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特開2023-66392中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066392
(43)【公開日】2023-05-15
(54)【発明の名称】中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法
(51)【国際特許分類】
   B24C 1/00 20060101AFI20230508BHJP
   B24C 11/00 20060101ALI20230508BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
B24C1/00 Z
B24C11/00 D
H01L21/304 601S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168275
(22)【出願日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2021176923
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520407105
【氏名又は名称】ナノルバ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391059702
【氏名又は名称】ケヰテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】孫 永升
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA14
5F057AA21
5F057AA48
5F057BA15
5F057BA21
5F057BB03
5F057CA29
5F057DA24
5F057EC29
(57)【要約】
【課題】環境に悪影響を与えず、基材であるシリコンウェハに大きな損傷を与えることなく、簡易な装置によって、非常に効率的に、かつ、安価に、シリコンウェハ表面の積層物を除去することが可能な除去方法を提供する。
【解決手段】中間排出シリコンウェハの積層物の積層面に、研磨材である粒度#220の炭化ホウ素(BC)を、ブラスト装置(乾燥した研磨材を噴射する乾式で、かつ、研磨材のタンクから重力により落下した研磨材を圧縮空気に乗せて噴射する重力式のもの)を用いて、噴射距離=120mm、噴射圧力=0.2MPaの噴射条件で、5秒間に亘って吹き付けることによって、ブラスト処理を実施した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路の製造の途中で系外に排出される中間排出シリコンウェハの表面から積層物を除去するための除去方法であって、
密度が2.0g/cm以上3.0g/cm未満であり、かつ、モース硬度が9以上11未満である研磨材を、中間排出シリコンウェハの表面に噴射することによって、中間排出シリコンウェハ表面の積層物を強制的に剥離させることを特徴とする中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法。
【請求項2】
前記研磨材が、♯150~♯10,000の粒度を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法。
【請求項3】
前記研磨材の噴射圧力が0.15~0.8MPaであることを特徴とする請求項1、または2に記載の中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法。
【請求項4】
前記研磨材が、炭化ホウ素(BC)であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法。
【請求項5】
基台上に載置した中間排出シリコンウェハの表面に前記研磨材を噴射するとともに、
前記基台と中間排出シリコンウェハとの間に、緩衝材を介在させることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の製造工程において排出される中間排出シリコンウェハを再利用に供するために用いられる中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(半導体チップ)を製造する際には、主に、単結晶のシリコンウェハからなるデバイスの表面に、レジストによるマスキング、露光、エッチング等の加工を繰り返し、微細な配線や素子等からなる回路パターンを、格子状に縦横に規則正しく並んだ状態で多数形成した後に(すなわち、デバイスの表面に積層した後に)、それらの回路パターン毎にシリコンウェハを切り出す(ダイシングする)ことによって、矩形の半導体集積回路を形成する。
【0003】
上記した半導体集積回路の製造においては、デバイスであるシリコンウェハの表面に様々な加工を高い精度で繰り返し実施する必要があるため、加工の工程毎に、仕上がり状態をチェックするためのテスト・評価が行われ、当該テスト・評価に用いられたシリコンウェハは、最終的な製品の製造に供されることなく、製造の系外に排出される。また、加工をし損じたシリコンウェハ(不良品)も、製造の系外に排出される。そのように製造途中で系外に排出されるシリコンウェハ(本発明においては、中間排出シリコンウェハという)は、投入される全てのシリコンウェハの中で、比較的に高い比率(約20%)を占めるため、当該中間排出シリコンウェハを再生させて新たな原材料として利用することが広く実施されている(それゆえ、中間排出シリコンウェハは、再生用シリコンウェハとも言われる)。
【0004】
中間排出シリコンウェハを再生させるためには、シリコンウェハの表面の積層物を除去する必要があるが、当該積層物中には、Si0,SiC,Si、GaAs,InP,Al,W,Ti,TiN,ITO,Al等の様々な硬度のものが混在しているため、そのまま研磨を行っても均一に研磨されないので、特許文献1の如く、アルカリ性や酸性の薬剤を用いたエッチングによって積層物の一部を除去してから研磨する方法が採用されている。また、特許文献2の如く、サンドブラスト装置を使用し、研磨材としてアルミナもしくはシリコンカーバイドを圧縮空気との混合流体として吹き付けることにより、シリコンウェハ表面の積層物を除去する方法も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3046807号公報
【特許文献2】特開2001-237201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の如き、薬剤を用いたエッチングによりシリコンウェハ表面の積層物を除去してから研磨する方法は、エッチングに使用される薬品が環境面で問題となる虞れがある上,エッチングによる積層物の除去に長時間を要するために効率が悪く、安価に実施することが困難である。その上、薬剤によって、積層物のみならず基材であるシリコンウェハを浸食してしまう、という不具合がある。
【0007】
本発明の目的は、特許文献1,2の如き従来のシリコンウェハ表面の積層物の除去方法が有する問題点を解消し、環境に悪影響を与えず、基材であるシリコンウェハに大きな損傷を与えることなく、簡便な装置によって、非常に効率的に、かつ、安価に、シリコンウェハ表面の積層物を除去することが可能な除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、半導体集積回路の製造の途中で系外に排出される中間排出シリコンウェハの表面から積層物(レジスト、金属、異物、汚れ等)を除去するための除去方法であって、密度が2.0g/cm以上3.0g/cm未満であり、かつ、モース硬度が9以上11未満である研磨材を、中間排出シリコンウェハの表面に噴射することによって、中間排出シリコンウェハ表面の積層物を強制的に剥離させることを特徴とするものである。なお、本発明における中間排出シリコンウェハには、ダミーウェハやテストウェハ等の製造途中で製造条件の確認・性能評価や検査等に用いられて系外に排出されるすべてのシリコンウェハが含まれる。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記研磨材が、♯150(JIS R6001に準拠した電気抵抗試験方法で測定した場合の粒度、平均粒子径=約70μmに相当)~♯10,000の粒度(JIS R6001に準拠した電気抵抗試験方法で測定した場合の粒度、平均粒子径=約0.4μmに相当)を有するものであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載された発明において、前記研磨材の噴射圧力が0.15~0.8MPaであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1~3のいずれかに記載された発明において、前記研磨材が、炭化ホウ素(BC)であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項1~4のいずれかに記載された発明において、基台上に載置した中間排出シリコンウェハの表面に前記研磨材を噴射するとともに、前記基台と中間排出シリコンウェハとの間に、緩衝材を介在させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法によれば、環境に悪影響を与えず、基材であるシリコンウェハに大きな損傷を与えることなく、簡便な装置によって、非常に効率的に、かつ、安価に、シリコンウェハ表面の積層物を除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法は、特定の性状を有する研磨材を、中間排出シリコンウェハの表面に、ブラスト装置を用いて、所定の噴射圧力で噴射することによって、中間排出シリコンウェハ表面の積層物(レジスト、金属、異物、汚れ等)を強制的に剥離させることを特徴としている。
【0015】
<ブラスト装置>
本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法において、中間排出シリコンウェハの表面に所定の研磨材を噴射する装置としては、通常のブラスト装置を好適に用いることができる。すなわち、中間排出シリコンウェハを搬送する搬送手段、中間排出シリコンウェハに向けてブラスト材である研磨材(あるいは、研磨材を含むスラリー)を噴射するブラスト処理手段、噴射後の研磨材等を回収する回収手段、各手段を統括的に制御する制御手段等を備えたブラスト装置を好適に用いることができる。また、ブラスト装置としては、乾燥した研磨材(微粉末)を噴射する乾式ブラスト方式のもの(エア式のブラスト装置)を好適に用いることができる。すなわち、そのようなエアブラスト装置を用いると、積層物の除去後に空気を吹き付けるだけで処理面を冷却することができ、湿式のブラスト装置を用いた場合のように水と混じった研磨材が装置の部材に固着してしまう事態を防止できるので好ましい。加えて、エアブラスト装置を用いて中間排出シリコンウェハの表面に研磨材を噴射する際には、中間排出シリコンウェハの表面と平行な面内で、噴射ノズルをスウィング(往復動)させる(ベルトコンベア等の中間排出シリコンウェハの搬送手段の長手方向に対して垂直な方向にスウィングさせる)のが好ましい。
【0016】
加えて、エア式のブラスト装置としては,研磨材の投入されたタンク内に供給された圧縮空気により搬送された研磨材を、別途供給された圧縮空気の空気流に乗せてブラストガンにより噴射する直圧式のブラスト加工装置、研磨材のタンクから重力により落下した研磨材を、圧縮空気に乗せて噴射する重力式のブラスト加工装置等を好適に用いることができるが、重力式のブラスト加工装置を用いると、研磨材の噴射速度および噴射圧力の制御が容易になるので好ましい。また、研磨材が♯5,000以上の細かい粒子である場合には、直圧式のブラスト加工装置を用いると、研磨材の噴射速度および噴射圧力の制御が容易になるので好ましい。
【0017】
また、ブラスト装置による研磨材の噴射圧力は、特に制限されないが、0.15~0.8MPa(0.15MPa以上0.8MPa未満)の範囲内にすると、中間排出シリコンウェハ表面からの積層物の除去効率が良好なものとなるとともに、中間排出シリコンウェハの表層の損傷を低く抑えることが可能となるので好ましい。当該噴射圧力は、0.2~0.6MPaであると好ましく、0.3~0.5MPaであるとより好ましい。
【0018】
一方、ブラスト装置により中間排出シリコンウェハ表面に研磨材を噴射する際における噴射ノズルとシリコンウェハ表面との距離(以下、噴射距離という)は、特に制限されないが、80~200mmの範囲内にすると、中間排出シリコンウェハ表面からの積層物の除去効率が良好なものとなるとともに、中間排出シリコンウェハの表層の損傷を低く抑えることが可能となるので好ましい。当該噴射距離は、100~150mmであるとより好ましい。
【0019】
一方、ブラスト装置により中間排出シリコンウェハ表面に研磨材を噴射する際における噴射時間は、特に制限されないが、10~50秒の範囲内にすると、中間排出シリコンウェハ表面からの積層物の除去効率が良好なものとなるとともに、中間排出シリコンウェハの表層の損傷を低く抑えることが可能となるので好ましい。当該噴射時間は、20~40秒であるとより好ましい。加えて、中間排出シリコンウェハ表面に研磨材を噴射する際のカバレッジ(目視での処理面積(研磨材の衝突率))を100~300%に調整するのが好ましい。
【0020】
なお、上記した研磨材の噴射圧力、噴射距離は、研磨材の番手によって調整する必要がある。すなわち、番手の大きな研磨材(すなわち、粒径の小さな研磨材、概ね#1,000番手以上)を噴射する場合には、噴射圧力を高くし(概ね0.5MPa以上)、噴射距離を短くする(概ね150mm未満)必要があり、反対に、番手の小さな研磨材(すなわち、粒径の大きな研磨材)を噴射する場合には、噴射圧力を低くし、噴射距離を長くする必要がある。
【0021】
また、エアブラスト装置を用いて中間排出シリコンウェハの表面に研磨材(特に、炭化ホウ素)を噴射する際には、噴射する圧縮エア(あるいは、その他のガス)の温度を15℃以下にするのが好ましい。中間排出シリコンウェハ(すなわち、単結晶のシリコンウェハ)は、594K(すなわち、319℃)で結晶構造が変化し、特性が変化してしまう虞れがあるが、上記の如く圧縮エア(あるいは、その他のガス)の温度を15℃以下に制御することによって、研磨材が衝突する際の中間排出シリコンウェハの表面の温度上昇を抑制して中間排出シリコンウェハの結晶構造の変化を防止しつつ、中間排出シリコンウェハの表面を非常に均一に研磨することが可能となる。なお、噴射する圧縮エア(あるいは、その他のガス)の温度は、10℃以下であるとより好ましい。
【0022】
加えて、エアブラスト装置を用いて中間排出シリコンウェハの表面に研磨材(特に、炭化ホウ素)を噴射する際には、噴射する圧縮エア(あるいは、その他のガス)中の水蒸気が飽和しないように(すなわち、結露しないように)水分率(すなわち、湿度=水蒸気量/飽和水蒸気量×100)を低く制御するのが好ましい。圧縮エア中の水分率が高いと(すなわち、圧縮エアの温度において圧縮エア中の水分が飽和水蒸気量を上回っていると)、研磨材の噴射圧力の調整が難しくなる上、中間排出シリコンウェハの表面に研磨材が付着し易くなるので好ましくない。反対に、圧縮エア中の水分率が低くなりすぎ、30%未満に下ると、中間排出シリコンウェハの表面に研磨材を噴射する際に静電気が発生し易くなるので好ましくない。また、上記の如く、噴射する圧縮エア(あるいは、その他のガス)の温度・水分率を低く制御する方法として、冷却方式、すなわち、エアコンの除湿と同様に冷却して空気中の水分を結露させて除湿を行う方式を用いると、圧力下露点10℃程度の空気が得られるため、吸着方式やメンブレン方式に比べて、圧縮エアの温度・水分率を効率良く制御することができるので好ましい。
【0023】
さらに、中間排出シリコンウェハの表面エアブラスト装置を用いて中間排出シリコンウェハの表面に研磨材を噴射する際には、中間排出シリコンウェハの表面の上方で、噴射ノズルをスウィング(往復動)させるのが好ましいが、そのように噴射ノズルをスウィングさせる際には、中間排出シリコンウェハの表面の単位時間当たりの噴射時間に斑が生じないように、スウィング幅を、中間排出シリコンウェハの幅(通常、6インチ(15.24cm)~12インチ(30.48cm))よりも大きくするのが好ましい。一方、中間排出シリコンウェハの幅に比べてスウィング幅を大きくし過ぎると、研磨時間にロスが生じてしまうため、スウィング幅と中間排出シリコンウェハの幅との差を、50mm以上100mm以下(左右それぞれ、25mm以上50mm以下)に調整するのが好ましい。なお、上記の如く、噴射ノズルをスウィングさせる際には、先端が中間排出シリコンウェハの表面と平行な面内で移動するようにスウィングさせるのが好ましい。
【0024】
<研磨材(ブラスト材)>
一方、本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法で使用される研磨材としては、噴射して衝突させた積層物を除去可能な高い硬度を有するだけでなく、噴射して衝突させて積層物を除去する際に、基材であるシリコンウェハを研削してしまう事態を精度良く防止できるものを用いる必要がある。従来のブラスト処理における研磨材である炭化珪素(SiC、密度=3.2g/cm)や、酸化アルミニウム(Al、密度=4.3g/cm)等の比較的に高い密度を有する材質からなる研磨材を用いると、シリコンウェハ表面の積層物の除去に必要な噴射速度を得るために、噴射圧力を高くしなければならない。しかしながら、そのように噴射圧力を高めて噴射速度を上昇させると、研磨材が高密度であることに起因して、シリコンウェハの表面に衝突する際の衝突エネルギーが大きいものとなってしまい、積層物が除去されるのみでは止まらず、シリコンウェハが破損してしまう虞がある。また、研磨材の衝突によってシリコンウェハが発熱して使用できなくなる事態も発生する。それゆえ、本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法においては、研磨材として、密度が2.0g/cm以上3.0g/cm未満のものを用いることが必要である。
【0025】
一方、従来のブラスト処理の研磨材である炭化珪素(SiC)や酸化アルミニウム(Al)等の硬度は、除去すべき積層物の硬度に比べて十分に高いものではないため、炭化珪素や酸化アルミニウム等を研磨材として用いると、積層物を効率的に除去することが困難となり、除去に長時間を要したり、積層物を残らず除去することができずにシリコンウェハ表面に残存させたりしてしまう。そのような事態を回避すべく、研磨材の噴射速度を上昇させると、上記の如く、衝突エネルギーの上昇によって基材であるシリコンウェハの表面が研削される事態が生じてしまう。それゆえ、本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法においては、上記の如くシリコンウェハが研削される事態を効果的に防止するため、研磨材として、モース硬度が9以上11未満のものを用いることが必要である。
【0026】
したがって、本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法においては、積層物を残存させることなく綺麗に除去しつつ、シリコンウェハが研削される事態を効果的に防止するため、研磨材として、密度が2.0g/cm以上3.0g/cm未満であり、かつ、モース硬度が9以上11未満のものを用いる必要がある。そして、そのような研磨材としては、密度が2.51g/cmでありモース硬度が9.497(ミクロ硬さが約5,000kgf/mm)である炭化ホウ素(BC)を好適に用いることができる。炭化ホウ素は、比較的に高価であるものの、ブラスト処理の際に、噴射圧力を低く設定することを可能とし、短い処理時間での(すなわち、少ない研磨材の使用量での)積層物の除去を可能とするのみならず、基材であるシリコンウェハの損傷(研削)を効果的に防止することができる。
【0027】
加えて、研磨材の粒度(粒子の大きさ)は、特に限定されないが、♯150~♯10,000の粒度(約0.4μm~約70μmの平均粒子径)の範囲内に調整すると、積層物を効率的に除去することが可能となる上、基材であるシリコンウェハの損傷を効果的に防止することが可能となるため好ましい。研磨材の粒度(粒子の大きさ)は、#400~#7,000(平均粒子径=1.6μm~30μm)であるとより好ましく、#600~#5,000(平均粒子径=2.5μm~20μm)であると特に好ましい。
【0028】
さらに、本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法においては、上記の如き特定の研磨材を用いてブラスト処理を施す際に、研磨材の衝突による力を研磨材の衝突エネルギーを低減させる目的で、基材であるシリコンウェハと載置台(ブラスト処理時に中間排出シリコンウェハを載置する基台)との間に、シリコンウェハの裏面(積層物の非積層面)と当接するように、緩衝材を介在させるのが好ましい。かかる緩衝材としては、ゴム、シリコン樹脂や発泡樹脂からなる弾性を有するシートを好適に用いることができるが、ウレタンゴムからなるものを用いると、研磨材がシリコンウェハの表面に衝突する際に静電気が発生しにくくなり、研磨材がシリコンウェハの表面に付着する事態が起こりにくくなるので好ましい。また、緩衝材は、JIS K6253-3に準じた方法で測定した場合の硬さ(すなわち、デュロメーター(タイプA)で測定した場合の硬さ)が、20~90(弾性率=5~20MPa)であると、中間排出シリコンウェハ表面からの積層物の除去効率が良好なものとなるとともに、中間排出シリコンウェハの表層の損傷を低く抑えることが可能となるので好ましい。一方、緩衝材の厚さは、特に限定されないが、研磨材の衝突時の衝撃を十分に吸収・拡散するために、2.0mm以上であると好ましく、設置作業の容易性の観点から、7.0mm以下であると好ましい。2.0mm以上であると好ましく、設置作業の容易性の観点から、20.0mm以下であると好ましい。加えて、緩衝材の厚さは、8.0mm以上12.0mm未満であるとより好ましい。
【0029】
加えて、衝撃材は、単純な板状のもの(すなわち、表面全体(100%)が中間排出シリコンウェハの裏面と当接するもの)でも良いが、多数の貫通孔(直径が約3.0mm以下であるもの)を規則正しく均一に分布するように穿設したものや、所定の高さ(約3.0mm以下)の円柱状、角柱状、半球状、直方体状、扁平な中空の円柱状、扁平な中空の角柱状等の突起を規則正しく均一に分布するように突設したもの等を用いると、研磨材の衝突時に発生した熱を容易に外部に放出することができるようになり、冷却効率が良好なものとなるので好ましい。なお、そのように衝撃材を、多数の貫通孔や多数の突起を設けたものとする場合には、衝撃材の表面と中間排出シリコンウェハの裏面との当接比率を50%~80%程度に調整すると、研磨材の衝突時の衝撃緩衝効率・冷却効率ともに良好にすることができるので好ましい。
【0030】
また、本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法においては、シリコンウェハに対して上記の如き特定の性状を有する研磨材を用いたブラスト処理を施すものであるが、当該ブラスト処理を常温下で行うものでも良いし、剥離する積層物が軟化する常温より高い温度の雰囲気下で(たとえば、積層物のTg(ガラス転移点)~Tg+10℃程度の雰囲気下で)行うものでも良い。
【0031】
加えて、本発明に係る除去方法で中間排出シリコンウェハ表面の積層物を除去する際には、中間排出シリコンウェハ表面の表面粗さ(Ra)が0.5μm以下になるようにブラスト処理条件を調整するのが好ましく、0.4μm以下になるように調整すると、より好ましい。
【実施例0032】
以下、本発明に係る中間排出シリコンウェハ表面の積層物の除去方法について実施例によって詳細に説明するが、本発明は、それらの実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。また、実施例・比較例における物性、特性の評価方法は以下の通りである。
【0033】
<積層物の除去状態>
レジスト等の積層物を除去した後のシリコンウェハの表面を、電子顕微鏡により拡大(1,000倍)して目視により観察し、レジスト等の積層物の除去状態を、下記の4段階で官能評価した。なお、評価は、同一のシリコンウェハにおける異なる3点において行い、各評価の平均的な段階(◎,○,△,×)を最終的な評価とした。
◎:積層物の除去率が100%である(積層物が完全に除去されている)。
○:積層物の除去率が概ね60%以上100%未満である。
△:積層物の除去率が概ね20%以上60%未満である。
×:積層物の除去率が概ね20%未満である。
【0034】
<基材の損傷状態>
レジスト等の積層物を除去した後のシリコンウェハの表面を、電子顕微鏡により拡大(1,000倍)して目視により観察し、基材であるシリコンウェハの表面の損傷状態(研削状態)を、下記の4段階で官能評価した。なお、評価は、同一のシリコンウェハにおける異なる3点において行い、各評価の平均的な段階(○,△,×)を最終的な評価とした。
◎:基材の表面にまったく損傷が見られない。
○:基材の表面にほとんど損傷が見られない(小さな損傷がわずかに認められる)。
△:基材の表面が粗い、あるいは、基材の表面に微細なひび割れが認められる。
×:基材の表面に明確なひび割れが認められる。
【0035】
[実施例A-1]
中間排出シリコンウェハ(再生用シリコンウェハ)の積層物の積層面に、研磨材である粒度#220(平均粒径=51μm)でグリッド型の炭化ホウ素(BC)を、ブラスト装置を用いて、直径9.0mmφのノズルから、噴射圧力0.2MPa、噴射距離=120mmの噴射条件で、5秒間に亘って吹き付けることによって、ブラスト処理を実施した。なお、ブラスト装置としては、乾燥した研磨材を噴射する乾式で、かつ、研磨材のタンクから重力により落下した研磨材を圧縮空気に乗せて噴射する重力式のもの(エアブラスト装置)であり、処理対象である中間排出シリコンウェハを搬送手段であるコンベアによって一定の速度で搬送するものを使用した。また、中間排出シリコンウェハとしては、直径200mmのシリコンウェハの表面に酸化膜を蒸着し、その上にレジスト(フォトレジスト)を塗布してマスキングした後に、露光し、エッチングして回路パターンのベース(厚さ約0.3μm)を形成したものを、80mm×50mmの矩形状に裁断して用いた。
【0036】
また、上記の如く、ブラスト処理を実施する際には、エアドライヤーを通過させることによって圧縮空気の温度が13±2℃になるように調整するとともに、圧縮空気の水分率が40±5%になるように調整した。かかるブラスト処理によって積層物を除去した後の中間排出シリコンウェハの票面粗度(Ra)は、0.48μmであった。しかる後、その中間排出シリコンウェハを純水で洗浄して常温下で乾燥させた後に、上記した方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0037】
[実施例A-2]
ブラスト装置を用いて中間排出シリコンウェハに研磨材を吹き付ける際に、圧縮エアの温度・水分率の調整を行わなかった(なお、圧縮エアの温度・水分率は、それぞれ、23℃、55%であった)。そして、それ以外は実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0038】
[比較例A-1]
使用する研磨材を粒度♯220の炭化珪素(SiC)に変更した以外は、実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0039】
[比較例A-2]
使用する研磨材を粒度♯220の酸化アルミニウム(Al)に変更した以外は、実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0040】
[比較例A-3]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度♯220の炭化珪素(SiC)に変更し、噴射時間を60秒に変更した以外は、実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0041】
[比較例A-4]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度♯220の酸化アルミニウム(Al)に変更し、噴射時間を120秒に変更した以外は、実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0042】
[実施例B-1]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度#600(平均粒径=20μm)の炭化ホウ素(BC)に変更するとともに、噴射距離を100mmに変更し、噴射圧力を0.4MPaに変更し、噴射時間を30秒に変更した以外は、実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0043】
[比較例B-1]
使用する研磨材を粒度♯600の炭化珪素(SiC)に変更した以外は、実施例B-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0044】
[比較例B-2]
使用する研磨材を粒度♯600の酸化アルミニウム(Al)に変更した以外は、実施例B-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0045】
[比較例B-3]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度♯600の炭化珪素(SiC)に変更し、噴射時間を100秒に変更した以外は、実施例B-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0046】
[比較例B-4]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度♯600の酸化アルミニウム(Al)に変更し、噴射時間を150秒に変更した以外は、実施例B-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0047】
[実施例C-1]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度#3,000(平均粒径=5μm)の炭化ホウ素(BC)に変更するとともに、噴射距離を100mmに変更し、噴射圧力を0.6MPaに変更し、かつ、噴射時間を40秒に変更した以外は、実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0048】
[比較例C-1]
使用する研磨材を粒度♯3,000の炭化珪素(SiC)に変更した以外は、実施例C-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0049】
[比較例C-2]
使用する研磨材を粒度♯3,000の酸化アルミニウム(Al)に変更した以外は、実施例C-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0050】
[比較例C-3]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度♯3,000の炭化珪素(SiC)に変更し、噴射時間を120秒に変更した以外は、実施例C-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0051】
[比較例C-4]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度♯3,000の酸化アルミニウム(Al)に変更し、噴射時間を200秒に変更した以外は、実施例C-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0052】
[実施例D-1]
実施例A-1と同様な方法で中間排出シリコンウェハの裏面に研磨材を噴射する際に、中間排出シリコンウェハの裏面(積層物の非積層面)と、ブラスト装置の載置台(金属)との間に、緩衝材としてウレタンゴム製のシートを介在させるとともに、噴射圧力を0.3MPaに変更し、かつ、噴射時間を5秒に変更した。なお、ウレタンゴム製のシートとしては、JIS K6253-3に準じた方法で測定した場合の硬さが55で、厚さ約10.0mmのものを用いた。そして、それ以外は実施例A-1と同様にして、シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0053】
[実施例D-2]
中間排出シリコンウェハの裏面に研磨材を噴射する際に、中間排出シリコンウェハの裏面(積層物の非積層面)と、ブラスト装置の載置台(金属)との間に介在させる緩衝材を、JIS K6253-3に準じた方法で測定した場合の硬さが30で厚さ約10.0mmのシリコンゴム製のシートに変更した以外は実施例D-1と同様にして、シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0054】
[実施例E-1]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度#220(平均粒径=62μm)の炭化ホウ素(BC)に変更するとともに、噴射距離を150mmに変更し、噴射圧力を0.3MPaに変更し、噴射時間を3秒に変更した以外は、実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0055】
[実施例E-2]
中間排出シリコンウェハの裏面に噴射する研磨材を粒度#4,000(平均粒径=3μm)の炭化ホウ素(BC)に変更するとともに、噴射距離を150mmに変更し、噴射圧力を0.6MPaに変更し、噴射時間を50秒に変更した以外は、実施例A-1と同様にして、中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施し、純水で洗浄して常温下で乾燥させた。しかる後、実施例A-1と同様な方法で、積層物の除去状態および基材の損傷状態を評価した。評価結果を、研磨材の性状およびブラスト処理条件とともに表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1から、本発明(請求項1に係る発明)の要件を満たした実施例A-1,B-1,C-1,D-1,D-2,E-1,E-2の方法で中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施した場合には、積層物の除去状態、基材の損傷状態とも良好であることが分かる。また、実施例E-1,E-2の如く、中間排出シリコンウェハの裏面とブラスト装置の載置台との間に緩衝材を介在させた場合には、基材の損傷状態がきわめて良好であることが分かる。それに対して、本発明の要件を満たしていない比較例A-1~A-4,B-1~B-4,C-1~C-4の方法で中間排出シリコンウェハにブラスト処理を施した場合には、積層物の除去状態が不良であったり、基材の損傷状態が不良であったりすることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る中間排出シリコンウェハの積層物の除去方法は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、中間排出シリコンウェハを再利用するために中間排出シリコンウェハの表面から積層物を除去する方法として好適に用いることができる。