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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023065997
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】摩擦具及び熱変色性筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20230508BHJP
   B43K 29/02 20060101ALI20230508BHJP
   B43K 23/12 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B43L19/00 A
B43K29/02 F
B43K23/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176456
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】栗田 哲宏
(57)【要約】
【課題】摩擦体と本体との螺合が緩むことを防止し、摩擦体がぐらついたり、摩擦体が本体から脱落したりすることを回避できる。
【解決手段】摩擦具1は、本体2と、該本体2の上部に着脱自在に取り付けられる摩擦体3と、を備える。本体2は、基部21と、基部21の上部に設けられた当接部22と、当接部から軸方向上方に突出する取付部23と、取付部23の外面に形成された雄ねじ部24と、を備える。摩擦体1は、筒状の保持部5と、保持部5の内面に形成された雌ねじ部51と、保持部の外部に固着された摩擦部と、摩擦部の下部に設けられ保持部の下端部より下方に位置する圧接部と、を備える。摩擦体が取付部に取り付けられた状態において、雄ねじ部と雌ねじ部とが螺合されるとともに、当接部と圧接部とが圧接される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦具であって、
本体と、前記本体の上部に着脱自在に取り付けられる摩擦体と、を備え、
前記本体は、基部と、前記基部の上部に設けられた当接部と、前記当接部から軸方向上方に突出する取付部と、前記取付部の外面に形成された雄ねじ部と、を備え、
前記摩擦体は、筒状の保持部と、前記保持部の内面に形成された雌ねじ部と、前記保持部の外部に固着された摩擦部と、前記摩擦部の下部に設けられ前記保持部の下端部より下方に位置する圧接部と、を備え、
前記摩擦体が前記取付部に取り付けられた状態において、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とが螺合されるとともに、前記当接部と前記圧接部とが圧接されてなることを特徴とする摩擦具。
【請求項2】
前記摩擦部は、二色成形により前記保持部に固着される請求項1に記載の摩擦具。
【請求項3】
熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒を備えた熱変色性筆記具であって、前記軸筒が前記請求項1又は2に記載の摩擦具の本体であることを特徴とする熱変色性筆記具。
【請求項4】
熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒と、該軸筒のペン先側に着脱自在に装着されるキャップと、を備えた熱変色性筆記具であって、前記キャップが前記請求項1又は2に記載の摩擦具の本体であることを特徴とする熱変色性筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦具及び熱変色性筆記具に関する。詳細には、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦具及び熱変色性筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒状の嵌合部の外周に消去部が二色成形により一体に形成され、嵌合部の内壁に内ねじが形成された消し具を備え、筆記具の後端部の突出部の外壁に外ねじが形成され、嵌合部の内ねじ及び突出部の外ねじを介して消し具が筆記具に取り付けられる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-203590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の消し具は、使用により、消し具の内ねじと突出部の外ねじとの螺合が緩んで、消し具がぐらついたり、消し具が筆記具から脱落したりするおそれがある。
【0005】
本願発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、摩擦体と本体との螺合が緩むことを防止し、摩擦体がぐらついたり、摩擦体が本体から脱落したりすることを回避できる摩擦具及び熱変色性筆記具を提供しようとするものである。本発明で、「上」とは摩擦部側(図面で上方)を指し、「下」とはその反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の発明は、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で前記熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦具であって、本体と、前記本体の上部に着脱自在に取り付けられる摩擦体と、を備え、前記本体は、基部と、前記基部の上部に設けられた当接部と、前記当接部から軸方向上方に突出する取付部と、前記取付部の外面に形成された雄ねじ部と、を備え、前記摩擦体は、筒状の保持部と、前記保持部の内面に形成された雌ねじ部と、前記保持部の外部に固着された摩擦部と、前記摩擦部の下部に設けられ前記保持部の下端部より下方に位置する圧接部と、を備え、前記摩擦体が前記取付部に取り付けられた状態において、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とが螺合されるとともに、前記当接部と前記圧接部とが圧接されてなることを要件とする。
【0007】
前記第1の発明の摩擦具は、前記構成により、摩擦体と本体との螺合が緩むことを防止し、摩擦体がぐらついたり、摩擦体が本体から脱落したりすることを回避できる。
【0008】
また、前記摩擦部は、二色成形により前記保持部に固着されることが好ましい。
【0009】
これにより、摩擦部と保持部とが強固に固着されるため、強く摩擦した場合でも摩擦部が保持部から脱絡することを防ぐことができる。
【0010】
また、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒を備えた熱変色性筆記具であって、前記軸筒が前記摩擦具の本体であってもよい。
【0011】
これにより、摩擦体と軸筒との螺合が緩むことを防止し、摩擦体がぐらついたり、摩擦体が軸筒から脱落したりすることを回避できる。
【0012】
また、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒と、該軸筒のペン先側に着脱自在に装着されるキャップと、を備えた熱変色性筆記具であって、前記キャップが前記摩擦具の本体であってもよい。
【0013】
これにより、摩擦体とキャップとの螺合が緩むことを防止し、摩擦体がぐらついたり、摩擦体がキャップから脱落したりすることを回避できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の摩擦具は、摩擦体と本体との螺合が緩むことを防止し、摩擦体がぐらついたり、摩擦体が本体から脱落したりすることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態及び第2実施形態の本体の要部縦断面図である。
図2】本発明の第1実施形態の摩擦体の縦断面図である。
図3】本発明の第1実施形態の摩擦体の斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態の摩擦体が本体に取り付けられた状態を示す要部縦断面図である。
図5】本発明の第2実施形態の摩擦体の縦断面図である。
図6】本発明の第2実施形態の摩擦体の斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態の摩擦体が本体に取り付けられた状態を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の2つの実施の形態について説明する。なお、本発明の実施形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11において、「上」とは摩擦体側(図面で上方)を指し、「下」とはその反対側を指す。
【0017】
<第1実施形態>
図1乃至図4に、本発明の第1実施形態を示す。図1は、本発明の第1実施形態の取付部23近傍を中心とした本体2の要部縦断面図である。なお、図1の本体2は、後述する第2実施形態の摩擦具にも用いられる。
【0018】
図2及び図3は、本発明の第1実施形態の摩擦体3の縦断面図及び斜視図である。図4は、図2及び図3に示す摩擦体3が図1に示す本体2に取り付けられた状態を示す要部縦断面図である。
【0019】
本実施形態の摩擦具1及び熱変色性筆記具11は、本体2と、本体2の上部に着脱自在に取り付けられる摩擦体3と、を備える構成である。該摩擦体3によって、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で熱変色性の像または筆跡を熱変色可能である。
【0020】
・本体
本体2は、筒状体(例えば円筒体)または柱状体(例えば円柱体)である。本体2を構成する材料としては、例えば、合成樹脂(例:ポリカーボネイト(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、及びナイロン6,6のような合成樹脂)、金属、木材、紙等が挙げられる。
【0021】
図1に示すように、本実施形態においては、本体2は、円筒体の基部21を備える。また、該基部21の上部に摩擦体3の下部(圧接部42)が当接(圧接)する当接部22を備える。また、該当接部22から軸方向上方に突出する取付部23と、該取付部23の外面に形成された雄ねじ部24と、を備える。
【0022】
また、当接部22の表面には、上方に突出する上方突起が設けられていてもよい。これにより、摩擦体と本体との螺合が緩むことをより防止し、摩擦体がぐらついたり、摩擦体が本体から脱落したりすることを回避できる。
【0023】
なお、上方突起としては、球形状突起が好ましい。また、四角柱形状、径方向外方に延びる突条、ゲート部に形成される樹脂残り部(ゲート残り)などでもよい。特に、該ゲート残りを上方突起とする場合、摩擦体3と本体2との螺合が緩むことをより防止でき、かつ安定して摩擦体を取り付けることができることに加えて、ゲート跡をユーザーから見えない場所に配置することができ、製品の美観を向上させる。
【0024】
上方突起は、少なくとも1つ設けられていればよいが、複数個設けられていることが好ましい。上方突起が複数個設けられていることにより、本体2に摩擦体3を安定して螺合させることができる。特に、上方突起が3つ設けられている場合、いずれの突起も確実に圧接部42に圧接され、安定して摩擦体を取り付けることができるため、より好ましい。
【0025】
・取付部
図1に示すように、本実施形態においては、取付部23は、当接部22から軸方向上方に突出する円筒体でる。すなわち、取付部23の内部には通気孔25が設けられる。これによって、摩擦体3を取り付ける際に空気の圧縮を防ぐことができる。なお、取付部23は、通気孔25を備えない円柱体であってもよい。
【0026】
また、本実施形態においては、取付部23は基部21と一体に形成される。これにより、摩擦体3を本体2に強固に取り付けることができ、熱変色性の像または筆跡を安定して摩擦することができる。また基部21と取付部23は別体(別部品の組み合わせ)で構成されていてもよい。また、取付部23の外面には、雄ねじ部24が取付部23と一体に形成される。
【0027】
・摩擦体
図2に示すように、本実施形態における摩擦体3は、筒状の保持部5と、保持部5の内面に形成された雌ねじ部51と、保持部5の外部に固着された摩擦部4と、摩擦部4の下部に設けられ保持部5の下端部より下方に位置する圧接部42と、を備える。また、摩擦部4の上端部には、上端孔41が軸方向に貫設される。
【0028】
・保持部
図2乃至図4に示すように、本実施形態においては、保持部5は軸方向に貫通された内孔52を備えた円筒体よりなる。保持部5の内孔52の内面に雌ねじ部51が形成される。雌ねじ部51は、取付部23の雄ねじ部24に螺合可能である。
【0029】
本実施形態においては、保持部5の雌ねじ部51の内径(すなわち雌ねじ部51のネジ山の頂部の内径)は、内孔52上部の内径及び上端孔41の内径よりも大きい。言い換えれば、保持部5の内孔52と雌ねじ部51との間に段部53が形成される。
【0030】
これにより、図4に示すように、摩擦体3が取付部23に取り付けられた状態において、取付部23が段部53の後方に納まり、上端孔41から通気孔25にかけて空気の流通路が略同一径となり、円滑に空気を流通させることができ、摩擦体3を取り付ける際に空気の圧縮を防いて、摩擦体3を容易に取り付けることができる。
【0031】
図4に示すように、保持部5の内孔52と雌ねじ部51との間に段部53が形成されることで、さらに、ユーザーが上端孔41の上方(外方)から下方(摩擦具1又は熱変色性筆記具11の内部)を見た時に、取付部23の端面が見えないため、製品の美観を向上させる。
【0032】
図4に示すように、保持部5の内孔52と雌ねじ部51との間に段部53が形成されることで、さらに、摩擦体3の上面(段部53の上方)まで摩擦部4が設けられており、摩擦体の表面積及び体積を多くとれるため、熱変色性の像または筆跡を摩擦しやすくなる。
【0033】
なお、保持部5の雌ねじ部51の内径と、内孔52上部の内径と、が略同一径である場合、内孔52の内径は、上端孔41の内径よりも大きくてもよい。言い換えれば、上端孔41と保持部5の内孔52(雌ねじ部51)との間に段部53が形成されてもよい。これにより、上述の効果と同様の効果を奏する。
【0034】
保持部5は、摩擦部4よりも硬質な材料により構成される。保持部5を構成する材料として、例えば、合成樹脂(例:ポリカーボネイト(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、及びナイロン6,6のような合成樹脂)、金属、紙等が挙げられる。保持部5と摩擦部4とは二色成形により一体に形成されることが好ましい。
【0035】
・摩擦部
図2乃至図4に示すように、本実施形態においては、摩擦部4は、保持部5の外部(外周)に二色成形により一体に固着される。より詳細には、摩擦部4は、保持部5の外周面、上面及び下面を連続して覆うように、二色成形により保持部5に一体に固着される。すなわち、摩擦部4は円筒体よりなる。また、図2又は図3に示すように、保持部5の下端部は摩擦体3の下面側に露出していない。
【0036】
また、摩擦部4の上端部には、上端孔41が軸方向に貫設される。図2に示すように、上端孔41は保持部5の内孔52に連通される。さらに、図4に示すように、摩擦体3が本体2の取付部23に取り付けられた状態においては、上端孔41及び内孔52は、本体2の通気孔25に連通される。
【0037】
これにより、摩擦体3を取り付ける際に空気の圧縮を防いて、円滑に組み立てを行うことができる。なお、上端孔41及び内孔52は略同一径であり、ともに横断面円形状を有する。また、摩擦体3を取り付ける際に空気の圧縮を防ぐ間隙などがある場合は、上端孔41、内孔52又は通気孔25は設けなくてもよい。
【0038】
・圧接部
図2又は図3に示すように、摩擦部4は、該摩擦部4の下部に設けられ、保持部5の下端部より下方に位置する圧接部42を備える。本実施形態において、圧接部42は保持部5の下面を連続して覆っている。摩擦体3が本体2の取付部23に取り付けられた状態において、当接部22と圧接部42とが圧接される。
【0039】
これにより、当接部22と圧接部42との間に摩擦力が働き、摩擦体3と本体2との螺合が緩むことを防止し、摩擦体3がぐらついたり、摩擦体3が本体2から脱落したりすることを回避できる。
【0040】
なお、摩擦部4(圧接部42)は、ゴム弾性を有する材料から形成され、例えば、シリコーン樹脂、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、SEBS(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)樹脂、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)のような弾性を有する合成樹脂(エラストマー)を含む材料により作られる。摩擦部4の材料は、複数のエラストマーを含んでもよい。
【0041】
また、摩擦部4の材料は、エラストマーと、比較的弾性が小さい合成樹脂との混合物であっても良い。摩擦部4の材料は、消しゴムのような高摩耗性の弾性材料に比べ、摩耗による摩耗カス(消しカス)の発生が少ない、低摩耗性の弾性材料が好ましい。本実施形態では、摩擦部4は、熱可塑性エラストマー(例えば、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー)であり、射出成形(二色成形)により得られる。
【0042】
また、摩擦部4の上端縁部は、凸曲面が周状に形成される。該摩擦部4を用いて、熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で熱変色性の像または筆跡を熱変色可能である。
【0043】
・取付状態
図4に摩擦体3を本体2の取付部23に取り付けた状態を示す。図4に示すように、摩擦体3の保持部5の雌ねじ部51と、取付部23の雄ねじ部24と、が螺合される。螺合が完了した段階で、摩擦体3の圧接部42と、本体2の当接部22とが圧接状態となる。
【0044】
本体2は、内部が空洞の筒状体の場合、熱変色性筆記具11に用いる軸筒、または熱変色性筆記具11に用いるキャップを構成することができる。熱変色性筆記具11に用いる軸筒は、内部に熱変色性インキが収容され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒である。
【0045】
熱変色性筆記具11に用いるキャップは、内部に熱変色性インキが収容され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を備えた熱変色性筆記具11における軸筒のペン先側に装着されるキャップである。
【0046】
なお、本発明で、熱変色性インキは、可逆熱変色性インキが好ましい。可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態又は消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、又は、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独又は併用して構成することができる。
【0047】
熱変色性インキを用いて被筆記面上に形成した熱変色性の像または筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で熱変色性の像または筆跡を熱変色可能な摩擦具1であって、本体2と、本体2の上部に着脱自在に取り付けられる摩擦体3と、を備え、本体2は、基部21と、基部21の上部に設けられた当接部22と、当接部22から軸方向上方に突出する取付部23と、取付部23の外面に形成された雄ねじ部24と、を備え、摩擦体3は、筒状の保持部5と、保持部5の内面に形成された雌ねじ部51と、保持部5の外部に固着された摩擦部4と、摩擦部4の下部に設けられ保持部5の下端部より下方に位置する圧接部42と、を備え、摩擦体3が取付部23に取り付けられた状態において、雄ねじ部24と雌ねじ部51とが螺合されるとともに、当接部22と圧接部42とが圧接されてなる。
【0048】
それにより、圧接部42と当接部22との間に摩擦力が働き、摩擦体3と本体2との螺合が緩むことを防止し、摩擦体3がぐらついたり、摩擦体3が本体2から脱落したりすることを回避できる。
【0049】
摩擦部4は、二色成形により保持部5に固着されることが好ましい。これにより、摩擦部4と保持部5とが強固に固着されるため、激しい使用時においても摩擦部4が保持部5から脱絡することを防ぐことができる。
【0050】
また、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒を備えた熱変色性筆記具11であって、軸筒が摩擦具1の本体2であってもよい。これにより、摩擦体3と軸筒との螺合が緩むことを防止し、摩擦体3がぐらついたり、摩擦体3が軸筒から脱落したりすることを回避できる。
【0051】
また、熱変色性インキが内蔵され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を有する軸筒と、該軸筒のペン先側に着脱自在に装着されるキャップと、を備えた熱変色性筆記具であって、キャップが摩擦具1の本体2であってもよい。これにより、摩擦体3とキャップとの螺合が緩むことを防止し、摩擦体3がぐらついたり、摩擦体3がキャップから脱落したりすることを回避できる。
【0052】
<第2実施形態>
図5乃至図7に、本発明の第2実施形態を示す。図5及び図6は、本発明の第2実施形態の摩擦体3の縦断面図及び斜視図である。図7は、図5及び図6に示す摩擦体3が図1に示す本体2に取り付けられた状態を示す要部縦断面図である。
【0053】
本発明の第2実施形態における第1実施形態とは違いは、摩擦体3の摩擦部4と、保持部5の形態である。具体的には、第2実施形態の圧接部42は、当接部22に圧接可能な、少なくとも一つの突起である。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と略同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0054】
・摩擦部
図5乃至図7に示すように、本実施形態においては、摩擦部4は、保持部5の外周面及び上面に加えて、下面の一部を覆うように、二色成形により保持部5に一体に固着される。すなわち、摩擦部4は、円筒体よりなる。また、図5又は図6に示すように、保持部5の下端部は、摩擦体3の下面側に露出している。言い換えれば、保持部5の下端部は、摩擦体3の下面の一部と同一平面上に形成されている。
【0055】
・圧接部
図5又は図6に示すように、摩擦部4は、該摩擦部4の下部に設けられ保持部5の下端部より下方に位置する圧接部42を備える。本実施形態において、圧接部42は当接部22に圧接可能な、3つの突起である。
【0056】
摩擦体3が本体2の取付部23に取り付けられた状態において、当接部22と圧接部42(突起)とが圧接される。これにより、当接部22と圧接部42(突起)との間に摩擦力が働き、摩擦体3と本体2との螺合が緩むことを防止し、摩擦体3がぐらついたり、摩擦体3が本体2から脱落したりすることを回避できる。
【0057】
圧接部42(突起)は、少なくとも1つ設けられていればよいが、複数個設けられていることが好ましい。突起が複数個設けられていることにより、本体2に摩擦体3を安定して螺合させることができる。特に、図6に示すように、突起が3つ設けられている場合、いずれの突起も確実に当接部22に圧接され、安定して摩擦体を取り付けることができるため、より好ましい。
【0058】
圧接部42(突起)は、図6に示す球形状以外にも、四角柱形状、径方向外方に延びる突条、ゲート部に形成される樹脂残り部(ゲート残り)などでもよい。特に、圧接部42が該ゲート残りの場合、摩擦体3と本体2との螺合が緩むことをより防止でき、かつ安定して摩擦体を取り付けることができることに加えて、ゲート跡をユーザーから見えない場所に配置することができ、製品の美観を向上させる。
【0059】
また、摩擦体3が本体2の取付部23に取り付けられた状態において、圧接部42(突起)が当接部22に圧接されるとともに、保持部5の下端部も当接部22に当接される。これにより、保持部5の下端部が螺合におけるストッパの効果を奏し、取付時の摩擦体の剛性を向上させる。さらに、より強固に摩擦体3と本体2を螺合することができるとともに、摩擦体3と本体2との螺合が緩むことを防止し、摩擦体3がぐらついたり、摩擦体3が本体2から脱落したりすることを回避できる。
【符号の説明】
【0060】
1 摩擦具
11 熱変色性筆記具
2 本体(軸筒、キャップ)
21 基部
22 当接部
23 取付部
24 雄ねじ部
25 通気孔
3 摩擦体
4 摩擦部
41 上端孔
42 圧接部
5 保持部
51 雌ねじ部
52 内孔
53 段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7