(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065735
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】CO触媒ユニット
(51)【国際特許分類】
C01B 3/38 20060101AFI20230508BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
C01B3/38
B01J35/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176046
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】武田 憲有
(72)【発明者】
【氏名】前西 晃
(72)【発明者】
【氏名】西崎 柾峻
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 理
【テーマコード(参考)】
4G140
4G169
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB24
4G140EB33
4G140EB35
4G140EB46
4G169AA11
4G169EA02X
(57)【要約】
【課題】本開示は、水素生成装置用のCO触媒ユニットの組み立てと、CO触媒ユニットを構成する部材の蒸発器への溶接とを、容易に低コストで行うことができるCO触媒ユニットを提供する。
【解決手段】本開示におけるCO触媒ユニットは、CO触媒内筒がCO触媒外筒よりも長く構成されているので、蒸発外筒にCO触媒内筒の両端部を溶接で取り付けるときに、溶接トーチがCO触媒外筒に干渉しないので、容易に溶接することができる。さらに、CO触媒内筒は、両端の間の部分の内径が蒸発外筒の外径よりも大きいので、CO触媒内筒を蒸発外筒に取り付けたときに、CO触媒内筒と蒸発外筒との間に、伝熱緩衝空間が形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に中心軸を有する蒸発内筒と、鉛直方向に中心軸を有し前記蒸発内筒よりも短く前記蒸発内筒を囲むように配置された蒸発外筒との間に、外部から供給される改質水が前記蒸発内筒から伝わる熱で加熱されながら螺旋状に流れる流路が形成され、外部から供給される原料ガスと水蒸気との混合ガスを改質器に供給するように構成された、蒸発器の外周面に溶接で取り付けられるCO触媒ユニットであって、
鉛直方向に中心軸を有し、前記蒸発外筒よりも短く、上端部と下端部との間の部分の内径が前記蒸発外筒の外径よりも大きく、前記上端部と前記下端部とを前記蒸発外筒の外周面に溶接で取り付け可能に構成されたCO触媒内筒と、
鉛直方向に中心軸を有し、前記CO触媒内筒よりも短く、前記CO触媒内筒を囲むように配置されたCO触媒外筒と、
前記改質器において前記混合ガスから改質反応で生成され前記改質器から排出された一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して二次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間における下側部分に充填されるCO低減触媒と、
前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間に配置され、前記CO低減触媒を下部から支える前記CO低減触媒の粒子径より小さい通気口が形成されているドーナツ盤形状のCO低減下棚板と、
前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間に配置され、前記CO低減触媒の上部を覆う前記CO低減触媒の粒子径より小さい通気口が形成されているドーナツ盤形状のCO低減上棚板と、
前記CO低減触媒から排出される前記二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間における上側部分に充填されるCO除去触媒と、
前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間に配置され、前記CO除去触媒を下部から支える前記CO除去触媒の粒子径より小さい通気口が形成されているドーナツ盤形状のCO除去下棚板と、
前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間に配置され、前記CO除去触媒の上部を覆う前記CO除去触媒の粒子径より小さい通気口が形成されているドーナツ盤形状のCO除去上棚板と、
鉛直方向に中心軸を有し、上下両端部が前記CO低減上棚板と前記CO除去下棚板との間で前記CO触媒内筒の外周面に固定され、前記CO低減上棚板と前記CO除去下棚板と前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒とで囲まれた空間を内周側空間である第2流路と外周側空間とに区画するように構成された筒状の空気混合筒と、
前記外周側空間を外周側上部空間であるヘッダー流路と外周側下部空間である第1流路とに区画するように、内周側端部が前記空気混合筒に固定され、外周側端部が前記CO触媒外筒に固定される、ドーナツ盤形状の区画部材と、
前記CO低減上棚板と前記区画部材との間で前記CO触媒外筒を貫通して、前記第1流路に空気を供給するように構成された空気供給管と、
を備え、
前記空気混合筒は、前記CO触媒内筒を挟んで前記空気供給管の先端と対向する位置で前記第1流路の空気と混合された前記二次水素含有ガスを前記第2流路に流入させる第2流路入口と、前記空気混合筒の上端部に向かうに従って前記空気混合筒の径が小さくなるように傾斜する傾斜部と、前記傾斜部に円周方向に複数設けられ前記第2流路の空気と混合された前記二次水素含有ガスを前記ヘッダー流路に流出させる吹き出し穴と、を有しており、
前記CO触媒内筒の前記上端部と前記下端部とを前記蒸発外筒の外周面に溶接で取り付けた場合に、前記CO触媒内筒と前記蒸発外筒との間に伝熱緩衝空間が形成される、
CO触媒ユニット。
【請求項2】
鉛直方向に中心軸を有する蒸発内筒と、鉛直方向に中心軸を有し前記蒸発内筒よりも短く前記蒸発内筒を囲むように配置された蒸発外筒との間に、外部から供給される改質水が前記蒸発内筒から伝わる熱で加熱されながら螺旋状に流れる流路が形成され、外部から供給される原料ガスと水蒸気との混合ガスを改質器に供給するように構成された、蒸発器の外周面に溶接で取り付けられるCO触媒ユニットであって、
鉛直方向に中心軸を有し、前記蒸発外筒よりも短く、上端部と下端部とを前記蒸発外筒の外周面に溶接で取り付け可能に構成されたCO触媒内筒と、
鉛直方向に中心軸を有し、前記CO触媒内筒よりも短く、前記CO触媒内筒を囲むように配置されたCO触媒外筒と、
前記改質器において前記混合ガスから改質反応で生成され前記改質器から排出された一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して二次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間における下側部分に充填されるCO低減触媒と、
前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間に配置され、前記CO低減触媒を下部から支える前記CO低減触媒の粒子径より小さい通気口が形成されているドーナツ盤形状のCO低減下棚板と、
前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間に配置され、前記CO低減触媒の上部を覆う前記CO低減触媒の粒子径より小さい通気口が形成されているドーナツ盤形状のCO低減上棚板と、
前記CO低減触媒から排出される前記二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間における上側部分に充填されるCO除去触媒と、
前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間に配置され、前記CO除去触媒を下部から支える前記CO除去触媒の粒子径より小さい通気口が形成されているドーナツ盤形状のCO除去下棚板と、
前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒との間に配置され、前記CO除去触媒の上部を覆う前記CO除去触媒の粒子径より小さい通気口が形成されているドーナツ盤形状のCO除去上棚板と、
前記CO低減上棚板と前記CO除去下棚板と前記CO触媒内筒と前記CO触媒外筒とで囲まれた空間を、上部空間であるヘッダー流路と下部空間である第1流路とに区画するように、内周側端部が前記CO触媒内筒に固定され、外周側端部が前記CO触媒外筒に固定される、ドーナツ盤形状の区画部材と、
前記CO低減上棚板と前記区画部材との間で前記CO触媒外筒を貫通して、前記第1流路に空気を供給する空気供給管と、
を備え、
前記CO触媒内筒は、前記区画部材よりも上方で前記CO除去下棚板よりも下方に小径部を有し、前記CO触媒内筒の前記上端部と前記下端部との間の部分は、前記小径部を除いて内径が前記蒸発外筒の外径よりも大きく形成され、
前記CO触媒内筒の前記上端部と前記下端部とを前記蒸発外筒の外周面に溶接で取り付けた場合に、前記CO触媒内筒と前記蒸発外筒との間に伝熱緩衝空間が形成され、
前記伝熱緩衝空間は、前記小径部によって上側の前記伝熱緩衝空間と下側の前記伝熱緩衝空間とに分けられ、
下側の前記伝熱緩衝空間は第2流路となり、
前記CO触媒内筒は、前記蒸発外筒を挟んで前記空気供給管の先端と対向する位置で前記第1流路の空気と混合された前記二次水素含有ガスを前記第2流路に流入させる第2流路入口と、前記小径部の下側に隣接し前記小径部に向かうに従って前記CO触媒内筒の径が小さくなるように傾斜する傾斜部と、前記傾斜部に円周方向に複数設けられ前記第2流
路の空気と混合された前記二次水素含有ガスを前記ヘッダー流路に流出させる吹き出し穴と、を有している、CO触媒ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素生成装置用のCO触媒ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された水素生成装置は、全体形状が多重円筒形状で、その中心部にバーナを備えた加熱器が配設され、加熱器の上部を覆い、水を蒸発させて原料との混合ガスを供給する蒸発器と、加熱器の周囲に改質触媒を充填した改質器と、CO触媒ユニット(CO低減触媒を充填したCO低減器とCO除去触媒を充填したCO除去器)と、CO低減器から排出された水素含有ガスと空気との混合を促進させる空気混合筒と、が軸心方向に配列されている。
【0003】
特許文献2に開示された水素生成装置は、CO低減器と蒸発器とが互いに間隔を有して対向してなる伝熱緩衝空間を設けるための隔壁(CO低減ヨドミ筒)と、CO除去器と蒸発器とが互いに間隔を有して対向してなる伝熱緩衝空間を設けるための隔壁(CO除去ヨドミ筒)とを、それぞれ設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-118863号公報
【特許文献2】特表2014-530159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、水素生成装置用のCO触媒ユニットの組み立てと、CO触媒ユニットを構成する部材の蒸発器への溶接とを、容易に低コストで行うことができるCO触媒ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるCO触媒ユニットは、蒸発器の外周面に溶接で取り付けられるユニットであって、CO触媒内筒と、CO触媒外筒と、CO低減触媒と、CO低減下棚板と、CO低減上棚板と、CO除去触媒と、CO除去下棚板と、CO除去上棚板と、空気混合筒と、区画部材と、空気供給管と、を備えている。
【0007】
蒸発器は、鉛直方向に中心軸を有する蒸発内筒と、鉛直方向に中心軸を有し蒸発内筒よりも短く蒸発内筒を囲むように配置された蒸発外筒との間に、外部から供給される改質水が蒸発内筒から伝わる熱で加熱されながら螺旋状に流れる流路が形成され、外部から供給される原料ガスと水蒸気との混合ガスを改質器に供給するように構成されている。
【0008】
CO触媒内筒は、鉛直方向に中心軸を有し、蒸発外筒よりも短く、上端部と下端部との間の部分の内径が蒸発外筒の外径よりも大きく、上端部と下端部とを蒸発外筒の外周面に溶接で取り付け可能に構成されている。
【0009】
CO触媒外筒は、鉛直方向に中心軸を有し、CO触媒内筒よりも短く、CO触媒内筒を囲むように配置されている。
【0010】
CO低減触媒は、改質器において混合ガスから改質反応で生成され改質器から排出された一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して二次水素含有ガス
として排出するように構成された触媒であって、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間における下側部分に充填されている。
【0011】
CO低減下棚板は、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間に配置され、CO低減触媒を下部から支えるドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0012】
CO低減上棚板は、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間に配置され、CO低減触媒の上部を覆うドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0013】
CO除去触媒は、CO低減触媒から排出される二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間における上側部分に充填されている。
【0014】
CO除去下棚板は、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間に配置され、CO除去触媒を下部から支えるドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0015】
CO除去上棚板は、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間に配置され、CO除去触媒の上部を覆うドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0016】
空気混合筒は、鉛直方向に中心軸を有し、上下両端部がCO低減上棚板とCO除去下棚板との間でCO触媒内筒の外周面に固定される筒状の部材であって、CO低減上棚板とCO除去下棚板とCO触媒内筒とCO触媒外筒とで囲まれた空間を、内周側空間である第2流路と外周側空間とに区画するように構成されている。
【0017】
区画部材は、外周側空間を外周側上部空間であるヘッダー流路と外周側下部空間である第1流路とに区画するように、内周側端部が空気混合筒に固定され、外周側端部がCO触媒外筒に固定されている。
【0018】
空気供給管は、CO低減上棚板と区画部材との間でCO触媒外筒を貫通して、第1流路に空気を供給するように構成されている。
【0019】
空気混合筒は、CO触媒内筒を挟んで空気供給管の先端と対向する位置で第1流路の空気と混合された二次水素含有ガスを第2流路に流入させる第2流路入口と、空気混合筒の上端部に向かうに従って空気混合筒の径が小さくなるように傾斜する傾斜部と、傾斜部に円周方向に複数設けられ第2流路の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路に流出させる吹き出し穴と、を有している。
【0020】
そして、CO触媒ユニットは、CO触媒内筒の上端部と下端部とを、蒸発外筒の外周面に溶接で取り付けた場合に、CO触媒内筒と蒸発外筒との間に、伝熱緩衝空間が形成されるように構成されている。
【0021】
また、本開示における他のCO触媒ユニットは、蒸発器の外周面に溶接で取り付けられるユニットであって、CO触媒内筒と、CO触媒外筒と、CO低減触媒と、CO低減下棚板と、CO低減上棚板と、CO除去触媒と、CO除去下棚板と、CO除去上棚板と、区画部材と、空気供給管と、を備えている。
【0022】
蒸発器は、鉛直方向に中心軸を有する蒸発内筒と、鉛直方向に中心軸を有し蒸発内筒よりも短く蒸発内筒を囲むように配置された蒸発外筒との間に、外部から供給される改質水が蒸発内筒から伝わる熱で加熱されながら螺旋状に流れる流路が形成され、外部から供給される原料ガスと水蒸気との混合ガスを改質器に供給するように構成されている。
【0023】
CO触媒内筒は、鉛直方向に中心軸を有し、蒸発外筒よりも短く、上端部と下端部とを蒸発外筒の外周面に溶接で取り付け可能に構成されている。
【0024】
CO触媒外筒は、鉛直方向に中心軸を有し、CO触媒内筒よりも短く、CO触媒内筒を囲むように配置されている。
【0025】
CO低減触媒は、改質器において混合ガスから改質反応で生成され改質器から排出された一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して二次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間における下側部分に充填されている。
【0026】
CO低減下棚板は、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間に配置され、CO低減触媒を下部から支えるドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0027】
CO低減上棚板は、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間に配置され、CO低減触媒の上部を覆うドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0028】
CO除去触媒は、CO低減触媒から排出される二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間における上側部分に充填されている。
【0029】
CO除去下棚板は、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間に配置され、CO除去触媒を下部から支えるドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0030】
CO除去上棚板は、CO触媒内筒とCO触媒外筒との間に配置され、CO除去触媒の上部を覆うドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0031】
区画部材は、内周側端部がCO触媒内筒に固定され、外周側端部がCO触媒外筒に固定される、ドーナツ盤形状の部材であって、CO低減上棚板とCO除去下棚板とCO触媒内筒とCO触媒外筒とで囲まれた空間を、上部空間であるヘッダー流路と下部空間である第1流路とに区画するように構成されている。
【0032】
空気供給管は、CO低減上棚板と区画部材との間でCO触媒外筒を貫通して、第1流路に空気を供給するように構成されている。
【0033】
CO触媒内筒は、区画部材よりも上方でCO除去下棚板よりも下方に小径部を有し、CO触媒内筒の上端部と下端部との間の部分は、小径部を除いて内径が蒸発外筒の外径よりも大きく形成されている。
【0034】
CO触媒ユニットは、CO触媒内筒の上端部と下端部とを蒸発外筒の外周面に溶接で取り付けた場合に、CO触媒内筒と蒸発外筒との間に伝熱緩衝空間が形成されるように構成
されている。
【0035】
この伝熱緩衝空間は、小径部によって上側の伝熱緩衝空間と下側の伝熱緩衝空間とに分けられ、下側の伝熱緩衝空間は第2流路となるように構成されている。
【0036】
CO触媒内筒は、蒸発外筒を挟んで空気供給管の先端と対向する位置で第1流路の空気と混合された二次水素含有ガスを第2流路に流入させる第2流路入口と、小径部の下側に隣接し小径部に向かうに従ってCO触媒内筒の径が小さくなるように傾斜する傾斜部と、傾斜部に円周方向に複数設けられ第2流路の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路に流出させる吹き出し穴と、を有している。
【発明の効果】
【0037】
本開示におけるCO触媒ユニットにおいて、CO触媒内筒は、CO触媒内筒の上端部と下端部とを蒸発外筒の外周面に溶接で取り付けた場合に、CO触媒内筒と蒸発外筒との間に伝熱緩衝空間が形成されるように構成されているので、CO低減ヨドミとCO除去ヨドミを設ける必要がなく、部品削減することを可能とし、予め組み立てを済ませ自立可能なサブユニットを製造することができる。
【0038】
また、蒸発外筒を囲むCO触媒内筒の上端を、蒸発外筒の上端よりも低い位置にし、CO触媒内筒を囲むCO触媒外筒の上端を、CO触媒内筒の上端よりも低い位置にし、蒸発外筒を囲むCO触媒内筒の下端を、蒸発外筒の下端よりも高い位置にし、CO触媒内筒を囲むCO触媒外筒の下端を、CO触媒内筒の下端よりも高い位置にすることによって、蒸発外筒の外周面にCO触媒内筒を溶接で取り付けるときに、溶接トーチがCO触媒外筒に干渉しないので、容易に溶接することができる。
【0039】
そのため、予め製造し自立可能であり蒸発器に容易に取りつけることで製造ラインでの組み立て性や生産性を向上できる低コストのCO触媒ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】実施の形態1におけるCO触媒ユニットの概略構成を示す縦断面図
【
図2】実施の形態1におけるCO触媒ユニットが取り付けられる前の蒸発器の概略構成を示す縦断面図
【
図3】実施の形態1におけるCO触媒ユニットを蒸発器に取り付けた状態を示す概略縦断面図
【
図4】実施の形態1におけるCO触媒ユニットを取り付けた蒸発器に、加熱器と改質器を取り付け、CO触媒ユニットのCO触媒外筒の下端に改質ガスリターン流路を構成する部材を取り付けた状態を示す概略縦断面図
【
図5】実施の形態1におけるCO触媒ユニットを用いた水素生成装置の概略構成を示す縦断面図
【
図6】実施の形態1のCO触媒ユニットにおけるCO触媒外筒を取り付ける前の状態を示す縦断面図
【
図7】実施の形態1のCO触媒ユニットにおけるCO触媒外筒を取り付けた状態を示す縦断面図
【
図8】実施の形態1のCO触媒ユニットにおけるCO除去触媒を充填してCO除去上棚板を取り付けた状態を示す縦断面図
【
図9】実施の形態1のCO触媒ユニットにおけるCO低減触媒を充填する前に上下逆にした状態を示す縦断面図
【
図10】実施の形態1のCO触媒ユニットにおけるCO低減触媒を充填してCO低減下棚板を取り付けた状態を示す縦断面図
【
図11】実施の形態2におけるCO触媒ユニットの概略構成を示す縦断面図
【
図12】実施の形態2におけるCO触媒ユニットが取り付けられる前の蒸発器の概略構成を示す縦断面図
【
図13】実施の形態2におけるCO触媒ユニットを蒸発器に取り付けた状態を示す概略縦断面図
【
図14】実施の形態2におけるCO触媒ユニットを取り付けた蒸発器に、加熱器と改質器を取り付け、CO触媒ユニットのCO触媒外筒の下端に改質ガスリターン流路を構成する部材を取り付けた状態を示す概略縦断面図
【
図15】実施の形態2におけるCO触媒ユニットを用いた水素生成装置の概略構成を示す縦断面図
【
図16】実施の形態2のCO触媒ユニットにおけるCO触媒外筒を取り付ける前の状態を示す縦断面図
【
図17】実施の形態2のCO触媒ユニットにおけるCO触媒外筒を取り付けた状態を示す縦断面図
【
図18】実施の形態2のCO触媒ユニットにおけるCO除去触媒を充填してCO除去上棚板を取り付けた状態を示す縦断面図
【
図19】実施の形態2のCO触媒ユニットにおけるCO低減触媒を充填する前に上下逆にした状態を示す縦断面図
【
図20】実施の形態2のCO触媒ユニットにおけるCO低減触媒を充填してCO低減下棚板を取り付けた状態を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0041】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、都市ガスなどの炭化水素系の原料ガスから水蒸気改質反応によって水素を生成し、さらに副生した一酸化炭素(CO)などの不純物をCO低減器とCO除去器(以下、合わせてCO触媒ユニット)により除去して、水素リッチな水素含有ガスとして燃料電池発電装置へ供給する水素生成装置が知られていたが、水素生成装置の中でCO触媒ユニットは重要な極めて重要な役割を果たしていた。
【0042】
特許文献1に開示された水素生成装置は、全体形状が多重円筒形状で、その中心部にバーナを備えた加熱器が配設され、加熱器の上部を覆い、水を蒸発させて原料との混合ガスを供給する蒸発器と、加熱器の周囲に改質触媒を充填した改質器と、CO触媒ユニット(CO低減触媒を充填したCO低減器とCO除去触媒を充填したCO除去器)と、CO低減器から排出された水素含有ガスと空気との混合を促進させる空気混合筒と、が軸心方向に配列されている。
【0043】
特許文献2に開示された水素生成装置は、CO低減器と蒸発器とが互いに間隔を有して対向してなる伝熱緩衝空間を設けるための隔壁(CO低減ヨドミ筒)と、CO除去器と蒸発器とが互いに間隔を有して対向してなる伝熱緩衝空間を設けるための隔壁(CO除去ヨドミ筒)とを、それぞれ設けており、これらのCO低減ヨドミ筒とCO除去ヨドミ筒をそれぞれ設けて製品設計することも一般的であった。
【0044】
従来の水素生成装置用のCO触媒ユニットの製造方法は次の通りである。まず、蒸発器にCO低減ヨドミ筒を溶接し、次にCO低減触媒を支える下部の棚板を溶接して、CO低減触媒の充填部空間の外壁を形成する外筒を設置した後に、CO低減触媒を上部から充填する。
【0045】
CO低減触媒の充填時には、加振機で十分に加振させて所定の充填密度に達したことをCO低減触媒の充填部最上位置が正しいことを目視で確認した後に、CO低減触媒の上部の棚板を溶接し、空気混合筒の下部及び上部を蒸発器にそれぞれ溶接し、区画部材と空気混合筒とを溶接し、区画部材と変成外筒とを溶接し、CO除去触媒を支える下部の棚段を
溶接し、CO除去ヨドミ筒を溶接し、CO除去触媒の充填部空間の外壁を形成する外筒を区画部材と溶接した後に、CO除去触媒を上部から充填する。
【0046】
CO除去触媒の充填時には加振機で十分に加振させて所定の充填密度に達したことをCO除去触媒の充填部最上位置が正しいことを目視で確認した後に、CO除去触媒の上部の棚段を溶接する。
【0047】
このように、蒸発器にCO触媒ユニットの部品を、一品ずつ取り付けていく作業の途中で、無人化が困難なCO低減触媒の充填作業とCO除去触媒の充填作業があるために、CO触媒ユニットの構成部品の取付けを水素生成装置の製造ラインで自動化することが困難であり水素生成装置のコストが低下しないという課題があった。
【0048】
そうした状況下において、発明者らは、CO触媒ユニットを予め組み立てを済ませ自立可能なサブユニットとして製造し、サブユニット化したCO触媒ユニットを蒸発器に取付けることで水素生成装置の製造ラインを自動化できるのではないかと着想した。
【0049】
そして、発明者らは、その着想を実現するにあたって、CO触媒ユニットを自立させるには、CO触媒ユニットに内筒を新たに設けて、その内筒にCO変成ヨドミ筒とCO除去ヨドミ筒をそれぞれ蒸発器に固定する必要があり、それではCO触媒ユニットの部品点数と溶接箇所が増えるために製造コストが低下しない、また自立したCO触媒ユニットを蒸発器に取り付けるには内筒を蒸発器に取り付ける必要があるが、溶接のトーチがCO触媒ユニットに干渉して取り付けが困難であるという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0050】
そこで、本開示は、CO触媒ユニットの部品点数を増やさずに予め自立可能なサブユニットとして製造し、蒸発器に容易に取付けて製造ラインを自動化することができる、低コストのCO触媒ユニットを提供する。
【0051】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0052】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0053】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図10を用いて、実施の形態1を説明する。
【0054】
[1-1.構成]
図1と
図3から
図5に示すように、CO触媒ユニット100は、蒸発器105の外周面に溶接で取り付けられるユニットであって、CO触媒内筒109と、CO触媒外筒110と、CO低減触媒111と、CO低減下棚板112と、CO低減上棚板113と、CO除去触媒114と、CO除去下棚板115と、CO除去上棚板116と、空気混合筒118と、区画部材121と、空気供給管122と、を備えている。
【0055】
図2から
図5に示すように、蒸発器105は、鉛直方向に中心軸を有する蒸発内筒101と、鉛直方向に中心軸を有し蒸発内筒101よりも鉛直方向の長さが短く蒸発内筒101を囲むように配置された蒸発外筒102との間に、外部から供給される改質水が蒸発内
筒101から伝わる加熱器150の燃焼による熱(燃焼排ガスの熱を含む)で加熱されながら螺旋状に流れる螺旋状流路104が形成され、外部から供給される炭化水素系の原料ガスと水蒸気との混合ガスを改質器103に供給するように構成されている。
【0056】
蒸発内筒101と蒸発外筒102を水平な面で切断した場合の断面は、それぞれ円形である。
【0057】
螺旋状流路104を形成するために、蒸発内筒101と蒸発外筒102との間には、螺旋状の棒材が配置されており、その棒材の外周面は蒸発内筒101の外周面と蒸発外筒102の内周面とに接触している。
【0058】
蒸発外筒102の上端は、蒸発内筒101側に曲げられて、蒸発内筒101の上端よりも低い位置で、蒸発内筒101の外周面に接合されており、蒸発外筒102の下端は、蒸発内筒101側に曲げられて、蒸発内筒101の下端よりも高い位置で、蒸発内筒101の外周面に接合されている。
【0059】
蒸発外筒102の上端に近い部分には、外部から供給される改質水を蒸発器105内に供給する改質水供給管(図示せず)を接続するための孔と、外部から供給される炭化水素系の原料ガスを蒸発器105内に供給する原料ガス供給管(図示せず)を接続するための孔とが形成されている。原料ガスには、都市ガスやLPガスを用いることができる。
【0060】
蒸発外筒102の下端に近い部分には、改質水が螺旋状流路104を流れるときに加熱されて気化した水蒸気と原料ガスとの混合ガスを、蒸発器105内から排出するための孔が形成されている。
【0061】
CO触媒内筒109は、鉛直方向に中心軸を有し、蒸発外筒102よりも鉛直方向の長さが短い。そして、CO触媒内筒109の上端部107は、蒸発外筒102の上端部よりも低い位置にあり、CO触媒内筒109の下端部108は、蒸発外筒102の下端部よりも高い位置にある。
【0062】
CO触媒内筒109は、上端部107と下端部108との間の部分の内径が蒸発外筒102の外径よりも大きく、上端部107と下端部108とを蒸発外筒102の外周面に溶接で取り付け可能に構成されている。
【0063】
CO触媒外筒110は、鉛直方向に中心軸を有し、CO触媒内筒109よりも鉛直方向の長さが短く、CO触媒内筒109を囲むように配置されている。CO触媒外筒110の上端部は、CO触媒内筒109の上端部107よりも低い位置にあり、CO触媒外筒110の下端部は、CO触媒内筒109の下端部108よりも高い位置にある。
【0064】
CO触媒内筒109とCO触媒外筒110を水平な面で切断した場合の断面は、それぞれ円形である。
【0065】
CO低減触媒111は、改質器103において混合ガスから改質反応で生成され改質器103から排出された一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して二次水素含有ガスとして排出するように構成された粒状の触媒である。また、CO低減触媒111は、CO触媒内筒109の外周面とCO触媒外筒110の内周面との間における下側部分に充填されている。
【0066】
CO低減下棚板112は、内周の縁が下方に折り曲げられたドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒111を下部から支える(CO低減触媒111が落下しない)ように
CO触媒内筒109の外周面とCO触媒外筒110の内周面との間に配置されており、CO触媒内筒109の外周面に固定されている。
【0067】
CO低減下棚板112には、CO低減触媒111の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0068】
CO低減上棚板113は、内周の縁が上方に折り曲げられたドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒111の上部を覆うようにCO触媒内筒109の外周面とCO触媒外筒110の内周面との間に配置されており、CO触媒内筒109の外周面に固定されている。
【0069】
CO低減上棚板113には、CO低減触媒111の粒子径より小さい通気口が形成されている。CO低減上棚板113は、CO低減上棚板113の外周の縁とCO触媒外筒110の内周面との間の隙間がCO低減触媒111の粒子径より小さくなるように構成されている。
【0070】
CO除去触媒114は、CO低減触媒111から排出される二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成された粒状の触媒である。また、CO除去触媒114は、CO触媒内筒109の外周面とCO触媒外筒110の内周面との間における上側部分に充填されている。
【0071】
CO除去下棚板115は、内周の縁が下方に折り曲げられたドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒114を下部から支える(CO除去触媒114が落下しない)ようにCO触媒内筒109の外周面とCO触媒外筒110の内周面との間に配置されており、CO触媒内筒109の外周面に固定されている。CO除去下棚板115には、CO除去触媒114の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0072】
CO除去下棚板115は、CO除去下棚板115の外周の縁とCO触媒外筒110の内周面との間の隙間がCO除去触媒114の粒子径より小さくなるように構成されている。
【0073】
CO除去上棚板116は、内周の縁が上方に折り曲げられたドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒114の上部を覆うようにCO触媒内筒109の外周面とCO触媒外筒110の内周面との間に配置されており、CO触媒内筒109の外周面に固定されている。
【0074】
CO除去上棚板116には、CO除去触媒114の粒子径より小さい通気口が形成されている。CO除去上棚板116は、CO除去上棚板116の外周の縁とCO触媒外筒110の内周面との間の隙間がCO除去触媒114の粒子径より小さくなるように構成されている。
【0075】
空気混合筒118は、鉛直方向に中心軸を有し、上下両端部がCO低減上棚板113とCO除去下棚板115との間でCO触媒内筒109の外周面に固定される略円筒状の部材であって、CO低減上棚板113とCO除去下棚板115とCO触媒内筒109とCO触媒外筒110とで囲まれた空間を、内周側空間である第2流路117と外周側空間とに区画するように構成されている。
【0076】
区画部材121は、略ドーナツ盤形状で、外周側空間を外周側上部空間であるヘッダー流路119と外周側下部空間である第1流路120とに区画するように、内周側端部が空気混合筒118の外周面に固定され、外周側端部がCO触媒外筒110の内周面に固定されている。
【0077】
空気供給管122は、CO低減上棚板113と区画部材121との間でCO触媒外筒110を貫通して、第1流路120に空気を供給するように構成されている。
【0078】
空気混合筒118は、CO触媒内筒109を挟んで空気供給管122の先端(空気の出口)と対向する位置で第1流路120の空気と混合された二次水素含有ガスを第2流路117に流入させる第2流路入口123と、空気混合筒118の上端部に向かうに従って空気混合筒118の径が小さくなるように傾斜する傾斜部124と、傾斜部124に円周方向に複数設けられ第2流路117の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路119に流出させる吹き出し穴125と、を有している。
【0079】
第2流路入口123は、第2流路117内に流入したガスを周方向に回転させる方向に切り起こし穴形状で形成されている。
【0080】
CO触媒ユニット100は、CO触媒内筒109の上端部107と下端部108とを、蒸発外筒102の外周面に溶接で取り付けた場合に、CO触媒内筒109と蒸発外筒102との間に、伝熱緩衝空間126が形成されるように構成されている。
【0081】
本実施の形態の水素生成装置199は、CO触媒ユニット100と、蒸発器105と、改質器103と、加熱器150と、改質ガスリターン流路151を構成する部材と、改質ガス出口部152を構成する部材と、を組み合わせて構成されている。
【0082】
改質器103は、蒸発器105の下側に接合されるものであって、改質触媒内筒と、改質触媒外筒と、改質触媒と、改質触媒下棚板と、改質触媒上棚板と、を備えている。
【0083】
改質触媒内筒は、鉛直方向に中心軸を有し下端開口部が塞がれた有底円筒形状で、内径が蒸発内筒101の内径と同じ寸法で、外径が蒸発内筒101の外径と同じ寸法で、蒸発内筒101を下方に延長するような形で蒸発内筒101の下端に接合されている。
【0084】
改質触媒外筒は、鉛直方向に中心軸を有し、径が蒸発外筒102よりも大きくてCO触媒外筒110よりも小さい略円筒形状で、蒸発外筒102の下端部と改質触媒内筒とを囲むように配置されている。改質触媒外筒の上端は、蒸発外筒102側に曲げられて、蒸発器105から混合ガスを排出するための孔よりも高い位置で、蒸発外筒102の外周面に接合されている。
【0085】
改質触媒は、蒸発器105から排出された混合ガスから改質反応で一次水素含有ガスを生成するように構成された粒状の触媒である。また、改質触媒は、改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面との間に充填されている。
【0086】
改質触媒下棚板は、ドーナツ盤形状の棚板であって、改質触媒を下部から支える(改質触媒が落下しない)ように改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面との間に配置されており、改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面のうちの少なくとも一方に固定されている。なお、改質触媒下棚板には、改質触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0087】
改質触媒上棚板は、ドーナツ盤形状の棚板であって、改質触媒の上部を覆うように改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面との間に配置されており、改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面のうちの少なくとも一方に固定されている。
【0088】
改質ガスリターン流路151は、改質触媒から下方に排出された一次水素含有ガスの流
れを上向きに変えてCO低減触媒111に導く流路である。
【0089】
改質ガスリターン流路151を構成する部材は、鉛直方向に中心軸を有し下端開口部が塞がれた有底円筒形状である。改質ガスリターン流路151を構成する部材におけるCO触媒内筒109をCO触媒外筒110よりも下方で囲む部分は、蒸発器105(蒸発外筒102)におけるCO触媒内筒109の下端部108よりも低い部分と改質器103(改質触媒外筒)を囲む部分よりも径(内径)が大きく構成されている。
【0090】
改質ガスリターン流路151を構成する部材における大径部(CO触媒内筒109をCO触媒外筒110よりも下方で囲む部分)は、内径がCO触媒外筒110の内径と同じ寸法で、外径がCO触媒外筒110の外径と同じ寸法で、CO触媒外筒110を下方に延長するような形でCO触媒外筒110の下端に接合されている。
【0091】
改質ガスリターン流路151を構成する部材における小径部(蒸発器105におけるCO触媒内筒109よりも低い部分と改質器103を囲む部分)は、径が改質触媒外筒よりも大きくてCO触媒外筒110よりも小さく、改質触媒外筒と小径部(蒸発器105におけるCO触媒内筒109よりも低い部分と改質器103を囲む部分)との間を、改質触媒から下方に排出されて改質ガスリターン流路151を構成する部材の底部と改質触媒外筒の下端との隙間を通って上方に折り返した一次水素含有ガスが、通流するように構成されている。
【0092】
改質ガスリターン流路151を構成する部材の底部は、改質触媒内筒の底部よりも大きく、改質ガスリターン流路151を構成する部材の底部は、改質触媒内筒の底部よりも下方に位置するように構成されている。
【0093】
加熱器150は、蒸発器105(蒸発内筒101)の内周側に配置され、燃焼用空気が混合された可燃性ガスを燃焼して燃焼排ガスを排出するバーナと、バーナに可燃性ガスを供給するガス供給管と、バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給管と、を備えている。
【0094】
可燃性ガスには、原料ガス(都市ガスやLPガス)を用いることができ、水素生成装置199が燃料電池に水素含有ガスを燃料ガスとして供給する場合は、燃料電池で利用されずに燃料電池から排出される燃料ガス(アノードオフガス)を用いることができる。
【0095】
加熱器150のバーナは、下向きの炎を形成するように構成されている。加熱器150は、加熱器150の外周面と蒸発内筒101の内周面との隙間を、燃焼排ガスが上方に流れるように構成されている。
【0096】
加熱器150の下側には、燃焼排ガスが上方に流れる流路を、加熱器150よりも下側に延長するように、外径が加熱器150の外周面の径と同じ寸法の燃焼筒が継ぎ足されている。燃焼筒の下端は、改質触媒内筒の底部よりも高い位置で、改質触媒内筒の底部に近接している。
【0097】
蒸発器105と加熱器150と改質器103と燃焼筒は、加熱器150のバーナの燃焼で発生した燃焼排ガスが、燃焼筒の内周面に沿って燃焼筒の内周側を下方に流れた後に、改質触媒内筒の底部と燃焼筒の下端との隙間を通って上方に折り返して、燃焼筒の外周面と改質触媒内筒の内周面との隙間、燃焼筒の外周面と蒸発内筒101の内周面との隙間、加熱器150の外周面と蒸発内筒101の内周面との隙間を、この順に通流して、蒸発内筒101における上部に設けられた燃焼排ガス出口から水素生成装置199の外部に排出されるように構成されている。
【0098】
改質ガス出口部152を構成する部材は、鉛直方向に中心軸を有し、CO触媒内筒109の上端部107を囲み、上端が、改質水供給管(図示せず)を接続するための孔と原料ガス供給管(図示せず)を接続するための孔よりも低い位置で、蒸発外筒102の外周面に接合され、下端が、CO触媒外筒110の上端に接合されている。また、改質ガス出口部152を構成する部材は、CO除去触媒114から上方に排出された三次水素含有ガスを水素生成装置199の外部に排出(供給)する出口管を備えている。
【0099】
水素生成装置199は、加熱器150のバーナの燃焼で発生した熱(燃焼排ガスの熱を含む)が、改質触媒内筒を介して改質触媒に伝わって改質触媒を改質反応に適した温度に加熱すると共に、蒸発内筒101を介して蒸発器105内を螺旋状に流れる改質水に伝わって改質水を蒸発させるように構成されている。
【0100】
また、水素生成装置199は、改質触媒から排出されCO低減触媒111に流入する一次水素含有ガスの熱と、蒸発器105から伝熱緩衝空間126とCO触媒内筒109とを介してCO低減触媒111に伝わる熱とが、CO低減触媒111を変成反応に適した温度に加熱するように構成されている。
【0101】
また、水素生成装置199は、CO低減触媒111から排出されCO除去触媒114に流入する二次水素含有ガスの熱と、蒸発器105から伝熱緩衝空間126とCO触媒内筒109とを介してCO除去触媒114に伝わる熱とが、CO除去触媒114を選択酸化反応に適した温度に加熱するように構成されている。
【0102】
[1-2.動作]
以上のように構成されたCO触媒ユニット100及び水素生成装置199について、以下その動作、作用を説明する。
【0103】
水素生成装置199において、必要な水素量を得るために、原料ガスと改質水が、適正な比率で改質水供給管(図示せず)と原料ガス供給管(図示せず)から蒸発器105に供給される。供給された改質水は、蒸発器105の螺旋状流路104に沿って流れながら蒸発内筒101を介して伝わる加熱器150の熱(燃焼排ガスの熱を含む)によって水蒸気となり、原料ガスと混合される。
【0104】
原料ガスと水蒸気の混合ガスは、改質器103へ供給され、改質触媒内筒を介して伝わる加熱器150の熱(燃焼排ガスの熱を含む)によって改質反応に適した温度に加熱された改質触媒により水蒸気改質反応が行われて一次水素含有ガスとなる。
【0105】
改質器103から排出された一次水素含有ガスは、改質ガスリターン流路151を通流して、CO触媒ユニット100のCO低減触媒111に下方から供給され、CO低減触媒111の変成反応により、一次水素含有ガス中のCO濃度が0.1~0.2%程度まで低減されて二次水素含有ガスとなる。
【0106】
このとき、CO低減触媒111は、改質器103(改質触媒)から排出されCO低減触媒111に流入する一次水素含有ガスの熱と、蒸発器105から伝熱緩衝空間126とCO触媒内筒109とを介してCO低減触媒111に伝わる熱とによって、変成反応に適した温度に加熱されている。
【0107】
CO低減触媒111から第1流路120に排出された二次水素含有ガスは、空気供給管122から供給された空気と共に、空気混合筒118の第2流路入口123から第2流路117に流入した後に、空気混合筒118の吹き出し穴125からヘッダー流路119に
流出する。
【0108】
二次水素含有ガスと空気は、十分に混合された状態で、ヘッダー流路119からCO除去触媒114に供給され、CO除去触媒114の選択酸化反応により、CO濃度が数ppm程度にまで低減されて三次水素含有ガスとなる。
【0109】
このとき、CO除去触媒114は、CO低減触媒111から排出されCO除去触媒114に流入する二次水素含有ガスの熱と、蒸発器105から伝熱緩衝空間126とCO触媒内筒109とを介してCO除去触媒114に伝わる熱とによって、選択酸化反応に適した温度に加熱されている。
【0110】
CO除去触媒114から改質ガス出口部152に排出された三次水素含有ガスは、改質ガス出口部152の出口管から水素生成装置199の外に出ていき、燃料電池などの水素利用機器に供給される。
【0111】
加熱器150のバーナの燃焼で発生した燃焼排ガスは、燃焼筒の内周面に沿って燃焼筒の内周側を下方に流れた後に、改質触媒内筒の底部と燃焼筒の下端との隙間を通って上方に折り返して、燃焼筒の外周面と改質触媒内筒の内周面との隙間、燃焼筒の外周面と蒸発内筒101の内周面との隙間、加熱器150の外周面と蒸発内筒101の内周面との隙間を、この順に放熱しながら通流して、蒸発内筒101における上部に設けられた燃焼排ガス出口から水素生成装置199の外部に排出される。
【0112】
(CO触媒ユニットの組立手順)
次に、予め組み立てて自立可能なサブユニットとしてのCO触媒ユニット200の組立手順について説明する。
【0113】
図6に示すように、CO触媒内筒109の外周面の所定の高さ位置に、CO除去下棚板115と、空気混合筒118の上端部と、空気混合筒118の下端部と、CO低減上棚板113とを、それぞれ溶接で固定してから、空気混合筒118の外周面の所定の高さ位置に、区画部材121の内周部を溶接で固定する。
【0114】
次に、
図7に示すように、CO触媒外筒110の所定の高さ位置に区画部材121の外周部を溶接で固定する。
【0115】
この状態で、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との高さ方向の相対位置関係が定まるとともに、CO除去触媒114とCO低減触媒111がそれぞれ収納される空間の内筒と外筒が構成される。
【0116】
次に、
図8に示すように、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間でCO除去下棚板115の上にCO除去触媒114を所定量充填して、CO除去上棚板116を、CO除去触媒114の上部を覆うようにCO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間に配置して、CO除去上棚板116の内周部をCO触媒内筒109の外周面に固定する。
【0117】
これにより、CO除去触媒114が、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110とCO除去下棚板115とCO除去上棚板116とに囲まれた部分に保持されるようになる。
【0118】
次に、
図9に示すように、この組立途中のCO触媒ユニット100を上下逆(上端部107が下で下端部108が上になる状態)にする。
【0119】
次に、
図10に示すように、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間でCO低
減上棚板113の上にCO低減触媒111を所定量充填して、CO低減下棚板112を、CO低減触媒111の上部を覆うようにCO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間に配置して、CO低減下棚板112の内周部をCO触媒内筒109の外周面に固定する。
【0120】
これにより、CO低減触媒111が、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110とCO低減上棚板113とCO低減下棚板112とに囲まれた部分に保持されるようになる。
【0121】
次に、この組立途中のCO触媒ユニット100を上下正常状態(上端部107が上で下端部108が下になる状態)に戻して、CO触媒外筒110を貫通して、第1流路120に空気を供給できるように、空気供給管122をCO触媒外筒110に取付けて、CO触媒ユニットの組立が完了する。
【0122】
(CO触媒ユニットの水素生成装置への取り付け)
図3に示すように、CO触媒ユニット100のCO触媒内筒109の上端部107と下端部108を、それぞれ蒸発外筒102の外周面に溶接で取り付ける。
【0123】
蒸発外筒102はCO触媒内筒109よりも長く、CO触媒内筒109はCO触媒外筒110よりも長く構成されており、蒸発外筒102を囲むCO触媒内筒109の上端部107は、蒸発外筒102の上端部よりも低い位置にあり、CO触媒内筒109を囲むCO触媒外筒110の上端部は、CO触媒内筒109の上端部107よりも低い位置にあり、蒸発外筒102を囲むCO触媒内筒109の下端部108は、蒸発外筒102の下端部よりも高い位置にあり、CO触媒内筒109を囲むCO触媒外筒110の下端部は、CO触媒内筒109の下端部108よりも高い位置にある。
【0124】
そのため、蒸発外筒102の外周面にCO触媒内筒109の上端部107と下端部108を溶接で取り付けるときに、溶接トーチがCO触媒外筒110に干渉しないので、容易に溶接することができる。
【0125】
また、CO触媒内筒109は、上端部107と下端部108との間の部分の内径が蒸発外筒102の外径よりも大きく、上端部107と下端部108とを蒸発外筒102の外周面に溶接で取り付け可能に構成されているので、CO触媒内筒109を蒸発外筒102に取り付けた時に、CO触媒内筒109と蒸発外筒102との間に伝熱緩衝空間126が形成される。
【0126】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、CO触媒ユニット100は、蒸発器105の外周面に溶接で取り付けられるユニットであって、CO触媒内筒109と、CO触媒外筒110と、CO低減触媒111と、CO低減下棚板112と、CO低減上棚板113と、CO除去触媒114と、CO除去下棚板115と、CO除去上棚板116と、空気混合筒118と、区画部材121と、空気供給管122と、を備えている。
【0127】
蒸発器105は、鉛直方向に中心軸を有する蒸発内筒101と、鉛直方向に中心軸を有し蒸発内筒101よりも短く蒸発内筒101を囲むように配置された蒸発外筒102との間に、外部から供給される改質水が蒸発内筒101から伝わる熱で加熱されながら螺旋状に流れる螺旋状流路104が形成され、外部から供給される原料ガスと水蒸気との混合ガスを改質器103に供給するように構成されている。
【0128】
CO触媒内筒109は、鉛直方向に中心軸を有し、蒸発外筒102よりも短く、上端部107と下端部108との間の部分の内径が蒸発外筒102の外径よりも大きく、上端部107と下端部108とを蒸発外筒102の外周面に溶接で取り付け可能に構成されてい
る。
【0129】
CO触媒外筒110は、鉛直方向に中心軸を有し、CO触媒内筒109よりも短く、CO触媒内筒109を囲むように配置されている。
【0130】
CO低減触媒111は、改質器103において混合ガスから改質反応で生成され改質器103から排出された一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して二次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間における下側部分に充填されている。
【0131】
CO低減下棚板112は、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間に配置されCO低減触媒111を下部から支えるドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒111の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0132】
CO低減上棚板113は、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間に配置されCO低減触媒111の上部を覆うドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒111の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0133】
CO除去触媒114は、CO低減触媒111から排出される二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間における上側部分に充填されている。
【0134】
CO除去下棚板115は、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間に配置されCO除去触媒114を下部から支えるドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒114の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0135】
CO除去上棚板116は、CO触媒内筒109とCO触媒外筒110との間に配置されCO除去触媒114の上部を覆うドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒114の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0136】
空気混合筒118は、鉛直方向に中心軸を有し、上下両端部がCO低減上棚板113とCO除去下棚板115との間でCO触媒内筒109の外周面に固定される筒状の部材であって、CO低減上棚板113とCO除去下棚板115とCO触媒内筒109とCO触媒外筒110とで囲まれた空間を、内周側空間である第2流路117と外周側空間とに区画するように構成されている。
【0137】
区画部材121は、略ドーナツ盤形状で、外周側空間を外周側上部空間であるヘッダー流路119と外周側下部空間である第1流路120とに区画するように、内周側端部が空気混合筒118に固定され、外周側端部がCO触媒外筒110に固定されている。
【0138】
空気供給管122は、CO低減上棚板113と区画部材121との間でCO触媒外筒110を貫通して、第1流路120に空気を供給するように構成されている。
【0139】
空気混合筒118は、CO触媒内筒109を挟んで空気供給管122の先端と対向する位置で第1流路120の空気と混合された二次水素含有ガスを第2流路117に流入させる第2流路入口123と、空気混合筒118の上端部に向かうに従って空気混合筒118の径が小さくなるように傾斜する傾斜部124と、傾斜部124に円周方向に複数設けられ第2流路117の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路119に流出させる吹き出し穴125と、を有している。
【0140】
そして、CO触媒ユニット100は、CO触媒内筒109の上端部107と下端部108とを、蒸発外筒102の外周面に溶接で取り付けた場合に、CO触媒内筒109と蒸発外筒102との間に、伝熱緩衝空間126が形成されるように構成されている。
【0141】
上記構成のCO触媒内筒109を設けることで、自立可能なサブユニットとして予めCO触媒ユニット100を構成することができる。
【0142】
蒸発外筒102はCO触媒内筒109よりも長く、CO触媒内筒109はCO触媒外筒110よりも長く構成されており、蒸発外筒102を囲むCO触媒内筒109の上端部107は、蒸発外筒102の上端部よりも低い位置にあり、CO触媒内筒109を囲むCO触媒外筒110の上端部は、CO触媒内筒109の上端部107よりも低い位置にあり、蒸発外筒102を囲むCO触媒内筒109の下端部108は、蒸発外筒102の下端部よりも高い位置にあり、CO触媒内筒109を囲むCO触媒外筒110の下端部は、CO触媒内筒109の下端部108よりも高い位置にある。
【0143】
そのため、蒸発外筒102の外周面にCO触媒内筒109の上端部107と下端部108を溶接で取り付けるときに、溶接トーチがCO触媒外筒110に干渉しないので、容易に溶接することができる。
【0144】
また、CO触媒内筒109は、上端部107と下端部108との間の部分の内径が蒸発外筒102の外径よりも大きく、上端部107と下端部108とを蒸発外筒102の外周面に溶接で取り付け可能に構成されているので、CO触媒内筒109を蒸発外筒102に取り付けた時に、CO触媒内筒109と蒸発外筒102との間に伝熱緩衝空間126が形成されるので、従来必要であったCO低減触媒111部の区画部材(CO低減ヨドミ)とCO除去触媒114部の区画部材(CO除去ヨドミ)を設ける必要がなく、差し引き1部品を削減することが可能となる。
【0145】
また、CO触媒ユニット100は、予めサブユニットとして組み立てが終了して自立しているので、水素生成装置199の製造時には、CO低減触媒111及びCO除去触媒114の充填作業が製造ラインでは発生しないので製造ラインの自動化が可能となる。
【0146】
(実施の形態2)
以下、
図11~
図20を用いて、実施の形態2を説明する。
【0147】
[2-1.構成]
図11と
図13から
図15に示すように、CO触媒ユニット200は、蒸発器205の外周面に溶接で取り付けられるユニットであって、CO触媒内筒209と、CO触媒外筒210と、CO低減触媒211と、CO低減下棚板212と、CO低減上棚板213と、CO除去触媒214と、CO除去下棚板215と、CO除去上棚板216と、区画部材221と、空気供給管222と、を備えている。
【0148】
図12から
図15に示すように、蒸発器205は、鉛直方向に中心軸を有する蒸発内筒201と、鉛直方向に中心軸を有し蒸発内筒201よりも鉛直方向の長さが短く蒸発内筒201を囲むように配置された蒸発外筒202との間に、外部から供給される改質水が蒸発内筒201から伝わる加熱器250の燃焼による熱(燃焼排ガスの熱を含む)で加熱されながら螺旋状に流れる螺旋状流路204が形成され、外部から供給される炭化水素系の原料ガスと水蒸気との混合ガスを改質器203に供給するように構成されている。
【0149】
蒸発内筒201と蒸発外筒202を水平な面で切断した場合の断面は、それぞれ円形で
ある。
【0150】
螺旋状流路204を形成するために、蒸発内筒201と蒸発外筒202との間には、螺旋状の棒材が配置されており、その棒材の外周面は蒸発内筒201の外周面と蒸発外筒202の内周面とに接触している。
【0151】
蒸発外筒202の上端は、蒸発内筒201側に曲げられて、蒸発内筒201の上端よりも低い位置で、蒸発内筒201の外周面に接合されており、蒸発外筒202の下端は、蒸発内筒201側に曲げられて、蒸発内筒201の下端よりも高い位置で、蒸発内筒201の外周面に接合されている。
【0152】
蒸発外筒202の上端に近い部分には、外部から供給される改質水を蒸発器205内に供給する改質水供給管(図示せず)を接続するための孔と、外部から供給される炭化水素系の原料ガスを蒸発器205内に供給する原料ガス供給管(図示せず)を接続するための孔とが形成されている。原料ガスには、都市ガスやLPガスを用いることができる。
【0153】
蒸発外筒202の下端に近い部分には、改質水が螺旋状流路204を流れるときに加熱されて気化した水蒸気と原料ガスとの混合ガスを、蒸発器205内から排出するための孔が形成されている。
【0154】
CO触媒内筒209は、鉛直方向に中心軸を有し、蒸発外筒202よりも鉛直方向の長さが短い。そして、CO触媒内筒209の上端部207は、蒸発外筒202の上端部よりも低い位置にあり、CO触媒内筒209の下端部208は、蒸発外筒202の下端部よりも高い位置にある。CO触媒内筒209は、上端部207と下端部208とを蒸発外筒202の外周面に溶接で取り付け可能に構成されている。
【0155】
CO触媒外筒210は、鉛直方向に中心軸を有し、CO触媒内筒209よりも鉛直方向の長さが短く、CO触媒内筒209を囲むように配置されている。CO触媒外筒210の上端部は、CO触媒内筒209の上端部207よりも低い位置にあり、CO触媒外筒210の下端部は、CO触媒内筒209の下端部208よりも高い位置にある。
【0156】
CO触媒内筒209とCO触媒外筒210を水平な面で切断した場合の断面は、それぞれ円形である。
【0157】
CO低減触媒211は、改質器203において混合ガスから改質反応で生成され改質器203から排出された一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して二次水素含有ガスとして排出するように構成された粒状の触媒である。また、CO低減触媒211は、CO触媒内筒209の外周面とCO触媒外筒210の内周面との間における下側部分に充填されている。
【0158】
CO低減下棚板212は、内周の縁が下方に折り曲げられたドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒211を下部から支える(CO低減触媒211が落下しない)ようにCO触媒内筒209の外周面とCO触媒外筒210の内周面との間に配置されており、CO触媒内筒209の外周面に固定されている。
【0159】
CO低減下棚板212には、CO低減触媒211の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0160】
CO低減上棚板213は、内周の縁が上方に折り曲げられたドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒211の上部を覆うようにCO触媒内筒209の外周面とCO触媒外
筒210の内周面との間に配置されており、CO触媒内筒209の外周面に固定されている。
【0161】
CO低減上棚板213には、CO低減触媒211の粒子径より小さい通気口が形成されている。CO低減上棚板213は、CO低減上棚板213の外周の縁とCO触媒外筒210の内周面との間の隙間がCO低減触媒211の粒子径より小さくなるように構成されている。
【0162】
CO除去触媒214は、CO低減触媒211から排出される二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成された粒状の触媒である。また、CO除去触媒214は、CO触媒内筒209の外周面とCO触媒外筒210の内周面との間における上側部分に充填されている。
【0163】
CO除去下棚板215は、内周の縁が下方に折り曲げられたドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒214を下部から支える(CO除去触媒214が落下しない)ようにCO触媒内筒209の外周面とCO触媒外筒210の内周面との間に配置されており、CO触媒内筒209の外周面に固定されている。CO除去下棚板215には、CO除去触媒214の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0164】
CO除去下棚板215は、CO除去下棚板215の外周の縁とCO触媒外筒210の内周面との間の隙間がCO除去触媒214の粒子径より小さくなるように構成されている。
【0165】
CO除去上棚板216は、内周の縁が上方に折り曲げられたドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒214の上部を覆うようにCO触媒内筒209の外周面とCO触媒外筒210の内周面との間に配置されており、CO触媒内筒209の外周面に固定されている。
【0166】
CO除去上棚板216には、CO除去触媒214の粒子径より小さい通気口が形成されている。CO除去上棚板216は、CO除去上棚板216の外周の縁とCO触媒外筒210の内周面との間の隙間がCO除去触媒214の粒子径より小さくなるように構成されている。
【0167】
区画部材221は、略ドーナツ盤形状で、CO低減上棚板213とCO除去下棚板215とCO触媒内筒209とCO触媒外筒210とで囲まれた空間を、上部空間であるヘッダー流路219と下部空間である第1流路220とに区画するように、内周側端部がCO触媒内筒209に固定され、外周側端部がCO触媒外筒210に固定されている。
【0168】
空気供給管222は、CO低減上棚板213と区画部材221との間でCO触媒外筒210を貫通して、第1流路220に空気を供給するように構成されている。
【0169】
CO触媒内筒209は、区画部材221よりも上方でCO除去下棚板215よりも下方に小径部230を有し、CO触媒内筒209の上端部207と下端部208との間の部分は、小径部230を除いて内径が蒸発外筒202の外径よりも大きく形成されている。
【0170】
CO触媒ユニット200は、CO触媒内筒209の上端部207と下端部208とを蒸発外筒202の外周面に溶接で取り付けた場合に、CO触媒内筒209と蒸発外筒202との間に伝熱緩衝空間226が形成されるように構成されている。
【0171】
この伝熱緩衝空間226は、小径部230によって上側の伝熱緩衝空間226と下側の伝熱緩衝空間226とに分けられ、下側の伝熱緩衝空間226は第2流路217となるよ
うに構成されている。
【0172】
CO触媒内筒209は、蒸発外筒202を挟んで空気供給管222の先端(空気の出口)と対向する位置で第1流路220の空気と混合された二次水素含有ガスを第2流路217に流入させる第2流路入口223と、小径部230の下側に隣接し小径部230に向かうに従ってCO触媒内筒209の径が小さくなるように傾斜する傾斜部224と、傾斜部224に円周方向に複数設けられ第2流路217の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路219に流出させる吹き出し穴225と、を有している。
【0173】
第2流路入口223は、第2流路217内に流入したガスを周方向に回転させる方向に切り起こし穴形状で形成されている。
【0174】
本実施の形態の水素生成装置299は、CO触媒ユニット200と、蒸発器205と、改質器203と、加熱器250と、改質ガスリターン流路251を構成する部材と、改質ガス出口部252を構成する部材と、を組み合わせて構成されている。
【0175】
改質器203は、蒸発器205の下側に接合されるものであって、改質触媒内筒と、改質触媒外筒と、改質触媒と、改質触媒下棚板と、改質触媒上棚板と、を備えている。
【0176】
改質触媒内筒は、鉛直方向に中心軸を有し下端開口部が塞がれた有底円筒形状で、内径が蒸発内筒201の内径と同じ寸法で、外径が蒸発内筒201の外径と同じ寸法で、蒸発内筒201を下方に延長するような形で蒸発内筒201の下端に接合されている。
【0177】
改質触媒外筒は、鉛直方向に中心軸を有し、径が蒸発外筒202よりも大きくてCO触媒外筒210よりも小さい略円筒形状で、蒸発外筒202の下端部と改質触媒内筒とを囲むように配置されている。改質触媒外筒の上端は、蒸発外筒202側に曲げられて、蒸発器205から混合ガスを排出するための孔よりも高い位置で、蒸発外筒202の外周面に接合されている。
【0178】
改質触媒は、蒸発器205から排出された混合ガスから改質反応で一次水素含有ガスを生成するように構成された粒状の触媒である。また、改質触媒は、改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面との間に充填されている。
【0179】
改質触媒下棚板は、ドーナツ盤形状の棚板であって、改質触媒を下部から支える(改質触媒が落下しない)ように改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面との間に配置されており、改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面のうちの少なくとも一方に固定されている。なお、改質触媒下棚板には、改質触媒の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0180】
改質触媒上棚板は、ドーナツ盤形状の棚板であって、改質触媒の上部を覆うように改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面との間に配置されており、改質触媒内筒の外周面と改質触媒外筒の内周面のうちの少なくとも一方に固定されている。
【0181】
改質ガスリターン流路251は、改質触媒から下方に排出された一次水素含有ガスの流れを上向きに変えてCO低減触媒211に導く流路である。
【0182】
改質ガスリターン流路251を構成する部材は、鉛直方向に中心軸を有し下端開口部が塞がれた有底円筒形状である。改質ガスリターン流路251を構成する部材におけるCO触媒内筒209をCO触媒外筒210よりも下方で囲む部分は、蒸発器205(蒸発外筒202)におけるCO触媒内筒209の下端部208よりも低い部分と改質器203(改
質触媒外筒)を囲む部分よりも径(内径)が大きく構成されている。
【0183】
改質ガスリターン流路251を構成する部材における大径部(CO触媒内筒209をCO触媒外筒210よりも下方で囲む部分)は、内径がCO触媒外筒210の内径と同じ寸法で、外径がCO触媒外筒210の外径と同じ寸法で、CO触媒外筒210を下方に延長するような形でCO触媒外筒210の下端に接合されている。
【0184】
改質ガスリターン流路251を構成する部材における小径部(蒸発器205におけるCO触媒内筒209よりも低い部分と改質器203を囲む部分)は、径が改質触媒外筒よりも大きくてCO触媒外筒210よりも小さく、改質触媒外筒と小径部(蒸発器205におけるCO触媒内筒209よりも低い部分と改質器203を囲む部分)との間を、改質触媒から下方に排出されて改質ガスリターン流路251を構成する部材の底部と改質触媒外筒の下端との隙間を通って上方に折り返した一次水素含有ガスが、通流するように構成されている。
【0185】
改質ガスリターン流路251を構成する部材の底部は、改質触媒内筒の底部よりも大きく、改質ガスリターン流路251を構成する部材の底部は、改質触媒内筒の底部よりも下方に位置するように構成されている。
【0186】
加熱器250は、蒸発器205(蒸発内筒201)の内周側に配置され、燃焼用空気が混合された可燃性ガスを燃焼して燃焼排ガスを排出するバーナと、バーナに可燃性ガスを供給するガス供給管と、バーナに燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給管と、を備えている。
【0187】
可燃性ガスには、原料ガス(都市ガスやLPガス)を用いることができ、水素生成装置299が燃料電池に水素含有ガスを燃料ガスとして供給する場合は、燃料電池で利用されずに燃料電池から排出される燃料ガス(アノードオフガス)を用いることができる。
【0188】
加熱器250のバーナは、下向きの炎を形成するように構成されている。加熱器250は、加熱器250の外周面と蒸発内筒201の内周面との隙間を、燃焼排ガスが上方に流れるように構成されている。
【0189】
加熱器250の下側には、燃焼排ガスが上方に流れる流路を、加熱器250よりも下側に延長するように、外径が加熱器250の外周面の径と同じ寸法の燃焼筒が継ぎ足されている。燃焼筒の下端は、改質触媒内筒の底部よりも高い位置で、改質触媒内筒の底部に近接している。
【0190】
蒸発器205と加熱器250と改質器203と燃焼筒は、加熱器250のバーナの燃焼で発生した燃焼排ガスが、燃焼筒の内周面に沿って燃焼筒の内周側を下方に流れた後に、改質触媒内筒の底部と燃焼筒の下端との隙間を通って上方に折り返して、燃焼筒の外周面と改質触媒内筒の内周面との隙間、燃焼筒の外周面と蒸発内筒201の内周面との隙間、加熱器250の外周面と蒸発内筒201の内周面との隙間を、この順に通流して、蒸発内筒201における上部に設けられた燃焼排ガス出口から水素生成装置299の外部に排出されるように構成されている。
【0191】
改質ガス出口部252を構成する部材は、鉛直方向に中心軸を有し、CO触媒内筒209の上端部207を囲み、上端が、改質水供給管(図示せず)を接続するための孔と原料ガス供給管(図示せず)を接続するための孔よりも低い位置で、蒸発外筒202の外周面に接合され、下端が、CO触媒外筒210の上端に接合されている。また、改質ガス出口部252を構成する部材は、CO除去触媒214から上方に排出された三次水素含有ガス
を水素生成装置299の外部に排出(供給)する出口管を備えている。
【0192】
水素生成装置299は、加熱器250のバーナの燃焼で発生した熱(燃焼排ガスの熱を含む)が、改質触媒内筒を介して改質触媒に伝わって改質触媒を改質反応に適した温度に加熱すると共に、蒸発内筒201を介して蒸発器205内を螺旋状に流れる改質水に伝わって改質水を蒸発させるように構成されている。
【0193】
また、水素生成装置299は、改質触媒から排出されCO低減触媒211に流入する一次水素含有ガスの熱と、蒸発器205から伝熱緩衝空間226とCO触媒内筒209とを介してCO低減触媒211に伝わる熱とが、CO低減触媒211を変成反応に適した温度に加熱するように構成されている。
【0194】
また、水素生成装置299は、CO低減触媒211から排出されCO除去触媒214に流入する二次水素含有ガスの熱と、蒸発器205から伝熱緩衝空間226とCO触媒内筒209とを介してCO除去触媒214に伝わる熱とが、CO除去触媒214を選択酸化反応に適した温度に加熱するように構成されている。
【0195】
[2-2.動作]
以上のように構成されたCO触媒ユニット200及び水素生成装置299について、以下その動作、作用を説明する。
【0196】
水素生成装置299において、必要な水素量を得るために、原料ガスと改質水が、適正な比率で改質水供給管(図示せず)と原料ガス供給管(図示せず)から蒸発器205に供給される。供給された改質水は、蒸発器205の螺旋状流路204に沿って流れながら蒸発内筒201を介して伝わる加熱器250の熱(燃焼排ガスの熱を含む)によって水蒸気となり、原料ガスと混合される。
【0197】
原料ガスと水蒸気の混合ガスは、改質器203へ供給され、改質触媒内筒を介して伝わる加熱器250の熱(燃焼排ガスの熱を含む)によって改質反応に適した温度に加熱された改質触媒により水蒸気改質反応が行われて一次水素含有ガスとなる。
【0198】
改質器203から排出された一次水素含有ガスは、改質ガスリターン流路251を通流して、CO触媒ユニット200のCO低減触媒211に下方から供給され、CO低減触媒211の変成反応により、一次水素含有ガス中のCO濃度が0.1~0.2%程度まで低減されて二次水素含有ガスとなる。
【0199】
このとき、CO低減触媒211は、改質器203(改質触媒)から排出されCO低減触媒211に流入する一次水素含有ガスの熱と、蒸発器205から伝熱緩衝空間226とCO触媒内筒209とを介してCO低減触媒211に伝わる熱とによって、変成反応に適した温度に加熱されている。
【0200】
CO低減触媒211から第1流路220に排出された二次水素含有ガスは、空気供給管222から供給された空気と共に、CO触媒内筒209の第2流路入口223から第2流路217に流入した後に、CO触媒内筒209の吹き出し穴225からヘッダー流路219に流出する。
【0201】
二次水素含有ガスと空気は、十分に混合された状態で、ヘッダー流路219からCO除去触媒214に供給され、CO除去触媒214の選択酸化反応により、CO濃度が数ppm程度にまで低減されて三次水素含有ガスとなる。
【0202】
このとき、CO除去触媒214は、CO低減触媒211から排出されCO除去触媒214に流入する二次水素含有ガスの熱と、蒸発器205から伝熱緩衝空間226とCO触媒内筒209とを介してCO除去触媒214に伝わる熱とによって、選択酸化反応に適した温度に加熱されている。
【0203】
CO除去触媒214から改質ガス出口部252に排出された三次水素含有ガスは、改質ガス出口部252の出口管から水素生成装置299の外に出ていき、燃料電池などの水素利用機器に供給される。
【0204】
加熱器250のバーナの燃焼で発生した燃焼排ガスは、燃焼筒の内周面に沿って燃焼筒の内周側を下方に流れた後に、改質触媒内筒の底部と燃焼筒の下端との隙間を通って上方に折り返して、燃焼筒の外周面と改質触媒内筒の内周面との隙間、燃焼筒の外周面と蒸発内筒201の内周面との隙間、加熱器250の外周面と蒸発内筒201の内周面との隙間を、この順に放熱しながら通流して、蒸発内筒201における上部に設けられた燃焼排ガス出口から水素生成装置299の外部に排出される。
【0205】
(CO触媒ユニットの組立手順)
次に、予め組み立てて自立可能なサブユニットとしてのCO触媒ユニット200の組立手順について説明する。
【0206】
図16に示すように、CO触媒内筒209の外周面の所定の高さ位置に、CO除去下棚板215と、CO低減上棚板213と、区画部材221の内周部とを、それぞれ溶接で固定する。
【0207】
次に、
図17に示すように、CO触媒外筒210の所定の高さ位置に区画部材221の外周部を溶接で固定する。
【0208】
この状態で、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との高さ方向の相対位置関係が定まるとともに、CO除去触媒214とCO低減触媒211がそれぞれ収納される空間の内筒と外筒が構成される。
【0209】
次に、
図18に示すように、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間でCO除去下棚板215の上にCO除去触媒214を所定量充填して、CO除去上棚板216を、CO除去触媒214の上部を覆うようにCO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間に配置して、CO除去上棚板216の内周部をCO触媒内筒209の外周面に固定する。
【0210】
これにより、CO除去触媒214が、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210とCO除去下棚板215とCO除去上棚板216とに囲まれた部分に保持されるようになる。
【0211】
次に、
図19に示すように、この組立途中のCO触媒ユニット100を上下逆(上端部207が下で下端部208が上になる状態)にする。
【0212】
次に、
図20に示すように、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間でCO低減上棚板213の上にCO低減触媒211を所定量充填して、CO低減下棚板212を、CO低減触媒211の上部を覆うようにCO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間に配置して、CO低減下棚板212の内周部をCO触媒内筒209の外周面に固定する。
【0213】
これにより、CO低減触媒211が、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210とCO低減上棚板213とCO低減下棚板212とに囲まれた部分に保持されるようになる。
【0214】
次に、この組立途中のCO触媒ユニット200を上下正常状態(上端部207が上で下端部208が下になる状態)に戻して、CO触媒外筒210を貫通して、第1流路220に空気を供給できるように、空気供給管222をCO触媒外筒210に取付けて、CO触媒ユニットの組立が完了する。
【0215】
(CO触媒ユニットの水素生成装置への取り付け)
図13に示すように、CO触媒ユニット200のCO触媒内筒209の上端部207と下端部208を、それぞれ蒸発外筒202の外周面に溶接で取り付ける。
【0216】
蒸発外筒202はCO触媒内筒209よりも長く、CO触媒内筒209はCO触媒外筒210よりも長く構成されており、蒸発外筒202を囲むCO触媒内筒209の上端部207は、蒸発外筒202の上端部よりも低い位置にあり、CO触媒内筒209を囲むCO触媒外筒210の上端部は、CO触媒内筒209の上端部207よりも低い位置にあり、蒸発外筒202を囲むCO触媒内筒209の下端部208は、蒸発外筒202の下端部よりも高い位置にあり、CO触媒内筒209を囲むCO触媒外筒210の下端部は、CO触媒内筒209の下端部208よりも高い位置にある。
【0217】
そのため、蒸発外筒202の外周面にCO触媒内筒209の上端部207と下端部208を溶接で取り付けるときに、溶接トーチがCO触媒外筒210に干渉しないので、容易に溶接することができる。
【0218】
また、CO触媒内筒209は、区画部材221よりも上方でCO除去下棚板215よりも下方に小径部230を有し、CO触媒内筒209の上端部207と下端部208との間の部分は、小径部230を除いて内径が蒸発外筒202の外径よりも大きく形成されており、上端部207と下端部208とを蒸発外筒202の外周面に溶接で取り付け可能に構成されているので、CO触媒内筒209を蒸発外筒202に取り付けた時に、CO触媒内筒209と蒸発外筒202との間に、小径部230によって上側と下側に分けられた伝熱緩衝空間226が形成され、下側の伝熱緩衝空間は第2流路217となる。
【0219】
第2流路入口223は、CO触媒内筒209に形成され、蒸発外筒202を挟んで空気供給管222の先端と対向する位置で、第1流路220の空気と混合された二次水素含有ガスを第2流路217に流入させる。
【0220】
吹き出し穴225は、小径部230の下側に隣接し小径部230に向かうに従ってCO触媒内筒209の径が小さくなるように傾斜する傾斜部224にあって、傾斜部224に円周方向に複数設けられており、第2流路217の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路219に流出させる。
【0221】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、CO触媒ユニット200は、蒸発器205の外周面に溶接で取り付けられるユニットであって、CO触媒内筒209と、CO触媒外筒210と、CO低減触媒211と、CO低減下棚板212と、CO低減上棚板213と、CO除去触媒214と、CO除去下棚板215と、CO除去上棚板216と、区画部材221と、空気供給管222と、を備えている。
【0222】
蒸発器205は、鉛直方向に中心軸を有する蒸発内筒201と、鉛直方向に中心軸を有し蒸発内筒201よりも短く蒸発内筒201を囲むように配置された蒸発外筒202との間に、外部から供給される改質水が蒸発内筒201から伝わる熱で加熱されながら螺旋状に流れる螺旋状流路204が形成され、外部から供給される原料ガスと水蒸気との混合ガスを改質器203に供給するように構成されている。
【0223】
CO触媒内筒209は、鉛直方向に中心軸を有し、蒸発外筒202よりも短く、上端部207と下端部208とを蒸発外筒202の外周面に溶接で取り付け可能に構成されている。
【0224】
CO触媒外筒210は、鉛直方向に中心軸を有し、CO触媒内筒209よりも短く、CO触媒内筒209を囲むように配置されている。
【0225】
CO低減触媒211は、改質器203において混合ガスから改質反応で生成され改質器203から排出された一次水素含有ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を変成反応で低減して二次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間における下側部分に充填されている。
【0226】
CO低減下棚板212は、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間に配置されCO低減触媒211を下部から支えるドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒211の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0227】
CO低減上棚板213は、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間に配置されCO低減触媒211の上部を覆うドーナツ盤形状の棚板であって、CO低減触媒211の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0228】
CO除去触媒214は、CO低減触媒211から排出される二次水素含有ガスの一酸化炭素の濃度を選択酸化反応で更に低減して、三次水素含有ガスとして排出するように構成された触媒であって、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間における上側部分に充填されている。
【0229】
CO除去下棚板215は、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間に配置されCO除去触媒214を下部から支えるドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒214の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0230】
CO除去上棚板216は、CO触媒内筒209とCO触媒外筒210との間に配置されCO除去触媒214の上部を覆うドーナツ盤形状の棚板であって、CO除去触媒214の粒子径より小さい通気口が形成されている。
【0231】
区画部材221は、内周側端部がCO触媒内筒209に固定され、外周側端部がCO触媒外筒210に固定される、ドーナツ盤形状の部材であって、CO低減上棚板213とCO除去下棚板215とCO触媒内筒209とCO触媒外筒210とで囲まれた空間を、上部空間であるヘッダー流路219と下部空間である第1流路220とに区画するように構成されている。
【0232】
空気供給管222は、CO低減上棚板213と区画部材221との間でCO触媒外筒210を貫通して、第1流路220に空気を供給するように構成されている。
【0233】
CO触媒内筒209は、区画部材221よりも上方でCO除去下棚板215よりも下方に小径部230を有し、CO触媒内筒209の上端部207と下端部208との間の部分は、小径部230を除いて内径が蒸発外筒202の外径よりも大きく形成されている。
【0234】
CO触媒ユニット200は、CO触媒内筒209の上端部207と下端部208とを蒸発外筒202の外周面に溶接で取り付けた場合に、CO触媒内筒209と蒸発外筒202との間に伝熱緩衝空間226が形成されるように構成されている。
【0235】
この伝熱緩衝空間226は、小径部230によって上側の伝熱緩衝空間226と下側の伝熱緩衝空間226とに分けられ、下側の伝熱緩衝空間226は第2流路217となるように構成されている。
【0236】
CO触媒内筒209は、蒸発外筒202を挟んで空気供給管222の先端と対向する位置で第1流路220の空気と混合された二次水素含有ガスを第2流路217に流入させる第2流路入口223と、小径部230の下側に隣接し小径部230に向かうに従ってCO触媒内筒209の径が小さくなるように傾斜する傾斜部224と、傾斜部224に円周方向に複数設けられ第2流路217の空気と混合された二次水素含有ガスをヘッダー流路219に流出させる吹き出し穴225と、を有している。
【0237】
上記構成のCO触媒内筒209を設けることで、自立可能なサブユニットとして予めCO触媒ユニット200を構成することができる。
【0238】
蒸発外筒202はCO触媒内筒209よりも長く、CO触媒内筒209はCO触媒外筒210よりも長く構成されており、蒸発外筒202を囲むCO触媒内筒209の上端部207は、蒸発外筒202の上端部よりも低い位置にあり、CO触媒内筒209を囲むCO触媒外筒210の上端部は、CO触媒内筒209の上端部207よりも低い位置にあり、蒸発外筒202を囲むCO触媒内筒209の下端部208は、蒸発外筒202の下端部よりも高い位置にあり、CO触媒内筒209を囲むCO触媒外筒210の下端部は、CO触媒内筒209の下端部208よりも高い位置にある。
【0239】
そのため、蒸発外筒202の外周面にCO触媒内筒209の上端部207と下端部208を溶接で取り付けるときに、溶接トーチがCO触媒外筒210に干渉しないので、容易に溶接することができる。
【0240】
また、CO触媒内筒209は、区画部材221よりも上方でCO除去下棚板215よりも下方に小径部230を有し、CO触媒内筒209の上端部207と下端部208との間の部分は、小径部230を除いて内径が蒸発外筒202の外径よりも大きく形成されており、上端部207と下端部208とを蒸発外筒202の外周面に溶接で取り付け可能に構成されているので、CO触媒内筒209を蒸発外筒202に取り付けた時に、CO触媒内筒209と蒸発外筒202との間に、小径部230によって上側と下側に分けられた伝熱緩衝空間226が形成され、下側の伝熱緩衝空間は第2流路217となる。
【0241】
そのため、CO触媒ユニット200を蒸発外筒202に取付けることで、CO低減触媒211が充填されている部分と蒸発器205との間とCO除去触媒214が充填されている部分と蒸発器205との間との2箇所にそれぞれ伝熱緩衝空間226を形成することができるとともに、CO低減触媒211が充填されている部分と蒸発器205との間の伝熱緩衝空間226を第2流路217として利用することもできる。
【0242】
これにより、従来必要であったCO低減触媒211部の区画部材(CO低減ヨドミ)とCO除去触媒214部の区画部材(CO除去ヨドミ)と空気混合筒を設ける必要がなくなるので、差し引き2部品を削減することが可能となる。
【0243】
また、CO触媒ユニット200は、予めサブユニットとして組み立てが終了して自立しているので、水素生成装置299の製造時には、CO低減触媒211及びCO除去触媒214の充填作業が製造ラインでは発生しないので製造ラインの自動化が可能となる。
【0244】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特
許請求の範囲またはその均等の範囲において様々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0245】
本開示は、多重筒構成で、筒間のスキマ部に触媒を充填する必要がある容器に適用可能である。具体的には、水素生成装置などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0246】
100 CO触媒ユニット
101 蒸発内筒
102 蒸発外筒
103 改質器
104 螺旋状流路
105 蒸発器
107 上端部
108 下端部
109 CO触媒内筒
110 CO触媒外筒
111 CO低減触媒
112 CO低減下棚板
113 CO低減上棚板
114 CO除去触媒
115 CO除去下棚板
116 CO除去上棚板
117 第2流路
118 空気混合筒
119 ヘッダー流路
120 第1流路
121 区画部材
122 空気供給管
123 第2流路入口
124 傾斜部
125 吹き出し穴
126 伝熱緩衝空間
150 加熱器
151 改質ガスリターン流路
152 改質ガス出口部
199 水素生成装置
200 CO触媒ユニット
201 蒸発内筒
202 蒸発外筒
203 改質器
204 螺旋状流路
205 蒸発器
207 上端部
208 下端部
209 CO触媒内筒
210 CO触媒外筒
211 CO低減触媒
212 CO低減下棚板
213 CO低減上棚板
214 CO除去触媒
215 CO除去下棚板
216 CO除去上棚板
217 第2流路
219 ヘッダー流路
220 第1流路
221 区画部材
222 空気供給管
223 第2流路入口
224 傾斜部
225 吹き出し穴
226 伝熱緩衝空間
230 小径部
250 加熱器
251 改質ガスリターン流路
252 改質ガス出口部
299 水素生成装置