(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066258
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】粉体用コンテナと蓋脱着装置との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
B65D 88/26 20060101AFI20230508BHJP
B65D 90/10 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B65D88/26 Z
B65D90/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176883
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】591147786
【氏名又は名称】赤武エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 忍
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA15
3E170AB11
3E170DA01
3E170DA07
3E170GA02
3E170GA09
3E170PA09
3E170RA02
3E170RA13
3E170RA20
3E170VA16
3E170VA20
3E170WD10
(57)【要約】
【課題】粉体用コンテナの蓋と蓋脱着装置との位置関係を精密に調整しなくても、粉体用コンテナの蓋を自動的に脱着することができる粉体用コンテナと蓋脱着装置との組み合わせを提供する。
【解決手段】粉体用コンテナ2は、投入口4が形成されたコンテナ本体6と、蓋8をコンテナ本体6に解除自在に固定する固定手段10とを備える。蓋脱着装置32は、蓋8を把持する把持手段34と、固定手段10による蓋8の固定を解除する解除手段36と、把持手段34を昇降させる昇降手段38と、蓋8に対する把持手段34の位置ずれを吸収する位置ずれ吸収手段40とを備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口を閉塞する蓋を備えた粉体用コンテナと、前記蓋を脱着する蓋脱着装置との組み合わせであって、
前記粉体用コンテナは、前記投入口が形成されたコンテナ本体と、前記蓋を前記コンテナ本体に解除自在に固定する固定手段とを備え、
前記蓋脱着装置は、前記蓋を把持する把持手段と、前記固定手段による前記蓋の固定を解除する解除手段と、前記把持手段を昇降させる昇降手段と、前記蓋に対する前記把持手段の位置ずれを吸収する位置ずれ吸収手段とを備える、
粉体用コンテナと蓋脱着装置との組み合わせ。
【請求項2】
前記位置ずれ吸収手段は、鼓形状のゴム製部材を含む、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記位置ずれ吸収手段は、円筒状のゴム製部材を含む、請求項1または2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
前記固定手段は、前記投入口の周囲に配置された複数のスプリングラッチを含み、
前記複数のスプリングラッチのそれぞれは、前記蓋を押し付ける押し付け位置と前記蓋の押し付けを解除する解除位置との間で水平軸回りに揺動自在なラッチプレートと、前記ラッチプレートを前記押し付け位置に位置づけるスプリングと、を有する請求項1から3までのいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項5】
前記解除手段は、前記ラッチプレートの端部を下降させて前記ラッチプレートを前記解除位置に揺動させる解除片と、前記解除片を昇降させる解除片用アクチュエータとを含む、請求項4に記載の組み合わせ。
【請求項6】
前記解除片は環状であって、前記粉体用コンテナと前記蓋脱着装置との上下方向周りの相対角度によらず、前記複数のスプリングラッチのそれぞれの前記ラッチプレートを同時に前記解除位置に揺動させる、請求項5に記載の組み合わせ。
【請求項7】
前記蓋は、前記投入口を覆う板状部と、前記板状部の上面から上方に延びる支柱と、前記支柱の上端に付設された被把持片とを含み、
前記把持手段は、前記被把持片を把持可能な把持位置と前記被把持片を解放する解放位置との間で移動自在な一対の把持片と、前記把持位置と前記解放位置との間で前記一対の把持片を移動させる把持片用アクチュエータと、を含む請求項1から6までのいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項8】
前記蓋の前記支柱は円柱状であり、前記被把持片は円形状であり、前記被把持片の直径は前記支柱の直径よりも大きく、
前記一対の把持片のそれぞれの対向面には、前記支柱に対応する円弧状の切り欠きと、前記被把持片に対応する円弧状の凹所とが設けられており、
前記粉体用コンテナと前記蓋脱着装置との上下方向周りの相対角度によらず、前記被把持片が前記一対の把持片によって把持される、請求項7に記載の組み合わせ。
【請求項9】
前記蓋は、前記投入口に対して前記蓋を所定位置に位置づけるガイド手段を含む、請求項1から8までのいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項10】
前記蓋脱着装置は、前記蓋を押さえるプランジャを備える、請求項1から9までのいずれかに記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入口を閉塞する蓋を備えた粉体用コンテナと、蓋を脱着する蓋脱着装置との組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品等の粉体を収容して移送するための粉体用コンテナは、上部に投入口が設けられると共に下部に排出口が設けられたコンテナ本体と、投入口を閉塞する蓋と、排出口に装着されたバルブとを備える。
【0003】
粉体用コンテナ内に投入口から粉体を投入する際や、粉体用コンテナの内部を洗浄する際には、投入口から蓋を取り外す必要があり、このような場合には、粉体用コンテナの蓋を自動的に脱着する蓋脱着装置が使用されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粉体用コンテナの蓋を自動的に脱着する際は、粉体用コンテナの蓋と蓋脱着装置との位置関係を精密に調整する必要がある。しかし、粉体用コンテナは、通常、コンテナ運搬用のローラコンベアや、フォークリフト等を用いて搬送されており、粉体用コンテナの蓋と蓋脱着装置との位置関係を精密に調整するのは容易ではない。
【0006】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、粉体用コンテナの蓋と蓋脱着装置との位置関係を精密に調整しなくても、粉体用コンテナの蓋を自動的に脱着することができる粉体用コンテナと蓋脱着装置との組み合わせを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記課題を解決する以下の粉体用コンテナと蓋脱着装置との組み合わせが提供される。すなわち、
「投入口を閉塞する蓋を備えた粉体用コンテナと、前記蓋を脱着する蓋脱着装置との組み合わせであって、
前記粉体用コンテナは、前記投入口が形成されたコンテナ本体と、前記蓋を前記コンテナ本体に解除自在に固定する固定手段とを備え、
前記蓋脱着装置は、前記蓋を把持する把持手段と、前記固定手段による前記蓋の固定を解除する解除手段と、前記把持手段を昇降させる昇降手段と、前記蓋に対する前記把持手段の位置ずれを吸収する位置ずれ吸収手段とを備える、
粉体用コンテナと蓋脱着装置との組み合わせ」が提供される。
【0008】
好ましくは、前記位置ずれ吸収手段は、鼓形状のゴム製部材を含む。前記位置ずれ吸収手段は、円筒状のゴム製部材を含んでいてもよい。
【0009】
前記固定手段は、前記投入口の周囲に配置された複数のスプリングラッチを含み、前記複数のスプリングラッチのそれぞれは、前記蓋を押し付ける押し付け位置と前記蓋の押し付けを解除する解除位置との間で水平軸回りに揺動自在なラッチプレートと、前記ラッチプレートを前記押し付け位置に位置づけるスプリングと、を有するのが好適である。
【0010】
前記解除手段は、前記ラッチプレートの端部を下降させて前記ラッチプレートを前記解除位置に揺動させる解除片と、前記解除片を昇降させる解除片用アクチュエータとを含むのが望ましい。前記解除片は環状であって、前記粉体用コンテナと前記蓋脱着装置との上下方向周りの相対角度によらず、前記複数のスプリングラッチのそれぞれの前記ラッチプレートを同時に前記解除位置に揺動させるのが好都合である。
【0011】
前記蓋は、前記投入口を覆う板状部と、前記板状部の上面から上方に延びる支柱と、前記支柱の上端に付設された被把持片とを含み、前記把持手段は、前記被把持片を把持可能な把持位置と前記被把持片を解放する解放位置との間で移動自在な一対の把持片と、前記把持位置と前記解放位置との間で前記一対の把持片を移動させる把持片用アクチュエータと、を含むのが好ましい。
【0012】
前記蓋の前記支柱は円柱状であり、前記被把持片は円形状であり、前記被把持片の直径は前記支柱の直径よりも大きく、前記一対の把持片のそれぞれの対向面には、前記支柱に対応する円弧状の切り欠きと、前記被把持片に対応する円弧状の凹所とが設けられており、前記粉体用コンテナと前記蓋脱着装置との上下方向周りの相対角度によらず、前記被把持片が前記一対の把持片によって把持されるのが好適である。前記蓋は、前記投入口に対して前記蓋を所定位置に位置づけるガイド手段を含むのが望ましい。前記蓋脱着装置は、前記蓋を押さえるプランジャを備えるのが好都合である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の組み合わせによれば、把持手段で蓋を把持する際に、蓋に対する把持手段の位置ずれを位置ずれ吸収手段によって吸収するので、粉体用コンテナの蓋と蓋脱着装置との位置関係を精密に調整しなくても、粉体用コンテナの蓋を自動的に脱着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に従って構成された粉体用コンテナの正面図。
【
図3】(a)
図1に示す蓋が投入口に装着された状態を示す平面図、(b)(a)に示す状態の正面図。
【
図4】(a)蓋脱着装置の正面図、(b)(a)におけるA-A線の拡大断面図、(c)(b)におけるB-B線断面図。
【
図8】
図7に示す第1の位置ずれ吸収部材の正面図。
【
図9】
図7に示す第2の位置ずれ吸収部材の断面図。
【
図10】
図4に示す蓋脱着装置の下方に向けて、
図1に示す粉体用コンテナを移動させている状態を示す正面図。
【
図11】
図4に示す蓋脱着装置の下方に、
図1に示す粉体用コンテナを位置づけた状態を示す正面図。
【
図12】
図11に示す状態から蓋脱着装置の把持手段を下降させた状態を示す正面図。
【
図13】(a)
図12に示す状態の側面図、(b)(a)におけるA部拡大図。
【
図14】(a)
図12に示す状態から一対の把持片を互いに接近させ、一対の把持片によって被把持片を把持した状態を示す正面図、(b)(a)における把持片の拡大図、(c)(b)におけるA-A線断面図。
【
図15】
図14に示す状態から解除片を下降させ、固定手段による蓋の固定を解除した状態を示す正面図。
【
図16】
図15に示す状態から把持手段を上昇させ、蓋を投入口から取り外した状態を示す正面図。
【
図17】
図16に示す状態から解除片を上昇させた状態を示す正面図。
【
図18】蓋脱着装置の下方から粉体用コンテナを移動させている状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に従って構成された粉体用コンテナと蓋脱着装置との組み合わせの好適実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
(粉体用コンテナ2)
まず、
図1ないし
図3を参照して、粉体用コンテナ2について説明する。
図1に示すとおり、粉体用コンテナ2は、投入口4が形成されたコンテナ本体6と、投入口4を閉塞する蓋8と、蓋8をコンテナ本体6に解除自在に固定する固定手段10とを備える。
【0017】
(コンテナ本体6)
コンテナ本体6は、鋼材等の金属材料または合成樹脂材料から形成され得る。コンテナ本体6の上部には投入口4が形成され、コンテナ本体6の下部には排出口12が形成されている。図示の実施形態では、投入口4および排出口12は円形であるが、いずれも角形であってもよい。排出口12には、排出口12を開閉するバルブ14(たとえば、バタフライバルブ)が装着されている。また、コンテナ本体6の外面には、コンテナ本体6を支持する支持枠16が付設されている。
【0018】
(蓋8)
図2および
図3を参照して説明すると、蓋8は、投入口4を覆う円形の板状部18と、板状部18の上面から上方に延びる円柱状の支柱20と、支柱20の上端に付設された円形状の被把持片22とを含む。
図2および
図3(b)に示すとおり、被把持片22の直径は、支柱20の直径よりも大きい。
【0019】
図示の実施形態では、板状部18は合成樹脂製であり、支柱20および被把持片22は金属製であるが、これに限定されるものではなく、たとえば、蓋8全体が同一の材料(合成樹脂または金属)から形成されていてもよい。
【0020】
(ガイド手段)
蓋8は、投入口4に対して蓋8を所定位置に位置づけるガイド手段を含んでいる。図示の実施形態のガイド手段は、板状部18の下面に付設された複数個(たとえば3~5個程度)のガイド片24から構成されているが、単一の環状ガイド片であってもよい。ガイド片24の材質は、板状部18の材質と同一(たとえば、合成樹脂)でよい。
【0021】
各ガイド片24は、板状部18の周方向に間隔をおいて配置されており、板状部18の周縁よりも若干内側に位置づけられている。
図2を参照することによって理解されるとおり、ガイド片24の外周面24a(板状部18の周縁側の面)は、上端から下端に向かって、板状部18の径方向内側に傾斜している。また、板状部18の下面にはOリング26が装着されており、Oリング26はガイド片24よりも径方向外側に位置している。
【0022】
投入口4の上方に蓋8が位置づけられた際、投入口4の中心と、蓋8の板状部18の中心とが整合していなかった場合に、投入口4に向かって蓋8が下ろされると、ガイド片24の外周面24aが投入口4の周縁に接触する。そして、蓋8が下降するにしたがい、ガイド片24によって蓋8が水平方向に移動し、投入口4に対して蓋8が所定位置に位置する。すなわち、投入口4の中心と、蓋8の板状部18の中心とが整合する。したがって、投入口4の上方に蓋8が位置づけられた際、投入口4の中心と、蓋8の板状部18の中心とが整合していなくても、蓋8が投入口4に置かれると、複数のガイド片24によって蓋8が所定位置に調整される。
【0023】
(固定手段10)
図3に示すとおり、固定手段10は、投入口4の周囲に配置された複数のスプリングラッチ28を含む。図示の実施形態では、投入口4の周方向に等間隔をおいて8個のスプリングラッチ28が配置されている。各スプリングラッチ28は、ラッチプレート30と、スプリング(図示していない。)とを有する。
【0024】
ラッチプレート30は、鋼材等の金属材料から形成され得るが、合成樹脂製であってもよい。ラッチプレート30は、蓋8の板状部18の周縁を下方に押し付ける押し付け位置(
図3(b)に実線で示す位置)と、蓋8の押し付けを解除する解除位置(
図3(b)に二点鎖線で示す位置)との間で水平軸回りに揺動自在となっている。図示していないが、スプリングラッチ28のスプリングは、ラッチプレート30を押し付け位置に位置づけるようになっている。
【0025】
そして、各スプリングラッチ28においては、スプリングによってラッチプレート30を押し付け位置に位置づけることによって、投入口4に置かれた蓋8の板状部18の周縁を下方に押し付けて、蓋8を投入口4に固定する。蓋8が投入口4に固定されると、投入口4の環状フランジ4aと板状部18とでOリング26が挟み込まれ、投入口4が蓋8によって密閉される。
【0026】
他方、押し付け位置に位置しているラッチプレート30の端部(径方向外側端部)が、スプリングの力に抗して下方に向かって押されると、ラッチプレート30が解除位置に位置づけられる。これによって、蓋8の固定が解除される。
【0027】
(蓋脱着装置32)
次に、
図4ないし
図9を参照して蓋脱着装置32について説明する。
図4および
図5に示すとおり、蓋脱着装置32は、蓋8を把持する把持手段34と、固定手段10による蓋8の固定を解除する解除手段36と、把持手段34を昇降させる昇降手段38と、蓋8に対する把持手段34の位置ずれを吸収する位置ずれ吸収手段40と、蓋8を押さえるプランジャ42(
図5参照)とを備える。
【0028】
(把持手段34)
把持手段34は、一対の把持片44と、一対の把持片44を移動させる把持片用アクチュエータ46とを含む。
【0029】
(把持手段34の把持片44)
一対の把持片44は、被把持片22を把持可能な把持位置(
図4(a)に二点鎖線で示す位置)と、被把持片22を解放する解放位置(
図4(a)に実線で示す位置)との間で実質上水平に移動自在である。
【0030】
図4(b)および
図4(c)に示すとおり、一対の把持片44のそれぞれの対向面には、蓋8の支柱20に対応する円弧状の切り欠き44aと、被把持片22に対応する円弧状の凹所44bとが設けられている。切り欠き44aの直径は、支柱20の直径とほぼ同一であり、凹所44bの直径は、被把持片22の直径とほぼ同一である。一対の把持片44が把持位置に位置づけられると、各把持片44の凹所44bによって規定された収容空間に被把持片22が収容される(
図14(b)参照)。なお、一対の把持片44は、合成樹脂製でもよく、あるいは金属製であってもよい。
【0031】
(把持手段34の把持片用アクチュエータ46)
把持片用アクチュエータ46は、たとえば、エア駆動式のアクチュエータ(エアチャック)から構成され得る。把持片用アクチュエータ46は、一対の把持片44を互いに接近させて把持位置に位置づけると共に、一対の把持片44を互いに遠ざけて解放位置に位置づけるようになっている。
【0032】
(解除手段36)
解除手段36は、ラッチプレート30の端部を下降させてラッチプレート30を解除位置に揺動させる解除片48と、解除片48を昇降させる解除片用アクチュエータ50とを含む。
【0033】
(解除手段36の解除片48)
図6に示すとおり、図示の実施形態の解除片48は環状であり、複数のラッチプレート30のすべてを同時に押し付け可能なサイズに形成されている。このため、解除手段36においては、解除片48を下降させて、すべてのスプリングラッチ28のラッチプレート30を同時に解除位置に揺動させることができる。解除片48は、合成樹脂製でも金属製でもよい。
【0034】
(解除手段36の解除片用アクチュエータ50)
解除片用アクチュエータ50は、エアシリンダや電動シリンダ等から構成され得る。図示の実施形態の解除片用アクチュエータ50は、周方向に等間隔をおいて、解除片48に連結された4個のエアシリンダから構成されている。
【0035】
解除片用アクチュエータ50と解除片48との間には、防振ゴム等のゴム製部材52が配置されている。すなわち、解除片48は、ゴム製部材52を介して解除片用アクチュエータ50にフローティング支持されている。また、各解除片用アクチュエータ50には、第1のブラケット54が固定されている。そして、各解除片用アクチュエータ50は、第1のブラケット54を介して、蓋脱着装置32を支持する支持構造物56に支持されている。
【0036】
(昇降手段38)
昇降手段38は、エアシリンダまたは電動シリンダ等から構成され得る。昇降手段38は、把持手段34の把持片用アクチュエータ46に接続されている。また、昇降手段38には、第2のブラケット58が固定されている。そして、昇降手段38は、第2のブラケット58を介して支持構造物56に支持されている。
【0037】
(位置ずれ吸収手段40)
図4および
図5に示すとおり、図示の実施形態の位置ずれ吸収手段40は、複数個(たとえば4~6個)の第1の位置ずれ吸収部材40aと、複数個(たとえば4~6個)の第2の位置ずれ吸収部材40bとを含む。
【0038】
(第1の位置ずれ吸収部材40a)
図7および
図8を参照して説明すると、第1の位置ずれ吸収部材40aは、解除手段36の第1のブラケット54と、昇降手段38の第2のブラケット58との間に配置されている。第1の位置ずれ吸収部材40aは、ゴム製部材60と、ゴム製部材60の上面および下面に付設された金属製の円形板62と、円形板62の表面から突出する金属製の雄ねじ部64とを有する。
【0039】
(鼓形状のゴム製部材60)
図8に示すとおり、ゴム製部材60は鼓形状である。具体的には、ゴム製部材60は、円形の上面および下面を有しており、上端から中間部に向かって直径が次第に小さくなると共に、中間部から下端に向かって直径が次第に大きくなっている。そして、第1の位置ずれ吸収部材40aは、
図7に示すとおり、各雄ねじ部64にナット66が締結され、第1・第2のブラケット54、58に固定されている。
【0040】
(第2の位置ずれ吸収部材40b)
図7に示すとおり、第2の位置ずれ吸収部材40bは、解除手段36の第1のブラケット54と、支持構造物56に固定された第3のブラケット68との間に配置されている。
図9を参照して説明すると、第2の位置ずれ吸収部材40bは、上下方向に間隔をおいて配置された一対の円筒状のゴム製部材70、72と、一対のゴム製部材70、72を連結する金属製の連結片74とを含む。
【0041】
(円筒状のゴム製部材70)
上側のゴム製部材70の穴70aは上下方向に延びており、穴70aの直径は、上端から下端に向かって次第に小さくなっている。上側のゴム製部材70の上端側には連結片74が固定され、上側のゴム製部材70の下面には、金属製の環状板76が装着されている。
【0042】
(円筒状のゴム製部材72)
下側のゴム製部材72の穴72aも上下方向に延びているが、上側のゴム製部材70の穴70aとは反対に、穴72aの直径は、下端から上端に向かって次第に小さくなっている。また、下側のゴム製部材72の下端側には連結片74が固定され、下側のゴム製部材72の上面には、金属製の環状板76が装着されている。
【0043】
第2の位置ずれ吸収部材40bは、
図7に示すとおり、ボルト78およびナット80、82を用いて、第1・第3のブラケット54、68に固定されている。
【0044】
このように、図示の実施形態では
図4に示すとおり、把持手段34および昇降手段38と、支持構造物56との間には、第1・第2の位置ずれ吸収部材40a、40bが設置されている。言い換えると、把持手段34および昇降手段38は、第1・第2の位置ずれ吸収部材40a、40bを介して支持構造物56にフローティング支持されている。
【0045】
また、解除手段36と支持構造物56との間には、第2の位置ずれ吸収部材40bが設置されている。つまり、解除手段36は、第2の位置ずれ吸収部材40bを介して支持構造物56にフローティング支持されている。
【0046】
(プランジャ42)
プランジャ42としては、たとえば、先端にローラが付設された公知の金属製ローラプランジャが用いられ得る。図示の実施形態では
図5に示すとおり、プランジャ42は一対設けられている。一対のプランジャ42は、把持手段34の把持片用アクチュエータ46に固定された第4のブラケット84に支持されている。
【0047】
次に、蓋脱着装置32を用いて、粉体用コンテナ2の蓋8を取り外す工程について、
図10ないし
図18を参照しつつ説明する。
【0048】
粉体用コンテナ2から蓋8を取り外す際は、まず、
図10および
図11に示すとおり、ローラコンベアやフォークリフト等の適宜の搬送手段によって、粉体用コンテナ2を移動させ、蓋脱着装置32の下方に粉体用コンテナ2を位置づける。この際は、把持手段34の一対の把持片44を解放位置に位置づけておく。
【0049】
あるいは、蓋脱着装置32が支持構造物56に移動自在に支持されている場合には、蓋脱着装置32を移動させ、粉体用コンテナ2の上方に蓋脱着装置32を位置づけてもよい。また、粉体用コンテナ2および蓋脱着装置32の双方を移動させて、粉体用コンテナ2および蓋脱着装置32の位置関係を
図11に示すように調整してもよい。
【0050】
蓋脱着装置32の下方に粉体用コンテナ2を位置づけたら、
図12に示すとおり、昇降手段38によって把持手段34を下降させ、蓋8の被把持片22を把持可能な位置に一対の把持片44を位置づける。このとき、
図13(a)および
図13(b)に示すとおり、蓋8の板状部18の上面にプランジャ42の先端が接触し、プランジャ42によって板状部18の上面を押さえる格好となる。
【0051】
次いで、
図14に示すとおり、把持片用アクチュエータ46によって一対の把持片44を互いに接近させて把持位置に位置づける。この際、一対の把持片44の中心(たとえば、一対の円弧状の凹所44bによって規定される円の中心)と、蓋8の被把持片22の中心とが整合している場合は、当然ながら、被把持片22が一対の把持片44によって把持される。
【0052】
また、一対の把持片44の中心と、被把持片22の中心とが整合していなかった場合でも、図示の実施形態の蓋脱着装置32は位置ずれ吸収手段40を備えているので、被把持片22が一対の把持片44によって把持される。
【0053】
すなわち、把持片44の移動中に、第1の位置ずれ吸収部材40aの鼓形状のゴム製部材60と、第2の位置ずれ吸収部材40bの円筒状のゴム製部材70、72とが弾性変形することによって、把持片44と被把持片22との位置ずれを吸収する。このため、一対の把持片44の中心と被把持片22の中心とが整合し、被把持片22が一対の把持片44によって把持される。
【0054】
また、把持片44と被把持片22とのいずれか一方が他方に対して傾いている場合(たとえば、把持片44と被把持片22とのいずれか一方が水平であるのに対して、把持片44と被把持片22とのいずれか他方が水平面から傾いている場合)であっても、ゴム製部材60、70、72が弾性変形することによって、把持片44と被把持片22との相対的な傾きが解消され、被把持片22が一対の把持片44によって把持される。
【0055】
なお、第1・第2の位置ずれ吸収部材40a、40bのいずれか一方が設けられていれば、把持片44と被把持片22との位置ずれが吸収され得る。ただし、図示の実施形態のように、第1・第2の位置ずれ吸収部材40a、40bの双方が設けられている方が、吸収可能な位置ずれが大きくなるので好ましい。
【0056】
また、図示の実施形態では、
図14(b)および
図14(c)に示すとおり、蓋8の支柱20が円柱状、被把持片22が円形状であると共に、一対の把持片44の対向面には、支柱20に対応する円弧状の切り欠き44aと、被把持片22に対応する円弧状の凹所44bとが設けられている。このため、図示の実施形態においては、粉体用コンテナ2と蓋脱着装置32との上下方向周りの相対角度によらず、被把持片22が一対の把持片44によって把持される。
【0057】
一対の把持片44によって被把持片22を把持した後、
図15に示すとおり、解除片用アクチュエータ50によって解除片48を下降させ、スプリングラッチ28のラッチプレート30を解除位置に揺動させる。これによって、蓋8の固定が解除される。
【0058】
上述のとおり、図示の実施形態の解除片48は環状であり、複数のラッチプレート30のすべてを同時に押し付け可能なサイズに形成されているので、解除片48を下降させることにより、すべてのラッチプレート30を同時に解除位置に揺動させることができる。また、解除片48が環状であるので、粉体用コンテナ2と蓋脱着装置32との上下方向周りの相対角度によらず、解除片48によって全ラッチプレート30を同時に解除位置に揺動させることが可能である。
【0059】
蓋8の固定を解除したら、
図16に示すとおり、蓋8を把持した把持手段34を昇降手段38により上昇させ、コンテナ本体6の投入口4を開放する。次いで、
図17に示すとおり、解除片用アクチュエータ50によって解除片48を上昇させ、スプリングラッチ28から解除片48を離す。
【0060】
このようにして、蓋脱着装置32は、粉体用コンテナ2の蓋8を自動的に取り外すことができる。そして、蓋8を取り外した後は、
図18に示すように、コンテナ本体6を所要位置に移動して、コンテナ本体6内に投入口4から粉体を投入し、あるいは、コンテナ本体6の内部を洗浄することができる。
【0061】
一方、蓋8をコンテナ本体6に取り付ける際は、上述の手順を逆に実行すればよい。具体的には、まず、コンテナ本体6を移動させ、蓋脱着装置32の下方にコンテナ本体6を位置づける(
図17参照)。次いで、解除片48を下降させてラッチプレート30を解除位置に揺動させる(
図16参照)。次いで、蓋8を把持した把持手段34を下降させ、投入口4に蓋8を置く(
図15参照)。
【0062】
投入口4に蓋8を置く前に、把持手段34に把持された蓋8の板状部18の中心と、投入口4の中心とが整合していなかった場合でも、ガイド片24によって、板状部18の中心と投入口4の中心とが整合する。また、位置ずれ吸収手段40のゴム製部材60、70、72が弾性変形するので、蓋8に対する把持手段34の位置ずれが吸収される。さらに、図示の実施形態では、プランジャ42によって蓋8を押さえているので、蓋8のガタつきを防止することができる。
【0063】
投入口4に蓋8を置いたら、解除片48を上昇させてラッチプレート30を押し付け位置に揺動させ、蓋8を投入口4に固定する(
図14参照)。そして、一対の把持片44を互いに遠ざけて解放位置に位置づけ(
図12参照)、把持手段34を上昇させる(
図11参照)。このようにして、蓋脱着装置32は、取り外した蓋8をコンテナ本体6に自動的に取り付けることができる。
【0064】
以上のとおりであり、図示の実施形態の組み合わせにおいては、把持手段34で蓋8を把持する際に、蓋8に対する把持手段34の位置ずれを位置ずれ吸収手段40によって吸収するので、粉体用コンテナ2の蓋8と蓋脱着装置32との位置関係を精密に調整しなくても、粉体用コンテナ2の蓋8を自動的に脱着することができる。
【0065】
ところで、粉体の種類によっては金属粉の混入をできるだけ少なくすることが求められる場合がある。この点、図示の実施形態の組み合わせにおいては、接触・非接触を繰り返す部品同士の少なくとも一方を合成樹脂製とすることにより、金属粉の発生を抑制して、粉体への金属粉の混入を少なくすることができる。
【0066】
図示の実施形態の組み合わせにおいては、(1)蓋8の板状部18とラッチプレート30、(2)解除片48とラッチプレート30、(3)把持片44と被把持片22・支柱20、の(1)から(3)までが接触・非接触を繰り返す部品同士に当るところ、たとえば、板状部18、解除片48および把持片44を合成樹脂製とすることにより、金属粉の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0067】
2:粉体用コンテナ
4:投入口
6:コンテナ本体
8:蓋
10:固定手段
18:板状部
20:支柱
22:被把持片
28:スプリングラッチ
30:ラッチプレート
32:蓋脱着装置
34:把持手段
36:解除手段
38:昇降手段
40:位置ずれ吸収手段
42:プランジャ
44:把持片
44a:切り欠き
44b:凹所
46:把持片用アクチュエータ
48:解除片
50:解除片用アクチュエータ
56:支持構造物
60:鼓形状のゴム製部材
70:円筒状のゴム製部材
72:円筒状のゴム製部材