(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065992
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、車両用周辺視認装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/074 20060101AFI20230508BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B60R1/074
B60R1/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176451
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】523099264
【氏名又は名称】美里工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 郁夫
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053GG06
3D053GG12
3D053HH04
3D053HH18
3D053HH52
3D053KK02
3D053KK12
3D053LL05
3D053LL08
(57)【要約】
【課題】保持部材によるモータの保持性能を向上させることができる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、車両用周辺視認装置を提供することにある。
【解決手段】この発明は、シャフト20と、ケーシング60と、モータ6Mと、保持部材6Hと、回転力伝達機構と、を備える。保持部材6Hは、収納部60Hと、嵌合保持凸部61Hと、変形量平均化部62Hと、を有する。この結果、この発明は、保持部材6Hによるモータ6Mの保持性能を向上させることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に装備される車両用周辺視認装置の電動格納ユニットであって、
車体に固定部材を介して固定されるシャフトと、
前記シャフトに前記シャフトの軸周り方向に回転可能に取り付けられている回転部材と、
モータと、
前記モータを保持し、前記モータと共に前記回転部材内に配置されている保持部材と、
前記回転部材内に配置されていて、前記モータの回転力を前記回転部材に伝達して、前記回転部材を前記シャフトの軸周り方向に回転させる回転力伝達機構と、
を備え、
前記保持部材は、
一端が開口されていて、他端が閉塞されている筒形状の側壁を有し、前記モータが収納されている収納部と、
前記収納部の前記側壁の内側面に設けられていて、前記モータを嵌合保持する複数の嵌合保持凸部と、
前記収納部の他端側に設けられていて、前記嵌合保持凸部が含まれている前記収納部の複数の部分の変形量を均す変形量平均化部と、
を有する、
ことを特徴とする車両用周辺視認装置の電動格納ユニット。
【請求項2】
前記変形量平均化部は、複数の前記嵌合保持凸部にそれぞれ対応して設けられている貫通孔を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用周辺視認装置の電動格納ユニット。
【請求項3】
前記側壁の筒形状は、多角形をなしていて、
前記嵌合保持凸部は、前記側壁の各辺にそれぞれ設けられていて、かつ、前記側壁の少なくとも1辺には複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用周辺視認装置の電動格納ユニット。
【請求項4】
複数の前記嵌合保持凸部は、前記側壁の内側面のうち、前記他端から前記一端に向かって少なくとも途中までの間において、前記モータを前記収納部に収納する方向に沿って、線状に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用周辺視認装置の電動格納ユニット。
【請求項5】
車体に固定される固定部材と、
前記車体に前記固定部材を介して装備される視認アセンブリと、
を備え、
前記視認アセンブリは、
視認ユニットと、
前記視認ユニット内に配置されている前記請求項1から4のいずれか1項に記載の電動格納ユニットと、
を備え、
前記電動格納ユニットは、前記視認ユニットを、前記電動格納ユニットのシャフトの軸周り方向に回転させる、
ことを特徴とする車両用周辺視認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用周辺視認装置の電動格納ユニットに関する。また、この発明は、電動格納ユニットを備える車両用周辺視認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、また、電動格納ユニットを備える車両用周辺視認装置としては、例えば、特許文献1に示すものがある。以下、特許文献1の車両用電動格納式視認装置について説明する。
【0003】
特許文献1の車両用電動格納式視認装置(ドアミラー)は、ミラーベースと、ミラー回転部と、電動格納ユニットを具える。電動格納ユニットは、シャフトと、回転体と、モータと、動力伝達機構とを有する。回転体は、モータを保持するモータ保持部材を有する。モータ保持部材は、筒部と爪係合片を有する。筒部は、モータを収容する。爪係合片は、モータの後端面(モータの上部)に係合してモータの移動を係止する。これにより、モータは、モータ保持部材により、保持される。
【0004】
特許文献1の車両用電動格納式視認装置(ドアミラー)は、モータを筒部に組み付ける際に、爪係合片が変形するのを防止するので、爪係合片によるモータの保持性能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、また、電動格納ユニットを備える車両用周辺視認装置においては、保持部材によるモータの保持性能を向上させることが重要である。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、保持部材によるモータの保持性能を向上させることができる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、車両用周辺視認装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の車両用周辺視認装置の電動格納ユニットは、車両の外部に装備される車両用周辺視認装置の電動格納ユニットであって、車体に固定部材を介して固定されるシャフトと、シャフトにシャフトの軸周り方向に回転可能に取り付けられている回転部材と、モータと、モータを保持し、モータと共に回転部材内に配置されている保持部材と、回転部材内に配置されていて、モータの回転力を回転部材に伝達して、回転部材をシャフトの軸周り方向に回転させる回転力伝達機構と、を備え、保持部材が、一端が開口されていて、他端が閉塞されている筒形状の側壁を有し、モータが収納されている収納部と、収納部の側壁の内側面に設けられていて、モータを嵌合保持する複数の嵌合保持凸部と、収納部の他端側に設けられていて、嵌合保持凸部が含まれている収納部の複数の部分の変形量を均す変形量平均化部と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の車両用周辺視認装置の電動格納ユニットにおいて、変形量平均化部は、複数の嵌合保持凸部にそれぞれ対応して設けられている貫通孔を有する、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用周辺視認装置の電動格納ユニットにおいて、側壁の筒形状は、多角形をなしていて、嵌合保持凸部は、側壁の各辺にそれぞれ設けられていて、かつ、側壁の少なくとも1辺には複数設けられている、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用周辺視認装置の電動格納ユニットにおいて、複数の嵌合保持凸部は、側壁の内側面のうち、他端から一端に向かって少なくとも途中までの間において、モータを収納部に収納する方向に沿って、線状に設けられている、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用周辺視認装置は、車体に固定される固定部材と、車体に固定部材を介して装備される視認アセンブリと、を備え、視認アセンブリが、視認ユニットと、視認ユニット内に配置されているこの発明の車両用周辺視認装置の電動格納ユニットと、を備え、電動格納ユニットが、視認ユニットを、電動格納ユニットのシャフトの軸周り方向に回転させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明の車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、車両用周辺視認装置は、保持部材によるモータの保持性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、この発明にかかる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、車両用周辺視認装置の実施形態を示し、ミラーアセンブリの使用位置、後方格納位置および前方格納位置(前方傾倒位置)の平面説明図である。
【
図2】
図2は、電動格納ユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、電動格納ユニットを示す側面図(
図2におけるIII矢視図)である。
【
図4】
図4は、電動格納ユニットの構成部品を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、保持部材を示す平面図(
図5におけるVI矢視図)である。
【
図7】
図7は、保持部材を示す底面図(
図5におけるVII矢視図)である。
【
図8】
図8は、モータを収納部内に収納した時の収納部の変形状態を示す説明図(
図5におけるVIII-VIII線断面説明図)である。
図8(A)は、この発明を実施していない収納部の変形状態を示す説明図である。
図8(B)は、この発明を実施している収納部の変形状態を示す説明図である。
【
図9】
図9は、モータを収納部内に収納した時の収納部の変形状態を模擬的に拡大して示す説明図である。
図9(A)は、この発明を実施していない収納部の変形状態を示す説明図(
図8(A)におけるA部の拡大説明図)である。
図9(B)は、この発明を実施している収納部の変形状態を示す説明図(
図8(B)におけるB部の拡大説明図)である。
【
図10】
図10は、コンピューターシミュレーションによる説明図であって、モータを収納部内に収納した時の収納部の変形量の分布を示す説明図である。
図10(A)は、この発明を実施していない収納部の変形量の分布を示す説明図である。
図10(B)は、この発明を実施している収納部の変形量の分布を示す説明図である。
【
図11】
図11は、
図10と同様に、コンピューターシミュレーションによる説明図であって、モータを収納部内に収納した時の収納部の変形量の分布を示す説明図である。
図11(A)は、この発明を実施していない収納部の変形量の分布を示す説明図である。
図11(B)は、この発明を実施している収納部の変形量の分布を示す説明図である。
【
図12】
図12は、
図10および
図11の収納部の変形量分布説明図に基づいて作図された説明図であって、モータを収納部内に収納した時の収納部の4つの側壁における変形量の分布の概略を示す説明図である。
図12(A1)(A2)(A3)(A4)は、この発明を実施していない収納部の4つの側壁における変形量の分布の概略を示す説明図である。
図12(B1)(B2)(B3)(B4)は、この発明を実施している収納部の4つの側壁における変形量の分布の概略を示す説明図である。
【
図13】
図13は、モータ圧入力(モータを収納部内に収納する時の圧入力)と収納部の変形量との相対関係を示す説明図であって、この発明を実施していない収納部におけるモータ圧入力とこの発明を実施している収納部におけるモータ圧入力との差を示す説明図である。
【
図14】
図14は、モータ圧入力(モータを収納部内に収納する時の圧入力)と収納部の変形量との相対関係を示す説明図であって、この発明を実施していない収納部とモータの寸法公差のばらつきの許容範囲と、この発明を実施している収納部とモータの寸法公差のばらつきの許容範囲との差を示す説明図である。
【
図15】
図15は、変形量平均化部の形状変更例を示す保持部材の平面図である。
【
図16】
図16は、変形量平均化部の形状変更例を示す一部拡大縦断面図(
図15におけるXVI-XVI線断面図)である。
【
図17】
図17は、嵌合保持凸部の形状変更例を示す保持部材の一部拡大縦断面図(
図16に対応する一部拡大縦断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明にかかる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、車両用周辺視認装置の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
なお、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用周辺視認装置を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0017】
なお、図面は、この発明にかかる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、車両用周辺視認装置を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、車両用周辺視認装置の詳細な部分は、図面においては省略されている。また、
図10および
図11は、グレースケールで、図示されている。
【0018】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット、および、この実施形態にかかる車両用周辺視認装置の構成について説明する。
【0019】
図中、符号1は、この実施形態にかかる車両用周辺視認装置、この例では、車両用アウトサイドミラー装置(例えば、特開2014-24387号公報参照。以下、単に「ドアミラー装置1」と称する)である。また、図中、符号6は、この実施形態にかかる車両用周辺視認装置の電動格納ユニット(例えば、特開2016-20151号公報、特開2012-111445号公報参照。以下、単に「電動格納ユニット6」と称する)である。
【0020】
(ドアミラー装置1の説明)
ドアミラー装置1は、図示されていない車両(自動車)の左右のドアD(車体)にそれぞれ装備される。この例のドアミラー装置1は、車両の右側のドアに装備される。
【0021】
以下、右側のドアミラー装置1について図面を参照して詳細に説明する。なお、左側のドアミラー装置は、右側のドアミラー装置1を左右反転させたものであるから、詳細な説明を省略する。右側のドアミラー装置1において、車両の外側は、右側であり、車両の内側は、左側である。
【0022】
ドアミラー装置1は、
図1に示すように、固定部材としてのベース2と、視認アセンブリとしてのミラーアセンブリ3を備える。ベース2は、車体(右側のドアD)に固定される。ミラーアセンブリ3は、車体(右側のドアD)の外部にベース2を介して装備される。
【0023】
(ミラーアセンブリ3の説明)
ミラーアセンブリ3は、
図1に示すように、視認ユニットとしてのミラーユニット3Uと、電動格納ユニット6を備える。
【0024】
ミラーアセンブリ3は、
図1に示すように、ベース2に対して、後記の格納軸V0周り方向に、回転可能である。すなわち、ミラーアセンブリ3は、電動格納ユニット6の作動により、
図1に示すように、格納軸V0を中心として、使用位置P1(セット位置。実線で示されている位置)と後方格納位置P2(一点鎖線で示されている位置)との間、および、使用位置P1と前方格納位置P3(前方傾倒位置。二点鎖線で示されている位置)との間を、回転する。
【0025】
(電動格納ユニット6の説明)
電動格納ユニット6は、
図2から
図4に示すように、シャフト20と、回転部材としてのケーシング60と、モータ6Mと、保持部材(プレート)6Hと、回転力伝達機構と、を有する。回転力伝達機構は、クラッチ機構6C、ギヤ機構6Gおよびその他の機構6E、6Sを備える。
【0026】
電動格納ユニット6の可動部は、電動格納ユニット6の固定部のシャフト20に、シャフト20の軸、すなわち、格納軸V0周り方向に回転可能に取り付けられている。電動格納ユニット6の可動部は、電動格納ユニット6の固定部のシャフト20を除いた、ケーシング60と、モータ6Mと、保持部材6Hと、回転力伝達機構(クラッチ機構6C、ギヤ機構6Gおよびその他の機構6E、6S)と、から構成されている。
【0027】
電動格納ユニット6は、ミラーユニット3Uを、シャフト20の軸、すなわち、格納軸V0周り方向に回転させる。
【0028】
シャフト20の固定部200、ケーシング60、その他の機構のストッパ部材6Sには、第1ストッパ204、603、第2ストッパ205、604および第3ストッパ206、605が、それぞれ、設けられている。第1ストッパ204、603は、ミラーユニット3Uすなわちミラーアセンブリ3(シャフト20を除いたミラーアセンブリ3)を使用位置(セット位置。
図1中の実線で示されている位置)P1に停止させる。第2ストッパ205、604は、ミラーユニット3Uを後方格納位置(
図1中の一点鎖線で示されている位置)P2に停止させる。第3ストッパ206、605は、ミラーユニット3Uを前方格納位置(前方傾倒位置。
図1中の二点鎖線で示されている位置)P3に停止させる。
【0029】
この結果、電動格納ユニット6は、ミラーユニット3U、すなわち、ミラーアセンブリ3(シャフト20を除いたミラーアセンブリ3)を、
図1に示すように、使用位置P1(セット位置。実線で示されている位置)と後方格納位置P2(一点鎖線で示されている位置)との間、および、使用位置P1と前方格納位置P3(前方傾倒位置。二点鎖線で示されている位置)との間を、回転させることができる。
【0030】
(シャフト20の説明)
シャフト20は、
図2から
図4に示すように、円鍔形状の固定部(シャフトホルダ)200と、円柱形状の軸部201と、を有する。固定部200と軸部201とは、この例では、別個に構成されていて、固定部200の上面に軸部201の下面が一体に固定されているものである。なお、固定部200と軸部201とが一体に構成されているシャフト20であっても良い。
【0031】
固定部200には、ボス部203が設けられている。ボス部203には、ねじ孔が設けられている。固定部200および軸部201には、ハーネス挿通孔202が設けられている。固定部200の中心と、軸部201の中心と、ハーネス挿通孔202の中心とは、一致する。ハーネス挿通孔202の中には、電格ハーネス55が挿通している。固定部200は、ベース2に固定されている。この結果、シャフト20は、ベース2を介して、ドア(車体)に固定される。
【0032】
(ケーシング60の説明)
図6から
図9に示すように、ケーシング60内には、シャフト20の軸部201、モータ6M、保持部材6Hおよび回転力伝達機構が、収納されている。ケーシング60とシャフト20の軸部201との間には、回転力伝達機構が、介在されている。これにより、ケーシング60は、回転力伝達機構を介して、シャフト20の軸部201、すなわち、格納軸V0周り方向に回転可能に取り付けられている。
【0033】
ケーシング60は、ギヤケース60Gとカバー60Cとから構成されている。ギヤケース60Gは、この例では、高い剛性を有する樹脂(ガラス繊維入りのPA樹脂)から構成されている。ギヤケース60Gには、第1固定部601および第2固定部602が、設けられている。
【0034】
カバー60Cには、筒部606が設けられている。筒部606の中には、シャフト20の軸部201が挿通されている。電格ハーネス55は、シャフト20を介して、電動格納ユニット6内に配線されている。
【0035】
カバー60Cには、ソケット部607が設けられている。ソケット部607には、電格用コネクタ550が、着脱可能に、かつ、電気的に接続されている。ソケット部607には、基板608が設けられている。基板608は、モータ6Mと電気的に接続されている。基板608には、モータ6Mの駆動停止を制御するスイッチ回路が実装されている。
なお、スイッチ回路は、電動格納ユニット6側に配置しないで、車両側に配置しても良い。
【0036】
(モータ6Mの説明)
モータ6Mは、
図4および
図8に示すように、本体部60Mと、駆動軸61Mと、エンドキャップ部62Mと、を有する。本体部60Mは、ほぼ四角柱形状をなしていて、保持部材6Hに保持されている。モータ6Mは、保持部材6Hを介して、ケーシング60内に収納配置されている。モータ6Mは、基板608、ソケット部607、電格用コネクタ550および電格ハーネス55を介して、電源(バッテリー)に電気的に接続されている。
【0037】
(回転力伝達機構の説明)
回転力伝達機構(クラッチ機構6C、ギヤ機構6Gおよびその他の機構6E、6S)は、ケーシング60内に収納配置されている。回転力伝達機構は、シャフト20の軸部201とモータ6Mの駆動軸61Mとの間に介在されている。
【0038】
すなわち、クラッチ機構6Cおよびその他の機構のストッパ部材6Sは、シャフト20の軸部201に嵌合されている。ギヤ機構6Gは、ギヤケース60G内に回転可能に保持されている。クラッチ機構6Cのクラッチギヤとギヤ機構6Gの第2ウォームギヤとは、相互に、噛み合っている。その他の機構のジョイント6Eは、モータ6Mの駆動軸61Mとギヤ機構6Gの第1ウォームギヤ(第1段目のギヤ)とに、連結されている。これにより、回転力伝達機構は、モータ6Mの回転力をシャフト20を介してケーシング60に伝達して、ケーシング60をシャフト20の軸(格納軸V0)周り方向に回転させる。
【0039】
(保持部材6Hの説明)
保持部材6Hは、ギヤケース60Gよりも柔軟な部材、この例では、POM樹脂から構成されている。保持部材6Hは、
図4から
図11に示すように、モータ6Mを保持し、モータ6Mと共にケーシング60内に配置されている。
【0040】
保持部材6Hは、収納部60Hと、複数この例では5本の嵌合保持凸部61Hと、変形量平均化部62Hと、ギヤ保持部63Hと、を有する。保持部材6Hは、スクリュー609により、ギヤケース60Gに取り付けられている。
【0041】
収納部60Hは、一端(上端)が開口されていて、他端(下端)が閉塞されている筒形状の側壁64Hを有する。側壁64Hの一端は、開口部640Hをなす。収納部60Hの他端閉塞部は、底壁65Hである。
【0042】
収納部60H内には、モータ6Mが、一端から他端に向けて収納されている。収納部60Hは、モータ6Mの本体部60Mのほぼ四角柱形状に合わせて、ほぼ四角形の筒形状をなしている。この結果、収納部60Hは、この例では、4枚の側壁64Hを有する。また、収納部60Hの4つの角部は、面取りされているので、4枚の側壁64Hの間には、面取り壁が設けられている。
【0043】
底壁65Hの中央には、円形の透孔650Hが設けられている。透孔650H中には、モータ6Mの駆動軸61Mが、挿通されている。
【0044】
嵌合保持凸部61Hは、収納部60Hの側壁64Hの内側面に設けられていて、モータ6Mの本体部60Mに嵌合当接して、モータ6Mを嵌合保持する。すなわち、収納部60H内にモータ6Mを圧入収納すると、嵌合保持凸部61Hとモータ6Mの本体部60Mとは、ラップ嵌合する。この結果、嵌合保持凸部61Hは、弾性変形して、モータ6Mを、クリアランスが0の状態で、嵌合保持する。この時、嵌合保持凸部61Hは、適切な嵌合保持力(保持負荷)でモータ6Mを嵌合保持する。これにより、製品の品質が保持される。前記の嵌合保持力は、収納部60H内にモータ6Mを圧入収納する時のモータ圧入力に比例する。
【0045】
嵌合保持凸部61Hは、この例では、ビードから構成されている。ビードの嵌合保持凸部61Hは、側壁64Hの内側面のうち、他端から一端に向かって少なくとも途中(この例では、中間)までの間において、モータ6Mを収納部60Hに収納する方向(
図13中の実線矢印方向。モータ6Mの駆動軸61M方向)に沿って、線状に一体に設けられている。ビードの嵌合保持凸部61Hの横(水平)断面形状は、三角形形状、半円形形状、半長円形形状、または、半楕円形形状を、なしている。
【0046】
嵌合保持凸部61Hは、ほぼ四角形の側壁64Hの各辺にそれぞれ少なくとも1本ずつ設けられていて、かつ、この例では、ほぼ四角形の側壁64Hの1辺には2本設けられている。2本の嵌合保持凸部61Hが設けられているほぼ四角形の側壁64Hの1辺は、ギヤ保持部63Hが設けられているほぼ四角形の側壁64Hの1辺に、平行にもしくはほぼ平行に向き合っている。
【0047】
変形量平均化部62Hは、収納部60Hに設けられていて、嵌合保持凸部61Hが含まれている収納部60Hの複数の部分の変形量を均す。変形量平均化部62Hは、収納部60Hのうち、5本の嵌合保持凸部61Hに対して他端側の5箇所にそれぞれ設けられている貫通孔66Hを有する。変形量平均化部62Hの貫通孔66Hは、収納部60Hの側壁64Hと底壁65Hとの角部、すなわち、側壁64Hと底壁65Hとの双方に設けられている。
【0048】
この結果、5本の嵌合保持凸部61Hの下端と収納部60Hの底壁65Hとは、変形量平均化部62Hの貫通孔66Hにより、相互に切り離されている縁切り状態にあり、相互に相手に規制されずに、変形可能の状態にある。
【0049】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる電動格納ユニット6、この実施形態にかかるドアミラー装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0050】
(ミラーアセンブリ3の格納、復帰の説明)
以下、ミラーアセンブリ3の格納、復帰について、
図1を参照して説明する。電動格納ユニット6のモータ6Mを例えば正回転方向に駆動させる。すると、モータ6Mの回転力が回転力伝達機構を介してシャフト20に伝達され、ケーシング60を始めとする電動格納ユニット6の可動部が電動格納ユニット6の固定部のシャフト20に対して格納軸V0周り方向に回転する。これに伴って、使用位置P1に位置するミラーアセンブリ3が、ベース2に対して、格納軸V0を中心として、平面(上)から見て時計方向に回転し、後方格納位置P2に停止する。これにより、ミラーアセンブリ3は、格納される。
【0051】
また、電動格納ユニット6のモータ6Mを正回転方向に対して反対方向に駆動させる。すると、前記と同様に、ケーシング60がシャフト20に対して格納軸V0周り方向に回転する。これに伴って、後方格納位置P2に位置するミラーアセンブリ3が、ベース2に対して、格納軸V0を中心として、平面(上)から見て反時計方向に回転し、使用位置P1に停止する。これにより、ミラーアセンブリ3は、復帰する。
【0052】
さらに、電動格納ユニット6のクラッチ機構6Cのクラッチ力よりも大きい手動力により、使用位置P1に位置するミラーアセンブリ3を、ベース2に対して、格納軸V0を中心として、平面(上)から見て反時計方向に回転させる。すると、電動格納ユニット6のクラッチ機構6Cが断状態となり、ミラーアセンブリ3が、回転して前方格納位置P3に位置して格納される。
【0053】
さらにまた、手動で、前方格納位置P3に位置するミラーアセンブリ3を、ベース2に対して、格納軸V0を中心として、平面(上)から見て時計方向に回転させる。すると、ミラーアセンブリ3が、回転して使用位置P1に位置して復帰する。この時、断状態のクラッチ機構6Cが続状態となる。
【0054】
さらにまた、使用位置P1に位置するミラーアセンブリ3に、電動格納ユニット6のクラッチ機構6Cのクラッチ力よりも大きい外力がかかると、緩衝作用により、ミラーアセンブリ3が、格納軸V0を中心として、使用位置P1から後方格納位置P2に回転する。
【0055】
ミラーアセンブリ3が使用位置P1に位置すると、第1ストッパ204、603が当接するので、ミラーアセンブリ3の回転が停止して、ミラーアセンブリ3が使用位置P1に位置する。また、ミラーアセンブリ3が後方格納位置P2に位置すると、第2ストッパ205、604が当接するので、ミラーアセンブリ3の回転が停止して、ミラーアセンブリ3が後方格納位置P2に位置する。さらに、ミラーアセンブリ3が前方格納位置P3に位置すると、第3ストッパ206、605が当接するので、ミラーアセンブリ3の回転が停止して、ミラーアセンブリ3が前方格納位置P3に位置する。
【0056】
ここで、電動格納ユニット6において、モータ6Mが保持部材6Hに確実に保持されているので、モータ6Mの回転力が回転力伝達機構を介してシャフト20に確実に伝達される。この結果、ミラーアセンブリ3は、格納軸V0を中心として円滑に回転することができる。これにより、この実施形態にかかる電動格納ユニット6、この実施形態にかかるドアミラー装置1の製品の品質が保持される。
【0057】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる電動格納ユニット6、この実施形態にかかるドアミラー装置1は、以上のごとき構成、作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0058】
この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、モータ6Mを保持する保持部材6Hを備える。この保持部材6Hは、一端が開口されていて、他端が閉塞されている筒形状の側壁64Hを有し、モータ6Mが収納されている収納部60Hと、収納部60Hの側壁64Hの内側面に設けられていて、モータ6Mを嵌合保持する複数(この例では、5本)の嵌合保持凸部61Hと、収納部60Hの他端側に設けられていて、嵌合保持凸部61Hが含まれている収納部60Hの複数の部分(この例では、4枚の側壁64H)の変形量を均す変形量平均化部62Hと、を有する。
【0059】
これにより、この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、モータ6Mを、収納部60H内に収納して、かつ、嵌合保持凸部61Hで保持した時に、変形量平均化部62Hにより、4枚の側壁64Hの変形量が均されるので、4枚の側壁64Hがほぼ均一に変形する。
【0060】
この結果、この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、モータ6Mを、収納部60H内に、ほぼ正規の状態で保持することができるので、保持部材6Hによるモータ6Mの保持性能を向上させることができる。なお、正規の状態とは、モータ6Mの駆動軸61Mと保持部材6Hの透孔650Hの中心軸とが一致している状態である。
【0061】
(この発明を実施していない保持部材6HAの収納部60HAの変形と、この発明を実施している保持部材6Hの収納部60Hの変形との相違の説明)
以下、この発明を実施していない保持部材6HAの収納部60HAの変形と、この発明を実施している保持部材6Hの収納部60Hの変形との相違について、
図8から
図12を参照して、説明する。
【0062】
図8から
図11において、この発明を実施していない保持部材6HAの各構成部の符号は、この発明を実施している保持部材6Hの各構成部の符号に符号「A」をそれぞれ付している。また、
図10から
図12において、符号(A1)、(B1)は、4枚の側壁64HA、64Hのうち、第1側壁であって、ギヤ保持部63Hが設けられている第2側壁(A2)、(B2)に対して反対側の側壁である。さらに、
図10から
図12において、符号(A3)、(B3)および(A4)、(B4)は、第1側壁(A1)、(B1)と第2側壁(A2)、(B2)との間の第3側壁および第4側壁である。さらにまた、
図12中の曲線は、
図10および
図11のコンピューターシミュレーションによる収納部の変形量の分布を示す説明図に基づいて、概略的に描いた等変形量線であり、この等変形量線の「0.09」「0.08」「0.07」「0.06」「0.05」「0.04」「0.03」「0.02」「0.01」の数量は、変形量を示している。
【0063】
(この発明を実施していない保持部材6HAの収納部60HAの変形の説明)
この発明を実施していない保持部材6HAの収納部60HAは、
図8(A)および
図9(A)に示すように、この発明の変形量平均化部62Hを有していいない。一方、この発明を実施している保持部材6Hの収納部60Hは、前記の通り、
図8(B)および
図9(B)に示すように、変形量平均化部62Hを有する。
【0064】
この発明を実施していない保持部材6HAの収納部60HA内にモータ6Mを、
図8(A)中の実線矢印方向に、圧入する。すると、収納部60HAの側壁64HAが、
図14(A)中の実線に示す状態から
図9(A)中の二点鎖線に示す状態に変形する。この側壁64HAの変形は、
図9(A)中の二点鎖線に示すように、底壁65HAから開口部640HAに行くに従って大きい。この変形は、第1側壁(A1)において、顕著に現れている。
【0065】
また、この発明を実施していない4つの側壁64HA(A1)、(A2)、(A3)、(A4)の変形は、
図10(A)、
図11(A)および
図12(A)に示すように、均一性に欠けている。この結果、この発明を実施していない収納部60HAは、モータ6Mを、ほぼ正規の状態で保持することが難しく、モータ6Mが第1側壁(A1)の開口部640HA側に傾き、モータ6Mの駆動軸61Mが保持部材6HAの透孔650HAの中心軸に対して傾く。これにより、この発明を実施していない保持部材6HAによるモータ6Mの保持性能を向上させることが難しい。
【0066】
これは、側壁64HAの他端(下端)と底壁65HAとの角部の剛性が大きいので、収納部60HA内にモータ6Mを圧入する力(モータ圧入力)が大きくなるからである。前記の通り、モータ圧入力は、嵌合保持凸部61HAがモータ6Mを嵌合保持する力(嵌合保持力)に比例する。
【0067】
(この発明を実施している保持部材6Hの収納部60Hの変形の説明)
これに対して、この発明を実施している保持部材6Hの収納部60Hの側壁64Hの変形は、
図8(B)中の二点鎖線に示すように、底壁65Hから嵌合保持凸部61Hの上端に行くに従って大きくなり、かつ、嵌合保持凸部61Hの上端から開口部640Hに行くに従って小さくなっている。この変形は、4つの側壁64H(B1)、(B2)、(B3)、(B4)において、ほぼ同じように現れている。
【0068】
また、この発明を実施している4つの側壁64H(B1)、(B2)、(B3)、(B4)の変形は、
図10(B)、
図11(B)および
図12(B)に示すように、ほぼ均一性を有する。この結果、この発明を実施している収納部60Hは、モータ6Mを、ほぼ正規の状態で保持することができ、モータ6Mの駆動軸61Mと保持部材6Hの透孔650Hの中心軸とが一致する。これにより、この発明を実施している保持部材6Hによるモータ6Mの保持性能を向上させることができる。
【0069】
これは、収納部60Hの他端(下端)に設けられている変形量平均化部62Hにより、側壁64Hの他端(下端)と底壁65Hとの角部の剛性が、この発明を実施していない収納部60HAの剛性と比較して小さいので、収納部60H内にモータ6Mを圧入する力(モータ圧入力)が小さくなるからである。
【0070】
(モータ圧入力と収納部60HA、60Hの変形量との相対関係の説明)
以下、モータ圧入力とこの発明を実施していない収納部60HAの変形量およびこの発明を実施している収納部60Hの変形量との相対関係について、
図13および
図14を参照して、説明する。
図13および
図14中の破線直線は、この発明を実施していない収納部60HAを示す。一方、
図13および
図14中の実線直線は、この発明を実施している収納部60Hを示す。
図13および
図14に示すように、モータ圧入力と収納部60HA、60Hの変形量との相対関係は、比例関係にある。
【0071】
前記の通り、この発明を実施している収納部60Hのモータ圧入力は、この発明を実施していない収納部60HAのモータ圧入力に対して、小さい。この結果、
図13に示すように、収納部変形量「D1」、「D2」において、この発明を実施している収納部60Hのモータ圧入力「N11」、「N21」は、この発明を実施していない収納部60HAのモータ圧入力「N12」、「N22」に対して、「N12」-「N11」の差の分、「N22」-「N21」の差の分、それぞれ、小さい。
【0072】
これにより、
図13に示すように、収納部変形量の範囲「D1」~「D2」において、この発明を実施している収納部60Hのモータ圧入力の範囲「N11」~「N21」を、この発明を実施していない収納部60HAのモータ圧入力の範囲「N12」~「N22」に対して、(「N22」-「N12」)-(「N21」-「N11」)の差の分(
図13中、白抜き矢印を参照)、小さく緩和させることができる。
【0073】
また、前記の通り、製品の品質を保持するため、収納部60HA、60Hの嵌合保持凸部61HA、61Hは、適切な嵌合保持力(保持負荷)でモータ6Mを嵌合保持する必要がある。
【0074】
ここで、
図14に示すように、適切な嵌合保持力、すなわち、適切なモータ圧入力の範囲を、「N1」~「N2」の範囲とする。すると、この発明を実施していない収納部変形量の範囲は、「D12」~「D22」の範囲となる。一方、この発明を実施している収納部変形量の範囲は、「D11」~「D21」の範囲となる。この発明を実施している収納部変形量の範囲「D11」~「D21」は、この発明を実施していない収納部変形量の範囲「D12」~「D22」よりも、大きい。
【0075】
これは、以下の通りである。すなわち、この発明を実施している収納部60Hは、この発明を実施していない収納部60HAに対して、モータ圧入力が小さいので、収納部変形量の範囲「D1」~「D2」において、モータ圧入力の範囲を小さく緩和させることができる。この結果、この発明を実施している収納部60Hは、この発明を実施していない収納部60HAに対して、設定されたモータ圧入力の適切な範囲「N1」~「N2」において、収納部変形量の範囲を大きくすることができる。
【0076】
そして、収納部変形量の範囲が大きいと、収納部60HA、60Hとモータ6Mとの寸法公差のバラツキを許容する範囲が大きくなる。この結果、この発明を実施している収納部60Hは、この発明を実施していない収納部60HAに対して、モータ6Mとの寸法公差のバラツキがあっても、モータ6Mを確実に保持することができる。これにより、この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、保持部材6Hによるモータ6Mの保持性能を向上させることができる。
【0077】
(実施形態の効果の再度の説明)
この実施形態にかかる電動格納ユニット6において、変形量平均化部62Hは、5本の嵌合保持凸部61Hにそれぞれ対応して設けられている貫通孔66Hを有するものであり、変形量平均化部62Hの貫通孔66Hは、収納部60Hの側壁64Hと底壁65Hとの角部に設けられている。これにより、この実施形態にかかる電動格納ユニット6において、側壁64Hの下端であって5本の嵌合保持凸部61Hの下端と収納部60Hの底壁65Hとは、相互に切り離されている縁切り状態にあり、相互に相手に規制されずに、変形可能の状態にある。
【0078】
この結果、この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、前記の通り、保持部材6Hによるモータ6Mの保持性能を向上させることができる。
【0079】
この実施形態にかかる電動格納ユニット6において、側壁64Hの筒形状は、ほぼ四角形をなしていて、嵌合保持凸部61Hは、ほぼ四角形の側壁64Hの各辺にそれぞれ少なくとも1本ずつ設けられていて、かつ、ほぼ四角形の側壁64Hの1辺、すなわち、4つの側壁64Hのうちの第1側壁(B1)には2本設けられている。
【0080】
この結果、この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、ほぼ四角形の側壁64Hの収納部60H内に収納されたモータ6Mを、5本の嵌合保持凸部61Hで嵌合保持し、かつ、ほぼ四角形の側壁64Hの1辺において、2本の嵌合保持凸部61Hで嵌合保持する。
【0081】
これにより、この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、モータ6Mが収納部60H内において、モータ6Mの駆動軸61M周り方向に回転するのを防ぐことができるので、モータ6Mを収納部60Hにおいて確実に保持することができ、前記の通り、保持部材6Hによるモータ6Mの保持性能を向上させることができる。
【0082】
この実施形態にかかる電動格納ユニット6において、5本の嵌合保持凸部61Hは、側壁64Hの内側面のうち、他端から一端に向かって少なくとも途中(ほぼ中央)までの間において、モータ6Mを収納部60Hに収納する方向(
図13(B)中の実線矢印方向)に沿って、線状に設けられている。
【0083】
この結果、この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、嵌合保持凸部61Hの構造が簡単であるから、嵌合保持凸部61Hを有する保持部材6Hの成形金型の構造を簡単にすることができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0084】
しかも、この実施形態にかかる電動格納ユニット6は、簡単な構造の嵌合保持凸部61Hで、モータ6Mを収納部60Hにおいて確実に保持することができ、前記の通り、保持部材6Hによるモータ6Mの保持性能を向上させることができる。
【0085】
この実施形態にかかるドアミラー装置1は、この実施形態にかかる電動格納ユニット6を備えるものであるから、この実施形態にかかる電動格納ユニット6の前記の効果と同様の効果を達成することができる。
【0086】
(変形量平均化部62Hの形状変更例の説明)
図15および
図16は、変形量平均化部62Hの形状変更例を示す。図中、
図1から
図14と同符号は、同一の物を示す。
【0087】
前記の実施形態の変形量平均化部62Hは、貫通孔66Hを有するものである。この形状変更例の変形量平均化部62Hは、肉薄部67Hから構成されている。この形状変更例の変形量平均化部62Hの肉薄部67Hは、前記の実施形態の変形量平均化部62Hの貫通孔66Hと同様の作用効果を達成することができる。
【0088】
(嵌合保持凸部68Hの形状変更例の説明)
図17は、嵌合保持凸部61Hの形状変更例を示す。図中、
図1から
図16と同符号は、同一の物を示す。
【0089】
前記の実施形態の嵌合保持凸部61Hは、線状のビードから構成されている。この形状変更例の嵌合保持凸部68Hは、複数の突起部から構成されている。この形状変更例の嵌合保持凸部68Hの複数の突起部は、前記の実施形態の嵌合保持凸部61Hの線状のビードと同様の作用効果を達成することができる。
【0090】
(実施形態、形状変更例以外の例の説明)
なお、前記の実施形態、形状変更例においては、車両用周辺視認装置として、ドアミラー装置1(車両用アウトサイドミラー装置。例えば、特開2014-24387号公報参照)について説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用周辺視認装置として、前記のドアミラー装置1以外、例えば、電動格納式車両用周辺視認装置(例えば、特開2021-107214号公報参照)、あるいは、その他の車両用周辺視認装置などにも適用することができる。すなわち、この発明は、電動格納ユニット6を備える車両用周辺視認装置であれば、適用することができる。
【0091】
また、前記の実施形態、形状変更例においては、視認アセンブリとして、ミラーアセンブリ3について説明するものである。しかしながら、この発明においては、視認アセンブリとして、前記のミラーアセンブリ3以外、例えば、電動格納式車両用周辺視認装置(特開2021-107214号公報参照)の視認アセンブリ、あるいは、その他の視認アセンブリなどにも適用することができる。すなわち、この発明は、電動格納ユニット6を備える視認アセンブリであれば、適用することができる。
【0092】
さらにまた、前記の実施形態、形状変更例においては、変形量平均化部62Hとしての貫通孔66H、肉薄部67Hを、収納部60Hの側壁64Hと底壁65Hとの角部分に、設けたものである。しかしながら、この発明においては、変形量平均化部62Hとしての貫通孔66H、肉薄部67Hを、側壁64Hまたは底壁65Hのいずれか一方に、設けたものであっても良い。すなわち、この発明は、変形量平均化部62Hとしての貫通孔66H、肉薄部67Hを、収納部60Hのうち、嵌合保持凸部61Hに対して底壁65H側の箇所、すなわち、嵌合保持凸部61Hの他端側(下側)の箇所に、設けたものであれば良い。しかも、変形量平均化部62Hとして、貫通孔66Hと肉薄部67Hとの両方を設けたものであっても良い。
【0093】
さらにまた、前記の実施形態、形状変更例においては、変形量平均化部62Hとして、貫通孔66H、肉薄部67Hを、収納部60Hの複数の箇所に、設けたものである。しかしながら、この発明においては、変形量平均化部62Hとして、貫通孔66H、肉薄部67H以外に、肉抜き部(貫通孔)、肉薄部あるいは肉厚部(肉盛り部)を、収納部60Hの複数の箇所に、設けたものであっても良い。すなわち、収納部60Hの複数の箇所における変形量の歪を抑制することができるものであれば、適用することができる。しかも、変形量平均化部62Hとして、貫通孔66H、肉薄部67Hと、肉抜き部(貫通孔)、肉薄部、肉厚部(肉盛り部)と、を併用して、収納部60Hの複数の箇所に設けたものであっても良い。
【0094】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0095】
1 ドアミラー装置(車両用アウトサイドミラー装置、車両用周辺視認装置)
2 ベース(固定部材)
20 シャフト
200 固定部
201 軸部
202 ハーネス挿通孔
203 ボス部
204 第1ストッパ
205 第2ストッパ
206 第3ストッパ
3 ミラーアセンブリ(視認アセンブリ)
3U ミラーユニット(視認ユニット)
55 電格用ハーネス
550 電格用コネクタ
6 電動格納ユニット
60 ケーシング(回転部材)
60C カバー
60G ギヤケース
601 第1固定部
602 第2固定部
603 第1ストッパ
604 第2ストッパ
605 第3ストッパ
606 筒部
607 ソケット部
608 基板
609 スクリュー
6C クラッチ機構(回転力伝達機構)
6E その他の機構のジョイント(回転力伝達機構)
6G ギヤ機構(回転力伝達機構)
6H 保持部材
6S その他の機構のストッパ部材(回転力伝達機構)
60H 収納部
61H 嵌合保持凸部(線状のビード)
62H 変形量平均化部
63H ギヤ保持部
64H 側壁
(B1) 第1側壁
(B2) 第2側壁
(B3) 第3側壁
(B4) 第4側壁
640H 開口部
65H 底壁
650H 透孔
66H 貫通孔
67H 肉薄部
68H 嵌合保持凸部(複数の突起部)
6HA 保持部材
60HA 収納部
61HA 嵌合保持凸部
64HA 側壁
(A1) 第1側壁
(A2) 第2側壁
(A3) 第3側壁
(A4) 第4側壁
640HA 開口部
65HA 底壁
650HA 透孔
6M モータ
60M 本体部
61M 駆動軸
62M エンドキャップ部
D ドア(車体)
D1 収納部変形量
D2 収納部変形量
D11 収納部変形量
D12 収納部変形量
D21 収納部変形量
D22 収納部変形量
N1 モータ圧入力
N2 モータ圧入力
N11 モータ圧入力
N12 モータ圧入力
N21 モータ圧入力
N22 モータ圧入力
P1 使用位置
P2 後方格納位置
P3 前方格納位置
V0 格納軸