(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066009
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】吸遮音間仕切り材
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
G10K11/16 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176484
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】石黒 正
(72)【発明者】
【氏名】本田 航
(72)【発明者】
【氏名】江州 勇亮
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061AA06
5D061AA26
5D061BB24
(57)【要約】
【課題】総厚さを40mm以下と薄くしても、低周波数域から高周波数域まで吸音性・遮音性に優れる吸遮音間仕切り材を提供する。
【解決手段】吸遮音間仕切り材1は、音源側の多孔質体による第1層10と、第1層10に積層される非通気性の樹脂膜による第2層20と、第2層20に積層される弾性体による第3層30と、第3層30に積層される非通気性の樹脂膜による第4層40とからなる4層構造で、第1層10は、厚さが15mm以上で、通気度が1~70ml/cm
2/sとされ、第2層20は、厚さが0.2~1.0mmとされて、第1層10と第2層20とを合わせた面密度は、0.50~1.80kg/m
2とされ、第3層30は、厚さが10mm以上で、25%圧縮硬さが200N以下とされ、第4層40は、厚さが0.7mm以上で、面密度が0.80kg/m
2以上とされ、総厚さTが40mm以下とされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源側の多孔質体による第1層と、
前記第1層に積層される非通気性の樹脂膜による第2層と、
前記第2層に積層される弾性体による第3層と、
前記第3層に積層される非通気性の樹脂膜による第4層とからなる4層構造で、
前記第1層は、厚さが15mm以上で、通気度が1~70ml/cm2/sとされ、
前記第2層は、厚さが0.2~1.0mmとされて、
前記第1層と前記第2層とを合わせた面密度は、0.50~1.80kg/m2とされ、
前記第3層は、厚さが10mm以上で、25%圧縮硬さが200N以下とされ、
前記第4層は、厚さが0.7mm以上で、面密度が0.80kg/m2以上とされ、
総厚さが40mm以下とされる、
ことを特徴とする吸遮音間仕切り材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸遮音間仕切り材に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空間を仕切る間仕切り材は、視線の遮断を主としたものが多く、遮音性や吸音性については、不十分であった。最近では、災害時の避難場所でのプライバシー保護、テレワークやフリーアドレス化などの働き方の多様性の観点から、防音性を備えた間仕切り材の要望が高まっている。
例えば特許文献1に開示された間仕切り材(衝立)では、複数の壁部が隣り合う壁との間にヒンジ部を有して自立する折りたたみ衝立とされ、壁部が基部と吸音部とを有し、例えば、基部は、厚さが3~10mm、密度が150~500kg/m3の高分子発泡樹脂とされ、吸音部は、厚さが4~100mm、密度が20~100kg/m3の発泡樹脂、織布、または不織布から構成される。これにより、視線の遮断と吸音効果を発揮できるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、室内で発生する騒音は、500~4000Hzと周波数域が幅広く、特許文献1の衝立は、1kHz前後の吸音性を主とするものであり、1kHz前後以外の周波数域に対する吸音性が必ずしも明確でなく、吸音性の確保のためには、壁部および吸音部の総厚さを厚くする必要があるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、総厚さを40mm以下と薄くしても、低周波数域から高周波数域まで吸音性・遮音性に優れる吸遮音間仕切り材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の吸遮音間仕切り材は、
音源側の多孔質体による第1層と、
前記第1層に積層される非通気性の樹脂膜による第2層と、
前記第2層に積層される弾性体による第3層と、
前記第3層に積層される非通気性の樹脂膜による第4層とからなる4層構造で、
前記第1層は、厚さが15mm以上で、通気度が1~70ml/cm2/sとされ、
前記第2層は、厚さが0.2~1.0mmとされて、
前記第1層と前記第2層とを合わせた面密度は、0.50~1.80kg/m2とされ、
前記第3層は、厚さが10mm以上で、25%圧縮硬さが200N以下とされ、
前記第4層は、厚さが0.7mm以上で、面密度が0.80kg/m2以上とされ、
総厚さが40mm以下とされる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、総厚さを40mm以下と薄くしても、低周波数域から高周波数域まで吸音性・遮音性に優れる吸遮音間仕切り材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の吸遮音間仕切り材の一実施の形態にかかる概略断面図である。
【
図2】参考例1に示す軟質ポリウレタンフォームの吸音特性を示す説明図である。
【
図3】比較例1に示す樹脂膜/バネ部/樹脂膜構造による吸音特性を示す説明図である。
【
図4】本発明の吸遮音間仕切り材の一実施の形態にかかる実施例1の吸音特性の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の吸遮音間仕切り材の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の吸遮音間仕切り材1は、
図1に示すように、音源側の多孔質体として通気度が1~70ml/cm
2/sの軟質ポリウレタンフォームによる第1層10と、第1層10に積層される非通気性の樹脂膜として塩化ビニル樹脂膜による第2層20と、第2層20に積層される弾性体として軟質ポリウレタンフォームによる第3層30と、第3層30に積層される非通気性の樹脂膜として塩化ビニル樹脂膜による第4層40とからなる4層構造で、総厚さTが40mm以下とされて構成される。
【0010】
吸遮音間仕切り材1では、4層構造の各層10~40は、第1層10と第2層20とで第1の質量部2を構成し、さらに、第3層30は、バネ部3として機能し、第4層40は、第2の質量部4を構成する。すなわち、吸遮音間仕切り材1は、第1の質量部2と第2の質量部4との間にバネ部3を備える構造である。
吸遮音間仕切り材1では、第1層10の特定の通気度を有する軟質ポリウレタンフォームによる高周波数域の吸音性と、第1の質量部2と第2の質量部4との間にバネ部3を備えるバネ-マス構造による低周波数域の吸音性と、を兼ね備えるものとなり、これにより、500~4000Hzの低周波数域から高周波数域にわたる吸音性を確保すると同時に、同様の周波数域において透過損失が10dB以上の遮音性を確保している。
【0011】
吸遮音間仕切り材1では、第1層10は、厚さが15mm以上で、通気度が1~70ml/cm2/sの軟質ポリウレタンフォームとされ、第2層20は、厚さが0.2~1.0mmの塩化ビニル樹脂膜とされて第1層10と第2層20とで第1の質量部2とし、第1の質量部2の全体の面密度は、0.50~1.80kg/m2とされる。また、第3層30は、厚さが10mm以上で、25%圧縮硬さが200N以下の軟質ポリウレタンフォームとされてバネ部3を構成し、第4層40は、厚さが0.7mm以上で、面密度が0.80kg/m2以上の塩化ビニル樹脂膜とされて第2の質量部4とする。これに加えて、吸遮音間仕切り材1は、総厚さTが40mm以下とされる。総厚さTは、主として厚さ15mm以上の第1層10と、厚さ10mm以上の第3層30の厚さによって定まるが、これに第2層20と第4層40の塩化ビニル樹脂の膜厚さの総計で40mm以下であれば良く、例えば、第1層10の厚さを約30mmとするなど、各層10~40のそれぞれの厚さは、特に限定するものでなく適宜定めて、総厚さTを40mm以下とすることで薄い吸遮音間仕切り材1とする。
【0012】
吸遮音間仕切り材1では、軟質ポリウレタンフォームによる厚さが15mm以上で、通気度が1~70ml/cm2/sとされた第1層10は、高周波数域の吸音性に優れるものである。通気度は、低くなるほど吸音性に優れたものとなる傾向があり、上記の範囲の通気度とすることで、高周波数域の吸音性を確保することができ、通気度が70ml/cm2/sを超えて大きくなると、吸音性を確保することが難しくなる。また、第1層10は、厚さが15mm以上ないと、500~4000Hzの低周波数域から高周波数域にわたる吸音率(JISA1405によって測定される垂直入射吸音率測定)を0.5以上とすることが難しい。
本発明の第1層10を構成する多孔質体としては、JIS K 6400-7に準拠して測定された通気度が1~70ml/cm2/sであればよく、軟質ポリウレタンフォームやそれ以外の樹脂発泡体、又は不織布、フェルト、グラスウール、糸状の熱可塑性樹脂を絡めた立体網状構造物などが使用できる。
【0013】
吸遮音間仕切り材1では、非通気性の塩化ビニル樹脂膜により厚さが0.2~1.0mmとされた第2層20は、第1層10とで第1の質量部2が構成される。第1層10と第2層20とによる第1の質量部2は、全体の面密度が0.50~1.80kg/m2とされる。面密度が0.50kg/m2未満となると、500Hz付近の吸音率が0.5以下となり、1.80kg/m2を超えて大きくなると、1000Hz付近の吸音率が0.5以下となってしまう。
本発明の第2層20を構成する樹脂膜としては、塩化ビニル樹脂やそれ以外の熱可塑性樹脂でもよく、又は熱可塑性樹脂と繊維基材との複合体(ターポリン)など、非通気性のものが使用できる。
【0014】
一方、第3層30は、バネ部3を構成し、厚さが10mm以上で、25%圧縮硬さが200N以下の軟質ポリウレタンフォームとされる。かかる厚さと圧縮硬さを備えることで、第1の質量部2と後述する第2の質量部4との間にバネ部3を備えるバネ-マス構造により、音の振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて吸音される。
ここで、本発明において、25%圧縮硬さは、JIS K 6400-2に準拠して測定された値である。
本発明の第3層30を構成する弾性体としては、軟質ポリウレタンフォームやそれ以外の樹脂発泡体でもよく、又は不織布、フェルト、グラスウール、糸状の熱可塑性樹脂を絡めた立体網状構造物などが使用できる。
【0015】
塩化ビニル樹脂膜による第4層40は、厚さが0.7mm以上で、面密度が0.80kg/m2以上とされる。第4層40は、厚さが0.7mm以上で面密度が0.80kg/m2以上ないと、遮音性を確保することができず、500~4000Hzの周波数域において透過損失を10dB以上とすることが難しい。
また、第1の質量部2と第2の質量部4との間にバネ部3を備えるバネ-マス構造による吸音特性を備えることになり、500~4000Hzの低周波数域から高周波数域にわたり吸音性に優れるとともに、同様の周波数域において遮音性をも発揮する。
本発明の第4層40を構成する樹脂膜としては、塩化ビニル樹脂やそれ以外の熱可塑性樹脂でもよく、又は熱可塑性樹脂と繊維基材との複合体(ターポリン)など、非通気性のものが使用できる。
【0016】
第2層20および第4層40において、第2層20は、厚さが0.2~1.0mmの薄膜とされ、第4層40は、厚さが0.7mm以上の厚膜とされるが、上記範囲の厚さであればよく、第2層20と第4層40とが同じ厚みの樹脂膜であってもよい。
【0017】
このような4層構造とされた吸遮音間仕切り材1は、各層10~40が接触するように積層されていればよく、必要に応じて接着剤などによって固定される。
また、吸遮音間仕切り材1は、枠部材や脚部材などにより自立させて使用したり、カバー材により全体を覆うようにしたり、網状のものや袋状のカバー材に収納状態として使用するなどその使用形態は任意でよい。
【0018】
吸遮音間仕切り材1では、第1層10~第4層40の4層構造で構成されることで、第1層10の特定の通気度を有する軟質ポリウレタンフォームによる高周波数域の吸音特性と、第1の質量部2と第2の質量部4との間にバネ部3を備えるバネーマス構造による低周波数域の吸音特性とを兼ね備えることになる。
これにより、吸遮音間仕切り材1は、例えば、実施例1の吸音特性を説明する
図4に示すように、500Hzの低周波数域から4000Hzの高周波数域まで、吸音性に優れたものとなり、吸音率を0.5以上とすることができる。これと同時に、吸遮音間仕切り材1は、遮音性にも優れ、同様の周波数域において透過損失を10dB以上のものとなる。
したがって、吸遮音間仕切り材1は、総厚さTを40mm以下として500,1000,2000,4000Hzの吸音率がいずれの周波数域でも0.5以上であり、かつ透過損失が10dB以上となる遮音性を備えたものとなる。
また、吸遮音間仕切り材1は、視線の遮断を図ると同時に遮音性や吸音性を備えたものとなり、災害時の避難場所でのプライバシー保護、テレワークやフリーアドレス化などに伴う室内の空間を仕切ること等広い用途で使用することができる。
【実施例0019】
次に、本発明の実施例について比較例とともに説明するが、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。以下、実施例1~5、比較例1~9、および参考例1に対する吸遮音間仕切り材1の吸音率、及び透過損失について測定し、吸音性及び遮音性の評価を行い、その結果を表1および表2に示した。また、実施例1、比較例1及び参考例1については、吸音率の測定結果をグラフ化して
図2~4に示した。
なお、表中で示す材質としては、以下のものを使用し、異なる厚みのものを準備して用いた
<材質>
軟質ポリウレタンフォームA:アキレス株式会社製、商品名「アキレスエアロン PPK」、密度23kg/m
3、通気度30ml/cm
2/s
軟質ポリウレタンフォームB:アキレス株式会社製、商品名「アキレスエアロン HD」、密度20kg/m
3、通気度100ml/cm
2/s、25%圧縮硬さ115N
軟質ポリウレタンフォームC:アキレス株式会社製、商品名「アキレスエアロン ZM」、密度65kg/m
3、25%圧縮硬さ300N
塩化ビニル樹脂膜A:密度1200kg/m
3
塩化ビニル樹脂膜B:ターポリン、密度1200kg/m
3
【0020】
<吸音性の評価>
吸音性の評価は、JIS A 1405に基づき垂直入射吸音率を測定して得られた値によって行った。このとき、周波数として500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzの吸音率を測定した。その結果を、吸音率が0.7以上を◎、吸音率が0.5以上0.7未満を○、吸音率が0.5未満を×とした。総合評価は、500~4000Hzで吸音性がいずれも◎または○を合格、吸音性が一つでも×であると不合格とした。
【0021】
<遮音性の評価>
遮音性の評価は、ASTM E 2611に基づき透過損失を測定し、40dB以上を◎、10dB以上40dB未満を○、10dB未満を×とした。総合評価は、500~4000Hzで遮音性がいずれも◎または○を合格、遮音性が一つでも×であると不合格とした。
【0022】
<実施例1>
第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10は、厚さが20mm、面密度が0.46kg/m2の軟質ポリウレタンフォームAとし、第2層20は、厚さが0.2mm、面密度は、0.24kg/m2の塩化ビニル樹脂膜Aとした。第1の質量部としての厚さが20.2mmとなり、面密度は、0.70kg/m2となる。
バネ部3を構成する第3層30は、厚さが10mm、面密度が0.20kg/m2の軟質ポリウレタンフォームBとした。
第2の質量部4を構成する第4層40は、厚さが1mm、面密度は、1.20kg/m2の塩化ビニル樹脂膜Bとした。
吸遮音間仕切り材1の総厚さTが31.2mmとなり、全体の面密度は、2.10kg/m2 である。
この吸遮音間仕切り材1では、吸音性は、いずれの周波数域においても0.7以上の◎の合格であり、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であった。
【0023】
<実施例2>
第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10を、厚さを15mm、面密度を0.35kg/m2の軟質ポリウレタンフォームAとし、第2層20を、厚さが1mm、面密度は、1.20kg/m2の塩化ビニル樹脂膜Bとした。第1の質量部としての厚さが16mmとなり、面密度は、1.55kg/m2となる。バネ部3を構成する第3層30は、厚さが15mm、面密度が0.30kg/m2の軟質ポリウレタンフォームBとした。
第2の質量部4を構成する第4層40は、実施例1と同一とした。なお、吸遮音間仕切り材1の総厚さTは32mmとなり、全体の面密度は、3.05kg/m2 である。
この吸遮音間仕切り材1では、吸音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であり、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であった。
【0024】
<実施例3>
第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10を、厚さを28mm、面密度を0.64kg/m2の軟質ポリウレタンフォームAとし、第2層20を、厚さが0.2mm、面密度は、0.24kg/m2の塩化ビニル樹脂膜Aとした。第1の質量部としての厚さが28.2mmとなり、面密度は、0.88kg/m2となる以外は、実施例1と同一とした。なお、吸遮音間仕切り材1の総厚さTは39.2mmとなり、全体の面密度は、2.28kg/m2である。
この吸遮音間仕切り材1では、吸音性は、いずれの周波数域においても◎の合格であり、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であった。
【0025】
<実施例4>
第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10は、実施例2と同一の軟質ポリウレタンフォームAとし、第2層20は、実施例1と同一の塩化ビニル樹脂膜Aとした。第1の質量部としての厚さが15.2mmとなり、面密度は、0.59kg/m2となる。
バネ部3を構成する第3層30を、厚さが23mm、面密度が0.46kg/m2の軟質ポリウレタンフォームBとした。
第2の質量部4を構成する第4層40は、実施例1と同一とした。なお、吸遮音間仕切り材1の総厚さTが39.2mmとなり、全体の面密度は、2.25kg/m2である。
この吸遮音間仕切り材1では、吸音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であり、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であった。
【0026】
<実施例5>
バネ部3を構成する第3層30を、厚さを10mm、面密度を0.20kg/m2の軟質ポリウレタンフォームBとした以外実施例4と同一とした。
なお、吸遮音間仕切り材1の総厚さTが26.2mmとなり、全体の面密度は、1.99kg/m2である。
この吸遮音間仕切り材1では、吸音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であり、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であった。
【0027】
[比較例1-9]
<比較例1>
第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10の軟質ポリウレタンフォームAを省略し、バネ部3を構成する第3層30を、厚さを30mm、面密度が0.60kg/m2の軟質ポリウレタンフォームBとした以外は、実施例1と同一とした。
吸遮音間仕切り材1の総厚さTが31.2mmとなり、全体の面密度は、2.04kg/m2である。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であったが、吸音性は、500Hz以外周波数域において×の不合格であり、吸音性を確保できなかった。
【0028】
<比較例2>
第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10の軟質ポリウレタンフォームAを省略し、第2層20を、厚さが1mm、面密度が、1.20kg/m2の塩化ビニル樹脂膜Bとした以外は、比較例1と同一とした。なお、吸遮音間仕切り材1の総厚さTは32mmとなり、全体の面密度は、3.00kg/m2である。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であったが、吸音性は、いずれの周波数域においても×の不合格であり、吸音性を確保できなかった。
【0029】
<比較例3-9>
以下の比較例3-9については、主たる変更点を説明することとし、具体的な各層10~40の構成については、表2に記載したとおりであり、その説明は、省略する。
<比較例3>
実施例1の第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10の軟質ポリウレタンフォームAをそのままとし、第2層20の厚さを1.2mm、面密度を、1.44kg/m2の塩化ビニル樹脂膜Aとすることで、第1の質量部としての厚さを21.2mmとし、面密度を、1.90kg/m2と大きくした。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であったが、吸音性には、×がある不合格であり、吸音性を確保できなかった。
【0030】
<比較例4>
実施例1の第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10の軟質ポリウレタンフォームAをそのままとし、第2層20の厚さを0.05mm、面密度を、0.06kg/m2の塩化ビニル樹脂膜Aとすることで、第1の質量部としての厚さを20.05mmとし、面密度を、0.46g/m2と小さくした。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても○の合格であったが、吸音性には、×がある不合格であり、吸音性を確保できなかった。
【0031】
<比較例5>
第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10の厚さを10mm、面密度を0.23kg/m2の軟質ポリウレタンフォームAとし、第2層20を、厚さが0.2mm、面密度が、0.24kg/m2の塩化ビニル樹脂膜とした。第1の質量部としての厚さが10.2mmとなり、面密度を、0.47kg/m2と小さくした。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であったが、吸音性には、×がある不合格であり、吸音性を確保できなかった。
【0032】
<比較例6>
第1の質量部(第1層および第2層)2を構成する第1層10の通気度を100ml/cm2 /sと大きくし、厚さが20mm、面密度が0.40kg/m2の軟質ポリウレタンフォームBとした。第1の質量部としての厚さが20.2mmとなり、面密度は、0.64kg/m2となる。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であったが、吸音性には、×がある不合格であり、吸音性を確保できなかった。
【0033】
<比較例7>
第2の質量部4を構成する第4層40の厚さを0.52mm、面密度を0.62kg/m2と小さくした塩化ビニル樹脂膜Bとした。
吸遮音間仕切り材1の総厚さTが30.72mmとなり、全体の面密度は、1.52kg/m2である。
この吸遮音間仕切り材1では、吸音性は、いずれの周波数域においても◎の合格であったが、遮音性には、×がある不合格であり、遮音性を確保できなかった。
【0034】
<比較例8>
バネ部3を構成する第3層30の厚さを5mmと薄くし、面密度を0.10kg/m2の軟質ポリウレタンフォームBとした。
なお、吸遮音間仕切り材1の総厚さTが31.2mmとなり、全体の面密度は、2.12kg/m2である。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても○の合格であったが、吸音性には、×がある不合格であり、吸音性を確保できなかった。
【0035】
<比較例9>
バネ部3を構成する第3層30の25%圧縮硬さを300Nと硬くし、面密度を0.65kg/m2の軟質ポリウレタンフォームCとした。
なお、吸遮音間仕切り材1の総厚さTが31.2mmとなり、全体の面密度は、2.55kg/m2である。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても○または◎の合格であったが、吸音性には、×がある不合格であり、吸音性を確保できなかった。
【0036】
<参考例1>
厚さ30mm、面密度0.46kg/m3の軟質ポリウレタンフォームAのみからなる吸遮音間仕切り材1とした。
この吸遮音間仕切り材1では、遮音性は、いずれの周波数域においても×の不合格であり、吸音性は、×がある不合格であり、遮音性及び吸音性の両方を確保できなかった。
【0037】
以上の実施例および比較例に対して行った吸遮音間仕切り材1の評価結果を示す表1および表2から、本発明における実施例1~5では、吸遮音間仕切り材1の総厚さTを40mm以下としても、500~4000Hzの周波数域の吸音率が0.5以上で、透過損失が10dB以上の薄く、吸音性および遮音性に優れた吸遮音間仕切り材1を得ることができることを確認できた。
一方、比較例1~9では、吸遮音間仕切り材1は、吸音性および遮音性の両方の特性を備えたものにできないことが確認できた。
【0038】
【0039】
【0040】
上記の実施の形態で具体的に説明した吸遮音間仕切り材1は、音源側の軟質ポリウレタンフォームによる第1層10と、第1層10に積層される非通気性の塩化ビニル樹脂膜による第2層20と、第2層20に積層される軟質ポリウレタンフォームの第3層30と、第3層30に積層される非通気性の塩化ビニル樹脂膜による第4層40とからなる4層構造で、総厚さTが40mm以下とされて構成される。
【0041】
この吸遮音間仕切り材1は、総厚さTを40mm以下にでき、500~4000Hzの周波数域において吸音率が0.5以上で、透過損失が10dB以上の遮音性を備えたものとすることができる。吸遮音間仕切り材1は、視線の遮断を図ると同時に遮音性や吸音性を備えたものとなり、災害時の避難場所でのプライバシー保護、テレワークやフリーアドレス化などに伴う室内の空間を仕切ること等広い用途で使用することができる。
【0042】
また、吸遮音間仕切り材1は、第1層10が、厚さが15mm以上で、通気度が1~70ml/cm2/sの軟質ポリウレタンフォームとされ、第2層20が、厚さが0.2~1.0mmの塩化ビニル樹脂薄膜とされて第1層10と第2層20とで第1の質量部2が構成され、第1の質量部2の全体の面密度は、0.50~1.80kg/m2とされる。また、第3層30が、厚さが10mm以上で、25%圧縮硬さが200N以下の軟質ポリウレタンフォームとされてバネ部3を構成し、第4層40は、厚さが0.7mm以上で、面密度が0.80kg/m2以上の塩化ビニル樹脂膜とされて第2の質量部4を構成する。これに加えて、吸遮音間仕切り材1は、総厚さTが40mm以下とされる。
【0043】
この吸遮音間仕切り材1は、第1層10の特定の通気度を有する軟質ポリウレタンフォームによる高周波数域の吸音特性と、第1の質量部2と第2の質量部4との間にバネ部3を備えるバネーマス構造による低周波数域の吸音特性とを兼ね備えることになり、500Hzの低周波数域から4000Hzの高周波数域まで、吸音性に優れたものとなって吸音率を0.5以上とすることができる。これと同時に、吸遮音間仕切り材1は、遮音性にも優れ、同様の周波数域において透過損失を10dB以上のものとなる。
したがって、吸遮音間仕切り材1は、総厚さTを40mm以下として500,1000,2000,4000Hzの吸音率がいずれの周波数域でも0.5以上である吸音性を備え、かつ同様の周波数域において透過損失が10dB以上となる遮音性を備えたものとすることができる。
【0044】
以上、実施の形態とともに、具体的に説明したように、本発明の吸遮音間仕切り材1は、音源側の多孔質体による第1層10と、第1層10に積層される非通気性の樹脂膜による第2層20と、第2層20に積層される弾性体による第3層30と、第3層30に積層される非通気性の樹脂膜による第4層40とからなる4層構造で、第1層10は、厚さが15mm以上で、通気度が1~70ml/cm2/sとされ、第2層20は、厚さが0.2~1.0mmとされて、第1層10と第2層20とを合わせた面密度は、0.50~1.80kg/m2とされ、第3層30は、厚さが10mm以上で、25%圧縮硬さが200N以下とされ、第4層40は、厚さが0.7mm以上で、面密度が0.80kg/m2以上とされ、総厚さTが40mm以下とされて構成される。
【0045】
かかる構成によれば、吸遮音間仕切り材1は、第1層10~第4層40からなる4層構造で、総厚さTを40mm以下とすることで、総厚さTが40mm以下で、500~4000Hzの周波数域において吸音率が0.5以上で、透過損失が10dB以上の遮音性を備えたものとすることができる。吸遮音間仕切り材1は、視線の遮断を図ると同時に遮音性や吸音性を備えたものとなり、災害時の避難場所でのプライバシー保護、テレワークやフリーアドレス化などに伴う室内の空間を仕切ること等広い用途で使用することができる。
【0046】
また、吸遮音間仕切り材1は、第1層10の厚さが15mm以上で、通気度が1~70ml/cm2/sとされる高周波数域の吸音特性と、第2層20の厚さが0.2~1.0mmの樹脂膜とされて第1層10と第2層20とで第1の質量部2が構成され、第1の質量部2と第2の質量部4との間に、厚さが10mm以上で、25%圧縮硬さが200N以下とされたバネ部3を備えるバネーマス構造による低周波数域の吸音特性とを兼ね備えることになり、500Hzの低周波数域から4000Hzの高周波数域まで、吸音性に優れたものとなって吸音率を0.5以上とすることができる。これと同時に、吸遮音間仕切り材1は、厚さが0.7mm以上で、面密度が0.80kg/m2以上とされた第4層40を備えることで、遮音性にも優れ、同様の周波数域において透過損失を10dB以上のものとなる。
したがって、吸遮音間仕切り材1は、総厚さTを40mm以下として500,1000,2000,4000Hzの吸音率がいずれの周波数域でも0.5以上である吸音性を備え、かつ同様の周波数域において透過損失が10dB以上となる遮音性を備えたものとすることができる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施の形態に何ら限定するものでない。