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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065729
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】マッサージ具
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20230508BHJP
   A61H 39/04 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61H23/02 330
A61H39/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176030
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000112299
【氏名又は名称】ピップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花野 影紀
【テーマコード(参考)】
4C074
4C101
【Fターム(参考)】
4C074AA03
4C074AA10
4C074CC01
4C074DD01
4C074GG01
4C074GG05
4C074HH02
4C074HH05
4C101BB05
4C101BC09
4C101BC27
4C101BE07
(57)【要約】
【課題】人体の臀部と大腿部との間の位置に振動体を容易に位置付けることができるマッサージ具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のマッサージ具1は、長手方向LDおよび短手方向SDを有する細長形状に形成されたマッサージ具本体2と、マッサージ具本体2に振動可能に設けられた振動体3と、マッサージ具本体2に設けられ、振動体3を振動させるための駆動装置4とを備え、マッサージ具本体2が、長手方向LDおよび短手方向SDに垂直な高さ方向HDの一方に面する底面21と、高さ方向HDの他方に面し、底面21に対して短手方向SDに傾斜する傾斜面22とを有し、振動体3は、高さ方向HDに対して短手方向SDに傾斜する方向であって、傾斜面22に対して略垂直方向に突出するように、傾斜面22に配置されることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向および短手方向を有する細長形状に形成されたマッサージ具本体と、
前記マッサージ具本体に振動可能に設けられた振動体と、
前記マッサージ具本体に設けられ、前記振動体を振動させるための駆動装置と
を備えるマッサージ具であって、
前記マッサージ具本体が、
前記長手方向および前記短手方向に垂直な高さ方向の一方に面する底面と、
前記高さ方向の他方に面し、前記底面に対して前記短手方向に傾斜する傾斜面と
を有し、
前記振動体は、前記高さ方向に対して前記短手方向に傾斜する方向であって、前記傾斜面に対して略垂直方向に突出するように、前記傾斜面に配置される、
マッサージ具。
【請求項2】
前記傾斜面は、人体の大腿部の付け根部分から臀部の後突点部分に至る皮膚表面の傾斜に対応するように傾斜している、
請求項1記載のマッサージ具。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記傾斜面の前記振動体との交線のうち前記高さ方向で前記底面に最も近い位置の点と前記底面との間の距離が、人体の臀部厚径と大腿部厚径との間の差に対応するように、前記底面に対して配置される、
請求項1または2記載のマッサージ具。
【請求項4】
前記振動体が、前記長手方向に延びる細長形状に形成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載のマッサージ具。
【請求項5】
前記振動体が、前記長手方向に沿って、前記長手方向で互いに離間して配置される第1の振動体および第2の振動体を備え、
前記第1の振動体および前記第2の振動体は、人体の一対の承扶の間の距離に対応するように離間して配置される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のマッサージ具。
【請求項6】
前記マッサージ具は、前記マッサージ具本体の前記傾斜面において、前記振動体に隣接して設けられる加熱装置を備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載のマッサージ具。
【請求項7】
前記駆動装置が、
前記長手方向に延びる回転出力軸を有し、前記振動体に固定される回転モータと、
前記回転出力軸から径方向に離れた位置に重心が位置するように、前記回転出力軸に取り付けられる振動子と
を備え、
前記回転モータは、前記回転出力軸および前記振動子の回転によって振動するように構成され、前記振動体は、前記回転モータの振動によって、前記長手方向に対して垂直方向に振動するように構成される、
請求項1~6のいずれか1項に記載のマッサージ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ具に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の身体の皮膚表面に振動や熱による刺激を加えることで、身体の筋肉をほぐし、また身体の血行を良くするためのマッサージ具が多数知られている。たとえば特許文献1には、身体の皮膚表面に機械刺激(振動)を与える機械刺激部(振動体)と、身体の皮膚表面に熱刺激(熱)を与える熱刺激部(加熱装置)とを備えた温感装置が開示されている。特許文献1の温感装置は、シートクッションに用いられ、シートクッションに着座した着座者の大腿部裏側の皮膚表面に機械刺激を与え、臀部の皮膚表面に熱刺激を与えるように構成されている。
【0003】
ところで、世界保健機関(WHO)によると、人体には361個の経穴があると言われている。このような経穴をマッサージ具によって刺激することができれば、その経穴に特有の身体改善効果を得ることができる。たとえば、人体の臀部と大腿部との間には、承扶と呼ばれる経穴がある。この承扶には、一般的に、刺激することで、ヒップアップ、脚痩せに効果があり、また、腰痛や足の痺れや痛みなどにも効果があると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-130408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、特許文献1に開示された温感装置は、着座者の大腿部裏側の皮膚表面に機械刺激を与えることができるが、着座者の承扶の位置に機械刺激部(振動体)が位置付けられていないので、着座者の承扶に機械刺激を与えるようには構成されていない。着座者は、着座する位置をずらすことで、機械刺激部のある位置に承扶を位置付けることが可能ではあるが、その場合、承扶近傍の皮膚が機械刺激部近傍に接触するときのわずかな感触だけを頼りに位置合わせする必要がある。特許文献1に開示された温感装置では、機械刺激部近傍が平坦に形成されており、承扶近傍の皮膚が機械刺激部近傍に接触するときの感触がわずかであるために、機械刺激部のある位置に承扶を位置付けることは容易ではない。特に、床面に仰向けに寝た状態の使用者に、特許文献1に開示された温感装置を適用する場合、床面に仰向けに寝ると使用者の臀部と大腿部との間に段差が生じるために、承扶近傍の皮膚が機械刺激部近傍に接触するときの感触がさらに低下し、機械刺激部に承扶を位置付けることがさらに難しい。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、人体の臀部と大腿部との間の位置に振動体を容易に位置付けることができるマッサージ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマッサージ具は、長手方向および短手方向を有する細長形状に形成されたマッサージ具本体と、前記マッサージ具本体に振動可能に設けられた振動体と、前記マッサージ具本体に設けられ、前記振動体を振動させるための駆動装置とを備えるマッサージ具であって、前記マッサージ具本体が、前記長手方向および前記短手方向に垂直な高さ方向の一方に面する底面と、前記高さ方向の他方に面し、前記底面に対して前記短手方向に傾斜する傾斜面とを有し、前記振動体は、前記高さ方向に対して前記短手方向に傾斜する方向であって、前記傾斜面に対して略垂直方向に突出するように、前記傾斜面に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、前記傾斜面は、人体の大腿部の付け根部分から臀部の後突点部分に至る皮膚表面の傾斜に対応するように傾斜していることが好ましい。
【0009】
また、前記傾斜面は、前記傾斜面の前記振動体との交線のうち前記高さ方向で前記底面に最も近い位置の点と前記底面との間の距離が、人体の臀部厚径と大腿部厚径との間の差に対応するように、前記底面に対して配置されることが好ましい。
【0010】
また、前記振動体が、前記長手方向に延びる細長形状に形成されることが好ましい。
【0011】
また、前記振動体が、前記長手方向に沿って、前記長手方向で互いに離間して配置される第1の振動体および第2の振動体を備え、前記第1の振動体および前記第2の振動体は、人体の一対の承扶の間の距離に対応するように離間して配置されることが好ましい。
【0012】
また、前記マッサージ具は、前記マッサージ具本体の前記傾斜面において、前記振動体に隣接して設けられる加熱装置を備えることが好ましい。
【0013】
また、前記駆動装置が、前記長手方向に延びる回転出力軸を有し、前記振動体に固定される回転モータと、前記回転出力軸から径方向に離れた位置に重心が位置するように、前記回転出力軸に取り付けられる振動子とを備え、前記回転モータは、前記回転出力軸および前記振動子の回転によって振動するように構成され、前記振動体は、前記回転モータの振動によって、前記長手方向に対して垂直方向に振動するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、人体の臀部と大腿部との間の位置に振動体を容易に位置付けることができるマッサージ具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ具の上面図である。
図2図1のマッサージ具の正面図である。
図3図1のマッサージ具の側面図である。
図4図1のマッサージ具が人体の臀部と大腿部との間に適用された状態を人体の背面側から見た概略図である。
図5図1のマッサージ具が人体の臀部と大腿部との間に適用された状態を人体の側面側から見た概略図である。
図6図1のマッサージ具を、仰臥位の人体の臀部と大腿部との間に適用した場合と、仰臥位の人体の脹脛部に適用した場合における、足の甲の温度の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るマッサージ具を説明する。ただし、以下の実施形態は一例であり、本発明のマッサージ具は、以下の例に限定されることはない。なお、本明細書において、人体に関して用いられる「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、および「右」という用語はそれぞれ、人体の中心に対して、頭部側、脚部側、腹部側、背部側、左手(足)側、および右手(足)側を意味し、人体に関して用いられる「身長方向」とういう用語は、人体の上下方向を意味する。
【0017】
本実施形態のマッサージ具1は、図1図3に示されるように、マッサージ具本体2と、マッサージ具本体2に振動可能に設けられた振動体3と、マッサージ具本体2に設けられ、振動体3を振動させるための駆動装置4とを備えている。マッサージ具1は、人体Bに適用されて、駆動装置4により振動する振動体3の振動により、振動体3に接触した人体Bの特定の部位に振動による刺激を加えることができる。特に、本実施形態のマッサージ具1は、図4および図5に示されるように、仰臥位の人体Bの臀部B1および大腿部B2と、ベッドなどの載置面である床面Fとの間に挟み込まれるように配置され、臀部B1と大腿部B2との間に位置する経穴である承扶B3に振動による刺激を加えることができる。ただし、マッサージ具1は、本実施形態に限定されることはなく、人体Bの脚部や腰部などの他の部位と床面Fとの間に配置されて、人体の他の部位に振動による刺激を加えることもできる。また、マッサージ具1は、本実施形態では、マッサージ具本体2をコンパクトに設計することで、持ち運び可能に構成される。それにより、たとえば、マッサージ具1は、人が手に持って人体Bの特定の部位に押し当てることで、人体Bの特定の部位に振動による刺激を加えることもできる。ただし、マッサージ具1は、床面Fに取り付けられた状態で定置式として使用されてもよい。
【0018】
マッサージ具本体2は、振動体3や駆動装置4など、マッサージ具本体2以外のマッサージ具1の構成要素を保持する部材である。特に、マッサージ具本体2は、マッサージ具本体2に対して振動可能に振動体3を保持する部材である。マッサージ具本体2は、図1図3に示されるように、長手方向LDおよび短手方向SDを有する細長形状に形成されている。マッサージ具1は、マッサージ具本体2が細長形状に形成されることで、たとえば、図4に示されるように、マッサージ具本体2の長手方向LDが人体Bの身長方向(図中、上下方向)を横切るように配置する際に、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の段差部分に容易に位置付けることができる。
【0019】
マッサージ具本体2は、短手方向SDより長手方向LDが長い細長形状に形成されていれば、その大きさは、特に限定されることはなく、マッサージ具1が適用される人体Bの部位(特に、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の部位)の形状や大きさに応じて適宜設定することができる。たとえば、マッサージ具1が、図4に示されるように人体Bの一対の承扶B3、B3の両方に適用される場合には、マッサージ具本体2の長手方向LDの長さL1(図1図2参照)は、少なくとも一対の承扶B3、B3の間の距離よりも長いことが好ましい。また、マッサージ具本体2の長手方向LDの長さL1は、人体Bの臀部B1と両方の大腿部B2、B2との間にマッサージ具1を安定して配置するために、人体Bの下半身最大間幅L3(図4参照、下半身(骨盤から下方)のうち矢状面に対し垂直に測った最大水平直線距離)の0.7倍以上の長さであることが好ましく、0.8倍以上の長さであることがさらに好ましく、0.9倍以上の長さであることがよりさらに好ましい。また、マッサージ具本体2の長手方向LDの長さL1は、マッサージ具1の取り扱いを容易にするために、人体Bの下半身最大間幅L3の1.5倍以下の長さであることが好ましく、1.3倍以下の長さであることがさらに好ましく、1.2倍以下の長さであることがよりさらに好ましい。この場合のマッサージ具本体2の長手方向LDの長さL1は、具体的には、安定配置の観点から、320mm以上が好ましく、370mm以上がさらに好ましく、410mm以上がよりさらに好ましく、また、取り扱い容易性の観点から、690mm以下が好ましく、600mm以下がさらに好ましく、550mm以下がよりさらに好ましい。
【0020】
また、マッサージ具本体2の短手方向SDの長さL2(図1図3参照)は、特に限定されることはなく、マッサージ具1が適用される人体Bの部位(特に、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の部位)の形状や大きさに応じて、マッサージ具本体2の長手方向LDの長さL1よりも短い範囲で適宜設定することができる。たとえば、マッサージ具1が、本実施形態のように、人体Bの承扶B3に適用される場合には、マッサージ具本体2の短手方向SDの長さL2は、床面Fに安定して配置するという観点から、80mm以上が好ましく、100mm以上がさらに好ましく、120mm以上がよりさらに好ましい。また、マッサージ具本体2の短手方向SDの長さL2は、臀部B1と大腿部B2との間に容易に配置するという観点から、180mm以下が好ましく、160mm以下がさらに好ましく、140mm以下がよりさらに好ましい。
【0021】
マッサージ具本体2は、図1図3に示されるように、長手方向LDおよび短手方向SDに垂直な高さ方向HDの一方に面する底面21と、高さ方向HDの他方に面し、底面21に対して短手方向SDに傾斜する傾斜面22とを有している。マッサージ具本体2は、底面21に対して傾斜する傾斜面22を有することで、図5に示されるように、底面21が床面Fに接触するように配置された際に、人体Bの大腿部B2の付け根から臀部B1にかけて傾斜した皮膚表面に傾斜面22を沿わせて配置することができる。これにより、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間にマッサージ具本体2を容易に位置付けることができ、それにより傾斜面22に設けられた振動体3を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の位置に容易に位置付けることができる。
【0022】
底面21は、マッサージ具1が床面F上に配置される際に、床面Fに接触して、マッサージ具本体2を支持するとともに、マッサージ具本体2の姿勢を維持する部位である。底面21は、本実施形態では、図3に示されるように、高さ方向HDに対して略垂直な略平坦な面として形成されている。ただし、底面21は、床面Fに接触してマッサージ具本体2の姿勢を維持することができれば、本実施形態に限定されることはなく、湾曲した面や凹凸を有する面として形成されてもよい。
【0023】
傾斜面22は、マッサージ具1が人体Bに適用される際に、人体Bの皮膚表面に接触する部位である。傾斜面22は、本実施形態では、図3に示されるように、高さ方向HDに対して傾斜した略平坦な面として形成されている。ただし、傾斜面22は、少なくとも底面21に対して短手方向SDに傾斜していれば、本実施形態に限定されることはなく、たとえば臀部B1の表面形状に対応するように底面21側に凸となるような湾曲面として形成されていてもよいし、皮膚表面に刺激を加えるために凹凸を有する面として形成されてもよい。
【0024】
傾斜面22は、少なくとも底面21に対して短手方向SDに傾斜していればよく、その傾斜角度θ(図3参照)は、特に限定されることはない。ただし、傾斜面22の傾斜角度θは、図5に示されるように、人体Bの大腿部B2の付け根部分から臀部B1の後突点部分に至る皮膚表面の傾斜に対応するように傾斜していることが好ましい。これにより、マッサージ具本体2を人体Bの臀部B1の傾斜面に沿わせて配置し易くなるとともに、人体Bの臀部B1および大腿部B2と床面Fとの間に位置付けやすくなるために、傾斜面22に設けられた振動体3を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の位置により容易に位置付けることができる。
【0025】
ここで、「人体Bの大腿部B2の付け根部分から臀部B1の後突点部分に至る皮膚表面の傾斜」とは、図5に示されるように人体Bを側方から見たときに、大腿部B2の付け根部分から臀部B1の後突点部分に至る皮膚表面の湾曲した線の傾斜だけでなく、人体Bの大腿部B2の付け根部分と臀部B1の後突点部分とを結ぶ直線の傾斜も含む概念である。本実施形態では、傾斜面22は、後者の直線の傾斜に対応するように傾斜した略平坦な面として形成される。その傾斜角度θ(図3参照)は、たとえば、人体Bの臀部厚径L4(図5参照)と大腿部厚径L5(図5参照)との間の差と、臀部B1の後突点部分と大腿部B2の付け根部分との間の人体Bの身長方向(図5中、左右方向)の距離とに基づいて算出することができる。
【0026】
なお、臀部厚径L4とは、図5に示されるように、臀部後突点の高さにおける矢状面に対し平行に測定した臀部の最大水平直線距離のことを意味する。また、大腿部厚径L5とは、大腿囲の高さにおける矢状面に対して平行に測定した大腿部の最大水平直線距離のことを意味する。臀部厚径L4および大腿部厚径L5としては、マッサージ具1が実際に適用される人体Bについて測定された数値を採用してもよいし、公知の人体寸法データベースなどの既存のデータベースに記載された数値を採用してもよい。既存のデータベースの数値を採用する場合、たとえば、5パーセンタイル値と95パーセンタイル値とで算出される範囲内で、傾斜面22の傾斜角度θを決定することができる。
【0027】
傾斜面22の傾斜角度θ(図3参照)は、具体的には、マッサージ具本体2を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に容易に位置付けるという観点から、12°以上が好ましく、15°以上がさらに好ましく、18°以上がよりさらに好ましい。また、傾斜面22の傾斜角度θは、人体Bの臀部B1および大腿部B2と床面Fとの間に位置付けた際の大腿部B2に対する負担を軽減するという観点から、50°以下が好ましく、35°以下がさらに好ましく、25°以下がよりさらに好ましい。
【0028】
傾斜面22は、少なくとも底面21に対して短手方向SDに傾斜していればよく、その底面21に対する高さは、特に限定されることはない。ただし、傾斜面22は、図3および図5に示されるように、傾斜面22の振動体3との交線のうち高さ方向HDで底面21に最も近い位置の点22Pと底面21との間の距離L6が、人体Bの臀部厚径L4と大腿部厚径L5との間の差に対応するように、底面21に対して配置されることが好ましい。このように傾斜面22が底面21に対して配置されることで、マッサージ具本体2を人体Bの臀部B1および大腿部B2と床面Fとの間に位置付けやすくなるために、傾斜面22に設けられた振動体3を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の位置に、より容易に位置付けることができる。さらに、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の位置に位置付けられた振動体3が、より承扶B3に当接し易くなるとともに、より承扶B3を刺激し易くなる。ここでも、臀部厚径L4および大腿部厚径L5としては、マッサージ具1が実際に適用される人体Bについて測定された数値を採用してもよいし、公知の人体寸法データベースなどの既存のデータベースに記載された数値を採用してもよい。既存のデータベースの数値を採用する場合、たとえば、5パーセンタイル値と95パーセンタイル値とで算出される範囲内で、傾斜面22の点22Pと底面21との間の距離L6を決定することができる。
【0029】
傾斜面22の点22Pと底面21との間の距離L6は、具体的には、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に位置に振動体3をより位置付けやすくするとともに、承扶B3に振動体3をより当接し易くするという観点から、40mm以上が好ましく、50mm以上がさらに好ましく、55mm以上がよりさらに好ましい。また、傾斜面22の点22Pと底面21との間の距離L6は、人体Bの臀部B1および大腿部B2と床面Fとの間にマッサージ具本体2をより配置し易くするとともに、振動体3によって承扶B3をより刺激し易くするという観点から、80mm以下が好ましく、70mm以下がさらに好ましく、65mm以下がよりさらに好ましい。
【0030】
マッサージ具本体2は、上述したように、少なくとも、高さ方向HDの一方に面する底面21と、高さ方向HDの他方に面し、底面21に対して短手方向SDに傾斜する傾斜面22とを備えていていればよく、他の構造は特に限定されない。マッサージ具本体2は、本実施形態では、図1図3に示されるように、短手方向SDの一方に面する前面23と、短手方向SDの他方に面する後面24とを備えている。傾斜面22は、短手方向SDで後面24側から前面23側に向かうに従って底面21に近付くように、底面21に対して傾斜している。また、マッサージ具本体2は、傾斜面22と前面23とを連結する前面側湾曲面25と、傾斜面22と後面24とを連結する後面側湾曲面26とを備えている。マッサージ具本体2は、マッサージ具本体2の表面で湾曲した前面側湾曲面25および後面側湾曲面26を備えることで、マッサージ具本体2が人体Bの皮膚に当接した時の人体Bの皮膚への衝撃を和らげることができる。
【0031】
マッサージ具本体2は、マッサージ具本体2を除くマッサージ具1を構成する要素を保持するとともに、人体Bが上に載っても破損が抑制される強度を有していれば、その構成材料は特に限定されることはなく、高分子材料や金属材料によって形成することができる。たとえば、マッサージ具本体2は、軽量化の観点から、発泡ウレタン樹脂、発泡スチレン樹脂などにより形成することができる。
【0032】
振動体3は、駆動装置4に駆動されることで振動して、人体Bの特定の部位に振動による刺激を加える。振動体3は、図1図3に示されるように、高さ方向HDに対して短手方向SDに傾斜する方向であって、傾斜面22に対して略垂直方向に突出するように、傾斜面22に配置される。振動体3は、高さ方向HDに対して短手方向SDに傾斜して、傾斜面22に対して略垂直方向に突出することで、仰臥位の人体Bの臀部B1および大腿部B2と床面Fとの間にマッサージ具1が配置された際に、臀部B1が障害となることが抑制されて、臀部B1と大腿部B2との間により深く侵入して、より確実に承扶B3に当接するとともに、より効果的に振動による刺激を承扶B3に加えることができる。なお、ここでいう「傾斜面22に対して略垂直」とは、傾斜面22に対して垂直の角度だけでなく、傾斜面22に対して垂直の角度から±15°以内の範囲にある角度を意味し、好ましくは±10°以内、さらに好ましくは±5°以内、よりさらに好ましくは±2°以内の範囲にある角度を意味する。
【0033】
振動体3は、一定または不定の振動数で揺動することによって振動することができればよく、その振動方向や振動数は特に限定されない。本実施形態では、振動体3は、後述するように、駆動装置4の駆動によって長手方向LDに対して垂直方向で振動するように構成されている。振動体3は、たとえば傾斜面22に沿った方向など、長手方向LDに対して垂直方向で振動することで、図4に示されるようにマッサージ具1をその長手方向LDが人体Bの身長方向(図中、上下方向)に対して交差するように配置した際に、承扶B3を人体Bの身長方向と身長方向に対して垂直方向に沿って振動させることができるので、より高い身体改善効果(特に以下で述べる血流改善効果)が得られる。振動体3の振動数は、特に限定されることはないが、より高い身体改善効果の観点から、1000Hz以上が好ましく、2000Hz以上がさらに好ましく、2500Hz以上がよりさらに好ましい。また、振動体3の振動数は、振動体3およびマッサージ具本体2の物理的強度の観点から、8000Hz以下が好ましく、7000Hz以下がさらに好ましく、6500Hz以下がよりさらに好ましい。
【0034】
振動体3は、振動することで人体Bの特定の部位に振動を加えることができればよく、マッサージ具本体2への取り付け方法は特に限定されない。振動体3は、マッサージ具本体2とともに振動するようにマッサージ具本体2に固定されてもよいし、マッサージ具本体2に対して相対的に振動するようにマッサージ具本体2に振動可能に取り付けられてもよい。振動体3は、マッサージ具本体2に固定される場合、たとえばマッサージ具本体2と一体として形成されてもよいし、マッサージ具本体2とは別体として形成されてマッサージ具本体2に固定されてもよい。また、振動体3は、マッサージ具本体2に振動可能に取り付けられる場合、たとえば長手方向LDに沿った軸を中心に揺動(回動)可能にマッサージ具本体2に軸支されてもよいし、マッサージ具本体2に設けられた凹部に振動可能に遊嵌されてもよい。
【0035】
振動体3は、振動による刺激を人体Bの特定の部位に加えることができればよく、その形状は特に限定されない。振動体3の形状は、振動を加えようとする人体Bの部位(特に、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の部位)の形状および大きさに応じて適宜設定することができる。本実施形態では、振動体3は、図1図3に示されるように、長手方向LDに沿って延びる(短手方向SDよりも長手方向LDの方が長い)細長形状に形成されている。振動体3が長手方向LDに沿って延びる細長形状を有することで、人体Bの身長方向に対して交差する方向にマッサージ具1の長手方向LDが沿うようにマッサージ具1を配置する際に、振動体3を人体Bの承扶B3に位置付けるために人体Bの左右方向での位置合わせ精度が要求されないので、振動体3を承扶B3に容易に当接させることができる。ただし、振動体3は、短手方向SDに沿って延びる(長手方向SDよりも短手方向LDの方が長い)細長形状に形成されてもよい。振動体3は、本実施形態では、図3でよく見ることができるように、傾斜面22から突出した部分の短手方向SDの断面の外形が突状(略半円形状)に形成されることで、承扶B3への刺激を大きくすることができる。振動体3は、図1図3では、傾斜面22からマッサージ具本体2の外側に突出した部分のみを有する構造として示されているが、図示された例に限定されることはなく、傾斜面22からマッサージ具本体2の内側に突出した部分(たとえば傾斜面22から突出した部分と略同形状)を有して、全体として内部に空洞を有するカプセル状に形成されていてもよい。
【0036】
振動体3は、振動による刺激を人体Bの特定の部位に加えることができればよく、その大きさは特に限定されない。振動体3の大きさは、振動を加えようとする人体Bの部位(特に、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の部位)の形状および大きさに応じて適宜設定することができる。たとえば、振動体3の突出部分の、短手方向SDの断面において傾斜面22に沿った長さL7(図3参照)は、人体Bの承扶B3に振動体3をより確実に位置付けるとともに、振動による刺激を人体Bの承扶B3に効果的に加えるという観点から、20mm以上が好ましく、30mm以上がさらに好ましく、35mm以上がよりさらに好ましい。また、振動体3の短手方向SDの長さL7は、人体Bの臀部B1などの障害物を回避しながら、人体Bの承扶B3に振動体3をより確実に当接させるという観点から、60mm以下が好ましく、50mm以下がさらに好ましく、45mm以下がよりさらに好ましい。
【0037】
また、振動体3の突出部分の、長手方向LDの断面において傾斜面22に沿った長さL8(図2参照)は、長手方向LDに沿って設けられる振動体3の数に応じて適宜設定される。ここで、長手方向LDに沿って設けられる振動体3の数は、図1および図2に示されるように2つであってもよいし、あるいは、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。たとえば、図示されたように振動体3の数が2つの場合には、2つの振動体3(後述する第1の振動体31および第2の振動体32)のそれぞれの長手方向LDの長さL8は、人体Bの一対の承扶B3、B3のそれぞれに人体Bの左右方向でそれぞれの振動体3を容易に位置付けるという観点から、30mm以上であることが好ましく、90mm以上であることがさらに好ましく、130mm以上であることがよりさらに好ましい。また、2つの振動体3のそれぞれの長手方向LDの長さL8は、マッサージ具1の取り扱いを容易にするという観点から、170mm以下であることが好ましく、150mm以下であることがさらに好ましく、140mm以下であることがよりさらに好ましい。また、たとえば、振動体3の数が1つの場合には、振動体3の長手方向LDの長さは、人体Bの一対の承扶B3、B3の両方に振動体3を当接させるという観点から、少なくとも人体Bの一対の承扶B3、B3の間の距離以上の長さであることが好ましく、具体的には、280mm以上であることが好ましく、300mm以上であることがさらに好ましく、310mm以上であることがよりさらに好ましい。また、振動体3の長手方向LDの長さは、マッサージ具1の取り扱いを容易にするという観点から、360mm以下であることが好ましく、340mm以下であることがさらに好ましく、330mm以下であることがよりさらに好ましい。
【0038】
また、振動体3の突出部分の、短手方向LDの断面において傾斜面22に対して略垂直方向の長さL9(図3参照)は、人体Bの承扶B3に振動体3をより確実に当接させるとともに、振動による刺激を人体Bの承扶B3に効果的に加えるという観点から、15mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがさらに好ましく、23mm以上であることがよりさらに好ましい。また、振動体3の傾斜面22に対して略垂直方向の長さL9は、人体Bの皮膚への刺激を和らげるという観点から、35mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがさらに好ましく、27mm以下であることがよりさらに好ましい。
【0039】
振動体3は、図1および図2に示されるように、長手方向LDに沿って、長手方向LDで互いに離間して配置される第1の振動体31および第2の振動体32を備えていてもよい。第1の振動体31および第2の振動体32は、人体Bの一対の承扶B3、B3の間の距離に対応するように離間して配置される。これにより、振動体3は、振動による刺激を人体Bの他の部分に加えることを抑制しながら、人体Bの一対の承扶B3、B3の両方に効果的に振動による刺激を加えることができる。第1の振動体31および第2の振動体32は、人体Bの一対の承扶B3、B3の両方に、より確実に当接させるという観点から、第1の振動体31の長手方向LDの中間位置と第2の振動体32の長手方向LDの中間位置との間の距離が、人体Bの一対の承扶B3、B3の間の距離に対応するように、互いに離間して配置されることが好ましい。本実施形態では、第1の振動体31および第2の振動体32はそれぞれ、互いに別体として形成され、互いに対して独立して振動可能に構成されている。これにより、人体Bの左右の身体状態に応じて、一対の承扶B3、B3のそれぞれに独立して振動による刺激を加えることができる。ただし、第1の振動体31および第2の振動体32は、一体として形成され、互いに対して従属して振動可能に構成されてもよい。
【0040】
振動体3は、人体Bの所定の部位(特に、人体Bの臀部B1と大腿部B2との間の部位)に当接して振動による刺激を加える際に、破損が抑制される強度を有していればよく、その構成材料は特に限定されない。たとえば、振動体3は、人体Bの所定の部位に強い刺激を加えるという観点から、硬質樹脂により形成されていることが好ましい。硬質樹脂としては、特に限定されることはなく、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどが採用され、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体が好適に採用される。
【0041】
駆動装置4は、振動体3を振動させる装置である。駆動装置4としては、振動体3を振動させるように構成されていれば、その構成は特に限定されることはなく、公知の駆動装置を用いることができる。本実施形態では、駆動装置4は、図1図3に示されるように、長手方向LDに延びる回転出力軸41aを有し、振動体3に固定される回転モータ41と、回転出力軸41aから径方向に離れた位置に重心が位置するように、回転出力軸41aに取り付けられる振動子42とを備えている。回転モータ41は、回転出力軸41aおよび振動子42の回転によって振動するように構成され、振動体3は、回転モータ41の振動によって、長手方向LDに対して垂直方向に振動するように構成される。駆動装置4は、たとえば傾斜面22に沿った方向など、長手方向LDに対して垂直方向に振動体3を振動させることで、図4に示されるようにマッサージ具1の長手方向LDが人体Bの身長方向(図中、上下方向)と交差するように人体Bの臀部B1と大腿部B2との間にマッサージ具1が配置された状態で振動体3を駆動した際に、承扶B3に人体Bの身長方向と身長方向に対して垂直方向の振動による刺激を加えることができるので、より高い身体改善効果(特に血流改善効果)が得られる。駆動装置4は、特に限定されることはなく、マッサージ具本体2の内部または外部に設けられる電源(図示せず)によって駆動される。
【0042】
駆動装置4の回転モータ41は、振動体3を振動させることができればよく、振動体3への固定方法は特に限定されない。たとえば、上述したように、振動体3がマッサージ具本体2に固定される場合には、回転モータ41は、振動体3の内部などにおいて振動体3に直接固定されてもよいし、マッサージ具本体2に固定されることで、マッサージ具本体2を介して振動体3に間接的に固定されてもよい。また、振動体3がマッサージ具本体2に対して振動可能に取り付けられる場合には、回転モータ41は、振動体3の内部などにおいて振動体3に直接固定されてもよい。
【0043】
なお、駆動装置4は、本実施形態では、図1および図2に示されるように、2つの振動体3(第1の振動体31および第2の振動体32)のそれぞれに別々に設けられている。2つの振動体3用のそれぞれの駆動装置4は、図示された例では、それぞれの回転出力軸41aが長手方向LDで互いに向き合う方向に延びるように配置されているが、それぞれの回転出力軸41aが長手方向LDで互いに反対方向に向くように配置されてもよいし、それぞれの回転出力軸41aが長手方向LDのいずれか一方の同じ方向に向くように配置されてもよい。また、駆動装置4は、2つの振動体3が短手方向SDに沿って延びる細長形状に形成されている場合には、それぞれの回転出力軸41aが短手方向SDで互いに反対方向に向くように配置されてもよいし、それぞれの回転出力軸41aが短手方向SDのいずれか一方の同じ方向に向くように配置されてもよい。2つの駆動装置4は、互いに同期して駆動されてもよいし、互いに独立して駆動されてもよい。また、振動体3が1つである場合や、2つの振動体3が一体として形成されている場合には、1つの駆動装置4が設けられてもよいし、2つの駆動装置4が設けられてもよい。2つの駆動装置4が設けられる場合には、それぞれの駆動装置4は、振動体3の振動を強めるために、それぞれの回転出力軸41aが長手方向LDのいずれか一方の同じ方向に向くように配置されることが好ましい。
【0044】
マッサージ具1はさらに、図1図3に示されるように、加熱装置5を備えていてもよい。加熱装置5は、人体Bの皮膚に直接または間接的に接触することで、人体Bの特定の部位を加熱する。加熱装置5は、本実施形態では、マッサージ具本体2の傾斜面22において、振動体3に隣接して設けられる。具体的には、加熱装置5は、マッサージ具本体2の内部または外部において、傾斜面22に沿って、振動体3の周囲に設けられる。加熱装置5は、振動体3に隣接して設けられることで、人体Bの承扶B3に、振動による刺激だけでなく熱による刺激を加えることもできる。これにより、マッサージ具1は、人体Bの下半身の血流改善にさらに効果を及ぼすことができる。加熱装置5は、特に限定されることはなく、マッサージ具本体2の内部または外部に設けられる電源(図示せず)によって加熱される。加熱装置5としては、電熱線など公知の加熱装置を用いることができる。加熱装置5の加熱温度は、加熱が必要な人体Bの皮膚に応じて適宜設定することができ、たとえば32~50℃の範囲で設定される。
【0045】
マッサージ具1はさらに、駆動装置4および/または加熱装置5を制御するための制御装置(図示せず)を備えていてもよい。たとえば、制御装置は、駆動装置4を制御して、振動体3の振動および休止を交互に繰り返すように構成されてもよい。人体Bの筋肉は、呼息時に弛緩するため、制御装置は、人体Bの呼息および吸息のそれぞれのタイミングに同期させて、振動体3の振動および休止を交互に繰り返すように構成されてもよい。これにより、マッサージ具1は、人体Bの承扶B3に、振動による刺激をより効果的に加えることができる。また、たとえば、制御装置は、加熱装置5を制御して、加熱装置5の加熱および休止を交互に繰り返すように構成されてもよい。より具体的には、制御装置は、駆動装置4の制御と同様に、人体Bの呼息および吸息のそれぞれのタイミングに同期させて、振動体3の振動および休止を交互に繰り返すように構成されてもよい。これにより、マッサージ具1は、人体Bの承扶B3に、加熱による刺激をより効果的に加えることができる。
【実施例0046】
つぎに、図6を参照して、本実施形態のマッサージ具1を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に適用したときに得られる効果について説明する。ただし、本発明のマッサージ具の人体Bへの適用箇所や得られる効果は、以下の例に限定されることはない。
【0047】
図6は、本実施形態のマッサージ具1を、(1)仰臥位の人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に適用した場合と、(2)仰臥位の人体Bの脹脛部に適用した場合において、足の甲の温度がどうのように変化したかを示している。マッサージ具1により刺激を加えるために、人体Bの呼息および吸息のそれぞれのタイミングに同期するように、振動体3の1.5秒間の振動(周波数:4500Hz)と2秒間の休止とを交互に繰り返した。人体Bに10分間に亘って(図6中、-10~0分)刺激を加えたあと、40分間に亘って(図6中、0~40分)刺激を加えることなく安静にした人体Bの足の甲の温度の変化を測定した。人体Bの足の甲の温度は、赤外線放射温度計(株式会社エー・アンド・デイ製AD-5613A)により測定した。
【0048】
図6を参照すると、本実施形態のマッサージ具1を人体Bの脹脛部に適用した場合には、10分間に亘って刺激を加えても、足の甲の温度がほぼ変化していない(図6中、-10~0分の黒三角マーカーを参照)。それに対して、本実施形態のマッサージ具1を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に適用した場合には、10分間に亘って刺激を加えることで、足の甲の温度が上昇している(図6中、-10~0分の黒丸マーカーを参照)。この結果から、本実施形態のマッサージ具1を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に適用して、振動体3によって承扶B3に振動による刺激を加えることで、下半身の血流を改善して、下半身の末梢の温度を上昇させることができることが分かる。また、さらに図6を参照すると、本実施形態のマッサージ具1を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に適用した場合には、人体Bへの振動による刺激を停止した後もなお、長時間にわたって、刺激を加える前の温度よりも高い温度が維持されている(図6中、0~40分の黒丸マーカーを参照)。この結果から、本実施形態のマッサージ具1を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に適用して、振動体3によって承扶B3に振動による刺激を加えることで、下半身の血流改善効果が長時間に亘って持続し、長時間に亘って下半身の末梢の温度を高く維持することができることが分かる。
【0049】
以上に示してきたように、本実施形態のマッサージ具1は、図1図3に示されるように、長手方向LDおよび短手方向SDを有する細長形状に形成されたマッサージ具本体2と、マッサージ具本体2に振動可能に設けられた振動体3と、マッサージ具本体2に設けられ、振動体3を振動させるための駆動装置4とを備えている。マッサージ具本体2は、長手方向LDおよび短手方向SDに垂直な高さ方向HDの一方に面する底面21と、高さ方向HDの他方に面し、底面21に対して短手方向SDに傾斜する傾斜面22とを有している。これにより、マッサージ具本体2の傾斜面22を人体Bの臀部B1の傾斜面に沿わせて配置することで、傾斜面22に設けられた振動体3を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に容易に位置付けることができる。また、振動体3は、高さ方向HDに対して短手方向SDに傾斜する方向であって、傾斜面22に対して略垂直方向に突出するように、傾斜面22に配置される。これにより、マッサージ具1を人体Bの臀部B1と大腿部B2との間に配置した際に、臀部B1などが障害となるのが抑制されて、人体Bの承扶B3に振動体3を当接させて、人体Bの承扶B3に振動による刺激を効果的に加えることができる。本発明者は驚くべきことに、本実施形態のマッサージ具1によって、振動による刺激を人体Bの承扶B3に加えることで、従来知られていなかった下半身の血流改善効果が得られ、それにより、下半身の末梢の温度を上昇させるとともに、長時間に亘ってその温度を維持することができることを見出し、本発明に至った。
【符号の説明】
【0050】
1 マッサージ具
2 マッサージ具本体
21 底面
22 傾斜面
22P 傾斜面の振動体との交線のうち高さ方向で底面に最も近い位置の点
23 前面
24 後面
25 前面側湾曲面
26 後面側湾曲面
3 振動体
31 第1の振動体
32 第2の振動体
4 駆動装置
41 回転モータ
41a 回転出力軸
42 振動子
5 加熱装置
B 人体
B1 臀部
B2 大腿部
B3 承扶
F 床面
HD 高さ方向
L1 マッサージ具本体の長手方向の長さ
L2 マッサージ具本体の短手方向の長さ
L3 下半身最大間幅
L4 臀部厚径
L5 大腿部厚径
L6 傾斜面の振動体との交線のうち高さ方向で底面に最も近い位置の点と底面との間の距離
L7 振動体の突出部分の、短手方向の断面において傾斜面に沿った長さ
L8 振動体の突出部分の、長手方向の断面において傾斜面に沿った長さ
L9 振動体の突出部分の、短手方向の断面において傾斜面に対して略垂直方向の長さ
LD 長手方向
SD 短手方向
θ 傾斜面の底面に対する傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6