特開 2023-66114 光電変換モジュールの支持構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023066114

(43)【公開日】2023-05-15

(54)【発明の名称】光電変換モジュールの支持構造

(51)【国際特許分類】

   E04D 13/18 20180101AFI20230508BHJP

   H02S 20/24 20140101ALI20230508BHJP

   H02S 20/10 20140101ALI20230508BHJP

【ＦＩ】

E04D13/18 ETD

H02S20/24

H02S20/10 C

【審査請求】未請求

【請求項の数】10

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021176634

(22)【出願日】2021-10-28

(71)【出願人】

【識別番号】513009668

【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100187218

【弁理士】

【氏名又は名称】堀 宏光

(72)【発明者】

【氏名】市川 直毅

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 大輔

(72)【発明者】

【氏名】大内 義紹

【テーマコード（参考）】

2E108

【Ｆターム（参考）】

2E108KK01

2E108LL01

2E108MM08

2E108NN07

(57)【要約】

【課題】構造物の設置面に加工することなく支持可能な改良された光電変換モジュールの支持構造を提供する。
【解決手段】光電変換モジュールの支持構造１０は、少なくとも１つの光電変換モジュール１００と、光電変換モジュールを支持する架台２００と、第１懸架部材４１０と、第２懸架部材４２０と、を有する。第１懸架部材４１０は、架台２００を設置している設置面Ｓを有する構造物５００又は構造物の付帯物のうち設置面Ｓを除く部分と、架台２００と、の間で張られている。第２懸架部材４２０は、構造物５００又は付帯物のうち設置面Ｓを除く部分と、架台２００と、の間で張られている。第２懸架部材４２０は、架台２００に関して第１懸架部材４１０とは反対側に設けられている。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

少なくとも１つの光電変換モジュールと、
前記光電変換モジュールを支持する架台と、
第１懸架部材と、
第２懸架部材と、を有し、
前記第１懸架部材は、前記架台を設置している設置面を有する構造物又は前記構造物の付帯物のうち前記設置面を除く部分と、前記架台と、の間で張られており、
前記第２懸架部材は、前記構造物又は前記付帯物のうち前記設置面を除く部分と、前記架台と、の間で張られており、
前記第２懸架部材は、前記架台に関して前記第１懸架部材とは反対側に設けられている、光電変換モジュールの支持構造。

【請求項2】

前記第１懸架部材と前記第２懸架部材の少なくとも一方は、前記架台から離れるにつれて前記設置面から測定した高さが高くなるよう張られている、請求項１に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【請求項3】

前記第１懸架部材と前記第２懸架部材の少なくとも一方の、前記設置面に対して成す角度は、３０°以下である、請求項１又は２に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【請求項4】

前記第１懸架部材と前記第２懸架部材の少なくとも一方は、弾性部材により構成されている、請求項１から３のいずれか１項に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【請求項5】

前記第１懸架部材と前記第２懸架部材の少なくとも一方は、実質的に鋼体により構成されている、１から３のいずれか１項に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【請求項6】

前記第１懸架部材と前記第２懸架部材の少なくとも一方は、可撓性のワイヤにより構成されている、１から３のいずれか１項に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【請求項7】

前記光電変換モジュールは、前記設置面に関して傾斜するよう配置されており、
前記第１懸架部材及び前記第２懸架部材は、前記設置面に直交する方向から見たときに、前記光電変換モジュールの表面の最大傾斜線の方向に沿って延びている、請求項１から６のいずれか１項に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【請求項8】

前記光電変換モジュールは、前記設置面に関して傾斜するよう配置されており、
前記第１懸架部材及び前記第２懸架部材は、前記設置面に直交する方向から見たときに、前記光電変換モジュールの表面の最大傾斜線の方向に交差する方向に沿って延びている、請求項１から６のいずれか１項に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【請求項9】

前記架台は、前記第１懸架部材と前記第２懸架部材との間に配置された少なくとも２つの前記光電変換モジュールを支持可能に構成されている、請求項１から８のいずれか１項に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【請求項10】

前記架台は、第２方向に並んだ複数の前記光電変換モジュールを支持可能に構成されており、
前記第１懸架部材と前記第２懸架部材は、前記第２方向に並んで複数設けられており、
前記第２方向に並んだ前記第１懸架部材の数、及び前記第２方向に並んだ前記第２懸架部材の数は、前記第２方向に並んだ前記光電変換モジュールの数以下である、請求項１から９のいずれか１項に記載の光電変換モジュールの支持構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、光電変換モジュールの支持構造に関する。

【背景技術】

【0002】

例えば住宅や工場のような建造物の屋根等に設置される太陽電池モジュールのような光電変換モジュールが知られている。近年、光電変換モジュールは、様々な建造物の屋根に設置されている。

【0003】

特許文献１は、構造物の屋上に設置されるソーラーパネルを支持するソーラーパネルの支持構造を開示する。特許文献１に記載の支持構造では、ソーラーパネルは、紐状物によって、ソーラーパネルを設置している構造物の屋上の床面を除いた非床面箇所に取り付けられる。この紐状物は、その両端でパラペットのような非床面箇所に取り付けられており、非床面箇所どうしの間で張られている。この紐状物の中間部分は、ソーラーパネルの表面に沿って配置されるか（特許文献１の図１参照）、クランプによって架台に固定されている（特許文献１の図４参照）。これにより、ソーラーパネルは、床面に施されている防水層に加工を施すことなく、紐状物によって支持される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１５－０５９３６０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

特許文献１は、構造物の設置面に加工することなく支持可能な光電変換モジュールの支持構造を開示する。特許文献１に記載されているように紐状物が光電変換モジュールの表面に沿って配置される場合、紐状物が影になるため、光電変換効率の低下を招く。また、紐状物から光電変換モジュールに余計な負荷をかけてしまうことがある。通常、光電変換モジュールの表面はガラスであるため、紐状物が当接することによって当該ガラスが破損する可能性もある。

【0006】

一方、パラペットどうしの間にかけ渡した紐状物の中間部分をクランプによって架台に固定する場合、特許文献１の図４に示されているように、紐状物は、十分に引っ張られた緊張状態において架台の支柱と交差する。この緊張状態の紐状物の中間部分と架台の支柱とをクランプで一緒に挟み込む作業は難しいと考えられる。

【0007】

したがって、構造物の設置面に加工することなく支持可能な改良された光電変換モジュールの支持構造が望まれる。

【課題を解決するための手段】

【0008】

一態様に係る光電変換モジュールの支持構造は、少なくとも１つの光電変換モジュールと、前記光電変換モジュールを支持する架台と、第１懸架部材と、第２懸架部材と、を有する。前記第１懸架部材は、前記架台を設置している設置面を有する構造物又は前記構造物の付帯物のうち前記設置面を除く部分と、前記架台と、の間で張られている。前記第２懸架部材は、前記構造物又は前記付帯物のうち前記設置面を除く部分と、前記架台と、の間で張られている。前記第２懸架部材は、前記架台に関して前記第１懸架部材とは反対側に設けられている。

【発明の効果】

【0009】

上記態様によれば、構造物の設置面に加工することなく支持可能な改良された光電変換モジュールの支持構造を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】第１実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的斜視図である。

【図2】図１の２Ａ方向から見た光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【図3】設置面Ｓに直交する方向から見た第１実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【図4】第２実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【図5】第３実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【図6】第４実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的斜視図である。

【図7】設置面Ｓに直交する方向から見た第４実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。

【0012】

［第１実施形態］
図１は、第１実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的斜視図である。図２は、図１の２Ａ方向から見た光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。図３は、設置面Ｓに直交する方向から見た第１実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【0013】

本実施形態において、光電変換モジュールの支持構造１０は、少なくとも１つの光電変換モジュール１００と、光電変換モジュール１００を支持する架台２００と、第１懸架部材４１０と、第２懸架部材４２０と、を有していてよい。光電変換モジュール１００及び架台２００は、好ましくは構造物の屋根の床面ような設置面Ｓに設けられていてよい。

【0014】

構造物５００は、例えば工場、倉庫及び一般住宅のような建造物であってよい。光電変換モジュール１００及び架台２００が設置される屋根の種類は、特に制限されない。屋根は、例えば、水平な、又は比較的緩やかな勾配を有する陸屋根であってよい。

【0015】

光電変換モジュール１００は、光電変換パネルと、当該光電変換パネルのまわりに設けられたフレームと、を有していてよい。光電変換パネルは、光エネルギーと電気エネルギーを相互に変換するパネルである。なお、本明細書において、光電変換モジュール１００の「表面側」は、光エネルギーを受ける側、又は光エネルギーを発する側を意味する。光電変換パネルが太陽電池パネルである場合、「表面側」は、太陽光を受ける受光側に相当する。また、「裏面側」は、「表面側」と反対側を意味する。

【0016】

光電変換モジュール１００は、設置面Ｓよりも上方で、設置面Ｓに関して傾斜して支持されていてよい。具体的には、光電変換モジュール１００の表面、すなわち光電変換パネルの表面が、設置面Ｓに対して傾斜していてよい。

【0017】

光電変換モジュール１００は、架台２００に支えられていてよい。架台２００は、設置面Ｓに置かれている。ここで、架台２００は、設置面Ｓに直接固定されていなくてよい。光電変換モジュールの支持構造１０は、架台２００の一部上に積載された重石３００を備えていてもよい。重石３００の荷重により、架台２００は安定的に保持される。

【0018】

架台２００の構造は、特に制限されない。一例では、架台２００は、例えば複数の縦材２１０と、複数の横材２２０と、複数の支柱２３０と、を有していてよい。縦材２１０は、光電変換モジュール１００の短辺方向に沿って延びた長尺部材によって構成されていてよい。横材２１０は、光電変換モジュール１００の長辺方向に沿って延びた長尺部材によって構成されていてよい。支柱２３０は、光電変換モジュール１００を設置面Ｓより上方で支持できるように高さ方向に延びていてよい。

【0019】

図１に示す例では、光電変換モジュールの支持構造１０は、複数の光電変換モジュール１００を有する。光電変換モジュールの支持構造１０は、図１に示すように、第１方向（図のＹ方向）に複数並んでいてもよい。この場合、架台２００の縦材２１０は、第１方向に並んだ複数の光電変換モジュール１００にわたって延びていてよい。これにより、架台２００は、第１方向に並んだ複数の光電変換モジュール１００を支持することができる。

【0020】

光電変換モジュールの支持構造１０は、図１に示すように、第２方向（図のＸ方向）に複数並んでいてもよい。この場合、架台２００の横材２２０は、第２方向に並んだ複数の光電変換モジュール１００にわたって延びていてよい。これにより、架台２００は、第２方向に並んだ複数の光電変換モジュール１００を支持することができる。

【0021】

なお、図示した態様の代わりに、光電変換モジュール支持構造１０は、第１方向及び／又は第２方向において１つの光電変換モジュール１００のみを有していてもよい。

【0022】

第１懸架部材４１０は、架台２００を設置している設置面Ｓを有する構造物５００のうち設置面Ｓを除く部分５１０と、架台２００と、の間で張られている。具体的には、第１実施形態では、第１懸架部材４１０が取り付けられている第１部分５１０は、構造物５００の設置面Ｓから上方に突出した部分、例えばパラペットの壁部に位置する。第１部分５１０に取り付けられる第１懸架部材４１０の一端部は、構造物５００に取り付け可能であればどのような構成を有していても良い。第１懸架部材４１０の当該一端部は、例えばボルトや螺子のような締結部材を有していてよい。

【0023】

第１懸架部材４１０の、第１部分５１０とは反対側の端部は、架台２００に取り付けられていてよい。第１懸架部材４１０の当該端部は、架台２００に取り付け可能であればどのような構成を有していても良い。第１懸架部材４１０の、架台２００に取り付けられる方の端部は、架台２００に締結可能な締結部材、架台２００に係合可能な係合部材等によって構成されていてよい。締結部材としては、例えばボルトや螺子のような部材が挙げられる。係合部材としては、例えば架台２００を構成する縦材２１０、横材２２０及び／又は支柱２３０に係合可能なフック状の部材が挙げられる。

【0024】

第２懸架部材４２０は、架台２００を設置している設置面Ｓを有する構造物５００のうち設置面Ｓを除く第２部分５２０と、架台２００と、の間で張られている。ここで、第２懸架部材４２０は、架台２００に関して第１懸架部材４１０とは反対側に設けられている。

【0025】

第１実施形態では、第２懸架部材４２０が取り付けられている第２部分５２０は、構造物５００の設置面Ｓから上方に突出した部分、例えばパラペットの壁部に位置する。第２部分５２０に取り付けられる第２懸架部材４２０の一端部は、構造物５００に取り付け可能であればどのような構成を有していても良い。第２懸架部材４２０の当該一端部は、例えばボルトや螺子のような締結部材を有していてよい。

【0026】

第２懸架部材４２０の、第２部分５２０とは反対側の端部は、架台２００に取り付けられていてよい。第２懸架部材４２０の、第２部分５２０とは反対側の端部は、架台２００に取り付け可能であればどのような構成を有していても良い。第２懸架部材４２０の、架台２００に取り付けられる方の端部は、架台２００に締結可能な締結部材、架台２００に係合可能な係合部材等によって構成されていてよい。締結部材としては、例えばボルトや螺子のような部材が挙げられる。係合部材としては、例えば架台２００を構成する縦材２１０、横材２２０及び／又は支柱２３０に係合可能なフック状の部材が挙げられる。

【0027】

第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０は、それぞれ第２方向（図のＸ方向）に並んで複数設けられていてよい。複数の第１懸架部材４１０及び複数の第２懸架部材４２０が１つの架台２００を支持することによって、架台２００をより安定的に支持することができる。

【0028】

前述したように、第２懸架部材４２０は、架台２００に関して第１懸架部材４１０とは反対側に設けられている。したがって、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０が、架台２００を両側から支持する。これにより、架台２００をより安定的に支持することができる。また、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、それぞれの端部において構造物５００や架台２００に取り付け可能である。したがって、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の中間部分を架台に固定する必要はなく、これにより、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の取り付け作業が容易となる。

【0029】

また、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、構造物５００と架台２００との間でかけ渡されていればよい。したがって、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、光電変換モジュール１００の表面上を通らない。これにより、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の影による光電変換効率の低下を防止することができる。

【0030】

第１実施形態では、光電変換モジュール１００の表面は、設置面Ｓに関して傾斜するよう配置されている。また、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに直交する方向から見たときに、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに沿って延びている（図３参照）。言い換えると、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに平行な面内に射影されたときに、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに沿って延びている。本明細書では、設置面Ｓに平行な射影面内で、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０と最大傾斜線の方向Ｍとの間の角度が３０°以下であれば、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに平行な射影面内で、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに沿って延びているものと定義するものとする。

【0031】

光電変換モジュール１００の表面が設置面Ｓに関して傾斜している場合、光電変換モジュール１００の裏側から表側に向かう風圧が光電変換モジュール１００にかかることがある。この場合、光電変換モジュール１００に与えられる風圧により生じる力ベクトルは、設置面Ｓに平行な射影面内では、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに沿った成分を有する。したがって、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０が最大傾斜線の方向Ｍに沿って設けられることで、このような風圧に対する耐性の高い光電変換モジュールの支持構造１０が得られる。

【0032】

また、設置面Ｓに平行な射影面内で、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の少なくとも一方と最大傾斜線の方向Ｍとの間の角度は、例えば０°以上、好ましくは１０°以上であってよい。第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の少なくとも一方と最大傾斜線の方向Ｍとの間に角度を付けることによって、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の少なくとも一方に外力が加わったとしても、取付部５１０，５２０に対して斜め方向に力は働くため、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の引き抜き強度が増す。

【0033】

第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方、好ましくは両方は、架台２００から離れるにつれて設置面Ｓから測定した高さが高くなるよう張られていてよい。図２に示す態様では、第１懸架部材４１０の取付部５１０と第２懸架部材４２０の取付部５２０の両方が、光電変換モジュール１００よりも上方に位置している。この場合、光電変換モジュール１００の設置に際して、設置面Ｓ、例えば構造物の床面よりもなるべく上方に取付部５１０，５２０の取り付けるための加工が行われる。これにより、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の設置時に、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０を設置面Ｓに直接設置する場合と比較すると、構造物の、設置面Ｓよりも下方の部分に振動が伝わり難いため、構造物内の精密機器に与える影響や人に対する不快感を緩和することができる。さらに、設置面Ｓに雨のような水がたまったときであっても、取付部５１０，５２０の水没により取付部５１０，５２０から構造物の内部へ漏水するリスクを軽減するができる。

【0034】

第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方、好ましくは両方は、可撓性のワイヤのような紐状物により構成されていてよい。この場合、紐状物は、例えば不図示のターンバックルのような張力調整機構を有していてよい。これにより、第１懸架部材４１０及び／又は第２懸架部材４２０に働く張力を紐状物ごとに容易に調整することができる。

【0035】

前述した態様の代わりに、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方、好ましくは両方は、弾性部材により構成されていてよい。弾性部材は、例えばゴム部材やばね部材であってよい。この場合、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方、好ましくは両方は、自然長から伸張された状態で、構造物５００と架台２００との間でかけ渡されていてよい。突風のような風圧により突発的に強い外力が光電変換モジュール１００及び架台２００に加えられたとしても、弾性部材により外力を緩和することができる。したがって、突発的な強風により光電変換モジュール１００が転倒したり吹き飛ばされたりことを抑制できる。また、弾性部材は、外力を吸収することによって取付部５１０，５２０に過大な引抜荷重が加わることを抑制し、これにより、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の脱落や引き抜けの防止を図ることができる。

【0036】

前述した態様の代わりに、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方、好ましくは両方は、実質的に鋼体により構成されていてもよい。このような剛体として、例えば鉄骨や鉄棒のような長尺の鋼材等が挙げられる。このような剛体は、外力が加えられても実質的に曲がらない。したがって、このような部材により構成される第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、破壊されない限り、光電変換モジュール１００の架台２００を移動させることなく強固に支えることができる。

【0037】

第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方が、実質的に鋼体により構成されていている場合、前述したように、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方は、架台２００から離れるにつれて設置面Ｓから測定した高さが高くなるよう張られていてよい（図２参照）。この場合、光電変換モジュール１００に加えられた負圧は、光電変換モジュール１００を浮き上がらせる方向にかかる。この負圧の方向は、第１懸架部材４１０及び／又は第２懸架部材４２０を縮める方向の成分を有するが、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０としての剛体の耐久性は当該方向に対して比較的高い。よって、より耐久性の高い光電変換モジュール１００の支持構造を提供できる。

【0038】

好ましくは、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０は、第２方向（図のＸ方向）に並んで複数設けられており、第２方向に並んだ第１懸架部材４１０の数、及び第２方向に並んだ第２懸架部材４２０の数は、第２方向に並んだ光電変換モジュールの数以下である。図１～図３に示す態様では、第２方向に並んだ第１懸架部材４１０の数、及び第２方向に並んだ第２懸架部材４２０の数は、第２方向に並んだ光電変換モジュールの数と同数である。第１懸架部材４１０の数及び第２懸架部材４２０の数は、例えば２つであってよい。このように複数の光電変換モジュール１００を支持可能な架台２００を使用することにより、１つの光電変換モジュール１００あたりに使用される第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の数を削減することができる。

【0039】

同様に、架台２００は、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０との間に配置された少なくとも２つの光電変換モジュール１００を支持可能に構成されていることが好ましい。図１～図３に示す態様では、架台２００は、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０との間に配置された２つの光電変換モジュール１００を支持可能に構成されている。これにより、１つの光電変換モジュール１００あたりに使用される第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の数を削減することができる。

【0040】

［第２実施形態］
次に、第２実施形態に係る光電変換モジュールの支持構造について、図４を参照して説明する。図４は、第２実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【0041】

第２実施形態において、第１実施形態と同様の構成については同じ符号が付されていることに留意されたい。第１実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがあることに留意されたい。

【0042】

第２実施形態では、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０と構造物５００との取付部５１０，５２０の位置（高さ）が、第１実施形態と異なっている。第２実施形態において、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の、設置面Ｓに対して成す角度は、例えば３０°以下、好ましくは２０°以下であってよい。また、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに関して略平行に張られていてもよい。

【0043】

第２実施形態では、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに関して小さい角度で張られている。この場合、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は設置面Ｓに関して概ね平行な方向に架台２００を引っ張って支持できる。これにより、風による負圧が生じても、架台２００が上方へ持ち上げられ難いというメリットが得られる。

【0044】

第２実施形態において、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０が例えば可撓性のワイヤや弾性部材によって構成されていれば、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は設置面Ｓに関して略平行な方向に架台２００を引っ張って支持し易い。また、風圧荷重が光電変換モジュールに印加した際、可撓性のワイヤや弾性部材は当該荷重を吸収することによって取付部５１０，５２０に過大な引抜荷重が加わることを抑制する。これにより、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の脱落や引き抜けの防止を図ることができる。

【0045】

第２実施形態では、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の両方が設置面Ｓに関して略平行に張られている。この代わりに、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方が設置面Ｓに関して略平行に張られていてもよい。

【0046】

［第３実施形態］
次に、第３実施形態に係る光電変換モジュールの支持構造について、図５を参照して説明する。図５は、第３実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【0047】

第３実施形態において、第１実施形態及び／又は第２実施形態と同様の構成については同じ符号が付されていることに留意されたい。第１実施形態及び／又は第２実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがあることに留意されたい。

【0048】

第３実施形態では、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓを有する構造物５００自体に直接は取り付けられておらず、構造物５００に備わっている付帯物に取り付けられている。このような付帯物は、例えば構造物に取り付けられた丸環、フェンス、土台及び配管等であってよい。この場合、光電変換モジュール１００及び架台２００の設置個所をより柔軟に決定することができる。

【0049】

第３実施形態では、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の両方が、設置面Ｓを有する構造物５００の付帯物と、架台２００と、の間で張られている。この代わりに、第１懸架部材４１０と第２懸架部材４２０の少なくとも一方が、架台２００を設置している設置面Ｓを有する構造物５００の付帯物と、架台２００と、の間で張られていてもよい。

【0050】

［第４実施形態］
次に、第４実施形態に係る光電変換モジュールの支持構造について、図６及び図７を参照して説明する。図６は、第４実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。図７は、設置面Ｓに直交する方向から見た第４実施形態における光電変換モジュールの支持構造の模式的平面図である。

【0051】

第４実施形態において、第１実施形態から第３実施形態と同様の構成については同じ符号が付されていることに留意されたい。第１実施形態から第３実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがあることに留意されたい。

【0052】

第４実施形態では、光電変換モジュール１００の表面は、設置面Ｓに関して傾斜するよう配置されている。また、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに直交する方向から見たときに、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに交差、例えば直交する方向Ｏに沿って延びている（図７参照）。言い換えると、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに平行な面内で、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに直交する方向Ｏに沿って延びている。本明細書では、設置面Ｓに平行な射影面内で、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０と最大傾斜線の方向Ｍに直交する方向Ｏとの間の角度が３０°以内の角度であれば、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに平行な射影面内で、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに直交する方向に沿って延びているものと定義する。

【0053】

例えば、図７のＹ方向（最大傾斜線の方向Ｍ）の両側に作業用の通路を確保する必要がある場合、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０が当該作業用の通路の邪魔にならないよう、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに直交する方向から見たときに、図７に示すように、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに交差、例えば直交する方向Ｏに沿って延びていることが好ましい。また、図のＸ方向において光電変換モジュールから、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０を取り付け可能な構造物又は付帯物までの距離が長い場合、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０を撓みなく張ることが難しいことがあり、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０の数も過剰に増えてしまうことがある。このような場合、第１懸架部材４１０及び第２懸架部材４２０は、設置面Ｓに直交する方向から見たときに、図７に示すように、光電変換モジュール１００の表面の最大傾斜線の方向Ｍに交差、例えば直交する方向Ｏに沿って延びていることが好ましい。

【0054】

上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。

【符号の説明】

【0055】

１０ 光電変換モジュールの支持構造
１００ 光電変換モジュール
２００ 架台
４１０ 第１懸架部材
４２０ 第２懸架部材
５００ 構造物
Ｓ 設置面

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】