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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065733
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】排水栓システム
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20230508BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176041
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】谷 匠平
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DB03
2D061DB07
2D061DE11
(57)【要約】
【課題】製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を図ることができる排水栓システムを提供する。
【解決手段】排水栓システム1は、排水口102の開閉状態を切換えるための操作部34を備えるとともに、モータ32aの動作を制御して排水口102を開状態から閉状態へと自動的に切換える自動閉栓機能を有する。そして、検知部6により操作部34における予め設定された特定の動作が検知されたとき、自動閉栓機能の有効又は無効を切換える。このように排水口102を開閉する際の操作対象となる操作部34を有効的に利用して、自動閉栓機能の有効又は無効を切換可能とされるため、自動閉栓機能の有効又は無効を切換えるための装置を別途設ける必要がなくなる。その結果、排水栓システム1の製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を図ることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に形成された排水口を開閉するための往復移動可能な栓蓋と、
手動により動作可能であり、自身の動作に伴い前記栓蓋を往復移動させて前記排水口の開閉状態を切換可能な操作部と、
通電により動作可能な通電動作部を有し、当該通電動作部の動作により前記操作部を動作させることが可能な駆動部と、
前記通電動作部の動作を制御可能な動作部制御手段とを備え、
前記動作部制御手段により前記通電動作部の動作を制御して前記排水口を開状態から閉状態へと自動的に切換える自動閉栓機能を有してなる排水栓システムであって、
前記操作部の動作を検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記操作部における予め設定された特定の動作が検知されたとき、前記自動閉栓機能の有効又は無効を切換可能な切換手段とを有することを特徴とする排水栓システム。
【請求項2】
前記動作部制御手段により前記通電動作部を動作させて前記排水口を開状態から閉状態へと自動的に切換えるタイミングである閉栓タイミングを設定する閉栓タイミング設定手段を有し、
前記閉栓タイミング設定手段は、前記検知手段によって前記操作部における予め設定された特定の動作が検知されたとき、現在設定されている前記閉栓タイミングとは異なる前記閉栓タイミングを設定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓システム。
【請求項3】
前記検知手段によって前記操作部における予め設定された特定の動作が検知されたとき、外部に情報を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水栓システム。
【請求項4】
前記報知手段は、設定される前記閉栓タイミングごとに異なる内容の情報を外部に報知可能に構成されていることを特徴とする請求項2に従属する請求項3に記載の排水栓システム。
【請求項5】
前記栓蓋をロックして、前記排水口を開状態で維持可能なロック手段と、
前記操作部に対し復動方向の力を付与する復動力付与部とを備え、
前記操作部の所定部位を所定の開閉切換位置を越える位置まで往動させる度に、前記ロック手段により前記栓蓋をロックして前記排水口を開状態で維持すること、及び、前記ロック手段による前記栓蓋のロックを解除して前記復動力付与部によって前記操作部を復動させるとともに前記排水口を閉状態とすることが交互に行われるように構成されており、
前記特定の動作は、前記操作部の前記所定部位が前記開閉切換位置を越えない範囲内で行うことが可能な動作であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水栓システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の排水口に対応して設けられる栓蓋を動作させる排水栓システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽の排水口に対応して設けられた栓蓋と、変位可能な操作部(例えば往復移動可能な操作ボタンなど)と、当該操作部の変位による駆動力を栓蓋へと伝達することで栓蓋を上下動させる伝達部材(例えばワイヤ等)とを備えてなる手動式の排水栓装置が知られている。このような排水栓装置では、操作部に対する手動操作により、栓蓋が上下動し、ひいては排水口の開閉状態が切換えられる。
【0003】
また、排水栓装置としては、操作部に加えて、通電により動作可能な通電動作部(例えばモータ等)を備え、当該通電動作部の動作により栓蓋を上下動可能に構成された電動式の排水栓装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。この電動式の排水栓装置では、操作部への手動操作又は通電動作部への電力供給によって排水口の開閉状態を電動又は手動により切換えることが可能とされている。
【0004】
さらに近年では、予め記憶された時刻になったときに通電動作部へと電力供給を行うことで、排水口を開状態から閉状態へと自動的に切換える機能(自動閉栓機能)を有する排水栓システムが提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-98236号公報
【特許文献2】特開2020-133135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の排水栓システムにおいて、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えは、入力装置に対する操作により行われるようになっている。つまり、自動閉栓機能の有効又は無効を切換えるために別途の装置(入力装置)を設ける必要がある。そのため、製造やメンテナンス等に係るコストの増大を招くおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を図ることができる排水栓システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.浴槽に形成された排水口を開閉するための往復移動可能な栓蓋と、
手動により動作可能であり、自身の動作に伴い前記栓蓋を往復移動させて前記排水口の開閉状態を切換可能な操作部と、
通電により動作可能な通電動作部を有し、当該通電動作部の動作により前記操作部を動作させることが可能な駆動部と、
前記通電動作部の動作を制御可能な動作部制御手段とを備え、
前記動作部制御手段により前記通電動作部の動作を制御して前記排水口を開状態から閉状態へと自動的に切換える自動閉栓機能を有してなる排水栓システムであって、
前記操作部の動作を検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記操作部における予め設定された特定の動作が検知されたとき、前記自動閉栓機能の有効又は無効を切換可能な切換手段とを有することを特徴とする排水栓システム。
【0010】
上記手段1によれば、自動閉栓機能によって排水口を開状態から閉状態へと自動的に切換えることができる。従って、排水口が開状態のまま浴槽に湯などを供給するといった事態をより確実に防止することができる。また、自動閉栓機能によって、浴槽へと湯などを溜めようとする度に排水口を開状態から閉状態へと切換えるといった面倒な手間を減らすことができる。これらの結果、使用者にとっての利便性を高めることができる。
【0011】
また、上記手段1によれば、操作部を操作し、操作部において予め設定された特定の動作が行われたときに、自動閉栓機能の有効又は無効を切換可能とされている。すなわち、排水口を開閉する際の操作対象となる操作部が、自動閉栓機能の有効又は無効を切換える際の操作対象を兼ねるものとされている。これにより、自動閉栓機能の有効又は無効を切換えるための装置を別途設ける必要がなくなる。その結果、製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を図ることができる。
【0012】
手段2.前記動作部制御手段により前記通電動作部を動作させて前記排水口を開状態から閉状態へと自動的に切換えるタイミングである閉栓タイミングを設定する閉栓タイミング設定手段を有し、
前記閉栓タイミング設定手段は、前記検知手段によって前記操作部における予め設定された特定の動作が検知されたとき、現在設定されている前記閉栓タイミングとは異なる前記閉栓タイミングを設定可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓システム。
【0013】
尚、「現在設定されている前記閉栓タイミングとは異なる前記閉栓タイミングを設定」する契機となる「前記操作部における予め設定された特定の動作」は、上記手段1における自動閉栓機能の有効又は無効を切換える際の契機となる「前記操作部における予め設定された特定の動作」と同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0014】
上記手段2によれば、操作部を利用して、閉栓タイミングの変更を行うことができる。例えば、排水口が開状態とされたとき、又は、操作部において特定の動作が行われたときから所定時間経過後に、排水口が開状態から閉状態へと自動的に切換えられる構成の場合、操作部において特定の動作が行われる度に、前記所定時間を変更することができる。これにより、閉栓タイミングを変更するための装置を別途設けずに済む。その結果、製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0015】
手段3.前記検知手段によって前記操作部における予め設定された特定の動作が検知されたとき、外部に情報を報知する報知手段を備えることを特徴とする手段1又は2に記載の排水栓システム。
【0016】
上記手段3によれば、検知手段によって操作部における特定の動作が検知されたときに、報知手段によって外部に情報が報知される。従って、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えや閉栓タイミングの変更のための操作がシステムに対し適切に入力されたか否かについてより確実かつ容易に把握可能とすることができる。これにより、使用者にとっての利便性をより高めることができる。
【0017】
尚、報知手段としては、所定の音声を発生可能な音源装置や所定の光を発生可能な発光装置などを挙げることができる。
【0018】
手段4.前記報知手段は、設定される前記閉栓タイミングごとに異なる内容の情報を外部に報知可能に構成されていることを特徴とする手段2に従属する手段3に記載の排水栓システム。
【0019】
上記手段4によれば、閉栓タイミングを変更した際に、設定される閉栓タイミングごとに異なる内容の情報が外部に報知される。例えば、ある閉栓タイミングに設定されたときには所定回数の音を発生させる一方、その他の閉栓タイミングに設定されたときには前記所定回数とは異なる回数の音を発生させる。従って、設定された閉栓タイミングをより確実に把握可能とすることができ、利便性の一層の向上を図ることができる。
【0020】
手段5.前記栓蓋をロックして、前記排水口を開状態で維持可能なロック手段と、
前記操作部に対し復動方向の力を付与する復動力付与部とを備え、
前記操作部の所定部位を所定の開閉切換位置を越える位置まで往動させる度に、前記ロック手段により前記栓蓋をロックして前記排水口を開状態で維持すること、及び、前記ロック手段による前記栓蓋のロックを解除して前記復動力付与部によって前記操作部を復動させるとともに前記排水口を閉状態とすることが交互に行われるように構成されており、
前記特定の動作は、前記操作部の前記所定部位が前記開閉切換位置を越えない範囲内で行うことが可能な動作であることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水栓システム。
【0021】
ロック手段及び復動力付与部を設け、操作部の所定部位を所定の開閉切換位置を越える位置まで往動させる度に、ロック手段により栓蓋をロックして排水口を開状態で維持すること、及び、ロック手段によるロックを解除して復動力付与部により操作部や栓蓋などを復動させるとともに排水口を閉状態とすることが交互に行われるように構成することがある。この場合、操作部を一方向(その往動方向)に動作させることで、排水口を開状態から閉状態又は閉状態から開状態へと切換えることができるため、操作性を高めることができる。
【0022】
一方、上記のように構成した場合には、操作部の往動量が大きくなるにつれて、復動力付与部から操作部に加わる力が増大する。従って、操作部の所定部位を前記開閉切換位置又は当該位置を越える位置まで往動させたときには、復動力付与部から操作部に加わる力が相当大きなものとなり得る。
【0023】
この点、上記手段5によれば、操作部における特定の動作は、操作部の所定部位が開閉切換位置を越えない範囲内で行うことが可能な動作とされている。従って、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどを行うべく操作部を手動操作する際に、操作部に加える力は比較的小さなもので済む。また、操作部を手動操作する際における操作部の移動量についても比較的小さなもので足りる。これらが相まって、操作部において、より確実かつ容易に特定の動作をさせることが可能となる。その結果、使用者にとっての利便性を一層向上させることができる。
【0024】
また、上記手段5によれば、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどを行うにあたって、排水口の開閉状態をそのまま維持することができる。これにより、例えば排水口を閉状態として浴槽に水を溜めたまま自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどを行うといったことが可能となり、利便性の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】排水栓システムの概略構成を示す模式図である。
図2】浴槽などの概略図である。
図3】排水栓装置の断面図である。
図4】操作装置の断面図である。
図5】モードの切換順などを示す説明図である。
図6】自動閉栓機能に係る処理を示すフローチャートである。
図7】切換処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、排水栓システム1は、排水栓装置2、操作装置3及び制御装置4を備えている。排水栓システム1は、浴槽100の底壁部101に貫通形成された排水口102を開閉するための装置であって、排水口102を開状態から閉状態へと自動的に切換える機能である自動閉栓機能を有している。尚、浴槽100は、前記底壁部101に外縁側に立設され、底壁部101とともに貯水空間を形成する側壁部103と、当該側壁部103の上端から外側に向けて突出するフランジ部104とを備えている(図2参照)。フランジ部104には、取付孔105(図4参照)が貫通形成されており、当該取付孔105に対応して操作装置3が設けられている。
【0027】
まず、排水栓装置2について説明する。排水栓装置2は、図3に示すように、排水口部材21、アタッチメント部材22、支持軸機構23及び栓蓋24を備えている。
【0028】
排水口部材21は、筒状に形成されており、その内周に、アタッチメント部材22を取付けるために用いられる突起や切欠きを備えている。また、排水口部材21は、自身の中心軸と排水口102の中心軸とがほぼ一致するように排水口102に挿設されている。より詳しくは、排水口部材21は、自身の外周に形成された雄ねじ部へと図示しない配管が螺合され、自身の上端部に形成された鍔部と前記配管とによって底壁部101を挟み込んだ状態とされることで、排水口102に挿設されている。尚、本実施形態では、前記鍔部と底壁部101との間に、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)からなる環状のシール部材25が配置されており、当該シール部材25によって排水口部材21及び底壁部101間の水密性が確保されている。
【0029】
アタッチメント部材22は、排水口部材21の内部、つまり、排水の流路にて支持軸機構23を保持するためのものである。アタッチメント部材22は、同心円状に形成された外筒部22a及び内筒部22bと、これらを連結するアーム部22cとを備えている。アタッチメント部材22は、内筒部22bの内周において支持軸機構23を保持しつつ、外筒部22aが排水口部材21へと前記突起や切欠きを利用して取付けられることで、支持軸機構23を排水口部材21の内部にて保持している。
【0030】
支持軸機構23は、栓蓋24を上下動させるための機構である。支持軸機構23は、前記内筒部22bにより上下動不能な状態で保持された円筒ケース23aと、当該円筒ケース23aの内部に配置された上下動可能な支持軸23bと、円筒ケース23a及び支持軸23b間に配置され、支持軸23bに対しその復動(下動)下方に向けた力を付与する戻りばね23cとを備えている。戻りばね23cから支持軸23bに加えられた力は、次述する伝達部材71などを介して後述する操作部34へと伝達可能となっている。
【0031】
支持軸23bは、その上端部に栓蓋24が取付けられており、筒状のチューブ部材72の内部にて往復移動可能な伝達部材71(例えば、金属製のワイヤなど)によって押し上げ可能となっている。尚、本実施形態では、支持軸23b内にアブソーバスプリング23dが設けられており、当該アブソーバスプリング23dによって、排水口102が開状態であるときに栓蓋24を踏み付けた場合など、栓蓋24へと下向きの大きな力が加わった場合に、伝達部材71やアタッチメント部材22等へと過大な負荷が加わらないように構成されている。
【0032】
栓蓋24は、支持軸23bとともに往復移動(上下動)することで、排水口102を開閉するためのものである。栓蓋24は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部24aと、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)によって環状に形成され、栓蓋本体部24aに取付けられたパッキン部24bとを備えている。パッキン部24bの外周部分全域が排水口部材21と接触することで、排水口102が閉状態とされる。
【0033】
次いで、操作装置3について説明する。操作装置3は、手動又は電動により伝達部材71を動作させることで、排水口102の開閉状態を切換えるための装置である。操作装置3は、図4に示すように、ケース31、駆動機構32、操作軸機構33、操作部34及び変位検出装置35を備えている。本実施形態では、駆動機構32が「駆動部」に相当する。
【0034】
ケース31は、駆動機構32や操作軸機構33等を収容するとともに、フランジ部104に対する操作装置3の取付部として機能する。ケース31は、複数の筒状部品が直列的に連結されることで構成されており、中間に位置する筒状部品には、駆動機構32の収容空間を形成する収容部31aが設けられている。ケース31は、その一端側外周に設けられた雄ねじ部31bに対し所定のナット部材(図示せず)が螺着され、その一端に設けられた鍔部31c及び前記ナット部材によりフランジ部104を挟み込んだ状態とすることで、フランジ部104に取付けられている。
【0035】
また、ケース31の他端側には、長尺円筒状をなすガイドチューブ73の一端部が接続されている。ガイドチューブ73は、その他端部が排水栓装置2の前記配管に接続されており、伝達部材71を操作装置3側から排水栓装置2側に案内したり、ケース31内に浸入した水を排水栓装置2側へと流したりするといった役割を有する(図2参照)。
【0036】
駆動機構32は、その大部分が前記収容部31a内に配置された機構であって、排水口102を電動により閉状態とするための動力を発生させる。駆動機構32は、通電により動作可能なモータ32aと、回転可能な回転体32bと、当該回転体32bの端面に設けられた押圧突起32cとを備えている。本実施形態では、モータ32aが「通電動作部」に相当する。尚、本実施形態において、駆動機構32は、回転体32bの位置(回転角度)を検知するための位置検知センサ(図示せず)を備えており、当該位置検知センサによる検知結果が制御装置4へと出力されるようになっている。
【0037】
モータ32aは、電動により栓蓋24を移動させるための駆動源であり、制御装置4からの電力供給により自身のモータ軸(図示せず)が回転する。
【0038】
回転体32bは、モータ32aの動作(前記モータ軸の回転)により回転する。尚、図4等では、モータ32aの動作による駆動力を回転体32bへと伝達するための歯車などの図示を省略している。
【0039】
押圧突起32cは、回転体32bの端面であって当該回転体32bの回転軸からずれた位置に突出形成されている。押圧突起32cは、回転体32bの回転により上下方向に往復移動する。
【0040】
また、本実施形態では、排水口102を開状態から閉状態へと切換える際に、押圧突起32cは同一方向にちょうど一回転するように構成されている。より詳しくは、押圧突起32cは、常には(モータ32aの非動作時には)上下方向に沿った移動範囲内における最上方位置である初期位置に配置されている。そして、排水口102を開状態から閉状態へと切換える際には、回転体32bが1回転することで、押圧突起32cは、前記初期位置から往動(下動)した後に前記初期位置まで復動(上動)するといった往復移動を行う。尚、押圧突起32cが往復移動することで、押圧突起32cによって操作部34の後述する被押圧部34aが押圧され、その結果、排水口102が開状態から閉状態へと切換えられる。上記のような押圧突起32cの動作は、制御装置4により、前記位置検知センサからの出力に基づくモータ32aの制御が行われることでなされる。
【0041】
操作軸機構33は、往復移動可能な棒状の軸部33aと、当該軸部33aをロックすることで結果的に栓蓋24をロック可能なロック機構33bと、軸部33aに対し復動(上動)方向の力を付与する付勢部33cとを備えている。本実施形態では、ロック機構33bが「ロック手段」に相当する。
【0042】
軸部33aは、その下端部が伝達部材71の一端部と接触可能とされており、軸部33aの往動(下動)に伴い伝達部材71が往動(操作装置3側から排水栓装置2側に移動)する。
【0043】
付勢部33cは、例えばばねにより構成されており、付勢部33cから軸部33aへと付与された付勢力は、軸部33aを介して操作部34へと伝達可能となっている。本実施形態では、操作部34に対し復動(上動)方向の力を付与可能な付勢部33c及び戻りばね23cがそれぞれ「復動力付与部」に相当する。
【0044】
操作部34は、円板状の操作ボタン(上部の円板状部位)等によって構成されており、手動により排水口102の開閉状態を切換える際の操作対象となるとともに、電動操作(モータ32aの動作)又は手動操作(操作部34に対する押圧操作)による駆動力を軸部33aへと伝達する役割を有する。操作部34は、軸部33aに対し直列的に接続されており、操作部34の一端面(操作ボタン)を押圧操作することで、軸部33aや伝達部材71などが往動する。一方、付勢部33cや戻りばね23cから加わる力によって軸部33aや伝達部材71などが復動することで、操作部34が復動する。
【0045】
また、操作部34の他端側(下端側)外周には、押圧突起32cが回転しつつ往動(下動)するときに、当該押圧突起32cによって押圧される被押圧部34aが設けられている。
【0046】
変位検出装置35は、操作部34の変位を検出するための装置である。変位検出装置35は、操作部34に取付けられた磁石35aと、例えばホール素子等からなり、磁石35aによる磁気を検出するための磁気センサ35bとを備えている。尚、磁石35aは、操作部34の位置に応じて変位する箇所に設けられていればよい。従って、磁石35aを、例えば軸部33aなどに設けてもよい。
【0047】
磁気センサ35bは、図示しない信号線を介して制御装置4に接続されており、制御装置4に対し、操作部34の往復移動方向に沿って当該操作部34の所定部位(例えば操作ボタンの最上面部)が所定の基準位置にあることを示すオン信号と、操作部34の前記所定部位が前記基準位置から外れた位置にあることを示すオフ信号とを出力可能である。本実施形態において、基準位置とは、操作部34が最も復動した位置(戻り位置。図1,4で示す操作部34の配置位置)に配置されたときにおける前記所定部位の配置される位置をいう。磁気センサ35bは、磁気の検出結果に応じて、一定の短時間毎にオン信号又はオフ信号を出力する。
【0048】
次いで、制御装置4について説明する。制御装置4は、例えばCPUやメモリ、入出力端子などを備えたマイコン等により構成されており、モータ32aの動作に係る制御などを行う。制御装置4は、所定の電源(不図示)と接続されており、当該電源からの供給電力を利用して、図示しない給電線を介して駆動機構32(特にモータ32a)へと電力を供給する。
【0049】
また、制御装置4は、操作装置3の近傍や浴室の天井裏などに配置されており、図1に示すように、報知部41、記憶部42、動作判定部43及び自動閉栓制御部44を備えている。本実施形態では、報知部41が「報知手段」に相当し、自動閉栓制御部44が「動作部制御手段」、「切換手段」及び「閉栓タイミング設定手段」に相当する。尚、制御装置4の設置位置については適宜変更可能であり、例えば駆動機構32の近傍(例えば収容部31a内)などに制御装置4を設けてもよい。
【0050】
報知部41は、外部に情報を報知する装置であって、本実施形態では、通電により所定の音を発生可能なブザー(音源装置)により構成されている。
【0051】
記憶部42は、モータ32aの動作制御などに係る各種情報を記憶するための記憶媒体である。各種情報としては、例えば、自動閉栓制御部44によるモータ32aの制御を行うために必要なプログラム情報、「有効フラグ」などの各種フラグのオン・オフに係る情報、「閉栓タイミング」などを挙げることができる。
【0052】
尚、「有効フラグ」は、モータ32aを動作させて、排水口102を開状態から閉状態へと切換える自動閉栓機能が有効であるか無効であるかを示すための識別情報である。記憶部42における「有効フラグ」がオンである場合、自動閉栓機能は有効とされる。一方、記憶部42における「有効フラグ」がオフである場合、自動閉栓機能は無効とされる。
【0053】
また、「閉栓タイミング」は、モータ32aを動作させて排水口102を開状態から閉状態へと自動的に切換えるタイミングを示すものであり、本実施形態では、排水口102が開状態とされてから、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換えるまでの時間を示すものとされている。本実施形態では、「閉栓タイミング」として、第一閉栓タイミング(例えば、30分)、第二閉栓タイミング(例えば、3時間)又は第三閉栓タイミング(例えば、6時間)が記憶部42に記憶可能とされている。勿論、「閉栓タイミング」の種類数については適宜変更可能である。
【0054】
動作判定部43は、変位検出装置35から入力されたオン信号又はオフ信号に応じて、操作部34において予め設定された特定の動作が行われたか否かを判定する。本実施形態では、前記特定の動作として、操作部34が所定時間(例えば3秒間)内にn回(nは自然数であり、例えば3)往復動することが想定されており、動作判定部43は、所定時間内にn回のオフ信号が変位検出装置35から入力されたか否かに基づき、前記特定の動作が行われたか否かを判定する。本実施形態では、変位検出装置35及び動作判定部43によって、操作部34における前記特定の動作を検知する検知部6が構成されている。検知部6は「検知手段」に相当する。
【0055】
また、本実施形態において、前記特定の動作は、操作部34の所定部位(例えば操作ボタンの最上面部)が所定の開閉切換位置K1(図4参照)を越えない範囲で行うことが可能な動作とされている。
【0056】
自動閉栓制御部44は、モータ32aの動作に係る各種制御処理を行うものであり、例えば、電力の供給制御によりモータ32aを動作させること、記憶部42における記憶内容を参照すること、及び、変位検出装置35から入力されたオン信号又はオフ信号に基づき排水口102の開閉状態を把握すること等が可能である。
【0057】
また、自動閉栓制御部44は、変位検出装置35及び動作判定部43(すなわち検知部6)によって操作部34における予め設定された特定の動作が検知されたときに、記憶部42における「有効フラグ」のオン・オフを切換える、すなわち、自動閉栓機能の有効又は無効を切換える機能を有している。
【0058】
詳述すると、自動閉栓制御部44は、図5に示すように、記憶部42における「有効フラグ」がオンであるとともに「閉栓タイミング」が第三閉栓タイミングであるモード(「有効モードC」という)において、検知部6によって前記特定の動作が検知されたときに、記憶部42における「有効フラグ」をオンからオフに変更し、自動閉栓機能を有効から無効に切換える。つまり、自動閉栓制御部44は、有効モードCから、記憶部42における「有効フラグ」がオフであるモード(「無効モード」という)への切換えを行う。
【0059】
一方、自動閉栓制御部44は、記憶部42における「有効フラグ」がオフであるモード(無効モード)において、検知部6によって前記特定の動作が検知されたときに、記憶部42における「有効フラグ」をオフからオンに変更し、自動閉栓機能を無効から有効に切換える。すなわち、自動閉栓制御部44は、無効モードから後述する有効モードAへの切換えを行う。
【0060】
さらに、自動閉栓制御部44は、検知部6によって操作部34における前記特定の動作が検知されたときに、「閉栓タイミング」を変更して記憶部42に記憶させる、すなわち、現在設定されている「閉栓タイミング」とは異なる「閉栓タイミング」を設定する機能を有している。
【0061】
詳述すると、自動閉栓制御部44は、記憶部42における「閉栓タイミング」が第一閉栓タイミングであるモード(「有効モードA」という)において、検知部6によって前記特定の動作が検知されたときに、記憶部42における「閉栓タイミング」を第一閉栓タイミングから第二閉栓タイミングに変更・設定する。すなわち、自動閉栓制御部44は、有効モードAから次述する有効モードBへの切換えを行う。
【0062】
また、自動閉栓制御部44は、記憶部42における「閉栓タイミング」が第二閉栓タイミングであるモード(「有効モードB」という)において、検知部6によって前記特定の動作が検知されたときに、記憶部42における「閉栓タイミング」を第二閉栓タイミングから第三閉栓タイミングに変更・設定する。すなわち、自動閉栓制御部44は、有効モードBから有効モードCへの切換えを行う。
【0063】
さらに、自動閉栓制御部44は、記憶部42における「有効フラグ」がオフであるとともに「閉栓タイミング」が第三閉栓タイミングであるモード(無効モード)において、検知部6によって前記特定の動作が検知されたときに、記憶部42における「閉栓タイミング」を第三閉栓タイミングから第一閉栓タイミングに変更・設定する。つまり、無効モードから有効モードAへの切換えを行う際には、「有効フラグ」のオフからオンへの切換えとともに、「閉栓タイミング」の変更・設定が行われる。
【0064】
上記のように自動閉栓制御部44が構成されることで、本実施形態においては、操作部34において前記特定の動作が行われるように当該操作部34が操作されることで、無効モード→有効モードA→有効モードB→有効モードC→…(以降、この順序を繰り返す)といった順序で、自動閉栓機能の有効又は無効や「閉栓タイミング」が異なる各種モードへの切換えが行われることとなる。
【0065】
また、自動閉栓制御部44は、自動閉栓機能の有効又は無効の切換え時や「閉栓タイミング」の変更・設定時、つまり、各モードへの切換時に、音(音声情報)が発せられるように報知部41を制御して、これらの切換えや設定・変更が行われた旨を外部に報知させる。特に本実施形態における自動閉栓制御部44は、切換後のモードに応じて異なる内容の音が発せられるように報知部41を制御する。すなわち、報知部41によって、自動閉栓機能を有効又は無効に切換える際にそれぞれ異なる内容の音が発せられ、また、設定される「閉栓タイミング」ごとに異なる内容の音が発せられる。
【0066】
報知部41により発せられる音について詳述すると、無効モードから有効モードAへの切換時には、比較的短い音(例えば0.1秒間続く音)が1回のみ発せられ、有効モードAから有効モードBへの切換時には比較的短い音が2回発せられ、有効モードBから有効モードCへの切換時には比較的短い音が3回発せられる。一方、有効モードCから無効モードへの切換時には比較的長い音(例えば1秒間続く音)が1回のみ発せられる。尚、発せられる音については適宜変更してもよい。但し、切換後のモードが判別可能となるように発せられる音を設定することが好ましい。
【0067】
さらに、自動閉栓制御部44は、記憶部42における「有効フラグ」がオンであるときにおいて、排水口102が開状態とされた場合、排水口102が開状態とされてから「閉栓タイミング」に対応する時間が経過したときに、モータ32aを動作させて、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換える。
【0068】
詳述すると、自動閉栓制御部44は、「有効フラグ」がオンであるときにおいて、変位検出装置35から入力された信号に基づき、排水口102が開状態とされたことを把握すると、時間計測用のカウントを開始する。そして、自動閉栓制御部44は、カウント値が記憶部42における「閉栓タイミング」に相当する値となったとき、前記位置検知センサからの出力を利用して、回転体32bがちょうど1回転するようにモータ32aへと電力を供給する。これにより、モータ32aが動作して、押圧突起32cが上下方向に往復移動し、当該押圧突起32cにより被押圧部34aが押圧されることで、排水口102が自動的に開状態から閉状態へと切換えられる。
【0069】
一方、自動閉栓制御部44は、「有効フラグ」がオンであるときであっても、排水口102が閉状態である場合には、モータ32aに対し電力を供給することなく、排水口102を閉状態のままで維持する。さらに、自動閉栓制御部44は、「有効フラグ」がオフであるとき、つまり、自動閉栓機能が無効であるとき、モータ32aに対し電力を供給することなく、排水口102を開状態又は閉状態のままで維持する。
【0070】
次いで、制御装置4にて行われる自動閉栓機能に係る制御処理について、図6,7のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
自動閉栓機能に係る制御処理では、図6に示すように、まずステップS10において切換処理を実行する。切換処理は、操作部34において前記特定の動作が行われたか否かを判定し、当該動作が行われたものと判定したときに、前記各モードの切換えを行うための処理である。
【0072】
切換処理についてより詳述すると、図7に示すように、まず、ステップS101にて、検知部6により、操作部34にて前記特定の動作が行われたか否かを検知する。検知されなかった場合(ステップS101:No)、切換処理を終了する。一方、検知された場合(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。
【0073】
ステップS102以降の処理は、現在のモードを判別するとともに、判別結果に応じた適切なモードへの切換えを行うための処理である。ステップS102では、記憶部42における「有効フラグ」がオンであるか否かを判定する。「有効フラグ」がオフである、すなわち、無効モードである場合(ステップS102:No)、ステップS103に移行する。
【0074】
ステップS103及びステップS104では、無効モードを有効モードAに切換えるための処理を行う。すなわち、ステップS103において、記憶部42における「有効フラグ」をオンとするとともに、ステップS104において、記憶部42における「閉栓タイミング」を第一閉栓タイミングに変更・設定した上で、切換処理を終了する。その結果、無効モードから有効モードAへの切換えがなされる。尚、モード切換時には、切換後のモードに対応する音を発するように報知部41が制御される。
【0075】
一方、「有効フラグ」がオンである場合(ステップS102:Yes)、ステップS105に移行する。ステップS105では、記憶部42における「閉栓タイミング」が第一閉栓タイミングであるか否かを判定する。すなわち、有効モードAであるか否かを判定する。有効モードAである場合(ステップS105:Yes)、ステップS106において、「閉栓タイミング」を第二閉栓タイミングに変更・設定した上で、切換処理を終了する。その結果、有効モードAから有効モードBへの切換えがなされる。
【0076】
一方、有効モードAではない場合(ステップS105:No)、ステップS107に移行する。ステップS107では、記憶部42における「閉栓タイミング」が第二閉栓タイミングであるか否かを判定する。すなわち、有効モードBであるか否かを判定する。有効モードBである場合(ステップS107:Yes)、ステップS108において、「閉栓タイミング」を第三閉栓タイミングに変更・設定した上で、切換処理を終了する。その結果、有効モードBから有効モードCへの切換えがなされる。
【0077】
一方、有効モードBではない場合(ステップS107:No)、つまり、有効モードCである場合には、ステップS109に移行する。ステップS109では、「有効フラグ」をオンからオフに切換える処理を行った上で、切換処理を終了する。その結果、有効モードCから無効モードへの切換えがなされる。
【0078】
図6に戻り、ステップS10の切換処理に続き、ステップS11及びステップS12において、自動閉栓機能が有効であり、かつ、排水口102が開状態であるか否か、つまり、自動閉栓機能を発揮すべき条件を満たしているか否かを判定する。ステップS11では、自動閉栓機能が有効であるか否かを判別すべく、記憶部42における「有効フラグ」がオンであるか否かを判定する。ステップS12では、変位検出装置35からの出力に基づき、排水口102が開状態であるか否かを判定する。排水口102が開状態であるか否かの判定は、例えば、一定時間(例えば15秒間)以上に亘って変位検出装置35からオフ信号のみが入力されているか否かを判定することにより行うことができる。
【0079】
自動閉栓機能を発揮すべき条件を満たしている場合(ステップS11,S12:それぞれYes)、ステップS13にて、「カウント中フラグ」がオンであるか否かを判定する。「カウント中フラグ」は、時間計測用のカウントが行われている最中であるか否かを示す識別情報である。「カウント中フラグ」がオンである場合(ステップS13:Yes)、すなわち、カウントが既に開始されて継続されている場合、ステップS14,S15をスキップして、ステップS19に移行する。
【0080】
一方、「カウント中フラグ」がオフである場合(ステップS13:No)、すなわち、カウントが開始されていない場合、ステップS14にてカウントを開始させるとともに、ステップS15にて「カウント中フラグ」をオンに設定し、ステップS19に移行する。
【0081】
さて、ステップS11,S12に戻り、自動閉栓機能を発揮すべき条件を満たしていない場合、つまり、ステップS11又はステップS12で否定判定がなされた場合、ステップS16に移行する。
【0082】
ステップS16では、「カウント中フラグ」がオンであるか否かを判定する。「カウント中フラグ」がオフである場合(ステップS16:Yes)、つまり、カウントが行われていないときには、ステップS19に移行する。
【0083】
一方、「カウント中フラグ」がオンである場合(ステップS16:No)、すなわち、カウントが既に開始されて継続されているが、自動閉栓機能が無効とされたり、排水口102が閉状態とされたりした結果、排水口102を自動的に閉状態とする必要がなくなっている場合には、ステップS17にて「カウント中フラグ」をオフにするとともに、ステップS18にて、カウント値を初期値(例えば0)にリセットする。その後、ステップS19に移行する。
【0084】
ステップS19では、カウント値が、記憶部42における「閉栓タイミング」に相当する値となったか否かを判定する。つまり、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換えるタイミングになったか否かを判定する。閉状態へと切換えるタイミングに至っていない場合(ステップS19:No)、ステップS10へと戻る。
【0085】
一方、閉状態へと切換えるタイミングに至っている場合(ステップS19:Yes)、ステップS20,S21にて、「カウント中フラグ」をオフにするとともに、カウント値を初期値(例えば0)にリセットする。次いで、ステップS22にて、回転体32bが1回転するようにモータ32aを動作させた上で、ステップS10へと戻る。モータ32aの動作により、排水口102は自動的に開状態から閉状態へと切換えられることとなる。
【0086】
次に、上記のように構成された排水栓システム1の使用方法について説明する。まず、排水口102における開閉状態の切換えは、基本的には、操作部34を手動により押圧操作することで行うことができる。
【0087】
すなわち、排水口102を閉状態から開状態に切換える際には、操作部34を手動により押圧操作し、戻りばね23c及び付勢部33cから加わる力に抗して、当該操作部34の前記所定部位が開閉切換位置K1を超える位置に至るまで当該操作部34を往動させる。これにより、軸部33a及び伝達部材71が往動する(操作装置3側から排水栓装置2側へと移動する)とともに、支持軸23b及び栓蓋24が上動し、パッキン部24bが排水口部材21から離間する。そして、操作部34に対する押圧操作を解除することで、支持軸23b及び栓蓋24が僅かに下動しつつ、ロック機構33bにより軸部33aがロックされ、ひいては支持軸23b及び栓蓋24が上動した状態でロックされる。これにより、排水口102が閉状態から開状態へと切換えられるとともに、開状態が維持される。
【0088】
一方、排水口102を開状態から閉状態へと切換えるときには、操作部34を手動により押圧操作して、当該操作部34の前記所定部位が開閉切換位置K1を超える位置に至るまで当該操作部34を往動させた上で、操作部34に対する押圧操作を解除する。これにより、ロック機構33bによる軸部33aひいては栓蓋24のロックが解除されるとともに、ロック解除に伴い、戻りばね23c及び付勢部33cから加わる復動方向の力によって、伝達部材71や操作部34等が復動し、支持軸23b及び栓蓋24が下動する。その結果、パッキン部24bが排水口部材21と接触することで、排水口102が開状態から閉状態へと切換えられる。
【0089】
さらに、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えや「閉栓タイミング」の変更・設定についても、手動による操作部34の押圧操作により行うことができる。すなわち、操作部34において予め設定された特定の動作が行われるように当該操作部34を押圧操作することで、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどを行うことができる。尚、前記特定の動作は、上記の通り、操作部34の前記所定部位が開閉切換位置K1を越えない範囲内で行うことが可能な動作であるため、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどを行うにあたり、操作部34を大きく往動させる(深く押し込む)必要はない。
【0090】
以上詳述したように、本実施形態によれば、自動閉栓機能によって排水口102を開状態から閉状態へと自動的に切換えることができる。従って、排水口102が開状態のまま浴槽100に湯などを供給するといった事態をより確実に防止することができる。また、自動閉栓機能によって、浴槽100へと湯などを溜めようとする度に排水口102を開状態から閉状態へと切換えるといった面倒な手間を減らすことができる。これらの結果、使用者にとっての利便性を高めることができる。
【0091】
また、操作部34を操作し、操作部34において予め設定された特定の動作が行われたときに、自動閉栓機能の有効又は無効を切換可能とされている。すなわち、排水口102を開閉する際の操作対象となる操作部34が、自動閉栓機能の有効又は無効を切換える際の操作対象を兼ねるものとされている。これにより、自動閉栓機能の有効又は無効を切換えるための装置を別途設ける必要がなくなる。その結果、排水栓システム1の製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制を図ることができる。
【0092】
さらに、本実施形態では、操作部34を利用して「閉栓タイミング」の変更を行うことができる。これにより、「閉栓タイミング」を変更するための装置を別途設けずに済む。その結果、排水栓システム1の製造やメンテナンス等に係るコストの増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0093】
加えて、検知部6によって操作部34における特定の動作が検知されたときに、報知部41によって外部に情報が報知される。従って、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えや「閉栓タイミング」の変更のための操作が排水栓システム1(制御装置4)に対し適切に入力されたか否かについてより確実かつ容易に把握可能とすることができる。これにより、使用者にとっての利便性をより高めることができる。
【0094】
併せて、「閉栓タイミング」を変更した際には、設定される「閉栓タイミング」ごとに異なる内容の情報が外部に報知される。従って、設定された「閉栓タイミング」を一層確実に把握可能とすることができ、利便性の一層の向上を図ることができる。
【0095】
また、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどを行うべく操作部34を手動操作する際には、戻りばね23cや付勢部33cから加わる力に抗して操作部34を操作する必要があり、操作部34の往動量が大きいほど戻りばね23cや付勢部33cから操作部34に加わる力が増大するところ、操作部34における前記特定の動作は、操作部34の所定部位(例えば操作ボタンの最上面部)が開閉切換位置K1を越えない範囲内で行うことが可能な動作とされている。従って、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどにあたって、操作部34をさほど往動させる必要がなくなり、戻りばね23cや付勢部33cから加わる力に抗して操作部34に加えるべき力を比較的小さなものとすることができる。また、操作部34を手動操作する際における操作部34の移動量についても比較的小さなもので足りることとなる。これらが相まって、操作部34において、より確実かつ容易に前記特定の動作をさせることが可能となる。その結果、使用者にとっての利便性を一層向上させることができる。
【0096】
さらに、操作部34の所定部位(例えば操作ボタンの最上面部)が開閉切換位置K1を越えないようにしつつ、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどを行うことができるため、当該切換えなどを行うにあたって、排水口102の開閉状態をそのまま維持することができる。これにより、例えば排水口102を閉状態として浴槽100に水を溜めたまま自動閉栓機能の有効又は無効の切換えなどを行うといったことが可能となり、利便性の更なる向上を図ることができる。
【0097】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0098】
(a)上記実施形態では、操作部34において予め設定された特定の動作が行われることで、現在設定されている「閉栓タイミング」とは異なる「閉栓タイミング」に変更・設定可能に構成されている。これに対し、「閉栓タイミング」の変更・設定を行わない構成としてもよい。すなわち、操作部34において予め設定された特定の動作が行われることで、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えのみが行われるように構成してもよい。この場合、「閉栓タイミング」は1種類となる。
【0099】
(b)上記実施形態においては、排水口102が開状態とされてから「閉栓タイミング」に相当する時間が経過したときに、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換えるように構成されている。これに対し、操作部34において前記特定の動作が行われたときから「閉栓タイミング」に相当する時間が経過したときに、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換可能に構成してもよい。つまり、操作部34において前記特定の動作が行われたときをカウントの開始時としてもよい。
【0100】
また、上記実施形態において、「閉栓タイミング」は、排水口102が開状態となったときを基準とした、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換えるまでの時間を示すものとされている。これに対し、「閉栓タイミング」として、時刻を用いてもよい。例えば、制御装置4に対し現在の時刻を把握するための時計として機能する時計部を設け、該時計部の示す時刻と「閉栓タイミング」として設定(記憶)された時刻とが一致したときに、モータ32aを動作させて排水口102を開状態から閉状態へと切換えるように構成してもよい。尚、「閉栓タイミング」として設定される時刻は、1種類であってもよいし、複数種類(例えば、0:00及び12:00の二種類など)であってもよい。
【0101】
(c)上記実施形態では、特定の動作として、操作部34が所定時間(例えば3秒間)内にn回(例えば3回)往復動することが想定されているが、特定の動作はこれに限定されるものではない。例えば、操作部34がt1秒以上t2秒以下の時間(t1、t2はそれぞれ正数であり、t1<t2を満たす。t1は例えば3~5とされ、t2は、例えば10以上とされる)に亘って往動した状態で維持された後に復動すること(一定時間以上長押しされること)を、特定の動作としてもよい。
【0102】
(d)上記実施形態では、自動閉栓機能の有効又は無効を切換えるための操作部34における特定の動作と、「閉栓タイミング」を変更・設定するための操作部34における特定の動作とは同一とされているが、これらを異なるものとしてもよい。例えば、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えは、操作部34を一定時間以上長押しすることによって行われ、「閉栓タイミング」の変更・設定は、操作部34を一定時間内に所定回数押圧することによって行われるように構成してもよい。
【0103】
(e)上記実施形態において、報知部41は、回数や長さの異なる音を発することで、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えや設定される「閉栓タイミング」を外部に報知するものとされている。これに対し、報知部は、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えや設定される「閉栓タイミング」についての情報を直接的に示す音声(例えば、「自動閉栓機能が無効になりました」などの音声)を発することにより、自動閉栓機能の有効又は切換えなどが行われたことを外部に報知するものであってもよい。
【0104】
また、報知部は、音以外の情報を外部に報知するものであってもよい。従って、報知部は、例えば、収容部31a内に設置され、ケース31内における操作部34や軸部33aの収容空間に所定の光を照射する発光装置(例えば、LEDなど)などであってもよい。この場合、自動閉栓機能の有効又は無効に切換える際にそれぞれ異なる内容の光(例えば、点灯時間や点滅間隔、点滅回数、色などが異なる光)が照射され、また、設定される「閉栓タイミング」ごとに異なる内容の光が照射されるように構成してもよい。尚、上記のようなケース31内に光を照射する発光装置の場合、照射された光は、操作部34(操作ボタン)及びケース31の間を通ってケース31外へと漏れ出すこととなる。勿論、発光装置の構成(配置位置や光の照射位置など)については適宜変更してもよい。
【0105】
(f)上記実施形態では特に記載していないが、自動閉栓機能の有効又は無効の切換え又は「閉栓タイミング」の変更・設定を伴うことなく、自動閉栓機能の有効又は無効、及び、設定されている「閉栓タイミング」を確認可能な確認手段を設けてもよい。確認手段は、例えば、操作部に対し予め設定された特定の確認用動作が行われたときに、外部に情報を報知する装置(例えば、音源装置や発光装置など)により構成することができる。尚、前記特定の確認用動作は、自動閉栓機能の有効又は無効の切換えや「閉栓タイミング」の変更・設定を行うための前記特定の動作とは異なる動作とされる。
【0106】
(g)上記実施形態における排水栓装置2及び操作装置3はそれぞれ一例であり、排水栓装置2及び操作装置3の構成については、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。例えば、操作装置3については、回動可能であり回動方向に沿って往復移動する操作部を用いてもよいし、モータ32a以外の通電動作部(例えばソレノイドなど)を用いてもよい。また、排水栓装置2については、底壁部101に接触することで排水口102を閉鎖する栓蓋を用いてもよい。
【0107】
(h)上記実施形態において、操作装置3は、浴槽100のフランジ部104に取付けられているが、操作装置3の取付位置は特に限定されるものではない。従って、例えば浴槽100近傍のカウンタや、浴槽100の側方に設置されるエプロンなどに操作装置3を取付けてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1…排水栓システム、6…検知部(検知手段)、23a…戻りばね(復動力付与部)、24…栓蓋、32…駆動機構(駆動部)、32a…モータ(通電動作部)、33b…ロック機構(ロック手段)、33c…付勢部(復動力付与部)、34…操作部、41…報知部(報知手段)、44…自動閉栓制御部(動作部制御手段、切換手段、閉栓タイミング設定手段)、100…浴槽、102…排水口、K1…開閉切換位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7