IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-モータ 図1
  • 特開-モータ 図2
  • 特開-モータ 図3
  • 特開-モータ 図4
  • 特開-モータ 図5
  • 特開-モータ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066070
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20230508BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20230508BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20230508BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/215
H02K11/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176570
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 正記
(72)【発明者】
【氏名】大菅 祥平
(72)【発明者】
【氏名】高田 響
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC06
5H605EC01
5H605EC07
5H605EC08
5H605EC13
5H605EC14
5H605EC20
5H605GG06
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB06
5H611PP02
5H611PP05
5H611QQ03
5H611QQ04
5H611RR02
5H611UA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型化できるモータを提供する。
【解決手段】モータは、ロータと、ステータと、軸受と、ハウジングと、端子台と、を備える。ロータは、回転軸の周りを回転する。ステータは、ロータと径方向に隙間を介して対向し、コイルを形成する導線33aを有する。軸受は、ロータを回転可能に支持する。ハウジングは、ロータ、ステータ及び軸受を収容する。端子台は、ハウジングよりも軸方向一方側に配置され、軸受と少なくとも一部が軸方向に重なり、板状に形成される。端子台は、導線と外部端子90とを接続する接続部61を有する。導線は、屈曲部を有する。屈曲部は、コイルから軸方向一方側に引出されて接続部に向かって軸方向と直交する方向に屈曲する。接続部と屈曲部とは、軸方向から見て、回転軸を通って径方向に延びる中心線を挟んで反対側に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の周りを回転するロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向し、コイルを形成する導線を有するステータと、
前記ロータを回転可能に支持する軸受と、
前記ロータ、前記ステータ及び前記軸受を収容するハウジングと、
前記ハウジングよりも軸方向一方側に配置され、前記軸受と少なくとも一部が軸方向に重なる板状の端子台と、を備え、
前記端子台は、前記導線と外部端子とを接続する接続部を有し、
前記導線は、
前記コイルから軸方向一方側に引出されて前記接続部に向かって軸方向と直交する方向に屈曲する屈曲部を有し、
前記接続部と前記屈曲部とは、軸方向から見て、前記回転軸を通って径方向に延びる中心線を挟んで反対側に配置される、モータ。
【請求項2】
前記ステータは、複数相の前記コイルを有し、
複数の前記導線は、前記端子台上において、前記接続部に向かって前記屈曲部からそれぞれ平行に延びる、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記端子台は、軸方向一方側の端面から軸方向一方側に突出し、隣り合う前記導線の間に配置される仕切壁を有する、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記仕切壁は、軸方向一方側の端面から軸方向他方側に凹む仕切凹部を有する、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記仕切壁は、軸方向と直交する方向に突出して前記導線の軸方向一方側を覆う押さえ部を有する、請求項3又は請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記端子台は、軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記押さえ部と軸方向に重なる、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記端子台は、
隣り合う前記導線の間に配置され、前記ハウジングに固定される固定部と、
前記導線と前記固定部との間において、軸方向一方側の端面から軸方向に延びる固定仕切部と、を有する、請求項2~請求項6のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記屈曲部と前記固定部との少なくとも一部とは、軸方向から見て、前記導線が前記屈曲部から前記接続部に向かって延びる延出方向と直交する方向に重なる、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記端子台は、軸方向他方側の端面から軸方向他方側に突出するリブを有し、
前記リブは、前記固定部から前記接続部に向かって延びる、請求項7又は請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記端子台は、外縁部が内側に凹んで形成される端子台凹部を有し、
前記導線が、前記端子台凹部の内部に配置される、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項11】
前記端子台は、外縁部において、径方向外側に向かって軸方向他方側に傾く傾斜部を有し、
前記屈曲部が、前記傾斜部上に配置される、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項12】
前記ロータの回転位置を検知する回転検出器をさらに備え、
前記回転検出器は、前記ハウジングと前記端子台との軸方向の隙間に配置され、
前記回転検出器に接続される第1信号線は、前記隙間を通って軸方向と直交する方向に延びる、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項13】
前記ステータの温度を検知する温度検出器をさらに備え、
前記温度検出器と接続される第2信号線は、前記隙間を通って軸方向と直交する方向に延びる、請求項12に記載のモータ。
【請求項14】
前記ハウジングは、
前記ステータを径方向から覆う筒状の周壁部と、
前記周壁部の軸方向の一端面を覆う蓋壁部と、を有し、
前記端子台は、前記蓋壁部の軸方向の一端面上に配置され、
前記第2信号線は、前記蓋壁部を軸方向に貫通する蓋壁貫通孔を通過する、請求項13に記載のモータ。
【請求項15】
前記第1信号線及び前記第2信号線は、束ねられて前記ハウジングの外部に引き出される、請求項13又は請求項14に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータは、ロータと、ステータと、ケース(モータハウジング)と、端子台と、を備える。ケースは、ロータ及びステータを収容する。ステータは、コイルを有し、コイルに接続される動力線端末(導線)は、ハウジングの径方向外側に引出される。端子台は、ケースの径方向外側に配置され、動力線端末と外部接続端子(外部端子)とを接続する固定部(接続部)を有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-125170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のモータでは、端子台がハウジングの径方向外側に配置され、モータが径方向に大型化する可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、小型化できるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、ロータと、ステータと、軸受と、ハウジングと、端子台と、を備える。ロータは、回転軸の周りを回転する。ステータは、ロータと径方向に隙間を介して対向し、コイルを形成する導線を有する。軸受は、ロータを回転可能に支持する。ハウジングは、ロータ、ステータ及び軸受を収容する。端子台は、ハウジングよりも軸方向一方側に配置され、軸受と少なくとも一部が軸方向に重なり、板状に形成される。端子台は、導線と外部端子とを接続する接続部を有する。導線は、屈曲部を有する。屈曲部は、コイルから軸方向一方側に引出されて接続部に向かって軸方向と直交する方向に屈曲する。接続部と屈曲部とは、軸方向から見て、回転軸を通って径方向に延びる中心線を挟んで反対側に配置される。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、小型化できるモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係るモータ縦断面斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るモータの斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るモータの斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るモータの斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るモータの端子台の斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るモータの端子台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図1に示すモータ1の中心軸Cの延びる方向を単に「軸方向」と呼び、モータ1の中心軸Cを中心とする径方向及び周方向を単に「径方向」及び「周方向」と呼ぶ。なお、「軸方向」、「径方向」、「周方向」は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、本実施形態では、説明の便宜上、軸方向を上下方向とし、図1における上下方向をモータ1の上下方向として各部の形状および位置関係を説明する。例えば、軸方向一方側を軸方向上側、または上側とする。軸方向他方側を軸方向下側、または下側とする。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係るモータ1の使用時の向きを限定する意図はない。
【0010】
<1.モータの構成>
本発明の例示的な実施形態のモータについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るモータ1の縦断斜視面図である。
【0011】
モータ1は、ロータ20と、ステータ30と、上軸受(軸受)41と、下軸受42と、ハウジング50と、端子台60と、回転検出器92と、を備えている。
【0012】
<2-1.ハウジングの構成>
【0013】
ハウジング50は、ロータ20と、ステータ30と、上軸受41と、下軸受42と、を収容する。ハウジング50は、周壁部51と、底壁部52と、上壁部(蓋壁部)53と、を有する。
【0014】
周壁部51は、軸方向に延びて円筒状に形成される。周壁部51の上面及び下面は、開口する。周壁部51の下面は、底壁部52により覆われている。周壁部51の上面は、上壁部53により覆われている。すなわち、上壁部(蓋壁部)53は、周壁部の上面(軸方向の一端面)を覆う。
【0015】
底壁部52は、下軸受保持部52aを有する。下軸受保持部52aは、中心軸Cを囲む筒状に形成される。下軸受保持部52aには、下軸受42が、収容され保持される。
【0016】
上壁部53は、上軸受保持部53aと、上壁貫通孔(蓋壁貫通孔)53bと、上壁ネジ孔53cと、側壁部53dと、上筒部53eと、を有する。上軸受保持部53aは、中心軸Cを囲む筒状に形成される。上軸受保持部53aには、上軸受41が、収容され保持される。
【0017】
上壁貫通孔53bは、上軸受保持部53aの径方向外側に配置され、上壁部53を軸方向に貫通する。上壁貫通孔53bは、後述する導線33aが挿通される。上壁ネジ孔53cは、上軸受保持部53aの周りに4箇所設けられている(図3参照)。上壁部53の上面には端子台60が上壁ネジ孔53cを介してネジ止めされる。
【0018】
側壁部53dは、上壁部53の上面から軸方向上側に突出して筒状に形成される。側壁部53dは、端子台60を囲む。側壁部53dの上面は、開口しており、カバー54により覆われている。側壁部53dは、側壁貫通孔53fが3箇所並んで設けられている(図2図4参照)。側壁貫通孔53fは、側壁部53dを径方向に貫通する。側壁貫通孔53fを介して外部端子90が側壁部53dの内部に引込まれる。
【0019】
また、側壁部53dは、側壁貫通孔53gが1箇所設けられている(図2図3参照)。側壁貫通孔53gは、側壁部53dを径方向に貫通する。側壁貫通孔53gを介して後述する結束信号線73がハウジング50の外部に引き出される。
【0020】
上筒部53eは、中心軸Cを囲み、上壁部53の上面から軸方向上側に延びて円筒状に形成される。上筒部53eは、内部に後述する回転検出器92が配置される。上筒部53e及び上軸受保持部53aは、軸方向に連通している。
【0021】
<3.ロータの構成>
ロータ20は、シャフト21と、ロータコア22と、ロータマグネット23と、を備える。シャフト21は、中心軸Cに沿って延びた回転軸を形成し、柱状に形成されている。すなわち、ロータ20は、回転軸に沿って延びるシャフト21を有する。シャフト21は、上軸受41と下軸受42とによって、軸周りに回転可能に支持されている。
【0022】
シャフト21の下端部は、下軸受保持部52aを介して底壁部52の外側に突出している。シャフト21の上端部は、上筒部53eの内部に配置される。
【0023】
ロータコア22は、円筒状に形成され、内部にシャフト21が圧入により固定されている。ロータマグネット23は、ロータコア22の径方向外面に設けられ、周方向に複数配列されている。ロータコア22及びロータマグネット23は、シャフト21と一体となって回転する。
【0024】
<4.ステータの構成>
ステータ30は、ロータ20の径方向外側に配置される。すなわち、ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。ステータ30は、筒状に形成され、ステータ30の内部にロータ20が配置される。ステータ30は、コアバック部31と、ティース部32と、コイル33と、絶縁部材(不図示)と、を備える。
【0025】
コアバック部31は、シャフト21と同心の円筒状である。コアバック部31の外周面、すなわち、ステータ30の外周面は、ハウジング50における周壁部51の内周面に嵌合されている。すなわち、周壁部51は、ステータ30を径方向から覆い筒状に形成されている。
【0026】
ティース部32は、コアバック部31の内周面から径方向内側に向かって延びている。ティース部32は、複数設けられ、コアバック部31の内周面の周方向に均等な間隔で配置されている。
【0027】
コイル33は、導線33aが絶縁部材(不図示)に巻き回されて構成されている。コイル33は、U相、V相、W相の複数相に対応する。すなわち、ステータ30は、複数相のコイル33を有する。絶縁部材は、各ティース部32に装着されている。各ティース部32に巻き回された導線33aの端部は、軸方向上側に延びて各上壁貫通孔53bを介して上壁部53の軸方向上側に引き出され、端子台60の接続部61に接続される。導線33aの接続構造については後で詳細に説明する。
【0028】
コイル33に駆動電流が供給されると、磁場が発生し、この磁場によってロータ20が回転する。
【0029】
<5.センサマグネットの構成>
センサマグネット91は、円環状の永久磁石であり、周方向にN極とS極とが交互に配置されている。センサマグネット91は、シャフト21の上端部に嵌合している。これにより、センサマグネット91は、シャフト21とともに回転可能に配置される。
【0030】
<6.回転検出器の構成>
【0031】
回転検出器92は、本実施形態では、上筒部53eの内部に固定されている。回転検出器92は、センサマグネット91と軸方向に隙間を介して対向する。回転検出器92は、センサマグネット91の磁束を検知してロータ20の回転位置を検出する。これにより、ロータ20の回転位置に応じたモータ駆動信号を出力し、コイル33に供給される駆動電流を制御する。従って、モータ1の駆動を制御できる。
【0032】
<7.端子台の構成>
端子台60は、板状の樹脂成形品であり、上壁部(蓋壁部)53の上面(軸方向の一端面)上に配置されてハウジング50に固定される。導線33a及び外部端子90は、端子台60に固定される。端子台60は、ハウジング50よりも軸方向上側(軸方向一方側)に配置され、端子台60の少なくとも一部が上軸受41(軸受)と軸方向に重なる。これにより、導線33aがハウジング50の径方向外側に引き回されることを防止してモータ1を径方向に小型化できる。
【0033】
<8.導線と外部端子との接続構造>
図2図4は、モータ1の斜視図であり、カバー54を図示しない。また、図2は、外部端子90を一点鎖線で示す。図3は、端子台60及び導線33aを図示しない。図4は、接続ネジ61aを分解して示す。
【0034】
U相、V相、W相のコイル33に対応する導線33aの端部は、コイル33から軸方向上側に延び、上壁貫通孔53bを介して上壁部53の軸方向上側に引き出される。また、導線33aは、径方向に屈曲して端子台60の上面に沿って延びる。なお、導線33aは、コイル33によりも軸方向上側において、絶縁部材により覆われている。
【0035】
導線33aは、先端に配置される接続端子33cを有する(図4参照)。接続端子33cは、端子貫通孔33dを有する。端子貫通孔33dは、端子台60に設けられた端子台ネジ孔61b(図5参照)と軸方向に重ねられ、接続ネジ61aを介してネジ止めされる。このとき、接続ネジ61aと接続端子33cとの間に外部端子90の一端が挟持される。これにより、導線33aと外部端子90とが、端子台60に固定される。従って、導線33aと外部端子90とが、電気的に接続され、外部端子90から導線33aにモータ駆動信号が出力される。
【0036】
このとき、端子台ネジ孔61bは、端子台60の接続部61を構成する。すなわち、端子台60は、導線33aと外部端子90とを接続する接続部61を有する。導線33aは、コイル33から軸方向上側(軸方向一方側)に引出されて接続部61に向かって軸方向と直交する方向に屈曲する屈曲部33bを有する。
【0037】
接続部61と屈曲部33bとは、軸方向から見て、回転軸Cを通って径方向に延びる中心線Lを挟んで反対側に配置される(図2参照)。これにより、端子台60上において、接続部61と屈曲部33bとを離間させて配置し、屈曲部33bから接続部61までの導線33aの長さを長く形成することができる。従って、導線33aと外部端子90とを接続する際に、導線33aの取り回しが容易になる。これにより、モータ1の組立て作業性が向上する。また、モータ1の組立て作業時に、屈曲部33bに掛かる負荷を低減して導線33aの破損を防止できる。
【0038】
また、複数相の導線33aは、端子台60上において、接続部61に向かって屈曲部33bからそれぞれ直線状に平行に延びる。これにより、導線33aと外部端子90とを接続する際に、複数の導線33aの取り回しがより容易になる。また、端子台60上において、導線33a同士が交差して破損することを防止できる。
【0039】
<9.端子台の構成>
図5図6は、端子台60の斜視図である。図5は、軸方向上側から端子台60を示し、図6は、軸方向下側から端子台60を示す。端子台60は、接続部61と、仕切壁621、622と、端子台貫通孔(貫通孔)63と、固定部64と、固定仕切部65と、リブ66と、端子台凹部67と、傾斜部68と、を有する。
【0040】
接続部61は、導線33aと外部端子90とを接続して端子台60に固定する。接続部61は、端子台ネジ孔61bを有する。端子台ネジ孔61bは、端子貫通孔33dと軸方向に重ねられ、接続ネジ61aを介してネジ止めされる。なお、本実施形態では、接続ネジ61aと端子台ネジ孔61bとを用いて導線33aと外部端子90とを接続するが、半田付け等により接続してもよい。
【0041】
仕切壁621、622は、端子台60の上面(軸方向一方側の端面)から軸方向上側(軸方向一方側)に突出する。仕切壁621は、隣り合う導線33aの間に配置される。仕切壁621を設けることにより、隣り合う導線33a同士が接触することを防止できる。また、隣り合う導線33a同士の絶縁距離を確保できる。
【0042】
仕切壁622は、導線33aの並列方向において、端子台60の両端に一対配置される。また、仕切壁622は、軸方向から見て、導線33aの屈曲部33bから接続部61までの延出方向と平行に延びる。仕切壁622は、側壁部53dと導線33aとの間に配置される。仕切壁622を設けることにより、導線33aと側壁部53dとが接触することを防止できる。また、導線33aと側壁部53dとの絶縁距離を確保できる。
【0043】
仕切壁621は、仕切凹部621aと、押さえ部621bと、を有する。仕切凹部621aは、仕切壁621の上面(軸方向一方側の端面)から軸方向下側(軸方向他方側)に凹む。仕切凹部621aを設けることにより、端子台60を軽量化することができる。
【0044】
押さえ部621bは、仕切壁621の外周面から軸方向と直交する方向に突出して導線33aの軸方向上側(軸方向一方側)を覆う。押さえ部621bを設けることにより、導線33aが、端子台60から外れることを防止できる。
【0045】
端子台貫通孔(貫通孔)63は、端子台60を軸方向に貫通し、押さえ部621bと軸方向に重なる。端子台貫通孔63を設けることにより、端子台60を上壁部53上に配置する際に、端子台貫通孔63から上壁部53の上面を目視できる。これにより、例えば、上壁部53の上面に位置決めピンなどを設けることにより、端子台貫通孔63を介して位置決めピンを確認しながら、端子台60の位置決めを容易に行うことができる。従って、モータ1の組立て作業性がより向上する。
【0046】
固定部64は、隣り合う導線33aの間に配置され、端子台60をハウジング50に固定する。本実施形態では、固定部64は、固定ネジ孔64bを有する。固定ネジ孔64bは、端子台60を軸方向に貫通して形成される。固定ネジ孔64bは、上壁ネジ孔53cと軸方向に重ねられ、固定ネジ64aを介してネジ止めされる。これにより、端子台60が、上壁部53に固定される。
【0047】
固定仕切部65は、端子台60の上面(軸方向一方側の端面)において、固定部64の周りから軸方向上側(軸方向一方側)に突出して導線33aと固定部64との間に配置される。本実施形態では、固定仕切部65は、軸方向から見て、U字状に形成される。固定仕切部65を設けることにより、固定部64と導線33aとが接触することを防止できる。また、固定部64と導線33aとの絶縁距離を確保できる。なお、固定仕切部65は、仕切壁621と連続して形成されてもよい。
【0048】
なお、本実施形態では、固定仕切部65は、端子台60の上面から突出して形成されているが、端子台60の上面から軸方向他方側に凹んで形成されてもよい。すなわち、固定仕切部65は、導線と33aと固定部64との間において、端子台60の上面(軸方向一方側の端面)から軸方向に延びればよい。
【0049】
また、屈曲部33bと固定部64の少なくとも一部とは、軸方向から見て、導線33aが屈曲部33bから接続部61に向かって延びる延出方向と直交する方向に重なる。これにより、屈曲部33bと固定部64とを隣接して配置することができる。従って、導線33aを端子台60に当接させて屈曲部33bを形成する際に、端子台60がハウジング50に対してガタつくことを防止できる。
【0050】
リブ66は、端子台60の下面(軸方向他方側の端面)から軸方向下側(軸方向他方側)に突出する。リブ66は、固定部64から接続部61に向かって延びる。これにより、端子台60の変形を抑制できる。
【0051】
端子台凹部67は、軸方向から見て、端子台60の外縁部が内側に凹んで形成される。導線33aは、端子台凹部67の内部に配置される。これにより、導線33aが、端子台60の側面から径方向外側に突出することを抑制できる。従って、側壁部53dの径方向のサイズを大きく形成する必要が無い。これにより、モータ1が、径方向に大型化することをより抑制できる。また、導線33aは、端子台凹部67と側壁部53dとの間の隙間に配置されるため、導線33aの位置決めが容易になり、導線33を引き回して接続部61に接続する際に、より作業性が向上する。
【0052】
傾斜部68は、端子台60の外縁部において、径方向外側に向かって軸方向下側(軸方向他方側)に傾く。屈曲部33bが、傾斜部68上に配置される。これにより、屈曲部33bは、傾斜部68と接触することにより、傾斜部68が形成されていない端子台60の外端部と接触する場合と比較して破損し難い。従って、導線33aを傾斜部68に沿って屈曲させることにより、導線33aの破損を防止できる。
【0053】
なお、回転検出器92は、ハウジング50と端子台60との軸方向の隙間に配置され、回転検出器92に接続される第1信号線71は、ハウジング50と端子台60との隙間を通って軸方向と直交する方向に延びる(図3参照)。これにより、回転検出器92に接続される信号線と導線33aとは、端子台60を挟んで軸方向に離間して配置される。従って、回転検出器92に接続される信号線と導線33aとの絶縁距離を確保できる。
【0054】
また、ステータ30のコイル33の温度を検出するサーミスタ(不図示)に接続される第2信号線72もハウジング50と端子台60との隙間を通って径方向に延びる(図3参照)。これにより、サーミスタに接続される第2信号線72と導線33aとの絶縁距離を確保できる。なお、サーミスタは、コイル33の温度を検出する場合に限定されず、ロータマグネット23又はハウジング50の温度を検出してもよい。
【0055】
第2信号線72は、サーミスタから軸方向上側に延びて上壁貫通孔(蓋壁貫通孔)53bを介して上壁部53の軸方向上側に引き出される。第2信号線72は、導線33aと同様に上壁貫通孔53bを通過しており、上壁部53に新たに貫通孔を形成する必要がない。従って、ハウジング50の製造コストを削減できる。また、導線33a及び第2信号線72を同じ上壁貫通孔53bから引き出すことにより、導線33a及び第2信号線72の取り回しが容易になり、モータ1の組立て作業性が向上する。
【0056】
また、第1信号線71及び第2信号線72は、例えば、コネクタで束ねられ、結束信号線73を形成する。結束信号線73は、側壁貫通孔53gを介してハウジング50の外部に引き出される。すなわち、第1信号線及71及び第2信号線72は、束ねられてハウジング50の外部に引き出される。これにより、第1信号線71及び第2信号線72の取り回しが容易になり、モータ1の組立て作業性が向上する。
【0057】
以上に示した実施形態は、本発明の例示にすぎない。実施形態の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態や複数の変形例は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のモータは、例えば自動車等の車両のハンドル操作の補助に用いられる電動式パワーステアリング装置に利用できる。また、本発明は、例えばパワーステアリング装置に好適であるが、その他の送風装置等にも利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 モータ
20 ロータ
21 シャフト
22 ロータコア
23 ロータマグネット
30 ステータ
31 コアバック部
32 ティース部
33 コイル
33a 導線
33b 屈曲部
33c 接続端子
33d 端子貫通孔
41 上軸受(軸受)
42 下軸受
50 ハウジング
51 周壁部
52 底壁部
52a 下軸受保持部
53 上壁部(蓋壁部)
53a 上軸受保持部
53b 上壁貫通孔(蓋壁貫通孔)
53c 上壁ネジ孔
53d 側壁部
53e 上筒部
53f、53g 側壁貫通孔
54 カバー
60 端子台
61 接続部
61a 接続ネジ
61b 端子台ネジ孔
63 端子台貫通孔
64 固定部
64a 固定ネジ
64b 固定ネジ孔
65 固定仕切部
66 リブ
67 端子台凹部
68 傾斜部
90 外部端子
91 センサマグネット
92 回転検出器
621、622 仕切壁
621a 仕切凹部
621b 押さえ部
C 回転軸
L 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6