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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066455
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】美容機器管理システムおよび美容機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/20 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A61B18/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177056
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】520449057
【氏名又は名称】株式会社Dr.Visea
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】吉永 建
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 鷹海
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026AA10
4C026DD03
4C026DD06
4C026GG02
4C026GG07
(57)【要約】
【課題】 美容機器の使用状況を適切に管理する美容機器管理システムを提供する。
【解決手段】 美容機器管理システムは、美容機器と、美容機器にネットワークを介して接続された管理サーバ10とを備えた美容機器管理システムであって、美容機器は、施術を行う際に施術に関するパラメータを入力する入力部と、美容機器で発生した電流値又は電力値を測定するセンサと、施術に関するパラメータおよび電流値又は電力値のデータを管理サーバに送信する通信インターフェイスとを備え、管理サーバ10は、美容機器から送信された施術に関するパラメータおよび電流値のデータを受信する通信インターフェイス17と、施術に関するパラメータおよび電流値のデータを記憶する記憶部16と、電流値が所定の基準を満たす期間を検知する制御部13と、制御部13にて検知した期間における施術に関するパラメータを記憶部16から読み出して表示する表示部12とを備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容機器と、前記美容機器にネットワークを介して接続された管理サーバとを備えた美容機器管理システムであって、
前記美容機器は、
施術を行う際に施術に関するパラメータを入力する入力部と、
前記美容機器で発生した電流値又は電力値を測定するセンサと、
前記施術に関するパラメータおよび前記電流値又は電力値のデータを前記管理サーバに送信する通信インターフェイスと、
を備え、
前記管理サーバは、
前記美容機器から送信された前記施術に関するパラメータおよび前記電流値又は電力値のデータを受信する通信インターフェイスと、
前記施術に関するパラメータおよび前記電流値又は電力値のデータを記憶する記憶部と、
前記電流値または前記電力値が所定の基準を満たす期間を検知する検知部と、
前記検知部にて検知した期間における前記施術に関するパラメータを前記記憶部から読み出して表示する表示部と、
を備える美容機器管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、
前記電流値または電力値の閾値を入力する入力部を備え、
前記検知部は、前記閾値を超える電流値または電力値の期間を検知する請求項1に記載の美容機器管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、
前記電流値または電力値の閾値と、継続時間を示す第2の閾値とを入力する入力部を備え、
前記検知部は、前記閾値を超える電流値または電力値が前記第2の閾値にわたって継続した期間を検知する請求項1に記載の美容機器管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバの前記表示部は、前記施術に関するパラメータの履歴と前記電流値または前記電力値の推移を示すグラフとを連動して表示する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の美容機器管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、
前記検知部にて、前記所定の基準を満たす期間を検知したときに、検知したことを示すメッセージを出力する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の美容機器管理システム。
【請求項6】
施術を行う際に施術に関するパラメータを入力する入力部と、
美容機器で発生する電流値又は電力値を測定するセンサと、
前記施術に関するパラメータおよび前記電流値又は電力値のデータを管理サーバに送信する通信インターフェイスと、
を備える美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容機器を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
美容業界において使用される美容機器は高額であることが多い。高額の美容機器を購入することは、自己資金の準備が困難である美容サロンにとっては負担が大きく、また、機器を購入したものの投資対効果がなかった、などのリスクがある。そこで、美容機器のレンタル会社が参入することで、美容サロンの負担が抑えられ、また、気軽に最新の機器を使用できる等のメリットがある。また、チェーン展開している美容サロンにおいては、チェーン店の美容サロンに美容機器を貸し出すこともある。このように、美容業界では、美容機器がレンタルまたはリースされることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-168311
【特許文献2】特表2020-519051
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レンタル等がされた美容機器を用いて美容サロンで施術を行う場合、美容機器を適正に使用してもらうことが大切である。一般的に、美容機器を借りる側は、なるべく長時間美容機器を使用したいニーズがあるが、美容機器を酷使すると早く故障してしまう。また、美容機器の使い方が適切でないと、例えば、被施術者にやけどを負わせてしまうなどのリスクもある。
【0005】
美容機器を遠隔地のサーバとネットワークで接続することが知られている。例えば、先行文献1は、人の手を介さないロボット型脱毛装置に関する発明であり、脱毛装置と店舗サーバと本店サーバをネットワークで連結し、系列店舗の遠隔操作を可能にすることを開示している。
【0006】
先行文献2は、通信および電力インターフェイスを含む美容機器システムの発明を開示している。美容機器のメインユニットと着脱可能ユニットには各々インターフェイスが搭載されており、外部のデバイスまたはネットワークと通信する。
【0007】
上記した従来の発明では、ネットワークによって美容機器と接続しているが、美容機器の適正な使用に着眼したものではなかった。美容機器から収集した操作ログを解析することも可能であるが、多数の美容機器からの膨大な操作ログをやみくもに解析することは現実的ではない。
【0008】
そこで、本発明は上記背景に鑑み、美容機器の使用状況を適切に管理することが可能な美容機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の美容機器管理システムは、美容機器と、前記美容機器にネットワークを介して接続された管理サーバとを備えた美容機器管理システムである。前記美容機器は、施術を行う際に施術に関するパラメータを入力する入力部と、前記美容機器で発生した電流値又は電力値を測定するセンサと、前記施術に関するパラメータおよび前記電流値又は電力値のデータを前記管理サーバに送信する通信インターフェイスとを備える。前記管理サーバは、前記美容機器から送信された前記施術に関するパラメータおよび前記電流値又は電力値のデータを受信する通信インターフェイスと、前記施術に関するパラメータおよび前記電流値又は電力値のデータを記憶する記憶部と、前記電流値または前記電力値が所定の基準を満たす期間を検知する検知部と、前記検知部にて検知した期間における前記施術に関するパラメータを前記記憶部から読み出して表示する表示部とを備える。
【0010】
美容機器に備えられたセンサで取得した電流値または電力値が所定の基準を満たす期間を検知し、当該期間における施術に関するパラメータを表示することにより、不適切な操作の有無を容易にチェックすることができる。
【0011】
本発明の美容機器管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記電流値または電力値の閾値を入力する入力部を備えてもよい。それに伴い、前記検知部は、前記閾値を超える電流値または電力値の期間を検知してもよい。また、前記管理サーバは、前記電流値または電力値の閾値と、継続時間を示す第2の閾値とを入力する入力部を備えてもよい。それに伴い、前記検知部は、前記閾値を超える電流値または電力値が前記第2の閾値にわたって継続した期間を検知してもよい。
【0012】
このように電流値または電力値が閾値を超える場合、あるいはその状態が第2の閾値にわたって継続する場合には、不適切な操作を行っている可能性がある。本発明によれば、これらを検知するための閾値を設定可能なので、美容機器に応じて適切な値を設定し、不適切な操作の発見に役立てることができる。
【0013】
本発明の美容機器管理システムにおいて、前記管理サーバの前記表示部は、前記施術に関するパラメータの履歴と前記電流値または前記電力値の推移を示すグラフとを連動して表示してもよい。
【0014】
この構成により、電流値または電力値の推移のグラフから不適切な操作がありそうな場所を容易に見つけることができ、対応する期間において、施術に関するパラメータを精査できる。したがって、不適切な操作の把握と解析を短時間で行うことができる。
【0015】
本発明の美容機器管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記検知部にて、前記所定の基準を満たす期間を検知したときに、検知したことを示すメッセージを出力してもよい。
【0016】
この構成により、メッセージをきっかけとして不適切な操作がなかったかを調査することができる。
【0017】
本発明の美容機器は、施術を行う際に施術に関するパラメータを入力する入力部と、美容機器で発生する電流値又は電力値を測定するセンサと、前記施術に関するパラメータおよび前記電流値又は電力値のデータを管理サーバに送信する通信インターフェイスとを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、美容機器の使用状況を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】美容機器管理システムの全体構成を示す図である。
図2】(a)脱毛装置の外観を示す図である。(b)脱毛装置の構成を示す図である。
図3】施術パラメータの入力画面の例を示す図である。
図4】管理サーバの構成を示す図である。
図5】管理画面の例を示す図である。
図6】操作ログ表示画面の例を示す図である。
図7】美容機器管理システムの動作を示すフローチャートである。
図8】操作異常一覧画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施の形態の美容機器管理システムについて図面を参照して説明する。本実施の形態では、美容機器として脱毛装置を取り上げて説明するが、本発明は、脱毛装置に限らず、例えば、HIFUなどの美容機器の管理にも用いることができる。
【0021】
図1は、実施の形態の美容機器管理システム1の構成を示す図である。
本実施の形態の美容機器管理システム1は、管理サーバ10と複数の脱毛装置20とがネットワークで接続されて構成されている。例えば、レンタル会社が管理サーバ10を運用することにより、レンタル中の複数の脱毛装置20を一括管理できる。ネットワークは、有線または無線のいずれでもよい。
【0022】
図2は、脱毛装置20の構成を示す図であり、(a)は脱毛装置20の外観を示し、(b)は脱毛装置20の内部構成を示す。脱毛装置20は、ケーシング21と、そのケーシング21の表面に取り付けられた操作部22と、脱毛の施術を受ける被施術者の皮膚に当てて脱毛を行うハンドピース23とを備えている。
【0023】
ケーシング21は、縦長に形成された中空の筐体からなり、その底面には4個の移動用のキャスター24が取り付けられている。操作部22は、電源をON/OFFする電源スイッチ25と、緊急時に脱毛装置20の動作を緊急停止させる緊急停止スイッチ26と、操作パネル27等によって構成されている。操作パネル27は、カラー液晶タッチパネルディスプレイであり、主電源及びハンドピース23の操作以外の操作も行うことができる。操作パネル27は、施術に関するパラメータ(以下、「施術パラメータ」という。)の入力を受け付ける機能、および、脱毛装置20の運転状況を表示する等の機能を有している。操作パネル27は、ケーシング21の正面上部に適宜角度だけ傾斜させた状態で配設されている。
【0024】
図3は、操作パネル27に表示される施術パラメータの入力画面の例を示す図である。図3に示す例は、SHR脱毛のパラメータを設定する画面である。SHR脱毛とは、毛を作る指令を出している「バルジ領域」に対してダメージを与える脱毛方式であり、毛の太さ・濃さに関係なく色素の薄い産毛、金髪、白髪などに対しても効果が高い方式である。
【0025】
操作パネル27は、施術パラメータとして、「ジュール数」、「周波数」、「パルス幅」、「ショット数」の入力を受け付ける。「ジュール数」は脱毛マシンにおけるレーザーの出力値を表す値であり、「周波数」は1秒間に何回照射するかの頻度の設定値であり、「パルス幅」はレーザーを照射する時間であり、「ショット数」は施術時に発光する光の回数のことである。「ショット数」と「周波数」から施術時間が求まる。1ショットは1.5cm×5cmの範囲で脱毛の光を当てることをいう。なお、施術のパラメータは、上記で説明した4つに限られず、施術内容に応じて様々なパラメータを用いることができる。
【0026】
この入力画面では、画面の下にあるテンキーBにより、施術パラメータの入力を受け付ける。すなわち、顧客は、入力すべきパラメータの項目をタッチした後に、テンキーBを使って数値を入力する。画面中央の領域Aには、設定したパラメータに対応する発光タイミングのイメージが表示される。このイメージにより、施術者は、発光の頻度および照射時間などを視覚的に理解できる。数値を設定した状態で、画面の右下のボタンCを押すことにより、入力されたパラメータが確定する。
【0027】
なお、肌色、毛色、毛の太さなどによって、ジュール数、周波数、パルス幅、ショット数のパラメータの適切な組み合わせは異なる。一般的に、エネルギーが高まるに従って脱毛効果は高くなるが、それに伴い、痛みや火傷などが生じるリスクが高くなる。
【0028】
ハンドピース23は、操作パネル27で入力された施術パラメータに従って発光する。これは、被施術者の皮膚にあてて施術を行うパーツである。図2に示す例ではハンドピース23は2つある。これは出力パワーの異なるものであってもよいし、一方を休ませる目的のために設けられた同じハンドピース23であってもよい。また、この脱毛装置20に脱毛以外の効果が搭載されている場合には、他の機能を出力するハンドピース23であってもよい。
【0029】
また、脱毛装置20は、図2(b)に示すように、制御部28と、記憶部29と、通信インターフェイス30と、電流センサ31と、水位センサ32と、温度センサ33と、故障検知部34とを備える。制御部28は、操作部22やハンドピース23を制御する機能を有する。記憶部29は、操作部22にて設定された施術に関するパラメータのデータや、電流センサ31で検知した電流値のデータ等を記憶する。電流センサ31は、電源からハンドピース23や制御部28への電源ライン上に設けられ、脱毛装置20で発生する電流値を測定する機能を有する。電源ラインを通る電流値は、脱毛装置20の稼働状況によって変動する。例えば、待機中には0.5mAの電流が流れ、稼働中にはその稼働状況に応じて0.5mA以上の電流が流れる、といった具合である。
【0030】
通信インターフェイス30は、ネットワークを介して管理サーバ10と通信する機能を有する。通信インターフェイス30は、記憶部29に記憶された施術パラメータや電流値のデータなどを管理サーバ10に送信する。通信インターフェイス30は、故障検知部34にて検知した脱毛装置20の故障を示すエラーメッセージを管理サーバ10に送信することとしてもよい。
【0031】
水位センサ32は、脱毛装置20が備える冷却水タンクの水位を測定するセンサである。脱毛装置20は、施術中に高温になりやすいため、装置を冷却するための冷却水を貯留するタンクを有している。温度センサ33は、脱毛器の温度上昇を感知する。脱毛装置20が高温となった場合は、故障の原因や被施術者の火傷などの原因となるので、温度を管理するために温度センサ33を備えている。故障検知部34は、脱毛装置20の故障を検知する機能を有する。故障検知部34は装置の故障を検知し、検知した故障内容を示すエラーコードを操作パネル27に表示すると共に、通信インターフェイス30を通じてエラーコードを管理サーバ10に送信する。
【0032】
図4は、管理サーバ10の構成を示す図である。管理サーバ10は、入力部11と、表示部12と、制御部13と、記憶部16と、通信インターフェイス17と、を有する。入力部11は、管理サーバ10のユーザから各種のデータの入力を受け付ける機能を有する。入力部11は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。表示部12は、各種のデータを表示する機能を有し、例えば、ディスプレイである。
【0033】
制御部13は、管理サーバ10の全体の制御を行う。制御部13は、脱毛装置20の管理データの画面データを生成する管理画面生成処理14、および、電流値のデータから操作異常を検知する操作異常検知処理15を行う。この処理については後述する。制御部13は、このほか、例えば、入力部11から入力されたデータにしたがってデータの検索を行ったり、画面の制御を行ったりする機能も有する。
【0034】
記憶部16は、ネットワークで接続された複数の脱毛装置20の管理データを記憶する。管理データは、例えば、レンタル先の顧客データや被施術者のデータ、レンタルしている脱毛装置20のID、機種、レンタル期間等である。また、記憶部16は、各脱毛装置20から送信された施術パラメータの履歴データおよび電流値のデータを、脱毛装置20の機器のIDに関連付けて記憶する。
【0035】
制御部13は、脱毛装置20の電流値のデータに基づいて、脱毛装置20の操作異常を検知する操作異常検知処理15を行う。ここで、「操作異常」は、機器の動作範囲内での使用であるため、機器自体の異常ではないが、被施術者にやけどをさせるおそれのある操作や機器の故障につながるおそれのある操作などである。どのような操作を操作異常とするかは運用者が決めることができる。上記のような操作異常は、施術パラメータの設定の履歴を逐一解析すれば発見することができる。しかし、多数の脱毛装置20から送信されてくる膨大な施術パラメータをやみくもに解析することは現実的ではない。本発明者らは、問題を引き起こす可能性のある操作異常と、電流値が所定の閾値より高い状況や、電流値が高い状態が所定時間継続する状況とに関連があることを見出し、電流値の推移によって操作異常を検知する構成を採用した。また、表示部12は、制御部13にて検知した期間における施術パラメータを記憶部16から読み出して表示する。
【0036】
本実施の形態の美容機器管理システム1では、制御部13は、電流値の履歴が所定の基準を満たすときに操作異常であると判定する。本実施の形態で用いる所定の基準は、(1)電流値が所定の閾値(例えば、2mA)を超えたとき、(2)電流値が所定の閾値(例えば1.5mA)を超えた状態が所定時間(例えば30分間)継続したとき、の2つである。制御部13は、脱毛装置20から受信した電流値の履歴データがこれらの判断基準を満たすか否かを判定し、判断基準を満たすときに操作異常を検知し、操作異常が起きた期間を特定する。なお、(2)の判断基準においては、操作異常が起きた期間は、所定時間継続した施術を行ったその期間である。例えば、16時に施術が開始して16時50分まで施術を行った場合、閾値が30分間とすると、16時30分の時点で(2)の基準を満たすことになるが、操作異常が起きた期間は、16時から16時50分となる。
【0037】
上述した所定の基準を決める閾値は、入力部11から入力することができる。例えば、(1)に関しては、操作異常であると判定する閾値(危険閾値)の入力を受け付ける。(2)に関しては、稼働閾値、連続稼働時間閾値の入力を受け付けることができる。稼働閾値は、脱毛装置20にて施術を行っているときのアンペア数で、指定したアンペア数以上の電流値が計測されたときに、施術を行っているとみなす。連続稼働時間閾値は、脱毛装置20が連続施術している際、注意の目安とされる動作時間である。
【0038】
制御部13は、記憶部16に記憶された管理データを編集して、管理画面データを生成する管理画面生成処理14を行う。
図5は、管理画面の例を示す図である。管理画面は、上段に、脱毛装置20ごとの稼働実績を示す一覧が表示される。図5に示すように、脱毛機器の「機器ID」、「機種名」、「顧客名」、「前日合計施術時間」、「前日連続施術時間」、「現在の稼働状況」、「詳細」が表示される。この一覧表には、前日の稼働時間の長かった脱毛装置20から順にデータが掲載される。稼働時間が長い方が、被施術者や脱毛装置20に負担のかかる不適切な操作を行っている可能性が高いので、稼働時間が長い順に表示することとしている。
【0039】
「現在の稼働状況」の欄には、閲覧時のリアルタイムの稼働状況が表示される。稼働状況は、「稼働中」「待機中」「停止中」のいずれである。「稼働状況」は、脱毛装置20から送信される電流値に基づいて、判断することができる。すなわち、電流値が0であれば「停止中」であり、電流値が待機電流の値(例えば0.5mA)であれば「待機中」であり、待機電流値を超える電流値であれば「稼働中」である。本実施の形態では、電流値のデータを取得しているので、操作ログだけからは判断ができない待機中のステータスも確認することができる。「詳細」の欄には、該当する脱毛装置20の操作ログ表示画面へ遷移するためのボタンが表示されている。
【0040】
図5に示す管理画面は、下段に、一覧に掲載された各脱毛装置20に対応する電流値推移のグラフのサムネイルが表示される。これによりユーザは、グラフのサムネイルをみて、操作異常がありそうかを容易に把握できる。
【0041】
図6は、操作ログ表示画面の例を示す図である。図5に示す管理画面の「詳細」欄にあるボタンをクリックすることで遷移する遷移先の画面であり、指定された脱毛装置20の操作ログが表示される。この例では、「〇〇〇店」の「クリアスキンネオ」「C1234」の操作ログが表示されている。操作ログの表示期間は、2021年10月5日~9日の5日間である。
【0042】
操作ログ画面では、上段に操作ログが表示され、下段に電流値の推移グラフが表示される。操作ログは、施術を行ったときの施術パラメータのデータであり、施術の開始時刻に関連付けて、施術パラメータのデータが表示されている。施術パラメータとして、「ジュール数」、「周波数」、「パルス幅」、「発光カウント数」が表示される。ここで、「発光カウント数」は、施術者が設定した値ではなく、脱毛装置20の発光数が蓄積してカウントされた値である。管理サーバ10では、レンタルした脱毛装置20がトータルでどれだけ使用されたかを把握することができる。
【0043】
操作ログは、施術開始時刻の順にソートして表示されている。図6では、10月7日の操作ログが時刻の古い方から順に表示されている。操作ログの一覧ウィンドウにはスクロールバーが設けられており、スクロールによって表示させる操作ログを変更できる。ユーザは、スクロールバーを上にスクロールすれば、10月5日、6日の操作ログを表示でき、下にスクロールすれば、10月8日、9日の操作ログを表示できる。
【0044】
操作ログ画面の下段の電流値の推移グラフは、縦軸が電流値、横軸が時間を表す。電流値の推移グラフには、網掛けがなされている部分があるが、これは操作ログ一覧に表示された時間帯を示している。この例では、10月7日14:32の施術開始時刻~10月7日20:04から開始される施術の終了時刻に網掛けがなされる。この網掛けはドラッグすることにより移動することができる。一覧に表示される操作ログと電流グラフの網掛け部分は連動しており、網掛けの位置を移動すると操作ログ一覧の表示範囲が変わる。逆にスクロールバーを移動することで一覧の表示範囲を変更すれば、それに伴って網掛けの位置は変わる。
【0045】
電流値の推移のグラフ上には、操作異常があった場所を示す「!」マークMが表示されている。施術パラメータの履歴の一覧と電流値の推移グラフを連動させるインターフェイスにより、電流値の推移のグラフにおいて、「!」マークMのある場所に網掛けを移動することで、操作異常が検知された期間に対応する操作ログを容易に確認することができる。具体的には、管理サーバ10は、「!」マークMのある期間に対応する施術パラメータを記憶部16から読み出して操作ログとして表示部12に表示する。これにより管理会社は、操作異常としてどのような操作が行われたかを詳細に解析することができる。
【0046】
図7は、美容機器管理システム1の動作を示すフローチャートである。管理サーバ10にて異常操作を検知した場合のフローチャートである。脱毛装置20は電流値を常時検知し、記憶部29に記憶する(S10)。施術者は、脱毛装置20による施術を行う際に、施術パラメータを設定する。脱毛装置20は、施術パラメータの入力を受け付け、入力された施術パラメータを記憶部29に記憶する(S11)。続いて、脱毛装置20は、施術パラメータおよび電流値のデータを管理サーバ10に送信する(S12)。
【0047】
管理サーバ10は、脱毛装置20から送信された施術パラメータおよび電流値のデータを受信し(S13)、受信したデータを記憶部16に記憶する(S14)。管理サーバ10は、記憶部16に記憶された電流値に基づいて操作異常を検知する(S15)。操作異常を検知しなかった場合(S15でNO)、管理サーバ10の動作ステップは、施術パラメータおよび電流値のデータを受信するステップに戻る。操作異常を検知した場合(S15でYES)、管理サーバ10は、表示部12に、操作異常があったことを知らせるメッセージを出力する(S16)。これを受けて、管理サーバ10のユーザは、操作異常に対応する施術パラメータを解析することができる。ここでいう操作異常は、管理会社が決めた施術パラメータである。管理会社は、あらかじめ顧客に異常と判断される施術パラメータを伝えている。
【0048】
本実施の形態の美容機器管理システム1は、電流値に基づいて操作異常を検知するので、操作異常が検知された期間における施術パラメータを解析することにより、不適切な使用があったかどうかを解析することができる。これにより、ユーザは、多数の脱毛装置20から送信される膨大の施術パラメータを効率良く解析できる。
【0049】
不適切な使用の仕方があったかどうかを把握することは、美容機器の管理会社にとって非常に有益である。まず、危険な施術を防止することで、顧客および被施術者の安全を確保することができる。また、例えば、不適切な使用が美容機器の寿命を縮めることに鑑み、操作異常があった場合には、レンタル料金の引き上げること、契約期間の短縮の検討対象とすることなどができる。さらに、顧客の不適切な使用に起因して美容機器が故障した場合は、修理代の請求、あるいは、新品交換対象とならない、などの対応が可能となる。
【0050】
以上、本発明の美容機器管理システムについて実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。上記した実施の形態では、電流センサ31を用いて、脱毛装置20で発生する電流値を検知し、電流値のデータを用いて操作異常を検知する例を挙げたが、電流値に代えて電力値を用いてもよい。
【0051】
上記した実施の形態では、操作異常を検知する判断基準として、(1)電流値が所定の閾値を超えたとき、(2)電流値が第2の閾値を超えた状態が所定時間継続したとき、の2つを示したが、これら以外の判断基準を用いてもよい。例えば、所定期間において電流値が所定の閾値を超える期間が70%以上である、などのような基準が考えられる。
【0052】
また、上記した実施の形態では、管理サーバ10が操作異常を検知した場合、表示部12にメッセージ出力する仕様を示したが、仕様はこれに限られない。例えば、通信インターフェイス17を介して脱毛装置20へのメッセージ表示を行ってもよいし、SNSなどを介して顧客が有する携帯端末へ操作異常があったことのメッセージが自動送信される仕様であってもよい。
【0053】
上記した実施の形態では、レンタル管理画面(図5)および操作ログの画面(図6)において、電流値の推移から操作異常であると検知された期間について、操作ログを連動表示する例を挙げたが、操作異常があると検知された装置および期間の一覧を表示する操作異常一覧の画面を表示することとしてもよい。
【0054】
図8は、操作異常一覧画面の例を示す図である。操作異常があると検知された期間を表示すると共に、その期間に対応する操作ログを記憶部から読み出して連動表示する。図8では一例として、2021年10月9日の操作異常一覧画面が示されており、機器ID、機種名、顧客名、操作異常期間、ジュール数、周波数、パルス幅を横軸としている。具体的には、表のNo.1に番号付けられた機種ID1467は、2021年10月9日14:43~15:13の間操作異常があったことがわかる。その間の施術パラメータは、ジュール数10J/cm、周波数5Hz、パルス幅10msである。それに対応する電流値グラフが下段に表示される。
【0055】
図8の画面によりユーザは、操作異常のある機種だけを一覧として把握することができる。また、電流値グラフが連動して表示されていることにより、どのパラメータを重点的に見ればよいかを検討できる。ユーザは効率よく、操作異常について解析を行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 美容機器管理システム
10 管理サーバ
11 入力部
12 表示部
13 制御部
14 管理画面生成処理
15 操作異常検知処理
16 記憶部
17 通信インターフェイス
20 脱毛装置
21 ケーシング
22 操作部
23 ハンドピース
24 キャスター
25 電源スイッチ
26 緊急停止スイッチ
27 操作パネル
28 制御部
29 記憶部
30 通信インターフェイス
31 電流センサ
32 水位センサ
33 温度センサ
34 故障検知部
A 領域
B テンキー
C ボタン
M マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8