(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065755
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】ガイド装置の設置構造
(51)【国際特許分類】
E01D 24/00 20060101AFI20230508BHJP
E01D 19/12 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
E01D24/00
E01D19/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176087
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000161356
【氏名又は名称】宮地エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】西垣 登
(72)【発明者】
【氏名】野澤 栄二
(72)【発明者】
【氏名】貝瀬 正紀
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA14
2D059GG41
(57)【要約】
【課題】ワイヤーソーをガイドするガイドシャフトを適切に設置し、橋桁の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーによる接合境界面の切断を行いやすくする。
【解決手段】切断作業中のワイヤーソーWsが上面に接するガイド装置40が、一方の傾斜面3a1側に配置される一方のガイド装置41と、他方の傾斜面3a2(3a1)側に配置される他方のガイド装置42(41)を備え、一方のガイド装置41及び他方のガイド装置42(41)は、上面にワイヤーソーWsが接するガイドシャフト410,420と、ガイドシャフト410,420が架け渡されて当該ガイドシャフト410,420を支持する複数のシャフト支持部411,421と、を有し、一方のガイド装置41のガイドシャフト410と他方のガイド装置42(41)のガイドシャフト420(410)は、橋桁2を挟んで対称的な位置関係に配置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の橋桁上に敷設されて橋梁の路面を構成するコンクリート床版と前記橋桁との接合境界面を、床版切断装置が備えるワイヤーソーによって切断する場合の切断作業方向が、前記橋桁の長さ方向に沿っており、
前記コンクリート床版は、前記複数の橋桁の上面に載せられる部分として、前記複数の橋桁の長さ方向に連続するとともに、断面視略逆台形状に形成されて下方に膨出する複数のハンチ部を備え、
前記ハンチ部は、斜め下向きの一方及び他方の傾斜面を有しており、
切断作業中の前記ワイヤーソーが上面に接するガイド装置が、前記橋桁の上端部における両側縁に沿って配置され、
前記ガイド装置は、前記一方の前記傾斜面側に配置される一方のガイド装置と、前記他方の前記傾斜面側に配置される他方のガイド装置と、を備え、
前記一方のガイド装置及び前記他方のガイド装置の各々は、上面に前記ワイヤーソーが接するガイドシャフトと、前記ガイドシャフトが架け渡されて当該ガイドシャフトを支持する複数のシャフト支持部と、を有しており、
前記一方のガイド装置の前記ガイドシャフトと前記他方のガイド装置の前記ガイドシャフトは、前記橋桁を挟んで対称的な位置関係に配置されていることを特徴とするガイド装置の設置構造。
【請求項2】
前記複数のハンチ部のうち前記橋梁の外側縁部側に位置するハンチ部は、前記橋梁の中央部側に位置する前記一方の傾斜面と、前記橋梁の外側縁部側に位置するとともに前記一方の傾斜面よりも角度が緩く設定された前記他方の傾斜面と、を有しており、
前記コンクリート床版は、前記橋梁の外側縁部側の前記橋桁よりも前記外側縁部側に位置する部分が鉛直に切断されたことによって形成された鉛直面を有しており、
前記一方のガイド装置における前記ガイドシャフトは前記一方の傾斜面の下方に配置されており、
前記他方のガイド装置における前記ガイドシャフトは前記鉛直面の側方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のガイド装置の設置構造。
【請求項3】
前記一方のガイド装置における前記シャフト支持部による前記ガイドシャフトの支持形態と、前記他方のガイド装置における前記シャフト支持部による前記ガイドシャフトの支持形態と、が異なる構成となっていることを特徴とする請求項2に記載のガイド装置の設置構造。
【請求項4】
前記複数のハンチ部のうち前記橋梁の外側縁部側に位置するハンチ部は、前記橋梁の中央部側に位置する前記一方の傾斜面と、前記橋梁の外側縁部側に位置するとともに前記一方の傾斜面よりも角度が緩く設定された前記他方の傾斜面と、を有しており、
前記他方の傾斜面には、前記橋桁の長さ方向に沿って長尺な溝部が形成されており、
前記一方のガイド装置における前記ガイドシャフトは前記一方の傾斜面の下方に配置されており、
前記他方のガイド装置における前記ガイドシャフトは前記溝部に差し込まれて当該溝部に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載のガイド装置の設置構造。
【請求項5】
前記橋桁はH型鋼によって構成されて、ウェブと、上フランジと、下フランジと、を備え、前記ウェブは、前記橋桁の長さ方向に沿って一定の上下寸法に設定され、前記上フランジは、前記橋桁の長さ方向に沿って一定ではない厚さ寸法に設定されており、
前記一方のガイド装置及び前記他方のガイド装置の前記ガイドシャフトは、厚さ寸法が一定ではない前記上フランジの両側縁に沿って配置され、かつ、当該ガイドシャフトにおける上面の高さ位置は、厚さ寸法が一定ではない前記上フランジにおける上面の高さ位置よりも上方に設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のガイド装置の設置構造。
【請求項6】
前記橋桁はH型鋼によって構成されて、ウェブと、上フランジと、下フランジと、を備え、前記上フランジは、前記橋桁の長さ方向に沿って一定ではない幅寸法に設定されており、
前記一方のガイド装置及び前記他方のガイド装置の前記ガイドシャフトは、幅寸法が一定ではない前記上フランジの両側縁に沿って配置され、かつ、当該ガイドシャフトにおける上面の高さ位置は、幅寸法が一定ではない前記上フランジにおける上面の高さ位置よりも上方に設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のガイド装置の設置構造。
【請求項7】
前記橋桁側の部分に前記ワイヤーソーが接する回転自在な従動プーリが、前記橋桁の上端部における両側縁に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のガイド装置の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床版切断装置のワイヤーソーをガイドするガイド装置の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁改修工事においてコンクリート床版の解体・撤去が行われる場合に、ワイヤーソーを有する床版切断装置によって、橋桁の上面とコンクリート床版との接合境界面を水平に切断する方法が知られている。
そして、橋梁改修工事において橋桁の架け替えが行われずに再利用される場合は、ワイヤーソーによって橋桁上面が傷つかないように、ワイヤーソーのずれを防ぐためのガイド部材が用いられることがある(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載のガイド部材は、橋桁の上フランジに対し、取付部材を介して取り付けられ、かつ、橋桁の上フランジにおける両側縁に沿って配置されている。ワイヤーソーは、これらのガイド部材の上面に沿って回転し、下方へのずれが抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術においては、ワイヤーソーを回転させる駆動プーリの進行方向が、橋桁の長さ方向と直交する横方向となっている。この場合、橋桁の上フランジにおける両側縁に沿って配置されたガイド部材のうち、駆動プーリの進行方向の反対側に位置するガイド部材は、ワイヤーソーによる切断を進めていくと、ワイヤーソーに接触しなくなる。つまり、途中から、ワイヤーソーをガイドするというガイド部材の本来の機能を果たしにくい状態となる。
しかしながら、上記のように、橋梁改修工事において橋桁が再利用される場合は、ワイヤーソーによって橋桁上面が傷つかないようにしなければならない。そのため、ワイヤーソーによる切断を進めても、ガイド部材がその本来の機能を果たせるようにすることが求められている。すなわち、ガイド部材によるガイドによって、ワイヤーソーによる接合境界面の切断を行いやすくしたいという要望がある。
また、このようなガイド部材と駆動プーリの進行方向との問題だけでなく、例えばコンクリート床版の形状や橋桁の形状、橋梁の長さ方向に並んで配置された橋桁同士の連結部の形状など、他の要因でワイヤーソーによる接合境界面の切断が行いにくい場合もある。このような場合も、ガイド部材によるガイドによって、ワイヤーソーによる接合境界面の切断を行いやすくすることが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、ワイヤーソーをガイドするガイドシャフトを適切に設置し、橋桁の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーによる接合境界面の切断を行いやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数の橋桁上に敷設されて橋梁の路面を構成するコンクリート床版と前記橋桁との接合境界面を、床版切断装置が備えるワイヤーソーによって切断する場合の切断作業方向が、前記橋桁の長さ方向に沿っており、
前記コンクリート床版は、前記複数の橋桁の上面に載せられる部分として、前記複数の橋桁の長さ方向に連続するとともに、断面視略逆台形状に形成されて下方に膨出する複数のハンチ部を備え、
前記ハンチ部は、斜め下向きの一方及び他方の傾斜面を有しており、
切断作業中の前記ワイヤーソーが上面に接するガイド装置が、前記橋桁の上端部における両側縁に沿って配置され、
前記ガイド装置は、前記一方の前記傾斜面側に配置される一方のガイド装置と、前記他方の前記傾斜面側に配置される他方のガイド装置と、を備え、
前記一方のガイド装置及び前記他方のガイド装置の各々は、上面に前記ワイヤーソーが接するガイドシャフトと、前記ガイドシャフトが架け渡されて当該ガイドシャフトを支持する複数のシャフト支持部と、を有しており、
前記一方のガイド装置の前記ガイドシャフトと前記他方のガイド装置の前記ガイドシャフトは、前記橋桁を挟んで対称的な位置関係に配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガイド装置の設置構造において、
前記複数のハンチ部のうち前記橋梁の外側縁部側に位置するハンチ部は、前記橋梁の中央部側に位置する前記一方の傾斜面と、前記橋梁の外側縁部側に位置するとともに前記一方の傾斜面よりも角度が緩く設定された前記他方の傾斜面と、を有しており、
前記コンクリート床版は、前記橋梁の外側縁部側の前記橋桁よりも前記外側縁部側に位置する部分が鉛直に切断されたことによって形成された鉛直面を有しており、
前記一方のガイド装置における前記ガイドシャフトは前記一方の傾斜面の下方に配置されており、
前記他方のガイド装置における前記ガイドシャフトは前記鉛直面の側方に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のガイド装置の設置構造において、
前記一方のガイド装置における前記シャフト支持部による前記ガイドシャフトの支持形態と、前記他方のガイド装置における前記シャフト支持部による前記ガイドシャフトの支持形態と、が異なる構成となっていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のガイド装置の設置構造において、
前記複数のハンチ部のうち前記橋梁の外側縁部側に位置するハンチ部は、前記橋梁の中央部側に位置する前記一方の傾斜面と、前記橋梁の外側縁部側に位置するとともに前記一方の傾斜面よりも角度が緩く設定された前記他方の傾斜面と、を有しており、
前記他方の傾斜面には、前記橋桁の長さ方向に沿って長尺な溝部が形成されており、
前記一方のガイド装置における前記ガイドシャフトは前記一方の傾斜面の下方に配置されており、
前記他方のガイド装置における前記ガイドシャフトは前記溝部に差し込まれて当該溝部に沿って配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のガイド装置の設置構造において、
前記橋桁はH型鋼によって構成されて、ウェブと、上フランジと、下フランジと、を備え、前記ウェブは、前記橋桁の長さ方向に沿って一定の上下寸法に設定され、前記上フランジは、前記橋桁の長さ方向に沿って一定ではない厚さ寸法に設定されており、
前記一方のガイド装置及び前記他方のガイド装置の前記ガイドシャフトは、厚さ寸法が一定ではない前記上フランジの両側縁に沿って配置され、かつ、当該ガイドシャフトにおける上面の高さ位置は、厚さ寸法が一定ではない前記上フランジにおける上面の高さ位置よりも上方に設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のガイド装置の設置構造において、
前記橋桁はH型鋼によって構成されて、ウェブと、上フランジと、下フランジと、を備え、前記上フランジは、前記橋桁の長さ方向に沿って一定ではない幅寸法に設定されており、
前記一方のガイド装置及び前記他方のガイド装置の前記ガイドシャフトは、幅寸法が一定ではない前記上フランジの両側縁に沿って配置され、かつ、当該ガイドシャフトにおける上面の高さ位置は、幅寸法が一定ではない前記上フランジにおける上面の高さ位置よりも上方に設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のガイド装置の設置構造において、
前記橋桁側の部分に前記ワイヤーソーが接する回転自在な従動プーリが、前記橋桁の上端部における両側縁に沿って配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワイヤーソーをガイドするガイドシャフトを適切に設置し、橋桁の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーによる接合境界面の切断を行いやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】橋梁の構成と、カッター装置によってコンクリート床版を切断作業方向と直交する方向に切断する場合の一例を示す立断面図である。
【
図3】鉛直面が形成される前の橋梁の片側を示す立断面図である。
【
図4】鉛直面が形成されてガイド装置が設置された状態の橋梁の片側を示す立断面図である。
【
図5】鉛直面が形成されてガイド装置が設置された状態の橋梁の片側を示す立断面図である。
【
図7】鉛直面が形成されてガイド装置が設置された状態の橋梁の片側を示す立断面図である。
【
図9】厚さ寸法が一定ではない上フランジに沿うガイド装置の設置構造の一例を示す側断面図である。
【
図10】幅寸法が一定ではない上フランジに沿うガイド装置の設置構造の一例を示す平面図である。
【
図11】コンクリート床版の上側からガイドシャフトの位置を確認するための形態を示す立断面図である。
【
図12】床版切断装置が橋桁の下方に設置された場合におけるガイド装置の設置構造の一例を示す側断面図である。
【
図13】通常のハンチ部を切断する場合におけるガイド装置の設置構造の一例を示す立断面図である。
【
図14】橋梁の外側縁部に位置するハンチ部を切断する場合におけるガイド装置の設置構造の一例を示す立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
<第1実施形態>
図1において符号1は橋梁を示す。この橋梁1は、例えば鉄道や道路が建設される高架橋であり、本実施形態における橋梁1は、道路が建設される高架橋を指している。
高架橋である橋梁1は、橋脚(図示せず)間に架設されたH型鋼からなる複数の橋桁2と、これら複数の橋桁2上に敷設されて橋梁1の路面を構成するコンクリート床版3と、を備える。コンクリート床版3の外側縁部には、コンクリート製の壁高欄1aが一体に設けられているが、これに限られるものではなく、防護柵が立てられる地覆が一体に設けられてもよい。
なお、本実施形態における橋梁1は高架橋であるとしたが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその他の種類の橋を採用してもよい。
【0017】
複数の橋桁2には、
図2等に示すように、これら複数の橋桁2同士の連結強度を向上させたり、橋梁1自体の強度を向上させたりするための補強材が設けられている。このような補強材としては、例えば複数の橋桁2間に水平に架け渡された補強梁4a、鉛直方向に配置された鉛直ブレース4b、水平方向に配置された水平ブレース等が挙げられる。これらの補強材は、橋桁2を構成するフランジ部やスチフナ2b等に接合されたガセットプレートに設けられている。なお、スチフナ2bは、橋桁2を構成するウェブの両側にセットで、かつ橋桁2の長さ方向に間隔を空けて複数設けられている。したがって、上記の補強材は、橋桁2の長さ方向に複数設けることが可能となっている。
なお、補強梁4aや鉛直ブレース4bは、複数の橋桁2の延在方向に間隔を空けて複数設けられている。そのため、橋梁1は、これら補強梁4a及び鉛直ブレース4bによって延在方向に沿って区切られた状態となっている。
【0018】
コンクリート床版3は、橋桁2の上面に載る部分として下方に膨出する断面視略逆台形状のハンチ部3aを有し、橋梁1の建造時に、このハンチ部3aが、橋桁2の上面に突出して設けられた複数のジベル2a(例えば頭付きスタッドジベル)を含んだ状態となるようにコンクリート打設されて形成されている。そのため、コンクリート床版3は、複数のジベル2aを介して橋桁2と接合した状態となっている。このように橋桁2とコンクリート床版3とが接合し合う面を接合境界面Jと称する。
【0019】
ハンチ部3aは、逆台形状に形成されているため、橋桁2の両側縁に沿う一方及び他方の斜め下向きの傾斜面を有することとなる。
また、ハンチ部3aは、
図2等に示すように、橋梁1の延在方向と直交する方向の断面視において、コンクリート床版3の下面に複数設けられている。
これら複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の外側縁部側のハンチ部3aは、コンクリート床版3の中央部側に位置する第一傾斜面3a1と、コンクリート床版3の外側縁部側に位置する第二傾斜面3a2と、を有する。そして、第二傾斜面3a2は、コンクリート床版3の外側縁部までの距離が長い分、第一傾斜面3a1よりも角度が緩く設定されている。第二傾斜面3a2における外側縁部側の端部は、壁高欄1aの外側面と交差する。
なお、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の中央部側のハンチ部3aは、橋桁2の両側縁に沿う一方及び他方の傾斜面の角度が、上記の第一傾斜面3a1と等しく設定されている。以下、中央部側のハンチ部3aにおける一方及び他方の傾斜面も、第一傾斜面3a1と称呼するものとする。
換言すれば、橋梁1は、
図2に示すように、複数の橋桁2を備えており、これら複数の橋桁2のうち橋梁1の両側縁側に位置する2本の橋桁2の上に載せられるコンクリート床版3のハンチ部3aは、上記の第一傾斜面3a1及び第二傾斜面3a2を有する。一方、複数の橋桁2のうち橋梁1の中央側に位置する橋桁2の上に載せられるコンクリート床版3のハンチ部3aは、一方及び他方の傾斜面の角度が、上記の第一傾斜面3a1と等しく設定されている。
【0020】
コンクリート床版3は、上記のように橋梁1における路面を構成しており、通常時には多くの車両が通行する。そのため、年月の経過によって老朽化したり、設計荷重よりも大きな交通荷重がかかることによって損傷したりするのに応じて橋梁改修工事が適時行われる。
橋梁改修工事は、橋梁1の延在方向に沿って長い区間で行われる場合が多いため、改修工事予定区間のコンクリート床版3は、橋梁1の長さ方向において複数のエリア(解体予定箇所)に分割されて解体・撤去作業が行われる。
本実施形態においては、橋梁1をなるべく通行止めしないようにして橋梁改修工事が行われるものとする。すなわち、
図2に示すように、二車線道路であれば片側ずつ改修工事が行われる。
【0021】
コンクリート床版3は、床版切断装置(例えば
図7,
図8,
図12,
図13参照)における無端状の無水式ワイヤーソーWs(以下、ワイヤーソーWs)を走行駆動させることによって上記のジベル2aごと接合境界面Jが切断されることで橋桁2と切り離される。そして、コンクリート床版3は、輸送車両に積み込むことができる程度の大きさとなるように複数に、かつ順次解体される。
なお、ジベル2aごと接合境界面Jを切断できるようにワイヤーソーWsを配置する場合は、ワイヤーソーWsを、切断対象の橋桁2を挟んで一方側と他方側との間に通す必要がある。そのため、接合境界面J(ハンチ部3a)には、ワイヤーソーWsを通すための挿通孔Jhが形成される。
【0022】
本実施形態において、コンクリート床版3を、幅方向及び厚み方向に切断する場合は、
図2に示すように、無水用のカッターブレード5aを有するカッター装置(ロードカッター、コンクリートカッター)5を用いるが、これに限られるものではなく、床版切断装置によって切断してもよい。その場合は、ワイヤーソーWsにより、橋桁2とコンクリート床版3の接合境界面Jに沿う方向(水平方向)と、コンクリート床版3の幅方向及び厚み方向(鉛直方向)とを同時に又は異なるタイミングで切断する。
【0023】
本実施形態においては、ワイヤーソーWsをガイドして下方へのずれを防ぐため、
図3,
図4に示すように、ガイド装置10が橋桁2の両側縁に、橋桁2の長さ方向に沿って配置される。また、コンクリート床版3のうち、橋桁2よりも外側に位置する部分3Aは、壁高欄1aも含めて事前に撤去される。すなわち、本実施形態における床版切断装置は、ワイヤーソーWsによって、橋桁2よりも外側に位置する部分3Aが撤去された状態のコンクリート床版3と橋桁2の接合境界面Jに沿う方向であって、かつ、橋桁2の長さ方向に沿う方向に、コンクリート床版3を切断するものである。
【0024】
コンクリート床版3のうち事前に撤去される外側の部分3Aは、橋桁2の上フランジにおける外側の側縁よりも若干外側に位置する部位(
図3中の二点鎖線)を鉛直に切断したときに切り離される部分を指している。
当該外側に位置する部分3Aの下面は、上記のハンチ部3aにおける第二傾斜面3a2となっており、第二傾斜面3a2の大部分が、コンクリート床版3から切り離されることとなる。これにより、コンクリート床版3の外側縁部側のハンチ部3aは、
図4に示すように、角度の緩い第二傾斜面3a2がほとんど無い状態となり、鉛直面3Vが形成されることとなる。この鉛直面3Vにおける下端部の高さ位置は、接合境界面Jの高さ位置以下に設定されている。
【0025】
ガイド装置10は、切断対象の橋桁2の上端部における両側縁に沿って配置され、ワイヤーソーWsの下面に接する。より詳細には、ワイヤーソーWsのうち、切断対象の橋桁2の上端部における両側縁からはみ出した部分の下面に接している。
このようなガイド装置10が設けられることにより、切断作業中のワイヤーソーWsの撓み(下方へのずれ)を確実に抑制しつつ、ワイヤーソーWsの走行駆動をガイドできる。その結果、ワイヤーソーWsの水平度を確保することができるので、接合境界面Jの切断作業を正確に行うことができ、橋桁2の上端部(上フランジ)がワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぐことができる。
【0026】
〔実施例A〕
本実施形態における実施例Aのガイド装置10は、
図4に示すように、第一傾斜面3a1の下面側に配置される第一ガイド装置11と、第二傾斜面3a2の下面側に配置される第二ガイド装置12と、を備える。
より詳細に説明すると、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の中央部側のハンチ部3aの場合は、一方及び他方の第一傾斜面3a1の下面側に第一ガイド装置11が配置される。
また、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の外側縁部側のハンチ部3aの場合は、コンクリート床版3の中央部側に位置する第一傾斜面3a1の下面側に第一ガイド装置11が配置され、第二傾斜面3a2の下面側で、かつ、鉛直面3Vの側方に第二ガイド装置12が配置される。
【0027】
第一ガイド装置11は、橋桁2に沿って長尺な角型パイプシャフトからなるガイドシャフト110と、このガイドシャフト110を支持する複数のシャフト支持部111と、を有する。ワイヤーソーWsは、複数のシャフト支持部111に架け渡されたガイドシャフト110の上面に接する。
【0028】
各シャフト支持部111は、コンクリート床版3の下面にアンカー止めされる取付プレート112と、取付プレート112の下面に取り付けられて下垂する吊材113と、吊材113に交差して連結されて橋桁2に向かって伸びるブラケット部114と、を備える。つまり、各シャフト支持部111は、取付プレート112によってコンクリート床版3の下面に取り付けられるものであるため、橋桁2(橋梁1)の長さ方向に沿う任意の位置に配置することができる。
そして、複数のシャフト支持部111は、橋桁2の長さ方向に間隔を空けて配置されており、これら複数のシャフト支持部111における各ブラケット部114の上面に、ガイドシャフト110が架け渡されて固定されている。このときのガイドシャフト110における上面の高さ位置は、橋桁2における上面の高さ位置よりも高く設定されている。
また、ブラケット部114は、吊材113に対して連結される連結部114aを有し、当該連結部114aが吊材113に沿ってスライド移動可能な構成であってもよい。
【0029】
第二ガイド装置12は、橋桁2に沿って長尺な角型パイプシャフトからなるガイドシャフト120と、このガイドシャフト120を支持する複数のシャフト支持部121と、を有する。ワイヤーソーWsは、複数のシャフト支持部121に架け渡されたガイドシャフト120の上面に接する。
【0030】
各シャフト支持部121は、橋桁2のスチフナ2bに取り付けられる取付プレート122と、取付プレート122に連結されて橋桁2から離間する方向に伸びるブラケット部123と、を備える。
そして、複数のシャフト支持部121は、橋桁2の長さ方向に間隔を空けて設けられたスチフナ2bに連結されており、これら複数のシャフト支持部121における各ブラケット部123の上面に、ガイドシャフト120が架け渡されて固定されている。このときのガイドシャフト120における上面の高さ位置は、橋桁2における上面の高さ位置よりも高く、かつ、第一ガイド装置11のガイドシャフト110における上面の高さ位置と等しく設定されている。
また、取付プレート122は、橋桁2のスチフナ2bに対してボルト・ナットで連結されるが、クランプ等の固定具によって挟み込まれて取り付けられてもよい。
【0031】
なお、複数のシャフト支持部121はスチフナ2bに連結されるものとしたが、これに限られるものではなく、橋桁2のウェブやフランジに対して溶接やボルト・ナット等によって取り付けられて固定されるものとしてもよい。これにより、スチフナ2bの位置にとらわれずに、橋桁2の長さ方向における任意の位置に複数のシャフト支持部121を配置できるので好ましい。
このような構成の場合、複数のシャフト支持部121は、少なくとも、橋桁2のウェブ又は/及びフランジに取り付けられる取付部と、取付部に連結されて橋桁2から離間する方向に伸びるブラケット部123と、を備える。
【0032】
また、本実施形態において、第一ガイド装置11における複数のシャフト支持部111は、橋桁2を挟んで、第二ガイド装置12における複数のシャフト支持部121と対称的な位置関係で配置されるものとする。ただし、これに限られるものではなく、これらの複数のシャフト支持部111,121は、橋桁2を挟んで、非対称な位置関係で配置されてもよい。つまり、橋桁2を挟んで橋桁2の両側に位置する複数のシャフト支持部111,121の位置は、橋桁2の長さ方向にずれていてもよい。
【0033】
本実施例Aにおいて、床版切断装置は、コンクリート床版3の上面に設置されてもよいし、コンクリート床版3の下方に設置されてもよい。床版切断装置がどの位置に設置されていても、ワイヤーソーWsは、橋桁2の上面よりも上方に位置する接合境界面Jの高さに配置される。
ワイヤーソーWsは、切断作業方向Y(
図8等参照)の上流側から下流側に向かって接合境界面Jを切断していく。すなわち、床版切断装置は、切断作業方向Yの下流側に配置されており、ワイヤーソーWsを走行駆動させて回転させながら下流側に引っ張って巻き取る構成となっている。そのため、コンクリート床版3に接するワイヤーソーWsの最も上流側に位置する部位Ws1がコンクリート床版3を切断するようになっている。
ワイヤーソーWsのうち、橋桁2の上フランジにおける両側縁からはみ出した部分は、橋桁2の上フランジにおける両側縁に沿って配置されたガイド装置10(第一ガイド装置11、第二ガイド装置12)の上面に接する。これにより、切断作業中のワイヤーソーWsの撓み(下方へのずれ)が確実に抑制され、ワイヤーソーWsの走行駆動がガイドされることになる。その結果、ワイヤーソーWsの水平度を確保することができるので、接合境界面Jの切断作業を正確に行うことができ、橋桁2の上端部(上フランジ)がワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぐことができる。
【0034】
〔実施例B〕
本実施形態における実施例Bのガイド装置40は、
図5,
図6に示すように、第一傾斜面3a1の下面側に配置される第一ガイド装置41と、第二傾斜面3a2の下面側に配置される第二ガイド装置42と、を備える。
より詳細に説明すると、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の中央部側のハンチ部3aの場合は、一方及び他方の第一傾斜面3a1の下面側に第一ガイド装置41がそれぞれ配置される。
また、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の外側縁部側のハンチ部3aの場合は、コンクリート床版3の中央部側に位置する第一傾斜面3a1の下面側に第一ガイド装置41が配置され、第二傾斜面3a2の下面側で、かつ、鉛直面3Vの側方に第二ガイド装置42が配置される。
【0035】
第一ガイド装置41は、橋桁2に沿って長尺な角型パイプシャフトからなるガイドシャフト410と、このガイドシャフト410を支持する複数のシャフト支持部411と、を有する。ワイヤーソーWsは、複数のシャフト支持部411に架け渡されたガイドシャフト410の上面に接する。
【0036】
各シャフト支持部411は、橋桁2における上下のフランジ間に垂直に架け渡されて設けられる垂直フレーム412と、垂直フレーム412の上端部に交差して連結されて橋桁2から遠ざかる方向に伸びるブラケット部413と、を少なくとも備える。
垂直フレーム412の下端部には、橋桁2における下フランジの上面に設置されるジャッキ412aが設けられている。ジャッキ412aをジャッキアップすることで垂直フレーム412を上方に押し上げることができ、垂直フレーム412の上端部を上フランジの下面に押し付けることができる。これにより、シャフト支持部411を橋桁2に対して強固に、かつ、橋桁2の長さ方向における任意の位置に取り付けることができるとともに、脱着も容易となって施工性の向上に貢献できる。
【0037】
本実施例Bの各シャフト支持部411は、垂直フレーム412の下端部とブラケット部413の先端部との間に架け渡されるブレース414を更に備える。これにより、シャフト支持部411をトラス状に形成することができ、シャフト支持部411を補強できる。
なお、本実施例Bにおいては、垂直フレーム412とブラケット部413とを連結するブレース414を採用したが、これに限られるものではなく、垂直フレーム412とブラケット部413とを連結できるプレートを採用してもよい。
【0038】
そして、複数のシャフト支持部411は、橋桁2の長さ方向に間隔を空けて配置されており、これら複数のシャフト支持部411における各ブラケット部413の上面に、ガイドシャフト410が架け渡されて固定されている。このときのガイドシャフト410における上面の高さ位置は、橋桁2における上面の高さ位置よりも高く設定されている。
ブラケット部413の上面は、上記の補強梁4aや水平ブレースよりも上方に位置している。これにより、ガイドシャフト410を、複数のシャフト支持部411に確実に架け渡すことができる。
なお、橋桁2を挟んで一方及び他方に位置するシャフト支持部411は、左右対称に設けられる。
【0039】
第二ガイド装置42は、橋桁2に沿って長尺な角型パイプシャフトからなるガイドシャフト420と、このガイドシャフト420を支持する複数のシャフト支持部421と、を有する。ワイヤーソーWsは、複数のシャフト支持部421に架け渡されたガイドシャフト420の上面に接する。
【0040】
各シャフト支持部421は、上記の第一ガイド装置41における各シャフト支持部411と同様に構成されており、垂直フレーム422と、ブラケット部423と、を少なくとも備える。また、ブレース424を更に備えており、垂直フレーム422の下端部にはジャッキ422aが設けられている。
すなわち、第二ガイド装置42は、ガイドシャフト420が鉛直面3Vの側方に配置される点を除き、第一ガイド装置41と同様の構成となっている。
【0041】
また、本実施形態において、第一ガイド装置41における複数のシャフト支持部411は、橋桁2を挟んで、第二ガイド装置42における複数のシャフト支持部421と対称的な位置関係で配置されるものとする。ただし、これに限られるものではなく、これらの複数のシャフト支持部411,421は、橋桁2を挟んで、非対称な位置関係で配置されてもよい。つまり、橋桁2を挟んで橋桁2の両側に位置する複数のシャフト支持部411,421の位置は、橋桁2の長さ方向にずれていてもよい。
さらに、第一ガイド装置41は、図示しない水平ブレースによって設置位置が制限される場合があるが、そのような場合は、上記の実施例Aにおける第一ガイド装置11を併用してもよい。
【0042】
本実施例Bにおいて、床版切断装置は、コンクリート床版3の上面に設置されてもよいし、コンクリート床版3の下方に設置されてもよい。床版切断装置がどの位置に設置されていても、ワイヤーソーWsは、橋桁2の上面よりも上方に位置する接合境界面Jの高さに配置される。
ワイヤーソーWsは、切断作業方向Y(
図8等参照)の上流側から下流側に向かって接合境界面Jを切断していく。すなわち、床版切断装置は、切断作業方向Yの下流側に配置されており、ワイヤーソーWsを走行駆動させて回転させながら下流側に引っ張って巻き取る構成となっている。そのため、コンクリート床版3に接するワイヤーソーWsの最も上流側に位置する部位Ws1がコンクリート床版3を切断するようになっている。
ワイヤーソーWsのうち、橋桁2の上フランジにおける両側縁からはみ出した部分は、橋桁2の上フランジにおける両側縁に沿って配置されたガイド装置40(第一ガイド装置41、第二ガイド装置42)の上面に接する。これにより、切断作業中のワイヤーソーWsの撓み(下方へのずれ)が確実に抑制され、ワイヤーソーWsの走行駆動がガイドされることになる。その結果、ワイヤーソーWsの水平度を確保することができるので、接合境界面Jの切断作業を正確に行うことができ、橋桁2の上端部(上フランジ)がワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぐことができる。
【0043】
〔実施例C〕
本実施形態における実施例Cのガイド装置20は、
図7,
図8等に示すように、第一傾斜面3a1の下面側に配置される第一ガイド装置21と、第二傾斜面3a2の下面側に配置される第二ガイド装置22と、を備える。
より詳細に説明すると、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の中央部側のハンチ部3aの場合は、一方及び他方の第一傾斜面3a1の下面側に第一ガイド装置21が配置される。
また、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の外側縁部側のハンチ部3aの場合は、コンクリート床版3の中央部側に位置する第一傾斜面3a1の下面側に第一ガイド装置21が配置され、主に鉛直面3Vの側方であって、かつ、コンクリート床版3の上面から橋桁2の下面にかけて第二ガイド装置22が配置される。
【0044】
第一ガイド装置21は、橋桁2に沿って長尺な角型パイプシャフトからなるガイドシャフト210と、このガイドシャフト210を支持する複数のシャフト支持部211と、を有する。ワイヤーソーWsは、複数のシャフト支持部211に架け渡されたガイドシャフト210の上面に接する。
【0045】
複数のシャフト支持部211は、一のシャフト支持部211と、他のシャフト支持部111と、を有する。ガイドシャフト210は、これら一のシャフト支持部211と複数の他のシャフト支持部111との間に架け渡されて支持される。
【0046】
一のシャフト支持部211は、
図7,
図8に示すように、切断作業方向Yにおいてコンクリート床版3の床版切断装置25の近傍に配置されるとともに下方に配置されている。このような一のシャフト支持部211は、コンクリート床版3の下面にアンカー止めされる取付プレート212と、取付プレート212の下面に取り付けられて下垂する吊材213と、吊材213に交差して連結されて橋桁2に向かう方向と橋桁2から離間する方向に伸びるブラケット部214と、固定フレーム215と、連結フレーム216と、を備える。
【0047】
固定フレーム215は、橋桁2に固定されるフレーム材であり、橋桁2から外側方に突出している。なお、本実施形態においては、橋桁2の下フランジにクランプ215aによって取り付け固定されている。ただし、これに限られるものではなく、固定フレーム215は、橋桁2のウェブやスチフナ2bに固定されてもよい。
【0048】
連結フレーム216は、ブラケット部214と固定フレーム215の突出部分との間に架け渡され、当該ブラケット部214と固定フレーム215とを上下に連結している。
また、本実施形態において連結フレーム216は複数用いられており、これら複数の連結フレーム216は、切断作業方向Yと直交する橋梁1の幅方向に間隔を空けて設けられている。さらに、これら複数の連結フレーム216は、ブラケット部214及び固定フレーム215に対して連結される連結部216aを有する。当該連結部216aは、ブラケット部214及び固定フレーム215に沿ってスライド移動可能な構成であってもよい。
【0049】
他のシャフト支持部111は、上記の実施例Aにおけるシャフト支持部111(第一ガイド装置11)と同様の構成とされている。
すなわち、当該他のシャフト支持部111は、コンクリート床版3の下面にアンカー止めされる取付プレート112と、取付プレート112の下面に取り付けられて下垂する吊材113と、吊材113に交差して連結されて橋桁2に向かって伸びるブラケット部114と、を備える。
なお、本実施例Cにおける他のシャフト支持部111は、上記の実施例Aにおけるシャフト支持部111が採用されるものとしたが、これに限られるものではなく、上記の実施例Bにおけるシャフト支持部411が採用されてもよい。
【0050】
第二ガイド装置22は、橋桁2に沿って長尺な角型パイプシャフトからなるガイドシャフト220と、このガイドシャフト220を支持する複数のシャフト支持部221と、を有する。ガイドシャフト220は、鉛直面3Vの側方に配置されている。そして、ワイヤーソーWsは、複数のシャフト支持部221に架け渡されたガイドシャフト220の上面に接する。
【0051】
複数のシャフト支持部221は、一のシャフト支持部221と、図示しない他のシャフト支持部と、を有する。ガイドシャフト220は、これら一のシャフト支持部221と複数の他のシャフト支持部との間に架け渡されて支持される。
【0052】
一のシャフト支持部221は、
図7,
図8に示すように、切断作業方向Yにおいてコンクリート床版3の床版切断装置25の近傍に配置されるとともに大部分が下方に配置されている。このような一のシャフト支持部221は、第一固定フレーム222と、第二固定フレーム223と、連結フレーム224と、ブラケット部225と、を備える。
【0053】
第一固定フレーム222は、コンクリート床版3に固定されるフレーム材であり、コンクリート床版3から外側方(橋梁1の外側縁部側)に突出している。なお、本実施形態においては、コンクリート床版3の上面にアンカー止めされている。ただし、これに限られるものではなく、第一固定フレーム222は、鉛直面3Vの上部に固定されてもよい。
【0054】
第二固定フレーム223は、橋桁2に固定されるフレーム材であり、橋桁2から外側方に突出している。なお、本実施形態においては、橋桁2の下フランジにクランプ223aによって取り付け固定されている。ただし、これに限られるものではなく、第二固定フレーム223は、橋桁2のウェブやスチフナ2bに固定されてもよい。
なお、この第二固定フレーム223は、第一ガイド装置21のシャフト支持部211における固定フレーム215と一体形成されてもよい。
【0055】
連結フレーム224は、第一固定フレーム222の突出部分と第二固定フレーム223の突出部分との間に架け渡され、当該第一固定フレーム222と第二固定フレーム223とを上下に連結している。
また、本実施形態において連結フレーム224は複数用いられており、これら複数の連結フレーム224は、切断作業方向Yと直交する橋梁1の幅方向に間隔を空けて設けられている。さらに、これら複数の連結フレーム224は、第一固定フレーム222及び第二固定フレーム223に対して連結される連結部224aを有する。
【0056】
ブラケット部225は、連結フレーム224に交差して連結されて橋桁2に向かって伸びる。このブラケット部225は、第二傾斜面3a2の下方に位置している。
また、ブラケット部225は、連結フレーム224に対して連結される連結部225aを有し、当該連結部225aが連結フレーム224に沿ってスライド移動可能な構成であってもよい。
【0057】
他のシャフト支持部は、図示はしないが、上記の実施例Aにおけるシャフト支持部121(第二ガイド装置12)又は実施例Bにおけるシャフト支持部421(第二ガイド装置42)と同様の構成とされている。
すなわち、当該他のシャフト支持部は、橋桁2(スチフナ2b、ウェブ、フランジ)に取り付けられる取付部(例えば取付プレート122、垂直フレーム422)と、取付部に連結されて橋桁2から離間する方向に伸びて上記のガイドシャフト220を支持するブラケット部(例えばブラケット部123、ブラケット部423)と、を備える。
なお、このような他のシャフト支持部は、橋桁2を挟んで、第一ガイド装置21における複数の他のシャフト支持部111と対称的な位置関係で配置されるものとする。
【0058】
本実施例Cの床版切断装置25は、
図7,
図8に示すように、内蔵された複数のプーリとして、駆動プーリ250と、固定プーリ251と、移動プーリ252と、を備える。
また、複数のプーリ250,251,252は、筐体25a内に収納されているものとする。すなわち、複数のプーリ250,251,252は、筐体25aによってカバーされた状態となっている。
なお、床版切断装置25は、複数のプーリ250,251,252の他にも、ワイヤーソーWsを冷却する冷却装置を始め、コンクリート床版3の解体・撤去作業に必要な種々の装置や機能を有するものとする。
【0059】
駆動プーリ250は、駆動装置250aに取り付けられて回転するように構成されており、橋梁1の外側縁部側に位置する駆動プーリ250と、橋梁1の中央側に位置する駆動プーリ250と、からなる。
ワイヤーソーWsは、これらの駆動プーリ250の回転駆動に伴って繰り出されて高速で走行する。
【0060】
固定プーリ251は、左右の駆動プーリ250の間の位置に固定されるとともに回転自在とされた3つの固定プーリ251からなる。
各固定プーリ251には、移動プーリ252と交互にワイヤーソーWsが巻き掛けられており、切断作業が進むにつれて弛緩するワイヤーソーWsに対して張力を付加する際に効果的に機能する。
【0061】
移動プーリ252は、左右の駆動プーリ250の間の位置から上方に移動可能(上下移動可能)であるとともに回転自在とされた2つの移動プーリ252からなる。
各移動プーリ252には、固定プーリ251と交互にワイヤーソーWsが巻き掛けられており、固定プーリ251との間隔を拡げるように移動することによってワイヤーソーWsに張力を付加することができる。
【0062】
さらに、床版切断装置25は、当該床版切断装置25側から切断作業方向Yの上流側にワイヤーソーWsを取り回すのに必要な複数の従動プーリ(第一従動プーリ254、第二従動プーリ255、第三従動プーリ256)を備える。これら複数の従動プーリ254,255,256は、ワイヤーソーWsをその延設経路に沿った走行方向に案内するとともに走行駆動させることができる。
【0063】
第一従動プーリ254は、床版切断装置25の下方の左右それぞれに配置されており、左右の駆動プーリ250に続いて設けられて、これら左右の駆動プーリ250との間にワイヤーソーWsが渡される。コンクリート床版3のうち床版切断装置25直下に位置する部位には、厚み方向に貫通する貫通孔が形成されて、当該貫通孔にワイヤーソーWsが通される。
駆動プーリ250から渡されたワイヤーソーWsは、第一従動プーリ254の下面側に巻き回される。駆動プーリ250から第一従動プーリ254の下面側に渡されたワイヤーソーWsは、上方に向かって伸びるように取り回すことができる。
【0064】
第二従動プーリ255は、左右の第一従動プーリ254それぞれの上方に配置されており、左右の第一従動プーリ254に続いて設けられて、これら左右の第一従動プーリ254との間にワイヤーソーWsが渡される。
第一従動プーリ254から渡されたワイヤーソーWsは、第二従動プーリ255の上面側に巻き回される。第一従動プーリ254から第二従動プーリ255の上面側に渡されたワイヤーソーWsは、橋桁2の長さ方向(切断作業方向Yの反対方向)に沿って伸びるように取り回すことができる。
【0065】
なお、第一従動プーリ254を回転自在に保持する保持部と、第二従動プーリ255を回転自在に保持する保持部は上下に連結されており、これら上下の保持部は、図示しない取付部に連結されており、この取付部によってコンクリート床版3の下面又は橋桁2に取り付けられて固定されている。
【0066】
第三従動プーリ256は、左右の第二従動プーリ255それぞれの上流側(切断作業方向Yの上流側)に配置されており、左右の第二従動プーリ255に続いて設けられて、これら左右の第二従動プーリ255との間にワイヤーソーWsが渡される。
第二従動プーリ255から渡されたワイヤーソーWsは、第三従動プーリ256の橋桁2側に巻き回される。第二従動プーリ255から第三従動プーリ256の橋桁2側に渡されたワイヤーソーWsは、橋桁2の長さ方向(切断作業方向Yの反対方向)に沿って伸びるように取り回すことができる。ワイヤーソーWsが第三従動プーリ256の橋桁2側に巻き回されることで、切断作業中のワイヤーソーWsの撓み(外側方へのずれ)が確実に抑制され、ワイヤーソーWsの走行駆動がガイドされることになる。その結果、接合境界面Jの切断作業を正確に行うことができるので、橋桁2の上端部(上フランジ)がワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぐことができる。
【0067】
なお、第三従動プーリ256は、当該第三従動プーリ256を回転自在に保持する保持部を備える。当該保持部は、図示しない取付部に連結されており、この取付部によって、例えばガイドシャフト210,220又はシャフト支持部211,221に取り付けられて固定されている。
【0068】
ワイヤーソーWsは、上記のように無端状に形成されており、駆動プーリ250によって走行駆動させながら、移動プーリ252を上方に移動させて固定プーリ251との間隔を拡げることによって張力が付加される。これにより、ワイヤーソーWsを、切断作業方向Yに沿って移動させることができ、最も上流側(切断作業方向Yの上流側)に位置する部位Ws1によって、橋桁2とコンクリート床版3との接合境界面Jをジベル2aごと切断することができる。
【0069】
ワイヤーソーWsの最も上流側に位置する部位Ws1は、コンクリート床版3における切断作業方向と直交する方向の切断面に引っ掛けられてもよいし、コンクリート床版3を削孔して形成されたワイヤー差込溝3Mに差し込まれて引っ掛けられてもよい。
また、ワイヤーソーWsの最も上流側に位置する部位Ws1は、橋桁2の上面よりも上方に位置する接合境界面Jの高さに配置される。
【0070】
ワイヤーソーWsは、切断作業方向Yの上流側から下流側に向かって接合境界面Jを切断していく。このとき、ワイヤーソーWsのうち、橋桁2の上フランジにおける両側縁からはみ出した部分は、橋桁2の上フランジにおける両側縁に沿って配置されたガイド装置20(第一ガイド装置21、第二ガイド装置22)の上面に接する。これにより、切断作業中のワイヤーソーWsの撓み(下方へのずれ)が確実に抑制され、ワイヤーソーWsの走行駆動がガイドされることになる。その結果、ワイヤーソーWsの水平度を確保することができるので、接合境界面Jの切断作業を正確に行うことができ、橋桁2の上端部(上フランジ)がワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぐことができる。
【0071】
なお、
図8,
図9に示すように、H型鋼である橋桁2のウェブは、当該橋桁2の長さ方向に沿って一定の上下寸法に設定されるが、上フランジは、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない厚さ寸法に設定される場合がある。上フランジそのものの厚さ寸法が異なるのは、橋桁2が上からの荷重によって撓むことや、上からの荷重を受ける部位の剛性を向上させることを考慮したものである。
また、橋桁2は、複数の橋桁2(H型鋼)が長さ方向に互いに連結されるが、そのときに、複数の橋桁2(H型鋼)の長さ方向端部同士が付き合わされる継手部において添接板2Pを介してボルト及びナットの締付作業が行われる。添接板2Pは、ボルトの軸部が通される複数の貫通孔が形成された矩形板状の鋼板であり、ウェブ連結用と、上フランジ連結用と、下フランジ連結用と、がある。
ウェブ連結用の添接板2Pは、互いに連結される橋桁2のウェブにおける両側面同士の間に跨って配置されている。
上フランジ連結用の添接板2Pは、互いに連結される橋桁2の上フランジにおける上面同士の間と、上フランジにおける下面同士の間と、に跨って配置されている。
下フランジ連結用の添接板2Pは、互いに連結される橋桁2の下フランジにおける上面同士の間と、下フランジにおける下面同士の間と、に跨って配置されている。
すなわち、橋桁2の上フランジは、このような添接板2Pが一体的に設けられることによって、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない厚さ寸法に設定される場合がある。上フランジそのものの厚さ寸法が異なることに加えて、添接板2Pが設けられる場合もある。
【0072】
以上のように橋桁2の上フランジが、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない厚さ寸法に設定される場合には、
図8,
図9に示すように、第一ガイド装置21及び第二ガイド装置22のガイドシャフト210,220は、厚さ寸法が一定ではない上フランジの両側縁に沿って配置される。さらに、当該ガイドシャフト210,220における上面の高さ位置は、厚さ寸法が一定ではない上フランジにおける上面の高さ位置よりも上方に設定されることとなる。
本実施例Cにおいては、ガイドシャフト210,220が長さ方向に複数に分割されており、複数に分割されたガイドシャフト210,220を、厚さ寸法が一定ではない上フランジにおける上面と平行になるように配置する。つまり、複数に分割されたガイドシャフト210,220に、水平に配置されるもの、斜めに配置されるもの、水平であっても高さ違いで配置されるものが含まれることになる。ワイヤーソーWsは、このように配置された複数に分割されたガイドシャフト210,220の上面に沿ってガイドされる。したがって、橋桁2の上フランジが、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない厚さ寸法に設定されていても、接合境界面Jの切断作業を正確に行うことができ、橋桁2の上端部(上フランジ)がワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぐことができる。
【0073】
また、複数に分割されたガイドシャフト210同士は、ワイヤーソーWsの円滑な走行駆動を実現するため、段差なくスムーズな状態に接続されていることが望ましい。
ただし、これに限られるものではなく、
図9のA部及びB部に示すように、複数に分割されたガイドシャフト210同士の接続部において、切断作業方向Yの上流側に位置するガイドシャフト210の方が、下流側に位置するガイドシャフト210よりも上方に位置する段差が形成されてもよい。すなわち、切断作業方向Yの上流側から下流側に向かって下がる形状の段差であれば、ワイヤーソーWsの円滑な走行駆動を実現できる。
図9に示す例においては、上流側に位置する角筒状のガイドシャフト210が、下流側端部の上端部から下流側に伸びる差込板部210aを有しており、この差込板部210aが、下流側に位置する角筒状のガイドシャフト210の中空部に差し込まれている。そのため、複数に分割されたガイドシャフト210同士の接続部において、下流側に位置するガイドシャフト210は、上流側に位置するガイドシャフト210よりも上方に位置することがなくなる。
反対に、切断作業方向Yの上流側から下流側に向かって上がる形状の段差の場合は、ワイヤーソーWsの円滑な走行駆動を実現しにくい。
なお、図示はしないが、橋桁2を挟んで反対側に位置する複数のガイドシャフト220同士も同様に、差込板部を介して接続されているものとする。
【0074】
なお、
図10に示すように、H型鋼である橋桁2の上フランジは、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない幅寸法に設定される場合がある。上フランジそのものの幅寸法が異なるのは、橋桁2が上からの荷重を受ける部位の剛性を向上させることを考慮したものである。
このように橋桁2の上フランジが、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない幅寸法に設定される場合には、
図10に示すように、第一ガイド装置21及び第二ガイド装置22のガイドシャフト210,220は、幅寸法が一定ではない上フランジの両側縁に沿って配置されることとなる。さらに、当該ガイドシャフト210,220における上面の高さ位置は、幅寸法が一定ではない上フランジにおける上面の高さ位置よりも上方に設定される。
本実施例Cにおいては、ガイドシャフト210,220が長さ方向に複数に分割されており、複数に分割されたガイドシャフト210,220を、幅寸法が一定ではない上フランジにおける両側縁と極力平行になるように配置する。つまり、複数に分割されたガイドシャフト210,220に、上フランジを挟んで平行に配置されるもの、ハの字状に斜めに配置されるもの、平行であって間隔が異なる配置のもの、が含まれることになる。ワイヤーソーWsは、このように配置された複数に分割されたガイドシャフト210,220の上面に沿ってガイドされる。したがって、橋桁2の上フランジが、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない幅寸法に設定されていても、接合境界面Jの切断作業を正確に行いやすく、橋桁2の上端部(上フランジ)がワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぎやすい。
【0075】
また、橋桁2の上フランジが、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない幅寸法に設定されている場合も、
図10のC部及びD部に示すように、複数のガイドシャフト210同士は差込板部210aを介して接続される。
差込板部210aの左右方向(平面視においてガイドシャフト210の長さ方向と直交する方向)の幅寸法は、角筒状に形成されたガイドシャフト210の中空部における左右方向の内寸よりも若干短く設定されている。これにより、
図10のC部に示すように、複数のガイドシャフト210同士をまっすぐに接続することもできるし、
図10のD部に示すように、複数のガイドシャフト210同士を角度をつけた状態で接続することもできる。そして、このような寸法設定であれば切断作業中におけるガイドシャフト210同士のガタツキやブレも生じにくいため、ワイヤーソーWsの円滑な走行駆動を実現しやすい。
換言すれば、差込板部210aの幅寸法が、ガイドシャフト210の中空部における左右方向の内寸よりも短すぎると、切断作業中におけるガイドシャフト210同士のガタツキやブレが生じやすく、ガイドシャフト210同士の接続安定性が確保しにくい。また、差込板部210aの幅寸法が、ガイドシャフト210の中空部における左右方向の内寸に対してジャストフィットする場合は、ガイドシャフト210同士のガタツキやブレを抑えることができる反面、
図10のD部に示すように、複数のガイドシャフト210同士を角度をつけた状態で接続することができない。
なお、橋桁2を挟んで反対側に位置する複数のガイドシャフト220同士も同様に、差込板部を介して接続されているものとする。
【0076】
さらに、
図8の例においては、橋桁2を挟んで設けられた一対の第三従動プーリ256が、橋桁2の長さ方向における1つの箇所に配置されているが、これに限られるものではなく、
図9,
図10に示すように、橋桁2を挟んで設けられた一対の第三従動プーリ256が、橋桁2の長さ方向における複数の箇所に配置されてもよい。
特に、複数に分割されたガイドシャフト210,220が斜めに配置された箇所に対応して一対の第三従動プーリ256が配置されていると、高さ違いで配置されガイドシャフト210,220同士や、間隔が異なる配置のガイドシャフト210,220同士に架け渡されるワイヤーソーWsをスムーズにガイドしやすくなる。
【0077】
図11は、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の中央部側のハンチ部3aにおけるワイヤー差込溝3M部分での断面図であり、ハンチ部3aにおける一方及び他方の第一傾斜面3a1の下方には第一ガイド装置21(ガイドシャフト210)が配置されている。
ワイヤー差込溝3Mは、厚み方向にコンクリート床版3を貫通して形成され、ガイドシャフト210,210の上面を上方から見ることができる。そのため、コンクリート床版3の上面にいる作業員が、ワイヤーソーWsの動作を確認することができる。
すなわち、ワイヤー差込溝3Mは、ワイヤーソーWsの最も上流側に位置する部位Ws1が差し込まれる溝(開口、スリット)としても機能するが、ワイヤーソーWsの確認窓としても機能することになる。
なお、ワイヤー差込溝3Mに代えて、ワイヤーソーWsの確認窓として、コンクリート床版3を厚み方向に貫通するコア削孔部を形成してもよい。
【0078】
本実施形態によれば、複数の橋桁2上に敷設されて橋梁1の路面を構成するコンクリート床版3と橋桁2との接合境界面Jを、床版切断装置25が備えるワイヤーソーWsによって切断する場合の切断作業方向Yが、橋桁2の長さ方向に沿っており、コンクリート床版3は、複数の橋桁2の上面に載せられる部分として、複数の橋桁2の長さ方向に連続するとともに、断面視略逆台形状に形成されて下方に膨出する複数のハンチ部3aを備え、複数のハンチ部3aのうち橋梁1の外側縁部側に位置するハンチ部3aは、橋梁1の中央部側に位置する斜め下向きの第一傾斜面3a1と、橋梁1の外側縁部側に位置するとともに第一傾斜面3a1よりも角度が緩く設定された斜め下向きの第二傾斜面3a2と、を有しており、切断作業中のワイヤーソーWsが上面に接するガイド装置10,20が、橋桁2の上端部における両側縁に沿って配置され、ガイド装置10,20は、第一傾斜面3a1側に配置される第一ガイド装置11,21と、第二傾斜面3a2側に配置される第二ガイド装置12,22と、を備え、第一ガイド装置11,21及び第二ガイド装置12,22の各々は、上面にワイヤーソーWsが接するガイドシャフト110,210・120,220と、ガイドシャフト110,210・120,220が架け渡されて当該ガイドシャフト110,210・120,220を支持する複数のシャフト支持部111,211・121,221と、を有しており、第一ガイド装置11,21のガイドシャフト110,210と第二ガイド装置12,22のガイドシャフト120,220は、橋桁2を挟んで対称的な位置関係に配置され、第一ガイド装置11,21におけるシャフト支持部111,211によるガイドシャフト110,210の支持形態と、第二ガイド装置12,22におけるシャフト支持部121,221によるガイドシャフト120,220の支持形態と、が異なる構成となっているので、ワイヤーソーWsをガイドするガイドシャフト110,210・120,220を適切に設置し、橋桁2の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断を行いやすくすることができる。
【0079】
また、第一ガイド装置11,21において、複数のシャフト支持部111,211はコンクリート床版3の下面に取り付けられ、これら複数のシャフト支持部111,211によって支持されたガイドシャフト110,210は第一傾斜面3a1の下方に配置されており、第二ガイド装置12,22において、複数のシャフト支持部121,221は橋桁2又は/及びコンクリート床版3に取り付けられ、これら複数のシャフト支持部121,221によって支持されたガイドシャフト120,220は、コンクリート床版3の鉛直面3Vの側方に配置されているので、ワイヤーソーWsを鉛直面3Vの側方に展開させて接合境界面Jを切断することができる。これにより、例えばコンクリート床版3の形状に起因してワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断が行いにくい場合であっても、橋桁2の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断を行いやすくすることができる。
【0080】
また、H型鋼である橋桁2のウェブは、橋桁2の長さ方向に沿って一定の上下寸法に設定され、上フランジは、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない厚さ寸法に設定されており、第一ガイド装置21及び第二ガイド装置22のガイドシャフト210,220は、厚さ寸法が一定ではない上フランジの両側縁に沿って配置され、かつ、当該ガイドシャフト210,220における上面の高さ位置は、厚さ寸法が一定ではない上フランジにおける上面の高さ位置よりも上方に設定されているので、ワイヤーソーWsが、第一ガイド装置21及び第二ガイド装置22のガイドシャフト210,220によってガイドされて、厚さ寸法が一定ではない上フランジを備えた橋桁2の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断を行うことができる。すなわち、例えば橋桁2の形状に起因してワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断が行いにくい場合であっても、橋桁2の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断を行いやすくすることができる。
【0081】
また、H型鋼である橋桁2の上フランジは、橋桁2の長さ方向に沿って一定ではない幅寸法に設定されており、第一ガイド装置21及び第二ガイド装置22のガイドシャフト210,220は、幅寸法が一定ではない上フランジの両側縁に沿って配置され、かつ、当該ガイドシャフト210,220における上面の高さ位置は、幅寸法が一定ではない上フランジにおける上面の高さ位置よりも上方に設定されているので、ワイヤーソーWsが、第一ガイド装置21及び第二ガイド装置22のガイドシャフト210,220によってガイドされて、幅寸法が一定ではない上フランジを備えた橋桁2の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断を行うことができる。すなわち、例えば橋桁2の形状に起因してワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断が行いにくい場合であっても、橋桁2の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断を行いやすくすることができる。
【0082】
また、橋桁2側の部分にワイヤーソーWsが接する回転自在な従動プーリ256が、橋桁2の上端部における両側縁に沿って配置されているので、切断作業中のワイヤーソーWsの撓み(外側方へのずれ)が確実に抑制され、ワイヤーソーWsの走行駆動がガイドされることになる。これにより、接合境界面Jの切断作業を正確に行うことができるので、橋桁2の上フランジがワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぐことができる。
【0083】
<第2実施形態>
次に、図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記の第1実施形態との共通する要素については共通の符号を付して説明を省略又は簡略し、上記の第1実施形態とは異なる構成部分に重点を置いて説明する。
【0084】
本実施形態におけるガイド装置30は、
図12~
図14に示すように、第一傾斜面3a1の下面側に配置される第一ガイド装置31と、第二傾斜面3a2の下面側に配置される第二ガイド装置32と、を備える。
より詳細に説明すると、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の中央部側のハンチ部3aの場合は、一方及び他方の第一傾斜面3a1の下面側に第一ガイド装置31が配置される。
また、複数のハンチ部3aのうちコンクリート床版3の外側縁部側のハンチ部3aの場合は、コンクリート床版3の中央部側に位置する第一傾斜面3a1の下面側に第一ガイド装置31が配置され、コンクリート床版3の外側縁部側に位置する第二傾斜面3a2の下面側に第二ガイド装置32が配置される。
【0085】
本実施形態においては、コンクリート床版3のうち、橋桁2よりも外側に位置する部分3Aが撤去されない。すなわち、本実施形態における床版切断装置35は、ワイヤーソーWsによって、橋桁2よりも外側に位置する部分3Aが撤去されていない状態のコンクリート床版3と橋桁2の接合境界面Jに沿う方向であって、かつ、橋桁2の長さ方向に沿う方向に、コンクリート床版3を切断するものである。
【0086】
コンクリート床版3のうち、橋桁2よりも外側に位置する部分3Aの下面は、上記のハンチ部3aにおける第二傾斜面3a2となっており、橋桁2よりも外側に位置する部分3Aが撤去されないため、
図14に示すように、角度の緩い第二傾斜面3a2は残ったままの状態となる。
【0087】
第一ガイド装置31は、ガイドシャフト310と、複数のシャフト支持部311と、を有する。各シャフト支持部311は、取付プレート312と、吊材313と、ブラケット部314と、を備え、ブラケット部314は、吊材313に対して連結される連結部314aを有する。ワイヤーソーWsは、複数のシャフト支持部311に架け渡されたガイドシャフト310の上面に接する。
すなわち、第一ガイド装置31は、上記の第1実施形態における第一ガイド装置11,21と同様の構成であって、かつ、同様の位置に設置されるため、説明を省略する。
【0088】
第二ガイド装置32は、橋桁2に沿って長尺な角型パイプシャフトからなるガイドシャフト320と、このガイドシャフト320を支持する複数のシャフト支持部321と、を有する。
【0089】
ここで、橋梁1の外側縁部側に位置するハンチ部3aの第二傾斜面3a2には、橋桁2の長さ方向に沿って長尺な溝部300が形成されている。
溝部300は、断面視において第二傾斜面3a2から上方に向かって形成されているため、溝底の面が最も上方に位置している。そして、当該溝底は、橋桁2の上面よりも上方に位置している。
そして、第二ガイド装置32におけるガイドシャフト320は、このような溝部300に差し込まれて当該溝部300に沿って配置されている。そして、ワイヤーソーWsは、複数のシャフト支持部321に架け渡されたガイドシャフト320の上面に接する。
溝部300の深さは、ガイドシャフト320の上下寸法よりも長く形成されている。そのため、溝部300に差し込まれたガイドシャフト320の上面と溝底との間には空隙が形成され、当該空隙にワイヤーソーWsが通されることとなる。
また、ワイヤーソーWsを、切断対象の橋桁2を挟んで一方側と他方側との間に通すための挿通孔Jhは、溝部300の空隙から橋梁1の外側縁部に向かって形成されている。ただし、挿通孔Jhを水平方向に伸ばして形成すると、ワイヤーソーWsの取り回しが幅方向に広がってしまうため、挿通孔Jhは斜め下向きに伸ばして形成されている。
【0090】
複数のシャフト支持部321は、第二傾斜面3a2にアンカー止めされる取付プレートであり、上面にガイドシャフト320が設けられる。
取付プレートである複数のシャフト支持部321は、橋桁2の長さ方向に間隔を空けて配置されており、ガイドシャフト320は、これら複数のシャフト支持部321に架け渡されて支持されている。
【0091】
本実施形態の床版切断装置35は、
図12,
図13に示すように、橋桁2の下方に配置されている。橋桁2の下方には足場6が組まれており、床版切断装置35は、その足場6の上面に沿って移動する走行部35bを具備する。
そして、このような床版切断装置35は、内蔵された複数のプーリとして、駆動装置250aに取り付けられて回転する左右の駆動プーリ350と、左右の駆動プーリ250の間の位置に固定される固定プーリ351と、筐体35aに沿って切断作業方向Yの反対方向に移動する移動プーリ352と、を備える。各移動プーリ352には、固定プーリ351と交互にワイヤーソーWsが巻き掛けられており、固定プーリ351との間隔を拡げるように移動することによってワイヤーソーWsに張力を付加することができる。
【0092】
また、複数のプーリ350,351,352は、筐体35a内に収納されているものとする。すなわち、複数のプーリ350,351,352は、筐体35aによってカバーされた状態となっている。
なお、床版切断装置335は、複数のプーリ350,351,352の他にも、ワイヤーソーWsを冷却する冷却装置を始め、コンクリート床版3の解体・撤去作業に必要な種々の装置や機能を有するものとする。
【0093】
本実施形態の床版切断装置35は、このように複数のプーリ350,351,352を備えており、上記実施例Cの床版切断装置25と同様にしてワイヤーソーWsを走行駆動させて、接合境界面Jを切断作業方向Yに沿って切断することができる。
ただし、本実施形態の床版切断装置35は、上記実施例Cの床版切断装置25と比較すると、筐体35aが寝かされた状態となっていて、筐体35aの下面に走行部35bが取り付けられている。これにより、本実施形態の床版切断装置35は、足場6の上面に沿って移動することができる。
【0094】
さらに、床版切断装置35は、橋桁2における上フランジの上面側にワイヤーソーWsを取り回すのに必要な複数の従動プーリ(第一従動プーリ354、第二従動プーリ355、第三従動プーリ356)を備える。これら複数の従動プーリ354,355,356は、ワイヤーソーWsをその延設経路に沿った走行方向に案内するとともに走行駆動させることができる。
【0095】
第一従動プーリ354は、床版切断装置35の切断作業方向Y側の左右それぞれに配置されており、左右の駆動プーリ350に続いて設けられて、これら左右の駆動プーリ350との間にワイヤーソーWsが渡される。
駆動プーリ350から渡されたワイヤーソーWsは、第一従動プーリ354の下面側に巻き回される。駆動プーリ350から第一従動プーリ254の下面側に渡されたワイヤーソーWsは、上方に向かって伸びるように取り回すことができる。
【0096】
第二従動プーリ355は、左右の第一従動プーリ354それぞれの上方に配置されており、左右の第一従動プーリ354に続いて設けられて、これら左右の第一従動プーリ354との間にワイヤーソーWsが渡される。
第一従動プーリ354から渡されたワイヤーソーWsは、第二従動プーリ355の上面側に巻き回される。第一従動プーリ354から第二従動プーリ355の上面側に渡されたワイヤーソーWsは、橋桁2の長さ方向(切断作業方向Yの反対方向)に沿って伸びるように取り回すことができる。
【0097】
なお、第一従動プーリ354を回転自在に保持する保持部と、第二従動プーリ355を回転自在に保持する保持部は、上下方向に長尺な連結フレーム357によって上下に連結されている。連結フレーム357は、橋桁2に取り付けられる取付部358に連結されており、この取付部358によって橋桁2に取り付けられて固定されている。
取付部358は、橋桁2における上下のフランジ間に垂直に架け渡されて設けられる垂直フレーム358aと、垂直フレーム358aに交差して連結されて橋桁2から遠ざかる方向に伸びるとともに連結フレーム357が連結されたブラケット部358bと、垂直フレーム358aの下端部に設けられて下フランジの上面に設置されるジャッキ358cと、を備える。
ジャッキ358cをジャッキアップすることで垂直フレーム358aを上方に押し上げることができ、垂直フレーム358aの上端部を上フランジの下面に押し付けることができる。これにより、取付部358を橋桁2に対して強固に、かつ、橋桁2の長さ方向における任意の位置に取り付けることができるとともに、脱着も容易となって施工性の向上に貢献できる。
垂直フレーム358aは、
図14に示すように、第一ガイド装置31のブラケット部314に対して取り付けられてもよい。この場合、垂直フレーム358aの下端部に設けられたジャッキ358cは、橋桁2から伸びるブラケットやフレーム材等に対して設置されるものとする。
【0098】
第三従動プーリ356は、左右の第二従動プーリ355それぞれの上流側(切断作業方向Yの上流側)に配置されており、左右の第二従動プーリ355に続いて設けられて、これら左右の第二従動プーリ355との間にワイヤーソーWsが渡される。
第二従動プーリ355から渡されたワイヤーソーWsは、第三従動プーリ356の橋桁2側に巻き回される。第二従動プーリ355から第三従動プーリ356の橋桁2側に渡されたワイヤーソーWsは、橋桁2の長さ方向(切断作業方向Yの反対方向)に沿って伸びるように取り回すことができる。ワイヤーソーWsが第三従動プーリ356の橋桁2側に巻き回されることで、切断作業中のワイヤーソーWsの撓み(外側方へのずれ)が確実に抑制され、ワイヤーソーWsの走行駆動がガイドされることになる。その結果、接合境界面Jの切断作業を正確に行うことができるので、橋桁2の上端部(上フランジ)がワイヤーソーWsによって傷つけられることを防ぐことができる。
【0099】
なお、第三従動プーリ356は、当該第三従動プーリ356を回転自在に保持する保持部を備える。当該保持部は、図示しない取付部に連結されており、この取付部によって、例えばガイドシャフト310,320に取り付けられて固定されている。
【0100】
ワイヤーソーWsは、上記のように無端状に形成されており、駆動プーリ350によって走行駆動させながら、移動プーリ352を切断作業方向Yの上流側に移動させて固定プーリ251との間隔を拡げることによって張力が付加される。これにより、ワイヤーソーWsを、切断作業方向Yに沿って移動させることができ、最も上流側(切断作業方向Yの上流側)に位置する部位Ws1によって、橋桁2とコンクリート床版3との接合境界面Jをジベル2aごと切断することができる。
【0101】
本実施形態によれば、複数の橋桁2上に敷設されて橋梁1の路面を構成するコンクリート床版3と橋桁2との接合境界面Jを、床版切断装置35が備えるワイヤーソーWsによって切断する場合の切断作業方向Yが、橋桁2の長さ方向に沿っており、コンクリート床版3は、複数の橋桁2の上面に載せられる部分として、複数の橋桁2の長さ方向に連続するとともに、断面視略逆台形状に形成されて下方に膨出する複数のハンチ部3aを備え、複数のハンチ部3aのうち橋梁1の外側縁部側に位置するハンチ部3aは、橋梁1の中央部側に位置する斜め下向きの第一傾斜面3a1と、橋梁1の外側縁部側に位置するとともに第一傾斜面3a1よりも角度が緩く設定された斜め下向きの第二傾斜面3a2と、を有しており、切断作業中のワイヤーソーWsが上面に接するガイド装置30が、橋桁2の上端部における両側縁に沿って配置され、ガイド装置30は、第一傾斜面3a1側に配置される第一ガイド装置31と、第二傾斜面3a2側に配置される第二ガイド装置32と、を備え、第一ガイド装置31及び第二ガイド装置32の各々は、上面にワイヤーソーWsが接するガイドシャフト310,320と、ガイドシャフト310,320が架け渡されて当該ガイドシャフト310,320を支持する複数のシャフト支持部311,321と、を有しており、第一ガイド装置31のガイドシャフト310と第二ガイド装置32のガイドシャフト320は、橋桁2を挟んで対称的な位置関係に配置され、第一ガイド装置31におけるシャフト支持部311によるガイドシャフト310の支持形態と、第二ガイド装置32におけるシャフト支持部321によるガイドシャフト320の支持形態と、が異なる構成となっているので、ワイヤーソーWsをガイドするガイドシャフト310,320を適切に設置し、橋桁2の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断を行いやすくすることができる。
【0102】
また、橋梁1の外側縁部側に位置するハンチ部3aの第二傾斜面3a2には、橋桁2の長さ方向に沿って長尺な溝部300が形成されており、第一ガイド装置31において、複数のシャフト支持部311はコンクリート床版3の下面に取り付けられ、これら複数のシャフト支持部311によって支持されたガイドシャフト310は第一傾斜面3a1の下方に配置されており、第二ガイド装置32において、複数のシャフト支持部321はコンクリート床版3の下面に取り付けられ、これら複数のシャフト支持部321によって支持されたガイドシャフト320は溝部300に差し込まれて当該溝部300に沿って配置されているので、ハンチ部3aに食い込んだ状態のガイドシャフト320によってワイヤーソーWsをガイドすることができる。これにより、例えばコンクリート床版3の形状に起因してワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断が行いにくい場合であっても、橋桁2の上面が傷つかないようにしながら、ワイヤーソーWsによる接合境界面Jの切断を行いやすくすることができる。
【符号の説明】
【0103】
1 橋梁
1a 壁高欄
2 橋桁
2a ジベル
2b スチフナ
2P 添接板
3 コンクリート床版
3A 外側に位置する部分
3V 鉛直面
3M ワイヤー差込溝
3a ハンチ部
3a1 第一傾斜面
3a2 第二傾斜面
10 ガイド装置
11 第一ガイド装置
110 ガイドシャフト
111 シャフト支持部
12 第二ガイド装置
120 ガイドシャフト
121 シャフト支持部
40 ガイド装置
41 第一ガイド装置
410 ガイドシャフト
411 シャフト支持部
412 垂直フレーム
412a ジャッキ
413 ブラケット部
414 ブレース
42 第二ガイド装置
420 ガイドシャフト
421 シャフト支持部
422 垂直フレーム
422a ジャッキ
423 ブラケット部
424 ブレース
J 接合境界面
Jh 挿通孔
Ws ワイヤーソー
Ws1 上流側に位置する部位