(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065895
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】箱錠、箱錠システム及びドア
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20230508BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
E05B47/00 J
E05B47/00 R
E05B49/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176300
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】有馬 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】三橋 隆史
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250AA03
2E250BB08
2E250DD02
2E250FF28
2E250FF37
(57)【要約】
【課題】大型化することなく簡便に取り付けられ、非接触の施錠及び解錠が可能な箱錠を提供する。
【解決手段】ケーシングと、ラッチを有しケーシングに対して進退移動するラッチボルトと、ラッチボルトの進退移動方向と直交する中心軸を中心とする周方向の一方側に回転したときにラッチをケーシング内に引き込むラッチハブと、ラッチハブの回転経路に位置する第1位置と、回転経路から離れた第2位置との間を移動可能なロック部と、ロック部を第1位置と第2位置との間において移動させる駆動部と、ラッチの位置に応じた施錠信号及び解錠信号を無線通信によって受信可能な受信部と、受信部が受信した施錠信号及び解錠信号の何れかに応じて駆動部を駆動する制御部と、を備える。ケーシングは、ラッチボルト、ラッチハブ、ロック部、駆動部、受信部及び制御部を内部に収容する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
ラッチを有し前記ケーシングに対して進退移動するラッチボルトと、
前記ラッチボルトの進退移動方向と直交する中心軸を中心とする周方向の一方側に回転したときに前記ラッチを前記ケーシング内に引き込むラッチハブと、
前記ラッチハブの回転経路に位置する第1位置と、前記回転経路から離れた第2位置との間を移動可能なロック部と、
前記ロック部を前記第1位置と前記第2位置との間において移動させる駆動部と、
前記ラッチの位置に応じた施錠信号及び解錠信号を無線通信によって受信可能な受信部と、
前記受信部が受信した前記施錠信号及び前記解錠信号の何れかに応じて前記駆動部を駆動する制御部と、
を備え、
前記ケーシングは、前記ラッチボルト、前記ラッチハブ、前記ロック部、前記駆動部、前記受信部及び前記制御部を内部に収容する、箱錠。
【請求項2】
前記ロック部は、前記中心軸と平行な軸線を中心として、前記第1位置と前記第2位置との間を回転移動可能であり、
前記駆動部は、前記ロック部を前記軸線を中心として回転移動させるモータである、
請求項1に記載の箱錠。
【請求項3】
前記ロック部は、前記中心軸と平行な軸線を中心として、前記第1位置と前記第2位置との間を回転移動可能であり、
前記駆動部は、前記中心軸と直交する方向に直線移動したときに前記ロック部を回転移動させる直動アクチュエータである、
請求項1に記載の箱錠。
【請求項4】
前記ケーシングの内部に収容され、前記駆動部に電力を供給する電源部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の箱錠。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の箱錠と、
前記施錠信号及び前記解錠信号を選択的に無線通信によって送信させる送信部を備える、箱錠システム。
【請求項6】
前記送信部は、携帯情報通信端末が有するプログラムである、
請求項5に記載の箱錠システム。
【請求項7】
前記送信部は、赤外光を発し熱を感知して、前記施錠信号及び前記解錠信号を選択的に無線通信によって送信する赤外線センサに設けられる、
請求項5に記載の箱錠システム。
【請求項8】
前記箱錠は、電波発信部を有し、
前記送信部は、前記電波発信部が発信した電波を受信したときに前記施錠信号及び前記解錠信号を選択的に無線通信によって送信する電子バッジに設けられる、
請求項5に記載の箱錠システム。
【請求項9】
前記施錠信号及び前記解錠信号の何れかを受信したときに、施錠情報及び解錠情報の何れかを表示する表示部を有する、
請求項5から8のいずれか一項に記載の箱錠システム。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか一項に記載の箱錠が着脱可能に設けられたドア。
【請求項11】
前記ロック部は、室内側に開口する窪みを有し前記中心軸と平行に延びる軸線を中心として、前記第1位置と前記第2位置との間を回転移動可能であり、
前記窪みに嵌合する軸体を有するサムターンを備える、
請求項10に記載のドア。
【請求項12】
開き戸を有する請求項10又は11に記載のドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、箱錠、箱錠システム及びドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鍵の紛失回避及び解錠時の利便性向上を目的として、特許文献1は、ドアに対して非接触の施錠及び解錠を可能とするドアロックを開示している。特許文献1が開示するドアロックは、サムターンに代えてコントローラーを取り付けるとともに、シリンダー錠が嵌められる本体ケースに収容した認証可能な読み取り手段をケーブルによってコントローラーと接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示するドアロックは、既存のドアが施錠機能を有することが前提となるため、ドアハンドルの操作によりラッチボルトの進退を切り替える箱錠を有する屋内用のドアには適用できない。
【0005】
既存のドアが施錠機能を有する場合、特許文献1が開示するドアロック用いた場合には、コントローラー及び本体ケースを取り付けるため、ドアロックが大型化して外観性が低下するとともに、本体ケースに設けられた読み取り手段とコントローラーとをケーブルで接続するという複雑な作業が必要があり、取り付け作業が繁雑になってしまう。
【0006】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、大型化することなく簡便に取り付けられ、非接触の施錠及び解錠が可能な箱錠、箱錠システム及びドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、ケーシングと、ラッチを有し前記ケーシングに対して進退移動するラッチボルトと、前記ラッチボルトの進退移動方向と直交する中心軸を中心とする周方向の一方側に回転したときに前記ラッチを前記ケーシング内に引き込むラッチハブと、前記ラッチハブの回転経路に位置する第1位置と、前記回転経路から離れた第2位置との間を移動可能なロック部と、前記ロック部を前記第1位置と前記第2位置との間において移動させる駆動部と、前記ラッチの位置に応じた施錠信号及び解錠信号を無線通信によって受信可能な受信部と、前記受信部が受信した前記施錠信号及び前記解錠信号の何れかに応じて前記駆動部を駆動する制御部と、を備え、前記ケーシングは、前記ラッチボルト、前記ラッチハブ、前記ロック部、前記駆動部、前記受信部及び前記制御部を内部に収容する、箱錠である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の箱錠を取り付けたドアを示す斜視図である。
【
図2】本開示の第1実施形態の箱錠における内部構成を示す図である。
【
図3】本開示の第1実施形態の箱錠における内部構成を示す図である。
【
図4】本開示の第2実施形態の箱錠における内部構成を示す図である。
【
図5】本開示の第2実施形態の箱錠における内部構成を示す図である。
【
図6】本開示の箱錠システムにおける制御ブロック図である。
【
図7】本開示の箱錠を取り付けたドアの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の箱錠、箱錠システム及びドアの実施の形態を、
図1から
図7を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0010】
図1に示すように、ドア1には、既設の図示しない箱錠に替えて新設の箱錠100が着脱可能に取り付けられている。ドア1は、開き戸であって、既設の箱錠が取り付けられた状態においては施錠機能を有さない。箱錠100は、ドア1の側面1aに設けられた凹部に挿入して取り付けられる。箱錠100は、ドア1に対して交換可能である。ドア1には、ハンドルレバー2が取り付けられている。ドア1は、ハンドルレバー2を操作したときに、ラッチ11がドア1の側面1aに対して出没する。ドア1を閉めた状態のときに、ラッチ11がドア1の側面1aから突出してドア枠5のストライカー3に挿入される。ラッチ11がドア枠5のストライカー3に挿入されたときに、ドア1を閉めた状態が維持される。
【0011】
図2に示すように、第1実施形態の箱錠100は、ケーシング30、ラッチボルト10、ラッチハブ20、ロック部40、駆動部50、受信部60、制御部70、電源部80及びフロント板31を備える。
【0012】
ケーシング30は、ラッチボルト10、ラッチハブ20、ロック部40、駆動部50、受信部60、制御部70及び電源部80を内部に収容する。箱錠100は、ケーシング30が側面1aに設けられた凹部に挿入することによってドア1に取り付けられる。
【0013】
ラッチボルト10は、ケーシング30に対して、
図2における左右方向に進退移動自在に設けられている。以下の説明では、ラッチボルト10の進退移動方向を左右方向と呼ぶ。
図2における上下方向を上下方向と呼ぶ。
図2における左右方向と上下方向に直交する方向を厚さ方向と呼ぶ。
【0014】
ラッチボルト10は、左右方向に延びる軸状である。ラッチボルト10は、ラッチ11と係合部12と、押圧部13とを有する。ラッチ11は、ラッチボルト10における左側の先端に設けられている。ラッチ11は、ラッチボルト10が左側に移動したときに、フロント板31の開口部31aを介してフロント板31から突出する。係合部12は、ラッチ11の右側に配置されている。係合部12の寸法は、フロント板31における開口部31aの寸法よりも大きい。係合部12は、ラッチボルト10が左側に移動したときに、右側からフロント板31に係合する。係合部12右側からフロント板31に係合することによって、フロント板31から突出するラッチ11の位置が規定される。
【0015】
押圧部13は、後述するラッチハブ20の第1アーム部21の右側に離れて配置される。押圧部13は、右側に第1スプリング14が接している。第1スプリング14は、圧縮されたコイルばねである。第1スプリング14は、左側が押圧部13に接し、右側がケーシング30の側壁32に接している。押圧部13は、第1スプリング14の付勢力によって左側に付勢されている。第1スプリング14が押圧部13を左側に付勢することによって、ラッチボルト10は、左側に移動可能となる。
【0016】
ラッチハブ20は、厚さ方向に延びる中心軸Jを中心として回転する。ラッチハブ20は、第1アーム部21と第2アーム部22と軸嵌合部23とを有する。軸嵌合部23は、中心軸J方向に延び室内側に開口する円筒状である。軸嵌合部23には、
図1に示したハンドルレバー2の軸2aが嵌合する。軸嵌合部23において軸2aが嵌合したハンドルレバー2を操作することによって、ラッチハブ20は、中心軸Jを中心として回転可能である。
【0017】
第1アーム部21は、軸嵌合部23から上側に延びている。第1アーム部21は、厚さ方向においてラッチボルト10と重なる位置に隙間を有する。第1アーム部21が有する隙間には、ラッチボルト10が挿通されている。第1アーム部21における隙間に挿通されたラッチボルト10は、第1アーム部21と干渉することなく左右方向に移動可能である。
【0018】
ラッチハブ20を
図2における時計回り方向に回転させると、第1アーム部21が中心軸Jを中心とする周方向の一方側に位置する押圧部13に接する。押圧部13は、左側から第1アーム部21に押圧されることによって、第1スプリング14の付勢力に抗して右側に移動する。押圧部13が右側に移動することによって、ラッチ11は右側に移動してケーシング30内に引き込まれる。ラッチ11がケーシング30内に引き込まれたときに、ドア1を開くことができる。
【0019】
第2アーム部22は、軸嵌合部23から下側に延びている。第2アーム部22の左側は、スライダー34の端面と接している。スライダー34は、ケーシング30内において左右方向に移動自在に設けられている。スライダー34の左側は、第2スプリング24と接している。第2スプリング24は、圧縮されたコイルばねである。第2スプリング24は、右側がスライダー34に接し、左側がケーシング30の側壁33に接している。スライダー34は、第2スプリング24の付勢力によって右側に付勢されている。第2スプリング24がスライダー34を右側に付勢することによって、第2アーム部22は、反時計回り方向に移動可能となる。第2アーム部22が反時計回り方向に移動したときに、ラッチハブ20は、反時計回り方向に回転する。
【0020】
軸嵌合部23において軸2aが嵌合したハンドルレバー2を操作したときに、ラッチハブ20は、第2スプリング24の付勢力に抗して時計回り方向に回転する。ラッチハブ20が時計回り方向に回転したときに、第1アーム部21が押圧部13を押圧して右側に移動させる。押圧部13が第1スプリング14の付勢力に抗して右側に移動したときに、ラッチ11がケーシング30内に引き込まれドア1を開くことができる。手を離してハンドルレバー2の操作を解除したときに、ラッチハブ20は、第2スプリング24の付勢力によって反時計回り方向に回転しケーシング30における側壁35に接する。ラッチハブ20は、ケーシング30における側壁35に接したときに反時計回り方向の回転移動が規制される。
【0021】
ラッチハブ20が反時計回り方向に回転したときに、押圧部13への第1アーム部21の押圧が解除される。第1アーム部21の押圧が解除された押圧部13は、第1スプリング14の付勢力によって左側に移動する。押圧部13が左側に移動したときに、ラッチ11はフロント板31から突出した状態に復帰する。ラッチハブ20が側壁35に接して反時計回り方向の回転移動が規制され、ラッチ11がフロント板31から突出した状態に復帰したときのラッチハブ20の位置を復帰位置と呼ぶ。
【0022】
ロック部40は、中心軸Jと平行な軸線J2を中心として回転移動可能である。ロック部40は、第3アーム部41と第4アーム部42と軸嵌合部43とを有する。軸嵌合部43は、中心軸Jと平行な軸線J2方向に延び室内側に開口する窪み43aを有する円筒状である。
【0023】
ロック部40は、
図3に示す第1位置P1と、
図2に示す第2位置P2との間を回転移動可能である。第1位置P1において第3アーム部41は、第1アーム部21に向けて軸嵌合部43から下側に延びている。第1位置P1において第3アーム部41の先端は、第1アーム部21の回転経路に位置する。第1位置P1において第3アーム部41の先端は、復帰位置にある第1アーム部21の時計回り方向側である。第3アーム部41の厚さ方向の位置は、第1アーム部21の厚さ方向の位置と同一である。第3アーム部41の厚さ方向の位置は、押圧部13と干渉しない位置である。第3アーム部41は、押圧部13と干渉することなく、第1位置P1と第2位置P2との間を回転移動可能である。
【0024】
ロック部40が第1位置P1にあり、第3アーム部41の先端が復帰位置にある第1アーム部21の時計回り方向側における回転経路に位置したときに、第1アーム部21の時計回り方向の回転移動が規制される。第1アーム部21の時計回り方向の回転移動が規制されたときに、ラッチ11がフロント板31から突出した状態が保持される。
【0025】
第2位置P2において第3アーム部41は、ケーシング30における側壁36に接する。第3アーム部41が側壁36に接したときに、ロック部40の反時計回り方向の回転移動が規制される。第3アーム部41は、側壁36に接したときに第1アーム部21の回転経路から離れる。第2位置P2は、ロック部40が第1アーム部21の回転経路から離れた位置である。
【0026】
第4アーム部42は、第3アーム部41よりも反時計回り側に配置されている。第1位置P1において第4アーム部42は、軸嵌合部43から下側に延びている。第1位置P1において第4アーム部42は、押圧部13よりも右側に位置する。第2位置P2において第4アーム部42は、軸嵌合部43から右側に延びている。第2位置P2において第4アーム部42は、ケーシング30における側壁37に接する。第4アーム部42が側壁37に接したときに、ロック部40の反時計回り方向の回転移動が規制される。第2位置P2においてロック部40は、第3アーム部41が側壁36に接し、第4アーム部42が側壁37に接することによって反時計回り方向の回転移動が規制される。
【0027】
軸嵌合部43の外周面には、ねじりコイルばね38の一端が接続されている。第2位置P2においてねじりコイルばね38は、軸線J2よりも下側の位置において軸嵌合部43を反時計回り方向に付勢しているため、ロック部40は第2位置P2の状態が保持される。第1位置P1においてねじりコイルばね38は、軸線J2よりも上側の位置において軸線J2に向かう径方向に軸嵌合部43を付勢しているため、ロック部40は反時計回り方向に回転せずに第1位置P1の状態が保持される。
【0028】
駆動部50は、ロック部40を第1位置P1と第2位置P2との間において移動させる。駆動部50は、ロック部40を軸線J2を中心として、第1位置P1と第2位置P2との間において回転移動させるモータである。駆動部50は、モータの回転駆動を軸線J2を中心とする回転移動に変換するリンク機構部51を有する。リンク機構部51は、軸嵌合部43の外周面に固定されている。
【0029】
受信部60は、施錠信号及び解錠信号を無線通信によって受信可能である。受信部60は、ラッチ11の位置に応じた施錠信号及び解錠信号を無線通信によって受信可能である。施錠信号は、ハンドルレバー2の操作を阻止してラッチ11がフロント板31から突出した状態を保持してドア1を施錠する信号である。解錠信号は、ラッチ11をケーシング30内に引き込むハンドルレバー2の操作を許容し、ラッチ11を用いたドア1の施錠を解錠可能とする信号である。
【0030】
受信部60において用いる無線通信の規格は、Bluetooth(登録商標)、Wi-fi、EnOcean及び赤外線等の光通信等の少なくとも一つを選択できる。受信部60は、受信した施錠信号及び解錠信号を制御部70に出力する。
【0031】
制御部70は、受信部60が受信して入力した施錠信号及び解錠信号の何れかに応じて駆動部50を駆動する。制御部70は、施錠信号が入力したときに駆動部50を制御して、ロック部40を第1位置P1に位置させる。制御部70は、解錠信号が入力したときに駆動部50を制御して、ロック部40を第2位置P2に位置させる。
【0032】
電源部80は、駆動部50、受信部60及び制御部70に電力を供給する。電源部80は、一例として電池である。電源部80は、ケーシング30に対して交換可能である。
【0033】
ドア1に対しては、既存の箱錠を箱錠100に交換して取り付ける。箱錠100が取り付けられたドア1に対しては、無線通信を用いて施錠信号を発信したときに、ロック部40が第1位置P1に位置する。ロック部40が第1位置P1に位置したときには、ラッチハブ20の時計回り方向の回転が阻止される。ラッチハブ20の時計回り方向の回転が阻止されたときには、ハンドルレバー2の操作が不能となる。ラッチハブ20の時計回り方向の回転が阻止されハンドルレバー2の操作が不能のときに、押圧部13の右側への移動が不能となるため、ラッチ11がフロント板31から突出した状態が保持されドア1は施錠される。
【0034】
無線通信を用いて解錠信号を発信したときに、ロック部40は第2位置P2に位置する。ロック部40が第2位置P2に位置したときに、ラッチハブ20の時計回り方向の回転が許容される。ラッチハブ20の時計回り方向の回転が許容されたときには、ハンドルレバー2を操作したときには、ラッチハブ20が時計回り方向に回転して押圧部13を右側に移動させる。押圧部13が右側に移動したときには、ラッチ11がケーシング30内に引き込まれ、ドア1に対する施錠が解錠されてドア1を開くことが可能になる。
【0035】
本実施形態の箱錠100及びドア1によれば、屋内用のドア等、既設の箱錠が取り付けられ施錠機能を有さない既設のドア1であっても、既設の箱錠を新設の箱錠100に取り替えることによって、無線通信を用いて施錠信号及び解錠信号を発信したときに、ドア1を非接触で施錠及び解錠することができる。このように、箱錠100は、既設の箱錠と交換されるため、煩雑な作業を伴わず簡便に取り付けることが可能である。箱錠100は、既設のドア1の凹部に挿入されるため、ドア1の外部にロック部などを後付けする必要がなく、大型化せず外観性も向上させることができる。
【0036】
第2実施形態の箱錠100について説明する。
図4及び
図5においては、
図1から
図3に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第2実施形態の箱錠100は、駆動部の構成が第1実施形態と異なっている。
【0037】
第2実施形態の箱錠100は、
図4に示すように、駆動部52を有する。駆動部52は、直動アクチュエータである。駆動部52は、ソレノイド部52Aとプランジャー52Bとを有する。ソレノイド部52Aは、通電の有無に応じてプランジャー52Bを直線移動させる。プランジャー52Bは、中心軸Jと直交する左右方向に延びている。プランジャー52Bは、左右方向に直線移動可能である。駆動部52は、リンク機構部53を有する。プランジャー52Bの先端と軸嵌合部43の外周面に接続されている。リンク機構部53は、プランジャー52Bの直線移動を軸線J2を中心とする軸嵌合部43の回転移動に変換する。
【0038】
ソレノイド部52Aが通電されていないときにプランジャー52Bは、右側に延び出された位置となる。プランジャー52Bが右側に延び出されたときに、ロック部40は第2位置P2に位置する。第3アーム部41は、ラッチハブ20における第1アーム部21の回転経路から離れる。
【0039】
図5に示すように、ソレノイド部52Aが通電されているときにプランジャー52Bは、右側に延び出された位置よりも左側に引き込まれた位置となる。プランジャー52B右側に延び出された位置よりも左側に引き込まれたときに、ロック部40は第1位置P1に位置する。第3アーム部41の先端は、ラッチハブ20における第1アーム部21の回転経路に位置する。
【0040】
無線通信を用いて施錠信号が発信されたときに、制御部70は、受信部60を介して入力した施錠信号に基づき、ソレノイド部52Aに通電させる。ソレノイド部52Aが通電されたときにプランジャー52Bが左側に引き込まれた位置となることによって、ロック部40は第1位置P1に位置する。ロック部40が第1位置P1に位置したときには、ハンドルレバー2の操作が不能となり、ラッチ11がフロント板31から突出した状態が保持されドア1は施錠される。
【0041】
無線通信を用いて解錠信号が発信されたときに、制御部70は、受信部60を介して入力した解錠信号に基づき、ソレノイド部52Aへの通電を停止させる。ソレノイド部52Aへの通電が停止されたときにプランジャー52Bが右側に延び出された位置となることによって、ロック部40は第2位置P2に位置する。ロック部40が第2位置P2に位置したときには、ハンドルレバー2の操作が許容される。ハンドルレバー2を操作することで、ラッチ11がケーシング30内に引き込まれ、ドア1に対する施錠が解錠されてドア1を開くことが可能になる。
【0042】
本実施形態の箱錠100及びドア1によれば、第1実施形態における箱錠100の作用・効果が得られることに加えて、プランジャー52Bが左右方向に直線移動する直動アクチュエータを駆動部52として設けているため、薄型化を図ることができる。
【0043】
箱錠システムSYSについて説明する。
図6に示すように、箱錠システムSYSは、箱錠100と送信部111と赤外線センサ120と電子バッジ130と表示部140を備える。箱錠100は、電波発信部90を有する。
【0044】
送信部111は、施錠信号及び解錠信号を選択的に無線通信によって送信させる。送信部111は、携帯情報通信端末110が有するプログラムである。送信部111は、携帯情報通信端末110のストレージに保存される。ユーザが携帯情報通信端末110において、施錠信号及び解錠信号の何れか一方を選択する操作を行ったときに、端末制御部112は、送信部111において設定された送信指示に基づき発信部113に対して指示を出し、施錠信号及び解錠信号の何れか一方を予め規定された無線通信規格に応じて発信させる。
【0045】
箱錠100の制御部70は、携帯情報通信端末110から発信され受信部60が受信した信号に応じて駆動部50、52を駆動して、ラッチ11を突出させたドア1の施錠が保持される状態及びハンドルレバー2を操作することによってラッチ11がケーシング30内に引き込まれドア1に対する解錠が可能な状態の何れか一方とする。
【0046】
赤外線センサ120は、検知部121、送信部122、端末制御部123及び発信部124を有する。送信部122は、赤外線センサ120が有するプログラムである。検知部121は、検知光として赤外光を発したときに周囲の熱を感知する。検知部121は、感知した熱に基づく周囲の温度変化からユーザの接近を検知し、検知結果を端末制御部123に出力する。端末制御部123は、送信部122において設定された送信指示に基づき発信部124に対して指示を出し、施錠信号及び解錠信号の何れか一方を予め規定された無線通信規格に応じて発信させる。赤外線センサ120は、例えば、ドア1の一方側に配置される。赤外線センサ120は、人感センサなどである。
【0047】
箱錠100の制御部70は、赤外線センサ120から発信され受信部60が受信した信号に応じて駆動部50、52を駆動して、ラッチ11を突出させたドア1の施錠が保持される状態及びハンドルレバー2を操作することによってラッチ11がケーシング30内に引き込まれドア1に対する解錠が可能な状態の何れか一方とする。
【0048】
電子バッジ130は、識別情報保持部131、送信部132、端末制御部133及び発信部134を有する。送信部132は、電子バッジ130が有するプログラムである。識別情報保持部131は、電子バッジ130の所有者に関する識別情報を保持する。電子バッジ130は、箱錠100が有する電波発信部90に接近したときに、電波発信部90から発信された電波を受信する。端末制御部133は、受信した電波を電力として用い、送信部132において設定された送信指示に基づき発信部134に対して指示を出し、電子バッジ130の識別情報を予め規定された無線通信規格に応じて発信させる。
【0049】
箱錠100の制御部70は、電子バッジ130から発信され受信部60が受信した識別情報が予め登録された識別情報と合致した場合、駆動部50、52を駆動して、ラッチ11を突出させたドア1の施錠が保持される状態及びハンドルレバー2を操作することによってラッチ11がケーシング30内に引き込まれドア1に対する解錠が可能な状態の何れか一方を、何れか他方に反転させる。
【0050】
表示部140は、施錠信号及び解錠信号の何れかを受信したときに、施錠情報及び解錠情報の何れかを表示する。表示部140は、例えば、文字表記及び色による表示等の少なくとも何れか一方によって施錠情報及び解錠情報の何れかを表示できる。表示部140施錠情報及び解錠情報の何れかを表示したときに、ユーザは箱錠100及びドア1の施錠に関する状態を容易に把握できる。表示部は、携帯情報通信端末に表示したり、ドアに取り付けたりしてもよい。
【0051】
ドアの変形例について説明する。
図7に示すように、ドア1Aは、ハンドルレバー2の上方にサムターン7を有する。サムターン7は、ドア1の一方側に配置されている。サムターン7は、軸体7aを有する。軸体7aは、ドア1における一方側の壁面を貫通する。軸体7aの先端は、ロック部40における軸嵌合部43の窪み43aに嵌合する。サムターン7を回転させたときに、ロック部40は第1位置P1と第2位置P2との間において回転する。サムターン7を回転させたときに、ドア1は施錠状態と解錠状態とが切り替わる。ドア1Aは、施錠機能を有する。
【0052】
施錠機能を有するドア1Aに対して、無線通信を用いて施錠信号を発信したときに、ドア1Aはサムターン7を操作することなく施錠される。ドア1Aに対して、無線通信を用いて解錠信号を発信したときに、ドア1Aはサムターン7を操作することなく解錠される。施錠機能を有するドア1Aは、無線通信を用いて非接触で施錠及び解錠を選択的に行うことができる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0054】
例えば、実施形態では、ドアが開き戸である構成を例示したが、この構成に限定されない。ドアは引き戸であっても適用可能である。
【0055】
実施形態では、表示部140が施錠信号及び解錠信号の何れかを受信したときに、施錠情報及び解錠情報の何れかを表示する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、制御部70が駆動部50、52を制御してロック部40を第1位置P1と第2位置P2との間において移動させた際に、電波発信部90から表示指示信号を発信させる構成でもよい。表示部140は、電波発信部90から発信された表示指示信号を受信し、受信した表示指示信号に含まれる指示に応じて施錠情報及び解錠情報の何れかを表示する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1、1A…ドア、7…サムターン、10…ラッチボルト、11…ラッチ、20…ラッチハブ、30…ケーシング、40…ロック部、43a…窪み、50、52…駆動部、60…受信部、70…制御部、80…電源部、90…電波発信部、100…箱錠、111、122、132…送信部、120…赤外線センサ、130…電子バッジ、140…表示部、J…中心軸、J2…軸線、P1…第1位置、P2…第2位置、SYS…箱錠システム