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特開2023-65863荷重変換器及びこれを用いた荷役助力装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065863
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】荷重変換器及びこれを用いた荷役助力装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20230508BHJP
   G01G 19/18 20060101ALI20230508BHJP
   G01G 3/14 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G01L1/22 G
G01G19/18 A
G01G3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176246
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 和大
【テーマコード(参考)】
2F049
【Fターム(参考)】
2F049BA11
(57)【要約】
【課題】小型化、各部の配置、電気回路の配線処理を改善した荷重変換器とこれを用いた荷役助力装置を提供。
【解決手段】感歪抵抗体Gと、第1連結部材40と、第2連結部材と、第3連結部材と、回路基板29を含んだ荷重変換器であって、回路基板29は、感歪抵抗体Gを含んで構成されるホイートストンブリッジ回路と配線により接続して少なくとも増幅器29aを含み、感歪抵抗体Gと、配線と、回路基板29とは、第2連結部材及び第3連結部材で画定される空間に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感歪抵抗体と、第1連結部材と、第2連結部材と、第3連結部材と、回路基板を含んだ荷重変換器であって、
前記第1連結部材は、前記第2連結部材と前記第3連結部材とに挟持された中間部に薄肉に形成された起歪部を有し、
前記感歪抵抗体は、前記起歪部に添着され、前記第2連結部材と前記第3連結部材との間に付与される逆方向の相対荷重を前記起歪部に生じる歪みによって検出し、
前記回路基板は、前記感歪抵抗体を含んで構成されるホイートストンブリッジ回路と、配線により接続して少なくとも増幅器を含み、
前記感歪抵抗体と、前記配線と、前記回路基板とは、前記第2連結部材及び前記第3連結部材で画定される空間に配置される荷重変換器。
【請求項2】
感歪抵抗体と、第1連結部材と、第2連結部材と、第3連結部材と、回路基板を含んだ荷重変換器であって、
前記第1連結部材は、一端側に第1円柱部と、中央部に第2円柱部と、他端側に第3円柱部と、薄肉に形成された起歪部と、を有し、
前記第2連結部材は、前記第1連結部材の前記第1円柱部及び前記第3円柱部を挟持若しくは嵌合によって保持し、
前記第3連結部材は、前記第1連結部材の前記第2円柱部を挟持し、
前記感歪抵抗体は、前記起歪部に添着されて、前記第2連結部材と前記第3連結部材との間に付与される逆方向の相対荷重を前記起歪部に生じる歪みによって検出し、
前記回路基板は、前記感歪抵抗体を含んで構成されるホイートストンブリッジ回路と、配線により接続して少なくとも増幅器を含み、
前記感歪抵抗体と、前記配線と、前記回路基板とは、前記第2連結部材と前記第3連結部材とで画定される空間に配置される荷重変換器。
【請求項3】
前記回路基板が、さらにアナログ/デジタル変換器及び演算器を含む請求項1又は2に記載の荷重変換器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の荷重変換器と、スリング部と、昇降作動部と、モータ部と、制御部と、を含んで荷役物の昇降の助力を行う荷役助力装置であって、
前記スリング部は連結した係止部によって前記荷役物を吊り下げ、
前記昇降作動部は前記スリング部を巻き回し、
前記モータ部は前記昇降作動部を駆動し、
前記荷重変換器は前記昇降作動部に加わる重量を検出して重量信号に変換して前記制御部に送信し、
前記制御部は前記重量信号を受信して前記荷役物の昇降の助力を前記モータ部によって行う荷役助力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を電気信号に変換する荷重変換器と、これを用いてモータによって吊った荷役物を上下動させる作業を助力する荷役助力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から工業製品の組立てを行う工場では、大きな重量を有する工具、作業用機器、製品、半完成品などの荷役物を吊下げて昇降移動させる荷役装置を使用している。その荷役装置の中でも、大きな重量の荷役物に対して使用者が軽い操作力で任意の高さに昇降移動できるように助力(アシスト力)を発生させる荷役助力装置が一部で使用されている。このように助力を発生させる荷役助力装置は、モータによって助力を行い、荷役物に小さな操作力(外力)を加えることでスムーズに移動させている。したがって単に上下動作を電動モータで行うものとは異なり、荷役物の荷重やこれに加わる操作力を例えば荷重検出器で検出して、回転角検出器と繋がったACサーボモータ等で外力の印加による重量変化を元に制御を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-128365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような荷役助力装置に適する吊下げ式の従来の荷重変換器(特許文献1)は、電気回路の配線処理及び回路基板の配置などにおいて改善の余地があった。
【0005】
このような問題に鑑みて、本発明は、電気回路の配線処理及び回路基板の配置改善した荷重変換器とこれを用いた荷役助力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
感歪抵抗体と、第1連結部材と、第2連結部材と、第3連結部材と、回路基板を含んだ荷重変換器であって、
第1連結部材は、第2連結部材と第3連結部材とに挟持された中間部に薄肉に形成された起歪部を有し、
感歪抵抗体は、起歪部に添着され、第2連結部材と第3連結部材との間に付与される逆方向の相対荷重を起歪部に生じる歪みによって検出し、
回路基板は、感歪抵抗体を含んで構成されるホイートストンブリッジ回路と、配線により接続して少なくとも増幅器を含み、
感歪抵抗体と、配線と、回路基板とは、第2連結部材及び第3連結部材で画定される空間に配置される。
【0007】
請求項2に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
感歪抵抗体と、第1連結部材と、第2連結部材と、第3連結部材と、回路基板を含んだ荷重変換器であって、
第1連結部材は、一端側に第1円柱部と、中央部に第2円柱部と、他端側に第3円柱部と、薄肉に形成された起歪部と、を有し、
第2連結部材は、第1連結部材の第1円柱部及び第3円柱部を挟持若しくは嵌合によって保持し、
第3連結部材は、第1連結部材の第2円柱部を挟持し、
感歪抵抗体は、起歪部に添着されて、第2連結部材と第3連結部材との間に付与される逆方向の相対荷重を起歪部に生じる歪みによって検出し、
回路基板は、感歪抵抗体を含んで構成されるホイートストンブリッジ回路と、配線により接続して少なくとも増幅器を含み、
感歪抵抗体と、配線と、回路基板とは、第2連結部材と第3連結部材とで画定される空間に配置される。
【0008】
請求項3に記載の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
回路基板が、さらにアナログ/デジタル変換器及び演算器を含んで構成されている。
【0009】
請求項4に記載の荷役助力装置は、上記の目的を達成するために、
請求項1から3のいずれか一項に記載の荷重変換器と、スリング部と、昇降作動部と、モータ部と、制御部と、を含んで荷役物の昇降の助力を行う荷役助力装置であって、
スリング部は連結した係止部によって荷役物を吊り下げ、
昇降作動部はスリング部を巻き回し、
モータ部は昇降作動部を駆動し、
荷重変換器は昇降作動部に加わる重量を検出して重量信号に変換して制御部に送信し、
制御部は重量信号を受信して荷役物の昇降の助力をモータ部によって行うように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型化、各部の配置、電気回路の配線処理を改善した荷重変換器とこれを用いた荷役助力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置の斜視構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器及び駆動部周辺の斜視構成図である。
図3】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図4】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図5】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図6】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図7】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図8】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図9】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図10】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図11】本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てを説明する斜視構成図である。
図12】本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態の荷重変換器に好適な感歪抵抗体の結線模式図とホイートストンブリッジ回路周辺図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る荷重変換器とこれを用いた荷役助力装置について、図面を基に詳細な説明を行う。図1は本発明の実施形態に係る荷重変換器を内蔵している荷役助力装置である。
【0013】
荷役助力装置1は、本体装置2と、吊下げフック3と、リンクチェーン4と、吊り具用フック5を有している。荷役助力装置1は吊下げフック3にて構造物などに吊下げられて、吊り具用フック5に吊下げられた荷役物の昇降を行う。
【0014】
リンクチェーン4はスリング部であって、半円弧部とこれに繋がる直線部からなる長円形の環が90度の角度にて交互に連接されたものであって、一端は吊り具用フック5に繋がっていて、他端(無負荷側)はリンクチェーン収納部6に収納されている。吊り具用フック5は荷役物を係止させる係止部であってフック形状をしているが、これに限るものではない。またスリング部はリンクチェーン4に限らず、ワイヤなどであっても良い。
【0015】
図2は本発明の実施形態に係る荷役助力装置1の本体装置2に内蔵されている荷重変換器及び駆動装置周辺の内部構造を示した斜視図であって、幾つかの部材を省略して表したものである。
【0016】
荷重変換器は、ホルダ(A1)51と、ホルダ(A2)52と、ホルダ(B)22と、ホルダ(C)23とで囲まれ、この中に第1連結部材40と、回路基板29が配置されて構成されている。ホルダ(A1)51は第2連結部材であって、直方体の周囲に突部の壁を有した形状である。ホルダ(A2)52も第2連結部材であって、略直方体の形状であって、ホルダ(A1)51にボルトで固定される。ホルダ(A1)51は、吊りブラケット31と、ボルトにより接続されて、吊りブラケット31に固定された昇降作動部16を吊っている。ホルダ(B)22及びホルダ(C)23は第3連結部材であって、ホルダ(A)21の突部間にあって、2本の第1連結部材40を介してホルダ(A1)51及びホルダ(A2)52と連結されている。連結の構造の詳細は後述する。
【0017】
吊下げフック3には、第3連結部材であるホルダ(B)22が規制された角度で回転自在に取り付けられている。ホルダ(B)22には直方体の天面からz方向に2つの突部が設けられて、この突部間にピン24を挿通することで吊下げフック3とホルダ(B)22とが接続されている。
【0018】
昇降作動部16は、吊りブラケット31によってホルダ(A1)51に吊られている。そして昇降作動部16は、モータ部11に接続されている。モータ部11の負荷側には減速機が取り付けられ、減速機はモータの回転速度を所定の速度に減速している。減速機は例えば波動歯車減速機である。波動歯車減速機は外周が楕円状のウエーブジェネレータと、外周に多数の外歯が形成されウエーブジェネレータに外嵌されてウエーブジェネレータの回転により円周方向へ撓まされる位置が変化するようにした弾性変形可能なフレクスプラインと、フレクスプラインの外周側にあってフレクスプラインの外歯と嵌合する内歯を備えたサーキュラスプラインからなる。そして動力は、フレクスプラインを回転出力として繋げた出力軸に取り出されて伝達するようになっている。
【0019】
減速機に波動歯車減速機のようなバックラッシが極めて小さいものを使用することで、モータの正逆回転切り換えを頻繁に行って助力動作を行う時に、切り換え時の制御不能な領域をなくし、スムーズな操作感を実現できる。減速機にて減速された出力軸は昇降作動部16に連結され、モータ部11は昇降作動部16を連続的に正逆に回転させることができる。
【0020】
昇降作動部16は、出力軸からの駆動によって回転してリンクチェーン4の繰り出し、巻付けを行う。本実施形態では昇降作動部16は円筒フランジ状の外形をしていて、回転出力軸と繋がっている。リンクチェーン4は昇降作動部16の円筒面に設けられたチェーンポケットに嵌入されておおよそ180度程、巻き回される。
【0021】
位置検出部13は、モータ部11の反負荷側にあって、モータ部11の回転角位置を検出して回転角信号を出力するもので、いわゆるエンコーダと呼ばれるものである。本実施形態ではモータ部11の反負荷側に設けたが、昇降作動部16の近傍等に設けて減速後の回転角を検出しても良い。
【0022】
図3から図11は、本発明の第1及び第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立ての推移を示したものである。図3(a)~図11(a)は、本発明の第1の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立て推移を、図3(b)~図11(b)は、本発明の第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立て推移を、それぞれ示している。
【0023】
まず図3(a)から図11(a)を用いて、本発明の第1の実施形態に係る荷役助力装置1内の荷重変換器の組み立てについて説明する。図3(a)は、ホルダ(A1)51単体の斜視図である。ホルダ(A1)51は平たい直方体を底部としてその周囲に、対向して突起した壁51a、壁51b、壁51cが設けられている。そしてx方向に沿って伸びた壁51aに断面が円弧状でy方向に延びた溝51mを2箇所平行に並んで配置し、これに対向して51aよりも高さが高い壁51bには2つの丸い穴51hが2個設けられている。また壁51aと壁51bとを繋ぐようにy方向に沿った壁51cが、壁51a及び壁51bより低く設けられている。なお、溝51mと穴51hの円周方向の稜線をxz平面に投影した場合に、投影線の一部は合致する。図4(a)も、ホルダ(A1)51単体の斜視図であって、図3(a)で現れなかった部分を示している。ホルダ(A1)51は底部に穴51dを有している。穴51dは配線用の穴で、荷重変換器への電力の供給及び荷重変換器からの重量信号の配線ケーブルを通すものである。穴51dにはグロメット等が嵌め込まれ、配線ケーブルを保護している。そしてホルダ(A1)51の底部上面には、突起51eが複数設けられ、次の図5(a)にて示される回路基板29の載置用の座の役割を有する。突起51eはホルダ(A1)51と一体であっても良いし、ホルダ(A1)51にスタッドを埋め込む形態であっても良い。
【0024】
図5(a)は、ホルダ(A1)51の底部に回路基板29を載置した図である。回路基板29には、コネクタ28a、増幅器29a、アナログ/デジタル変換器29b、演算器29cなどが実装されている。回路基板29は、荷役助力装置1の制御部と電気的に繋がって電源供給を受け、荷重の信号を送信する。回路の詳細については図12にて後述する。回路基板29には電気電子部品が実装されていて、ネジにより突起51eのネジ穴に固定される。コネクタ28aはz方向にて、第1連結部材40からの配線のコネクタ28bと接続が可能である。
【0025】
次いで図6(a)に示すように、図6(c)で示されたホルダ(C)23が対向する壁51cに架け渡すようにホルダ(A1)51に仮設置される。この時ホルダ(C)23は、壁51cの段差によってy方向にはおおよそ規制されることから、回路基板29はy方向端部のコネクタ28aを残してホルダ(C)23によって略覆われる。この段階ではホルダ(C)23は、未だ固定には至っていない。
【0026】
図7(a)は、ホルダ(A1)51に第1連結部材40を載置した時の図である。第1連結部材40は、図7(c)に示すように、外観上は略左右対象の円柱形状である。第1連結部材40は、第1円柱部41と第3円柱部43の中間に第2円柱部42が設けられておりこれらは略同じ直径である。そして第4円柱部44(中間部)が第1円柱部41と第2円柱部42との中間に、第5円柱部45(中間部)が第3円柱部43と第2円柱部42との中間に設けられ、第4円柱部44及び第5円柱部45は第1円柱部41よりも小さな直径である。第4円柱部44及び第5円柱部45のy方向の中央部には有底で角丸長方形の凹形状の起歪部46(46A~46D)が設けられている。起歪部46Aは、第5円柱部45に設けられていて、起歪部46Aとy軸回りに180度対向した起歪部46C(図には現れない)と、で薄肉平板の部分を形成している。同様に、起歪部46Bは、第4円柱部44に設けられていて、起歪部46Bとy軸回りに180度対向した起歪部46D(図には現れない)と、で薄肉平板の部分を形成している。そして各起歪部46には感歪抵抗体Gが添着されている。さらに感歪抵抗体Gと、感歪抵抗体Gを添着した起歪部46とは、防湿に適した充填剤などで覆われている。図には現れないが、各感歪抵抗体Gからは配線が引き出され、その端部にはコネクタ28bが設けられている。なお配線は電線でも良いし、可撓性のあるフレキシブル配線板でも良い。配線がフレキシブル配線板の場合は、コネクタ28bは省略されて、フレキシブル配線板の端子部がコネクタ28aに挿入されることになる。
【0027】
2本の第1連結部材40は、起歪部46がx方向に向くようにしつつ、z方向から溝51mに第5円柱部45が当たるように仮置きして、次いでプラスy方向にスライドさせ、第1円柱部41が穴51hにそれぞれ挿入される。第1円柱部41と穴51hとの嵌合は、抜き差し、軸回りに回転できる程度に挟持される嵌め合いであるがこれに限るものではない。その後、配線の端部のコネクタ28bはコネクタ28aに挿入される。
【0028】
図8(a)は、ホルダ(A2)52、案内プレート26、を載せ置いた時の図である。案内プレート26は、第1連結部材40の第3円柱部43の端部に設けられた2面取りカット面と適合した穴を有し、第1連結部材40のy軸周りの姿勢を揃えるための部材である。まず先にホルダ(A2)52を第1連結部材40の上に載せ置き、案内プレート26を当てて第1連結部材40の角度を揃える。次いで案内プレート26をホルダ(A2)52にボルトで固定する。そして第1連結部材40の端部にあるネジ部47にワッシャー、ボルトを挿入して固定する。そしてマイナスz方向(上方)からボルトをホルダ(A2)52に挿入して、ホルダ(A2)52とホルダ(A1)51を固定して挟持することで図9(a)の状態となる。
【0029】
図10(a)は、さらにホルダ(B)22を載せ置いた時を示している。そしてマイナスz方向からボルトを4本、ホルダ(B)22へ挿入し、ホルダ(B)22とホルダ(C)23は第1連結部材40の第2円柱部42を挟んで固定される。さらにホルダ(B)22とホルダ(C)23と第1連結部材40との締結を強固にするため、第1連結部材40に当接する六角穴付き止めネジを2個直列にネジ穴22aに挿入しても良い。もちろん、六角穴付き止めネジは、ホルダ(A2)52や壁51bに適用して、第1連結部材40との締結を強固にしても良い。
【0030】
図11(a)は、さらに吊下げフック3をピン24で取り付けたものである。この後は、ホルダ(A1)51の側面にあるネジ穴を用いて吊りブラケット31を固定して昇降作動部16などを取り付けることになる。
【0031】
したがって第1連結部材40の中央部の第2円柱部42はホルダ(B)22及びホルダ(C)23に固定され、端部の第1円柱部41と第3円柱部43はホルダ(A)51に固定されることから、荷役助力装置1にこの荷重変換器を用いた時には、第2円柱部42にはプラスz方向の力が、第1円柱部41及び第3円柱部43にはマイナスz方向の力がそれぞれ加わり、ホルダ(A)51と、ホルダ(B)22及びホルダ(C)23と、の間に付与される逆方向の相対荷重を、起歪部46に添着された剪断型の感歪抵抗体Gによって検出することができる。
【0032】
次に図3(b)から図11(b)を用いて、本発明の第2の実施形態に係る荷役助力装置内の荷重変換器の組み立てについて説明する。
【0033】
図3(b)は、ホルダ(D1)61単体の斜視図である。ホルダ(D1)61は平たい直方体を底部としてその周囲に、対向して突起した壁61a、壁61b、壁61cが設けられている。そしてx方向に沿って伸びた壁61aに断面が円弧状でy方向に延びた溝61mを2箇所平行に並んで配置し、これに対向して同様の壁61bが設けられている。また壁61aと壁61bとを繋ぐy方向に沿った壁61cが、壁61a及び壁61bより低く設けられている。なお、溝61mは全て同一形状である。図4(b)も、ホルダ(D1)61単体の斜視図であって、図3(b)で現れなかった部分を示している。穴61dが底部に設けられている。穴61dは配線用の穴で、荷重変換器への電力の供給及び荷重変換器からの重量信号の配線ケーブルを通すものである。穴51dにはグロメット等が嵌め込まれ、配線ケーブルを保護している。そして底部には、突起61eが複数設けられ、次の図5(b)にて示される回路基板29の載置用の座の役割を有する。突起61eはホルダ(D1)61と一体であっても良いし、ホルダ(D1)61にスタッドを埋め込む形態であっても良い。
【0034】
図5(b)及び図6(b)については、第1の実施形態と同じであるから説明は省略する。
【0035】
図7(b)は、ホルダ(D1)61に第1連結部材40を載せ置いた時の図である。2本の第1連結部材40は、起歪部46がx方向に向くようにしつつ、各溝61mに第3円柱部43及び第1円柱部41が当たるように仮置きされる。その後、第1連結部材40の配線の端部のコネクタ28bはコネクタ28aに挿入される。
【0036】
図8(b)は、ホルダ(D2)62、案内プレート26、を載せ置いた時の図である。案内プレート26は、第1連結部材40の第3円柱部43の端部に設けられた2面取りカット面と適合した穴を有し、第1連結部材40のy軸周りの姿勢を揃えるための部材である。まず先にホルダ(D2)62とホルダ(D3)63を第1連結部材40の上に載せ置き、案内プレート26を当てて第1連結部材40の角度を揃える。次いで案内プレート26をホルダ(D2)62にボルトで固定する。そして第1連結部材40の端部にあるネジ部47にワッシャー、ボルトを挿入して固定する。そしてマイナスz方向からボルトをホルダ(D2)62及びホルダ(D3)63に挿入して、ホルダ(D2)62とホルダ(D1)61、ホルダ(D3)63とホルダ(D1)61をそれぞれ固定して挟持することで図9(b)の状態となる。
【0037】
図10(b)から図11(b)については、第1の実施形態と同じであるから説明は省略する。
【0038】
なお、第1の実施形態の荷重変換器及び第2の実施形態の荷重変換器において、第1連結部材40は2本で説明したがこれに限らず、1本でも3本などでも適用可能である。
【0039】
図12(a)は第1の実施形態の荷重変換器及び第2の実施形態の荷重変換器に好適な感歪抵抗体Gの結線模式図であり、図12(b)はホイートストンブリッジ回路周辺図である。図12(a)において、上側が起歪部46C及び起歪部46Dに添着された感歪抵抗体G、下側が起歪部46A及び起歪部46Bに添着された感歪抵抗体Gである。起歪部46Aには感歪抵抗体Gt7と感歪抵抗体Gc8が添着されている。感歪抵抗体Gt7と感歪抵抗体Gc8とは、同一の基材上に形成されたもので、中央に共通の電極tcを有している。起歪部46Bには感歪抵抗体Gc4と感歪抵抗体Gt5が添着されている。感歪抵抗体Gc4と感歪抵抗体Gt5とは、同一の基材上に形成されたもので、中央に共通の電極tcを有している。起歪部46Cには感歪抵抗体Gt3と感歪抵抗体Gc6が添着されている。感歪抵抗体Gt3と感歪抵抗体Gc6とは、同一の基材上に形成されたもので、中央に共通の電極tcを有している。起歪部46Dには感歪抵抗体Gc2と感歪抵抗体Gt1が添着されている。感歪抵抗体Gc2と感歪抵抗体Gt1とは、同一の基材上に形成されたもので、中央に共通の電極tcを有している。感歪抵抗体Gt5、感歪抵抗体Gc8、感歪抵抗体Gt1及び感歪抵抗体Gc6は、yz平面においてマイナス45度の方向に最大感度を有するように配置されている。一方、感歪抵抗体Gc4、感歪抵抗体Gt7、感歪抵抗体Gt3及び感歪抵抗体Gc2は、yz平面においてプラス45度の方向に最大感度を有するように配置されている。したがって、ホルダ(A1)51と、ホルダ(B)22及びホルダ(C)23とに逆向きの力が加わるので、感歪抵抗体Gt1、感歪抵抗体Gt3,感歪抵抗体Gt5及び感歪抵抗体Gt7は引張側となり、感歪抵抗体Gc2、感歪抵抗体Gc4、感歪抵抗体Gc6及び感歪抵抗体Gc8は圧縮側となる。
【0040】
そして感歪抵抗体Gt7の電極tnと感歪抵抗体Gt3の電極tm、感歪抵抗体Gt5の電極tmと感歪抵抗体Gt1の電極tn、感歪抵抗体Gc8の電極tmと感歪抵抗体Gc4の電極tn、感歪抵抗体Gc2の電極tmと感歪抵抗体Gc6の電極tn、がそれぞれ結線されている。さらに、感歪抵抗体Gt7と感歪抵抗体Gc8との共通の電極tcからの配線はコネクタ28bの端子T1へ、感歪抵抗体Gt3と感歪抵抗体Gc6との共通の電極tcからの配線はコネクタ28bの端子T4へ、感歪抵抗体Gc4と感歪抵抗体Gt5との共通の電極tcからの配線はコネクタ28bの端子T2へ、感歪抵抗体Gc2と感歪抵抗体Gt1との共通の電極tcからの配線はコネクタ28bの端子T3へ、それぞれ結線されている。これらの配線は前述のようにリード線でもよいし、フレキシブル配線板でも良い。
【0041】
図12(b)には、ホイートストンブリッジ回路と、回路基板29に実装されている回路ブロックが示されている。ホイートストンブリッジ回路は、感歪抵抗体Gt1、感歪抵抗体Gt3,感歪抵抗体Gt5、感歪抵抗体Gt7、感歪抵抗体Gc2、感歪抵抗体Gc4、感歪抵抗体Gc6及び感歪抵抗体Gc8を含んで構成される。一方回路基板29に実装されている回路は、電源Eと、増幅器29aと、アナログ/デジタル変換器29bと、演算器29cと、フィルタやメモリその他で構成されている。演算器29cは、CPU(Central Processing Unit)を備えている。増幅器29aとアナログ/デジタル変換器29bと、は複数個、回路基板29に実装されていて複数のホイートストンブリッジ回路を繋げることができる。
【0042】
電源Eは、ホイートストンブリッジ回路の端子T2及びT4へ電気を供給する。ホイートストンブリッジ回路は、端子T1及びT3から、電圧を出力する。ホイートストンブリッジ回路から出力された電圧は増幅器29aにて増幅され、アナログ/デジタル変換器29bによってデジタル信号に変換され、演算器29cに送信される。演算器29cは、複数のアナログ/デジタル変換器29bによって送信されたデジタル信号からホルダ(A1)51と、ホルダ(B)22及びホルダ(C)23と、の間に付与される逆方向の相対荷重を演算する。
【0043】
ホイートストンブリッジ回路は、感歪抵抗体Gt1、感歪抵抗体Gt3,感歪抵抗体Gt5及び感歪抵抗体Gt7、感歪抵抗体Gc2、感歪抵抗体Gc4、感歪抵抗体Gc6及び感歪抵抗体Gc8を含んでいる。感歪抵抗体Gt1及び感歪抵抗体Gt5、感歪抵抗体Gt3及び感歪抵抗体Gt7は、それぞれ同じ辺で直列に配置され、感歪抵抗体Gt1及び感歪抵抗体Gt5の辺と、感歪抵抗体Gt3及び感歪抵抗体Gt7の辺は、向かい合う辺で構成される。一方、感歪抵抗体Gc2及び感歪抵抗体Gc4、感歪抵抗体Gc6及び感歪抵抗体Gc8は、それぞれ同じ辺で直列に配置され、感歪抵抗体Gc2及び感歪抵抗体Gc4の辺と、感歪抵抗体Gc6及び感歪抵抗体Gc8の辺は、向かい合う辺で構成される。なお実施形態の変形として、起歪部46Aと起歪部46Bにのみ感歪抵抗体Gが添着されていても良いし、起歪部46Aと起歪部46Dにのみという変形であっても良い。その際も、ホイートストンブリッジ回路で向かい合う辺が、引張側同士、圧縮側同士の感歪抵抗体Gで構成される。
【0044】
次いで、この荷重変換器を用いた荷役助力装置1について説明する。荷役助力装置1はモータ部11を制御して荷役物の昇降の助力を行うものである。以上の構成にて、吊り具用フック5に荷役物が吊るされると、荷役物の重量によってリンクチェーン4が引っ張られるため、吊り具用フック5、リンクチェーン4、昇降作動部16、吊りブラケット31を介して荷重変換器のホルダ(A)21が下方に引張られ、第1連結部材40の起歪部46が変形する。すると起歪部46に生じた歪みを感歪抵抗体Gが検出して、回路基板29にて重量信号に変換して荷役助力装置1の制御部へ送信される。荷役助力装置1の制御部は、予め記憶された荷役物の登録重量と荷重変換器から受信した重量とが等しくなるようにモータ部11を制御する。換言すると、荷役助力装置1の制御部は、登録した重量で生じるリンクチェーン4のテンションと、昇降作動部16検出した重量で生じるリンクチェーン4のテンションとが同じになるように制御値を演算してモータ部11を制御する。そして作業者がこの制御中に荷役物に鉛直下向きの外力を加えると、昇降作動部16に加わる重量が大きくなることから、制御部はこれを登録重量へ近づけるように制御値を演算し、リンクチェーン4を繰り出す方向にモータ部11を制御し、荷役物は下降する。一方、作業者がこの制御中に荷役物に鉛直上向きの外力を加えると、昇降作動部16に加わる重量が小さくなることから、制御部はこれを登録重量へ近づけるように制御値を演算し、リンクチェーン4を巻き上げる方向にモータ部11を制御し、荷役物は上昇する。そして作業者が外力の印加をやめると、荷重変換器が検出する重量が登録重量と等しくなるので荷役物は静止した状態となる。なおこの制御値は例えば加速度を含むものである。
【0045】
本実施形態によれば、感歪抵抗体と、配線と、回路基板とは、第2連結部材及び第3連結部材で画定される空間に配置されることから、ノイズの影響を低減した荷重検出器及びこの荷重変換器を用いた荷役助力装置の提供が可能となる。
【0046】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の活用例として、荷重変換器とこれを用いた荷役物を吊下げて昇降動作により搬送や組立て作業を行う荷役助力装置への適用が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 :荷役助力装置
2 :本体装置
3 :吊下げフック
4 :リンクチェーン(スリング部)
5 :吊り具用フック(係止部)
6 :リンクチェーン収納部
11 :モータ部
13 :位置検出部
16 :昇降作動部
22 :ホルダ(B)(第3連結部材)
23 :ホルダ(C)(第3連結部材)
24 :ピン
26 :案内プレート
28a、28b :コネクタ
29 :回路基板
29a :増幅器
29b :アナログ/デジタル変換器
29c :演算器
31 :吊りブラケット
40 :第1連結部材
41 :第1円柱部
42 :第2円柱部
43 :第3円柱部
44 :第4円柱部(中間部)
45 :第5円柱部(中間部)
46 :起歪部
47 :ネジ部
51 :ホルダ(A1)(第2連結部材)
52 :ホルダ(A2)(第2連結部材)
61 :ホルダ(D1)(第2連結部材)
62 :ホルダ(D2)(第2連結部材)
63 :ホルダ(D3)(第2連結部材)



図1
図2
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図4
図5
図6
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図10
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図12