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特開2023-66116被操縦体の走行管理システム及び受信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066116
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】被操縦体の走行管理システム及び受信装置
(51)【国際特許分類】
   A63H 17/26 20060101AFI20230508BHJP
   A63H 30/02 20060101ALI20230508BHJP
   A63H 30/04 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
A63H17/26 Z
A63H30/02 C
A63H30/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176636
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】北澤 秀郎
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA08
2C150DA06
2C150DG23
2C150EF16
2C150EF33
2C150EF34
2C150EF36
(57)【要約】
【課題】送信装置からの光信号を模型自動車1の受信装置で受信して走行データを生成するシステムにおいて、光信号の受信に対する外光の影響を最小化する。
【解決手段】本システムは、コースCの近傍に設置されて光信号を送信する送信装置2と、模型自動車に搭載され、受光部7に管状の遮光部材8が取り付けられた受信装置3と、制御手段4を備える。送信装置からの光信号は、遮光部材に覆われた受光部に入射できるが、太陽光等の外光は遮光部材により遮られて受光部に届かないため、受信装置は外光の影響を受けることなく正常に作動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコースを走行する被操縦体の走行に関するデータを生成する走行管理システムであって、
前記コースの近傍に設置されて被操縦体の走行方向と交差する方向に光信号を送信する送信装置と、
前記被操縦体に搭載されて前記送信装置からの光信号を受光部によって受信する受信装置と、
前記被操縦体に搭載されて前記受信装置が受信した光信号に基づいて前記被操縦体の走行に関するデータを生成する制御手段と、
前記送信装置からの光信号を前記受光部に導くために前記受信装置に取り付けられた管状の遮光部材と、
を備えたことを特徴とする被操縦体の走行管理システム。
【請求項2】
前記送信装置の近傍を走行する前記被操縦体における前記遮光部材の軸方向が、前記送信装置が光信号を送信する方向と一致するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載された被操縦体の走行管理システム。
【請求項3】
前記被操縦体が模型自動車であり、前記遮光部材の先端の開口部を、前記模型自動車の側面に設けた透光部の内面に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載された被操縦体の走行管理システム。
【請求項4】
前記遮光部材は、前記受信装置に対して着脱自在であり、軸方向の長さが異なる複数種類の中から使用状況下における外光の影響に応じて選択されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載された被操縦体の走行管理システム。
【請求項5】
所定のコースを走行する被操縦体の走行に関するデータを生成するために前記操縦体に登載され、前記コースの近傍に設置された送信装置から送信される光信号を受信する受信装置であって、
前記送信装置からの光信号を受信する受光部と、
前記送信装置からの光信号を前記受光部に導くために取り付けられた管状の遮光部材と、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項6】
前記遮光部材は、前記受信装置に対して着脱自在であり、軸方向の長さが異なる複数種類の中から使用状況下における外光の影響に応じて選択されたことを特徴とする請求項5に記載された受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のコースを走行する被操縦体に送信装置から光信号を送信して被操縦体の走行に関するデータを生成する被操縦体の走行管理システムと、被操縦体に登載して送信装置からの光信号を受信する受信装置に係り、特に、所定のコースを走行する被操縦体の走行データの管理を外光の影響を受けることなく確実に行うことができる走行管理システム及び受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には移動装置検知システムの発明が開示されている。この移動装置検知システムは、コース(121)上に設定された所定のトラック(122-1~122-n)上を移動する移動装置(112-1~112-n)と、所定のコース(121)上に設けられ、移動装置(112-1~112-n)が通過したことを検出する通過検出装置(111)とを有している。移動装置(112-1~112-n)には、移動装置(112-1~112-n)を個別に識別する識別情報に応じた識別手段(311)が設けられており、これを通過検出装置(111)によって検出することにより、移動装置(112-1~112-n)の通過及び識別情報を検知することができる。移動装置(112-1~112-n)に設けられる識別手段(311)の一例としては所定パターンの凸部が挙げられ、またこれを検出する通過検出装置(111)の検出部分の一例としてはコース(121)に設けられたスイッチ手段が挙げられている。通過検出装置(111)の制御部(212)は、移動装置(112-1~112-n)の通過を検出した結果からラップタイム等を算出し、コース(121)の側にある通過検出装置(111)の本体に設けられた表示部(214)で表示する。この発明によれば、簡易かつ正確に移動装置の通過時間を測定することができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006―198166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された移動装置検知システムの発明によれば、コースに沿って移動する移動装置をコース上の所定位置で検出し、前記所定位置の近傍に設置した通過検出装置によって当該移動装置のラップタイム等を算出して表示している。このため、コース近傍に設置された通過検出装置から離れた場所で移動装置を遠隔的に操縦している操縦者は、自分が操縦している移動体のラップタイム等を操縦中に知りたい場合には、手元のコントローラや移動装置から目を離して遠くの通過検出装置に設けられた表示部を見なければならないため、ラップタイム等を参考にしながら操縦を行うことが容易でないという問題があった。
【0005】
本願出願人は、前記特許文献1に開示された発明の課題を解決するため、新規なラジコン操縦システムを提案した。このラジコン操縦システムは、操縦装置と、コース脇に置かれて信号を送信する送信装置と、上述した特許文献1の移動装置に相当するラジコンカーに搭載されて送信装置からの信号を受信して時間データを算出する制御部と、ラジコンカーの操縦装置に登載されてラジコンカーから送られた時間データを操縦者に対して音声で報知する報知手段を有している。
【0006】
上述した本願出願人の提案したラジコン操縦システムによれば、走行中のラジコンカーの時間データを操縦装置による報知によって操縦者が容易に知ることができるため、上記特許文献1に開示された移動装置検知システムの課題は解決された。しかしながら、送信装置が送信する信号が赤外線等の光信号である場合、外光、特に屋外の場合は太陽光の影響を受けて信号の送受信が正常に行われない可能性が考えられる。
【0007】
本発明は、従来の技術の課題を解決する本願出願人の発明をさらに改良するものであって、コースの側にある送信装置から光信号を送信し、コースを走行する被操縦体の受信装置で受信して走行に関するデータを生成する被操縦体の走行管理システムと、同システムに用いられる受信装置において、光信号の受信に対する外光の影響を最小化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された被操縦体の走行管理システムは、
所定のコースを走行する被操縦体の走行に関するデータを生成する走行管理システムであって、
前記コースの近傍に設置されて被操縦体の走行方向と交差する方向に光信号を送信する送信装置と、
前記被操縦体に搭載されて前記送信装置からの光信号を受光部によって受信する受信装置と、
前記被操縦体に搭載されて前記受信装置が受信した光信号に基づいて前記被操縦体の走行に関するデータを生成する制御手段と、
前記送信装置からの光信号を前記受光部に導くために前記受信装置に取り付けられた管状の遮光部材と、
を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載された被操縦体の走行管理システムは、請求項1に記載された被操縦体の走行管理システムにおいて、
前記送信装置の近傍を走行する前記被操縦体における前記遮光部材の軸方向が、前記送信装置が光信号を送信する方向と一致するように設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載された被操縦体の走行管理システムは、請求項1又は2に記載された被操縦体の走行管理システムにおいて、
前記被操縦体が模型自動車であり、前記遮光部材の先端の開口部を、前記模型自動車の側面に設けた透光部の内面に配置したことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載された被操縦体の走行管理システムは、請求項1乃至3の何れか一つに記載された被操縦体の走行管理システムにおいて、
前記遮光部材は、前記受信装置に対して着脱自在であり、軸方向の長さが異なる複数種類の中から使用状況下における外光の影響に応じて選択されたことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載された受信装置は、
所定のコースを走行する被操縦体の走行に関するデータを生成するために前記操縦体に登載され、前記コースの近傍に設置された送信装置から送信される光信号を受信する受信装置であって、
前記送信装置からの光信号を受信する受光部と、
前記送信装置からの光信号を前記受光部に導くために取り付けられた管状の遮光部材と、
を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載された受信装置は、請求項5に記載された受信装置において、
前記遮光部材は、前記受信装置に対して着脱自在であり、軸方向の長さが異なる複数種類の中から使用状況下における外光の影響に応じて選択されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された被操縦体の走行管理システムによれば、送信装置から送られる光信号は、遮光部材に覆われた受光部に入射できるが、太陽光等の外光は遮光部材により遮られて受光部に届かないか、少なくとも減じられるため、受信装置の受光部は、外光の影響を実質的に受けることなく正常に作動する。このため、制御手段は、受信装置が受信した光信号に基づいて被操縦体の走行に関するデータを正常に生成することができる。
【0015】
請求項2に記載された被操縦体の走行管理システムによれば、被操縦体が送信装置の近傍を走行して受信装置が光信号を受信する際には、送信装置が光信号を送信する方向と遮光部材の軸方向が一致するため、受信装置に対する外光の影響を排除すると同時に、送信装置からの光信号を受信装置の受信部で確実に受信することができる。
【0016】
請求項3に記載された被操縦体の走行管理システムによれば、模型自動車が送信装置の近傍を走行する際には、模型自動車の側面に開口部を向けた遮光部材の軸方向と、送信装置が光信号を送信する方向とが実質的に一致するため、送信装置からの光信号を受光部で確実に受信することができる。仮に受信装置を模型自動車の外側に取り付ける等の構成を採用すると、模型自動車としての外観を損なうことになるが、遮光部材の先端の開口部を模型自動車の側面に設けた窓部等の透光部の内面に配置した構成としたので、模型自動車としての外観を損なうことなく、外光の影響の排除機能と光信号の受信機能を確実に発揮できる最適の配置乃至態様で、遮光部材を備えた受信装置を模型自動車に登載することができる。
【0017】
請求項4に記載された被操縦体の走行管理システムによれば、使用状況下における外光の影響の程度に応じて遮光部材を選択することにより、外光の影響の排除機能を担保しつつ、光信号を確実に受信することができる。
【0018】
請求項5に記載された受信装置によれば、送信装置から送られる光信号は、遮光部材に覆われた受光部に入射できるが、太陽光等の外光は遮光部材により遮られて受光部に届かないか、少なくとも減じられるため、受信装置の受光部は外光の影響を実質的に受けることなく、正常に作動する。このため、制御手段は、受信装置が受信した光信号に基づいて被操縦体の走行に関するデータを正常に生成することができる。
【0019】
請求項6に記載された受信装置によれば、使用状況下における外光の影響の程度に応じて遮光部材を選択することにより、外光の影響の排除機能を担保しつつ、光信号を確実に受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態である模型自動車の走行管理システムの構成を示すとともに、送信装置及び送信装置から放射された光信号の照射範囲と、受信手段を搭載して当該照射範囲内を横切る模型自動車との位置関係を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態である模型自動車の走行管理システムが有する受信装置を示す斜視図であって、分図(a)は遮光部材が取り付けられた状態を示し、分図(b)は遮光部材が外された状態を示している。
図3】本発明の一実施形態である模型自動車の走行管理システムにおいて、遮光部材が取り付けられた受信装置を示す正面図である。
図4図2のA-A切断線における断面図である。
図5図4のB-B切断線における断面図であって、受信装置に対して遮光部材を着脱する際の操作を説明する図である。分図(a)は受信装置に対して遮光部材を挿着したが固定していない状態を示し、分図(b)は受信装置に挿着した遮光部材を回転させて固定した状態を示している。
図6】本発明の第2実施形態を示す斜視図であって、分図(a)は遮光部材が取り付けられた状態を示し、分図(b)は遮光部材が外された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図5を参照して、被操縦体の走行管理システムの第1実施形態について説明する。
この走行管理システムは、操縦者が手に持って操作する操縦装置により、被操縦体である模型自動車を操縦するラジコン操縦システムに含まれるシステム、又はラジコン操縦システムに付加されるシステムであって、ラジコン操縦システムに対して模型自動車の操縦以外の走行に関する管理機能を付加するものである。走行に関する管理機能としては、例えば模型自動車が所定のコースを走行する場合に、コースを1周するのに要したラップタイムの他、区間タイム、スプリットタイムのような時間データを計測、算出してユーザーの使用に供する機能が挙げられる。この他、時間データ以外の走行に関するデータを生成するための機能でもよく、例えばコース中の特定の地点を模型自動車が通過したことを検出するセンシング機能や、コースを周回した回数を数えるカウンタ機能でもよく、その管理内容には特に限定はない。
【0022】
図1に示す第1実施形態の走行管理システムは、所定のコースCを走行する模型自動車1のラップタイムを計測又は算出する走行管理システムであって、コースCの近傍に設置されて模型自動車1の走行方向(図1において紙面垂直方向)と交差する方向(紙面に平行な左右方向)に光信号を送信する送信装置2と、模型自動車1に搭載されて送信装置2からの光信号を受信する受信装置3と、模型自動車1に搭載されて受信装置3が受信した光信号に基づいて模型自動車1のラップタイムを生成する制御手段4を有している。送信装置2が送信する光信号には、当該送信装置2を識別するための識別情報が含まれており、波長域としては赤外線が使用できるが、他の波長の電磁波であってもよい。なお、送信装置2が送信する光信号に含まれる識別情報とは、これを受信した模型自動車1の受信装置3が、模型自動車1の走行に関するデータである時間データを計測するために特定の送信装置2が送信している信号であることを識別できる信号であるとの意味である。そのために、識別信号の周波数を予め定めておくか、所定の周波数で発せられるパルスとパルスの間に当該送信装置2を特定する特別なID情報を載せた識別信号を使用することとすればよい。このようにすれば、同一のコースCにおいて、複数の模型自動車1と、複数のラジコン操縦システムを同時に使用する場合であっても、各システムに属する模型自動車1は、自らが属するシステムの識別信号のみを受信して時間データを生成するので、混乱が生じることはない。
【0023】
斜視図である図2及び正面図である図3から分かるように、受信装置3は、正面から見て略正方形であり、奥行きが正方形の辺長よりも短い薄型の筐体5を本体としている。筐体5のサイズは、正面の縦横が2cm程度、奥行き(厚さ)が0.5cm程度であるが、特にサイズを限定するものではない。図2(b)に示すように、筐体5の正面の上側中央には、円形の貫通孔6が設けられており、筐体5の内部に設けられた受光部7の一部が貫通孔6から外部に突出している。図2(a)及び(b)に示すように、受光部7の一部が突出している貫通孔6には、管状の遮光部材8が着脱自在に取り付けられており、貫通孔6から外部に突出した受光部7を、その先端を除いて覆っている。遮光部材8のサイズは、内径が0.5cm程度、軸方向の長さが0.4cm程度であるが、これも特にサイズを限定するものではない。また、図2及び図3に示すように、受信装置3の筐体5には、一対の取り付けフランジ9,9が設けられており、模型自動車1に取り付ける際には取り付けフランジ9のボルト孔に挿通した取り付けボルトを車体側にねじ込んで受信装置3を車体に固定することができる。なお、遮光部材8の構造と、筐体5に対する遮光部材8の取り付け構造の詳細については後に説明する。
【0024】
図3のA-A切断線における断面図である図4に示すように、筐体5の内部には回路基板10が設けられている。前述した受光部7は、この回路基板10の前面側に実装されており、その一部分を筐体5の貫通孔6から外方に突出させている。さらに、この回路基板10の前面側には、受光部7の下方の位置に、正面から見て横方向に略等間隔で3個のLED素子11が実装されている。これらのLED素子11は、走行管理システムまたは受信装置3が作動状態にあるか、又は停止状態にあるか、といった装置の状態を、連続点灯又は点滅等によって示すための状態表示手段である。一方、図2図5に示すように、筐体5の前面にはLED素子11と対応する位置に合計3つの透孔12が設けられており、各LED素子11による受信装置3の状態表示が外側から確認できるようになっている。
【0025】
次に、遮光部材8について説明する。
図2(b)に示すように、遮光部材8は、筐体5に取り付けると大部分が筐体5内に隠れる取り付け部8aと、取り付け部8aと一体となるように筐体5とは反対側に設けられ、筐体5に取り付けると筐体5の外に配置される遮光部8bとを有している。
【0026】
図2図3に示すように、遮光部8bの外周面には、母線方向に平行な多数の溝13が形成されており、ユーザーが遮光部材8を持って筐体5に対して着脱する際の滑り止めとなっている。なお、滑り止めとしては、周方向に平行な溝でもよいし、指に対する摩擦が大きくなるような梨子地状を含む種々の形状・パターンの凹凸であってもよい。このような滑り止めの構造を設けることにより、筐体5に対する遮光部材8の取り付け作業が行い易くなり、また比較的小さい部品である遮光部材8を摘み損ね、落として紛失する恐れが小さくなる。
【0027】
また、図示はしないが、遮光部材8の内周面のうち、少なくとも受光部7との間に隙間が生じている部分には、メッキ等の手法により光の反射層が形成されている。なお、反射層をメッキで形成する場合には、遮光部材8をABS樹脂で構成すると安定したメッキ層を形成することができる。図2(a)及び図4に示すように、第1実施形態の遮光部材8の軸方向の長さは、筐体5から突出している受光部7の長さと同程度である。また特に図4に示すように、遮光部材8の開口部の内面にはテーパ面14が設けられており、テーパ面14と受光部7の間には隙間がある。従って、第1実施形態の反射層は、少なくとも遮光部材8の開口部のテーパ面14に設けることとしてもよい。この反射層により、遮光部材8の開口部からテーパ面14へと進入した光信号は、反射層がない場合に較べて受光部7に届き易くなる。また、模型自動車1を操縦する場合、受光部7には外光(特に屋外の場合は太陽光)が入射する恐れがあるが、受光部7は遮光部材8で覆われているため、これがない場合に較べれば外光は入射しにくくなり、受信装置3の作動は正常に行われる。なお、受信装置3の作動時には、筐体5の前面に設けられた透孔12から、LED素子11の光が状態表示のために照射されることとなるが、仮に遮光部材8を設けない場合に、この光が受光部7に届く可能性があったとしても、第1実施形態ではLED素子11からの光は遮光部材8によって遮られるので受光部7には届かず、受信装置3に異状な動作が発生する恐れはない。
【0028】
図2(b)と、図4のB-B切断線における断面図である図5に示すように、取り付け部8aの外周面には、周方向について180度の間隔をおいて、2個の第1係止突起15が設けられている。また、遮光部8bの外周面には、周方向について180度の間隔をおいて、かつ第1係止突起15とは周方向について30度の間隔をおいて、2個の第2係止突起16が設けられている。一方、図2(b)に示すように、筐体5の貫通孔6の周縁には、周方向について180度の間隔をおいて、2個の第1係止突起15が挿入される2個の角孔状の挿入部17が形成されている。この挿入部17は、図5(a)においては第1係止突起15の背面側にあり、また図5(b)においては第2係止突起16の背面側にあって、筐体5の前面の裏側に形成された図5に示す2個の周溝18にそれぞれ連続している。従って、図5(a)に示すように、第1係止突起15を挿入部17(図2(b)参照)に挿入し、遮光部材8の遮光部8bを指で摘んで必要な方向に30度ほど回転させれば、図5(b)に示すように第1係止突起15は周溝18内に入って筐体5に対して係止され、遮光部材8は筐体5に確実に取り付けられる。また図2(a)に示すように、挿入部17は第2係止突起16によって塞がれる。
【0029】
前述したように、第1実施形態の走行管理システムは模型自動車1のラップタイムを計測するものであり、模型自動車1は走行に伴って塵埃を巻き上げ、また擦れて生じたタイヤの細かい破片が飛散し、さらに模型自動車1がエンジンカーである場合には、これらの異物に排気ガス中の油煙が絡まった物質が模型自動車1の内外に付着する。受信装置3は、模型自動車1の内部に設けられているとはいえ、このような汚れから完全に逃れられるものではなく、遮光部材8の内周面にも汚れは付着する。しかしながら、遮光部材8は筐体5に対してワンタッチの簡単な操作で着脱自在であるため、遮光部材8を筐体5から外して内周面を掃除することは容易であるし、また汚れが蓄積した時期を見計らって予備の遮光部材8に交換することもできる。
【0030】
次に、模型自動車1に対する受信装置3の取り付け態様について説明する。
図1に示すように、送信装置2は、所定のコースCを走行する模型自動車1の進行方向と平行な視線で見た場合、模型自動車1に向けて広がる扇形の放射領域Aに識別情報を含む光信号を放射することができる。この放射領域Aは、模型自動車1の付近における高さが模型自動車1の車高を十分に上回るほどの縦長の形状である。もっとも、模型自動車1の上方に示す三角形状の領域Bでは、遠方に進むほど拡散して強度が弱まる赤外線の性質のため、光信号の強度が弱くなる。従って、仮に受信装置3を模型自動車1の屋根上に配置する等、この領域B内に受信装置3が配置されるものとすれば、車高や受信装置3の高さによっては、光信号が受信できない可能性がある。しかしながら、前記放射領域Aの範囲内において、特に、模型自動車1の右側面(図1において左側の側面)には光信号が十分な強度で確実に到達している。従って、受信装置3が、少なくとも車体の右側面側に設けられていれば、光信号を確実に受信することができる。
【0031】
図1に示すように、受信装置3は、前述した放射領域A内にある模型自動車1の内部に設けられている。さらに受信装置3は、遮光部材8の先端の開口部が、模型自動車1の右側面にある透光部としての窓部20の内面に突き当てられるように配置され、前述した取り付けフランジ9を用いて車内のフレーム(図示せず)に固定されている。なお、受信装置3の固定構造は任意であり、詳細な説明は省略する。
【0032】
上述した通り、受信装置3は、遮光部材8の先端の開口部が模型自動車1の右側面にある窓部20に向けられているため、図1に示すように、模型自動車1が送信装置2の近傍を通過する際には、受信装置3の遮光部材8の向き(軸方向)は、コースC側の送信装置2が光信号を送信する方向と実質的に一致している。従って、受信装置3の受光部7は、模型自動車1が送信装置2の側を通過する際、光信号を確実に受信することができる。なお、遮光部材8の軸方向が送信装置2による光信号の送信方向と実質的に一致するとは、両方向が完全に一致することのみを意味するものではなく、両方向の相違が角度にして数度以内であれば光信号の受信は可能であるため、その許容される角度範囲内で一致していればよいことを意味する。
【0033】
なお、前述したように、遮光部材8の内面に光の反射層を形成しておけば、前記両方向の許容される角度範囲をより大きくとることができる。さらに、第1実施形態の遮光部材8は実質的に直円筒形であるが、上底と下底を開放した中空の円錐台形(ホーン形状またはラッパ形状)とし、相対的に大径の下底を送信装置2に向けるようにすれば、前記両方向の許容される角度範囲を、さらに大きくとることができる。模型自動車1を走行させる場合、コースCの側に雑草等が繁っていると、送信された光信号が雑草等に乱反射されて受信装置3が正常に作動しない場合がある。このような場合には、遮光部材8の内面に光の反射層を形成し、さらに遮光部材8を中空円錐台形とすることは、光信号の正常な受信にとって特に有利である。
【0034】
なお、第1実施形態によれば、受信装置3は模型自動車1の内部に設けられているので、受信装置3を模型自動車1の外側に取り付けた場合に較べ、ホビーの対象でありデザイン性が重視される模型自動車1の外観を損なうことがないという利点がある。
【0035】
次に、図6を参照して、被操縦体の走行管理システムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、遮光部材の軸方向のサイズが異なるだけで、他は第1実施形態と同一である。図6に示すように、第2実施形態の遮光部材28は軸方向に長く、サイズ例としては、筐体5のサイズが第1実施形態で説明した数値である場合、軸方向の長さが2cm程度、内径が0.5cm程度である。
【0036】
第1実施形態のように短い遮光部材8を用いるか、第2実施形態のように長い遮光部材28を用いるか、あるいは両者の中間の長さの遮光部材を用いるかは、模型自動車1を走行させる状況下での外光の向き、コースCの形状(すなわち模型自動車1の進行方向)等を考慮して送信装置2の近傍を模型自動車1が通過する際に外光が受信装置3に与える影響を判断し、その影響が最も少なくなるような長さの遮光部材を選択すればよい。軸方向の長さが異なる複数種類の遮光部材を予め用意しておけば、あらゆる使用状況に適した遮光性能を受信装置3に付与することができる。
【0037】
以上説明した実施形態では、被操縦体として模型自動車1を例示したが、本発明の適用対象となる被操縦体には、模型自動車に限らず、所定のコースを移動する模型船舶、模型列車その他のあらゆる移動体が含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1…被操縦体としての模型自動車
2…送信装置
3…受信装置
4…制御装置
7…受光部
8,28…遮光部材
14…遮光部材の先端の開口部に設けられたテーパ面
20…模型自動車の側面に設けられた透光部としての窓部
C…コース
図1
図2
図3
図4
図5
図6