(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065932
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】間仕切りにおける上枠のネジ固定構造およびネジ固定方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/82 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
E04B2/82 501B
E04B2/82 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176360
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】木鎌 清文
(57)【要約】
【課題】欄間空間Rに欄間板が組み込まれていない間仕切り1において、欄間空間Rの上枠6が不用意に脱落するのを防止するため、上枠6が、過剰螺入による変形がない状態でネジ固定する。
【解決手段】レール上片部5bと上枠下片部6bとのあいだの間隙Sに配されるスペーサ8を、上枠下片部6bに設けた貫通孔6hを貫通する状態で、スペーサ上端縁部8aが天井レールのレール上片部5bに当接し下端縁部8bにネジ頭部7aが当接して、これ以上のネジ7の捩じ込みができない状態とすることで、上枠6の変形防止がなされた状態での該上枠6のネジ固定ができるようにする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間を前後に仕切るために設けられる間仕切りの天井側構成部材である上枠を、天井面に取り付けた天井レールに前後で係止する係止部が形成された上枠前後片部と、天井レールとは上下に間隙を存する状態で上枠前後片部同士を連結する上枠下片部とを備えて構成した間仕切りにおいて、前記上枠を、上枠下片部から螺入するネジを介して天井側にネジ固定するにあたり、該ネジの過剰螺入に伴う上枠の変形防止をするためのスペーサを前記間隙に配したことを特徴とする間仕切りにおける上枠のネジ固定構造。
【請求項2】
スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、上端縁部が天井レールの下面に当接し、下端縁部がネジ頭部の上面に当接する状態で上枠下片部に形成の貫通孔を貫通していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造。
【請求項3】
スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、上端縁部が天井レールに形成の貫通孔を貫通して天井面に当接し、下端縁部が上枠下片部の上面に当接していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造。
【請求項4】
スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、上端縁部が天井レールの下面に当接し、下端縁部が上枠下片部の上面に当接していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造。
【請求項5】
スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、上端縁部が天井レールに形成の貫通孔を貫通して天井面に当接し、下端縁部がネジ頭部の上面に当接する状態で上枠下片部に形成の貫通孔を貫通していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造。
【請求項6】
スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、かつ天井レールの下面から上枠下片部の下面に至る長さに設定され、ネジ部は、天井レールの下面から上枠下片部の下面に至る長さよりも長く設定されて天井部に螺入し、上枠下片部は、ネジ頭部よりは小径であるがスペーサは貫通する径の貫通孔が形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造。
【請求項7】
上枠は、下側の無目枠と共に欄間空間を形成するものであって、上枠下片部に、前後方向中間部に欄間用パネル板の上端縁部を嵌入取り付けするための凹溝が形成され、該凹溝の溝底片部に、スペーサを貫通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項6記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造。
【請求項8】
室内空間を前後に仕切るために設けられる間仕切りの天井側構成部材である上枠を、天井面に取り付けた天井レールに前後で係止する係止部が形成された上枠前後片部と、天井レールとは上下に間隙を存する状態で上枠前後片部同士を連結する上枠下片部とを備えて構成した間仕切りにおいて、前記上枠を、ネジのネジ部が挿通される筒形状のスペーサを用いて天井側に固定するためのネジ固定方法であって、該方法は、
上枠が天井レールに組み込まれる前のものである場合、
・上枠の上枠下片部に、スペーサを貫通するための貫通孔を穿設する工程、
・貫通孔が穿設された上枠を天井レールに組み込む工程、
が順次実行され、上枠が天井レールに組み込まれたものである場合、
・上枠の上枠下片部に、スペーサを貫通するための貫通孔を穿設する工程、
が実行され、さらにその後、
・天井レールに、貫通孔を通してネジ部が挿入するための下孔を穿設する工程、
・貫通孔に挿通した状態のスペーサにネジ部が挿入されたネジを、スペーサの上端縁部が天井レールの下面に当接し、ネジ頭部の上面がスペーサの下端縁部に当接して捩じ込みができなくなるまで捩じ込む工程、
の各工程が順次実行されることを特徴とする間仕切りにおける上枠のネジ固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間を仕切る間仕切りにおける上枠のネジ固定構造およびネジ固定方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、室内空間を仕切るため、床面と天井面とのあいだに間仕切りを建て付けることがあるが、このような間仕切りのなかには、該室内空間を仕切るべく設けられる間仕切り用のパネル体の天井側に欄間空間が形成されたものがあり、該欄間空間は、左右縦枠(縦支柱)、天井面側に取り付けられる上枠(上横枠)、そして左右縦枠間に架け渡し状に設けられる無目枠(無目、下横枠)によって囲繞形成された四周枠として構成される。
そしてこの様なものにおいて、上枠を、天井面に設けた天井レールに単純に係止するだけで取り付けるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来のものは、欄間空間に組み込まれた欄間板により上枠が支持されるためあまり問題になることはないが、欄間板が組み込まれない場合では上枠の支持がなく、このため天井レールに係止しただけの上枠が、例えば地震等があったような場合に不用意に天井レールからの係止が外れて脱落してしまうことが想定される。
そこでこのような場合に対応するよう、上枠を、ネジ(螺子、ビス)を介して天井材(天井板)にネジ固定して不用意な脱落防止を図ることが試みられる。
ところが前記上枠を、天井面に取り付けた天井レールに係止する係止部が形成された前後の係止片部と、天井レールとは上下に間隙を存する状態で係止片部同士を連結する上枠下片部とを備えて構成したものであった場合、
図8(A)に示すように、上枠6が、ネジ7の捩じ込み過ぎ(過剰螺入)に伴いネジ頭部7bが当接する上枠下片部となる上枠下片部6bが天井面H側に凹んだ状態の変形をしてしまう惧れがある。このため上枠を天井材側にネジ固定する際には、このような捩じ込み過ぎが無いよう慎重な作業を行う必要があるが、このような慎重な作業を全てのネジにおいて行うことは難しく、作業性に劣る等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、室内空間を前後に仕切るために設けられる間仕切りの天井側構成部材である上枠を、天井面に取り付けた天井レールに前後で係止する係止部が形成された上枠前後片部と、天井レールとは上下に間隙を存する状態で上枠前後片部同士を連結する上枠下片部とを備えて構成した間仕切りにおいて、前記上枠を、上枠下片部から螺入するネジを介して天井側にネジ固定するにあたり、該ネジの過剰螺入に伴う上枠の変形防止をするためのスペーサを前記間隙に配したことを特徴とする間仕切りにおける上枠のネジ固定構造である。
請求項2の発明は、スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、上端縁部が天井レールの下面に当接し、下端縁部がネジ頭部の上面に当接する状態で上枠下片部に形成の貫通孔を貫通していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造である。
請求項3の発明は、スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、上端縁部が天井レールに形成の貫通孔を貫通して天井面に当接し、下端縁部が上枠下片部の上面に当接していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造である。
請求項4の発明は、スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、上端縁部が天井レールの下面に当接し、下端縁部が上枠下片部の上面に当接していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造である。
請求項5の発明は、スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、上端縁部が天井レールに形成の貫通孔を貫通して天井面に当接し、下端縁部がネジ頭部の上面に当接する状態で上枠下片部に形成の貫通孔を貫通していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造である。
請求項6の発明は、スペーサは、ネジのネジ部が貫通する筒形状をし、かつ天井レールの下面から上枠下片部の下面に至る長さに設定され、ネジ部は、天井レールの下面から上枠下片部の下面に至る長さよりも長く設定されて天井部に螺入し、上枠下片部は、ネジ頭部よりは小径であるがスペーサは貫通する径の貫通孔が形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造である。
請求項7の発明は、上枠は、下側の無目枠と共に欄間空間を形成するものであって、上枠下片部に、前後方向中間部に欄間用パネル板の上端縁部を嵌入取り付けするための凹溝が形成され、該凹溝の溝底片部に、スペーサを貫通するための貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項6記載の間仕切りにおける上枠のネジ固定構造である。
請求項8の発明は、室内空間を前後に仕切るために設けられる間仕切りの天井側構成部材である上枠を、天井面に取り付けた天井レールに前後で係止する係止部が形成された上枠前後片部と、天井レールとは上下に間隙を存する状態で上枠前後片部同士を連結する上枠下片部とを備えて構成した間仕切りにおいて、前記上枠を、ネジのネジ部が挿通される筒形状のスペーサを用いて天井側に固定するためのネジ固定方法であって、該方法は、上枠が天井レールに組み込まれる前のものである場合、上枠の上枠下片部に、スペーサを貫通するための貫通孔を穿設する工程、貫通孔が穿設された上枠を天井レールに組み込む工程、が順次実行され、上枠が天井レールに組み込まれたものである場合、上枠の上枠下片部に、スペーサを貫通するための貫通孔を穿設する工程、が実行され、さらにその後、天井レールに、貫通孔を通してネジ部が挿入するための下孔を穿設する工程、貫通孔に挿通した状態のスペーサにネジ部が挿入されたネジを、スペーサの上端縁部が天井レールの下面に当接し、ネジ頭部の上面がスペーサの下端縁部に当接して捩じ込みができなくなるまで捩じ込む工程、の各工程が順次実行されることを特徴とする間仕切りにおける上枠のネジ固定方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、上枠を天井側にネジ固定して不用意な上枠の脱落防止を図るようにするにあたり、天井レールと上枠の上枠下片部とのあいだの間隙にスペーサを配してネジの過剰螺入を防止できることになり、この結果、上枠のネジ固定作業が簡単かつ確実にできることになって作業性が向上する。
請求項2または8の発明とすることにより、上枠を天井側に支持するべくネジを螺入する場合に、天井レールと上枠下片部とのあいだの間隙に配したスペーサの上端縁部が天井レールの下面に当接し、上枠下片部に形成の貫通孔を貫通するスペーサの下端縁部にネジ頭部の上面が当接する状態になった段階で、これ以上のネジの捩じ込みができないことになってネジの過剰螺入が規制され、上枠の変形防止がなされた状態での上枠のネジ固定が簡単かつ確実にできることになる。
請求項3の発明とすることにより、上枠を天井側に支持するべくネジを螺入する場合に、天井レールと上枠下片部とのあいだの間隙に配したスペーサの上端縁部が天井レールに形成の貫通孔を貫通して天井面に当接し、スペーサの下端縁部が上枠下片部の上面に当接した状態になった段階で、これ以上のネジの捩じ込みができないことになってネジの過剰螺入が規制され、上枠の変形防止がなされた状態での上枠のネジ固定が簡単かつ確実にできることになる。
請求項4の発明とすることにより、上枠を天井側に支持するべくネジを螺入する場合に、天井レールと上枠下片部とのあいだの間隙に配したスペーサの上端縁部が天井レールの下面に当接し、スペーサの下端縁部が上枠下片部の上面に当接した状態になった段階で、これ以上のネジの捩じ込みができないことになってネジの過剰螺入が規制され、上枠の変形防止がなされた状態での上枠のネジ固定が簡単かつ確実にできることになる。
請求項5の発明とすることにより、上枠を天井側に支持するべくネジを螺入する場合に、天井レールと上枠下片部とのあいだの間隙に配したスペーサの上端縁部が天井レールに形成の貫通孔を貫通して天井面に当接し、ネジ頭部の上面がスペーサの下端縁部に当接する状態になった段階で、これ以上のネジの捩じ込みができないことになってネジの過剰螺入が規制され、上枠の変形防止がなされた状態での上枠のネジ固定が簡単かつ確実にできることになる。
請求項6の発明とすることにより、上枠を天井側に支持するべくネジを螺入する場合に、天井レールと上枠下片部とのあいだの間隙に配したスペーサが天井レールの下面から上枠下片部の下面に至る長さ、ネジ部が、天井レールの下面から上枠下片部の下面に至る長さよりも長く設定されて天井部に螺入し、上枠下片部が、ネジ頭部よりは小径であるがスペーサは貫通する径の貫通孔が形成される結果、上枠を天井側に支持するべくネジを螺入する場合に、天井レールと上枠下片部とのあいだの間隙に配したスペーサの上端縁部が天井レールの下面に当接し、上枠下片部に形成の貫通孔を貫通するスペーサの下端縁部にネジ頭部の上面が当接する状態になった段階で、これ以上のネジの捩じ込みができないことになってネジの過剰螺入が規制され、上枠の変形防止がなされた状態での上枠のネジ固定が簡単かつ確実にできることになる。
請求項7の発明とすることにより、上枠は、下側の無目枠と共に欄間空間を形成するものであって、上枠下片部に、前後方向中間部に欄間用パネル板用の凹溝が形成され、該凹溝の溝底片部に、スペーサを貫通するための貫通孔が形成されたものである結果、欄間用パネル板を取り付けるための凹溝を利用して上枠の変形防止された状態で天井側へのビス固定が簡単かつ確実にできることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】上枠をネジ固定する工程を示した断面側面図である。
【
図7】(A)(B)(C)は上枠のネジ螺入構造の他例を示す断面側面図である。
【
図8】(A)はネジ固定により上枠が変形した状態を示す断面側面図、(B)(C)はガラス板等の肉薄の欄間板を組み込んだ状態、充填材が内装される等して肉厚の欄間板を組み込んだ状態を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は室内空間を前後に仕切る間仕切りであって、該間仕切り1は、天井面Hと床面Fとのあいだに左右に隣接する状態で起立状に建て付けられる複数本の縦支柱(縦枠)2と、隣接する左右の縦支柱2間に組み込まれる間仕切り用のパネル体(ドアの場合もある)3と、該間仕切り用パネル体2の上端縁部が組み込まれる状態で左右縦支柱2の上下方向中間部に組み付けられる無目枠(無目、中間横枠)4と、下面が天井面Hとなる天井材(例えば天井板)9にネジ(ビス)5aを介して取り付けられる天井レール5と、該天井レール5に係止される状態で取り付けられる上枠6とを備えたものとして構成され、そして間仕切り1の上側部には、左右の縦支柱2、上枠6、そして無目枠4によって四角枠状に囲繞形成された欄間空間Rが形成されたものとなっている。そして本実施の形態においては、前記欄間空間Rには、欄間板(欄間用パネル体)が組み込まれないものとなっており、このように構成される間仕切り1の更なる詳細については、後述する上枠6部位の構造を除いて従来のものと同様になっているため省略する。
【0009】
前記天井レール5は、略冂字形をしたものであって、天井面Hに当接する状態でネジ5aを介して天井材9に固定されるレール上片部5bと、該レール上片部5bの前後両端縁部から垂下する状態で設けられるレール前後片部5cとを備えて構成される。
さらに詳しくは、レール上片部5bは、前後方向中間部位(本実施の形態では前後方向中央部位であるが、前後に偏倚した中間部位であっても良い。)に形成される上片中間部5dが天井面Hに当接する状態で前記ネジ5aによって天井面Hに取り付けられるものであって、上片中間部5dの前後両側に上片前後部5eが形成されるが、該上片前後部5eは、天井面Hから僅かな間隙を存して離間する状態で設けられている。因みに天井レール5としては、上片前後部5eを含めたレール上片部5bの全体が天井面Hに当接したものであっても良いことは言うまでもない。
【0010】
またレール前後片部5cは、上片前後部5eの前後方向端縁部から上下方向に延出した縦板状に形成されるが、上片前後部5eから上方に延出して上端縁が天井面Hに当接する前後片上側部5fと、上片前後部5eから下方に長く垂下する前後片下側部5gとを備えて構成されており、この様に構成されることで、天井レール5は前述したように略冂字形をしたものとなっている。
さらに前後片下側部5gには、下端縁から前後方向内側に向けて折曲された前後片折曲部5hと、上下方向中間部(本実施の形態では上側中間部)から前後方向内側に向けて突出されたレール側係止部5iとが形成されている。
【0011】
これに対し上枠6は、上側が開口する略C型形をしたものであって、下側が開口した凹溝6aが前後方向中間部(本実施の形態では前後方向中央部位であるが、前後に偏倚した中間部位であっても良い。)に形成された上枠下片部6bと、該上枠下片部6bの前後両端縁部から上方に向けて設けられる上枠前後片部6cと、該上枠前後片部6cの上端縁から前後方向内側に向けて折曲され、先端縁間の間隙が前記凹溝6aの前後間隙よりも大きく設定される上枠上片部6dとを備えて構成され、そしてこの様に構成されることで、上枠前後片部6c同士は、下端縁部間が上枠下片部6bによって連結された構成になっている。
【0012】
さらに詳しくは、上枠下片部6bには、凹溝6aの前後両側に下片前後側部6eが形成され、上枠前後片部6cには、前後方向外側面に上枠側係止部6fが突出形成されている。
そして上枠前後片部6cは、レール前後片部5cに形成の前後片折曲部5hの先端縁に摺接または近接対向する状態でレール前後片部5c内に下側から嵌入できるよう設定されている。そうして該上枠前後片部6cをレール前後片部5cに嵌入組み込みした状態では、上枠上片部6dが上片前後部5eに当接し、下片前後側部6eが前後片折曲部5hと面一状になり、かつレール上片部5bと上枠下片部6bとのあいだが間隙Sを存して上下に離間するよう設定されており、この組み込み状態では、上枠側係止部6fがレール側係止部5iを無理嵌め状に越えて上側に位置して係止することとなり、これによって上枠6の天井レール5に対する係止がなされることになって、上枠6の自然状態(通常状態)での下降規制が成される構成になっている。
【0013】
前記天井レール5に組み込まれた上枠6をネジ(ビス)7を介して天井材9側にネジ固定するにあたり、ネジ7のネジ部7bが貫通する円筒形状をしたスペーサ8が前記レール上片部5bと上枠下片部6bとのあいだの間隙Sに配されたものとなる。
まず本実施の形態のものでは、スペーサ8は、前記上枠下片部6bを構成する凹溝6aの溝底片部6gに穿設した貫通孔6hに対して下側から貫通するものであり、該貫通せしめた状態で、スペーサ8に挿通されて上端縁部8aから突出しているネジ7のネジ部7bを、レール上片部5bを構成する上片中間部5dに設けた下孔5jを通して天井板9に螺入することになるが、この場合にネジ7は、スペーサ8の上端縁部8aが上片中間部5dに当接し、かつネジ頭部7aの上面(ネジ7を下から上方向に向けて螺入した場合のネジ頭部7aの上面(ネジ部7b側の面))7cがスペーサ8の下端縁部8bに当接するまで捩じ込むと、これ以上の捩じ込みができなくなり、この状態で上枠6の天井材9側へのネジ固定作業が完了する。
【0014】
そしてこのようにスペーサ8が間隙Sに介在する状態で上枠6をネジ8を介して天井材9にネジ固定することにより、スペーサ8の上端縁部8aが天井レール5のレール上片部5bの下面、具体的には天井面Hに当接する上片中間部5dの下面に当接し、下端縁部8bがネジ7のネジ頭部7aの上面7cに当接する状態となり、この状態では、上枠下片部6bを構成する溝底片部6gに設けた貫通孔6hを貫通するスペーサ8の下端縁部8bが、ネジ頭部7aの上面7cと共に溝底片部6gの下面に面一状になる状態で、該溝底片部6gの下面に当接した上枠6の支持構造となって上枠6の過剰捩じ込みによる変形防止ができるように構成されている。
【0015】
そしてこのような上枠6の天井材9へのネジ固定作業を実行する場合の方法としては、次の方法が実行される。その場合に、上枠6が天井レール5に組み込まれる前のものである場合には、
・組み込まれる前の上枠6の溝底片部6gにスペーサ8を貫通するための貫通孔6hを穿設する工程、
・貫通孔6hが穿設された上枠6を天井レール5に組み込む工程、
が順次実行される。
これに対し上枠6が天井レール5に既に組み込まれたものである場合には、
・天井レール5に組み込まれた上枠6の溝底片部6gにスペーサ8を貫通するための貫通孔6hを穿設する工程、
が実行される。そして貫通孔6hが形成された上枠6が天井レール5に組み込まれたものとなった後、
・天井レール5に組み込まれた上枠6の貫通孔6hからドリル等の穿孔工具を用いて天井レール5の上片中間部5dにネジ部7bを挿通するための下孔5jを穿設する工程、
・貫通孔6hに挿通した状態のスペーサ8に挿入されたネジ7を、スペーサ8の上端縁部8aが上片中間部5dの下面に当接し、下端縁部8bがネジ頭部7aの上面7cに当接することになってこれ以上の捩じ込みができなくなるまで天井側に捩じ込む工程、
が順次実行され、このようにして、前述した上枠6の変形防止された状態での天井材9へのネジ固定ができるように構成される。
そしてこの場合の下孔5jを穿設する工程が、天井レール5に貫通孔6hが穿設された上枠6を組み付けた状態で、該貫通孔6hからドリル等の穿孔工具を用いて行うようにしているため、上枠6を取り付ける前の天井レール5に下孔5jを穿設する場合のように貫通孔6hと下孔5jとが位置ズレする惧れがなく、よく位置合わせされた状態での穿孔作業ができることになる。
【0016】
叙述の如く構成された本実施の形態において、上枠6を天井材9にネジ固定するべくネジ7を捩じ込む場合に、天井レール5のレール上片部5bと上枠下片部6bとのあいだの間隙Sに配したスペーサ8によって上枠下片部6bが天井レール5側に偏倚する変形が防止された状態でのネジ固定が簡単かつ確実にできることになる。
【0017】
つまりこのものでは、上枠下片部6bに形成される凹溝6aの溝底片部6gに形成される貫通孔6hにスペーサ8を貫通した状態で、該スペーサ8に挿入したネジ7のネジ部7bを、天井レール7に設けた下孔5jに挿通し、さらに天井材9に捩じ込んでいくことになるが、このネジ7の捩じ込み作業ができなくなった段階で、スペーサ8の上端縁部8aが天井レールのレール上片部5bである上片中間部5dの下面に当接し、前記貫通孔6hを貫通するスペーサ8の下端縁部8bにネジ頭部7aの上面7cが当接した状態になる。そしてこの状態では、ネジ頭部7aの上面7cが溝底片部6gの下面に当接していて上枠6の天井側へのネジ固定状態になって、これ以上のネジ7の捩じ込みができずネジ7の過剰螺入が規制され、上枠6の変形防止がなされた状態での該上枠6のネジ固定が簡単かつ確実にできることになる。
【0018】
そしてこのような上枠6のネジ固定作業をするにあたり、その手順として、上枠6が天井レール5に組み込まれる前のものである場合には、上枠6に貫通孔6hを穿設した後、該上枠6を天井レール5に組み込むことになり、また上枠6が天井レール5に既に組み込まれているものである場合には、該組み込まれた上枠6に貫通孔6hを穿設し、その後、前記組み込まれた上枠6の貫通孔6hからドリル等の穿孔工具を用いて天井レール5に下孔5jを穿設し、貫通孔6hに挿通した状態のスペーサ8に挿入されたネジ7を、下孔5jを通して天井材9に捩じ込みができなくなるまで捩じ込むことで、前述したようにスペーサ8の上端縁部8aが天井レールのレール上片部5bである上片中間部5dの下面に当接し、前記貫通孔6hを貫通するスペーサ8の下端縁部8bにネジ頭部7aの上面7cが当接した上枠6のネジ固定状態となり、ネジ7の面倒な捩じ込み作業時の調整が不要になって簡単かつ確実なネジ固定作業ができることになる。
【0019】
因みに本実施の形態の上枠6に形成される凹溝6aは、
図8(B)に示すようにガラス板等の薄板材によって構成される欄間用パネル板10を組み込むことができるようになっている。そしてこのように欄間用パネル板10が組み込まれたものにおいても、上枠6をネジ固定することによって取り付け補強をしたい場合には、前記実施の形態の場合と同様にしてネジ7およびスペーサ8を用いて天井側へのネジ固定ができる。
さらに本実施の形態の上枠6は、前記の場合とは天地逆にして、
図8(C)に示すように、上枠下片部6bがレール上片部5bに当接するよう天井レール5に組み込むことで、上枠上片部6dが下側に位置することになり、この場合には、前記凹溝6aよりも幅広となった上枠上片部6dの先端縁部間の間隙に、パネル体等の肉厚の欄間板11を組み込むことができるようになっており、本実施の形態の上枠6はこのような両側使用ができるよう配慮されている。因みにこの状態で上枠6の取り付け補強をしたい場合には、溝底片部6gからネジ7dを螺入すればよいが、この場合、溝底片部6gは天井面Hに近接していることと凹溝6aが幅狭であることが相俟って、ネジ7dの過剰螺入が回避されることになって、特に要求される場合を除いてスペーサを設ける必要はない。
【0020】
尚、本発明は、前記実施の形態のものに限定されないものであって、天井レール5のレール上片部5bと上枠下片部6bとのあいだの間隙Sに配設されるスペーサ8の配設構造としては
図7に示すようなものがある。
図7(A)に示されるものは、ネジ7を捩じ込みができない状態にまで捩じ込んで上枠6をネジ固定した場合に、スペーサ8の上端縁部8aが天井レール5に形成の貫通孔5kを貫通して天井面Hに当接し、下端縁部8bが上枠下片部6bの上面に当接したものである。
また
図7(B)に示されるものは、ネジ7を捩じ込みができない状態にまで捩じ込んで上枠6をネジ固定した場合に、スペーサ8の上端縁部8aがレール上片部5bの下面に当接し、下端縁部8bが上枠下片部6bの上面に当接したものである。
さらに
図7(C)に示されるものは、ネジ7を捩じ込みができない状態にまで捩じ込んで上枠6をネジ固定した場合にスペーサ8の上端縁部8aが天井レール5に形成の貫通孔5kを貫通して天井面Hに当接し、下端縁部8bがネジ頭部7aの上面7cに当接する状態で上枠下片部6bに形成の貫通孔6hを貫通したものである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、室内空間を仕切る間仕切りにおける上枠のネジ固定構造およびネジ固定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 間仕切り
4 無目枠
5 天井レール
5b レール上片部
5c レール前後片部
5i レール側係止部
5j 下孔
5k 貫通孔
6 上枠
6a 凹溝
6b 上枠下片部
6c 上枠前後片部
6g 溝底片部
6h 貫通孔
7 ネジ
7a ネジ頭部
7b ネジ部
7c 上面
8 スペーサ
8a 上端縁部
8b 下端縁部
9 天井材
H 天井面
R 欄間空間
S 間隙