(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065886
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】行動指針表作成装置、訓練装置、放流操作装置、およびダム管理システム
(51)【国際特許分類】
E02B 7/20 20060101AFI20230508BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20230508BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20230508BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20230508BHJP
【FI】
E02B7/20 105
G05B23/02 X
G05B23/02 E
G05B23/02 301L
G09B9/00 Z
G06Q10/06
E02B7/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176279
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅川 友香
(72)【発明者】
【氏名】太田 亘
(72)【発明者】
【氏名】安波 真悟
(72)【発明者】
【氏名】米川 陽子
(72)【発明者】
【氏名】中村 健介
(72)【発明者】
【氏名】添田 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】三上 真理子
【テーマコード(参考)】
2D019
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
2D019AA43
3C223AA04
3C223AA23
3C223BA03
3C223BB17
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB05
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF17
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH08
3C223HH17
3C223HH29
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】 ダム操作への支援機能を充実させること。
【解決手段】 実施形態によれば、行動指針表作成装置は、ダムの操作に係る基本行動指針表を保持する基本行動指針表データベースと、詳細行動指針表作成部とを具備する。詳細行動指針表作成部は、ダムについて予め算出された流入量演算結果を保持する訓練データベースと、基本行動指針表データベースとにアクセス可能である。詳細行動指針表作成部は、基本行動指針表データベースから基本行動指針表を取得する。また、詳細行動指針表作成部は、訓練データベースから流入量演算結果を取得する。また、詳細行動指針表作成部は、取得した基本行動指針表と取得した流入量演算結果とを、予め定められたトリガ事象を基準として共通の時間軸で統合して詳細行動指針表を作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放流操作装置と、ダム管理者による操作を受け付ける情報入力・提供装置と、訓練装置とがネットワークに接続されたダム管理システムにおいて、
前記訓練装置は、
ダムについて予め算出された流入量演算結果を保持する訓練データベースを備えた訓練機能部と、行動指針表作成部とを具備し、
前記行動指針表作成部は、
前記ダムの操作に係る基本行動指針表を保持する基本行動指針表データベースと、
前記基本行動指針表データベースから前記基本行動指針表を取得し、前記訓練データベースから前記流入量演算結果を取得し、前記取得した基本行動指針表と前記取得した流入量演算結果とを、予め定められたトリガ事象を基準として共通の時間軸で統合して詳細行動指針表を作成する、詳細行動指針表作成部とを具備し、
前記情報入力・提供装置は、
前記ダムの操作に係る関係者の所持する関係者端末に前記詳細行動指針表を配信し、
前記配信された詳細行動指針表に関して前記関係者端末において入力された進捗状況を取得し、
前記取得した進捗状況を、進捗状況データベースに前記ネットワーク経由で送信する、
ダム管理システム。
【請求項2】
ダムの操作に係る基本行動指針表を保持する基本行動指針表データベースと、
前記ダムについて予め算出された流入量演算結果を保持する訓練データベースと、前記基本行動指針表データベースとにアクセス可能な詳細行動指針表作成部とを具備し、
前記詳細行動指針表作成部は、
前記基本行動指針表データベースから前記基本行動指針表を取得し、
前記訓練データベースから前記流入量演算結果を取得し、
前記取得した基本行動指針表と前記取得した流入量演算結果とを、予め定められたトリガ事象を基準として共通の時間軸で統合して詳細行動指針表を作成する、
行動指針表作成装置。
【請求項3】
前記作成された詳細行動指針表を保持する詳細行動指針表データベースと、
前記詳細行動指針表に登録された作業項目の進捗状況を保持する進捗状況データベースと、
前記詳細行動指針表データベースに保持された詳細行動指針表に前記進捗状況を反映する登録データ更新処理部とをさらに備える、
請求項2に記載の行動指針表作成装置。
【請求項4】
訓練機能部と、行動指針表作成部とを具備する訓練装置において、
前記訓練機能部は、
ダムについて予め算出された流入量演算結果を保持する訓練データベースを備え、
前記行動指針表作成部は、
前記ダムの操作に係る基本行動指針表を保持する基本行動指針表データベースと、
前記基本行動指針表データベースから前記基本行動指針表を取得し、前記訓練データベースから前記流入量演算結果を取得し、前記取得した基本行動指針表と前記取得した流入量演算結果とを、予め定められたトリガ事象を基準として共通の時間軸で統合して詳細行動指針表を作成する、詳細行動指針表作成部と
を備える訓練装置。
【請求項5】
前記訓練機能部は、
ダム管理者により操作される管理者端末の画面上に前記詳細行動指針表を表示するための画面データを作成する画面作成部をさらに備える、
請求項4に記載の訓練装置。
【請求項6】
前記行動指針表作成部は、
前記作成された詳細行動指針表を保持する詳細行動指針表データベースと、
前記詳細行動指針表に登録された作業項目の進捗状況を保持する進捗状況データベースと、
前記詳細行動指針表データベースに保持された詳細行動指針表に前記進捗状況を反映する登録データ更新処理部とをさらに備え、
前記画面作成部は、前記進捗状況を反映された詳細行動指針表を前記画面上に表示するための画面データを作成する、
請求項5に記載の訓練装置。
【請求項7】
放流操作装置と、前記放流操作装置とがネットワークで接続されたダム管理者による操作を受け付ける情報入力・提供装置とを備えたダム管理装置において、
前記放流操作装置は、ダムについて予め算出された流入量演算結果を保持する放流操作データベースを備えた放流操作機能部と、行動指針表作成部とを具備し、
前記行動指針表作成部は、
前記ダムの操作に係る基本行動指針表を保持する基本行動指針表データベースと、
前記基本行動指針表データベースから前記基本行動指針表を取得し、前記放流操作データベースから前記流入量演算結果を取得し、前記取得した基本行動指針表と前記取得した流入量演算結果とを、予め定められたトリガ事象を基準として共通の時間軸で統合して詳細行動指針表を作成する、詳細行動指針表作成部とを備え、
前記情報入力・提供装置は、
前記ダムの操作に係る関係者の所持する関係者端末に前記詳細行動指針表を配信し、
前記配信された詳細行動指針表に関して前記関係者端末において入力された進捗状況を取得し、
前記取得した進捗状況を、進捗状況データベースに前記ネットワーク経由で送信する、ダム管理システム。
【請求項8】
ダムの機側操作盤を制御して前記ダムの放流を操作する放流操作装置において、
ダムについて予め算出された流入量演算結果を保持する放流操作データベースを備えた放流操作機能部と、行動指針表作成部とを具備し、
前記行動指針表作成部は、
前記ダムの操作に係る基本行動指針表を保持する基本行動指針表データベースと、
前記基本行動指針表データベースから前記基本行動指針表を取得し、前記放流操作データベースから前記流入量演算結果を取得し、前記取得した基本行動指針表と前記取得した流入量演算結果とを、予め定められたトリガ事象を基準として共通の時間軸で統合して詳細行動指針表を作成する、詳細行動指針表作成部と、
を備える放流操作装置。
【請求項9】
前記放流操作機能部は、
ダム管理者により操作される管理者端末の画面上に前記詳細行動指針表を表示するための画面データを作成する画面作成部をさらに備える、
請求項8に記載の放流操作装置。
【請求項10】
前記行動指針表作成部は、
前記作成された詳細行動指針表を保持する詳細行動指針表データベースと、
前記詳細行動指針表に登録された作業項目の進捗状況を保持する進捗状況データベースと、
前記詳細行動指針表データベースに保持された詳細行動指針表に前記進捗状況を反映する登録データ更新処理部とをさらに備え、
前記画面作成部は、前記進捗状況を反映された詳細行動指針表を前記画面上に表示するための画面データを作成する、
請求項9に記載の放流操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、行動指針表作成装置、訓練装置、放流操作装置、およびダム管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
治水としての洪水調節、上水道、農業用水(かんがい)、あるいは水力発電などを目的として、多数のダムが建設されている。多くのダムに、流入量に応じて放流量を調整するダム管理用制御処理システム(ダムコンとも称される)が設けられている。国土交通省発行の非特許文献1には、ダムコンの標準設計仕様が詳しく記載されており、これからのダムコンはこの仕様書に沿って設計されることとなる。
【0003】
毎年のように洪水被害が全国各地で発生し、気候変動の影響が顕在化しつつある中、ダムに注目が集まっている。ダムは、気候変動による外力の増大に対応する可能性を有していることから、社会資本整備審議会や関係学会等においても活発に議論されている。
【0004】
従来のダム管理システムにおいて、洪水調節は、洪水の発生する直前に、人により立案された対応計画に基づいて行われていた。しかし近年の環境変化は極端な豪雨災害をもたらすこともあり、ダム管理者の判断を迷わせることも多い。そこで、計画立案を一部でも自動化してダム管理者の判断の個人差を少なくし、洪水調節をより効果的に行えるようにすることが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-61158号公報
【特許文献2】特開2002-32008号公報
【特許文献3】特開2002-40918号公報
【特許文献4】特開2002-72852号公報
【特許文献5】特開2021-12288号公報
【特許文献6】特開2001-336138号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】国土交通省「ダム管理用制御処理設備 標準設計仕様書・同解説(平成28年8月)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ダム操作は、河川法に定められた操作規則に従って行うことが義務付けられており、洪水発生時には、操作規則の範囲内で最適な操作をすることが求められる。ダムごとに異なる雨量や貯水位に基づいて、各行動班が一定の基準値に達したタイミングでゲート操作や放流操作、さらに住民に向けた放流警報の吹鳴など、ダム操作には多種多様な項目があるので、操作規則に従って適切な操作を確実に行うことは、いかに熟練者と言えども難しい。ダム操作への支援機能を充実させることが求められる。
【0008】
そこで、目的は、ダム操作への支援機能を充実させた行動指針表作成装置、訓練装置、放流操作装置、およびダム管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、行動指針表作成装置は、ダムの操作に係る基本行動指針表を保持する基本行動指針表データベースと、詳細行動指針表作成部とを具備する。詳細行動指針表作成部は、ダムについて予め算出された流入量演算結果を保持する訓練データベースと、基本行動指針表データベースとにアクセス可能である。詳細行動指針表作成部は、基本行動指針表データベースから基本行動指針表を取得する。また、詳細行動指針表作成部は、訓練データベースから流入量演算結果を取得する。また、詳細行動指針表作成部は、取得した基本行動指針表と取得した流入量演算結果とを、予め定められたトリガ事象を基準として共通の時間軸で統合して詳細行動指針表を作成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図。
【
図3】流入量演算結果ファイルのデータ構造の一例を示す図。
【
図5】第1の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図6】第2の実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図。
【
図7A】第2の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図7B】第2の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図8】ダム管理者PC19の管理画面に表示されるウインドウの一例を示す図。
【
図9】ダム管理者PC19の管理画面に表示されるウインドウの一例を示す図。
【
図10】関係者端末22に表示されるウインドウの一例を示す図。
【
図11】ダム管理者PC19の管理画面に表示されるウインドウの他の例を示す図。
【
図12】ダム管理者PC19の管理画面に表示されるウインドウの他の例を示す図。
【
図13】詳細行動指針表の進捗状況表示画面の一例を示す図。
【
図14】第3の実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図。
【
図15A】第3の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図15B】第3の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図16】第4の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、ダム操作に係わる行動指針表を作成する機能について説明する。
図1は、第1の実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図である。第1の実施形態のダム管理システムは、機側操作盤1と、入出力装置2と、貯水位計測装置3と、遠方手動操作装置4と、制御系LAN(Local Area Network)5と、第1放流操作装置6と、第2放流操作装置7と、情報系LAN8と、情報入力・提供装置9と、各種観測装置10と、訓練装置11とを含むシステムである。
【0012】
このうち入出力装置2、貯水位計測装置3、および遠方手動操作装置4は、制御系LAN5に接続される。また、情報入力・提供装置9、各種観測装置10、および訓練装置11が情報系LAN8に接続される。そして、制御系LAN5および情報系LAN8の双方に、第1放流操作装置6と第2放流操作装置7が接続される。ここで、第1放流操作装置6と第2放流操作装置7は、互いに相手装置に対する冗長系として機能する。
【0013】
機側操作盤1は、遠方手動操作装置4から入出力装置2を介して与えられる各種の制御信号に応じて動作し、ダムゲートの開閉などを操作する。これにより、ダムの各種設備を遠隔から制御できるようになっている。ダムゲートの状態を示す各種のデータは、機側操作盤1から入出力装置2を介して、第1放流操作装置6および第2放流操作装置7に通知される。また、貯水位計測装置3により計測されたダムの貯水位が、制御系LAN5を介して第1放流操作装置6および第2放流操作装置7に通知される。第1放流操作装置6、第2放流操作装置7は、機側操作盤1を制御してダムの放流を操作し、ダムの放流ゲートを開閉するための制御を行う。
【0014】
訓練装置11は、訓練機能部12と、行動指針表作成部13とを含む。
このうち訓練機能部12は、訓練データベース(DB)14と、画面作成部15とを備える。訓練DB14は、ダム操作員を含む関係者の訓練に必要な各種のデータや情報を保持する。実施形態において、訓練DB14は、流入量演算結果ファイルを保持する。流入量演算結果ファイルは、例えば時刻ごとの雨量、貯水位、ダム流入量予測値に基づく流入量の演算結果を、汎用の.txtや.csvファイルなどの形式で記録したファイルである。画面作成部15は、訓練DB14から取得した情報に基づいて、例えばWebブラウザからアクセス可能な各種の情報提供画面を作成する。
【0015】
行動指針表作成部13は、基本行動指針表DB16と、詳細行動指針表作成部17と、詳細行動指針表DB18とを含む。ダムの操作に係る基本行動指針表(操作規則)は、例えばダム管理者により操作されるダム管理者PC19から、情報入力・提供装置9を介して訓練装置11に入力される。行動指針表作成部13は、入力された基本行動指針表を基本行動指針表DB16に保持する。
【0016】
情報入力・提供装置9は、訓練装置11と共通の情報系LAN8に接続され、ダム管理者による操作を受け付ける。すなわち情報入力・提供装置9は、ダム管理者PC19からダム管理システムに各種の情報を入力したり、各種の情報を提供するために用いられる。情報入力・提供装置9は、各種の情報をダム管理者PC19の液晶パネルディスプレイ(表示装置)などに表示するための制御を行う。
【0017】
詳細行動指針表作成部17は、訓練DB14から流入量演算結果ファイルを取得し、その内容を、基本行動指針表DB16から取得した基本行動指針表に反映して、詳細行動指針表を作成する。すなわち詳細行動指針表作成部17は、取得した流入量演算結果と基本行動指針表とを、予め定められたトリガ事象を基準として共通の時間軸で統合して詳細行動指針表を作成する。作成された詳細行動指針表は、詳細行動指針表DB18において保持される。
【0018】
訓練DB14、基本行動指針表DB16、詳細行動指針表DB18は、例えば関係データベース(リレーショナルデータベース)として実現され、その実態は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)等の記録メディアにおける所定の記憶領域である。
【0019】
図2は、基本行動指針表の一例を示す図である。基本行動指針表は、雨量・貯水位の変動状況をもとに、放流開始を起点とした作業タイミングと、体制・操作の状況、各行動班(支部長・副支部長、管理班、電気通信班、総務班、広報班など)が行うべき作業内容(ゲート操作や放流操作、さらに住民に向けた放流警報の吹鳴など)を一覧表で示す、工程表である。基本行動指針表は、ダムごとに異なる操作規則に基づいて作成され、ダムごとに固有のデータである。基本行動指針表は、例えばシステムの導入時に、ダム管理者PC19を用いてシステムに事前登録され、基本行動指針表DB16に保持される。なお、この基本行動指針表に類する指針をあらかじめ決めておくことは、法律により定められている。
【0020】
図2において、複数の行が、時間の経過の順に縦に配列される。一番上の行は、放流開始を起点として4時間前において実行すべき作業項目を示す。
図2においては、総務班による連絡者手配を実行すべきことが記載されている。またこのとき、貯水位は120EL.m(海抜高度m)以上であり、洪水警戒体制の確立が求められることが併せて記載されている。ここから2時間前、放流開始、放流から30分経過、3時間経過、…というように、各タイミングで実施すべき作業項目が各行に記載される。
【0021】
図3は、流入量演算結果ファイルのデータ構造の一例を示す図である。流入量演算結果ファイルは、時系列の雨量データおよび現在の貯水位データと、これらに基づいて計算されたダム流入量の予測値とが、時刻ごとに記録された配列である。流入量予測値は、例えば訓練機能部12に備わるダム流入量演算部(図示せず)により算出される。
【0022】
図4は、詳細行動指針表の一例を示す図である。詳細行動指針表は、各行動班が行動すべき作業とその時刻を、一括で表す表である。詳細行動指針表ファイルは、
図2の基本行動指針表ファイルと
図3の流入量演算結果ファイルとをもとに詳細行動指針表作成部17で作成され、詳細行動指針表DB18に保持される。この詳細行動指針表ファイルは、同じ流入量演算結果ファイルに対して、放流方式の違いにより複数パターン作成される。つまり詳細行動指針表作成部17は、異なる放流方式ごとに詳細行動指針表を作成する。ちなみに、ダムの洪水調節に係わる放流方式には、定率定量放流方式、一定量放流方式など種々の方式がある。
【0023】
図2の基本行動指針表には、4時間前のタイミングの行に「貯水位が120EL.m以上」という事象が登録されている。一方、
図3の流入量演算結果を参照すると、時刻19:10において貯水位が120EL.mに達することが予測されている。そこで、詳細行動指針表作成部17は、「貯水位が120EL.m以上」という、予め定められたトリガ事象を基準として基本行動指針表と流入量演算結果とを統合(マージ)して、
図4に示されるような詳細行動指針表を作成する。つまり、基本行動指針表と流入量演算結果とを統合するに際して、共通の時間軸(時刻)をどこに合わせるかという点が問題になる。そこで、トリガ事象を予め定めておくことで、この問題を解消することができる。
【0024】
図5は、第1の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5において、ステップS1において、ダム管理システムが起動されると、ステップS2で、詳細行動指針表作成部17は、基本行動指針表DB16から基本行動指針表(
図2)を取得する。
次に、ステップS3において、詳細行動指針表作成部17は、訓練DB14から流入量演算結果ファイル(
図3)を取得する。
【0025】
ステップS4において、情報入力・提供装置9は、操作規則に則った複数の放流方式のいずれかを選択するための選択肢をダム管理者PC19の管理画面に表示する。
ステップS5において、詳細行動指針表作成部17は、ダム管理者により選択された放流方式に応じた詳細行動指針表ファイル(
図4)を作成する。そして、詳細行動指針表作成部17は、詳細行動指針表ファイル(
図4)を詳細行動指針表DB18に保持する。
【0026】
以上述べたように第1の実施形態では、様々なケースにおける洪水時の対応計画である詳細行動指針表を、予め作成しておくことができる。これにより、緊迫した状況下で熟練者のみならず不慣れなダム管理者でもより効率的なダム操作を行うことが可能になる。従って第1の実施形態によれば、ダム操作を支援するための機能を充実させることが可能になる。
【0027】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、ダム操作に係わる訓練への適用例について説明する。第2の実施形態では、予め複数のパターンにわたって作成された詳細行動指針表のうち、今回選択する放流方式に対応する詳細行動指針表を抽出し、これを見ながら各行動班が訓練を行うことについて説明する。
【0028】
図6は、第2の実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
図6において、行動指針表作成部13はさらに、進捗状況データベース(DB)20と、登録データ更新処理部としての、登録データ更新・進捗確認部21とを備える。進捗状況DB20は、訓練中に都度、更新される進捗状況(ダム管理システムの操作履歴、各行動班の作業進捗など)を保持するデータベースである。登録データ更新・進捗確認部21は、進捗状況DB20からの進捗情報を詳細行動指針表に反映する。
【0029】
また、情報入力・提供装置9は、ダム操作に係る関係者(支部長や副支部長、各行動班のメンバなど)の所持する関係者端末22(スマートフォンやタブレット等)に詳細行動指針表を配信する。配信された詳細行動指針表は、関係者端末22において画面表示される。タッチパッドなどを用いたユーザインタフェースにより、詳細行動指針表に対する進捗状況が入力されると、進捗状況を示すメッセージが情報入力・提供装置9で受信され、情報系LAN経由で進捗状況DB20に送信される。
【0030】
図7A、
図7Bは、第2の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7A、
図7Bを用いて、詳細行動指針表を訓練に活用する際の手順について説明する。なお、事前に各放流方式に対応する詳細行動指針表が詳細行動指針表DB18に保持されているとする。
【0031】
図7Aにおいて、ステップS11で、ダム管理システムが起動されると、ステップS12で、詳細行動指針表作成部17は、訓練DB14に保持されている過去の複数の洪水データの中から、今回の訓練で用いられる流入量演算結果ファイル(
図3)を取得する。
次に、ステップS13において、情報入力・提供装置9は、操作規則に則った複数の放流方式のいずれかを選択するための選択肢を、ダム管理者PC19の管理画面に表示する。
【0032】
次に、ステップS14において、詳細行動指針表作成部17は、ダム管理者により選択された放流方式に応じた詳細行動指針表ファイル(
図4)を詳細行動指針表DB18から抽出し、ステップS15で、訓練DB14に保持するとともに、ダム管理者PC19の管理画面に表示する。
【0033】
図8は、ダム管理者PC19の管理画面に表示されるウインドウの一例を示す図である。このウインドウには、抽出された詳細行動指針表とともに、この詳細行動指針表を採用するか否かを決めるための[承認]ボタンが表示される。
【0034】
図9は、[承認]ボタンがクリックされた場合のウインドウの状態を示す図である。
図7AのステップS16において、
図8の[承認]ボタンがクリックされると、
図9に示されるように「この行動指針で訓練を開始しますか?」とのメッセージを含むダイアログウインドウが開く。ダム管理者が[はい]をクリックすると(ステップS17でYES)、ステップS18で情報入力・提供装置9は、承認された詳細行動指針表を関係者端末22に配信する。
一方、
図9のダイアログウインドウで[いいえ]がクリックされた場合には、ステップS13に戻り、放流方式を選択する画面に再び遷移する。
【0035】
図10は、関係者端末22に表示されるウインドウの一例を示す図である。関係者端末22のタッチパネルに、
図8と同様の詳細行動指針表が表示される。タッチパネルをタップして、完了した作業項目をシステムに通知することができる。
【0036】
再び
図7Aに戻って説明を続ける。ステップS18で詳細行動指針表の配信が完了すると、詳細行動指針表(
図4)の上の行から順に作業項目が繰り返し実施される。行番号を変数iで示し、iが1からn(最下段の行)に至るまで、ステップS19~ステップS29(
図7B)の処理が繰り返される。
【0037】
訓練開始時だけでなく、訓練中も適宜放流方式の変更が可能であり、変更指示があった場合は、再度放流方式を選択する画面に遷移する。訓練開始時に選択した放流方式から変更があった場合には(ステップS20でYES)、新たに取得した詳細行動指針表は、元の詳細行動指針表の行の下方に時系列に追記されていく。ステップS20でNOであれば、処理手順はステップS13に戻る。
【0038】
図7Bに戻り、ステップS21において、情報入力・提供装置9は、各行動班の進捗状況を取得し、進捗状況DBに保存する。詳細行動指針表に基づいて行われた各行動班の進捗状況は、ダム管理システムの操作履歴データなど訓練DBから自動検出可能なデータと、各班員が関係者端末22を操作することにより得られるデータとがある。
ステップS22において、この進捗状況は、定期的に詳細行動指針表ファイル(
図4)にも反映され、ダム管理者PC19の管理画面には常に最新の詳細行動指針表が表示される。
【0039】
図11は、ダム管理者PC19の管理画面に表示されるウインドウの他の例を示す図である。このウインドウは、進捗状況を更新するための[更新]ボタンを備える。
図12は、[更新]ボタンがクリックされた場合のウインドウの状態を示す図である。
図11の[更新]ボタンがクリックされると、
図12に示されるように「この内容で更新しますか?」とのメッセージを含むダイアログウインドウが開く(
図7BのステップS23)。
ダム管理者が[いいえ]を押下した場合には(ステップS24でNO)、システムは、ステップS25に進み、進捗状況を詳細行動指針表ファイル(
図4)に反映せず、情報入力元に確認依頼を通知する。これは、各班員による情報入力、または、自動取得されるダム操作履歴データに誤りがある可能性があるためである。
【0040】
ステップS24でダム管理者が[はい]をクリックすると(YES)、ステップS26に移行し、システムは、そのまま詳細行動指針表ファイルを詳細行動指針表DB18に保存する。
次に、ステップS27において、訓練DB14は、詳細行動指針表DB18から詳細行動指針表を取得し、ステップS28において、i行目の詳細行動指針表が入力済であるか否かを判定する。
ステップS28でNOであれば、iがインクリメントされ(ステップS29)、次の行に関するステップS20~ステップS28の処理が実行される。
【0041】
全ての行について、詳細行動指針表に記載の各班員の行動とダム操作が全て完了したことをシステム側で確認すると(ステップS28でYES)、訓練が終了する。
その後、ステップS30において、訓練DB14は詳細行動指針表DBから詳細行動指針表ファイルを取得し、ステップS31において、訓練機能部12で訓練結果を判定する。
そうして、ステップS32において、訓練結果がダム管理者PC19の管理画面に表示されて、一連の処理は終了する。
【0042】
図13は、詳細行動指針表の進捗状況表示画面の一例を示す図である。この進捗状況表示画面は、ダム管理者PC19の管理画面や、関係者端末22に表示される。進捗状況表示画面には、各班の作業項目ごとにステータスを入力するためのボタン(“完了”/“対応中”/“未”)が表示されている。
作業開始前の画面では、未対応を意味する“未”(白色)が表示されてり、その後、作業中は“対応中”(黄色)、作業完了時は“完了”(緑色)を班員が押下することにより進捗状況表示画面に反映される。また、ある班の進捗状況の遅延によって他の班の次の作業項目を開始できないような内容の場合には、3つのボタン共に非アクティブ(灰色)で表示される。なお
図13においては各ボタンの色分けをハッチングで区別している。
【0043】
以上述べたように第2の実施形態では、詳細行動指針表を用いることで、ダム管理者間の技量の個人差を解消するための平常時訓練の際にも、過去の洪水データと合わせて実際の洪水さながらの操作訓練が可能になる。このことから、第2の実施形態によっても、ダム操作を支援するための機能を充実させることが可能になる。
【0044】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、現実のダム操作(実運用)への適用例について説明する。
図14は、第3の実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
図14において、第2放流操作装置7は、第2の実施形態(
図6)と同様の行動指針表作成部13に加え、放流操作機能部23を含む。
【0045】
放流操作機能部23は、放流操作データベース(DB)24と、画面作成部25とを備える。放流操作DB24は、放流操作に係わる各種のデータや情報、ダムコン操作履歴等の情報、および、流入量演算結果ファイルを保持する。画面作成部25は、放流操作DB24から取得した情報に基づいて、例えばWebブラウザからアクセス可能な各種の情報提供画面を作成する。
【0046】
図15A、
図15Bは、第3の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15Aで、ステップ41において、ダム管理システムが起動されると、ステップS42に移行し、詳細行動指針表作成部17は、放流操作DB24から各種のデータを取得する。
次に、ステップS43において、情報入力・提供装置9は、操作規則に則った複数の放流方式のいずれかを選択するための選択肢を、ダム管理者PC19の管理画面に表示する。
【0047】
次に、ステップS44において、詳細行動指針表作成部17は、ダム管理者により選択された放流方式に応じた詳細行動指針表ファイル(
図4)を詳細行動指針表DB18から抽出すると、ステップS45に移行し、放流操作DB24に保持するとともに、ダム管理者PC19の管理画面に表示する。
その後、ステップS46において、
図8、
図9と同様の表示がなされ、「この行動指針で操作を開始しますか?」とのメッセージを含むダイアログウインドウが表示される。
ダム管理者が[はい]をクリックすると(ステップS47でYES)、ステップS48に移行し、情報入力・提供装置9は、承認された詳細行動指針表を関係者端末22に配信する。一方、ダイアログウインドウで[いいえ]がクリックされた場合には、ステップS43に戻り、放流方式を選択する画面に再び遷移する。
【0048】
ステップS48で詳細行動指針表の配信が完了すると、詳細行動指針表(
図4)の上の行から順に、iが1からn(最下段の行)に至るまで、ステップS49~ステップS59(
図15B)の処理が繰り返される。
【0049】
訓練開始時だけでなく、訓練中も適宜放流方式の変更が可能であり、変更指示があった場合は、再度放流方式を選択する画面に遷移する。
訓練開始時に選択した放流方式から変更があった場合には(ステップS50でYES)、新たに取得した詳細行動指針表は、元の詳細行動指針表の行の下方に時系列に追記されていく。ステップS50でNOであれば、処理手順はステップS43に戻る。
【0050】
図15Bにおいて、ステップS51で、情報入力・提供装置9は、各行動班の進捗状況を取得し、進捗状況DBに保存する。
ステップS52において、進捗状況は、定期的に詳細行動指針表ファイル(
図4)にも反映され、ダム管理者PC19の管理画面には常に最新の詳細行動指針表が表示される。
その後、ステップS53において、
図11、
図12と同様の表示がなされ、「この内容で更新しますか?」とのメッセージを含むダイアログウインドウが開く。
ダム管理者が[いいえ]を押下した場合には(ステップS54でNO)、システムは、進捗状況を詳細行動指針表ファイル(
図4)に反映せず、情報入力元に確認依頼を通知する(ステップS55)。
【0051】
ステップS54でダム管理者が[はい]をクリックすると(YES)、ステップS56に移行し、システムは、そのまま詳細行動指針表ファイルを詳細行動指針表DB18に保存する。
次に、ステップS57において、放流操作DB24は、詳細行動指針表DB18から詳細行動指針表を取得すると、ステップS58において、i行目の詳細行動指針表が入力済であるか否かを判定する。
ステップS58でNOであれば、iがインクリメントされ(ステップS59)、次の行に関するステップS50~ステップS58の処理が実行される。
【0052】
全ての行について、詳細行動指針表に記載の各班員の行動とダム操作が全て完了したことをシステム側で確認すると(ステップS58でYES)、訓練が終了する。
その後、ステップS60において、放流操作DB24は詳細行動指針表DB18から詳細行動指針表ファイルを取得すると、ステップS61において、放流操作機能部23が流入量を判定する。
流入力が基準値を超えていれば(ステップS61でNO)、処理手順は
図15AのステップS43に戻る。流入量が基準値以下であれば、実運用における”洪水体制終了”のメッセージがダム管理者PC19の管理画面に表示されて(ステップS62)、一連の処理は終了する。
【0053】
以上のように、
図7A,
図7Bと同様の処理手順が実施され、放流操作DB24は、第2の実施形態の訓練DB14と同様の役割を担う。また、第2の実施形態では訓練終了時に訓練結果の表示があるが、第3の実施形態の実運用では結果判定までは行わない。システムの終了基準は、流入量が放流量と等しくなる、または、ダムごとに予め定められている洪水量を下回ることにより終了と判断する。“流入量が基準値以下か?”のフローで“NO”の場合、再度放流方式の選択をダム管理者に促し、操作を継続する。
【0054】
以上述べたように第3の実施形態では、洪水発生などの実運用時に、予め複数パターンにわたり作成されている詳細行動指針表のうち、今回選択する放流方式に対応する詳細行動指針表を抽出し、これを見ながら各行動班がダム操作を行う。実運用時には、各行動班がより効果的に、効率良く行動できるよう行動指針表を閲覧し、作業完了時のステータスを入力することにより進捗共有できるようになる。これにより、第3の実施形態によっても、ダム操作を支援するための機能を充実させることが可能になる。
【0055】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、操作規則外の訓練について説明する。
図16は、第4の実施形態における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16において、ステップS71で、ダム管理システムが起動されると、ステップS72で、システムは基本行動指針表DBから基本行動指針表を取得し、訓練中の操作進捗データを詳細行動指針表ファイルとして保持する。
次に、ステップS73において、システムは、訓練DB14から、訓練したい過去の洪水データ等の各種のデータを取得する。
【0056】
次に、ステップS74において、情報入力・提供装置9は、操作規則に則らない放流方式をも含む、全ての放流方式のいずれかを選択するための選択肢を、ダム管理者PC19の管理画面に表示する。これを受けてダム管理者は、ダム管理者PC19の画面に表示された放流方式の中から希望する方式を選択する。
次に、ステップS75において、システムは、[はい]、[いいえ]のボタンと、「放流方式●●に基づいて訓練を開始しますか?」といったメッセージとを含むダイアログウインドウを管理画面に表示する。
【0057】
ダム管理者がダイアログウインドウで[はい]をクリックすると(ステップS76でYES)、ステップS77に移行し、情報入力・提供装置9は、該当する放流方式の詳細行動指針表を関係者端末22に配信する。。一方、ダイアログウインドウで[いいえ]がクリックされた場合には、ステップS74に戻り、全ての放流方式を選択する画面に再び遷移する。
その後、ステップS78に移行し、第2の実施形態と同様の手順で訓練が開始される。ここでは、詳細行動指針表を事前に決定せず、訓練中の任意のタイミングで放流方式を変更ができるようにしてよい。さらに、放流方式の変更に加えて、同じ放流方式の中でも放流タイミングや放流量も自由に変更できるようにしてよい。
【0058】
一連の操作が終了すると、ステップS79において、訓練DB14は、詳細行動指針表DB18から詳細行動指針を取得する。そして、システムは、訓練で得られた操作履歴を詳細行動指針表として訓練DB14に保持し、訓練を終了する。
【0059】
以上述べたように第4の実施形態では、訓練時に操作規則から逸脱した操作履歴を試行し、最適な放流操作履歴を“行動指針表”として保持する。これにより、近年多様化する降雨状況に対する柔軟な操作パターンをダム管理者が検討する判断材料として提供することができる。
【0060】
すなわち第4の実施形態では、第2の実施形態とは異なり、操作規則に則らない自由な訓練を実施し、その操作結果により得られた最適な操作履歴を詳細行動指針表DBに保持・参照する。このようにすることで、新たな操作規則を検討する参考材料とすることができる。よって第4の実施形態によっても、ダム操作を支援するための機能を充実させることが可能になる。
【0061】
以上詳しく説明したように、第1~第4の実施形態によれば、ダム操作への支援機能を充実させた行動指針表作成装置、訓練装置、放流操作装置、およびダム管理システムを提供することが可能になる。
第1の実施形態~第4の実施形態で開示されたシステムは、以下のようにも表現することができる。
[1] 現在の雨量・貯水位と過去のデータに基づいて、各行動班に対して具体的な作業項目を時系列で表した詳細行動指針表を提示するダム管理システム(第1の実施形態)。
[2] [1]により提示された作業項目に従って実際に操作者が実行した作業進捗とダム管理システムの操作履歴を蓄積するダム管理システム(第2の実施形態)。
[3] [2]で蓄積されたデータを[1]の詳細行動指針表にリアルタイムに反映し、操作者間での進捗共有を可能にするダム管理システム(第2の実施形態)。
[4] 平常時の操作者の訓練を目的として、過去の洪水発生時の雨量・水位等のデータを元に[1]の作業項目を提供する訓練システム(第2の実施形態)。
[5] 洪水時に操作者が実運用を目的として、現在の気象データを元に[1]の作業項目を提供するダム管理システム(第3の実施形態)。
[6] 平常時の操作者の訓練をとおして、操作規則に縛られない最適な訓練履歴を元に、最適な作業項目のパターンを提示する訓練システム(第4の実施形態)。
【0062】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…機側操作盤、2…入出力装置、3…貯水位計測装置、4…遠方手動操作装置、5…制御系LAN、6…第1放流操作装置、7…第2放流操作装置、8…情報系LAN、9…情報入力・提供装置、10…種観測装置、11…訓練装置、12…訓練機能部、13…行動指針表作成部、14…訓練データベース(DB)、15…画面作成部、16…基本行動指針表DB、17…詳細行動指針表作成部、18…詳細行動指針表DB、19…ダム管理者PC、20…進捗状況DB、21…登録データ更新・進捗確認部、22…関係者端末、23…放流操作機能部、24…放流操作DB、25…画面作成部。