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  • 特開-剪定作業用防炎多孔体シート 図1
  • 特開-剪定作業用防炎多孔体シート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065724
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】剪定作業用防炎多孔体シート
(51)【国際特許分類】
   A01G 3/00 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
A01G3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176024
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】514185998
【氏名又は名称】三共包材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 仁
(57)【要約】
【課題】冬期における圃場での剪定作業における作業環境を改善し、作業の効率性と安全性とを高める剪定作業用の防炎多孔体シートを提供する。
【解決手段】面積が7m~20m、厚さ0.8mm~1.5mmの合成樹脂繊維からなり、孔の形状が円形状または方形状で、孔の大きさが0.8mm~2mmで設けられ、空隙率が2%~10%であり、周縁部が補強部材により補強されている多孔体シートであって、ポリ塩化ビニル樹脂により両面が被覆されている剪定作業用防炎多孔体シート。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面積が7m~20m、厚さ0.8mm~1.5mmの合成樹脂繊維からなる、空隙率が2%~10%であり、周縁部が補強部材により補強されている多孔体シートであって、ポリ塩化ビニル樹脂により被覆されていることを特徴とする剪定作業用防炎多孔体シート。
【請求項2】
合成樹脂繊維がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1に記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
【請求項3】
多孔体シートに設けられている孔の形状が円形状または方形状で、孔の大きさが0.8mm~2mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
【請求項4】
多孔体シートの周縁部の補強部材がテープ、管体、棒体またはハトメであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
【請求項5】
ポリ塩化ビニル樹脂による被覆が多孔体シートの両面に施されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
【請求項6】
ポリ塩化ビニル樹脂を多孔体シート1m当たり400~500g被覆することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圃場における剪定作業時の作業環境を改善し、作業の効率性及び安全性を高めるための剪定作業用防炎多孔体シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
農家にとって圃場における剪定作業は作物の安定的な収穫のための重要な作業となっており、とりわけ、果樹農家にとって果樹の剪定作業は重要な作業の一つとなっている。枝の切り落とし、整枝、誘引および切り落とした枝の回収作業といった果樹の剪定作業は、樹盛の維持や拡大のため果実の収穫が終わった後、新芽が膨らむ春までにしなければならない作業である。果樹の剪定作業を行う具体的な時期としては、他の作業との関係から、12月以降の冬期となることが多く、圃場での長時間の剪定作業は厳しい環境で行われるものとなる。冬期の作業は、低温である環境に加えて、一部地域においては午後になると霜柱が溶けてぬかるみが生じ、剪定作業の環境がより劣悪となるという問題があり、この様な剪定作業時の作業環境の改善が望まれていた。
【0003】
果樹の剪定作業は、このような厳しい作業環境の中、通常、作業者が立った状態で、あるいは屈んだ状態で長時間行われることから、作業者にとっては過酷なものとなっており、寒風や足元から伝わる冷気等の環境下における無理な態勢での力仕事や体重移動を頻繁に繰り返す作業は足首、膝などに高い負荷が加わり、血行悪化、筋肉疲労、筋肉痛、むくみ等を発症することも少なくなかった。
【0004】
こうした果樹の剪定作業における厳しい環境を少しでも改善するため、ストーブなどの暖房器具を持ち込んで、暖気を取ることも行われているが、冬期は空気が乾燥していることから、剪定された枝などがストーブの火に触れることで発火し、延焼する恐れがあり、さらに、ストーブなどの暖房器具の熱により霜柱が溶けることを促進することから、ぬかるみが多量に生じるという問題も生じていた。
【0005】
一方、収穫物である果実や野菜を寒気や鳥害から保護するために、保護膜、保護袋、保護ネット等の用具を使用することは従来から知られていたが、厳しい環境下で作業している作業者に対する考慮は十分なされておらず、これまで圃場における作業者の厳しい作業環境を改善するための器具や用具はあまり知られていない。
【0006】
これまでにも汎用的な作業用マットとしては、特許文献1により、衝撃吸収効果、疲労軽減効果、スリップ抑制効果などが優れ、さらに耐久性も優れているゴムマットが提供され、特許文献2により、荷重に対して高い圧縮率が得られて、クッション効果が高く、かつ高い安定感を与える作業用マットが提供されている。しかしながら、このような汎用的な作業用マットと異なり、剪定作業用に特化して工夫されたシート、あるいはマットはほとんど知られていない。
特許文献3により、発泡倍率20~50倍のポリエチレン発泡体から成り、略上面と下面が平行で、すべての面が正方形又は長方形であり、紐の挿通孔が設けられ、上面には、滑りどめ用の多数の凹部又は凸部が形成されている果実の摘果、摘らい作業に適した台が提供されている。さらに、本出願人による特許文献4により、主として冬期における圃場での剪定作業の環境劣化を防ぐための断熱性と作業性とに優れた剪定作業用多孔体シートが提供されている。これらの用具は剪定作業用台あるいはシートとして、剪定作業における作業環境の一定の改善に寄与するものである。
【0007】
しかしながら、剪定作業、特に果樹の剪定作業は上記のとおり、12月以降の冬期の作業となることが多いことから、ストーブなどの暖房器具を用いて作業する場合においても、作業の効率性を高めると共に安全に使用できる剪定作業用シートが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011-46152号公報
【特許文献2】特開2007-44178号公報
【特許文献3】実開平6-49650号公報
【特許文献4】特開2011-172770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、圃場での剪定作業、特に冬期において厳しい作業環境で剪定作業が行われていることに鑑み、こうした作業環境の改善に寄与でき、作業の効率性と安全性とを高める剪定作業用の多孔体シートを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、特定の大きさと特定の厚さを備え、合成樹脂繊維からなり、特定の空隙率を有し、周縁部を補強した多孔体シートにおいて、ポリ塩化ビニル樹脂で両面を被覆することにより、作業の効率性と安全性とを高めた剪定作業用の多孔体シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の特定事項により特定されるとおりのものである。
【0011】
(1)面積が7m~20m、厚さ0.8mm~1.5mmの合成樹脂繊維からなる、空隙率が2%~10%であり、周縁部が補強部材により補強されている多孔体シートであって、ポリ塩化ビニル樹脂により被覆されていることを特徴とする剪定作業用防炎多孔体シート。
(2)合成樹脂繊維がポリエステル繊維であることを特徴とする(1)に記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
(3)多孔体シートに設けられている孔の形状が円形状または方形状で、孔の大きさが0.8mm~2mmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
(4)多孔体シートの周縁部の補強部材がテープ、管体、棒体またはハトメであることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
(5)ポリ塩化ビニル樹脂による被覆が多孔体シートの両面に施されていることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
(6)ポリ塩化ビニル樹脂を多孔体シート1m当たり400~500g被覆することを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の剪定作業用防炎多孔体シート。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特定の大きさと特定の厚さを備え、合成樹脂繊維からなる特定の空隙率を有し、周縁部を補強した多孔体シートを、ポリ塩化ビニル樹脂で被覆し、防炎加工を施したことにより、剪定作業における作業環境の改善が図られると共に、作業の効率性と安全性とが確保できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】剪定作業用防炎多孔体シートの平面図である。
図2】剪定作業用防炎多孔体シートの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートは、冬期における剪定作業に特に好適なように、特定の大きさと特定の厚さとを備え、合成樹脂繊維からなる特定の空隙率を有し、周縁部を補強した多孔体シートを、ポリ塩化ビニル樹脂で被覆し、防炎加工を施した点に特徴を有している。従来から、圃場の果樹などを剪定するに際して、剪定によって裁断された枝を片付けるために可撓性の樹脂シートを使用することはよく行われていることである。しかしながら、本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートは従来から剪定後の後片付け用として用いられている可撓性の樹脂シートとしての機能を有すると共に、裁断された枝の後片付けだけでなく、冬期に圃場の果樹を剪定する作業者の作業環境を改善し、作業の効率性と安全性とを高める機能を備えている点に特徴を有するものである。以下に、その態様を実施するための具体的な形態について説明する。
【0015】
本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートの面積は7m~20mとすることが望ましい。本発明においては多孔体シートの大きさが7m~20mに特定されているが、かかる面積は剪定の際に切り落とした枝の受け皿としての機能に基づくものである。面積が7m以下であれば、剪定の際に切落とした枝の受け皿としての収容面積が小さいことから、多孔体シートの位置を頻繁に移動する必要があり、作業効率が悪くなる。また、枝が多孔性シートに収容しきれない場合には剪定した枝が地面に触れて汚れることから、多孔性シートを汚すこととなり多孔体シートの収納が困難となる。また、面積が20m以上になれば圃場に植栽されている果樹の間をシートが移動しづらくなることから、機動的な使用が困難となると共に、使用後における収納に場所を取ることになる。
【0016】
本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートの厚さは0.8mm~1.5mmとすることが望ましい。多孔体シートの厚さが0.8mmより薄い場合には下敷き材としての強度を保つことが困難となり、また、地面からの冷気の遮断が不十分となり、保温性が不十分となるおそれがある。また、多孔体シートの厚さが1.5mmより厚い場合には接地した地面に対してのなじみ性が損なわれ、接地面に対しての安定性が損なわれるおそれがある。また、多孔体シートの厚さが増すことにより、重量が増すことになり、多孔体シートの運搬や移動等における作業効率が悪くなるおそれがある。
【0017】
本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートは合成樹脂繊維からなるものであることが望ましい。本発明に係る多孔体シートに用いることができる合成樹脂繊維としては、熱可塑性樹脂であれば、特に制限はないが、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル系ポリマー、ポリアミド等が用いられる。剪定作業用防炎多孔体シートとしての加工容易性、耐摩耗性、柔軟性・剛性、価格等の観点から、ポリエステル繊維の使用が好ましい。
【0018】
本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートは特定の直径の孔が設けられることにより、2%~10%の空隙率を備えるものであることが望ましい。本発明に係る多孔体シートに設けられる孔としては、径の大きさが0.8mm~1.5mmであれば特に制限はなく、円形状や方形状またはそれらを組み合わせた任意の形状をした孔を設けることができ、シートを連通していてもよい。シートに0.8mm以上の大きさの孔を設けることによって地面が平らでなくてもなじみ易くなり、安定することから、多孔体シートのスリップが抑制されて安心してシート上を歩行移動することが可能となる。また、孔の大きさは1.5mm程度を最大径とし、孔の大きさが2.0mm以上となると、孔が連通している場合には、地面からの冷気を遮断する効果が損なわれる恐れがあり、また、解凍によって泥濘となった圃場のぬかるんだ土が孔を通して多孔体シートの上面に出てくるおそれがある。
本発明に係る多孔体シートは特定の直径の孔を多数設けることにより、空隙率が2%~10%になるようにすることが望ましい。本発明においては多孔体シートの空隙率をこのような範囲とすることで、地面からの冷気を遮断する効果、または保温効果を所望のものとすることが可能となり、また、シートの重量が過重となることを避けることができる。
【0019】
本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートの周縁部は補強部材により補強されていることが望ましい。本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートの周縁部には補強用のテープ、竹竿等の管体、棒等の補強部材が設けられているとともに、周縁部には多孔体シートの固定用及び収納用としてハトメが施されている。なお、この多孔体シートの周縁部を補強する方法は特に限定されているものではないが、例えば、剪定作業用防炎多孔体シートの周縁部に補強テープ、竹竿等の管体、棒体を添えて該シートの周辺部を3.5cm~5cm程度折り返して補強部材を包むようにした後、折り返し部を縫い合わせることにより周縁部を補強することができる。
また、この多孔体シートの周縁部に設けられているハトメは剪定作業を行うに際し、ハトメを棚の張り線に係止したり、杭やパイプに係止して多孔体シートの周辺部を高くして裁断された枝の散逸を防ぎ、枝の回収作業を効率的に行うことができるだけでなく、当該区域での作業終了時にはハトメに通した紐や周辺の補強部を把持しながら次の区域に移動させて剪定作業を続けることが可能である。なお、この様な作業をスムーズに行えるようにハトメの大きさは一般の敷布に設けられているハトメより大きく、3cm~4.5cm程度の大きさであるものが好ましい。この様に本願発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートは圃場の作業対象区域に展張して、多孔体シートの上で剪定作業を開始し、切り落とした枝を剪定作業が終了した時点でシートを手操ることにより集約して回収することができるとともに多孔体シートを手操る際には片方のハトメ側部を棚線または親木に固定すれば効率的に回収作業が可能となる。
【0020】
本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートは、ポリ塩化ビニル樹脂により被覆されていることが望ましい。本発明に係る多孔体シートは両面がポリ塩化ビニル樹脂により被覆されていることが望ましく、両面が被覆されていることにより、多孔体シートの両面を均等に使用することが可能となる。また、多孔体シートをポリ塩化ビニル樹脂により被覆する方法は、特に限定されるものではないが、多孔体シートをポリ塩化ビニル樹脂溶液に浸し、乾燥する、常圧浸漬法が簡便な手段として好ましい。
【0021】
本発明において多孔体シートにポリ塩化ビニル樹脂を被覆する目的の一つは、多孔体シートに防炎加工を施すことである。防炎とは、マッチやライターなどの小さな火源に接しても炎が当たった部分が焦げるだけで容易には着火せず、着火しても自己消火性により燃え広がらない性質のことであり、剪定作業、特に果樹の剪定作業がストーブ等の暖房が用いられる冬期に行われることから、安全上の観点から、剪定作業用シートに求められる重要な特性である。したがって、多孔体シートに被覆するポリ塩化ビニル樹脂の量としては、ポリ塩化ビニル樹脂を被覆した多孔体シートにおける防炎効果が十分となる量である必要がある。一方、多孔体シートに被覆するポリ塩化ビニル樹脂の量が多くなると、防炎効果とともに耐候性の改善が期待できるものであるが、一方、多孔体シートの重量が増し、取り扱いが困難になると共に、多孔体シートに設けた孔をふさぐことにより孔による空隙率に変化を与えることになり、空隙率の調製が困難になるという問題が生じる恐れがある。したがって、適切な防炎効果が得られ、耐候性が増すと共に、適切な空隙率を維持した多孔体シートであるために、多孔体シートに被覆するポリ塩化ビニル樹脂の量は、多孔体シートに付与する防炎加工の程度、多孔体シートの空隙率などにより変動するものではあるが、ポリ塩化ビニル樹脂を多孔体シート1m当たり400~500g程度被覆することが好ましく、多孔体シート1m当たり470g程度であることがより好ましい。
【0022】
多孔体シートにポリ塩化ビニル樹脂を被覆するその他の目的としては、上記のとおり、耐候性の向上が挙げられる。例えば、ポリエステル樹脂による多孔性シートにポリ塩化ビニル樹脂を1m当たり470g程度被覆した場合には、7年以上の耐候性が得られることが確認されている。
【0023】
以上、本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートについて、それぞれの技術的事項に基づいて説明したが、本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートは上記した技術的事項が組み合わさることにより、作業性、コスト、保温性、安全性などを最適条件に保持できるものである。
【0024】
以下、具体的に本願発明の剪定作業用防炎多孔体シートを図1図2に従って説明する。図1は本願発明の典型的な剪定作業用防炎多孔体シート(1)の平面図であり、(2)は該シートに設けられている孔である。また(3)は周辺部に硬質テープ等の補強部材を入れて折り返された補強部であり、(4)は該補強部に設けられたハトメである。このハトメ(4)は剪定作業用防炎多孔体シート(1)の大きさに応じて適宜設けることができる。図2は剪定作業用防炎多孔体シート(1)の一部断面図であり、該シートの両面にはポリ塩化ビニル樹脂(5)が被覆してあり、(2)は該シートに設けられている孔である。(3)はシートの周辺部を折り曲げて形成された補強部であり、(4)はハトメである。
なお、図2では、孔(2)の形状について、模式的に、連通した単純な形状で示されているが、孔(2)の形状は円形状や方形状またはそれらを組み合わせた任意の形状でもよい。
【0025】
図1及び図2において示したハトメ(4)には、適当なフックを設け、あるいは紐を通すことにより、本発明に係る剪定作業用防炎多孔体シートを圃場の杭や、果樹園の棚の張線に係止することができ、剪定する枝の散逸を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
良質な果実を生産するには果樹の剪定作業は不可欠であるが、この剪定作業は作業環境が厳しい冬期に行われる場合が多く作業者の労働負担は大きい。
本願発明の剪定作業用防炎多孔体シートはこのような作業環境の厳しい冬期における剪定作業をより効率的かつ安全に実施する用具として使用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 剪定作業用防炎多孔体シート
2 孔
3 補強部
4 ハトメ
5 被覆部(ポリ塩化ビニル樹脂)
図1
図2