(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065827
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】多彩模様形成用の塗料、多彩模様形成用の塗料の成膜方法、塗装物品および多彩模様形成用の塗料の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20230508BHJP
C09D 133/14 20060101ALI20230508BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20230508BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20230508BHJP
B05D 5/06 20060101ALI20230508BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D133/14
B05D7/00 L
B05D1/36 Z
B05D5/06 101Z
B05D7/24 302Y
B05D7/24 302P
B05D7/24 303J
B05D7/24 303K
B05D7/24 303A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176199
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592084071
【氏名又は名称】大橋化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129104
【弁理士】
【氏名又は名称】舩曵 崇章
(72)【発明者】
【氏名】中間 康博
(72)【発明者】
【氏名】清水 良平
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕俊
(72)【発明者】
【氏名】人見 勲
(72)【発明者】
【氏名】朝野 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和明
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AE03
4D075BB16X
4D075CA47
4D075CA48
4D075CB13
4D075CB15
4D075CB36
4D075DA06
4D075DB11
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4D075DC05
4D075EA06
4D075EB22
4D075EB43
4D075EC01
4D075EC02
4D075EC03
4D075EC04
4D075EC11
4D075EC13
4D075EC23
4D075EC30
4D075EC51
4D075EC53
4D075EC54
4J038CG051
4J038CG052
4J038MA14
4J038NA01
4J038PB05
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC04
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】ギラギラとした力強い光輝感などに優れた塗膜を実現しやすい多彩模様形成用の塗料などを実現する。
【解決手段】バインダー樹脂と、第一の着色フレークと、この第一の着色フレークとは異なる色調の第二の着色フレークと、ガラスフレークを基材とする光輝材と、を含む多彩模様形成用の塗料とした。このとき、第一の着色フレーク及び第二の着色フレークは、厚みが150μm以下である、多彩模様形成用の塗料とすることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂と、
第一の着色フレークと、
この第一の着色フレークとは異なる色調の第二の着色フレークと、
ガラスフレークを基材とする光輝材と、を含む
多彩模様形成用の塗料。
【請求項2】
前記第一の着色フレーク及び前記第二の着色フレークは、
厚みが150μm以下である、
請求項1に記載の多彩模様形成用の塗料。
【請求項3】
前記第一の着色フレーク及び前記第二の着色フレークは、
目開き寸法1.3mmの篩を通過しないものを含む、
請求項1又は請求項2に記載の多彩模様形成用の塗料。
【請求項4】
前記光輝材は、平均粒径が15~800μmである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の多彩模様形成用の塗料。
【請求項5】
前記光輝材は、基材であるガラスフレークの厚みが0.1~10μmである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の多彩模様形成用の塗料。
【請求項6】
前記光輝材が、
多彩模様形成用の塗料の固形分中に0.5~5.0重量%含まれる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の多彩模様形成用の塗料。
【請求項7】
前記第一の着色フレークおよび前記第二の着色フレークが、
アクリルシリコーン系樹脂と顔料を含んでいる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の多彩模様形成用の塗料。
【請求項8】
バインダー樹脂と、
第一の着色フレークと、
この第一の着色フレークとは異なる色調の第二の着色フレークと、
ガラスフレークを基材とする光輝材と、を含み、
前記第一の着色フレーク及び前記第二の着色フレークは、
厚みが150μm以下であるとともに目開き寸法1.3mmの篩を通過しないものを含み、
前記光輝材は、
平均粒径が15~800μmであるとともに厚みが0.1~10μmであり、
前記光輝材が、
多彩模様形成用の塗料の固形分中に0.5~5.0重量%含まれる、
多彩模様形成用の塗料。
【請求項9】
外壁などの被塗装面の表面にエナメル塗料を塗布して成膜する、エナメル塗膜成膜工程と、
このエナメル塗膜成膜工程で成膜されたエナメル塗膜の表面に、請求項1~8のいずれか1項に記載の多彩模様形成用の塗料を塗布して成膜する、多彩模様塗膜成膜工程と、
を備えた、多彩模様形成用の塗料の成膜方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の多彩模様形成用の塗料によって多彩模様塗膜が成膜されてなる、
塗装物品。
【請求項11】
パネルの表面側に、請求項1~8のいずれか1項に記載の多彩模様形成用の塗料によって多彩模様塗膜が成膜されてなる、
塗装物品。
【請求項12】
バインダー樹脂と、
第一の着色フレークと、
この第一の着色フレークとは異なる色調の第二の着色フレークと、
ガラスフレークを基材とする光輝材と、を混合して塗料化する塗料化工程を備えている、
多彩模様形成用の塗料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多彩模様形成用の塗料、多彩模様形成用の塗料の成膜方法、塗装物品および多彩模様形成用の塗料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外壁塗装に多彩模様塗料が用いられてきた。多彩模様塗料は住宅などの外壁に用いられることが多い塗料であり、JIS K‐5667に「多彩模様塗料は、液状又はゲル状の2色以上の色の粒が懸濁したもので、1回の塗装で散らし模様ができる塗料である」(JIS K 5567‐2003 1.適用範囲、備考)と記載されている。
【0003】
また、近年、より鮮やかな意匠を実現するなどの目的のため、光輝材を含んだ各種塗料が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、「分散媒および該分散媒に溶解しない状態で分散せしめた着色分散粒子とからなる多彩模様塗料であって、該着色分散粒子の他に、透明性を損なわない合成樹脂皮膜で表面被覆されてなる板上方向の平均直径が1~10mmの鱗片状顔料を含有せしめてなることを特徴とする御影石調模様形成塗料」と開示されおり、これによって、「天然石である御影石調と同様の部分的にキラメキ感のある割り肌状の模様塗膜を形成することができる」とある。そして、鱗片状顔料として、雲母片、プラスチックフィルム片、ガラスフレークが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08‐151541号公報(請求項1、請求項2、段落0013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光輝材のなかでもガラスフレークを基材とするものは、表面平滑性が高いという特徴のため、ギラギラとした力強い光輝感を有し、塗膜の意匠をより鮮やかなものとすることができる。このようなガラスフレークの特徴を活かした多彩模様塗料などが望まれていた。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の多彩模様塗料において、鱗片状顔料としてガラスフレークを用いた場合、塗膜になった状態では、ガラスフレーク特有のギラギラとした力強い光輝感や被塗装面の立体感を活かしきれていない場合があった。
【0008】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、ギラギラとした力強い光輝感などに優れた塗膜を実現しやすい多彩模様形成用の塗料などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、バインダー樹脂と、第一の着色フレークと、この第一の着色フレークとは異なる色調の第二の着色フレークと、ガラスフレークを基材とする光輝材(光輝性顔料)と、を含む多彩模様形成用の塗料とした。
ここで、本発明の塗料を「多彩模様形成用の塗料」としたのは、本発明の塗料が「液状又はゲル状の2色以上の色の粒が懸濁したもの」には該当せず、厳密には、前述したJIS K‐5667で定義される「多彩模様塗料」の範疇には属さないと考えられることによる。
【0010】
この多彩模様形成用の塗料は、ギラギラとした力強い光輝感などに優れた多彩模様塗膜を実現しやすくなる。
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究開発を進めた。すると、驚くべきことに、多彩模様塗料に用いられる着色ゲル粒子を着色フレークに置き換えた塗料配合とすることで、上記課題が解決されることを見いだしたのである。以下、そのメカニズムとして考えられる事項を説明する。
【0011】
前述したように、多彩模様塗料は、液状又はゲル状の2色以上の色の粒(以降、着色ゲル粒子等と称する)が懸濁していることで、1回の塗装で散らし模様ができることが特長である。このとき、「散らし模様」を意匠として表現するためには、大きな着色ゲル粒子等を含んでいる必要があった。特に最近では、天然石の意匠に見られるような、各色部分が大柄で、少し距離を置いた場合にも多彩模様が明確に認識されるものが好まれるようになっている。従って、このような大柄の模様を形成するには、数mm程度の大きさの大きな着色ゲル粒子等を含んだ多彩模様塗料とする必要があった。
【0012】
しかしながら、このような多彩模様塗料にガラスフレークを配合した場合、ガラスフレーク特有のギラギラとした力強い光輝感を活かしきれない場合があった。
このような現象は、成膜した状態においてガラスフレークの向きが揃いにくくなって反射光が散乱したり、着色ゲル粒子が破壊されて粒子中の顔料などが分散媒中に拡散し色が滲んで曇ったりすることなどにより生じていた。
【0013】
すなわち、ガラスフレークの全体又は端部が、大きな着色ゲル粒子等に乗り上げるなどして、傾斜し、この傾斜が、塗膜が乾燥しても残ってしまうことがあったのである。
着色ゲル粒子には略球状のものがあり、これらが乾燥すると中央部が盛り上がったような形状となりやすかった。そのため、着色ゲル粒子に全体が乗り上げたガラスフレークも傾斜しやすかった。
従来、このような現象によって、ガラスフレークの向きが揃わなくなって反射光が散乱などしてしまい、ガラスフレーク特有のギラギラとした力強い光輝感を活かしきれない場合があったのである。
【0014】
また、着色ゲル粒子は、貯蔵中に沈降しやすい性質を有している。このような沈降が生じた多彩模様塗料は、塗装前に十分に攪拌し、着色粒子を均一に分散して使用する必要がある。しかしながら、攪拌時にガラスフレークが着色ゲル粒子に突き刺さるなどして着色ゲル粒子が破壊され、着色ゲル粒子中の顔料などが分散媒中に拡散して色が滲んで曇り、ガラスフレーク特有のギラギラとした力強い光輝感を活かしきれない(阻害する)場合があった。
【0015】
本発明の多彩模様形成用の塗料は、着色ゲル粒子等ではなく着色フレークを用い、ここにガラスフレークを基材とする光輝材を配合することで、このような課題を解決したのである。
すなわち、本発明の多彩模様形成用の塗料は、ガラスフレークの向きが揃いやすいため、比較的少ない配合量であっても、ギラギラとした力強い光輝感などに優れた多彩模様塗膜を実現しやすくなる。
また、塗装前の攪拌などにおいて、着色フレークの顔料などが分散媒中に拡散して色が滲んで曇るようなことがなく、ガラスフレーク特有のギラギラとした力強い光輝感を阻害しにくい。
さらに、掘加工が施されたパネルに成膜した場合、掘加工による立体感を活かした多彩模様塗膜を実現しやすくなる。
加えて、攪拌時に、ガラスフレークが着色フレークに突き刺さった場合でも顔料などが中から滲み出して模様が不鮮明になったり、着色フレークの大きさが小さくなったりしにくい。
【0016】
前記第一の着色フレーク及び前記第二の着色フレークは、厚みが150μm以下である、多彩模様形成用の塗料とすることも好ましい。
【0017】
この多彩模様形成用の塗料は、ガラスフレークの端部が、第一の着色フレーク又は第二の着色フレークに乗り上げたとしても、パネルに対しガラスフレークの傾斜が、より少なくなる。これによりパネルへの正反射光をガラスフレークが効率よく反射することで煌めきを強く感じることが出来る。
第一の着色フレーク及び第二の着色フレークの厚みは、より好ましくは20~120μm、さらに好ましくは40~100μm、最も好ましくは60~90μmである。
【0018】
前記第一の着色フレーク及び前記第二の着色フレークは、目開き寸法1.3mmの篩を通過しないものを含む、多彩模様形成用の塗料とすることも好ましい。
【0019】
この多彩模様形成用の塗料は、大きな着色フレークを含むことで、いわゆる「散らし模様」を意匠として表現しやすい。
【0020】
前記光輝材は、平均粒径が15~800μmである、多彩模様形成用の塗料とすることが好ましい。
【0021】
ガラスフレークを基材とする光輝材は、平均粒径が大きくなるほど光輝感が向上する。しかしながら、光輝材の平均粒径が800μmを越えると、光輝感が損なわれるおそれがある。光輝材の平均粒径は、より好ましくは80~800μm、さらに好ましくは230~800μm、最も好ましくは480~600μmである。
なお、ここで平均粒径は、市販のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて、レーザー回折・散乱法による粒度分布の測定値から、累積分布によるメディアン径(d50、体積基準)として求めることができる。
【0022】
前記光輝材は、基材であるガラスフレークの厚みが0.1~10μmである、多彩模様形成用の塗料とすることも好ましい。
【0023】
このような厚みのガラスフレークを基材とする光輝材は、光輝感が向上するため、多彩模様形成用の塗料に好適に用いることができる。ガラスフレークの厚みは、より好ましくは0.2~10μmであり、さらに好ましくは0.5~6μm、最も好ましくは1~5μmである。
【0024】
前記光輝材が、多彩模様形成用の塗料の固形分中に0.5~5.0重量%含まれる、多彩模様形成用の塗料とすることも好ましい。この多彩模様形成用の塗料は、より一層、ギラギラとした力強い光輝感などに優れた多彩模様塗膜を実現しやすくなる。
【0025】
光輝材が多彩模様形成用の塗料の固形分中に含まれる割合は、より好ましくは0.7~4.0重量%であり、さらに好ましくは1.0~3.5重量%、最も好ましくは1.2~2.0重量%である。
【0026】
前記第一の着色フレークおよび前記第二の着色フレークが、アクリルシリコーン系樹脂と顔料を含んでいる、多彩模様形成用の塗料とすることも好ましい。
【0027】
アクリルシリコーン系樹脂は耐候性に特に優れる。そのため、アクリルシリコーン系樹脂と顔料を含んだ着色フレークとすることで、着色フレークの経時的な色調変化が少なく、耐久性に優れた塗膜を形成することができる。
【0028】
前記課題は、バインダー樹脂と、第一の着色フレークと、この第一の着色フレークとは異なる色調の第二の着色フレークと、ガラスフレークを基材とする光輝材と、を含み、前記第一の着色フレーク及び前記第二の着色フレークは、厚みが150μm以下であるとともに目開き寸法1.3mmの篩を通過しないものを含み、前記光輝材は、平均粒径が15~800μmであるとともに厚みが0.1~10μmであり、前記光輝材が、多彩模様形成用の塗料の固形分中に0.5~5.0重量%含まれる、多彩模様形成用の塗料とすることによっても解決される。
【0029】
また、前記課題は、外壁などの被塗装面の表面にエナメル塗料を塗布して成膜する、エナメル塗膜成膜工程と、このエナメル塗膜成膜工程で成膜されたエナメル塗膜の表面に、上記いずれかに記載の多彩模様形成用の塗料を塗布して成膜する、多彩模様塗膜成膜工程と、を備えた、多彩模様形成用の塗料の成膜方法によっても解決される。
ここで記載されているエナメル塗料とは、樹脂溶液から成るクリヤー塗料に着色顔料を分散せしめ隠蔽性を担保した塗料である。特に断りが無い限り以後も同様とする。
【0030】
さらに、前記課題は、上記いずれかに記載の多彩模様形成用の塗料によって多彩模様塗膜が成膜されてなる、塗装物品によっても解決される。また、前記課題は、パネルの表面側に、上記いずれかに記載の多彩模様形成用の塗料によって多彩模様塗膜が成膜されてなる、塗装物品によっても解決される。
【0031】
加えて、前記課題は、バインダー樹脂と、第一の着色フレークと、この第一の着色フレークとは異なる色調の第二の着色フレークと、ガラスフレークを基材とする光輝材と、を混合して塗料化する塗料化工程を備えている、多彩模様形成用の塗料の製造方法によっても解決される。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、ギラギラとした力強い光輝感などに優れた塗膜を実現しやすい多彩模様形成用の塗料などを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を例示説明する。多彩模様形成用の塗料は、バインダー樹脂と、第一の着色フレークと、第二の着色フレークと、光輝材と、を含む。
なお、以下、特定の実施形態や実施例を挙げて本発明を例示説明するが、本発明は以下の実施形態などに限定されるものではない。
【0034】
1.バインダー樹脂
バインダー樹脂は、第一の着色フレーク、第二の着色フレーク及び光輝材を分散させる樹脂である。
【0035】
バインダー樹脂としては、特に限定されない。例えば、バインダー樹脂として、アクリル樹脂、エチレン‐アクリル樹脂、酢酸ビニル‐アクリル樹脂、スチレン‐アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン‐アクリル樹脂、アクリル‐シリコーン樹脂等公知の合成樹脂のほか、クロロプレンラテックス、アクリルブタジエンラテックスなどのゴムラテックスを用いることができる。なかでも、耐候性の面から、アクリルシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。例えば、アクリルシリコーン樹脂やセラミック変性アクリルシリコーン樹脂は好適である。アクリルシリコーン樹脂として、例えば、旭化成株式会社製「ポリデュレックスG‐625」が挙げられる。
【0036】
通常、バインダー樹脂は、バインダー樹脂の溶液として用いられる。例えば、溶媒に溶解させたり、溶媒(特に水溶媒)に分散させた樹脂エマルションの形態で用いたりすることができる。
【0037】
2.第一の着色フレーク
第一の着色フレークは、着色されたフレーク状の粉体である。フレーク状とは板状、鱗片状等の平板状の形状を包含する。着色フレークは、樹脂と顔料を含んでいることが好ましい。
【0038】
このような着色フレークは、例えば、樹脂と顔料を含んでいる液状原料を可剥離性のある基材等に薄く塗布し、乾燥させた後に基材等から剥離して粉砕することで得られる。
以下、第一の着色フレークの製作方法を例示説明する。
【0039】
まず始めに、着色フレークの元となる液状原料を作成する。液状原料は、合成樹脂、溶媒、着色成分となる着色顔料などを含むものを用いることができる。これに加えて、体質顔料、骨材、増粘剤、レベリング剤などを含んでいてもよい。
【0040】
合成樹脂には、種々の合成樹脂やゴムラテックスを用いることができる。なかでも、耐候性の面から、アクリルシリコーン系樹脂を用いることが好ましい。例えば、アクリルシリコーン樹脂やセラミック変性アクリルシリコーン樹脂は好適である。アクリルシリコーン樹脂として、例えば、旭化成株式会社製「ポリデュレックスH‐7650」が挙げられる。
【0041】
合成樹脂は、溶媒に溶解させたり、溶媒(特に水溶媒)に分散させた樹脂エマルションの形態で用いたりすることができる。
【0042】
着色顔料には、例えば、酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄(酸化第二鉄:ベンガラ)、フタロシアニンブルー、オーカー、群青、カーボンブラック、黒色酸化鉄などを用いることができる。体質顔料には、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、カオリン、ベントナイト、珪石粉、珪藻土、ホワイトカーボンなどを用いることができる。
【0043】
骨材としては、珪砂のように産出時において細かい粒のもの、例えば、寒水石、御影石、大理石等の天然石を粉砕して細粒としたもののほか、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、寒水砂あるいは珪砂を核として塗料を被覆したもの、釉薬を被覆したものを用いることができる。
【0044】
着色フレークを製作する方法として、例えば、液状原料を平坦な可剥離性のある基材の上に一定膜厚が確保できる塗装手段(例えば、フィルムアプリケーター:JIS‐K5101)により塗布して乾燥させることが考えられる。このとき、乾燥厚みが150μm以下になるような厚みで塗布することが好ましい。最も好ましくは、乾燥厚みが75μm±15μmとなるような厚みで塗布することである。
その後、基材から塗膜を剥離し、粉砕手段により粉砕して、着色フレークを得る。
【0045】
このようにして得られた着色フレークを、所定の目開き寸法の篩にかけて、そこを通過したものを第一の着色フレークとして用いることができる。例えば、目開き寸法2.38mmの篩にかけ、そこを通過したものを第一の着色フレークとして用いることができる。
【0046】
また、後述するように、得られた着色フレークを、篩にかけて、大径着色フレーク、中径着色フレーク及び小径着色フレークなどと分級し、これらを任意の割合で混合したものを第一の着色フレークとして用いることもできる。
【0047】
第一の着色フレークは、単一色の着色フレークで構成することができる。例えば、ホワイトの着色フレーク単独、グレイの着色フレーク単独、ブラックの着色フレーク単独といった具合である。
【0048】
3.第二の着色フレーク
第二の着色フレークも、第一の着色フレークと同様、着色されたフレーク状の粉体である。しかし、第二の着色フレークは、第一の着色フレークとは異なる色調とする必要がある。異なる色調とは、色相、彩度、明度のいずれかにおいて一見して識別できる程度に相違していることをいう。例えば、両着色フレークの色差ΔEが10よりも大きい色とすることができる。2つの色の色差ΔEは、それらの明度(L値)、赤み(a値)及び黄み(b値)を用いて、(ΔL2+Δa2+Δb2)‐1/2と表すことができる。ΔLは2つの色のL値の差であり、Δaは2つの色のa値の差であり、Δbは2つの色のb値の差である。
【0049】
第二の着色フレークの製作方法は第一の着色フレークの製造方法と同様であるため、記載を省略するが、前述したように第一の着色フレークとは異なる色調とするため、着色顔料の種類や配合割合などを第一の着色フレークとは異なるものとする必要がある。
【0050】
4.光輝材
光輝材は、ガラスフレークを基材とする。ガラスフレークを基材とする光輝材は、アルミフレークやマイカを基材とする光輝材よりも表面平滑性に優れるため、ギラギラとした力強い光輝感を有している。
【0051】
ガラスフレークの表面には、各種コーティングがなされていることが好ましい。例えば、金や銀などの金属コーティングや、金属酸化物コーティングを施したものを用いることができる。
コーティングに用いる金属酸化物としては、光輝感を発揮できれば特に限定されるものではない。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化すず、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化銅、酸化ニッケル、及び酸化コバルト等が挙げられる。これらの金属酸化物は、1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0052】
なかでも、コーティングに用いる金属酸化物として、酸化チタン及び酸化鉄の少なくとも一方からなることが好ましい。この場合には、光輝材の製造コストが低くなり、低コストで良好な光輝性を示すことができる。
【0053】
光輝材の平均粒径は15~800μmであることが好ましい。この平均粒径の範囲において、特に優れた光輝性を発揮する。また、光輝材のうち、目開き寸法300μmの篩を通過しない大きさのものが、光輝材全体の20重量%以上含まれていることが好ましい。
【0054】
また、基材であるガラスフレークの厚みは0.1~10μmであることが好ましい。この平均粒径の範囲において、特に優れた光輝性を発揮する。
【0055】
3.多彩模様形成用の塗料の製造方法
上記バインダー樹脂、上記第一の着色フレーク、上記第二の着色フレーク及び光輝材を用いて、多彩模様形成用の塗料を製造する。具体的には、塗料化工程において、エマルション樹脂溶液などのバインダー樹脂の溶液、第一の着色フレーク、第二の着色フレーク及び光輝材を所定割合で混合、分散して塗料化する。
【0056】
第一の着色フレーク及び第二の着色フレークとして、前述したように、目開き寸法2.38mmの篩にかけ、そこを通過したものを用いることができる。
また、第一の着色フレーク及び第二の着色フレークとして、大径着色フレーク、中径着色フレーク及び小径着色フレークに分級し、これらを任意の割合で配合することができる。例えば、重量比で、大径着色フレーク1に対し、中径着色フレークを1.5~2.5、小径着色フレークを2.5~3.5の割合で配合して多彩模様形成用の塗料に配合することができる。このとき、あらかじめ大径着色フレーク、中径着色フレーク及び小径着色フレークを所定の割合で混合したものを用意しておいてもよい。
【0057】
第一の着色フレーク及び第二の着色フレークの配合比率は特に制限されず、得ようとする多彩模様塗膜の意匠によって適宜調整することができる。また、第一の着色フレーク及び第二の着色フレークの両者合わせた配合量(着色フレークの総配合量)も特に制限されない。例えば、塗料固形分の20~60重量%とすることができる。着色フレークの総配合量は、好ましくは塗料固形分の30~55重量%、より好ましくは塗料固形分の35~50重量%である。
【0058】
光輝材の配合割合も特に制限されないが、多彩模様形成用の塗料の固形分中に0.5~5.0重量%含まれるように配合することが好ましい。本発明の多彩模様形成用の塗料は、光輝材の配合量が比較的少ない場合であっても、ギラギラとした力強い光輝感などに優れた多彩模様塗膜を成膜することができる。
【0059】
なお、多彩模様形成用の塗料には、耐候性や作業性を大きく阻害しない限りにおいて、着色ビーズやマイカなどの各種フィラーを添加してもよい。また、シリカやアクリルビーズなどの艶消し剤や、レベリング剤や分散剤などの各種添加剤を添加してもよい。
【0060】
4.多彩模様形成用の塗料の成膜方法
このようにして得られた多彩模様形成用の塗料の成膜方法としては、外壁などの被塗装面に直接塗装することが可能であるが、下地塗装を施して成膜された下地塗膜の表面に塗布することが好ましい。
外壁などとしては、例えば、コンクリート、軽量気泡コンクリート(ALC)からなるパネル、押出成形セメント版、石膏ボード、窯業系サンディング、金属系サイディング、樹脂系サイディングなどのパネルが挙げられる。これらのパネルの表面は平滑であるものや掘加工が施されたものを使用できる。これらのパネルの表面側に多彩模様塗膜が成膜されることでギラギラとした力強い光輝感などが得られる。なかでも掘加工が施されたパネルに成膜した場合、掘加工による立体感を活かした多彩模様塗膜を実現しやすくなる。
【0061】
多彩模様形成用の塗料の成膜方法として、例えば、外壁などの被塗装面の表面にエナメル塗料を塗布して下地塗膜として成膜するエナメル塗膜成膜工程と、このエナメル塗膜成膜工程で成膜されたエナメル塗膜の表面に、多彩模様形成用の塗料を塗布して成膜する多彩模様塗膜成膜工程と、を備えた、多彩模様形成用の塗料の成膜方法とすることが好ましい。エナメル塗膜は下地塗膜となる。
被塗装面の表面に施されたエナメル塗膜によって、被塗装面の汚れやクラックなどの欠点が隠されるとともに紫外線等の遮蔽効果が確保され、エナメル塗膜の表面に施された多彩模様形成用の塗料によって、高い意匠性が確保されるのである。
【実施例0062】
次に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、量比などは重量に基づく値である。
【0063】
(実施例1)
実施例1では、第一の着色フレークとしてホワイトの着色フレーク、第二の着色フレークとしてグレイの着色フレークを用いた。
【0064】
1.第一の着色フレークおよび第二の着色フレークの作成
1)液状原料の作成
下記表1の配合表に基づき、第一の着色フレークのもととなるホワイト液状原料および第二の着色フレークのもととなるグレイ液状原料を作成した。樹脂としてアクリルシリコーン系樹脂(旭化成株式会社製「ポリデュレックスG‐625」)を用い、これを水に分散させてアクリル樹脂エマルションとした。着色顔料として酸化チタン(テイカ株式会社製:JR‐701)と黄色酸化鉄(トーヨーカラー株式会社製:リオファスト オーカーRD‐230)を用いた、また、体質顔料として炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製:ホワイトンH)を用いた。
【0065】
【0066】
2)液状原料の成膜および粉砕
得られた二種類の各液状原料について、それぞれ乾燥後の成膜厚みが75±15μmとなるようにフィルムアプリケーターを用いてテフロン(登録商標)シート上に塗布した後、乾燥させて成膜し乾燥塗膜とした。得られた乾燥塗膜をテフロンシートから剥がして粉砕装置を用いて細かく粉砕し、ホワイトの粉砕物(第一の着色フレーク)と、グレイの粉砕物(第二の着色フレーク)を得た。
【0067】
3)粉砕物の分級
本実施例では、得られた二種類の粉砕物(着色フレーク)を篩にかけて、大径着色フレーク、中径着色フレーク及び小径着色フレークに分級した。
【0068】
具体的には、二種類の粉砕物(着色フレーク)それぞれについて、目開き寸法2.38mmの篩を通過し、目開き寸法1.30mmの篩を通過しなかったものを大径着色フレーク、目開き寸法1.09mmの篩を通過し、目開き寸法0.544mmの篩を通過しなかったものを中径着色フレーク、目開き寸法0.544mmの篩を通過したものを小径着色フレークとした。
【0069】
2.光輝材
ガラスフレークを基材とする光輝材として、ガラスフレークの表面に酸化チタンによる表面処理が施されたもの(日本板硝子株式会社製:メタシャインGT5600RS)を用いた。この光輝材は、基材であるガラスフレークの厚みが概ね5μmである。また、光輝材の平均粒径が概ね600μmである。また、光輝材のうち、目開き寸法300μmの篩を通過しない大きさのものが、光輝材全体の50重量%以上含まれている。
【0070】
3.バインダー樹脂
多彩模様形成用の塗料に用いるバインダー樹脂として、アクリルシリコーン系樹脂(旭化成株式会社製:ポリデュレックスG‐625)を用いた。この樹脂を用いてエマルション樹脂溶液(固形分45重量%)を作成し、バインダー樹脂溶液とした。
【0071】
4.多彩模様形成用の塗料の製造
上記エマルション樹脂溶液、第一の着色フレーク、第二の樹脂フレークおよび光輝材を用いて、表2における実施例1の配合で塗料化した。
【0072】
【0073】
得られた実施例1の多彩模様形成用の塗料について、掘加工が施されたALCパネルの表面に成膜した。具体的には、掘加工が施されたALCパネルの表面に通常のエナメル塗料を塗布して成膜した後、その表面に多彩模様形成用の塗料を吹付け塗装した。
【0074】
得られた塗膜について、光輝性、正反射性(鏡面反射性)および掘加工の強調効果を評価した。光輝性は、光輝材による塗膜の煌めきを目視で判定した。正反射性は、ギラギラとした力強い光輝感を評価する指標であり、塗板を正反射光(標準光源ブース内に45°の角度で塗膜を設置。光源はD65。)で照らした際の光輝材の煌めきを目視で判定した。掘加工の強調効果は、掘加工による凹凸のある塗板で凹凸感の程度を目視で判定した。
各評価は、5~10人で行い、評価者の8割以上が良好と判断した場合を◎、5割以上8割未満が良好と判断した場合を○、2割以上5割未満が良好と判断した場合を△、2割未満が良好と判断した場合を×と評価した。なお、後述する各実施例および比較例における評価も同様に行った。
【0075】
得られた多彩模様塗膜は、光輝性が良好であった。また正反射性が良好でギラギラとした力強い光輝感が得られた。また、掘加工の強調効果が良好であり、被塗装物であるALCパネルの掘加工が活かされており立体感が良好であった。
【0076】
(実施例2)(実施例3)(実施例4)
これらの例は、実施例1の配合において、主に、ガラスフレークを基材とする光輝材の配合量を増やした配合系である。なお、実施例1とは、第一の着色フレークと第二の着色フレークについて、中径のものだけでなく大径のものと小径のものを配合してある点でも異なる。
【0077】
表2における各実施例の配合で塗料化して、実施例1と同様に、掘加工が施されたALCパネルの表面に成膜し、光輝性、正反射性および掘加工の強調効果を評価した。
【0078】
得られた多彩模様塗膜について、実施例2と実施例3は、光輝性、正反射性及び掘加工の強調効果の全てにおいて優れていた。実施例4は、光輝性、正反射性が優れており、掘加工の強調効果も良好であった。
【0079】
(実施例5)(実施例6)(実施例7)(実施例8)
これらの例は、実施例2の配合において、ガラスフレークを基材とする光輝材の平均粒径について水準を振った配合系である。光輝材として、平均粒径20μmのもの、平均粒径80μmのもの、平均粒径230μmのもの、平均粒径480μmのものをそれぞれ用いた。
【0080】
表2における各実施例の配合で塗料化して、実施例1と同様に評価した。
【0081】
得られた多彩模様塗膜は、何れも光輝性が優れていた。また、何れも正反射性が良好以上であり、特に平均粒径の大きな光輝材を用いることで優れた正反射性が得られギラギラとした力強い光輝感に優れることがわかった。また、何れも掘加工の強調効果が良好であった。特に、平均粒径480μmの光輝材を用いた実施例8では平均粒径600μmの光輝材を用いた実施例2と同様、掘加工の強調効果に優れていた。
【0082】
(実施例9)(実施例10)(実施例11)
これらの例は、第一の着色フレークおよび第二の着色フレークに加えて第三の着色フレーク(ブラック)を用いた配合系である。そして、平均粒径600μmのガラスフレークを基材とする光輝材を用いた実施例9、ここに平均粒径20μmのガラスフレークを基材とする光輝材を加えた実施例10、パール光輝材を加えた実施例11を検討した。
【0083】
第三の着色フレークのもととなるブラック液状原料の配合表を表1に示す。着色顔料としてカーボンブラック(トーヨーカラー株式会社製:リオファスト ブラックM‐232A)を用いた、また、体質顔料として、実施例1で用いたものと同じ炭酸カルシウムを用いた。さらに、パール光輝材として、基材であるマイカに二酸化チタンがコーティングされた粒径15~150μmのものを用いた。
【0084】
そして、実施例1の場合と同様、液状原料(ブラック液状原料)の成膜および粉砕、そして、粉砕物の分級を行って第三の着色フレークを得た。
【0085】
得られた第三の着色フレークを用い、表2における各実施例の配合で塗料化し、実施例1と同様に評価した。
【0086】
得られた多彩模様塗膜について、実施例9と実施例10は、光輝性、正反射性および掘加工の強調効果に優れていた。パール光輝材を若干加えた実施例11では、光輝性、正反射性および掘加工の強調効果が良好であった。
【0087】
(比較例1)(比較例2)(比較例3)
これらの比較例は、従来の着色ゲル粒子(着色高分子粒子)を用いた配合系である。比較例1と比較例2は、着色フレークを用いることなく従来の着色ゲル粒子のみを使用し、比較例3は、着色フレークと従来の着色ゲル粒子の両方を使用した配合系である。
【0088】
本例では、ホワイトの着色ゲル粒子とグレイの着色ゲル粒子を用いた。着色ゲル粒子自体は周知であり、各種公知技術によって得ることができる。以下、本例で用いた着色ゲル粒子について説明する。
【0089】
まず、下記表3の配合a)に示す組成を有する感熱ゲル化型エマルション組成物、及び配合b)に示す組成を有する水性媒体を、各成分を均一に混合することによりそれぞれ調製した。シリコーン変性アクリル樹脂エマルションとして、旭化成製 ポリデュレックスX1767を用いた。また亜鉛化合物のアンモニア水溶液としては、旭化成製ハードナーA12を用いた。
次いで、水性媒体を70℃に加熱し、撹拌(500rpm)しながら、感熱ゲル化型エマルション組成物を約60分かけて滴下した。滴下終了後10分間70℃に保つよう加熱しながら撹拌を続け、加熱を終了して30分後に撹拌を停止し、放冷して、着色されたゲル粒子を得た。
【0090】
【0091】
次いで、得られたゲル粒子を篩にかけて、大径着色ゲル粒子、中径着色ゲル粒子及び小径着色ゲル粒子に分級した。
【0092】
具体的には、二種類の着色ゲル粒子それぞれについて、目開き寸法2.38mmの篩を通過し、目開き寸法1.30mmの篩を通過しなかったものを大径着色ゲル粒子、目開き寸法1.09mmの篩を通過し、目開き寸法0.544mmの篩を通過しなかったものを中径着色ゲル粒子、目開き寸法0.544mmの篩を通過したものを小径着色ゲル粒子とした。
【0093】
表2における各比較例の配合で塗料化し、実施例1と同様に、掘加工が施されたALCパネルの表面に成膜して光輝性、正反射性および掘加工の強調効果を評価した。
【0094】
得られた多彩模様塗膜について、何れの比較例も光輝性については優れていた。しかし、比較例1及び比較例2は正反射性と掘加工の強調効果に課題があった。また、比較例3は正反射性も良好であったが、掘加工の強調効果に課題があった。
【0095】
(比較例4)
実施例1と同様に着色ゲル粒子を用い、光輝材としてパール光輝材を用いた配合系である。
【0096】
得られた多彩模様塗膜について、光輝性、正反射性および掘加工の強調効果に課題があった。
【0097】
(比較例5)
実施例1と同様の材料を用い、光輝材の配合量を減少させた配合例である。
【0098】
得られた多彩模様塗膜について、光輝性が不良であり、正反射性および掘加工の強調効果に課題があった。
【0099】
(比較例6)
実施例1と同様の材料を用い、光輝材の配合量を増加させた配合例である。
【0100】
得られた多彩模様塗膜について、光輝性及び正反射性が優れていたが、掘加工の強調効果に課題があった。
【0101】
以上、特定の実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。