(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066067
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】電子ユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20230508BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20230508BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H05K9/00 C
H05K7/14 C
H05K5/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176565
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 洋之輔
(72)【発明者】
【氏名】土屋 俊幸
【テーマコード(参考)】
4E360
5E321
5E348
【Fターム(参考)】
4E360AB33
4E360BA01
4E360BA12
4E360BB22
4E360BC05
4E360BC06
4E360BD02
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA18
4E360EA24
4E360EC05
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED07
4E360ED23
4E360ED28
4E360GA12
4E360GA13
4E360GA24
4E360GA29
4E360GA34
4E360GA52
4E360GB51
4E360GC04
4E360GC08
5E321AA02
5E321AA14
5E321AA17
5E321AA41
5E321BB60
5E321CC03
5E321CC22
5E321GG05
5E321GH03
5E321GH07
5E348AA02
5E348AA03
5E348AA05
5E348AA07
5E348AA32
5E348EF41
5E348EF42
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で電磁波を遮蔽すること。
【解決手段】本開示に係る電子ユニットは、電子部品を実装した基板と、前記基板の一方の面を覆う第1カバーと、前記基板の他方の面を覆う第2カバーと、前記基板及び前記第1カバーを覆いつつ、前記第2カバーに取り付けられるケースと、を備える。前記第1カバーは、前記基板に対向する上板部と、前記上板部の周縁から突出する側板部と、前記側板部の端部に設けられた接触部とを有する。前記第2カバーは、山部を有する。前記接触部は、内側又は外側の片側に向かって湾曲しており、前記第1カバーの前記接触部と前記第2カバーの前記山部とが接触することによって、前記第1カバーと前記第2カバーとが導通する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装した基板と、
前記基板の一方の面を覆う第1カバーと、
前記基板の他方の面を覆う第2カバーと、
前記基板及び前記第1カバーを覆いつつ、前記第2カバーに取り付けられるケースと、
を備え、
前記第1カバーは、前記基板に対向する上板部と、前記上板部の周縁から突出する側板部と、前記側板部の端部に設けられた接触部とを有し、
前記第2カバーは、山部を有し、
前記接触部は、内側又は外側の片側に向かって湾曲しており、
前記第1カバーの前記接触部と前記第2カバーの前記山部とが接触することによって、前記第1カバーと前記第2カバーとが導通する、
電子ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ユニットであって、
前記接触部は、外側に向かって湾曲しており、前記山部の外側の傾斜面と接触する、
電子ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の電子ユニットであって、
前記第2カバーは、
前記山部の外側に設けられた側壁部と、
前記側壁部と前記山部との間に設けられ、前記ケースを接着するための接着剤を収容する溝部と
を有し、
前記接触部は、前記接着剤に接触する、
電子ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の電子ユニットであって、
前記接触部は、内側に向かって湾曲しており、前記山部の内側の傾斜面と接触する、
電子ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の電子ユニットであって、
前記接触部は、互いに分離した複数の接触片によって構成されている、
電子ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の電子ユニットであって、
前記側板部は、前記上板部の縁から折り曲げられて構成されている、
電子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子部品から発生する電磁波を遮蔽するため、電子部品を収容するケーシング内に金属製の内部カバーを設けた電子ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の内部カバーは、先端が互い違いに湾曲した弾性片を有しており、内側カバーの弾性片が外側カバーと接触することによって、内側カバーを介して基板と外側カバーとが導通する。但し、互い違いに湾曲した弾性片を内部カバーの先端に設けると、構造が複雑になる。
【0005】
本発明は、簡易な構造で電磁波を遮蔽することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一つは、電子部品を実装した基板と、前記基板の一方の面を覆う第1カバーと、前記基板の他方の面を覆う第2カバーと、前記基板及び前記第1カバーを覆いつつ、前記第2カバーに取り付けられるケースと、を備え、前記第1カバーは、前記基板に対向する上板部と、前記上板部の周縁から突出する側板部と、前記側板部の端部に設けられた接触部とを有し、前記第2カバーは、山部を有し、前記接触部は、内側又は外側の片側に向かって湾曲しており、前記第1カバーの前記接触部と前記第2カバーの前記山部とが接触することによって、前記第1カバーと前記第2カバーとが導通する、電子ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構造で電磁波を遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、電子ユニットを備えた車両用灯具の説明図である。
【
図4】
図4は、電子ユニット10の一部断面図である。
【
図5】
図5は、第1カバー30の接触部34の説明図である。
【
図6】
図6は、第2カバー40の接触部34の近傍の断面図である。
【
図8】
図8は、変形例の第1カバー30の説明図である。
【
図9】
図9は、別の変形例の第1カバー30の説明図である。
【
図11】
図11Aは、比較例の第1カバー30の説明図である。
図11Bは、比較例の電子ユニット10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、同一の又は類似する構成について共通の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0010】
<全体構成>
図1は、電子ユニットを備えた車両用灯具の説明図である。
【0011】
車両用灯具100は、車両の外部照明のための装置である。車両用灯具100は、例えばヘッドランプである。車両用灯具100は、ハウジング110と、光源ユニット120と、電子ユニット10とを備える。
【0012】
ハウジング110は、車両用灯具100の筐体となる部材である。ハウジング110は、光源ユニット120と、電子ユニット10とを保持する。例えば、ハウジング110は、ランプボディ111と前面カバー112とを有する。
光源ユニット120は、光を照射するユニットである。光源ユニット120は、光源121を有する。
図1では、光源121を構成する発光素子が1つだけ描かれているが、通常、光源121は複数である。光源ユニット120は、不図示のスイッチ回路を有する。また、光源ユニット120は、リフレクタ、投影レンズ、エクステンション、ベース部材などの他の部材も有する。光源ユニット120は、ハウジング110の内部に収容されている。
電子ユニット10は、光源ユニット120の光源121の点灯を制御するユニットである。言い換えると、電子ユニット10は、光源ユニット120のスイッチ回路(不図示)の各スイッチを制御するユニットである。電子ユニット10は、ハウジング110(詳しくはランプボディ111)の底部に取り付けられている。電子ユニット10は、ランプ側ハーネスHAを介して光源ユニット120と電気的に接続されている。また、電子ユニット10は、車両側ハーネスHBを介して外部電源や車両ECUと電気的に接続されている。
【0013】
図2は、電子ユニット10の斜視図である。
図3は、電子ユニット10の分解図である。
図4は、電子ユニット10の一部断面図である。なお、
図4は、第1カバー30の接続片33の近傍の断面図を示している。
図4では、便宜上、伝熱シート64等の一部の部材が省略されている。
【0014】
以下の説明では、
図3に示すように、各方向を定める。Z方向は、電子ユニット10を構成する各部材の積層方向であるとともに、電子ユニット10の製造時に第2カバー40とケース50とを取り付ける取付方向である。Z方向のことを「上下方向」又は「鉛直方向」と呼ぶことがある。また、ケース50の側を「上」と呼び、第2カバー40の側を「下」と呼ぶことがある。ここでは、Z方向プラス側は上側に相当する。また、X方向及びY方向は、Z方向に垂直な方向である。例えば、X方向は車幅方向(左右方向)に相当し、Y方向は車両の前後方向に相当する。ここでは、X方向プラス側は右方に相当し、Y方向プラス側は車両の前方に相当する。
また、以下の説明では、
図4に示すように、電子ユニット10の内部に向かう方向を「内側」と呼び、電子ユニット10の外部に向かう方向を「外側」と呼ぶことがある。
【0015】
電子ユニット10は、基板20と、第1カバー30と、第2カバー40と、ケース50とを有する。
【0016】
基板20は、電子部品(不図示)を実装する基板20である。基板20は、例えばプリント配線基板で構成されている。
【0017】
基板20は、不図示の電子部品とともに、ランプ側コネクタ21と、アース部22と、入力領域23とを有する。
ランプ側コネクタ21は、ランプ側ハーネスHAの一端に設けられたコネクタと接続する部位である。ランプ側コネクタ21は、基板20の上面に設けられており、基板20の上面から上側に向かって突出している。
アース部22は、グランド電位になる部位である。アース部22の表面には導体が露出している。アース部22は、第1カバー30(詳しくは接続片33)と導通する部位である。アース部22には、ネジ62を挿通させるための貫通孔が設けられている。
入力領域23は、複数の入力端子が設けられた部位である。入力領域23のそれぞれの入力端子(孔)は、ケース50の複数のピン53Aと電気的に接続される。
【0018】
第1カバー30は、基板20の一方の面を覆う導電性の部材である。ここでは、基板20の一方の面は、基板20の上面に相当し、第1カバー30は、基板20の上面を覆う部材である。第1カバー30は、基板20から発生する電磁ノイズの漏洩を抑制するとともに、外部から侵入する電磁ノイズを遮蔽するノイズシールドである。第1カバー30は、導電性材料(例えばアルミニウムなどの金属材料)で構成されている。第1カバー30は、基板20のアース部22に導通している(後述)。これにより、第1カバー30の電位が安定し、第1カバー30がノイズシールドとして有効に機能することになる。
【0019】
第1カバー30は、上板部31と、側板部32と、接続片33とを有する。
【0020】
上板部31は、基板20の上面と対向する板状の部位である。上板部31は、Z方向(上下方向)に垂直な板状の部位である。上板部31には開口部31Aが設けられている。開口部31Aは、基板20のランプ側コネクタ21に対応する位置に設けられている。第1カバー30を基板20に取り付けると、ランプ側コネクタ21が開口部31Aに挿通された状態で第1カバー30から上側に突出する。
【0021】
側板部32は、上板部31の周縁から下側(基板20側、第2カバー40側)に向かって突出する板状の部位である。つまり、側板部32は、第1カバー30の側面を構成する部位である。側板部32は、Z方向(上下方向)に平行な板状の部位である。側板部32は、上板部31の周縁となる部位で金属板を折り曲げることによって構成されている。
【0022】
接続片33は、第1カバー30を基板20に接続する部位である。接続片33は、基板20の上面に平行な板状の部位であり、Z方向(上下方向)に垂直な板状の部位である。接続片33には、ネジ62を挿通させるための貫通孔が設けられている。接続片33は、基板20とケース50の固定部51B(後述;
図4参照)との間に挟まれた状態で、ネジ62によって基板20に対して固定される。つまり、接続片33は、第1カバー30をケース50に固定する部位である。接続片33が基板20のアース部22に接触することによって、第1カバー30が基板20のアース部22に導通する。基板20の上面を覆う第1カバー30が基板20のアース部22に導通することによって、基板20から電磁ノイズが発生しても、第1カバー30の電位が安定する。
【0023】
第1カバー30は、更に接触部34を有する。接触部34については、後述する。
【0024】
第2カバー40は、基板20の他方の面(第1カバー30が覆う面とは逆側の面)を覆う部材である。ここでは、基板20の他方の面は、基板20の上面に相当し、第2カバー40は、基板20の下面を覆う部材である。第2カバー40は、電子ユニット10の底部を構成する部材である。第2カバー40は、ケース50とともに電子ユニット10を防水する部材である。第2カバー40は、基板20の熱を外部へ放熱する機能を有する。このため、第2カバー40と基板20との間に伝熱シート64が介在しており、第2カバー40は、ケース50に収容されずに露出している。なお、伝熱シート64は、基板20の振動を抑制する機能も有する。第2カバー40は、第1カバー30と同様に、ノイズシールドとして機能する。このため、第2カバー40は、導電性材料(例えばアルミニウムなどの金属材料)で構成されている。また、第2カバー40は、第1カバー30を介して、基板20のアース部22に導通している(後述)。
【0025】
第2カバー40は、底板部41と、側壁部42と、山部43とを有する。
【0026】
底板部41は、電子ユニット10の底面を構成する部位であり、基板20の下面と対向する板状の部位である。底板部41は、Z方向に垂直な板状の部位である。
【0027】
側壁部42は、底板部41の周縁から上側(ケース50側)に向かって突出する壁状(板状)の部位である。つまり、側壁部42は、第2カバー40の側面を構成する部位である。側壁部42は、Z方向(上下方向)に平行な部位である。側壁部42には、ケース50を固定するための係合孔42Aが設けられている。
【0028】
山部43は、底板部41から上側(ケース50側)に向かって突出する凸状(山状)の部位である。山部43は、底板部41の周縁に沿って環状に突出している。言い換えると、山部43は、側壁部42に沿って環状に突出している。山部43が側壁部42の内側で側壁部42に沿って設けられることによって、側壁部42と山部43との間に溝部44が形成される。
【0029】
溝部44は、側壁部42と山部43との間の溝状の部位である。溝部44には、電子ユニット10を封止するためのシール剤45が収容されている(
図4参照)。シール剤45は、ここでは接着剤である。溝部44に収容された接着剤によって、第2カバー40とケース50との隙間が封止され、これにより電子ユニット10が防水されることになる。なお、シール剤45は、接着剤でなくても良く、例えばゴム製のパッキンでも良い。
【0030】
ケース50は、電子ユニット10の上部を構成する部材である。ケース50は、基板20及び第1カバー30を覆う部材である。ケース50は、第2カバー40とともに電子ユニット10を防水する部材である。つまり、ケース50と第2カバー40の内部空間に基板20及び第1カバー30が収容されて防水される。ケース50は、主に非導電性の樹脂材料で構成されている。但し、ケース50の一部に導電性の金属材料(例えばピン53A)が含まれていても良い。ケース50は、下部が開口した箱形の部材である。ケース50の内側の収容空間に、基板20及び第1カバー30が収容される。
図4に示すように、ケース50の内側には、基板20及び第1カバー30がネジ62によって固定されている。ケース50は、基板20及び第1カバー30を固定した状態で、第2カバー40に取り付けられることになる。
【0031】
ケース50は、上壁部51と、側壁部52と、車両側コネクタ53とを有する。
【0032】
上壁部51は、電子ユニット10の上面を構成する部位であり、第1カバー30の上面と対向する壁状(板状)の部位である。上壁部51は、Z方向に垂直な部位である。上壁部51には円筒開口部51Aが設けられている。円筒開口部51Aの位置には、基板20のランプ側コネクタ21が配置されている。ランプ側ハーネスHA(
図1参照)の一端に設けられたコネクタは、円筒開口部51Aを通じて、基板20のランプ側コネクタ21に接続されることになる。円筒開口部51Aは、ランプ側ハーネスHAのコネクタが接続されると、防水構造を果たす形状に構成されている。
【0033】
上壁部51は、固定部51Bを有する(
図4参照)。固定部51Bは、上壁部51の内壁面から下側(第2カバー40側、基板20側)に向かって突出した柱状の部位であり、ネジ62によって基板20及び第1カバー30を固定する部位である。基板20及び第1カバー30がネジ62によって固定部51Bに固定されることによって、基板20及び第1カバー30がケース50に対して固定されるとともに、基板20のアース部22と第1カバー30の接続片33が電気的に接続され、第1カバー30が基板20のアース部22に導通する。
【0034】
側壁部52は、上壁部51の周縁から下側(第2カバー40側)に向かって突出する板状(壁状)の部位である。側壁部52は、ケース50の側面を構成する部位である。側壁部52は、Z方向(上下方向)に平行な部位である。側壁部52には、係合凸部52Aが設けられている。係合凸部52Aが第2カバー40の係合孔42Aに係合することによって、ケース50が第2カバー40に取り付けられる。ケース50が第2カバー40に取り付けられると(係合凸部52Aが第2カバー40の係合孔42Aに係合すると)、
図4に示すように、側壁部52の端部(下端)が第2カバー40の溝部44に配置される。溝部44にはシール剤45が収容されており、ケース50が第2カバー40に取り付けられると(係合凸部52Aが第2カバー40の係合孔42Aに係合すると)、
図4に示すように、側壁部52の端部(下端)がシール剤45と接触する。これにより、第2カバー40とケース50との隙間が封止され、これにより電子ユニット10が防水される。ここではシール剤45が接着剤であるため、側壁部52の端部(下端)が接着剤によって第2カバー40に対して接着固定される。
【0035】
車両側コネクタ53は、車両側ハーネスHB(
図1参照)の一端に設けられたコネクタと接続する部位である。車両側コネクタ53にはピン53Aが設けられており、このピン53Aは、基板20の入力領域23の各端子と電気的に接続される。なお、車両側コネクタ53は、車両側ハーネスHBのコネクタが接続されると、防水構造を果たす形状に構成されている。
【0036】
<接触部34について>
本実施形態では、第1カバー30だけでなく、第2カバー40もノイズシールドとして機能させている。このため、第2カバー40は、第1カバー30と同様に、導電性の部材で構成されるとともに、基板20のアース部22に導通させる必要がある。
【0037】
図10は、参考例の説明図である。
参考例では、基板20の下面にアース部22が設けられており、基板20(詳しくは下面のアース部22)と第2カバー40との間にバネ状のオンボードコンタクト25が配置されている。参考例では、第2カバー40は、オンボードコンタクト25を介して基板20のアース部22に導通される。このような参考例の場合、基板20の下面にバネ状のオンボードコンタクト25を取り付ける必要がある。このため、電子ユニット10の製造時に、基板20の下面からバネ状のオンボードコンタクト25が突出するため、オンボードコンタクト25を引っかけて損傷させるおそれがある。
そこで、本実施形態では、次に説明するように、第1カバー30と第2カバー40とを接触させることによって、第1カバー30を介して第2カバー40と基板20のアース部22とを導通させている。これにより、本実施形態では、参考例のオンボードコンタクト25のような部材を用いずに、第2カバー40を基板20のアース部22に導通させることができ、第2カバー40がグランド電位になる。
【0038】
図5は、第1カバー30の接触部34の説明図である。
図5は、
図3に示す第1カバー30の一部拡大図に相当する。
図6は、第2カバー40の接触部34の近傍の断面図である。
図6に示すように、側板部32は、基板20の外側を通じて基板20よりも下に突出している。なお、側板部32から見て基板20の側は「内側」となり、基板20とは逆側は「外側」となる。
【0039】
第2カバー40は、接触部34を有する。接触部34は、側板部32の端部(下端)に設けられた部位であり、第2カバー40(詳しくは山部43)と接触する部位である。接触部34は、内側又は外側の片側のみに向かって湾曲している。
図5及び
図6に示す接触部34は、外側に向かって湾曲している。但し、後述するように、接触部34は、内側に向かって湾曲しても良い(
図8参照)。接触部34は、内側又は外側に向かって湾曲して構成されるため、Z方向に対して傾斜した傾斜面を有する(これに対し、側板部32はZ方向に平行である)。
【0040】
図7A及び
図7Bは、接触部34を湾曲させた理由の説明図である。
電子ユニット10を組み立てるとき、ケース50は、基板20及び第1カバー30を固定した状態で、第2カバー40に取り付けられることになる。ケース50を第2カバー40に取り付けるとき、
図7Aに示すように第1カバー30と第2カバー40がZ方向(取付方向)に接近する。ケース50の係合凸部52Aが第2カバー40の係合孔42Aに係合するまで第1カバー30と第2カバー40をZ方向に接近させると、
図7Bに示すように、接触部34が第2カバー40の山部43に接触する。このとき、接触部34の傾斜面が第2カバー40の山部43から力を受けることによって、側板部32及び接触部34が弾性変形する。側板部32及び接触部34が弾性変形することによって、第1カバー30と第2カバー40のZ方向の寸法の公差を吸収することができるため、電子ユニット10を組み立てるときに第1カバー30や第2カバー40に過度な応力がかかることを抑制することができる。
【0041】
図11Aは、比較例の第1カバー30の説明図である。
図11Bは、比較例の電子ユニット10の断面図である。
比較例では、
図11Aに示すように、第1カバー30の側板部32の先端(下端)に複数の弾性片35が設けられており、複数の弾性片35は、互い違いに湾曲している。比較例の第1カバー30の形状は複雑であるため、比較例の場合、第1カバー30の製造コストが増加するおそれがある。また、比較例の場合、電子ユニット10の製造時に、互い違いに湾曲した弾性片35を引っかけて損傷させるおそれがある。
加えて、比較例では、
図11Bに示すように、互い違いに湾曲する弾性片35は、山部43の内側及び外側の両側の傾斜面と互い違いに接触する。この結果、比較例では、側板部32は弾性変形することができないため、弾性片35の弾性変形のみによって第1カバー30と第2カバー40のZ方向の寸法の公差を吸収する必要がある(つまり、比較例では、第1カバー30と第2カバー40のZ方向の寸法の公差が狭い範囲になる)。
【0042】
これに対し、本実施形態では、
図7Aに示すように、接触部34は、内側又は外側の片側のみに向かって湾曲している(内側又は外側のいずれか一方だけに湾曲している)。このため、本実施形態では、比較例と比べて、第1カバー30の形状が簡易になり、第1カバー30の製造コストを抑制することが可能である。また、接触部34は、内側又は外側の片側のみに向かって湾曲しているだけなので、比較例の弾性片35と比べて、引っかけて損傷することを抑制できる。また、本実施形態では、
図7Bに示すように、接触部34が内側又は外側の片側に湾曲することによって、側板部32を内側又は外側の片側に弾性変形させることが可能になる。この結果、本実施形態では、比較例と比べて、第1カバー30と第2カバー40のZ方向の寸法の公差を吸収させ易い構造になる。つまり、本実施形態では、比較例と比べて、第1カバー30と第2カバー40のZ方向の寸法の公差を広く設定できる。
【0043】
なお、本実施形態では、側板部32は、上板部31の周縁から折り曲げられて構成されている。これにより、側板部32を上板部31と同じ金属板で構成することができ、第1カバー30を簡易に構成することができる。加えて、側板部32が上板部31の周縁から折り曲げられて構成されることによって、側板部32は、片持ち梁状に構成される。側板部32が片持ち梁状に構成されることによって、接触部34が第2カバー40の山部43から力を受けたときに(
図7B参照)、折り曲げ部を支点にして側板部32が弾性変形し易くなり、第1カバー30と第2カバー40のZ方向の寸法の公差を吸収し易い構造になる。
【0044】
また、本実施形態では、
図6に示すように、接触部34は、外側に向かって湾曲しており、山部43の外側の傾斜面と接触する。これにより、接触部34が内側に向かって湾曲する場合(後述;
図8参照)と比べて、第1カバー30の側板部32を外側に配置することが可能になり、基板20の大型化が可能になる(言い換えると、基板20の大きさに対して、第1カバー30(及びケース50)の寸法の小型化が可能になる)。例えば、
図6に示す形態の場合、基板20の外縁(図中の左縁)を、山部43の内縁よりも外側に配置することが可能であり、山部43の上方に配置することが可能である(これに対し、
図8に示すように、接触部34が内側に向かって湾曲し、山部43の内側の傾斜面と接触する場合には、基板20の外縁を山部43の上方に配置することは難しくなる)。なお、基板20の外縁(図中の左縁)を山部43の内縁よりも外側に配置するため、山部43の頂部の高さ(Z方向の寸法)は、基板20の下面の高さよりも低いことが望ましい(仮に
図11Bに示すように山部43の頂部が基板20の下面よりも高いと、基板20の外縁は山部43よりも内側に配置する必要がある)。また、基板20の外縁(図中の左縁)を山部43の上方に配置した場合であっても、山部43とネジ62(
図4参照)との干渉を防ぐため、ネジ62の頂部は、山部43の頂部よりも内側であることが望ましい。これにより、基板20と第2カバー40との隙間を狭めることができ、電子ユニット10の小型化を図ることができる。
【0045】
更に、本実施形態では、接触部34が外側に向かって湾曲して山部43の外側の傾斜面と接触する構造であるため、
図6に示すように、接触部34の先端を第2カバー40の溝部44に収容した接着剤に接触させることができる。これにより、接着剤によって接触部34を第2カバー40に対して固定できる。但し、硬化した接着剤が第1カバー30の振動によって損傷するおそれがある場合には、接触部34を接着剤に接触させないことが望ましい。
【0046】
<変形例>
図8は、変形例の第1カバー30の説明図である。
変形例では、接触部34は、内側に向かって湾曲しており、山部43の内側の傾斜面と接触する。変形例においても、
図11Aに示す比較例と比べて、第1カバー30の形状が簡易になり、第1カバー30の製造コストを抑制することが可能である。また、変形例においても、接触部34は、内側のみに向かって湾曲しているだけなので、比較例の弾性片35と比べて、引っかけて損傷することを抑制できる。また、変形例においても、側板部32を内側又は外側の片側(ここでは内側)に弾性変形させることが可能になるため、比較例と比べて、第1カバー30と第2カバー40のZ方向の寸法の公差を吸収させ易い構造になる。
更に、変形例では、
図6に示す形態と比べると、接触部34が接着剤に接触することを確実に防止できる構造になる。このため、硬化した接着剤が第1カバー30の振動によって損傷することを防止できる。
【0047】
図9は、別の変形例の第1カバー30の説明図である。
接触部34は、
図9に示すように、互いに分離した複数の接触片34Aによって構成されても良い。
図9に示す変形例においても、
図11Aに示す比較例と比べて、接触部34(接触片34A)は内側又は外側の片側(ここでは外側)に湾曲した構造であるため、
図11Aに示す比較例と比べて、第1カバー30の形状が簡易になり、第1カバー30の製造コストを抑制することが可能である。また、
図9に示す接触片34Aは、
図5に示す接触部34と比べて、第2カバー40の山部43から力を受けたときに、弾性変形し易くなる。このため、複数の接触片34Aによって接触部34を構成することによって、第1カバー30と第2カバー40のZ方向の寸法の公差を吸収し易い構造にすることができる。
【0048】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0049】
10 電子ユニット、
20 基板、21 ランプ側コネクタ、
22 アース部、23 入力領域、
25 オンボードコンタクト、
30 第1カバー、31 上板部、31A 開口部、
32 側板部、33 接続片、
34 接触部、34A 接触片、35 弾性片、
40 第2カバー、41 底板部、
42 側壁部、42A 係合孔、
43 山部、44 溝部、45 シール剤(接着剤)、
50 ケース、51 上壁部、
51A 円筒開口部、51B 固定部、
52 側壁部、52A 係合凸部、
53 車両側コネクタ、53A ピン、
62 ネジ、64 伝熱シート、
100 車両用灯具、110 ハウジング、
111 ランプボディ、112 前面カバー、
120 光源ユニット、121 光源、
HA ランプ側ハーネス、HB 車両側ハーネス