(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066000
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/24 20180101AFI20230508BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20230508BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20230508BHJP
F21S 41/40 20180101ALI20230508BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20230508BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20230508BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20230508BHJP
F21W 102/20 20180101ALN20230508BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/153
F21S41/25
F21S41/40
F21S41/663
F21S41/143
F21W102:155
F21W102:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176462
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 壮宜
(57)【要約】
【課題】光源からの出射光を投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、安価な灯具構成により、ハイビーム用配光パターンを配光ムラの少ない配光パターンとして形成可能とする。
【解決手段】3つの第2発光素子32D、32E、32Fを左右方向に並んだ状態で配置し、これらと投影レンズ40との間に配置された導光体50に3つの第2入射部54D、54E、54Fを形成する。これによりハイビーム用配光パターン用の付加配光パターンを横長の配光パターンとして形成可能とする。その上で、右側の第2入射部54Dは、その全反射面54D3の右側反射領域からの反射光によって付加配光パターンの拡散領域を形成するとともに左側反射領域からの反射光によって中心領域を形成するように構成し、左側の第2入射部54Fも同様の構成とする。これにより数少ない第2発光素子であっても付加配光パターンの配光ムラを抑える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と投影レンズとを備え、上記光源からの出射光を上記投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、
上記光源と上記投影レンズとの間に、上記光源からの出射光を導光して上記投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されており、
上記光源として、ロービーム用配光パターンを形成するための第1光源と、上記第1光源との同時点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するための第2光源とを備えており、
上記第2光源は、上記第1光源よりも下方側において左右方向に並んだ状態で配置された複数の第2発光素子で構成されており、
上記導光体は、上記第1光源からの出射光を入射させる第1入射部と、上記複数の第2発光素子の各々からの出射光を入射させる複数の第2入射部を備えており、
上記導光体は、上記ロービーム用配光パターン用の光を出射する第1出射面と、上記ハイビーム用配光パターンを形成する際に上記ロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターン用の光を出射する第2出射面とを備えており、
上記第2入射部は、上記第2発光素子からの出射光を上記第2出射面へ向かう光として入射させる前部入射面と、上記前部入射面の周囲において上記第2発光素子からの出射光を上記前部入射面から離れる方向へ向かう光として入射させる側部入射面と、上記側部入射面から入射した上記第2発光素子からの出射光を上記第2出射面へ向けて全反射させる全反射面とを備えており、
上記複数の第2入射部のうち左右方向の端部に位置する第2入射部は、上記全反射面における左右方向の端部側の反射領域からの反射光によって上記付加配光パターンの拡散領域を形成するとともに、上記全反射面における左右方向の中心部側の反射領域からの反射光によって上記付加配光パターンの中心領域を形成するように構成されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記左右方向の端部に位置する第2入射部の全反射面は、左右方向の中心部側に隣接する第2入射部の全反射面よりも、反射光の左右拡散角が大きくなるように形成された反射面形状を有している、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記左右方向の端部に位置する第2入射部の前部入射面は、上記第2発光素子からの出射光を左右方向の中心部側へ向けて偏向入射させるように形成された入射面形状を有している、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、投影レンズを備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源からの出射光を、投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具が知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具の構成として、光源と投影レンズとの間に、光源からの出射光を導光して投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されたものが記載されている。
【0004】
この「特許文献1」に記載された車両用灯具は、その光源として、ロービーム用配光パターンを形成するための第1光源と、この第1光源との同時点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するための第2光源とを備えており、また、その導光体として、第1光源からの出射光を導光するための第1導光体と、第2光源からの出射光を導光するための第2導光体とを備えている。
【0005】
さらに、この「特許文献1」の
図6には、第2光源が、第1光源よりも下方側において左右方向に並んだ状態で配置された複数の第2発光素子で構成されるとともに、第2導光体が、複数の第2発光素子の各々からの出射光を入射させる複数の第2入射部を備えた構成を有する車両用灯具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具のように、第2光源として左右方向に並んだ状態で配置された複数の第2発光素子を備えた構成とすれば、ハイビーム用配光パターンを形成する際にロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターンを、横長の配光パターンとして形成することが可能となる。
【0008】
しかしながら、この付加配光パターンを配光ムラのない配光パターンとして形成するためには、第2発光素子を数多く配置することが必要となり、このため車両用灯具を安価に構成することが困難となってしまう。
【0009】
一方、第2発光素子の数を減らすと、付加配光パターンを配光ムラの少ない配光パターンとして形成することが困難となり、このためハイビーム用配光パターンも配光ムラの少ない配光パターンとして形成することが困難となってしまう。
【0010】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、光源からの出射光を投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、安価な灯具構成により、ハイビーム用配光パターンを配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、光源と投影レンズとの間に配置された導光体の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0012】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源と投影レンズとを備え、上記光源からの出射光を上記投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、
上記光源と上記投影レンズとの間に、上記光源からの出射光を導光して上記投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されており、
上記光源として、ロービーム用配光パターンを形成するための第1光源と、上記第1光源との同時点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するための第2光源とを備えており、
上記第2光源は、上記第1光源よりも下方側において左右方向に並んだ状態で配置された複数の第2発光素子で構成されており、
上記導光体は、上記第1光源からの出射光を入射させる第1入射部と、上記複数の第2発光素子の各々からの出射光を入射させる複数の第2入射部を備えており、
上記導光体は、上記ロービーム用配光パターン用の光を出射する第1出射面と、上記ハイビーム用配光パターンを形成する際に上記ロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターン用の光を出射する第2出射面とを備えており、
上記第2入射部は、上記第2発光素子からの出射光を上記第2出射面へ向かう光として入射させる前部入射面と、上記前部入射面の周囲において上記第2発光素子からの出射光を上記前部入射面から離れる方向へ向かう光として入射させる側部入射面と、上記側部入射面から入射した上記第2発光素子からの出射光を上記第2出射面へ向けて全反射させる全反射面とを備えており、
上記複数の第2入射部のうち左右方向の端部に位置する第2入射部は、上記全反射面における左右方向の端部側の反射領域からの反射光によって上記付加配光パターンの拡散領域を形成するとともに、上記全反射面における左右方向の中心部側の反射領域からの反射光によって上記付加配光パターンの中心領域を形成するように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0013】
上記「第1光源」の具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0014】
上記「第2光源」を構成する「複数の第2発光素子」は、第1光源よりも下方側において左右方向に並んだ状態で配置されていれば、その具体的な配置や配置個数は特に限定されるものではない。
【0015】
上記「側部入射面」は、前部入射面の周囲において第2発光素子からの出射光を前部入射面から離れる方向へ向かう光として入射させるように形成されていれば、その具体的な配置や表面形状等は特に限定されるものではなく、また、必ずしも前部入射面を全周にわたって囲むように形成されていなくてもよい。
【0016】
上記「第2入射部」は、全反射面における左右方向の端部側の反射領域からの反射光によって付加配光パターンの拡散領域を形成するとともに、全反射面における左右方向の中心部側の反射領域からの反射光によって付加配光パターンの中心領域を形成するように構成されていれば、全反射面における左右方向の端部側の反射領域からの反射光の具体的な照射範囲および全反射面における左右方向の中心部側の反射領域からの反射光の具体的な照射範囲は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
本願発明に係る車両用灯具は、光源からの出射光を、投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射する構成となっているが、光源と投影レンズとの間には、光源からの出射光を導光して投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されているので、この導光体によって投影レンズへの入射光を制御することにより所望する形状の配光パターンを形成することが容易に可能となる。
【0018】
また、本願発明に係る車両用灯具は、その光源として、ロービーム用配光パターンを形成するための第1光源と、この第1光源との同時点灯によってハイビーム用配光パターンを形成するための第2光源とを備えており、かつ、第2光源は、第1光源よりも下方側において左右方向に並んだ状態で配置された複数の第2発光素子で構成されており、また、導光体には、複数の第2発光素子の各々からの出射光を入射させる複数の第2入射部が形成されているので、ハイビーム用配光パターンを形成する際にロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターンを、横長の配光パターンとして形成することが容易に可能となる。
【0019】
その際、第2入射部は、第2発光素子からの出射光を第2出射面へ向かう光として入射させる前部入射面と、この前部入射面の周囲において第2発光素子からの出射光を前部入射面から離れる方向へ向かう光として入射させる側部入射面と、この側部入射面から入射した第2発光素子からの出射光を第2出射面へ向けて全反射させる全反射面とを備えているので、第2発光素子からの出射光を効率良く利用することができる。
【0020】
その上で、複数の第2入射部のうち左右方向の端部に位置する第2入射部は、その全反射面における左右方向の端部側の反射領域からの反射光によって付加配光パターンの拡散領域を形成するとともに、その全反射面における左右方向の中心部側の反射領域からの反射光によって付加配光パターンの中心領域を形成するように構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0021】
すなわち、数多くの第2発光素子が配置されていなくても、付加配光パターンを複数の配光パターンが互いに重ね合わされた配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができ、これによりハイビーム用配光パターンも配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる。
【0022】
このように本願発明によれば、光源からの出射光を投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、安価な灯具構成により、ハイビーム用配光パターンを配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる。
【0023】
上記構成において、さらに、左右方向の端部に位置する第2入射部の全反射面が、左右方向の中心部側に隣接する第2入射部の全反射面よりも、反射光の左右拡散角が大きくなるように形成された反射面形状を有する構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0024】
すなわち、付加配光パターンを、その左右方向の中心部領域から端部領域にかけて徐々に明るさが減少する配光パターンとして形成することができ、これによりハイビーム用配光パターンを視認性に優れた配光パターンとして形成することができる。
【0025】
上記構成において、さらに、左右方向の端部に位置する第2入射部の前部入射面が、第2発光素子からの出射光を左右方向の中心部側へ向けて偏向入射させるように形成された入射面形状を有する構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0026】
すなわち、付加配光パターンを、その左右方向の中心部領域から端部領域にかけて徐々に明るさが減少する配光パターンとして形成することが一層容易に可能となり、これによりハイビーム用配光パターンを視認性に優れた配光パターンとして形成することが一層容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す側断面図
【
図3】上記車両用灯具の灯具ユニットを単品で示す側断面図
【
図7】上記灯具ユニットからの照射光によって形成される配光パターンを示す図
【
図8】上記配光パターンの成立ちを説明するための図
【
図9】上記実施形態の変形例を示す、
図5と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す側断面図である。また、
図2は、
図1のII方向矢視図である。
【0030】
これらの図において、Xで示す方向が「灯具前方」であり、Yで示す方向が「灯具前方」と直交する「左方向」(灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0031】
図1に示すように、車両用灯具10は、車両の前端部に設けられるヘッドランプであって、ランプボディ12と透光カバー14とで形成される灯室内に灯具ユニット20が収容された構成となっている。
【0032】
図3は、灯具ユニット20を単品で示す側断面図である。また、
図4は、
図3のIV-IV線断面図であり、
図5は、
図3のV-V線断面図である。
【0033】
図3~5に示すように、灯具ユニット20は、プロジェクタ型の灯具ユニットであって、光源30からの出射光を、投影レンズ40を介して灯具前方へ向けて照射することにより、ロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターン(これについては後述する)を形成し得る構成となっている。
【0034】
投影レンズ40は、灯具前後方向に延びる光軸Axを有しており、その後側焦点面上に形成される投影用画像を反転投影することにより上記配光パターンを形成するようになっている。
【0035】
投影レンズ40とその灯具後方側に配置された光源30との間には、光源30からの出射光を導光して投影レンズ40に入射させるように構成された導光体50が配置されている。そして、この導光体50において上記投影用画像を形成するようになっている。
【0036】
投影レンズ40は、外周フランジ部40aを有する両凸非球面レンズであって、無色透明の樹脂製部材で構成されている。この投影レンズ40は、灯具正面視において円形の上部および下部を水平方向に切り落としたようなレンズ形状を有しており、その外周フランジ部40aにおいてレンズホルダ42に支持されている。
【0037】
レンズホルダ42は、灯具前後方向に延びる筒状部材であって、その前端部には投影レンズ40を支持するためのレンズ支持部42aが形成されている。
【0038】
光源30は、共通の基板34に搭載された3つの第1発光素子32A、32B、32Cおよび3つの第2発光素子32D、32E、32Fで構成されている。これら第1および第2発光素子32A~32Fは、いずれも矩形状(例えば正方形)の発光面を有する白色発光ダイオードであって、その発光面を灯具前方へ向けた状態で配置されている。
【0039】
3つの第1発光素子32A~32Cは、ロービーム用配光パターンを形成する際に点灯する第1光源として構成されており、3つの第2発光素子32D~32Fは、ハイビーム用配光パターンを形成する際に追加点灯する第2光源として構成されている。
【0040】
3つの第1発光素子32A~32Cは、投影レンズ40の光軸Axの真上の位置およびその左右両側に等間隔をおいた位置に配置されており、3つの第2発光素子32D~32Fは、光軸Axの真下の位置およびその左右両側に等間隔をおいた位置に配置されている。その際、3つの第2発光素子32D~32F相互の間隔は、3つの第1発光素子32A~32C相互の間隔よりも小さい値に設定されている。
【0041】
基板34は、投影レンズ40の光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びるように配置された状態で金属製のヒートシンク60に支持されている。
【0042】
ヒートシンク60は、投影レンズ40の光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる本体部62と、この本体部62から灯具後方へ向けて鉛直面に沿って延びる複数の放熱フィン64とを備えており、その本体部62において基板34と面接触した状態でレンズホルダ42に支持されている。
【0043】
導光体50は、無色透明の樹脂製部材で構成されている。
【0044】
導光体50は、ロービーム用配光パターン用の光を出射するための第1出射面52Aと、ハイビーム用配光パターンを形成する際にロービーム用配光パターンに対して付加される付加配光パターン用の光を出射するための第2出射面52Bと、第1出射面52Aと第2出射面52Bとを繋ぐように形成された上向き反射面52Cとを備えている。
【0045】
第1出射面52Aは、導光体50の前面上部を構成している。この第1出射面52Aは、投影レンズ30の後側焦点面よりも灯具後方側に一定量離れた位置において凹曲面状に形成されており、灯具正面視において略横長矩形状の外形形状を有している。
【0046】
上向き反射面52Cは、第1出射面52Aの下端縁から灯具前方へ向けて水平面に沿って延びており、灯具正面視において左右段違いで形成されている。この上向き反射面52Cは、導光体50の表面に鏡面処理(例えばアルミニウム蒸着)を施すことにより構成されている。
【0047】
上向き反射面52Cの前端縁52Caは、投影レンズ30の後側焦点F近傍を通るようにして、左右両方向へ向けて灯具前方側に湾曲して延びるように形成されている。
【0048】
第2出射面52Bは、導光体50の前面下部を構成している。この第2出射面52Bは、上向き反射面52Cの前端縁52Caから下方へ向けて灯具前方側に多少傾斜して延びるように形成されており、灯具正面視において略横長矩形状の外形形状を有している。
【0049】
図4、5に示すように、導光体50は、3つの第1発光素子32A、32B、32Cの各々からの出射光を入射させるための3つの第1入射部54A、54B、54Cと、3つの第2発光素子32D、32E、32Fの各々からの出射光を入射させるための3つの第2入射部54D、54E、54Fとを備えている。
【0050】
3つの第1入射部54A~54Cは、3つの第1発光素子32A~32Cの各々に対して灯具前方側で、かつ、第1出射面52Aに対して灯具後方側に位置するように形成されている。また、3つの第2入射部54D~54Fは、3つの第2発光素子32D~32Fの各々に対して灯具前方側で、かつ、第2出射面52Bに対して灯具後方側に位置するように形成されている。
【0051】
図3に示すように、光軸Axの真上に位置する第1入射部54Bから導光体50に入射した第1発光素子32Bからの光は、第1出射面52Aから出射した後、直接または上向き反射面52Cで正反射してから投影レンズ30に入射し、投影レンズ30から略下向きの光として灯具前方へ向けて照射されるようになっている。右側および左側に位置する第1入射部54A、54Cから導光体50に入射した第1発光素子32A、32Cからの光についても同様である。
【0052】
一方、光軸Axの真下に位置する第2入射部54Eから導光体50に入射した第2発光素子32Eからの光は、直接または上向き反射面52Cで全反射して第2出射面52Eに導かれた後、第2出射面52Bから投影レンズ30へ向けて出射し、投影レンズ30から略上向きの光として灯具前方へ向けて照射されるようになっている。右側および左側に位置する第2入射部54D、54Fから導光体50に入射した第2発光素子32D、32Fからの光についても同様である。
【0053】
導光体50の上部および左右両側部には、第1出射面52Aよりも灯具前方側の位置において光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる外周フランジ部56が形成されている。
【0054】
レンズホルダ42には、導光体50の外周フランジ部56に沿って延びる導光体支持部42bが形成されている。そして、導光体50は、その外周フランジ部56がレンズホルダ42の導光体支持部42bの後面に当接して位置決めされた状態でレンズホルダ42に支持されている。
【0055】
図4に示すように、3つの第1入射部54A~54Cは、3つの第1発光素子32A~32Cの各々からの出射光を入射させた後、直接または全反射させてから第1出射面52Aに導くように構成されている。
【0056】
具体的には、各第1入射部54A、54B、54Cは、各第1発光素子32A、32B、32Cからの出射光を第1出射面52Aへ向かう光として入射させる前部入射面54A1、54B1、54C1と、この前部入射面54A1、54B1、54C1の周囲において各第1発光素子32A、32B、32Cからの出射光を前部入射面54A1、54B1、54C1から離れる方向へ向かう光として入射させる側部入射面54A2、54B2、54C2と、この側部入射面54A2、54B2、54C2から入射した各第1発光素子32A、32B、32Cからの出射光を第1出射面52Aへ向けて全反射させる全反射面54A3、54B3、54C3とを備えている。
【0057】
その際、3つの第1入射部54A~54Cは、3つの第1発光素子32A~32Cの各々からの出射光を平行光に近い光線束として第1出射面52Aに導くように構成されている。さらにその際、光軸Axの真上に位置する第1入射部54Bから第1出射面52Aに到達する光線束の左右幅が、その両側に位置する第1入射部54A、54Cから第1出射面52Aに到達する光線束の左右幅よりも多少狭くなり、かつ、第1入射部54Bから第1出射面52Aに到達する光線束と、その両側に位置する第1入射部54A、54Cから第1出射面52Aに到達する光線束とが、投影レンズ40の後側焦点面の位置において部分的に重複するように、3つの第1入射部54A~54Cの形状が設定されている。
【0058】
一方、
図5に示すように、3つの第2入射部54D~54Fは、3つの第2発光素子32D~32Fの各々からの出射光を入射させた後、直接または全反射させてから第2出射面52Bに導くように構成されている。
【0059】
具体的には、各第2入射部54D、54E、54Fは、各第2発光素子32D、32E、32Fからの出射光を第2出射面52Bへ向かう光として入射させる前部入射面54D1、54E1、54F1と、この前部入射面54D1、54E1、54F1の周囲において各第2発光素子32D、32E、32Fからの出射光を前部入射面54D1、54E1、54F1から離れる方向へ向かう光として入射させる側部入射面54D2、54E2、54F2と、この側部入射面54D2、54E2、54F2から入射した各第2発光素子32D、32E、32Fからの出射光を第2出射面52Bへ向けて全反射させる全反射面54D3、54E3、54F3とを備えている。
【0060】
その際、3つの第2入射部54D~54Fは、3つの第2発光素子32D~32Fの各々からの出射光を平行光に近い光線束として第2出射面52Bに導くように構成されている。さらにその際、光軸Axの真下に位置する第2入射部54Eから第2出射面52Bに到達する光線束の左右幅が、その両側に位置する第2入射部54E、54Gから第2出射面52Bに到達する光線束の左右幅よりも狭くなり、かつ、3つの第2入射部54D~54Fから第2出射面52Bに到達する3つの光線束が部分的に重複するように、3つの第2入射部54D~54Fの形状が設定されている。
【0061】
【0062】
図6に示すように、光軸Axの真下に位置する第2入射部54Eは、その前部入射面54E1、側部入射面54E2および全反射面54E3が光軸Axを含む鉛直面に関して左右対称の形状を有している。そして、この第2入射部54Eは、第2発光素子32Eからの出射光を、灯具正面方向へ向けて狭い左右幅でかつ多少収束する光線束として第2出射面52Bに導くようになっている。
【0063】
一方、右側に位置する第2入射部54Dは、その前部入射面54D1が左側から右側へ向けて灯具前方側へ大きく傾斜した凸曲面状に形成されており、これにより第2発光素子32Dからの出射光を灯具左斜め前方へ向けて(すなわち左右方向の中心部側へ向けて)偏向入射させる構成となっている。
【0064】
また、右側に位置する第2入射部54Dの全反射面54D3は、その右側反射領域54D3A(すなわち左右方向の端部側の反射領域)が左側から右側へ向けて灯具前方側へ大きく傾斜した凸曲面状に形成されており、その左側反射領域54D3B(すなわち左右方向の中心部側の反射領域)が右側から左側へ向けて右側反射領域54D3Aよりも小さい傾斜角度で延びる凸曲面状に形成されている。その際、右側反射領域54D3Aは、第2入射部54Eの全反射面54E3よりも大きい傾斜角度で灯具前方側へ延びており、左側反射領域54D3Bは、第2入射部54Eの全反射面54E3よりも小さい傾斜角度で灯具前方側へ延びている。
【0065】
これにより第2入射部54Dは、第2発光素子32Dからの出射光を、灯具左斜め前方へ向けて、第2入射部54Eから入射した第2発光素子32Eからの出射光よりも広い左右幅でかつ多少拡散する光線束として第2出射面52Bに導くようになっている。その際、第2入射部54Dから第2出射面52Bに導かれる光線束は、その左寄りの光束密度が高いものとなっており、かつ、その左端部が光軸Axよりも左側の位置において第2出射面52Bに到達している。
【0066】
なお、
図5に示すように、左側に位置する第2入射部54Fの全反射面54F3は、右側に位置する第2入射部54Dの全反射面54D3に対して左右対称の形状を有している。
【0067】
図7は、灯具ユニット20から灯具前方へ向けて照射される光により、車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図であって、
図7(a)はロービーム用配光パターンPLを示す図であり、
図7(b)はハイビーム用配光パターンPHを示す図である。
【0068】
図7(a)に示すように、ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V-V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V-V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。ロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV-V線との交点であるエルボ点Eは、H-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。
【0069】
ロービーム用配光パターンPLは、3つの配光パターンP1L、P1C、P1Rの合成配光パターンとして形成されている。その際、このロービーム用配光パターンPLは、3つの配光パターンP1L、P1C、P1Rが左右方向に並んだ状態で部分的に重複するように配置された横長の配光パターンとして形成されている。
【0070】
各配光パターンP1L、P1C、P1Rは、導光体50の第1出射面52Aから出射した各第1発光素子32A、32B、32Cからの光によって投影レンズ40の後側焦点面上に形成される投影用画像の反転投影像として形成される配光パターンである。
【0071】
その際、導光体50は、その上向き反射面52Cの前端縁52Caが投影レンズ40の後側焦点F近傍を通るようにして左右両方向へ向けて灯具前方側に湾曲して延びているので、ロービーム用配光パターンPLは、そのカットオフラインCL1、CL2が鮮明に形成されたものとなっている。
【0072】
図7(b)に示すように、ハイビーム用配光パターンPHは、ロービーム用配光パターンPLに対して、カットオフラインCL1、CL2の上方側に拡がる付加配光パターンPAが付加されたものとなっている。
【0073】
付加配光パターンPAは、3つの配光パターンP2L、P2C、P2Rの合成配光パターンとして形成されている。その際、この付加配光パターンPAは、3つの配光パターンP2L、P2C、P2Rが左右方向に並んだ状態で部分的に重複するように配置された横長の配光パターンとして形成されている。
【0074】
各配光パターンP2L、P2C、P2Rは、各第2発光素子32D、32E、32Fからの出射光によって導光体50の第2出射面52Bに形成される投影用画像の反転投影像として形成される配光パターンである。その際、この投影用画像は、その上端位置が上向き反射面42Cの前端縁42Caによって規定されるので、付加配光パターンPAは、その下端位置がカットオフラインCL1、CL2によって規定されたものとなる。したがって、ハイビーム用配光パターンPHは、ロービーム用配光パターンPLと付加配光パターンPAとが隙間なく繋がったものとなる。
【0075】
図8は、付加配光パターンPAおよびその成立ちを示す図である。
【0076】
図8(a2)に示すように、配光パターンP2Cは、H-Vを中心とする比較的小さくて明るい配光パターンとして形成されている。
【0077】
これは、第2入射部54Eが、第2発光素子32Eからの出射光を、灯具正面方向へ向けて狭い左右幅でかつ多少収束する光線束として第2出射面52Bに導くように形成されていることによるものである。
【0078】
なお、
図8(a2)において、配光パターンP2C内に記載した多重曲線は、配光パターンP2Cの光度分布を示すためのものであって、H-V付近が最も明るくなっていることを示している。後述する配光パターンP2L、P2Rに関しても同様である。
【0079】
図8(a1)に示すように、配光パターンP2Lは、その右端部がV-V線の右側に位置するようにして左右方向に延びる配光パターンとして形成されている。この配光パターンP2Lは、配光パターンP2Cよりも全体的な明るさは劣るが、その右端部寄りの部分が相対的に明るい配光パターンとして形成されている。
【0080】
これは、第2入射部54Dが、第2発光素子32Dからの出射光を、その左端部寄りの光束密度が高い光線束として第2出射面52Bに到達させ、かつ、その左端部を光軸Axよりも左側の位置において第2出射面52Bに到達させるように構成されていることによるものである。
【0081】
図8(a3)に示すように、配光パターンP2Rは、その左端部がV-V線の左側に位置するようにして左右方向に延びる配光パターンとして形成されている。この配光パターンP2Rは、配光パターンP2Cよりも全体的な明るさは劣るが、その左端部寄りの部分が相対的に明るい配光パターンとして形成されている。
【0082】
これは、第2入射部54Fが、第2発光素子32Fからの出射光を、その右端部寄りの光束密度が高い光線束として第2出射面52Bに到達させ、かつ、その右端部を光軸Axよりも右側の位置において第2出射面52Bに到達させるように構成されていることによるものである。
【0083】
図8(b)に示すように、これら3つの配光パターンP2L、P2C、P2Rの合成配光パターンとして形成される付加配光パターンPAは、V-V線近傍に位置する中心領域において3つの配光パターンP2L、P2C、P2Rが重複した状態で形成され、かつ、この中心領域から左右両端部へ向けて徐々に明るさが減少する配光パターンとして形成されている。
【0084】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0085】
本実施形態に係る車両用灯具10は、光源30からの出射光を、投影レンズ40を介して灯具前方へ向けて照射する構成となっているが、光源30と投影レンズ40との間には、光源30からの出射光を導光して投影レンズ40に入射させるように構成された導光体50が配置されているので、この導光体50によって投影レンズ40への入射光を制御することにより所望する形状の配光パターンを形成することが容易に可能となる。
【0086】
また、本実施形態に係る車両用灯具10は、その光源30として、ロービーム用配光パターンPLを形成するための3つの第1発光素子32A、32B、32C(第1光源)と、これらとの同時点灯によってハイビーム用配光パターンPHを形成するための3つの第2発光素子32D、32E、32F(第2光源)とを備えており、かつ、3つの第2発光素子32D、32E、32Fは、3つの第1発光素子32A、32B、32Cよりも下方側において左右方向に並んだ状態で配置されており、また、導光体50には、3つの第2発光素子32D、32E、32Fの各々からの出射光を入射させる3つの第2入射部54D、54E、54Fが形成されているので、ハイビーム用配光パターンPHを形成する際にロービーム用配光パターンPLに対して付加される付加配光パターンPAを、横長の配光パターンとして形成することが容易に可能となる。
【0087】
その際、第2入射部54D、54E、54Fは、第2発光素子32D、32E、32Fからの出射光を第2出射面52Bへ向かう光として入射させる前部入射面54D1、54E1、54F1と、この前部入射面54D1、54E1、54F1の周囲において第2発光素子32D、32E、32Fからの出射光を前部入射面から離れる方向へ向かう光として入射させる側部入射面54D2、54E2、54F2と、この側部入射面54D2、54E2、54F2から入射した第2発光素子32D、32E、32Fからの出射光を第2出射面52Bへ向けて全反射させる全反射面54D3、54E3、54F3とを備えているので、第2発光素子32D、32E、32Fからの出射光を効率良く利用することができる。
【0088】
その上で、右側に位置する第2入射部54Dは、その全反射面54D3における右側反射領域54D3A(左右方向の端部側の反射領域)からの反射光によって付加配光パターンPAの拡散領域を形成するとともに、その全反射面54D3における左側反射領域54D3B(左右方向の中心部側の反射領域)からの反射光によって付加配光パターンPAの中心領域を形成するように構成されており、また、左側に位置する第2入射部54Fの全反射面54F3も同様の構成を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0089】
すなわち、数多くの第2発光素子が配置されていなくても、付加配光パターンPAを3つの配光パターンP2L、P2C、P2Rが互いに重ね合わされた配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができ、これによりハイビーム用配光パターンPHも配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる。
【0090】
このように本実施形態によれば、光源30からの出射光を投影レンズ40を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具10において、安価な灯具構成により、ハイビーム用配光パターンPHを配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる。
【0091】
また本実施形態においては、右側に位置する(左右方向の端部に位置する)第2入射部54Dの全反射面54D3が、中央に位置する(左右方向の中心部側に隣接する)第2入射部54Eの全反射面54E3よりも、反射光の左右拡散角が大きくなるように形成された反射面形状を有しており、また、左側に位置する第2入射部54Fの全反射面54Fも同様の反射面形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0092】
すなわち、付加配光パターンPAを、その左右方向の中心部領域から端部領域にかけて徐々に明るさが減少する配光パターンとして形成することができ、これによりハイビーム用配光パターンPHを視認性に優れた配光パターンとして形成することができる。
【0093】
さらに本実施形態においては、右側に位置する(左右方向の端部に位置する)第2入射部54Dの前部入射面54D1が、第2発光素子32Dからの出射光を左右方向の中心部側へ向けて偏向入射させるように形成された入射面形状を有しており、また、左側に位置する第2入射部54Fの前部入射面54F1も同様の入射面形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0094】
すなわち、付加配光パターンPAを、その左右方向の中心部領域から端部領域にかけて徐々に明るさが減少する配光パターンとして形成することが一層容易に可能となり、これによりハイビーム用配光パターンPHを視認性に優れた配光パターンとして形成することが一層容易に可能となる。
【0095】
しかも本実施形態においては、3つの第1発光素子32A~32C相互の間隔に対して3つの第2発光素子32D~32F相互の間隔の方が小さい値に設定されているので、ロービーム用配光パターンPLを横長の配光パターンとして形成する一方、付加配光パターンPAをロービーム用配光パターンPLよりも左右拡散角は小さいが明るい横長の配光パターンとして形成することが容易に可能となる。
【0096】
上記実施形態においては、第1光源が3つの発光素子32A、32B、32Cで構成されており、第2光源も3つの発光素子32D、32E、32Fで構成されているものとして説明したが、第1および第2光源の各々の個数を上記実施形態とは異なる個数に設定することも可能である。
【0097】
上記実施形態においては、上向き反射面52Cの前端縁52Caによってロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2を形成する構成となっているものとして説明したが、これとは逆に下向き反射面の前端縁によってカットオフラインCL1、CL2を形成する構成とすることも可能であり、また、導光体50とは別部材で構成されたシェードによってカットオフラインCL1、CL2を形成するようにすることも可能である。
【0098】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0099】
図9は、本変形例に係る灯具ユニット120を示す、
図5と同様の図である。
【0100】
図9に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、第2光源が2つの第2発光素子132G、132Hで構成されている点で上記実施形態の場合と異なっており、また、導光体150の形状が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0101】
すなわち、本変形例においては、第2光源を構成する2つの第2発光素子132G、132Hが、光軸Axを含む鉛直面の左右両側に左右対称の位置関係で配置されている。その際、2つの第2発光素子132G、132Hの間隔は、上記実施形態における右側の第2発光素子32Dと左側の第2発光素子32Fとの間隔よりも小さい値に設定されている。
【0102】
また、本変形例の導光体150は、その基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、2つの第2発光素子132G、132Hの灯具前方側に2つの第2入射部154G、154Hが形成されている点で上記実施形態の場合と異なっている。
【0103】
2つの第2入射部154G、154Hは、上記実施形態における2つの第2入射部54D、54Fと同様、2つの第2発光素子132G、132Hの各々からの出射光を入射させた後、直接または全反射させてから第2出射面152Bに導くように構成されている。
【0104】
具体的には、各第2入射部154G、154Hは、各第2発光素子132G、132Hからの出射光を第2出射面152Bへ向かう光として入射させる前部入射面154G1、154H1と、この前部入射面154G1、154H1の周囲において各第2発光素子132G、132Hからの出射光を前部入射面154G1、154H1から離れる方向へ向かう光として入射させる側部入射面154G2、154H2と、この側部入射面154G2、154H2から入射した各第2発光素子132G、132Hからの出射光を第2出射面152Bへ向けて全反射させる全反射面154G3、154H3とを備えている。
【0105】
その際、2つの第2入射部154G、154Hは、2つの第2発光素子132G、132Hの各々からの出射光を平行光に近い光線束として第2出射面152Bに導くように構成されている。さらにその際、2つの第2入射部154G、154Hから第2出射面52Bに到達する2つの光線束が部分的に重複するように、第2入射部154G、154Hの形状が設定されている。
【0106】
右側に位置する第2入射部154Gの前部入射面154G1は、その左側から右側へ向けて灯具前方側へ大きく傾斜した凸曲面状に形成されており、これにより第2発光素子132Gからの出射光を灯具左斜め前方へ向けて(すなわち左右方向の中心部側へ向けて)偏向入射させる構成となっている。
【0107】
また、右側に位置する第2入射部154Gの全反射面154G3は、右側反射領域154G3A(すなわち左右方向の端部側の反射領域)が左側から右側へ向けて灯具前方側へ大きく傾斜した凸曲面状に形成されており、左側反射領域154G3B(すなわち左右方向の中心部側の反射領域)が右側から左側へ向けて右側反射領域154G3Aよりも小さい傾斜角度で延びる凸曲面状に形成されている。
【0108】
第2入射部154Gは、第2発光素子32Dからの出射光を、多少拡散する光線束として第2出射面152Bに導くようになっている。その際、第2入射部154Gから第2出射面152Bに導かれる光線束は、その左寄りの光束密度が高いものとなっており、かつ、その左端部が光軸Axよりも左側の位置において第2出射面152Bに到達している。
【0109】
一方、左側に位置する第2入射部154Hの全反射面154H3は、右側に位置する第2入射部154Gの全反射面154G3に対して左右対称の形状を有している。
【0110】
なお、本変形例の導光体150においても、その第1出射面152A、第2出射面152Bならびに上向き反射面152Cおよびその前端縁152Caの構成については上記実施形態の場合と同様である。
【0111】
図10は、本変形例に係る灯具ユニット120からの照射光によって形成される付加配光パターンPA-1およびその成立ちを示す図である。
【0112】
図10(b)に示すように、付加配光パターンPA-1は、2つの配光パターンP2L-1、P2R-1の合成配光パターンとして形成されている。
【0113】
各配光パターンP2L-1、P2R-1は、各第2発光素子132G、132Hからの出射光によって導光体150の第2出射面152Bに形成される投影用画像の反転投影像として形成される配光パターンである。
【0114】
図10(a1)に示すように、配光パターンP2L-1は、その右端部がV-V線の右側に位置するようにして左右方向に延びる配光パターンとして形成されている。この配光パターンP2L-1は、上記実施形態の配光パターンP2Lと同様、その右端部寄りの部分が相対的に明るい配光パターンとして形成されているが、上記実施形態の配光パターンP2Lよりも右側に変位した状態で形成されている。
【0115】
これは、第2発光素子132Gおよび第2入射部154Gが、上記実施形態の第2発光素子32Dおよび第2入射部54Dよりも光軸Ax寄りに配置されており、かつ、第2入射部154Gが、第2発光素子132Gからの出射光を、その左端部寄りの光束密度が高い光線束として第2出射面152Bに到達させるように構成されていることによるものである。
【0116】
図10(a2)に示すように、配光パターンP2R-1は、は、その左端部がV-V線の左側に位置するようにして左右方向に延びる配光パターンとして形成されている。この配光パターンP2R-1は、上記実施形態の配光パターンP2Rと同様、その左端部寄りの部分が相対的に明るい配光パターンとして形成されているが、上記実施形態の配光パターンP2Rよりも左側に変位した状態で形成されている。
【0117】
これは、第2発光素子132Hおよび第2入射部154Hが、上記実施形態の第2発光素子32Fおよび第2入射部54Fよりも光軸Ax寄りに配置されており、かつ、第2入射部154Hが、第2発光素子132Hからの出射光を、その左端部寄りの光束密度が高い光線束として第2出射面152Bに到達させるように構成されていることによるものである。
【0118】
図10(b)に示すように、これら2つの配光パターンP2L-1、P2R-1の合成配光パターンとして形成される付加配光パターンPA-1は、V-V線近傍に位置する中心領域において2つの配光パターンP2L、P2C、P2Rが重複した状態で形成され、かつ、この中心領域から左右両端部へ向けて徐々に明るさが減少する配光パターンとして形成されている。
【0119】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0120】
すなわち、第2光源が2つの第2発光素子132G、132Hで構成されているにもかかわらず、付加配光パターンPA-1を2つの配光パターンP2L-1、P2R-1が部分的に重ね合わされた配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる。そしてこれにより、ハイビーム用配光パターンも配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができ、かつ、これを上記実施形態の場合よりもさらに安価な灯具構成で実現することができる。
【0121】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0122】
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0123】
10 車両用灯具
12 ランプボディ
14 透光カバー
20、120 灯具ユニット
30 光源
32A、32B、32C 第1発光素子(第1光源)
32D、32E、32F、132G、132H 第2発光素子(第2光源)
34 基板
40 投影レンズ
40a 外周フランジ部
42 レンズホルダ
42a レンズ支持部
42b 導光体支持部
50、150 導光体
52A、152A 第1出射面
52B、152B 第2出射面
52C、152C 上向き反射面
52Ca、152Ca 前端縁
54A、54B、54C 第1入射部
54D、54E、54F、154G、154H 第2入射部
54A1、54B1、54C1、54D1、54E1、54F1、154G1、154H1 前部入射面
54A2、54B2、54C2、54D2、54E2、54F2、154G2、154H2 側部入射面
54A3、54B3、54C3、54D3、54E3、54F3、154G3、154H3 全反射面
54D3A、154G3A 右側反射領域(左右方向の端部側の反射領域)
54D3B、154G3B 左側反射領域(左右方向の中心部側の反射領域)
56 外周フランジ部
60 ヒートシンク
62 本体部
64 放熱フィン
Ax 光軸
CL1 下段カットオフライン
CL2 上段カットオフライン
F 後側焦点
PA、PA-1 付加配光パターン
PH ハイビーム用配光パターン
PL ロービーム用配光パターン
P1C、P1L、P1R、P2C、P2L、P2L-1、P2R、P2R-1 配光パターン