(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066080
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】開閉体開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05B 81/20 20140101AFI20230508BHJP
E05B 81/70 20140101ALI20230508BHJP
E05B 81/66 20140101ALI20230508BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
E05B81/20 B
E05B81/70
E05B81/66
B60J5/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176581
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100128923
【弁理士】
【氏名又は名称】納谷 洋弘
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100180297
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】青山 宏文
(72)【発明者】
【氏名】大道 玄武
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正雄
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH02
2E250JJ47
2E250KK02
2E250LL05
2E250MM05
2E250PP04
2E250SS08
(57)【要約】
【課題】開閉体が閉状態へ遷移する際にロック位置の状態だった係合部が被係合部に係合できずに被係合部に対して衝突して係合部と被係合部とが破損してしまうことを防止することができる開閉体開閉装置を提供する。
【解決手段】開閉体開閉装置1は、開閉体駆動部10と、開閉体位置検知部20と、クローズ機構30と、制御部40とを備える。クローズ機構30は、係合部31と、被係合部32と、クローズ駆動部35と、係合位置検知部36とを有する。制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、第二開閉体位置又は第三開閉体位置において開閉体102の移動があったと判定したとき、係合位置検知部36によって係合部31がロック位置に位置することを検知した場合、クローズ駆動部35を作動させて係合部31をロック位置からアンロック位置へと遷移させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の開口に対して開閉する開閉体を全閉状態で保持するクローズ機構と、
前記開閉体を開閉方向に駆動する開閉体駆動部と、
前記クローズ機構と前記開閉体駆動部との作動を制御する制御部と、
前記開閉体の位置を検知する開閉体位置検知部と、を備えた開閉体開閉装置であって、
前記開閉体は、前記全閉状態とする位置である第一開閉体位置と、前記開閉体に対する前記クローズ機構のロック動作によって前記第一開閉体位置へと移動可能な位置である第二開閉体位置と、前記開閉体が開状態である第三開閉体位置と、の間を遷移し、
前記クローズ機構は、前記基体と前記開閉体との何れか一方に設けられた係合部と、
前記基体と前記開閉体との何れか他方に設けられた被係合部と、
前記係合部が前記被係合部の移動を規制するロック位置と、前記係合部が前記被係合部の移動の規制を解除するアンロック位置と、の間で前記係合部の位置を遷移させるように前記係合部を駆動するクローズ駆動部と、
前記係合部の前記ロック位置と前記アンロック位置を検知する係合位置検知部と、を有し、
前記制御部は、前記開閉体位置検知部の検知結果に基づいて、前記第二開閉体位置又は前記第三開閉体位置において前記開閉体の移動があったと判定したとき、
前記係合位置検知部によって前記係合部が前記ロック位置に位置することを検知した場合、前記クローズ駆動部を作動させて前記係合部を前記ロック位置から前記アンロック位置へと遷移させる、開閉体開閉装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記開閉体位置検知部の検知結果に基づいて、前記第三開閉体位置に位置する前記開閉体の閉方向への移動があったと判定したとき、前記係合位置検知部によって前記係合部の位置が前記ロック位置であることを検知した場合、前記開閉体が前記第三開閉体位置から前記第二開閉体位置に到達するまでに、前記クローズ駆動部によって前記係合部を前記ロック位置から前記アンロック位置へと遷移させる、
請求項1に記載の開閉体開閉装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記開閉体位置検知部の検知結果に基づいて前記開閉体の移動があったことを判定し、
前記係合部を前記ロック位置から前記アンロック位置へと遷移させたとき、
前記開閉体位置検知部の検知によって前記開閉体が前記第二開閉体位置に位置すると判定した場合、前記クローズ駆動部によって前記係合部を前記アンロック位置から前記ロック位置へと遷移させる、
請求項1又は請求項2に記載の開閉体開閉装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第二開閉体位置に位置する前記開閉体に対して前記クローズ機構によるロック動作が行われたのち、前記開閉体位置検知部の検知結果に基づいて前記開閉体の移動があったと判定した場合、
前記クローズ駆動部を作動させて前記係合部を前記ロック位置から前記アンロック位置へと遷移させる、
請求項1に記載の開閉体開閉装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第二開閉体位置に位置する前記開閉体に対して前記クローズ機構によるロック動作が行われたのち、前記開閉体を開方向へと移動するよう前記開閉体駆動部を作動させたとき、前記開閉体位置検知部の検知結果に基づいて前記開閉体の移動があったと判定した場合、
前記クローズ駆動部を作動させて前記係合部を前記ロック位置から前記アンロック位置へと遷移させ、前記開閉体駆動部を作動させて前記開閉体を閉方向へと移動させ、
前記開閉体位置検知部の検知結果に基づいて前記開閉体が前記第二開閉体位置であると判定したとき、前記係合部を前記アンロック位置から前記ロック位置へと遷移させる、
請求項4に記載の開閉体開閉装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記係合位置検知部によって前記係合部が前記ロック位置に位置していることを検知し、
前記開閉体が前記第二開閉体位置に位置するときには、前記開閉体の移動量が、第一の移動量以上となった場合に、前記クローズ駆動部を作動させて前記係合部を前記ロック位置から前記アンロック位置へと遷移させ、
前記開閉体が前記第三開閉体位置に位置するときには、前記開閉体の移動量が、前記第一の移動量よりも大きい第二の移動量以上となった場合に、前記クローズ駆動部を作動させて前記係合部を前記ロック位置から前記アンロック位置へと遷移させる、
請求項1に記載の開閉体開閉装置。
【請求項7】
前記基体は、車両の車体であり、
前記開閉体は、前記車両のバックドアである、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の開閉体開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基体の開口に対して開閉する開閉体の開閉動作を自動で行うことができ、更に、自動的に開閉体の施錠及び開錠を行うことができる開閉体開閉装置として、例えば、特許文献1に記載されたような車両用の開閉体開閉装置が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたような開閉体開閉装置には、車両のドアとして構成された開閉体を全閉状態で保持するクローズ機構が設けられている。クローズ機構は、開閉体に設けられた係合部と、車両の車体として構成された基体に設けられた被係合部と、を有している。そして、このような開閉体開閉装置は、開閉体が閉方向に移動し、クローズ機構が開閉体を施錠するロック動作によってクローズ機構が開閉体を全閉状態で保持できる位置まで開閉体が移動したときに、係合部が駆動され、自動的に開閉体の施錠が行われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたような開閉体開閉装置においては、クローズ機構の係合部は、係合部が被係合部の移動を規制するロック位置と、係合部が被係合部の移動の規制を解除するアンロック位置との間で、駆動されるように構成されている。そして、開閉体が閉方向に移動し、クローズ機構のロック動作によって開閉体が全閉状態で保持される位置まで開閉体が移動したときに、係合部がアンロック位置からロック位置へと切り替わるように駆動される。
【0006】
しかし、特許文献1の開閉体開閉装置においては、開閉体が閉鎖されてクローズ機構が開閉体をロックする直前に操作者が開閉体を手動で開方向へ移動させてしまうと、開閉体が開状態であるにも関わらず、係合部がアンロック位置からロック位置へと切り替わるように駆動される。また、車体として構成された基体が傾いて配置された状態で開閉体が閉状態へと遷移しようとすると、開閉体がクローズ機構により全閉位置で保持される前に開閉体が移動し、開閉体に設けられた係合部と車体の被係合部が離れた状態で、係合部がアンロック位置からロック位置へと切り替わるように駆動される虞がある。
【0007】
上記のように、開閉体が開状態であるにも関わらずに係合部がロック位置へと切り替えられてしまうと、その後に開閉体が閉状態へと遷移する際に、ロック位置にある係合部が被係合部に係合できずに開閉体は閉状態へと遷移できず、また、開閉体が閉状態に遷移していないことに操作者が気付かない場合、開閉体は開状態のまま放置される虞がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、開閉体が閉状態へ遷移する際に係合部がロック位置にある場合でも、係合部をアンロック位置に遷移させて開閉体を閉状態にすることができる開閉体開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある局面に係わる開閉体開閉装置は、
基体の開口に対して開閉する開閉体を全閉状態で保持するクローズ機構と、
前記開閉体を開閉方向に駆動する開閉体駆動部と、
前記クローズ機構と前記開閉体駆動部との作動を制御する制御部と、
前記開閉体の位置を検知する開閉体位置検知部と、を備えた開閉体開閉装置であって、
前記開閉体は、前記全閉状態とする位置である第一開閉体位置と、前記開閉体に対する前記クローズ機構のロック動作によって前記第一開閉体位置へと移動可能な位置である第二開閉体位置と、前記開閉体が開状態である第三開閉体位置と、の間を遷移し、
前記クローズ機構は、前記基体と前記開閉体との何れか一方に設けられた係合部と、
前記基体と前記開閉体との何れか他方に設けられた被係合部と、
前記係合部が前記被係合部の移動を規制するロック位置と、前記係合部が前記被係合部の移動の規制を解除するアンロック位置と、の間で前記係合部の位置を遷移させるように前記係合部を駆動するクローズ駆動部と、
前記係合部の前記ロック位置と前記アンロック位置を検知する係合位置検知部と、を有し、
前記制御部は、前記開閉体位置検知部の検知結果に基づいて、前記第二開閉体位置又は前記第三開閉体位置において前記開閉体の移動があったと判定したとき、
前記係合位置検知部によって前記係合部が前記ロック位置に位置することを検知した場合、前記クローズ駆動部を作動させて前記係合部を前記ロック位置から前記アンロック位置へと遷移させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、開閉体が閉状態へ遷移する際に係合部がロック位置にある場合でも、係合部をアンロック位置に遷移させて開閉体を閉状態にすることができる開閉体開閉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態の開閉体開閉装置を備えた自動車の概略側面図である。
【
図2】
図1に示す自動車の後部の部分を拡大して示す部分拡大側面図である。
【
図3】開閉体開閉装置の制御系統のブロック図である。
【
図4】開閉体開閉装置のクローズ機構におけるフルラッチ状態を示す図である。
【
図5】クローズ機構におけるフルラッチ状態からハーフラッチ状態に遷移する様子を示す図である。
【
図6】クローズ機構におけるハーフラッチ状態を示す図である。
【
図7】クローズ機構におけるアンラッチ状態を示す図である。
【
図8】クローズ機構のラッチのロック位置を示す図であって、ラッチがストライカと係合していない状態を示す図である。
【
図9】クローズ機構のラッチのロック位置を示す図であって、ラッチがストライカと係合している状態を示す図である。
【
図10】クローズ機構のラッチのアンロック位置を示す図であって、ラッチがストライカと係合していない状態を示す図である。
【
図11】クローズ機構のラッチのアンロック位置を示す図であって、ラッチがストライカと係合している状態を示す図である。
【
図12】クローズ機構のラッチのアンロック位置を示す図であって、ラッチとストライカとの係合が解除された状態を示す図である。
【
図13】開閉体開閉装置の制御部の処理を示すフローチャートであって、開閉体の移動があったと判定したときにクローズ機構にアンロック作動とロック作動とを行わせる処理を示すフローチャートである。
【
図14】開閉体開閉装置の制御部の処理を示すフローチャートであって、開閉体が開状態で開閉体の閉方向への移動があったと判定したときにクローズ機構にアンロック作動を行わせる処理を示すフローチャートである。
【
図15】開閉体開閉装置の制御部の処理を示すフローチャートであって、クローズ機構にロック作動を行わせた後に開閉体の移動があったと判定したときにクローズ機構にアンロック作動を行わせる処理を示すフローチャートである。
【
図16】開閉体開閉装置の制御部の処理を示すフローチャートであって、クローズ機構にロック作動を行わせた後に開閉体を開方向に駆動し、開閉体が移動した場合にクローズ機構にアンロック作動を行わせ、更に、開閉体を閉方向に駆動する処理を示すフローチャートである。
【
図17】開閉体開閉装置の制御部の処理を示すフローチャートであって、開閉体が第二開閉体位置に位置する場合には開閉体の移動量が第一の移動量以上となったときにクローズ機構をアンロック作動させ、開閉体が第三開閉体位置に位置する場合には開閉体の移動量が第二の移動量以上となったときにクローズ機構をアンロック作動させる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、基体の開口を開閉する開閉体の開閉制御を行う装置として、種々の用途に広く適用することができるものである。本実施形態では、開閉体開閉装置の一例として、車両である自動車の車体としての基体の開口を開閉する開閉体としてのバックドアの開閉制御を行う開閉体開閉装置を例にとって説明する。しかし、この例に限らず、開閉体開閉装置は、開閉体の開閉制御を行う装置として広く適用することができる。
【0013】
[開閉体開閉装置の全体構成]
図1は、本発明の実施の形態の開閉体開閉装置1を備えた自動車100の概略側面図である。
図2は、
図1に示す自動車100の後部の部分を拡大して示す部分拡大側面図である。
図3は、開閉体開閉装置1の制御系統のブロック図である。
【0014】
図1乃至
図3に示すように、開閉体開閉装置1は、車両である自動車100の車体として構成された基体101の開口101Aを開閉する開閉体102の開閉制御を行う装置として構成されている。開口101Aは、自動車100の基体101において、自動車100の進行方向に対して後部で開口するように設けられている。尚、開口101Aの形状は、矩形状、円形状等、種々の形状であってもよい。
【0015】
開閉体102は、自動車100のバックドアとして設けられており、基体101の開口101Aを開閉するように構成されている。尚、
図1では、開閉体102が開口101Aを開放した開状態が示されており、
図2では、開閉体102が開口101Aを閉鎖した閉状態が示されている。開閉体102の上辺部は、基体101における開口101Aの上縁部側にヒンジとして設けられた軸部を介して回動可能に取り付けられている。開閉体102は、軸部を中心に下辺部側が上下動するように旋回し、開口101Aに対して接触又は離間することにより、閉状態と開状態との間で位置が遷移するように構成されている。尚、本実施形態では、開閉体102の位置変更が、上記のように開閉体102の旋回動作によって実施される形態を例示しているが、この通りでなくてもよい。開閉体102の位置変更は、旋回動作に限定されず、開閉体102を開状態と閉状態との間で位置を遷移させることができる動作によって実施されればよく、例えば、スライド動作によって実施されてもよい。
【0016】
図1乃至
図3に示す開閉体開閉装置1は、上述した自動車100の基体101の開口101Aを開閉する開閉体102の開閉制御を行う装置として構成されている。開閉体開閉装置1は、開閉体102を開閉方向に駆動する開閉体駆動部10と、開閉体102の位置を検知する開閉体位置検知部20と、開口101Aに対して開閉する開閉体102を全閉状態で保持するクローズ機構30と、開閉体駆動部10とクローズ機構30との作動を制御する制御部40とを備えて構成されている。
【0017】
[開閉体駆動部]
開閉体駆動部10は、基体101の開口101Aに対して開閉体102を開方向と閉方向とに移動させるように開閉体102を駆動する。開閉体駆動部10は、開閉体開閉装置1において複数設けられていてもよく、また、1つ設けられていてもよい。本実施形態では、開閉体駆動部10は、2つ設けられており、自動車100の後部の左右幅方向の両側にそれぞれ1つずつ設けられている。2つの開閉体駆動部10のうちの一方は、開閉体102の左右幅方向の一方の端部と基体101における開口101Aの左右幅方向の縁部分の一方とに亘って設置されている。そして、2つの開閉体駆動部10のうちの他方は、開閉体102の左右幅方向の他方の端部と基体101における開口101Aの左右幅方向の縁部分の他方とに亘って設置されている。2つの開閉体駆動部10が作動することにより、開閉体102が駆動されて開口101Aに対して開閉方向において相対移動し、開閉体102が開状態又は閉状態に遷移する。
【0018】
2つの開閉体駆動部10は、開閉体102を開方向と閉方向とに移動させて開閉体102を開状態と閉状態とに遷移させることが可能であれば、それぞれが同方向であって同一駆動量で開閉体102を駆動してもよい。また、2つの開閉体駆動部10のそれぞれが、開方向と閉方向とに開閉体102を移動させることができれば、異なる方向に駆動する場合であっても、異なる駆動量で開閉体102を駆動するようにしてもよい。本実施形態においては、各開閉体駆動部10が同一の駆動を同期して行うように設けられている。
【0019】
開閉体駆動部10は、長手方向を有しており、長手方向の一端側において基体101における開口101Aの縁分と接続し、長手方向の他端側において開閉体102と接続している。開閉体102は、基体101に対して相対移動可能に設けられ、本実施形態においてはヒンジを中心として旋回可能に基体101に設けられている。このように、開閉体102が基体101に対して旋回移動するため、各開閉体駆動部10は、開閉体102が基体101に対して旋回可能なように基体101及び開閉体102に対して取り付けられている。そして、各開閉体駆動部10は、基体101に対して旋回しながら開閉体102を開状態または閉状態へと遷移させるように構成されている。
【0020】
具体的には、開閉体駆動部10は、伸縮する棒状の外観を有しており、開閉体駆動部10の一端側に配置されて基体101側に接続される駆動本体部と、開閉体駆動部10の他端側に配置されて開閉体102側に接続される進退部とを有している。進退部は、駆動本体部の端部から進出可能であるとともに駆動本体部の端部に対して退避可能に、駆動本体部に取り付けられている。各開閉体駆動部10は、基体101と開閉体102とに、それぞれボールジョイントなどの旋回可能な接続構造を介して接続する。
【0021】
開閉体駆動部10は、駆動本体部に対して進退部を開閉体駆動部10の長手方向に進退させることで、開閉体102を、全閉状態の位置、つまり、開口101Aを完全に閉鎖する位置と、全開状態の位置、つまり、開口101Aを最大限に開放する位置とに移動させることができるように構成されている。また、各開閉体駆動部10は、モータ等の回転運動を直線方向の伸縮運動に変換することにより、開閉体102を開方向または閉方向に移動させるように構成されている。
【0022】
開閉体駆動部10は、自動車100の後部の左右幅方向の両側にそれぞれ1つずつの計2個設けられているが、開閉体102の開閉を可能とするものであれば、その構造、駆動方式、形状及び配置位置については特に限定されない。開閉体駆動部10としては、開閉体102を駆動させることができる公知の駆動部を採用することができる。
【0023】
本実施形態では、開閉体駆動部10は、本体筒部11、スライド筒部12、開閉モータ13、スピンドル(図示省略)、スピンドルナット(図示省略)、コイルバネ(図示省略)等を有して構成されている。開閉体駆動部10では、本体筒部11、開閉モータ13、スピンドル、コイルバネ等が駆動本体部に対応し、スライド筒部12、スピンドルナットが進退部に対応する。
【0024】
本体筒部11は、長手方向における一端側の端部が基体101に旋回可能に取り付けられ、長手方向における他端側の端部が開口している。そして、本体筒部11の内側には、スライド筒部12が、本体筒部11の他端側の端部から進出及び退避するように、長手方向にスライド移動可能に配置されている。
【0025】
開閉モータ13は、本体筒部11の内部に配置され、作動することで、本体筒部11の内側に配置されたスピンドルを回転駆動するように構成されている。開閉モータ13は、電動モータとして構成され、直流モータまたは交流モータとして設けられる。開閉体開閉装置1が自動車100に適用される場合には、自動車100の直流電源を用いることを考慮して、開閉モータ13として直流モータを適用することが望ましい。また、開閉モータ13は、後述する制御部40に接続され、制御部40により、正回転方向及び逆回転方向の双方の回転駆動が制御される。
【0026】
スライド筒部12は、本体筒部11の一端側から他端側に向けてコイルバネにより付勢されている。スライド筒部12の内部には、開閉モータ13の回転により軸回りに回転するスピンドルが螺合されたスピンドルナットが設けられている。
【0027】
開閉体駆動部10は、本体筒部11とスライド筒部12とが、スピンドルの回転によって互いに供回りしないように構成されている。開閉モータ13が正逆回転方向の一方に回転すると、スピンドルが正逆回転方向の一方に軸回りに回転し、スピンドルに螺合するスピンドルナットがスピンドルの長手方向に沿って移動する。これに伴い、スピンドルナットとスライド筒部12とが、本体筒部11に対して進退移動、つまり、本体筒部11の長手方向にスライド移動する。これにより、開閉体駆動部10が、伸縮するように可動し、本体筒部11からスライド筒部12が進出する長さに対応して、開閉体102が開閉作動する。このように、開閉体駆動部10は、開閉モータ13の作動により、本体筒部11及びスピンドルを含む駆動本体部に対してスピンドルナット及びスライド筒部12を含む進退部を長手方向に移動させることで伸縮し、開閉体102を開閉駆動するように構成されている。
【0028】
ここで、開閉体駆動部10によって駆動される開閉体102の位置について説明する。尚、開閉体102は、制御部40によって制御される開閉体駆動部10によって駆動されるとともに、操作者によって手動で操作されることによっても駆動される。そして、開閉体102は、開閉体駆動部10或いは操作者によって駆動されることで、開閉方向において移動し、位置が変化する。
【0029】
開閉体102は、開閉体駆動部10によって駆動されることで、或いは操作者によって操作されることで、第一開閉体位置と、第二開閉体位置と、第三開閉体位置との間を遷移するように構成されている。第一開閉体位置は、開閉体102を全閉状態とする開閉体102の位置であり、開閉体102が開口101Aを完全に閉鎖する開閉体102の位置である。開閉体102が第一開閉体位置に位置した状態では、開閉体102は、基体101における開口101Aの縁部に完全に密着しており、開閉体102が開口101Aを更に閉じる方向に移動することができない位置となる。
【0030】
第二開閉体位置は、開閉体102に対する後述のクローズ機構30のロック動作によって第一開閉体位置へと移動可能な開閉体102の位置である。開閉体102が第二開閉体位置に位置した状態では、開閉体102によって開口101Aがほぼ閉じられているものの、開閉体102は、開口101Aの縁部に対して隙間を介して近接して位置している。開閉体102が第二開閉体位置に位置した状態で後述のクローズ機構30が作動すると、クローズ機構30によるロック動作が行われ、開閉体102は、開口101A側に向かって上記の隙間に対応する距離を移動して開口101Aの縁部に押し付けられ、第一開閉体位置へと移動する。そして、クローズ機構30によるロック動作が完了することで、開閉体102が第一開閉体位置でロックされた状態で保持され、開閉体102が施錠された状態となる。
【0031】
第三開閉体位置は、開閉体102が開状態であるときの開閉体102の位置である。第三開閉体位置は、第二開閉体位置に対して隣接した位置から、開口101Aを最大限に開放する位置である全開状態の位置にまで亘る範囲の開閉体102の位置である。即ち、第三開閉体位置は、全閉状態である第一開閉体位置と、クローズ機構30のロック動作によって第一開閉体位置へと移動可能な第二開閉体位置とを含まない残りの全ての開閉体102の位置である。
【0032】
[開閉体位置検知部]
開閉体位置検知部20は、開閉体102の位置の移動を検知し、その検知結果である開閉体102の位置情報を制御部40に出力する。開閉体位置検知部20は、例えば、ホール素子を含み、開閉体駆動部10のスピンドルナットの回転状態を磁気的に検出することで、開閉体駆動部10の動作を検出し、開閉体102の移動を検知するように構成されている。
【0033】
開閉体位置検知部20が上記のように構成されている場合、スピンドルナットにおいて磁石が周方向に異なる間隔で配置され、スピンドルナットに配置された磁石に対応する位置に、開閉体位置検知部20のホール素子が配置される。そして、開閉体位置検知部20は、ホール素子により、スピンドルナットの回転に伴って移動する磁石の磁界の変化を補足してパルス信号を発生させるとともに、そのパルス信号をカウントしてパルス信号のカウント値も生成する。制御部40は、開閉体位置検知部20に接続されており、開閉体位置検知部20にて生成されたパルス信号のカウント値に基づき、開閉体102の位置を算出する。
【0034】
上記のように、開閉体位置検知部20は、スピンドルナットの磁石の磁界の変化を補足して発生させたパルス信号をカウントしてパル信号のカウント値を生成する。そして、制御部40は、開閉体位置検知部20が生成したパルス信号のカウント値を開閉体102の移動情報として使用し、開閉体102の位置を算出する。また、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の位置を算出することで、開閉体102が、第一開閉体位置、第二開閉体位置、及び第三開閉体位置のいずれの位置に位置しているかを判定する。尚、開閉体位置検知部20は、パルス信号のカウント値を生成するだけではなく、パルス信号のカウント値に基づいて開閉体102の位置の算出も行い、その算出結果を制御部40へ出力するように構成されていてもよい。
【0035】
尚、開閉体位置検知部20は、開閉体102の位置に関する情報を検知できればよく、上記以外の構成であってもよい。例えば、開閉体位置検知部20は、スピンドルナットの回転状態ではなく、開閉モータ13の回転状態を磁気的に検出することで、開閉体102の位置を検知するように構成されていてもよい。また、開閉体位置検知部20は、開閉体駆動部10の動作を検出することなく直接的に開閉体102の位置を検知するように構成されていてもよい。また、開閉体位置検知部20による検知方式は、ホール素子を用いて磁気的に行うものに限られなくてもよく、開閉体102の位置に応じたカウント値を生成可能であれば、他の検知方式であってもよい。また、上記形態では、開閉体位置検知部20が、制御部40とは別の構成として設けられる形態を説明したが、この通りでなくてもよく、開閉体位置検知部20が、制御部40に組み込まれた形態が実施されてもよい。
【0036】
[クローズ機構]
図4は、開閉体開閉装置1のクローズ機構30におけるフルラッチ状態を示す図である。
図5は、クローズ機構30におけるフルラッチ状態からハーフラッチ状態に遷移する様子を示す図である。
図6は、クローズ機構30におけるハーフラッチ状態を示す図である。
図7は、クローズ機構30におけるアンラッチ状態を示す図である。
【0037】
図2乃至
図7に示すクローズ機構30は、基体101の開口101Aに対して開閉する開閉体102を全閉状態で保持してロックするために設けられる機構である。クローズ機構30は、ラッチ31と、ストライカ32と、回動軸33と、ポール34と、クロージャモータ35と、フルラッチ検出スイッチ36と、ハーフラッチ検出スイッチ37とを有して構成されている。
【0038】
ラッチ31は、ストライカ32と係合が可能な部材である。ラッチ31は、基体101と開閉体102との何れか一方に設けられており、本実施形態では、開閉体102に設けられている。また、ラッチ31は、開閉体102の内側の下端部に設けられている。ラッチ31は、基部31Aと、基部31Aの上端部から延びる第1アーム31Bと、基部31Aの下端部から延びる第2アーム31Cとを有している。第1アーム31B及び第2アーム31Cは、基部31Aと一体に設けられ、基部31Aから同じ方向(
図4における右から左に向かう方向)にそれぞれ延びている。また、ラッチ31においては、第1アーム31Bと第2アーム31Cとの間において、基部31Aと第1アーム31Bと第2アーム31Cとで区画されることで形成される凹部31Dが設けられている。ラッチ31は、凹部31Dにストライカ32の一部が入り込んだ状態で、ストライカ32と係合するように構成されている。ラッチ31は、本発明の「係合部」を構成している。
【0039】
ストライカ32は、ラッチ31と係合可能な部材であり、ラッチ31の凹部31Dに入り込むことが可能な棒状の部分32Aを有している。ストライカ32の棒状の部分32Aは、例えば、水平方向に延びる丸棒状の部分として設けられている。ストライカ32は、本発明の「被係合部」を構成している。
【0040】
ストライカ32は、基体101における開口101Aの下縁部分において、開閉体102が閉状態となったときに、棒状の部分32Aがラッチ31に係合するような位置に設けられている。尚、ストライカ32は、基体101と開閉体102との何れか他方に設けられており、本実施形態では、基体101に設けられている。即ち、本実施形態では、ラッチ31は、基体101及び開閉体102の一方の開閉体102に設けられ、ストライカ32は、基体101及び開閉体102の他方の基体101に設けられている。尚、ラッチ31が基体101に設けられる場合は、ストライカ32は開閉体102に設けられる。
【0041】
ラッチ31は、回動軸33を中心に回動可能に構成されている。ラッチ31は、後述のクロージャモータ35の回転駆動力によって駆動されて回動することで、後述のロック位置とアンロック位置との間で位置が遷移するように構成されている。即ち、ラッチ31は、クロージャモータ35によって駆動されて回動軸33周りで回動することで、回動軸33周りの回転方向における位置が後述のロック位置とアンロック位置との間で遷移するように構成されている。
【0042】
また、ラッチ31及びストライカ32は、お互いの相対位置と、回動軸33周りの回転方向におけるラッチ31の位置との関係で、
図4に示すフルラッチ状態と、
図6に示すハーフラッチ状態と、
図7に示すアンラッチ状態と間で状態が遷移するように構成されている。
【0043】
図4に示すフルラッチ状態は、開閉体102が第一開閉体位置に位置している状態において、ストライカ32がラッチ31から離脱できないようにラッチ31とストライカ32とが係合している状態である。即ち、フルラッチ状態では、ストライカ32がラッチ31によってロックされており、ラッチ31とストライカ32とはロック状態である。より詳細には、フルラッチ状態は、ストライカ32の棒状の部分32Aがラッチ31の凹部31Dに入り込んだ状態で、且つ、棒状の部分32Aが凹部31Dから離脱できない状態で、ストライカ32とラッチ31とがロック状態で係合した完全係合状態である。開閉体102が第一開閉体位置で、ラッチ31及びストライカ32がフルラッチ状態のとき、開閉体102は全閉状態でロックされた状態で保持され、開閉体102が施錠された状態となる。
【0044】
図6に示すハーフラッチ状態は、開閉体102が第二開閉体位置に位置しているときのラッチ31及びストライカ32の状態であって、ラッチ31とストライカ32とが、フルラッチ状態のときよりも弱い係合力で係合している状態である。また、ハーフラッチ状態は、開閉体102に外力が作用することで、ラッチ31とストライカ32とが容易に離脱可能な状態で係合している状態である。即ち、開閉体102が第二開閉体位置に位置した状態では、ラッチ31及びストライカ32の状態は、外力の作用によって容易に離脱可能な弱い係合力で係合した状態である。ハーフラッチ状態では、ストライカ32の棒状の部分32Aは、ラッチ31の凹部31Dに入り込んでいるが、開閉体102に開方向の外力が作用することで、ストライカ32の棒状の部分32Aがラッチ31の凹部31Dから容易に離脱する。また、開閉体102が第二開閉体位置であり、ラッチ31及びストライカ32がハーフラッチ状態のとき、後述のクロージャモータ35の作動によってラッチ31が後述のアンロック位置からロック位置へと遷移すると、開閉体102が第二開閉体位置から第一開閉体位置へ移動するとともに、ラッチ31及びストライカ32がフルラッチ状態へと移行することになる。
【0045】
図7に示すアンラッチ状態は、開閉体102が第三開閉体位置に位置している状態において、ラッチ31とストライカ32との係合が完全に解除された状態である。アンラッチ状態では、ストライカ32の棒状の部分32Aは、ラッチ31の凹部31Dの外部に位置しており、凹部31Dから離脱している。
【0046】
また、ラッチ31は、図示しないコイルバネ等の付勢部材によって、
図4乃至
図7において、反時計回り方向に回動するように付勢されていても良い。この場合、後述するポール34の回動を制御することで、付勢部材の付勢力によってラッチ31をフルラッチ状態からアンラッチ状態へと回動させることができる。
【0047】
ポール34は、ラッチ31の回動を規制することが可能な部材であり、ラッチ31の第1アーム31Bおよび第2アーム31Cの何れかと当接可能な位置に設けられている。ポール34は、回動可能に設けられており、後述するクロージャモータ35の駆動の下、
図3乃至
図7における反時計回り方向の上流側から第1位置(
図4参照)、第2位置(
図6参照)、及び第3位置(
図7参照)に位置するように制御される。
【0048】
クロージャモータ35は、電動モータであって、直流モータ又は交流モータであり、ラッチ31及びポール34を回動させることで、クローズ機構30におけるラッチ31の位置を変更する。クロージャモータ35は、制御部40に接続され、制御部40により、正回転方向及び逆回転方向の双方の回転駆動が制御される。クロージャモータ35は、本発明の「クローズ駆動部」を構成している。
【0049】
また、クロージャモータ35は、ラッチ31を回動軸33周りで回動させることで、ロック位置とアンロック位置との間でラッチ31の位置を遷移させるようにラッチ31を駆動する。ロック位置及びアンロック位置は、いずれも、回動軸33周りの回転方向における位置である。そして、ロック位置は、ラッチ31がストライカ32の移動を規制する位置であり、ラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動が規制される位置である。アンロック位置は、ラッチ31がストライカ32の移動の規制を解除する位置であり、ラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動の規制が解除される位置である。
【0050】
図8及び
図9は、ラッチ31のロック位置を示す図である。尚、
図8は、ラッチ31がストライカ32と係合していない状態を示す図であり、
図9は、ラッチ31がストライカ32と係合している状態を示す図である。
図10乃至
図12は、ラッチ31のアンロック位置を示す図である。尚、
図10は、ラッチ31がストライカ32と係合していない状態を示す図であり、
図11は、ラッチ31がストライカ32と係合している状態を示す図であり、
図12は、ラッチ31とストライカ32との係合が解除された状態を示す図である。
図8及び
図9に示すラッチ31がロック位置に位置している状態において、ラッチ31が反時計回り方向に回動するようにクロージャモータ35によって駆動されると、ラッチ31はアンロック位置へと遷移する(
図10乃至
図12を参照)。一方、
図10乃至
図12に示すラッチ31がアンロック位置に位置している状態において、ラッチ31が時計回り方向に回動するようにクロージャモータ35によって駆動されると、ラッチ31はロック位置へと遷移する(
図8及び
図9を参照)。また、ラッチ31は、ロック位置に位置した状態では、アンロック位置に位置した状態と比較して、基部31Aから第1アーム31B及び第2アーム31Cがより上方に向いた状態となっている。一方、ラッチ31は、アンロック位置に位置した状態では、ロック位置に位置した状態と比較して、基部31Aから第1アーム31B及び第2アーム31Cがより下方に向いた状態となっている。
【0051】
図8に示すロック位置は、開閉体102が開状態である第三開閉体位置に位置している状態でラッチ31がロック位置に位置している状態を示している。この状態では、ストライカ32は、ラッチ31の凹部31Dに入り込んでおらず、凹部31Dの外部に位置しており、ラッチ31とストライカ32とは係合していない。この状態において、開閉体102が閉方向に移動すると、ラッチ31は、
図8中において矢印X1で示すように下方に向かって移動する。このとき、ラッチ31の第2アーム31Cがストライカ32と当接することで、ラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動が規制される。従って、
図8に示すロック位置では、ラッチ31がラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動を規制している。
【0052】
図9に示すロック位置は、開閉体102が全閉状態である第一開閉体位置に位置している状態でラッチ31がロック位置に位置している状態を示している。この状態では、ストライカ32がラッチ31の凹部31Dに入り込んで凹部31Dから離脱できず、ラッチ31とストライカ32とは、ストライカ32がラッチ31から離脱できない状態で係合している。即ち、ラッチ31とストライカ32とは、フルラッチ状態で係合しており、ロック状態である。この状態において、開閉体102が開方向に移動しようとすると、ラッチ31は、
図9中において矢印X2で示すように上方に向かって移動しようとする。このとき、ラッチ31の第2アーム31Cがストライカ32と当接することで、ラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動が規制される。従って、
図9に示すロック位置では、ラッチ31がラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動を規制している。
【0053】
図10に示すアンロック位置は、開閉体102が開状態である第三開閉体位置に位置している状態でラッチ31がアンロック位置に位置している状態を示している。この状態では、ストライカ32は、ラッチ31の凹部31Dに入り込んでおらず、凹部31Dの外部に位置しており、ラッチ31とストライカ32とは係合していない。尚、この状態においては、ラッチ31とストライカ32とは、ラッチ31とストライカ32との係合が完全に解除されたアンラッチ状態にある。このアンラッチ状態において、開閉体102が閉方向に移動すると、ラッチ31は、
図10中において矢印X1で示すように下方に向かって移動する。このとき、ラッチ31は、ストライカ32側に向かって制限を受けずに移動できるため、ラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動の規制が解除されている。また、このアンラッチ状態において、開閉体102が開方向に移動すると、ラッチ31は、
図10中において矢印X2で示すように上方に向かって移動する。このとき、ラッチ31は、ストライカ32側と反対側に向かって制限を受けずに移動できるため、ラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動の規制が解除されている。従って、
図10に示すアンロック位置では、ラッチ31がストライカ32の移動の規制を解除している。
【0054】
図11に示すアンロック位置では、開閉体102が第二開閉体位置に位置している状態でラッチ31がアンロック位置に位置している状態を示している。この状態では、ストライカ32は、ラッチ31の凹部31Dに入り込んでいるが、開閉体102に外力が作用することで凹部31Dから容易に離脱できる状態で凹部31Dに係合している。即ち、この状態においては、ラッチ31とストライカ32とは、開閉体102に外力が作用することで容易に離脱可能な状態で係合しており、ハーフラッチ状態で係合している。このハーフラッチ状態において、開閉体102が開方向に移動すると、ラッチ31は、
図11中において矢印X2で示すように上方に向かって移動する。
図12は、ラッチ31とストライカ32とがハーフラッチ状態で開閉体102に外力が作用して開閉体102が開方向に移動した状態を示している。
図12に示すように、ハーフラッチ状態で開閉体102が開方向に移動すると、ストライカ32は、ラッチ31の凹部31Dから離脱し、ラッチ31に対して相対的に移動して凹部31Dの外部へ移動する。このとき、ラッチ31は、ストライカ32側と反対側に向かって制限を受けずに移動できるため、ラッチ31に対するストライカ32の相対的な移動の規制が解除されている。従って、
図11に示すアンロック位置では、ラッチ31がストライカ32の移動の規制を解除している。
【0055】
フルラッチ検出スイッチ36及びハーフラッチ検出スイッチ37は、ラッチ31の位置を検出する検出スイッチとして設けられている。
【0056】
フルラッチ検出スイッチ36は、ラッチ31とストライカ32とがフルラッチ状態にあるときにラッチ31が位置することになる位置にラッチ31が位置しているかどうかを検出する。フルラッチ検出スイッチ36は、フルラッチ状態のときにラッチ31が位置することになる位置にラッチ31が位置しているときにON状態に遷移し、それ以外の位置にラッチ31が位置しているときはOFF状態に遷移する。具体的には、クローズ機構30においては、図示しないリンク機構が設けられており、このリンク機構を介することにより、ラッチ31の回動状態に応じて、フルラッチ検出スイッチ36がON状態とOFF状態とに切り替わる。そして、フルラッチ検出スイッチ36は、制御部40に接続されており、ON状態を検出しているときはON状態の信号を制御部40に出力し、OFF状態を検出しているときはOFF状態の信号を制御部40に出力する。
【0057】
フルラッチ検出スイッチ36は、フルラッチ状態のときにラッチ31が位置することになる位置にラッチ31が位置しているか否かを検出する。フルラッチ状態のときにラッチ31が位置することになる位置は、ラッチ31のロック位置である。そして、フルラッチ状態のときにラッチ31が位置することになる位置以外のラッチ31の位置は、ラッチ31のアンロック位置である。このため、フルラッチ検出スイッチ36は、ラッチ31がロック位置に位置しているか、アンロック位置に位置しているかを検知するように構成されている。これにより、フルラッチ検出スイッチ36は、ラッチ31のロック位置とアンロック位置とを検知する本発明の「係合位置検知部」を構成している。フルラッチ検出スイッチ36がON状態に遷移してロック位置を検知しているときは、フルラッチ検出スイッチ36は、ON状態の信号を制御部40に出力している。このとき、制御部40では、ラッチ31がロック位置に位置していると判定されている。一方、ラッチ31がOFF状態に遷移してアンロック位置を検知しているときは、フルラッチ検出スイッチ36は、OFF状態の信号を制御部40に出力している。このとき、制御部40では、ラッチ31がアンロック位置に位置していると判定されている。
【0058】
ハーフラッチ検出スイッチ37は、ラッチ31とストライカ32とがハーフラッチ状態にあるときにラッチ31が位置することになる位置にラッチ31が位置しているかどうかを検出する。ハーフラッチ検出スイッチ37は、ハーフラッチ状態のときにラッチ31が位置することになる位置にラッチ31が位置しているときにON状態に遷移し、それ以外の位置にラッチ31が位置しているときはOFF状態に遷移する。具体的には、クローズ機構30においては、図示しないリンク機構が設けられており、このリンク機構を介することにより、ラッチ31の回動状態に応じて、ハーフラッチ検出スイッチ37がON状態とOFF状態とに切り替わる。そして、ハーフラッチ検出スイッチ37は、制御部40に接続されており、ON状態を検出しているときはON状態の信号を制御部40に出力し、OFF状態を検出しているときはOFF状態の信号を制御部40に出力する。
【0059】
ここで、クローズ機構30における動作の一例について説明する。まず、クローズ機構30のラッチ31とストライカ32との状態がフルラッチ状態からアンラッチ状態に遷移する際のクローズ機構30の動作について説明する。
【0060】
図4に示すように、ポール34が第1位置のとき、ロック位置に位置しているとともにストライカ32と係合しているフルラッチ状態のラッチ31における第2アーム31Cの先端とポール34とは、当接している。これにより、ラッチ31の回動が規制されてラッチ31とストライカ32とのフルラッチ状態が維持されている。そして、
図5に示すように、ポール34が第1位置から
図5における反時計回り方向に回動すると、第2アーム31Cとの当接が解除され始める。そして、ラッチ31は、クロージャモータ35の駆動力により反時計回り方向に回動する。
【0061】
図6に示すように、ポール34がさらに回動して第2位置に位置すると、ポール34とラッチ31の第2アーム31Cとの当接が解除され、ポール34とラッチ31の第1アーム31Bの先端とが当接する。このとき、クロージャモータ35によって駆動されて回動したラッチ31の位置は、ロック位置からアンロック位置に遷移しており、ラッチ31とストライカ32とは、ハーフラッチ状態となっている。さらに、
図7に示すように、ポール34がさらに回動して第3位置に位置すると、ポール34とラッチ31の第1アーム31Bの先端との当接が解除される。そして、アンロック位置に位置しているラッチ31は、クロージャモータ35の駆動力により反時計回り方向にさらに回動する。これにより、ラッチ31とストライカ32とは、アンラッチ状態となり、ラッチ31とストライカ32との係合が完全に解除される。
【0062】
尚、上記においては、ポール34が第2位置から第3位置へとさらに回動される形態を例示したが、この通りでなくてもよく、ポール34は第2位置から第3位置へとさらに回動されなくてもよい。ハーフラッチ状態のときのラッチ31とストライカ32との係合力は、フルラッチ状態のときと比べて弱くなっている。このため、ポール34が第2位置から第3位置へと回動されない場合であっても、開閉体102を開方向に移動させる開閉モータ13の駆動力によって、ラッチ31とストライカ32との係合は解除される。
【0063】
次に、ラッチ31とストライカ32との状態がアンラッチ状態からフルラッチ状態に遷移する際のクローズ機構30の動作について説明する。まず、
図6及び
図7に示すように、アンラッチ状態の位置から、開閉体駆動部10による開閉体102の移動により、ラッチ31がストライカ32に係合することでクローズ機構30がハーフラッチ状態となる。このとき、ラッチ31は、アンロック位置に位置している。そして、後述する制御部40の制御の下、クロージャモータ35が作動して、
図5に示すように、ラッチ31が
図5における時計回り方向に回動される。これにより、
図4に示すように、ラッチ31が、アンロック位置からロック位置へと遷移する。これにより、ラッチ31の凹部31D内にストライカ32が引き込まれるようにして凹部31Dの奥側でストライカ32がラッチ31と係合し、ラッチ31とストライカ32との状態がフルラッチ状態に遷移する。
【0064】
[制御部]
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成されている。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読みだしてRAMに展開し、展開したプログラムと協働して開閉体開閉装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部(図示省略)に格納されている各種データが参照される。記憶部(図示省略)は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。制御部40は、例えば、車両の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)に組み込まれてもよく、また、開閉体駆動部10に搭載されていてもよい。
【0065】
制御部40は、操作スイッチ(図示省略)から入力される信号、携帯電子キー(図示省略)から入力される信号、開閉体位置検知部20から入力されるパルス信号、フルラッチ検出スイッチ(係合位置検知部)36から入力される信号、ハーフラッチ検出スイッチ37から入力される信号、に基づいて、開閉体駆動部10及びクローズ機構30を制御する。操作スイッチは、自動車100に設けられたスイッチであり、開閉体102に開閉動作を行わせる際に操作者によって操作される。携帯電子キーは、操作者に携帯される電子キーであり、開閉体102に開閉動作を行わせる際に操作者によって操作される。
【0066】
制御部40は、開閉体102の開閉制御を行うように構成されている。まず、操作者による操作スイッチ又は携帯電子キーの操作に基づいて開閉体102を開方向又は閉方向へ移動させるように開閉体102の開閉制御を行う際の制御部40の基本的な制御構成について説明する。
【0067】
制御部40は、開閉体102を開方向に移動させるように制御する場合、まず、操作スイッチから入力される信号及び携帯電子キーから入力される信号に基づいて、操作者からの開閉体102の開動作の要求信号の入力の有無を判定する。そして、制御部40は、開動作の要求信号の入力があったと判定すると、基本的な制御動作として、まず、クロージャモータ35を作動させ、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。ラッチ31がロック位置からアンロック位置へと遷移することにより、ラッチ31とストライカ32とのロック状態が解除され、開閉体102が開錠された状態となる。次いで、制御部40は、開閉体駆動部10を作動させて開閉体102を駆動し、開閉体102を開方向へ移動させるように制御する。これにより、開閉体102の開動作が行われ、開閉体102が開状態となる。
【0068】
また、制御部40は、開閉体102を閉方向に移動させるように制御する場合、まず、操作スイッチから入力される信号及び携帯電子キーから入力される信号に基づいて、操作者からの開閉体102の閉動作の要求信号の入力の有無を判定する。そして、制御部40は、閉動作の要求信号の入力があったと判定すると、基本的な制御動作として、開閉体駆動部10を作動させて開閉体102を駆動し、開閉体102を閉方向へ移動させるように制御する。そして、開閉体位置検知部20からのパルス信号の算出結果等に基づいて、開閉体102が第二開閉体位置に到達したと判定すると、クロージャモータ35を作動させ、ラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させるように制御する。ラッチ31がアンロック位置からロック位置へと遷移するように駆動されることにより、ラッチ31とストライカ32とがロック状態となり、開閉体102が施錠された状態となる。
【0069】
また、制御部40は、開閉体駆動部10によって開閉体102が駆動される際、及び、操作者によって手動で開閉体102が操作される際のいずれにおいても、開閉体位置検知部20の検出結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定したとき、クローズ機構30及び開閉体駆動部10を制御するように構成されている。以下、この制御構成について、さらに詳しく説明する。
【0070】
制御部40は、開閉体位置検知部20からのパルス信号を受信するとともに、受信したパルス信号をカウントして開閉体102の位置を算出することで、常時、開閉体102の位置を検知している。さらに、制御部40は、開閉体102の位置の変化を検知することで、開閉体102の移動の有無、開閉体102の移動方向、開閉体102の移動量も検知している。
【0071】
そして、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、第二開閉体位置又は第三開閉体位置において開閉体102の移動があったと判定したとき、フルラッチ検出スイッチ(係合位置検知部)36によってラッチ(係合部)31がロック位置に位置することを検知した場合、クロージャモータ(クローズ駆動部)35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。
【0072】
上記の制御部40の制御構成について更に詳しく説明する。制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、第二開閉体位置又は第三開閉体位置において開閉体102の移動があったと判定したとき、まず、フルラッチ検出スイッチ(係合位置検知部)36によって検知されているラッチ31の位置がロック位置かアンロック位置かを判定する。具体的には、フルラッチ検出スイッチ36から入力される信号がON状態の信号、即ち、ラッチ31がロック位置に位置していることを検知している信号であるとき、ラッチ31がロック位置であると判定する。一方、フルラッチ検出スイッチ36から入力される信号がOFF状態の信号、即ち、ラッチ31がアンロック位置に位置していることを検知している信号であるとき、ラッチ31がアンロック位置であると判定する。
【0073】
そして、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定し、且つ、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31がロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、クロージャモータ35を作動させて、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。一方、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定し、且つ、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31がアンロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、クロージャモータ35を作動させず、アンロック位置に位置したラッチ31の位置を維持させる。
【0074】
制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動の有無を判定する際は、開閉体102の閉方向の移動と開方向の移動との両方の移動について、移動の有無を判定する。そして、開閉体102の開方向に移動があったと判定した際、及び、開閉体102の閉方向の移動があったと判定した際のいずれにおいても、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31がロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、クロージャモータ35を作動させて、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。
【0075】
制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動の有無を判定する際、開閉体102の移動があったと判定するための基準の移動量として、開閉体102の位置に応じて異なる移動量を用いている。制御部40は、開閉体102が第二開閉体位置に位置するときには、即ち、開閉体位置検知部20から受信したパルス信号から算出している開閉体102の位置が第二開閉体位置であると判定しているときには、開閉体102の移動量が、予め設定された第一の移動量以上となった場合に、開閉体102の移動があったと判定する。そして、制御部40は、開閉体102が第三開閉体位置に位置するときには、即ち、開閉体位置検知部20から受信したパルス信号から算出している開閉体102の位置が第三開閉体位置であると判定しているときには、開閉体102の移動量が、上記の第一の移動量よりも大きい移動量であって予め設定された第二の移動量以上となった場合に、開閉体102の移動があったと判定する。尚、第一の移動量は、例えば、開閉体102が第一開閉体位置から第二開閉体位置を超えて移動する場合の移動量に基づいて設定される。また、第二の移動量は、例えば、開閉体102が操作者によって手動で操作されて移動する場合の移動量を考慮して設定される。
【0076】
開閉体102が第二開閉体位置に位置していて開閉体102の移動量が第一の移動量以上となったとき、制御部40は、更に、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31がロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、クロージャモータ35を作動させて、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。一方、開閉体102が第二開閉体位置に位置していて開閉体102の移動量が第一の移動量以上となったとき、制御部40は、更に、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31がアンロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、クロージャモータ35を作動させず、アンロック位置に位置したラッチ31の位置を維持させる。
【0077】
また、開閉体102が第三開閉体位置に位置していて開閉体102の移動量が第二の移動量以上となったとき、制御部40は、更に、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31がロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、クロージャモータ35を作動させて、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。一方、開閉体102が第三開閉体位置に位置していて開閉体102の移動量が第二の移動量以上となったとき、制御部40は、更に、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31がアンロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、クロージャモータ35を作動させず、アンロック位置に位置したラッチ31の位置を維持させる。
【0078】
上記のように、制御部40は、開閉体102が第二開閉体位置に位置するときには、開閉体102の移動量が、第一の移動量以上となった場合に、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させる。そして、制御部40は、開閉体102が第三開閉体位置に位置するときには、開閉体102の移動量が、第一の移動量よりも大きい第二の移動量以上となった場合に、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させる。
【0079】
また、制御部40は、第三開閉体位置に位置する開閉体102の閉方向の移動があったと判定したときは、上述の制御に加え、更に、以下に説明する制御を行うように構成されている。
【0080】
制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、第三開閉体位置に位置する開閉体102の閉方向への移動があったと判定したとき、まず、フルラッチ検出スイッチ36によって検知されているラッチ31の位置がロック位置かアンロック位置かを判定する。そして、制御部40は、ラッチ31がロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、開閉体102が第三開閉体位置から第二開閉体位置に到達するまでに、クロージャモータ35を作動させることによってラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。一方、ラッチ31がアンロック位置に位置することが検知されていると判定した場合、開閉体102が第三開閉体位置から第二開閉体位置に到達するまでの間に亘り、クロージャモータ35を作動させず、アンロック位置に位置したラッチ31の位置を維持させる。
【0081】
上記のように、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、第三開閉体位置に位置する開閉体102の閉方向への移動があったと判定したとき、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31の位置がロック位置であることを検知した場合、開閉体102が第三開閉体位置から第二開閉体位置に到達するまでに、クロージャモータ35によってラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。
【0082】
また、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったことを判定してラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させたときは、更に、第三開閉体位置から移動する開閉体102が第二開閉体位置に到達したか否かを判定する。そして、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知によって開閉体102が第二開閉体位置に位置すると判定した場合、即ち、第三開閉体位置から移動する開閉体102が第二開閉体位置に到達したと判定した場合、クロージャモータ35を作動させて、ラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させるように制御する。このため、開閉体102が第二開閉体位置に位置している状態でラッチ31がアンロック位置からロック位置へと遷移し、クローズ機構30によるロック動作が行われる。これにより、開閉体102は、第二開閉体位置から第一開閉体位置へと移動して全閉状態となるとともに、ラッチ31とストライカ32とがフルラッチ状態で係合してロック状態となり、開閉体102が全閉状態でクローズ機構30によって保持され、開閉体102が施錠された状態となる。
【0083】
上記のように、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったことを判定し、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させたとき、開閉体位置検知部20の検知によって開閉体102が第二開閉体位置に位置すると判定した場合、クロージャモータ35によってラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させるように制御する。
【0084】
また、制御部40は、上記のように、開閉体102が第二開閉体位置に位置すると判定してラッチ31をロック位置へと遷移させたのち、即ち、第二開閉体位置に位置する開閉体102に対してクローズ機構30によるロック動作が行われたのちは、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102の移動の有無を判定する。尚、このとき、制御部40は、開閉体102が第二開閉体位置に位置すると判定しており、開閉体102の移動量が前述の第一の移動量以上となった場合に、開閉体102の移動があったと判定する。
【0085】
例えば、開閉体102が第二開閉体位置に到達し、ハーフラッチ検出スイッチ37のON状態の信号を制御部40が検知した後、ラッチ31がロック位置に遷移するよりも前に、操作者によって開閉体102が開方向に操作されたようなときは、操作者の操作後にラッチ31がロック位置になったにも関わらず開閉体102が閉状態になっていない場合がある。この場合、開閉体102は施錠されておらず、開閉体102は、開方向に移動可能な状態である。また、例えば、自動車100が上り坂に駐車されており、自動車100の基体101が傾いた状態で配置されている場合、開閉体102が第二開閉体位置に到達し、ハーフラッチ検出スイッチ37のON状態の信号を制御部40が検知した後、ラッチ31がロック位置に遷移するよりも前に、重力の影響を受けて開閉体102が開方向に移動したようなときは、ラッチ31がロック位置になったにも関わらず開閉体102が閉状態になっていない場合がある。この場合も、開閉体102は施錠されておらず、開閉体102は、開方向に移動可能な状態である。上記のように、ラッチ31がロック位置になったにも関わらず開閉体102が閉状態になっていない場合、開閉体102は移動可能な状態である。これに対し、制御部40は、開閉体102が第二開閉体位置に位置すると判定してラッチ31をロック位置へと遷移させた後、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102が第一の移動量以上の移動量を移動したと判定した場合、開閉体102の移動があったと判定する。尚、制御部40は、第二開閉体位置に位置する開閉体102に対してクローズ機構30によるロック動作が行われた後に開閉体102の移動を判定するときは、開閉体102の開方向の移動を検知するだけではなく、開閉体102が開方向と閉方向との間で揺動するような移動も検知する。
【0086】
そして、制御部40は、第二開閉体位置に位置する開閉体102に対してクローズ機構30によるロック動作が行われたのち、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定した場合は、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるように制御する。
【0087】
また、制御部40は、第二開閉体位置に位置する開閉体102に対してクローズ機構30によるロック動作が行われたのちは、上記のように、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動の有無を判定するとともに、更に、開閉体102を開方向へと移動させるように開閉体駆動部10を作動させる制御を行う。このとき、開閉体102が全閉状態でラッチ31がロック位置に位置していてラッチ31とストライカ32とがフルラッチ状態で係合したロック状態であれば、開閉体102は全閉状態でクローズ機構30によって保持されており、開閉体102は開方向へは移動しない。
【0088】
一方、ラッチ31のロック動作が行われたにも関わらず、開閉体102が開状態で第二開閉体位置又は第三開閉体位置に位置している状態の場合は、制御部40が、開閉体駆動部10を上記のように制御すると、開閉体102は、開閉体駆動部10によって駆動され、開方向に移動する。例えば、前述のように、開閉体102が第二開閉体位置に到達した後に操作者によって開閉体102が開方向に操作された場合、また或いは、自動車100の基体101が傾いた状態で配置されている場合、ラッチ31のロック動作が行われたにも関わらず、開閉体102が閉状態になっていない場合がある。このような場合、開閉体駆動部10を作動させる制御部40の制御により、開閉体102は、開閉体駆動部10によって駆動されて開方向に移動する。そして、開閉体駆動部10の駆動によって開閉体102が第一の移動量以上の移動量を開方向に移動すると、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定する。
【0089】
そして、制御部40は、上記のように、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定した場合、まず、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させる。次いで、制御部40は、開閉体駆動部10を作動させて開閉体102を閉方向へと移動させる。即ち、制御部40は、第二開閉体位置に位置する開閉体102に対してクローズ機構30によるロック動作が行われたのち、開閉体102を開方向へと移動するよう開閉体駆動部10を作動させたとき、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定した場合、まず、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させる。次いで、制御部40は、開閉体駆動部10を作動させて開閉体102を閉方向へと移動させる。
【0090】
また、制御部40は、上記のように、第二開閉体位置に位置する開閉体102に対するクローズ機構30によるロック動作の後に開閉体102の移動があったと判定してラッチ31をアンロック位置へと遷移させるとともに開閉体102を閉方向へと移動させると、更に、第三開閉体位置から移動する開閉体102が第二開閉体位置に到達したか否かを判定する。そして、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102が第二開閉体位置であると判定した場合、即ち、第三開閉体位置から移動する開閉体102が第二開閉体位置に到達したと判定した場合、クロージャモータ35を作動させて、ラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させるように制御する。これにより、開閉体102は、第二開閉体位置から第一開閉体位置へと移動して全閉状態となるとともに、ラッチ31とストライカ32とがフルラッチ状態となり、開閉体102が全閉状態でクローズ機構30によって保持され、開閉体102が施錠された状態となる。
【0091】
ここで、制御部40によって実行される各種処理について説明する。制御部40は、電源が投入されて起動されると、初期設定処理を行った後、メインループ処理を実行する。メインループ処理では、
図13乃至
図17に示すような各種処理が実行される。以下、
図13乃至
図17を参照して、制御部40における各種処理について説明する。尚、
図13乃至
図17に示す制御部40での各種処理については、説明の便宜上、シーケンシャル処理として説明する。
【0092】
図13は、制御部40の処理を示すフローチャートであって、開閉体102の移動があったと判定したときにクローズ機構30にアンロック作動とロック作動とを行わせる処理を示すフローチャートである。アンロック作動は、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるクローズ機構30の作動である。ロック作動は、ラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させるクローズ機構30の作動である。尚、
図13に示す処理におけるステップS11乃至S14は、本願の請求項1に係る発明を実行するための処理を構成している。また、
図13に示す処理におけるステップS11乃至S16は、本願の請求項3に係る発明を実行するための処理を構成している。
【0093】
図13に示す処理においては、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が第二開閉体位置又は第三開閉体位置に位置しているか否かを判定する(ステップS11)。この判定処理は、開閉体102が第二開閉体位置又は第三開閉体位置に位置していると判定されるまで繰り返される(ステップS11、No)。開閉体102が第二開閉体位置又は第三開閉体位置に位置していると判定すると(ステップS11、Yes)、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が移動したか否かを判定する(ステップS12)。この判定処理は、開閉体102の移動があったと判定されるまで繰り返される(ステップS12、No)。開閉体102の移動があったと判定すると(ステップS12、Yes)、制御部40は、フルラッチ検出スイッチ36の検知結果に基づいて、ラッチ31がロック位置に位置しているか否かを判定する(ステップS13)。
【0094】
制御部40は、ラッチ31がロック位置に位置していると判定したときは(ステップS13、Yes)、クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS14)。即ち、制御部40は、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。一方、制御部40は、ラッチ31がロック位置に位置していないと判定すると(ステップS13、No)、クローズ機構30の作動を制御しない。
【0095】
制御部40は、クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS14)、或いは、ラッチ31がロック位置に位置していないと判定すると(ステップS13、No)、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が第二開閉体位置に位置しているか否かを判定する(ステップS15)。この判定処理は、開閉体102が第二開閉体位置に位置していると判定されるまで繰り返される(ステップS15、No)。開閉体102が第二開閉体位置に位置していると判定すると(ステップS15、Yes)、制御部40は、クローズ機構30にロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS16)。即ち、制御部40は、ラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。クローズ機構30にロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS16)、制御部40は、
図13に示す処理を一旦終了する。尚、
図13に示す処理においては、
図13に示す処理に要する時間を管理する処理が実行されてもよい。この場合、
図13に示す処理が開始されてから予め定められた時間を経過すると
図13に示す処理は一旦終了されてもよい。
【0096】
図14は、制御部40の処理を示すフローチャートであって、開閉体102が開状態で開閉体102の閉方向への移動があったと判定したときにクローズ機構30にアンロック作動を行わせる処理を示すフローチャートである。尚、
図14に示す処理は、本願の請求項2に係る発明を実行するための処理を構成している。
【0097】
図14に示す処理においては、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が第三開閉体位置に位置しているか否かを判定する(ステップS21)。この判定処理は、開閉体102が第三開閉体位置に位置していると判定されるまで繰り返される(ステップS21、No)。開閉体102が第三開閉体位置に位置していると判定すると(ステップS21、Yes)、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が閉方向へ移動したか否かを判定する(ステップS22)。この判定処理は、開閉体102の閉方向への移動があったと判定されるまで繰り返される(ステップS22、No)。開閉体102の閉方向への移動があったと判定すると(ステップS22、Yes)、制御部40は、フルラッチ検出スイッチ36の検知結果に基づいて、ラッチ31がロック位置に位置しているか否かを判定する(ステップS23)。
【0098】
制御部40は、ラッチ31がロック位置に位置していると判定したときは(ステップS23、Yes)、クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS24)。即ち、制御部40は、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。一方、制御部40は、ラッチ31がロック位置に位置していないと判定すると(ステップS23、No)、クローズ機構30の作動を制御しない。クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS24)、或いは、ラッチ31がロック位置に位置していないと判定すると(ステップS23、No)、制御部40は、
図14に示す処理を一旦終了する。尚、
図14に示す処理においては、
図14に示す処理に要する時間を管理する処理が実行されてもよい。この場合、
図14に示す処理が開始されてから予め定められた時間を経過すると
図14に示す処理は一旦終了されてもよい。
【0099】
図15は、制御部40の処理を示すフローチャートであって、クローズ機構30にロック作動を行わせた後に開閉体102の移動があったと判定したときにクローズ機構30にアンロック作動を行わせる処理を示すフローチャートである。尚、
図15に示す処理は、本願の請求項4に係る発明を実行するための処理を構成している。
【0100】
図15に示す処理においては、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が第二開閉体位置に位置しているか否かを判定する(ステップS31)。この判定処理は、開閉体102が第二開閉体位置に位置していると判定されるまで繰り返される(ステップS31、No)。開閉体102が第二開閉体位置に位置していると判定すると(ステップS31、Yes)、制御部40は、クローズ機構30にロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS32)。即ち、制御部40は、ラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。
【0101】
制御部40は、クローズ機構30にロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS32)、次いで、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が移動したか否かを判定する(ステップS33)。この判定処理は、開閉体102の移動があったと判定されるまで繰り返される(ステップS33、No)。開閉体102の移動があったと判定すると(ステップS33、Yes)、制御部40は、クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS34)。即ち、制御部40は、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。クローズ機構30にロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS34)、制御部40は、
図15に示す処理を一旦終了する。尚、
図15に示す処理においては、
図15に示す処理に要する時間を管理する処理が実行されてもよい。この場合、
図15に示す処理が開始されてから予め定められた時間を経過すると
図15に示す処理は一旦終了されてもよい。
【0102】
図16は、制御部40の処理を示すフローチャートであって、クローズ機構30にロック作動を行わせた後に開閉体102を開方向に駆動し、開閉体102が移動した場合にクローズ機構30にアンロック作動を行わせ、更に、開閉体102を閉方向に駆動する処理を示すフローチャートである。尚、
図16に示す処理は、本願の請求項5に係る発明を実行するための処理を構成している。
【0103】
図16に示す処理においては、制御部40は、開閉体102が第二開閉体位置に位置した状態でクローズ機構30のロック作動が行われたか否かを判定する(ステップS41)。この判定処理は、開閉体102が第二開閉体位置に位置した状態でクローズ機構30のロック作動が行われたと判定するまで繰り返される(ステップS41、No)。開閉体102が第二開閉体位置に位置した状態でクローズ機構30のロック作動が行われたと判定すると(ステップS41、Yes)、制御部40は、開閉体駆動部10の作動を制御し、開閉体102を開方向へ駆動するように開閉体駆動部10を作動させる(ステップS42)。即ち、制御部40は、開閉体102を開方向へ駆動するように開閉体駆動部10の開閉モータ13を作動させる。
【0104】
制御部40は、開閉体102を開方向へ駆動するように開閉体駆動部10の作動を制御すると(ステップS42)、次いで、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が移動したか否かを判定する(ステップS43)。開閉体102が移動していないと判定すると(ステップS43、No)、制御部40は、
図16に示す処理を一旦終了する。一方、制御部40は、開閉体102の移動があったと判定すると(ステップS43、Yes)、クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS44)。即ち、制御部40は、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。
【0105】
制御部40は、クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS44)、次いで、開閉体駆動部10の作動を制御し、開閉体102を閉方向へ駆動するように開閉体駆動部10を作動させる(ステップS45)。即ち、制御部40は、開閉体102を閉方向へ駆動するように開閉体駆動部10の開閉モータ13を作動させる。制御部40は、開閉体102を閉方向へ駆動するように開閉体駆動部10の作動を制御すると(ステップS45)、次いで、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が第二開閉体位置に位置しているか否かを判定する(ステップS46)。この判定処理は、開閉体102が第二開閉体位置に位置していると判定されるまで繰り返される(ステップS46、No)。
【0106】
開閉体102が第二開閉体位置に位置していると判定すると(ステップS46、Yes)、制御部40は、クローズ機構30にロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS47)。即ち、制御部40は、ラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。クローズ機構30にロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS47)、制御部40は、
図16に示す処理を一旦終了する。尚、
図16に示す処理においては、
図16に示す処理に要する時間を管理する処理が実行されてもよい。この場合、
図16に示す処理が開始されてから予め定められた時間を経過すると
図16に示す処理は一旦終了されてもよい。
【0107】
図17は、制御部40の処理を示すフローチャートであって、開閉体102が第二開閉体位置に位置する場合には開閉体102の移動量が第一の移動量以上となったときにクローズ機構30をアンロック作動させ、開閉体102が第三開閉体位置に位置する場合には開閉体102の移動量が第二の移動量以上となったときにクローズ機構30をアンロック作動させる処理を示すフローチャートである。尚、
図17に示す処理は、本願の請求項6に係る発明を実行するための処理を構成している。
【0108】
図17に示す処理においては、制御部40は、フルラッチ検出スイッチ36の検知結果に基づいて、ラッチ31がロック位置に位置しているか否かを判定する(ステップS51)。この判定処理は、ラッチ31がロック位置に位置していると判定されるまで繰り返される(ステップS51、No)。ラッチ31がロック位置に位置していると判定すると(ステップS51、Yes)、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が移動したか否かを判定する(ステップS52)。この判定処理は、開閉体102の移動があったと判定されるまで繰り返される(ステップS52、No)。開閉体102の移動があったと判定すると(ステップSS52、Yes)、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が第二開閉体位置に位置しているか否かを判定する(ステップS53)。
【0109】
制御部40は、開閉体102が第二開閉体位置に位置していると判定したときは(ステップS53、Yes)、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102の移動量が第一の移動量以上であるか否かを判定する(ステップS54)。制御部40は、開閉体102の移動量が第一の移動量以上でないと判定すると(ステップS54、No)、即ち、開閉体102の移動量が第一の移動量未満であると判定すると、
図17に示す処理を一旦終了する。一方、制御部40は、開閉体102の移動量が第一の移動量以上であると判定すると(ステップS54、Yes)、クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS55)。即ち、制御部40は、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS55)、制御部40は、
図17に示す処理を一旦終了する。
【0110】
一方、ステップS53において、開閉体102が第二開閉体位置に位置していないと判定したときは(ステップS53、No)、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102が第三開閉体位置に位置しているか否かを判定する(ステップS56)。制御部40は、開閉体102が第三開閉体位置に位置していないと判定すると(ステップS56、No)、
図17に示す処理を一旦終了する。一方、制御部40は、開閉体102が第三開閉体位置に位置していると判定したときは(ステップS56、Yes)、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、開閉体102の移動量が第二の移動量以上であるか否かを判定する(ステップS57)。
【0111】
制御部40は、開閉体102の移動量が第二の移動量以上でないと判定すると(ステップS57、No)、即ち、開閉体102の移動量が第二の移動量未満であると判定すると、
図17に示す処理を一旦終了する。一方、制御部40は、開閉体102の移動量が第二の移動量以上であると判定すると、(ステップS57、Yes)、クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御する(ステップS58)。即ち、制御部40は、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させるようにクローズ機構30のクロージャモータ35を作動させる。クローズ機構30にアンロック作動をさせるようにクローズ機構30の作動を制御すると(ステップS58)、制御部40は、
図17に示す処理を一旦終了する。尚、
図17に示す処理においては、
図17に示す処理に要する時間を管理する処理が実行されてもよい。この場合、
図17に示す処理が開始されてから予め定められた時間を経過すると
図17に示す処理は一旦終了されてもよい。
【0112】
[本実施形態の効果]
開閉体102が閉状態へと遷移し、クロージャモータ35が作動してクローズ機構30がロックする直前に、操作者が開閉体102を手動で開方向へと移動させてしまうと、開閉体102が開状態であるにも関わらず、ラッチ31がアンロック位置からロック位置へと切り替わるように駆動される。また、基体101が傾いて配置された状態で開閉体102が閉状態へと遷移すると、開閉体102がクローズ機構30により全閉状態で保持される前に開閉体102が移動し、開閉体102に設けられたラッチ31と基体101に設けられたストライカ32とが離れた状態で、ラッチ31がアンロック位置からロック位置へと切り替わるように駆動される虞がある。上記のように、開閉体102が開状態であるにも関わらずにラッチ31がロック位置へと切り替えられてしまうと、従来においては、その後に開閉体102が閉状態へと遷移できない。よって、開閉体102が閉状態に遷移していないことに操作者が気付かない場合、開閉体102は開状態のまま放置される虞がある。
【0113】
しかし、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、開閉体102が閉状態へと遷移する動作が行われる際にラッチ31がロック位置であると、制御部40の制御によって、ラッチ31がロック位置からアンロック位置へと切り替えられる。このため、開閉体102が開状態であるにも関わらずにラッチ31がロック位置へと切り替えられてしまった場合であっても、その後に開閉体102が閉状態へと遷移する際には、ラッチ31がアンロック位置に切り替えられた状態でストライカ32に対して係合することができる。また、開閉体102が開状態でラッチ31がロック位置へ切り替えられた後に、操作者がそのことを認識せずに開閉体102を手動で閉状態へと操作してしまった場合であっても、ラッチ31がアンロック位置に切り替えられた状態でストライカ32に対して係合することができ、開閉体102を確実に閉状態にすることができる。
【0114】
また、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて、第三開閉体位置に位置する開閉体102の閉方向への移動があったと判定したとき、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31の位置がロック位置であることを検知した場合、開閉体102が第三開閉体位置から第二開閉体位置に到達するまでに、クロージャモータ35によってラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させる。したがって、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、ラッチ31がストライカ32にロック可能な位置に到達するまでにラッチ31がアンロック位置に切り替えられる。このため、開閉体102が閉方向へと移動する際に、ラッチ31がアンロック位置に切り替えられた状態でストライカ32に対して係合することができ、開閉体102をより確実に閉状態にすることができる。
【0115】
また、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、制御部40は、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったことを判定し、ラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させたのち、開閉体位置検知部20の検知によって開閉体102が第二開閉体位置に位置すると判定した場合、クロージャモータ35によってラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させる。したがって、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、開閉体102が閉状態へと遷移する際に、開閉体102を閉状態でより確実に保持することができる。
【0116】
また、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、制御部40は、第二開閉体位置に位置する開閉体102に対してクローズ機構30によるロック動作が行われたのち、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定した場合、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させる。したがって、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、開閉体102の閉状態への遷移動作を開始したあと、ラッチ31がロック位置になったにも関わらず、開閉体102が閉状態になっていないことから、再度開閉体102の閉状態への遷移動作を開始したとき、ラッチ31がアンロック位置に切り替えられた状態でストライカ32に対して係合することができ、開閉体102をより確実に閉状態にすることができる。
【0117】
また、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、制御部40は、第二開閉体位置に位置する開閉体102に対してクローズ機構30によるロック動作が行われたのち、開閉体102を開方向へと移動するよう開閉体駆動部10を作動させたとき、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102の移動があったと判定した場合、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させ、開閉体駆動部10を作動させて開閉体102を閉方向へと移動させる。そして、開閉体位置検知部20の検知結果に基づいて開閉体102が第二開閉体位置であると判定したとき、ラッチ31をアンロック位置からロック位置へと遷移させる。したがって、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、開閉体102の閉状態への遷移動作を開始したあと、ラッチ31がロック位置になったにも関わらず、開閉体102が閉状態となっていないとき、開閉体を開動作させることでラッチ31とストライカ32とがロック状態であるか判断し、ロック状態でないならばラッチ31とストライカ32との係合を解除し再び開閉体102を閉状態へ遷移動作させることで開閉体102を確実にロックすることができる。
【0118】
また、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、制御部40は、フルラッチ検出スイッチ36によってラッチ31がロック位置に位置していることを検知し、開閉体102が第二開閉体位置に位置するときには、開閉体102の移動量が、第一の移動量以上となった場合に、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させ、開閉体102が第三開閉体位置に位置するときには、開閉体102の移動量が、第一の移動量よりも大きい第二の移動量以上となった場合に、クロージャモータ35を作動させてラッチ31をロック位置からアンロック位置へと遷移させる。したがって、本実施形態の開閉体開閉装置1によると、開閉体102が第二開閉体位置にあるときは僅かな振動でも開閉体102がロックされていないことを検知するが、開閉体102が第三開閉体位置にあるときは操作者による操作も想定されることから、第二開閉体位置に開閉体102が位置するときよりも開閉体102が大きく移動しなければ、自動的にラッチ31をアンロック位置に遷移させないように構成することができる。
【0119】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0120】
前述の実施形態では、自動車100の車体としての基体101の開口101Aを開閉するバックドアとしての開閉体102の開閉制御を行う開閉体開閉装置1を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。自動車におけるバックドア以外のドアとして構成された開閉体の開閉制御を行う開閉体開閉装置の形態が実施されてもよい。また、店舗又はガレージ等の構造物に設置されるシャッター、引き戸、開き戸、或いは、構造物正面の開口の上方に設置される折りたたみ式の庇、などの開閉体の開閉を制御する装置として構成される開閉体開閉装置の形態が実施されてもよい。
【0121】
前述の実施形態では、係合部であるラッチ31が開閉体102に設けられ、被係合部であるストライカ32が基体101に設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。係合部であるラッチ31が基体101に設けられ、被係合部であるストライカ32が開閉体102に設けられた形態が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 開閉体開閉装置
10 開閉体駆動部
20 開閉体位置検知部
30 クローズ機構
31 ラッチ(係合部)
32 ストライカ(被係合部)
35 クロージャモータ(クローズ駆動部)
36 フルラッチ検出スイッチ(係合位置検知部)
40 制御部
100 自動車(車両)
101 基体
101A 開口
102 開閉体