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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065849
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】磁気部材を用いたキャリア除去装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176225
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】内谷 武志
(72)【発明者】
【氏名】東田 克史
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA06
2H134GB02
2H134GB07
2H134HA01
2H134HA03
2H134HA11
2H134HD01
2H134HD05
2H134HD09
2H134KB12
2H134KB13
2H134KB14
2H134KD04
2H134KD13
2H134KH03
2H134KH07
2H134KH09
2H134KH13
2H134LA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】転写ベルト上のキャリア粒子を効率的に除去することができる磁気部材を用いたキャリア除去装置。
【解決手段】一態様の画像形成装置は、回転可能な表面を有する搬送体と、搬送体に隣接して配置され、磁気部材及び、磁気部材の周囲を回転するローラスリーブを備えたキャリア除去装置と、を備え、磁気部材は、ローラスリーブの搬送体に対向する領域に配置され、回転可能な表面からローラスリーブ上にキャリア粒子を引寄せるピックアップ極111と、ピックアップ極よりもローラスリーブの回転方向下流側に配置され、ローラスリーブからキャリア粒子をリリースするリリース極113と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な表面を有する搬送体と、
前記搬送体に隣接して配置され、磁気部材及び、前記磁気部材の周囲を回転するローラスリーブを備えたキャリア除去装置と、を備え、
前記磁気部材は、
前記ローラスリーブの前記搬送体に対向する領域に配置され、前記回転可能な表面から前記ローラスリーブ上にキャリア粒子を引寄せるピックアップ極と、
前記ピックアップ極よりも前記ローラスリーブの回転方向下流側に配置され、前記ローラスリーブから前記キャリア粒子をリリースするリリース極と、を含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記ピックアップ極は、前記ローラスリーブが前記搬送体の前記回転可能な表面に接触する接触位置に配置され、
前記リリース極は、前記接触位置から前記ローラスリーブの回転方向にオフセットしている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送体は、前記回転可能な表面を形成する周面を含む円筒形状を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送体は、前記円筒形状を有する感光体ドラムを備え、
前記ローラスリーブは、前記感光体ドラムの周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ローラを形成し、
前記磁気部材の前記ピックアップ極は、前記感光体ドラムから前記潤滑剤塗布ローラに前記キャリア粒子を引寄せるように設定され、
前記リリース極は、前記潤滑剤塗布ローラから前記キャリア粒子をリリースするように設定されている、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記潤滑剤塗布ローラは、第1の接触位置で潤滑剤供給源に接触して前記潤滑剤を受け取り、さらに第2の接触位置で前記感光体ドラムに接触して前記潤滑剤を塗布し、
前記ピックアップ極は、前記潤滑剤塗布ローラの前記第2の接触位置に配置され、
前記リリース極は、前記潤滑剤塗布ローラの回転方向における前記第2の接触位置よりも下流であって、前記第1の接触位置よりも上流に配置されている、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送体は、前記回転可能な表面を形成する搬送面を有する搬送ベルトである、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ローラスリーブは、前記搬送ベルトの前記搬送面上においてトナーを帯電させる帯電ローラを形成し、
前記磁気部材の前記ピックアップ極は、前記搬送ベルトから前記帯電ローラに前記キャリア粒子を引寄せるように設定され、
前記リリース極は、前記帯電ローラから前記キャリア粒子をリリースするように設定されている、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ピックアップ極は、前記帯電ローラが前記搬送ベルトの前記搬送面に接触する接触位置に形成され、
前記リリース極は、前記帯電ローラの前記接触位置と実質的に対向する位置に配置されている、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記搬送ベルトの前記搬送面にトナー像を形成する像担持体と、
前記搬送ベルトの回転方向における前記像担持体の上流側に設けられ、前記搬送面に残存するトナーを回収するクリーニング装置と、
前記搬送ベルトの回転方向において、前記クリーニング装置よりも上流側に前記キャリア除去装置が配置されている、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
搬送体のキャリア除去装置であって、
ピックアップ極及びリリース極を形成する磁気部材と、
前記磁気部材の周囲を回転するローラスリーブであって、前記ピックアップ極の磁力を介して前記搬送体の回転可能な表面からキャリア粒子を引寄せ、前記ローラスリーブの回転方向において前記ピックアップ極の下流側に位置する前記リリース極で前記キャリア粒子をリリースするローラスリーブと、を備える、キャリア除去装置。
【請求項11】
前記ローラスリーブは、前記搬送体の前記回転可能な表面に接触するように、前記ピックアップ極が形成される接触位置を有する、請求項10に記載のキャリア除去装置。
【請求項12】
前記ローラスリーブは、感光体ドラムに潤滑剤を塗布するための潤滑剤塗布ローラを形成し、
前記磁気部材の前記ピックアップ極は、前記感光体ドラムから前記潤滑剤塗布ローラに前記キャリア粒子を引寄せるように設定され、
前記リリース極は、前記潤滑剤塗布ローラから前記キャリア粒子をリリースするように設定されている、請求項10に記載のキャリア除去装置。
【請求項13】
前記潤滑剤塗布ローラは、筒状基体と、前記筒状基体上に形成された塗布層とを有し、
前記塗布層は、潤滑剤供給源から前記潤滑剤を受け取る第1の接触位置と、前記感光体ドラムに接触する第2の接触位置とを形成し、
前記ピックアップ極は、前記第2の接触位置に配置され、
前記リリース極は、前記第2の接触位置よりも回転方向下流側であって、前記第1の接触位置よりも回転方向上流側に配置されている、請求項12に記載のキャリア除去装置。
【請求項14】
前記ローラスリーブは、前記搬送体に対応する搬送ベルト上においてトナーを帯電させる帯電ローラを形成し、
前記磁気部材の前記ピックアップ極は、前記搬送ベルトの搬送面から前記帯電ローラに前記キャリア粒子を引寄せるように設定され、
前記リリース極は、前記帯電ローラから前記キャリア粒子をリリースするように設定されている、請求項10に記載のキャリア除去装置。
【請求項15】
前記帯電ローラは、前記搬送ベルトの前記搬送面に接触する接触位置を有し、
前記ピックアップ極は、前記接触位置に配置され、
前記リリース極は、前記帯電ローラの前記接触位置と実質的に対向する位置に配置されている、請求項14に記載のキャリア除去装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トナー及びキャリア粒子を含む二成分現像剤を用いた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、感光体ドラムに形成された静電潜像がトナーによって現像され、現像されたトナー像が転写ベルトに転写される。感光体ドラムの表面及び転写ベルトの表面には、トナーだけでなく、キャリア粒子が付着することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1図1は、一例のキャリア除去装置を概念的に示す図である。
図2図2は、一例の画像形成装置の概略構成を示す図である。
図3図3は、画像形成装置に設けられた一例の潤滑剤塗布ローラ(キャリア除去装置)の周辺を模式的に示す図である。
図4図4は、比較例の画像形成装置における、サイクル数と感光体ドラムの摩耗量との関係を示すグラフである。
図5図5は、一例の画像形成装置における、サイクル数と感光体ドラムの摩耗量との関係を示すグラフである。
図6図6は、キャリア除去装置の他の例を示す図である。
図7図7は、画像形成装置に設けられた一例のベルトクリーニング装置の周辺を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るキャリア除去装置を備えた画像形成装置の種々の例について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0004】
図1は、一つの例示的実施形態に係るキャリア除去装置を概念的又は模式的に示す図である。図1に示すように、一例のキャリア除去装置2は、ピックアップ極及びリリース極を形成する磁気部材3と、磁気部材3の周囲を矢印5aの向きに回転するローラスリーブ5と、を備える。磁気部材3は固定されており、回転しない。ローラスリーブ5は、矢印4bの向きに回転する表面4aを有する搬送体4に対面している。図1においては、ローラスリーブ5が搬送体4の表面4aから離間して描画されているが、ローラスリーブ5は搬送体4の表面4aに接触していてよい。磁気部材3のピックアップ極は、搬送体4の表面4aに付着したキャリア粒子9に磁場が作用するように、搬送体4の表面4aを含む領域6に磁場を形成する。磁気部材3のリリース極は、ローラスリーブ5の回転方向においてピックアップ極の下流側の領域7に磁場を形成する。ローラスリーブ5は、ピックアップ極の磁力の作用によって搬送体4の表面4aからキャリア粒子9を引寄せ、引寄せられたキャリア粒子9をリリース極の磁力の作用によってリリースする。すなわち、キャリア除去装置2は、搬送体4の表面4aからキャリア粒子9を除去し、且つ、ローラスリーブ5の表面からキャリア粒子9を除去する。以下では、キャリア除去装置を有する画像形成装置の具体例について説明する。
【0005】
図2は、例示的な画像形成装置を概略的に示す図である。図3は、画像形成装置に設けられた一例のキャリア除去装置の周辺を模式的に示す図である。図2に示される画像形成装置1は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色を用いてカラー画像を形成する装置である。画像形成装置1は、印刷媒体である用紙15を搬送する搬送装置10と、静電潜像を現像する現像装置20C,20M,20Y,20K(以下、個別の構成要素を区別する必要がない場合には「現像装置20」と称する)と、各色のトナー像を用紙15に二次転写する転写装置30とを備える。更に、画像形成装置1は、像担持体の一例である感光体ドラム40C,40M,40Y,40K(以下、個別の構成要素を区別する必要がない場合には「感光体ドラム40」と称する)と、積層トナー像を用紙15に定着させる定着装置50と、用紙15を排出する排出装置60と、を備える。感光体ドラム40の周囲には、現像装置20と、潤滑剤塗布ローラ100と、クリーニングブレード43と、帯電ローラ41と、露光ユニット42とが設けられている。
【0006】
搬送装置10は、画像が形成される印刷媒体である用紙15を搬送経路12上で搬送する。用紙15は、カセット17に積層されて収容され、給紙ローラ11によりピックアップされて搬送される。搬送装置10は、用紙15に転写されるトナー像が転写領域13に到達するタイミングで、搬送経路12を介して転写領域13に用紙15を到達させる。
【0007】
現像装置20C,20M,20Y,20Kは、色ごとに設けられている。各現像装置20は、トナーを感光体ドラム40に担持させる現像ローラ21を備える。現像装置20では、現像剤として、非磁性体のトナーと磁性体のキャリア粒子とを含む二成分現像剤が用いられる。現像装置20では、トナーとキャリア粒子が所望の混合比になるように調整される。トナーとキャリア粒子が混合撹拌されるとトナーが均一に分散し、最適な帯電量が付与された現像剤が調整される。この現像剤を現像ローラ21に担持させる。そして、現像ローラ21の回転により現像剤が感光体ドラム40に対向する現像領域まで搬送されると、現像ローラ21に担持された現像剤に含まれるトナーが感光体ドラム40の表面に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。
【0008】
転写装置30は、現像装置20によって形成されたトナー像を用紙15に二次転写する転写領域13に搬送する。転写装置30は、回転する感光体ドラム40からトナー像が一次転写される無端ベルトである転写ベルト31(搬送ベルト)と、転写ベルト31を張架する懸架ローラ34と、アイドラローラ35,36と、転写ベルト31を駆動する駆動ローラ37と、感光体ドラム40C,40M,40Y,40Kと協働して転写ベルト31を挟持する一次転写ローラ32C,32M,32Y,32Kと、駆動ローラ37と協働して転写ベルト31を挟持する二次転写ローラ33と、を備える。
【0009】
感光体ドラム40は、静電潜像担持体とも称される。感光体ドラム40C,40M,40Y,40Kは、色ごとに設けられている。各感光体ドラム40は、転写ベルト31の移動方向に沿って並んでいる。感光体ドラム40の周面は、回転可能な表面40aを形成している。図3に示す感光体ドラム40は、図の紙面に直交する軸線を中心に時計回りに回転する。上述のとおり、感光体ドラム40の表面40aには現像ローラ21からトナーが移動する。トナーの移動に際し、感光体ドラム40の表面40aには、キャリア粒子が現像ローラ21から移動することがある。表面40aに移動したキャリア粒子は、トナーが転写ベルト31に一次転写される際に、トナーと離れて表面40a上に残存し得る。この場合、感光体ドラム40の表面40aは、回転方向にキャリア粒子を搬送する。なお、表面40aに移動したキャリア粒子の一部は、トナーが転写ベルト31に一次転写される際に、トナーと共に転写ベルト31に移動し得る。
【0010】
潤滑剤塗布ローラ100は、感光体ドラム40の周上に設けられている。潤滑剤塗布ローラ100は、感光体ドラム40の周上における現像ローラ21とクリーニングブレード43との間に位置している。潤滑剤塗布ローラ100は、感光体ドラム40の回転方向において、クリーニングブレード43よりも上流側に位置している。潤滑剤塗布ローラ100は、感光体ドラム40の回転に追従して回転してもよい。潤滑剤塗布ローラ100は、潤滑剤供給源150から供給される潤滑剤を担持している。潤滑剤塗布ローラ100は、担持した潤滑剤を、感光体ドラム40の表面40aに塗布する。潤滑剤塗布ローラ100の詳細な構成は、後述する。
【0011】
潤滑剤供給源150は、潤滑剤塗布ローラ100に接触するように設けられている。潤滑剤供給源150は、潤滑剤塗布ローラ100に接触することにより潤滑剤を潤滑剤塗布ローラ100に担持させる。潤滑剤供給源150は、潤滑剤塗布ローラ100の軸線方向(図2の紙面に直交する方向)に沿って延びる棒状を呈する。潤滑剤供給源150は、潤滑剤塗布ローラ100に接触するように設けられる。潤滑剤供給源150は、潤滑剤塗布ローラ100に押し当てられるようにバネ等の付勢部材によって付勢されていてもよい。潤滑剤塗布ローラ100は、潤滑剤供給源150との接触位置において潤滑剤供給源150を掻き取り、掻き取った潤滑剤を感光体ドラム40との接触位置において表面40aに供給する。潤滑剤供給源150は、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、又は、ステアリン酸鉛によって構成されている。
【0012】
クリーニングブレード43は、感光体ドラム40上に残存するトナーを回収する。クリーニングブレード43は、トナー像が感光体ドラム40から転写ベルト31に一次転写された後においても感光体ドラム40に残存しているトナー(残トナー)を回収する。クリーニングブレード43は、ウレタンゴムなどの弾性体により形成されている。クリーニングブレード43は、保持部材43aによって揺動可能に保持されていると共に、弾性部材43bの弾性力により保持部材43aに荷重を付与することによって感光体ドラム40の表面40aに押し付けられる。クリーニングブレード43は、感光体ドラム40の表面40aに接触することにより感光体ドラム40の表面40a上の残トナーをそぎ落とす。また、クリーニングブレード43は、潤滑剤塗布ローラ100によって感光体ドラム40の表面40aに塗布された潤滑剤を引き伸ばし、潤滑剤を感光体ドラム40の表面40a上に均一な状態となるように塗り広げる。
【0013】
帯電ローラ41は、感光体ドラム40の周上に設けられている。帯電ローラ41は、感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電手段である。帯電ローラ41は、感光体ドラム40の回転に追従して回転する。帯電ローラ41の周上には、クリーニングローラ41aが設けられている。クリーニングローラ41aは、帯電ローラ41の表面を清掃するための清掃手段である。
【0014】
露光ユニット42は、帯電ローラ41によって帯電された感光体ドラム40の表面を、用紙15に形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体ドラム40の表面のうち露光ユニット42によって露光された部分の電位が変化し、感光体ドラム40の表面に静電潜像が形成される。
【0015】
現像装置20C,20M,20Y,20Kには、トナータンク18C,18M,18Y,18Kがそれぞれ対向している。トナータンク18C,18M,18Y,18K(以下、個別の構成要素を区別する必要がない場合には「トナータンク18」と称する)のそれぞれの内部には、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのそれぞれのトナーが収容されている。トナータンク18内のトナーは現像装置20に供給される。現像装置20は、トナータンク18から供給されたトナーによって感光体ドラム40に形成された静電潜像を現像し、トナー像を生成する。
【0016】
定着装置50は、加熱及び加圧する定着ニップ領域に用紙15を通過させることによって転写ベルト31から用紙15に二次転写されたトナー像を用紙15に定着させる。定着装置50は、用紙15を加熱する加熱ローラ52と、加熱ローラ52を押圧して回転駆動する加圧ローラ54とを備える。加熱ローラ52と加圧ローラ54との間に定着ニップ領域が設けられる。排出装置60は、定着装置50によりトナー像が定着された用紙15を画像形成装置1の外部に排出する排出ローラ62,64を備える。
【0017】
画像形成装置1は、制御部80を更に備える。制御部80は、画像形成装置1の動作を制御する機能を有する。制御部80は記憶部を有する。制御部80の記憶部には、画像形成装置1において実行される処理をプロセッサによって制御するための制御プログラムが格納されている。
【0018】
続いて、画像形成装置1による印刷工程について説明する。画像形成装置1に被記録画像の画像信号が入力されると、画像形成装置1の制御部80は、給紙ローラ11を回転させて、カセット17に積層された用紙15をピックアップして搬送する。そして、帯電ローラ41によって感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる(帯電工程)。その後、入力された画像信号に基づいて、露光ユニット42が感光体ドラム40の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する(露光工程)。
【0019】
現像装置20は、感光体ドラム40の表面に形成された静電潜像を現像して感光体ドラム40の表面にトナー像を形成する(現像工程)。トナー像は、感光体ドラム40と転写ベルト31とが対向する領域において、感光体ドラム40から転写ベルト31に一次転写される(転写工程)。転写ベルト31には、4個の感光体ドラム40に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。積層トナー像は、駆動ローラ37と二次転写ローラ33とが対向する転写領域13において、搬送装置10から搬送された用紙15に二次転写される。
【0020】
積層トナー像が転写された用紙15は、定着装置50に搬送される。定着装置50は、用紙15が加熱ローラ52と加圧ローラ54との間である定着ニップ領域を通過するときに、用紙15を定着ニップ領域で加熱及び加圧する。定着装置50は、この加熱及び加圧によって用紙15に積層トナー像を定着させる(定着工程)。その後、用紙15は、排出ローラ62,64によって画像形成装置1の外部に排出される。
【0021】
続いて、キャリア除去装置としての潤滑剤塗布ローラ100についてさらに説明する。図3に示すように、潤滑剤塗布ローラ100は、磁気部材110と、ローラスリーブ120とを含む。磁気部材110は、例えば円柱状に成型されたプラスチック磁石であり、潤滑剤塗布ローラ100を収容するハウジング101に固定されている。すなわち、磁気部材110は回転しない。ローラスリーブ120は、円筒状を呈しており、内側空間内に磁気部材110を収容している。ローラスリーブ120は、磁気部材110を収容した状態で、磁気部材110の周りを回転可能となるように、ハウジング101又は磁気部材110に支持されている。ローラスリーブ120は、モータ等の駆動源によって回転駆動されてもよい。図示例のローラスリーブ120は、例えば図3の紙面に直交する軸線を中心に反時計回りに回転する。
【0022】
一例のローラスリーブ120は、基体121(筒状基体)と塗布層125とを含む。基体121は、磁気を遮蔽しない材料によって、円筒状に形成されている。なお、磁気を遮蔽しない材料は、磁気の少なくとも一部を遮蔽しない材料、すなわち磁気の少なくとも一部を透過する材料を含む。例えば、基体121は非磁性の金属によって形成されてもよい。基体121の材料としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼等が挙げられる。塗布層125は、磁気を遮蔽しない材料によって形成されており、基体121の外周面を全面にわたって覆っている。塗布層125は、感光体ドラム40の表面40aに密着可能な弾性体であってよく、例えば、発泡体(発泡体層)によって構成されている。塗布層125は、スポンジ状の弾性体であってもよい。スポンジ状の弾性体の一例として、発泡ウレタンが挙げられる。上述のとおり、ローラスリーブ120の塗布層125は、潤滑剤供給源150との接触位置125a(第1の接触位置)において潤滑剤供給源150を掻き取り、掻き取った潤滑剤を感光体ドラム40との接触位置125b(第2の接触位置)において表面40aに供給する。
【0023】
磁気部材110によって形成される磁極は、ピックアップ極111とリリース極113とを含む。ピックアップ極111は、感光体ドラム40の表面40aからローラスリーブ120上にキャリア粒子を引寄せる磁場111aを形成する。一例において、ピックアップ極111は、ローラスリーブ120の感光体ドラム40に対向する領域、すなわち感光体ドラム40に対するローラスリーブ120の接触位置125bに対応するように設定されている。ピックアップ極111によって形成される磁場111aは、感光体ドラム40に対するローラスリーブ120の接触位置125bをカバーしている。一例において、ピックアップ極111は、N極であってよい。
【0024】
リリース極113は、潤滑剤塗布ローラ100を構成するローラスリーブ120からキャリア粒子をリリースするための磁場113a,113bを形成する。一例において、リリース極113は、ピックアップ極111よりもローラスリーブ120の回転方向下流側に配置されている。すなわち、リリース極113は、潤滑剤塗布ローラ100の回転方向において、感光体ドラム40に対するローラスリーブ120の接触位置125bよりも下流の位置に設定されている。リリース極113によって形成される磁場113a,113bは、感光体ドラム40の表面40aをカバーしていない。また、リリース極113は、潤滑剤塗布ローラ100の回転方向において、ローラスリーブ120と潤滑剤供給源150との接触位置125aよりも上流に設定されている。図示例では、リリース極113は、磁場113a,113bが形成されるように、周方向に隣接する2つの同極の磁極によって形成されている。これらの磁極の極性は、例えばS極であってよい。ピックアップ極111の作用によってローラスリーブ120に引寄せられたキャリア粒子は、磁場113aと磁場113bとが切り替わる位置でローラスリーブ120からリリースされる。図示例のリリース位置は、上下方向においてローラスリーブ120の下半分に含まれている。
【0025】
上述のとおり、一例の磁気部材110はプラスチック磁石である。例えば、磁気部材110は、磁性体の粉末が混合された樹脂を円柱状に成型し、この成形品に強力な磁場を印加することにより磁性体の粉末を着磁することで形成されている。このような製造方法に起因し、図示例の磁気部材110では、ピックアップ極111に対向する位置にピックアップ極111と同極の磁極117が形成され、リリース極113に対向する位置にリリース極113と同極の磁極119が形成されている。
【0026】
以上説明のとおり、一例の画像形成装置1は、回転可能な表面40aを有する感光体ドラム40と、感光体ドラム40に隣接して配置され、磁気部材110及び、磁気部材110の周囲を回転するローラスリーブ120を備えた潤滑剤塗布ローラ100(キャリア除去装置)と、を備える。磁気部材110は、ローラスリーブ120のうちの感光体ドラム40に対向する領域に配置され、表面40aからローラスリーブ120上にキャリア粒子を引寄せるピックアップ極111と、ピックアップ極111よりもローラスリーブ120の回転方向下流側に配置され、ローラスリーブ120からキャリア粒子をリリースするリリース極113と、を含む。
【0027】
上述のような画像形成装置1では、感光体ドラム40に残存したトナーを除去するためのクリーニングブレード43によって、感光体ドラム40の表面40aが摩耗され得る。この場合、感光体ドラム40の表面40aに対するクリーニングブレード43の押圧力の偏差によって、感光体ドラム40の軸方向において感光体ドラム40の摩耗量に偏差が生じ得る。また、感光体ドラム40の表面40aに残存するキャリア粒子が潤滑剤塗布ローラ100に保持されることにより、当該キャリア粒子が感光体ドラム40の表面40aに摺擦され、感光体ドラム40の表面40aが摩耗され得る。
【0028】
軸方向において感光体ドラム40の摩耗量に偏差が生じた場合、感光体ドラム40の表面電位にも偏差が生じる。すなわち、感光体ドラム40の表面40aのうち、膜厚が小さい部分の表面電位が高くなり、膜厚の大きい部分の表面電位が低くなる。この場合、表面電位が高い部分に対して現像装置20からキャリア粒子が排出されることにより、表面電位が高い部分において、潤滑剤塗布ローラ100によって保持されるキャリア粒子の量が増加する。そのため、感光体ドラム40の表面40aのうちの表面電位が高く膜厚の小さい領域において、潤滑剤塗布ローラ100が保持するキャリア粒子による摩耗が促進され得る。
【0029】
上述のとおり、一例の画像形成装置では、潤滑剤塗布ローラ100がピックアップ極111及びリリース極113を含む磁気部材110を有している。そのため、感光体ドラム40の表面40aに排出されたキャリア粒子は、潤滑剤塗布ローラ100によって回収され、さらに、潤滑剤塗布ローラ100からリリースされる。このように、感光体ドラム40の表面40aに残存したキャリア粒子が潤滑剤塗布ローラ100に保持されないため、キャリア粒子による感光体ドラム40の表面40aの摩耗が抑制される。
【0030】
図4は、磁気部材110を含まない画像形成装置(比較例)における、サイクル数と感光体の摩耗量との関係を示すグラフの一例である。図5は、磁気部材110を含む画像形成装置(本開示の一例)における、サイクル数と感光体の摩耗量との関係を示すグラフの一例である。サイクル数は、印刷枚数の指標になる値である。すなわち、図4及び図5は、感光体の表面の膜厚の経時的変化を示す。グラフにおける「フロント」及び「リア」は、感光体の軸方向の一方側及び他方側をそれぞれ意味している。図4及び図5では、リア側よりもフロント側においてクリーニングブレードによる摩耗量が大きくなっている。潤滑剤塗布ローラが磁気部材を有さない場合、図4に示すように、フロント側の摩耗が促進されている。一方、潤滑剤塗布ローラ100が磁気部材110を有する場合、図5に示すように、フロント側の摩耗が進行し難い。図4図5とを比較すると、図4ではサイクル数が4000のときに、フロントとリアとの摩耗量の差が20%程度であるのに対し、図5では10%程度に抑えられている。
【0031】
一例において、ピックアップ極111は、ローラスリーブ120が感光体ドラム40の回転可能な表面40aに接触する接触位置125bに配置され、リリース極113は、接触位置125bからローラスリーブ120の回転方向にオフセットしている。この構成では、ローラスリーブ120は、表面40aに接触する接触位置125bにおいてピックアップ極111の作用によりキャリア粒子を回収する。回収されたキャリア粒子は、ローラスリーブ120の回転に伴い、回転方向にオフセットした位置に搬送されてリリースされる。図示例のリリース位置は、上下方向においてローラスリーブ120の下半分に含まれている。そのため、リリースされたキャリア粒子はローラスリーブ120の下方に落下し得る。例えば、キャリア粒子は、ローラスリーブ120の下方に設けられた回収容器に回収されてもよい。
【0032】
一例において、搬送体としての感光体ドラム40は、回転可能な表面40aを形成する周面を含む円筒形状を有する。この場合、ローラスリーブ120は、感光体ドラム40の周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布ローラ100を形成し、磁気部材110のピックアップ極111は、感光体ドラム40から潤滑剤塗布ローラ100にキャリア粒子を引寄せるように設定され、リリース極113は、潤滑剤塗布ローラ100からキャリア粒子をリリースするように設定されている。この構成では、潤滑剤塗布ローラ100がキャリア除去装置としての機能を兼ねることができる。そのため、部品点数の増加が抑制されるともに、装置の大型化が抑制される。
【0033】
潤滑剤塗布ローラ100は、接触位置125aで潤滑剤供給源150に接触して潤滑剤を受け取り、さらに接触位置125bで感光体ドラム40に接触して潤滑剤を塗布する。ピックアップ極111は、潤滑剤塗布ローラ100の接触位置125bに配置され、リリース極113は、潤滑剤塗布ローラ100の回転方向における接触位置125bよりも下流であって、接触位置125aよりも上流に配置されている。この構成では、潤滑剤塗布ローラ100に引寄せられたキャリア粒子が潤滑剤供給源150との接触位置125aに到達する前にリリースされるので、キャリア粒子が潤滑剤供給源150に接触することが抑制される。
【0034】
本明細書に記載の全ての側面、利点及び特徴が、必ずしも、いずれかひとつの特定の例及び実施形態により達成される又は含まれるわけではないことは理解されたい。実際、本明細書において様々な例を記載し示したが、他の例もその配置及び詳細について修正することができることは明らかであるべきだ。ここに請求される保護主題の精神及び範囲に包含される全ての修正及び変形を請求する。
【0035】
例えば、磁気部材110に形成される磁極のパターンは、図3に例示される形態に限定されない。例えば、図6は、キャリア除去装置としての潤滑剤塗布ローラ100の他の例を示す図である。図6に示す磁気部材110は、ピックアップ極111とリリース極113のみを磁極として有しており、磁極117,119を有していない。ピックアップ極111は、感光体ドラム40に対するローラスリーブ120の接触位置125bに対応するように設定されている。ピックアップ極111によって形成される磁場111aは、感光体ドラム40に対するローラスリーブ120の接触位置125bをカバーしている。リリース極113は、ローラスリーブ120の回転方向において、ピックアップ極111の下流端からピックアップ極111の上流端にかけて形成されている。リリース極113によって形成される磁場113aと磁場113bとは、潤滑剤塗布ローラ100の回転方向において、ローラスリーブ120と潤滑剤供給源150との接触位置125aよりも上流の位置で切り替わっている。ローラスリーブ120によって回収されたキャリア粒子は、磁場113aと磁場113bとの切り替わり位置、すなわち、接触位置125aよりも上流においてリリースされる。
【0036】
また、図3等に示す例では、キャリア除去装置が潤滑剤塗布ローラを兼ねている形態を説明したが、キャリア除去装置は、他の形態として画像形成装置に含まれてもよい。図7は、画像形成装置に設けられた一例のベルトクリーニング装置の周辺を模式的に示す図である。図7に示すように、一例の画像形成装置は、転写ベルト31上に残存するトナーを除去するためのベルトクリーニング装置を含んでいる。
【0037】
ベルトクリーニング装置は、転写ベルト31の移動方向の上流側から順に、第1の導電性ローラ200、拡散ローラ230及び第2の導電性ローラ240を含む。転写ベルト31は、紙面に垂直な方向から見て反時計回りに移動(回転)する。第1の導電性ローラ200は、対向する補助ローラ201と協働して転写ベルト31を挟持している。第1の導電性ローラ200には、転写ベルト31上のトナーの電荷を所定の極性(例えばマイナス)に揃えるために、所定の電圧が印加されている。第1の導電性ローラ200の近傍には、第1の導電性ローラ200に接触して、第1の導電性ローラ200の表面のトナーを掻き落とすクリーニングブレード225が配置されている。拡散ローラ230は、転写ベルト31上のトナーを拡散し、転写ベルト31に対するトナーの付着力を低下させる。例えば、拡散ローラ230は、ブラシローラであってもよい。拡散ローラ230の近傍には、拡散ローラ230に接触して、拡散ローラ230に付着したトナーを掻き落とすクリーニングブレード230aが配置されている。
【0038】
第2の導電性ローラ240は、対向する補助ローラ241と協働して転写ベルト31を挟持している。第2の導電性ローラ240には、転写ベルト31上の極性が揃ったトナーを回収するために、第1の導電性ローラ200に印加される電圧とは反対の極性(例えばプラス)の電圧が印加されている。第2の導電性ローラ240の近傍には、第2の導電性ローラ240に接触して、表面のトナーを掻き落とすクリーニングブレード240aが配置されている。このような構成により、転写ベルト31上に残存したトナーは、第1の導電性ローラ200によってマイナスに帯電し、拡散ローラ230によって拡散され、第2の導電性ローラ240によって回収される。なお、最終的に第2の導電性ローラ240によって転写ベルト31上のトナーが除去されるため、第2の導電性ローラ240は、狭義の意味におけるクリーニング装置といえる。
【0039】
このような構成のクリーニング装置において、第1の導電性ローラ200はキャリア除去装置を兼ねていてもよい。一例の第1の導電性ローラ200は、磁気部材210と、ローラスリーブ220とを含む。磁気部材210は、例えば円柱状に成型されたプラスチック磁石であり、軸方向を中心にして回転しないように固定されている。ローラスリーブ220は、円筒状を呈しており、内側空間内に磁気部材210を収容している。ローラスリーブ220は、磁気部材210を収容した状態で、磁気部材210と独立して回転可能となっている。ローラスリーブ220は、モータ等の駆動源によって回転駆動されてもよい。図示例のローラスリーブ220は、例えば図7の紙面に直交する軸線を中心に反時計回りに回転する。
【0040】
ローラスリーブ220は、磁気を遮蔽しない導電性の材料によって、円筒状に形成されている。例えば、ローラスリーブ220は非磁性の金属によって形成されてもよい。ローラスリーブ220の材料としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼等が挙げられる。
【0041】
磁気部材210によって形成される磁極は、ピックアップ極211とリリース極213とを含む。ピックアップ極211は、転写ベルト31の表面からローラスリーブ220上にキャリア粒子を引寄せる磁場211aを形成する。一例において、ピックアップ極211は、ローラスリーブ220の転写ベルト31に対向する領域、すなわち転写ベルト31に対するローラスリーブ220の接触位置に対応するように設定されている。ピックアップ極211によって形成される磁場211aは、転写ベルト31に対するローラスリーブ220の接触位置をカバーしている。一例において、ピックアップ極211は、N極であってよい。
【0042】
リリース極213は、第1の導電性ローラ200を構成するローラスリーブ220からキャリア粒子をリリースするための磁場213a,213bを形成する。一例において、リリース極213は、ピックアップ極211よりもローラスリーブ220の回転方向下流側に配置されている。リリース極213によって形成される磁場213a,213bは、転写ベルト31の表面40aをカバーしていない。図示例では、リリース極213は、磁場213a,213bが形成されるように、周方向に隣接する2つの同極の磁極によって形成されている。これらの磁極の極性は、例えばN極であってよい。ピックアップ極211の作用によってローラスリーブ220に引寄せられたキャリア粒子は、磁場213aと磁場213bとが切り替わる位置でローラスリーブ220からリリースされる。磁場213aと磁場213bとが切り替わる位置は、第1の導電性ローラ200の回転方向において、クリーニングブレード225の位置よりも上流に設定されている。ピックアップ極211は、ローラスリーブ220が転写ベルト31の搬送面に接触する接触位置に形成され、リリース極213は、転写ベルト31に対するローラスリーブ220の接触位置と実質的に対向する位置に配置されている。すなわち、リリース極213は、転写ベルト31に対するローラスリーブ220の接触位置をローラスリーブ220の軸心を中心として180°回転させた位置に対応している。磁気部材210では、ピックアップ極211に対向する位置にピックアップ極211と同極のリリース極113が形成され、回転方向を基準としてピックアップ極211とリリース極213との間に磁極217が形成されている。また、回転方向を基準としてリリース極213とピックアップ極211との間に磁極219が形成されている。磁極217,219の極性は、ピックアップ極211及びリリース極213の極性とは反対のS極となっている。
【0043】
以上説明のように、転写ベルト31に隣接してキャリア除去装置としての第1の導電性ローラ200を設けることにより、転写ベルト31上のキャリア粒子を効率的に除去することができる。これにより、転写ベルト31は、キャリア粒子を原因とする損傷から保護される。また、第1の導電性ローラ200がキャリア除去装置を兼ねているので、部品点数の増加が抑制されるともに、装置の大型化が抑制される。
【0044】
磁気部材210のピックアップ極211は、転写ベルト31からローラスリーブ220にキャリア粒子を引寄せるように設定されている。リリース極213は、ピックアップ極211に対向する位置でローラスリーブ220からキャリア粒子をリリースするように設定されている。そのため、キャリア粒子が転写ベルト31から最も離れた位置でリリースされるので、ローラスリーブ220からリリースされたキャリア粒子が転写ベルト31に戻ることが抑制される。
【0045】
第1の導電性ローラ200は、転写ベルト31の回転方向において、感光体ドラム40の上流側に設けられた第2の導電性ローラ240よりも上流側に配置されている。そのため、第2の導電性ローラ240と転写ベルト31との接触位置においてキャリア粒子が転写ベルト31を損傷することが抑制される。
【0046】
また、図3等の例では、磁気部材110が円柱状である例を示した。しかし、磁気部材の形状は、磁気部材がピックアップ極及びリリース極を形成できれば、特に限定されない。例えば、磁気部材は、円柱状の芯金を中心として、芯金の外周に配置される円筒状のプラスチック磁石であってもよい。また、磁気部材は、互いに分離した複数の磁石によって構成されてもよい。
【0047】
また、潤滑剤塗布ローラ100を構成するローラスリーブ120のサイズについては特に限定されない。例えば、ローラスリーブ120の直径は、現像ローラ21の直径と同じであってもよく、現像ローラ21がスリーブを有する場合、現像ローラ21のスリーブとローラスリーブ120とは同じ部品であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7