(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066141
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20230508BHJP
【FI】
E03C1/042 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176684
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】天本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】花園 正輝
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BA05
2D060BB01
2D060BE07
2D060BE08
2D060BE09
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】吐水ヘッドを引き出して使用するときの樹脂製ホースの耐久性の確保と吐水ヘッドの操作性との両立を実現した吐水装置を提供することを目的とする。
【解決手段】実施形態の一態様に係る水栓装置は、水栓本体と、前記水栓本体に対して着脱自在である吐水ヘッドと、前記吐水ヘッドに対して通水可能に接続されて可撓性を有する樹脂製のホース部と、を備えた水栓装置であって、前記吐水ヘッドは、吐水口を有するヘッド本体と、前記ホース部内に挿入される接続部と、を備え、前記ホース部内において前記接続部の端部に取り付けられる補強部材を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体と、前記水栓本体に対して着脱自在である吐水ヘッドと、前記吐水ヘッドに対して通水可能に接続されて可撓性を有する樹脂製のホース部と、を備えた水栓装置であって、
前記吐水ヘッドは、吐水口を有するヘッド本体と、前記ホース部内に挿入される接続部と、を備え、
前記ホース部内において前記接続部の端部に取り付けられる補強部材を有することを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
補強部材は、コイル部であることを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記接続部は、前記端部の外周面に螺旋溝を有することを特徴とする請求項2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記コイル部は、少なくとも一部が前記接続部の端部に取り付けられる一端の第1部分と、前記第1部分よりも他端側に位置する第2部分と、を有し、
前記第1部分の巻きピッチは、前記第2部分の巻きピッチよりも短いことを特徴とする請求項2又は3に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、水栓本体に対して吐水ヘッドが着脱可能な水栓装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。こういった水栓装置においては、特許文献1のようにホースが金属製で蛇腹状に形成されるものが広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにホースを金属製にすると一定の耐久性を確保しやすい一方で、吐水ヘッドを引き出すときに水栓本体の内管と金属製のホースとの接触音が大きくなり、使用者に不快感を与えてしまう。また、引き出しできる長さのホースを金属で構成することで、コストが高くなる。
【0005】
ここで、可撓性を有する樹脂製のホースにすることで、ホースを金属製にする場合に比べて、吐水ヘッドを引き出すときの水栓本体の内管とホースとの接触音を抑えることができ、コストも抑えることができるが、ホースの耐久性が低下してしまうおそれがある。特に、引き出した吐水ヘッドを様々な方向に取り回して使用する水栓装置においては、ホースにかかる負荷が大きいため、ホースの耐久性が低いと最悪の場合、ホースが破れてしまうおそれがある。
【0006】
ホースの厚みを厚くすることで耐久性を向上させることも可能だが、ホースの厚みが厚過ぎると吐水ヘッドを引き出して使用するときの吐水ヘッドの取り回しがしにくくなり、吐水ヘッドの操作性が悪くなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、吐水ヘッドを引き出して使用するときの樹脂製ホースの耐久性の確保と吐水ヘッドの操作性との両立を実現した吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る水栓装置は、水栓本体と、前記水栓本体に対して着脱自在である吐水ヘッドと、前記吐水ヘッドに対して通水可能に接続されて可撓性を有する樹脂製のホース部と、を備えた水栓装置であって、前記吐水ヘッドは、吐水口を有するヘッド本体と、前記ホース部内に挿入される接続部と、を備え、前記ホース部内において前記接続部の端部に取り付けられる補強部材を有することを特徴とする。
【0009】
これにより、吐水ヘッドが引き出されて使用される際に補強部材がホース部を内側から支持することで、ホース部の耐久性を確保することができる。また、吐水ヘッドが様々な方向に取り回されても、補強部材が曲がることで吐水ヘッドの取り回しがし易く、吐水ヘッドの操作性を確保することができる。したがって、吐水ヘッドを引き出して使用するときの樹脂製のホース部の耐久性の確保と吐水ヘッドの操作性との両立を実現することができる。
【0010】
また、補強部材は、コイル部であることを特徴とする。
【0011】
これにより、簡易的な構成で吐水ヘッドを引き出して使用するときの樹脂製のホース部の耐久性の確保と吐水ヘッドの操作性との両立を実現することができる。
【0012】
また、前記接続部は、前記端部の外周面に螺旋溝を有することを特徴とする。
【0013】
これにより、コイル部が接続部から外れにくくすることができる。
【0014】
また、前記コイル部は、少なくとも一部が前記接続部の端部に取り付けられる一端の第1部分と、前記第1部分よりも他端側に位置する第2部分と、を有し、前記第1部分の巻きピッチは、前記第2部分の巻きピッチよりも短いことを特徴とする。
【0015】
これにより、巻きピッチの短い第1部分によってコイル部が接続部から外れにくくするとともに、巻きピッチが第1部分より長い第2部分によって吐水ヘッドの取り回しがし易くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、吐水ヘッドを引き出して使用するときの樹脂製ホースの耐久性の確保と吐水ヘッドの操作性との両立を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】実施形態に係る水栓装置のホース部が引き出された状態の断面図である。
【
図3】実施形態に係る水栓装置の(A)一部を模式的に表す拡大断面図、(B)継手管とコイル部の分解図である。
【
図4】変形例1に係る水栓装置の継手管とコイル部の分解図である。
【
図5】変形例2に係る水栓装置の継手管とコイル部の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素
には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
実施形態に係る水栓装置1について、
図1、2を参照し説明する。
図1は、実施形態に係る水栓装置1の斜視図である。
図2は、実施形態に係る水栓装置1のホース部30が引き出された状態の断面図である。
【0020】
水栓装置1は、例えばキッチンや洗面化粧台等に備えられたカウンターCに取り付けられるものであって、水栓本体10と、水栓本体10に対して着脱自在である吐水ヘッド20と、吐水ヘッド20に対して通水可能に接続された可撓性を有する樹脂製のホース部30と、を備えている。
【0021】
水栓本体10は、上部に備えられたレバー11と、吐水ヘッド20が着脱可能であり、吐水ヘッド20の移動に伴ってホース部30を引出・挿入可能なスパウト部12と、を有する。
【0022】
吐水ヘッド20は、吐水口21を有するヘッド本体22と、一端がヘッド本体22に接続され、他端がホース部30に接続される継手管23と、を備えている。継手管23は、ヘッド本体22とは別体で形成されている。スパウト部12に装着された状態の吐水ヘッド20をスパウト部12から引き出すと、
図2に示すように、ホース部30も一緒に引き出される。これにより、吐水ヘッド20がスパウト部12に装着された状態では吐水口21が届かない位置にも吐水を届かせることができ、広範囲への吐水が可能となる。
【0023】
続いて、実施形態に係る水栓装置1の継手管23とホース部30との接続部分およびコイル部40について、
図3を参照し説明する。
図3は、実施形態に係る水栓装置1の(A)一部を模式的に表す拡大断面図、(B)継手管23とコイル部40の分解図である。
【0024】
継手管23は、ヘッド本体22が接続される一端側のヘッド本体側接続部24と、ホース部30が接続される他端側のホース部側接続部25と、を有する。
【0025】
ホース部側接続部25は、ホース部30内に挿入されている。ホース部側接続部25の外周面には、ホース部30の内面に食い込む環状突起25aと、ホース部30の内面と対向して圧接する環状凹部25bと、後述するコイル部40が取り付けられる端部25cと、が設けられている。
【0026】
端部25cは、環状突起25aや環状凹部25bが設けられた部分(いわゆる、端部25cよりもヘッド本体22側の部分)よりも外周径が小さくなるように形成されている。また、端部25cの外周面には、螺旋溝25dが形成されている。螺旋溝25dの外周の径は、コイル部40の内周部の径とほぼ同じ大きさになっている。好ましくは、螺旋溝25dの外周の径とコイル部40の内周部の径とが同じ大きさ、もしくは螺旋溝25dの外周の径よりもコイル部40の内周部の径が小さくなっている。
【0027】
端部25cとコイル部40の接続方法について説明する。コイル部40の内周部を端部25cに合わせ、コイル部40をコイル部40の巻き方向に回しながら端部25cへ押し込む。すると、コイル部40の内周部に対して外径方向に力が加わり、コイル部40の内周部の径が広がる。これにより、コイル部40の内径が端部25cの外径より大きくなり、コイル部40は端部25cに容易に取り付けられる。取付状態においてはコイル部40と端部25cの取付位置が固定された状態となっており、コイル部40をコイル部40の巻き方向とは反対方向に回すと、コイル部40の内周部の径が小さくなる方向に力が加わるため、コイル部40は端部25cに食いつくようになる。コイル部40と端部25cの間に働く垂直抗力が増大し、両者間の静止摩擦力が増大する。結果として、コイル部40の端部25cに対する相対的な運動が抑制され、コイル部40は端部25cから外れにくくなっている。
【0028】
続いて、実施形態に係る水栓装置1のコイル部40について、
図3を参照し説明する。
【0029】
コイル部40は、継手管23とは別体で形成されたステンレス製の線材を螺旋状に巻いた部材である。コイル部40は、少なくとも一部が端部25cに取り付けられる一端の第1部分41と、第1部分41よりも他端側に位置する第2部分42と、他端の第3部分43と、を有する。
【0030】
第1部分41、第2部分42、第3部分43はそれぞれ巻きピッチが異なる。巻きピッチとは、単位長さあたりの巻き数のことを指す。第1部分41は、継手管23とコイル部40との接続部付近のホース部30の耐久性を確保してキンクしにくくなるように、線材同士が接触するように密着させた巻きピッチにしている。また、第2部分42は、吐水ヘッド20の取り回しがし易いように線材同士の隙間が3~6mmとなるような巻きピッチにしている。第3部分43は、コイル部40の端部がホース部30に接触してもホース部30を傷つけないように、第1部分41と同様に線材同士が接触するように密着させた巻きピッチにしている。なお、第1部材41の巻きピッチを端部25cの螺旋溝25dの巻きピッチよりも小さくする、もしくは同じにすることで、コイル部40は端部25cからより外れにくくなる。
【0031】
実施形態に係る水栓装置1は、水栓本体10と、水栓本体10に対して着脱自在である吐水ヘッド20と、吐水ヘッド20に対して通水可能に接続されて可撓性を有する樹脂製のホース部30と、を備えた水栓装置1であって、吐水ヘッド20は、吐水口21を有するヘッド本体22と、ホース部30内に挿入される接続部(ホース部側接続部25)と、を備え、ホース部30内において接続部(ホース部側接続部25)の端部25cに取り付けられるコイル部40(補強部材)を有することを特徴とする。
【0032】
これにより、吐水ヘッド20が引き出されて使用される際にコイル部40がホース部30を内側から支持することで、ホース部30の耐久性を確保することができる。また、吐水ヘッド20が様々な方向に取り回されても、コイル部30が曲がることで吐水ヘッド20の取り回しがし易く、吐水ヘッド20の操作性を確保することができる。したがって、吐水ヘッド20を引き出して使用するときの樹脂製のホース部30の耐久性の確保と吐水ヘッド20の操作性との両立を実現することができる。
【0033】
また、接続部(ホース部側接続部25)は、端部25cの外周面に螺旋溝25dを有することを特徴とする。
【0034】
これにより、コイル部40が接続部(ホース部側接続部25)から外れにくくすることができる。
【0035】
また、コイル部40は、少なくとも一部が接続部(ホース部側接続部25)の端部25cに取り付けられる一端の第1部分41と、第1部分41よりも他端側に位置する第2部分42と、を有し、第1部分41の巻きピッチは、第2部分42の巻きピッチよりも短いことを特徴とする。
【0036】
これにより、巻きピッチの短い第1部分41によってコイル部40が接続部(ホース部側接続部25)から外れにくくするとともに、巻きピッチが第1部分41より長い第2部分42によって吐水ヘッド20の取り回しがし易くなる。
【0037】
本発明は上述した実施形態に限られない。例えば、上述した実施形態においては、継手管23の端部25cの外周面を螺旋溝25dとしたが、これに限られない。
図4に示すように、端部125cの外周面に凹部125dを設けた継手管123とし、コイル部40の端部が凹部125dに嵌まり込むことでコイル部40が継手管123の端部125cから外れにくくなるように構成してもよい。また、
図5に示すように、端部225cの外周面に先端に向けて径が広がるように傾斜させたテーパ部225dを設けた継手管223とし、コイル部40と継手管223の端部225cが接続された後にコイル部40が継手管223の端部225cから外れにくくなるように構成してもよい。
【0038】
また、上述した実施形態においては、補強部材としてコイル部40を採用したが、これに限らない。例えば、補強部材として可撓性のチューブやスパイラルチューブなどを採用し、ホース部30内において接続部(ホース部側接続部25)の端部25cに取り付けてもよい。
【0039】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 水栓装置
10 水栓本体
11 レバー
12 スパウト部
20 吐水ヘッド
21 吐水口
22 ヘッド本体
23 継手管
24 ヘッド本体側接続部
25 ホース部側接続部(接続部)
25a 環状突起
25b 環状凹部
25c 端部
25d 螺旋溝
30 ホース部
40 コイル部
41 第1部分
42 第2部分
43 第3部分
123 継手管
125c 端部
125d 凹部
223 継手管
225c 端部
225d テーパ部
C カウンター