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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066180
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】屋外照明装置、及び屋外照明システム
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/608 20160101AFI20230508BHJP
   E01F 9/615 20160101ALI20230508BHJP
【FI】
E01F9/608
E01F9/615
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176748
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 喜昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚武
(72)【発明者】
【氏名】有井 康孝
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA12
2D064AA22
2D064BA19
2D064DB02
2D064DB07
2D064HA11
2D064HA13
(57)【要約】
【課題】検査員の負担を軽減する。
【解決手段】屋外照明装置1は、支柱2と、照明灯3と、監視カメラ6と、劣化検出装置と、を備える。支柱2は、上端部及び下端部を有する支柱本体21を有する。支柱2は、屋外に設置される。照明灯3は、支柱本体21の上端部の側で、支柱2に保持される。監視カメラ6は、支柱本体21の上端部の側で、支柱2に保持される。劣化検出装置は、支柱本体21の下端部の劣化を検出する。監視カメラ6は、撮影した画像の画像データを管理装置へ送信する。劣化検出装置は、管理装置からの指示に応じて、支柱本体21の下端部の劣化の有無を検出する劣化検出動作を行う。劣化検出装置は、劣化検出動作の結果を示す情報を、管理装置へ送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部及び下端部を有する支柱本体を有し、屋外に設置される支柱と、
前記上端部の側で、前記支柱に保持される照明灯と、
前記上端部の側で、前記支柱に保持される監視カメラと、
前記支柱本体の前記下端部の劣化を検出する劣化検出装置と、
を備え、
前記監視カメラは、撮影した画像の画像データを管理装置へ送信し、
前記劣化検出装置は、
前記管理装置からの指示に応じて、前記支柱本体の前記下端部の劣化の有無を検出する劣化検出動作を行い、
前記劣化検出動作の結果を示す情報を、前記管理装置へ送信する、
屋外照明装置。
【請求項2】
前記監視カメラの撮像範囲内に配置されており、鉛直方向に対する前記支柱本体の傾きの有無を監視するための監視マークを、更に備える、
請求項1に記載の屋外照明装置。
【請求項3】
前記劣化検出装置を覆うカバーを、更に備え、
前記監視マークは、前記カバーの外表面に設けられている、
請求項2に記載の屋外照明装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記下端部において前記支柱本体に取り付けられて前記支柱本体の全周を囲む、中空の錐台状である、
請求項3に記載の屋外照明装置。
【請求項5】
前記支柱は、前記支柱本体の前記上端部から前記支柱本体と交差する向きに突出するアームを有し、
前記監視カメラは、前記アームに保持され、
前記監視マークは、上から見て、前記支柱本体を基準として前記アームと同じ側における前記カバーの部分に、設けられている、
請求項3又は4に記載の屋外照明装置。
【請求項6】
音を発生する音響装置を更に備え、
前記音響装置は、前記カバーの内側に配置されている、
請求項3~5のいずれか1項に記載の屋外照明装置。
【請求項7】
外部装置を充電するための充電装置を更に備え、
前記充電装置は、上から見て、前記支柱本体を基準として前記監視マークと反対側に配置されている、
請求項2~6のいずれか1項に記載の屋外照明装置。
【請求項8】
前記充電装置は、前記外部装置の充電に関する情報を表示する表示部を備え、
前記表示部は、上から見て、前記支柱本体を基準として前記監視マークと反対側に配置されている、
請求項7に記載の屋外照明装置。
【請求項9】
前記劣化検出装置は、前記支柱本体の前記下端部の劣化の有無を検出する複数の検出モジュールと、ベルトと、を備え、
前記ベルトは、前記複数の検出モジュールが前記支柱本体の周りに所定の間隔で位置するように、前記複数の検出モジュールを保持する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の屋外照明装置。
【請求項10】
照度センサと、
前記照度センサによる照度の検出結果及び前記監視カメラで撮影された前記画像に基づいて、前記照明灯の不良の有無を判定する制御部と、
を更に備える、
請求項1~9のいずれか1項に記載の屋外照明装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の屋外照明装置と、
前記管理装置と、
を備える、
屋外照明システム。
【請求項12】
前記管理装置は、前記監視カメラで撮像された前記画像、前記劣化検出装置による前記劣化検出動作の結果、及び前記照明灯の不良の有無の判定結果を記憶するメモリを備える、
請求項11に記載の屋外照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、屋外照明装置、及び屋外照明システムに関する。本開示は、より詳細には、支柱に取り付けられる照明灯を備えた屋外照明装置、及び屋外照明装置を備えた屋外照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アンカーボルト腐食診断方法が開示されている。特許文献1の診断方法では、基礎に植設されたアンカーボルトの頂部上面に超音波垂直探触子をセットする。また、この診断方法では、探触子からボルトに、ボルトのねじ溝が形成された基礎表面部付近で反射するように、ボルトの軸心に対して斜めに超音波を入射する。そしてこの診断方法では、探触子が受波した反射波のねじ山毎に出現するピークの欠損から、ボルトの基礎表面部付近の腐食状態を診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-77234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の検査方法では、検査対象物が設置されている設置場所へ検査員(人)が赴いて検査を行う必要があり、検査員の負担が大きかった。
【0005】
本開示の目的は、検査員による検査の負担を軽減可能な屋外照明装置及び屋外照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の屋外照明装置は、支柱と、照明灯と、監視カメラと、劣化検出装置と、を備える。前記支柱は、上端部及び下端部を有する支柱本体を有する。前記支柱は、屋外に設置される。前記照明灯は、前記支柱本体の前記上端部の側で、前記支柱に保持される。前記監視カメラは、前記支柱本体の前記上端部の側で、前記支柱に保持される。前記劣化検出装置は、前記支柱本体の前記下端部の劣化を検出する。前記監視カメラは、撮影した画像の画像データを管理装置へ送信する。前記劣化検出装置は、前記管理装置からの指示に応じて、前記支柱本体の前記下端部の劣化の有無を検出する劣化検出動作を行う。前記劣化検出装置は、前記劣化検出動作の結果を示す情報を、前記管理装置へ送信する。
【0007】
本開示の一態様の屋外照明システムは、前記屋外照明装置と、前記管理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、検査員による検査の負担を軽減可能な屋外照明装置及び屋外照明システムを提供することが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態の屋外照明システムのブロック図である。
図2図2は、同上の屋外照明システムが備える屋外照明装置を屋外に配置した状態の概念図である。
図3図3は、同上の屋外照明装置を示す側面図である。
図4図4は、同上の屋外照明装置のブロック図である。
図5図5は、同上の屋外照明装置の要部の一部断面図である。
図6図6は、同上の屋外照明装置が備えるカバーの正面図である。
図7図7は、同上の屋外照明装置が備える監視カメラの撮像範囲における監視マークの位置を示す概念図である。
図8図8は、同上の屋外照明装置の要部の側面図である。
図9図9は、同上の屋外照明装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、同上の屋外照明装置の通常動作を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、同上の屋外照明装置の定点監視動作を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、同上の屋外照明システムが備える管理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、同上の屋外照明装置の劣化検出動作を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、同上の屋外照明装置の充電動作を説明するためのフローチャートである。
図15図15は、変形例1の屋外照明システムが備える屋外照明装置の要部の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態
本開示の実施形態の屋外照明装置及びそれを備えた屋外照明システムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
図1に示すように、屋外照明システム10は、屋外照明装置1と、管理装置9と、を備えている。
【0012】
(1.1)管理装置
管理装置9は、屋外照明装置1を管理する。本実施形態では、屋外照明システム10は複数の屋外照明装置1を備えており、管理装置9はこれら複数の屋外照明装置1を管理する。
【0013】
管理装置9は、複数の屋外照明装置1と通信可能である。管理装置9は、複数の屋外照明装置1と通信することで、複数の屋外照明装置1を管理する。図1に示すように、管理装置9は、通信ネットワーク99を介して屋外照明装置1と通信する。通信ネットワーク99は、インターネット、電話網等を含み得る。通信ネットワーク99は、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。図1では簡略化されているが、通信ネットワーク99は、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0014】
管理装置9は、屋外照明装置1が設置されている場所以外の場所に、設置される。管理装置9は、例えば、管理装置9のユーザが勤務する勤務地の建物内に、設置される。管理装置9のユーザは、例えば、屋外照明装置1を管理及び監視を行う監視員である。
【0015】
図1に示すように、管理装置9は、遠距離通信部91と、処理部92と、メモリ93と、入力部94と、提示部95と、を備えている。管理装置9は、例えばサーバにより実現され得る。管理装置9には、例えば外部の商用の電力系統AC1から、電力が供給される。
【0016】
遠距離通信部91は、通信インタフェースである。遠距離通信部91は、通信ネットワーク99に接続可能であり、通信ネットワーク99を通じた通信を行う機能を有する。
【0017】
処理部92は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステム(サーバ又はクラウドコンピューティングを含む)を主構成とする。1以上のプロセッサは、1以上のメモリに記録されているプログラムを実行することにより、処理部92の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、1以上のプロセッサを、処理部92として機能させるためのプログラムである。
【0018】
処理部92は、種々の処理を実行する。処理部92は、遠距離通信部91、入力部94、提示部95の動作を制御する。
【0019】
メモリ93は、処理部92が利用する情報、処理部92で生成される情報、遠距離通信部91を介して取得した情報等を記憶するために用いられる。メモリ93は、1以上の記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等である。メモリ93は、処理部92のメモリと共用されていてもよい。
【0020】
入力部94は、管理装置9に情報を入力するために用いられる。入力部94は、管理装置9のユーザが管理装置9を操作するための、入力装置を備えている。入力装置は、例えば、タッチパッド及び/又は1以上のボタンを有する。入力装置は、タッチパッドに限定されず、キーボード又はポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ等であってもよい。入力装置は、音声入力装置を備えていてもよい。入力部94は、複数の入力装置を備えていてもよい。
【0021】
提示部95は、管理装置9のユーザに種々の情報を提示する。提示部95は、情報を提示するための提示装置を備える。提示装置は、情報を表示するための画像表示装置を備える。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置である。入力部94のタッチパッドと提示部95の画像表示装置とでタッチパネルが構成されてもよい。また、提示装置は、情報を音で出力する音出力装置を備えている。音出力装置は、例えばスピーカである。
【0022】
(1.2)屋外照明装置
屋外照明装置1は、屋外に設置される。屋外とは、建物の外を意味する。本開示での屋外は、建物の外のみに限られない。本開示での屋外は、建物の中であっても、建物の通常使用時において風雨にさらされる可能性のある場所を含み得る。例えば、開閉式の屋根を備える建物の中は、屋外に含まれ得る。
【0023】
屋外照明装置1は、例えば地面109(図3参照)に設置される。本実施形態の屋外照明装置1は、図2に示すように、道路100に設置される街路灯である。道路100は、歩道101と車道103とを含む。
【0024】
歩道101は、複数の縁石102によって、車道103と区切られている。屋外照明装置1は、例えば歩道101に設けられている。屋外照明装置1は、歩道101のうちで車道103との間に縁石102が無い位置に設けられている。道路100のうちで、屋外照明装置1に近い位置には、屋外照明装置1が備える充電装置8を利用するユーザが、自動車を停めるための駐車スペース104が設定されている。
【0025】
図3図4に示すように、屋外照明装置1は、支柱2と、照明灯3と、劣化検出装置4と、カバー5と、監視カメラ6と、監視マーク7と、充電装置8と、を備えている。
【0026】
(1.2.1)支柱
支柱2は、金属製である。図3に示すように、支柱2は、支柱本体21とアーム22とを有している。
【0027】
支柱本体21は、一方向に長い筒状である。支柱本体21は、例えば円筒状である。
【0028】
支柱2は、支柱本体21の長さ方向が上下方向に沿うように、地面109に設置される。すなわち、支柱2は、支柱本体21の長さ方向が鉛直方向に一致するように、道路100に設置される。なお、支柱2は、支柱本体21の長さ方向が鉛直方向から、許容範囲(例えば±20度)内の角度でずれて設置されていてもよい。
【0029】
地面109が水平な場合、支柱2は、地面109と垂直に設置される。地面109が、坂道等で水平方向に対して傾斜している場合、支柱2は、地面109に対して傾斜して設置される。
【0030】
支柱2は、支柱本体21の下端部の先端部が地中に埋められるように(図5参照)、屋外(地面109)に設置される。支柱本体21の下端は、地中に埋められている。本実施形態では、「支柱本体21の下端部」は、地中に埋められている部分(先端部)と、地中から露出している部分と、を含む。以下では、支柱本体21の下端部のうちで地中に埋められている部分を、「埋設部211」ともいう。また、支柱本体21の下端部のうちで地面109から露出している部分を、「露出部212」ともいう。
【0031】
アーム22は、支柱本体21の上端部から、支柱本体21の長さ軸と交差する向きに突出する。アーム22は、例えば筒状である。図3に示すように、アーム22は、支柱本体21の上端から斜め上方へ突出している。
【0032】
アーム22は、照明灯3及び監視カメラ6を保持している。
【0033】
支柱2は、例えば、アーム22に保持された照明灯3が、地面109から4.5~5m程度の高さに位置する程度の長さを有している。
【0034】
(1.2.2)照明灯
照明灯3は、支柱本体21の上端部の側で、支柱2に保持される。照明灯3は、支柱2のアーム22に保持される。
【0035】
図4に示すように、照明灯3は、高電圧遮断部31と、電源回路(以下、「第1電源回路」ともいう)32と、制御部33と、照明部34と、照度センサ35と、近距離通信部(以下、「第1近距離通信部」ともいう)36と、メモリ37と、筐体30(図3参照)と、を備えている。照明灯3は、例えば電源ケーブルL1によって商用の電力系統AC1に接続されており、電力系統AC1から交流電力が供給される。
【0036】
第1電源回路32は、例えば整流回路、コンバータ回路(AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ)等を備えている。第1電源回路32は、電源ケーブルL1を介して電力系統AC1から供給された交流電力を、照明部34を点灯させるための点灯電力に変換して、点灯電力を照明部34へ供給する。また、第1電源回路32は、電源ケーブルL1を介して電力系統AC1から供給された交流電力を、制御部33の動作電力に変換して、動作電力を制御部33へ供給する。また、第1電源回路32は、監視カメラ6にも動作電力を供給する。
【0037】
照明部34は、光源を備えている。光源は、例えば複数のLEDを含む。照明部34には、第1電源回路32から光源を点灯するための点灯電力が供給される。照明部34は、照明領域R1(図3参照)を照明する。照明領域R1は、照明灯3の下方に設定されている。
【0038】
メモリ37は、制御部33に接続されている。メモリ37は、1以上の記憶装置を含む。メモリ37は、制御部33が利用する情報等の種々の情報を記憶するために用いられる。
【0039】
制御部33は、照明部34の動作(点灯及び消灯)を制御する。制御部33は、メモリ37に記憶されている情報等に基づいて、照明部34の動作を制御する。制御部33は、照度センサ35で検出された照度(周囲の明るさ)に基づいて、照明部34の動作を制御する。
【0040】
高電圧遮断部31は、第1電源回路32の前段に設けられている。高電圧遮断部31は、例えば避雷器(アレスタ)である。避雷器は、例えばバリスタ(非直線性抵抗素子)である。高電圧遮断部31は、高電圧が印加された場合に電路を遮断して、過電流が制御部33及び照明部34に流れ込むのを防止する。照明灯3は、比較的高所(地面109から4.5~5m)に配置される。そのため、高電圧遮断部31は、落雷対策として設けられている。
【0041】
照度センサ35は、制御部33に接続されている。照度センサ35は、検出対象領域の照度(明るさ)を検出する。照度センサ35の検出対象領域は、監視マーク7が設けられている領域を含む。
【0042】
第1近距離通信部36は、通信インタフェースである。第1近距離通信部36は、制御部33に接続されている。第1近距離通信部36は、監視カメラ6の第3近距離通信部64と通信する機能を有する。第1近距離通信部36は、無線により第3近距離通信部64と通信する。第1近距離通信部36は、例えばWi-SUN(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の規格に準拠した無線通信インタフェースを含み得る。第1近距離通信部36は、第3近距離通信部64と有線で通信してもよい。
【0043】
筐体30は、高電圧遮断部31、第1電源回路32、制御部33、照明部34、照度センサ35、第1近距離通信部36、及びメモリ37を保持する。筐体30は、例えば、高電圧遮断部31、第1電源回路32、制御部33、照明部34、照度センサ35、第1近距離通信部36、及びメモリ37を内部に収容する。筐体30は、照明部34を覆い照明部34から放出される光(可視光)を透過する、透明なカバー部を含む。
【0044】
筐体30は、支柱本体21の上端部の近傍で支柱2に保持される。筐体30は、支柱2のアーム22に保持される。筐体30は、照明部34からの光が下方へ放射される向きで、アーム22に保持される。
【0045】
電源ケーブルL1は、照明灯3と電力系統AC1との間を接続する。電源ケーブルL1は、一対の電線を含む。電源ケーブルL1の第1端は、照明灯3(高電圧遮断部31)に接続されている。電源ケーブルL1は、例えば、アーム22に形成されている孔を通って中空のアーム22の内部に引き込まれ、アーム22の内部及び中空の支柱本体21の内部を通って、支柱本体21の下端の開口から支柱2の外部へ引き出される。電源ケーブルL1の第2端は、支柱2の外部で電力系統AC1に接続されている。なお、アーム22に形成されている孔(電源ケーブルL1が引き込まれる孔)は、照明灯3の筐体30によって塞がれる。
【0046】
電源ケーブルL1の配線作業の作業性を高めるために、支柱本体21の上端に開口が形成されていてもよい。支柱本体21の上端の開口は、例えば、キャップと言われる蓋により塞がれる。
【0047】
(1.2.3)劣化検出装置
劣化検出装置4は、支柱2の劣化を検出する。劣化検出装置4は、支柱本体21の劣化を検出する。劣化検出装置4は、支柱本体21の下端部の劣化を検出する。劣化検出装置4は、支柱本体21の埋設部211の劣化を検出する。
【0048】
屋外照明装置1では、支柱2は、風雨にさらされるため腐食することがある。屋外照明装置1が海の近くに設けられている場合、塩分を含んだ海風や海水等の影響により、支柱2の腐食が発生しやすい。また、屋外照明装置1が街路灯の場合、犬猫等の動物の排尿、融雪剤等の影響により、支柱2の腐食が発生しやすい。支柱2の腐食は、支柱本体21の下端部で発生しやすく、特に埋設部211で発生しやすい。支柱本体21の下端部で腐食が発生すると、支柱2の強度が低下するおそれがある。
【0049】
そこで、劣化検出装置4は、支柱2における支柱本体21の下端部、特に埋設部211の劣化の有無を検出する劣化検出動作を行う。
【0050】
図5に示すように、劣化検出装置4は、支柱本体21の下端部に取り付けられている。劣化検出装置4は、支柱本体21の下端部の露出部212に取り付けられている。
【0051】
図5に示すように、劣化検出装置4は、複数(ここでは4個、図5では3個のみ図示)の検出モジュール41と、ベルト42と、を備えている。
【0052】
ベルト42は、支柱本体21の外周に巻き付けられて、支柱本体21に取り付けられる。ベルト42は、複数の検出モジュール41を保持する。ベルト42は、複数の検出モジュール41が支柱本体21の周りに所定の間隔で位置するように、複数の検出モジュール41を保持する。ここでは、ベルト42は、4個の検出モジュール41が支柱本体21の周りに90度間隔で位置するように、4個の検出モジュール41を保持する。
【0053】
検出モジュール41の支柱本体21への取り付けに、ベルト42を用いることで、設置済みの支柱2に対して劣化検出装置4を取り付けることが可能となる。また、劣化検出装置4の交換が容易になる。
【0054】
検出モジュール41は、支柱本体21の下端部の劣化の有無を検出するための機能を有する。
【0055】
本実施形態では、検出モジュール41は、超音波探傷によって支柱本体21の劣化を検出するための装置である。すなわち、検出モジュール41は、支柱本体21の内部(金属部分)に超音波を発生させ、その反射波を測定する。例えば、検出モジュール41は、支柱本体21の内部で超音波を発生させて埋設部211に向けて進行させ、反射波を測定する。これにより、支柱本体21の腐食の有無を検出することが可能となる。支柱本体21の下端部に腐食が発生していない場合、検出モジュール41により発生した超音波は、支柱本体21の下端で反射し、その後、検出モジュール41で検出される。一方、支柱本体21の下端部に腐食が発生していると、その腐食部で超音波が反射されるので、腐食が発生していない場合と比較して短い時間で反射波が検出される。これにより、劣化検出装置4は、支柱本体21の腐食の発生を検出することができる。
【0056】
検出モジュール41は、例えば、支柱本体21の内部に渦電流を発生させるためのコイルと、支柱本体21を貫通する方向の静磁場を発生させるための磁石と、を備える。検出モジュール41は、コイルにパルス電流を流すことにより、支柱本体21の内部に渦電流と静磁場との相互作用で超音波を発生させる。
【0057】
上述のように、複数の検出モジュール41は、支柱本体21の周りに所定の間隔で配置されている。これにより、直進性のある超音波を用いて支柱本体21の劣化の検出を行う場合でも、支柱本体21の外周方向の略全周にわたって、検査を行うことが可能となる。
【0058】
図4に示すように、劣化検出装置4は、電源回路(以下、「第2電源回路」ともいう)43と、制御部44と、メモリ45と、近距離通信部(以下、「第2近距離通信部」ともいう)46と、音響装置47と、を更に備えている。
【0059】
第2電源回路43は、例えば電源ケーブルL2によって電力系統AC1に接続されており、電力系統AC1から交流電力が供給される。第2電源回路43は、例えば整流回路、コンバータ回路(AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ)等を備えている。第2電源回路43は、電源ケーブルL2を介して電力系統AC1から供給された交流電力を、制御部44の動作用の動作電力に変換して、動作電力を制御部44へ供給する。また、第2電源回路43は、検出モジュール41、音響装置47等にも電力を供給する。
【0060】
第2近距離通信部46は、通信インタフェースである。第2近距離通信部46は、制御部44に接続されている。第2近距離通信部46は、監視カメラ6の第3近距離通信部64と通信する機能を有する。第2近距離通信部46は、無線により第3近距離通信部64と通信する。第2近距離通信部46は、例えばWi-SUN(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の規格に準拠した無線通信インタフェースを含み得る。第2近距離通信部46は、第3近距離通信部64と有線で通信してもよい。
【0061】
メモリ45は、制御部44に接続されている。メモリ45は、1以上の記憶装置を含む。メモリ45は、制御部44が利用する情報等の種々の情報を記憶するために用いられる。
【0062】
制御部44は、検出モジュール41に接続されている。制御部44は、検出モジュール41の動作を制御する。制御部44は、メモリ45に記憶されている情報等に基づいて、検出モジュール41の動作を制御する。制御部44は、検出モジュール41で検出された検出データを用いて、支柱本体21における劣化の有無の判定を行う。
【0063】
具体的には、制御部44は、監視カメラ6の遠距離通信部65及び第3近距離通信部64、並びに第2近距離通信部46を介して、管理装置9から指示(以下、「検査開始指示」ともいう)を受け取る。制御部44は、管理装置9から検査開始指示を受け取ると、検出モジュール41を動作させる。制御部44は、例えば、4つの検出モジュール41を異なるタイミングで動作させる。制御部44は、例えば、所定の順番及び所定の時間間隔で、4つの検出モジュール41を順次動作させる。制御部44は、検出モジュール41から、検出結果を示す検出データを取得する。制御部44は、例えば、検出モジュール41から取得した検出データを基準値と比較することで、支柱2(支柱本体21)の劣化の有無を判定する。支柱2の劣化の判断に用いられる基準値としては、支柱2を新設した時、またはその後に支柱2に腐食が無いことを確認した時の検出データが、用いられてもよい。制御部44は、第2近距離通信部46、及び監視カメラ6の第3近距離通信部64及び遠距離通信部65を介して、判定結果を示す情報を管理装置9へ送信する。
【0064】
このように、劣化検出装置4は、管理装置9からの検査開始指示に応じて劣化検出動作を行い、判定結果を示す情報を管理装置9へ送信する。そのため、管理装置9のユーザは、遠隔で、屋外照明装置1の劣化度合いを確認することが可能となる。
【0065】
音響装置47は、制御部44に接続されている。音響装置47は、支柱本体21の下端部に取り付けられている。音響装置47は、例えばスピーカを備える。音響装置47は、制御部44により制御されて、音又は音声を発生する。音響装置47から発される音は、メモリ45に記憶されているビープ音を含み得る。音響装置47から発される音は、メモリ45に記憶されている人工音声を含み得る。音響装置47から発される音は、管理装置9の入力部94(音声入力部)に入力された、管理装置9のユーザの音声を含み得る。
【0066】
電源ケーブルL2は、劣化検出装置4と電力系統AC1との間を接続する。電源ケーブルL2は、一対の電線を含む。電源ケーブルL2の第1端は、劣化検出装置4(第2電源回路43)に接続されている。電源ケーブルL2は、支柱本体21の外周面に沿って下方へ延びている。電源ケーブルL2の第2端は、支柱2の外部で電力系統AC1に接続されている。
【0067】
なお、支柱本体21の下端部には、電源ケーブルL1~L3等を通すための貫通孔は設けられていない。その理由は、そのような貫通孔が支柱本体21の下端部にあると、支柱本体21の下端部の強度が低下する可能性があり、また、貫通孔の存在が劣化検出装置4による劣化の有無の判定(劣化判定)に影響を与える可能性があるためである。つまり、検出モジュール41による超音波は、支柱本体21の貫通孔部分で反射する可能性がある。そのため、劣化検出装置4から支柱本体21の下端までの間、及び、劣化検出装置4よりも上方における支柱本体21の部分のうちで、劣化検出装置4から支柱本体21の下端までの長さと同じ長さの部分には、貫通孔は設けないことが好ましい。
【0068】
ここで、劣化検出装置4は、照明灯3の高電圧遮断部31のような装置を備えていない。その理由は、劣化検出装置4が支柱本体21の外表面に設置されるものであって、落雷発生時にはコイルを介して電撃が加わり検出モジュール41が損傷してしまう可能性が高いからである。そこで、劣化検出装置4の構成を、4個の検出モジュール41をベルト42で支柱本体21の外表面に取り付ける構成として、故障時の交換が容易に行えるようにしてある。
【0069】
(1.2.4)カバー
図5に示すように、カバー5は、支柱2に取り付けられている。カバー5は、支柱本体21に取り付けられる。カバー5は、支柱本体21の下端部に取り付けられる。
【0070】
カバー5は、支柱本体21の下端部(露出部212)を覆う。また、カバー5は、支柱本体21の下端部に取り付けられている劣化検出装置4を、覆う。カバー5は、検出モジュール41を覆う。またカバー5は、音響装置47を覆う。すなわち、検出モジュール41及び音響装置47は、カバー5の内側に配置されている。
【0071】
カバー5は、耐候性を有している。カバー5は、例えばポリカーボネート等の合成樹脂製である。
【0072】
カバー5の形状は、支柱本体21の下端部及び劣化検出装置4を覆う形状である。上から見て、支柱本体21の下端部の露出部212の全周がカバー5に覆われている。また、上から見て、劣化検出装置4の全体がカバー5に覆われている。カバー5は、支柱本体21の全周を囲んでいる。
【0073】
カバー5は、図5に示すように、カバー本体51と、取付部52と、を有している。
【0074】
カバー本体51は、例えば上面の面積よりも下面の面積が大きな中空の錐台形状であり、具体的には中空の円錐台形状である。カバー本体51は、上面と下面とが開口しており、上面と下面とに支柱本体21が貫通する状態で、支柱本体21の外周面に装着されている。
【0075】
取付部52は、円環状である。取付部52は、カバー本体51の上端に設けられている。取付部52は、カバー本体51と一体に形成されている。取付部52は、締結具53によりカバー5を支柱本体21に取り付けるための部分である。締結具53は、取付部52の外周に配置されている。締結具53を締め付けることで、カバー5が支柱本体21の外周面に取り付けられる。締結具53は、例えば取付部52を締付けるバンドであってもよいし、取付部52に形成されたねじ穴に螺合するねじでもよい。カバー5は、締結具53以外の方法、例えば接着、支柱本体21の外周面に形成された突部への嵌合等の、適宜の方法により支柱本体21に取り付けられていてもよい。
【0076】
カバー5は、例えば、カバー5を左右に分割した2つの半体を支柱本体21に装着して、2つの半体を組み合わせることで、支柱本体21に装着される。なお、カバー5の形状は円錐台形状に限られず、角錐台形状であってもよいし、ドーム状、半球状等の錐台以外の形状であってもよい。
【0077】
上述のように、支柱本体21に取り付けられた状態で、カバー5は、支柱本体21の下端部(露出部212)及び劣化検出装置4を覆う。これにより、支柱本体21の下端部及び劣化検出装置4が、雨水、動物の排尿、融雪剤、海辺での海水等の影響で劣化(腐食)するのを、抑制することができる。
【0078】
本実施形態の屋外照明装置1は、図5に示すように、補助カバー59を更に備えている。補助カバー59は、外側下向きに傾斜した庇状である。補助カバー59は、カバー5の内側で、支柱本体21に取り付けられている。補助カバー59は、支柱本体21の外周方向の全周にわたって設けられている。補助カバー59は、劣化検出装置4(検出モジュール41及び音響装置47)よりも上方に設けられている。
【0079】
また、カバー本体51には、1以上(ここでは、2個)の排水孔54が形成されている。カバー本体51の内面には、庇状の傾斜部55が設けられている。傾斜部55の下端は、排水孔54の下縁部分につながっている。傾斜部55は、補助カバー59の下方に位置する。上から見て、補助カバー59の外端は、傾斜部55と重なっている。
【0080】
支柱本体21と取付部52との間からカバー5の内側に浸入した液体(雨水、尿等)は、補助カバー59の上面及び傾斜部55の上面を通り、排水孔54からカバー5の外側に排出される。これにより、例えば雨水が、支柱本体21の外表面を伝ってカバー5の内側に浸入した場合でも、この雨水が劣化検出装置4に到達するのが防止され、その結果として、劣化検出装置4の劣化が防止される。
【0081】
カバー5は、カバー5の下端と地面109との間に隙間G1が空くように支柱本体21に取り付けられている(図5参照)。これにより、音響装置47からの音をカバー5の外部に隙間G1を通して放出することができる。
【0082】
また、カバー5の下端と地面109との間に隙間G1があり、カバー本体51に排水孔54が形成されていることで、これらの隙間G1及び排水孔54からカバー5内の熱が外部に逃げやすくなる。これにより、カバー5内が太陽熱等で高温化することが抑制され、劣化検出装置4の劣化が防止される。
【0083】
(1.2.5)監視カメラ
図3に示すように、監視カメラ6は、支柱本体21の上端部の側で、支柱2に保持される。監視カメラ6は、支柱2のアーム22に保持される。
【0084】
図4に示すように、監視カメラ6は、撮像部61と、制御部62と、メモリ63と、近距離通信部(以下、「第3近距離通信部」ともいう)64と、遠距離通信部65と、筐体60(図3参照)と、を備えている。
【0085】
監視カメラ6には、照明灯3の第1電源回路32から、動作電力が供給される。
【0086】
撮像部61は、撮像範囲R2を撮影する(図3参照)。撮像部61は、撮像範囲R2を撮影した画像(動画)の画像データを生成する。撮像部61は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等を用いて構成されている。撮像部61は、アーム22の下方を撮像範囲R2としている。撮像部61の撮像範囲R2は、監視マーク7が配置されている領域を含む。
【0087】
メモリ63は、制御部62に接続されている。メモリ63は、1以上の記憶装置を含む。メモリ63は、制御部62が利用する情報等の種々の情報を記憶するために用いられる。制御部62は、撮像部61の動作を制御する。
【0088】
第3近距離通信部64は、通信インタフェースである。第3近距離通信部64は、制御部62に接続されている。第3近距離通信部64は、照明灯3の第1近距離通信部36と通信する機能を有する。第3近距離通信部64は、劣化検出装置4の第2近距離通信部46と通信する機能を有する。第3近距離通信部64は、充電装置8の第4近距離通信部88と通信する機能を有する。
【0089】
遠距離通信部65は、通信インタフェースである。遠距離通信部65は、通信ネットワーク99に接続可能であり、通信ネットワーク99を通じた通信を行う機能を有する。遠距離通信部65は、通信ネットワーク99を介して、管理装置9の遠距離通信部91と通信する。
【0090】
筐体60は、撮像部61、制御部62、メモリ63、第3近距離通信部64、及び遠距離通信部65を保持する。
【0091】
筐体60は、支柱2の上端部近傍で支柱2に保持される。筐体60は、支柱2のアーム22に保持される。筐体60は、撮像部61の撮像範囲R2が下方を向く向きで、アーム22に保持される。
【0092】
監視カメラ6は、遠距離通信部65を介して、撮像部61で撮影した画像(動画)の画像データを管理装置9へ送信する。管理装置9のユーザは、管理装置9の提示部95(画像表示装置)により、撮像部61で撮影された画像を見ることができる。
【0093】
このような監視カメラ6の画像(動画)は、管理装置9のユーザが、劣化検出装置4に劣化検出動作を行わせてもよいか否かの判断を行うために、用いられる。
【0094】
上述のように、劣化検出装置4は、管理装置9のユーザからの指示によって、劣化検出動作を行う。しかしながら、例えば、強風によって支柱2が揺れていたり、屋外照明装置1の近くで道路工事が行われているために道路工事の振動で支柱2が揺れていたりすると、劣化検出装置4による支柱本体21の劣化の有無の判定に影響がある可能性がある。管理装置9は、屋外照明装置1から離れて設置されているため、管理装置9のユーザは、屋外照明装置1の設置場所の状況を直接知ることはできない。そこで、本実施形態の屋外照明システム10では、監視カメラ6の画像(動画)の画像データを管理装置9に送信しており、これにより、管理装置9のユーザが遠隔で屋外照明装置1の設置場所の状況(支柱2が揺れ又は振動があるか否か等)を把握できるようになっている。これにより、管理装置9のユーザは、劣化検出装置4を適切なタイミング、すなわち支柱2に揺れ又は振動がないタイミングで、動作させることが可能となり、支柱2の劣化度合いの検査を適切なタイミングで行うことが可能となる。
【0095】
図3に示すように、屋外照明装置1は、監視カメラ6の撮像部61の撮像範囲R2内に配置されている風監視部79を、更に備えていてもよい。風監視部79は、屋外照明装置1の設置場所の、風の強さを示す装置である。
【0096】
風監視部79は、設置場所の風の強さが、劣化検出装置4を動作させても問題ない強さであるか否か(すなわち、風の強さが、支柱2を揺らす程に強いか否か)を、管理装置9のユーザが監視カメラ6の映像に基づいて判断できる装置であればよい。
【0097】
風監視部79は、設置場所の風の強さを客観的な数値で検出できる装置であってもよいし、設置場所の風の強さを、管理装置9のユーザが監視カメラ6の画像から主観的に判断するための装置であってもよい。風監視部79は、例えば、風速計でもよいし、回転羽根(風車)のように風によって回転する装置であってもよいし、風を受けてたなびく吹き流しであってもよい。
【0098】
本実施形態では、風監視部79は、支柱本体21に取り付けられている風車である。風監視部79は例えば、支柱本体21において地面109から2.5メートル程度の高さの位置に、取り付けられている。
【0099】
なお、風監視部79が無くても、管理装置9のユーザは、監視カメラ6の映像から、支柱2に揺れ又は振動があるか否かを判断することもできる。例えば、暴風雨が起きていたり、不審者が支柱2を叩いていたり、近隣で工事が行われていたり等の理由で、支柱2に揺れ又は振動がある場合には、支柱2のアーム22に保持されている監視カメラ6が揺れ動く。そのため、例えば撮像範囲R2内に映る支柱本体21や監視マーク7も、揺れたり動いたりする。そのため、管理装置9のユーザは、監視カメラ6の映像を確認することで、支柱2の揺れ又は振動の有無を判断できる。
【0100】
(1.2.6)監視マーク
監視マーク7は、監視カメラ6の撮像部61の撮像範囲R2内に配置されている。監視マーク7は、鉛直方向に対する支柱本体21の傾きの有無を監視するためのものである。
【0101】
図6に示すように、監視マーク7は、ここでは、カバー5のカバー本体51の外表面に設けられている。図6では、監視マーク7にドットハッチングを付している。監視マーク7は、カバー本体51の外表面において、アーム22の下方に設けられている。そのため、監視マーク7は、支柱本体21を基準として、監視カメラ6と同じ側に配置されている。監視マーク7は、上から見て、支柱本体21を基準としてアーム22と同じ側におけるカバー5の部分に、設けられている(図3参照)。
【0102】
上述のように、カバー本体51は、上面の面積よりも下面の面積が大きな錐台形状である。そのため、カバー本体51の外表面は、上方が支柱本体21に近く下方が支柱本体21から離れる傾斜面となっている。このような傾斜面に、監視マーク7を設けることで、監視マーク7を監視カメラ6で撮影及び監視が行いやすくなる。
【0103】
つまり、支柱本体21の側面において監視カメラ6側の面に監視マーク7が形成され、しかも、その監視マーク7が、上方が支柱本体21に近く下方が支柱本体21から離れる傾斜面に設けられていると、監視マーク7が監視カメラ6側に向いた状態となる。そのため、監視マーク7を監視カメラ6で撮影及び監視が行いやすくなるのである。
【0104】
監視マーク7は、本実施形態では、カバー本体51の外表面においてカバー本体51の他の部分とは異なる色で記された記号である。監視マーク7は、例えば、図6に示すように丸型のリング状である。監視マーク7の形状は、丸型に限られず、多角形状、楕円状、星形、×印、扇形、複数の図形の組み合わせ等、監視カメラ6による監視が行いやすい任意の形状であってよい。また、監視マーク7は、カバー5のカバー本体51から突出する又はカバー本体51から凹んだ立体形状であってもよい。
【0105】
図6に示すように、監視マーク7は、カバー本体51の外表面において、上下方向で排水孔54と重ならない位置に設けられている。これにより、排水孔54から排出された液体が監視マーク7には到達しにくくなり、監視マーク7の劣化(汚れ)を防止することが可能となる。
【0106】
監視マーク7は、上述のように、管理装置9のユーザが、監視カメラ6の映像に基づいて支柱2の揺れの有無を判断するのに用いられ得る。
【0107】
ここで、本実施形態の屋外照明装置1では、監視マーク7は、支柱2の揺れの有無の判断だけでなく、鉛直方向に対する支柱本体21の傾きの有無を監視するためにも用いられる。例えば、自動車の支柱2への接触、或いは強風等の影響で、支柱2が、新設時(初期状態)から傾く(折れ曲がる)場合がある。そこで、本実施形態の屋外照明装置1では、監視カメラ6によって監視マーク7を定期的に監視することで、このような支柱2の傾き(折れ曲がり)の有無を判断している。
【0108】
すなわち、支柱本体21が揺れ動いていない状態で、支柱本体21に傾きが無ければ、撮像範囲R2内での監視マーク7の位置(撮像範囲R2内での座標;図7参照)は不変のはずである。
【0109】
一方、例えば自動車の接触等で、支柱本体21が初期状態から傾くと、撮像範囲R2内での監視マーク7の位置(撮像範囲R2内での座標)が、初期状態の位置から移動する。そこで、例えば監視カメラ6の制御部62は、初期状態での監視マーク7の座標位置を、定点情報(基準座標位置)として例えば監視カメラ6のメモリ63に登録しておき、監視カメラ6で画像を撮影して、監視マーク7の座標位置を基準座標位置と比較する。これにより、支柱本体21の鉛直方向からの傾きを検出することが可能となる。監視カメラ6は、このような定点監視動作を定期的に(例えば1時間ごとに)行う。図7は、撮像部61の撮像範囲R2と、撮像範囲R2内に映る監視マーク7を模式的に示す図である。図7の例では、監視マーク7は、X座標のマイナス側かつY座標の0点付近に、位置している。メモリ63には、定点情報として、この監視マーク7の座標位置(基準座標位置)が登録される。
【0110】
なお、定点監視動作のために監視カメラ6で撮像範囲R2を撮影しているときに、強風や地震等によって支柱2が揺れ動いていると、撮影した画像中の監視マーク7の座標位置が基準座標位置からずれる可能性がある。そこで、制御部62は、監視マーク7の座標位置を時系列で取得し、監視マーク7の座標位置のずれが支柱2の恒久的な傾きによるものか、一時的な傾きによるものかを、判断してもよい。制御部62は、支柱2の傾きが恒久的なものである場合に、支柱2に異常(傾き)があると判断してもよい。
【0111】
監視マーク7の座標位置を時系列で取得する方法の一例としては、複数回の定点監視動作において撮影された複数の画像それぞれから、監視マーク7の座標位置を取得する方法が挙げられる。監視マーク7の座標位置を時系列で取得する方法の別例としては、一回の定点監視動作において、所定の時間継続して撮影された動画に含まれる複数の画像それぞれから、監視マーク7の座標位置を取得する方法が挙げられる。
【0112】
(1.2.7)充電装置
充電装置8は、外部装置を充電するための装置である。充電装置8は、例えば電気自動車(EV)を充電するための装置である。図3に示すように、充電装置8は、支柱本体21に保持されている。
【0113】
図2に示すように、屋外照明装置1が設置されている道路100には、充電装置8を利用するユーザ(利用者)が自動車を停めるための駐車スペース104が設定されている。
【0114】
充電装置8は、図3図4図8に示すように、コンセント81と、操作部82と、表示部83と、高電圧遮断部84と、電源回路(以下、「第3電源回路」ともいう)85と、制御部86と、メモリ87と、近距離通信部(以下、「第4近距離通信部」ともいう)88と、発音部89と、筐体80と、を備えている。充電装置8は、例えば電源ケーブルL3によって商用の電力系統AC1に接続されており、電力系統AC1から交流電力が供給される。
【0115】
コンセント81は、電気自動車を充電するための充電プラグが着脱可能に接続される、一般的な充電コンセントである。
【0116】
操作部82は、充電装置8のユーザからの操作を受け付ける。操作部82は、充電装置8のユーザから、コンセント81に接続されている外部装置(電気自動車)の充電を行うための充電指示を受け付ける。操作部82は、例えば、タッチパッド及び/又は1以上のボタンを有する。また、充電装置8は、操作部82に代えて/加えて、ユーザからの指示を受け付ける音声入力装置を備えていてもよい。
【0117】
表示部83は、充電装置8のユーザに種々の情報を提示する。表示部83は、画像表示装置を備える。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置である。操作部82のタッチパッドと表示部83の画像表示装置とでタッチパネルが構成されてもよい。
【0118】
高電圧遮断部84は、第3電源回路85の前段に設けられている。高電圧遮断部84は、例えば避雷器(アレスタ)である。避雷器は、例えばバリスタ(非直線性抵抗素子)である。高電圧遮断部84は、高電圧が印加された場合に電路を遮断して、過電流が制御部86及びコンセント81に流れ込むのを防止する。充電装置8は、比較的高さの高い支柱2に取り付けられる。そのため、高電圧遮断部84は、落雷対策として設けられている。
【0119】
第3電源回路85は、例えば整流回路、コンバータ回路(AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ)等を備えている。第3電源回路85は、電源ケーブルL3を介して電力系統AC1から供給された交流電力を、制御部86の動作用の動作電力に変換して、動作電力を制御部86へ供給する。また、第3電源回路85は、充電回路851を備えている。充電回路851は、制御部86に操作されることで、電源ケーブルL3を介して電力系統AC1から供給された交流電力をコンセント81から出力する充電用の充電電力に変換して、充電電力をコンセント81へ出力する。
【0120】
第4近距離通信部88は、通信インタフェースである。第4近距離通信部88は、制御部86に接続されている。第4近距離通信部88は、監視カメラ6の第3近距離通信部64と通信する機能を有する。第4近距離通信部88は、無線により第3近距離通信部64と通信する。第4近距離通信部88は、例えばWi-SUN(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の規格に準拠した無線通信インタフェースを含み得る。第4近距離通信部88は、第3近距離通信部64と有線で通信してもよい。
【0121】
メモリ87は、制御部86に接続されている。メモリ87は、1以上の記憶装置を含む。メモリ87は、制御部86が利用する情報等の種々の情報を記憶するために用いられる。
【0122】
制御部86は、充電回路851及び表示部83の動作を制御する。制御部86は、操作部82で受け付けたユーザの操作、メモリ87に記憶されている情報等に基づいて、充電回路851及び表示部83の動作を制御する。
【0123】
発音部89は、例えばスピーカを備える。発音部89は、制御部86に制御されて、音又は音声を発生する。発音部89から発される音は、メモリ87に記憶されているビープ音を含み得る。発音部89から発される音は、メモリ87に記憶されている人工音声を含み得る。
【0124】
筐体80は、コンセント81、操作部82、表示部83、高電圧遮断部84、第3電源回路85、制御部86、メモリ87、第4近距離通信部88、及び発音部89を保持する。図8に示すように、筐体80は、コンセント81、操作部82、及び表示部83が筐体80の外部に露出するように、コンセント81、操作部82、及び表示部83を保持する。
【0125】
筐体80は、支柱本体21に保持される。筐体80は、支柱本体21において、アーム22とカバー5との間の高さで保持される。筐体80は、充電装置8の一般的なユーザが届く範囲の高さに保持されている。筐体80は、上から見て、支柱本体21を基準としてアーム22と反対側に配置されている。筐体80は、上から見て、支柱本体21を基準として監視マーク7と反対側に配置されている。すなわち、充電装置8は、上から見て、支柱本体21を基準として監視マーク7と反対側に配置されている(図3参照)。また、表示部83は、上から見て、支柱本体21を基準として監視マーク7と反対側に配置されている。
【0126】
筐体80が、支柱本体21を基準として監視マーク7と同じ側に配置されていると、筐体80が、監視カメラ6による監視マーク7の監視の邪魔になる可能性がある。筐体80を、上から見て支柱本体21を基準として監視マーク7と反対側に配置することで、筐体80が監視カメラ6による監視マーク7の撮影の邪魔になりにくい。
【0127】
また、表示部83が、支柱本体21を基準として監視マーク7と同じ側に配置されていると、表示部83から放射される光が、監視カメラ6による監視マーク7の監視の邪魔になる可能性がある。表示部83を、上から見て支柱本体21を基準として監視マーク7と反対側に配置することで、表示部83から放射される光が監視カメラ6による監視マーク7の撮影の邪魔になりにくい。
【0128】
電源ケーブルL3は、充電装置8と電力系統AC1との間を接続する。電源ケーブルL3は、一対の電線を含む。電源ケーブルL3の第1端は、充電装置8(高電圧遮断部84)に接続されている。電源ケーブルL3は、支柱本体21の外周面に沿って下方へ延びている。電源ケーブルL3の第2端は、支柱2の外部で電力系統AC1に接続されている。
【0129】
充電装置8は、充電装置8が設置されている支柱2の設置場所周辺で雷が発生する可能性がある場合、充電動作を禁止してもよい。
【0130】
例えば、管理装置9のユーザは(或いは天候情報を参照して管理装置9が自動的に)、雷注意報が発令されている地域の屋外照明装置1に対して、管理装置9から充電禁止指令を送信させる。充電禁止指令を受け取った屋外照明装置1の充電装置8は、例えば、表示部83に、雷のために充電を禁止する旨の「雷注意報発令中、充電不可」の文字列を表示させる。また、充電禁止指令を受け取った屋外照明装置1の充電装置8は、ユーザから充電指示を受け付けても、充電動作を行わない。充電装置8の制御部86は、充電禁止指令を受けている状態でユーザから充電指示を受け付けると、発音部89から、雷注意報が発令中であるため充電が禁止されている旨の音声(人工音声)を出力させてもよい。
【0131】
(1.3)動作
以下、図9図14を参照して、屋外照明システム10の動作の一例について説明する。
【0132】
図9は、屋外照明装置1の動作を示すフローチャートである。
【0133】
屋外照明装置1が屋外に設置されて通電され、監視カメラ6が起動(通電)される(ST1)と、監視カメラ6の撮像部61で撮影された画像内での監視マーク7の座標位置が、定点情報(基準座標位置)として登録される(ST2)。
【0134】
その後、屋外照明装置1は、通常動作(ST3)を行う。また、屋外照明装置1は、通常動作の途中に、定点監視動作(ST4)、劣化検出動作(ST5)、充電動作(ST6)を行う。
【0135】
(1.3.1)通常動作
屋外照明装置1の通常動作について、図10を参照して説明する。
【0136】
通常動作において、監視カメラ6は撮像部61により撮像範囲R2を撮像し、撮像した画像(動画)の画像データを管理装置9へ送信する(ST101)。すなわち、監視カメラ6は、一般的な監視用のカメラとして機能する。
【0137】
また、通常動作において、屋外照明装置1の照明灯3は、周囲環境の明るさに応じて、照明部34を動作(点灯/消灯)させる。
【0138】
具体的には、照明灯3の制御部33は、照度センサ35が測定した照度を取得し(ST102)、取得した照度が第1閾値Th1以上であるか否かを判断する(ST103)。第1閾値Th1は、照明部34を消灯から点灯に切り替えるための基準となる、照度の値である。
【0139】
取得した照度が第1閾値Th1未満の場合(ST103:No)、照明灯3の制御部33は、照明部34を点灯させるための点灯動作を行う(ST104)。また、制御部33は、第1近距離通信部36を介して、点灯動作を行ったことを示す情報を、監視カメラ6の制御部62へ送信する(ST105)。監視カメラ6の制御部62は、照明灯3の最新の動作状態(点灯)を、メモリ63に記憶させる。照明部34は、点灯動作により点灯する(ST106)。
【0140】
取得した照度が第1閾値Th1以上の場合(ST103:Yes)、照明灯3の制御部33は、取得した照度が第2閾値Th2以上であるか否かを判断する(ST107)。第2閾値Th2は、照明部34を点灯から消灯に切り替えるための基準となる、照度の値である。第2閾値Th2は、第1閾値Th1より大きな値である。第2閾値Th2は、例えば夜中に照明部34のみで照明領域R1の照明を行っている場合の照度よりも、大きな値である。
【0141】
取得した照度が第2閾値Th2未満の場合(ST107:No)、照明灯3の制御部33は、照明部34の動作を継続する。
【0142】
取得した照度が第2閾値Th2以上の場合(ST107:Yes)、照明灯3の制御部33は、照明部34を消灯させるための消灯動作を行う(ST108)。また、制御部33は、第1近距離通信部36を介して、消灯動作を行ったことを示す情報を、監視カメラ6の制御部62へ送信する(ST109)。監視カメラ6の制御部62は、照明灯3の最新の動作状態(消灯)を、メモリ63に記憶させる。照明部34は、消灯動作により消灯する(ST110)。
【0143】
一方、管理装置9では、遠距離通信部91を介して、監視カメラ6の画像(映像)を受け取る。上述のように、管理装置9は複数の屋外照明装置1を管理しているので、管理装置9は、複数の屋外照明装置1の監視カメラ6からそれぞれ画像を受け取る。管理装置9は、受け取った監視カメラ6の画像を、提示部95(画像表示装置)に表示する。
【0144】
管理装置9のユーザは、監視カメラ6の画像(映像)を確認する。管理装置9のユーザは、気になる画像が存在する場合、入力部94(操作部)を用いて、該当する監視カメラ6を備えた屋外照明装置1の制御部44に適宜の指示内容を伝達し、音響装置47から情報、警報等を発出させてもよい。
【0145】
例えば、管理装置9のユーザ(監視員)は、監視カメラ6の画像を確認中に支柱2近傍での異常状態を発見した時には、入力部94(操作部)を用いて、該当する監視カメラ6を備えた屋外照明装置1の制御部44に適宜の指示内容を伝達し、音響装置47から情報、警報等を発出させることができる。支柱2近傍での異常事態は、特に限定されないが、例えば、火災の発生、事故の発生、騒動の発生等がある。
【0146】
また、支柱2の近傍にゴミ捨て場所があり、その場所のごみをカラス、猫、犬などが散らかしている状態の時には、カラス、猫、犬などの擬声を音響装置47から発出することで、鳥害、獣害を抑制するようにすることもできる。
【0147】
なお、屋外照明装置1は、管理装置9と通信することなく、カラス、猫、犬などを監視カメラ6の映像から自動認識し、カラス、猫、犬などの擬声を、自動的に音響装置47から発出することで、鳥害、獣害を抑制するようにすることもできる。
【0148】
(1.3.2)定点監視動作
屋外照明装置1の監視カメラ6の定点監視動作について、図11のフローチャートを参照して説明する。上述のように、監視カメラ6は、定点監視動作を定期的に行う。監視カメラ6は、定点監視動作を1日のうちで複数回行う。監視カメラ6は、例えば、1時間ごとに定点監視動作を行う。
【0149】
定点監視動作を行う定時になると(ST201:Yes)、監視カメラ6の制御部62は、照明灯3から取得した照明灯3の制御部33の最新の動作(動作状態)が、消灯動作であるか否かを判断する(ST202)。具体的には、制御部62は、メモリ63に記憶されている照明灯3の最新の動作(点灯動作又は消灯動作)を、メモリ63から取得する。
【0150】
最新の動作が消灯動作の場合(ST202:Yes)、監視カメラ6の制御部62は、撮像部61で撮像された最新の画像を用いて、撮像範囲R2内での監視マーク7の座標位置を求め、求めた座標位置を基準座標位置と比較する(ST203)。
【0151】
最新の画像での監視マーク7の座標位置が、基準座標位置と略一致する場合(ST203:Yes)、制御部62は正常と判断し(ST204)、特に警報の発出処理等は行わずに定点監視動作を終了する。
【0152】
一方、最新の画像での監視マーク7の座標位置が基準座標位置からずれていた場合、或いは最新の画像で監視マーク7が検出できなかった場合(ST203:No)、制御部62は、例えば支柱2が傾いている可能性があるとして支柱2の異常と判断し(ST205)、管理装置9へ支柱2の異常を示す情報を送信する(ST206)。
【0153】
最新の動作が消灯動作ではない場合すなわち最新の動作(動作状態)が点灯動作の場合(ST202:No)も、監視カメラ6の制御部62は、撮像部61で撮像された最新の画像を用いて、撮像範囲R2内での監視マーク7の座標位置を求め、求めた座標位置を基準座標位置と比較する(ST207)。
【0154】
最新の画像での監視マーク7の座標位置が、基準座標位置と略一致する場合(ST207:Yes)、制御部62は正常と判断し(ST208)、特に警報の発出等は行わずに定点監視動作を終了する。
【0155】
一方、最新の画像において、基準座標位置に監視マーク7が検出できなかった場合、制御部62は、屋外照明装置1に異常があると判断する(ST209)。ここで、最新の動作が点灯動作である場合とは、例えば現在時刻が夜間である等のために周囲が暗く、照明部34が点灯されている状況であることを意味する。そのため、基準座標位置に監視マーク7を検出できない理由としては、支柱2の傾き以外に、照明灯3の照明部34の故障(点灯不良)があり得る。そこで、制御部62は、管理装置9へ、照明部34の異常を示す情報を送信する(ST210)。もちろん、制御部62は、管理装置9へ、支柱2の異常と照明部34の異常とのうちの少なくとも一方が発生していることを示す情報を、送信してもよい。その後、制御部62は、遠距離通信部65を介して取得した管理装置9からの警報指示に応じて、劣化検出装置4の音響装置47から警報音を発出させてもよい。
【0156】
管理装置9では、遠距離通信部91を介して支柱2の異常(ST206)又は照明部34の異常(ST210)を受け取ると、支柱2の異常又は照明部34の異常を、提示部95により提示する。具体的には、画像表示装置による画像や音出力装置による音により、異常を報知する。また、管理装置9は、支柱2の異常又は照明部34の異常の情報を、この屋外照明装置1の識別情報に関連付けてメモリ93に記憶する。
【0157】
支柱2の異常又は照明部34の異常の情報が提示されると、管理装置9のユーザ(監視員)又は監視員から連絡を受けた検査員は、屋外照明装置1の設置場所へ赴いて、屋外照明装置1の点検/補修/交換等を行えばよい。
【0158】
また、管理装置9のユーザは、劣化検出装置4の音響装置47等を用いて、支柱2又は照明部34に不良が発生していることを報知し、近隣の人の安心感の醸成につとめてもよい。この場合、管理装置9のユーザが入力部94を適宜操作することで、指示内容が、遠距離通信部91から屋外照明装置1の遠距離通信部65、近距離通信部64,46を介して制御部44へ伝達されてよい。
【0159】
(1.3.3)劣化検出動作
屋外照明装置1の劣化検出装置4の劣化検出動作について、図12図13を参照して説明する。ここでは、屋外照明装置1の劣化検出装置4が劣化検出動作を行う場合の管理装置9の動作についても、合わせて説明する。図12は、管理装置9の動作のフローチャートであり、図13は、劣化検出装置4の動作のフローチャートである。
【0160】
上述のように、管理装置9は、複数の屋外照明装置1を管理している。管理装置9は、広範囲に多くの場所に配置された多数の屋外照明装置1を管理する。管理装置9は、複数の屋外照明装置1について、複数の屋外照明装置1それぞれが備える劣化検出装置4を用いて、定期的に劣化を検出する。
【0161】
ここで、劣化検出装置4による屋外照明装置1に対する定期的な劣化の検出は、支柱2の腐食による強度低下を検出し、支柱2の傾斜、倒壊等を防止するために行われる。なお、支柱2の腐食は急激に進行することは無く、また、上述のように支柱2の傾きは監視カメラ6によって定期的に(例えば1時間ごとに)監視している。そのため、劣化検出装置4による劣化の検出は、例えば1ヶ月に1回程度であってもよい。
【0162】
図12を参照して説明すると、管理装置9のユーザは、劣化検出装置4による劣化検査を行う時期が来ると、入力部94を用いて、劣化検査を実行する屋外照明装置1のリストを画像表示装置に表示させる(ST301)。なお、管理装置9は、劣化検査を行う時期が来ると、例えばアラーム表示/音により、ユーザに劣化検査を行う時期が来たことを報知してもよい。ユーザは、表示されたリストから、劣化検査を実行させる屋外照明装置1を選択する(ST302)。
【0163】
劣化検査を実行する屋外照明装置1が選択されると、選択された屋外照明装置1の監視カメラ6の映像が、管理装置9の画像表示装置に映し出される(ST303)。
【0164】
管理装置9のユーザは、表示された監視カメラ6の映像を確認し、選択した屋外照明装置1への劣化検査の実行の可否を判断する。
【0165】
すなわち、屋外照明装置1の支柱2の腐食による劣化検査は、超音波による微小な信号を扱うものであるので、支柱2の周りの環境を十分に考慮して実行されることが求められる。例えば、近隣で大きな振動を伴う工事が行われていたり、暴風雨が起きていたり、不審者が支柱2を叩いていたりする場合には、監視カメラ6の映像も揺れていることが想定される。そのような場合、支柱2も揺れ動いていることが想定される。支柱2の揺れ(振動)は、劣化検出装置4による劣化の検出精度に影響するため、このような場合には支柱2の検査は行わない。
【0166】
支柱2を揺らす程度の強風の有無は、監視カメラ6で撮像された風監視部79の映像で確認されてもよい。風監視部79は複数の回転羽根を備えており、回転羽根の回転状況で、風の有無及び強弱を確認することができる。また、支柱2の周りの環境を確認するのに、監視カメラ6で撮像された監視マーク7の状態を用いることもできる。例えば、支柱2に不用意な振動が伝わっていれば、監視マーク7も小刻みに振動することが想定される。そのため、管理装置9のユーザは、支柱2の振動、揺れを、監視カメラ6で撮像された監視マーク7の映像を用いて、判断することができる。
【0167】
管理装置9のユーザは、これらの状況を、管理装置9の画像表示装置の映像で確認し、問題が無いと判断すると、屋外照明装置1に対して検査開始指示を送信する(ST304)。
【0168】
図13を参照して説明すると、劣化検出装置4は、管理装置9から検査開始指示を受け取ると(ST401:Yes)、支柱本体21の下端部の劣化を検出する劣化検出動作を行う。
【0169】
ここで、上述のように劣化検出装置4は、複数(ここでは、4個)の検出モジュール41を備えている。以下では、4個の検出モジュール41を、第1検出モジュール41~第4検出モジュール41と呼んで区別する。
【0170】
劣化検出装置4の制御部44は、管理装置9から検査開始指示を受け取ると、第1検出モジュール41を動作させ(ST402)、その検出結果を示す第1検出データをメモリ45に記憶させる(ST403)。続いて、制御部44は、第2検出モジュール41を動作させ(ST404)、その検出結果を示す第2検出データをメモリ45に記憶させる(ST405)。続いて、制御部44は、第3検出モジュール41を動作させ(ST406)、その検出結果を示す第3検出データをメモリ45に記憶させる(ST407)。続いて、制御部44は、第4検出モジュール41を動作させ(ST408)、その検出結果を示す第4検出データをメモリ45に記憶させる(ST409)。
【0171】
制御部44は、第1検出データ~第4検出データを用いて支柱2(支柱本体21)の劣化判定を行い(ST410)、その判定結果を示す情報を、管理装置9へ送信する(ST411)。判定結果としては、支柱2が正常であることを示す「正常判定」、支柱2に腐食があることを示す「腐食劣化判定」があり得る。判定結果を示す情報は、近距離通信部46,64を介して、遠距離通信部65から、管理装置9の遠距離通信部91へ送信される。
【0172】
図12に戻って、管理装置9は、屋外照明装置1から判定結果を受信する(ST305)。管理装置9は、受け取った判定結果が、支柱2が正常であることを示す「正常判定」か、支柱2に腐食があることを示す「腐食劣化判定」か、を区別する(ST306)。正常判定であれば(ST306:Yes)、管理装置9は、判定結果(正常判定)と劣化検査を行った日時とを、この屋外照明装置1の識別情報に関連付けてメモリ93に記憶させる(ST307)。正常判定ではないすなわち腐食劣化判定であれば(ST306:No)、管理装置9は、提示部95の画像表示装置に警報表示を表示し、音出力装置から警報音を発する(ST308)。また。管理装置9は、判定結果(腐食劣化判定)と劣化検査を行った日時とを、この屋外照明装置1の識別情報に関連付けてメモリ93に記憶させる(ST309)。
【0173】
一つの屋外照明装置1の劣化検査が終了すると、管理装置9は、屋外照明装置1のリストを画像表示装置に表示する(ST311)。管理装置9のユーザは、他の屋外照明装置1についても劣化検査を行う場合、リストを参照して次の屋外照明装置1を選択し(ST311:Yes)、劣化検査を行う。
【0174】
例えばリストに挙げられている全ての屋外照明装置1について、劣化検査が終了すれば、ユーザは検査を終了する。
【0175】
(1.3.4)充電動作
屋外照明装置1の充電装置8(図4参照)による外部装置(例えば、電気自動車のバッテリ)の充電動作について、図14を参照して説明する。
【0176】
例えば、充電装置8の表示部83には、コンセント81を介した充電を行うための充電案内表示が表示されている。
【0177】
充電装置8のユーザが、表示部83の表示内容に従って充電指示を行うと(ST501:Yes)、表示部24には、ユーザが充電料金を支払うための支払い情報の入力を促す情報入力表示が表示される(ST502)。支払い情報は、例えば、ユーザの登録番号、ユーザのクレジットカードの番号等を含み得る。充電装置8は、支払い情報を受け付けるためのカードリーダ等の装置を備えていてもよい。
【0178】
ユーザが支払い情報を入力する(ST503)と、制御部86は、コンセント81への充電ケーブルの接続を確認し(ST504)、充電回路851を動作させて、充電ケーブルを介して外部装置(電気自動車)の充電を開始する(ST505)。充電の開始後、ユーザから充電を終了するための終了操作を受け付ける(ST506:Yes)と、制御部86は、充電動作を終了して(ST507)、表示部83に充電料金を表示させる(ST508)。そして、充電料金、充電量、支払い情報等を含む充電情報が、管理装置9へ送信される(ST509)。充電情報は、近距離通信部88,64を介して、遠距離通信部65から、管理装置9の遠距離通信部91へ送信される。
【0179】
管理装置9では、遠距離通信部91を介して充電情報を受け取る。管理装置9では、受け取った充電情報をメモリ93に記憶させ、外部のサーバとの通信等の適宜の処理を行う。
【0180】
(1.4)利点
以上説明した本実施形態の屋外照明システム10では、屋外照明装置1の設置場所に検査員が出向くことなく、屋外照明装置1の支柱本体21の下端部の劣化を劣化検出装置4で検出し、その検出結果が、管理装置9に情報伝達される。そのため、屋外照明装置1の管理を効率的に行えるようになる。また、検査員の負担を軽減することが可能となる。また、設置場所に検査人が出向いて検査を行う場合には、この作業現場付近の交通安全の対策等も必要となるが、これも不要となる。
【0181】
また、屋外照明装置1は、監視カメラ6を備えている。このような監視カメラ6は、通常状態での支柱2の周辺の監視動作を行うことができるだけでなく、劣化検出装置4による劣化検査の実行判断にも大きく貢献することができる。
【0182】
すなわち、劣化検出装置4の検査は、支柱2を伝わる微小な波(超音波等)を検出するものである。そのため、風や近隣での工事の振動等で支柱2が揺れているときに行うことは、結果に悪影響を及ぼす可能性があるため、好ましくない。これに対し、本実施形態の屋外照明システム10では、支柱2に対して振動が加わっている可能性があるか否かを、監視カメラ6による周辺の映像、風監視部79の映像、監視マーク7の監視映像等で確認し、その後、劣化検出装置4による検査を行うことができる。これにより、適切な検査が実行できる。
【0183】
しかも、検査対象の屋外照明装置1の設置場所に検査員が出向くことなく、検査を実行してもよいか否かを判断することができ、実務上、極めて、作業効率が向上するものとなる。
【0184】
また、監視カメラ6によって、監視マーク7の定点監視を行っているので、支柱2の傾斜状態の発生も、迅速に検出することができる。すなわち、支柱2は、例えば自動車の接触、強風等の影響で傾いてしまうこともあるが、この様な状態は、支柱2の腐食が原因では無いため劣化検出装置4では検出することができない。これに対し、本実施形態の屋外照明システム10では、支柱2が傾斜すると、直ちに監視カメラ6による定点監視によって傾斜の発生を検出することができ、迅速に支柱2の補修等の対策を施すことができる。
【0185】
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0186】
また、屋外照明システム10の管理装置9と同様の機能は、管理方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0187】
一態様に係る管理方法は、屋外照明装置1を管理するための管理方法である。屋外照明装置1は、支柱2と、照明灯3と、監視カメラ6と、劣化検出装置4と、を備える。支柱2は、上端部及び下端部を有する支柱本体21を有する。支柱2は、支柱本体21の下端部の先端部(埋設部211)が地中に埋められるように屋外に設置される。照明灯3は、支柱本体21の上端部の側で、支柱2に保持される。監視カメラ6は、支柱本体21の上端部の側で、支柱2に保持される。劣化検出装置4は、支柱本体21の下端部の劣化を検出する。監視カメラ6は、撮像した画像の画像データを管理装置9へ送信する。管理方法は、監視カメラ6が撮像した画像に基づいて、劣化検出装置4を動作させるか否かを判断することと、劣化検出装置4に、支柱本体21の下端部の劣化の有無を検出する劣化検出動作を行わせることと、劣化検出動作の結果を示す情報を受け取ることと、を含む。
【0188】
以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。基本例及び以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0189】
本開示における屋外照明システム10は、例えば管理装置9の処理部92等にコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理部92としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0190】
また、管理装置9における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは管理装置9に必須の構成ではない。管理装置9の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、管理装置9の機能の一部が、1つの筐体内に集約されていてもよい。また、管理装置9の少なくとも一部の機能、例えば処理部92等の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0191】
(2.1)変形例1
基本例の屋外照明装置1では、支柱2は、支柱本体21の下端部の先端部(埋設部211)を地中に埋設して屋外(歩道101)に設置されていたが、支柱2はこれに限られない。
【0192】
本変形例の屋外照明装置1では、支柱2は、地中に埋設されたコンクリートブロック11に、ボルト12及びナット13で固定されて、屋外に設置されている。すなわち、本変形例の屋外照明装置1では、支柱本体21の下端部は、埋設部211を備えておらず露出部212のみを備えている。
【0193】
本変形例では、支柱本体21の下端部には、金属製の取付具14が溶接固定されている。取付具14は、例えば、下端に鍔141を有する円筒状であって、側面に台形状の4つの支持部142を有する。そして、この取付具14の鍔141の四か所に90度の等間隔で設けた貫通孔143にボルト12を通し、そのボルト12の上部にナット13を締付けることで、支柱2は、コンクリートブロック11に固定され、地面109に対して立設された状態となっている。
【0194】
本変形例の支柱2であっても、劣化検出装置4により、支柱2の支柱本体21の下端部(露出部212)の劣化を検出することができる。
【0195】
なお、本変形例の屋外照明装置1では、劣化検出装置4は、ボルト12の劣化を検出するための検出モジュールを備えていてもよい。
【0196】
ボルト12の劣化を検出するための検出モジュールとしては、例えば、ボルト12の頂部上面にセットされた超音波垂直探触子を備えたものであってもよい。この検出モジュールは、超音波垂直探触子からボルト12へ、ボルト12のねじ溝が形成された基礎(コンクリートブロック11)の表面部付近で反射するように、ボルト12の軸心に対して斜めに超音波を入射させる。そして、超音波垂直探触子が受波した反射波のねじ山毎に出現するピークの欠損から、ボルト12の基礎の表面部付近の腐食状態を診断できる。すなわち、腐食のない健全なボルト12であれば、基礎の表面部付近の各ねじ溝間のねじ山の斜面で反射した超音波が、斜め反射波として超音波垂直探触子に受波されるが、ねじ山が欠損する程度の腐食が生じた不良なボルト12の場合には、超音波垂直探触子に反射波が受波されなくなる。これにより、ボルト12の不良状態が検出できる。
【0197】
(2.2)変形例2
劣化検出装置4は、超音波の反射波の検出時間の長短をもって腐食の発生を検出する構成に限られない。劣化検出装置4は、支柱本体21に交流磁場を印加することで渦電流を発生させ、この渦電流が生成する磁場に基づいて支柱本体21の劣化を検出する構成であってもよい。例えば、劣化検出装置4は、コイル及び磁気センサを有する磁気プローブと、電流源と、検波器と、解析器と、を備える。コイルは、支柱本体21の下端部に交流磁場を引加し、渦電流を発生させる。磁気センサは、コイルで引加された交流磁場に対する支柱本体21からの応答(磁場)を検出する。電流源は、コイルに所定周波数の交流電流を供給する。検波器は、磁気センサからの出力信号を検波する。解析器は、検波器の出力信号を用いて解析を行う。
【0198】
すなわち、磁気プローブのコイルから交流磁場を、支柱本体21に引加することで、支柱本体21に渦電流を発生させ、この渦電流が生成する磁場を磁気センサで検出し、解析器で解析し、支柱2の劣化を検出する。つまり、本変形例では、支柱本体21の板厚が薄い、つまり腐食による減肉が大きいほど信号が減衰するので、これにて支柱本体21の劣化を検出できる。
【0199】
(2.3)その他の変形例
一変形例において、屋外照明装置1は街路灯に限られず、屋外に設置され支柱を備える任意の照明装置であり得る。
【0200】
一変形例において、支柱2は、金属製に限られず、コンクリート製であってもよい。支柱2がコンクリート製の場合、劣化検出装置4としては、コンクリート内部の鉄筋の腐食を検出する装置を用いることができる。或いは、劣化検出装置4としては、コンクリートを伝搬する振動を検出する装置を用いることができる。
【0201】
一変形例において、劣化検出装置4は、支柱本体21に機械的な衝撃を与え、支柱本体21を伝搬する弾性波を検出することで、支柱本体21の劣化を検出してもよい。
【0202】
一変形例において、監視マーク7は、カバー5以外の場所、例えばカバー5の上方に露出した支柱本体21の部分に設けてもよい。監視マーク7は、支柱2又はカバー5に支持具を介して設けられていてもよい。
【0203】
一変形例において、屋外照明装置1は充電装置8を備えていなくてもよい。
【0204】
一変形例において、管理装置9の遠距離通信部91と通信する屋外照明装置1の遠距離通信部65は、監視カメラ6以外の装置、すなわち照明灯3、劣化検出装置4、充電装置8、或いは外部の通信装置が備えていてもよい。
【0205】
一変形例において、管理装置9の処理部92の少なくとも一部の機能及び/又は管理装置9のユーザが行う判断の少なくとも一部、例えば監視カメラ6の画像に基づいて劣化検出装置4を動作させてもよいかの判断等は、学習済みモデルにより行われてもよい。
【0206】
一変形例において、屋外照明装置1の少なくとも一部の機能、例えば、定点監視動作において制御部62が監視マーク7の座標位置と基準座標位置とのずれを判断する機能は、学習済みモデルにより行われてもよい。
【0207】
(3)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、本明細書には以下の態様が開示されている。
【0208】
第1の態様の屋外照明装置(1)は、支柱(2)と、照明灯(3)と、監視カメラ(6)と、劣化検出装置(4)と、を備える。支柱(2)は、上端部及び下端部を有する支柱本体(21)を有する。支柱(2)は、屋外に設置される。照明灯(3)は、支柱本体(21)の上端部の側で、支柱(2)に保持される。監視カメラ(6)は、支柱本体(21)の上端部の側で、支柱(2)に保持される。劣化検出装置(4)は、支柱本体(21)の下端部の劣化を検出する。監視カメラ(6)は、撮影した画像の画像データを管理装置(9)へ送信する。劣化検出装置(4)は、管理装置(9)からの指示に応じて、支柱本体(21)の下端部の劣化の有無を検出する劣化検出動作を行う。劣化検出装置(4)は、劣化検出動作の結果を示す情報を、管理装置(9)へ送信する。
【0209】
この態様によれば、屋外照明装置(1)の管理を効率的に行えるようになり、屋外照明装置(1)を検査する検査員の負担を軽減することが可能となる。また、検査員が屋外照明装置(1)の設置場所に赴かなくとも、検査を実行してもよいか否かを判断することが可能となる。
【0210】
第2の態様の屋外照明装置(1)は、第1の態様において、監視マーク(7)を更に備える。監視マーク(7)は、監視カメラ(6)の撮像範囲(R2)内に配置されている。監視マーク(7)は、鉛直方向に対する前記支柱本体(21)の傾きの有無を監視するためのマークである。
【0211】
この態様によれば、支柱(2)の傾斜状態の発生を検出することが可能となる。
【0212】
第3の態様の屋外照明装置(1)は、第2の態様において、劣化検出装置(4)を覆うカバー(5)を更に備える。監視マーク(7)は、カバー(5)の外表面に設けられている。
【0213】
この態様によれば、監視マーク(7)をカバー(5)以外の場所に設ける場合と比較して、監視マーク(7)が邪魔になりにくい。
【0214】
第4の態様の屋外照明装置(1)では、第3の態様において、カバー(5)は、支柱本体(21)の下端部において支柱本体(21)に取り付けられて支柱本体(21)の全周を囲む、中空の錐台状である。
【0215】
この態様によれば、支柱本体(21)の下端部をカバー(5)で保護することが可能となる。
【0216】
第5の態様の屋外照明装置(1)では、第3又は第4の態様において、支柱(2)は、支柱本体(21)の上端部から支柱本体(21)と交差する向きに突出するアーム(22)を有する。監視カメラ(6)は、アーム(22)に保持される。監視マーク(7)は、上から見て、支柱本体(21)を基準としてアーム(22)と同じ側におけるカバー(5)の部分に、設けられている。
【0217】
この態様によれば、監視マーク(7)が支柱本体(21)を基準としてアーム(22)と反対側に設けられている場合と比較して、監視カメラ(6)による監視マーク(7)の監視が容易になる。
【0218】
第6の態様の屋外照明装置(1)は、第3~第5のいずれか1つの態様において、音を発生する音響装置(47)を更に備える。音響装置(47)は、カバー(5)の内側に配置されている。
【0219】
この態様によれば、音響装置(47)をカバー(5)で保護することが可能となる。
【0220】
第7の態様の屋外照明装置(1)は、第2~第6のいずれか1つの態様において、外部装置を充電するための充電装置(8)を更に備える。充電装置(8)は、上から見て、支柱本体(21)を基準として監視マーク(7)と反対側に配置されている。
【0221】
この態様によれば、充電装置(8)が支柱本体(21)を基準として監視マーク(7)と同じ側に配置されて場合と比較して、充電装置(8)が、監視カメラ(6)による監視マーク(7)の監視の邪魔になりにくい。
【0222】
第8の態様の屋外照明装置(1)では、第7の態様において、充電装置(8)は、外部装置の充電に関する情報を表示する表示部(83)を備る。表示部(83)は、上から見て、支柱本体(21)を基準として監視マーク(7)と反対側に配置されている。
【0223】
この態様によれば、表示部(83)が支柱本体(21)を基準として監視マーク(7)と同じ側に配置されて場合と比較して、表示部(83)から放射される光が、監視カメラ(6)による監視マーク(7)の監視の邪魔になりにくい。
【0224】
第9の態様の屋外照明装置(1)では、第1~第8のいずれか1つの態様において、劣化検出装置(4)は、支柱本体(21)の下端部の劣化の有無を検出する複数の検出モジュール(41)と、ベルト(42)と、を備える。ベルト(42)は、複数の検出モジュール(41)が支柱本体(21)の周りに所定の間隔で位置するように、複数の検出モジュール(41)を保持する。
【0225】
この態様によれば、検出モジュール(41)の交換が容易になる。
【0226】
第10の態様の屋外照明装置(1)は、第1~第9のいずれか1つの態様において、照度センサ(35)と、制御部(62)と、を更に備える。制御部(62)は、照度センサ(35)による照度の検出結果及び監視カメラ(6)で撮影された画像に基づいて、照明灯(3)の不良の有無を判定する。
【0227】
この態様によれば、照明灯(3)の不良の有無を判定することが可能となる。
【0228】
第11の態様の屋外照明システム(10)は、第1~第10のいずれか1つの態様の屋外照明装置(1)と、管理装置(9)と、を備える。
【0229】
この態様によれば、屋外照明装置(1)の管理を効率的に行えるようになり、屋外照明装置(1)を検査する検査員の負担を軽減することが可能となる。また、検査員が屋外照明装置(1)の設置場所に赴かなくとも、検査を実行してもよいか否かを判断することが可能となる。
【0230】
第12の態様の屋外照明システム(10)では、第11の態様において、管理装置(9)は、監視カメラ(6)で撮像された画像、劣化検出装置(4)による劣化検出動作の結果、及び照明灯(3)の不良の有無の判定結果を記憶するメモリを備える。
【0231】
この態様によれば、管理装置(9)で屋外照明装置(1)を管理することが容易となる。
【符号の説明】
【0232】
10 屋外照明システム
1 屋外照明装置
2 支柱
21 支柱本体
22 アーム
3 照明灯
35 照度センサ
4 劣化検出装置
41 検出モジュール
42 ベルト
47 音響装置
5 カバー
6 監視カメラ
7 監視マーク
8 充電装置
83 表示部
9 管理装置
R2 撮像範囲
図1
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