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特開2023-66432チューニング装置及びチューニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066432
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】チューニング装置及びチューニング方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20230509BHJP
【FI】
H02P29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177016
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】小林 永二
(72)【発明者】
【氏名】丸山 理
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA22
5H501BB09
5H501BB11
5H501DD01
5H501GG01
5H501GG05
5H501GG11
5H501JJ03
5H501JJ26
5H501LL22
5H501LL32
5H501LL38
5H501LL39
5H501LL47
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】モータアンプのチューニングを容易にするチューニング装置を提供する。
【解決手段】
チューニング部100は、制御パラメータ200に基づいて動作対象物を動作させてチューニングを行う。改善把握部110は、チューニング部100によりチューニングされた動作対象物の特性から改善すべき制御パラメータ200を把握する。改善提示部120は、改善把握部110により把握された改善すべき制御パラメータ200の対策案をユーザに提示する。さらに、改善提示部120は、対策によるメリット及びデメリットのいずれか又は両方をユーザに提示してもよい。改善実行部130は、改善提示部120による提示に基づいた指示を取得した場合に、対策された制御パラメータ200にてチューニング部100に再度のチューニングを行わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作対象物を動作させるモータの回転をフィードバック制御するモータアンプの制御パラメータをチューニングするチューニング装置であって、
前記制御パラメータに基づいて前記動作対象物を動作させてチューニングを行うチューニング部と、
前記チューニング部によりチューニングされた前記動作対象物の特性から改善すべき前記制御パラメータを把握する改善把握部と、
前記改善把握部により把握された改善すべき前記制御パラメータの対策案をユーザに提示し、対策によるメリット及びデメリットのいずれか又は両方をユーザに提示してもよい改善提示部と、
前記改善提示部による提示に基づいた指示を取得した場合に、対策された前記制御パラメータにて前記チューニング部に再度のチューニングを行わせる改善実行部とを備える
ことを特徴とするチューニング装置。
【請求項2】
前記チューニング部は、
最初のチューニングでは、基本的な前記制御パラメータでのチューニングを行い、
再度のチューニングでは、対策された前記制御パラメータでのチューニングを行う
ことを特徴とする請求項1に記載のチューニング装置。
【請求項3】
前記改善把握部は、
前記モータの回転の整定条件を満たしていない前記制御パラメータを改善すべきと把握する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のチューニング装置。
【請求項4】
前記整定条件は、
整定時間、リバウンド、振動レベル、及びオーバーシュートについて設定される
ことを特徴とする請求項3に記載のチューニング装置。
【請求項5】
基本的な前記制御パラメータは、
前記動作対象物がベルト機構であるか、ボールねじ機構であるかにより異なる値が設定される
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のチューニング装置。
【請求項6】
改善提示部は、
位置偏差振動を抑制したい場合、位置平滑フィルタの使用を有効にするよう提示し、
応答性を高めたい場合、目標整定時間パラメータを短かくするよう提示し、
オーバーシュートを無くしたい場合、オーバーシュート許容パラメータを許容しないよう提示し、
整定時の状態を安定させたい場合、位置決め完了範囲のパラメータを小さくするよう提示し、
動作を安定させたい場合、目標整定時間を長くするよう提示する
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のチューニング装置。
【請求項7】
動作対象物を動作させるモータの回転をフィードバック制御するモータアンプの制御パラメータをチューニングするチューニング装置により実行されるチューニング方法であって、
前記制御パラメータで前記動作対象物を動作させてチューニングを行い、
チューニングされた前記動作対象物の特性から改善すべき前記制御パラメータを把握し、
把握された改善すべき前記制御パラメータの対策案をユーザに提示し、対策によるメリット及びデメリットのいずれか又は両方をユーザに提示してもよく、
提示に基づいた指示を取得した場合に、対策された前記制御パラメータにて再度のチューニングを行う
ことを特徴とするチューニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、モータの回転をフィードバック制御するモータアンプの制御パラメータをチューニングするチューニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、動作対象物を動作させるモータの回転をフィードバック制御するモータアンプが存在する。このモータアンプでは、動作を調整するチューニングを行う必要がある。
たとえば、特許文献1には、電動機制御装置(モータアンプ)の制御パラメータ自動調整方法であって、自動調整した後、制御パラメータを用いて電動機(モータ)を繰返し動作させ、運転特性データが許容値範囲内であるかを判定する電動機動作確認運転を行い、許容値範囲を超える場合、先に保存した運転特性データから、機械特性が変化しても許容値範囲を超えにくくなる制御パラメータを探索し再設定を行う第1の再調整、または、機械特性が変化しても許容値範囲を超えにくくなるように調整条件を変更し再度自動調整を行う第2の再調整を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-19304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の自動的なチューニング方法では、実際にチューニングされた状態がユーザに好ましくないことがあった。
このような場合、サーボチューニング経験の浅いユーザでは、チューニングすることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても最適にチューニングすることを可能にして、上述の課題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係るチューニング装置は、動作対象物を動作させるモータの回転をフィードバック制御するモータアンプの制御パラメータをチューニングするチューニング装置であって、前記制御パラメータに基づいて前記動作対象物を動作させてチューニングを行うチューニング部と、前記チューニング部によりチューニングされた前記動作対象物の特性から改善すべき前記制御パラメータを把握する改善把握部と、前記改善把握部により把握された改善すべき前記制御パラメータの対策案をユーザに提示し、対策によるメリット及びデメリットのいずれか又は両方をユーザに提示してもよい改善提示部と、前記改善提示部による提示に基づいた指示を取得した場合に、対策された前記制御パラメータにて前記チューニング部に再度のチューニングを行わせる改善実行部とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、最適にチューニングすることが可能となる。
【0007】
本発明の一形態に係るチューニング装置は、前記チューニング部は、最初のチューニングでは、基本的な前記制御パラメータでのチューニングを行い、再度のチューニングでは、対策された前記制御パラメータでのチューニングを行うことを特徴とする。
このように構成することで、チューニングについてのノウハウを有しておらず、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、最適にチューニングすることができる。
【0008】
本発明の一形態に係るチューニング装置は、前記改善把握部は、前記モータの回転の整定条件を満たしていない前記制御パラメータを改善すべきと把握することを特徴とする。
このように構成することで、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、容易に制御パラメータを調整できる。
【0009】
本発明の一形態に係るチューニング装置は、前記整定条件は、整定時間、リバウンド、振動レベル、及びオーバーシュートについて設定されることを特徴とする。
このように構成することで、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、チューニング時に調整が必要な制御パラメータについて、適切に調整できる。
【0010】
本発明の一形態に係るチューニング装置は、基本的な前記制御パラメータは、前記動作対象物がベルト機構であるか、ボールねじ機構であるかにより異なる値が設定されることを特徴とする。
このように構成することで、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、より適切な条件で、初回のチューニングを行うことができる。
【0011】
本発明の一形態に係るチューニング装置は、改善提示部は、位置偏差振動を抑制したい場合、位置平滑フィルタの使用を有効にするよう提示し、応答性を高めたい場合、目標整定時間パラメータを短かくするよう提示し、オーバーシュートを無くしたい場合、オーバーシュート許容パラメータを許容しないよう提示し、整定時の状態を安定させたい場合、位置決め完了範囲のパラメータを小さくするよう提示し、動作を安定させたい場合、目標整定時間を長くするよう提示することを特徴とする。
このように構成することで、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、具体的に調整したい制御パラメータをチューニングすることができる。
【0012】
本発明の一形態に係るチューニング方法は、動作対象物を動作させるモータの回転をフィードバック制御するモータアンプの制御パラメータをチューニングするチューニング装置により実行されるチューニング方法であって、前記制御パラメータで前記動作対象物を動作させてチューニングを行い、チューニングされた前記動作対象物の特性から改善すべき前記制御パラメータを把握し、把握された改善すべき前記制御パラメータの対策案をユーザに提示し、対策によるメリット及びデメリットのいずれか又は両方をユーザに提示してもよく、提示に基づいた指示を取得した場合に、対策された前記制御パラメータにて再度のチューニングを行うことを特徴とする。
このように構成することで、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、最適にチューニングすることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、チューニングされた動作対象物の特性から改善すべきパラメータを把握して、対策案、対策によるメリット及びデメリットをユーザに提示し、提示に基づいた指示を取得した場合に、対策されたパラメータにて再度のチューニングを行わせることで、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、最適にチューニングすることが可能なチューニング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る制御システムXのシステム構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係るチューニング処理のフローチャートである。
図3図2に示すチューニング処理における改善提示の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態>
〔制御システムXの構成〕
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御システムXの構成について説明する。 制御システムXは、チューニング装置1、モータアンプ2、エンコーダ3、及びモータ4を含んで構成される。
【0016】
チューニング装置1は、モータアンプ2の制御パラメータ200をチューニングする装置である。チューニング装置1は、例えば、制御システムXについての設定を行うサービスマンや管理者や工場の従業員等のユーザが使用するノートブック等のPC(Personal Computer)、「2in1」やタブレット型の情報機器、スマートフォン、携帯電話、その他の専用端末等である。
チューニング装置1は、チューニング用のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」という。)が記憶部11にインストールされ、制御部10により実行されることで、このチューニングを行うように構成させてもよい。
本実施形態においては、チューニング装置1は、実際の作業工程で実動作させる際に使用する上位装置に代わって、モータアンプ2をテスト動作させる。このテスト動作の結果を取得し、制御パラメータ200のチューニングを行う。
【0017】
モータアンプ2は、エンコーダ3に接続され、モータ4の回転をフィードバック制御するサーボモータ用のサーボアンプ等の制御用デバイスである。
モータアンプ2とチューニング装置1との間は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、シリアル通信(RS-232C)、Bluetooth(登録商標)、IPネットワーク、EtherCAT等のフィールドネットワークで接続されている。一方、モータアンプ2とエンコーダ3との間は、例えば、専用線やシリアル通信線等で接続され、モータ4をサーボ駆動する電力も供給される。この電力は、エンコーダ3を介して、又は、直接、モータ4に供給される。
【0018】
本実施形態において、モータアンプ2は、モータ4のモータ制御の電流フィードバック値を用いて、動作対象物を駆動するシャフトのトルクを示すトルク値を算出することも可能である。
加えて、モータアンプ2は、エンコーダ3又はモータ4等から温度等の状態情報を取得することも可能である。
さらに、モータアンプ2は、他の上位装置からのデータリクエストに応答することも可能であってもよい。
【0019】
エンコーダ3は、モータの回転位置を取得するデバイスである。本実施形態では、エンコーダ3は、モータ4の回転軸に係るシャフトの回転位置の位置データを検出し、角度情報としてモータアンプ2に送信する。
【0020】
モータ4は、動作対象物を動作させるためのサーボモータ等である。モータ4は、モータアンプ2からの制御信号により、回転出力軸であるシャフトを回転させる。モータ4は、ロータ(rotor)、ベアリング(bearing)、ステータ(stator)、ブラケット(bracket)等を備える。
本実施形態において、モータ4により動作させられる動作対象物としては、ロボットアームのようなボールねじ機構、及びベルトコンベアのようなベルト機構が含まれる。これらの動作対象物の種類や周囲の環境等により、制動される際の挙動が異なるため、制御パラメータ200のチューニングが必要となる。
【0021】
次に、制御システムXの制御構成について説明する。
チューニング装置1は、制御部10、記憶部11、入力部12、及び表示部13を備える。
モータアンプ2は、位置指令フィルタ21、FF制御部22、FB制御部23、トルク調整部24、及び電流制御部25を備える。
【0022】
制御部10は、チューニング装置1の各部を制御する制御演算部である。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit、マイクロコントローラ)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。
本実施形態において、制御部10は、モータアンプ2から、角度情報やその他の各種センサの情報、及びトルク値等を取得し、チューニングを行うことが可能である。
【0023】
記憶部11は、一時データを保持するRAM(Random Access Memory)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の一時的でない記録媒体である。記憶部11には、本実施形態に係るチューニング用のアプリを含む制御プログラム及び各種データが格納されている。
【0024】
入力部12は、ユーザの指示を取得するキーボード、マウスやタッチパッド等のポインティングデバイス、タッチパネルである。入力部12は、アプリのGUI(Graphical User Interface)上で、制御パラメータ200についての入力値、チューニングの実行指示等を取得する。
【0025】
表示部13は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)等である。表示部13は、アプリのGUIの表示が可能である。
なお、入力部12及び表示部13は、タッチパネルディスプレイのように一体的に構成されていてもよい。
【0026】
位置指令フィルタ21は、チューニング装置1や実動作時の上位装置からの指令信号(コマンド、以下、単に「指令」という。)に対するフィルタ回路である。本実施形態において、位置指令フィルタ21は、例えば、位置の指令(位置指令)として、目標位置の角度等を取得した場合、その位置までの制動を平滑化し、モータ4を駆動させる信号を滑らかにする位置平滑フィルタを含む。位置指令フィルタ21は、この位置平滑フィルタの出力を、内部位置指令として出力する。
なお、この他にも、位置指令フィルタ21は、位置指令を平均化したり、最大の角速度でモータ4が駆動されないようにしたりするようなフィルタを含んでいてもよい。
【0027】
FF制御部22は、フィードフォワード(Feed Forward、以下「FF」ともいう。)制御を行う回路である。FF制御部22は、例えば、位置指令の角度まで、より高速に駆動されるように、現在の軸の角度に合わせて角度を追加又は減少させる等のフィードフォワード処理を行う回路である。この際、FF制御部22は、位置指令フィルタ21に連動して、制御量を変更してもよい。
【0028】
FB制御部23は、フィードバック(Feed Back、以下「FB」ともいう。)制御を行う回路である。FB制御部23は、エンコーダ3から取得された角度情報と、モータ4の電流フィードバック値とをフィードバック信号として取得し、これによる制御を行い、応答性を高める回路である。このFB制御部23は、FB制御を行うFB指令を出力する。
【0029】
トルク調整部24は、トルク制御を行う回路である。本実施形態において、トルク調整部24は、FB信号と内部位置指令から算出された位置偏差と、FF指令と、FB知とから算出されたトルク指令を基にトルク制御を行う。具体的には、トルク調整部24は、共振による振動を抑えるためのノッチフィルタを備える。トルク調整部24は、このノッチフィルタの出力を基に、トルクを調整する調整指令を出力する。
【0030】
電流制御部25は、トルク調整部24による調整指令により、モータ4へ負荷する電流を制御する回路である。
電流制御部25は、複数段階で負荷する電流を調整してもよい。
【0031】
なお、チューニング装置1の制御部10と記憶部11とがGPU内蔵CPUやチップ・オン・パッケージのように一体的に構成されていてもよい。
また、モータアンプ2のFF制御部22、FB制御部23、トルク調整部24、及び電流制御部25の一部又は任意の組み合わせについて、ソフトウェア的に構成されていてもよい。
さらに、モータアンプ2は、振動センサや他のセンサ等を内蔵していてもよい。
【0032】
次に、制御システムXの機能構成について説明する。
チューニング装置1の制御部10は、チューニング部100、改善把握部110、改善提示部120、及び改善実行部130を備える。
記憶部11は、制御パラメータ200、パラメータ設定210、及び改善メッセージ230を格納する。
【0033】
チューニング部100は、制御パラメータ200に基づいて、モータ4を制御して動作対象物を動作させ、エンコーダ3からの角度情報、トルク値、状態情報等を取得してチューニングを行う。
本実施形態において、チューニング部100は、最初(一回目)のチューニングでは、基本的な制御パラメータ200でのチューニングを行う。一方、チューニング部100は、再度(二回目以降)のチューニングでは、対策された制御パラメータ200でのチューニングを行う。この対策された制御パラメータ200は、改善提示部120により提示され、ユーザの指示により設定され、パラメータ設定210に格納されたパラメータ群が用いられてもよい。
ここで、本実施形態において、基本的な制御パラメータ200は、動作対象物がベルト機構であるか、ボールねじ機構であるかにより異なる値が設定されてもよい。
【0034】
改善把握部110は、チューニング部100によりチューニングされた動作対象物の特性から改善すべき制御パラメータ200を把握する。
本実施形態において、改善把握部110は、モータ4の回転の整定条件を満たしていない制御パラメータ200を改善すべきと把握することが可能である。具体的に、この整定条件は、整定時間、リバウンド、振動レベル、及びオーバーシュートについて設定されてもよい。
【0035】
改善提示部120は、改善把握部110により把握された改善すべき制御パラメータ200の対策案をユーザに提示する。この上で、改善提示部120は、対策によるメリット及びデメリットのいずれか又は両方をユーザに提示してもよい。
本実施形態において、改善提示部120は、この対策案として、位置偏差振動を抑制したい場合、位置平滑フィルタの使用を有効にするよう提示する。または、改善提示部120は、応答性を高めたい場合、目標整定時間パラメータを短かくするよう提示する。または、改善提示部120は、オーバーシュートを無くしたい場合、オーバーシュート許容パラメータを許容しないよう提示する。または、改善提示部120は、整定時の状態を安定させたい場合、位置決め完了範囲のパラメータを小さくするよう提示する。または、改善提示部120は、動作を安定させたい場合、目標整定時間を長くするよう提示する。
改善提示部120は、これらの提示を、アプリのGUIにて、表示部13に表示してもよい。
【0036】
改善実行部130は、改善提示部120による提示に基づいた指示を取得した場合に、対策された制御パラメータ200にてチューニング部100に再度のチューニングを行わせる。
【0037】
制御パラメータ200は、チューニングを行う必要があるモータアンプ2の各部の制御用のパラメータである。
位置指令フィルタ21用の制御パラメータ200は、位置平滑フィルタのオンオフ、平滑化の度合いの調整値等が設定可能である。この位置平滑フィルタを調整することで、位置偏差振動を抑制可能となる。
FF制御部22用の制御パラメータ200は、下流の制御についてのフィードフォワード(FF)成分の値を設定可能である。このFF成分の値を調整することで、軸が移動されすぎてしまうオーバーシュートを抑制するオーバーシュート許容パラメータを設定することが可能となる。また、FF成分の値は、位置決め完了範囲のパラメータにもなる。
FB制御部23用の制御パラメータ200は、制御系のフィードバック(FB)成分の調整用に、制御ゲインセットの値を設定可能である。この制御ゲインセットとしては、大まかなFB信号によるフィードバックの値を示す第一制御ゲイン、第一制御ゲインを調整する第二制御ゲイン、及びFB信号の速度及び加速度(積分要素)に関する積分ゲイン等を、一括して設定可能である。この制御ゲインセットは、位置決め完了範囲のパラメータ、目標整定時間パラメータとなる。
トルク調整部24用の制御パラメータ200は、少なくとも二つのトルクノッチフィルタのオンオフ、調整値等を設定可能である。
電流制御部25用の制御パラメータ200は、電流値の増幅度の値等であってもよい。
【0038】
パラメータ設定210は、制御パラメータ200の選択や変更に関する各種設定である。パラメータ設定210は、一回目にチューニングを行うための基本的な制御パラメータ200のセット、二回目以降にチューニングを行うための対策された制御パラメータ200のセット、設定が完了した制御パラメータ200のセット等を含む、このうち、基本的な制御パラメータ200のセットは、動作対象物がベルト機構であるか、ボールねじ機構であるかにより異なる値が設定されてもよい。
【0039】
加えて、パラメータ設定210は、チューニングによる整定条件についての設定を含む。この整定条件は、整定時間、リバウンド、振動レベル、オーバーシュートについての範囲の値を含む。また、チューニングによる位置決め完了範囲も設定される。これを基に、リバウンド及びオーバーシュートが判断されてもよい。さらに、振動レベルについては、FFT(Fast Fourier transform)等により、周波数毎の振動値の許容範囲が設定されてもよい。
さらに、パラメータ設定210は、繰り返し試行回数として、何回、整定条件を満たすまでのチューニングを行うか、又は、何回、設定範囲でのチューニングを行うか等についての設定を含んでいてもよい。
【0040】
改善メッセージ230は、改善提示部120により提示される、改善すべきパラメータの対策案、対策によるメリット及びデメリットに関するテキストデータや画像データ等である。
【0041】
〔チューニング処理〕
次に、図2及び図3により、本発明の実施の形態に係る制御システムXによるチューニング処理の説明を行う。
本実施形態に係るチューニング処理では、基本的には、二回以上のチューニングを行う。この際、一回目のチューニングでは、基本的な制御パラメータ200のセットを設定して、動作対象物を動作させてチューニングを行う。この際、チューニングされた動作対象物の特性から改善すべき制御パラメータ200を把握する。そして、把握された改善すべき制御パラメータ200についての対策案を提示する。本実施形態においては、対策によるメリット及びデメリットもユーザに提示する。この上で、改善が必要と判断された場合、提示に基づいた指示を取得する。これにより、対策された制御パラメータ200のセットにて再度のチューニングを行う。この再度のチューニングが終了した段階で一回目との比較結果及びそれぞれのメリット、デメリットを併せてユーザに提示する。これらのチューニング結果からユーザが選択することにより、パラメータ状態をユーザにとって最適な値に設定することができる。
本実施形態のチューニング処理では、主に制御部10が、記憶部11に格納された制御プログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、図2のフローチャートにより、本実施形態に係るチューニング処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0042】
(ステップS101)
まず、改善実行部130が、基本パラメータ設定処理を行う。
改善実行部130は、パラメータ設定210から、一回目のチューニング用の基本的な制御パラメータ200のセットを取得する。
ここでは、改善実行部130は、ベルト機構向けか、ボールねじ機構向けかについてユーザにGUIにて指示させ、指示に応じた制御パラメータ200のセットを取得する。すなわち、改善実行部130は、この指示を表示部13に表示し、入力部12からユーザの指示を取得する。
これらのセットは、例えば、以下の表1のようなものを使用可能である:
【0043】
【表1】
【0044】
(ステップS102)
ここで、チューニング部100が、チューニング処理を行う。
チューニング部100は、設定された制御パラメータ200のセットに基づいて動作対象物を動作させて、チューニングを行う。
チューニング部100は、初回(一回目)のチューニングでは、基本的な制御パラメータ200のセットによる基本条件でのテスト動作を実行する。この一回目のチューニングでは、この基本条件でのチューニングを実行することにより最低限のチューニングを実行する。
二回目以降の再度のチューニングの場合は、対策された制御パラメータ200のセットにてチューニングを行う。
【0045】
本実施形態においては、チューニング部100は、チューニングで調整している制御パラメータ200として、FB制御部23用に、制御ゲインセット制御系のフィードバック成分である第一制御ゲイン、第二制御ゲイン、積分ゲインを一括で設定し応答性を高める。
さらに、チューニング部100は、FF制御部22用に、フィードフォワード補償、制御におけるフィードフォワード成分を設定し、オーバーシュートを抑制する。
加えて、チューニング部100は、位置指令フィルタ21の位置平滑フィルタが使用される場合、位置指令入力を平滑化し信号を滑らかにする。
さらに加えて、チューニング部100は、トルクノッチフィルタが使用される場合、これを設定し、振動を抑える。
チューニング部100は、これらのチューニング時におけるテスト動作時の各種データ、例えば角度情報、トルク値、状態情報等の時系列データを、モータアンプ2から取得して記憶部11に格納する。
【0046】
(ステップS103)
次に、改善把握部110が、改善把握処理を行う。
改善把握部110は、テスト動作させた際のデータを解析する。これにより、改善把握部110は、チューニングされた動作対象物の特性から改善すべき制御パラメータ200を把握する。すなわち、一回目のチューニング結果で、課題等を判断して、二回目以降に改善すべき条件を把握する。二回目以降も同様である。
具体的には、改善把握部110は、モータ4の回転の整定条件を満たしていない制御パラメータ200を改善すべきと把握する。
【0047】
(ステップS104)
次に、改善提示部120が、改善提示処理を行う。
改善提示部120は、把握された改善すべき制御パラメータ200の対策案、対策によるメリット及びデメリットを、GUIにてユーザに提示する。ここでは、改善提示部120は、改善メッセージ230から適切なものを取得して、表示部13に表示する。
一回目のチューニングの際には、改善提示部120は、基本的な制御パラメータ200のセットで実行した際の対策案、メリット、及びデメリットをユーザに提示する。この対策案として、改善提示部120は、このようにすれば改善される、という改善点を対策案として示す。この際、改善提示部120は、この改善点が複数存在する場合には、複数の改善点を提示する。
二回目以降のチューニングの際には、改善提示部120は、一回目から前回までの比較結果、それぞれのメリット、及びデメリットを併せてユーザに掲示する。さらに、改善提示部120は、更なる対策案についても提示する。
【0048】
より具体的には、改善提示部120は、位置偏差振動があり、これを抑制したい場合、位置平滑フィルタの使用を有効にするよう提示する。または、改善提示部120は、応答性が低く、これを高めたい場合、目標整定時間パラメータを短かくする対策案を提示する。または、改善提示部120は、オーバーシュートがあり、これを無くしたい場合、オーバーシュート許容パラメータを許容しないようにする対策案を提示する。または、改善提示部120は、整定時の状態を安定させたい場合、位置決め完了範囲のパラメータを小さくする対策案を提示する。さらに、改善提示部120は、動作を安定させたい場合、目標整定時間を長くする対策案を提示する。
さらに、改善メッセージ230における、具体的な提案内容の一例について、下記の表2に示す:
【0049】
【表2】
【0050】
(ステップS105)
次に、改善把握部110が、整定条件を満たすか否かを判定する。
改善把握部110は、整定条件を満たしている場合に、Yesと判定する。
【0051】
ここで、図3の画面例300を参照して、整定条件について説明する。図3の画面例300では、整定条件として、応答波形に対する「チューニング判定基準」として、左下に、濃色線の箇所を範囲外としたグラフを示している。
より具体的には、本実施形態において、改善把握部110は、整定条件として、整定時間、リバウンド、振動レベル、及びオーバーシュートについて判定する。
このうち、「整定時間」は、位置指令又は内部位置指令の指令値が「0」になってから、位置決め完了範囲に収まるまでの時間が目標整定時間以内であることを示す。
「リバウンド」は、位置偏差が一度、位置決め完了範囲に収まってから範囲外にならないことを示す。この上で、リバウンドが発生した場合における、上述の整定時間は、リバウンド発生後に位置決め完了範囲に収まるまでの時間として算出される。具体的には、図3の「T」の長さで示されるように、目標整定位置決め範囲になった後、これを逸脱し、また戻るまでの時間を示す。
「振動レベル」は、動作中に発生するトルク指令値の振動成分の振幅が基準値以下であることを示す。
「オーバーシュート」は、位置偏差が「0」以下にならないことを示す。
【0052】
改善把握部110は、整定条件を満たす場合に、Yesと判定する。さらに、改善把握部110は、特定回以上、チューニングを行っても整定条件に至らなかった場合も、Yesと判定してもよい。改善把握部110は、更に、ユーザにより一回目又は二回目以降の制御パラメータ200のセットが選択された場合も、Yesと判定する。
改善把握部110は、それ以外の場合は、整定条件を満たさないとして、Noと判定する。ここで、通常、一回目のチューニングの場合、整定条件を満たさないことが多いため、必ずNoと判定してもよい。
Yesの場合、改善把握部110は、処理をステップS107に進める。
Noの場合、改善把握部110は、処理をステップS106に進める。これにより、改善把握部110は、モータ4の回転の整定条件を満たしていない制御パラメータ200を改善すべきと把握する。
【0053】
(ステップS106)
整定条件を満たさない等の場合、改善実行部130が、対策パラメータ設定処理を行う。
このため、改善実行部130は、改善提示部120による提示に基づいた指示を取得する。すなわち、改善実行部130は、GUIで指示を求めるダイアログボックス等を表示部13に表示し、対策された制御パラメータ200でのチューニングを行う指示を入力部12から取得する。
改善実行部130は、ユーザが改善必要と判断し、この指示を取得した場合には、チューニングの条件を変更するため、パラメータ設定210から、対策された制御パラメータ200のセットを取得する。
これにより、改善実行部130は、処理をステップS102に戻し、対策された制御パラメータ200にてチューニング部100に再度のチューニングを行わせる。なお、このチューニングは、整定条件を満たすか、チューニングの限界まで繰り返されてもよい。
【0054】
(ステップS107)
整定条件を満たす等の場合、改善実行部130が、パラメータ選択処理を行う。
改善実行部130は、整定条件を満たす制御パラメータ200のセットを設定が完了した制御パラメータ200のセットとして取得する。
この際、改善実行部130は、二回目以降のチューニングが終了した場合、GUIにて、チューニングの結果を提示し、ユーザに選択させる。これにより、ユーザにとって最適な値に、制御パラメータ200を設定することができる。
以上により、本発明の実施の形態に係るチューニング処理を終了する。
【0055】
〔本実施形態の主な効果〕
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、サーボモータの自動チューニング技術では、シンプルな条件設定では、チューニングを行うことが可能であるものの、実際にチューニングされた状態がユーザに好ましくないことがあった。すなわち、シンプルなチューニング条件では、特定の使用環境下ではパラメータの最適化は実現することができても、他の使用環境ではパラメータの最適化を実現できないことがあった。
【0056】
このため、設定可能な条件をすべて実行し、その結果から最終的に、ユーザが使用するパラメータ条件を設定することも考えられる。しかしながら、このように構成した場合、チューニング時間が長くなっていた。この場合でも、ユーザは複数のチューニング結果から最適なパラメータ条件を選択する必要があった。
実際のところ、幅広い使用環境において最適なパラメータを設定するためには、チューニング条件が複雑化する。このため、チューニングに関するサーボチューニング経験の浅いユーザでは、最適なパラメータ条件を選択することが困難であるという問題があった。
【0057】
これに対して、本実施形態に係るチューニング装置1は、動作対象物を動作させるモータ4の回転をフィードバック制御するモータアンプ2の制御パラメータ200をチューニングするチューニング装置であって、制御パラメータ200に基づいて動作対象物を動作させてチューニングを行うチューニング部100と、チューニング部100によりチューニングされた動作対象物の特性から改善すべき制御パラメータ200を把握する改善把握部110と、改善把握部110により把握された改善すべき制御パラメータ200の対策案、対策によるメリット及びデメリットをユーザに提示する改善提示部120と、改善提示部120による提示に基づいた指示を取得した場合に、対策された制御パラメータ200にてチューニング部100に再度のチューニングを行わせる改善実行部130とを備えることを特徴とする。
【0058】
このように構成し、対策案、対策によるメリット及びデメリットをユーザに提示することで、ユーザの必要とする状況で、ユーザにとって迷いなく、最適な制御パラメータ200を設定することができる。すなわち、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、簡単な指示だけで、最適な制御パラメータ200の状態に設定することができる。このため、チューニングに係る手間や労力を削減でき、ユーザの負担も削減できる。
【0059】
本実施形態に係るチューニング装置1において、チューニング部100は、最初のチューニングでは、基本的な制御パラメータ200でのチューニングを行い、再度のチューニングでは、対策された制御パラメータ200でのチューニングを行うことを特徴とする。
このように構成し、自動的なチューニングを二回以上実行することで、シンプルな条件設定及び判断のみで、ユーザにとっての最適なパラメータまで調整が可能となる。この上で、対策された条件では、ユーザにとって必ずしも最適でなかった場合でも、別の条件を選ぶことができる。このため、サーボチューニングについての経験の浅いユーザであっても、最適な制御パラメータ200に調整できる。
【0060】
本実施形態に係るチューニング装置1において、改善把握部110は、モータ4の回転の整定条件を満たしていない制御パラメータ200を改善すべきと把握することを特徴とする。
このように構成することで、具体的な基準に応じて制御パラメータ200の対策について提示することが可能となり、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても容易に制御パラメータ200を調整できる。
【0061】
本実施形態に係るチューニング装置1において、整定条件は、整定時間、リバウンド、振動レベル、及びオーバーシュートについて設定されることを特徴とする。
このように構成することで、チューニング時に調整が必要な制御パラメータ200について、適切に調整できる。この上で、この結果をユーザに提示して、改善を提案することができる。
【0062】
本実施形態に係るチューニング装置1において、基本的な制御パラメータ200は、動作対象物がベルト機構であるか、ボールねじ機構であるかにより異なる値が設定されることを特徴とする。
このように構成することで、チューニングのパターンとして、より適切な条件で、初回のチューニングを行うことができる。よって、基本的なチューニング条件の設定でも、長年培ったノウハウを基に調整するのと同様な、最適な制御パラメータ200に設定することができる。
【0063】
本実施形態に係るチューニング装置1において、改善提示部120は、位置偏差振動を抑制したい場合、位置平滑フィルタの使用を有効にするよう提示し、応答性を高めたい場合、目標整定時間パラメータを短かくするよう提示し、オーバーシュートを無くしたい場合、オーバーシュート許容パラメータを許容しないよう提示し、整定時の状態を安定させたい場合、位置決め完了範囲のパラメータを小さくするよう提示し、動作を安定させたい場合、目標整定時間を長くするよう提示することを特徴とする。
このように構成することで、サーボチューニング経験の浅いユーザであっても、具体的に調整したい制御パラメータ200をチューニングすることができる。
【0064】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施形態においては、チューニング装置1と、モータアンプ2とを別々の装置として構成する例について記載した。
しかしながら、モータアンプ2とチューニング装置1とが一体的に構成されてもよい。この場合、例えば、他のPC等から、ネットワーク、RS-232C等にて、モータアンプ2に内蔵されるHTTPサーバや専用チューニングアプリにアクセスするようにしてもよい。
これにより、特別な装置を用意せずに、上述の実施形態に係るチューニング装置1と同等の機能を実現することができる。
【0065】
上述の実施形態では、GUIを用いたチューニングを行うように記載した。
しかしながら、チューニング時に、結果をプリンターで出力する等、GUIを用いない方式も可能である。
【0066】
上述の実施形態においては、整定条件に至るまでチューニングを行うように記載した。
しかしながら、初回のチューニング時等には、整定条件に近い条件になる程度までチューニングを行って、この上で、改善を提示するようにしてもよい。
このように構成することで、より素早くチューニングを行うことが可能となる。
【0067】
上述の実施形態においては、ユーザにより複数回チューニングにおける制御パラメータ200のセットを選択する例について記載した。
しかしながら、整定条件における各結果をみて、チューニング装置1により、「こちらをお勧めします」等と提案したり、自動的に選択したりするように構成してもよい。
このように構成することで、よりサーボチューニング経験の浅いユーザを迷わせずにチューニングすることが可能となり、ユーザビリティーを向上させることができる。
【0068】
上述の実施形態においては、二回以上のチューニングを行う例について記載した。
しかしながら、一回目のチューニングで、整定条件を満たし、ユーザが了承したような場合には、一回だけのチューニングで制御パラメータ200を設定してもよい。
このように構成することで、ユーザの必要性に応じたチューニングを行うことができる。また、基本的なチューニングだけをしておいて、他の機器との関係性でより詳細なチューニングを行いたいといった場合には、複数回チューニングを行うとことも可能である。
【0069】
なお、上述の実施形態においては、チューニングについての最適化を行う例について記載した。
しかしながら、エージング等、他にも自動的に制御パラメータの設定が必要な工程について、同様の処理を行うことも可能である。
【0070】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 チューニング装置
2 モータアンプ
3 エンコーダ
4 モータ
10 制御部
11 記憶部
12 入力部
13 表示部
21 位置指令フィルタ
22 FF制御部
23 FB制御部
24 トルク調整部
25 電流制御部
100 チューニング部
110 改善把握部
120 改善提示部
130 改善実行部
200 制御パラメータ
210 パラメータ設定
230 改善メッセージ
300 画面例
X 制御システム
図1
図2
図3