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特開2023-65808情報提供装置、情報提供方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065808
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20230508BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A61B5/16 110
A61B5/0245 100D
A61B5/16 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176155
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502054196
【氏名又は名称】学校法人武蔵野大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 圭子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 小春
(72)【発明者】
【氏名】中西 崇文
(72)【発明者】
【氏名】岡田 龍太郎
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA19
4C017AB02
4C017AB04
4C017AC15
4C017BC11
4C017BC14
4C017CC02
4C017FF30
4C038PP03
4C038PS00
(57)【要約】
【課題】対象者の生体に関する生体データを用いて、対象者の精神面のサポートを促すための情報を提供すること。
【解決手段】対象者に身に付けられた生体センサで取得された対象者の生体に関する生体データにより得られる自律神経系の活動を表す指標である心拍変動パラメータに基づいて、少なくとも対象者のストレス度合いを可視化するための情報を含む表示情報を生成し、生成した表示情報を、対象者が操作するユーザ装置、又は、対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する提供部、を備える情報提供装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に身に付けられた生体センサで取得された前記対象者の生体に関する生体データにより得られる自律神経系の活動を表す指標である心拍変動パラメータに基づいて、少なくとも前記対象者のストレス度合いを可視化するための情報を含む表示情報を生成し、生成した前記表示情報を、前記対象者が操作するユーザ装置、又は、前記対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する提供部、
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記提供部は、前記対象者のストレス度合いを表す画像情報と、前記対象者のストレス度合いに応じたアドバイスとを含む前記表示情報を、前記対象者が操作するユーザ装置に提供する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記対象者に関連するユーザは、コミュニティサービスにおいて互いの状況を閲覧可能となっているユーザであり、
前記提供部は、前記対象者のストレス度合いを表す画像情報を含む前記表示情報を、前記対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する、
請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記心拍変動パラメータを用いて、前記対象者のストレス度合いを表す感情を推定する感情推定部をさらに備え、
前記感情推定部は、前記心拍変動パラメータの値と、感情に対応付けられた心拍変動パラメータの値とを比較して前記対象者の感情を推定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記心拍変動パラメータには、少なくともSDNN(Standard Deviation of the Normal to Normal Interval)、RMSSD(Root Mean Square of the Successive Differences)又はCVSD(Coefficient of variation of successive differences equal to the rmssd divided by mean_nni)のいずれかが含まれ、
前記感情推定部は、前記SDNN、前記RMSSD又は前記CVSDのいずれかの値と、感情に対応付けられたSDNN、RMSSD又はCVSDのいずれかの値とを比較して、類似する値に対応付けられた感情を、前記対象者の感情として推定する、
請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記心拍変動パラメータを用いて、前記対象者のストレス度合いを表す感情を推定する感情推定部をさらに備え、
前記感情推定部は、前記心拍変動パラメータを入力して、感情の情報を出力するように構成された学習済みモデルを用いて前記対象者の感情を推定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
対象者に身に付けられた生体センサで取得された前記対象者の生体に関する生体データにより得られる自律神経系の活動を表す指標である心拍変動パラメータに基づいて、少なくとも前記対象者のストレス度合いを可視化するための情報を含む表示情報を生成し、生成した前記表示情報を、前記対象者が操作するユーザ装置、又は、前記対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する情報提供方法。
【請求項8】
対象者に身に付けられた生体センサで取得された前記対象者の生体に関する生体データにより得られる自律神経系の活動を表す指標である心拍変動パラメータに基づいて、少なくとも前記対象者のストレス度合いを可視化するための情報を含む表示情報を生成し、生成した前記表示情報を、前記対象者が操作するユーザ装置、又は、前記対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する提供ステップ、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の感情を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、Webページから算出される特徴量と、Webページの閲覧期間中に取得されたユーザの生体信号の特徴量とに基づいて、ユーザが持った感情の種類を表す情報を推定結果として出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-222397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように推定されたユーザの感情は、ユーザの生体信号に基づく感情であるからユーザ自身の身体の状態を表しているものといえる。近年では、ストレス社会と呼ばれるように日常生活においても多くのストレスが発生する。そのため、人によっては、知らず知らずのうちにストレスを抱え込んでしまい、気持ちが落ち込んでしまうことも考えられる。そこで、ユーザから得られる生体信号を用いて、対象者の精神面のサポートを促すことができる技術が望まれている。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、対象者の生体に関する生体データを用いて、対象者の精神面のサポートを促すための情報を提供することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、対象者に身に付けられた生体センサで取得された前記対象者の生体に関する生体データにより得られる自律神経系の活動を表す指標である心拍変動パラメータに基づいて、少なくとも前記対象者のストレス度合いを可視化するための情報を含む表示情報を生成し、生成した前記表示情報を、前記対象者が操作するユーザ装置、又は、前記対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する提供部、を備える情報提供装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上記の情報提供装置であって、前記提供部は、前記対象者のストレス度合いを表す画像情報と、前記対象者のストレス度合いに応じたアドバイスとを含む前記表示情報を、前記対象者が操作するユーザ装置に提供する。
【0008】
本発明の一態様は、上記の情報提供装置であって、前記対象者に関連するユーザは、コミュニティサービスにおいて互いの状況を閲覧可能となっているユーザであり、前記提供部は、前記対象者のストレス度合いを表す画像情報を含む前記表示情報を、前記対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する。
【0009】
本発明の一態様は、上記の情報提供装置であって、前記心拍変動パラメータを用いて、前記対象者のストレス度合いを表す感情を推定する感情推定部をさらに備え、前記感情推定部は、前記心拍変動パラメータの値と、感情に対応付けられた心拍変動パラメータの値とを比較して前記対象者の感情を推定する。
【0010】
本発明の一態様は、上記の情報提供装置であって、前記心拍変動パラメータには、少なくともSDNN(Standard Deviation of the Normal to Normal Interval)、RMSSD(Root Mean Square of the Successive Differences)又はCVSD(Coefficient of variation of successive differences equal to the rmssd divided by mean_nni)のいずれかが含まれ、前記感情推定部は、前記SDNN、前記RMSSD又は前記CVSDのいずれかの値と、感情に対応付けられたSDNN、RMSSD又はCVSDのいずれかの値とを比較して、類似する値に対応付けられた感情を、前記対象者の感情として推定する。
【0011】
本発明の一態様は、上記の情報提供装置であって、前記心拍変動パラメータを用いて、前記対象者のストレス度合いを表す感情を推定する感情推定部をさらに備え、前記感情推定部は、前記心拍変動パラメータを入力して、感情の情報を出力するように構成された学習済みモデルを用いて前記対象者の感情を推定する。
【0012】
本発明の一態様は、対象者に身に付けられた生体センサで取得された前記対象者の生体に関する生体データにより得られる自律神経系の活動を表す指標である心拍変動パラメータに基づいて、少なくとも前記対象者のストレス度合いを可視化するための情報を含む表示情報を生成し、生成した前記表示情報を、前記対象者が操作するユーザ装置、又は、前記対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する情報提供方法である。
【0013】
本発明の一態様は、対象者に身に付けられた生体センサで取得された前記対象者の生体に関する生体データにより得られる自律神経系の活動を表す指標である心拍変動パラメータに基づいて、少なくとも前記対象者のストレス度合いを可視化するための情報を含む表示情報を生成し、生成した前記表示情報を、前記対象者が操作するユーザ装置、又は、前記対象者に関連するユーザが操作するユーザ装置に提供する提供ステップ、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、対象者の生体に関する生体データを用いて、対象者の精神面のサポートを促すための情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態における情報提供システムのシステム構成を表す構成図である。
図2】第1の実施形態におけるユーザ装置の具体的な構成を示す図である。
図3】第1の実施形態における情報提供装置の具体的な構成を示す図である。
図4】第1の実施形態におけるユーザ情報テーブルの一具体例を示す図である。
図5】第1の実施形態における感情推定テーブルの一具体例を示す図である。
図6】第1の実施形態における状態定義テーブルの一具体例を示す図である。
図7】第1の実施形態における情報提供システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図8】ユーザ装置のユーザのフレンドであるユーザが操作するユーザ装置の表示部の画面に表示される情報の一例を示す図である。
図9】第2の実施形態におけるユーザ装置の具体的な構成を示す図である。
図10】第2の実施形態における情報提供装置の具体的な構成を示す図である。
図11】第2の実施形態におけるユーザ情報テーブルの一具体例を示す図である。
図12】第2の実施形態における応答情報テーブルの一具体例を示す図である。
図13】ユーザ装置の表示部の画面に表示される応答内容の一例を示す図である。
図14】第2の実施形態における情報提供システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(概要)
本発明では、まず生体データの取得対象となる人物(以下「対象者」という。)の生体データを用いて、対象者の心拍変動パラメータを取得する。心拍変動パラメータは、自律神経系(例えば、交感神経及び副交感神経)の活動を表す指標である。心拍変動パラメータの値が低いほどストレス状態、心拍変動パラメータの値が高いほどリラックス状態とみなすことができる。ストレス状態とは、交感神経が緊張状態である状態を表し、リラックス状態とは、副交感神経が緊張状態である状態を表す。以下の説明では、心拍変動パラメータを表す指標として、迷走緊張強度やストレス値に影響されるSDNN(Standard Deviation of the Normal to Normal Interval)、RMSSD(Root Mean Square of the Successive Differences)、CVSD(Coefficient of variation of successive differences equal to the rmssd divided by mean_nni)を用いる。
【0017】
SDNNは、交感神経及び副交感神経の両方を含む自律神経系全体の活動状態を表す指標であり、例えば心拍間隔の標準偏差を求めることにより算出される。RMSSDは、副交感神経系の活動状態を表す指標であり、例えば連続して隣接する心拍間隔の差の二乗平均平方根を求めることにより算出される。RMSSDの低下は、副交感神経活動の低下を表す。CVSDは、変動係数であり、例えばRMSSDを心拍間隔の平均値で除算することにより算出される。
【0018】
次に、本発明では、取得した対象者の心拍変動パラメータを用いて対象者の感情を推定する。本発明では、対象者の感情として、例えば、通常の感情、負の感情(望ましいことが起こらない)、負の感情(望ましくないことが起こる)、正の感情(望ましくないことが起こらない)、正の感情(望ましいことが起こる)の5つの感情を用いる。このように、対象者の感情は、対象者のストレス度合いを表す。通常の感情は、対象者が平常心であることを表す。すなわち、通常の状態は、正の感情でも負の感情でもないことを表す。
【0019】
正の感情とは、対象者の気分が上昇している状態を意味する。ここで、一例として正の感情(望ましくないことが起こらない)は対象者が安堵している状態であることを意味し、正の感情(望ましいことが起こる)は対象者が喜んでいる状態であることを意味する。負の感情とは、対象者の気分が下降している状態を意味する。ここで、一例として負の感情(望ましいことが起こらない)は対象者が悲しんでいる状態であることを意味し、負の感情(望ましくないことが起こる)は対象者が苦痛な状態であることを意味する。
【0020】
次に、本発明では、推定した対象者の感情を可視化するために、例えば感情を示すアイコンを選択する。アイコンは、対象者の感情を明示的に示すために、表情付きのアイコンの画像を用いる。そして、本発明では、対象者の感情を可視化した情報を、対象者が操作するユーザ装置、又は、対象者に関連する人物が操作するユーザ装置に対して提供する。このような構成により、対象者に関連する人物は、対象者の感情をアイコンにより把握することができ、対象者の精神面のサポートが可能になる。
以下、上記処理を実現するための具体的な構成について説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における情報提供システム100のシステム構成を表す構成図である。情報提供システム100は、複数の生体センサ10(例えば、図1では、生体センサ10-1及び10-2)、複数のユーザ装置20(例えば、図1では、ユーザ装置20-1及び20-2)及び情報提供装置30を備える。生体センサ10と、ユーザ装置20とは、有線又は無線により接続される。無線通信は、例えば短距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標))であってもよい。なお、図1では、生体センサ10及びユーザ装置20の数がそれぞれ2つの場合を示しているが、情報提供システム100には、3つ以上の生体センサ10及びユーザ装置20が含まれていてもよい。
【0022】
生体センサ10は、対象者の生体データを取得する。生体センサ10は、取得した生体データに、生体データが取得された日時の情報を対応付けてユーザ装置20に送信する。生体データは、対象者の生体に関する情報であり、例えば対象者の心拍数、心拍の波形を示すデータ(例えば、心電図)、体温、音声の出力レベル、血圧、脈拍等である。生体センサ10は、ウェアラブルなセンサであり、例えばシャツ型のセンサであってもよいし、時計型であってもよい。
【0023】
例えば、生体センサ10-1は、ユーザ装置20-1を操作する対象者の生体データを取得する。例えば、生体センサ10-2は、ユーザ装置20-2を操作する対象者の生体データを取得する。
【0024】
ユーザ装置20は、生体センサ10によって取得された生体データを、所定のタイミングで情報提供装置30に送信する。所定のタイミングは、例えばユーザ装置20が生体データを取得したタイミングであってもよいし、一定期間分の生体データを取得したタイミングであってもよい。
【0025】
ユーザ装置20は、情報提供装置30により提供されるコミュニティサービス、いわゆるSNS(Social Networking Service)(以下「提供コミュニケーションサービス」という。)を利用して、ネットワーク40を介して他のユーザ装置20との間で通信を行う。情報提供装置30により提供されるSNSは、例えば少なくともフレンドとなったユーザとの間でチャットによるコミュニケーションが可能なコミュニケーションサービスである。したがって、ユーザ装置20は、ネットワーク40を介して他のユーザ装置20との間で、文章のやり取りによりコミュニケーションを図ることができる。ここで、フレンドとは、提供コミュニケーションサービスにおいて、各ユーザ装置20のユーザ同士が互いに登録して互いの状況を閲覧可能となっているユーザを意味する。
【0026】
さらに、ユーザ装置20は、提供コミュニケーションサービスにおけるフレンド一覧表示画面において、フレンドとなったユーザの生体データに基づく情報を表示する。ユーザの生体データに基づく情報とは、例えばフレンドとなったユーザの心拍数、ユーザの感情を示すアイコン等である。ユーザ装置20は、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ノートパソコン等の情報処理装置を用いて構成される。ユーザ装置20は、例えば対象者が操作する装置である。
【0027】
情報提供装置30は、各ユーザ装置20に対して提供コミュニケーションサービスを提供する。各ユーザ装置20は、情報提供装置30から提供される提供コミュニケーションサービスのアプリケーションをインストールすることにより、提供コミュニケーションサービスを利用することができる。情報提供装置30は、対象者の生体データに基づく情報を表示させるための表示情報を各ユーザ装置20に提供する。表示情報には、少なくともアイコン情報と、心拍数の情報とが含まれる。情報提供装置30は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。
【0028】
図2は、第1の実施形態におけるユーザ装置20の具体的な構成を示す図である。ユーザ装置20は、操作部21、表示部22、通信部23、記憶部24及び制御部25を備える。
【0029】
操作部21は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、タッチパネル、ボタン等の既存の入力装置を用いて構成される。操作部21は、ユーザの指示をユーザ装置20に入力する際にユーザによって操作される。操作部21は、入力装置をユーザ装置20に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、操作部21は、入力装置においてユーザの入力に応じて生成された入力信号をユーザ装置20に入力する。
【0030】
表示部22は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部22は、例えば、提供コミュニケーションサービスに関する情報を表示する。表示部22は、画像表示装置をユーザ装置20に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部22は、ユーザ装置20を表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。
【0031】
通信部23は、他の装置との間で通信を行う。例えば、通信部23は、生体センサ10及び情報提供装置30との間で通信を行う。通信部23は、生体センサ10から送信された生体データを受信する。通信部23は、生体データを情報提供装置30に送信する。通信部23は、情報提供装置30から送信された表示情報を受信する。
【0032】
記憶部24には、アプリケーションプログラム241、生体データ242及び表示データ243が記憶されている。アプリケーションプログラム241は、制御部25により実行されるプログラム(例えば、提供コミュニケーションサービスを利用するためのプログラム)である。制御部25によりアプリケーションプログラム241が実行されることにより、ユーザ装置20のユーザは、提供コミュニケーションサービスを利用することが可能になる。生体データ242は、生体センサ10から得られた対象者の生体データである。表示データ243は、提供コミュニケーションサービスの利用時に表示されるデータであり、例えば情報提供装置30から得られた表示情報を含む。記憶部24は、磁気記憶装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
【0033】
制御部25は、ユーザ装置20全体を制御する。制御部25は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部25は、アプリケーションプログラム241を実行することによって、取得部251、通信制御部252及び表示制御部253の機能を実現する。
【0034】
取得部251、通信制御部252及び表示制御部253のうち一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)、FPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記憶媒体である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0035】
取得部251、通信制御部252及び表示制御部253の機能の一部は、予めユーザ装置20に搭載されている必要はなく、追加のアプリケーションプログラムがユーザ装置20にインストールされることで実現されてもよい。
【0036】
取得部251は、各種情報を取得する。例えば、取得部251は、通信部23によって受信された生体データ及び表示情報を取得する。
【0037】
通信制御部252は、通信部23による通信を制御する。例えば、通信制御部252は、取得部251により得られた生体データの送信タイミングを制御する。
【0038】
表示制御部253は、表示部22の表示を制御する。例えば、表示制御部253は、取得部251により得られた表示情報を解析し、解析結果に応じた画面データを表示部22に表示させる。
【0039】
図3は、第1の実施形態における情報提供装置30の具体的な構成を示す図である。情報提供装置30は、通信部31、記憶部32及び制御部33を備える。
【0040】
通信部31は、他の装置との間で通信を行う。例えば、通信部31は、ユーザ装置20との間で通信を行う。通信部31は、各ユーザ装置20から送信された生体データを受信する。通信部31は、表示情報をユーザ装置20に送信する。
【0041】
記憶部32には、アプリケーションプログラム321、ユーザ情報テーブル322、感情推定テーブル323及び状態定義テーブル324が記憶されている。アプリケーションプログラム321は、制御部33により実行されるプログラムである。制御部33によりアプリケーションプログラム321が実行されることにより、情報提供装置30は対象者の心拍変動パラメータを算出する機能、感情を推定する機能及び表示情報の提供機能を実現することができる。ユーザ情報テーブル322は、対象者に関する情報が登録されたテーブルである。感情推定テーブル323は、対象者の感情を推定するための情報が登録されたテーブルである。状態定義テーブル324は、対象者の感情に応じた対象者の状態が定義されたテーブルである。記憶部32は、磁気記憶装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
【0042】
制御部33は、情報提供装置30全体を制御する。制御部33は、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部33は、アプリケーションプログラム321を実行することによって、取得部331、心拍変動パラメータ算出部332、感情推定部333及び情報提供部334の機能を実現する。
【0043】
取得部331、心拍変動パラメータ算出部332、感情推定部333及び情報提供部334のうち一部または全部は、ASICやPLD、FPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記憶媒体である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0044】
取得部331、心拍変動パラメータ算出部332、感情推定部333及び情報提供部334の機能の一部は、予め情報提供装置30に搭載されている必要はなく、追加のアプリケーションプログラムが情報提供装置30にインストールされることで実現されてもよい。
【0045】
取得部331は、各種情報を取得する。例えば、取得部331は、通信部31によって受信された生体データを取得する。
【0046】
心拍変動パラメータ算出部332は、取得部331によって取得された生体データに基づいて心拍変動パラメータを算出する。例えば、情報提供装置30は、生体データに含まれる心電図を用いて、対象者の心拍変動パラメータを算出する。
【0047】
感情推定部333は、心拍変動パラメータ算出部332により算出された心拍変動パラメータと、記憶部32に記憶されている感情推定テーブル323とに基づいて対象者の感情を推定する。
【0048】
情報提供部334は、感情推定部333により得られた感情の推定結果と、状態定義テーブル324とに基づいて対象者の感情を示す情報であるアイコン情報を取得する。情報提供部334は、アイコン情報と、心拍数の情報とを含む表示情報を生成し、生成した表示情報をユーザ装置20に提供する。
【0049】
図4は、第1の実施形態におけるユーザ情報テーブル322の一具体例を示す図である。ユーザ情報テーブル322には、ユーザID(メイン)と、アドレス情報と、生体データと、アイコン情報と、フレンド情報とが対応付けて登録されている。ユーザID(メイン)は、提供コミュニケーションサービスを利用するユーザ(対象者)を識別するための識別情報を表す。アドレス情報は、ユーザID(メイン)で識別されるユーザが提供コミュニケーションサービスに登録したメールアドレスを表す。なお、アドレス情報には、ユーザ装置20のMACアドレスが含まれていてもよい。ユーザ装置20のMACアドレスが登録されることにより、特定のユーザ装置20を用いた場合のみ提供コミュニケーションサービスを利用可能とすることができる。これにより、セキュリティを向上させることができる。生体データは、ユーザID(メイン)で識別されるユーザの生体データを表す。アイコン情報は、ユーザID(メイン)で識別されるユーザの感情を示すアイコンを表す。
【0050】
フレンド情報は、ユーザID(メイン)で識別されるユーザのフレンドの情報を表す。フレンド情報には、ユーザID、生体データ、アイコン情報及びメッセージ情報が含まれる。フレンド情報におけるユーザIDは、ユーザID(メイン)で識別されるユーザのフレンドとなっているユーザを識別するための識別情報を表す。フレンド情報における生体データは、フレンドとなっているユーザの生体データを表す。フレンド情報におけるアイコン情報は、フレンドとなっているユーザの感情を示すアイコンを表す。メッセージ情報は、ユーザID(メイン)で識別されるユーザと、フレンドとなっているユーザとの間で送受信されたメッセージを表す。
【0051】
ユーザID(メイン)のユーザの生体データ及びアイコン情報が更新された場合、他のレコードにおける同一のユーザIDの生体データ及びアイコン情報も更新される。すなわち、生体データ及びアイコン情報が更新されたユーザをフレンドとしているユーザのユーザIDに対応付けられているフレンド情報のうち、生体データ及びアイコン情報が更新されたユーザと同一のユーザIDの生体データ及びアイコン情報が更新される。例えば、ユーザID(メイン)“AA”のユーザの生体データ及びアイコン情報が更新された場合、ユーザID“AA”のユーザをフレンドとしているユーザID(メイン)“BB”のユーザのレコードのフレンド情報のうち、ユーザID“AA”のユーザの生体データ及びアイコン情報が更新されることになる。
【0052】
図5は、第1の実施形態における感情推定テーブル323の一具体例を示す図である。感情推定テーブル323は、心拍変動パラメータと、感情の各値が対応付けられた複数のレコードで構成される。図5では、感情推定テーブル323の心拍変動パラメータの項目には、SDNN、RMSSD及びCVSDの各値が示されている。感情推定テーブル323における感情は、対象者の感情として推定される候補となる感情を表す。感情は、心拍変動パラメータの値に応じて推定される。図5では、感情として、通常の状態、負の感情(望ましいことが起こらない)、負の感情(望ましくないことが起こらない)、正の感情(望ましくないことが起こる)、正の感情(望ましいことが起こる)の5つの感情が示されている。図5に示すように、感情毎には、SDNN、RMSSD及びCVSDの各値が対応付けられている。
【0053】
図6は、第1の実施形態における状態定義テーブル324の一具体例を示す図である。状態定義テーブル324は、感情と、アイコン情報の各値が対応付けられた複数のレコードで構成される。状態定義テーブル324における感情は、対象者の感情として推定される候補となる感情を表す。アイコン情報は、対応付けられている感情を表す指標となるアイコンを表す。図6では、アイコン情報として、顔付きのアイコンを示しているが、アイコン情報は顔付きのアイコンの画像に限定される必要はない。例えば、アイコン情報として、記号や文字等の画像情報が用いられてもよい。
【0054】
図7は、第1の実施形態における情報提供システム100の処理の流れを示すシーケンス図である。図7では、ユーザ装置20-1のユーザの生体データに基づいてユーザ装置20-1のユーザの感情を推定し、ユーザ装置20-2のユーザに対してユーザ装置20-1のユーザの感情を示す情報を提供する構成について説明する。
【0055】
ユーザ装置20-1の取得部251は、生体センサ10-1から送信された生体データを取得する(ステップS101)。取得部251は、取得した生体データを記憶部24に保存する。通信制御部252は、通信部23を制御して、取得された生体データを情報提供装置30に送信させる。通信部23は、通信制御部252の制御に従って生体データを情報提供装置30に送信する(ステップS102)。通信部23は、生体データにユーザ装置20-1のユーザのユーザIDを付与して送信する。なお、ステップS101及びステップS102の処理は、生体データが取得される度に実行される。
【0056】
情報提供装置30の通信部31は、ユーザ装置20-1から送信された生体データを受信する(ステップS103)。取得部331は、通信部31により受信された生体データを取得する。取得部331は、取得した生体データを記憶部32に保存する。具体的には、取得部331は、ユーザ情報テーブル322を記憶部32から読み出して、読み出したユーザ情報テーブル322のレコードのうち、生体データに付与されたユーザIDに対応するレコードを選択する。取得部331は、選択したレコードの生体データの項目に、取得した生体データを保存する。
【0057】
なお、この生体データは、ユーザID(メイン)のユーザの生体データであるため、取得部331はユーザID(メイン)のユーザに対応する項目に生体データを時系列順に追加して保存する。さらに、取得部331は、フレンド情報の項目において、生体データに付与されたユーザIDに対応するレコードの生体データの項目に生体データを時系列順に追加して保存する。
【0058】
心拍変動パラメータ算出部332は、所定期間分の生体データが記憶部32に保存されると、所定期間分の生体データに含まれる心電図を用いて心拍変動パラメータ(SDNN、RMSSD及びCVSD)を算出する(ステップS104)。通常、心電図を測定する際には、ノイズが発生することがある。そこで、心拍変動パラメータ算出部332は、取得された心電図のノイズを除去するために、心拍変動パラメータの算出前に心電図の加重平均を算出してもよい。心拍変動パラメータ算出部332は、算出した心拍変動パラメータを感情推定部333に出力する。
【0059】
感情推定部333は、心拍変動パラメータ算出部332によって算出された心拍変動パラメータと、記憶部32に記憶されている感情推定テーブル323とに基づいて、ユーザ装置20-1のユーザの感情を推定する(ステップS105)。具体的には、感情推定部333は、算出されたSDNN、RMSSD及びCVSDの各値と、感情推定テーブル323に登録されている感情毎のSDNN、RMSSD及びCVSDの値とを比較する。
【0060】
例えば、感情推定部333は、算出されたSDNNの値と、各感情におけるSDNNの値とを比較する。例えば、感情推定部333は、算出されたRMSSDの値と、各感情におけるRMSSDの値とを比較する。例えば、感情推定部333は、算出されたCVSDの値と、各感情におけるCVSDの値とを比較する。感情推定部333は、SDNN、RMSSD及びCVSDの各値の比較結果に基づいて、類似していると判断された感情をそれぞれ取得する。ここで、類似していると判断するための基準は、予め設定されているものとする。例えば、感情推定部333は、算出された値と、感情推定テーブル323に登録されている値との差が閾値未満である場合に類似していると判断してもよい。なお、1つの指標において、類似していると判断された値が複数ある場合、感情推定部333は差が最も小さい値を選択してもよい。
【0061】
感情推定部333は、上記の処理により最少で1つの感情の情報を取得し、最大で3つの感情の情報を取得することになる。最大で3つの感情の情報を取得されるのは、SDNNで1つの感情が選択され、RMSSDで1つの感情が選択され、CVSDで1つの感情が選択されるためである。その後、感情推定部333は、取得された3つの感情の中で、最も投票数が多かった感情が、現在の対象者の感情に最も近い感情であると推定する。感情推定部333は、感情の推定結果を情報提供部334に出力する。
【0062】
情報提供部334は、感情推定部333から出力された推定結果と、記憶部32に記憶されている状態定義テーブル324とに基づいて、感情を示すアイコンを選択する(ステップS106)。具体的には、情報提供部334は、状態定義テーブル324を参照し、推定結果に含まれる感情に対応付けられているアイコン情報を選択する。情報提供部334は、選択したアイコン情報を、生体データに付与されたユーザIDに対応するレコードのアイコン情報の項目に保存する。なお、既にアイコン情報が保存されている場合には、情報提供部334は新たに選択したアイコンの情報で、既に保存されているアイコン情報を上書きすることでアイコン情報を更新する。
【0063】
さらに、情報提供部334は、フレンド情報の項目において、生体データに付与されたユーザIDに対応するレコードのアイコン情報の項目に保存する。なお、既にアイコン情報が保存されている場合には、情報提供部334は新たに選択したアイコンの情報で、既に保存されているアイコン情報を上書きすることでアイコン情報を更新する。これにより、フレンド情報の項目におけるアイコン情報を更新することができる。
【0064】
ステップS101からステップS106までの処理は、生体データが取得される度に実行される。そのため、最新の生体データ及びアイコン情報が登録される。ユーザ装置20-2のユーザが、ユーザ装置20-2を操作して、提供コミュニケーションサービスにアクセスしたとする(ステップS107)。この場合、ユーザ装置20-2の通信部23は、ユーザ装置20-2のユーザのユーザIDを含む情報を情報提供装置30に送信する。
【0065】
情報提供装置30の通信部31は、ユーザ装置20-2から送信された情報を受信する。情報提供部334は、ユーザ装置20-2から送信された情報に含まれるユーザIDを取得する。情報提供部334は、ユーザ情報テーブル322を参照し、取得したユーザIDに対応するレコードを取得する。情報提供部334は、取得したレコードに登録されている生体データ及びアイコン情報と、フレンド情報の項目に登録されている各種情報とを取得する。情報提供部334は、取得した情報を含む表示情報を生成する(ステップS108)。情報提供部334は、生成した表示情報を、ユーザ装置20-2に提供する(ステップS109)。
【0066】
ユーザ装置20-2の通信部23は、情報提供装置30から送信された表示情報を受信する(ステップS110)。表示制御部253は、通信部23によって受信された表示情報に基づく画面を表示部22に表示させる。表示部22は、表示制御部253の制御に従って、表示情報に基づく画面を表示する(ステップS111)。例えば、ユーザ装置20-2の表示部22には、図8のような画面が表示される。
【0067】
図8は、ユーザ装置20-1のユーザのフレンドであるユーザが操作するユーザ装置20-2の表示部22の画面に表示される情報の一例を示す図である。
図8に示すユーザ装置20-2の表示部22の画面には、表示情報に含まれるフレンド情報に基づいてフレンドの情報51が表示されている。図8では、一例として、6人のフレンドの情報51が表示された場合を示している。各フレンドの情報51には、画像表示領域52と、アイコン表示領域53と、心拍数表示領域54とが表されている。画像表示領域52は、フレンド(対象者)のプロフィール画像が表示される領域である。ユーザは、画像表示領域52に表示されている画像を見ることでフレンドを識別することができる。アイコン表示領域53は、フレンドの感情に応じたアイコン情報(ストレス度合いを表す画像情報)が表示される領域である。心拍数表示領域54は、フレンドの心拍数の情報が表示される領域である。
【0068】
図8に示すように、フレンド毎に、アイコン情報と心拍数の情報とが表示される。これにより、ユーザは、アイコン情報や心拍数の情報を参照して、落ち込んでいるユーザを早期に発見することができ、落ち込んでいるユーザに対してメッセージを送ることができる。例えば、ユーザがフレンドの情報51を選択(押下)することで、図8に示す画面がチャットを行うための画面に切り替わる。なお、表示制御部253は、負の感情を表すアイコン情報を示すフレンドがいる場合、ポップアップで表示させてもよい。
【0069】
以上のように構成された第1の実施形態における情報提供システム100では、情報提供装置30が対象の生体データにより得られる心拍変動パラメータに基づいて対象者の感情を推定する。情報提供装置30は、推定した感情を可視化するためのアイコン情報を取得し、取得したアイコン情報と、心拍数の情報とを少なくとも含む表示情報を、対象者のフレンドとなっているユーザが操作するユーザ装置20に提供する。これにより、対象者のフレンドとなっているユーザは、画面上に表示されたアイコン情報を見るだけで対象者の現在の状態を把握することができる。これにより、対象者の現在の状態に応じた対応が可能になる。例えば、対象者の気持ちが落ち込んでいる場合には、ユーザはメッセージや電話などで対象者とコミュニケーションを図ることができる。その結果、対象者の精神面のサポートが可能になる。このように、情報提供システム100における情報提供装置30は、対象者の精神面のサポートを促すための情報を提供することができる。
【0070】
情報提供装置30は、対象者から得られる生体データに基づく対象者の感情を、シンプルなアイコンとしてユーザ装置20に提供している。このように、情報提供装置30は、ユーザ装置20のユーザに対して、対象者の感情を理解しやすい情報として提供することができる。その結果、ユーザ装置20のユーザは、対象者の感情を容易に理解することができる。
【0071】
(第1の実施形態における変形例)
情報提供装置30は、機械学習により得られる学習済みモデルを用いてユーザの感情を推定するように構成されてもよい。このように構成される場合、情報提供装置30は、ユーザの生体データ(例えば、心電図)により得られた心拍変動パラメータを入力としてユーザの感情の情報を出力するように学習された学習済みモデルを用いればよい。
【0072】
上記の実施形態では、感情推定部333が、算出されたSDNN、RMSSD及びCVSDの各値と、感情推定テーブル323に登録されている感情毎のSDNN、RMSSD及びCVSDの値とを比較する構成を示した。感情推定部333は、SDNN、RMSSD及びCVSDの指標のうち少なくとも1つの指標に基づいて、対象者の感情を推定するように構成されてもよい。このように構成される場合の処理について、感情推定部333が、SDNN、RMSSD及びCVSDの指標のうちSDNNに基づいて対象者の感情を推定する構成を例に説明する。感情推定部333は、算出されたSDNNの値と、各感情におけるSDNNの値とを比較する。感情推定部333は、SDNNの値の比較結果に基づいて、類似していると判断された感情の情報を取得する。なお、1つの指標において、類似していると判断された値が複数ある場合、感情推定部333は差が最も小さい値を選択してもよい。感情推定部333は、取得した感情の情報で示される感情を、現在の対象者の感情に最も近い感情であると推定する。なお、感情推定部333が、SDNN、RMSSD及びCVSDの指標のうち2つの指標に基づいて対象者の感情を推定する場合には、3つの指標を用いる場合と同様の処理を行う。
【0073】
上記の実施形態では、情報提供装置30において生体データに基づいて心拍変動パラメータを算出する構成を示したが、ユーザ装置20が生体データに基づいて心拍変動パラメータを算出するように構成されてもよい。このように構成される場合、ユーザ装置20は、心拍変動パラメータ算出部332を備え、情報提供装置30は心拍変動パラメータ算出部332を備えなくてよい。ユーザ装置20は、心拍変動パラメータ及び生体データを情報提供装置30に送信する。情報提供装置30は、ユーザ装置20から得られた心拍変動パラメータを用いてユーザの感情を推定する。
【0074】
上記の実施形態では、情報提供装置30においてユーザの感情を推定し、推定結果に応じたアイコンを選択する構成を示したが、ユーザ装置20がユーザの感情を推定するように構成されてもよい。このように構成される場合、ユーザ装置20は、感情推定部333及び感情推定テーブル323を備え、情報提供装置30は感情推定部333及び感情推定テーブル323を備えなくてよい。ユーザ装置20は、ユーザの感情の推定結果及び生体データを情報提供装置30に送信する。情報提供装置30は、ユーザ装置20から得られたユーザの感情の推定結果を用いて推定結果に応じたアイコンを選択する。
【0075】
情報提供部334は、負の感情を表すアイコン情報を示すフレンドがいる場合、負の感情を表すアイコン情報を示すフレンドがいることをユーザに通知するためのポップアップを表示させる指示を表示情報に含めてユーザ装置20に提供してもよい。
【0076】
情報提供装置30が備える機能に関するAPI(Application Programming Interface)を提供し、既存のSNS(例えば、Twitter(登録商標)、LINE(登録商標)Facebook等)と連携してもよい。これにより、既存のSNSにおいても、対象者の感情を可視化することが可能になる。そのため、利便性を向上させることができる。
【0077】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、情報提供装置がチャットボットの機能を備え、ユーザ装置から送信された生体データに基づいて推定される感情に応じた応答をユーザ装置に提供する。第2の実施形態における情報提供システム100のシステム構成は、基本的には第1の実施形態と同様であるが、第2の実施形態では生体センサ及びユーザ装置は少なくとも1台ずつ備えられればよい。以下、第1の実施形態との相違点について説明する。
【0078】
ユーザ装置20aは、情報提供装置30aにより提供されるチャットボットの機能を利用して、情報提供装置30aから対象者の感情に応じた応答内容を画面に表示する。対象者の感情に応じた応答内容とは、対象者のストレス度合いに応じたアドバイスであり、例えば対象者の感情が負の感情である場合には対象者のメンタルを気遣う内容であり、対象者の感情が正の感情である場合には対象者の気分をさらに上昇させるような内容が好ましい。なお、応答内容は、上記に限られず、気持ちに変化をもたらすことができる行動をレコメンドする内容であってもよい。
【0079】
このように第2の実施形態におけるユーザ装置20aは、提供コミュニケーションサービスではなく、チャットボットの機能を利用して、対象者の精神面のサポートを行うことができる。ユーザ装置20aは、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ノートパソコン等の情報処理装置を用いて構成される。ユーザ装置20は、例えば対象者が操作する装置である。
【0080】
情報提供装置30aは、ユーザ装置20aに対してチャットボットの機能を提供する。ユーザ装置20aは、情報提供装置30aから提供されるチャットボットの機能を実現するためのアプリケーションをインストールすることにより、チャットボットの機能を利用することができる。情報提供装置30aは、対象者の感情に応じた応答内容を含む表示情報をユーザ装置20aに提供する。第2の実施形態において表示情報には、少なくとも応答内容と、アイコン情報と、心拍数の情報とが含まれる。情報提供装置30aは、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。
【0081】
図9は、第2の実施形態におけるユーザ装置20aの具体的な構成を示す図である。ユーザ装置20aは、操作部21、表示部22、通信部23、記憶部24a、制御部25a及びスピーカー26を備える。ユーザ装置20aは、記憶部24及び制御部25に代えて記憶部24a及び制御部25aを備える点、スピーカー26を新たに備える点でユーザ装置20と構成が異なる。ユーザ装置20aが備えるその他の構成については、ユーザ装置20と同様である。
【0082】
記憶部24aには、アプリケーションプログラム241a、生体データ242及び表示データ243が記憶されている。アプリケーションプログラム241aは、制御部25aにより実行されるプログラム(例えば、チャットボットの機能を利用するためのプログラム)である。制御部25aによりアプリケーションプログラム241aが実行されることにより、ユーザ装置20aのユーザは、チャットボットの機能を利用することが可能になる。記憶部24aは、磁気記憶装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
【0083】
制御部25aは、ユーザ装置20a全体を制御する。制御部25aは、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部25aは、アプリケーションプログラム241aを実行することによって、取得部251、通信制御部252、表示制御部253及び音声出力制御部254の機能を実現する。
【0084】
取得部251、通信制御部252、表示制御部253及び音声出力制御部254のうち一部または全部は、ASICやPLD、FPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記憶媒体である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0085】
取得部251、通信制御部252、表示制御部253及び音声出力制御部254の機能の一部は、予めユーザ装置20aに搭載されている必要はなく、追加のアプリケーションプログラムがユーザ装置20aにインストールされることで実現されてもよい。
【0086】
音声出力制御部254は、情報提供装置30aから取得される表示情報に含まれる応答内容を、スピーカー26を介して音声出力させる。
【0087】
スピーカー26は、音声出力制御部254の制御に従って、応答内容を音声で出力する。
【0088】
図10は、第2の実施形態における情報提供装置30aの具体的な構成を示す図である。情報提供装置30aは、通信部31、記憶部32a及び制御部33aを備える。情報提供装置30aは、記憶部32及び制御部33に代えて記憶部32a及び制御部33aを備える点で情報提供装置30と構成が異なる。情報提供装置30aが備えるその他の構成については、情報提供装置30と同様である。
【0089】
記憶部32aには、アプリケーションプログラム321、ユーザ情報テーブル322a、感情推定テーブル323、状態定義テーブル324及び応答情報テーブル325が記憶されている。応答情報テーブル325は、推定された感情に応じた応答内容が登録されたテーブルである。応答情報テーブル325には、応答内容として、生体データに基づいて推定された感情に応じて対象者へ問いかけるためのメッセージが含まれる。記憶部32aは、磁気記憶装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
【0090】
図11は、第2の実施形態におけるユーザ情報テーブル322aの一具体例を示す図である。ユーザ情報テーブル322aには、ユーザIDと、アドレス情報と、生体データと、アイコン情報とが対応付けて登録されている。ユーザIDは、ユーザ(対象者)を識別するための識別情報を表す。アドレス情報は、ユーザIDで識別されるユーザが情報提供装置30aに登録したメールアドレスを表す。なお、アドレス情報には、ユーザ装置20aのMACアドレスが含まれていてもよい。ユーザ装置20aのMACアドレスが登録されることにより、特定のユーザ装置20aを用いた場合のみサービスを利用可能とすることができる。これにより、セキュリティを向上させることができる。生体データは、ユーザIDで識別されるユーザの生体データを表す。アイコン情報は、ユーザIDで識別されるユーザの感情を示すアイコンを表す。
【0091】
図12は、第2の実施形態における応答情報テーブル325の一具体例を示す図である。応答情報テーブル325には、アイコン情報と、応答内容とが対応付けて登録されている。アイコン情報は、対象者の感情を示すアイコンを表す。応答内容は、対象者の感情に応じて対象者に提供される内容を表す。
【0092】
図12に示す例では、アイコン情報I1~I5それぞれに対して、1つの応答内容が登録されている。なお、アイコン情報に対応付けて登録される応答内容は、1つに限られず複数であってもよい。アイコン情報I1は、対象者の感情が「通常の状態」であることを示すアイコンであり、アイコン情報I1には応答内容として「そうでしたか、ハーブティーを飲むと疲れが取れますよ」といった内容が対応付けられている。すなわち、情報提供装置30aは、通常の状態である対象者に対して、「そうでしたか、ハーブティーを飲むと疲れが取れますよ」といった内容の応答を提供することが示されている。
【0093】
アイコン情報I2は、対象者の感情が「負の感情(望ましいことが起こらない)」であることを示すアイコンであり、アイコン情報I2には応答内容として「深呼吸しよう」といった内容が対応付けられている。すなわち、情報提供装置30aは、負の感情(望ましいことが起こらない)である対象者に対して、気持ちを落ち着かせるために「深呼吸しよう」といった内容の応答を提供することが示されている。
【0094】
アイコン情報I4は、対象者の感情が「正の感情(望ましくないことが起こらない)」であることを示すアイコンであり、アイコン情報I4には応答内容として「楽しもう」といった内容が対応付けられている。すなわち、情報提供装置30aは、正の感情(望ましくないことが起こらない)である対象者に対して、気持ちを向上させるために「楽しもう」といった内容の応答を提供することが示されている。
【0095】
図10に戻って、情報提供装置30aの説明を続ける。
制御部33aは、情報提供装置30a全体を制御する。制御部33aは、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部33aは、アプリケーションプログラム321を実行することによって、取得部331、心拍変動パラメータ算出部332、感情推定部333及び情報提供部334aの機能を実現する。
【0096】
取得部331、心拍変動パラメータ算出部332、感情推定部333及び情報提供部334aのうち一部または全部は、ASICやPLD、FPGAなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記憶媒体である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0097】
取得部331、心拍変動パラメータ算出部332、感情推定部333及び情報提供部334aの機能の一部は、予め情報提供装置30aに搭載されている必要はなく、追加のアプリケーションプログラムが情報提供装置30aにインストールされることで実現されてもよい。
【0098】
情報提供部334aは、感情推定部333により得られた感情の推定結果と、状態定義テーブル324とに基づいて対象者の感情を示す情報であるアイコン情報を取得する。さらに、情報提供部334aは、取得したアイコン情報と、応答情報テーブル325とに基づいて、感情に応じた応答内容を取得する。情報提供部334aは、アイコン情報と、取得した応答内容と、心拍数の情報とを含む表示情報を生成し、生成した表示情報をユーザ装置20aに提供する。
【0099】
図13は、ユーザ装置20aの表示部22の画面に表示される応答内容の一例を示す図である。図13に示すユーザ装置20aの表示部22の画面には、アイコン表示領域53と、心拍数表示領域54と、メッセージ表示領域55と、音声再生選択領域56とが表されている。アイコン表示領域53は、対象者の感情に応じたアイコン情報が表示される領域である。心拍数表示領域54は、対象者の心拍数の情報が表示される領域である。メッセージ表示領域55は、対象者への応答内容が表示される領域である。音声再生選択領域56は、対象者への応答内容の音声再生するための選択領域である。
【0100】
例えば、対象者が、ユーザ装置20aを操作して音声再生選択領域56を選択(押下)することで、応答内容の音声再生と停止とを切り替えることができる。
【0101】
図14は、第2の実施形態における情報提供システム100の処理の流れを示すシーケンス図である。
ユーザ装置20aの取得部251は、生体センサ10から送信された生体データを取得する(ステップS201)。取得部251は、取得した生体データを記憶部24に保存する。通信制御部252は、通信部23を制御して、取得された生体データを情報提供装置30aに送信させる。通信部23は、通信制御部252の制御に従って生体データを情報提供装置30aに送信する(ステップS202)。通信部23は、生体データにユーザ装置20aのユーザのユーザIDを付与して送信する。なお、ステップS201及びステップS202の処理は、生体データが取得される度に実行される。
【0102】
情報提供装置30aの通信部31は、ユーザ装置20aから送信された生体データを受信する(ステップS203)。取得部331は、通信部31により受信された生体データを取得する。取得部331は、取得した生体データを記憶部32aに保存する。具体的には、取得部331は、ユーザ情報テーブル322aを記憶部32aから読み出して、読み出したユーザ情報テーブル322aのレコードのうち、生体データに付与されたユーザIDに対応するレコードを選択する。取得部331は、選択したレコードの生体データの項目に、取得した生体データを保存する。
【0103】
心拍変動パラメータ算出部332は、所定期間分の生体データが記憶部32aに保存されると、所定期間分の生体データに含まれる心電図を用いて心拍変動パラメータ(SDNN、RMSSD及びCVSD)を算出する(ステップS204)。心拍変動パラメータ算出部332は、算出した心拍変動パラメータを感情推定部333に出力する。
【0104】
感情推定部333は、心拍変動パラメータ算出部332によって算出された心拍変動パラメータと、記憶部32aに記憶されている感情推定テーブル323とに基づいて、ユーザ装置20aのユーザの感情を推定する(ステップS205)。感情推定部333は、感情の推定結果を情報提供部334aに出力する。
【0105】
情報提供部334aは、感情推定部333から出力された推定結果と、記憶部32aに記憶されている状態定義テーブル324とに基づいて、感情を示すアイコンを選択する(ステップS206)。情報提供部334aは、選択したアイコン情報を、生体データに付与されたユーザIDに対応するレコードのアイコン情報の項目に保存する。なお、既にアイコン情報が保存されている場合には、情報提供部334aは新たに選択したアイコンの情報で、既に保存されているアイコン情報を上書きすることでアイコン情報を更新する。
【0106】
次に、情報提供部334aは、選択したアイコンの情報と、応答情報テーブル325とに基づいて、選択されたアイコンで示される感情に応じた応答内容を取得する(ステップS206)。情報提供部334aは、応答内容と、ユーザ装置20aを操作している対象者の生体データ及びアイコン情報とを含む表示情報を生成する(ステップS207)。情報提供部334aは、生成した表示情報を、ユーザ装置20aに提供する(ステップS208)。
【0107】
ユーザ装置20aの通信部23は、情報提供装置30aから送信された表示情報を受信する(ステップS209)。表示制御部253は、通信部23によって受信された表示情報に基づく画面を表示部22に表示させる。表示部22は、表示制御部253の制御に従って、表示情報に基づく画面を表示する(ステップS210)。例えば、ユーザ装置20aの表示部22は、図13に示す画面を表示する。音声出力制御部254は、対象者の操作に応じて、スピーカー26から応答内容に応じた音声を出力させる(ステップS211)
【0108】
以上のように構成された第2の実施形態における情報提供システム100では、情報提供装置30aが対象の生体データにより得られる心拍変動パラメータに基づいて対象者の感情を推定する。情報提供装置30aは、推定した感情を可視化するためのアイコン情報を取得し、取得したアイコン情報と、心拍数の情報と、感情に応じた応答内容とを少なくとも含む表示情報を、対象者が操作するユーザ装置20aに提供する。これにより、対象者は、アイコン情報により自身の現在の状態を把握することができるとともに、アドバイスを得ることができる。例えば、対象者の気持ちが落ち込んでいる場合には、応答内容として対象者を気遣う内容を含む表示情報が情報提供装置30aから提供され、対象者は提供された応答内容を見ることで気持ちを緩和することができる。その結果、対象者の精神面のサポートが可能になる。このように、情報提供システム100における情報提供装置30aは、対象者の精神面のサポートを促すための情報を提供することができる。
【0109】
(第2の実施形態における変形例)
ユーザ装置20a及び情報提供装置30aは、第1の実施形態に示す同名の装置と同様に変形されてもよい。
【0110】
上記の実施形態では、情報提供装置30aが、通常の状態、正の感情又は負の感情のいずれの場合であっても応答内容を提供する構成を示したが、情報提供装置30aは対象者が負の感情である場合にのみ応答内容を提供するように構成されてもよい。
【0111】
情報提供装置30aは、楽しかった時やリラックス時の状況や行動を予め保存しておき、対象者が負の感情である場合に、予め保存されている楽しかった時やリラックス時の状況や行動をレコメンドするように構成されてもよい。
【0112】
情報提供装置30aは、同じ状態(例えば、負の感情)の人がリラックスするために過去に行った行動(例えば、特定の音楽を聴く、映画を見る等)をレコメンドするように構成されてもよい。
【0113】
情報提供装置30aは、ユーザが選択した感情に応じた応答内容又は行動を提供するように構成されてもよい。例えば、面接時において緊張をほぐしたいユーザが、ユーザ装置20aを操作して、リラックスしたい旨の指示を入力した場合、情報提供装置30aはリラックスできるような応答内容又は行動の情報を提供する。
【0114】
上記の実施形態では、感情に応じた応答内容が対象者によらず同一である構成を示したが、情報提供装置30aは、対象者に応じて応答内容を変更するように構成されてもよい。このように構成される場合、情報提供装置30aは、ユーザ毎の好み、行動等の情報を収集して学習してユーザ毎の好みに合った応答内容を提供するように構成される。例えば、ユーザ毎の好み、行動等の情報を収集する方法として、ユーザ毎の好みや趣味などの情報を入力させてもよいし、第1の実施形態のようなコミュニティサービスのSNSが利用されてもよい。コミュニティサービスのSNSを利用する場合には、フレンドとのメッセージのやり取りや、投稿などからユーザ毎の好みや趣味などの情報を収集することが考えられる。
【0115】
第1の実施形態と第2の実施形態とが組み合わせて構成されてもよい。すなわち、情報提供装置30aは、第2の実施形態における処理に加え、提供コミュニケーションサービスを提供して、第1の実施形態における情報提供装置30と同様の処理を行ってもよい。この場合、ユーザ装置20aも、第2の実施形態における処理に加え、第1の実施形態におけるユーザ装置20と同様の処理を行う。
【0116】
(第1の実施形態及び第2の実施形態のその他の適用例)
第1の実施形態又は第2の実施形態に示した構成は、例えばコールセンターのオペレータ、オフィスワーカー、在宅勤務の人物、又は、スポーツ選手等に適用することができる。例えば、第1の実施形態における構成をコールセンターのオペレータに適用した場合、フレンドは例えばコールセンターの他の従業員(例えば、同僚や上司)であってもよい。第1の実施形態のように、情報提供部334が、フレンドに対して対象者の感情を示すアイコン情報を含む表示情報を提供することにより、コールセンターの従業員が、他の従業員の現在の状態を把握することができる。このような構成により、対象者のメンタルケアが可能になる。例えば、コールセンターのオペレータは、クレーム対応を多くこなしている場合等、心の負担が大きくなる。第1の実施形態の構成により、対象者の負荷を可視化することができるため、適切なサポート支援が可能になる。これにより、心の負荷による離職率を低下させることもできる。
【0117】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0118】
10、10-1~10-2…生体センサ, 20、20a、20-1~20-2…ユーザ装置, 21…操作部, 22…表示部, 23…通信部, 24、24a…記憶部, 25、25a…制御部, 26…スピーカー, 30、30a…情報提供装置, 31…通信部, 32、32a…記憶部, 33、33a…制御部, 40…ネットワーク, 251…取得部, 252…通信制御部, 253…表示制御部, 254…音声出力制御部, 331…取得部, 332…心拍変動パラメータ算出部, 333…感情推定部, 334、334a…情報提供部
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