(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065881
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】有孔ボード用受具
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20230508BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A47G29/00 C
A47F5/00 A
A47G29/00 X
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176273
(22)【出願日】2021-10-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】591055919
【氏名又は名称】株式会社玉俊工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】友齊 信幸
(72)【発明者】
【氏名】小杉 健二
【テーマコード(参考)】
3B118
3K100
【Fターム(参考)】
3B118AA02
3B118BA19
3B118CA13
3K100AA03
3K100AB01
3K100AF05
3K100AG01
(57)【要約】
【課題】受パーツ部の有孔ボードの表面に対する傾斜角度が所定の角度になるように、作るのが容易である有孔ボード用受具を提供することにある。
【解決手段】この発明の有孔ボード用受具1は、有孔ボード2の2個の孔20の中に位置する一対の連結部12と、一対の連結部12の一端に連結されていて、有孔ボード2の裏面23に係止する一対の裏面係止部10と、一対の連結部12の他端に掛け渡して連結されていて、有孔ボード2の表面22側に位置する受本体部15と、受本体部15の裏面から突設されていて、有孔ボード2の表面22に係止する表面係止部17と、受本体部15の表面から突設されている受パーツ部3と、を備える。この結果、この発明は、受パーツ部3の有孔ボード2の表面22に対する傾斜角度が所定の角度になるように、作るのが容易である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の孔が設けられている有孔ボードに着脱可能に取り付けて使用する有孔ボード用受具であって、
前記有孔ボードの2個の前記孔の中に位置する一対の連結部と、
一対の前記連結部の一端に連結されていて、前記有孔ボードの裏面に係止する一対の裏面係止部と、
一対の前記連結部の他端に掛け渡して連結されていて、前記有孔ボードの表面側に位置する受本体部と、
前記受本体部の裏面から突設されていて、前記有孔ボードの表面に係止する表面係止部と、
前記受本体部の表面から突設されている受パーツ部と、
を備える、
ことを特徴とする有孔ボード用受具。
【請求項2】
一対の前記連結部、一対の前記裏面係止部、前記受本体部および前記表面係止部は、板状の金属部材をプレス加工することにより制作されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の有孔ボード用受具。
【請求項3】
前記表面係止部が前記有孔ボードの表面に係止することにより、前記受本体部の裏面と前記有孔ボードの表面との間には、隙間が形成され、
前記受パーツ部は、金属部材から構成されていて、前記受本体部のうち、前記隙間を介して前記有孔ボードの表面に向き合う箇所、前記表面係止部のうち、前記隙間に向き合う箇所、または、一対の前記連結部のうち、前記隙間に向き合う箇所の少なくとも1つの箇所において、固定されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の有孔ボード用受具。
【請求項4】
前記孔は、円形をなし、
一対の前記裏面係止部および一対の前記連結部の板厚方向の断面形状は、前記孔の円形内に収まる四角形形状をなし、
前記断面形状の幅寸法は、前記断面形状の厚み寸法に対して、同等もしくは大きい、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有孔ボード用受具。
【請求項5】
前記表面係止部は、前記受本体部の裏面の下側縁に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有孔ボード用受具。
【請求項6】
前記表面係止部は、前記受本体部の裏面の左右両側縁に一対設けられている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有孔ボード用受具。
【請求項7】
一対の前記連結部の一端と一対の前記裏面係止部との間は、90°もしくはほぼ90°で屈折させた湾曲形状をなす、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の有孔ボード用受具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有孔ボード用受具に関する。
【背景技術】
【0002】
有孔ボードに着脱可能に取り付けて使用する有孔ボード用受具としては、以下の特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1の有孔ボード用フック具は、金属製の丸棒材が曲げられて形成され、S字状の2つの係止部と、2つの係止部に連続して形成されているフック部と、を備える。2つの係止部は、それぞれ、裏面接触部と、第1の湾曲部と、連接部と、第2の湾曲部と、表面接触部と、を備える。
【0004】
以下、特許文献1の有孔ボード用フック具を有孔ボードに係止させる工程について説明する。2つの裏面接触部を2つの貫通孔にそれぞれ挿入する。つづいて、2つの第1の湾曲部を2つの貫通孔内をそれぞれ通過させる。そして、2つの裏面接触部を有孔ボードの裏面にそれぞれ接触させ、かつ、2つの表面接触部を有孔ボードの表面にそれぞれ接触させる。この結果、特許文献1の有孔ボード用フック具は、有孔ボードに係止される。そして、有孔ボードに係止された特許文献1の有孔ボード用フック具のフック部に、物を掛けることにより、有孔ボード用フック具は、有孔ボードと共に、使用に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の有孔ボード用フック具は、金属製の丸棒材を曲げて2つの係止部とフック部とを形成したものであるから、フック部の有孔ボードの表面に対する傾斜角度調整を行う手段が設けられていない。この結果、特許文献1の有孔ボード用フック具は、フック部の有孔ボードの表面に対する傾斜角度が所定の角度になるように、作るのが難しかった。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、受パーツ部(フック部)の有孔ボードの表面(表面)に対する傾斜角度が所定の角度になるように、作るのが容易である有孔ボード用受具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の有孔ボード用受具は、複数個の孔が設けられている有孔ボードに着脱可能に取り付けて使用する有孔ボード用受具であって、有孔ボードの2個の孔の中に位置する一対の連結部と、一対の連結部の一端に連結されていて、有孔ボードの裏面に係止する一対の裏面係止部と、一対の連結部の他端に掛け渡して連結されていて、有孔ボードの表面側に位置する受本体部と、受本体部の裏面から突設されていて、有孔ボードの表面に係止する表面係止部と、受本体部の表面から突設されている受パーツ部と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の有孔ボード用受具において、一対の連結部、一対の裏面係止部、受本体部および表面係止部は、板状の金属部材をプレス加工することにより制作されている、ことが好ましい。
【0010】
この発明の有孔ボード用受具において、表面係止部が有孔ボードの表面に係止することにより、受本体部の裏面と有孔ボードの表面との間には、隙間が形成され、受パーツ部は、金属部材から構成されていて、受本体部のうち、隙間を介して有孔ボードの表面に向き合う箇所、表面係止部のうち、隙間に向き合う箇所、または、一対の連結部のうち、隙間に向き合う箇所の少なくとも1つの箇所において、固定されている、ことが好ましい。
【0011】
この発明の有孔ボード用受具において、孔は、円形をなし、一対の裏面係止部および一対の連結部の板厚方向の断面形状は、孔の円形内に収まる四角形形状をなし、断面形状の幅寸法は、断面形状の厚み寸法に対して、同等もしくは大きい、ことが好ましい。
【0012】
この発明の有孔ボード用受具において、表面係止部は、受本体部の裏面の下側縁に設けられている、ことが好ましい。
【0013】
この発明の有孔ボード用受具において、表面係止部は、受本体部の裏面の左右両側縁に一対設けられている、ことが好ましい。
【0014】
この発明の有孔ボード用受具において、一対の連結部の一端と一対の裏面係止部との間は、90°もしくはほぼ90°で屈折させた湾曲形状をなす、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明の有孔ボード用受具は、受パーツ部の有孔ボードの表面に対する傾斜角度が所定の角度になるように、作るのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、この発明の有孔ボード用受具の実施形態1を示す使用状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、使用状態を示す一部縦断面図(
図1におけるII-II線一部断面図)である。
【
図3】
図3は、有孔ボード用受具を示す斜視図(有孔ボードの表面(もしくは、前面)側の斜め上から見た図)である。
【
図4】
図4は、有孔ボード用受具を示す斜視図(有孔ボードの裏面(もしくは、後面)側の斜め上から見た図)である。
【
図5】
図5は、受パーツ部を固定(溶接固定)する前の有孔ボード用受具を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、同じく、受パーツ部を固定(溶接固定)する前の有孔ボード用受具を示す側面図(
図5におけるVI矢視図)である。
【
図7】
図7は、同じく、受パーツ部を固定(溶接固定)する前の有孔ボード用受具を示す平面図(
図5におけるVII矢視図)である。
【
図8】
図8は、同じく、受パーツ部を固定(溶接固定)する前の有孔ボード用受具を示す正面図(
図5におけるVIII矢視図)である。
【
図9】
図9は、同じく、受パーツ部を固定(溶接固定)する前の有孔ボード用受具を示す展開図である。
図9(A)は、プレス加工の切断加工後であって、プレス加工の折り曲げ加工前の状態の有孔ボード用受具を示す正面展開図である。
図9(B)は、プレス加工の切断加工後であって、プレス加工の折り曲げ加工前の状態の有孔ボード用受具を示す側面展開図(
図9(A)におけるB矢視図)である。
【
図10】
図10は、有孔ボード用受具の第1屈折部が有孔ボードの孔の中を通過している状態を示す一部拡大縦断面図(
図2に対応する一部拡大縦断面図)である。
【
図11】
図11は、有孔ボード用受具の第1屈折部が有孔ボードの孔の中を通過している状態を示す一部拡大縦断面図(
図10におけるXI-XI線断面図)である。
【
図12】
図12は、有孔ボード用受具の第1屈折部が有孔ボードの孔の中を通過している状態を示す一部拡大縦断面図(
図10におけるXII-XII線断面図)である。
【
図13】
図13は、有孔ボード用受具の裏面係止部が有孔ボードの孔の中を通過している状態を示す一部縦断面図(
図2に対応する一部縦断面図)である。
【
図14】
図14は、有孔ボード用受具の第1屈折部が有孔ボードの孔の中を通過している状態を示す一部縦断面図(
図2および
図10に対応する一部縦断面図)である。
【
図15】
図15は、この発明の有孔ボード用受具の実施形態2を示す斜視図(有孔ボードの表面側の斜め上から見た図であって、
図3に対応する斜視図)である。
【
図16】
図16は、有孔ボード用受具を示す斜視図(有孔ボードの裏面側の斜め上から見た図であって、
図4に対応する斜視図)である。
【
図17】
図17は、使用状態を示す一部縦断面図(
図2に対応する一部断面図)である。
【
図18】
図18は、有孔ボード用受具の第1屈折部が有孔ボードの孔の中を通過している状態を示す一部拡大縦断面図(
図10に対応する一部拡大縦断面図)である。
【
図19】
図19は、有孔ボード用受具の第1屈折部が有孔ボードの孔の中を通過している状態を示す一部拡大縦断面図(
図11に対応する一部拡大縦断面図あって、
図18におけるXIX-XIX線断面図)である。
【
図20】
図20は、有孔ボード用受具の第1屈折部が有孔ボードの孔の中を通過している状態を示す一部拡大縦断面図(
図12に対応する一部拡大縦断面図あって、
図18におけるXX-XX線断面図)である。
【
図21】
図21は、この発明の有孔ボード用受具の受パーツ部の変形例1を示す斜視図(
図4、
図16に対応する斜視図)である。
【
図23】
図23は、使用状態を示す一部縦断面図(
図2、
図17に対応する一部縦断面図であって、
図22におけるXXIII-XXIII線一部断面図)である。
【
図24】
図24は、この発明の有孔ボード用受具の受パーツ部の変形例2を示す斜視図(
図3、
図15に対応する斜視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明にかかる有孔ボード用受具の実施形態(実施例)の2例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
なお、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる有孔ボード用受具を、有孔ボードに使用に、使用した際の前、後、上、下、左、右である。また、図面においては、概略図であるため、主要部分を図示し、主要部分以外の部分の図示を省略し、また、ハッチングの一部を省略し、あるいは、断面の一部を省略する。
【0019】
(実施形態1の構成の説明)
図1から
図14は、この発明にかかる有孔ボード用受具の実施形態1を示す。以下、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1の構成について説明する。
【0020】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、
図1および
図2に示すように、有孔ボード2の孔20に着脱可能に取り付けて使用するものである。
【0021】
(有孔ボード2の説明)
有孔ボード2は、
図1、
図2、
図10から
図14に示すように、この例では、長方形形状の板部材21から構成されている。板部材21には、複数個の孔20が縦横に等間隔に設けられている。
【0022】
有孔ボード2の表面(正面、前面。以下、「表面」と称する)22は、商品などを陳列する側の面である。有孔ボードの裏面(背面、後面。以下、「裏面」と称する)23は、表面22の反対側の面である。
【0023】
孔20は、この例では、直径が約5mmの円形形状をなしている。また、板部材21の板厚は、この例では、約5.5mmである。なお、孔20の直径および板部材21の板厚は、特に、限定しない。また、板部材21の材質も、特に、限定しない。さらに、孔20は、円形形状以外であっても良い。たとえば、四角形、多角形、楕円、長円の孔であっても良い。
【0024】
(有孔ボード用受具1の説明)
有孔ボード用受具1は、
図1から
図14に示すように、板状の金属部材から構成されている。板状の金属部材の板厚は、この例では、約2mmである。金属部材としては、特に限定しないが、この例では、コスト面から鋼材を使用する。なお、高コストであるが、高剛性を有するステンレス鋼を使用しても良い。
【0025】
有孔ボード用受具1は、この例では、一対の裏面係止部10と、一対の第1屈折部11と、一対の連結部12と、第1表面係止部13と、第2屈折部14と、受本体部15と、第3屈折部16と、第2表面係止部17と、受パーツ部3と、を備える。
【0026】
すなわち、有孔ボード用受具1は、この例では、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11、一対の連結部12、第1表面係止部13、第2屈折部14、受本体部15、第3屈折部16および第2表面係止部17と、受本体部15の裏面に固定(この例では、溶接固定)されている受パーツ部3と、から構成されている。
【0027】
受パーツ部3が溶接固定される前の有孔ボード用受具1は、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11、一対の連結部12、第1表面係止部13、第2屈折部14、受本体部15、第3屈折部16および第2表面係止部17から構成されている。
【0028】
一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11、一対の連結部12、第1表面係止部13、第2屈折部14、受本体部15、第3屈折部16および第2表面係止部17は、
図9に示すように、板状の金属部材をプレス加工(切断加工、折り曲げ加工)することにより制作される。
【0029】
すなわち、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11、一対の連結部12、第1表面係止部13、第2屈折部14、受本体部15、第3屈折部16および第2表面係止部17は、まず、
図9の展開図に示すように、プレス加工により、板状の金属部材から切断される。この時、受本体部15には、円形の透孔(丸孔)18が、形成される。透孔18の内径は、この例では、約5mmである。
【0030】
つぎに、一対の裏面係止部10と一対の連結部12との間の部分であって、
図9の2本の一点鎖線の間の一対の第1屈折部11は、プレス加工により、90°もしくは約90°谷折りに折り曲げられる。同時に、第1表面係止部13および第2表面係止部17と受本体部15の上下両側との間の部分であって、
図9の2本の二点鎖線の間の第2屈折部14および第3屈折部16は、プレス加工により、90°もしくは約90°山折りに折り曲げられる。
【0031】
なお、前記の谷折りは、
図9(A)の正面展開図において、紙面手前から奥に谷形状(凹形状)に折り曲げ、
図9(B)の側面展開図において、左側から右側に谷形状(凹形状)に折り曲げる。また、前記の山折りは、
図9(A)の正面展開図において、紙面手前から奥に山形状(凸形状)に折り曲げ、
図9(B)の側面展開図において、左側から右側に山形状(凸形状)に折り曲げる。なお、
図9(A)において、一対の連結部12と第1表面係止部13との間の境界線を、破線にて示す。
【0032】
(各部10、11、12、13、14、15、16、17の説明)
一対の裏面係止部10は、左右両側に配置されている。一対の裏面係止部10の先端部分は、半円形形状をなしている。一対の裏面係止部10は、左右に隣り合う2個の孔20の中を、それぞれ、有孔ボード2の表面22から裏面23に、通って、一対の裏面係止部10の正面において、有孔ボード2の裏面23に係止する。
【0033】
一対の連結部12は、一対の裏面係止部10に、それぞれ、一対の第1屈折部11を介して設けられていて、2個の孔20の中に位置する。一対の連結部12は、一対の裏面係止部10および一対の第1屈折部11側と、第1表面係止部13、第2屈折部14および受本体部15側とを、一体に連結する。一対の連結部12の長さ(
図2中の水平方向の長さ)は、一対の第1屈折部11から第2屈折部14までの長さである。この連結部12の水平方向の長さは、有孔ボード2の板部材21の板厚と第2表面係止部17の幅の長さ(
図2中の左右方向の長さ)との和である。
【0034】
一対の第1屈折部11は、一対の裏面係止部10と一対の連結部12とを90°もしくはほぼ90°で屈折させた湾曲形状をなす。一対の第1屈折部11の正面側の曲率半径は、この例では、約2mmである。また、一対の第1屈折部11の背面側の曲率半径は、この例では、約4mmである。
【0035】
第1表面係止部13は、一対の連結部12の間に設けられている。すなわち、第1表面係止部13は、受本体部15のうち、一対の連結部12および第2屈折部14側の一側縁(すなわち、有孔ボード2の表面22に位置させた時の受本体部15の上側縁)に、有孔ボード2の表面22側に突出して設けられている。第1表面係止部13は、背面において、有孔ボード2の表面22に係止して、第2表面係止部17と共に、受本体部15の背面と有孔ボード2の表面22との間に隙間Sを形成する。
【0036】
受本体部15は、一対の連結部12および第1表面係止部13に、第2屈折部14を介して設けられている。受本体部15は、有孔ボード2の表面22側に、有孔ボード2の表面22との間に隙間Sが形成されている状態で位置する。
【0037】
第2屈折部14は、第1表面係止部13と受本体部15とを90°もしくはほぼ90°で屈折させる。第2屈折部14の表面は、湾曲面をなし、正面の曲率半径は、この例では、約2mmである。また、第2屈折部14の背面は、第1表面係止部13の背面の平面と受本体部15の背面の平面とが直交している。
【0038】
第2表面係止部17は、受本体部15に、第3屈折部16を介して設けられている。すなわち、第2表面係止部17は、受本体部15のうち、一側縁(上側縁)に対して反対側の他側縁(すなわち、有孔ボード2の表面22に位置させた時の受本体部15の下側縁)に、有孔ボード2の表面22側に突出して設けられている。第2表面係止部17は、背面において、有孔ボード2の表面22に係止して、第1表面係止部13と共に、受本体部15の背面と有孔ボード2の表面22との間に隙間Sを形成する。
【0039】
第3屈折部16は、受本体部15と第2表面係止部17とを90°もしくはほぼ90°で屈折させる。第3屈折部16の表面は、湾曲面をなし、表面の曲率半径は、この例では、約2mmである。また、第3屈折部16の背面は、受本体部15の背面の平面と第2表面係止部17の背面の平面とが直交している。
【0040】
一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11および一対の連結部12の板厚方向の断面形状は、
図10から
図12に示すように、孔20の円形内に収まる四角形形状をなす。断面形状の幅寸法Wは、断面形状の厚み寸法Tに対して、大きい。なお、幅寸法Wは、この例では、約3mmである。厚み寸法Tは、この例では、約2mmである。
【0041】
(受パーツ部3の説明)
受パーツ部3は、
図1から
図4に示すように、丸棒状の金属部材から構成されている。丸棒状の金属部材の直径は、この例では、約5mmであって、受本体部15の透孔18の内径よりも若干小さい。
【0042】
金属部材としては、特に限定しないが、この例では、受パーツ部3を溶接固定する前の有孔ボード用受具1と同様に、コスト面から鋼材を使用する。なお、高コストであるが、高剛性を有するステンレス鋼を使用しても良い。
【0043】
受パーツ部3は、長尺の水平部分30と、短尺の垂直部分31と、から構成されている。受パーツ部3は、この例では、L形状のフック部である。水平部分30の一端(垂直部分31側の端に対して反対側の端)は、
図2および
図4に示すように、受本体部15の透孔18中に挿入され、かつ、受本体部15の背面、すなわち、受本体部15のうち、有孔ボード2の表面22に向き合う箇所において、溶接により固定されている。
図2および
図4において、符号「32」は、溶接固定部分を示す。
【0044】
(有孔ボード用受具1の有孔ボード2への取付の説明)
図13中の実線矢印に示すように、有孔ボード用受具1の一対の裏面係止部10を、有孔ボード2の孔20の中に、有孔ボード2の表面22側から裏面23側に挿通させる。また、有孔ボード用受具1の一対の連結部12の正面(取付後、
図1および
図2に示すように、上面となる)および第1表面係止部の正面(取付後、
図1および
図2に示すように、上面となる)を、有孔ボード2の表面22に、当てる。この時、有孔ボード用受具1の一対の第1屈折部11は、有孔ボード2の孔20の中に位置する。
【0045】
図14中の実線矢印に示すように、有孔ボード用受具1を、上側から下側に回転させながら、有孔ボード2の孔20の中に、有孔ボード2の表面22側から裏面23側に押し込む。この時、
図10に示すように、有孔ボード用受具1の一対の第1屈折部11は、正面側の曲率半径が約2mm、かつ、背面側の曲率半径が約4mmである湾曲形状をなすものである。この結果、一対の第1屈折部11の幅寸法Wが約3mm、厚み寸法Tが約2mmであり、一方、孔20の直径が約5mm、板部材21の板厚が約5.5mmである寸法関係においても、一対の第1屈折部11は、孔20の中を、有孔ボード2の表面22側から裏面23側に、スムーズに通過することができる。
【0046】
図2中の実線矢印Pに示すように、有孔ボード用受具1の一対の裏面係止部10の正面を、有孔ボード2の裏面23に係止させる。一方、有孔ボード用受具1の第1表面係止部13の背面および第2表面係止部17の背面を、それぞれ、有孔ボード2の表面22に係止させる。この時、有孔ボード用受具1の受本体部15の背面と有孔ボード2の表面22との間には、隙間Sが形成されている。隙間Sは、懐形状をなし、受本体部15の背面の溶接固定部分32は、隙間Sすなわち懐の中に収まっている。なお、第1表面係止部13の背面が、有孔ボード2の表面22に係止していない状態であっても良い。
【0047】
なお、前記の取付操作と逆の操作を行うことにより、有孔ボード用受具1を有孔ボード2から取り外すことができる。なお、
図13および
図14において、受パーツ3の図示は、省略されている。
【0048】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0049】
前記の通り、有孔ボード用受具1を有孔ボード2に着脱可能に取り付ける。有孔ボード用受具1の受パーツ部3に、物(商品、食器、道具、棚など)を、掛けたり、載せたりして、使用に供する。
【0050】
使用に供した時に、
図2に示すように、受パーツ部3には、荷重G(
図2中の実線矢印Gを参照)がかかる。すると、第2表面係止部17の背面と有孔ボード2の表面22との係止箇所を支点Fとして、この原理により、一対の裏面係止部10が、
図2中の実線矢印Pに示すように、有孔ボード2側に移動(作用)する。この結果、一対の裏面係止部10の正面は、全面に亘って、有孔ボード2の裏面23に確実に係止する。
【0051】
図2において、有孔ボード2に取り付けた時の有孔ボード用受具1および受パーツ部3の状態は、二点鎖線で示されている。また、受パーツ部3に物を掛けたり載せたりして使用に供した時の有孔ボード用受具1および受パーツ部3の状態は、実線で示されている。なお、使用に供する前の有孔ボード用受具1および受パーツ部3の状態は、実際には、
図2中の実線で示されている状態に近い状態にある。
図2中の二点鎖線で示されている状態は、架空の状態であって、有孔ボード用受具1および受パーツ部3の使用に供する前の状態と、使用に供した時の状態の変化を分かり易くするためである。
【0052】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0053】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、有孔ボード2の2個の孔20の中に位置する一対の連結部12と、一対の連結部12の一端に連結されていて、有孔ボード2の裏面23に係止する一対の裏面係止部10と、一対の連結部12の他端に掛け渡して連結されていて、有孔ボード2の表面22側に位置する受本体部15と、受本体部15の裏面から突設されていて、有孔ボード2の表面22に係止する第2表面係止部17と、受本体部15の表面から突設されている受パーツ部3と、を備えるものである。
【0054】
このように、一対の裏面係止部10と受本体部15とが、一対の連結部12の両端に、有孔ボード2を挟んでそれぞれ反対側において、連結されているので、一対の裏面係止部10を、有孔ボード2の2個の孔20の中を通して有孔ボード2の裏面23に係止させ、また、受本体部15の裏面から突設されている第2表面係止部17を、有孔ボード2の表面22に係止させると、有孔ボード用受具1を有孔ボード2に取り付けることができる。この時、受本体部15の表面から突設されている受パーツ部3の角度は、第2表面係止部17の幅の長さ(
図2中の左右方向の長さ)によって決まる。たとえば、第2表面係止部17の幅の長さを長くすれば、
図2中の二点鎖線に示すように、受本体部15の正面を有孔ボード2の表面22に対して上向きに傾斜させることができる。
【0055】
この結果、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、受パーツ部3を受本体部15に固定する時の角度調整を行わずに、第2表面係止部17の幅の長さを調整することにより、受パーツ部3の有孔ボード2の表面22に対する傾斜角度が所定の角度になるように、作るのが容易である。これにより、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、製造が簡単となり、製造コストを安価にできる。また、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、連結部12の水平部分の長さでも、受本体部15の表面から突設されている受パーツ部3の角度を調整することができる。さらに、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、第2表面係止部17を設けなかった場合には、第1表面係止部13の幅の長さを調整することにより、受本体部15の表面から突設されている受パーツ部3の角度を調整することができる。すなわち、この場合においては、第1表面係止部13が第2表面係止部17の代用をなすものである。
【0056】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、受本体部15に受パーツ部3を突設したものであるから、受パーツ部3により、使用範囲が拡大する。
【0057】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、板状の金属部材から制作されているものであるから、金属製の丸棒材が曲げられて形成されている特許文献1の有孔ボード用フック具と比較して、強度が大であり、高荷重に強度的に耐えられる。
【0058】
しかも、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1において、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11、一対の連結部12、第1表面係止部13、第2屈折部14、受本体部15、第3屈折部16および第2表面係止部17は、板状の金属部材をプレス加工することにより制作されている。この結果、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1において、工作精度が安定し、かつ、量産が容易である。
【0059】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、受パーツ部3が金属部材から構成されているので、強度が大であり、高荷重に強度的に耐えられる。
【0060】
しかも、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1において、第1表面係止部13および第2表面係止部17が有孔ボード2の表面22に係止することにより、受本体部15と有孔ボード2の表面22との間には、隙間Sが形成され、受パーツ部3の水平部分30の一端が、受本体部15の背面、すなわち、受本体部15のうち、隙間Sを介して有孔ボード2の表面22に向き合う箇所において、溶接により固定されている。この結果、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、溶接固定部分32を受本体部15で覆い隠すことができ、見栄えを損なうことなく、しかも、溶接固定部分32のバリなどの除去工程が軽減される。
【0061】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1において、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11および一対の連結部12の板厚方向の断面形状は、孔20の円形内に収まる四角形形状をなし、断面形状の幅寸法Wは、断面形状の厚み寸法Tに対して、大きい。この結果、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、孔20の直径寸法と、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11および一対の連結部12の幅寸法Wおよび厚み寸法Tとの相対関係において、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11および一対の連結部12の剛性を上がることができる。これにより、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、孔20の直径寸法が小さく制限されていても、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11および一対の連結部12が高荷重に強度的に耐えられる。
【0062】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1において、第1表面係止部13は、受本体部15のうち、一対の連結部12および第2屈折部14側の一側縁である上側縁に、有孔ボード2の表面22側に突出して設けられていて、第2表面係止部17は、受本体部15のうち、一側縁に対して反対側の他側縁である下側縁に、有孔ボード2の表面22側に突出して設けられている。この結果、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、受本体部15の両側縁の第1表面係止部13と第2表面係止部17とが、それぞれ、有孔ボード2の表面22に係止する。これにより、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、有孔ボード2に確実に取り付けられ、しかも、受本体部15と有孔ボード2の表面22との間の隙間Sが確実に形成される。
【0063】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1において、一対の第1屈折部11は、正面側の曲率半径が約2mm、かつ、背面側の曲率半径が約4mmである湾曲形状をなすものである。この結果、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1において、一対の第1屈折部11の幅寸法Wが約3mm、厚み寸法Tが約2mmであり、一方、孔20の直径が約5mm、板部材21の板厚が約5.5mmである寸法関係においても、一対の第1屈折部11は、孔20の中を、有孔ボード2の表面22側から裏面23側に、スムーズに通過することができる。
【0064】
この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、湾曲形状をなす一対の第1屈折部11の曲率半径を小さくするものである。この結果、この実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、一対の裏面係止部10の正面が、全面に亘って、有孔ボード2の裏面23に、密着当接することができるので、強度が大となり、高荷重に強度的に耐えられる。
【0065】
(実施形態2の構成の説明)
図15から
図20は、この発明にかかる有孔ボード用受具の実施形態2を示す。以下、この実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aの構成、作用、効果について説明する。
図15から
図20において、
図1から
図14と同符号は、同一の物を示す。
【0066】
有孔ボード用受具1Aは、前記の実施形態1にかかる有孔ボード用受具1と同様に、板状の金属部材から構成されている。有孔ボード用受具1Aは、この例では、一対の裏面係止部10Aと、一対の第1屈折部11Aと、一対の連結部12Aと、一対の表面係止部13Aと、一対の第2屈折部14Aと、受本体部15Aと、受パーツ部3と、を備える。
【0067】
受パーツ部3が溶接固定される前の有孔ボード用受具1Aは、一対の裏面係止部10A、一対の第1屈折部11A、一対の連結部12A、一対の第1表面係止部13A、一対の第2屈折部14Aおよび受本体部15Aから構成されていて、板状の金属部材をプレス加工(切断加工、折り曲げ加工)することにより制作される。
【0068】
すなわち、一対の裏面係止部10A、一対の第1屈折部11A、一対の連結部12A、一対の第1表面係止部13A、一対の第2屈折部14Aおよび受本体部15Aは、まず、プレス加工により、板状の金属部材から切断される。この時、受本体部15Aには、円形の透孔(丸孔)18Aが、形成される。
【0069】
つぎに、一対の第1表面係止部13Aと受本体部15Aの左右両側との間の部分であって、一対の第2屈折部14Aは、プレス加工により、90°もしくは約90°山折りに折り曲げられる。
【0070】
(各部10A、11A、12A、13A、14A、15Aの説明)
一対の裏面係止部10Aは、左右両側に配置されている。一対の裏面係止部10Aは、左右に隣り合う2個の孔20の中を、それぞれ、有孔ボード2の表面22から裏面23に、通って、一対の裏面係止部10Aの正面において、有孔ボード2の裏面23に係止する。
【0071】
一対の連結部12Aは、一対の裏面係止部10Aに、それぞれ、一対の第1屈折部11Aを介して設けられていて、2個の孔20の中に位置する。一対の連結部12Aは、一対の裏面係止部10Aおよび一対の第1屈折部11A側と、一対の第1表面係止部13A、一対の第2屈折部14Aおよび受本体部15A側とを、一体に連結する。
【0072】
一対の第1屈折部11Aは、一対の裏面係止部10Aと一対の連結部12Aとを90°もしくはほぼ90°で屈折させた湾曲形状をなす。一対の第1屈折部11Aの正面側の曲率半径は、この例では、約0.25mmである。また、一対の第1屈折部11Aの背面側の曲率半径は、この例では、約2.25mmである。
【0073】
一対の第1表面係止部13Aは、有孔ボード2の表面22に位置させた時の受本体部15Aの左右両側縁に、一対の第2屈折部14Aを介して、受本体部15Aの正面から背面側に折り曲げられて設けられている。一対の第1表面係止部13Aは、背面において、有孔ボード2の表面22に係止して、受本体部15Aの背面と有孔ボード2の表面22との間に隙間Sを形成する。
【0074】
受本体部15Aは、一対の表面係止部13Aに、一対の第2屈折部14Aを介して設けられている。受本体部15Aは、有孔ボード2の表面22側に、有孔ボード2の表面22との間に隙間Sが形成されている状態で位置する。
【0075】
一対の第2屈折部14Aは、一対の表面係止部13Aと受本体部15Aの左右両側とを90°もしくはほぼ90°で屈折させる。一対の第2屈折部14Aの正面は、湾曲面をなしている。
【0076】
一対の裏面係止部10A、一対の第1屈折部11Aおよび一対の連結部12Aの板厚方向の断面形状は、
図18から
図20に示すように、孔20の円形内に収まる四角形形状をなす。断面形状の幅寸法WAは、断面形状の厚み寸法TAと同等もしくはほぼ同等である。なお、幅寸法WAおよび厚み寸法TAは、この例では、約2mmである。
【0077】
(実施形態2の取付、作用、効果の説明)
この実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aは、以上のごとき構成からなるものであるから、前記の実施形態1にかかる有孔ボード用受具1と同様にして有孔ボード2に取り付けられる。
【0078】
この実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aは、以上のごとき構成からなるものであるから、前記の実施形態1にかかる有孔ボード用受具1と同様の取付、作用、効果を達成することができる。
【0079】
この実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aにおいて、一対の表面係止部13Aは、受本体部15Aの左右両側縁に設けられている。この結果、この実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aは、受本体部15Aの左右両側縁の一対の表面係止部13Aが、それぞれ、有孔ボード2の表面22に係止する。これにより、この実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aは、有孔ボード2に確実に取り付けられ、しかも、受本体部15Aと有孔ボード2の表面22との間の隙間Sが確実に形成される。
【0080】
(受パーツ部3Aの変形例1の説明)
図21から
図23は、この発明の有孔ボード用受具の受パーツ部3Aの変形例1を示す。
図21から
図23において、
図1から
図20と同符号は、同一の物を示す。
【0081】
変形例1の受パーツ部3Aは、丸棒状の金属部材から構成されている。変形例1の受パーツ部3Aは、丸棒状の金属部材を、上または下から見て長方形の4辺に沿って折り曲げ、かつ、一長辺側を両短辺に対して、90°もしくはほぼ90°に折り曲げてなるものである。
【0082】
変形例1の受パーツ部3Aの他長辺の中間部分は、前記の実施形態1にかかる有孔ボード用受具1の受本体部15の背面、第3屈折部16の背面および第2表面係止部17の背面に溶接固定されている。受本体部15の背面は、隙間Sを介して有孔ボード2の表面22に向き合う箇所である。第3屈折部16の背面は、隙間Sに向き合う箇所である。第2表面係止部17の背面は、隙間Sに向き合う箇所である。
【0083】
変形例1の受パーツ部3Aは、前記の実施形態1にかかる有孔ボード用受具1に適している。すなわち、前記の実施形態1にかかる有孔ボード用受具1は、受本体部15の上下両側縁に第1表面係止部13と第2表面係止部17とを設け、受本体部15の左右両側縁が受本体部15の背面側の隙間Sに通じるものである。この結果、変形例1の受パーツ部3Aの他長辺の中間部分を受本体部15の左右両側縁から受本体部15の背面側に配置させて溶接固定することができる。
【0084】
(受パーツ部3Bの変形例2の説明)
図24は、この発明の有孔ボード用受具の受パーツ部3Bの変形例2を示す使用状態の斜視図である。
図24において、
図1から
図23と同符号は、同一の物を示す。
【0085】
変形例2の受パーツ部3Bは、丸棒状の金属部材から構成されていて、水平部分30および垂直部分31のL形状のフック部に、傾斜部分33および垂直支柱部分34を、追加したものである。傾斜部分33の一端および水平部分30の一端は、前記の実施形態1にかかる有孔ボード用受具1の受本体部15の背面、または、前記の実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aの受本体部15Aの背面に溶接固定されている。
【0086】
(受パーツ部3Cの変形例3の説明)
図25は、この発明の有孔ボード用受具の受パーツ部3Cの変形例3を示す使用状態の斜視図である。
図25において、
図1から
図24と同符号は、同一の物を示す。
【0087】
変形例3の受パーツ部3Cは、金属部材から構成されていて、直径が実施形態1にかかる受パーツ部3の水平部分30の直径よりも大きい丸棒状の水平部分35と、丸棒状の水平部分35の先端に一体に設けた円板部分36と、から構成されているものである。円板部分36の直径は、丸棒状の水平部分35の直径よりも大きい。円板部分36は、フックの役目をする。丸棒状の水平部分35の一端は、前記の実施形態1にかかる有孔ボード用受具1の受本体部15の背面、または、前記の実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aの受本体部15Aの背面に溶接固定されている。
【0088】
(受パーツ部3Dの変形例4の説明)
図26および
図27は、この発明の有孔ボード用受具の受パーツ部3Dの変形例4を示す。
図26および
図27において、
図1から
図25と同符号は、同一の物を示す。
【0089】
変形例4の受パーツ部3Dは、丸棒状の金属部材から構成されている。変形例4の受パーツ部3Dは、
図24に示す変形例2の受パーツ部3Bの変形型である。すなわち、変形例4の受パーツ部3Dは、水平部分30および垂直部分31のL形状のフック部に傾斜部分33および垂直支柱部分34を追加し、かつ、水平部分30および傾斜部分33の一端に垂直固定部分37を追加したものである。垂直固定部分37が、実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aの受本体部15Aの背面に溶接固定されている。受本体部15Aの背面は、隙間Sを介して有孔ボード2の表面22に向き合う箇所である。
【0090】
変形例4の受パーツ部3Dは、前記の実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aに適している。すなわち、前記の実施形態2にかかる有孔ボード用受具1Aは、受本体部15Aの左右両側縁に一対の表面係止部13Aを設け、受本体部15Aの上下両側縁が受本体部15Aの背面側の隙間Sに通じるものである。この結果、変形例4の受パーツ部3Dの垂直固定部分37を受本体部15Aの上下両側縁から受本体部15Aの背面側に配置させて溶接固定することができる。
【0091】
(実施形態1、2、変形例1、2、3、4以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、2、変形例1、2、3、4において、有孔ボード用受具1、1Aは、受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dを備えるものである。しかしながら、この発明においては、受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dなどを備えない有孔ボード用受具であっても良い。すなわち、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11、一対の連結部12、第1表面係止部13、第2屈折部14、受本体部15、第3屈折部16および第2表面係止部17を備える有孔ボード用受具、または、一対の裏面係止部10A、一対の第1屈折部11A、一対の連結部12A、一対の表面係止部13A、一対の第2屈折部14Aおよび受本体部15Aを備える有孔ボード用受具であれば良い。この場合、有孔ボード用受具を有孔ボード2に取り付けて使用する時に、有孔ボード用受具に受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dなどを溶接、接着剤あるいは磁石などにより固定して使用する。
【0092】
また、前記の実施形態1、2、変形例1、2、3、4においては、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11および一対の連結部12の断面形状の幅寸法Wが断面形状の厚み寸法Tに対して大き、または、一対の裏面係止部10A、一対の第1屈折部11Aおよび一対の連結部12Aの断面形状の幅寸法WAと断面形状の厚み寸法TAとが同等もしくはほぼ同等である。しかしながら、この発明においては、一対の裏面係止部10、10A一対の第1屈折部11、11Aおよび一対の連結部12、12Aの断面形状の幅寸法W、WAが断面形状の厚み寸法T、TAに対して小さくても良い。この場合においては、有孔ボード用受具1、1Aとして、高強度の材料(たとえば、ステンレス鋼)を使用することが好ましい。
【0093】
さらに、前記の実施形態1、2、変形例2、3においては、受パーツ部3、3B、3Cの水平部分30、35の一端が、受本体部15の背面、すなわち、受本体部15のうち、隙間Sを介して有孔ボード2の表面22に向き合う箇所において、溶接により固定されているものである。また、前記の変形例1においては、変形例1の受パーツ部3Aの他長辺の中間部分が、受本体部15の隙間Sに向き合う箇所である背面、第3屈折部16の隙間Sに向き合う箇所である背面および第2表面係止部17の隙間Sに向き合う箇所である背面に溶接固定されているものである。さらに、前記の変形例4においては、変形例4の受パーツ部3Dの垂直固定部分37が、受本体部15Aの隙間Sに向き合う箇所である背面に溶接固定されているものである。しかしながら、この発明においては、受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dの溶接個所を、特に、限定しない。
【0094】
さらにまた、前記の実施形態1、2、変形例1、2、3、4においては、受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dが溶接固定される前の有孔ボード用受具1または1Aが、一対の裏面係止部10、一対の第1屈折部11、一対の連結部12、第1表面係止部13、第2屈折部14、受本体部15、第3屈折部16および第2表面係止部17から構成されているものであり、または、一対の裏面係止部10A、一対の第1屈折部11A、一対の連結部12A、一対の表面係止部13A、一対の第2屈折部14Aおよび受本体部15Aから構成されているものである。しかしながら、この発明においては、受パーツ部が溶接固定される前の有孔ボード用受具を特に限定しない。受パーツ部が溶接固定される前の有孔ボード用受具は、少なくとも、一対の裏面係止部10、10Aと、一対の第1屈折部11、11Aと、一対の連結部12、12Aと、第2屈折部14または一対の第2屈折部14Aと、受本体部15、15Aと、表面係止部と、を備えるものであれば良い。
【0095】
さらにまた、前記の実施形態1、2、変形例1、2、3、4においては、有孔ボード用受具1、1Aに、受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dを、溶接により固定したものである。しかしながら、この発明においては、有孔ボード用受具1、1Aなどに、受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dなどを、溶接によらずに、たとえば、接着剤あるいは磁石などにより固定したものであっても良い。
【0096】
さらにまた、前記の実施形態1、2、変形例1、2、3、4においては、有孔ボード用受具1、1Aが、板状の金属部材から構成されていて、受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dが、金属部材から構成されているものである。しかしながら、この発明においては、有孔ボード用受具1、1Aとして、板状の金属部材以外の部材(たとえば、硝子繊維入りの合成樹脂部材など)から構成されているもの、受パーツ部3、3A、3B、3C、3Dとして、金属部材以外の部材(たとえば、硝子繊維入りの合成樹脂部材など)から構成されているものであっても良い。
【符号の説明】
【0097】
1 有孔ボード用受具
10 一対の裏面係止部
11 一対の第1屈折部
12 一対の連結部
13 第1表面係止部
14 第2屈折部
15 受本体部
16 第3屈折部
17 第2表面係止部
18 透孔
1A 有孔ボード用受具
10A 一対の裏面係止部
11A 一対の第1屈折部
12A 一対の連結部
13A 一対の表面係止部
14A 一対の第2屈折部
15A 受本体部
18A 透孔
2 有孔ボード
20 孔
21 板部材
22 表面
23 裏面
3 受パーツ部
30 水平部分
31 垂直部分
32 溶接固定部分
3A 受パーツ部
3B 受パーツ部
33 傾斜部分
34 垂直支柱部分
3C 受パーツ部
35 丸棒状の水平部分
36 円板部分
37 垂直固定部分
F 支点
G 荷重
P 係止方向
S 隙間
T 厚み寸法
TA 厚み寸法
W 幅寸法
WA 幅寸法
【手続補正書】
【提出日】2022-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の孔が設けられている有孔ボードに着脱可能に取り付けて使用する有孔ボード用受具であって、
前記有孔ボードの裏面に係止する一対の裏面係止部と、
一対の前記裏面係止部に連結される一対の連結部と、
一対の前記連結部に連結される第1表面係止部と、
前記第1表面係止部が一側縁に設けられている受本体部と、
前記受本体部の前記一側縁に対して反対側の側縁に設けられる第2表面係止部と、
前記受本体部の表面から突設されている受パーツ部と、
を備え、
前記第1表面係止部および前記第2表面係止部は、前記有孔ボードの表面側に位置し、
前記受本体部には、孔が設けられており、前記受パーツ部の一端が前記孔中に挿入され、かつ、前記受本体部のうち、前記有孔ボードの表面に向き合う箇所において、溶接により固定されている、
ことを特徴とする有孔ボード用受具。
【請求項2】
一対の前記連結部、一対の前記裏面係止部、前記受本体部および前記表面係止部は、板状の金属部材をプレス加工することにより制作されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の有孔ボード用受具。
【請求項3】
前記孔は、円形をなし、
一対の前記裏面係止部および一対の前記連結部の板厚方向の断面形状は、前記孔の円形内に収まる四角形形状をなし、
前記断面形状の幅寸法は、前記断面形状の厚み寸法に対して、同等もしくは大きい、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の有孔ボード用受具。
【請求項4】
一対の前記連結部の一端と一対の前記裏面係止部との間は、90°もしくはほぼ90°で屈折させた湾曲形状をなす、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有孔ボード用受具。