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特開2023-65756対象物把持装置、ハンド部およびハンド部組立用シート
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  • 特開-対象物把持装置、ハンド部およびハンド部組立用シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065756
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】対象物把持装置、ハンド部およびハンド部組立用シート
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
B25J15/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176088
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】和田 一義
(72)【発明者】
【氏名】手塚 蒼太
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 哲雄
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CY37
3C707ES03
3C707ES07
3C707ET03
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】組み立てられたハンド部が収納できない従来の構成に比べて、ハンド部の収納性を向上させること。
【解決手段】対象物(9)に接触可能な把持部(12)と第1のリンク部(14)と第2のリンク部(17)と第3のリンク部(19)とを有するハンド部(11)と、対象物(9)に対してハンド部(11)を接近、離間する方向に移動させるアーム部(2)と、を備え、把持部(12)の一端部(12a)で対象物を把持する第1の把持状態、または、把持部(12)と第3のリンク部(19)とが対象物(9)に接触して対象物(9)を把持する第2の把持状態で、対象物(9)を把持可能であり、各関節部(13,16,18,20)で回転させて第3のリンク部(19)と把持部(12)とが対向し且つ近接する折り畳み状態と、第3のリンク部(19)と把持部(12)とが離間した展開状態と、の間でハンド部(11)が変形可能であることを特徴とする対象物把持装置(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に接触可能な接触面を有し且つ一端側から他端側に沿って長手方向に延びる把持部と、前記把持部の他端部に第1の関節部を介して一端部が回転可能に連結された第1のリンク部と、前記第1のリンク部の他端部に第2の関節部を介して一端部が回転可能に連結された第2のリンク部と、前記第2のリンク部の他端部に第3の関節部を介して一端部が回転可能に連結され且つ前記把持部の前記第1の関節部よりも一端側の位置に第4の関節部を介して他端部が回転可能に連結された第3のリンク部と、を有するハンド部と、
前記第2のリンク部を支持する一対のソケット部を先端に有し、対象物に対して前記ハンド部を接近、離間する方向に移動させるアーム部と、
を備えた、対象物把持装置であって、
一対の前記ソケット部に支持された前記ハンド部の間で前記対象物を把持する場合に、前記把持部の一端部で対象物を把持する第1の把持状態、または、前記把持部と前記第3のリンク部とが対象物に接触して前記対象物を把持する第2の把持状態で、前記対象物を把持可能であり、
前記各関節部で回転させて前記第3のリンク部と前記把持部とが対向し且つ近接する折り畳み状態と、前記第3のリンク部と前記把持部とが離間した展開状態と、の間で前記ハンド部が変形可能である
ことを特徴とする対象物把持装置。
【請求項2】
前記把持部、前記第1の関節部、前記第1のリンク部、前記第2の関節部、前記第2のリンク部、前記第3の関節部および前記第3のリンク部が、1枚のシートを折り曲げて形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の対象物把持装置。
【請求項3】
前記第1の関節部、前記第2の関節部および前記第3の関節部が、シートの弾性復元力で前記折り畳み状態から展開状態に向けて移行する力を作用させるバネ性を有する前記ハンド部、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の対象物把持装置。
【請求項4】
前記折り畳み状態から展開状態に向けて移行する力を作用させる付勢部材を有する前記ハンド部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の対象物把持装置。
【請求項5】
前記ハンド部を保持する保持位置と前記ハンド部が取り外される取外し位置との間で移動可能な保持部であって前記第2のリンク部を着脱可能に保持する前記保持部と、折り畳み状態の前記ハンド部を収容する収容部と、を有する前記ソケット部と、
前記保持部を制御する制御部であって、前記取外し位置に前記保持部を移動させて使用済みのハンド部を取り外すと共に、前記保持位置に前記保持部を移動させて前記収容部に収容された未使用のハンド部を前記保持部に装着させる前記制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の対象物把持装置。
【請求項6】
対象物を把持する対象物把持装置の先端部に支持されて前記対象物に接触するハンド部であって、
対象物に接触可能な接触面を有し且つ一端側から他端側に沿って長手方向に延びる把持部と、
前記把持部の他端部に第1の関節部を介して一端部が回転可能に連結された第1のリンク部と、
前記第1のリンク部の他端部に第2の関節部を介して一端部が回転可能に連結された第2のリンク部と、
前記第2のリンク部の他端部に第3の関節部を介して一端部が回転可能に連結され且つ前記把持部の前記第1の関節部よりも一端側の位置に第4の関節部を介して他端部が回転可能に連結された第3のリンク部と、
を備え、
前記各関節部で回転させて前記第3のリンク部と前記把持部とが対向し且つ近接する折り畳み状態と、前記第3のリンク部と前記把持部とが離間した展開状態と、の間で前記ハンド部が変形可能である
ことを特徴とするハンド部。
【請求項7】
対象物に接触するハンド部を折り曲げて組み立てるハンド部組立用シートであって、
対象物に接触可能な接触面を有し、一端側から他端側に沿って長手方向に延びる把持部と、
前記把持部の他端側に一端側が配置された第1のリンク部と、
前記第1のリンク部の他端側に一端側が配置された第2のリンク部と、
前記第2のリンク部の他端側に一端側が配置された第3のリンク部と、
前記第3のリンク部の他端側に設けられて折り曲げ時に前記把持部に形成された連結部に連結可能な連結部と、
を備えたことを特徴とするハンド部組立用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を把持する対象物把持装置や、対象物把持装置の先端部に配置されて対象物に接触するハンド部、およびハンド部を組み立てるためのハンド部組立用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商品陳列棚に陳列される物品や、工場で生産された製品等の対象物を把持して移動させるロボットアームやマニピュレータなどと呼ばれる対象物把持装置に関し、下記の特許文献1に記載の技術が公知である。
【0003】
特許文献1(特開2019-111633号公報)には、一枚のシート状のデバイス組立用シートに、可動機構体形成部(200)と、支持体形成部(400)と連結部材形成部(600)が形成され、デバイス組立用シートを折り曲げることで、可動機構体(20)や支持体(40)、連結部材(60)を有する物品把持用のデバイス(1)を作成する技術が記載されている。特許文献1のデバイス(1)では、人間の手の人差し指に類似する可動機構体(20)と、人間の手の親指に類似する支持体(40)との間で物品を把持することが可能な構成となっている。また、特許文献1のデバイス(1)は、可動機構体(20)に指の関節に相当する屈曲部(22c,24d,24e)が複数設けられており、可動機構体(20)と支持体(40)の先端部どうしで物品を摘まむように把持したり、可動機構体(20)と支持体(40)の基端側で包むように把持したりすることが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-111633号公報(「0008」-「0015」、)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術の問題点)
ロボットハンドが使用される状況、分野として、食品や医薬品、医療分野等の衛生面で注意が必要な場合がある。このような分野では、衛生環境を保つために、対象物に直接接触する部分(ハンド部)が使い捨てであることが好ましい場合がある。使い捨ての構成の場合、使用済みのハンド部を取り外した後に、未使用のハンド部を速やかに装着可能な構成、すなわち、ハンド部の着脱が容易な構成であることが作業効率の観点から望まれる。特に、未使用のハンド部に次々と交換ができるような構成とすることが望ましい。
特許文献1のような可動機構体と支持体とを有する構成では、ハンド部に相当するデバイス(1)は交換する際に毎回組み立てることになると、着脱作業の作業効率が悪い。作業効率を向上させるために、デバイス(1)を予め複数個組み立てておくことも可能である。しかし、特許文献1のデバイス(1)は組み立てられた状態では、コンパクトに収納することが困難であるため、組み立てられたデバイス(1)が嵩張り、保管するスペースの確保の問題もある。さらに、保管中や交換作業時に人が取り扱うことになるため、デバイス(1)を落として破損させたり壁や床にぶつけて破損させたりする恐れもある。
【0006】
本発明は、組み立てられたハンド部が収納できない従来の構成に比べて、ハンド部の収納性を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の対象物把持装置は、
対象物に接触可能な接触面を有し且つ一端側から他端側に沿って長手方向に延びる把持部と、前記把持部の他端部に第1の関節部を介して一端部が回転可能に連結された第1のリンク部と、前記第1のリンク部の他端部に第2の関節部を介して一端部が回転可能に連結された第2のリンク部と、前記第2のリンク部の他端部に第3の関節部を介して一端部が回転可能に連結され且つ前記把持部の前記第1の関節部よりも一端側の位置に第4の関節部を介して他端部が回転可能に連結された第3のリンク部と、を有するハンド部と、
前記第2のリンク部を支持する一対のソケット部を先端に有し、対象物に対して前記ハンド部を接近、離間する方向に移動させるアーム部と、
を備えた、対象物把持装置であって、
一対の前記ソケット部に支持された前記ハンド部の間で前記対象物を把持する場合に、前記把持部の一端部で対象物を把持する第1の把持状態、または、前記把持部と前記第3のリンク部とが対象物に接触して前記対象物を把持する第2の把持状態で、前記対象物を把持可能であり、
前記各関節部で回転させて前記第3のリンク部と前記把持部とが対向し且つ近接する折り畳み状態と、前記第3のリンク部と前記把持部とが離間した展開状態と、の間で前記ハンド部が変形可能である
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の対象物把持装置において、
前記把持部、前記第1の関節部、前記第1のリンク部、前記第2の関節部、前記第2のリンク部、前記第3の関節部および前記第3のリンク部が、1枚のシートを折り曲げて形成された
ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の対象物把持装置において、
前記第1の関節部、前記第2の関節部および前記第3の関節部が、シートの弾性復元力で前記折り畳み状態から展開状態に向けて移行する力を作用させるバネ性を有する前記ハンド部、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の対象物把持装置において、
前記折り畳み状態から展開状態に向けて移行する力を作用させる付勢部材を有する前記ハンド部、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の対象物把持装置において、
前記ハンド部を保持する保持位置と前記ハンド部が取り外される取外し位置との間で移動可能な保持部であって前記第2のリンク部を着脱可能に保持する前記保持部と、折り畳み状態の前記ハンド部を収容する収容部と、を有する前記ソケット部と、
前記保持部を制御する制御部であって、前記取外し位置に前記保持部を移動させて使用済みのハンド部を取り外すと共に、前記保持位置に前記保持部を移動させて前記収容部に収容された未使用のハンド部を前記保持部に装着させる前記制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明のハンド部は、
対象物を把持する対象物把持装置の先端部に支持されて前記対象物に接触するハンド部であって、
対象物に接触可能な接触面を有し且つ一端側から他端側に沿って長手方向に延びる把持部と、
前記把持部の他端部に第1の関節部を介して一端部が回転可能に連結された第1のリンク部と、
前記第1のリンク部の他端部に第2の関節部を介して一端部が回転可能に連結された第2のリンク部と、
前記第2のリンク部の他端部に第3の関節部を介して一端部が回転可能に連結され且つ前記把持部の前記第1の関節部よりも一端側の位置に第4の関節部を介して他端部が回転可能に連結された第3のリンク部と、
を備え、
前記各関節部で回転させて前記第3のリンク部と前記把持部とが対向し且つ近接する折り畳み状態と、前記第3のリンク部と前記把持部とが離間した展開状態と、の間で前記ハンド部が変形可能である
ことを特徴とする。
【0013】
前記技術的課題を解決するために、請求項7に記載の発明のハンド部組立用シートは、
対象物に接触するハンド部を折り曲げて組み立てるハンド部組立用シートであって、
対象物に接触可能な接触面を有し、一端側から他端側に沿って長手方向に延びる把持部と、
前記把持部の他端側に一端側が配置された第1のリンク部と、
前記第1のリンク部の他端側に一端側が配置された第2のリンク部と、
前記第2のリンク部の他端側に一端側が配置された第3のリンク部と、
前記第3のリンク部の他端側に設けられて折り曲げ時に前記把持部に形成された連結部に連結可能な連結部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,6,7に記載の発明によれば、組み立てられたハンド部が収納できない従来の構成に比べて、ハンド部の収納性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、各部位が別個の部品で構成されている場合に比べて、作成作業や組立作業を容易にでき、製造費用を削減できる。
請求項3に記載の発明によれば、関節部のバネ性で、ハンド部を自然に展開状態にすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、付勢部材の力でハンド部を自然に展開状態にすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、使用済みのハンド部を未使用のハンド部に自動的に次々に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の実施例1の対象物把持装置の説明図である。
図2図2は実施例1のハンド部の側面図である。
図3図3は実施例1のハンド部の展開、折り畳みの説明図であり、図3Aは展開状態の説明図、図3Bは折り畳み状態の説明図である。
図4図4は実施例1のハンド部の展開図であって、ハンド部組立シートの説明図である。
図5図5は実施例1の爪部と開口部の位置関係の説明図であり、図5Aは展開状態での説明図、図5Bは折り畳み状態での説明図である。
図6図6は実施例1のフラップ部の説明図である。
図7図7は実施例1のソケット部の要部断面説明図であり、図7Aは正面方向から見た断面図、図7B図7AのVIIB-VIIB線断面図である。
図8図8は実施例1のソケット部の作用説明図であり、図8Aはハンド部が取り外される前の状態の説明図、図8Bは外側突起が取外し位置に移動した状態の説明図、図8Cは外側突起が保持位置に戻った状態の説明図、図8Dは内側突起が送出し位置に移動した状態の説明図、図8Eは内側突起が保持位置に戻った状態の説明図である。
図9図9は実施例1の把持部の把持状態の説明図であり、図9Aは第1の把持状態の一例であるつまみ把持状態の説明図、図9Bは第2の把持状態の一例であるなじみ把持状態の説明図である。
図10図10は従来の構成のハンド部の説明図であり、図10Aは外観の写真、図10Bはリンク機構の説明図である。
図11図11は実施例2のハンド部組立シートの説明図であり、実施例1の図4に対応する図である。
図12図12は実施例2の関節部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例0017】
図1は本発明の実施例1の対象物把持装置の説明図である。
図1において、本発明の実施例1の対象物把持装置の一例としてのロボットアーム1は、アーム部2を有する。アーム部2は、棒状に延びる複数のアームリンク部3(3a~3c)と、アームリンク部3a~3cどうしを回転可能に連結するアーム関節部4(4a~4d)と、を有する。各アーム関節部4には、図示しないモータが内蔵されており、基端側のアームリンク部3に対して先端側のアームリンク部3を回転、移動させることが可能である。なお、アームリンク部3を移動させる駆動源はモータに限定されず、エアシリンダやソレノイド等を使用することも可能である。また、アーム関節部4は1軸を中心に回転可能な場合を例示したがこれに限定されず、2軸や3軸以上の回転軸を中心として回転可能な構成やユニバーサルジョイント等を採用することも可能である。
最も先端側のアームリンク部3cの先端部には、ソケット支持部6がアーム関節部4dを介して回転可能に支持されている。ソケット支持部6には、ハンド支持部の一例として一対のソケット部7(7a,7b)が、ソケット関節部8(8a,8b)を中心として回転可能に支持されている。ソケット関節部8にも、図示しないモータが内蔵されており、各ソケット部7a,7bを回転させることが可能である。
【0018】
(ハンド部の説明)
図2は実施例1のハンド部の側面図である。
各ソケット部7には、対象物9に接触して把持するハンド部11が支持されている。実施例1のハンド部11は、左右対称な状態で一対配置されている。図2において、実施例1のハンド部11は、先端側の把持部12を有する。把持部12は、一端部12a側から他端部12b側に沿って長手方向に延びる平板状に形成されている。また、把持部12には、ハンド部11どうしが対向する側である内側に対象物9に接触可能な接触面12c1が形成されている。
把持部12の他端部12bには、第1の関節部13を介して第1のリンク部14の一端部14aが回転可能に連結されている。第1のリンク部14の他端部14bには、第2の関節部16を介して第2のリンク部17の一端部17aが回転可能に連結されている。第2のリンク部17の他端部17bには、第3の関節部18を介して第3のリンク部19の一端部19aが回転可能に連結されている。第3のリンク部19の他端部19bは、第1の関節部13よりも一端部12a側の位置で第4の関節部20で把持部12に回転可能に連結されている。
なお、実施例1では、第2の関節部16、第3の関節部18は、後述するハンド部組立シート31の折り線で構成されている。
【0019】
図3は実施例1のハンド部の展開、折り畳みの説明図であり、図3Aは展開状態の説明図、図3Bは折り畳み状態の説明図である。
したがって、実施例1のハンド部11は、リンク機構としては、図2の太線で示される構成となり、いわゆる、4節リンクの形状となる。よって、図3に示すように、実施例1のハンド部11は、図3Aに示す展開状態と、図3Bに示す折り畳み状態との間で変形可能になっている。図3Bに示すように、折り畳み状態では、第1のリンク部14と第2のリンク部17とが延長面状に近づいた状態で配置され、第3のリンク部19が第2のリンク部17に対向し且つ近接すると共に、把持部12が第3のリンク部19に対向し且つ近接した状態となる。そして、展開状態では、第3のリンク部19が把持部12や第2のリンク部17から離間した状態となる。
実施例1では、第1の関節部13と第3の関節部18に跨るように、付勢部材の一例としてのゴム紐21が配置されている。ゴム紐21は、展開状態では自然長となり、折り畳み状態では伸長状態となる長さに設定されている。したがって、ハンド部11が折り畳み状態になると、ゴム紐21が展開状態に向かう弾性復元力を作用させる。なお、付勢部材としてゴム紐を例示したがこれに限定されず、コイルバネやねじりバネ等任意の弾性体を使用可能である。また、紙やプラスチック等が折り曲げ状態から平面状態に戻ろうとする復元力や、重力等で折り畳み状態から展開状態に自然に移行する構成であれば、付勢部材を設置しない構成とすることも可能である。
【0020】
(ハンド部組立シートの説明)
図4は実施例1のハンド部の展開図であって、ハンド部組立シートの説明図である。
図4において、実施例1のハンド部11は、1枚のハンド部組立シート31を折り曲げることで形成されている。ハンド部組立シート31は、紙やプラスチック、ゴム等の樹脂材で構成することが好ましいが、アルミ箔等の金属材料や不織布等で構成することも可能である。なお、紙や樹脂の表面に金属や布を被膜(コーティング)したような複合材を使用することも可能である。
ハンド部組立シート31は、レーザー加工機等で目的の形状に加工(切り出す)することが可能である。なお、目的の形状に加工する方法は、レーザー加工機を使用する構成に限定されず、プレス加工や、人が手作業で切り出すことも可能である。
なお、図4において、ハンド部11を組み立てる際の「山折り線」を「一点鎖線」で示し、「谷折り線」を「破線」で示す。
【0021】
図5は実施例1の爪部と開口部の位置関係の説明図であり、図5Aは展開状態での説明図、図5Bは折り畳み状態での説明図である。
図4において、実施例1のハンド部組立シート31では、把持部12の把持本体部12cに対して、短手方向(幅方向の)両側に、把持補強部12d,12eが設けられている。各把持補強部12d,12eの幅方向の内端側には、復元補助部12fが形成されている。復元補助部12fは、接触面12c1の裏側の面に折り返されている。復元補助部12fは、把持本体部12cにも把持補強部12d,12eにも接着されていない。
第1の把持補強部12dの幅方向の外端部には、複数の爪部12hが形成されている。第2の把持補強部12eには、爪部12hに対応して、複数の開口部12iが形成されている。実施例1の開口部12iは、幅方向に延びる長方形状に形成されている。ハンド部11が組み立てられた状態では、開口部12iには爪部12hが嵌まった状態となる。したがって、図5Aに示す展開状態では、把持部12の全体としては断面が図5Aに示すように三角形状となる。把持補強部12d,12eが設けられない構成では、把持部12は1枚のシートのみ(すなわち、把持本体部12cのみ)の構成となり、剛性が弱く、接触面12c1に対象物9が接触すると把持本体部12cが撓んでしまって把持することが困難な場合がある。これに対して、把持補強部12d,12eが設けられた構成では、断面が三角形状となり、1枚のシートのみの構成に比べて全体として剛性が向上して、対象物9を把持しやすくなる。
【0022】
また、ハンド部11が折り畳み状態となる場合、爪部12hが開口部12iに沿って幅方向に移動し、図5Bのように幅方向の内側に移動可能である。よって、把持補強部12d,12eがハンド部11の折り畳みを妨げない。
ハンド部11が折り畳み状態から展開状態になる場合、把持補強部12d,12eの展開に、ハンド部組立シート31の復元力を利用する。ハンド部組立シート31の復元力を利用する場合、素材によっては、折り線で折ると展開に必要な角度まで戻らないことがあるが、実施例1では、復元補助部12fを設けることで、展開に必要な角度を復元補助部12fを設けない場合の半分にしている。一例として、把持補強部12d,12eを把持本体部12cに対して60°展開させたい場合に、復元補助部12fを設けない構成では、シートの復元力で60°展開できないといけないが、復元補助部12fを設ければ、把持本体部12cに対して復元補助部12fが30°展開して、復元補助部12fに対して把持補強部12d,12eが30°展開できればよくなる。よって、復元補助部12fを設けることで、復元力が弱いシート材料を使用する場合でも、シート材料の復元力を利用して目的の姿勢(目的の状態、目的の展開角度)まで展開させやすくすることができる。なお、実施例1では復元補助部12fは1つ(1段)設ける構成を例示したが、シート材料の復元力や目的の展開角度に応じて複数段設ける構成とすることも可能である。
【0023】
また、第2の把持補強部12eの外縁部には、外縁に沿って複数の折り返し補強部12jが形成されている。折り返し補強部12jは、折り返して第2の把持補強部12eに接着剤等で接着することで、第2の把持補強部12eの強度を高め、把持部12の全体の強度を高めることが可能である。なお、対象物9の重力が軽い等の低負荷用途の場合やシート自体に十分な剛性がある場合のように、補強の必要がない場合は、折り返し補強部12jを設けない構成とすることも可能である。
また、把持本体部12cには、他端部12bよりも一端部12a側の位置に、連結部の一例としての連結スリット12kが形成されている。
図4において、実施例1のハンド部組立シート31では、把持部12の一端部12a側には、先端復元補助部32(32a,32b)が形成されている。先端復元補助部32a,32bは、前述した復元補助部12fと同様の目的で配置されており、同様の機能を有する。先端復元補助部32a,32bは、後述するフラップ部33を初期位置(フラップ部33が把持本体部12cに対して平行になっている状態)に戻すために配置されている。
【0024】
図6は実施例1のフラップ部の説明図である。
図4において、先端復元補助部32の先端側には、フラップ部33が形成されている。図4図6において、フラップ部33は、先端復元補助部32bの先端側に連結されたフラップ支持部33aと、更に先端側に連結されたフラップ本体部33bとを有する。フラップ本体部33bは、幅方向の両側から折り込むことで厚さが3重となるように形成されている。フラップ本体部33bの表面には、対象物9に接触する際に摩擦力を向上させるための凹凸を形成するために、複数の孔33cが形成されている。実施例1のフラップ部33は、フラップ本体部33bがフラップ支持部33aにより把持本体部12cに対して可動となっており、フラップ本体部33bに対象物9が接触した際に、対象物9の表面形状に沿ってフラップ本体部33bが揺動可能である。よって、対象物9とフラップ本体部33bの接触面積を広くすることが可能であり、フラップ部33を有しない構成に比べて、ハンド部11で対象物9をより確実に把持することが可能である。
【0025】
図4において、把持部12の他端部12b側には、第1の関節部13が形成されている。実施例1の第1の関節部13は、2つの関節パーツ13a,13bが折り返されて構成されている。なお、実施例1の第1の関節部13のように構成することで、後述するつまみ把持時に、把持補強部12d,12eと第1のリンク補強部(後述、14d,14e)とが重なり合う(干渉する)ことを防止し、対象物9に確実に力をかけられ、ハンド部11で対象物9を確実に把持できる。また、実施例1では、把持補強部12d,12eと第1のリンク補強部14d,14eは、ハンド部11の長手方向の端部が第1の関節部13側に飛び出ているため、1枚のシートで構成する際に、展開図において、把持補強部12d,12eと第1のリンク補強部14d,14eが重ならずに作成するためのスペースも確保可能である。
図4において、第1のリンク部14には、第1のリンク本体部14cに対して、把持部12と同様に、第1のリンク補強部14d、14e,縁補強部14f、爪部14h、開口部14iが形成されている。第1のリンク補強部14d、14e,縁補強部14f、爪部14h、開口部14iの機能は、把持部12のものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
図4において、第2のリンク部17には、第2のリンク本体部17cの幅方向の外側に、第2のリンク補強部17d,17eが形成されている。第2のリンク補強部17d,17eは、第2のリンク本体部17cに貼り合わされることで、第2のリンク部17の厚さが3重(ハンド部組立シート31の厚さの3倍)となり、補強される。なお、折り返し補強部12jと同様に、補強の必要がなければ、第2のリンク補強部17d,17eは設けない構成とすることも可能である。
実施例1の第2のリンク部17では、第2のリンク本体部17c(や第2のリンク補強部17d,17e)の幅L1が、把持部12や第1のリンク部14、第3のリンク部19の幅L0に比べて、長く(幅広に)形成されている。この幅の差分(L1-L0)の部分で、ソケット部7に支持される被支持部17fが構成されている。なお、実施例1では、被支持部17fは、第2のリンク本体部17cから連続して(折り線なしで)一体的に形成されている。
【0027】
図4において、第3のリンク部19には、第3のリンク本体部19cに対して、把持部12と同様に、第3のリンク補強部19d,19e、爪部19h、開口部19iが形成されている。第3のリンク補強部19d,19e、爪部19h、開口部19iの機能は、把持部12のものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
図4において、第4の関節部20は、凸状の第4の関節本体部20aを有する。第4の関節本体部20aは、把持本体部12cの連結スリット12kに差し込まれる形で連結されることで、第3のリンク部19と把持部12とが連結される。第4の関節本体部20aの幅方向の外側には、第4の関節補強部20b,20c,20d,20eが形成されている。実施例1では、第4の関節本体部20aが連結スリット12kに差し込まれた状態で、幅方向外側の部位20c,20eが把持補強部12d,12eに貼り合わされることで、ハンド部11の全体の強度が補強される。
【0028】
(ソケット部の説明)
図7は実施例1のソケット部の要部断面説明図であり、図7Aは正面方向から見た断面図、図7B図7AのVIIB-VIIB線断面図である。
図7において、実施例1のソケット部7は、ハウジング41を有する。ハウジング41は、収容部の一例としての収容空間42が内部に形成されている。収容空間42には、折り畳み状態のハンド部11を複数収容可能である。収容空間42の底部には、押し出し部材の一例としての底板43が配置されている。底板43は、付勢部材の一例としてのバネ44で収容空間42の外側に向けて押される力を受けている。
収容空間42の側壁には、収容空間42の外側の端部の位置に、保持部の一例としての外側突起46と内側突起47とが対向して1組ずつ配置されている。各突起46,47は、収容空間42の側壁の内面に対して突出した状態と埋没した状態との間で移動可能(出没可能)に構成されている。各突起46,47が突出した状態では、外側突起46どうしの間隔L2と内側突起47どうしの間隔L2は、第2のリンク本体部17cの幅L1よりも狭く、且つ、把持本体部12c等の幅L0よりも広く設定されている。すなわち、L1>L2>L0に設定されている。また、各突起46,47が埋没した状態では、外側突起46どうしの間隔と内側突起47どうしの間隔、すなわち、側壁の間隔は、第2のリンク本体部17cの幅L1よりも広く設定されている。
【0029】
図8は実施例1のソケット部の作用説明図であり、図8Aはハンド部が取り外される前の状態の説明図、図8Bは外側突起が取外し位置に移動した状態の説明図、図8Cは外側突起が保持位置に戻った状態の説明図、図8Dは内側突起が送出し位置に移動した状態の説明図、図8Eは内側突起が保持位置に戻った状態の説明図である。
図8Aにおいて、ハンド部11を使用して対象物9を把持する場合、収容空間42に折り畳まれた状態の複数のハンド部11(11a~11f)を収容して、そして、最も外側のハンド部11aの被支持部17fが外側突起46と内側突起47の間で保持された状態で使用される。この状態では、ゴム紐21の力でハンド部11aは折り畳み状態から展開状態に変形している。よって、ハンド部11aを使用して対象物9を把持可能である。
【0030】
図8A図8Bにおいて、使用済みのハンド部11aを取り外す場合、外側突起46を突出した状態の保持位置から、埋没した状態の取外し位置に移動させる。外側突起46が取外し位置に移動すると、使用済みのハンド部11aがソケット部7から離脱可能な状態となる。この時、次の未使用のハンド部11bが、ゴム紐21の力で展開状態になろうとしており、次のハンド部11bの展開状態への変形に伴って、使用済みのハンド部11aが押し出される。よって、使用済みのハンド部11aは、ソケット部7から取り外される。
図8B図8Dにおいて、外側突起46を保持位置に戻した後(図8C参照)、内側突起47を側壁に埋没した送出し位置に移動させると(図8D参照)、底板43のバネ44の力で、未使用のハンド部11b~11fが外側に送り出される。そして、最も外側になるハンド部11bの被支持部17fが外側突起46に接触した状態で停止する。
そして、内側突起47を側壁から突出した保持位置に戻すと(図8E参照)、未使用のハンド部11bが外側突起46と内側突起47の間で保持されて、対象物9の把持が可能な状態となる。
【0031】
なお、全て未使用のハンド部11a~11fを収容部42にセットした場合、最も外側のハンド部11aの被支持部17fが内側突起47の内側に位置した状態となるが、図8C図8Eの工程を実行することで、最も外側のハンド部11aの被支持部17fが外側突起46と内側突起47の間に保持された状態にすることが可能である。
このようにして、実施例1では、保持部である突起46,47を順に作動させることで、収容部42に収容されたハンド部11a~11fを次々に交換することが可能に構成されている。
なお、実施例1では、外側突起46および内側突起47は、図示しないモータで移動させるように構成しているが、バネとソレノイドの組み合わせやエアシリンダや油圧シリンダ等、任意の駆動源を使用することが可能である。
【0032】
(実施例1のロボットアーム1の制御手段の説明)
図1において、実施例1のロボットアーム1の制御部Cは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な起動処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータ及びプログラムを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM等に記憶された起動プログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)ならびにクロック発振器等を有するコンピュータ装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROM及びRAM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0033】
(制御部Cの機能)
図9は実施例1の把持部の把持状態の説明図であり、図9Aは第1の把持状態の一例であるつまみ把持状態の説明図、図9Bは第2の把持状態の一例であるなじみ把持状態の説明図である。
実施例1の制御部Cは、下記の機能手段(プログラムモジュール)C1~C3を有する。
アーム制御手段C1は、ロボットアーム1のアーム関節部4a~4dの各モータの回転を制御して、対象物9に対するハンド部11の位置を制御する。図9において、ハンド部11の先端部が対象物9に接近した状態でハンド部11どうしで対象物9を把持すると、図9Aに示すように、把持部12の先端部で対象物9を保持するつまみ把持状態(第1の把持状態の一例)で、対象物9を保持可能である。一方、図9Aの状態よりも、ソケット部7が対象物9に近づくまでロボットアーム1を移動させると、図9Bに示すように、把持部12と第3のリンク部19とが対象物9に接触して対象物を把持するなじみ把持状態(第2の把持状態の一例)で、対象物9を保持可能である。なお、つまみ把持となじみ把持自体は、特許文献1にも記載されており、公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0034】
把持制御手段C2は、ソケット関節部8のモータを制御して、ハンド部11の先端部の間隔(ハンド部11どうしの開閉)を制御する。対象物9を把持する場合は、把持制御手段C2がハンド部11どうしの間隔を狭くし(ハンド部11の先端を閉め)、対象物9を離す場合は、把持制御手段C2がハンド部11どうしの間隔を広くする(ハンド部11の先端を開く)。
交換制御手段C3は、外側突起46と内側突起47の作動を制御して、ハンド部11の交換を制御する。実施例1の交換制御手段C3は、使用済みのハンド部11を交換する場合、図8A図8Eで示したように各突起46,47を制御して、収容空間42に収容された未使用のハンド部11に交換する。
【0035】
(実施例1の作用)
図10は従来の構成のハンド部の説明図であり、図10Aは外観の写真、図10Bはリンク機構の説明図である。
前記構成を備えた実施例1のロボットアーム1では、図3に示すように、ハンド部11が折り畳み可能に構成されている。特許文献1に示す従来の構成では、組み立てられたハンド部01は、リンク機構で示すと、図10Bに示すような形となり、折り畳むことができない。したがって、ハンド部01を予め組み立てておくと、場所を取ると共に、交換作業時の破損も問題になりやすい。
これに対して実施例1では、ハンド部11が折り畳み可能であるため、予め組み立てておいても、折り畳んで収納しておくことが可能であり、従来構成に比べて場所を取らず、収納性が向上している。特に、ソケット部7に収容した状態で保管しておくことも可能であり、複数のハンド部11をまとめて保管することが可能であり、ハンド部11の収納性や作業効率も向上する。特に、ソケット部7単位で交換可能な構成であれば、ハンド部11の補充もソケット部7の交換作業で済み、作業効率がさらに向上する。
【0036】
また、従来技術のように、ハンド部01を組み立てても保管が困難な場合、ハンド部01を予め多数組み立てておくことができず、ハンド部01を次々に使い捨てて作業をしようとしても、未使用のハンド部01が不足しやすい。よって、ロボットアーム1での作業を一度停止してハンド部01を組み立てる必要が発生するなど、対象物9を取り扱う作業の作業効率が悪い問題もある。これに対して実施例1のように折り畳み可能なハンド部11を使用するロボットアーム1では、ハンド部11を予め多数組み立てておいて保管することが可能である。よって、ハンド部11の不足が抑制されやすく、作業効率が向上する。
特に、実施例1では、ソケット部7に収容されたハンド部11は、制御部Cの制御により自動的に交換可能であり、ハンド部11を毎回手動で交換する必要がない。よって、交換作業時の衛生面での汚染等も抑制可能である。
【0037】
また、実施例1のハンド部11は、1枚のハンド部組立シート31を折り曲げて作成可能であり、把持部12や第1のリンク部14等が別個の部品で構成されている場合に比べて、ハンド部組立シート31の作成作業も、ハンド部11の組立作業も容易にすることができる。よって、ハンド部11の製造費用も削減可能である。
【実施例0038】
図11は実施例2のハンド部組立シートの説明図であり、実施例1の図4に対応する図である。
図12は実施例2の関節部の拡大図である。
次に、実施例2の説明をするが、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図11において、実施例2のハンド部11′では、各関節部13′,16′,18′,20′の部分に、山折りと谷折りが交互に複数回繰り返された構成となっている。図12において、実施例2の各関節部13′,16′,18′,20′は、いわゆる蛇腹状、アコーディオン状に構成されている。そして、実施例2の各関節部13′,16′,18′,20′は、山折りと谷折りが交互に繰り返された構成において、把持部12の他端部12bや第1のリンク部14の一端部14a側の部分(アコーディオンの片側)が接着されている。よって、実施例2のハンド部11′では、このように構成することで、関節部13′,16′,18′,20′にはバネ性が付与される。よって、シートの弾性復元力と関節部13′,16′,18′,20′のバネ性により、実施例2のハンド部11′は折り畳み状態から展開状態に自然に変形可能である。
なお、実施例2のハンド部11′では、実施例1のハンド部11と異なりゴム紐21が設けられていない。
【0039】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2のハンド部11′では、実施例1と異なりゴム紐21を有しない。よって、ハンド部11′全体を1枚のハンド部組立シート31が作成することが可能となり、ゴム紐21のような別部材を必要としない。よって、組立性も向上すると共に、廃棄やリサイクル時にもゴム紐21を分別する必要がなくなり、リサイクル性が向上する。
【0040】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、ロボットアーム1を物品の移動に使用する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、対象物9の在庫管理や、無人店舗での顧客の購入対象物9の認識等にも適用可能である。
【0041】
(H02)前記実施例において、ソケット部7がソケット関節部8を中心に回転可能な構成を例示したがこれに限定されない。例えば、ソケット部7どうしが互いに接近離間する方向にスライド移動するスライダを使用して、ハンド部11,11′どうしの間隔を制御する構成とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、フラップ部33や各補強部12d,12e等は、設けることが望ましいが、設けない構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、ハンド部11,11′を4節リンクで構成する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、第1のリンク部14や第3のリンク部19を多関節の構成とすることで、全体として5節リンクや6節リンク等にすることも可能である。
【0042】
(H05)前記実施例において、ソケット部7に複数のハンド部11,11′を収容して、自動的に次々に交換する構成とすることが望ましいが、これに限定されない。ハンド部11,11′が1つずつしか装着できない構成とすることも可能である。
(H06)前記実施例において、ハンド部11,11′を1枚のシートで構成することが望ましいが、これに限定されない。各部位12~19を別個に構成して、組み立てる構成とすることも可能である。例えば、把持部12やリンク部14,17,19を剛性の高い厚いシート材で構成し、関節部13,16,18,20,13′,16′,18′,20′を薄いシート材で構成する等の変更も可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…対象物把持装置、
2…アーム部、
7…ソケット部、
9…対象物、
11,11′…ハンド部、
12…把持部、
12a…把持部の一端部、
12b…把持部の他端部、
12c1…接触面、
13,13′…第1の関節部、
14…第1のリンク部、
14b…第1のリンク部の他端部、
16,16′…第2の関節部、
17…第2のリンク部、
17b…第2のリンク部の他端部、
18,18′…第3の関節部、
19…第3のリンク部、
20,20′…第4の関節部、
21…付勢部材、
31…ハンド部組立用シート、
42…収容部、
46,47…保持部、
C…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12