(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006612
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
A01C11/02 302C
A01C11/02 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109310
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八尾 勇太
(72)【発明者】
【氏名】八木澤 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 輝明
(72)【発明者】
【氏名】大坪 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 慈郎
【テーマコード(参考)】
2B060
【Fターム(参考)】
2B060AA08
2B060AC01
2B060AE01
2B060BA03
2B060BA04
2B060BA09
2B060BB05
2B060CA12
2B060CA13
2B060CB05
2B060CC05
2B060CC13
2B060DA02
2B060DA05
2B060EA06
2B060EA08
(57)【要約】
【課題】植付面の高さ変化に応じて機体の高さや姿勢を適切に変更できる移植機を提供すること。
【解決手段】機体と、機体を走行可能に支持する車輪と、機体に設けられ圃場に苗を植え付ける移植部と、機体に設けられ圃場の植付面の起伏に追従して上下動する接地輪と、機体の植付面からの高さを一定に維持するように車輪に対する機体の高さを変動させる昇降機構と、機体の左部と右部の植付面からの高さの差を減少させるように機体を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動機構と、を含む機体制御機構と、を備え、接地輪は、機体の左部に設けられた第1接地輪と、機体の右部に設けられた第2接地輪とを含み、機体制御機構は、第1接地輪の高さの変動量である第1変動量と第2接地輪の高さの変動量である第2変動量とに基づいて、昇降機構と揺動機構の両方が作動する連動状態と、昇降機構と揺動機構のいずれか一方が作動する非連動状態とを切り替える。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体を走行可能に支持する車輪と、
前記機体に設けられて圃場に苗を植え付ける移植部と、
前記機体に設けられて圃場の植付面の起伏に追従して上下動する接地輪と、
前記機体の植付面からの高さを一定に維持するように前記車輪に対する前記機体の高さを変動させる昇降機構と、前記機体の左部と右部の植付面からの高さの差を減少させるように前記機体を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動機構と、を含む機体制御機構と、
を備え、
前記接地輪は、前記機体の左部に設けられた第1接地輪と、前記機体の右部に設けられた第2接地輪とを含み、
前記機体制御機構は、前記第1接地輪の高さの変動量である第1変動量と前記第2接地輪の高さの変動量である第2変動量とに基づいて、前記昇降機構と前記揺動機構の両方が作動する連動状態と、前記昇降機構と前記揺動機構のいずれか一方が作動する非連動状態とを切り替える移植機。
【請求項2】
前記非連動状態は、前記昇降機構のみが作動する第1非連動状態と、前記揺動機構のみが作動する第2非連動状態とを含み、
前記機体制御機構は、前記第1変動量と前記第2変動量とに基づいて、前記第1非連動状態と前記第2非連動状態とを切り替える請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記機体制御機構は、前記第1変動量と前記第2変動量との差が無く且つ前記第1変動量と前記第2変動量との平均値が所定量以上であるとき、前記第1非連動状態に切り替える請求項2に記載の移植機。
【請求項4】
前記機体制御機構は、前記第1変動量と前記第2変動量とに差があり且つ前記第1変動量と前記第2変動量との平均値が所定量未満であるとき、前記第2非連動状態に切り替える請求項2又は3に記載の移植機。
【請求項5】
前記機体制御機構は、前記第1変動量と前記第2変動量とに差があり且つ前記第1変動量と前記第2変動量との平均値が所定量以上であるとき、前記連動状態に切り替える請求項2~4のいずれか1項に記載の移植機。
【請求項6】
前記揺動機構は、
伸縮駆動によって前記機体を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動シリンダと、
上下方向に延びる支点軸と、
前記支点軸の左側に配置されて前記第1変動量に基づいて前後方向に移動する第1移動部材と、
前記支点軸の右側に配置されて前記第2変動量に基づいて前後方向に移動する第2移動部材と、
左右方向に延びて前記第1移動部材と前記第2移動部材とを連結し、前記第1移動部材の移動量である第1移動量と前記第2移動部材の移動量である第2移動量との差に基づいて前記支点軸回りに揺動する連結部材と、
前記連結部材と前記揺動シリンダとを連動可能に接続し、前記第1移動量と前記第2移動量との差が所定量以上となったときに前記揺動シリンダを駆動する揺動シリンダ駆動機構と、
を有している請求項1~5のいずれか1項に記載の移植機。
【請求項7】
前記昇降機構は、
伸縮駆動によって前記機体の高さを変動させる昇降シリンダと、
前記支点軸と、
前記第1移動部材と、
前記第2移動部材と、
前記連結部材と、
前記連結部材と前記昇降シリンダとを連動可能に接続する昇降シリンダ駆動機構と、
左右方向に延びる横軸と、
を備え、
前記支点軸は、前記第1移動量と前記第2移動量との平均値に基づいて前記横軸を支点として傾動し、
前記昇降シリンダ駆動機構は、前記支点軸の傾動量が一定値以上となったときに前記昇降シリンダを駆動する請求項6に記載の移植機。
【請求項8】
前記揺動シリンダ駆動機構は、
前記揺動シリンダを伸長させる第1方向と短縮させる第2方向とに揺動可能なレバーと、
左右方向に延びる横軸と、
前記連結部材の左部に接続されて前記第1移動量に基づいて前記横軸回りに回動する第1回動部材と、
前記連結部材の右部に接続されて前記第2移動量に基づいて前記横軸回りに回動する第2回動部材と、
前記第1回動部材と接続されて前記第1回動部材の回動量に基づいて移動する第1ワイヤと、
前記第2回動部材と接続されて前記第2回動部材の回動量に基づいて移動する第2ワイヤと、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの移動と前記レバーの揺動とを連動させる第1連動機構と、
を備え、
前記第1連動機構は、前記第1ワイヤの移動量が前記第2ワイヤの移動量よりも大きいときは前記レバーを前記第1方向に揺動し、前記第2ワイヤの移動量が前記第1ワイヤの移動量よりも大きいときは前記レバーを前記第2方向に揺動し、前記第1ワイヤの移動量と前記第2ワイヤの移動量とが同じときは前記レバーを揺動させない請求項6に記載の移植機。
【請求項9】
前記昇降シリンダ駆動機構は、
前記昇降シリンダを伸長させる第1方向と短縮させる第2方向とに回動可能な回動体と、
前記連結部材の左部に接続されて前記第1移動量に基づいて前記横軸回りに回動する第1回動部材と、
前記連結部材の右部に接続されて前記第2移動量に基づいて前記横軸回りに回動する第2回動部材と、
前記第1回動部材及び前記第2回動部材の回動と連動させて前記回動体を回動させる第2連動機構と、
を備え、
前記第2連動機構は、前記第1回動部材の回動量と前記第2回動部材の回動量の平均値に基づいて前記回動体を回動させる請求項7に記載の移植機。
【請求項10】
前記レバーを手動で揺動する手動モードと、前記レバーを自動で揺動させる自動モードとを切り替える切り替え機構を備え、
前記切り替え機構は、前記自動モードにおいて前記第1連動機構による前記レバーの揺
動を許容し、前記手動モードにおいて前記第1連動機構による前記レバーの揺動を許容しない請求項8に記載の移植機。
【請求項11】
前記接地輪の基準高さを設定する設定レバーを備え、
前記設定レバーは、揺動によって前記基準高さを変更可能であり、
前記第1移動部材と前記第2移動部材は、前記設定レバーを揺動したとき同じ距離だけ移動する請求項6~10のいずれか1項に記載の移植機。
【請求項12】
前記機体に固定され且つ機体幅方向に延びる固定軸と、
前記固定軸に対して揺動可能であり且つ機体幅方向に延びる可動軸と、
を備え、
前記可動軸は、前記第1接地輪と連動可能に接続された第1可動軸と、前記第2接地輪と連動可能に接続された第2可動軸と、を含み、
前記第1移動部材は、前記第1可動軸の揺動に伴って移動し、
前記第2移動部材は、前記第2可動軸の揺動に伴って移動する請求項6~11のいずれか1項に記載の移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に苗を植え付ける移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示された移植機が知られている。
特許文献1に開示された移植機は、機体の地面からの高さを一定に維持するように車輪に対する機体の高さを変動させる昇降機構と、機体の左部と右部の地面からの高さの差を減少させるように機体を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動機構と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した移植機では、昇降機構と揺動機構とが互いに独立した機構として設けられている。そのため、植付面の高さ変化に応じて機体の高さ(全体の高さ)及び姿勢(左右の高さの差)を最適な状態に変更することが難しい。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、植付面の高さ変化に応じて機体の高さ及び姿勢を最適な状態に変更することができる移植機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が上記課題を解決するために講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様に係る移植機は、機体と、前記機体を走行可能に支持する車輪と、前記機体に設けられて圃場に苗を植え付ける移植部と、前記機体に設けられて圃場の植付面の起伏に追従して上下動する接地輪と、前記機体の植付面からの高さを一定に維持するように前記車輪に対する前記機体の高さを変動させる昇降機構と、前記機体の左部と右部の植付面からの高さの差を減少させるように前記機体を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動機構と、を含む機体制御機構と、を備え、前記接地輪は、前記機体の左部に設けられた第1接地輪と、前記機体の右部に設けられた第2接地輪とを含み、前記機体制御機構は、前記第1接地輪の高さの変動量である第1変動量と前記第2接地輪の高さの変動量である第2変動量とに基づいて、前記昇降機構と前記揺動機構の両方が作動する連動状態と、前記昇降機構と前記揺動機構のいずれか一方が作動する非連動状態とを切り替える。
【0006】
好ましくは、前記非連動状態は、前記昇降機構のみが作動する第1非連動状態と、前記揺動機構のみが作動する第2非連動状態とを含み、前記機体制御機構は、前記第1変動量と前記第2変動量とに基づいて、前記第1非連動状態と前記第2非連動状態とを切り替える。
好ましくは、前記機体制御機構は、前記第1変動量と前記第2変動量との差が無く且つ前記第1変動量と前記第2変動量との平均値が所定量以上であるとき、前記第1非連動状態に切り替える。
【0007】
好ましくは、前記機体制御機構は、前記第1変動量と前記第2変動量とに差があり且つ前記第1変動量と前記第2変動量との平均値が所定量未満であるとき、前記第2非連動状態に切り替える。
好ましくは、前記機体制御機構は、前記第1変動量と前記第2変動量とに差があり且つ前記第1変動量と前記第2変動量との平均値が所定量以上であるとき、前記連動状態に切り替える。
【0008】
好ましくは、前記揺動機構は、伸縮駆動によって前記機体を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動シリンダと、上下方向に延びる支点軸と、前記支点軸の左側に配置されて前記第1変動量に基づいて前後方向に移動する第1移動部材と、前記支点軸の右側に配置されて前記第2変動量に基づいて前後方向に移動する第2移動部材と、左右方向に延びて前記第1移動部材と前記第2移動部材とを連結し、前記第1移動部材の移動量である第1移動量と前記第2移動部材の移動量である第2移動量との差に基づいて前記支点軸回りに揺動
する連結部材と、前記連結部材と前記揺動シリンダとを連動可能に接続し、前記第1移動量と前記第2移動量との差が所定量以上となったときに前記揺動シリンダを駆動する揺動シリンダ駆動機構と、を有している。
【0009】
好ましくは、前記昇降機構は、伸縮駆動によって前記機体の高さを変動させる昇降シリンダと、前記支点軸と、前記第1移動部材と、前記第2移動部材と、前記連結部材と、前記連結部材と前記昇降シリンダとを連動可能に接続する昇降シリンダ駆動機構と、左右方向に延びる横軸と、を備え、前記支点軸は、前記第1移動量と前記第2移動量との平均値に基づいて前記横軸を支点として傾動し、前記昇降シリンダ駆動機構は、前記支点軸の傾動量が一定値以上となったときに前記昇降シリンダを駆動する。
【0010】
好ましくは、前記揺動シリンダ駆動機構は、前記揺動シリンダを伸長させる第1方向と短縮させる第2方向とに揺動可能なレバーと、左右方向に延びる横軸と、前記連結部材の左部に接続されて前記第1移動量に基づいて前記横軸回りに回動する第1回動部材と、前記連結部材の右部に接続されて前記第2移動量に基づいて前記横軸回りに回動する第2回動部材と、前記第1回動部材と接続されて前記第1回動部材の回動量に基づいて移動する第1ワイヤと、前記第2回動部材と接続されて前記第2回動部材の回動量に基づいて移動する第2ワイヤと、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの移動と前記レバーの揺動とを連動させる第1連動機構と、を備え、前記第1連動機構は、前記第1ワイヤの移動量が前記第2ワイヤの移動量よりも大きいときは前記レバーを前記第1方向に揺動し、前記第2ワイヤの移動量が前記第1ワイヤの移動量よりも大きいときは前記レバーを前記第2方向に揺動し、前記第1ワイヤの移動量と前記第2ワイヤの移動量とが同じときは前記レバーを揺動させない。
【0011】
好ましくは、前記昇降シリンダ駆動機構は、前記昇降シリンダを伸長させる第1方向と短縮させる第2方向とに回動可能な回動体と、前記連結部材の左部に接続されて前記第1移動量に基づいて前記横軸回りに回動する第1回動部材と、前記連結部材の右部に接続されて前記第2移動量に基づいて前記横軸回りに回動する第2回動部材と、前記第1回動部材及び前記第2回動部材の回動と連動させて前記回動体を回動させる第2連動機構と、を備え、前記第2連動機構は、前記第1回動部材の回動量と前記第2回動部材の回動量の平均値に基づいて前記回動体を回動させる。
【0012】
好ましくは、前記レバーを手動で揺動する手動モードと、前記レバーを自動で揺動させる自動モードとを切り替える切り替え機構を備え、前記切り替え機構は、前記自動モードにおいて前記第1連動機構による前記レバーの揺動を許容し、前記手動モードにおいて前記第1連動機構による前記レバーの揺動を許容しない。
好ましくは、前記接地輪の基準高さを設定する設定レバーを備え、前記設定レバーは、揺動によって前記基準高さを変更可能であり、前記第1移動部材と前記第2移動部材は、前記設定レバーを揺動したとき同じ距離だけ移動する。
【0013】
好ましくは、前記機体に固定され且つ機体幅方向に延びる固定軸と、前記固定軸に対して揺動可能であり且つ機体幅方向に延びる可動軸と、を備え、前記可動軸は、前記第1接地輪と連動可能に接続された第1可動軸と、前記第2接地輪と連動可能に接続された第2可動軸と、を含み、前記第1移動部材は、前記第1可動軸の揺動に伴って移動し、前記第2移動部材は、前記第2可動軸の揺動に伴って移動する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1接地輪の高さの変動量である第1変動量と第2接地輪の高さの変動量である第2変動量とに基づいて、昇降機構と揺動機構の両方が作動する連動状態と、昇降機構と揺動機構のいずれか一方が作動する非連動状態とを切り替えることができるため、植付面の高さ変化に応じて機体の高さ及び姿勢を最適な状態に変更することが可能となる。これにより、植付面に起伏があっても苗の植付深さを一定とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】苗供給部のカップ移送機構等を示す平面図である。
【
図7】苗供給カップの底蓋と、中継ホッパの上部を保持する保持体とを示す平面図である。
【
図8】第1植付装置、第2植付装置、第1鎮圧輪、第2鎮圧輪等を示す斜視図である。
【
図9】第1植付装置、第2植付装置、第1鎮圧輪、第2鎮圧輪等を示す正面図である。
【
図10】第1植付装置、第2植付装置等を示す平面図である。
【
図12】中継ホッパと昇降部材(苗ガイド、植付具)の位置関係を示す側面図であって、(a)は昇降部材が下降位置にある状態、(b)は昇降部材が上昇位置にある状態である。
【
図13】中継ホッパと昇降部材(苗ガイド、植付具)の位置関係を示す正面図である。
【
図14】中継ホッパを構成するシートの展開図である。
【
図15】中継ホッパの上部を保持する保持体を示す斜視図である。
【
図16】接地輪(鎮圧輪)、第1連係機構、第2連係機構等を示す斜視図である。
【
図17】機体フレーム、昇降シリンダ、揺動シリンダ等を示す平面図である。
【
図18】機体フレーム、昇降シリンダ、揺動シリンダ等を示す左側面図である。
【
図19】機体フレーム、昇降シリンダ、揺動シリンダ等を示す右側面図である。
【
図21】機体制御機構の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図23】第1接地輪と第2接地輪が高い位置にあるときの第1移動部材、第2移動部材、設定レバー等の位置を示す側面図である。
【
図24】第1接地輪と第2接地輪が中間位置にあるときの第1移動部材、第2移動部材、設定レバー等の位置を示す側面図である。
【
図25】第1接地輪と第2接地輪が低い位置にあるときの第1移動部材、第2移動部材、設定レバー等の位置を示す側面図である。
【
図26】第1移動量が第2移動量よりも大きい場合の連結部材及び支点軸の動きを説明する平面図である。
【
図27】支点軸が前方に向けて傾動する動きを示す側面図である。
【
図28】第1移動量、第2移動量、支点軸の傾動量の関係を説明する平面図である。
【
図29】第2移動量が第1移動量よりも大きい場合の連結部材及び支点軸の動きを説明する平面図である。
【
図30】第1移動量と第2移動量が同じ場合の連結部材及び支点軸の動きを説明する平面図である。
【
図31】第1移動部材と第2移動部材が後方に同じ量移動した場合の連結部材及び支点軸の動きを説明する平面図である。
【
図32】支点軸が後方に向けて傾動する動きを示す側面図である。
【
図33】第1移動部材と第2移動部材が反対方向に同じ量移動した場合の連結部材及び支点軸の動きを説明する平面図である。
【
図34】第1移動部材と第2移動部材が反対方向に異なる量移動した場合の連結部材及び支点軸の動きを説明する平面図である。
【
図39】第1連動機構を左前方から見た斜視図である。
【
図40】第1連動機構を右後方から見た斜視図である。
【
図41】第1ワイヤが移動したときの第1連動機構の動作を示す図である。
【
図42】第2ワイヤが移動したときの第1連動機構の動作を示す図である。
【
図43】第1ワイヤと第2ワイヤが同じ量移動したときの第1連動機構の動作を示す図である。
【
図44】設定レバー、カバー部材等を示す斜視図である。
【
図45】輪距調整機構を備えた移植機の一部を示す斜視図であって、輪距を短くした状態を示している。
【
図46】輪距調整機構を備えた移植機の一部を示す斜視図であって、輪距を長くした状態を示している。
【
図47】第1調整機構を示す断面図であって、輪距を短くした状態を示している。
【
図48】第1調整機構を示す断面図であって、輪距を長くした状態を示している。
【
図49】第2調整機構を示す断面図であって、輪距を短くした状態を示している。
【
図51】第2調整機構を示す断面図であって、輪距を長くした状態を示している。
【
図52】第2抜け止め部、筒体、軸体を示す斜視図である。
【
図53】第1抜け止め部、筒体、第2内筒を示す斜視図である。
【
図55】第1抜け止め部材を別の方向から見た斜視図である。
【
図56】非抜け止め状態において、第2部位の穴の内周面の多角形の中心軸回りの位相と、筒体の内周面の多角形の中心軸回りの位相及び挿入部の多角形の中心軸回りの位相とが一致している様子を示す図である。
【
図57】抜け止め状態において、第2部位の穴の内周面の多角形の中心軸回りの位相と、筒体の内周面の多角形の中心軸回りの位相及び挿入部の多角形の中心軸回りの位相とがずれている様子を示す図である。
【
図58】往復4条の植え付け作業を説明する平面図であって、移植機を畝に沿う一方向に向けて走行している状態を示している。
【
図59】往復4条の植え付け作業を説明する平面図であって、移植機を畝に沿う他方向に向けて走行している状態を示している。
【
図60】予備苗載せ台、支柱、押さえ具を示す斜視図である。
【
図61】予備苗載せ台を第2姿勢とした状態を示す斜視図である。
【
図62】予備苗載せ台に載置された苗トレイを押さえ具で押さえていない状態を示す背面図である。
【
図63】予備苗載せ台に載置された苗トレイを押さえ具で押さえている状態を示す背面図である。
【
図64】複数の予備苗載せ台が第2姿勢にある状態において、押さえ具により最上部の苗載せ台を押さえている状態を示す背面図である。
【
図65】複数の予備苗載せ台が第2姿勢にある状態において、押さえ具により最上部の苗載せ台を押さえていない状態を示す背面図である。
【
図66】前部スタンド、第1保持部、第2保持部、乗降ステップ等を示す斜視図である。
【
図67】前部スタンド、第1保持部、第2保持部、乗降ステップ等を示す平面図である。
【
図68】前部スタンドが上方位置にある状態を示す背面図である。
【
図69】前部スタンドが下方位置にある状態を示す背面図である。
【
図71】機体フレーム、後部スタンド、押し下げ補助具を示す斜視図である。
【
図72】機体フレーム、後部スタンド、押し下げ補助具を示す平面図である。
【
図73】後部スタンドが上昇位置にあるときの押し下げ補助具の位置を示す側面図である。
【
図74】第1横軸、第2横軸、引っ張りばね等を示す一部断面側面図である。
【
図75】後部スタンドが下降位置にあるときの押し下げ補助具の位置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1~
図4は、移植機1の全体構成を示している。
図1は移植機1の平面図、
図2は移植機1の側面図、
図3は移植機1の背面図、
図4は移植機1の斜視図である。
移植機1は、圃場を走行しながら圃場(畝)に野菜の苗を植え付ける。
本発明の実施形態においては、苗植付け時の移植機1の進行方向(
図1、
図2の矢印F方向)を前方、進行方向の反対側(
図1、
図2の矢印B方向)を後方、進行方向に向かって左側(
図1,
図3の矢印L方向)を左方、進行方向に向かって右側(
図1,
図3の矢印R方向)を右方として説明する。
【0017】
また、
図1に示す前後方向K1に直交する方向である水平方向K2を機体幅方向(又は左右方向)として説明する。移植機1(機体2)の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向K2であって移植機1(機体2)の幅方向の中心から離れる方向のことである。また、機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向K2であって機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0018】
先ず、移植機1の全体構成について説明する。
図1~
図4に示すように、移植機1は、機体2を有する。機体2は、金属製のパイプ等を組み合わせた機体フレーム13(
図71等参照)等から構成されている。機体2の後部には、原動機(エンジン)17が搭載されている。機体2は、原動機17からの動力を伝達する動力伝達機構を収容したミッションケースM1を有する。機体2の後部には、移植機1を歩行操作する時に作業者が把持する操向ハンドル5が設けられている。
【0019】
移植機1は、機体2を走行可能に支持する走行装置を備えている。走行装置は、機体2の左側に配置された前輪3L及び後輪4Lと、機体2の右側に配置された前輪3R及び後輪4Rとを含む。前輪3L,3Rは、機体2の走行に伴って回転する従動輪である。後輪4L,4Rは、原動機17からの動力を受けて回転する駆動輪である。原動機17からの動力は、ミッションケースM1を介して後輪4L,4Rに伝達される。車輪(前輪3L,3R、後輪4L,4R)は、移植作業時には隣り合う畝と畝の間(畝間)に接地して回転する。
【0020】
機体2には、前輪3L,3Rを支持する前輪支持アーム6が設けられている。前輪支持アーム6の上部は、機体2に横軸(機体幅方向K2に延伸する軸)回りに回転可能に支持されている。前輪支持アーム6は、機体2の左側方に設けられた前輪支持アーム6Lと、機体2の右側方に設けられた前輪支持アーム6Rと、を含む。前輪支持アーム6Lの下部に前輪3Lが回転自在に取り付けられている。前輪支持アーム6Rの下部に前輪3Rが回転自在に取り付けられている。
【0021】
機体2には、後輪4L,4Rを支持する車輪支持体7が設けられている。車輪支持体7Lの上部は、機体2に横軸(機体幅方向K2に延伸する軸)回りに回転可能に支持されている。車輪支持体7は、後輪4Lを支持する車輪支持体7Lと、後輪4Rを支持する車輪支持体7Rと、を含む。車輪支持体7Lは、機体2の左側部に設けられている。車輪支持体7Lの下部には、後輪4Lが回転可能に取り付けられている。車輪支持体7Rは、機体2の右側部に設けられている。車輪支持体7Rの下部には、後輪4Rが回転可能に取り付けられている。
【0022】
前輪支持アーム6L,6R及び車輪支持体7L,7Rは、後述する昇降シリンダ14によって、横軸(機体幅方向K2に延伸する軸)回りに上下に揺動可能とされている。昇降シリンダ14は、油圧シリンダから構成されている。昇降シリンダ14の駆動により、前輪支持アーム6と車輪支持体7が横軸回りに回転する。これによって、前輪支持アーム6と車輪支持体7との成す角度が変化し、前輪3L,3R及び後輪4L,4Rが機体2に対
して相対的に昇降する。前輪3L,3R及び後輪4L,4Rを機体2に対して同時に昇降させることにより、機体2が地面に対して昇降する。
【0023】
移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部8と、移植部8に苗を供給する苗供給部9と、植え付けられた苗の近傍の土を鎮圧して覆土する鎮圧部(覆土部)10を有する。移植部8、苗供給部9、鎮圧部10は、機体2に設けられている。移植部8は、植付装置20を有し、機体2の前部に設けられている。苗供給部9は、機体2の前部であって、移植部8の上方に設けられている。鎮圧部10は、機体2の前部であって、植付装置20の近傍に設けられている。
【0024】
機体2の上部には、椅子(座席)11が搭載されている。椅子11は、苗供給部9に苗を供給する作業者が座る椅子である。椅子11は、苗供給部9の後方に配置されている。作業者は、前方を向いて座った姿勢で苗供給部9に苗を供給することができる。移植機1は、作業者が椅子11に座った状態で走行及び移植作業が可能な乗用型の移植機である。
椅子11の前方且つ側方には、椅子11に乗降する際に作業者が足を載せることができる乗降ステップ12が配置されている。乗降ステップ12は、椅子11に座った作業者が足を載せることができる足載せ台としての機能も有する。
【0025】
乗降ステップ12は、機体幅方向において、後輪4L,4Rと椅子11との間の位置に配置されている。乗降ステップ12は、第1乗降ステップ12Lと第2乗降ステップ12Rとを含む。第1乗降ステップ12Lは、椅子11の前方且つ左側方(即ち、左前方)に配置されている。第2乗降ステップ12Rは、椅子11の前方且つ右側方(即ち、右前方)に配置されている。
【0026】
<苗供給部>
次に、苗供給部9について説明する。
図1、
図5、
図6に示すように、苗供給部9は、苗供給カップ40A,40Bを有する。以下の説明において、苗供給カップ40Aを第1苗供給カップ40Aと称し、苗供給カップ40Bを第2苗供給カップ40Bと称する場合がある。
【0027】
苗供給カップ40A,40Bは、椅子11に着座した作業者によって上方から供給された苗を保持可能であるとともに、底部が開閉自在とされていて苗を下方に落として排出することができる。苗供給カップ40A,40Bから落下した苗は、植付装置20に供給される。
図1、
図5に示すように、苗供給カップ40A,40Bは、平面視で機体幅方向K2に長い長円形を呈するループ状に一定間隔で並べて配置されている。苗供給カップ40Aは、機体幅方向の中心よりも左側(符号74Lで示す位置)で苗を落として排出する。苗供給カップ40Bは、機体幅方向の中心よりも右側(符号74Rで示す位置)で苗を落として排出する。苗供給カップ40Aと苗供給カップ40Bは、長円形状のカップ配置経路(苗供給カップ40A,40Bの配置経路)C1に沿って交互に並べて配置されている。
【0028】
図5に示すように、苗供給部9は、苗供給カップ40A,40Bを移送するカップ移送機構41を有する。苗供給カップ40A,40Bは、カップ移送機構41によって、カップ配置経路C1に沿って矢印A1で示す方向に周回移送される。
図6に示すように、苗供給カップ40A,40Bは、上部と下部に開口を有する筒状のカップ本体44と、このカップ本体44の下部の開口を開閉自在に塞ぐ底蓋45を有する。底蓋45は、カップ移送方向A1側に設けられた枢支部46により、カップ移送方向A1に直交する水平方向の軸心回りに枢支されている。底蓋45は、カップ本体44の下部の開口を塞ぐ状態から枢支部46回りに下方に回動することにより(
図6の矢印J1参照)、カップ本体44の下部の開口を開放する。これにより、苗を落下させることができる。
【0029】
図7に示すように、苗供給カップ40A,40Bの底蓋45には、カップ移送方向A1に直交する水平方向に突出する突出部47が設けられている。第1苗供給カップ40Aの突出部47は、カップ配置経路C1の外周側に突出し、第2苗供給カップ40Bの突出部47はカップ配置経路C1の内周側に突出している。
カップ移送機構41は、苗供給カップ40A,40Bを長円形状のカップ配置経路に沿
ってカップ移送方向A1に移送する機構である。
図5に示すように、カップ移送機構41は、苗供給カップ40A,40Bの長円形状のカップ配置経路C1の内周側に配置されている。カップ移送機構41は、カップ配置経路C1の左側に配置された駆動スプロケット48と、カップ配置経路C1の右側に配置された従動スプロケット49と、駆動スプロケット48と従動スプロケット49とにわたって巻掛けられた楕円環状の移送チェーン50とを有する。
【0030】
図5に示すように、苗供給カップ40A,40Bのカップ本体44には、カップ配置経路の内周側に位置する連結部51が設けられている。連結部51は、移送チェーン50に立設された連結ピン(図示略)を介して移送チェーン50と連結されている。
カップ移送機構41の駆動スプロケット48を駆動するスプロケット駆動軸53は、原動機17からの動力によって上下方向の軸回りに回転駆動される。原動機17からの動力は、ミッションケースM1から左方に延びる伝動軸54(
図5参照)により取り出されて、第1動力伝達機構55及び第2動力伝達機構56を介してスプロケット駆動軸53に伝達される。第1動力伝達機構55は、伝動軸54からの動力を前方に伝達する機構であり、スプロケットやチェーン等から構成されている。第2動力伝達機構56は、第1動力伝達機構55により伝達された動力を上方へと伝達する機構であり、ベベルギア、自在継手、伝動軸等から構成されている。
【0031】
苗供給カップ40A,40Bの底蓋45は、カップ配置経路C1上の互いに異なる位置で開くように構成されている。
図7において、苗供給カップ40Aの底蓋45が開く位置(第1苗落とし部)を符号74Lで示し、苗供給カップ40Bの底蓋45が開く位置(第2苗落とし部)を符号74Rで示している。第1苗落とし部74Lと第2苗落とし部74Rとは、前後方向の位置が同じで、機体幅方向の位置が異なっている。第1苗落とし部74Lは、後述する第1植付装置20Lに向けて苗を落下させる。第2苗落とし部74Rは、後述する第2植付装置20Rに向けて苗を落下させる。
【0032】
苗供給カップ40Aの底蓋45が開く位置(第1苗落とし部74L)は、第1規定部材により規定される。苗供給カップ40Bの底蓋45が開く位置(第2苗落とし部74R)は、第2規定部材により規定される。第1規定部材及び第2規定部材は、図示していないが、板状又は棒状の部材であって、底蓋45の下方に配置される。
第1規定部材は、第1苗落とし部74L以外の部分において、苗供給カップ40Aの底蓋45の突出部47等を下方から支持し、苗供給カップ40Aの底蓋45が下方に向けて開かないようにする。これにより、苗供給カップ40Aの底蓋45は、第1苗落とし部74L以外の部分では開かず、第1苗落とし部74Lで開く。
【0033】
第2規定部材は、第2苗落とし部74R以外の部分において、苗供給カップ40Bの底蓋45の突出部47等を下方から支持し、苗供給カップ40Bの底蓋45が下方に向けて開かないようにする。これにより、苗供給カップ40Bの底蓋45は、第2苗落とし部74R以外の部分では開かず、第2苗落とし部74Rで開く。
第1規定部材及び第2規定部材は、機体幅方向の位置を変更可能である。第1規定部材及び第2規定部材の機体幅方向の位置を変更することによって、第1苗落とし部74L及び第2苗落とし部74Rの機体幅方向の位置を変更することができる。
【0034】
カップ配置経路C1上には、第1苗落とし部74Lで開いた苗供給カップ40Aの底蓋45を押し上げて閉じる第1閉じ部材(図示略)と、第2苗落とし部74Rで開いた苗供給カップ40Bの底蓋45を押し上げて閉じる第2閉じ部材(図示略)とが設けられている。第1閉じ部材は、第1苗落とし部74Lの移送方向の下流側に設けられている。第2閉じ部材は、第2苗落とし部74Rの移送方向の下流側に設けられている。
【0035】
<移植部>
次に、移植部8について説明する。
図8、
図9、
図10、
図11に示すように、移植機1は、機体幅方向K2に延びる駆動シャフト77を有する。駆動シャフト77は、移植部8の植付装置20を駆動する軸である。駆動シャフト77は、断面六角形の棒状に形成されている。原動機17の動力は、ミッションケースM1から延びる伝動軸54(
図5参照)から第1動力伝達機構55を介し
て駆動シャフト77に伝達される。これにより、駆動シャフト77は、機体幅方向の軸心回りに回転する。
【0036】
図8、
図9、
図10に示すように、植付装置20は、第1植付装置20Lと第2植付装置20Rとを含む。第1植付装置20Lと第2植付装置20Rは、機体幅方向に並んで配置されている。第1植付装置20Lは、機体幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2植付装置20Rは、機体幅方向の他方側(右側)に配置されている。第1植付装置20Lと第2植付装置20Rは、機体幅方向の中心を挟んで対称形である以外は同じ構造を有する。
【0037】
図8、
図9等に示すように、植付装置20は、昇降部材70、取付体81、昇降装置82,伝達機構83を有する。
昇降部材70は、機体2に対して昇降可能に設けられている。昇降部材70は、圃場の地面に苗を植え付ける植付具80と、植付具80の上方に配置された苗ガイド75と、を有する。植付具80は、苗を保持して下降し、下降位置において圃場の地面に突入することにより、圃場に苗を植え付ける。苗ガイド75は、植付具80の上方に配置されて、後述する中継ホッパ71から落下する苗を植付具80に向けて案内する。
【0038】
図11に示すように、植付具80は、先端が下方に向いたくちばし状を呈している。植付具80は、前側の構成体80Fと後側の構成体80Bを有していて、構成体80Fと構成体80Bが前後方向で互いに離反・近接することにより開閉自在とされている。植付具80は、閉じた状態で、上方から苗が供給可能で且つ内部に苗が収容可能とされ、開いた状態を苗が下方に落下放出可能とされている。
【0039】
図8、
図11に示すように、取付体81は、固定軸60に取り付けられている。固定軸60は、機体2の前部に固定されていて、機体幅方向に延びている。取付体81は、固定軸60に取り付けられる取付ベース84と、取付ベース84から前方に延出された伝動機構支持部材85とから構成されている。
取付ベース84は、取付部材72によって固定軸60に取り付けられている。取付ベース84は、取付部材72に対して着脱可能に取り付けられている。取付ベース84と取付部材72とは、ボルトBL1及びナットNT1により固定されている。取付部材72は、前方が開放されたU字状の切り欠き72aを有する。固定軸60は、切り欠き72aに挿入されることによって、取付ベース84と取付部材72との間に挟持されている。取付ベース84及び取付部材72は、ボルトBL1とナットNT1との螺合を緩めることによって、固定軸60に沿って機体幅方向に移動させることができる。これにより、第1植付装置20Lと第2植付装置20Rの機体幅方向の位置を個別に変更することができる。また、第1植付装置20Lの昇降部材70の機体幅方向の位置と、第2植付装置20Rの昇降部材70の機体幅方向の位置を調整することができる。
【0040】
伝動機構支持部材85には、駆動シャフト77が貫通している。駆動シャフト77は、伝動機構支持部材85に取り付けられた軸受86(
図10参照)に機体幅方向の軸心回りに回転可能に支持されている。取付体81(取付ベース84、伝動機構支持部材85)は、駆動シャフト77に沿って機体幅方向に移動可能である。取付体81は、第1取付体81Lと第2取付体81Rとを含む。第1取付体81Lと第2取付体81Rは、機体幅方向の中心を挟んで対称形である以外は同じ構造を有する。
【0041】
伝達機構83は、駆動シャフト77から昇降装置82へと動力を伝達する機構である。
図10、
図11に示すように、伝達機構83は、駆動側スプロケット87と、従動側スプロケット88と、これらスプロケットに巻掛けられた伝動チェーン89と、この伝動チェーン89にテンションを付与するテンション部材90とを有する。駆動側スプロケット87は、駆動シャフト77の回転に伴って回転し、当該回転の動力は伝動チェーン89を介して従動側スプロケット88に伝達される。従動側スプロケット88には、昇降装置82に動力を伝達する伝動軸91が固定されている。
【0042】
昇降装置82は、取付体81に取り付けられて昇降部材70を昇降させる。
昇降装置82は、第1回転ケース92と、第2回転ケース93と、カップ支持体94と、スプリング95とを有する。第1回転ケース92は、伝動機構支持部材85の前端側に
伝動軸91を介して回転自在に支持されている。第2回転ケース93は、第1回転ケース92の遊端側(伝動軸91に支持されていない側)に回転自在に支持されている。カップ支持体94は、第2回転ケース93に支持されている。カップ支持体94には、植付具80及び苗ガイド75が支持されている。スプリング95は、引っ張りばねであって、カップ支持体94を上方に付勢している。スプリング95の上端部は、苗供給部9の下部に固定されている。
【0043】
昇降装置82は、第1回転ケース92及び第2回転ケース93内に設けられた動力伝達機構を含む。この動力伝達機構は、伝動軸91によって第1回転ケース92が回転駆動されたとき、この第1回転ケース92の回転に連動して第2回転ケース93を第1回転ケース92とは逆方向に回転させる。第1回転ケース92が回転駆動されることによりカップ支持体94が上下動し、これにより植付具80が昇降する。
【0044】
苗供給部9は、昇降部材70(植付具80、苗ガイド75)が上昇位置にあるときに、植付具80に苗を落下供給する。具体的には、植付具80が上昇位置(上死点位置)にあるとき、この植付具80の上方に位置する苗供給カップ40A,40Bの底蓋45が開いて苗が落下排出される。
苗供給カップ40A,40Bから排出された苗は、中継ホッパ71及び苗ガイド75を通って植付具80内に落下供給される。このとき植付具80は閉じた状態(
図12(b)参照)であって、植付具80の内部に苗が保持される。その後、植付具80は苗を保持したまま下降して植付具80の下部が圃場(畝)に突入する。植付具80は、畝に突入すると開いて(
図12(s)参照)、畝に植穴を形成すると共に、この植穴に苗を放出する(苗を植え付ける)。
【0045】
本実施形態の移植機1にあっては、左側の植付具80(第1植付装置20Lの植付具80)と右側の植付具80(第2植付装置20Rの植付具80)は同時に昇降するのではなく、一方の植付具80が上昇するときに、他方の植付具80が下降する。これによって、移植機1の前進に伴って畝に苗を千鳥状に2条植えすることができる。
図7、
図8、
図9では、右側の植付具80(第2植付装置20Rの植付具80)が下降し、左側の植付具80(第1植付装置20Lの植付具80)が上昇している状態が示されている。
【0046】
図8、
図9に示すように、苗ガイド75は、植付具80の上方に配置されている。苗ガイド75は、第1苗落とし部74Lに位置する苗供給カップ40Aの下方及び第2苗落とし部74Rに位置する苗供給カップ40Bの下方に位置している。苗ガイド75は、下方に行くに従って縮径する上下開口状の略截頭円錐筒状に形成されている。苗ガイド75の上縁の前部と後部は、苗ガイド75の機体幅方向の中央が高くなるように湾曲している。苗ガイド75の上縁の左部と右部は、苗ガイド75の前後方向の中央が低くなるように湾曲している。
【0047】
苗ガイド75は、苗供給カップ40A,40Bから排出された苗を下方の植付具80に案内する。具体的には、苗供給カップ40A,40Bから排出された後、後述する中継ホッパ71から落下する苗を植付具80に向けて案内する。苗ガイド75は、カップ支持体94の上下動に伴って、植付具80と共に昇降する。従って、左側の植付具80が上昇するときに左側の苗ガイド75も上昇し、右側の植付具80が下降するときに右側の苗ガイド75も下降する。
【0048】
図9、
図12、
図13に示すように、中継ホッパ71は、昇降部材70と苗供給部9との間に配置されている。具体的には、中継ホッパ71は、苗供給部9の下方であって昇降部材70の上方に配置されている。中継ホッパ71は、苗供給部9から昇降部材70への苗の落下供給を中継する。尚、
図8では、中継ホッパ71の図示を省略している。
中継ホッパ71は、下方に行くに従って縮径する上下開口状の略截頭円錐筒状に形成されている。中継ホッパ71は、内面の傾斜角度(垂直方向に対する傾斜角度)が周方向において異なっている。中継ホッパ71は、少なくとも一部の内面が上端から下端に向けて略垂直に延びている。本実施形態の場合、
図13に示すように、中継ホッパ71は、機体幅方向の一方側(左側)の内面が上端から下端に向けて略垂直に延びている。中継ホッパ71は、機体幅方向の一方側(左側)の内面の傾斜角度が、機体幅方向の他方側(右側)
の内面の傾斜角度よりも小さい。
【0049】
中継ホッパ71は、弾性体(例えば、ゴム等)から構成されている。中継ホッパ71は一体成型品であってもよいが、本実施形態の場合、中継ホッパ71は弾性材からなるシートを筒状に丸めて形成されている。
図14は、中継ホッパ71を構成する弾性材からなるシート73を示している。シート73は、略円弧形の帯状に形成されている。シート73は、第1縁73a、第2縁73b、第3縁73c、第4縁73dを有する。第1縁73aは、中継ホッパ71の上縁を構成する。第2縁73bは、中継ホッパ71の下縁を構成する。第3縁73cと第4縁73dは、中継ホッパ71の上縁から下縁に向けて延びる。
【0050】
シート73には、第1縁73aに沿って配置された複数の第1孔73eと、第3縁73cに沿って配置された複数の第2孔73fと、第4縁73dに沿って配置された複数の第3孔73gと、が設けられている。第1孔73eは、シート73を丸めて形成された中継ホッパ71を後述する保持体61に取り付けるための孔である。第2孔73fと第3孔73gはシート73を丸めたときに互いに重なる位置に配置されている。第2孔73fと第3孔73gを重ねて、第2孔73fと第3孔73gとにねじ等の連結具を挿入して連結することによって、シート73が円錐台形状に丸められた状態で保形され、中継ホッパ71が形成される。
【0051】
図8、
図9、
図12、
図13に示すように、移植機1は、中継ホッパ71の上部を保持する保持体61を備えている。保持体61は、金属等の剛性材から構成されている。
図15に示すように、保持体61は、枠体62と固定部63とを有する。
枠体62は、平面視にて環状に形成されている。枠体62は、中継ホッパ71の上部の周囲に沿って取り付けられる。枠体62には、複数の取付孔62aが設けられている。取付孔62aをシート73の第1孔73eと重ねて、第1孔73eと取付孔62aにねじ等の連結具を挿入して連結することによって、中継ホッパ71の上部を枠体62に取り付けることができる。枠体62は、機体幅方向の長さ(内径)が前後方向の長さ(内径)に比べて長い。そのため、枠体62に取り付けられた中継ホッパ71は、機体幅方向の長さ(内径)が前後方向の長さ(内径)に比べて長くなる。
【0052】
固定部63は、枠体62を苗供給部9の下方位置に固定するための部分である。枠体62を苗供給部9の下方位置に固定することによって、枠体62の機体2に対する位置が固定される。これにより、枠体62に取り付けられた中継ホッパ71の機体2に対する位置が固定される。
図13に示すように、固定部63は、枠体62の機体内方側の部分に設けられている。固定部63は、枠体62の機体内方側の部分から下方に延びる縦部位63aと、縦部位63aの下端から屈曲して水平方向に延びる横部位63bと、を有する。横部位63bには、長孔63cが形成されている。
【0053】
図8、
図9に示すように、固定部63(横部位63b)は、伝動機構支持部材85に固定されている。具体的には、固定部63は、ステー64を介して伝動機構支持部材85の上部に固定されている。これにより、保持体61が伝動機構支持部材85の上部に固定されている。固定部63は、長孔63cに挿通したボルトとナットによって、ステー64の上部に固定されている。長孔63cは機体幅方向に延びている。そのため、ボルトとナットの螺合を緩めることによって、ステー64に対する保持体61の機体幅方向の位置を調整することができる。
【0054】
上述したように、伝動機構支持部材85は、駆動シャフト77に沿って機体幅方向に移動可能である。そのため、保持体61及び中継ホッパ71も、駆動シャフト77に沿って機体幅方向に移動可能である。
図9、
図13に示すように、中継ホッパ71は、機体幅方向の一方側に配置された第1中継ホッパ71Lと、機体幅方向の他方側に配置された第2中継ホッパ71Rと、を含む。保持体61は、第1中継ホッパ71Lを保持する第1保持体61Lと、第2中継ホッパ71Rを保持する第2保持体61Rと、を含む。
【0055】
図7に示すように、第1保持体61Lは、第1苗落とし部74Lの下方に配置されてい
る。第2保持体61Rは、第2苗落とし部74Rの下方に配置されている。これにより、第1中継ホッパ71Lは、第1苗落とし部74Lの下方に配置されている。第2中継ホッパ71Rは、第2苗落とし部74Rの下方に配置されている。
第1苗落とし部74Lから落下した苗は、第1中継ホッパ71Lを通って、第1植付装置20Lの昇降部材70(苗ガイド75、植付具80)に供給される。第2苗落とし部74Rから落下した苗は、第2中継ホッパ71Rを通って、第2植付装置20Rの昇降部材70(苗ガイド75、植付具80)に供給される。
【0056】
図13の右部、
図12(b)に示すように、中継ホッパ71は、昇降部材70が上昇位置にあるとき、昇降部材70と接触する位置に配置されている。具体的には、植付具80が上昇位置にあるとき、苗ガイド75が中継ホッパ71と接触する。
植付具80が上昇位置にあるとき、中継ホッパ71の下部が苗ガイド75の上部に挿入される。これにより、植付具80が上昇位置にあるとき、中継ホッパ71の下部が苗ガイド75の上部に接触する(
図12(b)参照)。
【0057】
植付具80が上昇位置にあるとき、苗ガイド75が中継ホッパ71と接触することにより、弾性体からなる中継ホッパ71に衝撃が加わる。この衝撃によって、弾性体からなる中継ホッパ71が弾性変形し、苗ガイド75が中継ホッパ71から離れるときに元の形に戻ろうとする。この中継ホッパ71の変形等の動きによって、中継ホッパ71に苗が詰まったり引っ掛かったりした場合でも、中継ホッパ71から苗を落下させることが可能となる。そのため、苗供給部9から中継ホッパ71を介しての植付具80への苗の供給を円滑に且つ確実に行うことができる。
【0058】
<鎮圧部(鎮圧輪(接地輪)等)>
次に、鎮圧部10について説明する。
図8、
図9に示すように、鎮圧部10は、鎮圧輪100を有する。鎮圧輪100は、第1鎮圧輪100Lと第2鎮圧輪100Rとを含む。第1鎮圧輪100Lと第2鎮圧輪100Rは、機体幅方向に並んで配置されている。第1鎮圧輪100Lは、機体幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2鎮圧輪100Rは、機体幅方向の他方側(右側)に配置されている。
【0059】
第1鎮圧輪100L及び第2鎮圧輪100Rは、それぞれ機体幅方向に並んだ一対(2つ)の鎮圧輪から構成されている。第1鎮圧輪100Lの一対の鎮圧輪は、機体幅方向において、第1植付装置20Lの植付具80の左側と右側にそれぞれ配置されている。第2鎮圧輪100Rの一対の鎮圧輪は、機体幅方向において、第2植付装置20Rの植付具80の左側と右側にそれぞれ配置されている。
【0060】
第1鎮圧輪100Lは、第1ブラケット101Lを介して第1支持体21Lに支持されている。第2鎮圧輪100Rは、第2ブラケット101Rを介して第2支持体21Rに支持されている。第1支持体21L等による第1鎮圧輪100Lの支持構造と、第2支持体21R等による第2鎮圧輪100Rの支持構造は、機体幅方向の中心を挟んで対称形である以外は同じである。以下の説明において、第1支持体21Lと第2支持体21Rとをまとめて説明する場合には、支持体21という。
【0061】
鎮圧輪100は、第1植付装置20L及び第2植付装置20Rにより植え付けられた苗の側方(左方及び右方)の土を鎮圧するとともに、苗に向けて土を寄せて苗の根元に覆せるための車輪であって、覆土輪ともいう。鎮圧輪100は、圃場の地面(植付面)に接地し、地面(植付面)の起伏に追従して上下動する接地輪である。そのため、以下の説明において、鎮圧輪を「接地輪」という場合がある。具体的には、鎮圧輪100を「接地輪100」、第1鎮圧輪100Lを「第1接地輪100L」、第2鎮圧輪100Rを「第2接地輪100R」という場合がある。
【0062】
図16に示すように、支持体21は、L字形に屈曲しており、前後方向に延びる部分と、機体幅方向に延びる部分を有する。前後方向に延びる部分の前端部は、支持筒102に取り付けられている。機体幅方向に延びる部分には、第1ブラケット101L又は第2ブラケット101Rを介して鎮圧輪100が取り付けられている。支持筒102には、機体幅方向に延びる軸体103が挿通されている。支持筒102は、軸体103回りに回動可
能である。
【0063】
図8、
図16に示すように、支持筒102は、可動軸65に取り付けられている。可動軸65は、固定軸60に対して揺動可能であり且つ機体幅方向に延びている。可動軸65は、第1鎮圧輪(第1接地輪)100Lと連動可能に接続された第1可動軸65Lと、第2鎮圧輪(第2接地輪)101Rと連動可能に接続された第2可動軸65Rとを含む。
第1可動軸65L及び第2可動軸65Rは、機体幅方向に延びている。第1可動軸65Lは、機体幅方向の中心よりも左側に配置されている。第2可動軸65Rは、機体幅方向の中心よりも右側に配置されている。
【0064】
図8、
図9、
図16に示すように、支持筒102は、第1支持体21Lに取り付けられた第1支持筒102Lと、第2支持体21Rに取り付けられた第2支持筒102Rとを含む。
図16に示すように、第1支持筒102Lは、第1連係機構200Lを介して第1可動軸65Lに取り付けられている。第2支持筒102Rは、第2連係機構200Rを介して第2可動軸65Rに取り付けられている。
【0065】
図16等に示すように、第1連係機構200Lは、第1支持筒102Lと第1可動軸65Lとを連携している。第2連係機構200Rは、第2支持筒102Rと第2可動軸65Rとを連携している。第1連係機構200Lは、上部材201L、下部材202L、中間部材203Lを有する。第2連係機構200Rは、上部材201R、下部材202R、中間部材203Rを有する。
【0066】
上部材201Lは、第1可動軸65Lに係止されている。下部材202Lは、第1支持筒102Lに取り付けられている。中間部材203Lは、上部材201Lと下部材202Lとを接続している。上部材201Rは、第2可動軸65Rに係止されている。下部材202Rは、第2支持筒102Rに取り付けられている。中間部材203Rは、上部材201Rと下部材202Rとを接続している。上部材201Lは、第1可動軸65Lに沿って機体幅方向に移動可能である。上部材201Rは、第2可動軸65Rに沿って機体幅方向に移動可能である。
【0067】
第1可動軸65Lの右部には、第1板204Lが固定されている。第2可動軸65Rの左部には、第2板204Rが固定されている。
図20に示すように、第1板204Lは、一方取付部204Laと他方取付部204Lbとを有する。一方取付部204Laと他方取付部204Lbとは、第1可動軸65Lを挟んで互いに反対側に配置されている。第2板204Rは、一方取付部204Raと他方取付部204Rbとを有する。一方取付部204Raと他方取付部204Rbとは、第2可動軸65Rを挟んで互いに反対側に配置されている。
【0068】
一方取付部204La及び一方取付部204Raは、枢軸205によって支持部材206に枢支されている。
図8に示すように、支持部材206は、保持部材207を介して固定軸60に取り付けられている。第1板204Lと第2板204Rは、枢軸205回りに揺動可能である。第1板204Lの揺動に伴って第1可動軸65Lが移動し、第2板204Rの揺動に伴って第2可動軸65Rが移動する。第1板204Lと第2板204Rとは、互いに独立して揺動可能である。そのため、第1可動軸65Lと第2可動軸65Rとは、互いに独立して移動可能である。
【0069】
第1鎮圧輪(第1接地輪)100Lが地面(植付面)の起伏に追従して昇降すると、この昇降が第1連係機構200Lを介して第1可動軸65Lに伝達され、第1可動軸65Lが第1板204Lと共に枢軸205回りに揺動する。
第1鎮圧輪100Lが上昇すると、第1板204Lは、他方取付部204Lbが前方に移動し且つ一方取付部204Laが後方に移動するように揺動する。第1鎮圧輪100Lが下降すると、第1板204Lは、他方取付部204Lbが後方に移動し且つ一方取付部204Laが前方に移動するように揺動する。この第1板204Lの揺動に伴って、第1板204Lに取り付けられた第1可動軸65Lも揺動する。
【0070】
第2鎮圧輪(第2接地輪)100Rが地面(植付面)の起伏に追従して昇降すると、この昇降が第2連係機構200Rを介して第2可動軸65Rに伝達され、第2可動軸65Rが第2板204Rと共に枢軸205回りに揺動する。具体的には、第2鎮圧輪100Rが
上昇すると、第2板204Rは、他方取付部204Rbが前方に移動し且つ一方取付部204Raが後方に移動するように揺動する。第2鎮圧輪100Rが下降すると、第2板204Rは、他方取付部204Rbが後方に移動し且つ一方取付部204Raが前方に移動するように揺動する。この第2板204Rの揺動に伴って、第2板204Rに取り付けられた第2可動軸65Rも揺動する。
【0071】
図8、
図9に示すように、支持体21が取り付けられた支持筒102は、接続部材112により取付体81の伝動機構支持部材85と接続されている。つまり、支持体21は、支持筒102及び接続部材112を介して取付体81に取り付けられている。第1支持体21Lは第1取付体81Lに取り付けられており、第2支持体21Rは第2取付体81Rに取り付けられている。第1支持体21Lは、第1取付体81Lと共に駆動シャフト77に沿って機体幅方向に移動可能である。第2支持体21Rは、第2取付体81Rと共に駆動シャフト77に沿って機体幅方向に移動可能である。
【0072】
第1連係機構200Lは、第1支持体21L及び第1取付体81Lの移動に伴って、第1可動軸65Lに沿って機体幅方向に移動可能である。第2連係機構200Rは、第2支持体21R及び第2取付体81Rの移動に伴って、第2可動軸65Rに沿って機体幅方向に移動可能である。第1連係機構200Lを機体幅方向に移動させることによって、第1鎮圧輪(第1接地輪)100Lの機体幅方向の位置を調整することができる。第2連係機構200Rを機体幅方向に移動させることによって、第2鎮圧輪(第2接地輪)100Rの機体幅方向の位置を調整することができる。
【0073】
<機体制御機構>
移植機1は、機体2の高さや姿勢を制御する機体制御機構を備えている。
機体制御機構は、昇降機構と揺動機構とを含む。昇降機構は、機体2の植付面からの高さを一定に維持するように車輪(前輪、後輪)に対する機体2の高さを変動させる機構である。揺動機構は、機体2の左部と右部の植付面からの高さの差を減少させるように機体を前後方向の軸心回りに揺動させる機構である。昇降機構と揺動機構とは、構成要素(部品)の一部が共通している。
【0074】
最初に、昇降機構及び揺動機構の基本構成について説明する。
先ず、昇降機構の基本構成について説明する。
昇降機構は、伸縮駆動によって機体2の高さを変動させる昇降シリンダ14(
図17参照)を備えている。昇降シリンダ14は、機体フレーム13に取り付けられている。昇降シリンダ14は、油圧シリンダから構成されている。昇降シリンダ14は、作動油が流通する油圧ホースを介して昇降制御バルブ(図示略)と接続されている。昇降シリンダ14は、昇降制御バルブのスプールを操作して、昇降シリンダ14に供給される作動油の流れを切り替えることによって伸縮動作する。
【0075】
図17に示すように、昇降シリンダ14は、前後方向に伸縮(進退)するシリンダ軸14aを有する。昇降シリンダ14のシリンダ軸14aの先端には、第1作動軸22が接続されている。第1作動軸22は、機体幅方向に延びている。
図17、
図18、
図19に示すように、第1作動軸22の一端側(左端側)と他端側(右側)には、それぞれ第1作動板23が取り付けられている。第1作動板23は、昇降シリンダ14のシリンダ軸14aの伸縮に伴って前後方向(白抜き矢印方向)に移動する。第1作動板23には、機体幅方向に延びる第2作動軸24が取り付けられている。第2作動軸24には、連結杆25の一端部が枢着されている。連結杆25の他端部は、第1軸体26を介して連結板27と連結されている。連結板27は、機体幅方向に延びる筒体28の外周面に固定されている。筒体28の機体外方側の端部には、後述する第1内筒262を介して、後輪4L,4Rを支持する車輪支持体7L,7Rの上部が連結されている。連結板27には、第1軸体26を介して前輪支持機構30が連結されている。
【0076】
前輪支持機構30は、前輪3Lを支持する前輪支持機構30Lと、前輪3Rを支持する前輪支持機構30Rと、を含む。
前輪支持機構30は、第1部材31、第2部材32、前輪支持アーム6を有する。第1部材31は、一端側が第1軸体26に枢支され、他端側が第2軸体34を介して第2部材
32と連結されている。第2部材32は、一端側が第2軸体34に枢支され、他端側が第3軸体35と連結されている。前輪支持アーム6は、一端側が第3軸体35と連結され、他端側に前輪3L,3Rが取り付けられている。
【0077】
図18、
図19、
図1~
図4は、車輪に対する機体2の高さが最も高い状態、言い換えれば、機体2の地面(植付面)からの高さが最も高い状態を示している。この状態から、昇降シリンダ14を伸長させると、第1作動軸22が前方に移動する(
図18の矢印X1参照)。これに伴って、連結杆25が後方に移動し(矢印X2参照)、連結板27と共に筒体28が回転する(矢印X3参照)。これにより、車輪支持体7L,7Rが筒体28を中心に回転し、車輪支持体7L,7Rの下部に取り付けられた後輪4L,4Rが上昇しながら後方に移動する(矢印X4参照)。また、連結板27の回転に伴う前輪支持機構30の移動によって、前輪3L,3Rが上昇しながら前方に移動する(矢印X5参照)。このように、昇降シリンダ14が伸長すると、前輪3L,3Rが上昇しながら前方に移動し、後輪4L,4Rが上昇しながら後方に移動する。これによって、前輪3L,3Rと後輪4L,4Rとの前後方向の距離が長くなるとともに、車輪(前輪、後輪)に対して機体2が下降する。その結果、機体2の地面(植付面)からの高さが低くなる。
【0078】
また、機体2が下降した状態から、昇降シリンダ14を短縮させると、第1作動軸22が後方に移動する(矢印X6参照)。これに伴って、連結杆25が前方に移動し、連結板27と共に筒体28が矢印X3と反対方向に回転する。これにより、車輪支持体7L,7Rが筒体28を中心に矢印X3と反対方向に回転し、車輪支持体7L,7Rの下部に取り付けられた後輪4L,4Rが下降しながら前方に移動する。また、連結板27の回転に伴う前輪支持機構30の移動によって、前輪3L,3Rが下降しながら後方に移動する。このように、昇降シリンダ14が短縮すると、前輪3L,3Rが下降しながら後方に移動し、後輪4L,4Rが下降しながら前方に移動する。これによって、前輪3L,3Rと後輪4L,4Rとの前後方向の距離が短くなるとともに、車輪(前輪、後輪)に対して機体2が上昇する。その結果、機体2の地面からの高さが高くなる。
【0079】
尚、上述した実施形態の場合、昇降シリンダ14の伸長によって機体2が下降し、昇降シリンダ14の短縮によって機体2が上昇するように構成しているが、昇降シリンダ14の伸長によって機体2が上昇し、昇降シリンダ14の短縮によって機体2が下降するように構成してもよい。
昇降機構は、植付面(植付具80によって苗が植え付けられる面、例えば畝の上面)からの機体2の高さを一定に維持するように、車輪(前輪、後輪)に対する機体2の高さを変動させる。具体的には、植付面の起伏に追従して上下動する鎮圧輪(接地輪)100の高さの変動に連動して昇降シリンダ14が伸縮して機体2を昇降させる。これにより、植付面に起伏があっても、機体2の植付面からの高さ(具体的には、第1植付装置20L及び第2植付装置20Rの植付具80の植付面からの高さ)を略一定に維持することができる。
【0080】
次に、揺動機構の基本構成について説明する。
揺動機構は、伸縮駆動によって機体2を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動シリンダ36を備えている。
図17、
図18に示すように、揺動シリンダ36は、機体フレーム13の一側方側(本実施形態の場合、左側)に取り付けられている。揺動シリンダ36は、斜め前上方に向けて配置されて伸縮(進退)するシリンダ軸36aを有する。揺動シリンダ36は、油圧シリンダから構成されている。揺動シリンダ36は、作動油が流通する油圧ホースを介して揺動制御バルブ(図示略)と接続されている。揺動シリンダ36は、揺動制御バルブのスプールを操作して、揺動シリンダ36に供給される作動油の流れを切り替えることによって伸縮動作する。
【0081】
図17、
図18に示すように、揺動シリンダ36のシリンダ軸36aの先端には、第3作動軸37が接続されている。第3作動軸37は、機体幅方向に延びている。第3作動軸37には、第2作動板38が取り付けられている。第2作動板38には、第1作動軸22及び第2作動軸24も取り付けられている。第1作動軸22、第2作動軸24、第3作動軸37は、互いに平行に配置されている。また、第1作動軸22、第2作動軸24、第3
作動軸37は、側面視において逆三角形状に配置されている。
【0082】
図18、
図19に示すように、機体2の一側方側(左側)と他側方側(右側)とでは、第1作動板23に対する第1作動軸22と第2作動軸24の位置関係と、第1作動板23に対する連結杆25の位置関係が異なっている。具体的には、
図18に示すように、機体2の一側方側(左側)では、第1作動軸22は第1作動板23の下部に接続され、第2作動軸24は第1作動板23の上部に接続されている。また、連結杆25は、第1作動板23の上部に連結されている。
図19に示すように、機体2の他側方側(右側)では、第1作動軸22は第1作動板23の上部に接続され、第2作動軸24は第1作動板23の下部に接続されている。また、連結杆25は、第1作動板23の下部に連結されている。
【0083】
そのため、機体2の一側方側と他側方側とでは、揺動シリンダ36の伸縮に伴う第1作動板23及び連結杆25の動きの方向が異なる。具体的には、揺動シリンダ36を短縮させると、
図18に示すように、機体2の一側方側では、第1作動板23の上部が後方に向けて回動し(矢印X7参照)、連結杆25は後方に向けて移動する(矢印X2参照)。そのため、筒体28は、連結板27と共に矢印X3方向に回転する。一方、機体2の他側方側では、
図19に示すように、第1作動板23の下部が前方に向けて回動し(矢印X8参照)、連結杆25は前方に向けて移動する(矢印X9参照)。そのため、筒体28は、連結板27と共に矢印X10方向に回転する。
【0084】
これにより、機体2の一側方側では、前輪3L,3Rが上昇しながら前方に移動し、後輪4L,4Rが上昇しながら後方に移動する。これによって、前輪3L,3Rと後輪4L,4Rとの前後方向の距離が長くなるとともに、車輪に対して機体2が下降する。一方、機体2の他側方側では、前輪3L,3Rが下降しながら後方に移動し、後輪4L,4Rが下降しながら前方に移動する。これによって、前輪3L,3Rと後輪4L,4Rとの前後方向の距離が短くなるとともに、車輪に対して機体2が上昇する。その結果、植付面からの機体2の高さは、機体2の一側方側では低くなって他側方側では高くなる。
【0085】
また、揺動シリンダ36を伸長させると、機体2の一側方側の動きと他側方側の動きが、揺動シリンダ36を短縮させた場合とは反対の動きとなる。そのため、植付面からの機体2の高さは、機体2の一側方側では高くなって他側方側では低くなる。
このように、揺動シリンダ36の伸縮によって、機体2の左部の地面からの高さと右部の地面からの高さのバランスが変化する。別の言い方をすれば、揺動シリンダ36の伸縮によって、機体2が前後方向の軸心回りに揺動する。
【0086】
尚、上述した実施形態の場合、揺動シリンダ36の伸長によって機体2の左部が上昇して右部が下降し、揺動シリンダ36の短縮によって機体2の右部が上昇して左部が下降するように構成しているが、揺動シリンダ36の短縮によって機体2の左部が上昇して右部が下降し、揺動シリンダ36の伸長によって機体2の右部が上昇して左部が下降するように構成してもよい。
【0087】
揺動機構は、機体2の左部と右部の植付面からの高さの差を減少させるように機体2を前後方向の軸心回りに揺動させる。つまり、揺動機構は、第1植付装置20Lの植付具80の植付面からの高さと、第2植付装置20Rの植付具80の植付面からの高さとの差を減少させる方向に、機体2を前後方向の軸心回りに揺動させる。これにより、植付面が傾斜している(植付面の左部と右部の高さが異なる)場合であっても、第1植付装置20Lの植付具80の植付面からの高さと、第2植付装置20Rの植付具80の植付面からの高さとを同じ高さに維持することができ、苗の植付深さを一定とすることが可能となる。
【0088】
以下、昇降機構及び揺動機構の構成について、より詳しく説明する。
図20、
図21、
図22は、昇降機構及び揺動機構を含む機体制御機構の要部を示している。
昇降機構は、上述した昇降シリンダ14と、支点軸180、第1移動部材181、第2移動部材182、連結部材183、横軸184、昇降シリンダ駆動機構185を備えている。揺動機構は、上述した揺動シリンダ36と、支点軸180、第1移動部材181、第2移動部材182、連結部材183、揺動シリンダ駆動機構186を備えている。
【0089】
支点軸180は、上下方向に延びている。支点軸180は、筒体187の内部を貫通し
て設けられている。筒体187は、支点軸180の軸心回りに回転可能である。支点軸180の下端部には、機体幅方向に延びる横軸184が固定されている。支点軸180は、横軸184を支点として傾動が可能である。具体的には、支点軸180は、横軸184を支点として、前方に傾動する動き(支点軸180の上部が前方に移動する動き)と、後方に傾動する動き(支点軸180の上部が後方に移動する動き)とが可能である。
【0090】
筒体187の外周面には、連結部材183が固定されている。連結部材183は、板189を介して筒体187の外周面に固定されている。板189は筒体187の外周面に固定されており、連結部材183は板189の表面に固定されている。但し、連結部材183は、筒体187の外周面に直接的に固定されていてもよい。連結部材183は、機体幅方向(左右方向)に延びており、機体幅方向の中心が筒体187に固定されている。
【0091】
連結部材183は、支点軸180回りに揺動可能である。具体的には、連結部材183は、筒体187が支点軸180回りの一方に回転したときは、筒体187と共に支点軸180回りの一方に回転し(
図22の矢印Y1参照)、筒体187が支点軸180回りの他方に回転したときは、筒体187と共に支点軸180回りの他方に回転する(
図22の矢印Y2参照)。つまり、連結部材183は、支点軸180を支点としてシーソーのように揺動可能である。
【0092】
連結部材183は、筒体187の上部に固定されており、横軸184よりも上方に位置している。連結部材183は、支点軸180が横軸184を支点として前方に傾動したとき、この動きに伴って前方に移動する。また、支点軸180が横軸184を支点として後方に傾動したとき、この動きに伴って後方に移動する。
第1移動部材181は、支点軸180の左側に配置されている。第2移動部材182は、支点軸180の右側に配置されている。第1移動部材181と第2移動部材182は、互いに平行に配置されて、前後方向に延びている。第1移動部材181と第2移動部材182とは、連結部材183により連結されている。連結部材183は、第1移動部材181の後部と第2移動部材182の後部とを連結している。
【0093】
第1移動部材181の前部と第2移動部材182の後部とは、第1引っ張りばね190により連結されている。第1移動部材181の後部と第2移動部材182の前部とは、第2引っ張りばね191により連結されている。第1引っ張りばね190と第2引っ張りばね191は、第1移動部材181と第2移動部材182との前後方向の位置が同じとなるように、第1移動部材181と第2移動部材182に対して引っ張り力を付与している。第1移動部材181と第2移動部材182は、移動していないときの状態(初期状態)において、前後方向の位置が同じである。第1引っ張りばね190と第2引っ張りばね191は、第1移動部材181と第2移動部材182とが初期状態の位置に戻るための力を付与している。
【0094】
第1移動部材181は、第1接地輪(第1鎮圧輪)100Lと連動可能に接続された第1可動軸65Lの移動に伴って移動する。第2移動部材182は、第2接地輪(第2鎮圧輪)100Rと連動可能に接続された第2可動軸65Rの移動に伴って移動する。第1移動部材181は、第1可動軸65Lの移動(揺動)に伴って移動する。第2移動部材182は、第2可動軸65Rの移動(揺動)に伴って移動する。
【0095】
図8、
図16に示すように、第1接地輪100Lと第1可動軸65Lとは、第1連動体192Lを介して連結されている。第1連動体192Lは、上述した第1連係機構200Lの一部と、第1ブラケット101L、第1支持体21Lから構成されている。具体的には、第1連動体192Lは、上部材201L、下部材202L、中間部材203L、第1ブラケット101L、第1支持体21Lから構成されている。
【0096】
図8に示すように、第2接地輪100Rと第2可動軸65Rとは、第2連動体192Rを介して連結されている。第2連動体192Rは、上述した第2連係機構200Rの一部と、第2ブラケット101R、第2支持体21Rから構成されている。具体的には、第2連動体192Rは、上部材201R、下部材202R、中間部材203R、第2ブラケット101R、第2支持体21Rから構成されている。
【0097】
図20、
図21、
図22等に示すように、第1移動部材181の前部は、第1枢軸19
3Lを介して第1板204Lの他方取付部204Lbに枢支されている。第2移動部材182の前部は、第2枢軸193Rを介して第2板204Rの他方取付部204Rbに枢支されている。
上記構成によって、第1接地輪100Lが昇降すると、第1板204L及び第1可動軸65Lが枢軸205を支点として揺動し、第1移動部材181が前後方向に移動する。また、第2接地輪100Rが昇降すると、第2板204R及び第2可動軸65Rが枢軸205を支点として揺動し、第2移動部材182が前後方向に移動する。
【0098】
第1移動部材181は、第1接地輪100Lが上昇すると前方に移動し、第1接地輪100Lが下降すると後方に移動する。第2移動部材182は、第2接地輪100Rが上昇すると前方に移動し、第2接地輪100Rが下降すると後方に移動する。第1移動部材181は、第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量に基づいて前後方向に移動する。第2移動部材182は、第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量に基づいて前後方向に移動する。
【0099】
連結部材183は、第1移動部材181の移動量である第1移動量と第2移動部材182の移動量である第2移動量との差に基づいて支点軸180(
図21、
図22、
図20等参照)回りに揺動する(
図22の矢印Y1,Y2参照)。支点軸180は、第1移動量と第2移動量との平均値に基づいて横軸184を支点として傾動する。以下、これらの動作について説明する。
【0100】
第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量が、第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量よりも大きい場合(例えば、第1接地輪100Lの上昇量が第2接地輪100Rの上昇量より大きい場合)、第1移動部材181の移動量である第1移動量D1が、第2移動部材182の移動量である第2移動量D2よりも大きくなる。この場合、連結部材183は、第1移動量と第2移動量との差(第1移動量-第2移動量)に基づいて、支点軸180回りの一方に回転する(
図26の矢印Y2参照)。具体的には、連結部材183は、第1移動量と第2移動量のうち移動量が大きい側である第1移動部材181側(左側)が、移動量が小さい側である第2移動部材182側(右側)よりも大きく移動するため、この移動量の差に基づく角度だけ回転する。また、
図26の矢印Z1及び
図27の矢印Z2に示すように、支点軸180は、第1移動量と第2移動量との平均値に基づいて横軸184を支点として傾動する。
図28は、第1移動量D1、第2移動量D2、支点軸180の傾動量D3の関係を示している。例えば、第1移動量D1が20mm、第2移動量D2が10mmであるとき、支点軸180の傾動量D3は(10+20)/2=15mmとなる。また、連結部材183の回転量(回転の角度)は、第1移動量と第2移動量との差(D2-D1)に基づく回転量となる。
【0101】
第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量が、第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量よりも大きい場合(例えば、第2接地輪100Rの上昇量が第1接地輪100Lの上昇量より大きい場合)、第2移動量D2が第1移動量D1よりも大きくなる。この場合、連結部材183は、第1移動量と第2移動量との差(第2移動量-第1移動量)に基づいて、支点軸180回りの他方に回転する(
図29の矢印Y1参照)。具体的には、連結部材183は、第1移動量D1と第2移動量D2のうち移動量が大きい側である第2移動部材182側(右側)が、移動量が小さい側である第1移動部材181側(左側)よりも大きく移動するため、この移動量の差に基づく角度だけ回転する。また、
図29の矢印Z2及び
図27の矢印Z2に示すように、支点軸180は、第1移動量と第2移動量との平均値に基づいて横軸184を支点として傾動する。
【0102】
第1移動量D1と第2移動量D2との差が無い場合(例えば、第2接地輪100Rの上昇量と第1接地輪100Lの上昇量とが同じ場合)、
図30に示すように、連結部材183は、支点軸180回りに回転しない。また、
図30の矢印Z3及び
図27の矢印Z2に示すように、支点軸180は、第1移動量D1と第2移動量D2との平均値(=D1,D2)に基づいて横軸184を支点として傾動する。
【0103】
図26、
図27、
図29、
図30に示したように、第1移動部材181の移動方向と第2移動部材182の移動方向とが共に前方である場合、連結部材183は前方に移動し、
支点軸180は横軸184を支点として前方に傾動する。一方、
図31、
図32に示すように、第1移動部材181の移動方向と第2移動部材182の移動方向とが共に後方である場合、連結部材183は後方に移動し(矢印Z4参照)、支点軸180は横軸184を支点として後方に傾動する(矢印Z5参照)。このように、第1移動部材181の移動方向と第2移動部材182の移動方向とが同じである場合、連結部材183は第1移動部材181及び第2移動部材182の移動方向と同じ方向である前方又は後方に移動し、支点軸180は横軸184を支点として当該同じ方向に傾動する。
【0104】
図33に示すように、第1移動部材181の移動方向と第2移動部材182の移動方向とが異なり且つ第1移動量D1と第2移動量D2との差が無い場合(例えば、第1移動部材181が前方に20mm移動し、第2移動部材182が後方に20mm移動した場合)、連結部材183は前方又は後方に移動せずに、その場で支点軸180回りに揺動する(矢印Y1参照)。この場合、支点軸180は傾動しない。
【0105】
図34に示すように、第1移動部材181の移動方向と第2移動部材182の移動方向とが異なり且つ第1移動量D1と第2移動量D2とに差が有る場合、連結部材183は第1移動量D1と第2移動量D2との差に基づいて前方又は後方に移動し、支点軸180は横軸184を支点として傾動する。具体的には、連結部材183は移動量の絶対値が大きい方の移動方向に移動し(
図34の矢印Z6参照)、支点軸180は移動量の絶対値が大きい方の移動方向に傾動する(
図27の矢印Z2参照)。例えば、第1移動部材181が前方に20mm移動し、第2移動部材182が後方に10mm移動した場合、連結部材183は前方に移動し、支点軸180は前方に傾動する。
【0106】
また、この場合、連結部材183は、第1移動量D1と第2移動量D2との差に基づいて、支点軸180回りに回転する(
図34の矢印Y1参照)。この場合、第1移動量D1と第2移動量D2は、互いに反対の移動方向の移動量であるため、第1移動量D1と第2移動量D2との差を算出するに当たっては、正負が逆の値として扱う。例えば、第1移動部材181が前方に20mm移動し、第2移動部材182が後方に10mm移動した場合、移動量の差は20-(-10)=30と算出され、連結部材183は、この移動量の差に基づく角度だけ回転する。
【0107】
図20、
図21、
図22、
図35等に示すように、揺動シリンダ駆動機構186は、上述した横軸184と、第1回動部材194L、第2回動部材194R、第1ワイヤ195L、第2ワイヤ195R、レバー196、第1連動機構197を備えている。昇降シリンダ駆動機構185は、回動体198、第1回動部材194L、第2回動部材194R、第2連動機構199を備えている。揺動シリンダ駆動機構186と昇降シリンダ駆動機構185とは、構成要素(部品)の一部が共通している。
【0108】
第1回動部材194Lと第2回動部材194Rとは同じ形状であって、機体幅方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。第1回動部材194Lは、連結部材183の左部に接続されている。第2回動部材194Rは、連結部材183の右部に接続されている。第1回動部材194L及び第2回動部材194Rには、横軸184が貫通されている。第1回動部材194L及び第2回動部材194Rは、側面視にて略V字形状である。第1回動部材194L及び第2回動部材194Rは、横軸184が貫通した部分から斜め上前方に延びる前方部位194aと、横軸184が貫通した部分から斜め上後方に延びる後方部位194bとを有する。
【0109】
第1回動部材194Lの前方部位194aには、接続具175Lを介して第1ワイヤ195Lの一端部が接続されている。第2回動部材194Rの前方部位194aには、接続具175Rを介して第2ワイヤ195Rの一端部が接続されている。第1ワイヤ195L及び第2ワイヤ195Rは、アウタワイヤ(図示略)とインナワイヤとから構成されている。インナワイヤはアウタワイヤの内部を貫通している。アウタワイヤは移動不能に固定されており、インナワイヤはアウタワイヤに対してスライドして移動可能である。接続具175L,175Rには、インナワイヤの一端部が固定されている。
【0110】
図21に示すように、第1回動部材194Lの後方部位194bには第1長孔194cが形成されており、連結部材183の左部は第1長孔194cに挿入されて後方部位19
4bに接続されている。第2回動部材194Rの後方部位194bには第2長孔194dが形成されており、連結部材183の右部は第2長孔194dに挿入されて後方部位194bに接続されている。連結部材183の左部は、第1長孔194cの範囲内で移動することができる。連結部材183の右部は、第2長孔194dの範囲内で移動することができる。これにより、連結部材183が支点軸180回りに回転した状態(斜めの状態)で、移動部材181,182が移動した場合に、連結部材183と第1回動部材194L又は第2回動部材194Rとがこじれることを防止している。
【0111】
第1回動部材194L及び第2回動部材194Rは、それぞれ横軸184回りに回動可能である。第1回動部材194Lは、第1移動部材181の移動に伴う連結部材183の左部の移動によって横軸184回りに回動する。第1回動部材194Lは、第1移動部材181の移動量である第1移動量に基づいて横軸184回りに回動する。第2回動部材194Rは、第2移動部材182の移動に伴う連結部材183の右部の移動によって横軸184回りに回動する。第2回動部材194Rは、第2移動部材182の移動量である第2移動量に基づいて横軸184回りに回動する。
【0112】
第1ワイヤ195L(詳しくは、第1ワイヤ195Lのインナワイヤ)は、第1回動部材194Lの回動に伴って移動する。第1ワイヤ195Lは、第1回動部材194Lの回動量に基づいて移動する。第1ワイヤ195Lの移動量は、第1回動部材194Lの回動量が大きいときには大きく、第1回動部材194Lの回動量が小さいときには小さい。第1ワイヤ195Lの移動量は、第1移動部材181の移動量が大きいときには大きく、第1移動部材181の移動量が小さいときには小さい。
【0113】
第2ワイヤ195R(詳しくは、第2ワイヤ195Rのインナワイヤ)は、第2回動部材194Rの回動に伴って移動する。第2ワイヤ195Rは、第2回動部材194Rの回動量に基づいて移動する。第2ワイヤ195Rの移動量は、第2回動部材194Rの回動量が大きいときには大きく、第2回動部材194Rの回動量が小さいときには小さい。第2ワイヤ195Rの移動量は、第2移動部材182の移動量が大きいときには大きく、第2移動部材182の移動量が小さいときには小さい。
【0114】
回動体198は、上述した昇降制御バルブ(図示略)のスプールと接続されている。回動体198と第1回動部材194L及び第2回動部材194Rとは、第2連動機構199を介して連結されている。第2連動機構199は、第1回動部材194L及び第2回動部材194Rの回動と連動させて回動体198を回動させる機構である。第2連動機構199は、第1回動部材194Lの回動量と第2回動部材194Rの回動量の平均値に基づいて回動体198を回動させる。第1回動部材194Lの回動量は第1移動部材181の移動量に基づいて定まり、第2回動部材194Rの回動量は第2移動部材182の移動量に基づいて定まる。そのため、第2連動機構199は、第1移動部材181の移動量と第2移動部材182の移動量の平均値に基づいて回動体198を回動させる。
【0115】
第2連動機構199は、横軸184と、前部杆178及び後部杆179を有する。前部杆178の前端部は、横軸184の一端部(左端部)と接続されている。前部杆178の後端部は、前枢軸177を介して後部杆179の前端部に対して枢支されている。後部杆179の後端部は、後枢軸176を介して回動体198と接続されている。
回動体198は、昇降制御バルブのスプールと接続された接続部198aを支点として、第1方向(
図20の矢印H1方向)と第2方向(
図20の矢印H2方向)とに回動可能である。回動体198が回動することによって、昇降制御バルブのスプールを操作して昇降シリンダ14を伸縮させることができる。具体的には、回動体198が第1方向に回動すると昇降シリンダ14が伸長し、第2方向に回動すると昇降シリンダ14が短縮する。但し、必要に応じて、回動体198が第2方向に回動すると昇降シリンダ14が伸長し、第1方向に回動すると昇降シリンダ14が短縮するように構成してもよい。
【0116】
回動体198は、支点軸180の傾動に起因して回動する。上述した作用によって支点軸180が傾動すると、横軸184が当該横軸184の中心軸回り(機体幅方向の軸心回り)に回転する。詳しくは、支点軸180が前方に傾動すると、横軸184は、矢印S1方向に回転する。この回転は、前部杆178と後部杆179を介して回動体198に伝達
され、回動体198は第2方向H2に回動する。支点軸180が後方に傾動すると、横軸184は、矢印S2方向に回転する。この回転は、前部杆178と後部杆179を介して回動体198に伝達され、回動体198は第1方向H1に回動する。
【0117】
上述したように、支点軸180が前方に傾動するのは、第1移動部材181と第2移動部材182とが共に前方に移動する場合、または、第1移動部材181と第2移動部材182の移動方向が異なり且つ前方への移動量が後方への移動量よりも大きい場合である。第1移動部材181及び第2移動部材182の前方への移動は、植付面に接地する接地輪100が上昇したときに生じることから、支点軸180の前方への傾動は、植付面に対して機体2が全体として下降している場合に生じる。「全体として下降」の意味は、機体2の左部と右部が共に下降した場合と、機体2の一側方側の下降量が他側方側の上昇量よりも大きい場合とを含む意味である。
【0118】
また、支点軸180が後方に傾動するのは、第1移動部材181と第2移動部材182とが共に後方に移動する場合、または、第1移動部材181と第2移動部材182の移動方向が異なり且つ後方への移動量が前方への移動量よりも大きい場合である。第1移動部材181及び第2移動部材182の後方への移動は、植付面に接地する接地輪100が下降したときに生じることから、支点軸180の後方への傾動は、植付面に対して機体2が全体として上昇した場合に生じる。「全体として上昇」の意味は、機体2の左部と右部が共に上昇している場合と、機体2の一側方側の上昇量が他側方側の下降量よりも大きい場合とを含む意味である。
【0119】
植付面に対して機体2が全体として下降した場合(支点軸180が前方に傾動した場合)には、回動体198は第2方向H2に回動するため、昇降シリンダ14が短縮し、機体2を上昇させることができる。一方、植付面に対して機体2が全体として上昇した場合(支点軸180が後方に傾動した場合)には、回動体198は第1方向H1に回動するため、昇降シリンダ14が伸長し、機体2を下降させることができる。これにより、機体2の植付面からの高さを一定に維持することができる。
【0120】
昇降シリンダ14は、第1移動部材181の移動量である第1移動量と第2移動部材182の移動量である第2移動量との平均値が所定値以上となったときに作動するように構成されている。そのため、第1移動量と第2移動量との平均値が所定値以上となったときに、昇降シリンダ14が作動して機体2が上昇又は下降する。
図1、
図36に示すように、レバー196は、椅子11の前方に配置されている。詳しくは、レバー196は、椅子11の前方であって且つ苗供給部9の後方に配置されている。
図35の矢印W1,W2に示すように、レバー196は、第1方向(前方)と第2方向(後方)とに揺動可能である。レバー196の下端部は、上述した揺動制御バルブ(図示略)のスプールと接続されている。レバー196を揺動させることによって、揺動制御バルブのスプールを操作して揺動シリンダ36を伸縮させることができる。具体的には、レバー196を第1方向に揺動すると揺動シリンダ36が伸長し、第2方向に揺動すると揺動シリンダ36が短縮する。
【0121】
第1連動機構197は、第1ワイヤ195L及び第2ワイヤ195Rの移動とレバー196の揺動とを連動させる機構である。第1連動機構197は、第1ワイヤ195Lの移動量が第2ワイヤ195Rの移動量よりも大きいときはレバー196を第1方向に揺動し、第2ワイヤ195Rの移動量が第1ワイヤ195Lの移動量よりも大きいときはレバー196を第2方向に揺動し、第1ワイヤ195Lの移動量と第2ワイヤ195Rの移動量とが同じときはレバー196を揺動させない。
【0122】
第1接地輪100Lが接地する植付面の左部の高さが、第2接地輪100Rが接地する植付面の右部の高さよりも高くなると、第1接地輪100Lの上昇量が第2接地輪100Rの上昇量より大きくなり、第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量が、第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量よりも大きくなる。この場合、第1ワイヤ195Lの移動量が第2ワイヤ195Rの移動量よりも大きくなるため、レバー196は第1方向に揺動する。これにより、揺動シリンダ36が伸長し、機体2の左部が高くなって右部が低くなる。その結果、機体2の左部と右部の植付面からの高さの差が減少するため、第1植付装置20Lの植付面からの高さと第2植付装置20Rの植付面からの高さとを略同じとすることができる。
【0123】
第2接地輪100Rが接地する植付面の右部の高さが、第1接地輪100Lが接地する植付面の左部の高さよりも高くなると、第2接地輪100Rの上昇量が第1接地輪100Lの上昇量より大きくなり、第2変動量が第1変動量よりも大きくなる。この場合、第2ワイヤ195Rの移動量が第1ワイヤ195Lの移動量よりも大きくなるため、レバー196は第2方向に揺動する。これにより、揺動シリンダ36が短縮し、機体2の右部が高くなって左部が低くなる。その結果、機体2の左部と右部の植付面からの高さの差が減少するため、第1植付装置20Lの植付面からの高さと第2植付装置20Rの植付面からの高さとを略同じとすることができる。
【0124】
第1連動機構197の構成について、具体的に説明する。
図35、
図37、
図38、
図39、
図40に示すように、第1連動機構197は、ベース体210、カバー体211、連結体212、作動部213を有する。
ベース体210は、ベース板210aと、第1延在部210bと、第2延在部210cと、第3延在部210dとを有する。第1延在部210bは、ベース板210aの下部からカバー体211側(左側)に延びている。第2延在部210cは、ベース板210aの前下部からカバー体211側に延びている。第3延在部210dは、ベース板210aの後下部からカバー体211側に延びている。ベース板210aの上部には、第1上延部210eと第2上延部210fとが設けられている。第1上延部210eは、ベース板210aの前部において上方に延びている。第2上延部210fは、ベース板210aの後部において上方に延びている。第1上延部210eの上部と第2上延部210fの上部は、連結体212により連結されている。
【0125】
カバー体211は、カバー板211aと、前延在部211bと、後延在部211cと、を有する。カバー板211aは、ベース板210aと間隔をあけて対向して配置されている。前延在部211bは、カバー板211aの前下部からベース体210側(右側)に延びており、第1延在部210bに取り付けられている。後延在部211cは、カバー板211aの後下部からベース体210側に延びており、第2延在部210cに取り付けられている。カバー板211aの上部には、開口部211dが形成されている。
【0126】
作動部213は、ベース体210とカバー体211との間に形成される空間に配置されている。作動部213は、第1円板221、第2円板222、第3円板223、第4円板224、貫通軸225を有する。第1円板221、第2円板222、第3円板223、第4円板224は、機体幅方向に並んで互いに平行に配置されている。第1円板221、第2円板222、第3円板223、第4円板224の並び順は、カバー板211aに近い方から、第1円板221、第2円板222、第3円板223、第4円板224の順である。第1円板221、第2円板222、第3円板223、第4円板224の中心には、機体幅方向に延びる貫通軸225が貫通している。貫通軸225の一端側は、開口部211d内に配置されている。貫通軸225の他端側は、第1上延部210eと第2上延部210fとの間に配置されている。
【0127】
作動部213は、第1円筒226、第2円筒227、引っ張りばね228、第1作動体229、第2作動体230、第3作動体231、第4作動体232、第5作動体233、第6作動体234を有する。第1円筒226と第2円筒227は、例えばベアリングから構成されている。第1円筒226は、第1円板221と第2円板222との間に配置されている。第2円筒227は、第3円板223と第4円板224との間に配置されている。第1円筒226と第2円筒227は、貫通軸225の外周に嵌め入れられている。
【0128】
引っ張りばね228の上端部は、貫通軸225に係止されている。引っ張りばね228の下端部は、第1延在部210bに設けられた係止孔210gに係止されている。引っ張りばね228は、貫通軸225を下方に向けて引っ張っている。
第1作動体229と第2作動体230は、貫通軸225の一端側に配置されている。第3作動体231と第4作動体232は、貫通軸225の他端側に配置されている。第1作動体229と第2作動体230は、互いの中途部で交差するように配置されている。第3
作動体231と第4作動体232も、互いの中途部で交差するように配置されている。第1作動体229と第2作動体230とが交差する部分には、第1円筒226が載っている。第3作動体231と第4作動体232とが交差する部分には、第2円筒227が載っている。引っ張りばね228は、貫通軸225を下方に引っ張ることによって、第1円筒226と第2円筒227を上述の交差する部分に押し当てている。
【0129】
第5作動体233は、貫通軸225の前方において、第1作動体229及び第2作動体230と、第3作動体231及び第4作動体232との間に配置されている。第6作動体234は、貫通軸225の後方において、第1作動体229及び第2作動体230と、第3作動体231及び第4作動体232との間に配置されている。第1作動体229と第3作動体231(以下、「一方対229A」という)は、側面視方向(
図35の紙面垂直方向)にて重なる位置にあり、同期して同じ動きをする。第2作動体230と第4作動体232(以下、「他方対230A」という)は、側面視方向にて重なる位置にあり、同期して同じ動きをする。
【0130】
一方対229A(第1作動体229、第3作動体231)の前部は、前軸235の外周面に接続されている。他方対230A(第2作動体230、第4作動体232)の後部は、後軸236の外周面に接続されている。前軸235と後軸236は、前後方向に間隔をあけて、互いに平行に機体幅方向に延びている。
前軸235は、一端部がベース板210aの前部に接続され、他端部がカバー板211aの前部に接続されている。後軸236は、一端部がベース板210aの後部に接続され、他端部がカバー板211aの後部に接続されている。
【0131】
第5作動体233は、下部が前軸235の外周面に接続されており、前軸235から上方に延びている。第5作動体233の上部には、第1接続具237を介して第1ワイヤ195L(詳しくは、第1ワイヤ195Lのインナワイヤ)の他端部が接続されている。第6作動体234は、下部が後軸236の外周面に接続されており、後軸236から上方に延びている。第6作動体234の上部には、第2接続具238を介して第2ワイヤ195R(詳しくは、第2ワイヤ195Rのインナワイヤ)の他端部が接続されている。尚、
図38、
図39、
図40では、第2接続具238を省略している。
【0132】
ベース体210のカバー体211と反対側(右側)には、レバー196と切り替え部材240とが配置されている。切り替え部材240は、後述する切り替え機構の一部を構成している。切り替え部材240には、機体幅方向に延びる横長孔240aと、上下方向に延びる縦長孔240bとが形成されている。横長孔240aには、ノブボルト241の軸部が挿通されている。レバー196の長さ方向中途部には、ベース体210側に向けて延出された延出部196aが形成されている。延出部196aには、ノブボルト241の軸部が挿通される貫通孔が形成されるとともに、この貫通孔と同心のねじ孔を有するナットNT2が固着されている。ノブボルト241の軸部241aをナットNT2に螺合して締め付けることにより、レバー196と切り替え部材240とが固定される。ノブボルト241の締め付けを緩めることにより、レバー196と切り替え部材240との固定が解除される。
【0133】
図38の矢印V1に示すように、切り替え部材240は、機体幅方向に移動可能である。切り替え部材240は、レバー196と切り替え部材240との固定を解除することによって移動が可能となる。切り替え部材240がカバー体211側に移動したとき、縦長孔240bに貫通軸225の他端部が挿入される。切り替え部材240がカバー体211と反対側(カバー体211から離れる方向)に移動したとき、貫通軸225の他端部が縦長孔240bから離脱する。
【0134】
第1連動機構197は、第1ワイヤ195Lの移動量が第2ワイヤ195Rの移動量よりも大きいときはレバー196を第1方向に揺動し、第2ワイヤ195Rの移動量が第1ワイヤ195Lの移動量よりも大きいときはレバー196を第2方向に揺動し、第1ワイヤ195Lの移動量と第2ワイヤ195Rの移動量とが同じときはレバー196を揺動させない。
【0135】
以下、第1連動機構197の動作について、より詳しく説明する。
図41の矢印N1に示すように、第1接続具237が前方に引っ張られると、一方対229A(第1作動体229、第3作動体231)は、前軸235回りに回動して後部が上昇する。また、
図42の矢印N2に示すように、第2接続具238が後方に引っ張られると、他方対230A(第2作動体230、第4作動体232)は、後軸236回りに回動して前部が上昇する。
【0136】
第1ワイヤ195Lの移動量(引っ張り量)が第2ワイヤ195Rの移動量(引っ張り量)よりも大きいときは、第1接続具237が前方に引っ張られる量が、第2接続具238が後方に引っ張られる量に比べて大きくなる。そのため、
図41に示すように、一方対229A(第1作動体229、第3作動体231)の後部が他方対230A(第2作動体230、第4作動体232)の前部よりも高い位置となり、第1円筒226と第2円筒227が前方に移動し、貫通軸225も前方に移動する。これにより、貫通軸225が縦長孔240bの縁部を前方に押すため、レバー196は第1方向(前方)に揺動し、揺動シリンダ36が伸長する。
【0137】
第2ワイヤ195Rの移動量(引っ張り量)が第1ワイヤ195Lの移動量(引っ張り量)よりも大きいときは、第2接続具238が後方に引っ張られる量が、第1接続具237が前方に引っ張られる量に比べて大きくなる。そのため、
図42に示すように、他方対230A(第2作動体230、第4作動体232)の前部が一方対229A(第1作動体229、第3作動体231)の後部よりも高い位置となり、第1円筒226と第2円筒227が後方に移動し、貫通軸225も後方に移動する。これにより、貫通軸225が縦長孔240bの縁部を後方に押すため、レバー196は第2方向(後方)に揺動し、揺動シリンダ36が短縮する。
【0138】
図43に示すように、第1ワイヤ195Lの移動量(引っ張り量)と第2ワイヤ195Rの移動量(引っ張り量)とが同じときは、第1接続具237が前方に引っ張られる量と、第2接続具238が後方に引っ張られる量と同じとなる。この場合、一方対229A(第1作動体229、第2作動体230)と、他方対230A(第2作動体230、第3作動体231)とは、そのまま垂直上方に移動する。これにより、第1円筒226と第2円筒227も鉛直上方に移動し(矢印N3参照)、貫通軸225も垂直上方に移動する。すると、貫通軸225は縦長孔240bに沿って鉛直上方に移動するため、貫通軸225は縦長孔240bの縁部を前方にも後方にも押さない。そのため、貫通軸225の動きはレバー196には伝わらず、レバー196は第1方向にも第2方向にも揺動せず、揺動シリンダ36は動作しない。
【0139】
機体制御機構は、第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量と第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量とに基づいて、昇降機構と揺動機構の両方が作動する連動状態と、昇降機構と揺動機構のいずれか一方が作動する非連動状態とを切り替えることができる。
機体制御機構は、第1変動量と第2変動量とに差があり且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定量以上であるとき、連動状態に切り替える。
【0140】
第1移動部材181の移動量である第1移動量と第2移動部材182の移動量である第2移動量とに差がある場合、第1ワイヤ195Lの移動量と第2ワイヤ195Rの移動量とに差が生じ、揺動機構が作動する(揺動シリンダ36が作動する)。この場合において、第1移動量と第2移動量との平均値が所定値以上となったとき、昇降機構が作動する(昇降シリンダ14が作動する)。つまり、第1移動量と第2移動量とに差があって且つ第1移動量と第2移動量との平均値が所定値以上となったとき、揺動機構と昇降機構の両方が作動する連動状態となる。第1移動量は第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量によって定まり、第2移動量は第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量によって定まる。そのため、第1変動量と第2変動量とに差があって且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定値以上となったとき、揺動機構と昇降機構の両方が作動する連動状態となる。
【0141】
非連動状態は、昇降機構のみが作動する第1非連動状態と、揺動機構のみが作動する第2非連動状態とを含む。機体制御機構は、第1変動量と第2変動量とに基づいて、第1非
連動状態と第2非連動状態とを切り替える。
機体制御機構は、第1変動量と第2変動量との差が無く且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定量以上であるとき、第1非連動状態に切り替える。
【0142】
第1移動量と第2移動量とに差が無い場合、第1ワイヤ195Lの移動量と第2ワイヤ195Rの移動量とに差が生じず、揺動機構が作動しない(揺動シリンダ36が作動しない)。この場合において、第1移動量と第2移動量との平均値が所定値以上となったとき、昇降機構が作動する(昇降シリンダ14が作動する)。つまり、第1移動量と第2移動量とに差が無く且つ第1移動量と第2移動量との平均値が所定値以上となったとき、昇降機構のみが作動する第1非連動状態となる。第1移動量は第1変動量によって定まり、第2移動量は第2変動量によって定まる。そのため、第1変動量と第2変動量とに差が無く且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定値以上となったとき、昇降機構のみが作動する第1非連動状態となる。
【0143】
機体制御機構は、第1変動量と第2変動量とに差があり且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定量未満であるとき、第2非連動状態に切り替える。
第1移動量と第2移動量とに差がある場合、第1ワイヤ195Lの移動量と第2ワイヤ195Rの移動量とに差が生じ、揺動機構が作動する(揺動シリンダ36が作動する)。この場合において、第1移動量と第2移動量との平均値が所定値未満であるとき、昇降機構は作動しない(昇降シリンダ14が作動しない)。つまり、第1移動量と第2移動量とに差があって且つ第1移動量と第2移動量との平均値が所定値未満となったとき、揺動機構のみが作動する第2非連動状態となる。第1移動量は第1変動量によって定まり、第2移動量は第2変動量によって定まる。そのため、第1変動量と第2変動量とに差があって且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定値未満となったとき、揺動機構のみが作動する第2非連動状態となる。
【0144】
次に、切り替え機構について説明する。
切り替え機構は、レバー196を手動で揺動する手動モードと、レバー196を自動で揺動させる自動モードとを切り替える機構である。
切り替え機構は、切り替え部材240とノブボルト241と縦長孔240bとを有する。切り替え部材240をカバー体211側に移動させて、縦長孔240bに貫通軸225の他端部を挿入した状態で、ノブボルト241を締めてレバー196と切り替え部材240とを固定すると、自動モードとなる。切り替え部材240をカバー体211と反対側に移動させて、縦長孔240bから貫通軸225の他端部を離脱すると、手動モードとなる。
【0145】
先ず、自動モードについて説明する。
自動モードでは、第1連動機構197によるレバー196の揺動が許容される。
上述したように、第1連動機構197は、第1ワイヤ195Lの移動量が第2ワイヤ195Rの移動量よりも大きいときはレバー196を第1方向に揺動し、第2ワイヤ195Rの移動量が第1ワイヤ195Lの移動量よりも大きいときはレバー196を第2方向に揺動し、第1ワイヤ195Lの移動量と第2ワイヤ195Rの移動量とが同じときはレバー196を揺動させない。
【0146】
そのため、自動モードでは、第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量が第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量よりも大きいときはレバー196が第1方向に揺動し、第2変動量が第1変動量よりも大きいときはレバー196が第2方向に揺動する。また、第1変動量と第2変動量とが同じときは、レバー196は揺動しない。
このように、自動モードでは、第1変動量と第2変動量とに基づいて、レバー196が動作する。
【0147】
次に、手動モードについて説明する。
手動モードでは、第1連動機構197によるレバー196の揺動が許容されない。
上述したように、切り替え部材240をカバー体211と反対側に移動させて、縦長孔240bから貫通軸225の他端部を離脱すると、手動モードとなる。
手動モードに切り替えられた状態では、貫通軸225が縦長孔240bから離脱してい
るため、第1ワイヤ195Lと第2ワイヤ195Rのいずれが移動した場合であっても、貫通軸225の動きはレバー196に伝達されない。そのため、第1ワイヤ195Lと第2ワイヤ195Rのいずれが移動した場合にも、レバー196は動かない。従って、手動モードでは、第1接地輪100L及び第2接地輪100Rが昇降しても、レバー196は揺動せず、揺動シリンダ36は動作しない。
【0148】
手動モードで揺動シリンダ36を動作させる場合、作業者が手動でレバー196を揺動させる。具体的には、機体2の左部を右部に対して上げたい場合には、レバー196を第1方向に揺動させる。これにより、揺動シリンダ36が伸長し、機体2の左部が右部に対して上昇する。機体2の右部を左部に対して上げたい場合には、レバー196を第2方向に揺動すればよい。これにより、揺動シリンダ36が短縮し、機体2の右部が左部に対して上昇する。
【0149】
図1、
図20、
図36等に示すように、移植機1は、接地輪100の基準高さを設定する設定レバー245を備えている。接地輪100の基準高さを設定することにより、植付面に対する機体2の高さ(具体的には、第1植付装置20L及び第2植付装置20Rの植付面からの高さ)が設定される。これにより、植付面に対する苗の植付深さを設定することができる。機体制御機構は、接地輪100が基準高さに対して昇降したときに、上述した作用によって昇降機構及び/又は揺動機構を動作させる。
【0150】
図1、
図36に示すように、設定レバー245は、椅子11の前方に配置されている。詳しくは、設定レバー245は、椅子11の前方であって且つ苗供給部9の後方に配置されている。設定レバー245とレバー196は、機体幅方向に並んで配置されている。設定レバー245とレバー196の機体幅方向の位置は、椅子11の機体幅方向の位置と重なっている。
【0151】
図36、
図44に示すように、設定レバー245は、カバー部材246から上方に突出して設けられている。カバー部材246は、機体2の上部に固定されている。カバー部材246には、前後方向に延びる溝孔246aが形成されている。設定レバー245は、溝孔246aから突出している。溝孔246aには、一側方側(右方)に延びる複数の横溝246bが形成されている。複数の横溝246bは、前後方向に間隔をあけて設けられている。設定レバー245は、溝孔246aに沿って前後方向に揺動可能であるとともに、横溝246bのいずれかに係止可能となっている。設定レバー245を横溝246bに係止することによって、設定レバー245の揺動位置(前後方向の位置)を固定することができる。
【0152】
図20、
図21、
図44に示すように、設定レバー245の下端部245aは、機体幅方向に延びる軸247に取り付けられている。軸247は、機体2に対する位置が固定されている。設定レバー245は、軸247を支点として前後方向に揺動可能である。軸247と横軸184とは、接続板248により接続されている。接続板248の上部に軸247が取り付けられ、接続板248の下部に横軸184が取り付けられている。
【0153】
接続板248には開口248aが形成されている。開口248aには、引っ張りばね249が挿通されている。引っ張りばね249の一端部は、第1係止ピン250に係止されている。引っ張りばね249の他端部は、係止板252から突出した第2係止ピン251に係止されている。第1係止ピン250は、連結板253の上部に固定されている。連結板253の下部は、横軸184の外周面に固定されている。引っ張りばね249は、横軸184を矢印U1方向(
図24参照)に回転させる力を付与している。これによって、接地輪100に下降する方向(接地させる方向)の力が付与されている。
【0154】
図44に示すように、係止板252は、操作棒254の下部に接続されている。操作棒254の上部は、カバー部材246から上方に突出している。操作棒254の上部には、操作板255が取り付けられている。操作板255には、ハンドル棒256が取り付けられている。ハンドル棒256を把持して前方又は後方に動かすことにより、操作板255と共に操作棒254が当該操作棒254の中心軸回りに回転する。操作板255には、操作棒254を中心とする円弧状の長孔255aが形成されている。長孔255aにはノブボルト257のねじ軸が導通されており、当該ねじ軸はカバー部材246の裏面に固着さ
れたナットと螺合されている。ノブボルト257を緩めると操作板255の回転が可能となり、ノブボルト257を締めると操作板255の回転が不能となる。
【0155】
ハンドル棒256を後方に動かして操作棒254を回転させると、係止板252が回転し、引っ張りばね249が伸長する。ハンドル棒256を前方に動かして操作棒254を回転させると、係止板252が回転し、引っ張りばね249が短縮する。
図20において、係止板252が回転する様子を実線と仮想線で示している。このように、引っ張りばね249の長さを変更することによって、引っ張りばね249の引っ張り力が変化し、接地輪100に付与される下降する方向の力が変化する。従って、ハンドル棒256の回転操作によって、接地輪100に付与される下降する方向の力を調整することができる。
【0156】
図23、
図24、
図25は、設定レバー245を揺動させたときの接地輪100の高さの変化を示している。
図24は設定レバー245が基準位置にあるときを示し、
図25は設定レバー245が基準位置から前方に揺動された位置にあるときを示し、
図23は設定レバー245が基準位置から後方に揺動された位置にあるときを示している。
図23に示す状態では、植付面に接地する接地輪100が高い位置にあるため、植付面に対する機体2の位置が低くなり、植え付け深さが深くなる。
図25に示す状態では、植付面に接地する接地輪100が低い位置にあるため、植付面に対する機体2の位置が高くなり、植え付け深さが浅くなる。
図24に示す状態では、植付面に接地する接地輪100が中間の高さ位置にあるため、植付面に対する機体2の位置が中間の高さとなり、植え付け深さが中間の深さとなる。
【0157】
軸247を支点として設定レバー245を後方に揺動すると、接続板248及び横軸184が軸247回りに回動して前方に移動する。これにより、第1回動部材194Lと第2回動部材194Rとが同じ距離だけ前方に移動し、連結部材183も前方に移動する。これに伴って、第1移動部材181と第2移動部材182が同じ距離だけ前方に移動する。すると、第1板204Lと第2板204Rが枢軸205回りに同じ距離だけ揺動し、他方取付部204Lbと他方取付部204Rbが同じ距離だけ前方に移動する。これにより、第1接地輪100Lと第2接地輪100Rとが同じ距離だけ上昇する。
【0158】
軸247を支点として設定レバー245を後方に揺動すると、接続板248及び横軸184が軸247回りに回動して後方に移動する。これにより、第1回動部材194Lと第2回動部材194Rとが同じ距離だけ後方に移動し、連結部材183も後方に移動する。これに伴って、第1移動部材181と第2移動部材182が同じ距離だけ後方に移動する。すると、第1板204Lと第2板204Rが枢軸205回りに同じ距離だけ揺動し、他方取付部204Lbと他方取付部204Rbが同じ距離だけ後方に移動する。これにより、第1接地輪100Lと第2接地輪100Rとが同じ距離だけ下降する。
【0159】
上記したように、設定レバー245を揺動させると、第1移動部材181と第2移動部材182が同じ距離だけ移動するため、第1接地輪100Lと第2接地輪100Rを同じ距離(高さ)だけ昇降させることができる。これにより、接地輪100の基準高さが変更され、植付面に対する機体2の基準高さを変更することができる。設定レバー245の位置を固定することによって、植付面に対する機体2の基準高さを設定することができる。
【0160】
<輪距調整機構>
移植機1は、左側の車輪と右側の車輪との間の距離を調整する輪距調整機構を備えることができる。輪距調整機構は、前輪3Lと前輪3Rとの間の距離と、後輪4Lと後輪4Rとの距離を調整することが可能な機構である。
輪距調整機構は、通常の2条植え付けに加えて往復4条植え付けにも対応可能な輪距を得ることができる機構である。往復4条植え付けとは、機体幅方向に並んだ2つの植付装置を備えた移植機を使用し、1つの畝を左右の車輪で挟んだ状態で畝に沿って往復走行し、往復の一方向に走行するときに苗を2条植え付け、他方向に走行するときに苗を2条植え付けることによって、1つの畝に4条の苗を植え付ける植え付け方法である。
【0161】
図45及び
図46は、輪距調整機構を備えた移植機1の一部を示している。
図45は、輪距を短くした状態を示している。
図46は、輪距を長くした状態を示している。
輪距調整機構は、後輪4L,4Rの輪距を調整する後輪距調整機構と、前輪3L,3R
の輪距を調整する前輪距調整機構と、を含む。
先ず、後輪距調整機構について説明する。
【0162】
後輪距調整機構は、機体幅方向の一方側(左側)に設けられた第1調整機構260Lと、機体幅方向の他方側(右側)に設けられた第2調整機構260Rと、を含む。第1調整機構260Lは、機体幅方向の一方側に配置された後輪(一方駆動輪)4Lの機体幅方向の位置を調整可能な機構である。第2調整機構260Rは、機体幅方向の他方側に配置された後輪(他方駆動輪)4Rの機体幅方向の位置を調整可能な機構である。
【0163】
図45、
図46、
図47に示すように、第1調整機構260Lは、外筒(第1外筒)261と内筒(第1内筒)262とを有する。第1外筒261は、
図17、
図18に示した左側の筒体28に相当する。第1外筒261と第1内筒262は、共に六角筒である。第1外筒261の機体内方側の端部は、第1連結筒263及び第1連結板264を介してミッションケース(図示略)と接続されている。図において、ミッションケースが配置される位置を符号M1で示している。第1内筒262の機体内方側は、第1外筒261に対して機体外方側から挿入されている。第1内筒262の機体外方側は、車輪支持体7Lの上部に接続されている。車輪支持体7Lには、後輪4Lに動力を伝達する第1機構が収容されている。第1機構は、チェーンやスプロケット等から構成されている。
【0164】
図47に示すように、第1内筒262及び第1外筒261の内部には、ミッションケースから出力される動力を取り出す取り出し軸265が挿通されている。言い換えれば、第1内筒262及び第1外筒261は、取り出し軸265の外周側に配置されている。
取り出し軸265の機体内方側の端部は、ミッションケースから左側に動力を出力する出力部266Lと接続されている。取り出し軸265の機体外方側の端部は、第2連結筒267を介して第1入力軸258と連結されている。
【0165】
第2連結筒267は、内周面が六角形状に形成されている。取り出し軸265の機体外方側の端部は、六角柱状に形成されている。この六角柱状の部分は第2連結筒267の内部に挿入されている。これにより、取り出し軸265の回転動力は、第2連結筒267に伝達される。第2連結筒267に伝達された動力は、第1入力軸258に入力される。第1入力軸258に入力された動力は、車輪支持体7Lの内部に収容された第1機構を介して後輪4Lに伝達される。
【0166】
このように、取り出し軸265、第2連結筒267、第1入力軸258は、原動機17の動力を後輪4Lに伝達する動力伝達軸を構成している。
第1内筒262は、第1外筒261に対して機体幅方向にスライド可能である。第1内筒262を第1外筒261に対して機体外方にスライドさせることによって、第1内筒262の第1外筒261からの突出量を増加させることができる(
図46、
図48参照)。一方、第1内筒262を第1外筒261に対して機体内方にスライドさせることによって、第1内筒262の第1外筒261からの突出量を減少させることができる(
図45、
図47参照)。
【0167】
第1調整機構260Lでは、第1内筒262を第1外筒261に対してスライドさせるとき、取り出し軸265を第2連結筒267に対してスライドさせる。これにより、第1内筒262の第1外筒261からの突出量を増加させた状態では、取り出し軸265と第1入力軸258との距離が大きくなる(
図48参照)。第1内筒262の第1外筒261からの突出量を減少させた状態では、取り出し軸265と第1入力軸258との距離が小さくなる(
図47参照)。
【0168】
このように、第1調整機構260Lは、第1内筒262を第1外筒261に対してスライドするとともに、取り出し軸265を第2連結筒267に対してスライドさせることにより、後輪(一方駆動輪)4Lの機体幅方向の位置を調整することができる。
図45、
図46、
図49に示すように、第2調整機構260Rは、外筒(第2外筒)268と内筒(第2内筒)269とを有する。第2外筒268は、
図17、
図19に示した左側の筒体28に相当する。第2外筒268は、機体内方側に配置された一方外筒270と、機体外方側に配置された他方外筒271とを含む。一方外筒270の一端部(機体外方側の端部)には、第1フランジ270aが設けられている。他方外筒271の一端部(機体内方側の端部)には、第2フランジ271aが設けられている。第1フランジ270aと第2フランジ271aとは着脱可能に接続されている。具体的には、第1フランジ270aと第2フランジ271aとは、ボルト及びナットにより接続されている。これにより、一方外筒270と他方外筒271とが着脱可能に接続されている。
【0169】
第2外筒268と第2内筒269は、共に六角筒である。第2外筒268の機体内方側の端部(一方外筒270の機体内方側の端部)は、第3連結筒272及び第3連結板273を介してミッションケース(図示略)と接続されている。第2内筒269の機体内方側は、第2外筒268に対して機体外方側から挿入されている。第2内筒269の機体外方側は、車輪支持体7Rの上部に接続されている。車輪支持体7Rには、後輪4Rに動力を伝達する第2機構が収容されている。第2機構は、チェーンやスプロケット等から構成されている。
【0170】
図49に示すように、第1内筒262及び第1外筒261の内部には、原動機17の動力を後輪4Rに伝達する動力伝達軸が挿通されている。動力伝達軸は、原動機17からの動力が伝達される一方軸274と、後輪(他方駆動輪)4Rを回転可能に支持する他方軸275とを含む。
一方軸274の機体内方側の端部は、ミッションケースから右側に動力を出力する出力部266Rと接続されている。一方軸274の機体外方側の端部は、他方軸275の機体内方側の端部と接続されている。他方軸275は、連結部276を介して一方軸274に対して機体幅方向にスライド可能に連結されている。他方軸275は、軸体277と、軸体277の外周側に配置される筒体278とを有する。筒体278の一端側(機体外方側)には軸体277がスライド可能に挿入されている。筒体278の他端側(機体内方側)には一方軸274がスライド可能に挿入されている。
【0171】
図50に示すように、筒体278は、多角形状(六角形状)の内周面278eを有する。一方軸274は、筒体278の内周面に沿って挿入可能な多角形(六角形)の外周面を有する挿入部274aを有する。
図52に示すように、筒体278の一端側に挿入された軸体277の一端部には、多角柱状(六角形状)の大径部277aが設けられている。これにより、ミッションケースから出力される回転動力を、一方軸274から筒体278を介して軸体277へと伝達することができる。軸体277の他端部は、車輪支持体7Rの第2機構と接続されている。
【0172】
第2内筒269は、第2外筒268に対して機体幅方向にスライド可能である。第2内筒269を第2外筒268に対して機体外方にスライドさせることによって、第2内筒269の第2外筒268からの突出量を増加させることができる(
図46、
図51参照)。この状態では、軸体277と一方軸274との距離が大きくなる。一方、第2内筒269を第2外筒268に対して機体内方にスライドさせることによって、第2内筒269の第2外筒268からの突出量を減少させることができる(
図45、
図49参照)。この状態では、軸体277と一方軸274との距離が小さくなる。
【0173】
第2調整機構260Rでは、第2内筒269を第2外筒268に対してスライドさせるとき、筒体278を一方軸274に対してスライドさせるとともに、軸体277を筒体278に対してスライドさせる。これにより、第2内筒269の第2外筒268からの突出量を増加させた状態では、軸体277と一方軸274との距離が大きくなる(
図51参照)。第2内筒269の第2外筒268からの突出量を減少させた状態では、軸体277と一方軸274との距離が小さくなる(
図49参照)。
【0174】
このように、第2調整機構260Rは、第2内筒269を第2外筒268に対してスライドするとともに、筒体278を一方軸274に対してスライドさせ、軸体277を筒体278に対してスライドさせることにより、後輪(一方駆動輪)4Rの機体幅方向の位置を調整することができる。
第2調整機構260Rでは、2段階のスライドによって、原動機17の動力を後輪4Rに伝達する動力伝達軸の長さを調整するように構成している。2段階のスライドは、筒体278の一方軸274に対するスライドと、軸体277の筒体278に対するスライドである。そのため、第2調整機構260Rは、第1調整機構260Lと比べて調整の範囲が
広い。また、機体2の幅方向の中心から後輪(他方駆動輪)4Rまでの距離を、機体2の幅方向の中心から後輪(一方駆動輪)4Lまでの距離よりも長くすることができる。言い換えれば、後輪(他方駆動輪)4Rを後輪(一方駆動輪)4Lよりも機体外方側に配置することができる。
【0175】
図49等に示すように、一方軸274と他方軸275とを連結する連結部276は、他方軸275を機体外方側にスライドしたときに一方軸274から離脱することを防ぐ第1抜け止め部279を有する。第1抜け止め部279は、筒体278の一端側(機体内方側)に設けられている。筒体278の他端側(機体外方側)には、軸体277が筒体278から離脱することを防ぐ第2抜け止め部280が設けられている。
【0176】
先ず、第2抜け止め部280について説明する。
図50、
図52に示すように、第2抜け止め部280は、筒体278の他端側(機体外方側)に固定された第2抜け止め部材282を有する。第2抜け止め部280は、第2抜け止め部材282と、軸体277の大径部277aとから構成されている。大径部277aは、多角柱状(六角柱状)に形成されている。第2抜け止め部材282は、円形穴282aを有する円環状の部材である。円形穴282aの直径は、軸体277の大径部277aの外径(最大外径)よりも小さい。そのため、軸体277を筒体278に対して機体外方側にスライドさせたとき、大径部277aは第2抜け止め部材282の円形穴282aを通過することができない。これにより、軸体277が筒体278から離脱することを防ぐことができる。
【0177】
次に、第1抜け止め部279について説明する。
図49、
図53に示すように、第1抜け止め部279は、筒体278の一端側(機体内方側)に着脱可能に取り付けられた第1抜け止め部材281を有する。
図54、
図55に示すように、第1抜け止め部材281は、第1部位281a、第2部位281b、第3部位281cを有する。第1抜け止め部材281は、金属製であって、第1部位281a、第2部位281b、第3部位281cは一体的に形成されている。
【0178】
第1部位281aは、筒体278の外周面(後述する凹溝278a)に係止可能な部位である。第1部位281aは、一対の係止爪281d,281eから構成されている。第2部位281bは、多角形状(六角形状)の穴281fを有する部位である。穴281fは、筒体278の一端面(機体内方側の面)に当接し且つ挿入部274aを挿入可能な穴である。第3部位281cは、第1部位281aと第2部位281bとを接続する部位である。第3部位281cは、対向して配置された一対の平板281g,281hから構成されている。
【0179】
係止爪281dは、平板281gから筒体278の周方向の一方側と他方側にそれぞれ延びている。係止爪281eは、平板281hから筒体278の周方向の一方側と他方側にそれぞれ延びている。係止爪281dと係止爪281eは、互いに近づくように延びている。
第3部位281cを構成する一対の平板281g,281hは、撓み変形可能であって、撓み変形することによって一方の平板281gと他方の平板281hとの距離が変化する。一対の平板281g,281h間の距離を変化させることにより、一対の係止爪281d,281e間の距離が変化する。
【0180】
図50、
図52に示すように、筒体278の外周面には、周方向に延びる凹溝278aが形成されている。
図53に示すように、第1部位281a(一対の係止爪281d,281e)は、凹溝278aに係止される。平板281g,281hを手で拡げて撓み変形させることによって、係止爪281d,281eを凹溝278aから離脱させることができる。平板281g,281hから手を離すと、平板281g,281hは元の位置(互いに平行な位置)に戻るため、係止爪281d,281eが凹溝278aに係止される。
【0181】
第1抜け止め部材281は、筒体278の中心軸CL1回りに回転可能である。第1抜け止め部材281は、中心軸CL1回りの回転によって、筒体278に対する一方軸274の離脱を許容しない抜け止め状態と、離脱を許容する非抜け止め状態とを切り替え可能である。
図56に示すように、非抜け止め状態において、筒体278の内周面278eの多角形の中心軸CL1回りの位相と、第2部位281bの穴281fの内周面の多角形の中心軸CL1回りの位相とが一致する。「位相が一致」とは、多角形の角の位置が一致する(中心軸CL1方向から見て重なる)ことを意味する。
【0182】
筒体278の内周面278eの多角形の中心軸CL1回りの位相と、一方軸274の挿入部274aの多角形の中心軸CL1回りの位相とは一致している。そのため、一方軸274の挿入部274aの外周面の多角形の中心軸CL1回りの位相と、第2部位281bの穴281fの内周面の多角形の中心軸CL1回りの位相とが一致する。この状態において、一方軸274に対して他方軸275の筒体278を機体外方側にスライドさせた場合、挿入部274aの角274bが穴281fの縁に当たらない。これにより、他方軸275の筒体278を一方軸274から離脱することができる。また、他方軸275の筒体278に一方軸274を挿入することもできる。
【0183】
図57に示すように、抜け止め状態において、筒体278の内周面278eの多角形の中心軸CL1回りの位相と、第2部位281bの穴281fの多角形の中心軸CL1回りの位相とがずれる(一致しない)。そのため、一方軸274の挿入部274aの外周面の多角形の中心軸CL1回りの位相と、第2部位281bの穴281fの内周面の多角形の中心軸CL1回りの位相とがずれる(一致しない)。この状態において、一方軸274に対して他方軸275の筒体278を機体外方側にスライドさせた場合、挿入部274aの角が穴281fの縁よりも外側部分(第1部位281aの面)に当たって止まる。これにより、他方軸275の筒体278が一方軸274から離脱することを防ぐことができる。
【0184】
図50、
図52に示すように、筒体278の外周面には、当接面278bが形成されている。当接面278bは、抜け止め状態において、第3部位281cが面接触する面である。当接面278bは、筒体278の中心軸CL1を挟んで互いに平行に形成された一対の平面278c,278dから構成されている。第1抜け止め部材281の第3部位281cを当接面278bに面接触させる(具体的には、平板281gを平面278cに当接し、平板281hを平面278dに面接触させる)ことにより、第1抜け止め部材281が筒体278の中心軸CL1回りに回転することを防ぐことができる。これにより、抜け止め状態を維持することができる。
【0185】
平板281g,281hを手で拡げて撓み変形させて、第3部位281cが当接面278bに面接触しない状態とすることで、第1抜け止め部材281を筒体278の中心軸CL1回りに回転させることができる。第1抜け止め部材281を回転させることによって、抜け止め状態を解除して非抜け止め状態に切り替えることができる。
次に、前輪の輪距を調整する前輪距調整機構について説明する。
【0186】
図45、
図46に示すように、前輪距調整機構は、機体幅方向の一方側(左側)に設けられた第3調整機構290Lと、機体幅方向の他方側(右側)に設けられた第4調整機構290Rと、を含む。第3調整機構290Lは、機体幅方向の一方側に配置された前輪(一方従動輪)3Lの機体幅方向の位置を調整可能な機構である。第4調整機構290Rは、機体幅方向の他方側に配置された前輪(一方従動輪)3Rの機体幅方向の位置を調整可能な機構である。
【0187】
第3調整機構290Lは、外筒(第3外筒)291と内筒(第3内筒)292とを有する。第3外筒291と第3内筒292は、共に六角筒である。第3外筒291及び第3内筒292は、
図17、
図18に示した第3軸体35に相当する。第3外筒291の機体内方側の端部は、中間筒293の一端側と接続されている。第3内筒292の機体内方側は、第3外筒291に対して機体外方側から挿入されている。第3内筒292の機体外方側は、前輪(従動輪)3Lを支持する前輪支持機構30Lの上部に接続されている。前輪(従動輪)3Rは、前輪支持機構30Rによって第3内筒292に支持されており、前輪支持機構30Rと共に前後方向に揺動可能である。
【0188】
第3内筒292は、第3外筒291に対して機体幅方向にスライド可能である。第3内筒292を第3外筒291に対して機体外方にスライドさせることによって、第3内筒292の第3外筒291からの突出量を増加させることができる(
図46参照)。一方、第
3内筒292を第3外筒291に対して機体内方にスライドさせることによって、第3内筒292の第3外筒291からの突出量を減少させることができる(
図45参照)。
【0189】
このように、第3調整機構290Lは、第3内筒292を第3外筒291に対してスライドさせることにより、前輪(従動輪)3Lの機体幅方向の位置を調整することができる。
図45、
図46に示すように、第4調整機構290Rは、外筒(第4外筒)294と内筒(第4内筒)295とを有する。第4外筒294及び第4内筒295は、
図19に示した第3軸体35に相当する。第4外筒294と第4内筒295は、共に六角筒である。第4外筒294は、後輪4Lに動力を伝達する動力伝達軸と平行に配置されて、第4内筒295を介して前輪(従動輪)3Lを支持する支持筒である。前輪(従動輪)3Lは、前輪支持機構30Lによって第4内筒295に支持されており、前輪支持機構30Lと共に前後方向に揺動可能である。
【0190】
第4外筒(支持筒)294は、一方支持筒296と他方支持筒297とを含む。一方支持筒296は、一方外筒270と平行に配置されている。他方支持筒297は、他方外筒271と平行に配置されている。一方支持筒296と一方外筒270とは、一方接続体298により接続されている。他方支持筒297と他方外筒271とは、他方接続体299により接続されている。
【0191】
一方支持筒296の一端部(機体外方側の端部)には、第3フランジ296aが設けられている。他方支持筒297の一端部(機体内方側の端部)には、第4フランジ297aが設けられている。第3フランジ296aと第4フランジ297aとは着脱可能に接続されている。具体的には、第3フランジ296aと第4フランジ297aとは、ボルト及びナットにより接続されている。これにより、一方支持筒296と他方支持筒297とが着脱可能に接続されている。
【0192】
一方支持筒296の機体内方側の端部は、中間筒293の他端側と接続されている。他方支持筒297の機体外方側の端部には、第4内筒295が挿入されている。第4内筒295は、他方支持筒297に対して機体幅方向にスライド可能である。第4内筒295を他方支持筒297に対して機体外方にスライドさせることによって、第4内筒295の他方支持筒297からの突出量を増加させることができる(
図46参照)。一方、第4内筒295を他方支持筒297に対して機体内方にスライドさせることによって、第4内筒295の他方支持筒297からの突出量を減少させることができる(
図45参照)。
【0193】
このように、第4調整機構290Rは、第4内筒295を他方支持筒297に対してスライドさせることにより、前輪(従動輪)3Rの機体幅方向の位置を調整することができる。
第1調整機構260Lにより調整可能な長さと、第3調整機構290Lにより調整可能な長さとは同じである。第2調整機構260Rにより調整可能な長さと、第4調整機構290Rにより調整可能な長さとは同じである。そのため、第4調整機構290Rは、第3調整機構290Lと比べて調整の範囲が広い。また、機体2の幅方向の中心から前輪(他方従動輪)3Rまでの距離を、機体2の幅方向の中心から前輪(一方従動輪)3Lまでの距離よりも長くすることができる。言い換えれば、前輪(他方従動輪)3Rを前輪(一方従動輪)3Lよりも機体外方側に配置することができる。
【0194】
一方支持筒296と一方外筒270とを接続する一方接続体298には、一方接続筒300が取り付けられている。一方接続筒300は、一方支持筒296及び一方外筒270と平行に配置されている。他方外筒271と他方支持筒297とを接続する他方接続体299には、他方接続筒301が取り付けられている。他方接続筒301は、他方支持筒297及び他方外筒271と平行に配置されている。一方接続筒300の機体内方側と、他方接続筒301の機体内方側の端部とは、着脱可能に接続されている。
【0195】
他方接続筒301は、接続板302を介して第3連結板273及び中間筒293と接続されている。また、他方接続筒301は、接続板303を介して第1連結板264及び中間筒293と接続されている。また、他方接続筒301は、接続板304を介して第3外筒291と接続されている。
移植機1は、他方支持筒297、他方外筒271、他方接続体299、他方接続筒301、他方軸275を取り外すことにより、通常の2条植え付け用の移植機として使用できる。つまり、往復4条植え付けを行わない場合には、移植機1は、他方支持筒297、他方外筒271、他方接続体299、他方接続筒301、他方軸275を取り外して、一方外筒270を車輪支持体7Rと接続し、一方軸274を車輪支持体7R内の第2機構と接続し、一方支持筒296を前輪支持機構30Rと接続することにより、通常の2条植え付け用の移植機として使用できる。
【0196】
他方支持筒297、他方外筒271、他方接続体299、他方接続筒301は、予め接続された一体物として構成することができる。この一体物は、往復4条植え付けに対応可能な輪距を得るときに取り付けるオプションの連結用部品として使用することができる。他方支持筒297、他方外筒271、他方接続体299、他方接続筒301を予め接続された一体物とすることで、連結用部品を一体的に着脱することができるため、移植機1について、通常の2条植え付け用の構造と往復4条植え付け用の構造との切り替えを容易に行うことが可能となる。
【0197】
上記連結用部品の取り付けは、他方外筒271に設けられた第2フランジ271aを一方外筒270に設けられた第1フランジ270aと接続し、他方支持筒297に設けられた第4フランジ297aを一方支持筒296に設けられた第3フランジ296aと接続することにより、行うことができる。連結用部品の取り外しは、第2フランジ271aを第1フランジ270aから外し、第4フランジ297aを第3フランジ296aから外すことにより、行うことができる。
【0198】
図46に示すように、往復4条の植え付け作業を行う場合には、第1調整機構260L、第2調整機構260R、第3調整機構290L、第4調整機構290Rによる調整を行うことにより、前輪3Rを前輪3Lよりも機体外方側に配置し、後輪4Rを後輪4Lよりも機体外方側に配置する。そして、
図58に示すように、1つの畝UNを左右の車輪で挟んだ状態で畝UNに沿って一方向に走行して、第1植付装置20Lの植付具80Lと第2植付装置20Rの植付具80Rにより苗NEを2条植え付ける。その後、
図59に示すように、同じ畝UNに沿って他方向に走行して苗NEを2条植え付ける。これにより、1つの畝UNに4条の苗NEを植え付けることができる。
【0199】
<苗載せ台>
次に、苗載せ台等について説明する。
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、移植機1は、苗供給部9に供給される苗を収容した苗トレイを載置する苗載せ台149,150を備えている。苗載せ台149,150には、ソイルブロック苗が育苗された苗トレイが載置される。
【0200】
苗載せ台149は、椅子11の前方に配置されている。苗載せ台149は、苗供給部9の上方に位置している。苗載せ台149は、後部が前部に比べて低くなるように傾斜している。椅子11に座った作業者は、前方の苗載せ台149に乗せられた苗を苗供給部9の苗供給カップ40A,40Bに供給する。
苗載せ台150は、苗載せ台149に載せた苗トレイに収容された苗が不足したときに、苗載せ台149に補給される苗トレイを置くための台である。つまり、苗載せ台150は、予備の苗を収容した苗トレイを載置する台である。以下、苗載せ台150を「予備苗載せ台150」という。
【0201】
予備苗載せ台150は、第1予備苗載せ台150Aと、第2予備苗載せ台150Bと、第3予備苗載せ台150Cとを含む。
第1予備苗載せ台150Aは、椅子11の前方且つ一側方(右側方)、即ち椅子11の右前方に配置されている。第2予備苗載せ台150Bは、椅子11の前方且つ他側方(左側方)、即ち椅子11の左前方に配置されている。第3予備苗載せ台150Cは、椅子11の後方且つ一側方(右側方)、即ち椅子11の右後方に配置されている。
【0202】
第1予備苗載せ台150Aは、苗供給部9の右側に配置されている。第2予備苗載せ台150Bは、苗供給部9の左側に配置されている。苗供給部9は、機体幅方向において、第1予備苗載せ台150Aと第2予備苗載せ台150Bとの間に配置されている。第3予
備苗載せ台150Cは、前後方向において、椅子11及び操向ハンドル5とオーバーラップする位置に配置されている。
【0203】
図4等に示すように、移植機1は、予備苗載せ台150が取り付けられる支柱151を備えている。支柱151は、機体2に取り付けられて、上下方向に延伸されている。
図2、
図3、
図4に示すように、予備苗載せ台150は、上下方向に間隔をあけて支柱151に複数取り付けられている。
図60に示すように、予備苗載せ台150は、支柱151を貫通する取付軸154に取り付けられることにより、支柱151に支持されている。取付軸154は前後方向に延びている。予備苗載せ台150は、取付軸154を支点として回動可能である。予備苗載せ台150は、取付軸154回りに回動することによって、苗トレイを載置する載置面155が略水平となる第1姿勢と、載置面155が略垂直となる第2姿勢とに姿勢変更可能である。苗トレイは、予備苗載せ台150が第1姿勢にあるときに載置される。
【0204】
図1、
図2、
図3、
図4においては、第1予備苗載せ台150A、第2予備苗載せ台150B、第3予備苗載せ台150Cのうち、第2予備苗載せ台150Bの一部(上から1つ目と2つ目)が第2姿勢となり、その他の予備苗載せ台は第1姿勢となっている状態が示されている。
図3に示すように、予備苗載せ台150の載置面155は、第1姿勢において、支柱151に向けて高さが低くなるように傾斜している。
【0205】
図61に示すように、予備苗載せ台150は、第2姿勢において上下方向に隣り合う予備苗載せ台150同士が係合可能な係合部156を有する。係合部156は、第1係合部157と第2係合部158とを含む。
図60に示すように、第1係合部157は、予備苗載せ台150の機体外方側(支柱151と反対側)に設けられている。
図62に示すように、第2係合部158は、予備苗載せ台150の機体内方側(支柱151側)に設けられている。第1係合部157は、載置面155から凹んだ凹部である。第2係合部158は、載置面155と反対側(裏面側)に突出する突出部である。第2係合部158は、L字形に屈曲したフック状に形成されている。
図61に示すように、第2姿勢において、第2係合部158を構成する突出部が第1係合部157を構成する凹部に嵌まり込む。これにより、上下方向に隣り合う予備苗載せ台150同士が係合される。
【0206】
図60、
図62等に示すように、移植機1は、予備苗載せ台150(第1予備苗載せ台150A、第2予備苗載せ台150B、第3予備苗載せ台150C)に載置した苗トレイT1を押さえる押さえ具159を備えている。予備苗載せ台150には、載置された苗が無くなった空の苗トレイT1を置くための台としても使用される。空の苗トレイT1は軽いために、風や振動によって落下する場合がある。押さえ具159は、このような落下を防ぐべく苗トレイT1を押さえるために設けられている。
【0207】
図62に示すように、押さえ具159は、第1部分159aと、第1部分159aから屈曲された第2部分159bとを有するL字状に形成されている。第1部分159aと第2部分159bとの間は円弧状に形成されている。
押さえ具159は、作業者が椅子11から立った位置において操作可能な位置に配置されている。押さえ具159は、支柱151に固定された取付部材153に取り付けられている。取付部材153は、支柱151の上端部等に固定されている。押さえ具159の第2部分159bには、揺動板160が固定されている。揺動板160は、ボルトBL2及びナットNT3により取付部材153に取り付けられている。ボルトBL2とナットNT3の螺合を緩めることにより、揺動板160はボルトBL2の軸回りに揺動することができる。ボルトBL2とナットNT3の螺合を締めることにより、揺動板160はボルトBL2の軸回りに揺動不能となる。これにより、押さえ具159の位置(角度)が固定される。
【0208】
押さえ具159は、揺動板160を揺動させることによって、ボルトBL2の軸回りに揺動可能である。押さえ具159は、苗トレイT1の上面T1aに当接する押さえ位置(
図63参照)と、苗トレイT1の上面T1aから離れる非押さえ位置(
図62参照)とに揺動可能である。押さえ具159の揺動操作は、第1部分159aを手で握持して行うことができる。そのため、押さえ具159の第1部分159aは、押さえ具159を揺動す
るときに作業者が手(手の平)で握持可能な長さに形成されている。例えば、第1部分159aは、手の平の幅以上の長さ(例えば80mm以上、好ましくは100mm以上)に形成されている。
【0209】
図63に示すように、押さえ具159は、押さえ位置にあるとき、第1部分159aと第2部分159bとの間の円弧状の部分159cが苗トレイT1の上面T1aに当接する。これにより、苗トレイT1が押さえ具159によって押さえられたときに破損することを防止できる。また、押さえ具159は、押さえ位置にあるとき、第1部分159aが苗トレイT1の上面T1aに対して傾斜する。これにより、第1部分159aの先端と上面T1aとの間に隙間が生じるため、作業者が第1部分159aを握持しやすくなる。
【0210】
押さえ具159は、上下方向に間隔を開けて支柱151に取り付けられた複数の予備苗載せ台150のうち、少なくとも最上部の予備苗載せ台150に載置された苗トレイを押さえる。最上部の予備苗載せ台150に載せられた苗トレイT1は、強風等によって最も落下し易いため、少なくとも最上部の予備苗載せ台150に載置された苗トレイを押さえることで、苗トレイの落下を効果的に防止することができる。本実施形態の場合、押さえ具159は、上下方向に間隔を開けて支柱151に取り付けられた複数の予備苗載せ台150のうち、最上部の予備苗載せ台150に載置された苗トレイのみを押さえている。但し、押さえ具159を全ての予備苗載せ台150に対応して配置し、押さえ具159が全ての予備苗載せ台150に載置された苗トレイを押さえるようにしてもよい。
【0211】
図64に示すように、押さえ具159は、上下方向に間隔を開けて支柱151に取り付けられた複数の予備苗載せ台150が第2姿勢にある状態において、最上部の苗載せ台150を押さえることができる。
図65は、押さえ具159が最上部の苗載せ台150を押さえていない状態を示している。
図65に示すように、予備苗載せ台150は、第2姿勢にあるとき、上下方向に隣り合う予備苗載せ台150同士が係合されるが、このときの係合の度合いは浅い。
図64に示すように、最上部の苗載せ台150を押さえることによって、最上部の苗載せ台150を第1姿勢側に少し回動させて係合量を大きく(深く)することができる。これにより、移植機1の走行時の振動によって第2姿勢にある予備苗載せ台150ががたつくことを効果的に防止することができる。
【0212】
<スタンド>
移植機1は、車輪を浮かせた状態で機体2を地面上に支持するためのスタンドを備えている。
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、スタンドは、機体2の前部に設けられた前部スタンド310と、機体2の後部に設けられた後部スタンド320とを含む。
<前部スタンド>
先ず、前部スタンド310について説明する。
【0213】
図1、
図36等に示すように、前部スタンド310は、椅子11の前方且つ側方に設けられている。前部スタンド310は、苗供給部9の後方に配置されている。前部スタンド310の一部は、前後方向において、苗供給部9の後部と重なっている。前部スタンド310は、苗供給部9の下方に配置されたクラッチペダル15よりも後方であって且つクラッチペダル15よりも機体外方側に配置されている。
【0214】
図36、
図66、
図67に示すように、前部スタンド310は、第1前部スタンド310Lと第2前部スタンド310Rとを含む。第1前部スタンド310Lは、椅子11の左前方に設けられている。第2前部スタンド310Rは、椅子11の右前方に設けられている。
図66等に示すように、前部スタンド310は、上下方向に延びており、乗降ステップ12を貫通している。前部スタンド310は、乗降ステップ12の機体外方側(椅子11から遠い側)の前部を貫通している。第1前部スタンド310Lは、第1乗降ステップ12Lを貫通している。第2前部スタンド310Rは、第2乗降ステップ12Rを貫通している。
【0215】
図66、
図68等に示すように、前部スタンド310は、上下方向に延びる棒体311と、棒体311の外周面から突出する突出部312と、を有する。突出部312は、棒体311の上部に設けられている。突出部312は、円柱状に形成されている。突出部31
2は、棒体311を貫通して水平方向に延びている。
図68の矢印G1に示すように、棒体311は、上下方向の中心軸回りに回転可能に構成されている。棒体311を上下方向の中心軸回りに回転することによって、突出部312の向き(突出方向)を変更することができる。また、突出部312は棒体311を貫通しており、水平方向(
図68の矢印G2方向)に移動させることができる。
【0216】
図68の矢印G3に示すように、前部スタンド310は、上下方向(鉛直方向)に直線状に移動して昇降することができる。前部スタンド310は、上下方向に直線状に移動して昇降することによって、下端部が地面GRに当接する下方位置(
図69参照)と、下端部が地面から離れる上方位置(
図68参照)とに移動可能である。
図66等に示すように、移植機1は、前部スタンド310を上方位置にて保持する第1保持部313と、前部スタンド310を下方位置にて保持する第2保持部314と、を備えている。前部スタンド310の突出部312は、前部スタンド310が上方位置にあるときに第1保持部313に保持され、前部スタンド310が下方位置にあるときに第2保持部314に保持される。
【0217】
先ず、第1保持部313について説明する。
第1保持部313は、苗供給部9に設けられている。
図3、
図36に示すように、苗供給部9は、苗供給カップ40A,40Bの配置経路(カップ配置経路)の後方を覆う後部カバー16を備えている。
図66に示すように、第1保持部313は、後部カバー16に設けられている。
【0218】
図66、
図67に示すように、第1保持部313は、第1前部スタンド310Lを保持する左保持部313Lと、第2前部スタンド310Rを保持する右保持部313Rと、を含む。左保持部313Lは、後部カバー16の左部に設けられている。右保持部313Rは、後部カバー16の右部に設けられている。
図66に示すように、後部カバー16は、上板16a、左板16b、右板16c、後板16dを有する。後板16dは、椅子11の前方において、機体幅方向に延びている。後板16dは、一方の面が前方を向き、他方の面が後方を向いている。第1保持部313は、後板16dの他方の面(後面)に取り付けられている。
【0219】
第1保持部313は、略J字状に屈曲された板材から構成されている。具体的には、第1保持部313は、後板16dに取り付けられて下方に延びる前部位313aと、前部位313aの下端から後方に延びる下部位313bと、下部位313bの後端から上方に延びる後部位313cと、から構成されている。
図66、
図68に示すように、前部スタンド310の突出部312を前部位313aと後部位313cとの間に入れて下部位313bに載せることによって、突出部312が第1保持部313に保持される。これにより、前部スタンド310が上方位置にて保持される。保持を解除する場合、前部スタンド310を上方に移動して突出部312を前部位313aと後部位313cとの間から離脱した後、棒体311を上下方向の中心軸回りに回転(例えば90°回転)して、棒体311の突出方向を変更する。これによって、前部スタンド310を下降しても突出部312が第1保持部313に当たらなくなるため、突出部312が第1保持部313に保持されなくなり、突出部312を第1保持部313よりも下方まで下降させることが可能となる。
【0220】
このように、前部スタンド310は、棒体311を上下方向の中心軸回りに回転することによって、第1保持部313に突出部312が保持される保持位置(
図67に符号P3で示す位置)と、保持が解除される解除位置(
図67に符号P4で示す位置)とに変更可能である。突出部312が機体幅方向に延びるときに保持位置となり、突出部312が機体幅方向以外(前後方向等)に延びるときに解除位置となる。
図36に示すように、前部スタンド310が保持位置にあるとき、突出部312は苗供給部9の後部カバー16の後縁と略平行に配置される。これにより、突出部312が椅子11に乗り降りする作業者の妨げになることがない。
【0221】
次に、第2保持部314について説明する。
第2保持部314は、乗降ステップ12に設けられている。
図66、
図69に示すように、第2保持部314は、乗降ステップ12に取り付けられた収容体315と、収容体315の内部に収容されたばね316とを有する。
図70に示すように、収容体315は、底板部315a、前板部315b、後板部315c、側板部315dを有する。収容体315は、上側、下側、機体内方側が開放されている。
【0222】
底板部315aは、乗降ステップ12の機体内方側の前部を切り欠いて形成された開口12a内に配置されている。底板部315aは、乗降ステップ12の機体内方側の下面を支持する支持材18に支持されている。底板部315aは、棒体311が貫通される穴315eを有する。前板部315bは、底板部315aの前縁から上方に起立している。後板部315cは、底板部315aの後縁から上方に起立している。前板部315bと後板部315cとは互いに平行に配置されている。側板部315dは、前板部315bの機体外方側の縁部と後板部315cの機体外方側の縁部とを接続している。
【0223】
前板部315bには、貫通孔315fが設けられている。後板部315cには、切り欠き315gが設けられている。貫通孔315fと切り欠き315gとは対向する位置に設けられている。貫通孔315fの上縁は、機体内方側から機体外方側に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。貫通孔315fは、機体内方側から機体外方側に向かうにつれて上下方向の幅が広くなるように形成されている。切り欠き315gは、機体内方側から機体外方側に向けてU字状に切り欠かれている。切り欠き315gの上縁は、機体外方側から機体内方側に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。
【0224】
前部スタンド310は、棒体311を上下方向の中心軸回りに回転(
図68の矢印G1参照)することによって、第2保持部314に突出部312が保持される保持位置と、保持が解除される解除位置とに変更可能である。前部スタンド310は、突出部312が
図67に矢印P4に示す位置にあるとき(突出部312が前後方向に延びるとき)に保持位置となり、突出部312が
図67に矢印P3に示す位置にあるとき(突出部312が機体幅方向に延びるとき)に解除位置となる。
【0225】
図69に示すように、前部スタンド310が保持位置にあるとき、突出部312は切り欠き315gに挿入された状態となる。前部スタンド310が解除位置にあるとき、突出部312は切り欠き315gから離脱した状態となる。棒体311を上下方向の中心軸回りに回転させて、前部スタンド310を解除位置から保持位置に変更したとき、突出部312が切り欠き315gに挿入される。また、棒体311を回転させて、前部スタンド310を保持位置から解除位置に変更したときに、突出部312が切り欠き315gから離脱する。
【0226】
前部スタンド310が保持位置にあるとき、即ち突出部312が切り欠き315gに挿入されたときに、突出部312を当該突出部312の中心軸方向(前方)に移動させることによって、突出部312を貫通孔315fに挿通することができる。これによって、突出部312が、切り欠き315g及び貫通孔315fに挿入される。これにより、突出部312を第2保持部314に確実に保持することが可能となる。
【0227】
ばね316は、コイルばねであって、内部を棒体311が貫通している。
図69に示すように、ばね316の下端部は、収容体315の底板部315aの上面に当接している。ばね316は、突出部312が切り欠き315gに挿入されたとき、突出部312に下方から当接した状態で圧縮される。これにより、ばね316は、切り欠き315gに挿入された突出部312を押し上げる方向に付勢する。突出部312は、ばね316の付勢力によって押し上げられることで、切り欠き315gの上縁に押し付けられる。また、これによって、突出部312は、切り欠き315gに保持された状態で固定される。
【0228】
前部スタンド310を保持位置から解除位置に変更する場合、棒体311を上下方向の中心軸回りに回転させて(
図68の矢印G3参照)、突出部312を切り欠き315gから離脱させればよい。これにより、前部スタンド310を上下方向(矢印G1参照)に移動させることが可能となる。
上述したように、突出部312は、第1保持部313に保持された保持位置にあるときの向き(突出方向)と、第2保持部314に保持された保持位置にあるときの向き(突出
方向)とが異なる。具体的には、突出部312の向きは、第1保持部313に保持された保持位置にあるときは機体幅方向に延びる向きであり、第2保持部314に保持された保持位置にあるときは前後方向に延びる向きである。また、突出部312の向きは、第1保持部313による保持が解除された解除位置にあるときは前後方向に延びる向きであり、第2保持部314による保持が解除された解除位置にあるときは機体幅方向に延びる向きである。つまり、第1保持部313と第2保持部314とでは、保持位置と解除位置とが逆になっている。そのため、第1保持部313による保持を解除した後、突出部312の向きを概ね維持した状態で第2保持部314による保持を行うことができる。逆に、第2保持部314による保持を解除した後、突出部312の向きを概ね維持した状態で第1保持部313による保持を行うことができる。
【0229】
前部スタンド310は、使用するときには、突出部312を第2保持部314に保持させる。これにより、前部スタンド310を、下端部が地面に当接する下方位置(
図69参照)に保持することができる。前部スタンド310は、使用しないときには、突出部312を第1保持部313に保持させる。これにより、前部スタンド310を、下端部が地面から離れる上方位置(
図68参照)に保持することができる。
【0230】
<後部スタンド>
次に、後部スタンド320について説明する。
図2、
図3、
図4に示すように、後部スタンド320は機体2の後部に設けられている。後部スタンド320は、操向ハンドル5の下方に配置されている。後部スタンド320は、揺動支点323(後述する第1横軸323)から下方に向けて延びる下降位置(
図2の仮想線位置)と、揺動支点323から後方に向けて延びる上昇位置(
図2の実線位置)とに揺動可能である(
図2の矢印E1参照)。
【0231】
後部スタンド320は、後輪4L,4Rを浮かせた状態で機体2を地面上に支持するためのスタンドである。後部スタンド320と前部スタンド310とを使用することによって、前輪3L,3R及び後輪4L,4Rを浮かせた状態で機体2を地面上に支持することができる。
図71、
図72、
図73、
図74に示すように、後部スタンド320は、下降位置にあるときに地面に接触する接地体321と、接地体321を機体2の後部(機体フレーム13の後部)に接続する接続体322とを有する。接地体321は、機体幅方向に延びている。接続体322は、接地体321の左部に接続された左接続体322Lと、接地体321の右部に接続された右接続体322Rと、を含む。左接続体322Lと右接続体322Rとは、互いに平行に延びている。左接続体322Lと右接続体322Rには、第1横軸323と第2横軸324が貫通している。第1横軸323と第2横軸324は、互いに平行に配置され、機体幅方向に延びている。第1横軸323は、第2横軸324に比べて機体フレーム13に近い側に配置されている。
【0232】
図74に示すように、左接続体322Lと右接続体322Rには、これら接続体322L,322Rの長手方向に延びる長孔321aが形成されている。第1横軸323の両端部は、長孔321aを貫通している。第1横軸323の両端部は、長孔321aを貫通した後、機体フレーム13の左右の後部にそれぞれ固定された固定板325に挿通されている。
【0233】
図73等に示すように、固定板325には、第1横軸323が挿通される円形孔325aと、第1切り欠き部325b及び第2切り欠き部325cが形成されている。第1切り欠き部325bと第2切り欠き部325cは、円形孔325aを中心とした同一半径の円弧上に配置されている。第1切り欠き部325bと第2切り欠き部325cは、円形孔325aに向かう方向にU字状に切り欠かれている。第2横軸324は、後部スタンド320が上昇位置にあるときは第1切り欠き部325bに嵌まり込み(
図73参照)、後部スタンド320が下降位置にあるときは第2切り欠き部325cに嵌まり込む(
図75参照)。
【0234】
図72に示すように、第1横軸323と第2横軸324とは、引っ張りばね326により繋がれている。引っ張りばね326は、一端部が第1横軸323に係止され、他端部が
第2横軸324に係止されている。引っ張りばね326は、後部スタンド320を機体フレーム13側に引き寄せる力を付勢している。そのため、引っ張りばね326は、第2横軸324が第1切り欠き部325b又は第2切り欠き部325cに嵌まり込む方向に付勢することができる。これにより、第2横軸324が第1切り欠き部325b又は第2切り欠き部325cに確実に嵌まり込むため、後部スタンド320を上昇位置又は下降位置に維持することができる。
【0235】
第2横軸324が第1切り欠き部325b又は第2切り欠き部325cに嵌まり込んだ状態から、後部スタンド320を引っ張りばね326の付勢力に抗して引っ張ると、接地体321に形成された長孔321aが第1横軸323に対して移動する。そのため、後部スタンド320は機体フレーム13から離れる方向に移動し(
図74の矢印C参照)、第2横軸324が第1切り欠き部325b又は第2切り欠き部325cから離脱する。これにより、後部スタンド320を上昇位置から下降位置に、又は下降位置から上昇位置に揺動させることが可能となる。
【0236】
<押し下げ補助具>
図2、
図3、
図4に示すように、操向ハンドル5の下方には、押し下げ補助具330が配置されている。押し下げ補助具330は、作業者が前輪3L,3Rを地面から浮かすために操向ハンドル5を手で押し下げるときに、押し下げ動作を補助するために足で押し下げ可能である。
【0237】
図1に示すように、操向ハンドル5は、作業者が左手で把持する左把持部5Lと、作業者が右手で把持する右把持部5Rと、を有する。押し下げ補助具330は、平面視において、左把持部5Lの下方に重なる位置に配置されている。
図72に示すように、押し下げ補助具330は、後部スタンド320に対して機体外方側(本実施形態の場合、左側)にずれた位置に配置されている。
【0238】
図71、
図72、
図73等に示すように、押し下げ補助具330は、揺動体331と踏み板332とを有する。
揺動体331は棒状の部材である。揺動体331の基端は、機体2の後部(機体フレーム13の後部)に設けられた支軸333に対して揺動可能に取り付けられている。踏み板332は、揺動体331の先端に設けられている。踏み板332は、揺動体331よりも幅が広い板から構成されている。踏み板332は、押し下げ動作時に作業者が足で踏むための板である。踏み板332は、揺動体331と別部材であってもよいし、揺動体331の一部として構成してもよい。例えば、揺動体331の下部に幅が広い部分を形成し、この部分を踏み板332としてもよい。
【0239】
図73等に示すように、支軸333は、揺動支点323の上方且つ後方に配置されている。
図71、
図72に示すように、支軸333は、機体フレーム13の後部に固定された円筒334に挿通されて、機体幅方向に延びている。円筒334は、支軸333回りに回動可能である。揺動体331の基端は、円筒334の外周面に固定されている。揺動体331は、円筒334と共に支軸333回りに回動することで、支軸333に対して揺動可能となっている。
【0240】
図71、
図72、
図73、
図74に示すように、押し下げ補助具330は、後部スタンド320が上昇位置にあるとき、押し下げ動作時に後部スタンド320に当接する当接部335を有する。当接部335は、揺動体331の基端部と踏み板332との間の位置に設けられている。当接部335は、ブラケット336を介して揺動体331と接続されている。ブラケット336は、揺動体331の基端と先端との間に固定されている。ブラケット336は、後部スタンド320とは接続されておらず、揺動体331と共に揺動可能である。
【0241】
当接部335は、機体幅方向に延びる棒状(円柱状)に形成されている。当接部335は、ブラケット336から機体内方側(本実施形態の場合、右側)に延びている。
図72に示すように、当接部335は、機体幅方向の位置が後部スタンド320の接地体321とオーバーラップしている。そのため、
図73に示すように、後部スタンド320が上昇位置にある状態において、押し下げ補助具330の当接部335は後部スタンド320の
接地体321と当接する。押し下げ補助具330は、当接部335が後部スタンド320(接地体321)に当接する状態において、支軸333から斜め下後方に向けて延びる。
【0242】
また、
図75に示すように、押し下げ補助具330は、後部スタンド320が下降位置にあるとき、当接部335が後部スタンド320から離れて支軸333から下方に向けて延びる。後部スタンド320を上昇位置から下降位置に移動させると(
図73の矢印L1参照)、押し下げ補助具330は当接部335が接地体321から離れて前下方に向けて回動し(矢印L2参照)、
図75に示す位置となる。尚、機体フレーム13の後部等に、後部スタンド320が下降位置にあるときに、押し下げ補助具330を所定位置に保持するための保持部を設けてもよい。
【0243】
押し下げ補助具330の当接部335を後部スタンド320の接地体321と当接させた状態(
図73参照)において、作業者が足で踏み板332を押し下げると、押し下げ力(
図2の矢印Q1参照)が後部スタンド320を介して機体2に伝達される。
作業者が移植機1を歩行操作しながら方向転換する際には、操向ハンドル5を手で押し下げると共に押し下げ補助具330を足で押し下げる。これによって、操向ハンドル5に作用する押し下げ力(
図2の矢印Q1参照)と、押し下げ補助具330に作用する押し下げ力(
図2の矢印Q2参照)との両方によって、後輪4L,4Rを支点として前輪3L,3Rを地面から浮かすことができる(
図2の矢印Q3参照)。そのため、移植機1を歩行操作しながらの方向転換を容易に行うことが可能となる。
【0244】
上述した実施形態においては、押し下げ補助具330は左把持部5Lの下方に重なる位置に配置されているが、押し下げ補助具330は右把持部5Rの下方に重なる位置に配置されていてもよい。押し下げ補助具330が左把持部5Lの下方に重なる位置に配置されている場合、作業者は左脚で押し下げ補助具330を押し下げることができる。押し下げ補助具330が右把持部5Rの下方に重なる位置に配置されている場合、作業者は右脚で押し下げ補助具330を押し下げることができる。
【0245】
また、押し下げ補助具330を2つ設けて、一方の押し下げ補助具330を左把持部5Lの下方に重なる位置に配置し、他方の押し下げ補助具330を右把持部5Rの下方に重なる位置に配置してもよい。この場合、作業者はいずれか一方の押し下げ補助具330を選択していずれか一方の脚で押し下げることができる。そのため、例えば、移植機1を右に転回させる場合と左に転回させる場合とで、一方と他方の押し下げ補助具330を使い分けることができる。
【0246】
上述した実施形態の移植機1によれば、以下の効果を奏する。
移植機1は、機体2と、機体2を走行可能に支持する車輪3L,3R,4L,4Rと、機体2に設けられて圃場に苗を植え付ける移植部8と、機体2に設けられて圃場の植付面の起伏に追従して上下動する接地輪100と、機体2の植付面からの高さを一定に維持するように車輪に対する機体2の高さを変動させる昇降機構と、機体2の左部と右部の植付面からの高さの差を減少させるように機体2を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動機構と、を含む機体制御機構と、を備え、接地輪100は、機体2の左部に設けられた第1接地輪100Lと、機体2の右部に設けられた第2接地輪100Rと、を含み、機体制御機構は、第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量と第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量とに基づいて、昇降機構と揺動機構の両方が作動する連動状態と、昇降機構と揺動機構のいずれか一方が作動する非連動状態とを切り替える。
【0247】
この構成によれば、第1接地輪100Lの高さの変動量である第1変動量と第2接地輪100Rの高さの変動量である第2変動量とに基づいて、昇降機構と揺動機構の両方が作動する連動状態と、昇降機構と揺動機構のいずれか一方が作動する非連動状態とを切り替えることができる。そのため、植付面の高さ変化に応じて機体2の高さ及び姿勢を最適な状態に変更することが可能となる。これにより、植付面に起伏があっても苗の植付深さを一定とすることができる。
【0248】
また、非連動状態は、昇降機構のみが作動する第1非連動状態と、揺動機構のみが作動する第2非連動状態とを含み、機体制御機構は、第1変動量と第2変動量とに基づいて、第1非連動状態と第2非連動状態とを切り替える。
この構成によれば、機体制御機構が第1変動量と第2変動量とに基づいて、昇降機構のみを作動させる状態と、揺動機構のみを作動させる状態とを切り替えるため、植付面の高さ変化や植付面の左右方向の傾斜に応じて機体2の高さ及び姿勢を最適な状態に変更することが可能となる。
【0249】
また、機体制御機構は、第1変動量と第2変動量との差が無く且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定量以上であるとき、第1非連動状態に切り替える。
この構成によれば、植付面の左部と右部との高さの差が無い状態で、植付面の高さの変化が大きい場合において、揺動機構を作動させずに昇降機構を作動させることができる。
また、機体制御機構は、第1変動量と第2変動量とに差があり且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定量未満であるとき、第2非連動状態に切り替える。
【0250】
この構成によれば、植付面の左部と右部との高さの差がある状態で、植付面の高さの変化が小さい場合において、昇降機構を作動させずに揺動機構を作動させることができる。
また、機体制御機構は、第1変動量と第2変動量とに差があり且つ第1変動量と第2変動量との平均値が所定量以上であるとき、連動状態に切り替える。
この構成によれば、植付面の左部と右部との高さの差がある状態で、植付面の高さの変化が大きい場合において、昇降機構と揺動機構の両方を作動させることができる。
【0251】
また、揺動機構は、伸縮駆動によって機体2を前後方向の軸心回りに揺動させる揺動シリンダ36と、上下方向に延びる支点軸180と、支点軸180の左側に配置されて第1変動量に基づいて前後方向に移動する第1移動部材181と、支点軸180の右側に配置されて第2変動量に基づいて前後方向に移動する第2移動部材182と、左右方向に延びて第1移動部材181と第2移動部材182とを連結し、第1移動部材181の移動量である第1移動量D1と第2移動部材182の移動量である第2移動量D2との差に基づいて支点軸180回りに揺動する連結部材183と、連結部材183と揺動シリンダ36とを連動可能に接続し、第1移動量D1と第2移動量D2との差が所定量以上となったときに揺動シリンダ36を駆動する揺動シリンダ駆動機構と、を有している。
【0252】
この構成によれば、揺動機構によって、第1変動量に基づく第1移動量D1と第2変動量に基づく第2移動量D2との差が所定量以上となったときに、揺動シリンダ36を作動させることができる。
また、昇降機構は、伸縮駆動によって機体2の高さを変動させる昇降シリンダ14と、支点軸180と、第1移動部材181と、第2移動部材182と、連結部材183と、連結部材183と昇降シリンダ14とを連動可能に接続する昇降シリンダ駆動機構と、左右方向に延びる横軸184と、を備え、支点軸180は、第1移動量D1と第2移動量D2との平均値に基づいて横軸184を支点として傾動し、昇降シリンダ駆動機構は、支点軸180の傾動量が一定値以上となったときに昇降シリンダ14を駆動する。
この構成によれば、昇降機構によって、第1変動量に基づく第1移動量D1と第2変動量に基づく第2移動量D2との平均値が所定量以上となったときに、昇降シリンダ14を作動させることができる。
【0253】
また、揺動シリンダ駆動機構は、揺動シリンダ36を伸長させる第1方向と短縮させる第2方向とに揺動可能なレバー196と、左右方向に延びる横軸184と、連結部材183の左部に接続されて第1移動量D1に基づいて横軸184回りに回動する第1回動部材194Lと、連結部材183の右部に接続されて第2移動量D2に基づいて横軸184回りに回動する第2回動部材194Rと、第1回動部材194Lと接続されて第1回動部材194Lの回動量に基づいて移動する第1ワイヤ195Lと、第2回動部材194Rと接続されて第2回動部材194Rの回動量に基づいて移動する第2ワイヤ195Rと、第1ワイヤ195L及び第2ワイヤ195Rの移動とレバーの揺動とを連動させる第1連動機構197と、を備え、第1連動機構197は、第1ワイヤ195Lの移動量が第2ワイヤ195Rの移動量よりも大きいときはレバー196を第1方向に揺動し、第2ワイヤ195Rの移動量が第1ワイヤ195Lの移動量よりも大きいときはレバー196を第2方向に揺動し、第1ワイヤ195Lの移動量と第2ワイヤ195Rの移動量とが同じときはレバー196を揺動させない。
【0254】
この構成によれば、第1移動量D1と第2移動量D2との大小関係に基づいて、揺動シリンダ36を伸縮させるレバー196を、第1方向に揺動させる状態、第2方向に揺動させる状態、揺動させない状態のいずれかに自動的に切り替えることができる。
また、昇降シリンダ駆動機構は、昇降シリンダ14を伸長させる第1方向と短縮させる第2方向とに回動可能な回動体198と、連結部材183の左部に接続されて第1移動量D1に基づいて横軸184回りに回動する第1回動部材194Lと、連結部材183の右部に接続されて第2移動量D2に基づいて横軸184回りに回動する第2回動部材194Rと、第1回動部材194L及び第2回動部材194Rの回動と連動させて回動体198を回動させる第2連動機構199と、を備え、第2連動機構199は、第1回動部材194Lの回動量と第2回動部材194Rの回動量の平均値に基づいて回動体198を回動させる。
【0255】
この構成によれば、第1移動量D1に基づく第1回動部材194Lの回動量と第2移動量D2に基づく第2回動部材194Rの回動量との平均値に基づいて、昇降シリンダ14を伸縮させる回動体198を回動させることができる。
また、レバー196を手動で揺動する手動モードと、レバー196を自動で揺動させる自動モードとを切り替える切り替え機構を備え、切り替え機構は、自動モードにおいて第1連動機構197によるレバー196の揺動を許容し、手動モードにおいて第1連動機構197によるレバー196の揺動を許容しない。
【0256】
この構成によれば、切り替え機構によって、第1連動機構197によるレバー196の揺動を許容する状態(自動モード)と許容しない状態(手動モード)とを、必要に応じて切り替えることができる。
また、接地輪100の基準高さを設定する設定レバー245を備え、設定レバー245は、揺動によって基準高さを変更可能であり、第1移動部材181と第2移動部材182は、設定レバー245を揺動したとき同じ距離だけ移動する。
【0257】
この構成によれば、設定レバー245の揺動によって、第1移動部材181と第2移動部材182とを同じ距離だけ移動させることで、第1接地輪100Lと第2接地輪100Rとを同じ距離だけ昇降させることができる。そのため、設定レバー245の揺動によって、植え付け深さの設定を行うことができる。
また、機体2に固定され且つ機体幅方向に延びる固定軸60と、固定軸60に対して揺動可能であり且つ機体幅方向に延びる可動軸65と、を備え、可動軸65は、第1接地輪100Lと連動可能に接続された第1可動軸65Lと、第2接地輪100Rと連動可能に接続された第2可動軸65Rと、を含み、第1移動部材181は第1可動軸65Lの揺動に伴って移動し、第2移動部材182は第2可動軸65Rの揺動に伴って移動する。
【0258】
この構成によれば、第1接地輪100Lの昇降と第2接地輪100Rの昇降とを別々の可動軸(第1可動軸65Lと第2可動軸65R)に連動させることができる。そのため、第1接地輪100Lの昇降に基づく制御と、第2接地輪100Rの昇降に基づく制御とを、独立して行うことが可能となる。
また、移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部8が設けられた機体2と、機体2を走行可能に支持する車輪3L,3Rと、車輪3L,3Rを浮かせた状態で機体2を地面上に支持するためのスタンド(前部スタンド)310と、を備え、スタンド310は、上下方向に昇降することによって、下端部が地面に当接する下方位置と、下端部が地面から離れる上方位置とに移動可能である。
【0259】
この構成によれば、スタンド310が、上下方向に昇降することによって、下端部が地面に当接する下方位置と、下端部が地面から離れる上方位置とに移動可能であるため、スタンド310の取り付けや取り外しの手間を省くことができるとともに、スタンド310を狭いスペースに配置することができる。
また、スタンド310を上方位置にて保持する第1保持部313と、スタンド310を下方位置にて保持する第2保持部314と、を備えている。
【0260】
この構成によれば、スタンド310を使用しないときには第1保持部313に保持し、使用するときには第2保持部314に保持することができる。
また、機体2に搭載された椅子11と、移植部8に苗を供給する苗供給部9と、を備え、苗供給部9は椅子11の前方に配置され、第1保持部313は苗供給部9に設けられている。
【0261】
この構成によれば、椅子11に座った作業者は、苗供給部9よりも近い位置で第1保持部313に容易にアクセスすることができる。また、作業者は、スタンド310を把持して椅子11に乗り降りすることができる。
また、機体2に搭載された椅子11と、椅子11の側方且つ下方に設けられた乗降ステップ12と、を備え、第2保持部314は乗降ステップ12に設けられている。
【0262】
この構成によれば、作業者は乗降ステップ12を介して椅子11に乗り降りするとき等に、第2保持部314に容易にアクセスすることができる。また、作業者は、スタンド310を把持して乗降ステップ12に乗り降りすることができる。
スタンド310は、上下方向に延びる棒体311と、棒体311の外周面から突出する突出部312と、を有し、突出部312は、スタンド310が上方位置にあるときに第1保持部313に保持され、スタンド310が下方位置にあるときに第2保持部314に保持される。
【0263】
この構成によれば、スタンド310を使用しないときには突出部312を第1保持部313に保持させ、使用するときには突出部312を第2保持部314に保持させることができる。
また、棒体311は、上下方向の中心軸回りに回転可能に構成されており、スタンド310は、棒体311を中心軸回りに回転することによって、第1保持部313又は第2保持部314に突出部312が保持される保持位置と、保持が解除される解除位置とに変更可能である。
【0264】
この構成によれば、棒体311を中心軸回りに回転するという簡単で且つ大きなスペースを要さない操作によって、突出部312の向きを変えて、スタンド310を保持位置と解除位置とに変更することができる。
また、第2保持部314は、棒体311を解除位置から保持位置に向けて回転したときに突出部312が挿入される切り欠き315gと、切り欠き315gに挿入された突出部312を押し上げる方向に付勢するばね316を有している。
【0265】
この構成によれば、切り欠き315gに挿入された突出部312がばね316によって押し上げられることにより、突出部312を切り欠き315gの上縁に押しつけることができる。そのため、意図せずに突出部312が切り欠き315gから離脱することを防止できる。
また、移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部8が設けられた機体2と、機体2を走行可能に支持する前輪3L,3R及び後輪4L,4Rと、機体2の後部に設けられて歩行操作するときに作業者が手で把持する操向ハンドル5と、操向ハンドル5の下方に配置され、作業者が前輪3L,3Rを地面から浮かすために操向ハンドル5を手で押し下げるときに、押し下げ動作を補助するために足で押し下げ可能な押し下げ補助具330と、を備えている。
【0266】
この構成によれば、作業者が移植機1を歩行操作しながら方向転換する際に、操向ハンドル5を手で押し下げると共に押し下げ補助具330を足で押し下げることによって、腕力と脚力とを用いて前輪3L,3Rを地面から浮かすことができるため、移植機1を歩行操作しながらの方向転換を容易に行うことが可能となる。
また、機体2の後部に揺動可能に設けられ、後輪4L,4Rを浮かせた状態で機体2を地面上に支持するための後部スタンド320を備え、後部スタンド320は、揺動支点323から下方に向けて延びる下降位置と、揺動支点323から後方に向けて延びる上昇位置とに揺動可能であり、押し下げ補助具330は、後部スタンド320が上昇位置にあるとき、押し下げ動作時に後部スタンド320に当接する当接部335を有している。
【0267】
この構成によれば、後部スタンド320が上昇位置にあるとき、押し下げ補助具330を足で押し下げると、当接部335が後部スタンド320に当接する。そのため、押し下げ補助具330を足で押し下げる力を、後部スタンド320を利用して機体2に伝達する
ことができる。
また、押し下げ補助具330は、当接部335が後部スタンド320に当接する状態において、支軸333から斜め下後方に向けて延びる。
【0268】
この構成によれば、押し下げ補助具330を使用するとき、押し下げ補助具330を足で押し下げ易い位置及び角度に配置することができる。
また、押し下げ補助具は、後部スタンド320が下降位置にあるとき、当接部335が後部スタンド320から離れて支軸333から下方に向けて延びる。
この構成によれば、押し下げ補助具330を使用しないとき、押し下げ補助具330を邪魔にならない位置に配置することができる。
【0269】
また、押し下げ補助具330は、機体2の後部に設けられた支軸333に対して揺動可能に取り付けられた揺動体331と、揺動体331の先端に設けられて押し下げ動作時に作業者が足で踏むための踏み板332と、を有している。
この構成によれば、踏み板332を足で踏むことにより足の力を効率良く揺動体331へと伝達し、これによって揺動体331を支軸333に対して揺動させて前輪3L,3Rを地面から浮かすことができる。
【0270】
また、支軸333は、揺動支点323の上方且つ後方に配置されている。
この構成によれば、押し下げ補助具330を歩行操作中の作業者の近くに配置することができるため、押し下げ補助具330の操作を容易に行うことが可能となる。
また、操向ハンドル5は、作業者が左手で把持する左把持部5Lと、作業者が右手で把持する右把持部5Rと、を有し、押し下げ補助具330は、平面視において左把持部5L及び/又は右把持部5Rの下方に重なる位置に配置されている。
【0271】
この構成によれば、操向ハンドル5を把持する作業者は、押し下げ補助具330を左足又は右足で容易に押し下げることができる。
また、移植機1は、圃場に苗を植え付ける移植部8と、移植部8に苗を供給する苗供給部9と、苗供給部9に供給される苗を収容した苗トレイT1を載置する苗載せ台(予備苗載せ台)150と、苗載せ台150に載置した苗トレイT1を押さえる押さえ具159と、を備えている。
【0272】
この構成によれば、押さえ具159により苗載せ台150に載置した苗トレイT1を押さえることができるため、強風等によって苗トレイT1が苗載せ台150から落下することを防止できる。
また、押さえ具159は、苗トレイT1の上面T1aに当接する押さえ位置と、上面T1aから離れる非押さえ位置とに揺動可能である。
【0273】
この構成によれば、押さえ具159を揺動させるという簡単な操作にて、押さえ具159を押さえ位置と非押さえ位置とに変更することができる。
また、押さえ具159は、第1部分159aと、第1部分159aから屈曲された第2部分159bとを有するL字状に形成されており、第1部分159aは、押さえ具159を揺動するときに作業者が手で握持可能な長さに形成されている。
【0274】
この構成によれば、作業者は第1部分159aを把持して押さえ具159を揺動することができるため、押さえ具159を揺動するための持ち手を別に設ける必要がなく、押さえ具159の部品点数を減らすことができる。
また、第1部分159aと第2部分159bとの間は円弧状に形成されており、押さえ具159は、押さえ位置にあるとき、円弧状の部分159cが上面T1aに当接する。
【0275】
この構成によれば、押さえ具159により苗トレイT1の上面T1aを押さえたときに、上面T1aが傷付いたり破損したりすることを防止できる。
また、押さえ具159は、押さえ位置にあるとき、第1部分159aが上面T1aに対して傾斜する。
この構成によれば、第1部分159aの先端と上面T1aとの間に隙間が生じるため、作業者が第1部分159aを握持しやすくなる。
【0276】
また、苗載せ台150が取り付けられる支柱151を備え、支柱151は上下方向に延伸されており、苗載せ台150は上下方向に間隔をあけて支柱151に複数取り付けられ
、押さえ具159は、支柱151に取り付けられて、複数の苗載せ台150のうち少なくとも最上部の苗載せ台150に載置された苗トレイT1を押さえる。
この構成によれば、最上部の予備苗載せ台150に載せられた苗トレイT1は、強風等によって最も落下し易いため、少なくとも最上部の予備苗載せ台150に載置された苗トレイを押さえることで、苗トレイT1の落下を効果的に防止することができる。
【0277】
また、複数の苗載せ台150は、苗トレイT1を載置する載置面155が略水平となる第1姿勢と、載置面155が略垂直となる第2姿勢とに姿勢変更可能であって、苗載せ台150は、第2姿勢において上下方向に隣り合う苗載せ台150同士が係合可能な係合部156を有しており、押さえ具159は、複数の苗載せ台150が第2姿勢にある状態において、最上部の苗載せ台150を押さえることができる。
【0278】
この構成によれば、最上部の苗載せ台150を押さえることによって、最上部の苗載せ台150を第1姿勢側に少し回動させて係合量を大きく(深く)することができる。これにより、第2姿勢にある予備苗載せ台150ががたつくことを効果的に防止できる。
また、苗供給部9の後方に配置された椅子11を備え、押さえ具159は、作業者が椅子11から立った位置において操作可能な位置に配置されている。
【0279】
この構成によれば、作業者が椅子11から立った位置において押さえ具159を操作することができるため、押さえ具159の操作性に優れている。
また、移植機1は、機体2と、機体2に対して昇降可能に設けられ、苗を保持して下降することにより圃場に苗を植え付ける植付具80を含む昇降部材70と、昇降部材70が上昇位置にあるときに植付具80に苗を落下供給する苗供給部9と、機体2に対する位置が固定されるとともに昇降部材70と苗供給部9との間に配置されて、苗供給部9から昇降部材70への苗の落下供給を中継する中継ホッパ71と、を備え、中継ホッパ71は、弾性体から構成されるとともに、昇降部材70が上昇位置にあるときに昇降部材70と接触する位置に配置されている。
【0280】
この構成によれば、植付具80を含む昇降部材70が上昇位置にあるとき弾性体からなる中継ホッパ71に接触することにより、中継ホッパ71に苗が詰まったり引っ掛かったりした場合でも中継ホッパ71に衝撃を加えて、苗を植付具80に落下させることができる。そのため、苗供給部9から植付具80への苗の供給を円滑に行うことができる。また、中継ホッパ71が弾性体からなるため、昇降部材70が中継ホッパ71に接触したときに、昇降部材70が変形したり破損したりすることを防止できる。
【0281】
また、中継ホッパ71は、弾性材からなるシート73を筒状に丸めて形成されている。
この構成によれば、中継ホッパ71の形状や大きさの調整を容易に行うことができるため、昇降部材70との接触の度合いを適当に調整することができる。
また、中継ホッパ71の上部を保持する保持体61を備え、保持体61は剛性材から構成されている。
【0282】
この構成によれば、昇降部材70との接触によって中継ホッパ71の上部が変形することが防がれる。これにより、苗供給部9から落下する苗を中継ホッパ71内に確実に受け入れることができる。
また、保持体61は、中継ホッパ71の上部の周囲に沿って取り付けられた枠体62と、枠体62を苗供給部9の下方位置に固定する固定部63と、を有している。
【0283】
この構成によれば、枠体62によって中継ホッパ71の上部の周囲を確実に保持することができるとともに、固定部63によって保持体61を苗供給部9の下方位置に固定することができる。
また、昇降部材70は、下降位置において圃場の地面に突入する植付具80と、植付具80の上方に配置されて中継ホッパ71から落下する苗を植付具80に向けて案内する苗ガイド75と、を有し、植付具80が上昇位置にあるとき、苗ガイド75が中継ホッパ71と接触する。
【0284】
この構成によれば、植付具80ではなく苗ガイド75を中継ホッパ71と接触させることによって、植付具80が撓んだりして植え付けに支障がでることを防止できる。
また、植付具80が上昇位置にあるとき、中継ホッパ71の下部が苗ガイド75の上部
に挿入される。
この構成によれば、中継ホッパ71から苗ガイド75への苗の供給を確実に行うことが可能となる。
また、中継ホッパ71は、少なくとも一部の内面が上端から下端に向けて略垂直に延びている。
この構成によれば、中継ホッパ71の内部で苗が滞留することを確実に防ぐことができる。
【0285】
また、移植機1は、機体2と、機体2に搭載された原動機17と、機体2に設けられて圃場に苗を植え付ける移植部8と、機体2を走行可能に支持し、原動機17の動力を受けて回転する駆動輪4L,4Rと、原動機17の動力を駆動輪4L,4Rに伝達する動力伝達軸と、を備え、駆動輪4L,4Rは、機体幅方向の一方側に配置された一方駆動輪4Lと、機体幅方向の他方側に配置された他方駆動輪4Rとを含み、動力伝達軸は、原動機17からの動力が伝達される一方軸274と、他方駆動輪4Rを回転可能に支持する他方軸275とを含み、他方軸275は、連結部276を介して一方軸274に対して機体幅方向にスライド可能に連結され、連結部276は、他方軸275をスライドしたときに一方軸274から離脱することを防ぐ第1抜け止め部279を有している。
【0286】
この構成によれば、他方軸275を一方軸274に対してスライドすることによって動力伝達軸の長さを変更することができるとともに、第1抜け止め部279により他方軸275が一方軸274から離脱することを防止できるため、往復4条植えを行う場合等に車輪間の距離を変更する作業を容易に且つ確実に行うことが可能となる。
また、他方軸275は、軸体277と、軸体277の外周側に配置される筒体278とを有し、筒体278の一端側には一方軸274がスライド可能に挿入され、筒体278の他端側には軸体277がスライド可能に挿入され、筒体278の一端側には、第1抜け止め部279が設けられ、筒体278の他端側には、軸体277が筒体278から離脱することを防ぐ第2抜け止め部280が設けられている。
【0287】
この構成によれば、動力伝達軸の長さを変更する際に、軸体277及び一方軸274が筒体278から離脱することを防ぐことができる。
また、第2抜け止め部280は、筒体278の他端側に固定された第2抜け止め部材282を有し、第1抜け止め部279は、筒体278の一端側に着脱可能に取り付けられた第1抜け止め部材281を有している。
【0288】
この構成によれば、第2抜け止め部材282が固定された筒体278の他端側から予め軸体277を挿入しておき、後から筒体278の一端側に第1抜け止め部材281を取り付けて一方軸274を挿入することができる。
また、第1抜け止め部材281は、筒体278の中心軸回りに回転可能であり、中心軸回りの回転によって、筒体278に対する一方軸274の離脱を許容しない抜け止め状態と、離脱を許容する非抜け止め状態とを切り替え可能である。
【0289】
この構成によれば、筒体278の一端側に一方軸274を挿入した後、第1抜け止め部材281を筒体278の中心軸回りに回転させることによって、抜け止め状態と非抜け止め状態とを切り替えることができる。
また、筒体278は多角形状の内周面278eを有し、一方軸274は、内周面278eに沿って挿入可能な多角形の外周面を有する挿入部274aを有し、第1抜け止め部材281は、筒体278の外周面に係止可能な第1部位281aと、筒体278の一端面に当接し且つ挿入部274aを挿入可能な多角形状の穴281fを有する第2部位281bとを有し、非抜け止め状態において、筒体278の内周面278eの多角形の中心軸回りの位相と、第2部位281bの穴281fの多角形の中心軸回りの位相とが一致し、抜け止め状態において、筒体278の内周面278eの多角形の中心軸回りの位相と、第2部位281bの穴281fの多角形の中心軸回りの位相とがずれる。
【0290】
この構成によれば、第1抜け止め部材281を筒体278の中心軸回りに回転させることによって、筒体278の内周面278eの多角形の中心軸回りの位相を一致させて非抜け止め状態としたり、位相をずらして非抜け止め状態としたりすることができる。
また、第1抜け止め部材281は、第1部位281aと第2部位281bとを接続する第3部位281cを有し、筒体278の外周面には、抜け止め状態において、第3部位281cが面接触する当接面278bが形成されている。
【0291】
この構成によれば、第3部位281cを当接面278bに面接触させることで、簡単に抜け止め状態を得ることができる。また、抜け止め状態において、意図せずに第1抜け止め部材281が回転して非抜け止め状態となることを防止できる。
また、第3部位281cは、対向して配置された一対の平板281g,281hから構成され、当接面278bは、筒体278の中心軸を挟んで平行に形成された一対の平面から構成されている。
【0292】
この構成によれば、筒体278の中心軸を挟んだ2か所において、第3部位281cを当接面278bに面接触させることができるため、抜け止め状態を確実に得ることができる。また、抜け止め状態において、意図せずに第1抜け止め部材281が回転して非抜け止め状態となることを確実に防止できる。
また、第1部位281aは、一対の平板81g,281hから夫々延びる一対の係止爪281d,281eから構成され、筒体278の外周面には、周方向に延びる凹溝278aが形成され、一対の係止爪281d,281eは凹溝278aに係止される。
【0293】
この構成によれば、係止爪281d,281eは凹溝278aに係止することによって、第1抜け止め部材281が筒体278から離脱してしまうことを防止できる。
また、一方軸274の外周側に配置される一方外筒270と、他方軸275の外周側に配置される他方外筒271と、を備え、一方外筒270の一端部には第1フランジ270aが設けられ、他方外筒271の一端部には第1フランジ270aと接続可能な第2フランジ271aが設けられている。
【0294】
この構成によれば、第1フランジ270aと第2フランジ271aとが着脱可能であることによって、往復4条植えを行う場合等に駆動輪4L,4R間の距離を変更する作業を容易に行うことが可能となる。
また、機体2の走行に伴って回転する従動輪3L,3Rと、動力伝達軸と平行に配置されて従動輪3L,3Rを支持する支持筒と、を備え、支持筒は、一方外筒270と平行に配置されて接続された一方支持筒296と、他方外筒271と平行に配置されて接続された他方支持筒297とを含み、一方支持筒296の一端部には第3フランジ296aが設けられ、他方支持筒297の一端部には第3フランジ296aと接続可能な第4フランジ297aが設けられている。
【0295】
この構成によれば、第3フランジ296aと第4フランジ297aとが着脱可能であることによって、往復4条植えを行う場合等に従動輪3L,3R間の距離を変更する作業を容易に行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0296】
1 移植機
2 機体
3L,3R 車輪(前輪)
4L,4R 車輪(後輪)
8 移植部
14 昇降シリンダ
36 揺動シリンダ
60 固定軸
65 可動軸
65L 第1可動軸
65R 第2可動軸
100 接地輪(鎮圧輪)
100L 第1接地輪(第1鎮圧輪)
100R 第2接地輪(第2鎮圧輪)
180 支点軸
181 第1移動部材
182 第2移動部材
183 連結部材
184 横軸
194L 第1回動部材
194R 第2回動部材
195L 第1ワイヤ
195R 第2ワイヤ
196 レバー
197 第1連動機構
198 回動体
199 第2連動機構
245 設定レバー
D1 第1移動量
D2 第2移動量