(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066287
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】冷却システム、半導体製造システム、エッチング方法及びデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230508BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230508BHJP
G05D 23/00 20060101ALI20230508BHJP
F25B 9/00 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
F25B1/00 396C
G05D23/00 Z
F25B9/00 301
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176928
(22)【出願日】2021-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】高山 蹊男
(72)【発明者】
【氏名】森宗 歩
【テーマコード(参考)】
5F004
5H323
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BB22
5F004BB25
5F004BD03
5F004CA04
5F004CA06
5H323AA05
5H323CA06
5H323CB22
5H323CB33
5H323CB40
5H323EE01
5H323FF01
5H323FF04
(57)【要約】
【課題】冷凍サイクル装置が循環させる自然冷媒で冷却する冷却液によって温度制御対象を効果的に冷却できる冷却システムを提供する。
【解決手段】一実施の形態に係る冷却システムS1は、自然冷媒を循環させる冷凍サイクル装置10と、自然冷媒によって冷却される第1冷却液を循環させる第1冷却液循環装置20と、第2冷却液を温度制御対象を経由させて循環させる第2冷却液通流装置30と、を備える。冷凍サイクル装置10及び第1冷却液循環装置20は、第1熱交換器40により接続される。第1冷却液循環装置20及び第2冷却液通流装置30は、第2熱交換器50により接続される。第2冷却液通流装置30は、第2熱交換器50で第1冷却液によって冷却された低温側第2冷却液と、第2熱交換器50を通過しない高温側第2冷却液と、を受け入れる供給弁装置301を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然冷媒を循環させる冷凍サイクル装置と、
前記自然冷媒によって冷却される第1冷却液を循環させる第1冷却液循環装置と、
第2冷却液を温度制御対象を経由させて循環させる第2冷却液通流装置と、を備え、
前記冷凍サイクル装置及び前記第1冷却液循環装置は、第1熱交換器により接続され、前記第1熱交換器で前記自然冷媒によって前記第1冷却液が冷却され、
前記第1冷却液循環装置及び前記第2冷却液通流装置は、第2熱交換器により接続され、
前記第2冷却液通流装置は、前記第2熱交換器で前記第1冷却液によって冷却された前記第2冷却液としての低温側第2冷却液と、前記第2熱交換器を通過しない前記第2冷却液としての高温側第2冷却液と、を受け入れる供給弁装置を有し、
前記供給弁装置は、前記第2冷却液として、前記低温側第2冷却液、前記高温側第2冷却液、又は互いに混合された前記低温側第2冷却液及び前記高温側第2冷却液を前記温度制御対象側に流出させる、冷却システム。
【請求項2】
前記第1冷却液循環装置は、
前記第1冷却液を吐出する前記第1熱交換器の吐出口と、前記第1冷却液を受け入れる前記第2熱交換器の受入口とを接続する第1流路と、
記第1冷却液を吐出する前記第2熱交換器の吐出口と、前記第1冷却液を受け入れる前記第1熱交換器の受入口とを接続する第2流路と、
前記第2流路から分岐し、且つ分岐した位置よりも上流側の位置で前記第2流路に接続する分岐流路と、
前記分岐流路上に設けられる第3熱交換器と、を有し、
前記高温側第2冷却液は、前記第3熱交換器が前記分岐流路から受け入れた前記第1冷却液と前記第3熱交換器で熱交換した後、前記供給弁装置に流入する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記第2流路に、上流ポート、下流ポート及び分岐ポートを有する流路形成三方弁が設けられ、
前記流路形成三方弁における前記上流ポートと前記下流ポートとの間の流路部分は、前記第2流路の一部を構成し、
前記分岐ポートに前記分岐流路が接続されている、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記第2冷却液通流装置は、前記供給弁装置から流出した後、前記第2冷却液通流装置に戻る前記第2冷却液を受け入れる戻り弁装置をさらに有し、
前記戻り弁装置は、受け入れた前記第2冷却液を、前記第2熱交換器に送る、及び/又は、前記第3熱交換器に送る、請求項2又は3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記供給弁装置は、第1流入ポートと、第2流入ポートと、供給ポートとを有する供給三方弁を備え、前記第1流入ポートで前記低温側第2冷却液を受け入れ、前記第2流入ポートで前記高温側第2冷却液を受け入れ、前記供給ポートから、前記低温側第2冷却液、前記高温側第2冷却液、又は互いに混合された前記低温側第2冷却液及び前記高温側第2冷却液を前記温度制御対象側に流出させ、
前記戻り弁装置は、戻りポートと、第1分配ポートと、第2分配ポートとを有する戻り三方弁を備え、前記戻りポートで前記第2冷却液を受け入れ、前記第1分配ポートから前記第2熱交換器に、及び/又は、前記第2分配ポートから前記第3熱交換器に送る、請求項4に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記供給弁装置は、第1受入ポート、第1バイパスポート及び第1供給ポートを有する第1供給三方弁と、第2受入ポート、第2バイパスポート及び第2供給ポートを有する第2供給三方弁と、を備え、
前記第1供給三方弁は、前記第1受入ポートで受け入れた前記低温側第2冷却液を前記第1バイパスポート及び/又は前記第1供給ポートから流出させ、
前記第2供給三方弁は、前記第2受入ポートで受け入れた前記高温側第2冷却液を前記第2バイパスポート及び/又は前記第2供給ポートから流出させ、
前記供給弁装置は、前記第1供給ポートから流出する前記低温側第2冷却液及び/又は前記第2供給ポートから流出する前記高温側第2冷却液を、前記温度制御対象側に流出させる、請求項4に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記戻り弁装置は、戻りポートと、第1分配ポートと、第2分配ポートとを有する戻り三方弁を備え、前記戻りポートで前記第2冷却液を受け入れ、前記第1分配ポートから前記第2熱交換器に、及び/又は、前記第2分配ポートから前記第3熱交換器に送る、請求項6に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記第2冷却液通流装置は、前記第1バイパスポートに接続され、前記第1受入ポートで受け入れた前記低温側第2冷却液を前記第1分配ポートから前記第2熱交換器に通流する前記第2冷却液に合流させる第1バイパス流路をさらに有する、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記第2冷却液通流装置は、前記第2バイパスポートに接続され、前記第2受入ポートで受け入れた前記高温側第2冷却液を前記第2分配ポートから前記第3熱交換器に通流する前記第2冷却液に合流させる第2バイパス流路をさらに有する、請求項7又は8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記高温側第2冷却液の温度は、前記第1冷却液を通流させないセパレート熱交換器によって温度制御される、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記冷凍サイクル装置は、圧縮された前記自然冷媒を冷却媒体によって冷却する冷却器と、前記冷却器に前記冷却媒体を供給する冷却媒体供給部とを有し、
前記冷却媒体供給部は、前記冷却器と前記セパレート熱交換器とに前記冷却媒体を供給するか、又は、前記冷却器を通過した前記冷却媒体を前記セパレート熱交換器に供給する、請求項10に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記供給弁装置から流出する前記第2冷却液の要求温度が下げられた際、前記流路形成三方弁は、前記第2熱交換器に送る前記第1冷却液の送り量を増加させるとともに、前記第3熱交換器に送る前記第1冷却液の送り量を減少させ、
前記供給弁装置から流出する前記第2冷却液の要求温度が上げられた際、前記流路形成三方弁は、前記第2熱交換器に送る前記第1冷却液の送り量を減少させるとともに、前記第3熱交換器に送る前記第1冷却液の送り量を増加させる、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記供給弁装置から流出する前記第2冷却液の要求温度が下げられた際、前記冷凍サイクル装置の圧縮機におけるモータの回転数を増加させ、
前記供給弁装置から流出する前記第2冷却液の要求温度が上げられた際、前記冷凍サイクル装置の前記モータの回転数を低下させる、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記第1冷却液の種類と、前記第2冷却液の種類とが異なる、請求項1乃至13のいずれかに記載の冷却システム。
【請求項15】
前記第1冷却液は、シリコーンオイルであり、
前記第2冷却液は、エーテル系液体である、請求項1乃至14のいずれかに記載の冷却システム。
【請求項16】
前記冷凍サイクル装置は、空気冷凍サイクル装置である、請求項1乃至15のいずれかに記載の冷却システム。
【請求項17】
プラズマエッチング装置と、
請求項1乃至16のいずれかに記載の冷却システムと、を備え、
前記冷却システムは、前記プラズマエッチング装置におけるウェハ支持用のステージに前記第2冷却液を供給し、前記ステージを介してウェハを温度制御する、半導体製造システム。
【請求項18】
請求項1乃至16のいずれかに記載の冷却システムから、プラズマエッチング装置におけるウェハ支持用のステージに前記第2冷却液を供給し、前記ステージを介してウェハを温度制御する工程と、
前記ウェハをガスによりエッチングする工程と、を備える、エッチング方法。
【請求項19】
請求項1乃至16のいずれかに記載の冷却システムから、プラズマエッチング装置におけるウェハ支持用のステージに前記第2冷却液を供給し、前記ステージを介してウェハを温度制御する工程と、
前記ウェハをガスによりエッチングする工程と、を備える、デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、冷凍サイクル装置が循環させる冷媒によって冷却液を冷却する冷却システム、これを用いた半導体製造システム、エッチング方法及びデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、自然冷媒を用いる冷凍サイクル装置が注目されている。自然冷媒は、オゾン層破壊係数及び地球温暖化係数が一般的なフロン系の冷媒に対して極めて低い。そのため、自然冷媒は、環境保護の観点で極めて有用である。
【0003】
自然冷媒としては、例えば、アンモニア、二酸化炭素、空気、酸素、窒素等が挙げられる。このうちの二酸化炭素、空気、酸素、窒素は、沸点が極めて低いため、超低温帯での冷却を可能とする。
【0004】
自然冷媒を用いる冷凍サイクル装置としては、空気を用いる空気冷凍サイクル装置が従来から知られている(例えば、特許文献1)。このような空気冷凍サイクル装置は大型冷凍庫などで既に用いられている。
【0005】
また、空気冷凍サイクル装置は、最近、超低温保管が必要な新型コロナウィルス用ワクチンの保管庫への適用でも注目を集めた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
間接膨張式と呼ばれる冷却システムは、一般に、冷凍サイクル装置が循環させる冷媒によって冷却液循環装置が循環させる冷却液を冷却し、冷却された冷却液によって温度制御対象を冷却する。例えば上述した空気冷凍サイクル装置は、間接膨張式の冷却システムにおいて使用されてもよい。このような空気冷凍サイクル装置を用いる冷却システムは、種々の分野での活用が期待され、種々の冷却パターンでの冷却を実現することが期待される。
【0008】
しかしながら、上述したように冷媒としての空気は沸点が極めて低いため、例えば-70℃以下等の膨張時の冷却温度の設定によっては、冷却液循環装置が循環させる冷却液の種類が制限される場合がある。
【0009】
また、極めて低温の冷媒の冷却温度は、温度制御対象に対してオーバースペックになることがある。この場合、冷却された冷却液をヒータで加熱することにより、所望する温度帯への調節がなされてもよい。しかしながら、このような調節は、エネルギー消費量の抑制の観点では望ましいと言えない。
【0010】
以上の事情に鑑みて、本発明の課題は、冷凍サイクル装置が循環させる自然冷媒で冷却する冷却液によって温度制御対象を効果的に冷却できる冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施の形態に係る冷却システムは、自然冷媒を循環させる冷凍サイクル装置と、前記自然冷媒によって冷却される第1冷却液を循環させる第1冷却液循環装置と、第2冷却液を温度制御対象を経由させて循環させる第2冷却液通流装置と、を備え、前記冷凍サイクル装置及び前記第1冷却液循環装置は、第1熱交換器により接続され、前記第1熱交換器で前記自然冷媒によって前記第1冷却液が冷却され、前記第1冷却液循環装置及び前記第2冷却液通流装置は、第2熱交換器により接続され、前記第2冷却液通流装置は、前記第2熱交換器で前記第1冷却液によって冷却された前記第2冷却液としての低温側第2冷却液と、前記第2熱交換器を通過しない前記第2冷却液としての高温側第2冷却液と、を受け入れる供給弁装置を有し、前記供給弁装置は、前記第2冷却液として、前記低温側第2冷却液、前記高温側第2冷却液、又は互いに混合された前記低温側第2冷却液及び前記高温側第2冷却液を前記温度制御対象側に流出させる。
【0012】
この冷却システムでは、冷凍サイクル装置と第2冷却液通流装置との間に第1冷却液循環装置を敢えて設けることで、自然冷媒から第2冷却液への伝熱効率を、直接的に自然冷媒によって第2冷却液を冷却する場合に比べて意図的に変える。これにより、直接的に自然冷媒によって第2冷却液を冷却する場合に生じる第2冷却液の種類の選択自由度の制限を緩和できる。したがって、自然冷媒によって直接的に冷却される際に望ましいという観点で第1冷却液を選択しつつ、例えば温度制御対象に対して望ましいという観点で選択した第2冷却液によって温度制御対象を冷却することが可能となる。
また、自然冷媒から第2冷却液への伝熱効率を、直接的に自然冷媒によって第2冷却液を冷却する場合に比べて意図的に変えることで、ヒータを使用せずに第2冷却液の温度帯を所望する温度帯へ調整し得る又は近づけることができる。これにより、エネルギー消費量を抑えつつ、温度制御対象を所望の温度帯で冷却することが可能となる。さらに、第2冷却液通流装置は、供給弁装置によって、低温側第2冷却液、高温側第2冷却液、又は互いに混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液を温度制御対象側に選択的に供給できる。これにより、温度制御パターンのバリエーションを増加できる。この際にヒータを使用せずに第2冷却液の温度帯を所望する温度帯へ調整し得るため、エネルギー消費量の抑制に関して有利となる。ただし、本システムは、ヒータの使用を除外するものではない。
よって、冷凍サイクル装置が循環させる自然冷媒で冷却する冷却液によって温度制御対象を効果的に冷却できる。
【0013】
前記第1冷却液循環装置は、前記第1冷却液を吐出する前記第1熱交換器の吐出口と、前記第1冷却液を受け入れる前記第2熱交換器の受入口とを接続する第1流路と、記第1冷却液を吐出する前記第2熱交換器の吐出口と、前記第1冷却液を受け入れる前記第1熱交換器の受入口とを接続する第2流路と、前記第2流路から分岐し、且つ分岐した位置よりも上流側の位置で前記第2流路に接続する分岐流路と、前記分岐流路上に設けられる第3熱交換器と、を有し、前記高温側第2冷却液は、前記第3熱交換器が前記分岐流路から受け入れた前記第1冷却液と前記第3熱交換器で熱交換した後、前記供給弁装置に流入してもよい。
【0014】
空気、二酸化炭素、酸素等の沸点が極めて低い自然冷媒の冷却温度は、温度制御対象に対してオーバースペックになることがある。このような場合に、本構成では、第2熱交換器と第3熱交換器とで冷凍能力を分配することで、オーバースペックな冷却を回避しつつ、冷凍能力を有効活用できる。また、第3熱交換器に対して専用の冷凍サイクル装置を接続する場合よりも、システム構成を簡素化及び小型化できる。
【0015】
また、前記第2流路に、上流ポート、下流ポート及び分岐ポートを有する流路形成三方弁が設けられ、前記流路形成三方弁における前記上流ポートと前記下流ポートとの間の流路部分は、前記第2流路の一部を構成し、前記分岐ポートに前記分岐流路が接続されてもよい。
【0016】
この構成では、第2熱交換器に流入する第1冷却液の送り量と、第3熱交換器に流入する第1冷却液の送り量とを所望の割合に制御できるため、第2熱交換器及び第3熱交換器を所望の冷却能力に精度良く且つ迅速に調整し易くなる。
【0017】
また、前記第2冷却液通流装置は、前記供給弁装置から流出した後、前記第2冷却液通流装置に戻る前記第2冷却液を受け入れる戻り弁装置をさらに有し、前記戻り弁装置は、受け入れた前記第2冷却液を、前記第2熱交換器に送る、及び/又は、前記第3熱交換器に送ってもよい。
【0018】
この構成では、第2熱交換器に流入する第2冷却液の送り量と、第3熱交換器に流入する第2冷却液の送り量とを所望の割合に制御できるため、第2熱交換器及び第3熱交換器を所望の冷却能力に精度良く且つ迅速に調整し易くなる。
【0019】
前記供給弁装置は、第1流入ポートと、第2流入ポートと、供給ポートとを有する供給三方弁を備え、前記第1流入ポートで前記低温側第2冷却液を受け入れ、前記第2流入ポートで前記高温側第2冷却液を受け入れ、前記供給ポートから、前記低温側第2冷却液、前記高温側第2冷却液、又は互いに混合された前記低温側第2冷却液及び前記高温側第2冷却液を前記温度制御対象側に流出させ、前記戻り弁装置は、戻りポートと、第1分配ポートと、第2分配ポートとを有する戻り三方弁を備え、前記戻りポートで前記第2冷却液を受け入れ、前記第1分配ポートから前記第2熱交換器に、及び/又は、前記第2分配ポートから前記第3熱交換器に送ってもよい。
【0020】
この構成では、供給弁装置から温度制御対象に供給する第2冷却液の温度調整を、供給三方弁における開度調節で行うことができる。そのため、温度制御対象に供給する第2冷却液を所望の温度に調整し易くなる。そして、温度制御対象から戻る第2冷却液を、戻り三方弁によって第2熱交換器と第3熱交換器とに所望の送り量で分配し易くなる。これにより、第2熱交換器及び/又は第3熱交換器における所望の熱交換状態を形成し易くなり、温度制御対象に供給する第2冷却液の温度制御精度を向上させることができる。
【0021】
また、前記供給弁装置は、第1受入ポート、第1バイパスポート及び第1供給ポートを有する第1供給三方弁と、第2受入ポート、第2バイパスポート及び第2供給ポートを有する第2供給三方弁と、を備え、前記第1供給三方弁は、前記第1受入ポートで受け入れた前記低温側第2冷却液を前記第1バイパスポート及び/又は前記第1供給ポートから流出させ、前記第2供給三方弁は、前記第2受入ポートで受け入れた前記高温側第2冷却液を前記第2バイパスポート及び/又は前記第2供給ポートから流出させ、前記供給弁装置は、前記第1供給ポートから流出する前記低温側第2冷却液及び/又は前記第2供給ポートから流出する前記高温側第2冷却液を、前記温度制御対象側に流出させてもよい。
【0022】
この構成では、供給弁装置から温度制御対象に供給する第2冷却液の温度調整を、第1供給三方弁及び第2供給三方弁の開度調節で行うことができる。そのため、温度制御対象に供給する第2冷却液を所望の温度に調整し易くなる。そして、開度調整の際、余剰となる第2冷却液(低温側第2冷却液又は高温側第2冷却液)を第1供給三方弁の第1バイパスポート及び第2供給三方弁の第2バイパスポートから逃がすことで流路内の圧力上昇を抑制できる。これにより、温度制御対象に供給される第2冷却液の送り量が安定し、且つ温度制御精度が向上し得る。
【0023】
また、前記戻り弁装置は、戻りポートと、第1分配ポートと、第2分配ポートとを有する戻り三方弁を備え、前記戻りポートで前記第2冷却液を受け入れ、前記第1分配ポートから前記第2熱交換器に、及び/又は、前記第2分配ポートから前記第3熱交換器に送ってもよい。
【0024】
この構成では、温度制御対象から戻る第2冷却液を、戻り三方弁によって第2熱交換器と第3熱交換器とに所望の送り量で分配し易くなる。
【0025】
また、前記第2冷却液通流装置は、前記第1バイパスポートに接続され、前記第1受入ポートで受け入れた前記低温側第2冷却液を前記第1分配ポートから前記第2熱交換器に通流する前記第2冷却液に合流させる第1バイパス流路をさらに有してもよい。
【0026】
この構成では、第1供給三方弁の開度調整の際、余剰となる低温側第2冷却液を第1供給三方弁の第1バイパスポートから逃がす場合に、第1バイパスポートからの低温側第2冷却液が戻り三方弁の第1分配ポートから第2熱交換器に通流する第2冷却液に合流する。ここで、合流する両液体の温度は互いに近い温度であるため、流路内の圧力変動が一層抑制され得る。
【0027】
また、前記第2冷却液通流装置は、前記第2バイパスポートに接続され、前記第2受入ポートで受け入れた前記高温側第2冷却液を前記第2分配ポートから前記第3熱交換器に通流する前記第2冷却液に合流させる第2バイパス流路をさらに有してもよい。
【0028】
この構成では、第2供給三方弁開度調整の際、余剰となる高温側第2冷却液を第2供給三方弁の第2バイパスポートから逃がす場合に、第2バイパスポートからの高温側第2冷却液が戻り三方弁の第2分配ポートから第3熱交換器に通流する第2冷却液に合流する。ここで、合流する両液体の温度は互いに近い温度であるため、流路内の圧力変動が一層抑制され得る。
【0029】
また、前記高温側第2冷却液の温度は、前記第1冷却液を通流させないセパレート熱交換器によって温度制御されてもよい。
【0030】
この構成では、高温側第2冷却液を第1冷却液を通流させないセパレート熱交換器によって温度制御することで、高温側第2冷却液の温度制御範囲を拡大し易くなり、且つ温度制御精度を向上させ得る。
【0031】
また、前記冷凍サイクル装置は、圧縮された前記自然冷媒を冷却媒体によって冷却する冷却器と、前記冷却器に前記冷却媒体を供給する冷却媒体供給部とを有し、前記冷却媒体供給部は、前記冷却器と前記セパレート熱交換器とに前記冷却媒体を供給するか、又は、前記冷却器を通過した前記冷却媒体を前記セパレート熱交換器に供給してもよい。
【0032】
この構成では、自然冷媒を冷却するための冷却器と、高温側第2冷却液を温度制御するセパレート熱交換器とに共通の冷却媒体供給部から共通の冷却媒体を供給することで、システム構成を簡素化及び小型化できる。
【0033】
また、前記供給弁装置から流出する前記第2冷却液の要求温度が下げられた際、前記流路形成三方弁は、前記第2熱交換器に送る前記第1冷却液の送り量を増加させるとともに、前記第3熱交換器に送る前記第1冷却液の送り量を減少させ、前記供給弁装置から流出する前記第2冷却液の要求温度が上げられた際、前記流路形成三方弁は、前記第2熱交換器に送る前記第1冷却液の送り量を減少させるとともに、前記第3熱交換器に送る前記第1冷却液の送り量を増加させてもよい。
【0034】
この構成では、第2熱交換器及び第3熱交換器を所望の冷却能力に迅速に調整し易くなる。
【0035】
また、前記供給弁装置から流出する前記第2冷却液の要求温度が下げられた際、前記冷凍サイクル装置の圧縮機におけるモータの回転数を増加させ、前記供給弁装置から流出する前記第2冷却液の要求温度が上げられた際、前記冷凍サイクル装置の前記モータの回転数を低下させてもよい。
【0036】
この構成では、第2熱交換器及び第3熱交換器を所望の冷却能力に迅速に調整し易くなる。
【0037】
また、前記第1冷却液の種類と、前記第2冷却液の種類とが異なってもよい。
この場合、例えば、自然冷媒による冷却に対して望ましい例えば動作等に支障が生じない冷却液を第1冷却液として選択し、第1冷却液とは異なり温度制御対象に対して望ましい冷却液を第2冷却液として選択することにより、効果的に温度制御対象を冷却できる。
【0038】
前記第1冷却液は、シリコーンオイルでもよく、前記第2冷却液は、エーテル系液体でもよい。
【0039】
前記冷凍サイクル装置は、空気冷凍サイクル装置でもよい。
【0040】
また、一実施の形態に係る半導体製造システムは、プラズマエッチング装置と、前記の冷却システムと、を備え、前記冷却システムは、前記プラズマエッチング装置におけるウェハ支持用のステージに前記第2冷却液を供給し、前記ステージを介してウェハを温度制御する。
【0041】
また、一実施の形態に係るエッチング方法は、前記の冷却システムから、プラズマエッチング装置におけるウェハ支持用のステージに前記第2冷却液を供給し、前記ステージを介してウェハを温度制御する工程と、前記ウェハをガスによりエッチングする工程と、を備える。
【0042】
また、一実施の形態に係るデバイスの製造方法は、前記の冷却システムから、プラズマエッチング装置におけるウェハ支持用のステージに前記第2冷却液を供給し、前記ステージを介してウェハを温度制御する工程と、前記ウェハをガスによりエッチングする工程と、を備える。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、冷凍サイクル装置が循環させる自然冷媒で冷却する冷却液によって温度制御対象を効果的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】第1の実施の形態に係る冷却システムを概略的に示す図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る冷却システムを概略的に示す図である。
【
図3】第3の実施の形態に係る冷却システムを概略的に示す図である。
【
図4】第4の実施の形態に係る冷却システムを概略的に示す図である。
【
図5】第5の実施の形態に係る冷却システムを概略的に示す図である。
【
図6】第6の実施の形態に係る冷却システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図7】実施の形態に係る冷却システムと、プラズマエッチング装置とを備える半導体製造システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に、添付の図面を参照して、各実施の形態を詳細に説明する。
【0046】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る冷却システムS1を概略的に示す図である。
図1に示される冷却システムS1は、自然冷媒を循環させる冷凍サイクル装置10と、第1冷却液を循環させる第1冷却液循環装置20と、第2冷却液を通流させる第2冷却液通流装置30と、冷凍サイクル装置10の動作を制御するコントローラ100と、を備えている。第2冷却液通流装置30は、第2冷却液を温度制御対象Tを経由させて循環させる。
【0047】
冷凍サイクル装置10及び第1冷却液循環装置20は、第1熱交換器40により接続されている。第1冷却液循環装置20及び第2冷却液通流装置30は、第2熱交換器50により接続されている。
【0048】
冷凍サイクル装置10が循環させる自然冷媒は、第1熱交換器40で第1冷却液循環装置20が循環させる第1冷却液を冷却する。第1冷却液循環装置20が循環させる第1冷却液は、第2熱交換器50で第2冷却液通流装置30が通流させる第2冷却液を冷却する。
【0049】
ここで、第2冷却液通流装置30は、第2熱交換器50で第1冷却液によって冷却された第2冷却液としての低温側第2冷却液(LL)と、第2熱交換器50を通過しない第2冷却液としての高温側第2冷却液(HL)と、を受け入れる供給弁装置301を有する。そして、供給弁装置301は、第2冷却液として、低温側第2冷却液、高温側第2冷却液、又は互いに混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液を温度制御対象T側に流出させることが可能となっている。
【0050】
本実施の形態では、第1冷却液循環装置20及び第2冷却液通流装置30が第3熱交換器60によっても接続されている。上述の高温側第2冷却液は、第1冷却液循環装置20が循環させる第1冷却液と第3熱交換器60で熱交換した後、供給弁装置301に流入する。第3熱交換器60に流入する第1冷却液の温度は、第2熱交換器50に流入する第1冷却液の温度よりも高い。したがって、高温側第2冷却液(HL)の温度は、低温側第2冷却液(LL)の温度よりも高くなる。そのため、供給弁装置301は、温度供給対象T側に流出させる第2冷却液の温度を、第2熱交換器50に流入する第1冷却液の温度から第3熱交換器60に流入する第1冷却液の温度までの温度範囲の所望の温度に制御できる。
【0051】
供給弁装置301から流出した第2冷却液は、温度制御対象Tを経由して第2冷却液通流装置30側に戻った後、第2熱交換器50、及び/又は、第3熱交換器60に戻る。
【0052】
温度制御対象Tは、例えばウェハなどでもよい。この場合、第2冷却液は、ウェハを載せるステージを通過し、ステージを介してウェハを冷却してもよい。そして、第2冷却液は、ステージを通過した後、第2冷却液通流装置30側に戻る。ただし、温度制御対象Tは特に限られるものではなく、例えばチャンバー内の空間等でもよい。
【0053】
冷凍サイクル装置10は、本実施の形態では自然冷媒としての空気を循環させる。すなわち、冷凍サイクル装置10は、空気冷媒サイクル装置である。
【0054】
冷凍サイクル装置10は、圧縮機11と、冷却器12と、回収熱交換器13と、膨張機14とを空気がこの順で循環するように冷媒循環路15で接続する。空気は、圧縮機11で圧縮された後、冷却器12及び回収熱交換器13で段階的に冷却され、その後、膨張機14に流入する。その後、空気は膨張機14で膨張させられて、膨張機14から流出する。冷凍サイクル装置10は、膨張機14で膨張させた空気を-70℃以下、詳しくは-70℃~-110℃まで降温させて第1熱交換器40に流入させることが可能となっている。また、冷凍サイクル装置10は、膨張機14で膨張させた空気を-40℃~-70℃の範囲にも制御できる。
【0055】
冷媒循環路15における膨張機14の下流側の部分には上述の第1熱交換器40が接続され、膨張機14で膨張して低温となった空気は、第1熱交換器40に流入する。空気は、第1熱交換器40で第1冷却液を冷却した後、第1熱交換器40から流出して圧縮機11に向かう。
【0056】
第1熱交換器40から流出した空気は、圧縮機11に戻る前に、回収熱交換器13で冷却器12を流出した空気と熱交換する。これにより、膨張機14に流入する前の空気が、冷却器12及び回収熱交換器13で段階的に冷却される。冷却器12は、例えば冷却媒体としての冷却水によって圧縮機11から流出する高圧の空気を冷却してもよい。冷却器12は液冷式の冷却器でもよいし、空冷式の冷却器でもよいし、特に限られるものではない。
【0057】
圧縮機11と膨張機14とは、共通のモータ16の駆動軸16Aに接続されている。これにより、駆動軸16Aの回転によって圧縮機11と膨張機14とが連動して回転する。
【0058】
また、冷媒循環路15における圧縮機11の下流側であって冷却器12の上流側の部分と、冷媒循環路15における膨張機14の下流側の部分であって回収熱交換器13との接続位置の上流側の部分とは、空気を通流させるホットバイパス路17で接続され、ホットバイパス路17には空気の通流を制御する調節バルブ18が設けられている。これにより、調節バルブ18を開くことで、ホットバイパス路17を通して高温の空気を第1熱交換器40から流出した空気に混ぜることができる。このような操作により、第1熱交換器40の下流側における空気の凍結を抑制できる。
【0059】
なお、本実施の形態では冷凍サイクル装置10が空気冷媒サイクル装置であるが、その他の形式の装置でもよい。冷凍サイクル装置10は、自然冷媒として、二酸化炭素、酸素、窒素、ブタン、プロパン、イソブタン、プロピレン等を用いる冷凍サイクル装置でもよい。
【0060】
第1冷却液循環装置20は、第1流路21と、第2流路22と、第1冷却液ポンプ23とを有する。第1流路21は、第1冷却液を吐出する第1熱交換器40の吐出口と、第1冷却液を受け入れる第2熱交換器50の受入口とを接続する。第2流路22は、第1冷却液を吐出する第2熱交換器50の吐出口と、第1冷却液を受け入れる第1熱交換器40の受入口とを接続する。
【0061】
第1冷却液ポンプ23は、第1冷却液を循環させるための駆動力を発生させる。第1冷却液ポンプ23は、第2流路22上に設けられているが、その配置位置は特に限られるものでない。第1冷却液は、第1冷却液ポンプ23から吐出された後、第1熱交換器40に流入して低温の空気によって冷却される。その後、第1熱交換器40から流出した第1冷却液は、第2熱交換器50に流入して、第2冷却液を冷却する。そして、第2熱交換器50から流出した第1冷却液は、第1冷却液ポンプ23を介して第1熱交換器40に循環する。
【0062】
また、第1冷却液循環装置20は、第2流路22から分岐し、且つ分岐した位置P1よりも上流側の位置P2で第2流路22に接続する分岐流路26と、分岐流路26上に設けられた上述の第3熱交換器60と、をさらに有する。
【0063】
分岐流路26から第3熱交換器60に流入する第1冷却液は、第1熱交換器40を通過せずに第3熱交換器60に流入する。したがって、第3熱交換器60に流入する第1冷却液の温度は、第2熱交換器50に流入する第1冷却液の温度よりも高い。これにより、第2熱交換器50による冷却温度及び冷却能力と、第3熱交換器60による冷却温度及び冷却能力とを変えることが可能となる。
【0064】
本実施の形態では、上述したように膨張機14で膨張させた空気が、-70℃以下、詳しくは-70℃~-110℃まで降温されて第1熱交換器40に流入し得る。そのため、第1冷却液は、-70℃~-110℃にわたる温度帯で冷却された場合であっても支障が生じない熱媒体であれば特に限られるものではない。本実施の形態では、一例としてシリコーンオイルが用いられる。シリコーンオイルは、炭化水素系の添加物を混合させることで使用温度範囲を-120℃程度まで低下させることができる。
【0065】
第2冷却液通流装置30は、上述した供給弁装置301と、低温供給側流路31と、高温供給側流路32と、戻り弁装置302と、低温戻り側流路34と、高温戻り側流路35と、低温側第2冷却液ポンプ331と、高温側第2冷却液ポンプ332と、を有する。
【0066】
供給弁装置301は、第1流入ポート301Lと、第2流入ポート301Hと、供給ポート301Pとを有する供給三方弁301Vを備える。そして、供給弁装置301は、第1流入ポート301Lで低温側冷却液を受け入れ、第2流入ポート301Hで高温側第2冷却液を受け入れ、供給ポート301Pから、低温側第2冷却液、高温側第2冷却液、又は互いに混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液を温度制御対象T側に流出させる。
【0067】
低温供給側流路31は、低温側第2冷却液を吐出する第2熱交換器50の吐出口と、第1流入ポート301Lとを接続する。高温供給側流路32は、高温側第2冷却液を吐出する第3熱交換器60の吐出口と、第2流入ポート301Hとを接続する。低温側第2冷却液は、第2熱交換器50から低温供給側流路31を通して第1流入ポート301Lに至る。高温側第2冷却液は、第3熱交換器60から高温供給側流路32を通して第2流入ポート301Hに至る。
【0068】
また、戻り弁装置302は、戻りポート302Rと、第1分配ポート302Lと、第2分配ポート302Hとを有する戻り三方弁302Vを備える。戻り弁装置302は、戻りポート302Rで温度制御対象Tからの第2冷却液を受け入れ、第1分配ポート302Lから第2熱交換器50に、及び/又は、第2分配ポート302Hから第3熱交換器60に送る。低温戻り側流路34は、第1分配ポート302Lと、第2熱交換器50の受入口とを接続する。高温戻り側流路35は、第2分配ポート302Hと、第3熱交換器60の受入口とを接続する。戻りポート302Rに受け入れられた第2冷却液は、低温戻り側流路34を通して第2熱交換器50に至り、高温戻り側流路35を通して第3熱交換器60に至る。
【0069】
低温側第2冷却液ポンプ331及び高温側第2冷却液ポンプ332は、第2冷却液を通流させるための駆動力を発生させるものである。低温側第2冷却液ポンプ331は、低温戻り側流路34上に設けられ、高温側第2冷却液ポンプ332は、高温戻り側流路35に設けられている。低温側第2冷却液ポンプ331から吐出された第2冷却液は、第2熱交換器50に流入して第1冷却液によって冷却される。高温側第2冷却液ポンプ332から吐出された第2冷却液は、第3熱交換器60に流入して第1冷却液によって温度制御される。ただし、低温側第2冷却液ポンプ331及び高温側第2冷却液ポンプ332の配置位置は特に限られるものでない。
【0070】
供給三方弁301Vは比例式の三方弁であり、弁体の位置に応じて、低温側第2冷却液、高温側第2冷却液、又は互いに混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液を供給ポート301Pから送り出す。そして、供給三方弁301Vは、混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液の混合割合を供給三方弁301Vの弁体の位置に応じて調整できる。これにより、第2冷却液通流装置30は、第3熱交換器60を通過する第1冷却液の温度から第2熱交換器50を通過する第1冷却液の温度までの温度範囲に制御され得る第2冷却液を温度制御対象Tに供給できる。
【0071】
戻り三方弁302Vも比例式の三方弁であり、弁体の位置に応じて、受け入れた第2冷却液を、第1分配ポート302Lから第2熱交換器50に、及び/又は、第2分配ポート302Hから第3熱交換器60に送り出す。そして、戻り三方弁302Vは、第2熱交換器50及び第3熱交換器60に第2冷却液を送る場合、弁体の位置に応じて、第2熱交換器50への第2冷却液の流量と、第3熱交換器60への第2冷却液の流量との割合を調整できる。
【0072】
供給三方弁301V及び戻り三方弁302Vの形式は特に限られず、例えば、供給三方弁301V及び戻り三方弁302Vは、モータによって弁体と弁座との間の開度を調整するボールバルブでもよい。また、供給三方弁301V及び戻り三方弁302Vは、モータ、比例式ソレノイド、空圧プランジャでスプールの位置を調整することで、開度調整を行うスプール弁でもよい。
【0073】
本実施の形態では、第2冷却液の種類が第1冷却液の種類と異なる。具体的には、第2冷却液として、エーテル系液体が用いられている。例えば、第1冷却液の凝固点は、第2冷却液の凝固点よりも低い。例えば、第1冷却液の動粘度は、第2冷却液の動粘度よりも低い。例えば、-70℃以下での、第1冷却液の動粘度は、第2冷却液の動粘度よりも低い。
【0074】
上述したように、第1冷却液は-70℃~-110℃の温度帯で冷却され得る。この場合、第2冷却液も、第1冷却液によって-70℃~-110℃にわたる温度帯又はそれに近い温度帯で冷却される。ただし、第2冷却液は、-70℃~-110℃の低温の空気によって直接的に冷却されない。そのため、第2冷却液は、低温の空気によって直接的に冷却される第1冷却液に要求される低温時特性よりも、緩和された低温時特性でも許容され得る。その結果、本実施の形態では、第2冷却液の候補として、優れた低温時特性を有するシリコーンオイル以外の熱媒体を選択することが可能となり、エーテル系液体が第2冷却液として選択されている。なお、第2冷却液は、フッ素系液体や、フッ素エーテル系液体でもよいし、エチレングリコール水溶液等でもよい。
【0075】
第2冷却液は、ハイドロフルオロエーテルを含む液体や、パーフルオロポリエーテルを含む液体でもよい。ただし、第2冷却液は特に限られるものではない。例えば第2冷却液はシリコーンオイルでもよい。しかし、シリコーンオイルではシロキサンの問題が生じ得るため、使用を回避される場合がある。一方で、エーテル系又はフッ素系液体は、一般に化学的に不活性で、シロキサンが生じさせるような問題を有さない。第2冷却液としてエーテル系又はフッ素系液体を使用することで、超低温の冷却が可能な冷却システムS1の適用範囲を拡げることが可能となる。
【0076】
また、コントローラ100は、冷凍サイクル装置10のモータ16の駆動軸16Aの回転数を調整できる。また、コントローラ100は、第1冷却液循環装置20の第1冷却液ポンプ23の回転数を調整できる。また、コントローラ100は、第2冷却液通流装置30の低温側第2冷却液ポンプ331の回転数及び高温側第2冷却液ポンプ332の回転数を調整できる。
【0077】
冷凍サイクル装置10のモータ16の駆動軸16Aの回転数が増加するに従い、第1熱交換器40に流入する空気の温度は下がる。第1冷却液ポンプ23の回転数が増加するに従い、第1冷却液ポンプ23から吐出される第1冷却液の流量は増加する。低温側第2冷却液ポンプ331の回転数が増加するに従い、低温側第2冷却液ポンプ331から吐出される第2冷却液の流量は増加する。高温側第2冷却液ポンプ332の回転数が増加するに従い、高温側第2冷却液ポンプ332から吐出される第2冷却液の流量は増加する。
【0078】
なお、本実施の形態では、温度制御対象Tを温度制御する際、基本的に、第1冷却液ポンプ23の回転数、低温側第2冷却液ポンプ331の回転数、及び高温側第2冷却液ポンプ332の回転数を一定の値に維持する。
【0079】
また、コントローラ100は、温度制御対象Tに供給する第2冷却液の要求温度(目標温度)の情報を保持しており、要求温度に応じて、供給弁装置301の開度及び戻り弁装置302の開度を制御する。また、コントローラ100は、要求温度の切り替えに応じて、供給弁装置301の開度及び戻り弁装置302の開度を制御する。例えば、温度制御対象Tの要求温度として、-70℃と-40℃とが設定されてもよい。この際、-70℃の第2冷却液を供給する場合には、低温側第2冷却液の流量が高温側第2冷却液の流量よりも大きくなるように、供給弁装置301の開度及び戻り弁装置302の開度が制御される。そして、要求温度が-70℃から-40℃に切り替わった場合、例えば低温側第2冷却液の流量を減少させつつ高温側第2冷却液の流量が増加するように、供給弁装置301の開度及び戻り弁装置302の開度が制御されてもよい。
【0080】
コントローラ100は、例えばCPU,ROM,RAM等を備えるコンピュータで構成され、記憶されたプログラムに従って上記各部の動作を制御してもよい。また、コントローラ100は、その他のプロセッサや電気回路(例えばFPGA(Field Programmable Gate Alley)等)で構成されてもよい。
【0081】
以上に説明した本実施の形態に係る冷却システムS1は、自然冷媒を循環させる冷凍サイクル装置10と、自然冷媒によって冷却される第1冷却液を循環させる第1冷却液循環装置20と、第2冷却液を通流させる第2冷却液通流装置30と、を備える。そして、冷凍サイクル装置10及び第1冷却液循環装置20は、第1熱交換器40により接続され、第1熱交換器40で自然冷媒である空気によって第1冷却液が冷却される。一方で、第1冷却液循環装置20及び第2冷却液通流装置30は、第2熱交換器50により接続される。そして、第2冷却液通流装置30は、第2熱交換器50で第1冷却液によって冷却された第2冷却液としての低温側第2冷却液と、第2熱交換器50を通過しない第2冷却液としての高温側第2冷却液と、を受け入れる供給弁装置301を有する。そして、供給弁装置301は、第2冷却液として、低温側第2冷却液、高温側第2冷却液、又は互いに混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液を温度制御対象T側に流出させる。
【0082】
この冷却システムS1では、冷凍サイクル装置10と第2冷却液通流装置30との間に第1冷却液循環装置20を敢えて設けることで、自然冷媒から第2冷却液への伝熱効率を、直接的に自然冷媒によって第2冷却液を冷却する場合に比べて意図的に変える。これにより、直接的に自然冷媒によって第2冷却液を冷却する場合に生じる第2冷却液の種類の選択自由度の制限を緩和できる。したがって、自然冷媒によって直接的に冷却される際に望ましいという観点で第1冷却液の種類を選択しつつ、例えば温度制御対象に対して望ましいという観点で選択した第2冷却液によって温度制御対象を冷却することが可能となる。本実施の形態では、具体的には第1冷却液としてシリコーンオイルが選択される一方で、シリコーンオイルよりも低温時特性が劣る場合はあり得るが温度制御対象に対して一般に望ましいエーテル系液体が、第2冷却液として選択されている。
【0083】
また、自然冷媒から第2冷却液への伝熱効率を、直接的に自然冷媒によって第2冷却液を冷却する場合に比べて意図的に変えることで、ヒータを使用せずに第2冷却液の温度帯を所望する温度帯へ調整し得る又は近づけることができる。これにより、エネルギー消費量を抑えつつ、温度制御対象を所望の温度帯で冷却することが可能となる。すなわち、自然冷媒には沸点が非常に低いものが多く、自然冷媒が出力される冷凍能力は温度制御対象に対してオーバースペックになる場合が生じ得るが、本実施の形態では、意図的な伝熱効率の調整によって、第2冷却液の温度を温度制御対象Tが求める温度帯にヒータを使用せずに適合させ得る又は近づけることができる。さらに、第2冷却液通流装置30は、供給弁装置301によって、低温側第2冷却液、高温側第2冷却液、又は互いに混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液を温度制御対象T側に選択的に供給できる。これにより、温度制御パターンのバリエーションを増加できる。この際にヒータを使用せずに第2冷却液の温度帯を所望する温度帯へ調整し得るため、エネルギー消費量の抑制に関して有利となる。ただし、冷却システムS1は、ヒータの使用を除外するものではない。
【0084】
よって、本実施の形態に係る冷却システムS1によれば、冷凍サイクル装置10が循環させる自然冷媒で冷却する冷却液によって温度制御対象Tを効果的に冷却できる。
【0085】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図2は、第2の実施の形態に係る冷却システムS2を概略的に示す図である。
図2に示される冷却システムS2では、第2冷却液通流装置30の構造が第1の実施の形態と異なる。
【0086】
すなわち、
図2に示される第2冷却液通流装置30では、供給弁装置301が、第1供給三方弁311と、第2供給三方弁312と、を備える。第1供給三方弁311は、第1受入ポート311A、第1バイパスポート311B及び第1供給ポート311Cを有する。第2供給三方弁312は、第2受入ポート312A、第2バイパスポート312B及び第2供給ポート312Cを有する。低温供給側流路31は、第2熱交換器50の吐出口と第1受入ポート311Aとを接続している。高温供給側流路32は、第3熱交換器60の吐出口と第2受入ポート312Aとを接続している。
【0087】
そして、第1供給三方弁311は、第1受入ポート311Aで受け入れた低温側第2冷却液を第1バイパスポート311B及び/又は第1供給ポート311Cから流出させる。第2供給三方弁312は、第2受入ポート312Aで受け入れた高温側第2冷却液を第2バイパスポート312B及び/又は第2供給ポート312Cから流出させる。そして、供給弁装置301は、第1供給ポート311Cから流出する低温側第2冷却液及び/又は第2供給ポート312Cから流出する高温側第2冷却液を、温度制御対象T側に流出させる。混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液を温度制御対象Tに供給する場合、供給弁装置301は、第1供給三方弁311の開度及び第2供給三方弁312の開度を調整することにより、混合された低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液の混合割合を調整できる。これにより、第2冷却液通流装置30は、第3熱交換器60を通過する第1冷却液の温度から第2熱交換器50を通過する第1冷却液の温度までの温度範囲に制御され得る第2冷却液を温度制御対象に供給できる。
【0088】
第1供給三方弁311及び第2供給三方弁312は比例式の三方弁である。第1供給三方弁311及び第2供給三方弁312の形式は特に限られず、例えば、第1供給三方弁311及び第2供給三方弁312は、モータによって弁体と弁座との間の開度を調整するボールバルブでもよい。また、第1供給三方弁311及び第2供給三方弁312は、モータ、比例式ソレノイド、空圧プランジャでスプールの位置を調整することで、開度調整を行うスプール弁でもよい。
【0089】
また、第2冷却液通流装置30は、戻り三方弁302Vを有する。戻り三方弁302Vの構成は、第1の実施の形態と同様である。一方で、第2冷却液通流装置30は、第1バイパスポート311Bに接続された第1バイパス流路37と、第2バイパスポート312Bに接続された第2バイパス流路38とを有する。
【0090】
そして、第1バイパス流路37は、第1受入ポート311Aで受け入れた低温側第2冷却液を、戻り三方弁302Vの第1分配ポート302Lから第2熱交換器50に通流する第2冷却液に合流させる。第2バイパス流路38は、第2受入ポート312Aで受け入れた高温側第2冷却液を、第2分配ポート302Hから第3熱交換器60に通流する第2冷却液に合流させる。
【0091】
以上に説明した第2の実施の形態に係る冷却システムS2では、供給弁装置301から温度制御対象Tに供給する第2冷却液の温度調整を、第1供給三方弁311及び第2供給三方弁312の開度調節で行うことができる。そのため、温度制御対象Tに供給する第2冷却液を所望の温度に調整し易くなる。そして、開度調整の際、余剰となる第2冷却液(低温側第2冷却液又は高温側第2冷却液)を第1供給三方弁311の第1バイパスポート311B及び第2供給三方弁312の第2バイパスポート312Bから逃がすことで流路内の圧力上昇を抑制できる。これにより、温度制御対象Tに供給される第2冷却液の流量が安定し、且つ温度制御精度が向上し得る。
【0092】
詳しくは、第1供給三方弁311の開度調整の際、余剰となる低温側第2冷却液を第1供給三方弁311の第1バイパスポート311Bから逃がす場合に、第1バイパスポート311Bからの低温側第2冷却液が、第1バイパス流路37を介して戻り三方弁302Vの第1分配ポート302Lから第2熱交換器50に通流する第2冷却液に合流する。ここで、合流する両液体の温度は互いに近い温度であるため、流路内の圧力変動が一層抑制され得る。同様に、第2供給三方弁312の開度調整の際、余剰となる高温側第2冷却液を第2供給三方弁312の第2バイパスポート312Bから逃がす場合に、第2バイパスポート312Bからの高温側第2冷却液が、第2バイパス流路38を介して戻り三方弁302Vの第2分配ポート302Hから第3熱交換器60に通流する第2冷却液に合流する。ここで、合流する両液体の温度は互いに近い温度であるため、流路内の圧力変動が一層抑制され得る。よって、温度制御対象Tに供給される第2冷却液の流量が一層安定し得るとともに、温度制御精度が一層向上し得る。
【0093】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図3は、第3の実施の形態に係る冷却システムS3を概略的に示す図である。
図3に示される冷却システムS3では、第1冷却液循環装置20の構造が第1及び第2の実施の形態と異なる。
【0094】
すなわち、
図3示される第1冷却液循環装置20では、第2流路22に流路形成三方弁200が設けられている。流路形成三方弁200は、上流ポート200U、下流ポート200D及び分岐ポート200Bを有する。そして、流路形成三方弁200における上流ポート200Uと下流ポート200Dとの間の流路部分は、第2流路22の一部を構成している。また、分岐ポート200Bには、分岐流路26が接続されている。
【0095】
流路形成三方弁200は、比例式の三方弁でもよい。流路形成三方弁200の形式は特に限られず、例えば、流路形成三方弁200は、モータによって弁体と弁座との間の開度を調整するボールバルブでもよい。また、流路形成三方弁200は、モータ、比例式ソレノイド、空圧プランジャでスプールの位置を調整することで、開度調整を行うスプール弁でもよい。
【0096】
そして、本実施の形態では、供給弁装置301から流出する第2冷却液の要求温度が下げられた際、流路形成三方弁200は、第2熱交換器50に送る第1冷却液の流量を増加させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の流量を減少させる。また、供給弁装置301から流出する第2冷却液の要求温度が上げられた際、流路形成三方弁200は、第2熱交換器50に送る第1冷却液の流量を減少させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の流量を増加させる。
【0097】
また、流路形成三方弁200が、第2熱交換器50に送る第1冷却液の流量を増加させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の流量を減少させた際、これに連動して、供給三方弁301Vは、供給ポート301Pから供給する第2冷却液における低温側第2冷却液が増加し、高温側第2冷却液が減少するように、開度を調整する。また、戻り三方弁302Vは、第2熱交換器50に送る第2冷却液の流量を増加させるとともに、第3熱交換器60に送る第2冷却液の流量を減少させる。
【0098】
また、流路形成三方弁200が、第2熱交換器50に送る第1冷却液の流量を減少させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の流量を増加させた際、これに連動して、供給三方弁301Vは、供給ポート301Pから供給する第2冷却液における低温側第2冷却液が減少し、高温側第2冷却液が増加するように、開度を調整する。また、戻り三方弁302Vは、第2熱交換器50に送る第2冷却液の流量を減少させるとともに、第3熱交換器60に送る第2冷却液の流量を増加させる。
【0099】
上述の流路形成三方弁200、供給三方弁301V及び戻り三方弁302Vの動作は、コントローラ100によって制御される。
【0100】
以上に説明した第3の実施の形態に係る冷却システムS3では、流路形成三方弁200によって、第2熱交換器50に流入する第1冷却液の流量と、第3熱交換器60に流入する第1冷却液の流量とを所望の割合に制御できるため、第2熱交換器50及び第3熱交換器60を所望の冷却能力に精度良く且つ迅速に調整し易くなる。
【0101】
特に供給弁装置301から流出する第2冷却液の要求温度が下げられた際、流路形成三方弁200は、第2熱交換器50に送る第1冷却液の流量を増加させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の流量を減少させる。また、供給弁装置301から流出する第2冷却液の要求温度が上げられた際、流路形成三方弁200は、第2熱交換器50に送る第1冷却液の流量を減少させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の流量を増加させる。これにより、第2熱交換器50及び第3熱交換器60の冷却能力を、要求温度に応じた所望の冷却能力に精度良く且つ迅速に調整し易くなる。
【0102】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4は、第4の実施の形態に係る冷却システムS4を概略的に示す図である。
図4に示される冷却システムS4では、第1冷却液循環装置20及び第2冷却液通流装置30の構造が第1乃至第3の実施の形態と異なる。
【0103】
すなわち、
図4に示される第1冷却液循環装置20及び第2冷却液通流装置30は、第2熱交換器50により接続されるが、第1冷却液循環装置20と第2冷却液通流装置30との間には、上述した第3熱交換器60は設けられない。一方で、第2冷却液通流装置30は、第1冷却液を通流させないセパレート熱交換器70に接続されている。そして、第2冷却液通流装置30の供給弁装置301には、第2熱交換器50からの低温側第2冷却液と、セパレート熱交換器70からの高温側第2冷却液とが流入する。すなわち、高温側第2冷却液の温度は、セパレート熱交換器70によって温度制御される。
【0104】
セパレート熱交換器70は液冷式の熱交換器であり、液体の冷却媒体を冷凍サイクル装置10から供給される。本実施の形態では、冷凍サイクル装置10が、圧縮機11で圧縮された自然冷媒を冷却媒体によって冷却する冷却器12に、液体の冷却媒体を供給する冷却媒体供給部120を有している。そして、本実施の形態では、この冷却媒体供給部120が、冷却器12とセパレート熱交換器70とに冷却媒体を供給するようになっている。
【0105】
詳しくは、冷却媒体供給部120は、冷却媒体供給源121と、冷却媒体供給源121と冷却器12とを接続する第1媒体流路122と、第1媒体流路122から分岐してセパレート熱交換器70に接続する第2媒体流路123とを有する。また、冷却器12を通過した冷却媒体及びセパレート熱交換器70を通過した冷却媒体は合流して排出される。ただし、冷却器12を通過した冷却媒体及びセパレート熱交換器70を通過した冷却媒体は、冷却媒体供給源121に循環してもよい。この場合には、循環した冷却媒体を冷却する機器を設けることが望ましい。
【0106】
以上に説明した第4の実施の形態に係る冷却システムS4では、高温側第2冷却液を第1冷却液を通流させないセパレート熱交換器70によって温度制御することで、高温側第2冷却液の温度制御範囲を拡大し易くなり、且つ温度制御精度を向上させ得る。また、冷凍サイクル装置10で空気を冷却するための冷却器12と、高温側第2冷却液を温度制御するセパレート熱交換器70とに共通の冷却媒体供給部120から共通の冷却媒体を供給することで、システム構成を簡素化及び小型化できる。
【0107】
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図5は、第5の実施の形態に係る冷却システムS5を概略的に示す図である。
図5に示される冷却システムS5では、冷却媒体供給部120の構造が第4の実施の形態と異なる。
【0108】
すなわち、
図5に示される冷却媒体供給部120は、冷却器12を通過した冷却媒体をセパレート熱交換器70に供給する。すなわち、冷却媒体供給部120から冷却器12に供給された冷却媒体は、冷却器12で第1冷却液と熱交換した後、セパレート熱交換器70で第2冷却液と熱交換する。
【0109】
以上に説明した第5の実施の形態に係る冷却システムS5によれば、システム構成を簡素化及び小型化できる。また、要求される高温側第2冷却液の温度が比較的高い場合に、効率的に且つエネルギー消費量を抑えつつ、高温側第2冷却液を所望の温度に制御できる。
【0110】
<第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図6は、第6の実施の形態に係る冷却システムの動作を説明するフローチャートである。
【0111】
本実施の形態に係る冷却システムの機械的な構成は、第3の実施の形態に係る冷却システムS3の構成と同じである。一方で、第6の実施の形態では、流路形成三方弁200及び供給弁装置301の動作が第3の実施の形態と異なる。
【0112】
図6に示す動作は、供給弁装置301から流出する第2冷却液の要求温度の変更がコントローラ100によって検知された際に開始される。動作が開始されると、ステップS61において、まず、コントローラ100が、要求温度が下げられたか否かを判定する。要求温度が下げられた場合、処理はステップS62に進む。要求温度が上げられた場合、処理はステップS63に進む。
【0113】
そして、ステップS62では、第1冷却液循環装置20における流路形成三方弁200が、第2熱交換器50に送る第1冷却液の送り量を増加させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の送り量を減少させる。これと同時に、冷凍サイクル装置10のモータ16の駆動軸16Aの回転数が増加される。ここで増加される駆動軸16Aの回転数は、所定の一定値であり、第1熱交換器40に流入する空気の温度を、要求温度よりも例えば-5℃~-20℃の範囲で低くできる回転数でもよい。なお、流路形成三方弁200は、第2熱交換器50及び第3熱交換器60への第1冷却液の送り量を徐々に変化させる。
【0114】
その後、ステップS64で、第2冷却液通流装置30における供給三方弁301Vは、供給ポート301Pから供給する第2冷却液における低温側第2冷却液が増加し、高温側第2冷却液が減少するように、開度を調整する。この際、供給三方弁301Vは、供給ポート301Pからの低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液の送り量を徐々に変化させる。次に、ステップS66で、供給弁装置301から流出する第2冷却液の温度が要求温度に到達したか否かを判定する。要求温度に到達していない場合、ステップS62及びステップS64の処理が繰り返される。また、要求温度に到達した場合、ステップS68において、第2熱交換器50に送る第1冷却液の送り量及び第3熱交換器60に送る第1冷却液の送り量が固定され、且つ、供給ポート301Pから供給する第2冷却液における低温側第2冷却液の送り量と高温側第2冷却液の送り量とが固定される。さらには、モータ16の駆動軸16Aの回転数が所定の回転数まで低下される。
【0115】
なお、供給弁装置301から流出する第2冷却液の温度が要求温度に到達したか否か、一致したか否かの判定は、供給弁装置301の供給ポート301Pの下流側に設けられる温度センサや、温度制御対象Tに設けられる温度センサが検出した温度情報を、コントローラ100が保持している要求温度と比較して判定してもよい。
【0116】
一方で、ステップS61で要求温度が上げられたと判定された場合に処理が進むステップS63では、第1冷却液循環装置20における流路形成三方弁200が、第2熱交換器50に送る第1冷却液の送り量を減少させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の送り量を増加させる。これと同時に、冷凍サイクル装置10のモータ16の駆動軸16Aの回転数が低下される。ここで低下される駆動軸16Aの回転数は、所定の一定値であり、第1熱交換器40に流入する空気の温度を、要求温度よりも例えば+5℃~+20℃の範囲で高くできる回転数でもよい。なお、流路形成三方弁200は、第2熱交換器50及び第3熱交換器60への第1冷却液の送り量を徐々に変化させる。
【0117】
その後、ステップS65で、第2冷却液通流装置30における供給三方弁301Vは、供給ポート301Pから供給する第2冷却液における低温側第2冷却液が減少し、高温側第2冷却液が増加するように、開度を調整する。この際、供給三方弁301Vは、供給ポート301Pからの低温側第2冷却液及び高温側第2冷却液の送り量を徐々に変化させる。次に、ステップS67で、供給弁装置301から流出する第2冷却液が要求温度に到達したか否かを判定する。要求温度に到達していない場合、ステップS63及びステップS65の処理が繰り返される。また、要求温度に到達した場合、ステップS69において、第2熱交換器50に送る第1冷却液の送り量及び第3熱交換器60に送る第1冷却液の送り量が固定され、且つ、供給ポート301Pから供給する第2冷却液における低温側第2冷却液の送り量と高温側第2冷却液の送り量とが固定される。さらには、モータ16の駆動軸16Aの回転数が所定の回転数まで増加される。
【0118】
そして、ステップS68でモータ16の駆動軸16Aの回転数が所定の回転数まで低下されるか又はステップS69でモータ16の駆動軸16Aの回転数が所定の回転数まで増加された後、ステップS70では、供給弁装置301から流出する第2冷却液の温度が要求温度に一致しているか否かが判定される。そして、要求温度が一致していると判定された場合には、ステップS72で運転停止指示の有無が確認され、確認されない場合には、処理がステップS70に戻る。
【0119】
一方で、ステップS71で要求温度が一致していないと判定された場合には、ステップS71で、供給三方弁301Vが、供給弁装置301から流出する第2冷却液の温度が要求温度に一致するように、供給ポート301Pから供給する第2冷却液における低温側第2冷却液と、高温側第2冷却液との割合を、開度調整により調整する。その後、ステップS72で運転停止指示の有無が確認され、確認されない場合には、処理がステップS70に戻る。
【0120】
以上に説明した第6の実施の形態では、供給弁装置301から流出する第2冷却液の要求温度が下げられた際、流路形成三方弁200は、第2熱交換器50に送る第1冷却液の送り量を増加させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の流量を減少させる。これと同時に、冷凍サイクル装置10の圧縮機11におけるモータ16の回転数を増加させる。また、供給弁装置301から流出する第2冷却液の要求温度が上げられた際、流路形成三方弁200は、第2熱交換器50に送る第1冷却液の流量を減少させるとともに、第3熱交換器60に送る第1冷却液の流量を増加させる。これと同時に、冷凍サイクル装置10のモータ16の回転数を低下させる。これにより、第2熱交換器50及び第3熱交換器60を所望の冷却能力に迅速に調整し易くなる。
【0121】
特にステップS66及びステップS68の処理では、供給弁装置301から流出する第2冷却液の温度が到達した場合(S66でYES)、ステップS68において、第2熱交換器50に送る第1冷却液の送り量及び第3熱交換器60に送る第1冷却液の送り量が固定され、且つ、供給ポート301Pから供給する第2冷却液における低温側第2冷却液の送り量と高温側第2冷却液の送り量とが固定される。さらには、モータ16の駆動軸16Aの回転数が所定の回転数まで低下される。この場合、次回、要求温度が変更された際に、第2熱交換器50及び第3熱交換器60を所望の冷却能力に制御するまでの時間を短縮することが可能となる。ステップS69においてモータ16の駆動軸16Aの回転数が所定の回転数まで増加させることによっても、次回、要求温度が変更された際、第2熱交換器50及び第3熱交換器60を所望の冷却能力に制御するまでの時間を短縮できる。
【0122】
<半導体製造システム>
図7は、第1の実施の形態に係る冷却システムS1をプラズマエッチング装置400に接続することにより構成された半導体製造システムの概略図である。
【0123】
プラズマエッチング装置400は、下部電極401を有するステージ401Aと、上部電極402と、下部電極401及び上部電極402を収容する容器403と、を備えている。ステージ401Aはウェハ支持用のステージであり、ウェハWを支持している。ステージ401Aは、具体的には静電チャックであり、下部電極401と一体化されている。
【0124】
本実施の形態にかかる冷却システムS1は、供給弁装置301から第2冷却液をステージ401Aに供給し、ステージ401Aを介してステージ401A上のウェハWを温度制御する。
図7の例では、他の冷却装置410により上部電極402が冷却され、他の冷却装置420により容器403の壁部が冷却される。なお、他の実施の形態に係る冷却システムS2~S5のいずれかがプラズマエッチング装置400に接続されてもよい。
【0125】
図7に示す半導体製造システムでウェハWをエッチングする場合、又は、デバイスを製造する場合、ステージ401Aに第2冷却液を供給し、ステージ401Aを介してウェハWを温度制御し、その後、ウェハWをガスによりエッチングする。ガスは、バイアス電圧によりウェハWに向かって移動する。この際、ガスによってウェハWがエッチングされる。3DNAND型メモリは、高アスペクト比のスルーホールの形成が必要となり、ウェハWが極低温に維持されながらプラズマエッチングされることにより、スルーホールの側面がサイドエッチングされ難くなる。本実施の形態では、冷凍サイクル装置10が空気冷凍サイクル装置であり、第1冷却液を介して冷却された第2冷却液によってウェハWを極低温に温度制御できる。ここで、第2冷却液はエーテル系液体であるため、ウェハWへの悪影響の懸念が軽減される。そして、冷却システムS1では、冷凍サイクル装置10が空気冷凍サイクル装置であることでオゾン層破壊係数及び地球温暖化係数を極めて低い数値に抑えることができる。したがって、本実施の形態によれば、今後益々需要が高まると予想されるデバイスを、環境への影響を抑制しつつ製造することが可能となる。
【0126】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0127】
S1,S2,S3,S4,S5…冷却システム、10…冷凍サイクル装置、11…圧縮機、12…冷却器、13…回収熱交換器、14…膨張機、15…冷媒循環路、16…モータ、16A…駆動軸、17…ホットバイパス路、18…調節バルブ、20…第1冷却液循環装置、21…第1流路、22…第2流路、23…第1冷却液ポンプ、26…分岐流路、200…流路形成三方弁、200U…上流ポート、200D…下流ポート、200B…分岐ポート、30…第2冷却液通流装置、301…供給弁装置、301V…供給三方弁、301L…第1流入ポート、301H…第2流入ポート、301P…供給ポート、311…第1供給三方弁、311A…第1受入ポート、311B…第1バイパスポート、311C…第1供給ポート、312…第2供給三方弁、312A…第2受入ポート、312B…第2バイパスポート、312C…第2供給ポート、302…戻り弁装置、302V…戻り三方弁、302R…戻りポート、302L…第1分配ポート、302H…第2分配ポート、31…低温供給側流路、32…高温供給側流路、34…低温戻り側流路、35…高温戻り側流路、37…第1バイパス流路、38…第2バイパス流路、331…低温側第2冷却液ポンプ、332…高温側第2冷却液ポンプ、40…第1熱交換器、50…第2熱交換器、60…第3熱交換器、70…セパレート熱交換器、100…コントローラ、120…冷却媒体供給部、121…冷却媒体供給源、122…第1媒体流路、123…第2媒体流路、400…プラズマエッチング装置、401…下部電極、401A…ステージ、402…上部電極、403…容器、T…温度制御対象