(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066109
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】アレーアンテナ装置及び校正・モニタプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/40 20060101AFI20230508BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20230508BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20230508BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G01S7/40 108
G01S7/02 216
H01Q21/06
H01Q3/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176624
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】勝本 達也
【テーマコード(参考)】
5J021
5J070
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021CA06
5J021DB02
5J021DB03
5J021FA31
5J021FA32
5J021JA10
5J070AD08
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】本開示は、アレーアンテナ装置を構成するアンテナ素子の個数が多いときでも、送信機としての性能を確認するために、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを容易にすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、各々のモニタ経路部8-1~8-Nが短絡、開放及び終端のいずれに接続されるかの接続パターンとして、複数の接続パターンに切り替えられるときに、モニタ用合成分配部9から各々のモニタ経路部8-1~8-Nの往復を経てモニタ用合成分配部9への反射信号について、モニタ用合成分配部9への入力側での反射係数の情報を取得する反射係数取得部11と、複数の接続パターンにおける反射係数の情報に基づいて、各々のアンテナ素子6-1~6-Nの送信信号の振幅の絶対値を推定する振幅絶対値推定部12と、を備えることを特徴とするアレーアンテナ装置Aである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレーアンテナを構成する複数のアンテナ素子と、
各々の前記アンテナ素子の送信信号をモニタするための各々のモニタ経路部と、
複数の前記モニタ経路部のモニタ信号を合成するモニタ信号合成部と、
各々の前記モニタ経路部のうちの各々の前記アンテナ素子側の一端を、各々の前記アンテナ素子側、短絡、開放及び終端のいずれかに接続する各々のモニタスイッチ部と、
各々の前記モニタ経路部が各々の前記アンテナ素子側に接続されるときに、前記モニタ信号合成部の合成信号に基づいて、各々の前記アンテナ素子の送信信号の相対的な位相及び振幅を推定し、各々の前記アンテナ素子を校正するアンテナ校正部と、
各々の前記モニタ経路部が短絡、開放及び終端のいずれに接続されるかの接続パターンとして、複数の前記接続パターンに切り替えられるときに、前記モニタ信号合成部から各々の前記モニタ経路部の往復を経て前記モニタ信号合成部への反射信号について、前記モニタ信号合成部への入力側での反射係数の情報を取得する反射係数取得部と、
複数の前記接続パターンにおける前記反射係数の情報に基づいて、各々の前記モニタ経路部の伝達係数を推定し、各々の前記モニタ経路部の損失量を推定し、各々の前記アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定する振幅絶対値推定部と、
を備えることを特徴とするアレーアンテナ装置。
【請求項2】
前記反射係数取得部は、1個及び残りの前記モニタ経路部がそれぞれ開放及び終端に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ短絡及び終端に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部が全て終端に接続される前記接続パターンと、において、前記反射係数の情報を取得し、
前記振幅絶対値推定部は、3通りの前記接続パターンにおける前記反射係数の情報に基づいて、当該1個の前記モニタ経路部の伝達係数を推定し、当該1個の前記モニタ経路部の損失量を推定し、当該1個の前記アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定する
ことを特徴とする、請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項3】
前記反射係数取得部は、1個及び残りの前記モニタ経路部が全て開放に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ終端及び開放に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部が全て短絡に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ終端及び短絡に接続される前記接続パターンと、において、前記反射係数の情報を取得し、
前記振幅絶対値推定部は、4通りの前記接続パターンにおける前記反射係数の情報に基づいて、当該1個の前記モニタ経路部の伝達係数を推定し、当該1個の前記モニタ経路部の損失量を推定し、当該1個の前記アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定する
ことを特徴とする、請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項4】
前記反射係数取得部は、3個及び残りの前記モニタ経路部が全て開放に接続される前記接続パターンと、当該3個のうちの2個、他の1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ終端、開放及び開放に接続される3通りの前記接続パターンと、当該3個及び当該残りの前記モニタ経路部が全て短絡に接続される前記接続パターンと、当該3個のうちの2個、他の1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ終端、短絡及び短絡に接続される3通りの前記接続パターンと、において、前記反射係数の情報を取得し、
前記振幅絶対値推定部は、8通りの前記接続パターンにおける前記反射係数の情報に基づいて、当該3個の前記モニタ経路部の伝達係数を推定し、当該3個の前記モニタ経路部の損失量を推定し、当該3個の前記アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定する
ことを特徴とする、請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のアレーアンテナ装置のうちの、前記アンテナ校正部、前記反射係数取得部及び前記振幅絶対値推定部の各処理ステップを、コンピュータに実行させるための、アレーアンテナ装置の校正・モニタプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アレーアンテナ装置を校正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アレーアンテナ装置は、各々のアンテナ素子の位相及び振幅を制御し、任意のビームパターンを形成し、通信及びレーダ等で利用される。ここで、アレーアンテナ装置は、各々のアンテナ素子の位相及び振幅が、意図した値であるかどうかをモニタする必要がある。そこで、アレーアンテナ装置は、各々のアンテナ素子の位相及び振幅を推定し、各々のアンテナ素子の位相及び振幅を校正する(例えば、特許文献1、2等を参照。)。
【0003】
各々のモニタ経路部は、各々のアンテナ素子の送信信号をモニタするための帰還経路である。モニタ用合成分配部は、複数のモニタ経路部のモニタ信号を合成する。アンテナ校正部は、モニタ用合成分配部の合成信号に基づいて、各々のアンテナ素子の送信信号の相対的な位相及び振幅を推定し、各々のアンテナ素子を校正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-330660号公報
【特許文献2】特開平6-069724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
つまり、アレーアンテナ装置は、各々のアンテナ素子を校正するために、各々のアンテナ素子の送信信号の相対的な位相及び振幅を推定するのみである。ここで、アレーアンテナ装置は、送信機としての性能を確認するために、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定する必要がある。すると、各々のモニタ経路部の損失量を推定する必要があり、各々のモニタ経路部の入力及び出力にネットワークアナライザを接続したうえで、各々のモニタ経路部の伝達係数を推定する必要がある。よって、アンテナ素子の個数が多いときに、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することが困難になる。
【0006】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、アレーアンテナ装置を構成するアンテナ素子の個数が多いときでも、送信機としての性能を確認するために、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、各々のモニタスイッチ部は、各々のモニタ経路部のうちの各々のアンテナ素子側の一端を、短絡、開放及び終端のいずれかに接続する。反射係数取得部は、各々のモニタ経路部が短絡、開放及び終端のいずれに接続されるかの接続パターンとして、複数の接続パターンに切り替えられるときに、モニタ信号合成部から各々のモニタ経路部の往復を経てモニタ信号合成部への反射信号について、モニタ信号合成部への入力側での反射係数の情報を取得する。振幅絶対値推定部は、複数の接続パターンにおける反射係数の情報に基づいて、各々のモニタ経路部の伝達係数を推定し、各々のモニタ経路部の損失量を推定し、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定する。
【0008】
具体的には、本開示は、アレーアンテナを構成する複数のアンテナ素子と、各々の前記アンテナ素子の送信信号をモニタするための各々のモニタ経路部と、複数の前記モニタ経路部のモニタ信号を合成するモニタ信号合成部と、各々の前記モニタ経路部のうちの各々の前記アンテナ素子側の一端を、各々の前記アンテナ素子側、短絡、開放及び終端のいずれかに接続する各々のモニタスイッチ部と、各々の前記モニタ経路部が各々の前記アンテナ素子側に接続されるときに、前記モニタ信号合成部の合成信号に基づいて、各々の前記アンテナ素子の送信信号の相対的な位相及び振幅を推定し、各々の前記アンテナ素子を校正するアンテナ校正部と、各々の前記モニタ経路部が短絡、開放及び終端のいずれに接続されるかの接続パターンとして、複数の前記接続パターンに切り替えられるときに、前記モニタ信号合成部から各々の前記モニタ経路部の往復を経て前記モニタ信号合成部への反射信号について、前記モニタ信号合成部への入力側での反射係数の情報を取得する反射係数取得部と、複数の前記接続パターンにおける前記反射係数の情報に基づいて、各々の前記モニタ経路部の伝達係数を推定し、各々の前記モニタ経路部の損失量を推定し、各々の前記アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定する振幅絶対値推定部と、を備えることを特徴とするアレーアンテナ装置である。
【0009】
この構成によれば、モニタ信号合成部への入力側にネットワークアナライザを接続したうえで、複数の接続パターンにおける反射係数の情報を取得するのみでよい。よって、アンテナ素子の個数が多いときでも、送信機としての性能を確認するために、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを容易にすることができる。
【0010】
また、本開示は、前記反射係数取得部は、1個及び残りの前記モニタ経路部がそれぞれ開放及び終端に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ短絡及び終端に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部が全て終端に接続される前記接続パターンと、において、前記反射係数の情報を取得し、前記振幅絶対値推定部は、3通りの前記接続パターンにおける前記反射係数の情報に基づいて、当該1個の前記モニタ経路部の伝達係数を推定し、当該1個の前記モニタ経路部の損失量を推定し、当該1個の前記アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを特徴とするアレーアンテナ装置である。
【0011】
この構成によれば、複数の接続パターンをシンプルに設定することができ、各々のモニタ経路部の伝達係数をシンプルに推定することができる。ただし、多数のモニタ経路部を終端に接続するため、モニタ信号合成部の分配数が多いときに、各々の接続パターンにおける反射強度が低くなり測定精度が低くなる。そして、複数の接続パターンにおける反射係数の差分に基づいて、各々のモニタ経路部の伝達係数を推定するところ、複数の接続パターンは1ポートのみ異なるため、反射係数の差分が小さくなり測定精度が低くなる。
【0012】
また、本開示は、前記反射係数取得部は、1個及び残りの前記モニタ経路部が全て開放に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ終端及び開放に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部が全て短絡に接続される前記接続パターンと、当該1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ終端及び短絡に接続される前記接続パターンと、において、前記反射係数の情報を取得し、前記振幅絶対値推定部は、4通りの前記接続パターンにおける前記反射係数の情報に基づいて、当該1個の前記モニタ経路部の伝達係数を推定し、当該1個の前記モニタ経路部の損失量を推定し、当該1個の前記アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを特徴とするアレーアンテナ装置である。
【0013】
この構成によれば、多数のモニタ経路部を開放又は短絡に接続するため、モニタ信号合成部の分配数が多いときでも、各々の接続パターンにおける反射強度が高くなり測定精度が高くなる。ただし、複数の接続パターンにおける反射係数の差分に基づいて、各々のモニタ経路部の伝達係数を推定するところ、複数の接続パターンは1ポートのみ異なるため、反射係数の差分が小さくなり測定精度が低くなる。そして、複数の接続パターンの設定が多少複雑になり、各々のモニタ経路部の伝達係数の推定が多少複雑になる。
【0014】
また、本開示は、前記反射係数取得部は、3個及び残りの前記モニタ経路部が全て開放に接続される前記接続パターンと、当該3個のうちの2個、他の1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ終端、開放及び開放に接続される3通りの前記接続パターンと、当該3個及び当該残りの前記モニタ経路部が全て短絡に接続される前記接続パターンと、当該3個のうちの2個、他の1個及び当該残りの前記モニタ経路部がそれぞれ終端、短絡及び短絡に接続される3通りの前記接続パターンと、において、前記反射係数の情報を取得し、前記振幅絶対値推定部は、8通りの前記接続パターンにおける前記反射係数の情報に基づいて、当該3個の前記モニタ経路部の伝達係数を推定し、当該3個の前記モニタ経路部の損失量を推定し、当該3個の前記アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを特徴とするアレーアンテナ装置である。
【0015】
この構成によれば、多数のモニタ経路部を開放又は短絡に接続するため、モニタ信号合成部の分配数が多いときでも、各々の接続パターンにおける反射強度が高くなり測定精度が高くなる。そして、複数の接続パターンにおける反射係数の差分に基づいて、各々のモニタ経路部の伝達係数を推定するところ、複数の接続パターンは2ポートも異なるため、反射係数の差分が大きくなり測定精度が高くなる。ただし、複数の接続パターンの設定が多少複雑になり、各々のモニタ経路部の伝達係数の推定が多少複雑になる。
【0016】
また、本開示は、以上に記載のアレーアンテナ装置のうちの、前記アンテナ校正部、前記反射係数取得部及び前記振幅絶対値推定部の各処理ステップを、コンピュータに実行させるための、アレーアンテナ装置の校正・モニタプログラムである。
【0017】
この構成によれば、モニタ信号合成部への入力側にネットワークアナライザを接続したうえで、複数の接続パターンにおける反射係数の情報を取得するのみでよい。よって、アンテナ素子の個数が多いときでも、送信機としての性能を確認するために、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本開示は、アレーアンテナ装置を構成するアンテナ素子の個数が多いときでも、送信機としての性能を確認するために、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示のアンテナ素子の振幅位相校正時のアレーアンテナ装置を示す図である。
【
図2】本開示のモニタ経路部の損失量推定時のアレーアンテナ装置を示す図である。
【
図3】本開示のアレーアンテナ装置の校正・モニタ処理の手順を示す図である。
【
図4】第1実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理の具体例を示す図である。
【
図5】第1実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理の原理を示す図である。
【
図6】第2実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理の具体例を示す図である。
【
図7】第3実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0021】
(本開示のアレーアンテナ装置の概要)
本開示のアンテナ素子の振幅位相校正時のアレーアンテナ装置を
図1に示す。本開示のモニタ経路部の損失量推定時のアレーアンテナ装置を
図2に示す。
【0022】
アレーアンテナ装置Aは、送受信信号処理部1、送受信モニタ切替部2、送受信用合成分配部3、送受信部4-1、・・・、4-N、アンテナスイッチ部5-1、・・・、5-N、アンテナ素子6-1、・・・、6-N、モニタスイッチ部7-1、・・・、7-N、モニタ経路部8-1、・・・、8-N、モニタ用合成分配部9、アンテナ校正部10、反射係数取得部11及び振幅絶対値推定部12を備え、ネットワークアナライザNに接続される。
【0023】
まず、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nの送信時について説明する。送受信信号処理部1は、送信信号を生成する。送受信モニタ切替部2は、送信モードに切り替える。送受信用合成分配部3は、送信信号を分配する。送受信部4-1、・・・、4-Nは、送信信号の位相及び振幅を制御し、任意のビームパターンを形成する。アンテナスイッチ部5-1、・・・、5-Nは、送受信部4-1、・・・、4-Nと、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nと、を接続する。アンテナ素子6-1、・・・、6-Nは、送信信号を出力する。
【0024】
次に、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nの受信時について説明する。アンテナ素子6-1、・・・、6-Nは、受信信号を入力する。アンテナスイッチ部5-1、・・・、5-Nは、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nと、送受信部4-1、・・・、4-Nと、を接続する。送受信部4-1、・・・、4-Nは、受信信号の位相及び振幅を制御し、任意のビームパターンを形成する。送受信用合成分配部3は、受信信号を合成する。送受信モニタ切替部2は、受信モードに切り替える。送受信信号処理部1は、受信信号を処理する。
【0025】
本開示のアレーアンテナ装置の校正・モニタ処理の手順を
図3に示す。
図3に示したアレーアンテナ装置Aの校正・モニタプログラムは、アンテナ校正部10、反射係数取得部11及び振幅絶対値推定部12として、コンピュータを機能させるプログラムである。
【0026】
まず、
図1及び
図3を参照しながら、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nの振幅位相校正時について説明する。モニタ経路部8-1、・・・、8-Nは、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nの送信信号をモニタするための帰還経路である。アンテナスイッチ部5-1、・・・、5-Nは、送受信部4-1、・・・、4-Nと、モニタスイッチ部7-1、・・・、7-Nと、を接続する。モニタスイッチ部7-1、・・・、7-Nは、モニタ経路部8-1、・・・、8-Nのうちのアンテナ素子6-1、・・・、6-N側の一端を、短絡、開放及び終端ではなくアンテナ素子6-1、・・・、6-N側に接続する(ステップS1)。モニタ用合成分配部9は、モニタ経路部8-1、・・・、8-Nのモニタ信号を合成する。
【0027】
アンテナ校正部10は、モニタ用合成分配部9の合成信号に基づいて、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nの送信信号の相対的な位相及び振幅を推定し、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nを校正する(ステップS2、特許文献1、2等を参照。)。
【0028】
次に、
図2及び
図3を参照しながら、モニタ経路部8-1、・・・、8-Nの損失量推定時について説明する。ネットワークアナライザNは、モニタ用合成分配部9に接続される。モニタスイッチ部7-1、・・・、7-Nは、モニタ経路部8-1、・・・、8-Nのうちのアンテナ素子6-1、・・・、6-N側の一端を、短絡、開放及び終端のいずれかに接続する。そして、モニタ経路部8-1、・・・、8-Nが短絡、開放及び終端のいずれに接続されるかの接続パターンとして、複数の接続パターンに切り替える(ステップS3)。
【0029】
反射係数取得部11は、モニタ用合成分配部9からモニタ経路部8-1、・・・、8-Nの往復を経てモニタ用合成分配部9への反射信号について、モニタ用合成分配部9への入力側での反射係数の情報をネットワークアナライザNから取得する(ステップS4)。
【0030】
振幅絶対値推定部12は、複数の接続パターンにおける反射係数の情報に基づいて、モニタ経路部8-1、・・・、8-Nの伝達係数を推定し、モニタ経路部8-1、・・・、8-Nの損失量を推定する。そして、モニタ経路部8-1、・・・、8-Nの損失量と、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nの送信信号の相対的な振幅と、に基づいて、アンテナ素子6-1、・・・、6-Nの送信信号の振幅の絶対値を推定する(ステップS5)。
【0031】
このように、モニタ用合成分配部9への入力側にネットワークアナライザNを接続したうえで、複数の接続パターンにおける反射係数の情報を取得するのみでよい。よって、アンテナ素子の個数が多いときでも、送信機としての性能を確認するために、アンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを容易にすることができる。
【0032】
(第1実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理)
第1実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理の具体例及び原理を
図4及び
図5に示す。第1実施形態では、3個のモニタ経路部8-1、8-2、8-3の損失量を推定するが、変形例として、2個以上のモニタ経路部8-Nの損失量を推定してもよい。
【0033】
反射係数取得部11は、
図4に示した接続パターンにおいて、反射係数の情報を取得する(ステップS4):(1)モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、それぞれ開放及び終端に接続される接続パターン、(2)モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、それぞれ短絡及び終端に接続される接続パターン、(3)モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、全て終端に接続される接続パターン。
【0034】
図5において、モニタ用合成分配部9のネットワークアナライザN側において、入力信号及び出力信号をa
1、b
1とする。モニタ経路部8-1、8-2、8-3のモニタ用合成分配部9側において、入力信号及び出力信号を(b
1、1、a
1、1)、(b
2、1、a
2、1)、(b
3、1、a
3、1)とする。モニタ経路部8-1、8-2、8-3のモニタスイッチ部7-1、7-2、7-3側において、入力信号及び出力信号を(a
1、2、b
1、2)、(a
2、2、b
2、2)、(a
3、2、b
3、2)とする。モニタ経路部8-1、8-2、8-3のSパラメータをS
1、S
2、S
3とする。モニタスイッチ部7-1、7-2、7-3での反射係数をΓ
1、Γ
2、Γ
3とする。開放条件では、Γ
1、Γ
2、Γ
3=1となり、短絡条件では、Γ
1、Γ
2、Γ
3=-1となり、終端条件(インピーダンス整合が図られている。)では、Γ
1、Γ
2、Γ
3=0となる。モニタ用合成分配部9への入力側での反射係数をΓとする。
【0035】
理想的な(無損失及び等分配)モニタ用合成分配部9のSパラメータは、数1で表わされる。すると、b
1、b
1、1、b
2、1、b
3、1は、数1で表わされる。
【数1】
【0036】
モニタ経路部8-1のSパラメータは、数2で表わされる。すると、a
1、1、b
1、2は、数2で表わされる。ここで、S
1、12=S
1、21であり、a
1、2=Γ
1b
1、2である。
【数2】
【0037】
a
1、1、a
2、1、a
3、1は、数2に基づいて、数3で表わされる。
【数3】
【0038】
Γは、数1及び数3に基づいて、数4で表わされる。
【数4】
【0039】
モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、それぞれ開放及び終端に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
ОLLは、数4に基づいて、数5で表わされる。
モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、それぞれ短絡及び終端に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
SLLは、数4に基づいて、数5で表わされる。
モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、全て終端に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
LLLは、数4に基づいて、数5で表わされる。
【数5】
【0040】
振幅絶対値推定部12は、3通りの接続パターンにおける反射係数の情報に基づいて、モニタ経路部8-1の伝達係数を推定し、モニタ経路部8-1の損失量を推定し、アンテナ素子6-1の送信信号の振幅の絶対値を推定する(ステップS5)。
【0041】
Γ
ОLL-Γ
LLLは、数5に基づいて、数6で表わされ、Aと定義される。Γ
SLL-Γ
LLLは、数5に基づいて、数6で表わされ、Bと定義される。
【数6】
【0042】
S
1、21は、数6に基づいて、数7の中辺で表わされる。モニタ経路部8-1及びモニタ用合成分配部9の合成SパラメータS
1、21は、数7の右辺で表わされる。
【数7】
【0043】
このように、複数の接続パターンをシンプルに設定することができ、各々のモニタ経路部の伝達係数をシンプルに推定することができる。ただし、多数のモニタ経路部を終端に接続するため、モニタ用合成分配部9の分配数が多いときに、各々の接続パターンにおける反射強度が低くなり測定精度が低くなる。そして、複数の接続パターンにおける反射係数の差分に基づいて、各々のモニタ経路部の伝達係数を推定するところ、複数の接続パターンは1ポートのみ異なるため、反射係数の差分が小さくなり測定精度が低くなる。
【0044】
具体的には、モニタ用合成分配部9の分配数が16であり、各々のモニタ経路部の損失量が20dBとすると、片道分の損失量は32dBとなり、往復分の損失量は64dBとなる。そして、モニタ用合成分配部9の分配数が3M(Mは自然数。)とすると、接続パターンは、3×3M-1×(3M-1)=6M+1パターンとなり(ΓLLLの接続パターンは、1回だけ測定すればよい。)、数6の減算回数は、2×3M=6M回となる。
【0045】
(第2実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理)
第2実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理の具体例を
図6に示す。第2実施形態では、3個のモニタ経路部8-1、8-2、8-3の損失量を推定するが、変形例として、2個以上のモニタ経路部8-Nの損失量を推定してもよい。
【0046】
反射係数取得部11は、
図6に示した接続パターンにおいて、反射係数の情報を取得する(ステップS4):(1)モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が全て開放に接続される接続パターン、(2)モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3がそれぞれ終端及び開放に接続される接続パターン、(3)モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が全て短絡に接続される接続パターン、(4)モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3がそれぞれ終端及び短絡に接続される接続パターン。
【0047】
モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、全て開放に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
ОООは、数4に基づいて、数8で表わされる。
モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、それぞれ終端及び開放に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
LООは、数4に基づいて、数8で表わされる。
モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、全て短絡に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
SSSは、数4に基づいて、数8で表わされる。
モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-2、8-3が、それぞれ終端及び短絡に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
LSSは、数4に基づいて、数8で表わされる。
【数8】
【0048】
振幅絶対値推定部12は、4通りの接続パターンにおける反射係数の情報に基づいて、モニタ経路部8-1の伝達係数を推定し、モニタ経路部8-1の損失量を推定し、アンテナ素子6-1の送信信号の振幅の絶対値を推定する(ステップS5)。
【0049】
Γ
ООО-Γ
LООは、数8に基づいて、数9で表わされ、Aと定義される。Γ
SSS-Γ
LSSは、数8に基づいて、数9で表わされ、Bと定義される。
【数9】
【0050】
S
1、21は、数9に基づいて、数10の中辺で表わされる。モニタ経路部8-1及びモニタ用合成分配部9の合成SパラメータS
1、21は、数10の右辺で表わされる。
【数10】
【0051】
このように、多数のモニタ経路部を開放又は短絡に接続するため、モニタ用合成分配部9の分配数が多いときでも、各々の接続パターンにおける反射強度が高くなり測定精度が高くなる。ただし、複数の接続パターンにおける反射係数の差分に基づいて、各々のモニタ経路部の伝達係数を推定するところ、複数の接続パターンは1ポートのみ異なるため、反射係数の差分が小さくなり測定精度が低くなる。そして、複数の接続パターンの設定が多少複雑になり、各々のモニタ経路部の伝達係数の推定が多少複雑になる。
【0052】
具体的には、モニタ用合成分配部9の分配数が3M(Mは自然数。)とすると、接続パターンは、4×3M-2×(3M-1)=6M+2パターンとなり(ΓООО、ΓSSSの接続パターンは、1回だけ測定すればよい。)、数9の減算回数は、2×3M=6M回となる。
【0053】
(第3実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理)
第3実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理の具体例を
図7に示す。第3実施形態では、4個のモニタ経路部8-1、8-2、8-3、8-4の損失量を推定するが、変形例として、3個以上のモニタ経路部8-Nの損失量を推定してもよい。
【0054】
反射係数取得部11は、
図7に示した接続パターンにおいて、反射係数の情報を取得する(ステップS4):(1)モニタ経路部8-1、8-2、8-3及びモニタ経路部8-4が全て開放に接続される接続パターン、(2)モニタ経路部8-1、8-2、8-3のうちの2個のモニタ経路部、他の1個のモニタ経路部及びモニタ経路部8-4がそれぞれ終端、開放及び開放に接続される3通りの接続パターン、(3)モニタ経路部8-1、8-2、8-3及びモニタ経路部8-4が全て短絡に接続される接続パターン、(4)モニタ経路部8-1、8-2、8-3のうちの2個のモニタ経路部、他の1個のモニタ経路部及びモニタ経路部8-4がそれぞれ終端、短絡及び短絡に接続される3通りの接続パターン。
【0055】
モニタ経路部8-1、8-2、8-3及びモニタ経路部8-4が全て開放に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
ООООは、数4に基づいて、数11で表わされる。
モニタ経路部8-1、8-2、モニタ経路部8-3及びモニタ経路部8-4がそれぞれ終端、開放及び開放に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
LLООは、数4に基づいて、数11で表わされる。
モニタ経路部8-2、8-3、モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-4がそれぞれ終端、開放及び開放に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
ОLLОは、数4に基づいて、数11で表わされる。
モニタ経路部8-1、8-3、モニタ経路部8-2及びモニタ経路部8-4がそれぞれ終端、開放及び開放に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
LОLОは、数4に基づいて、数11で表わされる。
【数11】
【0056】
モニタ経路部8-1、8-2、8-3及びモニタ経路部8-4が全て短絡に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
SSSSは、数4に基づいて、数12で表わされる。
モニタ経路部8-1、8-2、モニタ経路部8-3及びモニタ経路部8-4がそれぞれ終端、短絡及び短絡に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
LLSSは、数4に基づいて、数12で表わされる。
モニタ経路部8-2、8-3、モニタ経路部8-1及びモニタ経路部8-4がそれぞれ終端、短絡及び短絡に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
SLLSは、数4に基づいて、数12で表わされる。
モニタ経路部8-1、8-3、モニタ経路部8-2及びモニタ経路部8-4がそれぞれ終端、短絡及び短絡に接続される接続パターンにおいて、Γ=Γ
LSLSは、数4に基づいて、数12で表わされる。
【数12】
【0057】
振幅絶対値推定部12は、8通りの接続パターンにおける反射係数の情報に基づいて、モニタ経路部8-1、8-2、8-3の伝達係数を推定し、モニタ経路部8-1、8-2、8-3の損失量を推定し、アンテナ素子6-1、6-2、6-3の送信信号の振幅の絶対値を推定する(ステップS5)。
【0058】
Γ
ОООО-Γ
LLОО、Γ
ОООО-Γ
ОLLО及びΓ
ОООО-Γ
LОLОは、数11に基づいて、数13で表わされる。これらは、2個のモニタ経路部8-NのSパラメータを含む。
【数13】
【0059】
Γ
SSSS-Γ
LLSS、Γ
SSSS-Γ
SLLS及びΓ
SSSS-Γ
LSLSは、数12に基づいて、数14で表わされる。これらは、2個のモニタ経路部8-NのSパラメータを含む。
【数14】
【0060】
(Γ
ОООО-Γ
LLОО)-(Γ
ОООО-Γ
ОLLО)+(Γ
ОООО-Γ
LОLО)は、数13に基づいて、数15で表わされ、Aを定義する。(Γ
SSSS-Γ
LLSS)-(Γ
SSSS-Γ
SLLS)+(Γ
SSSS-Γ
LSLS)は、数14に基づいて、数15で表わされ、Bを定義する。
【数15】
【0061】
S
1、21は、数15に基づいて、数16の中辺で表わされる。モニタ経路部8-1及びモニタ用合成分配部9の合成SパラメータS
1、21は、数16の右辺で表わされる。
【数16】
【0062】
(Γ
ОООО-Γ
LLОО)+(Γ
ОООО-Γ
ОLLО)-(Γ
ОООО-Γ
LОLО)は、数13に基づいて、数17で表わされ、A’を定義する。(Γ
SSSS-Γ
LLSS)+(Γ
SSSS-Γ
SLLS)-(Γ
SSSS-Γ
LSLS)は、数14に基づいて、数17で表わされ、B’を定義する。
【数17】
【0063】
S
2、21は、数17に基づいて、数18の中辺で表わされる。モニタ経路部8-2及びモニタ用合成分配部9の合成SパラメータS
2、21は、数18の右辺で表わされる。
【数18】
【0064】
-(Γ
ОООО-Γ
LLОО)+(Γ
ОООО-Γ
ОLLО)+(Γ
ОООО-Γ
LОLО)は、数13に基づいて、数19で表わされ、A”を定義する。-(Γ
SSSS-Γ
LLSS)+(Γ
SSSS-Γ
SLLS)+(Γ
SSSS-Γ
LSLS)は、数14に基づいて、数19で表わされ、B”を定義する。
【数19】
【0065】
S
3、21は、数19に基づいて、数20の中辺で表わされる。モニタ経路部8-3及びモニタ用合成分配部9の合成SパラメータS
3、21は、数20の右辺で表わされる。
【数20】
【0066】
このように、多数のモニタ経路部を開放又は短絡に接続するため、モニタ用合成分配部9の分配数が多いときでも、各々の接続パターンにおける反射強度が高くなり測定精度が高くなる。そして、複数の接続パターンにおける反射係数の差分に基づいて、各々のモニタ経路部の伝達係数を推定するところ、複数の接続パターンは2ポートも異なるため、反射係数の差分が大きくなり測定精度が高くなる。ただし、複数の接続パターンの設定が多少複雑になり、各々のモニタ経路部の伝達係数の推定が多少複雑になる。
【0067】
具体的には、モニタ用合成分配部9の分配数が3M(Mは自然数。)とすると、接続パターンは、8×M-2×(M-1)=6M+2パターンとなり(ΓОООО、ΓSSSSの接続パターンは、1回だけ測定すればよい。)、数13、数14、数15、数17及び数19の減算及び加算の回数の合計は、(3×2+2×2×3)×M=18M回となる。
【0068】
(第4実施形態のモニタ経路部の損失量推定処理)
第4実施形態は、第1~3実施形態を一般化した実施形態である。複数の接続パターンにおける反射係数Γの情報(数21を参照。)は、複数のモニタ経路部8-1、・・・、8-NのSパラメータS
1、21、S
1、22、・・・、S
N、21、S
N、22についての連立方程式を構成する。各々のモニタ経路部8-1、・・・、8-NのSパラメータS
1、21、・・・、S
N、21に基づいて、各々のモニタ経路部8-1、・・・、8-Nの損失量及び各々のアンテナ素子6-1、・・・、6-Nの送信信号の振幅の絶対値を推定することができる。
【数21】
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示のアレーアンテナ装置及び校正・モニタプログラムは、アレーアンテナ装置を構成するアンテナ素子の個数が多いときでも、送信機としての性能を確認するために、各々のアンテナ素子の送信信号の振幅の絶対値を推定することを容易にすることができる。
【符号の説明】
【0070】
A:アレーアンテナ装置
N:ネットワークアナライザ
1:送受信信号処理部
2:送受信モニタ切替部
3:送受信用合成分配部
4-1、4-N:送受信部
5-1、5-N:アンテナスイッチ部
6-1、6-N:アンテナ素子
7-1、7-N:モニタスイッチ部
8-1、8-2、8-3、8-4、8-N:モニタ経路部
9:モニタ用合成分配部
10:アンテナ校正部
11:反射係数取得部
12:振幅絶対値推定部