件について)
また、様々な制御条件を有する車両に対して本願の車両遠隔操作システム101を適用することが可能である。例えば、上記実施の形態の「制御条件」の「1)車両のエンジン始動操作とブレーキの操作とが行われており」という条件に関して、エンジン始動操作又はブレーキ操作の内の、ブレーキ操作が行われていることが条件に含まれておらず、エンジン始動操作が行われていることのみが条件として含まれている車両に対して、本願の車両遠隔操作システム101を適用してもよい。すなわち、上記実施の形態の「制御条件」の「1)車両のエンジン始動操作とブレーキの操作とが行われており」という条件の代わりに、「1)車両のエンジン始動操作が行われており」という条件が設定されている車両に対して、本願の車両遠隔操作システム101を適用してもよい。
【0114】
(起動応答要求信号を出力するトリガについて)
また、上記実施の形態では、図6のSA5で説明したように、車載中継機3がスイッチ回路13をオンすることをトリガとして、車両制御装置1から起動応答要求信号を出力させる場合について説明したが、これに限らない。例えば、車両制御システム100がスマートエントリーシステムとして構成されている場合に、このスマートエントリーシステムのトランスポンダーを利用して、車両制御装置1から起動応答要求信号を出力させてもよい。すなわち、スイッチ回路13をオンする処理を行わずに、車両制御装置1をトリガして起動応答要求信号を出力させるように構成してもよい。
【0115】
(付記)
付記1の携帯中継機は、車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システム、を構成するための携帯中継機であって、前記車両制御システムは、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、前記車両遠隔操作システムは、前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、前記携帯機と通信可能な前記携帯中継機と、を備え、前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信し、前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する。
【0116】
付記2の携帯中継機は、付記1に記載の携帯中継機において、前記応答要求信号の送信及び前記応答信号の受信を行うための共通のアンテナコイル、を備える。
【0117】
付記3の携帯中継機は、付記2に記載の携帯中継機において、前記携帯中継機の構成要素を収容するための収容手段であって、当該携帯中継機の外形を形成する収容手段、を備えており、前記アンテナコイルは、前記収容手段が延在する方向に沿って配置されている。
【0118】
付記4の携帯中継機は、付記1から3の何れか一項に記載の携帯中継機において、所定周波数帯のノイズを除去するためのノイズ除去手段、を備える。
【0119】
また、付記5に記載の携帯中継機は、付記1から4の何れか一項に記載の携帯中継機において、前記携帯機は、第1変調方式で変調して前記応答信号を無線送信し、前記携帯中継機は、前記携帯中継機の構成要素を制御するための制御手段、を備えており、前記制御手段は、前記携帯機から送信された前記応答信号を復調し、前記携帯中継機は、前記制御手段にて復調された前記応答信号を第2変調方式で変調して前記車載中継機に無線送信する。
【0120】
付記6の携帯中継機は、付記1から5の何れか一項に記載の携帯中継機において、前記携帯機及び前記携帯中継機が相互に無線通信可能となるように、前記携帯機を前記携帯中継機に対して位置決めするための位置決め手段、を備える。
【0121】
付記7の車両遠隔操作システムは、車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムであって、前記車両制御システムは、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、前記車両遠隔操作システムは、前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、前記携帯機と通信可能な携帯中継機と、を備え、前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信し、前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する。
【0122】
(付記の効果)
付記1に記載の携帯中継機、又は付記7に記載の車両遠隔操作システムによれば、車両制御システムは、イモビライザー機能と、トランスポンダーによる無線送受信機能とを含むイモビ・トランスポンダー機能を有しており、携帯中継機は、車載中継機から無線送信された応答要求信号を受信して携帯機に送信すると共に、携帯機から応答要求信号に基づいて送信された応答信号を受信して車載中継機に無線送信することにより、例えば、イモビ・トランスポンダー機能を有する車両制御システムを介して、車両の所定機器を遠隔操作することが可能となる。
【0123】
付記2に記載の携帯中継機によれば、応答要求信号の送信及び応答信号の受信を行うための共通のアンテナコイルを備えることにより、例えば、アンテナコイルの個数を削減し、携帯中継機のコンパクト化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0124】
付記3に記載の携帯中継機によれば、アンテナコイルは収容手段が延在する方向に沿って配置されていることにより、例えば、携帯中継機の薄型化を図ることが可能となる。
【0125】
付記4に記載の携帯中継機によれば、所定周波数帯のノイズを除去することにより、例えば、携帯中継機及び携帯機の間で良好な無線通信を行わせることができるので、車両の所定機器を確実に遠隔操作することが可能となる。
【0126】
付記5に記載の携帯中継機によれば、携帯中継機の構成要素を制御するための制御手段を備えており、当該制御手段は、携帯機から送信された応答信号を復調することにより、例えば、応答信号を復調するためのモデム機能を有する手段を制御手段とは別に設けることが不要となるので、部品点数を削減することができ、携帯中継機のコンパクト化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0127】
付記6に記載の携帯中継機によれば、携帯機を携帯中継機に対して位置決めするための位置決め手段を備えることにより、例えば、携帯中継機及び携帯機の間で良好な無線通信を行わせることができるので、車両の所定機器を確実に遠隔操作することが可能となる。
【符号の説明】
【0128】
1 車両制御装置
2 携帯機
3 車載中継機
4 携帯中継機
11 アンテナコイル
12 通信回路
13 スイッチ回路
21 アンテナコイル
22 蓄電回路
23 制御回路
31 駆動回路
32 エンベロープ抽出回路
33 通信回路
34 制御回路
41 アンテナコイル
42 増幅回路
43 駆動回路
44 ミキサー回路
45 通信回路
46 制御回路
100 車両制御システム
101 車両遠隔操作システム
201 鍵本体部
202 鍵頭部
203 携帯機側接続部
331 通信回路側アンテナ
401 本体ケース
402 操作スイッチ
403 携帯中継機側接続部
404 位置決め部
451 通信回路側アンテナ
901 巻回軸
902 巻回軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9