(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066182
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230508BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230508BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
G06T7/00 660B
H04N7/18 K
G08G1/01 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176754
(22)【出願日】2021-10-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月26日にウェブサイト(https://rooms.kondenai.jp/countergroup_1/public/、https://rooms.kondenai.jp)にて公開 令和3年10月1日にウェブサイト(https://kondenai.jp/)にて公開
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】517266263
【氏名又は名称】アイタックソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194836
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 優一
(72)【発明者】
【氏名】柿▲崎▼ 希
(72)【発明者】
【氏名】リン ショウトウ
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FC15
5C054HA19
5H181AA21
5H181CC04
5H181DD02
5H181DD04
5H181FF32
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA69
5L096HA05
5L096HA08
5L096JA03
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】 より利便性の高い環境で特定の領域の人数を把握する。
【解決手段】 本発明の情報処理システムは、特定の領域を撮像するカメラの視野内における境界線及び境界線の指向性を定義する境界定義情報の入力を受け付ける情報入力受付手段と、カメラが撮像した画像から人オブジェクトを検出し、それぞれの人オブジェクトの位置を追跡して追跡結果を取得する追跡手段と、人オブジェクトごとの追跡結果と情報入力受付手段が受け付けた境界定義情報とに基づいて、特定の領域内に入場している入場中人数を計数する計数手段とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の領域を撮像するカメラの視野内における境界線及び前記境界線の指向性を定義する境界定義情報の入力を受け付ける情報入力受付手段と、
前記カメラが撮像した画像から人オブジェクトを検出し、それぞれの前記人オブジェクトの位置を追跡して追跡結果を取得する追跡手段と、
前記人オブジェクトごとの前記追跡結果と前記情報入力受付手段が受け付けた前記境界定義情報とに基づいて、前記特定の領域内に入場している入場中人数を計数する計数手段と
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記情報入力受付手段は、前記境界線の両端の位置と、前記境界線の指向性の入力を受け付ける境界情報入力受付処理画面を用いて、前記境界定義情報の入力を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報入力受付手段は、入力された位置と前記境界線の位置との位置関係に応じて、前記境界線の指向性を決定して取得することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
情報処理方法において、
情報入力受付手段と、追跡手段と、計数手段とを備え、
前記情報入力受付手段は、特定の領域を撮像するカメラの視野内における境界線及び前記境界線の指向性を定義する境界定義情報の入力を受け付け、
前記追跡手段は、前記カメラが撮像した画像から人オブジェクトを検出し、それぞれの前記人オブジェクトの位置を追跡して追跡結果を取得し、
前記調整手段は、前記人オブジェクトごとの前記追跡結果と前記情報入力受付手段が受け付けた前記境界定義情報とに基づいて、前記特定の領域内に入場している入場中人数を計数する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータを、
特定の領域を撮像するカメラの視野内における境界線及び前記境界線の指向性を定義する境界定義情報の入力を受け付ける情報入力受付手段と、
前記カメラが撮像した画像から人オブジェクトを検出し、それぞれの前記人オブジェクトの位置を追跡して追跡結果を取得する追跡手段と、
前記人オブジェクトごとの前記追跡結果と前記情報入力受付手段が受け付けた前記境界定義情報とに基づいて、前記特定の領域内に入場している入場中人数を計数する計数手段と
して機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関し、例えば、施設、イベント会場、スポーツジム、入浴施設等の複数の利用者が同時に入場して利用可能な施設(以下、単に「施設」とも呼ぶものとする)の利用状況(例えば、入場中の人数や混雑状況等)等の特定の領域の人数を認識するシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、施設等の特定の領域の利用者を認識する方法としては、施設内を撮影して写っている人の数を計数する方法や、施設の出入口を通過する人数に基づいて係数する方法が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現在、感染症の感染拡大を抑制するため、施設の利用人数や混雑状況をリアルタイムに把握可能とするシステムの需要が高まっている。つまり、上記のようなシステムを使用するユーザ(例えば、施設の管理者等)が増えるため、コンピュータシステムの操作に不慣れなユーザにも視覚的に操作しやすい環境が望ましい。また、上記のようなシステムを使用するユーザが増えると、多種多様な構造の施設であっても正確に利用状況を把握することも求められるようになる。
【0005】
しかしながら、特許文献1等の従来技術では、上記のような利便性を高くすることについては解決されていない。
【0006】
以上のような問題に鑑みて、より利便性の高い環境で特定の領域の人数を把握することができる情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明の情報処理システムは、特定の領域を撮像するカメラの視野内における境界線及び前記境界線の指向性を定義する境界定義情報の入力を受け付ける情報入力受付手段と、前記カメラが撮像した画像から人オブジェクトを検出し、それぞれの前記人オブジェクトの位置を追跡して追跡結果を取得する追跡手段と、前記人オブジェクトごとの前記追跡結果と前記情報入力受付手段が受け付けた前記境界定義情報とに基づいて、前記特定の領域内に入場している入場中人数を計数する計数手段とを有することを特徴とする。
【0008】
第2の本発明は、情報処理方法において、情報入力受付手段と、追跡手段と、計数手段とを備え、前記情報入力受付手段は、特定の領域を撮像するカメラの視野内における境界線及び前記境界線の指向性を定義する境界定義情報の入力を受け付け、前記追跡手段は、前記カメラが撮像した画像から人オブジェクトを検出し、それぞれの前記人オブジェクトの位置を追跡して追跡結果を取得し、前記調整手段は、前記人オブジェクトごとの前記追跡結果と前記情報入力受付手段が受け付けた前記境界定義情報とに基づいて、前記特定の領域内に入場している入場中人数を計数することを特徴とする。
【0009】
第3の本発明の情報処理プログラムは、コンピュータを、特定の領域を撮像するカメラの視野内における境界線及び前記境界線の指向性を定義する境界定義情報の入力を受け付ける情報入力受付手段と、前記カメラが撮像した画像から人オブジェクトを検出し、それぞれの前記人オブジェクトの位置を追跡して追跡結果を取得する追跡手段と、前記人オブジェクトごとの前記追跡結果と前記情報入力受付手段が受け付けた前記境界定義情報とに基づいて、前記特定の領域内に入場している入場中人数を計数する計数手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より利便性の高い環境で特定の領域の人数を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの全体構成について示したブロック図である。
【
図2】実施形態に係るエッジコンピュータの機能的構成について示したブロック図である。
【
図3】実施形態に係るDBサーバの機能的構成について示したブロック図である。
【
図4】実施形態に係る施設情報DBの構成例について示した説明図である。
【
図5】実施形態に係るWebAPサーバの機能的構成について示したブロック図である。
【
図6】実施形態に係るクライアント端末の機能的構成について示したブロック図である。
【
図7】実施形態に係る管理者用端末の機能的構成について示したブロック図である。
【
図8】実施形態に係る施設内部の平面図の例である。
【
図9】実施形態に係るカメラが撮像された画像(カメラの視野)の例について示した図である。
【
図10】実施形態に係るエッジコンピュータ(オブジェクト認識部)において、カメラの視野内に境界線が設定された状態について示した図である。
【
図11】実施形態に係るは、エッジコンピュータ(オブジェクト認識部)が、それぞれの人オブジェクトの位置を認識する例について示した説明図である。
【
図12】実施形態に係るエッジコンピュータ(オブジェクト認識部)で取得される人オブジェクトの移動履歴情報に基づく軌跡の例(その1)について示した図である。
【
図13】実施形態に係るエッジコンピュータ(オブジェクト認識部)で取得される人オブジェクトの移動履歴情報に基づく軌跡の例(その2)について示した図である。
【
図14】実施形態に係るエッジコンピュータ(オブジェクト認識部)で取得される人オブジェクトの移動履歴情報に基づく軌跡の例(その3)について示した図である。
【
図15】実施形態に係るは、入場情報表示画面の構成例について示した説明図である。
【
図16】実施形態に係るは、境界定義情報入力受付処理の概要について示した図である。
【
図17】実施形態に係るは、環境情報入力受付画面上で、境界線BL及び方向線DLの入力を受け付ける処理の例について示した図である。
【
図18】実施形態に係るは、エッジコンピュータ(オブジェクト認識部)による境界定義情報入力受付処理の例について示したフローチャートである。
【
図19】実施形態に係る境界情報入力受付処理画面の遷移について示した図(その1)である。
【
図20】実施形態に係る境界情報入力受付処理画面の遷移について示した図(その2)である。
【
図21】実施形態に係る境界情報入力受付処理画面の遷移について示した図(その3)である。
【
図22】実施形態に係る境界情報入力受付処理画面の遷移について示した図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0013】
(A-1)実施形態の構成
図1は、この実施形態の情報処理システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
まず、情報処理システム1の全体の概要について説明する。
【0015】
情報処理システム1は、1又は複数の施設(例えば、施設、イベント会場、スポーツジム、入浴施設等の特定の領域に存在する施設)等の特定の領域の入退場の状況を認識し、認識した入退場の状況に基づく情報(以下、「入場情報」と呼ぶ)を出力するシステムである。
【0016】
この実施形態では、情報処理システム1は、N個(Nは任意の整数)の施設(第1の施設~第Nの施設)の入場情報を処理するシステムであるものとして説明する。
【0017】
情報処理システム1では、それぞれの施設(第1~第Nの施設)に、施設を撮像するためのカメラ10(10-1~10-N)と、施設の入場情報等を処理するエッジコンピュータ20(20-1~20-N)、及び管理者用端末60(60-1~60-N)が配置されている。
【0018】
また、情報処理システム1では、各施設のエッジコンピュータ20(20-1~20-N)から各施設の入場情報を含む情報を保持し、入場情報の被提供者(以下、「エンドユーザ」とも呼ぶ)が所持するクライアント端末50に提供する入場情報提供装置として、WebAPサーバ30を有している。さらに、情報処理システム1では、WebAPサーバ30で、種々のデータを管理する手段としてDBサーバ40が配置されている。なお、本発明の入場情報提供装置を構成する装置(コンピュータ)の数や、装置間の接続構成は限定されないものである。なお、この実施形態では、
図1に示すように、WebAPサーバ30及びDBサーバ40はデータセンタに設置されているものとして説明する。
【0019】
クライアント端末50は、上述の通り施設の入場情報の被提供者の所持する端末であり、被情報提供者の操作に応じて、WebAPサーバ30に接続して、各施設の入場情報を取得して表示する処理を行う。
【0020】
管理者用端末60は、各施設の管理者(以下、「施設管理者」と呼ぶ)が所持する端末であり、施設管理者の操作に応じてWebAPサーバ30や同施設のエッジコンピュータ20等に接続して、同施設に関する設定等を変更する処理等を行う。
【0021】
情報処理システム1内の各装置は、相互に通信が可能となっているものとする。この実施形態の例では、情報処理システム1内の各装置は、インターネットを介して相互に接続可能な構成となっているものとして説明する。
【0022】
次に、情報処理システム1を構成する各装置の構成について説明する。
【0023】
まず、各施設内に設置されるカメラ10(10-1~10-N)とエッジコンピュータ20(20-1~20-N)の構成について説明する。なお、各施設に設置される装置の詳細構成(例えば、ハードウェア構成)は異なるものとしてもよいが、機能的には
図1に示すように同じ構成として示すことができる。
【0024】
各施設に設置されるカメラ10は、設置施設内部の所定の領域内(例えば、当該施設に入場又は退場する経路等)を撮像するカメラである。カメラ10としては、種々のデジタルカメラを適用することができる。カメラ10は、施設内を撮像した画像を、同じ施設内のエッジコンピュータ20に供給する。
【0025】
エッジコンピュータ20は、設置された施設内の入場情報の処理を行う装置である。具体的には、エッジコンピュータ20は、カメラ10から供給された画像に基づいて施設内の入場情報を取得し、取得した入場情報をWebAPサーバ30に供給する。
【0026】
エッジコンピュータ20の内部構成は、機能的には
図2のように示すことができる。エッジコンピュータ20としては、例えば、メモリ及びプロセッサを有するコンピュータ(例えば、PC、シングルボードコンピュータ、マイクロコンピュータ等)にプログラム(実施形態に係る「情報処理プログラム」を含む)をインストールすることにより構築してもよい。エッジコンピュータ20を構成するコンピュータは限定されないものであるが、例えば、PCやマイクロコンピュータ(例えば、Raspberry Pi(登録商標)等のコンピュータ)を適用するようにしてもよい。
【0027】
図2に示すように、エッジコンピュータ20は、映像取得部21、オブジェクト認識部22、入場情報処理部23、及びデータ記録部24を有している。データ記録部24は、エッジコンピュータ20内での各処理で利用される各種データを記録するデータ記録手段である。
【0028】
映像取得部21は、所定の期間(以下、この期間を「T1」と表す)ごとに、カメラ10が撮像した画像を取得して、オブジェクト認識部22に供給する処理を行うようにしてもよい。映像取得部21は、期間T1ごとにカメラ10を制御して撮像させるようにしてもよいし、カメラ10が連続的に撮像して供給する一連の画像(動画像)から、期間T1の間隔で画像を取得するようにしてもよい。期間T1の間隔は限定されないものであるが例えば、0.2~1秒としてもよいし、ノーウェイトの処理(1フレーム分の処理が終わった後に待ち時間を入れずに次のフレームの処理を開始する)としてもよい。
【0029】
オブジェクト認識部22は、映像取得部21から供給される時系列ごとの画像(期間T1ごとの画像)を解析して、設置施設内(カメラ10が撮像した視野内)に映りこんでいる人間をオブジェクト(以下、「人オブジェクト」とも呼ぶ)として検出し、検出した人オブジェクトの位置を追跡する処理(以下、「人オブジェクト追跡処理」と呼ぶ)を行う。そして、オブジェクト認識部22は、人オブジェクト追跡処理の結果に基づいて設置施設に入場中の人数を計数する。
【0030】
オブジェクト認識部22による、オブジェクト認識処理の具体的手順については後述する。
【0031】
入場情報処理部23は、オブジェクト認識部22の認識結果を利用して、設置施設における入場情報を取得する処理を行う。この実施形態では、入場情報処理部23は、入場情報として、少なくとも当該施設に入場中の人数(以下、「入場中人数」と呼ぶ)を計数(調整)して取得するものとする。
【0032】
そして、入場情報処理部23は、取得した入場中人数を含む情報を入場情報として取得し、WebAPサーバ30に送信する。
【0033】
入場情報処理部23が、WebAPサーバ30に入場情報を送信するタイミングは限定しないものである。例えば、入場情報処理部23は、入場情報(最新に更新された入場情報)を、WebAPサーバ30から要求されたタイミングに応じて送信するようにしてもよいし、所定の期間ごとに入場情報を送信するようにしてもよいし、入場情報が変動(更新)する度に送信するようにしてもよい。
【0034】
次に、入場情報提供装置を構成する各装置(WebAPサーバ30、DBサーバ40)の内部構成について説明する。
【0035】
図3は、DBサーバ40の内部構成について示したブロック図である。
【0036】
DBサーバ40は、WebAPサーバ30の処理で必要となる種々のデータを提供する装置である。具体的には、DBサーバ40は、各施設に関する情報のデータベース(以下、「施設情報DB」と呼ぶ)を保持し、WebAPサーバ30の要求に応じてデータ処理(例えば、データの更新や読出しの処理)を行う。
【0037】
DBサーバ40は、DB処理部41及びデータ記録部42を有している。
【0038】
DBサーバ40の内部構成は、機能的には
図3のように示すことができる。DBサーバ40としては、例えば、メモリ及びプロセッサを有するコンピュータ(例えば、PCやワークステーション等)を用いて構築することができる。
図3に示す通り、DBサーバ40は、DB処理部41、及びデータ記録部42を有している。
【0039】
データ記録部42は、DBサーバ40内での各処理で利用される各種データを記録するデータ記録手段である。
図3に示す通り、データ記録部42には、少なくとも、施設情報DB421が記録されているものとする。
【0040】
DB処理部41は、データ記録部42に記録されたデータベース(施設情報DB421)のデータ処理を行う。DB処理部41は、例えば、ORACLE(登録商標)やMySQL(登録商標)等のDBMS(Database Management System)を用いて構築することができる。したがって、データ記録部42に記録する施設情報DB421は、DB処理部41で対応するデータ構造で構成されている必要がある。
【0041】
次に、施設情報DB421のデータ構造について
図4を用いて説明する。
【0042】
図4は、施設情報DB421のデータ構造について示した説明図である。
図4では、施設情報DB421のデータ構造をテーブル形式で図示している。
図4では、1行で1施設の情報を図示している。
図4に示すように、施設情報DB421には、施設ごとに、施設ID、施設名、入場中人数、アクセス情報、混雑定義情報、及びURLを含む情報が登録されている。
【0043】
「施設ID」の項目は、施設情報DB421において各施設を識別するキーとして機能する項目である。
図4に示すように、この実施形態では、第1の施設~第Nの施設に対して、それぞれ1~NのIDが付与されているものとする。
【0044】
「施設名」の項目は、当該施設の名称を記録する項目である。
図4では、第1の施設(施設ID=1)の施設名を「AAA」、第2の施設(施設ID=2)の施設名を「BBB」、第3の施設(施設ID=3)の施設名を「CCC」、・・・、第Nの施設(施設ID=N)の施設名を「XXX」としている。
【0045】
「入場中人数」の情報は、各施設の入場情報を記録する項目である。この実施形態では、施設情報DB421に入場情報として入場中人数のみを記録するものとして説明すするが、その他の情報(例えば、すでに退場した人数や、入場した延べ人数等も含めて記録)するようにしてもよい。
【0046】
「アクセス情報」の項目は、各施設のエッジコンピュータ20にアクセスするための情報である。アクセス情報としては、エッジコンピュータ20にアクセスするためのIPアドレス、ホスト名、FQDN(Fully Qualified Domain Name)等が挙げられる。
図4では、各施設のエッジコンピュータ20-1~20-Nにアクセスするためのアクセス情報を、それぞれhost1~hostNと図示している。
【0047】
「混雑定義情報」の項目は、各施設について混雑の度合い(以下、「混雑度」と呼ぶ)を認識する基準を定義した情報である。施設ごとに敷地の面積や入場可能な人数は異なるため、混雑しているか否か等の閾値は異なる。この実施形態の混雑定義情報では、施設の混雑度を4段階で表すものとするが段階数は限定されないものである。以下では、この4段階の混雑度を低い方から順に1、2、3、4と表すものとする。なお、混雑定義情報では、混雑度ごとに対応する入場中人数の範囲が設定されるものとして説明する。例えば、
図4に示す施設情報DB421では、施設ID:1(施設名:AAA)の混雑定義情報では、「混雑度1:0~7」、「混雑度2:8~11」、「混雑度3:12~16」、「混雑度4:17~25」と各混雑度の範囲が定義されている。なお、最も混雑度の低い混雑度1については上限値のみ設定し、最も混雑度の高い混雑度4については下限値のみを設定するようにしてもよい。また、最も混雑度の高い混雑度4の上限値は、当該施設で入場可能な人数の上限値(すなわち満員状態の入場中人数)を設定するようにしてもよい。混雑定義情報において各混雑度に対応する入場中人数の範囲(レンジ)は任意の値を設定することが可能である。
【0048】
「URL」の項目は、各施設の入場情報を提示(エンドユーザへ提示)するためのコンテンツ(ホームページ)にアクセスするためのURLである。
図4では、説明を簡易とするため、施設IDが1~NのURLをそれぞれURL1~URLNと符号で図示している。例えば、施設ID:1の施設の入場情報を閲覧するためのURLはURL1となる。
【0049】
以上のように施設情報DB421は構成されている。そして、DB処理部41は、WebAPサーバ30の要求(命令)に応じて、以上のように構成された施設情報DB421のデータ処理(例えば、データの更新や読出しの処理)を行う。
【0050】
図5は、WebAPサーバ30の内部構成について示したブロック図である。
【0051】
WebAPサーバ30は、Webサービス部31、サーバAP32、及びデータ記録部33を有している。
【0052】
WebAPサーバ30の内部構成は、機能的には
図5のように示すことができる。WebAPサーバ30としては、例えば、メモリ及びプロセッサを有するコンピュータ(例えば、PCやワークステーション等)を用いて構築することができる。
【0053】
データ記録部33は、WebAPサーバ30内での各処理で利用される各種データを記録するデータ記録手段である。
【0054】
Webサービス部31は、クライアント端末50に対して各施設の入場情報を含む情報をコンテンツ(例えば、Webページ)として提供する。Webサービス部31は、サーバAP32の制御に応じたコンテンツを、クライアント端末50に対して提供する。
【0055】
Webサービス部31としては、例えば、種々のWebサーバのミドルウェアを適用することができる。この場合、サーバAP32は、Webサービス部31としてのミドルウェア上で、外部(例えば、クライアント端末50)からの要求に応じて、提供するコンテンツの生成処理等を行うアプリケーション(サーバ側プログラム)となる。
【0056】
サーバAP32は、各施設のエッジコンピュータ20から各施設の入場情報(この実施形態では入場中人数を含む情報)を取得し、最新に取得した入場情報をDBサーバ40の施設情報DB421に登録する。
【0057】
また、サーバAP32は、Webサービス部31がクライアント端末50から受けた要求(クライアント端末50で受け付けた操作)に応じて、DBサーバ40の施設情報DB421の情報(一部又は全部の施設に関するデータ)を取得する。そして、サーバAP32は、取得した施設情報DB421の情報を利用したコンテンツ(Web画面)を生成し、Webサービス部31に要求元のクライアント端末50へ提供させる処理を行う。
【0058】
WebAPサーバ30が提供するコンテンツ(Web画面)の構成例については後述する。
【0059】
次に、クライアント端末50の内部構成について説明する。
【0060】
図6は、クライアント端末50の内部構成の例について示した説明図である。
【0061】
クライアント端末50は、例えば、スマートホン、PC、タブレットPC等の種々の端末装置(コンピュータ;ハードウェア)を用いて構築することができる。
図6では、クライアント端末50のハードウェアとしてスマートホンを適用した例について示している。
【0062】
図6に示すように、クライアント端末50は、タッチパネルディスプレイ51及びウェブブラウザ52を有している。
【0063】
タッチパネルディスプレイ51は、クライアント端末50を所持する被情報提供者への情報出力や、被情報提供者からの入力(例えば、GUI画面を用いた入力)を受け付けるデバイス(ユーザインタフェースの機能を担うデバイス)である。この実施形態では、スマートホンを用いてクライアント端末50を構築する例について示しているが、クライアント端末50においてユーザインタフェース(被情報提供者からの入力手段及び被情報提供者への出力手段)を担うデバイスの種類は限定されないものである。例えば、PCを用いてクライアント端末50を構築する場合、ユーザインタフェースとして、ディスプレイ、マウス及びキーボードを用いるようにしてもよい。
【0064】
ウェブブラウザ52としては、種々のWebブラウザを適用することができる。ウェブブラウザ52は、タッチパネルディスプレイ51を介して被情報提供者からの操作を受け付け、入力されたURL(例えば、WebAPサーバ30やエッジコンピュータ20上のURL)のコンテンツ(例えば、同施設に係るwebページのコンテンツ)にアクセスして非情報提供者に提示することができる。なお、ウェブブラウザ52としては、Webブラウザを用いずに、専用のアプリケーションとして構築するようにしてもよい。
【0065】
次に、管理者用端末60の内部構成について説明する。
【0066】
図7は、管理者用端末60の内部構成の例について示した説明図である。
【0067】
管理者用端末60は、例えば、スマートホン、PC、タブレットPC等の種々の端末装置(コンピュータ;ハードウェア)を用いることができる。
図7では、管理者用端末60のハードウェアとしてスマートホンを適用した例について示している。
【0068】
図7に示すように、管理者用端末60は、タッチパネルディスプレイ61及びウェブブラウザ62を有している。タッチパネルディスプレイ61及びウェブブラウザ62自体は、タッチパネルディスプレイ51及びウェブブラウザ52と同様のものであるので詳しい説明は省略する。
【0069】
(A-2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する実施形態の情報処理システムの動作を説明する。
【0070】
まず、各施設内におけるカメラ10の設置環境について説明する。
【0071】
図8は、第1の施設(施設ID=1)の施設において、利用者が入場/退場する経路(以下、「入退場経路」と呼ぶ)を含む領域について上側から見た図となっている。
図8では、入退場経路の領域を点線で囲いR1という符号を付している。ここでは、
図8に示すように、入退場経路R1は、第1の施設の出入口から施設内部側に繋がる廊下となっている。
【0072】
そして、
図8では、カメラ10-1の視野内に、この入退場経路R1の領域が収められている。
図8では、カメラ10-1の光軸(撮像する視野の中心を通る軸)方向の矢印をZとして図示している。
【0073】
図9は、カメラ10-1が撮像した画像の例について図示している。
【0074】
図9では、入退場経路R1が写っている領域について点線で囲って図示している。当然のことながらカメラ10-1で撮像した画像自体には、入退場経路R1の点線は写っていない。
【0075】
ここでは、エッジコンピュータ20-1のオブジェクト認識部22が、カメラ10-1が撮像する画像に映っている人間の動きを追跡するものとする。そして、入場情報処理部23は、オブジェクト認識部22の追跡結果に基づいて、カメラ10-1の視野内(2D画像内)に設定された境界線を出入りする人数を計数し、第1の施設の入場中人数を把握する。なお、この実施形態では、オブジェクト認識部22及び入場情報処理部23は、カメラ10に近いエッジコンピュータ20に配置されているものとして説明するが、他の装置(例えば、WebAPサーバ30)に配置されていてもよい。
【0076】
図10は、エッジコンピュータ20-1のオブジェクト認識部22において、カメラ10-1の視野内に境界線BLが設定された状態について示した図である。
【0077】
図10に示す各位置は、カメラ10-1の視野となる2D画像の領域内における座標(2D画像の画素に対応する座標)であるものとする。以下では、2D画像内の水平方向の座標をx、水平方向の座標をyと表すものとする。
【0078】
図10では、境界線BLの両端の位置をそれぞれP101、P102としている。また、
図10に示すように、境界線BLには、指向性を示す方向線DLが付加(付記)されている。
【0079】
方向線DLは、境界線BLの中点から、境界線BLと垂直の方向のいずれか(指向性を示す方向)にL1離れた位置P103まで伸びる線である。この実施形態では、方向線DLは、指向性として境界線BLから見て施設の内側の方向を示しているものとする。なお、方向線DLは指向性として施設の外側の方向を示す構成としてもよい。
【0080】
つまり、
図10の例では、方向線DLは境界線BLから手前側に伸びているので、境界線BLから手前側が第1の施設の内側方向であることを示し、境界線BLから方向線DLと反対の方向(境界線BLから奥側)が第1の施設の外側方向であることを示している。以下では、境界線BLから見て方向線DLの方向を「内側方向」と呼び、逆の方向を「外側方向」と呼ぶものとする。
【0081】
従って、入場情報処理部23は、基本的には、境界線BLを外側から内側に通過する人間がいた場合に入場中人数をインクリメント(1加算)し、境界線BLを内側から外側に通過する人間がいた場合には退場があったものとして入場中人数をデクリメント(1減算)する処理をする。
【0082】
この実施形態では、カメラ10ごとに対応する境界線BL及び方向線DLを定義する情報(以下、「境界定義情報」と呼ぶ)がいずれかの装置で保持される。カメラ10ごとの境界定義情報を保持する装置は限定されないものであるが、この実施形態では、カメラ10ごとに接続するエッジコンピュータ20で保持(記録)されるものとする。例えば、カメラ10-1の境界定義情報は、エッジコンピュータ20-1に保持されることになる。さらに、エッジコンピュータ20において、接続するカメラ10の境界定義情報を保持する形式や方式については限定されないものであるが、この実施形態では、データ記録部24に記録されるものとする。
図2に示すように、この実施形態のエッジコンピュータ20では、接続するカメラ10のデータ記録部24に境界定義情報241が記録されている。
【0083】
境界定義情報241は、カメラ10の視野内(2D画像の座標系)で境界線BL及び方向線DLを定義することができれば具体的な形式については限定されないものである。この実施形態では、境界定義情報241としては、境界線BLの両端の位置P101、P102の座標、及び方向線DLで境界線BLと接しない方の座標P103(すなわちP101~P103の3つの位置の座標(x軸及びy軸の座標))を保持するものとして説明する。
【0084】
なお、カメラ10ごとの境界定義情報241の設定を受け付ける処理については後述する。
【0085】
次に、オブジェクト認識部22による人オブジェクト追跡処理の具体例について説明する。
【0086】
上述の通り、オブジェクト認識部22は、カメラ10で撮像された一連の画像(フレーム)から人オブジェクトを認識する処理(人オブジェクト認識処理)を行う。
【0087】
オブジェクト認識部22が行う人オブジェクト認識処理の具体的な方式については限定されないものである。オブジェクト認識部22が行う人オブジェクト認識処理は、例えば、既存の画像認識処理に関するオープンソースのライブラリを用いることにより実現することができる。具体的には、例えば、OpenCV(Open Source Computer Vision Library;以下の参考文献1参照)及び、TensorFlow(以下の参考文献2参照)を用いた人オブジェクト認識処理を行うようにしてもよい。
【0088】
参考文献1:OpenCV,[Online],INTERNET,[2021年10月24日検索],<URL:opencv.jp>。
【0089】
参考文献2:TensorFlow,[Online],INTERNET,[2021年10月24日検索],<URL: https://www.tensorflow.org/>。
【0090】
ここでは、オブジェクト認識部22は、OpenCVの機能により、各オブジェクトについて、撮像した画像から、各人オブジェクトの輪郭の領域を含む矩形(以下、「外接矩形」と呼ぶ)の領域を取得するものとする。
【0091】
また、ここでは、オブジェクト認識部22は、それぞれの人オブジェクトについて外接矩形内のいずれかの位置(点;座標)を、当該人オブジェクトの位置として認識して追跡するものとする。ここでは、オブジェクト認識部22は、それぞれの人オブジェクトについて、外接矩形の下端の位置(
図11では、外接矩形の下端の中心位置)を、当該人オブジェクトの位置として認識して追跡するものとする。仮に、カメラ10-1の視野の垂直方向(Y軸方向)が鉛直方向と略一致しているとすれば、人オブジェクトの外接矩形の下端の位置は当該人オブジェクトに対応する人の足元の位置周辺と一致することになる。実際に歩いている人の位置は足元の位置から把握する方が正確であるため、各人オブジェクトについて外接矩形の下端の位置を追跡する方が望ましいということになる。
【0092】
図11は、オブジェクト認識部22が、それぞれの人オブジェクトの位置を認識する例について示した説明図である。
【0093】
図11では、各人オブジェクトOB101~OB103に対する外接矩形SQ101~SQ103が図示されている。また、
図11では、各人オブジェクトOB101~OB103の位置として、外接矩形S Q101~SQ103の中心位置PH101~PH103を図示している。
【0094】
つまり、この場合、オブジェクト認識部22は、人オブジェクトOB101~OB103の位置をそれぞれPH101~PH103と認識して、それぞれの人オブジェクトOB101~OB103の追跡を行うものとして説明する。オブジェクト認識部22は、カメラ10-1の視野内の画像から新な人オブジェクトを検出した場合、当該人オブジェクトが認識できなくなるまで(例えば、カメラ10-1の視野からはずれるまで)その位置の追跡を継続(人オブジェクトの位置を始点から終点まで追跡)した上で、その追跡結果(時系列ごとの位置;軌跡を示すデータ)を、入場情報処理部23に供給する。つまり、オブジェクト認識部22は、カメラ10-1の視野内の画像から新な人オブジェクトを検出した場合、当該人オブジェクトが認識できなくなるまで、その位置の座標(移動の履歴)を時系列ごとに保持する。結果として、オブジェクト認識部22は、各人オブジェクトについて、検出してから(始点から)認識できなくなるまで(終点まで)の間に移動した位置の軌跡を保持することができる。この実施形態では、オブジェクト認識部22は、各人オブジェクトについて、検出してから認識できなくなるまでの間に検出した時系列ごとの位置の情報(以下、「移動履歴情報」と呼ぶ)を取得して入場情報処理部23に供給する。
【0095】
入場情報処理部23は、各人オブジェクトの移動履歴情報に基づいて、入場中人数のインクリメント又はデクリメント(加算又は減算)を行う。
【0096】
図12~
図14は、人オブジェクトOB101の移動履歴情報に基づく軌跡TR101の例について示した図である。
【0097】
図12~
図14では、軌跡TR101と共に境界線BL及び方向線DLも図示している。また、
図12~
図14では、軌跡TR101の始点(最も前の時系列の点)をPTR1とし終点(最も後の時系列の点)をPTR2としている。
【0098】
図12の例では、人オブジェクトOB101は境界線BLの外側から内側に移動していることになる。したがって、この場合、入場情報処理部23は、この軌跡TR101に基づいて、入場中人数をインクリメント(1加算)する処理を行うことになる。ここで、仮に、
図12の例において、軌跡TR101の始点をPTR2とし終点をPTR1とした場合(PTR1,2の時系列を逆にした場合)を想定する。この場合、人オブジェクトOB101は境界線BLの内側から外側に移動していることになる。したがって、この場合、入場情報処理部23は、この軌跡TR101に基づいて、入場中人数をデクリメント(1加算)する処理を行うことになる。
【0099】
図13の例では、軌跡TR101が3回(奇数回)境界線BLと交差している。また、
図14の例では、軌跡TR101が4回(偶数回)境界線BLと交差している。入場情報処理部23が、単に人オブジェクトが境界線BLを交差した回数だけで、入場中人数の加算又は減算を行うようにしてもよいが、その場合、一時的とはいえ実際に第1の施設に入場している人数と計数している人数(入場中人数)とにずれが生じるおそれがある。そのため、この実施形態では、入場情報処理部23は、上記の通り、オブジェクト認識部22から人オブジェクトの位置を始点から終点まで追跡した結果(時系列ごとの位置;軌跡)の供給を受けて入場中人数の調整を行うようにしてもよい。このとき、オブジェクト認識部22は、軌跡TR101のデータに基づいて、入場中人数のインクリメント(1加算)、デクリメント(1減算)、又は無視(インクリメントもデクリメントもしない)のいずれかを選択する。これにより、オブジェクト認識部22では、入場中人数を調整する精度を向上させることができる。
【0100】
なお、オブジェクト認識部22が、軌跡TR101のデータ(時系列ごとの位置)に基づいて、入場中人数を調整する処理の詳細については限定されないものである。例えば、オブジェクト認識部22は、軌跡TR101が境界線BLと偶数回交差している場合には、無視(インクリメントもデクリメントもしない)を選択し、軌跡TR101が境界線BLと奇数回交差している場合には、時系列が最後の交点(交点が1つだけの場合には最初で最後の交点)にのみ着目して入場中人数の調整を行うようにしてもよい。そうすると、
図12、
図13の例では、最後の交点は外側から内側へ交差しているので、オブジェクト認識部22は、軌跡TR101に基づいて入場中人数をインクリメント(1加算)する調整を行うことができる。一方、
図14の例では、軌跡TR101が境界線BLと偶数回交差しているため、オブジェクト認識部22は、無視を選択することができる。
【0101】
しかしながら上記のようにオブジェクト認識部22が調整を行った場合でも、境界線BLの位置によっては、人オブジェクトが境界線BLをまたがずに境界線BLの「内側から外側」又は「外側から内側」に移動可能となるため、正確に入場中人数を調整できないおそれがある。そのため、オブジェクト認識部22は、例えば、軌跡TR101の始点PTR1と終点PTR2のみに着目し、始点PTR1と終点PTRが境界線BL(延長線上も含む)に対して同じ側である場合には無視を選択し、始点PTR1と終点PTRが境界線BLに対して異なる側である場合にインクリメント又はデクリメントを選択するようにしてもよい。例えば、オブジェクト認識部22は、「始点PTR1が内側で終点PTR2が外側」である場合にはデクリメントを選択し、「始点PTR1が外側で終点PTR2が内側である場合」にはインクリメントを選択し、「始点PTR1も終点PTR2も内側、又は始点PTR1も終点PTR2も外側」である場合には無視を選択するようにしてもよい。
【0102】
以上のように、入場情報処理部23は、人オブジェクトの移動履歴情報に基づいて施設の入場中人数を調整することができる。そして、入場情報処理部23は、入場中人数を含む情報を入場情報としてWebAPサーバ30に送信する。
【0103】
次に、WebAPサーバ30及びDBサーバ40における入場情報の更新動作について説明する。
【0104】
WebAPサーバ30のサーバAP32は、各施設のエッジコンピュータ20から入場情報(入場中人数)を受信すると、その入場情報に基づいて、DBサーバ40(施設情報DB421)の情報(受信した施設に係る入場中人数)を更新する処理を行う。なお、上述の通り、入場情報処理部23が、WebAPサーバ30に入場情報を送信するタイミングは限定しないものである。
【0105】
以上のように、DBサーバ40(施設情報DB421)は、各施設のエッジコンピュータ20から受信した入場情報(入場中人数)により、常に最新の状態(最新の各施設の入場情報を保持した状態)に保たれることになる。
【0106】
次に、WebAPサーバ30及びDBサーバ40における入場情報の提供動作について説明する。
【0107】
上述の通り、WebAPサーバ30は、クライアント端末50の要求に応じて、DBサーバ40で保持された入場情報を含むコンテンツを提供する。WebAPサーバ30からクライアント端末50に提供されたコンテンツ(Web画面のデータ)は、クライアント端末50のタッチパネルディスプレイ51に表示されることになる。
【0108】
例えば、WebAPサーバ30(Webサービス部31)が、クライアント端末50から、第1の施設(施設ID:1、施設名:AAA)のURL(URL1)でアクセスを受け付けた場合、第1の施設の入場情報を提示するWeb画面(以下、「入場情報表示画面」と呼ぶ)のコンテンツ(Web画面のデータ)を生成して、クライアント端末50に提供する。
【0109】
図15は、入場情報表示画面の構成例について示した説明図である。
【0110】
図15に示す入場情報表示画面では、入場中人数(現在の人数)を表示するためのフィールドF101と、第1の施設における入場中人数に応じた混雑度合を表示するフィールドF102と、施設名を表示するためのフィールドF103が配置されている。
【0111】
この実施形態では、フィールドF102には、混雑度に対応する説明が表示されるものとする。ここでは、混雑度1~4には、ぞれぞれ「空いている」、「普通」、「やや混雑」、「混雑」の説明が対応するものとする。
【0112】
サーバAP32は、施設情報DB421を参照して、第1の施設(施設ID:1)の入場中人数及び混雑定義情報(混雑度ごとの入場中人数の範囲)を取得し、現在の第1の施設における混雑度を認識する。ここで、施設情報DB421の内容は
図4の内容であったものとする。
【0113】
図4に示す施設情報DB421では、入場中人数が15、混雑度1に対応する範囲が0~7、混雑度2に対応する範囲が8~11、混雑度3に対応する範囲が12~16、混雑度4に対応する範囲が17~25となっている。そうすると、サーバAP32は、施設情報DB421から、入場中人数として15を取得し、混雑定義情報から15に対応する混雑度として混雑度4を取得する。したがって、この場合、サーバAP32は、
図15に示すように、F101に15人、フィールドF102に混雑度4に対応する説明として「やや混雑」、フィールドF103にAAAをそれぞれ表示することになる。
【0114】
なお、入場情報表示画面の構成は、
図15の構成に限定されるものではない。例えば、入場情報表示画面には、フィールドF101の入場中人数だけを表示するようにしてもよいし、フィールドF102の説明だけを表示するようにしてもよい。
【0115】
次に、エッジコンピュータ20において、境界定義情報241の入力を受け付ける処理の例について説明する。
【0116】
この実施形態では、エッジコンピュータ20が、接続するカメラ10の境界定義情報241の入力を受け付ける処理(以下、「境界定義情報入力受付処理」と呼ぶ)を行うものとして説明するが、境界定義情報入力受付処理の主体についてはエッジコンピュータ20に限定されないものである。例えば、WebAPサーバ30(サーバアプリ32)が、カメラ10ごとに対応する境界定義情報入力受付処理を行って、入力された境界定義情報を対応するエッジコンピュータ20に供給して登録させるようにしてもよい。
【0117】
図16は、境界定義情報入力受付処理の概要について示した図である。
【0118】
ここでは、境界定義情報入力受付処理は、エッジコンピュータ20のオブジェクト認識部22が主体となり、管理者用端末60の要求に応じて行うものとする。
【0119】
ここでは、第1の施設の施設管理者が管理者用端末60―1(ウェブブラウザ62)を用いて、エッジコンピュータ20-1にアクセス(例えば、IPアドレスやホスト名等を指定して、HTTPでアクセス)したものとする。このとき、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、管理者用端末60―1(ウェブブラウザ62)に対して境界定義情報の入力を受け付けるためのコンテンツとしてGUI操作画面(以下、「境界情報入力受付処理画面」と呼ぶ)を提示する。
【0120】
図16は、境界情報入力受付処理画面の構成例について示した図である。
【0121】
図16に示すように、境界情報入力受付処理画面では、接続するカメラ10-1が現在撮像している2D画像(ライブ映像)を表示するとともに、表示した2D画像上で境界定義情報(境界線BL及び方向線DL)の入力(位置入力)を受け付けることが可能なフィールドF201と、境界定義情報入力にあたってのガイドメッセージを表示するためのフィールドF202が配置されている。
【0122】
この実施形態において、境界情報入力受付処理画面では、フィールドF202上で、境界線BL及び方向線DLを特定するために3点の位置入力(ポインティングデバイスによるタッチ・クリック等の位置入力)を受け付けるものとする。この実施形態では、管理者用端末60は入力デバイス(ポインティングデバイス)としてタッチパネルディスプレイ61が搭載されているため、フィールドF202に対する位置入力としてタッチパネルディスプレイ61によるタッチ操作が行われることになる。管理者用端末60にポインティングデバイスとして、マウスやタッチパッド等が搭載されている場合は、フィールドF201には、カーソルを用いたクリック操作となる。
【0123】
図17は、環境情報入力受付画面(フィールドF201)上で、境界線BL及び方向線DLの入力を受け付ける処理の例について示した図である。
【0124】
上記の通り、環境情報入力受付画面では、3点の位置入力で境界線BL及び方向線DLを設定する情報を受け付けることができる。
図17では、1点目の入力位置をPI101、2点目の入力位置をPI102としている。そして、
図17では、3点目の入力位置として2つのパターンの位置PI103-1、PI103-2が図示されている。
【0125】
図17に示す通り、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、1点目、2点目の入力位置PI101、PI102を、そのまま境界線BLの両端の位置P101、P102として取得する。そして、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、3点目の入力位置に応じて方向線DLの一端の位置P103を決定して取得する。
【0126】
図17に示すように、この場合フィールドF201は、境界線BL及びその延長線により、第1の側と、第2の側に分かれる。
図17の例では、境界線BLの上側の領域を第1の側とし、下側の領域を第2の側としている。
【0127】
図17に示す通り、2点目まで入力され、境界線BLの両端の位置P101、P102が決定された段階で、方向線DLの一端の位置P103の位置の候補が決定する。
図17では、第1の側の領域における位置P103の候補の位置をP103-1とし、第2の側の領域における位置P103の候補の位置をP103-2としている。
図17では、P103―1の位置は、境界線BLの中点から、第1の側(境界線BLと垂直の方向)にL1(L1は任意の距離)離れた位置となっている。また、
図17では、P103―2の位置は、境界線BLの中点から、第2の側(境界線BLと垂直の方向)にL1離れた位置となっている。また、
図17では、位置P103-1により形成される方向線(第1の側に形成される方向線)をDL-1と図示し、位置P103-2により形成される方向線(第2の側に形成される方向線)をDL-2と図示している。そして、
図17では、位置PI103-1は第1の側に存在し、位置PI103-2は第2の側に存在している。言い換えると、方向線DL-1は境界線BLに対する第1の側の垂直二等分線であり、方向線DL-2は境界線BLに対する第2の側の垂直二等分線である。
【0128】
つまり、
図17では、3点目の位置が第1の側(例えば、位置PI103-1)である場合には方向線DLが第1の側に形成される(位置P103として
図17に示す位置P103-1が選択される)ことを示し、3点目の位置が第2の側(例えば、位置PI103-2)である場合には方向線DLが第2の側に形成される(位置P103として
図17に示す位置P103-2が選択される)ことを示している。なお、ここでは、位置P103を上記のような境界線BLの垂直二等分線上に配置しているが、位置入力された位置(例えば、
図17における位置PI103-1やPI103-2)をそのままP103として設定するようにしてもよい。
【0129】
以上のように、オブジェクト認識部22は、境界線BLと3点目として入力された位置との位置関係に応じて、境界線BLの指向性を示す方向線DL(すなわち位置P103)を決定して取得する。
【0130】
図18は、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)による境界定義情報入力受付処理の例について示したフローチャートである。
【0131】
図19~
図22は、境界情報入力受付処理画面の遷移について示した図である。
【0132】
まず、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)が、管理者用端末60―1(ウェブブラウザ62)から接続を受付け、管理者用端末60―1にWebページとして境界情報入力受付処理画面を提示したものとする(S101)。このとき、境界情報入力受付処理画面の内容は
図16の状態であったものとする。
【0133】
次に、管理者用端末60―1で、施設管理者により境界情報入力受付処理画面に第1の位置入力が行われたものとする(S102)。このとき、境界情報入力受付処理画面の内容は
図19の状態であったものとする。
図19では、1点目として位置入力された位置をPI101と図示している。
【0134】
次に、管理者用端末60―1で、施設管理者により境界情報入力受付処理画面に第2の位置入力が行われたものとする(S103)。このとき、境界情報入力受付処理画面の内容は
図20の状態であったものとする。
図20では、2点目として位置入力された位置をPI102と図示している。この時点で、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、位置PI101、PI102を境界線BLの両端の位置P101、P102として取得する。そして、
図20に示すように、この時点で、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、境界情報入力受付処理画面(フィールドF201)に、境界線BLのグラフィックを追加表示するようにしてもよい。
図20では、境界線BLの画像を点線(破線)で図示している。
【0135】
次に、管理者用端末60―1で、施設管理者により境界情報入力受付処理画面に第3の位置入力が行われたものとする(S104)。
図21では、3点目として位置入力された位置をPI103と図示している。
図21では、PI103は、境界線BLの下側の領域に位置している。
【0136】
そうすると、この場合、第3の位置として入力された位置PI103は、境界線BLの下側の領域に位置しているため、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、
図22に示すように、方向線DLを定義するP103を、境界線BLの下側の領域に配置すると判断することになる。この時点で、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、境界情報入力受付処理画面(フィールドF201)に、方向線DLのグラフィックを追加表示するものとする。
図21では、方向線DLの画像を一点鎖線で図示している。
【0137】
以上の処理により、境界定義情報を構成する3つの位置P101~P103が決定するので、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、決定した境界定義情報(P101~P103の座標)を取得して(S105)、データ記録部24に記録(境界定義情報241として記録)する(S106)。
【0138】
この実施形態では、以上のように、エッジコンピュータ20-1(オブジェクト認識部22)は、境界情報入力受付処理を行う。
【0139】
(A-3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0140】
この実施形態の情報処理システム1では、各施設にカメラ10及びエッジコンピュータ20を設置し、管理者用端末60で境界情報等を設定するのみで、容易に入場情報(入場中人数等を含む情報)等をリアルタイムに把握してインターネット上でエンドユーザ(入場情報の被提供者)に提示(例えば、クライアント端末50に提示)する環境を整備することが可能となる。
【0141】
また、この実施形態の情報処理システム1では、境界情報入力受付処理画面により簡易な操作(例えば、3点程度の位置入力処理のみ)で、境界情報(境界線BL及び方向線DL)の設定を受け付けることができる。
【0142】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0143】
(B-1)上記の実施形態において、各エッジコンピュータ20が行う処理をサーバ側(WebAPサーバ30、又はWebAPサーバ30に付随するサーバ)で処理するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0144】
10、10-1~10-N…カメラ、20、20-1~20-N…エッジコンピュータ、21…映像取得部、22…オブジェクト認識部、23…入場情報処理部、24…データ記録部、241…境界定義情報、30…WebAPサーバ、31…Webサービス部、32…サーバアプリ、33…データ記録部、40…DBサーバ、41…DB処理部、42…データ記録部、DB421…施設情報、50…クライアント端末、51…タッチパネルディスプレイ、52…ウェブブラウザ、60、60-1~60-N…管理者用端末、61…タッチパネルディスプレイ、62…ウェブブラウザ、AP32…サーバ。