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特開2023-65979空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置およびプログラム
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  • 特開-空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065979
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20230508BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20230508BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20230508BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230508BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20230508BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20230508BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20230508BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/64
F24F11/70
F24F110:10
F24F110:12
F24F110:20
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176428
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】金森 庸浩
(72)【発明者】
【氏名】藤社 輝夫
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA05
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA32
3L260CB62
3L260CB63
3L260CB64
3L260EA07
3L260EA08
3L260FA02
3L260FB08
3L260FB63
3L260FC06
(57)【要約】
【課題】湿度制御を考慮してユーザにより快適な環境を提供するように、空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置、およびプログラムを提供する。
【解決手段】決定装置は、複数の決定条件を記憶する決定装置記憶部と、決定装置制御部とを含む。決定装置制御部は、複数の決定条件を取得し、制御空間の室内温度および外気温度を取得し、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、取得した室内温度、および取得した外気温度に基づいて1つの決定条件を選択し、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機の運転モードとして決定するように構成されている。運転モードは、第1除湿冷房モード、および、第2除湿冷房モードを含む。第1除湿冷房モードにおいて少なくとも1つ除湿制御が実行され、第2除湿冷房モードにおいて複数の除湿制御が実行される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の運転モードを決定するための決定方法であって、
複数の決定条件を取得するステップであって、前記決定条件のそれぞれが1つの前記運転モードに対応し、前記決定条件が、前記空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の室内温度および外気温度の少なくとも1つに関連する温度サブ条件を含む、前記複数の決定条件を取得するステップと、
前記制御空間の室内温度および外気温度を取得するステップと、
前記取得した複数の決定条件から、前記温度サブ条件、前記取得した室内温度、および前記取得した外気温度に基づいて1つの決定条件を選択するステップと、
前記選択した決定条件に対応する運転モードを、前記空気調和機の運転モードとして決定するステップと、
を含み、
前記運転モードは、第1除湿冷房モード、および、第2除湿冷房モードを含み、
前記第1除湿冷房モードにおいて、少なくとも1つ除湿制御が実行され、
前記第2除湿冷房モードにおいて、複数の除湿制御が実行される、
決定方法。
【請求項2】
少なくとも1つの前記決定条件は、前記制御空間の室内温度と前記空気調和機に対する設定温度との温度差に関連する温度差サブ条件を含み、
前記決定方法は、
前記空気調和機に対する設定温度を取得するステップ
をさらに含み、
前記決定条件を選択するステップにおいては、
前記取得した複数の決定条件から、前記温度サブ条件、前記温度差サブ条件、前記取得した室内温度、前記取得した外気温度、および前記取得した設定温度に基づいて1つの決定条件を選択する、
請求項1に記載の決定方法。
【請求項3】
前記温度差サブ条件は、前記室内温度と前記設定温度との温度差の絶対値が温度差閾値より小さいことを含む、
請求項2に記載の決定方法。
【請求項4】
少なくとも1つの前記決定条件は、前記制御空間の室内湿度に関連する湿度サブ条件を含み、
前記決定方法は、
前記制御空間の室内湿度を取得するステップ
をさらに含み、
前記決定条件を選択するステップにおいては、
前記取得した複数の決定条件から、前記温度サブ条件、前記湿度サブ条件、前記取得した室内温度、前記取得した外気温度、および前記取得した室内湿度に基づいて1つの決定条件を選択する、
請求項1に記載の決定方法。
【請求項5】
前記運転モードは、加湿暖房モードをさらに含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の決定方法。
【請求項6】
前記第1除湿冷房モードおよび前記第2除湿冷房モードにおいて、前記空気調和機の膨張弁を絞る絞り除湿の除湿制御が実行される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の決定方法。
【請求項7】
前記第2除湿冷房モードにおいて、室外空気を前記制御空間に供給する換気除湿の除湿制御がさらに実行される、
請求項6項に記載の決定方法。
【請求項8】
空気調和機の運転モードを決定するための決定装置であって、
複数の決定条件を記憶する決定装置記憶部であって、前記決定条件のそれぞれが1つの前記運転モードに対応し、前記決定条件が、前記空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の室内温度および外気温度の少なくとも1つに関連する温度サブ条件を含む、前記決定装置記憶部と、
決定装置制御部であって、
前記複数の決定条件を取得し、
前記制御空間の室内温度および外気温度を取得し、
前記取得した複数の決定条件から、前記温度サブ条件、前記取得した室内温度、および前記取得した外気温度に基づいて1つの決定条件を選択し、
前記選択した決定条件に対応する運転モードを、前記空気調和機の運転モードとして決定する
ように構成された前記決定装置制御部と、
を含み、
前記運転モードは、第1除湿冷房モード、および、第2除湿冷房モードを含み、
前記第1除湿冷房モードにおいて、少なくとも1つ除湿制御が実行され、
前記第2除湿冷房モードにおいて、複数の除湿制御が実行される、
決定装置。
【請求項9】
少なくとも1つの前記決定条件は、前記制御空間の室内温度と前記空気調和機に対する設定温度との温度差に関連する温度差サブ条件を含み、
前記決定装置制御部は、
前記空気調和機に対する設定温度を取得する
ようにさらに構成されており、
前記決定装置制御部は、前記決定条件を選択するときに、
前記取得した複数の決定条件から、前記温度サブ条件、前記温度差サブ条件、前記取得した室内温度、前記取得した外気温度、および前記取得した設定温度に基づいて1つの決定条件を選択する
ようにさらに構成されている、
請求項8に記載の決定装置。
【請求項10】
前記温度差サブ条件は、前記室内温度と前記設定温度との温度差の絶対値が温度差閾値より小さいことを含む、
請求項9に記載の決定装置。
【請求項11】
少なくとも1つの前記決定条件は、前記制御空間の室内湿度に関連する湿度サブ条件を含み、
前記決定装置制御部は、
前記制御空間の室内湿度を取得する
ようにさらに構成されており、
前記決定装置制御部は、前記決定条件を選択するときに、
前記取得した複数の決定条件から、前記温度サブ条件、前記湿度サブ条件、前記取得した室内温度、前記取得した外気温度、および前記取得した室内湿度に基づいて1つの決定条件を選択する
ようにさらに構成されている、
請求項8に記載の決定装置。
【請求項12】
前記運転モードは、加湿暖房モードをさらに含む、
請求項8~11のいずれか1項に記載の決定装置。
【請求項13】
前記第1除湿冷房モードおよび前記第2除湿冷房モードにおいて、前記空気調和機の膨張弁を絞る絞り除湿の除湿制御が実行される、
請求項8~12のいずれか1項に記載の決定装置。
【請求項14】
前記第2除湿冷房モードにおいて、室外空気を前記制御空間に供給する換気除湿の除湿制御がさらに実行される、
請求項13に記載の決定装置。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1つに記載の空気調和機の運転モードを決定するための決定方法を決定装置に実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は暖房モードや冷房モードなどの複数の運転モードで運転することができる。近年、複数の運転モードのうちから、外気温度に適した運転モードを自動的に選択して空気調和機を動作させる技術が研究開発されている。例えば、特許文献1には、外気温度を検出し、検出した外気温度に応じて冷房運転モードあるいは暖房運転モードを自動的に選択して空気調和機を動作させる空気調和機の自動運転モード選択制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-331199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動運転モードにおいては、決定される運転モードと決定条件とは温度制御のみを目的とするため、ユーザにより快適な環境を提供するという点で改善の余地がある。
【0005】
本開示の目的は、湿度制御を考慮してユーザにより快適な環境を提供するように、空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するために、本開示は、空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置およびプログラムを提供するものである。
【0007】
本開示に係る一態様の空気調和機の運転モードを決定するための決定方法は、複数の決定条件を取得するステップであって、決定条件のそれぞれが1つの運転モードに対応し、決定条件が、空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の室内温度および外気温度の少なくとも1つに関連する温度サブ条件を含む、複数の決定条件を取得するステップと、制御空間の室内温度および外気温度を取得するステップと、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、取得した室内温度、および取得した外気温度に基づいて1つの決定条件を選択するステップと、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機の運転モードとして決定するステップと、を含む。運転モードは、第1除湿冷房モード、および、第2除湿冷房モードを含む。第1除湿冷房モードにおいて、少なくとも1つ除湿制御が実行され、第2除湿冷房モードにおいて、複数の除湿制御が実行される。
【0008】
また、本開示に係る他の態様の空気調和機の運転モードを決定するための決定装置は、決定装置記憶部と決定装置制御部とを含む。決定装置記憶は、複数の決定条件を記憶する。決定条件のそれぞれが1つの運転モードに対応する。決定条件が、空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の室内温度および外気温度の少なくとも1つに関連する温度サブ条件を含む。決定装置制御部は、複数の決定条件を取得し、制御空間の室内温度および外気温度を取得し、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、取得した室内温度、および取得した外気温度に基づいて1つの決定条件を選択し、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機の運転モードとして決定するように構成されている。運転モードは、第1除湿冷房モード、および、第2除湿冷房モードを含む。第1除湿冷房モードにおいて、少なくとも1つ除湿制御が実行され、第2除湿冷房モードにおいて、複数の除湿制御が実行される。
【0009】
また、本開示に係る他の態様プログラムは、空気調和機の運転モードを決定するための決定方法を決定装置に実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示においては、空気調和機の運転モードを決定するための決定方法によれば、湿度制御を考慮し適切な運転モードを自動的に決定してユーザにより快適な環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1における空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図
図2】実施の形態1に係る空気調和機の概略図
図3】換気装置の概略図
図4】加湿運転中の換気装置の概略図
図5】除湿運転中の換気装置の概略図
図6】内部構造を示す室内機の側面図
図7】熱交換器および熱交換器温度センサの概略図
図8】実施の形態1における決定方法の一例のフローチャート
図9】実施の形態1における決定基準の概略図
図10】実施の形態1における決定条件の概略図
図11】実施の形態2における決定方法の一例のフローチャート
図12】実施の形態2における決定基準の概略図
図13】実施の形態2における決定条件の概略図
図14】実施の形態3における決定方法の一例のフローチャート
図15】実施の形態3における決定基準の概略図
図16】実施の形態3における決定条件の概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
先ず始めに、空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置、およびプログラムの各種態様について説明する。
【0013】
本開示に係る第1の態様の空気調和機の運転モードを決定するための決定方法(以下、決定方法と略称する場合がある)は、複数の決定条件を取得するステップであって、決定条件のそれぞれが1つの運転モードに対応し、決定条件が、空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の室内温度および外気温度の少なくとも1つに関連する温度サブ条件を含む、複数の決定条件を取得するステップと、制御空間の室内温度および外気温度を取得するステップと、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、取得した室内温度、および取得した外気温度に基づいて1つの決定条件を選択するステップと、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機の運転モードとして決定するステップと、を含む。運転モードは、第1除湿冷房モード、および、第2除湿冷房モードを含む。第1除湿冷房モードにおいて、少なくとも1つ除湿制御が実行され、第2除湿冷房モードにおいて、複数の除湿制御が実行される。
【0014】
本開示に係る第2の態様の決定方法は、第1の態様において、少なくとも1つの決定条件は、制御空間の室内温度と空気調和機に対する設定温度との温度差に関連する温度差サブ条件を含んでもよい。決定方法は、空気調和機に対する設定温度を取得するステップをさらに含んでもよい。決定条件を選択するステップにおいては、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、温度差サブ条件、取得した室内温度、取得した外気温度、および取得した設定温度に基づいて1つの決定条件を選択してもよい。
【0015】
本開示に係る第3の態様の決定方法は、第2の態様において、温度差サブ条件は、室内温度と設定温度との温度差の絶対値が温度差閾値より小さいことを含んでもよい。
【0016】
本開示に係る第4の態様の決定方法は、第1の態様において、少なくとも1つの決定条件は、制御空間の室内湿度に関連する湿度サブ条件を含んでもよい。決定方法は、制御空間の室内湿度を取得するステップをさらに含んでもよい。決定条件を選択するステップにおいては、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、湿度サブ条件、取得した室内温度、取得した外気温度、および取得した室内湿度に基づいて1つの決定条件を選択してもよい。
【0017】
本開示に係る第5の態様の決定方法は、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、運転モードは、加湿暖房モードをさらに含んでもよい。
【0018】
本開示に係る第6の態様の決定方法は、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、第1除湿冷房モードおよび第2除湿冷房モードにおいて、空気調和機の膨張弁を絞る絞り除湿の除湿制御が実行され得る。
【0019】
本開示に係る第7の態様の決定方法は、第6の態様において、第2除湿冷房モードにおいて、室外空気を制御空間に供給する換気除湿の除湿制御がさらに実行され得る。
【0020】
本開示に係る第8の態様の空気調和機の運転モードを決定するための決定装置(以下、決定装置と略称する場合がある)は、決定装置記憶部と決定装置制御部とを含む。決定装置記憶は、複数の決定条件を記憶する。決定条件のそれぞれが1つの運転モードに対応する。決定条件が、空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の室内温度および外気温度の少なくとも1つに関連する温度サブ条件を含む。決定装置制御部は、複数の決定条件を取得し、制御空間の室内温度および外気温度を取得し、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、取得した室内温度、および取得した外気温度に基づいて1つの決定条件を選択し、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機の運転モードとして決定するように構成されている。運転モードは、第1除湿冷房モード、および、第2除湿冷房モードを含む。第1除湿冷房モードにおいて、少なくとも1つ除湿制御が実行され、第2除湿冷房モードにおいて、複数の除湿制御が実行される。
【0021】
本開示に係る第9の態様の決定装置は、第8の態様において、少なくとも1つの決定条件は、制御空間の室内温度と空気調和機に対する設定温度との温度差に関連する温度差サブ条件を含んでもよい。決定装置制御部は、空気調和機に対する設定温度を取得するようにさらに構成され得る。そして、決定装置制御部は、決定条件を選択するときに、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、温度差サブ条件、取得した室内温度、取得した外気温度、および取得した設定温度に基づいて1つの決定条件を選択するようにさらに構成され得る。
【0022】
本開示に係る第10の態様の決定装置は、第9の態様において、温度差サブ条件は、室内温度と設定温度との温度差の絶対値が温度差閾値より小さいことを含んでもよい。
【0023】
本開示に係る第11の態様の決定装置は、第8の態様において、少なくとも1つの決定条件は、制御空間の室内湿度に関連する湿度サブ条件を含んでもよい。決定装置制御部は、制御空間の室内湿度を取得するようにさらに構成され得る。そして、決定装置制御部は、決定条件を選択するときに、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、湿度サブ条件、取得した室内温度、取得した外気温度、および取得した室内湿度に基づいて1つの決定条件を選択するようにさらに構成され得る。
【0024】
本開示に係る第12の態様の決定装置は、第8~11の態様のいずれか1つにおいて、運転モードは、加湿暖房モードをさらに含んでもよい。
【0025】
本開示に係る第13の態様の決定装置は、第8~12の態様のいずれか1つにおいて、第1除湿冷房モードおよび第2除湿冷房モードにおいて、空気調和機の膨張弁を絞る絞り除湿の除湿制御が実行され得る。
【0026】
本開示に係る第14の態様の決定装置は、第13の態様において、第2除湿冷房モードにおいて、室外空気を制御空間に供給する換気除湿の除湿制御がさらに実行され得る。
【0027】
本開示に係る第15の態様のプログラムは、第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおける空気調和機の運転モードを決定するための決定方法を決定装置に実行させる。
【0028】
《技術的概念》
本開示に係る空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置およびプログラムによれば、空気調和機の空調制御の対象とする制御空間に対して、湿度制御を考慮し適切な運転モードを自動的に決定することができる。本開示の決定方法、決定装置およびプログラムの具体的な実施の形態を説明する前に、まず、一例を用いて、本開示に記載の技術的概念を説明する。
【0029】
本開示の決定方法および決定装置は、空気調和機の自動運転モードにおいて、実際に運転すべき運転モードの決定に利用され得る。ユーザが空気調和機を起動して自動運転モードに設定すると、決定方法および決定装置は湿度制御を考慮して適切な運転モードを自動的に決定する。そのため、ユーザは快適な環境を簡単に楽しめる。
【0030】
この例において、空気調和機の自動運転モードにおいて決定され得る運転モードは、少なくとも第1除湿冷房モードおよび第2除湿冷房モードを含む。第1除湿冷房モードにおいて、少なくとも1つ除湿制御が実行され、第2除湿冷房モードにおいて、複数の除湿制御が実行される。例えば、第1除湿冷房モードにおいては、空気調和機の膨張弁を絞る絞り除湿の除湿制御が実行される。一方、第2除湿冷房モードにおいては、絞り除湿の除湿制御の他、室外空気を制御空間に供給する換気除湿の除湿制御も実行される。
【0031】
そして、空気調和機の運転モードを決定するための複数の決定条件が予め規定されており、決定条件のそれぞれが1つの運転モードに対応する。それぞれの決定条件は、少なくとも1つのサブ条件を含む。基本的に、決定条件は、制御空間の室内温度および外気温度の少なくとも1つに関連する温度サブ条件を含む。決定装置は、複数の決定条件、制御空間の室内温度、および制御空間の外気温度を取得して、これらの要素に基づいて1つの決定条件を選択する。決定装置は、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機の運転モードとして決定する。
【0032】
このような決定方法および決定装置によれば、適切な除湿制御の行われる運転モードを決定することができ、快適な温度と快適な湿度とともに有する環境を制御空間にいるユーザに提供することができる。
【0033】
以下で説明する実施の形態のそれぞれは、本開示の一例を示すものである。以下の実施の形態のそれぞれにおいて示される数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本開示を限定するものではない。以下の実施の形態1における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0034】
以下に述べる実施の形態のそれぞれにおいて、特定の要素に関しては変形例を示す場合があり、その他の要素に関しては任意の構成を適宜組み合わせることを含むものであり、組み合わされた構成においてはそれぞれの効果を奏するものである。実施の形態において、それぞれの変形例の構成をそれぞれ組み合わせることにより、それぞれの変形例における効果を奏するものとなる。
【0035】
以下の詳細な説明において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
【0036】
《実施の形態1》
以下、本開示に係る空気調和機の運転モードを決定するための決定方法、決定装置、およびプログラムの実施の形態1について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
図1は、実施の形態1における空気調和機の概略構成の一例を示すブロック図である。図1は、決定方法およびそのプログラムを決定装置に実行させる観点、および空気調和機と外部の他の装置との関係性の観点から作成された概略図である。この実施例において、空気調和機10は、決定装置として実施され、空気調和機の決定方法を実行し、自身の運転モードを決定する。
【0038】
図1の実施例において、空気調和機10は、空調記憶部11と、空調制御部12と、空調通信部13とを含む。空気調和機10はさらに、機能を発揮するために様々なセンサ14を少なくとも1つ含んでもよい。空気調和機10は、視覚的な情報をユーザに表示するためのディスプレイを含んでもよい。
【0039】
空気調和機10は空調通信部13を介して端末装置70および/またはサーバ80と接続可能である。例えば、後述するように、空気調和機10は、インターネットを介して空気調和機10を関するサーバ80と接続してもよい。空気調和機10はインターネットを介して空気調和機10のユーザのスマートフォンである端末装置70と接続してもよい。空気調和機10は赤外線を介して空気調和機10のリモートコントローラである端末装置70と接続してもよい。また、空気調和機10は直接的にまたは間接的に外部情報源90と接続して、換気制御に必要な情報の一部を外部情報源90から取得してもよい。
【0040】
本開示に係る決定装置は、空気調和機10の空調制御部12、サーバ80、端末装置70、または他に空気調和機10の換気装置50を制御可能な装置であってもよい。以下の各実施例において、空気調和機10を決定装置として実施するが、この場合に限らない。
【0041】
空気調和機10を決定装置として実施する場合、空調記憶部11を決定装置の決定装置記憶部として実施し、空調制御部12を決定装置の決定装置制御部として実施する。
【0042】
以下、各構成要素の概略を説明する。
【0043】
<空気調和機10>
空気調和機10は、例えば、家庭やオフィスにおける部屋の内部空間を空調制御の対象とする制御空間とし、当該制御空間の壁面または天井に設けられた室内機20と、屋外、制御空間以外の中央空調室等に設けられた室外機30とを有する。空気調和機10は、例えば、冷房機能、暖房機能、および/または空気洗浄機能を有する。空気調和機10は、制御空間の室内空気を除加湿可能な換気装置50を含み、換気装置50を用いる除湿機能を有する。また、空気調和機10は換気装置50を用いる加湿機能を有してもよい。さらに、本開示に係る空気調和機10は換気装置50を用いる換気機能を有してもよい。これらの機能・運転モードが自由に組み合わせられ得る(例えば、冷房除湿機能、暖房加湿モードなど)。
【0044】
<空調記憶部11>
空調記憶部11は、種々の情報や制御プログラムを記録する記録媒体であり、空調制御部12の作業領域として機能するメモリであってもよい。空調記憶部11は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。
【0045】
空調記憶部11は、モード決定のための決定条件や閾値を記憶してもよい。空調記憶部11は、それぞれのセンサ14から取得した情報を記憶してもよい。外部情報源90から取得した情報も空調記憶部11に記憶させてもよい。これらの情報は、決定方法が行われるときに空調制御部12に読み出され得る。
【0046】
また、空調記憶部11は、決定方法を決定装置(例えば、空調制御部12)に実行させるためのプログラムを記憶してもよい。
【0047】
<空調制御部12>
空調制御部12は、空気調和機10の少なくとも一部の機能の制御を司るコントローラである。空調制御部12は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、MCU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。空調制御部12は、空調記憶部11に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、空気調和機10における各種の制御を実現することができる。また、空調制御部12は空調記憶部11と協働して、空調記憶部11に記憶されたデータを読み取り/書き込みを行うことができる。空調制御部12は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0048】
空調制御部12は、空調通信部13を介して、サーバ80と通信することができる。同様に、空調制御部12は、空調通信部13を介して、ユーザによる様々な指令および設定値(例えば、空気調和機10の自動運転モードの起動指令、温度設定指令)を端末装置70から受信することができる。空調制御部12は、これらの設定値および様々なセンサ14から受信した検出値(例えば、室内温度、外気温度)などに基づいて、空気調和機10の冷房機能や暖房機能を発揮するように空気調和機10の各部品を制御する。また、空調制御部12は、後述する決定方法に基づいて、空気調和機10が実行すべき運転モードを決定する。
【0049】
<空調通信部13>
空調通信部13は、サーバ80やユーザの端末装置70等と通信することもでき、例えば、インターネットパケットを送受信することもできる。上述したように、空調制御部12は、空調通信部13を介してサーバ80および/または端末装置70と協働してもよい。空調通信部13は、サーバ80と、空気調和機10と、端末装置70との間において、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.2、IEEE802.3、3G、LTE等の規格にしたがい通信を行い、データの送受信を行ってもよい。空調通信部13は、インターネットの他、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等、赤外線、ブルートゥース(登録商標)で通信してもよい。
【0050】
<センサ14>
センサ14は、空気調和機10の機能を発揮するために空気調和機10の外部から様々な情報を取得するためのものである。特に、センサ14は、運転モードを決定するための情報を取得することができる。
【0051】
例えば、センサ14は、空気調和機10の設けられた部屋(制御空間)内部の温度を検出する室内温度センサ14a、当該部屋の室外の温度(すなわち、外気温度)を検出する外気温度センサ14b、および当該部屋内部の相対湿度を検出する湿度センサ14cも1つを含んでもよい。センサ14にて検出された情報は、空調記憶部11に入力されて記憶され、後に空調制御部12が利用したり、端末装置70またはサーバ80に送信されたりする。
【0052】
図1の実施例において、センサ14は空気調和機10の本体に搭載されている。別の実施例において、センサ14は、空気調和機10の本体ではなく、例えば、他の家電、またはスマートホーム内外の任意箇所に搭載されてもよく、独立したセンサ装置であってもよい。決定装置は、決定方法を実行する際に、センサ14の搭載箇所に関わらず、制御に利用される情報をこれらのセンサ14から取得することができる。決定装置がサーバでない場合、例えば、決定装置が空気調和機10の空調制御部12または端末装置70である場合、決定装置はサーバを経由してセンサ14から制御に利用される情報を取得してもよい。
【0053】
<換気装置50>
換気装置50は、室外空気を室内に供給するように構成された装置であり、室外機とともに室外に取り付けられることが好ましい。換気装置50は、加湿された室外空気を制御空間に供給することによって、制御空間の室内空気を加湿することができる。同様に、換気装置50は、除湿された室外空気を制御空間に供給することによって、制御空間の室内空気を除湿することができる。換気装置50の具体的な構造および動作については、後に図2を参照しながら説明する。
【0054】
<端末装置70>
端末装置70は、空気調和機10に関連する装置である。端末装置70は、例えば、空気調和機10のコントローラであってもよく、複数種類の家電製品を同時に管理・制御できるコントローラであってもよい。また、端末装置70は、空気調和機10との間でデータ通信を行うことができる情報端末、例えば、専用の関連アプリケーション72が組み込まれたスマートフォン、携帯電話、モバイルフォン、タブレット、ウェアラブル装置、コンピュータなどであってもよい。
【0055】
サーバ80または空調制御部12は、端末装置70を介してユーザが入力した設定または指令を取得することができる。一般的には、端末装置70はグラフィックユーザインタフェース(graphical user interface、GUI)を表示するためのディスプレイを含む。ただし、音声ユーザインタフェース(voice User Interface、VUI)を介してユーザと相互作用する場合、ディスプレイの代わりに、またはディスプレイに加えて、端末装置70はスピーカとマイクとを含んでもよい。
【0056】
<サーバ80>
サーバ80は、例えば、少なくとも1つの空気調和機10を管理するため、またはデータを収集するための空気調和機10の製造会社の管理サーバであってもよい。または、サーバ80は、アプリケーションサーバであってもよい。
【0057】
サーバ80は、サーバ記憶部82と、サーバ制御部14と、サーバ通信部86とを含む。サーバ通信部86は、サーバ制御部84と協働して、空気調和機10や端末装置70等とインターネットパケットを送受信する、すなわち、通信することもできる。サーバ80はサーバ通信部86を介して、空気調和機10から空気調和機10のセンサ14の検出値の履歴を受信してもよく、外部情報源90から過去、現在または未来の天気情報を受信してもよい。
【0058】
1つの実施例において、サーバ80は決定装置として実施される。この場合、サーバ記憶部82を決定装置の決定装置記憶部として実施し、サーバ制御部84を決定装置の決定装置制御部として実施する。サーバ記憶部82は、空気調和機10の運転モードを決定するための複数の決定条件を記憶する。サーバ制御部84は、サーバ記憶部82から決定条件を取得し、サーバ通信部86を介して空気調和機10のセンサ14の検出値を取得し、空気調和機10の運転モードを決定する。
【0059】
<外部情報源90>
外部情報源90は、空気調和機10と直接的に関わらないサービスに関する情報、例えば、気象情報や、特定の地域の空気の質に関する情報を提供する情報源である。例えば、外部情報源90は気象庁のウェブサイトであってもよい。サーバ80は、外部情報源90から取得する情報を空気調和機10または端末装置70に転送してもよい。空気調和機10は、外部情報源90と直接的に接続して、運転モードの決定に必要な情報の一部を外部情報源90から取得してもよく、サーバ80または端末装置70を介して外部情報源90と間接的に接続して必要な情報を取得してもよい。
【0060】
<換気装置による加湿機能および換気除湿の除湿機能>
以下、空気調和機10の、特に換気装置50の除湿機能および加湿機能に関する機械構成について図面を参照しながら説明する。なお、注意すべきことに、図2~5を用いて説明する除湿機能は、第2冷房除湿モードにおいて実行される換気除湿であり、絞り除湿ではない。以下、換気除湿の除湿制御を「換気除湿制御」または「換気除湿運転」と略称する場合がある。
【0061】
図2は、本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図である。図2は、特には除湿機能および加湿機能を実施する機械構成を示す観点から作成された概略図である。
【0062】
図2に示すように、本実施の形態に係る空気調和機10は、空調対象の室内Rinに配置される室内機20と、室外Routに配置される室外機30とを有する。
【0063】
室内機20には、室内空気A1と熱交換を行う室内熱交換器22と、室内空気A1を室内機20内に誘引するとともに、室内熱交換器22と熱交換した後の室内空気A1を室内Rinに吹き出すファン24とが設けられている。
【0064】
室外機30には、室外空気A2と熱交換を行う室外熱交換器32と、室外空気A2を室外機30内に誘引するとともに、室外熱交換器32と熱交換した後の室外空気A2を室外Routに吹き出すファン34とが設けられている。また、室外機30には、室内熱交換器22および室外熱交換器32と冷凍サイクルを実行する圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40が設けられている。
【0065】
室内熱交換器22、室外熱交換器32、圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40それぞれは、冷媒が流れる冷媒配管によって接続されている。第1除湿冷房運転モードおよび第2除湿冷房運転モードにおいて、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室外熱交換器32、膨張弁38、室内熱交換器22を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。加湿暖房運転の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室内熱交換器22、膨張弁38、室外熱交換器32を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。
【0066】
空気調和機10は、冷凍サイクルよる空調運転の他に、室外空気A3を室内Rinに導入して除加湿の機能を実行する。そのために、空気調和機10は、換気装置50を有する。換気装置50は、室外機30に設けられている。
【0067】
図3は、換気装置の概略図である。
【0068】
図3に示すように、換気装置50は、その内部に室外空気A3、A4が通過する吸収材52を備える。
【0069】
吸収材52は、空気が通過可能な部材であって、通過する空気から水分を捕集するまたは通過する空気に水分を与える部材である。本実施の形態の場合、吸収材52は、円盤状であって、その中心を通過する回転中心線C1を中心にして回転する。吸収材52は、モータ54によって回転駆動される。
【0070】
吸収材52は、空気中の水分を収着する高分子収着材が好ましい。高分子収着材は、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体から構成される。高分子収着材は、シリカゲルやゼオライトなどの吸着材に比べて、同一体積あたり水分を吸収する量が多く、低い加熱温度で担持する水分を脱着することができ、そして水分を長時間担持することができる。
【0071】
換気装置50の内部には、吸収材52をそれぞれ通過し、室外空気A3、A4がそれぞれ流れる第1の流路P1と第2の流路P2とが設けられている。第1の流路P1と第2の流路P2は、異なる位置で吸収材52を通過する。
【0072】
第1の流路P1は、室内機20内に向かう室外空気A3が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3は、換気導管56を介して、室内機20内に供給される。
【0073】
本実施の形態の場合、第1の流路P1は、吸収材52に対して上流側に複数の支流路P1a、P1bを含んでいる。なお、本明細書において、「上流」および「下流」は、空気の流れに対して使用される。
【0074】
複数の支流路P1a、P2aは、吸収材52に対して上流側で合流する。複数の支流路P1a、P1bそれぞれには、室外空気A3を加熱する第1および第2のヒータ58、60が設けられている。
【0075】
第1および第2のヒータ58、60は、同一の加熱能力を備えるヒータであってもよいし、異なる加熱能力を備えるヒータであってもよい。また、第1および第2の加熱ヒータ58、60は、電流が流れて温度が上昇すると電気抵抗が増加する、すなわち過剰な加熱温度の上昇を抑制することができるPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが好ましい。ニクロム線やカーボン繊維などを用いるヒータの場合、電流が流れ続けると加熱温度(表面温度)が上昇し続けるため、その温度をモニタリングする必要がある。PTCヒータの場合、ヒータ自体が加熱温度を一定の温度範囲内で調節するために、加熱温度をモニタリングする必要がなくなる。
【0076】
第1の流路P1には、室内機20内に向かう室外空気A3の流れを発生させる第1のファン62が設けられている。本実施の形態の場合、第1のファン62は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第1のファン62が作動することにより、室外空気A3が、室外Routから第1の流路P1内に流入し、吸収材52を通過する。
【0077】
また、第1の流路P1には、第1の流路P1を流れる室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)または室外Routに振り分けるダンパ装置64が設けられている。本実施の形態の場合、ダンパ装置64は、第1のファン62に対して下流側に配置されている。ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられた室外空気A3は、換気導管56を介して室内機20内に入り、ファン24によって室内Rinに吹き出される。
【0078】
第2の流路P2は、室外空気A4が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3と異なり、第2の流路P2を流れる室外空気A4は、室内機20に向かうことはない。第2の流路P2を流れる室外空気A4は、吸収材52を通過した後、室外Routに流出する。
【0079】
第1の流路P1には、室外空気A4の流れを発生させる第2のファン66が設けられている。本実施の形態の場合、第2のファン66は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第2のファン66が作動することにより、室外空気A4が、室外Routから第2の流路P2内に流入し、吸収材52を通過し、そして室外Routに流出する。
【0080】
換気装置50は、吸収材52、モータ54、第1のヒータ58、第2のヒータ60、第1のファン62、ダンパ装置64、および第2のファン66を選択的に使用して加湿運転および換気除湿の除湿運転を選択的に実行する。
【0081】
図4は、加湿運転中の換気装置の概略図である。
【0082】
加湿運転は、室外空気A3を加湿し、その加湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。図4に示すように、加湿運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、ON状態であって、それにより第2の流路P2内を室外空気A4が流れている。
【0083】
このような加湿運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、加熱されていない場合に比べて、吸収材52からより多量の水分を奪うことができる。それにより、室外空気A3が多量の水分を担持する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような加湿運転により、多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが加湿される。
【0084】
なお、第1のヒータ58と第2のヒータ60のいずれか一方をOFF状態にすることによって室外空気A3が吸収材52から奪う水分量を少なくする、すなわち室内Rinの加湿量が少ない弱加湿運転が実行されてもよい。
【0085】
加熱された室外空気A3に水分が奪われることにより、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥する。吸収材52が乾燥すると、第1の流路P1を流れる室外空気A3は吸収材52から水分を奪うことができない。その対処として、吸収材52は、第2の流路P2を流れる室外空気A4から水分を奪う。それにより、吸収材52の保水量がほぼ一定に維持され、加湿運転を継続することができる。
【0086】
図5は、第2冷房除湿モードにおいて実行される換気除湿の除湿運転中の換気装置の概略図である。
【0087】
第2冷房除湿モードにおいて実行される換気除湿の除湿運転は、室外空気A3を除湿し、その除湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。図5に示すように、換気除湿運転では、吸着運転と再生運転とが交互に実行される。
【0088】
吸着運転は、室外空気A3に担持されている水分を吸収材52に吸着させ、それにより室外空気A3を換気除湿する運転である。図5に示すように、吸着運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0089】
このような吸着運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。このとき、室外空気A3に担持されている水分が吸収材52に吸着する。それにより、室外空気A3の水分の担持量が減少する、すなわち室外空気A3が乾燥される。吸収材52を通過して乾燥した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような吸着運転により、乾燥した室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが換気によって除湿される。
【0090】
吸着運転が続くと、吸収材52の保水量が増加し続け、その結果、室外空気A3に担持されている水分に対する吸収材52の吸着能力が低下する。その吸着能力を回復するために吸収材52を再生させる再生運転が実行される。
【0091】
再生運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を、室内機20ではなく、室外Routに振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0092】
このような再生運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、吸収材52から多量の水分を奪う。それにより、室外空気A3に多量の水分が担持される。それとともに、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥してその吸着能力が再生する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室外Routに振り分けられ、室外Routに排出される。これにより、換気除湿の除湿運転における再生運転中に、吸収材52の再生によって多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給されることがない。
【0093】
このような吸着運転と再生運転を交互に行うことにより、吸収材52の吸着能力が維持され、換気除湿の除湿運転を継続的に実行することができる。
【0094】
空気調和機10は、第2除湿冷房モードにおいて換気除湿を行えば、乾燥した室外空気A3を制御空間に供給することで効率的に除湿できるとともに、室内温度を降下させ過ぎない。むしろ、冷房運転時に一般的に室内空気より熱い室外空気A3を制御空間に供給することは、顕熱負荷を制御空間に投入することになる。また、室外空気A3が再生運転中に加熱された吸収材52を通ってから制御空間に入ることも、顕熱負荷を制御空間に投入することに繋がる。よって、換気除湿が実行される第2冷房除湿モードによれば、制御空間の室内温度を維持しながら除湿することができる。
【0095】
<絞り除湿の除湿制御>
次に、第1除湿冷房モードおよび第2除湿冷房モードにおいて実行され得る、空気調和機10の膨張弁38を絞る絞り除湿の除湿制御(以下、「絞り除湿制御」と略称する場合がある。)について説明する。絞り除湿制御は、室内熱交換器22内の冷媒流路の設定、および空気調和機10の膨張弁38の開度に対する制御によって実現される。
【0096】
まず、室内熱交換器22内の冷媒流路の設定について説明する。
【0097】
図6は、内部構造を示す室内機の側面図である。なお、図に示すU-V-W直交座標系は、実施の形態の理解を容易にするためのものであって、実施の形態を限定するものではない。U軸方向は室内機20の左右方向を示し、V軸方向は前後方向を示し、W軸方向は高さ方向を示している。
【0098】
本実施例の場合、図6に示すように、ファン24の回転中心線の延在方向視(U軸方向視)で、室内熱交換器22は、ファン24を部分的に囲むように(本実施の形態の場合はファン24の下方を除いて囲むように)室内機20の筺体142内に設けられている。室内熱交換器22はまた、ファン24の後方に位置する第1の部分22aと、ファン24の前側に位置する第2の部分22bとから構成されている。このような室内熱交換器22内を、圧縮機36から供給された冷媒が流れる。
【0099】
図7は、熱交換器および熱交換器温度センサの概略図である。熱交換器22は、「湿りパスPA1」と「乾きパスPA2」とを含む。「湿りパスPA1」および「乾きパスPA2」は、空気調和機10の絞り除湿運転時に圧縮機36の周波数を膨張弁38の開度を制御することによって、室内熱交換器22に生じる湿った領域および乾いた領域を示す。具体的には、湿りパスPA1は、絞り除湿運転おいて圧縮機36の周波数及び膨張弁38の開度を小さくすることによって、室内熱交換器22における冷媒の流れ方向の上流側に形成される湿った領域である。乾きパスPA2は、絞り除湿運転おいて圧縮機36の周波数及び膨張弁38の開度を小さくすることによって、室内熱交換器22において湿りパスPA1の下流側に形成される乾いた領域である。
【0100】
次に、膨張弁38の開度に対する制御について説明する。
【0101】
膨張弁38の開度は、ステッピングモータによって調整可能である。膨張弁38を絞るにつれて、すなわち、膨張弁38の開度の減少につれて、膨張弁38を通る冷媒の流量が減少する。また、液体の冷媒が膨張弁38を通ると、減圧された液体の冷媒になるが、絞る前と比べて、絞った膨張弁38を通った液体の冷媒の減圧される幅が減少する。すると、液体の冷媒が室内熱交換器22の比較的に上流側で蒸発し切って、制御空間から吸収できる熱量が減少し、室内温度の降下も減少する。絞り除湿制御は、この特性を利用して、室内温度を維持しながら除湿することができる。
【0102】
絞り除湿制御のため、室内熱交換器22に複数の温度センサが設けられ得る。図7の実施例において、第1熱交換器温度センサT1は、室内熱交換器22において冷媒の流れ方向の上流側であって、室内熱交換器22内に冷媒が流入する流入部分より下流の部分の温度を取得する。具体的には、第1熱交換器温度センサT1は、湿りパスPA1の入口より下流の湿りパスPA1の出口における室内熱交換器22の温度を取得する。湿りパスPA1の出口とは、室内熱交換器22における冷媒流路の上流側であって、冷媒流路の下流側と比べて比較的温度の低い冷媒が流れる部分の出口である。第2熱交換器温度センサT2は、室内熱交換器22において冷媒の流れ方向の下流側の領域の温度を取得する。第2熱交換器温度センサT2は、冷媒の流れ方向において、第1熱交換器温度センサT1よりも下流側の室内熱交換器22の温度を取得する。
【0103】
上述したような冷媒の流れによると、室内熱交換器22の第1の部分22aおよび第2部分22bのそれぞれに温度が比較的低下する除湿部分(すなわち、「湿りパスPA1」の部分)が発生する。除湿部分は、室内熱交換器22において冷媒の流れ方向の上流側に位置する。冷媒は室内熱交換器22の他の部分を流れている間に温度が上昇するので、乾きパスPA2では、湿りパスPA1の温度より高く、室内温度を降下させ過ぎることが生じない。よって、絞り除湿が実行される第1除湿冷房モードおよび第2冷房除湿モードによれば、制御空間の室内温度を維持しながら除湿することができる。
【0104】
ここまでは、本実施の形態に係る空気調和機10の構成、動作、ならびに、実行し得る加湿制御、換気除湿制御、および絞り除湿制御について概略的に説明してきた。ここからは、本実施の形態に係る空気調和機10を用いた、空気調和機10の運転モードを決定するための決定方法、決定装置およびプログラムの特徴について説明する。
【0105】
<空気調和機10の運転モードを決定するための決定方法>
決定装置は、空気調和機10の運転モードを決定するための決定方法を実行する。当該決定方法によれば、自動運転モード中に、湿度制御を考慮して適切な運転モードを自動的に決定することができる。以下、空気調和機10を決定装置として実行する態様を用いて本開示の決定装置を説明するが、これに限らない。
【0106】
決定装置が空気調和機10である場合、空調制御部12は空調記憶部11およびセンサ14と協働し、決定方法を実行する。図8は、実施の形態1における決定方法の一例のフローチャートであり、決定方法はステップS100~ステップS400を含む。
【0107】
1つの実施例において、空調制御部12は、空気調和機10がユーザの指令より自動運転モードに入ってから、ステップS100~ステップS400を実行することによって自動制御の機能を発揮してもよい。
【0108】
決定方法において、空調制御部12は複数の決定条件を取得する(ステップS100)。例えば、空調制御部12は、空調記憶部11から記憶された決定条件を読み出すこと、または、空調通信部13を介してサーバ80から受信することによって、複数の決定条件を取得する。決定条件のそれぞれが、1つの運転モードに対応する。すなわち、決定条件のそれぞれに対して、1つの運転モードが割り当てられる。後述するように、空調制御部12は、ある決定条件が満たされたと判断する場合、当該決定条件に対応する運転モードを空気調和機10が行うべき運転モードとして決定する。
【0109】
決定され得る運転モード、すなわち、決定条件に振り当てられる運転モードは、第1除湿冷房モード、および、第2除湿冷房モードを含む。また、決定され得る運転モードは、加湿暖房モードをさらに含んでもよい。このようにすれば、空調制御部12は、第1除湿冷房モード、第2除湿冷房モード、および加湿暖房モードの中から、1つの運転モードを決定する。
【0110】
制御空間の湿度制御を行うために、好ましくは、決定され得る運転モードのすべてが、除湿制御または加湿制御が実行可能な運転モードである。このようにすれば、適切な湿度制御の行われる運転モードを決定することができ、快適な温度と快適な湿度とともに有する環境を制御空間にいるユーザに提供することができる。
【0111】
第1除湿冷房モードにおいて、少なくとも1つ除湿制御が実行される。例えば、第1除湿冷房モードにおいて、上述した絞り除湿の除湿制御が実行され得る。空調制御部12は、第1除湿冷房モードにおいて、冷房運転を行うとともに、制御空間内の湿度が快適範囲に維持するように、絞り除湿も行う。上述したように、絞り除湿制御によれば、絞った膨張弁38を通った液体の冷媒の減圧される幅が減少し、制御空間から熱量を吸収するが、室内温度を降下させ過ぎることが生じない。よって、空気調和機10は制御空間内の温度と湿度とともに快適範囲に維持することができる。
【0112】
第2除湿冷房モードにおいて、複数の除湿制御が実行される。例えば、第2除湿冷房モードにおいて、絞り除湿制御の他、上述した換気除湿制御も実行され得る。絞り除湿制御および換気除湿制御は複合的に実行され得て、例えば、同時に実行され得る。この場合において、空調制御部12は、膨張弁38の開度を抑えつつ、換気装置50を用いて乾燥した室外空気を制御空間に供給する。このように複数の除湿制御を複合的に実行することによって、より効率的に除湿することができる。また、上述したように、換気除湿制御を実行するときに顕熱負荷を制御空間に投入することに繋がるため、制御空間の室内温度を維持しながら除湿することに貢献する。
【0113】
なお、第2冷房除湿モードにおいて、全期間で絞り除湿制御および換気除湿制御を同時に実行しなくてもよい。例えば、第2冷房除湿モード内の一定期間において、絞り除湿制御のみを実行してもよく、換気除湿制御のみを実行してもよく、または除湿制御をしなくてもよい。
【0114】
運転モードを決定するための決定条件のそれぞれは、少なくとも1つのサブ条件を含む。1つの実施例において、決定条件が、空気調和機10の制御空間の室内温度および外気温度の少なくとも1つに関連する温度サブ条件を含んでもよい。例えば、ある決定条件は、「室内温度が第1室内温度閾値以上である、かつ、外気温度が第1外気温度閾値以上である」という温度サブ条件を含んでもよい。決定条件の詳細および他の例示は、後に説明する。
【0115】
空調制御部12は、さらに制御空間の室内温度および外気温度を取得する(ステップS200)。1つの実施例において、空調制御部12は、ステップS200を行うときに室内温度センサ14aおよび外気温度センサ14bに室内温度および外気温度を問い合わせることによって、室内温度および外気温度を取得する。1つの実施例において、室内温度センサ14aおよび外気温度センサ14bは、定期的に制御空間の室内温度および外気温度を検出して、検出値を空調記憶部11に書き込む。空調制御部12は、空調記憶部11から、最新の室内温度および外気温度の検出値を読み出すことによって、室内温度および外気温度を取得する。1つの実施例において、空調制御部12は、空調通信部13を介して、外部情報源90、サーバ80または端末装置70から外気温度を受信することによって、外気温度を取得する。
【0116】
次に、空調制御部12は、ステップS100で取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、取得した室内温度、および取得した外気温度に基づいて、1つの決定条件を選択する(ステップS300)。例えば、空調制御部12は、複数の決定条件のそれぞれにおいて、取得した室内温度および取得した外気温度が温度サブ条件を満たしているか否かについて、判断する。ステップS300において、空調制御部12は、取得した室内温度および取得した外気温度が温度サブ条件を満たすと判断された決定条件を選択する。
【0117】
そして、空調制御部12は、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機10の運転モードとして決定する(ステップ400)。その後、空調制御部12は、決定結果の運転モードにしたがって空気調和機10を制御してもよい。仮に選択した決定条件が第2冷房除湿モードに対応する場合、空調制御部12は、第2冷房除湿モードを空気調和機10の運転モードとして決定し、第2冷房除湿モードを実行する。
【0118】
1つの実施例において、取得した室内温度および外気温度が複数の決定条件を満たしている場合、空調制御部12は、これらの決定条件を全部選択する。この場合、空調制御部12は、他のサブ条件に基づいて、選択した決定条件から1つをさらに選択し、さらに選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機10の運転モードとして決定してもよい。
【0119】
図9は、実施の形態1における決定基準の概略図であり、図10は、実施の形態1における決定条件の概略図である。本開示の決定基準とは、複数の決定条件の集合を指す。
【0120】
図9に示された決定基準は、図10に示された条件番号(1)~(5)の決定条件を含み、決定条件のそれぞれは、各自の温度サブ条件を含み、1つの運転モードに対応する。図9および図10に示された温度サブ条件は、複数の室内温度閾値Tin(例えば、Tin1、Tin2)および/または複数の外気温度閾値Tout(例えば、Tout1、Tout2)によって規定され得る。この例示において、第1室内温度閾値Tin1が第2室内温度閾値Tin2より低く、第1外気温度閾値Tout1が第2外気温度閾値Tout2より低い。
【0121】
例えば、条件番号(1)の決定条件は、「室内温度が第2室内温度閾値Tin2以上である」という温度サブ条件を含み、第1除湿冷房モードに対応する。条件番号(3)の決定条件は、「外気温度が第2外気温度閾値Tout2以上である、かつ、室内温度が第2室内温度閾値Tin2未満である」という温度サブ条件を含み、第2除湿冷房モードに対応する。条件番号(5)の決定条件は、「外気温度が第1外気温度閾値Tout1以上であって第2外気温度閾値Tout2未満である、かつ、室内温度が第1室内温度閾値Tin1未満である」という温度サブ条件を含み、加湿暖房モードに対応する。
【0122】
これらの温度閾値は、ユーザが感じ得る温度感覚に応じて設定され得る。例えば、第1室内温度閾値Tin1または第1外気温度閾値Tout1は、それ未満だと寒く感じる温度であり、第2室内温度閾値Tin2または第2外気温度閾値Tout2は、その以上だと暑く感じる温度である。なお、設定された室内温度閾値Tinの数と外気温度閾値Tout1の数とは異なってもよく、それぞれが異なる数値であってもよい。
【0123】
これらの温度閾値は、季節(例えば、夏季、冬季、雨季、乾季、その他)ごと、月ごと、または地域(例えば、北半球の寒帯地域、南半球の熱帯地域、北半球の砂漠地域など)に基づいて設定され得る。
【0124】
空調記憶部11に記憶された決定基準、決定条件、サブ条件、または様々な閾値は、空調通信部13を介して更新され得る。例えば、ユーザが引っ越して空気調和機10が新しい場所に設定された後、空調制御部12は、新しい場所の地域や季節に応じた数値をサーバ80から取得して決定条件を更新してもよい。
【0125】
以上、空気調和機10を決定装置として実行する態様を説明した。空気調和機10の他、サーバ80または端末装置70を決定装置として実行可能である。サーバ80または端末装置70が決定装置として決定方法を実行する場合、サーバ80または端末装置70は、インターネットなどを介してセンサ14から制御空間の室内温度および外気温度を取得する。そして、サーバ80または端末装置70は、空気調和機10の運転モードを決定し、インターネットなどを介して決定した結果を空気調和機10に送信する。空気調和機10が決定された運転モードを受信すると、当該結果にしたがって運転する。また、決定装置としてのサーバ80または端末装置70は、ステップS200において、外部情報源90から直接的に外気温度を取得してもよい。
【0126】
空調制御部12は、空気調和機10の自動運転モード中に、ステップS200~ステップS400を複数回繰り返して実行してもよい。例えば、空調制御部12は、一定時間ごとに(10分ごとに、15分ごとに、30分ごとに、1時間ごとになど)ステップS200~ステップS400を実行し、制御空間の快適性を維持する。
【0127】
これにより、温度サブ条件に基づく運転モードの決定処理は完了する。決定方法および決定装置は、室内温度、室外温度および決定条件に基づいて、湿度制御を実行する運転モードを決定するため、快適な温度と快適な湿度とともに有する環境を制御空間にいるユーザに提供することができる。また、決定方法および決定装置は、制御空間の状況に応じて、1種類の除湿制御を実行する第1除湿冷房モードと、複数種類の除湿制御を複合的に実行する第2除湿冷房モードとを使い分けることができる。よって、より適切な湿度制御が可能となり、温度制御および湿度制御の両立を達成することができる。
【0128】
1つの実施例において、決定装置(例えば、空調制御部12、サーバ80または端末装置70)は、上述したような決定方法を実行するために使用されるプログラムを有する。当該プログラムは、決定方法を決定装置に実行させる。
【0129】
《実施の形態2》
<室内温度と設定温度との温度差に基づく決定>
実施の形態2において、少なくとも1つの決定条件は温度差サブ条件を含む。決定装置(例えば、空気調和機10)は、温度サブ条件および温度差サブ条件に基づいて、空気調和機10の運転モードを決定することができる。以下、空気調和機10の空調制御部12を決定装置とする実施例を説明する。
【0130】
ステップS100で取得した決定条件のうち、少なくとも1つの決定条件は温度差サブ条件を含む。温度差サブ条件は、制御空間の室内温度と空気調和機10に対する設定温度との温度差に関連する。本開示における設定温度とは、ユーザが空気調和機10のコントローラや空気調和機10と関連付けられたスマートフォン等を介して入力したユーザ設定温度であってもよく、空気調和機10が実際に運転する内部設定温度であってもよい。
【0131】
1つの実施例において、温度差サブ条件は、室内温度と設定温度との温度差の絶対値が温度差閾値より小さいことを含む。このような温度差サブ条件によれば、室内温度が設定温度に近づいている程度について判断可能となる。室内温度がすでに設定温度に相当に近づいている場合、空調制御部12は、温度制御よりも湿度制御に重心をおいて空気調和機10を運転させてもよい。例えば、温度差サブ条件は、温度差の絶対値が温度差閾値より小さくなったと、比較的に強力な除湿機能を有する第2除湿冷房モードが適用されるように設定され得る。温度差閾値は、例えば、0.5℃、1℃、2℃、3℃であってもよい。
【0132】
図11は、実施の形態2における決定方法の一例のフローチャートである。実施の形態2に係る決定方法は、空気調和機10に対する設定温度を取得する(ステップS220)をさらに含む。空調制御部12は、設定温度を取得し、室内温度と設定温度との温度差の絶対値を計算する。
【0133】
ステップS300においては、空調制御部12は、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、温度差サブ条件、取得した室内温度、取得した外気温度、および取得した設定温度に基づいて1つの決定条件を選択する。空調制御部12は、複数の決定条件のそれぞれおいて、取得した室内温度、取得した外気温度、および計算した温度差の絶対値が温度サブ条件および温度差サブ条件を満たしているか否かについて判断する。ステップS300において、空調制御部12は、取得した室内温度、取得した外気温度、および計算した温度差の絶対値が温度サブ条件と温度差サブ条件を満たすと判断された決定条件を選択する。
【0134】
そして、空調制御部12は、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機10の運転モードとして決定する(ステップ400)。その後、空調制御部12は、決定結果の運転モードにしたがって空気調和機10を制御してもよい。
【0135】
図12は、実施の形態2における決定基準の概略図であり、図13は、実施の形態2における決定条件の概略図である。
【0136】
図12に示された決定基準は、図13に示された条件番号(11)~(19)の決定条件を含む。決定条件のそれぞれは、各自の温度サブ条件を含み、1つの運転モードに対応する。そして、条件番号(12)~(14)、(18)の決定条件は温度差サブ条件をさらに含む。温度差サブ条件は、少なくとも1つの温度差閾値によって規定され得る。
【0137】
例えば、条件番号(11)の決定条件は、「室内温度が第3室内温度閾値Tin3以上である」という温度サブ条件のみを含み、第1除湿冷房モードに対応する。条件番号(12)の決定条件は、「外気温度が第1外気温度閾値Tout1以上であって第2外気温度閾値Tout2未満である、かつ、室内温度が第2室内温度閾値Tin2以上であって第3室内温度閾値Tin3未満である」という温度サブ条件を含む。条件番号(12)の決定条件は、さらに、「温度差の絶対値が温度差閾値未満である」という温度差サブ条件のみを含み、第2除湿冷房モードに対応する。条件番号(15)の決定条件は、「外気温度が第1外気温度閾値Tout1未満である、かつ、室内温度が第3室内温度閾値Tin3未満である」という温度サブ条件のみを含み、加湿暖房モードに対応する。
【0138】
1つの実施例において、制御空間の状況が特定の温度サブ条件を満たしたうえで、温度差サブ条件も満たした場合、空調制御部12は第2除湿冷房モードを運転モードとして決定する。それは、このような場合なら、室内温度は十分に涼しくなっているので、湿度制御を優先的に実行してもよいと考えられるためである。
【0139】
これにより、温度サブ条件および温度差サブ条件に基づく運転モードの決定処理は完了する。決定方法および決定装置は、室内温度と設定温度との温度差をさらに考慮するため、より適切に運転モードを決定して、より快適な環境を提供することができる。例えば、温度差サブ条件によって、第1除湿冷房モードと、複数種類の除湿制御を複合的に実行する第2除湿冷房モードとをより細かく使い分けることができる。
【0140】
《実施の形態3》
<室内湿度に基づく決定>
実施の形態3において、少なくとも1つの決定条件は湿度サブ条件を含む。決定装置(例えば、空気調和機10)は、温度サブ条件および湿度サブ条件に基づいて、空気調和機10の運転モードを決定することができる。以下、空気調和機10の空調制御部12を決定装置とする実施例を説明する。
【0141】
ステップS100で取得した決定条件のうち、少なくとも1つの決定条件は湿度サブ条件を含む。湿度サブ条件は、制御空間の室内湿度に関連する。湿度サブ条件は、少なくとも1つの温度差閾値によって規定され得る。湿度サブ条件は、室内湿度が湿度閾値以上であることを含む。このような湿度サブ条件によれば、より強力な除湿が必要であるほど室内湿度が高いか否かについて判断可能となる。湿度閾値は、後述するように不快指数などの快適指標に基づいて設定され得る。例えば、湿度閾値は、75%RH、80%RH、85%RHであってもよい。
【0142】
図14は、実施の形態3における決定方法の一例のフローチャートである。実施の形態3に係る決定方法は、制御空間の室内湿度を取得する(ステップS240)をさらに含む。空調制御部12は、湿度センサ14cまたは空調記憶部11から室内湿度を取得してもよい。
【0143】
ステップS300においては、空調制御部12は、取得した複数の決定条件から、温度サブ条件、湿度サブ条件、取得した室内温度、取得した外気温度、および取得した室内湿度に基づいて1つの決定条件を選択する。空調制御部12は、複数の決定条件のそれぞれにおいて、取得した室内温度、取得した外気温度、および取得した室内湿度温度サブ条件および湿度サブ条件を満たしているか否かについて、判断する。ステップS300において、空調制御部12は、取得した室内温度、取得した外気温度、および取得した室内湿度が温度サブ条件と湿度サブ条件を満たすと判断された決定条件を選択する。
【0144】
そして、空調制御部12は、選択した決定条件に対応する運転モードを、空気調和機10の運転モードとして決定する(ステップ400)。その後、空調制御部12は、決定結果の運転モードにしたがって空気調和機10を制御してもよい。
【0145】
図15は、実施の形態3における決定基準の概略図であり、図16は、実施の形態3における決定条件の概略図である。
【0146】
図15に示された決定基準は、図16に示された条件番号(21)~(28)の決定条件を含む。決定条件のそれぞれは、各自の温度サブ条件を含み、1つの運転モードに対応する。そして、条件番号(21)~(24)の決定条件は湿度サブ条件をさらに含む。
【0147】
例えば、条件番号(22)の決定条件は、「外気温度が第1外気温度閾値Tout1以上である、かつ、室内温度が第2室内温度閾値Tin2以上である」という温度サブ条件、および「室内湿度が湿度閾値以上である」という湿度サブ条件を含み、第2除湿冷房モードに対応する。条件番号(24)の決定条件は、条件番号(22)の決定条件と同じ温度サブ条件を含み、「室内湿度が湿度閾値未満である」という湿度サブ条件をさらに含み、第1除湿冷房モードに対応する。条件番号(25)の決定条件は、「外気温度が第1外気温度閾値Tout1未満である、かつ、室内温度が第3室内温度閾値Tin3未満である」という温度サブ条件のみを含み、加湿暖房モードに対応する。
【0148】
そして、上述したように、湿度閾値は、快適指標に基づいて設定され得る。快適指標とは、制御空間内の快適性を示す指標であり、例えば、不快指数(discomfort index(DI)、または temperature-humidity index(THI))、予測温冷感申告(Predicted Mean Vote、PMV)指数、予測不快者率(Predicted Percentage of Dissatisfied、PPD)または標準有指数効温度(standard new effective temperature、SET*)であってもよい。
【0149】
例えば、不快指数は室内温度および室内湿度(相対湿度)に基づいて計算される。不快指数が65~70である場合、ユーザが快適と感じ、不快指数が75以上である場合、ユーザが蒸せると不快に感じる。一方、室内温度が一般的な冷房制御範囲内である場合、不快指数が75未満なら、約9割のユーザが快適性に満足できる。
【0150】
不快指数の計算式によると、室内温度が25℃以上であれば、室内湿度を80%RHよりも下げることで、制御空間内は快適な状況となりえる。図15および図16に示された決定条件において、不快指数を考慮して、第2室内温度閾値Tin2を25℃に設定し、湿度閾値を80%RHに設定してもよい。また、制御空間内の快適指数が特定の目標値になるように、例えば、不快指数が65~70になるように、室内温度閾値および湿度閾値を設定してもよい。
【0151】
前述した室内温度の快適範囲および室内温度閾値も、不快指数などの快適指標に基づいて設定され得る。例えば、図12図13の実施例において、最も快適と思われる温度範囲20℃~25℃に基づいて、第1室内温度閾値Tin1を20℃に設定し、第2室内温度閾値Tin2を25℃に設定してもよい。
【0152】
これにより、温度サブ条件および湿度サブ条件に基づく運転モードの決定処理は完了する。決定方法および決定装置は、室内湿度をさらに考慮するため、より適切に運転モードを決定して、より快適な環境を提供することができる。例えば、湿度サブ条件によって、第1除湿冷房モードと、複数種類の除湿制御を複合的に実行する第2除湿冷房モードとをより細かく使い分けることができる。
【0153】
上述した実施の形態1~3の換気制御技術は組み合わせ得て、決定装置は、温度サブ条件、温度差サブ条件、および湿度サブ条件の任意の組み合わせに基づいて、空気調和機10の運転モードを決定してもよい。例えば、決定装置は、温度サブ条件および温度差サブ条件に基づいて除湿冷房モードにするか否かを決定してから、さらに湿度サブ条件に基づいて第1除湿冷房モードまたは第2除湿冷房モードにするかを決定してもよい。
【0154】
決定装置は、端末装置70の関連アプリケーション72などを介して、決定した運転モードをユーザに提示してもよい。また、提示後、関連アプリケーション72などを介してユーザの指示(例えば、許否の指示、または決定結果と異なるモードを指す指示)を受け、ユーザの指示にしたがって空気調和機10を制御してもよい。
【0155】
以上は本開示の具体的な実施の形態に過ぎず、本開示の保護範囲はこれに限定されるものではない。本開示は図面および前述した具体的な実施の形態において前述された内容を含むが、本開示がそれらの内容に限定されるものではない。本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、開示された様々の実施の形態または実施例を組み合わせることができる。本開示の機能および構造原理から逸脱しない変更は特許請求の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0156】
10 空気調和機
11 空調記憶部
12 空調制御部
13 空調通信部
14 センサ
14a 室内温度センサ
14b 外気温度センサ
14c 湿度センサ
20 室内機
22 室内熱交換器
22a 第1の部分
22b 第2の部分
24 ファン
30 室外機
32 室外熱交換器
34 ファン
36 圧縮機
38 膨張弁
40 四方弁
50 換気装置
52 吸収材
54 モータ
56 換気導管
58 第1のヒータ
60 第2のヒータ
62 第1のファン
64 ダンパ装置
66 第2のファン
70 端末装置
72 関連アプリケーション
80 サーバ
90 外部情報源
100 制御空間
102 制御領域
142 筺体
A1 室内空気
A2 室外空気
A3 室外空気
A4 室外空気
C1 回転中心線
P1 第1の流路
P2 第2の流路
P1a 支流路
P1b 支流路
PA1 湿りパス
PA2 乾きパス
Rin 室内
Rout 室外
T1 第1熱交換器温度センサ
T2 第2熱交換器温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16